JP2009504569A - 向上した治療活性をもつ方法および組成物 - Google Patents

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Abstract

Fc含有タンパク質例えば抗体の特性は、Fc領域中のオリゴ糖のシアリル化を変えることにより制御される。改変されたFc含有タンパク質は、FcgRI、FcgRIIAおよびFcgRIIIA受容体の1種若しくはそれ以上に対するアフィニティー、ADCC活性、マクロファージ若しくは単球活性化、血清半減期ならびにアビディティーを制御することが望ましい疾患若しくは状態で治療的利用性を有する。

Description

本発明は、Fc受容体と相互作用する治療的タンパク質の改変方法、ならびに、オリゴ糖鎖の組成が、未改変の抗体に比較してその標的に対する抗体のアビディティーを高めることができかつ受容体結合アフィニティーおよび従って前記抗体のエフェクター機能活性を変えうるような、改変された治療的タンパク質例えば抗体の製造方法に関する。
抗体は自然免疫で重大な役割を演じている可溶性血清糖タンパク質である。H鎖定常領域中の保存された位置の全部の天然に産生される抗体の炭水化物構造はアイソタイプで異なる。各アイソタイプは異なる多数のN結合したオリゴ糖構造を有し、それらはタンパク質の集成、分泌若しくは機能的活性に多様に影響を及ぼす(非特許文献1)。図1および2を参照すれば、結合されたN結合したオリゴ糖の構造はプロセシングの程度に依存してかなり変動し、そして高マンノース、ならびに分岐GlcNAcおよび核フコース残基を伴う若しくは伴わない複雑な二分岐オリゴ糖を包含し得る(非特許文献1)。典型的に、モノクローナル抗体でさえ複数の糖形態(glycoform)として存在するような特定のグリコシル化部位に結合された核オリゴ糖構造の不均質なプロセシングが存在する。同様に、抗体のグリコシル化の大きな差違が抗体産生細胞株間で存在し、そしてなお小さな差違が異なる培養条件下で増殖された所定の一細胞株について見られることが示された。
グリカン上のシアル酸(静的基)は抗体以外の糖タンパク質の血清半減期の延長において重要であることが既知である(非特許文献2)。これまで、モノクローナル抗体(Mab)に対するシアル酸の役割は十分に理解されていない。Mabの血清半減期はとりわけ長命であり、そしてFc融合タンパク質の構築は、治療的タンパク質、例えばタンパク質エンテラセプト(enteracept)の開発における有用な戦略と判明している。
抗体およびT細胞受容体分子は、特異的細胞表面受容体結合(その結合が細胞応答を調節する)を司る領域を有する。免疫系ではこれらの機能は体液性および細胞性と分類される。抗体はしばしば体液性および細胞性免疫機構を結びつけるアダプター分子と称される。すなわち、体液性応答は主として標的抗原への高アフィニティー結合が可能な成熟分泌型循環抗体に帰される。細胞性応答は、ab−ag複合体の結合、およびエフェクター細胞へのab−ag複合体結合の結果としての細胞メディエーターの放出により引き起こされる下流の続発症による細胞の活性化の結果に帰される。これらの細胞応答は、標的の中和、オプソニン化および感作(抗原が細胞の表面上に表示される場合)、肥満細胞の感作、ならびに補体の活性化を包含する。細胞標的、すなわち細胞表面抗原については、これらのエフェクター機能は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)および補体依存性細胞傷害(CDC)として一般に知られるものに至る。
抗体アイソタイプ(例えばIgE、IgD、IgA、IgMおよびIgG)の間で、IgGが最も豊富であり、IgG1サブクラスが最も大きな程度および範囲のエフェクター機能を表す。IgG1タイプの抗体は、ADCCおよびCDC活性がしばしば重要と思われる癌免疫療法で最も一般に使用される抗体である。構造的に、IgGのヒンジ領域およびCH2ドメインが抗体エフェクター機能で主要な役割を演じている。(ヒンジ、CH2およびCH3ドメインの二量体化により形成される)Fc領域に存在するN結合したオリゴ糖がエフェクター機能に影響を及ぼす。共有結合したオリゴ糖は複雑な二分岐型構造であり、そして高度に不均質である(図1および2を参照されたい)。Asn297の保存されたN結合したグリコシル化部位は各CH2ドメイン中に存する。成熟抗体中で、Asn297に結合された2個の複雑な二分岐オリゴ糖はCH2ドメイン間に埋没されて、ポリペプチドバックボーンと後半な接触点を形成する。ADCCのようなエフェクター機能を抗体が媒介するのにそれらの存在が不可欠であることが見出された(非特許文献3;非特許文献4;非特許文献1)。
これらの不均質なオリゴ糖は、末端糖として主にシアル酸、フコース、ガラクトースおよびGlcNAc残基を含有する(非特許文献5)。露出されたガラクトース、核フコースおよび分岐したGlcNAc残基のようなこれらの末端糖のいくつかが、ADCC活性、CDC活性に影響を及ぼし、そしてまたC1q補体タンパク質を包含する多様なリガンドへの抗体結合にも影響を及ぼすことが示された(非特許文献6)。Fc中に存在するN結合したオリゴ糖の大多数は、性質が複雑な二分岐であるとは言え、それらは有意の程度までシアリル化されてはいない(非特許文献7)。
ヒトIgGおよび他の組換え産生されたIgG中で見出される主要構造は、露出したGal残基を伴う若しくは伴わない複雑な二分岐構造である(図1)。抗体機能に対する末端Gal含有構造の生物学的意義が詳細に研究されている。抗体のガラクトシル化の程度は、齢、性および疾患により影響を及ぼされる(非特許文献5)。一般に、オリゴ糖構造はいくぶん種特異的であり、そして広範に変動する。さらに、分岐GlcNacおよび核フコース残基を伴うおよび伴わないオリゴ糖構造の生物学的意義もまた研究されている。ヒトIgG、および組換え産生されたIgGの多くは少量のシアリル化されたオリゴ糖を含有するが、しかしながら、IgGの大多数はシアリル化されていないオリゴ糖構造を含有する。
Fc機能に対するAbのFcグリカン中のシアル酸の影響に関する情報は、部分的に、シアル酸含量が有意に異なる同一の基礎Mabの対の利用不可能性により、制限されていた。抗癌IgG1、Campath−1Hからのシアル酸の除去がADCC活性に対し影響を有しないことが報告されたが、しかし、参照として使用された元のMab調製物上のFcグリカンは10%未満シアリル化されているようであり、いずれかの影響を検出することを困難にした(非特許文献8)。同様に、非特許文献9は、シアリル化が欠損していた変異体CHO細胞株で発現されたIgG1 Abと、野生型CHO細胞株で発現された同一Abの間のFcγRI結合の認識可能な差違を報告しなかった。しかしながら、野生型細胞からのAbに存在するシアル酸の量は極めて低いことがありそうであり(非特許文献10)、そして従ってシアリル化およびアシアリル化Abの間の結合のいかなる差違もまた検出することが困難であるとみられる。非特許文献11は、天然の(不均質な)IgG1−FcおよびIgG1 AbのFc活性を、シアリダーゼおよびβ−ガラクトシダーゼ双方での処理後の同一物質と比較したが、しかし、シアル酸の影響の分析を可能にしたとみられるシアリダーゼのみで処理しなかった。変異させたおよび(α2,3結合を介して)高度にシアリル化されたヒトIgG3 Ab(非特許文献12)は、補体溶解アッセイ、ならびにFcγRI依存性およびFcγRII依存性機能アッセイで、その野生型の低シアリル化対照物より2ないし3倍より少なく活性であったが、しかし、2種のシアル酸結合(α2,3およびα2,6)の混合物を含有した同一Abの高度シアリル化バリアントは野生型に匹敵する活性を示した(非特許文献13)。シアル酸結合の型が変異体IgG3 AbのFc機能に対し少なくとも何らかの影響を有し得ることを示すとは言え、研究は、高シアル酸含量を伴うIgGのFc機能を、低シアル酸含量を伴うIgGと比較していない。
従って、免疫グロブリン定常領域に結合されたオリゴ糖構造中のシアル酸組成の役割の系統的分析が正当化される。治療的抗体の発現前遺伝子工作若しくは発現後修飾の利用可能な技術を考えれば、この分類の生物医薬品により導き出される細胞応答を高めかつ手元の一次標的および疾患の適応症にさらに一致させるのにこの情報を使用し得る。
Wright,A.とMorrison,S.L.、Trends Biotech.15:26−32(1997) Stockert,R.J.(1995)Physiol.Rev.75、591−609 Lifely,M.R.ら、Glycobiology 5:813−822(1995) Jefferis,R.ら、Immunol Rev.163:59−76(1998) Raju,T.S.ら Glycobiology 2000.10(5):477−86 Presta L.2003.Curr Opin Struct Biol.13(4):519−25 Idusogie EEら 2000.J Immunol.15:164(8):4178−84 Boydら、1995 WrightとMorrison(1998) Wrightら、2000 Mimuraら(2000) Lundら、1996 上記 Jassalら、2001 Biochem Biophys Res Comm 286:243−249
[発明の要約]
本発明は、Fc含有分子、とりわけ抗体治療薬の体液性および細胞性免疫機能の至適化方法を含んでなる。
本発明は、多様に局在化された標的タンパク質に対する分子のアビディティー;Fcγ受容体、例えばFcγRI、FcγRIIAおよびFcγRIIIA受容体の1種若しくはそれ以上に対するアフィニティー;ADCC活性;マクロファージ若しくは単球活性化;ならびに血清半減期を制御するためにFc領域中のオリゴ糖のシアリル化を変える(野生型から増大若しくは低下する)ことを含んでなる、Fc含有分子の特性の制御方法を含んでなる。
グリカンのシアリル化は、酵素処理、分子の酵素的改変、分子の遺伝子操作、レクチンクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、タンパク質の発現に使用される細胞株の特異的選択若しくは遺伝子工作、Fc含有タンパク質を産生するのに使用される宿主細胞を血清中でまたはオリゴ糖改変の可能な酵素若しくはこうした酵素の阻害剤を含有する環境中で培養すること、および多様なpH環境にタンパク質を曝露することにより変えうる。
本発明は、Fcドメイン中に最大にシアリル化されたN結合したオリゴ糖を含有する抗体の高度に均質なバッチの製造法にもまた関する。それは、Fcオリゴ糖中にシアル酸を含有する抗体ならびにFcオリゴ糖中にシアル酸を含有しない抗体について濃縮された抗体のバッチの精製にさらに関する。
より具体的には、本発明は、得られる組換え的に発現されたモノクローナル抗体若しくは他のFc含有融合タンパク質のシアリル化のレベルに影響を及ぼすための、宿主細胞若しくは細胞培地若しくはin vitroでのグリコシルトランスフェラーゼ(シアリルトランスフェラーゼ)若しくはシアリダーゼ酵素の活性の操作方法に関し、そして、この方法は、得られる組換え発現されたタンパク質に、シアル酸含量について至適化されていない組換え的に発現されたFc含有ポリペプチドに比較して適切に至適化された(i)Fc媒介性のエフェクター機能、(ii)Fcγ受容体結合、(iii)変えられたADCC(iv)血清半減期、または(v)天然の若しくは合成のアレイに表示される標的分子に対するアビディティーを有することを引き起こす。
[発明の詳細な記述]
略語
α1,3GT、α−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼ;α2,3ST、α−2,3−シアリルトランスフェラーゼ;β1,4GT、β−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ;ADCC、抗体依存性細胞傷害;ATCC、American Type Culture Collection;BATDA、ビス(アセトキシメチル)2,2’:6,2”−テルピリジン−y,y”−ジカルボキシレート;BSA、ウシ血清アルブミン;CD培地、既知組成培地;CDC、補体依存性細胞傷害;CMP−Sia、シチジン一リン酸N−アセチルノイラミン酸;DMEM、ダルベッコ変法イーグル培地;E:T、エフェクター細胞対標的細胞比:FBS、ウシ胎児血清;ESI−MS、エレクトロスプレーイオン化質量分析。NK細胞、ナチュラルキラー細胞;IgG、免疫グロブリンG;IMDM、イスコフ変法ダルベッコ培地;MALDI−TOF−MS、マトリックス支援レーザー/脱離イオン化飛行時間質量分析;MHX、ミコフェノール酸、ヒポキサンチン、キサンチン;NANA、シアル酸のN−アセチルノイラミン酸異性体;NGNA、シアル酸のN−グリコリルノイラミン酸異性体;PBMC、末梢血単核細胞;PBMC、末梢血単核細胞;PBS、リン酸緩衝生理的食塩水;PNGアーゼF、ペプチドNグリコシダーゼF;RP−HPLC、逆相高速液体クロマトグラフィー;RT、室温;Sia、シアル酸;UDP−Gal、ウリジン二リン酸ガラクトース;UDP−GlcNAc、ウリジン二リン酸N−アセチルグルコサミン。
定義
本明細書で使用されるところの「アフィニティー」という用語は、その同族の結合パートナーに対する単純な一価リガンドの結合定数(例えば抗原若しくはエピトープに対するFabの結合)の尺度であることを意図している。アフィニティーは、限定されるものでないが、例えばプラズモン共鳴(BiaCore)によりオンおよびオフ速度(それぞれkonおよびkoff)を測定することを包含するいくつかの方法で測定し得、そして全体会合(Kass)若しくは解離定数(K)(ここでKassはkon/koffでありかつKはkoff/konである)として表し得る。Kは、例えば結合パートナーへのリガンドの結合が半飽和である濃度を測定することにより経験的にもまた測定しうる。Kの別の測定方法は、1種の結合体若しくはリガンドを標識(labeled)若しくは標識(tagged)しかつ一定濃度で保持する一方、試験結合体若しくはリガンドを変動する濃度で添加して、競合してその同族の結合パートナーから標識物質を離す競合アッセイ、および標識が半分だけ減少される濃度を決定することによる。
本明細書で使用されるところの「アビディティー」という用語は、リガンドおよび結合パートナー双方が多価であることができかつ複数の会合および解離事象に対する傾向が特定の一リガンドに対して同時に存在し得る限りは結合パートナーに結合されたまま留まるリガンドの傾向の尺度であることを意図している。従って、アビディティーは既知のアフィニティーをもつ結合パートナーの多価コンホメーションの見かけのアフィニティーの増大により測定し得る。
本明細書で使用されるところの「Fc含有タンパク質」若しくは「Fc含有分子」という用語は、1個のリガンド結合ドメインならびに最低1個の免疫グロブリンCH2およびCH3ドメインを有する単量体、二量対若しくはヘテロ二量体タンパク質を指す。CH2およびCH3ドメインは該タンパク質/分子(例えば抗体)の二量体領域の少なくとも一部分を形成し得る。
「抗体」という用語は、抗体またはその指定されるフラグメント若しくは部分の構造および/若しくは機能を模倣しかつ限定されるものでないがFc受容体(例えばFcγRI(CD64)FcγRIIA(CD32A)、FcγRIIIA(CD16A)およびFcRn)への結合、補体(例えばC1q)を結合すること、ADCCならびにCDCを挙げることができるFc媒介性の機能を保持する、抗体模倣物を制限なしに包含するか若しくは抗体の部分を含んでなる、抗体、それらの消化フラグメント、指定される部分およびバリアントを包含することを意図している。
本明細書で使用されるところの「モノクローナル抗体」という用語は、リガンド結合ドメインが、動物抗体の最低1種のH若しくはL鎖抗体可変ドメインの最低1種に対する実質的相同性を保持する、特定の形態のFc含有融合タンパク質である。
「シアル酸」という用語は9炭素のカルボキシル化糖の1ファミリーのいずれかのメンバーを指す。シアル酸ファミリーの最も一般的なメンバーはN−アセチルノイラミン酸(2−ケト−5−アセトアミド−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−D−ガラクトノヌロピラノス−1−オニックI酸(しばしばNeu5Ac、NeuAc若しくはNANAと略記される)である。該ファミリーの第二のメンバーは、NeuAcのN−アセチル基がヒドロキシル化されているN−グリコリル−ノイラミン酸(NGNA、Neu5Gc若しくはNeuGc)である。この形態はげっ歯類および微生物供給源からの糖タンパク質中で優勢である。第三のシアル酸ファミリーメンバーは2−ケト−3−デオキシノヌロソン酸(KDN)(Nadanoら(1986)J.Biol.Chem.261:11550−11557;Kanamoriら、J.Biol.Chem.265:21811−21819(1990))である。9−O−ラクチル−Neu5Ac若しくは9−O−アセチル−Neu5Acのような9−O−C−C6アシルNeu5Ac、9−デオキシ−9−フルオロ−Neu5Acおよび9アジド−9−デオキシ−Neu5Acのような9−置換シアル酸もまた包含される。シアル(static)酸ファミリーの総説については、例えばVarki,Glycobiology 2:25−40(1992);Sialic Acids:Chemistry、Metabolism and Function、R.Schauer編(Springer Verlag、ニューヨーク(1992))を参照されたい。
