JP2014508759A - シアリル化抗体の生産の方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、IgG抗体を生産する方法であって、前記抗体のうちの少なくとも80%が、該抗体のFcドメインに結合された2つのシアル酸残基を含有する複合二分岐オリゴ糖を含む方法に関する。前記方法は、該抗体のFcドメイン内に変異を導入するステップ、およびその変異抗体を、ガラクトシルトランスフェラーゼおよびシアリルトランスフェラーゼ活性を発現する細胞内で発現させるステップを含む。

Description

アルツハイマー病(AD)は、高い割合の老齢人口に影響を及ぼしている進行性の神経変性疾患である。ベータ−アミロイド(Aβ)ペプチドは、不溶性Aβペプチド原線維の形成およびこれらの原線維の沈着によってアミロイド斑を形成する原因物質であると考えられている(TanziおよびBertram、Cell、120:545−555、2005)。記憶および他の認知機能にきわめて重要な脳の領域内でのこうしたプラークの形成は、この疾患に伴う認知症をもたらすと考えられている(Selkoe、J.Neuropathol.Exp.Neurol.53:438−447、1994を参照されたい。)。Aβは、ニューロンの膜を貫通する膜貫通タンパク質である、アミロイド前駆体タンパク質(APP)と呼ばれるより大きなタンパク質からの断片である。ADの場合、正常な可溶性Aβ(sAβ)ペプチドが、オリゴマー/原線維のAβに変換される。したがって、ニューロンの毒性は、不溶性原線維内へのsAβの凝集および、その後の、アミロイド斑への原線維の組み込みを介して形成される、大きい分子量の原線維に存在し得る。
Aβペプチドの形成を予防するための試みにおいて多様な治療が進められてきた。現在、疾患進行に多大な影響を及ぼす介入のへの最も大きな希望は、免疫療法によってもたらされる(BrodyおよびHoltzman、Annu Rev Neurosci、31:175−193、2008;WiniewskiおよびKonietzko、Lancet Neurol、7:805−811、2008;WiniewskiおよびBoutajangout、Brain Struct Funct、214:201−218、2010)。免疫療法の治療は、特定の型のAβを認識する抗体の投与(例えば、WO2007/068412、WO2009/065054、WO2009/048538、WO2009/052125、WO2009/074583、EP2 224 000 A1を参照されたい。)、ならびにAβペプチド抗原での免疫(例えば、EP2 226 081 A1を参照されたい。)の双方を包含する。例えば、AβのN末端に対して指向される抗体が記載されており(米国特許第6,761,888号および第6,750,324号;BrodyおよびHoltzman、Annu Rev Neurosci、31:175−193、2008)、これらの抗体は、Aβ原線維の凝集を予防または回復させることができる。米国特許第7,179,463号は、Aβペプチドコード領域内のArctic型変異からなる前原線維に対して産生された抗体を投与することによってアルツハイマー病を治療する方法を開示している。該明細書中に、産生された抗体の実例は示されておらず、低分子量型のAβペプチドに対する親和性についての比較も示されていない。さらに、前臨床試験または臨床試験のいずれにおいても、いくつかのこれらの抗体を用いた治療の後に、微小出血および血管原性浮腫などの有害事象が報告されている(WiniewskiおよびKonietzko、Lancet Neurol、7:805−811、2008;Wellerら、Alzheimers Res Ther、1(2):6)。
Aβペプチドの前原線維の型に特異的な新しいヒト化抗体が最近記載されている(WO2010/130946)。これらの抗体は、アルツハイマー病患者の脳の試料における免疫化学によって実証されたように、老人斑のみを認識するが、Aβペプチドの散在性の沈着物は認識しない。さらに、前記ヒト化抗体は、アミロイド斑の減少を誘導することができる。
過去15年間に、ADを有する患者の死後の脳内で様々な炎症性タンパク質が同定されてきた。ADにおいてアミロイド−β(Aβ)タンパク質の沈着は、最終的に局所的な「脳炎症反応」をもたらす一カスケードの事象に先行するという考慮すべき証拠が現在ある。したがって、ADを治療するための治療用抗体がさらなる炎症反応を誘発しないことは特に重要である。
プールされたヒト血漿から精製された高用量の単量体免疫グロブリンG(IgG)、いわゆる静脈注射用免疫グロブリンまたはIVIGが、そのFc断片によって媒介される相互作用を通して抗炎症活性を与えることは、十分に立証されている(Samuelssonら、Science、291:484−486、2001;Kanekoら、J.Exp.Med.203:789−797、2006)。したがって、Fc−FcyR相互作用は免疫複合体および細胞傷害性抗体の炎症誘発性の原因となる一方で、IVIGおよびそのFc断片は抗炎症性であり、炎症性疾患を抑制するために広範に使用される。IgGのグリコシル化、およびより詳細にはシアリル化(Kanekoら、Science、313:670−673、2006)は、IgGの細胞傷害性および炎症性の潜在可能性の調節にきわめて重要なようである:組換えヒトIgGのシアリル化されたFc部分は、IVIGの抗炎症作用に十分である(Anthonyら、Science、320:373−376、2008;WO2007/117505)。末端のシアル酸と末位から2番目のガラクトースとの間の結合は、前記抗炎症活性にきわめて重要なようである(Anthonyら、Science、320:373−376、2008;Anthonyら、Proc Natl Acad Sci U.S.A.、105:19571−19578、2008;WO2007/117505)。
したがって、治療用抗体のシアリル化を最適化することは、ADの治療を改良するのに重要な因子である。実際に、こうした治療において均一に完全にシアリル化された抗体を使用することは、有害な炎症反応を誘発するリスクを最小限にするのに役立つはずである。したがって、均一に完全にシアリル化された組換え治療用抗体を生産する方法を有することは有利なはずである。さらに、組換え抗体の生産において業界にとって鍵となる特徴および課題は、生産性、コスト、均一性、および抗体活性の最適化である。特に、グリコシル化は、組換え治療用抗体の生産のためのきわめて重要な一連の問題を提起する、均一で効力のある組換え治療用抗体の高収率の生産において鍵となる論点であることが知られている。現在の産生細胞株はいずれも、グリコシル化の複雑性および種、組織および部位の特異性を主因とする種々の一連の課題および問題を提示している(例えば、Jefferis、Biotechnol Prog、21(1):11−16、2005を参照されたい。)。したがって、前記方法が、前臨床試験および臨床試験を確実にするのに十分高い生産性を有する、均一に完全にシアリル化された組換え治療用抗体の生産を確実にすることが必要である。
しかし、従来技術の方法は、不均一にもしくは部分的にシアリル化されている抗体および/または臨床試験において使用されるにはあまりに少ない量の抗体を生産するのみである。例えば、糖タンパク質を生産するために、外因性のガラクトシルトランスフェラーゼおよび/またはシアリルトランスフェラーゼ活性を発現する細胞株が使用された。しかし、好適なレベルのシアリル化を達成するために、高い発現レベルのこれらの酵素が必要である。しかし、この場合には、該細胞株の生産性は劇的に低下され、これは、該細胞株が組換え治療用抗体の生産のための宿主細胞としての使用に不適であることを意味する。ガラクトシル化および/またはシアリル化反応は、インビトロでも行われてきた。しかし、この収率は、インビボ試験に十分な完全にシアリル化された抗体の調製を可能にするにはあまりに低すぎた。これは、レクチンアフィニティーカラム上でのシアリル化抗体の選択的濃縮によって改善されなかった。代替的に、生産される抗体のFcドメイン内に変異が導入されてきた。したがって、IgG3抗体のFcドメイン内の多様な部位にアラニン残基が導入されていた。しかし、結果として生じるシアリル化の増加はわずかであって、最高の場合においてわずか30%のジシアリル化されたN−グリカンしか得られなかった(Lundら、J.Immunol.、157:4963−4969、1996;Weikertら、Nature Biotech.、17:1116−1121、1999;Shieldsら、J.Biol.Chem.、276(1):6591−6604、2001;Jassalら、Biochem Biophys Res Commun.、286(2):243−249、2001;Scallonら、Mol.Immunol.、44:1524−1534、2007;Baudinoら、J.Immunol.、181:6664−6669、2008;Hosslerら、Glycobiology、19(9):936−949、2009;WO2007/048122;WO2008/057634;WO2008/065543;WO2009/079382;WO2010/109010)。
したがって、完全にシアリル化されたN−グリカンを示す抗体の高レベルの生産のための方法に対する必要性が依然としてある。
国際公開第2007/068412号 国際公開第2009/065054号 国際公開第2009/048538号 国際公開第2009/052125号 国際公開第2009/074583号 欧州特許出願公開第2224000号明細書 欧州特許出願公開第2226081号明細書 米国特許第6,761,888号明細書 米国特許第6,750,324号明細書 米国特許第7,179,463号明細書 国際公開第2010/130946号 国際公開第2007/117505号 国際公開第2007/048122号 国際公開第2008/057634号 国際公開第2008/065543号 国際公開第2009/079382号 国際公開第2010/109010号
TanziおよびBertram、Cell、120:545−555、2005 Selkoe、J.Neuropathol.Exp.Neurol.53:438−447、1994 BrodyおよびHoltzman、Annu Rev Neurosci、31:175−193、2008 WiniewskiおよびKonietzko、Lancet Neurol、7:805−811、2008 WiniewskiおよびBoutajangout、Brain Struct Funct、214:201−218、2010 Wellerら、Alzheimers Res Ther、1(2):6 Samuelssonら、Science、291:484−486、2001 Kanekoら、J.Exp.Med.203:789−797、2006 Kanekoら、Science、313:670−673、2006 Anthonyら、Science、320:373−376、2008 Anthonyら、Proc Natl Acad Sci U.S.A.、105:19571−19578、2008 Jefferis、Biotechnol Prog、21(1):11−16、2005 Lundら、J.Immunol.、157:4963−4969、1996 Weikertら、Nature Biotech.、17:1116−1121、1999 Shieldsら、J.Biol.Chem.、276(1):6591−6604、2001 Jassalら、Biochem Biophys Res Commun.、286(2):243−249、2001 Scallonら、Mol.Immunol.、44:1524−1534、2007 Baudinoら、J.Immunol.、181:6664−6669、2008 Hosslerら、Glycobiology、19(9):936−949、2009
(発明の要旨)
従来技術の方法では、医薬製品の開発に見合った量で広範囲にシアリル化された抗体を生産することが可能ではない。βガラクトシルトランスフェラーゼおよび/またはシアリルトランスフェラーゼを過剰発現する細胞株におけるIgG抗体の発現は、きわめて低い生産性の条件においてのみシアリル化抗体をもたらすことが本発明者らによって観察された。同様に、通常の細胞株における、Fcドメイン内で変異された抗体の発現は、きわめて不均一なシアリル化パターンを有する抗体組成物をもたらす。
本発明者らは、βガラクトシルトランスフェラーゼおよびシアリルトランスフェラーゼ活性を発現する宿主細胞においてFcドメイン内に変異を有する抗体を発現させることによって高収率の広範囲にシアリル化されたIgG抗体を得ることが可能であることをいまや示した。本発明の方法によって得られる抗体は、均一なグリコフォームを示し、前記グリコフォームは、本質的に複合二分岐型(complex,bi−antennary form)であるN−グリカンを含み、このとき、オリゴ糖の枝は双方とも1つのシアル酸残基を有する。
本発明によれば、「広範囲にシアリル化された」とは、該抗体のFcドメインが有するN−グリカンのうちの少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、さらに最も好ましくは少なくとも97%または最も好ましくは少なくとも99%が、オリゴ糖鎖によって2つのシアル酸残基を含むことを意味する。
本発明の第1の態様は、IgG抗体を生産する方法に関し、ここで、前記抗体のうちの少なくとも80%は、該抗体の各Fcドメインに結合された、2つのシアル酸残基を含有する、複合二分岐オリゴ糖を含み、前記方法は、以下のステップ、
a)前記抗体の前記Fcドメイン内に変異を導入するステップ、および
b)ステップa)で得られた変異抗体を、β−ガラクトシルトランスフェラーゼおよびシアリルトランスフェラーゼ活性を発現する細胞株において発現させるステップ
を含む。
特定の一実施形態において、β−ガラクトシルトランスフェラーゼはβ−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼであり、シアリルトランスフェラーゼはα−2,6−シアリルトランスフェラーゼである。別の特定の一実施形態において、β−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼは、配列番号35によって表されるポリヌクレオチド配列によってコードされ、α−2,6−シアリルトランスフェラーゼは、配列番号33によって表されるポリヌクレオチド配列によってコードされる。別の特定の一実施形態において、前記シアル酸残基は、α−2,6−結合によって抗体に連結されている。
別の特定の一実施形態において、該抗体はモノクローナル抗体である。別の特定の一実施形態において、該抗体はヒト化抗体である。
別の特定の一実施形態において、前記変異は、F243、V264およびD265からなる群から選択されるアミノ酸に影響を及ぼす。別の特定の一実施形態において、前記変異は、F243A、V264AおよびD265Aからなる群から選択される。別の特定の一実施形態において、前記変異はD265Aである。
別の特定の一実施形態において、前記抗体は、IgG4のFcドメインを含む。
別の特定の一実施形態において、前記抗体は、前原線維型のペプチドAβを特異的に結合する。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号9、11、13、15、17および19から選択される配列と同一の配列を有するポリヌクレオチドによって、または配列番号9、11、13、15、17および19のうちの1つである前記配列と1、2、3、4または5つのヌクレオチドによって異なる配列を有するポリヌクレオチドによってコードされる少なくとも1つのCDRを有する。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号10、12、14、16、18および20から選択される1つの配列と同一の配列を示す少なくとも1つのCDRを有する。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、その結合特異性を保持したままで、前記配列と1または2つのアミノ酸残基によって異なる少なくとも1つのCDRを有する。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号9、11、13、15、17および19のヌクレオチド配列によって、または配列番号9、11、13、15、17および19の前記配列と1、2、3、4または5つのヌクレオチドのみによって異なっている配列によって、コードされるCDRを含む。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号10、12、14、16、18および20によって表される配列と同一の配列を有する6つのCDRを含む。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号9、11、13、31、17および19のヌクレオチド配列によって、または配列番号9、11、13、31、17および19の前記配列と1、2、3、4または5つのヌクレオチドのみによって異なっている配列によって、コードされるCDRを含む。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号10、12、14、32、18および20によって表される配列と同一の配列を有する6つのCDRを含む。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号9、11、29、31、17および19のヌクレオチド配列によって、または配列番号9、11、29、31、17および19の前記配列と1、2、3、4または5つのヌクレオチドのみによって異なっている配列によって、コードされるCDRを含む。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号10、12、30、32、18および20によって表される配列と同一の配列を有する6つのCDRを含む。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号5によって表される配列または配列番号27によって表される配列と少なくとも80%の同一性を示すポリヌクレオチド配列によってコードされるVを含む。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号6によって表される配列または配列番号28によって表される配列と少なくとも80%の同一性を有する配列を有するVを含む。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号7によって表される配列または配列番号23によって表される配列と少なくとも80%の同一性を示すポリヌクレオチド配列によってコードされるVを含む。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号8によって表される配列または配列番号24によって表される配列と少なくとも80%の同一性を有する配列を有するVを含む。