記述
Fcオリゴ糖のシアリル化のレベルがFcγ受容体に対する組換え産生された治療的抗体のアフィニティーを変えて前記抗体の生物学的作用の多様な局面の調節をもたらすことが、予期せぬことに見出された。より具体的には、高度にシアリル化されたAbが、低アフィニティー受容体FcγRIIA(CD32A)およびFcγRIIIA(CD16A)に対する有意に低下されたアフィニティーを有し、また、FcγRIIIAが関連受容体であると考えられているin vitro ADCCアッセイで有意に低下された活性を有することが発見された。高度にシアリル化されたAbが、高アフィニティーFcγ受容体FcγRI(CD64)に対する増大されたアフィニティーを有すること、および、完全にシアリル化されたFc含有タンパク質が、アシアリル化若しくは部分的シアリル化Fc含有タンパク質に比較して短縮された血清半減期を有することがさらに発見された。
Fcオリゴ糖からのシアル酸の除去(または非存在若しくは低下されたレベル)が、それらの標的分子に対する組換え産生された治療的抗体のアビディティーを高めることがさらに発見された。いずれか1つの論理に束縛されることを願わない一方、オリゴ糖からの荷電した静的基の除去は、抗体構造全体でのより大きな柔軟性を可能にすることと解釈し得、この柔軟性は、他方に対する一方の関係で2個の結合ドメインの潜在的相互作用の拡大されたスフェアーを与える。2種の抗原エピトープに二価で結合するAbの能力は、エピトープの到達可能性、方向、密度および移動性にもまた依存することができる。シアリル化の抗原結合の影響は、ウイルス若しくは細菌の表面抗原、およびホモポリマーである可溶性抗原さえ認識するAbにもまた関係しうることが注目されるべきである。Abの柔軟性が、Abのいくつかが1種以上の抗原を結合しうるのみならず抗原のいくつかもまた1種以上のAbにより結合されうる可溶性免疫複合体内で、個々のAb分子がどの程度まで二価で結合するかを決定し得るからである。
本発明は、Fcのオリゴ糖および変えられたFc含有分子のシアリル化を変えることによるFc含有分子の特性の制御方法を含んでなる。シアル酸は生理学的pHで正味の負の電荷を有し、そして従ってFcに結合した炭水化物中のシアル酸の存在は、三次元構造、そしてこれゆえにCH2ドメインのコンホメーションを変え、そしてそれにより多様なリガンド若しくは受容体に対するFc結合に影響を及ぼすと期待されうる。変えられたFc含有分子は、FcγRI、FcγRIIAおよびFcγRIIIA受容体の1種若しくはそれ以上に対するアフィニティー、ADCC活性、マクロファージ若しくは単球活性化、ならびに血清半減期に影響を及ぼす。
シアリル化された形態のFc含有タンパク質の濃縮
シアル酸含量が異なる特定のFc含有タンパク質の下位ロットを製造するための1アプローチは、シアリル化およびアシアリル化双方の分子を包含する不均質なFcオリゴ糖とFc含有タンパク質調製物を一緒にし、そして、シアリル化およびアシアリル化オリゴ糖に対する差別的アフィニティーを有する固定されたレクチンを含有するカラムにそれを通すことである。結合しない通過物(T、through)すなわちカラム未結合画分を結合画分(B、bound)から分離し得、後者は溶出緩衝液がカラムを通過する間に収集される。弱結合画分すなわちカラム停滞画分(R、retarded)を、例えば、元のサンプル緩衝液でのカラムの継続的洗浄の間に溶出するFc含有タンパク質を収集することにより別個に収集することもまた可能でありうる。使用されるレクチンに依存して、非結合画分は、結合する画分より高い若しくはより低いシアル酸含量を有しうる。
シアリル化若しくはアシアリル化Fc含有タンパク質について濃縮しうるレクチンの例は、末端シアル酸をもつオリゴ糖を特異的に結合するイヌエンジュ(Maackia amurensis)からのレクチン(MAA)、および末端シアル酸若しくは末端N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)いずれかをもつオリゴ糖を特異的に結合するレクチン、コムギ胚芽アグルチニン(WGA)である。別の例は、末端ガラクトースをもつオリゴ糖を結合するレクチン、リシンI(RCA)である。後者の例では、非結合通過画分がシアリル化Fc含有分子について濃縮されうる。
Fc含有タンパク質の酵素的改変
シアル酸含量が異なるFc含有タンパク質の下位ロットを製造するための代替の一アプローチは、Fc含有タンパク質調製物の一部分をシアリダーゼ酵素で処理してそれによりシアル酸を除去することである。生じるアシアリル化物質を、生物学的活性の差違について、元の部分的シアリル化物質と比較し得る。元のFc含有タンパク質ロット中のシアル酸含量が高いほど、生物学的活性のいずれかの差違を検出する機会が多くなる。例えば、元のタンパク質調製物中のFcオリゴ糖の10%のみがシアル酸を含有した場合、オリゴ糖の0〜1%がシアル酸を含有する場合にシアリダーゼ処理後の生物学的活性の差違を検出することが困難でありうる。シアリダーゼ処理の前および後のFc含有タンパク質の生物学的活性を比較することは、シアリダーゼ処理がフコシル化およびアフコシル化オリゴ糖の異なる分布をもたらす場合に、より困難になることができる。フコースレベルは、ヒトFcγRIIIAに対するアフィニティーおよびADCC活性のようなある種の生物学的活性に対する顕著な影響を有するからである。例えば、オリゴ糖の30%から0%までのシアル酸含量の低下が、5%から15%まで増大するアフコシル化オリゴ糖の比率をもたらす場合には、ADCC活性の差違をシアル酸含量の低下のみに帰することが可能でないことができる。フコシル化およびアフコシル化オリゴ糖の相対比率に対するシアリダーゼ処理のこうした影響は、シアル酸残基を除去するためのシアリダーゼでの処理の前のフコシル化およびアフコシル化オリゴ糖のシアリル化の差違により可能である(そして観察されている)。
Fc領域中に存在するオリゴ糖のシアリル化はin vitroグリコシル化法を使用してもまた達成し得る。こうした方法を使用して、最大にシアリル化された糖形態の抗体サンプルを達成することが可能である。発明者の発見に基づき、最大にシアリル化された糖形態の抗体若しくは他のFc含有構築物は、アシアリル化若しくは過小シアリル化抗体に比較して短縮された血清半減期を有することができる。従って、本発明の方法は、抗体若しくは免疫グロブリンFc領域を含有する他の組換えタンパク質構築物を含んでなる糖形態の均質性、および前記抗体若しくは構築物のin vivoでの機能の局面の双方を制御するための任意の手段を提供する。
グリコシルトランスフェラーゼはもちろんオリゴ糖を合成するように機能する。それらは優れた立体化学および位置化学の配置をもつ特定の生成物を生じる。グリコシル残基の転移はオリゴ糖若しくは多糖の伸長若しくは合成をもたらす。シアリルトランスフェラーゼ、フコシルトランスフェラーゼ、ガラクトシルトランスフェラーゼ、N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ、N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼなどを包含する多数のグリコシルトランスフェラーゼ型が記述されている。
本発明で有用であるグリコシルトランスフェラーゼは、例えば、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)若しくは他の細菌供給源からのもの、ならびに、ラット、マウス、ウサギ、ウシ、ブタ、ヒトおよび昆虫ならびにウイルス供給源からのもののような、α−シアリルトランスフェラーゼ、α−グルコシルトランスフェラーゼ、α−ガラクトシルトランスフェラーゼ、α−フコシル−トランスフェラーゼ、α−マンノシルトランスフェラーゼ、α−キシロシルトランスフェラーゼ、α−N−アセチルへキソサミニルトランスフェラーゼ、β−シアリルトランスフェラーゼ、β−グルコシルトランスフェラーゼ、β−ガラクトシルトランスフェラーゼ、β−フコシルトランスフェラーゼ、β−マンノシルトランスフェラーゼ、β−キシロシルトランスフェラーゼおよびβ−N−アセチルヘキソサミニルトランスフェラーゼを包含する。好ましくは、グリコシルトランスフェラーゼは、膜結合ドメインが欠失されている短縮バリアントのグリコシルトランスフェラーゼ酵素である。
例示的ガラクトシルトランスフェラーゼは、α(1,3)ガラクトシルトランスフェラーゼ(E.C.番号2.4.1.151、例えばDabkowskiら、Transplant Proc.25:2921(1993)およびYamamotoら Nature 345:229−233(1990)を参照されたい)、ならびにα(1,4)ガラクトシルトランスフェラーゼ(E.C.番号2.4.1.38)を包含する。シアリルトランスフェラーゼのような他のグリコシルトランスフェラーゼを使用し得る。
しばしばシアリルトランスフェラーゼと称されるα(2,3)シアリルトランスフェラーゼを、シアリルラクトース若しくはより高次の構造の製造で使用し得る。この酵素は、2種の糖の間のα結合の形成を伴いCMP−シアル酸からシアル酸(NeuAc)をGal残基に転移する。糖間の結合(連結)は、NeuAcの2位とGalの3位の間である。α(2,3)シアリルトランスフェラーゼ(EC 2.4.99.6)と称される例示的一α(2,3)シアリルトランスフェラーゼは、シアル酸をGalβ1→3Glc二糖若しくは配糖体の非還元末端Galに転移する。Van den Eijndenら、J.Biol.Chem.、256:3159(1981)、Weinsteinら、J.Biol.Chem.、257:13845(1982)およびWenら、J.Biol.Chem.、267:21011(1992)を参照されたい。別の例示的α−2,3−シアリルトランスフェラーゼ(EC 2.4.99.4)は、シアル酸を二糖若しくは配糖体の非還元末端Galに転移する。Rearickら、J.Biol.Chem.、254:4444(1979)およびGillespieら、J.Biol.Chem.、267:21004(1992)を参照されたい。さらなる例示的酵素はGal−β−1,4−GlcNAc α−2,6シアリルトランスフェラーゼ(Kurosawaら Eur.J.Biochem.219:375−381(1994)を参照されたい)を包含する。
本発明のオリゴ糖の製造でとりわけ有用な他のグルコシルトランスフェラーゼは、α(1,2)マンノシルトランスフェラーゼ、α(1,3)マンノシルトランスフェラーゼ、β(1,4)マンノシルトランスフェラーゼ、Dol−P−Man合成酵素、OCh1およびPmt1を包含するマンノシルトランスフェラーゼである。
なお他のグルコシルトランスフェラーゼは、α(1,3)N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ、β(1,4)N−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ(Nagataら J.Biol.Chem.267:12082−12089(1992)およびSmithら J.Biol.Chem.269:15162(1994))ならびにポリペプチドN−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼ(Homaら J.Biol.Chem.268:12609(1993))を包含するN−アセチルガラクトサミニルトランスフェラーゼを包含する。適するN−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼは、GnTI(2.4.1.101、Hullら、BBRC 176:608(1991))、GnTIIおよびGnTIII(Iharaら J.Biolchem.113:692(1993))、GnTV(Shoreibanら J.Biol.Chem.268:15381(1993))を包含する。
該方法が商業的スケールで実施されるべきである態様について、グリコシルトランスフェラーゼを支持体に固定することが有利であり得る。この固定は、生成物のバッチからの酵素の除去および該酵素のその後の再使用を容易にする。グリコシルトランスフェラーゼの固定は、例えば、トランスフェラーゼをその膜結合ドメインから取り出すこと、およびその場所にセルロース結合ドメインを結合することにより達成し得る。当業者は、他の固定方法もまた使用し得かつ入手可能な文献に記述されていることを理解するであろう。
アクセプター基質は、本質的に、特定のグリコシルトランスフェラーゼがそれに対する特異性を表す末端糖残基を有するいかなる単糖若しくはオリゴ糖でもあり得るため、基質はその非還元端の位置で置換されうる。従って、配糖体アクセプターは単糖、オリゴ糖、蛍光標識した糖、若しくはアミノグリコシド抗生物質、ガングリオシドのような糖誘導体、または抗体および他のFc含有タンパク質を包含する糖タンパク質でありうる。好ましい態様の一群において、配糖体アクセプターは、オリゴ糖、好ましくはGalβ(1−3)GlcNAc、Galβ(1−4)GlcNAc、Galβ(1−3)GalNAc、Galβ(1−4)GalNAc、Manα(1,3)Man、Manα(1,6)Man若しくはGalNAcβ(1−4)−マンノースである。とりわけ好ましい一態様において、オリゴ糖アクセプターはFc含有タンパク質のCH2ドメインに結合されている。
活性化された糖基質、すなわち糖−ヌクレオシドリン酸の使用は、グリコトランスフェラーゼ反応と同時に再生反応(再利用系としてもまた知られる)を使用することのいずれかにより回避し得る。例えば、例えば米国特許第6,030,815号明細書に教示されるとおり、CMP−シアル酸再利用系は、それがα(2,3)シアリルトランスフェラーゼの存在下でシアリルトランスフェラーゼアクセプターと反応してシアリル糖を形成する際にCMP−シアル酸(CMP−NeuAc)を補給するためにCMP−シアル酸合成酵素を利用する。本発明で有用なCMP−シアル酸再生系は、シチジン一リン酸(CMP)、ヌクレオシド三リン酸(例えばアデノシン三リン酸(ATP)、リン酸ドナー(例えばホスホエノールピルビン酸若しくはアセチルリン酸)、リン酸をリン酸ドナーからヌクレオチド二リン酸に転移することが可能なキナーゼ(例えばピルビン酸キナーゼ若しくは酢酸キナーゼ)、および末端リン酸をヌクレオシド三リン酸からCMPに転移することが可能なヌクレオシド一リン酸キナーゼ(例えばミオキナーゼ)を含んでなる。α(2,3)シアリルトランスフェラーゼおよびCMP−シアル酸合成酵素は、活性化されたシアル酸の除去が合成の前進速度を維持するようにはたらくため、CMP−シアル酸再生系の一部としてもまた見ることができる。改変されたCMP−シアル酸合成酵素の酵素の遺伝子を含んでなるファージミドを使用するシアリル化手順でのシアル酸化合物の合成および使用は、1992年10月1日公開の国際特許出願第WO 92/16640号明細書に開示されている。
オリゴ糖の代替の一製造方法は、米国特許第5,952,203号明細書に教示されるとおり、グリコシルトランスフェラーゼ、および、ドナー糖としての糖ヌクレオチドの必要性を未然に防ぐ、ドナー糖としての活性化されたグリコシル誘導体の使用による。活性化グリコシル誘導体は、高価な糖ヌクレオチド、通常は、ヌクレオチドリン酸が糖の1位にα結合されているヌクレオチド二リン酸糖若しくはヌクレオチド一リン酸糖である天然に存在する基質に対する代替として作用する。
有用である活性化された配糖体誘導体は、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、トシル酸エステル、メシル酸エステル、トリフレートエステルなどのような活性化された脱離基を包含する。活性化された配糖体誘導体の好ましい態様は、フッ化グリコシルおよびグリコシルメシレートを包含し、フッ化グリコシルがとりわけ好ましい。フッ化グリコシルのなかで、フッ化α−ガラクトシル、フッ化α−マンノシル、フッ化α−グルコシル、フッ化α−フコシル、フッ化α−キシロシル、フッ化α−シアリル、フッ化α−N−アセチルグルコサミニル、フッ化α−N−アセチルガラクトサミニル、フッ化β−ガラクトシル、フッ化β−マンノシル、フッ化β−グルコシル、フッ化β−フコシル、フッ化β−キシロシル、フッ化β−シアリル、フッ化β−N−アセチルグルコサミニルおよびフッ化β−N−アセチルガラクトサミニルが最も好ましい。
フッ化グリコシルは、最初に糖をアセチル化すること、および次にそれをHF/ピリジンで処理することにより、遊離糖から製造し得る。アセチル化したフッ化グリコシルは、メタノール中弱(触媒的)塩基(例えばNaOMe/MeOH)との反応により脱保護しうる。加えて、多くのフッ化グリコシルは商業的に入手可能である。他の活性化されたグリコシル誘導体は、当業者に既知の慣習的方法を使用して製造し得る。例えば、グリコシルメシレートは、完全にベンジル化したヘミアセタールの形態の糖の塩化メシルでの処理、次いでベンジル基を除去するための触媒的水素化により製造し得る。
該反応のさらなる一成分は触媒量のヌクレオシドリン酸若しくはそのアナログである。本発明での使用に適するヌクレオシド一リン酸は、例えば、アデノシン一リン酸(AMP)、シチジン一リン酸(CMP)、ウリジン一リン酸(UMP)、グアノシン一リン酸(GMP)、イノシン一リン酸(IMP)およびチミジン一リン酸(TMP)を包含する。本発明による使用に適するヌクレオシド三リン酸は、アデノシン三リン酸(ATP)、シチジン三リン酸(CTP)、ウリジン三リン酸(UTP)、グアノシン三リン酸(GTP)、イノシン三リン酸(ITP)およびチミジン三リン酸(TTP)を包含する。好ましいヌクレオシド三リン酸はUTPである。好ましくは、ヌクレオシドリン酸はヌクレオシド二リン酸、例えばアデノシン二リン酸(ADP)、シチジン二リン酸(CDP)、ウリジン二リン酸(UDP)、グアノシン二リン酸(GDP)、イノシン二リン酸(IDP)およびチミジン二リン酸(TDP)である。好ましいヌクレオシド二リン酸はUDPである。上に示されたとおり、本発明はヌクレオシドリン酸のアナログでもまた実施し得る。適するアナログは、例えばヌクレオシド硫酸およびスルホン酸を包含する。なお他のアナログは単純なリン酸例えばピロリン酸を包含する。
ヒドロキシル化された形態のシアル酸が優位を占める(NGNA)例えばマウス細胞中で産生される組換えタンパク質の一改変手順は、タンパク質をシアリダーゼで処理してNGNA型シアル酸を除去すること、次いで試薬UDP−Galおよびβ1,4Galトランスフェラーゼを使用して高度に均質なG2糖形態を生じる酵素的ガラクトシル化である。調製物をその後、場合によっては、高度に均質なG2S2糖形態を生じるために試薬CMP−NANAおよびα−2,3シアリルトランスフェラーゼで処理し得る。
シアル酸バリアントの構造の特徴付け
シアル酸バリアントを含有するオリゴ糖の構造の特徴付けのため、抗体調製物を包含する糖タンパク質調製物をペプチド−N−グリコシダーゼFで処理してN結合したオリゴ糖を遊離させた。酵素ペプチド−N−グリコシダーゼF(PNGアーゼF)はアスパラギンに結合したオリゴ糖を切断する。遊離されたオリゴ糖を、記述されるとおり(Anumula,K.R.とDhume ST Glycobiology.1998 Jul;8(7):685−94を参照されたい)アントラニル酸(2−アミノ安息香酸)で蛍光標識し、精製しかつHPLCにより分析した。図3に示されるとおり、クロマトグラム中でG0、G1、G2、G2S1およびG2S2として分離されるオリゴ糖を検出かつ定量し得る。グリカンを天然に欠く、またはグリカンが化学的若しくは酵素的に奪われたアグリコシル化種をGnoと称する。
シアル酸バリアントの生物学的特徴付け
Fc含有タンパク質を、数種の公知のin vitroアッセイにより機能性について比較し得る。とりわけ、Fcγ受容体のFcγRI、FcγRIIおよびFcγRIIIファミリーのメンバーに対するアフィニティーは興味深い。これらの測定は、組換えの可溶性の形態の受容体若しくは細胞と会合した形態の受容体を使用して行い得る。加えて、FcRn(IgGの延長された循環半減期の原因である受容体)に対するアフィニティーは、例えば組換えの可溶性FcRnを使用するBIAcoreにより測定し得る。ADCCアッセイおよびCDCアッセイのような細胞に基づく機能アッセイは、特定のバリアントの構造のありそうな機能の結果への洞察を提供する。一態様において、ADCCアッセイは、一次エフェクター細胞として作用するNK細胞を有するよう構成され、それによりFcγRIIIA受容体に対する機能の影響を反映する。食作用アッセイもまた、スーパーオキシド若しくは炎症メディエーター遊離のような細胞応答を測定するアッセイがし得るように、多様なバリアントの免疫エフェクター機能を比較するのに使用しうる。
アフィニティーおよびアビディティーアッセイ
天然に多価である抗体を、標的タンパク質への結合の多様なパラメータを決定するために試験し得る。見かけのKdを決定するための慣習的一形式はELISA(酵素結合免疫吸着検定法)若しくはRIA(ラジオイムノアッセイ)である。「ELISA」は、間接検出法を使用して固体支持体上で実施される結合アッセイを意味するために一般に使用されるようになった。一般に、ELISAでは、可溶性被検体を、固相反応体に特異的に結合した後に溶液から除去する。該方法で、固相反応体は、抗原若しくは抗体をプラスチック製マイクロタイタープレートに吸着させることにより調製し;他の方法では、固相反応体は細胞に会合した分子である。全部のプロトコルで、固相試薬を、酵素に共有結合させた二次若しくは三次反応体とインキュベートする。未結合の複合物を洗浄することにより除去し、そして色素生産若しくは蛍光発生基質を添加する。結合された酵素複合物により基質が加水分解される際に、着色した若しくは蛍光の生成物が生成される。最後に生成物を視覚的に若しくはマイクロタイタープレートリーダーで検出する。生成されるシグナルの強度は試験混合物中の当初の被検体の量に比例する。
固相アッセイの一変形において、抗原は、例えば、抗原上の無関係なドメインを認識する固定した捕捉抗体を使用して、または標的タンパク質に工作された「標識」例えばポリヒスチジン配列を結合する抗体若しくは他のリガンドを使用することにより、間接的に固定若しくは捕捉しうる。
表面抗原に対する抗体の結合の代替の一測定方法は、細胞表面上で抗原を(天然に若しくは遺伝子工作により)発現する全細胞を使用することによる。細胞を、一次抗体を含有する試験溶液とインキュベートする。未結合の抗体を洗い流し、そして細胞をその後、該一次抗体に特異的な抗体に複合させた酵素とインキュベートする。未結合の酵素複合物を洗い流し、そして基質溶液を添加する。結合した一次抗体のレベルは基質加水分解の量に比例する。これは、単位容量あたりの細胞の数が一定に保持される場合に定量的であることができる。あるいは、検出は、放射標識リガンドを使用して、上述されたところの直接結合若しくは競合により行う。ELISAアッセイのプロトコルは例えばAusebel,FMら Current Protocols in Molecular Biology.2003 John Wiley & Sons,Incに見出される。
結合速度、会合速度および解離速度は、プラズモン表面共鳴により検出される固相結合体若しくはリガンドならびに移動溶液相結合体若しくはリガンドを使用するBIAcore技術を使用してもまた測定し得る。
エフェクター機能の評価方法
治療的Fc含有タンパク質の消失および従って薬物動態における抗体グリコシル化の役割は最低限と思われ;循環からのIgG除去の原因であると考えられる新生児Fc受容体(FcRn)への結合は、抗体のFc部分のN結合したオリゴ糖の欠如により破壊されないようである。
細胞のエフェクター機能とIgG抗体媒介性免疫応答を結びつけるIgG Fc受容体(FcR)は、Fcγ受容体、すなわちFcRI(CD64)、FcRII(CD32)(FcRIIAおよびFCRIIB双方)ならびにFcRIII(CD16)を包含する。全3種は単球上に表示されて見出される。しかしながら、多様な標的細胞上のこれらの受容体の生成は差別的にかつ他の因子に応答して起こるようである。従って、Fcγ受容体に対するグリコシル化修飾されたFc含有生物学的治療薬のアフィニティーの測定は、高められたエフェクター機能を予測するための1つの適切な測定である。
それらのFcグリカン中の低レベルのフコースを伴うヒトIgG1 Abは、ヒトCD16 FcRに対するより大きいアフィニティー、そして、ヒトPBMCエフェクター細胞を使用するADCCアッセイで劇的に高められたin vitro活性を有することが報告された(Shinkawaら J Biol Chem 278(5):3466−3473、2003;Shieldsら J Biol Chem 277(30):26733−26740、2002;Umanaら、Nat Biotech 17:176−180、1999)。
in vitro ADCCアッセイを使用するエフェクター機能の評価方法は定量的様式で実施し得る。従って、標的およびエフェクター細胞株の正しい選択、ならびに駆動することを継続することの細胞の不能若しくは内的含有物の放出、例えば51Cr放出のいずれかにより細胞の「死滅」を評価することにより、その同族のリガンドを表示する細胞の破壊を引き起こす結合した抗体の能力を測定するように、in vitroアッセイを設計し得る。標的細胞は、本発明の抗体、抗体フラグメント若しくは融合タンパク質の標的リガンドを通常発現する細胞株でありうるか、または標的タンパク質をその表面上で発現しかつ保持するよう工作しうる。こうした工作された細胞株の一例がK2細胞、すなわち成熟サイトカインのアミノ酸1−12の欠失の導入により膜貫通形態として留まる組換えヒトTNFをその表面上で安定に発現するSp2/0マウス骨髄腫細胞株である(Perezら、Cell 63:251−258、1990)。この細胞株は、抗TNF抗体、抗体フラグメント、またはFcドメイン若しくはFcドメイン活性を有する工作された抗TNFαを標的とする融合タンパク質のADCC活性の変化を評価するのに有用である。
in vitro ADCC活性アッセイのためのエフェクター細胞は、ヒト若しくは他の哺乳動物供給源のPBMC(末梢血単球細胞)でありうる。PBMCエフェクター細胞は、承認された方法によりドナーから血液を収集した後から新鮮な状態で単離し得る。使用しうる他の単球若しくはマクロファージ細胞は、腹腔滲出液のような滲出液由来のものである。
細胞の免疫機能を測定するためのin vivoモデルもまた利用可能である。例えば、抗CD3抗体を使用してマウスでのT細胞活性化を測定し得る。抗体Fcドメインが特定のFcγ受容体を結合する様式にT細胞活性化が依存するためである。in vitroで、CCケモカイン受容体4に対するキメラヒトIgG1 Abの高フコースおよび低フコースバージョンの抗腫瘍活性を比較し、それらのin vitro ADCC活性の差違は観察されなかった(マウスエフェクター細胞を使用して)が、しかしながら、低フコースAbはin vivoでより強力な有効性を示した。ヒトエフェクター細胞は提供されず、また、マウスは内因性NK細胞を保持する(Niwaら Cancer Res 64:2127−2133、2004)。ヒトNK細胞上のCD16受容体はIgG1 Abのフコースレベルに対する高められた感受性を示したため、これらのデータは、ヒトエフェクター細胞で研究されたものと異なる機構がマウスで作動していることを示唆する。1つの可能性はより最近発見されたマウスCD16−2受容体である(Mechetinaら Immunogen 54:463−468、2002)。マウスCD16−2の細胞外ドメインは、より良好に知られているマウスCD16受容体が有するよりもヒトCD16Aに対する有意により高い配列同一性(65%)を有し、それが結合するIgGのフコースレベルに対しそれがマウスCD16よりも感受性でありうることを示唆する。マウスマクロファージ様J774細胞中でのその報告された発現は、CD16−2を発現するマウスマクロファージがNiwaら(2004)により記述された低フコースAbによるより大きな抗腫瘍活性の原因でありうるという可能性と矛盾しない。従って、マウスエフェクター細胞へのヒトIgG1型Fc含有タンパク質によるFc受容体結合の研究は予測的でない。
タンパク質製造方法
Fc含有タンパク質の製造に関与する多様な方法が、シアル酸を包含するFcオリゴ糖構造に影響し得る。一態様において、上昇された熱処理(例えば56℃30分間)に以前にかけられなかった血清、例えばウシ胎児血清(FBS)の存在下で、Fc含有タンパク質を分泌する宿主細胞を培養する。これは、それらの細胞から分泌されるFc含有タンパク質からシアル酸を除去し得る活性のシアリダーゼ酵素の血清中での天然の存在により、シアル酸を含有しないか若しくは非常に少量のシアル酸を含有するFc含有タンパク質をもたらし得る。別の態様において、それが望ましいかもしれない場合に応用(例えば治療的適応症)のためより高レベルのシアル酸をFc含有タンパク質が有するような、上昇された熱処理にかけられてそれによりシアリダーゼ酵素を不活性化させた血清の存在下、または血清若しくはシアリダーゼ酵素を含有しうる他の培地成分の非存在下のいずれかで、Fc含有タンパク質を分泌する細胞を培養する。
別の態様において、至適のシアル酸含量に好都合であることができる、Fc含有タンパク質を精製かつさらに加工するのに使用する条件が確立されている。例えば、シアル酸は酸不安定性であるため、低pH環境への長時間の曝露(例えばプロテインAクロマトグラフィーカラムからの溶出後、若しくはウイルス不活性化過程の間)は、同時にシアル酸含量の低下につながり得る。
宿主細胞の細胞工作
本明細書に記述されるとおり、組換えFc含有タンパク質若しくはモノクローナル抗体の発現に選ばれる宿主細胞は、免疫グロブリンCH2ドメイン中のタンパク質を装飾するオリゴ糖部分の組成の変動を制限なしに包含する最終組成への重要な寄与因子である。従って、本発明の一局面は、所望の治療的タンパク質を発現する産生細胞の使用および/若しくは開発のための適切な宿主細胞の選択を伴う。
一態様において、宿主細胞は、シアリルトランスフェラーゼが天然に欠損しているすなわちそれを欠く細胞である。別の態様において、宿主細胞はシアリルトランスフェラーゼを欠くように遺伝子的に改変若しくは処理されている。さらなる一態様において、宿主細胞は、低下された若しくは検出不可能なレベルのシアリルトランスフェラーゼを発現するよう選択された誘導体宿主細胞である。なお別の態様において、宿主細胞は、CMP−シアル酸合成酵素(シアル酸を抗体に転移するためにシアリルトランスフェラーゼにより使用されるシアル酸の供給源であるCMP−シアル酸の形成を触媒する酵素)を天然に欠くか、またはそれを欠くように遺伝子的に改変若しくは処理されている。関連する一態様において、宿主細胞は、ピルビン酸合成酵素(ピルビン酸からシアル酸を形成する酵素)を天然に欠くことができるか、またはそれを欠くように遺伝子的に改変若しくは処理されている。
付加的な一態様において、宿主細胞は、前記細胞で発現される抗体がガラクトースを欠くような、ガラクトシルトランスフェラーゼを天然に欠くことができるか、またはそれを欠くように遺伝子的に改変若しくは処理されている。ガラクトースなしでは、シアル酸は結合されることができない。別個の一態様において、宿主細胞は、産生の間に抗体からシアル酸を除去するシアリダーゼ酵素を天然に過剰発現しうるか、若しくは過剰発現するように遺伝子的に改変されうる。こうしたシアリダーゼ酵素は、抗体が分泌される前に細胞内で抗体に作用しうるか、若しくは培地に分泌されかつ培地に既に分泌された抗体に作用しうる。変えられたグリコシラーゼをもちかつ変えられた炭水化物組成をもつ糖タンパク質を発現する細胞株の選択方法は記述されている(RipkaとStanley、1986.Somatic Cell Mol Gen 12:51−62;第US2004/0132140号明細書)。高められたADCCをもたらす変えられたグリコシル化パターンをもつ抗体を産生させるための宿主細胞の工作方法は、米国特許第6,602,864号明細書に教示されており、ここで、宿主細胞は最低1種の糖タンパク質を修飾するグリコシルトランスフェラーゼ、とりわけβ(1,4)−N−アセチルグルコサムニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)をコードする核酸を持つ。
宿主細胞のグリコシルトランスフェラーゼの操作により宿主細胞のグリコシル化特性を遺伝子的に工作することへの他のアプローチは、第EP1,176,195号明細書に教示されるところの活性(具体的にはα1,6フコシルトランスフェラーゼ(FUT8遺伝子産物))を除外若しくは抑制することを伴う。上で引用された特定の例以外で宿主細胞の工作方法を実施することが当業者に明らかであるとみられる。さらに、工作される宿主細胞は哺乳動物起源のものでありうるか、あるいは、骨髄腫、リンパ腫、酵母、昆虫若しくは植物細胞、またはそれらのいずれかの誘導体、不死化若しくは形質転換細胞から選択しうる。
別の態様において、シアル酸結合に必要とされる酵素の活性の抑制若しくは除外方法は、siRNA、遺伝子ノックアウトによるような遺伝子サイレンシング、または結合しかつその酵素活性を阻害する酵素に特異的な細胞内Ab若しくはペプチドの共発現によるような酵素阻害剤の付加、および他の既知の遺伝子工学技術よりなる群から選択しうる。別の態様において、シアル酸結合を阻害する酵素、若しくは既に結合されているシアル酸を除去するシアリダーゼ酵素の発現若しくは活性を高める方法は、組換え酵素遺伝子でのトランスフェクション、酵素RNAの合成を高める転写因子のトランスフェクション、若しくは酵素RNAの安定性を高める遺伝子修飾(全部、精製される生成物中でより低レベルのシアル酸をもたらすシアリダーゼのような酵素の高められた活性につながる)よりなる群から選択しうる。別の態様において、特定の酵素阻害剤を細胞培地に添加しうる。
抗体
本出願に記述される抗体は、限定されるものでないがヒト、マウス、ウサギ、ラット、げっ歯類、霊長類を挙げることができるいずれかの哺乳動物若しくはそれらのいずれかの組み合わせを包含し得るか若しくはそれらに由来し得、そして、単離されたヒト、霊長類、げっ歯類、哺乳動物、キメラ、ヒト化および/若しくはCDR移植抗インテグリン抗体、免疫グロブリン、切断生成物、ならびにそれらの他の指定される部分およびバリアントを包含する。本発明は、当該技術分野で既知であるものと組合せられるところと一緒に本明細書に記述されるところの、抗体をコードする若しくは相補的核酸、ベクター、宿主細胞、組成物、製剤、装置、トランスジェニック動物、トランスジェニック植物、ならびにそれらの作成および使用方法にもまた関する。