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号5によって表されるポリヌクレオチド配列または配列番号27によって表されるポリヌクレオチド配列によってコードされるVを含む。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号6によって表される配列または配列番号28によって表される配列を有するVを含む。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号7によって表されるポリヌクレオチド配列または配列番号23によって表されるポリヌクレオチド配列によってコードされるVを含む。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号8によってまたは配列番号24によって表される配列を有するVを含む。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号5および7のポリヌクレオチド配列によってコードされる配列を含む。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号6および8によって表されるアミノ酸配列を含む。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号5および23のポリヌクレオチド配列によってコードされる配列を含む。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号6および24によって表されるアミノ酸配列を含む。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号27および23のポリヌクレオチド配列によってコードされる配列を含む。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号28および24によって表されるアミノ酸配列を含む。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号1または配列番号25によって表される配列と少なくとも80%の同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる重鎖を含む。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号2または配列番号26によって表される配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖を含む。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号3または配列番号21によって表される配列と少なくとも80%の同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を含む。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号4または配列番号22によって表される配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号1および3によって表されるポリヌクレオチド配列によってコードされる配列を含む。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号2および4によって表されるアミノ酸配列を有する。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号1および21によって表されるポリヌクレオチド配列によってコードされる配列を含む。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号2および22によって表されるアミノ酸配列を有する。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号25および21によって表されるポリヌクレオチド配列によってコードされる配列を含む。別の特定の一実施形態において、前記抗体は、配列番号26および22によって表されるアミノ酸配列を有する。
本発明の第2の態様は、上記の方法によって生産される抗体に関する。
本発明の第3の態様は、上記の抗体を含む医薬組成物に関する。
本発明の第4の態様は、医薬としての使用のための上記の抗体に関する。
本発明の第5の態様は、アルツハイマー病のような、アミロイド斑形成を伴う疾患の治療における使用のための上記の抗体に関する。
本発明の第6の態様は、IgG抗体を含む組成物に関し、ここで、前記抗体のうちの少なくとも80%は、前記抗体の各Fcドメインを結合された複合二分岐オリゴ糖を含み、前記オリゴ糖は、2つのシアル酸残基を含み、このとき、該Fcドメインは、天然配列のヒトIgGのFcドメインと異なるアミノ配列を含む。
特定の一実施形態において、前記シアル酸残基は、α−2,6−結合によって抗体に連結されている。
別の特定の一実施形態において、該組成物の抗体は、アミノ酸243、264および265位のうちのいずれか1つ以上におけるアミノ酸置換を含み、例えば、F243A、V264AおよびD265Aからなる群から選択される1つの置換など、特にD265A置換を含む。
2種のN−グリカンの構造、G0FおよびG2F+2NeuNAcを示した図である。各単糖、すなわち、フコース、N−アセチルグルコサミン、マンノース、ガラクトースおよびN−アセチルノイラミン酸ごとに標準的なピクトグラムを使用して、N−グリカンの単糖組成物が示されている。 SIAT1をコードする発現プラスミドpXL4555のマップを示した図である。 B4GT1をコードする発現プラスミドpXL4551のマップを示した図である。 発現プラスミドpXL4555からの発現のためのSIAT1の核酸配列(配列番号33)を示した図である。 発現プラスミドpXL4555からの発現のためのSIAT1のアミノ酸配列(配列番号34)を示した図である。 発現プラスミドpXL4551からの発現のためのB4GT1の核酸配列(配列番号35)を示した図である。 発現プラスミドpXL4551からの発現のためのB4GT1のアミノ酸配列(配列番号36)を示した図である。 antiAbeta_13C13 mAbの軽鎖(LC)をコードする発現プラスミドpXL4808のマップを示した図である。 antiAbeta_13C13 mAbの重鎖(HC)をコードする発現プラスミドpXL4792のマップを示した図である。 AntiAbeta_13C3_D257Aの改変HCをコードする発現プラスミドpXL5105のマップを示した図である。 AntiAbeta_13C3_F235A mAbの改変HCをコードする発現プラスミドpXL5111のマップを示した図である。 AntiAbeta_13C3_V256A mAbの改変HCをコードする発現プラスミドpXL5132のマップを示した図である。 発現プラスミドpXL4808からの発現のためのLC antiAbeta_13C13 mAbの核酸配列(配列番号39)を示した図である。 発現プラスミドpXL4808からの発現のためのLC antiAbeta_13C13 mAbのアミノ酸配列(配列番号40)を示した図である。 発現プラスミドpXL4792からの発現のためのHC antiAbeta_13C13 mAbの核酸配列(配列番号37)を示した図である。 発現プラスミドpXL4792からの発現のためのHC antiAbeta_13C13 mAbのアミノ酸配列(配列番号38)を示した図である。 発現プラスミドpXL5105からの発現のためのHC antiAbeta_13C13_D257A mAbの核酸配列(配列番号45)を示した図である。 発現プラスミドpXL5105からの発現のためのHC antiAbeta_13C13_D257A mAbのアミノ酸配列(配列番号46)を示した図である。 発現プラスミドpXL5111からの発現のためのHC antiAbeta_13C13_F235A mAbの核酸配列(配列番号41)を示した図である。 発現プラスミドpXL5111からの発現のためのHC antiAbeta_13C13_F235A mAbのアミノ酸配列(配列番号42)を示した図である。 発現プラスミドpXL5132からの発現のためのHC antiAbeta_13C13_V256A mAbの核酸配列(配列番号43)を示した図である。 発現プラスミドpXL5132からの発現のためのHC antiAbeta_13C13_V256A mAbのアミノ酸配列(配列番号44)を示した図である。 グリコシルトランスフェラーゼの異なる発現レベルにおいて産生されたAntiAbeta_13C3 mAbについての質量分析データを示した図である。バッチLP10081。 グリコシルトランスフェラーゼの異なる発現レベルにおいて産生されたAntiAbeta_13C3 mAbについての質量分析データを示した図である。バッチLP10082。 グリコシルトランスフェラーゼの異なる発現レベルにおいて産生されたAntiAbeta_13C3 mAbについての質量分析データを示した図である。バッチLP10084。 グリコシルトランスフェラーゼの異なる発現レベルにおいて産生されたAntiAbeta_13C3 mAbについての質量分析データを示した図である。バッチLP10086。 シアリル化されたmAbについての質量分析データを示した図である。