本発明はさらに、抗原、サイトカイン、インテグリン、抗体、増殖因子、細胞系譜および分化のマーカーである表面抗原、ホルモン、受容体若しくはその融合タンパク質、血液タンパク質、凝固に関与するタンパク質、それらのいずれかのフラグメント、ならびに前述のいずれかのいずれかの構造若しくは機能アナログを結合するCH2ドメイン中のグリコシル化が可能な免疫グロブリン若しくはそのフラグメントを発現する細胞、細胞株および細胞培養物を提供する。好ましい一態様において、免疫グロブリン、そのフラグメント若しくは誘導体は標的細胞の表面上の抗原を結合する。とりわけ好ましい一態様において、標的細胞は腫瘍細胞、腫瘍脈管構造の細胞若しくは免疫細胞である。特定の一態様において、免疫グロブリン、そのフラグメント若しくは誘導体はTNF、インテグリン、B細胞抗原若しくは組織因子に結合する。
なお別の態様において、本発明の細胞、細胞株および細胞培養物は、増殖因子若しくはホルモンを含んでなる融合タンパク質を検出可能に発現しうる。本発明により企図される増殖因子の例は、限定されるものでないが、ヒト成長因子、血小板由来増殖因子、上皮細胞成長因子、線維芽細胞増殖因子、神経成長因子、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン、エリスロポエチン、トロンボポエチン、骨形成タンパク質、トランスフォーミング増殖因子、インスリン様増殖因子、若しくはグルカゴン様ペプチド、およびそれらのいずれかの構造若しくは機能アナログを挙げることができる。
本発明の単離された抗体は、ADCC活性をもつ抗体アイソタイプ、とりわけヒトIgG1(例えばIgG1 κおよびIgG1 λ)を有するものを包含し、そして、IgG2およびIgG3がより少なく好ましいか、若しくはFcドメイン中の特定の残基に変えられた残基を含有するハイブリッドアイソタイプが他の種からのそれらの対照物である。抗体は完全長抗体(例えばIgG1)であり得るか、または、抗原結合部分、ならびにADCC、補体活性化およびC1q結合を包含するエフェクター機能を導き出すことが可能なFcの部分若しくはドメインのみを包含し得る。
さらに、本発明の細胞、細胞株および細胞培養物により産生される免疫グロブリンフラグメントは、限定されるものでないが、Fc若しくは他のCH2ドメイン含有構造およびそれらのいずれかの構造若しくは機能アナログを挙げることができる。一態様において、免疫グロブリンフラグメントは二量体の受容体ドメイン融合ポリペプチドである。特定の一態様において、二量体受容体ドメイン融合ポリペプチドはエタネルセプトである。エタネルセプトは、皮下に投与されかつ患者の血清中のTNFαに結合してそれを生物学的に不活性にする、組換えの可溶性TNFα受容体分子である。エタネルセプトは、ヒトIgG1のFc部分に連結されたヒト75キロダルトン(p75)腫瘍壊死因子受容体(TNFR)の細胞外リガンド結合部分よりなる二量体融合タンパク質である。エタネルセプトのFc成分はCH2ドメイン、CH3ドメインおよびヒンジ領域を含有するが、しかしIgG1のCH1ドメインを含有しない。
本発明の細胞株を使用する製造に従いやすい他の生成物は、他の型の動物細胞株により現在製造されかつグリコシル化されることが可能なCH2を有する治療的若しくは予防的タンパク質を包含する。細胞表面上の標的抗原に結合する治療的なグリコシル化されたCH2ドメイン含有タンパク質がとりわけ好ましく、その細胞型は能力を奪うか若しくは身体から排除することが望ましい。多数のこうした治療的抗体が、ヒトIgG1、とりわけヒトCH1、CH2およびCH3ドメインを含んでなるIgG1、H鎖を含有するよう工作されている。こうした治療的タンパク質は、限定されるものでないが下で本明細書に記述されるものを挙げることができる。
現在REMICADE(R)として販売されるインフリキシマブ。インフリキシマブは、149,000ダルトンのおよその分子量をもつキメラIgG1κモノクローナル抗体である。それはヒト定常およびマウス可変領域から構成される。インフリキシマブは1010M−1の会合定数でヒト腫瘍壊死因子α(TNF(α))に特異的に結合する。インフリキシマブは、可溶性および膜貫通の形態のTNF(α)に高アフィニティーで結合することによりTNF(α)の生物学的活性を中和し、そしてTNF(α)のその受容体との結合を阻害する。インフリキシマブにより結合された膜貫通TNF(α)を発現する細胞は、in vitro若しくはin vivoで溶解され得る。インフリキシマブは、関節リウマチ、クローン病および強直性脊椎炎の処置に指示される。インフリキシマブは、静脈内注入として与えられる3ないし5mg/kgの用量、次いで処置されるべき疾患に依存してその後同様な2、6および/若しくは8週の用量、ならびに8週ごとの間隔で付加的に与えられる。
ダクリズマブ(ZENAPAX(R)として販売される)は、活性化されたリンパ球の表面上で発現されるヒト高アフィニティーインターロイキン−2(IL−2)受容体のαサブユニット(p55 α、CD25若しくはTacサブユニット)に特異的に結合する、組換えDNA技術により製造された免疫抑制性ヒト化IgG1モノクローナル抗体である。ダクリズマブは、相補性決定領域(CDR)移植されたマウス−ヒトキメラ抗体である。ヒト配列は、ヒトIgG1の定常ドメインおよびEu骨髄腫抗体の可変枠組み領域由来であった。マウス配列はマウス抗Tac抗体のCDR由来であった。ダクリズマブは、腎移植を受領する患者での急性臓器拒絶の予防に指示され、また、一般に、シクロスポリンおよびコルチコステロイドを包含する免疫抑制レジメンの一部として使用される。
バシリキシマブ(SIMULECT(R)として販売される)は、活性化されたTリンパ球の表面上のインターロイキン−2受容体(α)−鎖(IL−2R(α)、CD25抗原としてもまた知られる)に特異的に結合しかつ阻害する免疫抑制剤として機能する、組換えDNA技術により製造されるキメラ(マウス/ヒト)モノクローナル抗体である。アミノ酸配列に基づき、該タンパク質の計算される分子量は144キロダルトンである。それは、ヒトHおよびL鎖定常領域遺伝子(IgG1)、ならびにIL−2R(α)に選択的に結合するRFT5抗体をコードするマウスHおよびL鎖可変領域遺伝子を含有するプラスミドを発現するよう遺伝子的に工作された、樹立マウス骨髄腫細胞株の醗酵から得られる糖タンパク質である。バシリキシマブは、シクロスポリンおよびコルチコステロイドを包含する免疫抑制レジメンの一部として使用される場合に、腎移植を受領する患者での急性臓器拒絶の予防に指示される。
アダリムマブ(HUMIRA(R)として販売される)は、ヒト腫瘍壊死因子(TNF)に特異的な組換えヒトIgG1モノクローナル抗体である。アダリムマブは、ヒト由来HおよびL鎖可変領域ならびにヒトIgG1 κ定常領域をもつ抗体をもたらすファージディスプレイ技術を使用して創製された。HUMIRA(R)は、1種若しくはそれ以上のDMARDに対する不十分な応答を有した、中程度ないし重度に活動性の関節リウマチを伴う成人患者での構造の損傷の徴候および症状を低下させかつその進行を阻害するために指示される。HUMIRA(R)は単独でまたはMTX若しくは他のDMARDと組合せで使用し得る。
リツキシマブ(RITUXAN(R)として販売される)は、正常および悪性Bリンパ球の表面上で見出されるCD20抗原に向けられた、遺伝子的に工作されたキメラマウス/ヒトモノクローナル抗体である。該抗体は、マウスLおよびH鎖可変領域配列ならびにヒト定常領域配列を含有するIgG1 κ免疫グロブリンである。リツキシマブは、およそ8.0nMのCD20抗原に対する結合アフィニティーを有する。リツキシマブは再発性若しくは難治性の低グレード若しくは濾胞性CD20陽性B細胞非ホジキンリンパ腫を伴う患者の処置に指示される。RITUXAN(R)は4若しくは8用量にわたり週1回375mg/m2 IV注入で与えられる。
トラスツズマブ(HERCEPTIN(R)として販売される)は、ヒト上皮細胞成長因子受容体2タンパク質HER2の細胞外ドメインに、細胞に基づくアッセイで高アフィニティー(Kd=5nM)で選択的に結合する、組換えDNA由来ヒト化モノクローナル抗体である。該抗体は、HER2に結合するマウス抗体(4D5)の相補性決定領域とともにヒト枠組み領域を含有するIgG1 κである。HERCEPTINは、その腫瘍がHER2タンパク質を過剰発現しかつ彼らの転移性疾患に対し1種若しくはそれ以上の化学療法レジメンを受領した転移性乳癌を伴う患者の処置のための単剤療法として指示される。パクリタキセルと組合せのHERCEPTIN(R)は、その腫瘍がHER2タンパク質を過剰発現しかつ彼らの転移性疾患に対し化学療法を受領したことがない転移性乳癌を伴う患者の処置に指示される。推奨される投薬量は、90分注入として投与される4mg/kgトラスツズマブの初期負荷用量、および初期負荷用量が十分に耐えられた場合に30分注入として投与し得る2mg/kgトラスツズマブの週1回維持用量である。
アレムツズマブ(CAMPATH(R)として販売される)は、21〜28kDの細胞表面糖タンパク質CD52に向けられる組換えDNA由来ヒト化モノクローナル抗体(Campath−1H)である。アレムツズマブは、本質的に、全部のBおよびTリンパ球、単球、マクロファージおよびNK細胞の大多数、顆粒球の一亜集団、ならびに男性生殖器官の組織の表面上に存在する非調節抗原CD52に結合する。Campath−1H抗体は、ヒト可変枠組みおよび定常領域、ならびにマウス(ラット)モノクローナル抗体(Campath−1G)からの相補性決定領域をもつIgG1 κである。Campathは、アルキル化剤で処置されかつフルダラビン療法に失敗した患者でのB細胞慢性リンパ性白血病(B−CLL)の処置に指示される。Campathの有効性の決定は全体奏功率に基づく。Campathは、当初1日に2時間のIV注入として投与される3mgで与えられ;一旦耐えられれば、1日用量を10mgに増加させかつ耐えられるまで継続すべきである。この用量レベルが一旦耐えられれば、Campath 30mgの維持用量を開始することができ、そして12週まで週あたり3回投与しうる。大部分の患者で、30mgへの増加は3〜7日で達成し得る。
オマリズマブ(XOLAIR(R)として販売される)は、ヒト免疫グロブリンE(IgE)に選択的に結合する組換えヒト化IgG1(κ)モノクローナル抗体である。オマリズマブは、肥満細胞および好塩基球の表面上の高アフィニティーIgE受容体(Fc(ε)RI)へのIgEの結合を阻害する。Fc(ε)RIを持つ細胞上の表面結合型IgEの減少は、アレルギー応答のメディエーターの放出の程度を制限する。オマリズマブでの処置はまた、アトピー患者での好塩基球上のFc(ε)RI受容体の数も減少させる。オマリズマブは、通年性空気アレルゲンに対する陽性の皮膚試験若しくはin vitro反応性を有しかつその症状が吸入コルチコステロイドで不十分に制御される、中等度ないし重度の持続性喘息を伴う成人および青年(12歳およびより上)に指示される。オマリズマブは150ないし375mgの用量で2若しくは4週ごとにSC投与する。
エファリズマブ(RAPTIVA(R))は、ヒトCD11aに結合する免疫抑制性組換えヒト化IgG1 κアイソタイプモノクローナル抗体である。エファリズマブは、全白血球上で発現される白血球機能抗原−1(LFA−1)の(α)サブユニットCD11aに結合し、そしてCD11aの細胞表面発現を減少させる。エファリズマブは、細胞内接着分子−1(ICAM−1)へのLFA−1の結合を阻害して、それにより他の細胞型への白血球の接着を阻害する。LFA−1とICAM−1の間の相互作用は、Tリンパ球の活性化、内皮細胞へのTリンパ球の接着、および乾癬性皮膚を包含する炎症の部位へのTリンパ球の移動を包含する複数の過程の開始および維持に寄与する。リンパ球の活性化および皮膚への輸送は慢性の尋常性乾癬の病態生理学である役割を演じている。乾癬性皮膚では、ICAM−1の細胞表面発現が内皮およびケラチノサイト上で上方制御されている。CD11aは、Bリンパ球、単球、好中球、ナチュラルキラー細胞および他の白血球の表面上でもまた発現されている。従って、エファリズマブがTリンパ球以外の細胞の活性化、接着、移動および数に影響を及ぼす可能性が存在する。RAPTIVA(R)の推奨用量は、単回の0.7mg/kg SC馴化用量、次いで1mg/kgの週1回のSC用量(合計200mgを超えない最大単回用量)である。
別の態様において、本発明の細胞株は、免疫グロブリンに由来しないがしかしFc含有タンパク質の定義内にあるポリペプチドを発現するように安定にトランスフェクト若しくは別の方法で工作されている。
本発明の抗体およびタンパク質をコードする核酸は、当該技術分野で公知のいくつかの方法で派生させ得る。一局面において、抗体は、マウスを本発明のペプチドで免疫することにより製造されるハイブリドーマから便宜的に得られる。抗体は従って、当該技術分野で公知のハイブリドーマ技術(例えば、Ausubelら編、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley & Sons,Inc.、ニューヨーク州ニューヨーク(1987−2001);Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(1989);HarlowとLane、antibodies,a Laboratory Manual、ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(1989);Colliganら編、Current Protocols in Immunology、John Wiley & Sons,Inc.、ニューヨーク(1994−2001);Colliganら、Current Protocols in Protein Science、John Wiley & Sons,ニューヨーク州ニューヨーク(1997−2001)(それぞれそっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)を参照されたい)のいずれを使用しても得ることができる。
抗体の標的結合部分、典型的には抗体の可変Hおよび/若しくは可変Lドメインの別の便宜的派生方法において、例えばファージライブラリーで創製されるこうした結合ドメインのライブラリーからこれらの部分を選択する。ファージライブラリーは、無作為オリゴヌクレオチドのライブラリー、または免疫した動物若しくはヒトのB細胞からのような目的の配列を含有するポリヌクレオチドのライブラリー(Smith,G.P.1985.Science 228:1315−1317)を挿入することにより創製し得る。抗体ファージライブラリーは、1ファージ中にHおよびL鎖可変領域対を含有し、一本鎖Fvフラグメント若しくはFabフラグメントの発現を可能にする(Hoogenboomら 2000、Immunol.Today 21(8)371−8)。ファージミドライブラリーの多様性を操作して、付加的な所望のヒトモノクローナル抗体を製造しかつその後同定するようにライブラリーのモノクローナル抗体の免疫特異性を増大するかつ/若しくは変えることができる。例えば、H鎖およびL鎖免疫グロブリン分子をコードする遺伝子を、集成された免疫グロブリン分子中で新たなHL対を創製するように無作為に混合(シャッフル)し得る。加えて、HおよびL鎖をコードする遺伝子のいずれか若しくは双方を、免疫グロブリンポリペプチドの可変領域の相補性決定領域(CDR)中で突然変異誘発し得、そしてその後、所望のアフィニティーおよび中和能力についてスクリーニングし得る。抗体ライブラリーは、1種若しくはそれ以上のヒト枠組み配列を選択すること、およびヒト抗体レパートリー由来のCDRカセットの集合物を導入することにより、または設計された変動によってもまた合成で創製し得る(Kretzschmarとvon Ruden 2000、Current Opinion in Biotechnology、13:598−602)。多様性の位置はCDRに制限されないが、しかし、可変領域の枠組みセグメントもまた包含し得るか、若しくはペプチドのような抗体可変領域以外を包含しうる。
抗体可変領域以外を包含しうる標的結合成分の他のライブラリーは、リボソームディスプレイ、酵母ディスプレイおよび細菌ディスプレイである。リボソームディスプレイは、タンパク質をRNAに結合されたまま保ちつつmRNAのそれらの同族のタンパク質への翻訳方法である。核酸のコーディング配列はRT−PCRにより回収される(Mattheakis,L.C.ら 1994.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91、9022)。酵母ディスプレイは、膜結合α−アグルチニン酵母接着受容体aga1およびaga2(接合型系の一部)の融合タンパク質の構築に基づく(Broderら 1997.Nature Biotechnology、15:553−7)。細菌ディスプレイは、細胞膜若しくは細胞壁と会合する輸送された細菌タンパク質への標的の融合に基づく(ChenとGeorgiou 2002.Biotechnol Bioeng、79:496−503)。