AntiAbeta_13C3(バッチLP10088)のスペクトル。 シアリル化されたmAbについての質量分析データを示した図である。AntiAbeta_13C3_V256A(バッチLP10091)のスペクトル。 シアリル化されたmAbについての質量分析データを示した図である。AntiAbeta_13C3_D257A(バッチLP10094)のスペクトル。 シアリル化されたmAbについての質量分析データを示した図である。AntiAbeta_13C3_F235A(バッチLP10097)のスペクトル。 シアリル化されたmAbについての質量分析データを示した図である。図12Aのズームイン。 N−グリカン中のα−2,3シアル酸に特異的なレクチンMAAに対するAntiAbeta_13C3 mAbバリアント(バッチLP10088、LP10091、LP10094、LP10097)の反応性を示した図である。 N−グリカン中のα−2,6シアル酸に特異的なレクチンSNAに対するAntiAbeta_13C3 mAbバリアント(バッチLP10088、LP10091、LP10094、LP10097)の反応性を示した図である。 グリコシルトランスフェラーゼであるSIAT1およびB4GT1の存在下でCHO内で産生されたAntiAbeta_13C3_D257A mAbのレクチンMAAに対する反応性を示した図である。 グリコシルトランスフェラーゼであるSIAT1およびB4GT1の存在下でCHO内で産生されたAntiAbeta_13C3_D257A mAbのレクチンSNAに対する反応性を示した図である。 SIGN−R1に対するα−2,6シアリル化antiAbeta_13C3_D257Aの反応性を示した図である。SIGN−R1:Fcに対するELISA(コーティング:SIGN−R1:Fc[R&D Systems];2次抗体:抗mKappa−HRP)。 SIGN−R1に対するシアリル化antiAbeta_13C3バリアントの反応性を示した図である。SIGN−R1:Fcに対するELISA(コーティング:SIGN−R1:Fc[R&D Systems];2次抗体:抗mKappa−HRP)。B4GT1およびSIAT1またはSIAT6グリコシルトランスフェラーゼなしまたはありで産生されたAntiAbeta_13C3およびAntiAbeta_13C3_D257A(バッチVA111018、VA111019、VA111026、VA111027およびVA111033)。 SIGN−R1に対するα−2,6シアリル化antiAbeta_13C3バリアントの反応性を示した図である。SIGN−R1:Fcに対するELISA(コーティング:SIGN−R1:Fc[R&D Systems];2次抗体:抗mKappa−HRP)。B4GT1およびSIAT1グリコシルトランスフェラーゼなしまたはありで産生されたAntiAbeta_13C3、AntiAbeta_13C3_D257A、AntiAbeta_F235AおよびAntiAntiAbeta_V256A mAbバリアント(バッチVA111018からVA111029)。 X=A、K、L、GまたはSである、ヒト化されたantiAbeta_13C13_IgG4_D260X mAbの軽鎖(LC)をコードする発現プラスミドpXL4973のマップを示した図である。 ヒト化されたantiAbeta_13C13_IgG4 mAbの重鎖(HC)をコードする発現プラスミドpXL4979のマップを示した図である。 X=A、K、L、GまたはSである、ヒト化されたantiAbeta_13C13_D260X mAbのLCの核酸配列(配列番号3)およびアミノ酸配列(配列番号4)を示した図である。 X=A、K、L、GまたはSである、ヒト化されたantiAbeta_13C13_D260X mAbのLCの核酸配列(配列番号3)およびアミノ酸配列(配列番号4)を示した図である。 ヒト化されたantiAbeta_13C13_IgG4 mAbのHCの核酸配列(配列番号1)およびアミノ酸配列(配列番号2)を示した図である。 ヒト化されたantiAbeta_13C13_IgG4 mAbのHCの核酸配列(配列番号1)およびアミノ酸配列(配列番号2)を示した図である。 ヒト化されたantiAbeta_13C13_IgG4_D260A mAbのHCの核酸配列(配列番号47)およびアミノ酸配列(配列番号48)を示した図である。 ヒト化されたantiAbeta_13C13_IgG4_D260A mAbのHCの核酸配列(配列番号47)およびアミノ酸配列(配列番号48)を示した図である。 ヒト化されたantiAbeta_13C13_IgG4_D260K mAbのHCの核酸配列(配列番号53)およびアミノ酸配列(配列番号54)を示した図である。 ヒト化されたantiAbeta_13C13_IgG4_D260K mAbのHCの核酸配列(配列番号53)およびアミノ酸配列(配列番号54)を示した図である。 ヒト化されたantiAbeta_13C13_IgG4_D260L mAbのHCの核酸配列(配列番号51)およびアミノ酸配列(配列番号52)を示した図である。 ヒト化されたantiAbeta_13C13_IgG4_D260L mAbのHCの核酸配列(配列番号51)およびアミノ酸配列(配列番号52)を示した図である。 ヒト化されたantiAbeta_13C13_IgG4_D260G mAbのHCの核酸配列(配列番号49)およびアミノ酸配列(配列番号50)を示した図である。 ヒト化されたantiAbeta_13C13_IgG4_D260G mAbのHCの核酸配列(配列番号49)およびアミノ酸配列(配列番号50)を示した図である。 発現のためのヒト化されたantiAbeta_13C13_IgG4_D260S mAbのHCの核酸配列(配列番号55)およびアミノ酸配列(配列番号56)を示した図である。 発現のためのヒト化されたantiAbeta_13C13_IgG4_D260S mAbのHCの核酸配列(配列番号55)およびアミノ酸配列(配列番号56)を示した図である。 シアリル化されたmAbについての質量分析データを示した図である。AntiAbeta_13C3_IgG4(バッチVA1−11051)のスペクトル。 シアリル化されたmAbについての質量分析データを示した図である。AntiAbeta_13C3_D260S(バッチVA1−11052)のスペクトル。 シアリル化されたmAbについての質量分析データを示した図である。AntiAbeta_13C3_D260G(バッチVA1−11053)のスペクトル。 シアリル化されたmAbについての質量分析データを示した図である。AntiAbeta_13C3_D260L(バッチVA1−11054)のスペクトル。 シアリル化されたmAbについての質量分析データを示した図である。AntiAbeta_13C3_D260K(バッチVA1−11055)のスペクトル。 シアリル化されたmAbについての質量分析データを示した図である。AntiAbeta_13C3_D260A(バッチVA1−11056)のスペクトル。 N−グリカン中のα−2,3シアル酸に特異的なレクチンMAAに対するAntiAbeta_13C3_IgG4_D260X mAbバリアント(バッチ)の反応性を示した図である。白ひし形:AntiAbeta_13C3_IgG4(バッチVA1−11051);黒ひし形:AntiAbeta_13C3_D260S(バッチVA1−11052);白丸:AntiAbeta_13C3_D260G(バッチVA1−11053);白三角形:AntiAbeta_13C3_D260L(バッチVA1−11054);白正方形:AntiAbeta_13C3_D260K(バッチVA1−11055);黒三角形:AntiAbeta_13C3_D260A(バッチVA1−11056);実線:B4GT1およびSIAT1グリコシルトランスフェラーゼありで産生されたAntiAbeta_13C3_D257A(バッチLP10104);点線:B4GT1およびSIAT6グリコシルトランスフェラーゼありで産生されたAntiAbeta_13C3_D257A(バッチVA−111033)。点線+黒丸小:AntiAbeta_13C3_D257A(バッチLP10106)。 N−グリカン中のα−2,6シアル酸に特異的なレクチンSNAに対するAntiAbeta_13C3_IgG4_D260X mAbバリアント(バッチ)の反応性を示した図である。白ひし形:AntiAbeta_13C3_IgG4(バッチVA1−11051);黒ひし形:AntiAbeta_13C3_D260S(バッチVA1−11052);白丸:AntiAbeta_13C3_D260G(バッチVA1−11053);白三角形:AntiAbeta_13C3_D260L(バッチVA1−11054);白正方形:AntiAbeta_13C3_D260K(バッチVA1−11055);黒三角形:AntiAbeta_13C3_D260A(バッチVA1−11056);実線:B4GT1およびSIAT1グリコシルトランスフェラーゼありで産生されたAntiAbeta_13C3_D257A(バッチLP10104);点線:B4GT1およびSIAT6グリコシルトランスフェラーゼありで産生されたAntiAbeta_13C3_D257A(バッチVA−111033)。点線+黒丸小:AntiAbeta_13C3_D257A(バッチLP10106)。 ヒトおよびネズミ(murine)のアイソタイプからのIgG定常ドメインの配列アライメントを示した図である。F243、V264、およびD265の部位は、囲み線で強調されている。hIgG1(配列番号57)は、SwissProt登録番号IGHG1_HUMANに記載されているような、ヒトIgG1の定常ドメインに相当する。hIgG2(配列番号58)は、ヒトIgG2の定常ドメインに相当する。hIgG4(配列番号59)は、SwissProt登録番号IGHG4_HUMANに記載されているような、ヒトIgG4の定常ドメインに相当する。hIgG4−PE(配列番号60)は、228位のセリンからプロリンへの置換および235位のロイシンからグルタミン酸への置換を有する、ヒトIgG4の定常ドメインに相当する。mIgG1(配列番号61)は、BALBcマウスから生成されたハイブリドーマから単離された、マウスIgG1の定常ドメインに相当する。mIgG2a(配列番号62)は、マウスIgG2aの定常ドメインに相当する。mIgG3(配列番号63)は、マウスIgG3の定常ドメインに相当する。