ハイブリドーマ技術に比較して、ファージおよび他の抗体ディスプレイ法は、in vitroで、かつ、抗原に対する宿主の影響の可能性の制限なしに、若しくはその逆で、抗原標的に対する選択を操作する機会を提供する。
宿主細胞
本明細書に記述される宿主細胞は、前記抗体のオリゴ糖含有物中の規定されたシアル酸含量をもつ特定の抗体を産生することが可能な宿主細胞を含んでなる。
連続的ゲノムDNA配列から転写される大部分の遺伝子と異なり、抗体遺伝子は、生殖系列に広範に分離されうる遺伝子セグメントから集成される。とりわけ、H鎖遺伝子は、抗体の可変(V)、多様性(D)および結合部(J)/定常(C)領域をコードする3個のゲノムセグメントの組換えにより形成される。機能的L鎖遺伝子は2個の遺伝子セグメント(一方はV領域をコードしかつ他方はJ/C領域をコードする)を結合することにより形成される。H鎖およびκ L鎖双方の遺伝子座は、1000kbに十分にわたると推定される多くのV遺伝子セグメント(推定値は数百と数千の間で変動する)を含有する。λ遺伝子座は対照的にはるかにより小さく、そしてマウスで第16染色体上のおよそ300kbにわたることが示されている。それは2個の可変遺伝子セグメントおよび4個の結合部/定常(J/C)領域遺伝子セグメントよりなる。機能的遺伝子の形成はVとJ/C要素の間の組換えを必要とする。
抗体が天然に産生されるB細胞中で、再配列されたHおよびκ L鎖双方の遺伝子の転写の制御は、V領域の上流の組織特異的プロモーターおよびJ−Cイントロン中に位置する組織特異的エンハンサー双方の活性に依存する。これらの要素は相乗的に作用する。また、第二のB細胞特異的エンハンサーがκ L鎖遺伝子座中で同定されている。このさらなるエンハンサーはCkappaの9kb下流に位置する。従って、抗体発現遺伝子のハイブリドーマの不死化方法は、親B細胞系譜の内因性プロモーターおよびエンハンサー配列に頼る。あるいは、本発明の核酸は、本発明の抗体をコードする内因性DNAを含有する宿主細胞中で(操作により)スイッチを入れることにより宿主細胞中で発現させ得る。こうした方法は、例えば米国特許第5,580,734号、同第5,641,670号、同第5,733,746号および同第5,733,761号明細書(そっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)に記述されるとおり、当該技術分野で公知である。
抗体のゲノムDNAの人工的ベクターへのクローニングは、抗体を発現することが可能な宿主細胞の別の創製方法である。しかしながら、強力なプロモーターの後のモノクローナル抗体の発現は、高産生細胞株を同定しかつモノクローナル抗体のより高収量を得る機会を増大させる。本発明の抗体は、例えば、当該技術分野で公知であるところの(例えば、Morrison,S.(1985)Science 229:1202)組換えDNA技術および遺伝子トランスフェクション法の組合せを使用して、宿主細胞トランスフェクトーマ(transfectoma)中で産生させ得る。
多様な異なる宿主細胞中でのポリペプチドのクローニングおよび発現のための系が公知である。適する宿主細胞は、細菌、哺乳動物細胞、植物細胞、酵母およびバキュロウイルス系、ならびにトランスジェニック植物および動物を包含する。異種ポリペプチドの無傷のグリコシル化タンパク質の発現のため当該技術分野で利用可能な哺乳動物細胞株は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、NSOマウス黒色腫細胞ならびに派生細胞株、例えばSP2/0、YB2/0(ATC CRL−1662)ラット骨髄腫細胞、ヒト胎児腎臓由来細胞(HEK)、ヒト胚性網膜細胞PerC.6細胞、hep G2細胞、BSC−1(例えばATCC CRL−26)、および、例えばAmerican Type Culture Collection、バージニア州マナサス(www.atcc.org)から入手可能な多くの他者を包含する。一般的な好ましい一細菌宿主は大腸菌(E.coli)である。
CHO細胞、骨髄腫細胞、HEK293細胞、BHK細胞(BHK21、ATCC CRL−10)、マウスLtk−細胞およびNIH3T3細胞のような哺乳動物細胞は、異種遺伝子の安定発現に頻繁に使用されている。Cos(COS−1 ATCC CRL 1650;COS−7、ATCC CRL−1651)およびHEK293のような細胞株は組換えタンパク質の一過性発現に慣例に使用されている。
本発明の組換え抗体を発現するための好ましい哺乳動物宿主細胞は、それらの高発現率により、Sp2/0、YB2/0(ATC CRL−1662)、NSO、およびP3X63.Ag8.653(例えばSP2/0−Ag14)のような骨髄腫細胞を包含する。とりわけ、NSO骨髄腫細胞との使用のため、別の好ましい発現系は、第WO 87/04462号、同第WO 89/01036号および欧州特許第EP 338,841号明細書に開示されるGS遺伝子発現系である。抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターを哺乳動物宿主細胞に導入する場合、抗体は、宿主細胞中での該抗体の発現、若しくはより好ましくは宿主細胞が増殖される培地中への該抗体の分泌を見込むのに十分な時間、宿主細胞を培養することにより製造する。抗体は、標準的タンパク質精製法を使用して培地から回収し得る。
CHO−K1およびDHFR−CHO細胞DG44およびDUK−B11(G.Urlaub,L.A.Chasin、1980.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.77、4216−4220)は、例えば薬物メトトレキサート(MTX)を使用して、選択可能な増幅可能なマーカーDHFRの取り込みにより目的の遺伝子の増幅が可能にされる(R.J.Kaufman、1990.Methods Enzymol.185:537−566)ため、高レベルタンパク質製造に使用される。DHFRCHO細胞を、組換えmAbを高レベルで産生させるのに成功裏に使用し得る。DHFRCHOは、抗MCP−1抗体を80〜110mg 10細胞−1−1若しくは200mg 10細胞−1−1以上の速度で産生しうる。多様なプロモーター、例えばb−アクチンプロモーター、ヒトCMV MIEプロモーター、Adウイルス主後期プロモーター(MLP)、RSVプロモーター、およびマウス白血病ウイルスLTRが、これらのCHO細胞中でHおよびL鎖の発現を得るのに使用されている。2種のIg鎖が独立した選択可能/増幅可能マーカーとともに2種の異なるプラスミドにより運搬されている、mAb発現のための多数のベクターが文献に記述されている。DHFRマーカーに連結された1本の抗体鎖、例えばH鎖、およびNeoマーカーを伴うL鎖発現カセット、若しくはその逆を含有するベクターを、スピナーフラスコ中で180mgまでのヒト化mAb L−1 7日−1を得るのに使用し得る。最初の選択およびその後の増幅に使用される方法は変動し得、そして当業者に公知である。一般に、高レベルのmAb発現は、以下の段階、すなわち候補クローンの初期選択およびその後の増幅、(例えばH鎖およびL鎖双方の発現ベクターがDHFR発現ユニットを運搬する場合の)共選択および増幅、多様な増幅可能なマーカーを使用する共増幅、ならびに大量培養での初期選択および増幅、次いで個々の高発現クローンを同定するための希釈クローニングを使用して得ることができる。組込み部位はH鎖およびL鎖発現の効率ならびにmAb発現全体に影響しうるため、2個のIg鎖発現ユニットが縦列に配置されている単一のベクターが創製された。これらのベクターは、Neoのようなドミナントの選択可能なマーカーおよびDHFR発現カセットもまた運搬する。総説については、John Wiley & Sons,Inc.によるEncyclopedia of Bioprocess Technology:Fermentation,Biocatalysis,and Bioseparation.1999中、Ganguly,S.とA.Shatzman.Expression Systems,mammalian cellsを参照されたい。
Cockettら(1990.Bio/Technology 8、662−667)は、CHO細胞中での異種遺伝子の高レベル発現のためのGS系を開発した。cDNA(hCMVプロモーターの転写制御下)およびGSミニ遺伝子(SV40後期プロモーターの制御下)を含有する発現ベクターのCHO−K1細胞へのトランスフェクション(次いで20mMないし500mM MSXでの選択)を、DHFR−CHO系の収量に匹敵する収量で本発明の抗体を発現するクローンを生じるのに使用し得る。GS系は、欧州特許第0 216 846号、同第0 256 055号および同第0 323 997号明細書、ならびに欧州特許出願第89303964.4号明細書に関して全体として若しくは部分的に論考されている。
本発明を概説した一方、本発明の態様は以下の実施例にさらに開示されるであろう。
多様なレベルのシアル酸をもつ抗体種のレクチンに基づく分離
MAA(イヌエンジュ(Maackia amurensis)アグルチニン)若しくはWGA(コムギ胚芽アグルチニン)に複合させたアガロースビーズはVector Labs若しくはEY Labsいずれかから購入した。試験抗体Ab1はヒトTNFを結合する完全にヒトのモノクローナル抗体である。20mM CaClおよび20mM MgClを含有する20mMトリス−HCl緩衝液(pH7.0)中のAb1(約1〜10mg)を、MAA−アガロース若しくはWGA−アガロースカラムで分画した。MAA−アガロースカラムに結合したAb1を0.5%酢酸で溶離し、1Mトリス−HCl(pH7.0)で中和し、そしてその後PBSに緩衝液交換した。この物質をAb1 MAABと称した。
Ab1抗体サンプルをWGA−アガロースカラムに負荷した後、結合しない(T、through)画分を収集し、そしてPBSに緩衝液交換した。この物質をAb1 WGATと称した。結合したAb1を含有するカラムを上述されたと同一の緩衝液で洗浄し、そしていかなる溶離する抗体(弱結合(R、retarded)物質を表す)も、280nmでODを測定することによりモニターしつつ1ml画分で収集した。溶離された物質をPBSに緩衝液交換し、そしてAb1 WGA−Rと称した。最後に、洗浄後にカラムになお結合されている物質を200mM GlcNAc溶液で溶離し、そしてサンプルをPBSに緩衝液交換した。この物質をAb1 WGABと称した。HPLCおよび質量分析は、Ab1の下位ロットが、それらのシアル酸含量が実際に変動した(表1を参照されたい)(Ab1 MAABについて43%の高からAb1 WGATについて29%の低までの範囲にわたる)ことを示した。未改変Ab1−29の別のバッチを、固定したコムギ胚芽アグルチニン(WGA)レクチンに直接渡した。通過画分および弱結合画分は、それぞれ29%および41%のシアリル化グリカンを含有することが決定され、そしてAb1−WGA−29およびAb1−WGA−41と称した。
約5%のFcシアリル化を含有した別の抗TNF Ab、Ab2を、最初にガラクトシルトランスフェラーゼで処理して、WGAカラム分画前に完全にガラクトシル化された物質を調製して、大量のAb2−GT−WGA−5および少量のAb2−GT−WGA−67をもたらした。Ab2により認識される抗原はAb1についてのものと同一であり、また、抗イディオタイプ(抗Id)抗体に認識されるAb2を抗Id2と称する。
抗体のガラクトシル化およびシアリル化の酵素的改変
精製した抗体サンプルを、酵素的方法を介してガラクトシル化するため、Sigma Chemical Co.(ミズーリ州セントルイス)から得たウシβ−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ(β1,4GT)およびUDP−Galを酵素サンプルに添加する。組換えラット肝α−2,3−シアリルトランスフェラーゼ(α2,3ST)、組換えα−1,3−ガラクトシルトランスフェラーゼ(α1,3GT)およびCMP−SiaはCalbiochem(カリフォルニア州サンディエゴ)から得た。PNGアーゼFはNew England Biolabs(マサチューセッツ州ビバリー)若しくはProzyme(カリフォルニア州サンレアンドロ)若しくはSelectin BioSciences(カリフォルニア州プレザントヒル)から得た。肺炎双球菌(Diplococcus pneumoniae)からのβ−ガラクトシダーゼおよびβ−グルコサミニダーゼはProZyme若しくはSelectin BioSciencesいずれかから得た。ウシ腎からのβ−ガラクトシダーゼおよび全部の他の酵素はProZyme若しくはSelectin BioSciencesいずれかからであった。NAP−5およびHiTrapプロテインAカラムはPharmacia Biotech(ニュージャージー州ピスカタウェイ)からであった。全部の他の試薬は分析等級のものであった。
酵素で脱グリコシル化した形態(Gnoと称される)のAb1を、Fc免疫エフェクター機能を欠く対照抗体としてはたらくように製造した。このバリアントは、Ab1(1.0mLの緩衝液中約10mg)を100mM MES緩衝液(pH7.0)中に取ること、およびそれを1000UのPNGアーゼFで37℃で24時間処理することにより調製した。酵素の別のアリコートを添加し、そしてインキュベーションを追加の24時間継続した。脱グリコシル化Ab1をHiTrapプロテインAカラムを使用して精製しかつPBS、pH7.0中で処方した。Gno糖形態は、脱グリコシル化を確認するためにMALDI−TOF−MSにより特徴付けした。
実験室で操作したAb調製物に加えて、ここで「天然のバリアント」と称される、シアル酸含量が天然に異なるAbの下位ロットもまた比較した。未改変抗体は、元のロットからの物質をPBSに緩衝液交換した後にAb1 PBSと称した。1対のメンバーが明らかに異なる製造工程によりFcシアリル化の程度が異なった、ヒトIgG1モノクローナル抗体Ab、Ab1およびAb3を、それらを製造するのに使用した(しかし同一宿主細胞型により製造した)。Ab1バリアント、Ab1−20およびAb1−29はそれぞれ20%および29%のシアリル化グリカンを含有し、また、Ab5バリアント、Ab5−20およびAb5−26はそれぞれ0%および26%のシアリル化グリカンを含有した。それ以外は、各対のメンバーは、同一アミノ酸配列、同一レベルのFcフコシル化および分岐GlcNAc含量(MALDI−TOF質量分析)、ならびに同一の低レベルのAb凝集物(SEC−HPLC分析により<1%)を有した。
多様なバイオアッセイで使用したAbおよびFc含有タンパク質調製物、ならびにそれらが派生された様式の要約を表1に要約する。
試験サンプルは全部ヒトIgGヒンジ、CH2およびCH3ドメインを含有する。Ab1、Ab2、Ab3およびAb5はヒトIgG1およびκ定常領域を伴うモノクローナルIgG Abである。Ab1はヒトTNFに特異的な完全にヒトのAbであり、また、Ab2はヒトTNFに特異的なマウス/ヒトキメラAbである。Ab3はヘテロ二量体の炎症前サイトカインのサブユニットの1つに特異的な完全にヒトのAbである。全4種のAbはトランスフェクトしたSp2/0マウス骨髄腫細胞中で発現された。Ab5はヘテロ二量体の細胞表面受容体の1サブユニットに向けられた完全にヒトの抗体である。FcP1はヒトIgG1ヒンジ、CH2およびCH3ドメインを含んでなる二量体融合タンパク質である。
G2糖形態は、100mM MES緩衝液(pH7.0)中のIgGサンプル(1.0mL緩衝液中約10mg)を50ミリ単位のβ1,4GT、5μmolのUDP−Galおよび5μmolのMnCl2に37℃で24時間さらすことにより調製した。酵素の別のアリコートおよびUDP−Galを添加し、そして混合物を37℃で追加の24時間インキュベートした。再ガラクトシル化IgGサンプルを、HiTrapプロテインAカラムを使用して精製した。オリゴ糖をPNGアーゼFにより遊離させ、そして下述されるとおりMALDI−TOF−MSおよびHPLCにより特徴付けした。
G2S2糖形態は、製造元の示唆されるプロトコルに従ってNAP−5カラムを使用して100mM MES緩衝液(pH7.0)中(1.0mL緩衝液中約10mg)にIgGサンプルをもたらすことにより作成した。この溶液に、それぞれ50ミリ単位のβ1,4GTおよびα2,3ST、ならびにそれぞれ5μmolのUDP−Gal、CMP−Sia(NANA異性体)およびMnClを添加した。混合物を37℃でインキュベートした。24時間後に、酵素の別のアリコートをヌクレオチド糖と一緒に添加し、そして混合物を37℃で追加の24時間インキュベートした。G2S2糖形態のIgGサンプルを上述されたとおり精製した。1種の特定のAb1 G2S2ロット、Ab1 G2S2(lo)について、元は結合されていたシアル酸が、おそらく汚染するシアリダーゼにより貯蔵の間にその後喪失された。分析は、Ab1 G2S2(lo)中のFcオリゴ糖の30%のみがシアル酸を含有した一方、Ab1 G2S2(hi)中のオリゴ糖の約95%がシアル酸を含有したことを示した。
Ab調製物のグリカン構造を多様な方法により分析した。無傷のIgG AbのMALDI−TOF−MSを実施するため、IgGサンプルを10mMトリス−HCl緩衝液、pH7.0中にもたらし、そして約1mg/mL緩衝液まで濃度を調節した。約2μlのIgG溶液を2μlのマトリックス溶液(マトリックス溶液は、0.1%トリフルオロ酢酸を含有する水中50%アセトニトリル1.0mlに10mgのシナピン酸を溶解することにより調製した)と混合し、そしてこの溶液2mlを標的に負荷しかつ風乾させた。MALDI−TOF−MSはApplied BioSystems(カリフォルニア州フォスターシティ)からのVoyager DE装置を使用して取得した。
遊離されたFcグリカンのMALDI−TOF−MS分析を実施するため、in vitroグリコシル化反応前および後のIgGサンプル(約50μg)を、10mMトリス−HCl緩衝液(50μl)pH7.0中でPNGアーゼFで37℃で4時間消化した。反応混合物を50%酢酸(約5μl)で酸性化することにより消化を停止し、そしてその後、以前に記述された(Papacら、1996;Papacら、1998;Rajuら、2000)とおり陽イオン交換樹脂カラムを通過させた。酸性および中性のオリゴ糖の混合物を含有するこれらのサンプルを、Applied BioSystems(カリフォルニア州フォスターシティ)からのVoyager DE装置を使用して、別の場所(Papacら、1996;Papacら、1998;Rajuら、2000)に記述されたとおり、陽および陰イオンモードのMALDI−TOF−MSにより分析した。
FcグリカンのHPLC分析は、10mMトリス−HCl緩衝液(約50μl)pH7.0中でIgGサンプル(約50μg)をPNGアーゼFで37℃で4〜8時間消化することにより行った。遊離されたオリゴ糖のアントラニル酸(2−アミノ安息香酸)での誘導体化は記述された(Anumula KR、Anal Biochem.2000 Jul 15;283(1):17−26を参照されたい)とおり実施した。簡潔には、メタノール中4%酢酸ナトリウム・3HO(w/v)および2%ホウ酸(w/v)の溶液を最初に調製した。誘導体化試薬をその後、約30mgのアントラニル酸(Aldrich)および約20mgのシアノホウ水素化ナトリウム(Aldrich)を1.0mlのメタノール−酢酸ナトリウム−ホウ酸溶液に溶解することにより、新たに調製した。IgG由来オリゴ糖(20〜50μlの水中3nmol未満)を、「O」リング付き1.6mlポリプロピレン製ねじ蓋凍結バイアル中で0.1mlのアントラニル酸(AA)試薬溶液と混合し、かつ、きつく蓋をした。バイアルをオーブン若しくは加熱ブロック(Reacti−Therm、Pierce)中80℃で1〜2時間加熱した。バイアルを室温に冷却した後に、容量を約0.5mlにもたらすためサンプルを水で希釈した。誘導体化オリゴ糖は、NAP−5カラムを使用することにより精製した。
低アフィニティー細胞Fc受容体への結合
エフェクター細胞上のFc受容体のいくつかの型のうち、Fcgamma型IIおよびIIIは低若しくは中程度のアフィニティーの受容体とみなされる。一般に、単量体結合は検出されるには低すぎるアフィニティーのものでありうるか、若しくは非常に低レベルで検出されうる。例えば、Fcgamma型IIAへの単量体IgGの結合は測定することがより困難である。これらの受容体は免疫複合体を結合するように機能し、それら複合体は、それらの多価の性質により、おそらく該複合体の遅いオフ速度によりより貪欲に結合する。
唯一のFcγ受容体としてFcγRIIAを発現するヒトK562細胞を、Fcグリカン中のシアル酸含量の変動がこの低アフィニティーヒトFcγ受容体への結合に影響を及ぼすかどうかを試験するための2つの型の結合アッセイで使用した。単量体IgGに対する低アフィニティーを有するFcγRIIAへの結合の十分なアビディティーを得るため、抗TNF試験Abを2:1のモル比(痕跡量のみの遊離Ab若しくは遊離TNFをもたらすことが示された比)でホモ三量体TNFと混合することにより、免疫複合体を調製した。免疫複合体への依存性は、K562細胞への放射標識Ab2単独の結合が1μg/mlまでの濃度で検出可能でなかったが、しかし、Ab2:TNF複合体が0.02μg/mlで有意の結合を示した場合に具体的に説明された(データは示されない)。
競合結合形式。2組のIgG免疫複合体、すなわち抗V領域特異的なヒト以外AbおよびAb5に複合体形成させた無関係な特異性をもつヒトIgG1抗体を含有する標識複合体を調製した。標識複合体を創製するため、ヒトIgG1およびL鎖κ定常領域をもつハムスターV領域を伴うキメラモノクローナルAbを、以前に記述された(Knightら、1993)ところのIODO−GEN試薬を使用してヨウ化した。ハムスター−ヒトキメラのV領域イディオタイプに特異的なラットIgG2aモノクローナルAbをその後、PBS中で1:1のモル比で30分間混合して、放射標識免疫複合体の形成を可能にした。ラット抗Idは、脱グリコシル化したハムスター−ヒトキメラを用いて複合体を作成した場合にほとんど結合が起こらなかったため、FcγRIIA結合に直接寄与しないことが示された。一方、未改変キメラAbを伴う複合体は高レベルの結合を示した(データは示されない)。加えて、1免疫複合体が他の免疫複合体に結合しうることを示しうる別個の免疫複合体を作成するのに使用した剤の間に、検出可能な交差反応性が存在しなかった(データは示されない)。
試験複合体について、Ab1のシアル酸バリアントを、PBS中2:1のモル比(非常にわずかの未結合Abおよび未結合TNFをもたらすことが光散乱分析により示された)でヒトTNFホモ三量体と室温で30分間混合した。一組の実験で、20および29パーセントのシアル酸を含むAb1の天然のバリアントの複合体を相互と比較した。第二の組の実験で、Ab1−29:TNF複合体を、レクチンカラムで増強した調製物Ab1−43:TNF複合体と比較した。双方の場合で、対照複合体は、抗体がグリカンを酵素的に奪われていたAb1−Gno:TNFであった。
ヒトK562細胞を96ウェルプレート中、IMDM、5%FBS中で3×10細胞/ウェルで播種した。固定した量の放射標識抗体複合体を変動する量の試験抗体複合体に添加し、そして、合わせた混合物を、各ウェルが0.1μg/mlのヨウ化抗体複合体の最終濃度を含有したようなK562細胞に添加した。プレートを4℃で16〜18時間インキュベートし、その後IMDM、5%FBSで3回洗浄することにより未結合Abを除去し、そして、細胞に結合したカウント数を、ガンマカウンターを使用して測定した。
結果。増大する量の未標識競合体免疫複合体は、放射標識免疫複合体による結合をますます阻害した。シアル酸バリアント、未改変Ab1(29%シアリル化)およびAb1 MAAB(43%シアリル化)は、より高度にシアリル化されたAbとの複合体が、FcγRIIへの同一程度の結合を生じるために、より少なくシアリル化されたAb1を伴う複合体より5ないし10倍より高濃度で必要とされたことを示した(図4A)。9%シアル酸含量だけ異なる(20対29)Ab1の天然のバリアントについて、該差違はより少なくシアリル化された調製物(示されない)に対する約4倍より高いアビディティーであった。従って、このヒトIgG1上でのマウス骨髄腫宿主細胞中での組換え発現の結果としてのNGNA異性体の形態のシアル酸の存在は、ヒトFcγRIIに対する免疫複合体のアビディティーを低下させた。
K562細胞への免疫複合体の結合。Ab1試験サンプルを、固定した2:1のモル比で125I標識ヒトTNFと混合し、そしてその後、変動する量の生じる免疫複合体を、96ウェル培養プレート中の3×10 K562細胞に添加した。Ab1 G2S2(hi):TNF複合体(完全にシアリル化されたAb)に対するAb1 G2:TNF複合体(非シアリル化複合体)の比較は、完全にシアリル化されたAbがはるかにより小さいアビディティーで結合し、高度にシアリル化されたバリアントは、同一程度の結合を達成するためにアシアリル化バリアントより10倍より高濃度で必要とされた(図4B)ことを示した。これらの結果は、in vitro酵素的改変により導入したシアル酸のNANA異性体の存在が、安定性の低下したAb:TNF複合体によるか、Fc受容体に対する定常領域のアフィニティーを低下させることによるか、若しくは双方により、標的(TNF)への結合アフィニティーの低下に帰することができる、ヒトFcγRIIに対する抗体のアビディティーを低下させたことを示す。
細胞FcγRIIIaへのAb結合。ナチュラルキラー細胞(NK)上のFcγRIIIaへのAb結合を分析するため、ヒトPBMCを上述されたとおり単離し、そして、NK細胞単離キット(Miltenyi Biotec)を使用する磁性細胞分取によりNK細胞をPBMCから単離した。NK細胞を、10%FBSを含むDMEM培地中ウェルあたり1×10細胞で96ウェルプレート中で5%COを伴い37℃で一夜培養した。抗FcγRIIIa mAb 3G822(BD Bioeciences Pharmingen)を、Iodogenチューブ(Pierce)を使用して11μCi/μgの比活性まで125Iで標識した。ヨウ化mAb 3G8を、DMEM、10%FBS中で変動する量の未標識競合体Abと前混合し、そしてAb混合物を0.3μg/mlのヨウ化3G8の最終濃度のためNK細胞に添加した。細胞を4℃で16時間インキュベートし、そしてその後PBSで4回洗浄することにより未結合のIgGを除去した。細胞に結合したCPM数を、ガンマカウンターを使用して測定した。
2mM L−グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウムおよび10%FBSを補充したRPMI 1640培地(U−937培地)中で培養したU−937細胞(FcγR発現を高めるよう前処理されていない)を、50μlのU−937培地中ウェルあたり3×10細胞を有するように96ウェルプレートに播種した。Ab2(ヒトIgG1)を17μCi/μgの比活性まで125Iで標識した。ヨウ化Ab2 Abを、U−937培地中で変動する量の未標識競合体Ab2サンプルと前混合した。50μlのAb混合物をその後、全ウェル中で0.2μg/mlのヨウ化Ab3の最終濃度を有するように50μlのU−937細胞に添加した。細胞を4℃で16時間インキュベートし、そしてU−937培地で3回洗浄することにより未結合のAbを除去した。細胞に結合したCPM数を、ガンマカウンターを使用して測定した。
AbバリアントがFcγRIIIaに対する差別的アフィニティーを示すかどうかを試験するため、新たに単離したNK細胞を健康ヒトドナーから単離し、そして放射標識mAb 3G8(Fcとの結合について競合する抗FcγRIIIa Ab)および競合体としての未標識Abを伴う競合結合実験で使用した。遊離の複合体形成されないAbを、Fcシアル酸含量により影響され得る可溶性免疫複合体それら自身の安定性の差違により結果が混乱されないとみられるように(われわれの未発表データ)、免疫複合体(一般に、FcγRIIIaへのはるかにより大きな結合を示す)の代わりに使用した。該結果は、Ab1のより多くシアリル化された天然のバリアントAb1−29が、NK細胞上のFcγRIIIaに対する低下されたアフィニティーを有し、同一程度の結合を達成するのにAb1−20より4倍より高濃度で必要とされたことを示した(図5A)。Ab5の天然のバリアントで類似の差違が存在し、Ab5−26はmAb 3G8に対し同一程度まで競合するのにAb5−0より5倍より高濃度で必要とされた(図5B)。類似の結果が、少なくとも2名の他の血液ドナーからのNK細胞を使用する場合に各実験で得られた(データは示されない;FcγRIIIaのアロタイプは決定されない)。これらの結果は、より高レベルのシアリル化がFcγRIIIaに対するIgGのアフィニティーを低下させ得、そして従ってADCC活性の観察された低下にほぼ確実に寄与したことを示した。
同一実験をレクチン分画により派生したバリアントの対で行った場合は、しかしながら、より多くシアリル化されたバリアントが、より少なくシアリル化されたバリアントとちょうど同様に、およびおそらくわずかにより良好に、FcγRIIIaを結合することが見られた(図5Cおよび5D)。該2対の天然のバリアントおよび2対のレクチン由来のバリアントでの異なる結果の理由は知られていないが、しかし、良好な可能性は、存在するシアル酸残基の位置の差違が存在することである。
in vitro ADCCアッセイ
抗TNF Abの標的細胞は、成熟TNFのアミノ酸1−12の欠失の導入により膜貫通形態に留まる、その表面上で組換えヒトTNFを安定に発現するSp2/0マウス骨髄腫細胞株を含んだ(Perezら、1990)。K2細胞を、熱不活性化FBS、2mM L−グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウム、0.1mM非必須アミノ酸およびMHXを含有するイスコフ培地中で培養した。培地および補充物はGibco(Invitrogen)から購入した。細胞は2〜3日ごとに1:5で継代した。アッセイ日にK2細胞を遠心分離しかつPBSで1回洗浄した。細胞を培地で約1×10細胞/mlに調節し、そして15マイクロリットルのBATDA蛍光標識試薬(Delfia EuTDA細胞傷害性試薬キット、Perkin−Elmer Life Sciences中)を5mlの細胞に添加した(Blombergら、1996)。細胞を37℃で30分間インキュベートし、その後PBSで1000rpm、5分で2回洗浄した。PBMCエフェクター細胞と混合する直前に、標的細胞を遠心分離し、そして1%BSAを含有するイスコフ培地に2×10細胞/mlで再懸濁した。
PBMCエフェクター細胞は、ヘパリン化ヴァキュテーナーに血液を収集しかつPBSで2倍に希釈した後に健康ドナーから単離した。30mlの希釈血液を、50mlコニカルチューブ中15mlのFicoll−Paque(Amersham、スウェーデン・ウプサラ)の上部に重ね、そして室温(RT)で1500rpm、30分で遠心分離した。PBMCを含有する界面(バフィ層)を収集しかつPBSで2回洗浄し、そして1200rpm、10分、RTで遠心分離した。細胞を、5%熱不活性化FBS、2mM L−グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウムおよび0.1mM非必須アミノ酸を含有するイスコフ培地に再懸濁した。4℃でOKT3(PBS中10μg/ml、Ortho Pharmaceutical)で一夜被覆しかつPBSですすいだ100mm組織培養皿(Corning)上でインキュベートすることにより、PBMCを37℃、5%COでおよそ4時間活性化した。PBMCを収集し、1%BSAを含有するイスコフ培地で1回洗浄し;計数しかつおよそ1×10細胞/mlまで再懸濁した。
陰性対照バリアントAb1 Gnoを包含するAb1の試験サンプルをイスコフ−1%BSA培地で連続希釈した。50マイクロリットルの標的細胞(約10,000)および100マイクロリットルの抗体を丸底96ウェルプレート(Corning)に添加した。50マイクロリットルのエフェクター細胞(約500,000細胞)を混合物に添加し、そしてプレートを1000rpmで5分間RTで遠心分離した。E:Tの比は通常50:1であったが、しかしながら35:1をときに使用した。バックグラウンド蛍光のため、ウェルをエフェクター細胞、標的細胞および培地とインキュベートした。最大の蛍光のため、10マイクロリットルの溶解溶液(Delfia EuTDA細胞傷害性キットから)をバックグラウンドウェルに添加した。ADCCアッセイのため、細胞を37℃、5%COでおよそ2時間インキュベートした。20マイクロリットルの上清を96ウェル平底プレート(Corning)に移した。200マイクロリットルのユーロピウム溶液(Delfia EuTDA細胞傷害性キット)を添加し、そしてプレートをプレート振とう器上にRTで10分間置いた。時間分解蛍光計EnVision装置(Perkin−Elmer Life Sciences)で蛍光を測定した。各サンプル中の特異的溶解のパーセントを、以下の式、すなわち%特異的放出=([実験放出−自発放出]÷[最大放出−自発放出])×100に従って計算した。
シアル酸の影響の初期評価は、2対の天然のバリアントのin vitro ADCC活性に焦点を当てた。Ab1−29およびAb1−20を、ユーロピウム標識したAg1発現標的細胞と変動する濃度でインキュベートした。図6Aに示されるとおり、細胞傷害活性の明瞭な差違が存在し、より高レベルのFcシアリル化を伴うAb1−29は、同一程度まで細胞溶解を誘発するためにAb1−20よりおよそ7倍より高濃度で必要とされた。該結果は、シアリル化糖形態について濃縮されたAb1下位ロットAb1 MAABが未改変Ab1 PBSより少なく強力であったことを示した。Ab1 PBS−29%サンプルと同一量の溶解を達成するのに約3倍のAb1 MAAB−43%物質が必要とされた。Ag5発現標的細胞を用いる実験は、Ab2の天然のバリアントの対について同一パターンを示した。検出可能なシアル酸を含まないAb2−0バリアントと同一程度の細胞溶解を達成するために、およそ6倍より高濃度のAb2−26が必要とされた(図6Bに示されるとおり)。従って、ADCCのこの尺度に対する天然のグリコシル化変動の影響はAb若しくは標的特異的でない。