本発明は、IgG抗体を生産する方法に関し、ここで、前記抗体のうちの少なくとも80%は、該抗体の各Fcドメインに結合された、2つのシアル酸残基を含有する、複合二分岐オリゴ糖を含み、前記方法は、以下のステップ、
a)前記抗体の前記Fcドメイン内に変異を導入するステップ、および
b)ステップa)で得られた変異抗体を、β−ガラクトシルトランスフェラーゼおよびシアリルトランスフェラーゼ活性を発現する細胞株において発現させるステップ
を含む。
IgG免疫グロブリンは、2本の各重鎖上のCH2ドメイン内のAsn297に単一のN−結合型グリカンを含有し、この構造は図1に図示されている。本明細書中で使用される場合、「N−グリカン」という用語は、N−結合型オリゴ糖を指し、例えば、アスパラギン−N−アセチルグルコサミン結合によってポリペプチドのアスパラギン残基に結合されたものを指す。N−グリカンは、Man3GlcNAc2(「Man」はマンノースを指す;GlcNAcはN−アセチルグルコサミンを指す。)の一般的な五糖のコアを有する。
N−グリカンは、Man3コア構造に結合された末梢の糖(例えば、GlcNAc、ガラクトース、フコース、およびシアル酸)を含む枝(分岐(antennae))の数および性質に関して異なる。N−グリカンは、枝分かれしたそれらの構成成分によって分類される(例えば、高マンノース型、複合型または混成型)。「複合二分岐」型N−グリカンは、典型的には、トリマンノースコアの1,3マンノース枝に結合された少なくとも1つのGlcNAcおよび1,6マンノース枝に結合された少なくとも1つのGlcNAcを有する。複合二分岐N−グリカンは、「バイセクティング」GlcNAcおよびコアフコース(「Fuc」)を含む鎖内の置換も有していてもよい。「バイセクティングGlcNAc」は、成熟したコア炭水化物構造のβ−1,4−マンノースに結合されたGlcNAc残基である。
複合二分岐N−グリカンは、シアル酸を用いて場合によって修飾されるガラクトース(「Gal」)残基も有していてもよい。オリゴ糖鎖へのシアル酸付加は、シアリルトランスフェラーゼによって触媒されるが、ガラクトシルトランスフェラーゼによって末端N−アセチルグルコサミンに1つ以上のガラクトース残基が先に結合されていることを必要とする。本発明による「シアル酸」は、5−N−アセチルノイラミン酸(NeuNAc)および5−グリコリルノイラミン酸(NeuNGc)の双方を包含する。
したがって、分泌されたIgGは、糖残基であるフコース、ガラクトース、シアル酸、およびバイセクティングN−アセチルグルコサミンの多様な付加を示しているグリコフォームの不均一な混合物である。
該シアル酸残基は、ガラクトース残基に、したがって抗体に、α−2,3−結合またはα−2,6−結合を介して連結されていてもよい。Fcドメイン内にα−2,6シアリル化N−グリカンを有する抗体は抗炎症活性を有することが示されている(Kanekoら、Science、313:670−673、2006;Jefferis、Nature Biotechnol.、24(10):1230−1231、2006;Anthonyら、Proc Natl Acad Sci U.S.A.、105:19571−19578、2008;Anthonyら、Science、320:373−376、2008)。本発明の一実施形態において、2つのシアル酸残基は、α−2,6−結合を介して抗体に結合される。
「抗体」という用語は、本明細書中で最も広義に使用され、詳細には、IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEなどのあらゆるアイソタイプのモノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む。)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体、キメラ抗体ならびに抗体断片を包含する。特定の抗原と反応性の抗体は、ファージまたは同様のベクター内の組換え抗体のライブラリーの選択のような組換え法によって、または抗原もしくは抗原をコードする核酸で動物を免疫化することによって、生成され得る。
「ポリクローナル抗体」は、1種以上の他の同一でない抗体の中でまたは存在下で産生された抗体である。一般に、ポリクローナル抗体は、同一でない抗体を産生している他の数種のBリンパ球の存在下で1種のBリンパ球から産生される。通常、ポリクローナル抗体は、免疫化された動物から直接得られる。
本明細書中で使用される場合、「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体である、すなわち、この集団を形成している抗体は、少量で存在する可能性がある自然に生じ得る変異を除いて本質的に同一である。これらの抗体は、単一のエピトープに指向され、したがって、高度に特異的である。
「エピトープ」は、抗体が結合する、抗原上の部位である。これは、隣接残基によって、または抗原タンパク質のフォールディングによって近くに連れてこられる非隣接残基によって形成され得る。隣接アミノ酸によって形成されるエピトープは、変性溶媒への曝露において典型的には保持されるのに対して、非隣接アミノ酸によって形成されるエピトープは、前記曝露下で典型的には消失する。
好ましくは、本発明の抗体は、モノクローナル抗体である。
典型的な抗体は、ジスルフィド結合によって連結された2本の同一の重鎖および2本の同一の軽鎖からなる。それぞれの重鎖および軽鎖は、定常領域および可変領域を含有する。それぞれの可変領域は、「相補性決定領域」(「CDR」)または「高頻度可変領域」と呼ばれる3つのセグメントを含有し、これらは、主に、抗原のエピトープを結合するのに役割を果たしている。これらは、通常、CDR1、CDR2およびCDR3と呼ばれ、N末端から順番に番号付けされている(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、National Institute of Health、Bethesda、MD、1991を参照されたい。)。より高度に保存された可変領域の部分は、「フレームワーク領域」と呼ばれる。
本明細書中で使用される場合、「VH」は、抗体の免疫グロブリン重鎖の可変領域を指し、重鎖のFv、scFv、dsFv、Fab、Fab’またはF(ab’)2断片を含む。「VL」に対する言及は、抗体の免疫グロブリン軽鎖の可変領域を指し、軽鎖のFv、scFv、dsFv、Fab、Fab’またはF(ab’)2断片を含む。
抗体定常ドメインは、抗体を抗原に結合させることに直接関与しないが、多様なエフェクター機能を示す。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常領域は、それぞれα、δ、ε、γおよびμと呼ばれる。これらの重鎖の定常領域のアミノ酸配列に依存して、抗体または免疫グロブリンは、異なるクラス、すなわち、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMに割り当てられ得、これらのうちのいくつかは、さらにサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4;IgA1およびIgA2に分けられ得る(W.E.Paul編、1993、Fundamental Immunology、Raven Press、New York、New Yorkを参照されたい。)。
抗体のパパイン消化は、それぞれ単一の抗原結合部位を有する、Fab断片と呼ばれる、2つの同一の抗原結合性断片、および残りの1つの「Fc」断片を生じる。ヒトIgGのFcドメインの結晶構造は決定されている(Deisenhofer、Biochemistry、20、2361−2370、1981)。本明細書および特許請求の範囲の中で使用される場合、「免疫グロブリンFcドメインまたはFc」とは、免疫グロブリン重鎖定常領域のカルボキシル末端部分を意味する。本明細書中で使用される場合、「天然配列のFcドメイン」は、自然界で見出されるFcドメインのアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。天然配列のヒトFcドメインは、天然配列のヒトIgG1のFcドメイン(A以外およびAアロタイプ);天然配列のヒトIgG2のFcドメイン;天然配列のヒトIgG3のFcドメイン;および天然配列のヒトIgG4のFcドメインならびに天然に存在するこれらのバリアントを含む。