レクチンに基づく分画後のそれらのシアル酸含量が異なるAb1の下位ロットのADCC活性を比較するための代表的実験で、Ab1 MAAB(43%シアリル化)をそれが由来した未改変Ab1ロット(Ab1 PBS)と比較した。シアル酸含量が異なったAb1下位ロットを比較するための第二の実験で、Ab1 WGAT(29%シアリル化)、Ab1 WGAR(40%シアリル化)およびAb1 WGAB(32%シアリル化)を相互と比較した。
アッセイの結果は、Abを調製した様式に関係なく、シアル酸含量とADCCアッセイでの効力の間の逆相関もまた示す(図6C)。すなわち、未改変Ab1とほぼ同一量のシアル酸を含有するAb1 WGATは未改変Ab1と同一の活性を示した。しかしながら、WGAで調製した画分は増大するシアル酸含量とともに効力を喪失した(図6C)。
一実験で、シアル酸含量のより顕著な差違を伴う2サンプル、すなわち酵素で改変したAb1 G2(0%シアリル化)およびAb1 G2S2(hi)(約95%シアリル化)を比較した。新鮮PBMCをFicoll−Paque中での密度遠心分離により単離した。100mlの容量中の5×10 PBMCを、変動する量の未処理Ab1、Ab1 G2S2(hi)(完全にガラクトシル化かつシアリル化)、若しくはAb7(アイソタイプを一致させた陰性対照Ab)とおよそ10分間前インキュベートした。表面結合した組換えヒトTNFを発現するK2細胞を、200mCiの51Crで標識することにより標的として使用した。標識した細胞をPBMC/Ab混合物に添加し、1000rpmで1分間遠心分離し、そして37℃で4時間インキュベートした。このインキュベーション時間(4時間)は、一般にFcγRI(CD64)、FcγRIIA(CD32A)およびFcγRIIIA(CD16A)を発現するマクロファージによるよりむしろFcγRIIIAを発現するNK細胞(PBMC細胞の集団内)により誘導される主として細胞溶解を示すことが知られている。細胞上清中の放射活性数をその後、Topcountを使用して測定した。示される結果(図6D)は、異なるドナーからのPBMCを使用して行った2回の独立した実験を代表し、そして完全にシアリル化されているAbとほぼ脱シアリル化されているものの間の細胞溶解の効力の10倍以上の変化を示す。
Ab調製物の他の対もまたADCCアッセイで比較した。ガラクトシル化Ab2から調製したWGAレクチン画分を、Ag2発現標的細胞を使用するADCCアッセイで評価した。再度、より多くシアリル化された物質がより少なく活性であったとは言え、シアル酸含量のそれらの劇的な差違(5%対67%)にもかかわらずそれらのEC50値の4倍のみの差違が存在した。対照的に、Ab1から作成したWGAレクチン画分は41%シアリル化バリアントを示し、同一程度の細胞溶解を達成するために29%シアリル化バリアントよりおよそ6倍より高濃度であることを必要とした。
試験した全3三種のAbのこれらの結果は、より高レベルのFcシアル酸が低下されたADCC活性と関連したことを一貫して示した。定量的でないとは言え、ADCC活性とAb調製物のシアル酸含量の大きさの変化の間の相違、4種のAb1バリアントの一団内に一貫した関係が存在し、EC50値は、Ab1−20、Ab1−29、Ab1−WGA−29およびAb1−WGA−41についてそれぞれ典型的に0.3ng/ml、2ng/ml、2ng/mlおよび10ng/mlであった。レクチン画分での結果もまた、シアリル化Ab調製物が変動するレベルのADCC活性をもつ分子種を含有することを確認した。Ab3−0およびAb3−26を除き、ここで分析したバリアントは、達成された最大レベルの溶解の差違を示す傾向がなかったことに注目すべきである。
ADCC活性の本測定方法はFcγRIIIA陽性NK細胞により主に媒介されるため、該データは、Fcオリゴ糖中のシアル酸の存在がFcγRIへの結合を高める一方で、その存在がFcγRIIIAへの結合を有意に減少させることを意味する。
高アフィニティーの細胞Fc受容体への結合
高アフィニティーヒトFc受容体FcγRI(CD64)へのシアル酸含量の異なった試験Abの結合を、ヒト単球細胞株U−937細胞で競合結合形式を使用して測定した。U−937細胞を、2mM L−グルタミン、1mMピルビン酸ナトリウムおよび10%FBSを含むRPMI 1640培地中、Tフラスコ中で培養し、そして37℃で5%CO2を含むインキュベータ中で維持した。マウス/ヒトIgG1キメラAb、Ab2を、IODO−Gen前被覆ヨウ化チューブを使用して17.2mCi/mgの比活性までヨウ化した。U−937細胞を6×10細胞/mlで新鮮培地に再懸濁し、そしてその後、ウェルあたり3×10細胞の密度でフィルター付きMillipore 96ウェル組織培養プレートに播種した。細胞はより高いFcγR発現を誘導するために前処理しなかった。ヨウ化Ab2を、50μlの容量中で、希釈剤として培地を使用して、変動する量の未標識Mab競合体(試験サンプル)と前混合した。混合物をその後、0.2ng/mlの最終のヨウ化Ab2濃度を生じるように、U−937細胞の50μl培養物に添加した。細胞をその後4℃で16時間インキュベートした。培地で洗浄することおよびプレート真空装置を使用して3回吸引することにより未結合IgGを除去した。細胞に結合したカウント数を、ガンマカウンターを使用して測定した。
図7Aは、Ab1 G2(シアル酸なし)に比較して、Ab1 G2S2(hi)(約95%シアリル化)が5ないし10倍より高アフィニティーでU−937細胞上の高アフィニティーFcR(CD64)に結合した、すなわち、Ab1 G2S2(hi)はヨウ化Ab2結合の同一程度の阻害を生じるためにわずか1/5ないし1/10の濃度で必要とされたことを示す。Ab1 G2は未処理Ab1と検出可能な差違を示さず(データは示されない)、後者は多様な糖形態の不均質な混合物であり、その大部分はAb1 G2サンプルより少ないガラクトース(すなわちG0およびG1糖形態)を含有する。
図7Bは、荷電したオリゴ糖種(シアル酸含有種)の量が異なる()オリゴ糖全体の2%若しくは42%のいずれかであるAb3の異なる2ロットが、より高いシアル酸含量を有すると特徴付けられるロットがFcγRIに対するより高いアフィニティーを有することを同様に示すことを示す。
Ab1およびAb5の2対の天然のグリコシル化バリアントについて、より高いシアル酸含量をもつ抗体調製物によるNK細胞FcγRIIIaへの低下された結合(実施例3、図5AおよびB)を観察した後に、該効果が負に荷電したシアル酸と負に荷電した細胞表面の間の単純な静電反発によったという可能性を考慮した。しかしながら、ヒトU−937細胞上のFcγRI受容体に対する結合アフィニティーに対するシアル酸含量の逆の影響は、Ab5若しくは他のAbについての同一パターンに従わなかった(データは示されない)。
2種のAb1サンプルはNANAの形態のシアル酸の非存在/存在が異なる一方で、2種のAb3サンプルはNGNAの形態のシアル酸(マウス宿主細胞中で産生される)の量が異なると考えられることが注目されるべきである。
血清半減期の測定
本実施例において、マウス骨髄腫細胞中で発現される抗体可変領域配列ならびにヒトIgG1ヒンジ、CH2およびCH3ドメインに融合されたN末端ペプチドを含んでなるFc含有融合タンパク質を、完全にシアリル化された(G2S2)形態を形成するよう処理した。正常雌性CD1ラット(処置群あたり4匹)に、5%シアリル化されたFcオリゴ糖を含有した未改変の形態のFcP1の静脈内注入を与えたか、若しくは完全シアリル化バージョン(約98%シアリル化)を雌性CD1ラットの群に別個に静脈内注入したかのいずれかであった。1時間、5時間、24時間、72時間、7日、14日および21日に後眼窩採血により血液を収集し、そしてその後、CO麻酔した動物から心穿刺により第28日に終末部血液収集物を採取した。血液サンプルから血清を調製し、そして血清中のヒトFcの濃度を比色ELISAを使用して測定した。簡潔には、96ウェルEIAプレートをポリクローナルヤギ抗ヒトFc抗体で最初に被覆した。血清サンプルの変動する希釈をウェル中室温で1時間インキュベートした。洗浄することにより未結合タンパク質を除去し、そして、結合したヒトFcを、酵素複合ヤギ抗ヒトIgG抗体、次いで適切な色基質を使用して検出した。
試験の結果を図8に示す。計算された曲線下面積(AUC)は、未改変抗体について95±1.6日・ng/ml×10−3および48±1.9日・ng/ml×10−3であった。これは、Fcオリゴ糖中のより高程度のシアリル化が、正常ラットでの消失のより速い速度と関連したことを示した。
第二の実験で、正常マウスに、完全アシアリル化(G2)若しくは完全シアリル化(G2S2)のいずれかとなるように酵素的に改変したAb2の単回の3mg/kg用量を注入した。血清中のヒトFcを上述されたところの比色ELISAを使用してモニターかつ測定した。この実験の結果を図9に示す。およそ1週間後に、Ab2 G2S2はマウスの血清からより迅速に消失されることを開始し、そして、20日までに、血清中に残存するAb2 G2S2はAb2−G2の濃度のおよそ1000倍より少なかった。
マウスでの全身循環からのAb1シアル酸バリアントの消失。Ab1に結合したグリカン種の不均質混合物を含有するサンプルの注入後の血清からの個々のグリコシル化種の消失速度を定量化することにより、シアル酸含量の影響の別の直接測定を行った。
Ab1の同一の不均質にグリコシル化された調製物を、18匹の正常な8〜10週齢Balb/cマウスに20mg/kgの用量でi.p.注入した。血液を第3日に6マウスから、第14日に別の6マウスから、および第28日に最後の6マウスから収集した。血清を各血液サンプルから調製し、そしてAb1 V領域に特異的な抗Idアフィニティーカラムを使用してAb1を血清から再精製した。再精製したAb1サンプルのFcグリカンの構造をその後HPLC分析により分析し、そして多様な糖形態の相対比率を本明細書に前述されたとおり決定した。
シアル酸を欠くガラクトシル化糖形態(G2S0)はマウスで4週間にわたりその相対的豊富さを維持する一方、1シアル酸を伴うグリカン(G2S1)を含有するAb糖形態および2シアル酸を伴う糖形態(G2S2)はより速い速度で消失したことが見出された。
従って、完全にシアリル化されたFc含有タンパク質は、アシアリル化若しくは部分的シアリル化組成物より短い血清半減期を有する。
シアル酸含量および抗体アビディティー
本明細書に記述される結果は、Fcドメイン(二量体化したヒンジ−CH2−CH3)のFcグリカンのシアル酸含量の変化がタンパク質全体に影響することができるという理論を裏付ける。抗体およびグリコシル化Fcを含んでなる融合タンパク質の二価性に関して、該影響は特異的標的に対するタンパク質のアビディティーに明示されうる。本実施例の実験は、この理論を試験し、そしてさらに標的結合アフィニティーに対するシアル酸含量の特定の影響を示すために実施した。
細胞表面抗原への結合。上述されたADCCアッセイで使用した同一のAg発現細胞株を、それらの抗原結合アビディティーのシアル酸バリアント間での差違について試験するための結合アッセイで使用した。アッセイは、固定した濃度に保った放射標識Ab(Ab1、Ab2若しくはAb5のいずれか)の1種を、変動する量の未標識試験Abの存在下でAg発現細胞とインキュベートした競合形式で実施した。Iodogen法により調製したヨウ化Abは一般に10μCi/μgの比活性であった。
表面TNFを発現する細胞をウェルあたり50,000細胞、およびAg2発現細胞をウェルあたり180,000細胞で、5%FBSを含むIMDM培地中、96ウェル組織培養プレートに播種した。適切な125I標識Abを滴定量の試験Abと前混合し、そして該混合物を適切なAg発現細胞に添加した。プレートをRTで2時間インキュベートして細胞へのAb結合を可能にした。細胞をその後IMDM、5%FBSで3回洗浄して未結合Abを除去し、そして、細胞に結合したカウント数を、ガンマカウンターを使用して測定した。
Ab5バリアントについて、Ag5発現細胞を、50μlのDMEM、10%FBS中ウェルあたり186,000細胞で96ウェル組織培養プレートに播種した。125I標識Ab2を滴定量の試験Abと前混合し、そして50μlの混合物をAg発現細胞に添加した。プレートを4℃で16時間インキュベートして細胞上の抗原へのAb結合を可能にした。細胞をその後DMEM、10%FBSで3回洗浄して未結合Abを除去し、そして、細胞に結合したカウント数を、ガンマカウンターを使用して測定した。サンプルは2検体若しくは4検体で試験し、そして結果は3若しくは4回の独立した実験を代表する。これらの試験サンプル間の結合の差違は、追加二乗和(extra sum of square)F検定により決定されるとおり有意(グラフa、cおよびdについてP<0.0001)であった。
結果を、図10A〜D、すなわち競合体としての未標識のAb1天然バリアントの存在下でのAg1発現細胞への放射標識Ab1による結合(図10A);競合体としての未標識のAb5天然バリアントの存在下でのAg5発現細胞への放射標識Ab5による結合(図10B);競合体としての未標識のAb1のレクチン由来バリアントの存在下でのAg1発現細胞への放射標識Ab1による結合(図10C):競合体としての未標識のAb3のレクチン由来バリアントの存在下でのAg3発現細胞への放射標識Ab3による結合(図10D)に示す。
固相リガンドへのAb結合。組換え可溶性TNF若しくは抗Id2を、PBS中1μg/mlのAg若しくは抗Id Ab 50μlを各ウェルに添加すること、およびプレートを4℃で一夜インキュベートすることにより、EIAプレートに被覆した。ウェルを洗浄し、そしてその後、非特異的結合を最低限にするため、PBS中1%BSA、0.125%ゼラチン50μlでRTで1時間前処理した。125I標識Ab1若しくは125I標識Ab3をIMDM、5%FBS中の滴定量のそれぞれの試験Abと前混合し、そして50μlの混合物を標的で被覆したウェルに添加した。放射標識Abの最終濃度は全ウェル中で100ng/mlであった。プレートをRTで2時間インキュベートして、被覆した標的へのAb結合を可能にした。ウェルを洗浄して未結合Abを除去し、そして、結合したカウント数を、ガンマカウンターを使用して測定した。
可溶性抗原へのプレート被覆したAbの結合。96ウェルプレートをAb1若しくはAb3のシアル酸バリアントで被覆し、そしてその後、後に続くところの変動する量の放射標識可溶性抗原とインキュベートした。すなわち(a)プレート被覆したAb1の天然のバリアントへの放射標識可溶性Ag1の結合、(b)プレート被覆したAb1のレクチン分画バリアントへの放射標識可溶性Ag1の結合、および(c)プレート被覆したAb3のレクチン分画バリアントへの放射標識可溶性Ag3の結合。非特異的結合を測定するため、放射標識Agおよび100倍過剰の未標識Agとの同時インキュベーションを行った。サンプルは3検体で試験した。Ab2バリアントは可溶性Ag2の入手不可能性のため分析しなかった。
統計学的解析。ゼロ濃度の一般的プラトーを考えた傾きおよび範囲についての予備検定(すなわち、増加曲線の一般的な「底」および減少曲線の一般的な頂点を検定せずに常に想定する)後に一般的な最小値、最大値および傾きをもつ同時の4パラメータロジスティック回帰を使用する曲線の比較により、抗体バリアント間の効力の差違を解析した。有意性検定はGraphPad Prism v4の追加二乗和F検定を用いて行った。<0.05のP値を有意であるとみなした。CPMの分析は、CPMの標準誤差がその平均に比例して増大する(すなわちCPMの変動係数CVが平均に無関係である)ため、CPMにより逆加重した。
結果
ADCCアッセイで使用した同一のAg発現標的細胞を用い競合形式で実施した抗原結合実験は、予期しないことに、Ab1−29がAb1−20より約3倍より小さいアフィニティーで細胞表面抗原を一貫して結合することを示した(図10A)。Ab5−26は、対照的にAb5−0と識別不可能であったアフィニティーを示した(図10B)。2対のレクチン由来バリアントを用いて実施した同一の分析は、Ab1の天然バリアントに類似の結果を示した。すなわち、より多くシアリル化されたAb1−WGA−41は、同一程度の競合結合を達成するために、より少なくシアリル化されたAb1−WGA−29より4ないし6倍より高濃度で必要とされ(図10C)、また、より多くシアリル化されたAb2−GT−WGA−67は、より少なくシアリル化されたAb2−GT−WGA−5より4ないし6倍より高濃度で必要とされた(図10D)。
興味深いことに、より多量のシアリル化を伴うAb1およびAb2による減少された結合の同一のパターンは、96ウェルEIAプレートに固定された標的(可溶性組換え抗原若しくは抗Id Ab)への結合を分析する実験でもまた観察された(図11AおよびB)。これらの結果は、Fcシアリル化の程度の差違が抗原ならびにFcγRIIIAへの結合に影響しうること、しかしシアリル化の程度は全Abの抗原結合に影響しないことを示した。