免疫グロブリン重鎖のFcドメインの境界は変動し得るが、ヒトIgG重鎖のFcドメインは、通常、ヒンジ領域内のCys226位またはPro230位のアミノ酸残基から、重鎖のCH2およびCH3ドメインを含有するそれらのカルボキシル末端までのストレッチと定義される。本明細書および特許請求の範囲の全体にわたり、免疫グロブリン重鎖中の残基のナンバリングは、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版 Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD(1991)にあるようなEUインデックスのものである。「KabatにあるようなEUインデックス」とは、ヒトIgG1のEU抗体の残基ナンバリングを指す。
「ヒンジ領域」という用語は、一般に、ヒトIgG1のGlu216からPro230までのストレッチとして定義される(Burton、Mol Immunol、22:161−206、1985)。他のIgGアイソタイプのヒンジ領域は、同一部位において重鎖間S−S結合を形成している最初および最後のシステイン残基を配置することによってIgG1配列とアライメントされ得る。ヒトIgGのFc部分の「CH2ドメイン」(「Cγ2」ドメインとも呼ばれる。)は、通常、アミノ酸231付近からアミノ酸340付近までに及ぶ。CH2ドメインは、もう1つのドメインと密接に対にならないことにおいて独特である。むしろ、全長の天然IgG分子の2つのCH2ドメインの間に、2本のN−結合型分枝状炭水化物鎖が介在している。この炭水化物は、ドメイン−ドメイン対形成のための置換を可能にしてCH2ドメインを安定化するのを補助し得ることが推測されている(Burton、Mol Immunol、22:161−206、1985)。「CH3ドメイン」は、Fc部分内のC末端からCH2ドメインまでの残基(すなわち、IgGのアミノ酸残基341付近からアミノ酸残基447付近まで)のストレッチを含む。
Fcドメインは、免疫グロブリンの生物学的機能を決定するのに中心的であり、これらの生物学的機能は、「エフェクター機能」と呼ばれる。これらのFcドメインを介した活性は、キラー細胞、ナチュラルキラー細胞および活性化されたマクロファージなどの免疫学的エフェクター細胞、または多様な補体成分によって媒介される。これらのエフェクター機能は、抗体のFcドメインが前記受容体にまたは補体成分に結合することを通した、前記エフェクター細胞の表面上の受容体の活性化を必要とする。抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)活性および補体依存性細胞傷害(CDC)活性は、エフェクター細胞のFcγRI、FcγRII、FcγRIIIなどのFc受容体またはC1qなどの補体成分に対するFcドメインの結合を必要とする。多様なヒト免疫グロブリンクラスのうち、ヒトIgG1およびIgG3は、IgG2およびIgG4よりも有効にADCCを媒介する。
本発明による抗体は、Fcドメイン内に変異を含む。有利には、前記変異を有するFcドメインは、天然配列のFcドメインよりも多いシアル酸残基を含む。好ましくは、前記変異は、F243、V264およびD265からなる群から選択されるアミノ酸に影響を及ぼす。より好ましくは、前記アミノ酸は、アラニン(A)、グリシン(G)、ロイシン(L)およびリシン(K)からなる群から選択されるアミノ酸によって置換されている。さらにより好ましくは、前記変異は、F243A、V264A、D265A、D265G、D265LおよびD265Kからなる群から選択される。さらにより好ましくは、前記変異は、D265A、D265G、D265LおよびD265Kからなる群から選択される。さらにより好ましくは、前記変異は、D265A、D265KおよびD265Lからなる群から選択される。
上記のアミノ酸部位は、Kabatら(Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、National Institute of Health、Bethesda、MD、1991)に記載のEUナンバリングに示されている部位と一致する。このEUナンバリングは、発明を実施するための形態の全体にわたっておよび特許請求の範囲の全体にわたって使用されている。しかし、実施例において、該アミノ酸部位は、時に、ネズミ13C3抗体のまたはヒト化13C3抗体の配列上のその位置を参照することによって示されている。全体として本明細書に鑑みて変異の部位は当業者にすぐに明らかであるが、下表および図27は便宜のために示されている。
Figure 2014508759
本発明の骨組みにおいて、該Fcドメインは、例えば、(例えば、配列番号57の)ヒトIgG1のFcドメイン、(例えば、配列番号58の)ヒトIgG2のFcドメイン、ヒトIgG3ドメイン(例えば、Lundら、J.Immunol.、157:4963−4969、1996を参照されたい。)、(例えば、配列番号59のまたは配列番号60の)ヒトIgG4のFcドメイン、(例えば、配列番号61の)ネズミIgG1のFcドメイン、(例えば、配列番号62の)ネズミIgG2aのFcドメイン、または(例えば、配列番号63の)ネズミIgG3のFcドメインであってもよい。該Fcドメインは、天然に存在するFcドメインと一致していてもよく、または抗体のエフェクター機能を増大または低下させるためおよび/もしくは抗体の半減期を増大させるために遺伝子操作によって変異が導入されているFcドメインと一致していてもよい。こうした変異は、当業者によく知られている。
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、発現される抗体のFcドメイン内に変異を導入する予備的なステップを含む。これは、当業者に知られている任意の好適な方法、例えば、オリゴヌクレオチド媒介性部位特異的変異導入、カセット変異導入、エラープローンPCR、DNAシャフリング、またはE.コリ(E.coli)の突然変異誘発株などを用いて行われ得る(「Phage Display of Peptides and Proteins」、Kayら編、Academic Press中のVaughanら、Nature Biotech、16:535−539、1998;Adeyら、1996、第16章、277−291頁)。
一実施形態において、本発明の方法において生産される抗体は、ヒト化抗体である。
本明細書中で使用される場合、「ヒト化抗体」という用語は、ヒト以外の免疫グロブリンに由来する最小の配列を含有するキメラ抗体を指す。本明細書中で使用される場合、「キメラ抗体」は、可変領域が、別の種の定常領域、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属している定常領域に連結されるように、定常領域、またはこの一部が、変更、置換、または交換された抗体である。「キメラ抗体」は、定常領域が、別の種の可変領域、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属している可変領域に連結されるように、可変領域、またはこの一部が、変更、置換、または交換された抗体も指す。
ヒト化の目標は、ヒトに導入するために、抗体の完全な抗原結合親和性および特異性を維持したままで、ネズミ抗体のような、異種の抗体の免疫原性を低下させることである。ヒト化抗体、または他の哺乳動物によって拒絶されないように構成された抗体は、リサーフェシングおよびCDRグラフティングのようないくつかの技術を使用して生産され得る。本明細書中で使用される場合、リサーフェシング技術は、分子モデル化、統計解析および変異導入の組合せを使用して、抗体可変領域の非CDR表面を、標的ホストの既知の抗体の表面に似たように変更する。
抗体のリサーフェシングのための戦略および方法、および別の宿主内での抗体の免疫原性を低下させるための他の方法は、参照により本明細書にその全体を組み込む、米国特許第5,639,641号に開示されている。簡単に説明すると、特定の一方法において、(1)すべての可変領域についてのアライメント部位が少なくとも約98%同一である一セットの重鎖および軽鎖の可変領域フレームワーク表面露出部位を示すために、抗体の重鎖および軽鎖の可変領域のプールの部位アライメントが生成される;(2)げっ歯動物の抗体(またはこの断片)について、一セットの重鎖および軽鎖の可変領域フレームワーク表面露出アミノ酸残基が定義される;(3)げっ歯動物の表面露出アミノ酸残基の該セットと最も近く同一である一セットの重鎖および軽鎖の可変領域フレームワーク表面露出アミノ酸残基が同定される;(4)げっ歯動物抗体の相補性決定領域のあらゆる残基のあらゆる原子の5A内にあるアミノ酸残基を除いて、ステップ(2)において定義された重鎖および軽鎖の可変領域フレームワーク表面露出アミノ酸残基のセットが、ステップ(3)において同定された重鎖および軽鎖の可変領域フレームワーク表面露出アミノ酸残基のセットで置換される;ならびに(5)結合特異性を有するヒト化げっ歯動物抗体が産生される。
可変的な残基の同定に基づいた、抗体のヒト化のもう1つの方法は、PCT出願WO2009/032661に記載されている。前記方法は、以下のステップを含む:(1)親モノクローナル抗体の同一性モデルを構築して分子動力学シミュレーションを行うステップ;(2)可変的な残基を分析して、ヒト以外の抗体分子の最も可変的な残基を同定するステップ、ならびに不均一性のまたは分解反応の源である可能性の高い残基またはモチーフを同定するステップ(3)親抗体と最も類似した認識領域の集合を示すヒト抗体を同定するステップ;(4)変異導入される可変的な残基を決定するステップ、不均一性および分解の源である可能性の高い残基またはモチーフも変異導入される;ならびに(5)既知のT細胞またはB細胞のエピトープの存在を確認するステップ。可変的な残基は、シミュレーションの時間にわたるタンパク質原子との水溶媒の相互作用を説明する、陰溶媒モデルを使用して分子動力学の計算を用いて見出され得る。
抗体は、CDRグラフティング(EP0 239 400;WO91/09967;米国特許第5,530,101号;および第5,585,089号)、ベニヤリングまたはリサーフェシング(EP0 592 106;EP0 519 596;Padlan E.A.、1991、Mol Immunol、28(4/5):489−498;Studnicka G.M.ら、1994、Protein Engineering 7(6):805−814;Roguska M.A.ら、1994、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、91:969−973)および鎖シャフリング(米国特許第5,565,332号)を含む多様な他の技術を使用してヒト化され得る。
一態様において、本発明の抗体は、前原線維型のペプチドA−β、すなわち、高分子量のペプチド、に特異的に結合する、IgGアイソタイプのヒト化抗体である。より好ましくは、本発明の抗体は、200、300、400または500kDa以上の分子量を有するペプチドA−βに結合する。
本発明は、低下されたエフェクター機能を有するヒト化抗体にも関し、これは、微小出血のような、有害作用の減少を可能にする。一実施形態において、本発明の抗体は、いかなるエフェクター機能も有さない。別の一実施形態において、本発明の抗体は、IgG4のFcドメインを含む。なおさらなる一実施形態において、本発明の抗体のIgG4のFcドメインは、半分の分子の産生を減少させる1つ以上の変異を含有する。別のさらなる一実施形態において、前記抗体のFcドメインは、前記抗体のエフェクター機能の低下をもたらす少なくとも1つの変異を有する。
好ましくは、本発明の抗体は、配列番号9、11、13、15、17および19から選択される配列と同一の配列を有するポリヌクレオチドによって、または前記配列のうちの1つと1、2、3、4または5つのヌクレオチドによって異なる配列を有するポリヌクレオチドによってコードされる少なくとも1つのCDRを有するヒト化抗体である。
本発明は、配列番号10、12、14、16、18および20から選択される1つの配列と同一の配列を示す少なくとも1つのCDRを有するヒト化抗体にも関する。別の一態様において、本発明の抗体は、その結合特異性を保持したままで、前記配列と1つまたは2つのアミノ酸残基によって異なる少なくとも1つのCDRを有する。
一実施形態において、本発明の抗体は、配列番号9、11、13、15、17および19のヌクレオチド配列によって、または前記配列と1、2、3、4または5つのヌクレオチドのみによって異なっているそのバリアントによって、コードされる6つのCDRを含む。別の一実施形態において、本発明の抗体は、配列番号10、12、14、16、18および20によって表される配列と同一の配列を有する6つのCDRを含む。
別の一実施形態において、本発明の抗体は、配列番号9、11、13、31、17および19のヌクレオチド配列によって、または前記配列と1、2、3、4または5つのヌクレオチドのみによって異なっているそのバリアントによって、コードされる6つのCDRを含む。さらに別の一実施形態において、本発明の抗体は、配列番号10、12、14、32、18および20によって表される配列と同一の配列を有する6つのCDRを含む。
さらに別の一実施形態において、本発明の抗体は、配列番号9、11、29、31、17および19のヌクレオチド配列によって、または前記配列と1、2、3、4または5つのヌクレオチドのみによって異なっているそのバリアントによって、コードされる6つのCDRを含む。別の一実施形態において、本発明の抗体は、配列番号10、12、30、32、18および20によって表される配列と同一の配列を有する6つのCDRを含む。
別の一態様において、本発明は、配列番号5によって表される配列または配列番号27によって表される配列と少なくとも80、85、90、95または99%の同一性を示すポリヌクレオチド配列によってコードされるVを含む抗体に関する。一実施形態において、本発明の抗体のVをコードする配列は、配列番号5および配列番号27の間で選択される。別の一実施形態において、本発明の抗体のVは、配列番号6によって表される配列または配列番号28によって表される配列と少なくとも80、85、90、95または99%の同一性を有する配列を有する。さらなる一実施形態において、本発明の抗体のVの配列は、配列番号6または配列番号28によって表される。
別の一態様において、本発明は、配列番号7によって表される配列または配列番号23によって表される配列と少なくとも80、85、90、95または99%の同一性を示すポリヌクレオチド配列によってVがコードされる抗体を提供する。好ましくは、本発明の抗体のVは、配列番号7または配列番号23によって表されるポリヌクレオチド配列によってコードされる。別の一実施形態において、本発明の抗体のVは、配列番号8によって表される配列または配列番号24によって表される配列と少なくとも80、85、90、95または99%の同一性を有する配列を有する。さらなる一実施形態において、本発明の抗体のVの配列は、配列番号8または配列番号24によって表される。
一実施形態において、本発明は、配列番号5および7のポリヌクレオチド配列によってコードされる配列を含む抗体を提供する。さらなる一実施形態において、本発明は、配列番号6および8によって表されるアミノ酸配列を含む。
別の一実施形態において、本発明は、配列番号5および23のポリヌクレオチド配列によってコードされる配列を含む抗体を提供する。さらなる一実施形態において、本発明は、配列番号6および24によって表されるアミノ酸配列を含む。
さらに別の一実施形態において、本発明は、配列番号27および23のポリヌクレオチド配列によってコードされる配列を含む抗体を提供する。さらなる一実施形態において、本発明は、配列番号28および24によって表されるアミノ酸配列を含む。
本発明は、配列番号1または配列番号25によって表される配列と少なくとも80%、85%、90%、95%または99%の同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる重鎖を含む抗体にも関する。本発明は、配列番号2または配列番号26によって表される配列と少なくとも80%、85%、90%、95%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖を含む抗体にも関する。
別の一態様において、本発明は、配列番号3または配列番号21によって表される配列と少なくとも80%、85%、90%、95%または99%の同一性を有するポリヌクレオチド配列によってコードされる軽鎖を含む抗体を提供する。本発明は、配列番号4または配列番号22によって表される配列と少なくとも80%、85%、90%、95%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖を含む抗体にも関する。
本発明の別の一態様は、配列番号1および3によって表されるポリヌクレオチド配列によってコードされる配列を含む抗体に関する。好ましくは、本発明の抗体は、配列番号2および4によって表されるアミノ酸配列を有する。
本発明の別の一態様は、配列番号1および21によって表されるポリヌクレオチド配列によってコードされる配列を含む抗体に関する。好ましくは、本発明の抗体は、配列番号2および22によって表されるアミノ酸配列を有する。
本発明の別の一態様は、配列番号25および21によって表されるポリヌクレオチド配列によってコードされる配列を含む抗体に関する。好ましくは、本発明の抗体は、配列番号26および22によって表されるアミノ酸配列を有する。
本発明の抗体をコードまたは構成している配列は、表1に示されている。
Figure 2014508759
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「配列同一性」という用語は、2つのペプチド間または2つの核酸間の同一性を指す。配列間の同一性は、比較のためにアライメントされ得る各配列内の部位を比較することによって決定され得る。比較された配列内の一部位が、同一の塩基またはアミノ酸によって占められているとき、これらの配列は、その部位において同一である。核酸配列間の配列同一性の程度は、これらの配列によって共有されている部位における同一のヌクレオチドの数の関数である。アミノ酸配列間の同一性の程度は、これらの配列間で共有されている同一のアミノ酸配列の数の関数である。2つのポリペプチドはそれぞれ、(i)2つのポリヌクレオチド間で類似した配列(すなわち、完全なポリヌクレオチド配列の一部)を含んでいてもよく、(ii)2つのポリヌクレオチド間で異なる配列をさらに含んでいてもよいので、「比較ウィンドウ」上の2つ以上のポリヌクレオチド間の配列同一性の比較は、少なくとも20の隣接したヌクレオチド部位の概念上のセグメントに関し、ここで、ポリヌクレオチド配列は、少なくとも20の隣接したヌクレオチドの参照ヌクレオチド配列と比較されてもよく、ここで、比較ウィンドウ内のポリヌクレオチド配列の部分は、2つの配列の最適なアライメントのために、(付加または欠失を含まない。)参照配列と比較して20パーセント以下の付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含んでいてもよい。