固定した標的の結合に関するデータから、増大されたFcシアリル化がAbのヒンジ領域の柔軟性を低下させるようはたらきうることが考えられる。細胞表面抗原へのAb1およびAb2結合の場合、低下されたヒンジ柔軟性は、固体支持体若しくは細胞表面上の抗原エピトープの空間に依存して、抗原へのより多い一価結合およびより少ない二価(高アビディティー)結合につながり得る。Ab5のヒンジ領域もまた低下された柔軟性を有しうるが、しかし、柔軟性はこのAbがAg5への最大の結合を達成するのに必要とされないとみられる。
Abの柔軟性の影響がFcシアリル化により影響を及ぼされたか、若しくは固有の結合アフィニティー変化が影響を及ぼされたかどちらかを識別するために、可溶性リガンドへのAbの結合を純粋に一価結合アフィニティーの尺度として試験した。該結果は、実際に、細胞表面抗原への結合の差違を示した3対のシアル酸バリアントについて、可溶性標的へのそれらの結合にバリアントの対間で観察された検出可能な差違が存在しなかったことを示した(図12A〜C)。一緒にすれば、これらの結果は、固定された標的(細胞表面若しくはプレート被覆)への結合の差違が各Fabアームと標的の間の固有のアフィニティーの差違によらなかったことを示した。従って、固定した標的へのそれらの結合のAb1およびAb2シアル酸バリアント間の差違は、細胞への二価結合の程度の差違による。
本発明は、前述の記述および実施例に具体的に記述されたもの以外の方法で実施し得ることが明らかであろう。本発明の多数の改変および変形が上の教示に照らして可能であり、そして従って付随する請求の範囲の範囲内にある。
ヒトIgG中で見出される最大のオリゴ糖構造の図解である。 チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で産生される組換えIgG中で見出される主要なオリゴ糖構造を描く。 Fcオリゴ糖のHPLC分析の結果を示す。N結合したオリゴ糖を、PNGアーゼF酵素で処理することにより抗体から最初に遊離した。遊離されたオリゴ糖をアントラニル酸で標識し、そして、標識されたオリゴ糖をゲル濾過クロマトグラフィーにより精製した。精製された標識オリゴ糖をHPLCにより分析して、示されるクロマトグラムをもたらした。 2種の異なる形式によるK562細胞上のヒトFcγRIIへの多様なAb1:TNF免疫複合体の結合を示すグラフである。(A)Ab6(Ab5に特異的なマウスモノクローナルAb)と複合体形成した固定された量の125I標識ヒトIgG1 Ab5の存在下で、Ab1およびTNFの変動する量の未標識複合体を細胞に添加することにより測定される競合結合。(B)125I標識TNFと複合体形成した変動する量のAb1をK562細胞に添加することにより測定される直接結合。 NK細胞のFcγRIIIa:Ab1の天然のグリコシル化バリアント(A);Ab5の天然のグリコシル化バリアント(B);Ab1のレクチンカラム画分(C);およびAb2のレクチンカラム画分(D)を結合することについて、固定された濃度の放射標識抗FcγRIIIa mAb、3G8と競合するのに使用される多様な試験Ab調製物を用いるFcγRIIIa結合研究のグラフである。 シアル酸含量が異なるAb1、それらの細胞表面上でTNFを過剰発現するK2標的細胞、およびFcγRを発現するヒトPBMCエフェクター細胞を使用して実施したin vitro ADCCアッセイの結果を示すグラフである。(A)Ab1の天然のグリコシル化バリアント、(B)Ab5の天然のグリコシル化バリアント、(C)WGAレクチンアフィニティーに基づく分画後のシアル酸含量が異なるAb1の3種の下位ロットおよび酵素的脱グリコシル化した(Gno)Ab1の比較、(D)未処理のAb1サンプルおよび完全にシアリル化されたAb1 G2S2サンプル、若しくはAb7アイソタイプを一致させた陰性対照Abの比較。サンプルは三重で分析し(誤差の棒はs.d.を表す)、そして、示される結果はバリアントの各対の3回の独立の実験を代表する。これらの試験サンプル間の活性の差違は、追加二乗和F検定により決定されるとおり、有意であった(グラフA、CおよびDについてP<0.0001;グラフBについてP=0.0016)。 U−937細胞上のヒトFcγRI(CD64)受容体への多様なIgG抗体サンプルの競合結合を示すグラフである(A)Ab1 G2(完全にガラクトシル化されかつシアリル化されていない)およびAb1 G2S2(hi)(完全にガラクトシル化されかつ完全にシアリル化された)はシアル酸の非存在および存在によってのみ異なる、(b)Ab3の2種の異なるロットは荷電したオリゴ糖種(シアル酸含有種)の量が異なり、全オリゴ糖の2%若しくは42%のいずれかである。 完全にシアリル化されていた(G2S2)若しくは未改変であった融合タンパク質(FcP1)の投与後の時間とFc部分の血清濃度の間の関係を示すグラフである。 記述されるところの酵素的方法により完全にシアリル化されたAb2 G2S2若しくは完全にアシアリル化されたAb2 G2の投与後の時間とFc部分の血清濃度の間の関係を示すグラフである。 放射標識Abすなわち(A)Ab1の天然のバリアント、(b)Ab5の天然のバリアント、(C)Ab1のレクチンカラム画分バリアントおよび(D)Ab2のレクチンカラム画分バリアントとの競合結合による、細胞表面上の標的リガンドに対するアフィニティーに対するAb調製物中のシアル酸の影響を示すグラフである。サンプルは2検体若しくは4検体で試験し、そして示される結果は3若しくは4回の独立の実験を代表する。これらの試験サンプル間の結合の差違は、追加二乗和F検定により決定されるとおり有意であった(グラフA、CおよびDについてP<0.0001)。 EIAプレートに被覆した標的リガンドに対するアフィニティーに対するAb調製物中のシアル酸の影響を示すグラフである。すなわち(A)TNFへのAb1の天然のバリアントの結合、(B)抗Id抗体へのAb2結合。 表面結合されたAbすなわち(A)Ab1の天然のバリアント、(B)Ab1 1のレクチンカラム画分のバリアントおよび(C)Ab2のレクチンカラム画分のバリアントに対する、放射標識可溶性抗原として提示される標的リガンドに対するアフィニティーに対するAb調製物中のシアル酸の影響を示すグラフである。放射標識Agおよび100倍過剰の未標識Agとの同時インキュベーションを、非特異的結合を測定するために行った。サンプルは3検体で試験した。

Claims (48)

  1. Fc領域中のオリゴ糖のシアリル化を変えることを含んでなる、Fc含有分子の特性の制御方法。
  2. シアリル化がFc領域中で増大される、請求項1に記載の方法。
  3. 制御される特性が、FcγRI、FcγRIIAおよびFcγRIIIA受容体の1種若しくはそれ以上に対するアフィニティー、ADCC活性、マクロファージ若しくは単球活性化、血清半減期ならびにアビディティーよりなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  4. シアリル化が、酵素処理、分子の酵素的改変、分子の遺伝子操作、レクチンクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、タンパク質の発現に使用される細胞株を変えること、Fc含有タンパク質を産生するのに使用される宿主細胞を血清中で培養すること、およびタンパク質を多様なpH環境に曝露することよりなる群から選択される最低一の方法により野生型Fc領域から変えられている、請求項1に記載の方法。
  5. 酵素処理がシアリダーゼ若しくはシアリルトランスフェラーゼで処理することを含んでなる、請求項4に記載の方法。
  6. Fc含有分子が標的に特異的な結合ドメインを有し、前記標的が固定された標的である、請求項1に記載の方法。
  7. Fc含有分子が標的に特異的な結合ドメインを有し、前記標的が細胞の表面上に発現される、請求項1に記載の方法。
  8. Fc含有分子が抗体である、請求項1に記載の方法。
  9. G2S2糖形態のものでないFc含有治療的タンパク質を、実質的にG2S2シアリル化糖形態のものであるオリゴ糖に転化することを含んでなる、Fc含有治療的タンパク質のCH2免疫グロブリンドメイン中のアスパラギン残基に共有結合された二分岐オリゴ糖を有することを特徴とするFc含有治療的タンパク質の特性の制御方法。
  10. 前記Fc含有タンパク質が、G2S2糖形態のものでない同一のFc含有治療的タンパク質に比較して、FcγRIIAおよびFcγRIIIAに対する低下されたアフィニティー、NK細胞媒介性のADCCアッセイにおける低下された活性、FcγRIに対する高められたアフィニティー、マクロファージを活性化する高められた能力、ならびにより短い血清半減期よりなる群から選択される特性の1種若しくはそれ以上を有する、請求項9に記載の方法。
  11. 転化段階が、組換え発現されたモノクローナル抗体を酵素的に工作すること、クロマトグラフィーを使用して特定の糖形態を濃縮すること、シアリルトランスフェラーゼを使用してシアル酸残基を付加すること、および該タンパク質の発現に使用される細胞株を変更することの最低1つを含んでなる、請求項9に記載の方法。
  12. クロマトグラフィーが、レクチンアフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー若しくはサイズ排除クロマトグラフィーを含んでなる、請求項11に記載の方法。
  13. 遺伝子工作がグリコシルトランスフェラーゼを組み込む、請求項12に記載の方法。
  14. G2S2糖形態のFc含有治療的タンパク質を実質的にG2、G1若しくはG)のシアリル化されていない糖形態のものであるオリゴ糖に転化することを含んでなる、Fc含有治療的タンパク質のCH2免疫グロブリンドメイン中のアスパラギン残基に共有結合された二分岐オリゴ糖を有することを特徴とするFc含有治療的タンパク質の特性の制御方法。
  15. 前記Fc含有タンパク質が、実質的にシアリル化されたG2S2糖形態の同一のFc含有治療的タンパク質に比較して、FcγRIIAおよびFcγRIIIAに対する高められたアフィニティー、NK細胞媒介性のADCCアッセイにおける高められた活性、FcγRIに対する低下されたアフィニティー、マクロファージを活性化する低下された能力、ならびにより長い血清半減期よりなる群から選択される特性の1種若しくはそれ以上を有する、請求項14に記載の方法。
  16. 請求項1〜15のいずれかに記載の方法により製造若しくは変更されたFc含有タンパク質。
  17. 実質的にG2S2シアリル化糖形態のものであるFc含有治療的タンパク質のCH2免疫グロブリンドメイン中のアスパラギン残基に共有結合された二分岐オリゴ糖を有することを特徴とする、Fc含有治療的タンパク質であって、前記Fc含有タンパク質が、実質的にシアリル化されていないG0、G1若しくはG2糖形態の同一のFc含有治療的タンパク質の調製物に比較して、FcγRIIAおよびFcγRIIIAに対する低下されたアフィニティー、NK細胞媒介性のADCCアッセイにおける低下された活性、FcγRIに対する高められたアフィニティー、マクロファージを活性化する高められた能力、およびより短い血清半減期を有する、上記タンパク質。
  18. 該タンパク質の標的結合ドメインにより結合される標的が固定された標的である、請求項17に記載のタンパク質。
  19. 該タンパク質の結合ドメインにより結合される標的が細胞の表面上で発現される、請求項17に記載のタンパク質。
  20. タンパク質が、腫瘍学関連障害、慢性疾患若しくは感染性疾患の処置に指示される、請求項17〜19のいずれか1つに記載のタンパク質。
  21. 感染性疾患が、ウイルスおよび細菌の一方若しくは双方を含んでなる抗体にオプソニン化された細胞若しくは粒子のFcR媒介性の消失、ならびに長期処置を必要とする慢性疾患を伴う、請求項20に記載のタンパク質。
  22. タンパク質が、組換え発現されたモノクローナル抗体を含んでなり、該抗体がシアリルトランスフェラーゼを使用して酵素的に改変されるか、レクチンアフィニティークロマトグラフィーを使用して特定の糖形態が濃縮されているか、若しくはシアリダーゼを使用してシアル酸残基が除去されている、請求項17に記載のタンパク質。
  23. タンパク質が、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィーおよびサイズ排除クロマトグラフィーの1種若しくはそれ以上を使用して精製された、組換え発現されたモノクローナル抗体である、請求項17に記載のタンパク質。
  24. アフィニティークロマトグラフィーがレクチンアフィニティークロマトグラフィーである、請求項23に記載のタンパク質。
  25. タンパク質が、シアリル化若しくはアシアリル化モノクローナル抗体の高められたレベルを有する、遺伝子的に工作された宿主細胞中で発現されたモノクローナル抗体である、請求項17に記載のタンパク質。
  26. 実質的にシアリル化されていないG0、G1若しくはG2糖形態にあるFc含有治療的タンパク質のCH2免疫グロブリンドメイン中のアスパラギン残基に共有結合された二分岐オリゴ糖を有することを特徴とする、Fc含有治療的タンパク質であって、前記Fc含有タンパク質が、実質的にG2S2糖形態にある同一のFc含有治療的タンパク質に比較して、FcγRIIAおよびFcγRIIIAに対する高められたアフィニティー、NK細胞媒介性のADCCアッセイにおける高められた活性、FcγRIに対する低下されたアフィニティー、マクロファージを活性化する低下された能力、および延長された血清半減期を有する、上記タンパク質。
  27. 腫瘍学関連の適応症および状態の処置に指示される、請求項26に記載のタンパク質。
  28. 腫瘍学関連の適応症が非ホジキンリンパ腫である、請求項26に記載のタンパク質。
  29. タンパク質が、シアリルトランスフェラーゼ若しくはシアリダーゼを使用して酵素的に改変された組換え発現されたモノクローナル抗体である、請求項26に記載のタンパク質。
  30. タンパク質が、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィーおよびサイズ排除クロマトグラフィーの1種若しくはそれ以上を使用して精製される、組換え発現されたモノクローナル抗体である、請求項26に記載のタンパク質。
  31. アフィニティークロマトグラフィーがレクチンアフィニティークロマトグラフィーである、請求項30に記載のタンパク質。
  32. タンパク質が、シアリル化若しくはアシアリル化オリゴ糖の高められたレベルを有するように遺伝子的に工作された宿主細胞中で発現されるモノクローナル抗体である、請求項30に記載のタンパク質。
  33. タンパク質が、Ab1、Ab2、Ab3若しくはAb5よりなる群から選択される、請求項17若しくは30に記載のタンパク質。
  34. 最低1個のヒンジ領域、CH2およびCH3ドメインの1個の免疫グロブリンIgGアイソタイプドメインを含んでなることを特徴とする治療的組換えFc含有タンパク質のバッチの製造方法であって、該方法が、前記タンパク質に結合された多糖鎖から糖残基を付加若しくは除去するために酵素でバッチを処理することを含んでなる、上記方法。
  35. 製薬学的に許容できる担体と組合せの、請求項34に記載の方法により製造されるタンパク質を含んでなる製薬学的組成物。
  36. 疾患若しくは状態の処置若しくは診断のための、請求項35に記載の方法により製造されるタンパク質の使用方法。
  37. 前記タンパク質が、癌腫、リンパ腫、肉腫および骨髄腫よりなる群から選択される腫瘍性疾患を処置するのに使用される、請求項36に記載の方法。
  38. 前記タンパク質が、乾癬、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、クローン病および全身性エリテマトーデスよりなる群から選択される炎症性障害を処置するのに使用される、請求項36に記載の方法。
  39. タンパク質が、角膜若しくは網膜血管新生を伴う障害を処置するのに使用される、請求項36に記載の方法。
  40. Fc領域のオリゴ糖のシアリル化を変えることを含んでなる、標的に特異的な結合ドメインを有するFc含有分子の標的に対する結合アフィニティーの制御方法。
  41. シアリル化がFc領域中で増大されかつアビディティーが減少される、請求項40に記載の方法。
  42. シアリル化がFc領域中で減少されかつアビディティーが増大される、請求項40に記載の方法。
  43. シアリル化が、酵素処理、分子の酵素的改変、分子の遺伝子操作、レクチンクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、タンパク質の発現に使用される細胞株を変えること、Fc含有タンパク質を産生するにの使用される宿主細胞を血清中で培養すること、およびタンパク質を多様なpH環境に曝露することよりなる群から選択される最低一方法により野生型Fc領域から変えられている、請求項40に記載の方法。
  44. 酵素処理がシアリダーゼ若しくはシアリルトランスフェラーゼで処理することを含んでなる、請求項43に記載の方法。
  45. 標的が固定された標的である、請求項40に記載の方法。
  46. 標的が細胞の表面上で発現される、請求項40に記載の方法。
  47. Fc含有分子が抗体である、請求項40に記載の方法。
  48. 本明細書に記述されるいずれかの発明。
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