2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列のパーセント同一性を決定するために、配列は、最適な比較でアライメントされる。例えば、ギャップは、第2のアミノ酸配列または第2の核酸配列との最適なアライメントのために、第1のアミノ酸配列または第1の核酸配列の配列内に導入され得る。次いで、対応しているアミノ酸部位またはヌクレオチド部位のアミノ酸残基またはヌクレオチドが比較される。第1の配列内の一部位が、第2の配列内の対応している部位と同一のアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占められているとき、これらの分子は、その部位において同一である。これらの2つの配列間のパーセント同一性は、これらの配列によって共有されている同一の部位の数の関数である。したがって、%同一性=同一の部位の数/重複している部位の総数X100。
この比較において、これらの配列は、同一の長さであってもよく、または長さが異なっていてもよい。比較ウィンドウを決定するための最適な配列のアライメントは、SmithおよびWaterman(J.Theor.Biol.、91(2):370−380、1981)の局所的な同一性アルゴリズムによって、NeedlemanおよびWunsch(J.Mol.Biol、48(3):443−453、1972)の同一性アライメントアルゴリズムによって、PearsonおよびLipman(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、85(5):2444−2448、1988)の方法による類似性の検索によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実装(the Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0、Genetic Computer Group、575、Science Drive、Madison、Wisconsin中のGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)によってまたは目視検査によって行われてもよい。多様な方法によって生成された最良の(すなわち、比較ウィンドウにわたる同一性の百分率が最も高くなる)アライメントが選択される。
「配列同一性」という用語は、2つのポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列が(すなわち、ヌクレオチド対ヌクレオチドまたはアミノ酸対アミノ酸で)、比較のウィンドウにわたって同一であることを意味する。「配列同一性の百分率」という用語は、最適にアライメントされた2つの配列を比較のウィンドウにわたって比較し、双方の配列内に同一の核酸塩基(例えば、A、T、C、G、UまたはI)が出現する部位の数を決定して、合致した部位の数を明らかにし、合致した部位の数を比較のウィンドウ内の部位の総数(すなわち、ウィンドウの大きさ)で割り算し、この結果に100を掛け算して、配列同一性の百分率を求めることによって算出される。同一のプロセスは、ポリペプチド配列に適用されてもよい。核酸配列またはアミノ酸配列の配列同一性の百分率は、BLASTソフトウェア(1998年9月のバージョン2.06)を初期設定でまたは使用者によって定められたパラメータで使用して算出されてもよい。
「配列類似性」という用語は、アミノ酸が、同一の機能を保持したまま修飾され得ることを意味する。アミノ酸はそれらの側基の性質によって分類されること、および塩基性アミノ酸のようないくつかのアミノ酸は、それらの基本的な機能が維持されたまま互いに交換され得ることが知られている。
本発明によれば、シアル酸残基は、宿主細胞による発現中に本発明の抗体上に付加される。本発明による宿主細胞は、βガラクトシルトランスフェラーゼおよびシアリルトランスフェラーゼを過剰発現する。
本明細書において、「βガラクトシルトランスフェラーゼ」とは、糖タンパク質のN−グリカン上のN−アセチルグルコサミン残基にガラクトース残基を共有結合的に連結し得る酵素を指す。優先的に、前記酵素は、β−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ(EC=2.4.1.−)である。例えば、前記酵素は、遺伝子B4GALT1(Genbank受託番号:NM_0014973)によってコードされる、β−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼ1(Genbank受託番号:NP_001488.2)として知られている、β−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼである。より優先的に、β−1,4ガラクトシルトランスフェラーゼは、配列番号36によって表されるアミノ酸配列を有し、配列番号35によって表されるポリヌクレオチド配列によってコードされる。
本発明による「シアリルトランスフェラーゼ」は、シアリル酸残基を糖タンパク質のN−グリカン上のガラクトース残基に連結することが可能な酵素である。特許請求の範囲に記載されている方法において有用なシアリルトランスフェラーゼ酵素の好適な非限定的な例は、α−2,3−シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99.6)とも呼ばれる、ST3Gal III、およびα−2,6−シアリルトランスフェラーゼ(EC2.4.99.1)である。
アルファ−2,3−シアリルトランスフェラーゼは、Gal−β−1,3GIcNAcまたはGal−β−1,4GIcNAcグリコシドのGalへのシアル酸残基の転移を触媒し(例えば、Wenら、J.Biol.Chem.267:21011−21019、1992を参照されたい。)、グリコペプチド中のN−結合型オリゴ糖のシアリル化に役割を果たしている。該シアル酸残基は、2つの該糖類間にα−結合を形成して、該ガラクトースに連結される。該糖類間の結合形成(結合)は、シアル酸残基の第2位およびガラクトース残基の第3位の間である。この特定の酵素は、ラット肝臓から単離され得る(Weinsteinら、J.Biol.Chem.、257:13845−13853、1982);ヒトcDNA(Sasakiら、J.Biol.Chem.、268:22782−22787、1993;Kitagawa&Paulson、J.Biol.Chem.、269:1394−1401、1994)およびゲノム(Kitagawaら、J.Biol.Chem.、271:931−938、1996)のDNA配列は、知られており、組換え発現によってこの酵素の産生を促進する。
α−2,6−シアリルトランスフェラーゼの活性は、α−2,6−シアリル化ガラクトースを含む、α−2,6−シアリル化オリゴ糖をもたらす。「α−2,6−シアリルトランスフェラーゼ」という名称は、アクセプターである多糖類の第6番目の原子にシアル酸を結合するシアリルトランスフェラーゼのファミリーを指す。様々な型のα−2,6−シアリルトランスフェラーゼが、様々な組織から単離され得る。例えば、この酵素の1種の特定の型である、ST6Gal IIは、脳および胎児の組織から単離され得る(Krzewinski−Recchiら、Eur.J.Biochem.、270:950−961、2003)。優先的に、α−2,6−シアリルトランスフェラーゼは、SIAT1遺伝子(Genbank受託番号:NM_003032)によってコードされる、βガラクトシドα−2,6−シアリルトランスフェラーゼ(Genbank受託番号:NP_003023.1)である。より優先的に、α−2,6−シアリルトランスフェラーゼは、配列番号34によって表されるアミノ酸配列を有し、配列番号33によって表されるポリヌクレオチド配列によってコードされる。
したがって、本発明の方法は、広範囲にシアリル化された抗体の獲得を可能にし、ここで、ガラクトースおよびシアル酸の間の共有結合の大部分は、α−2,3またはα−2,6のいずれにおいても、使用される酵素に依存している。β−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼおよびα−2,6−シアリルトランスフェラーゼを過剰発現する宿主細胞を使用することは、特に有利である。したがって、結果として生じる抗体が有するオリゴ糖は、α−2,6結合を介してガラクトース残基に結合されたシアル酸残基を主に含む。
したがって、所望の宿主細胞は、これらの酵素のうちの一方または双方を一過的にまたは安定に発現させるためにトランスフェクトされていてもよい。したがって、本発明による方法の特定の一実施形態において、β−ガラクトシルトランスフェラーゼおよびシアリルトランスフェラーゼ活性を発現する細胞株は、β−ガラクトシルトランスフェラーゼおよびシアリルトランスフェラーゼをコードする1種または2種のベクター(例えば、β−ガラクトシルトランスフェラーゼを発現する第1のベクターおよびシアリルトランスフェラーゼを発現する第2のベクター、または双方の酵素を発現する1種のベクター)を安定にトランスフェクトされている細胞株である。好ましくは、げっ歯動物、例えば、マウスまたはラット、またはヒト由来のα−2,6−シアリルトランスフェラーゼおよび/またはβ−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼが、発現された抗体にシアル酸残基を付加するために使用される。最も好ましくは、本発明の方法において使用されるα−2,6−シアリルトランスフェラーゼおよび/またはβ−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼは、ヒトの酵素である。本発明の特に有利な一実施形態において、該宿主細胞は、ヒトのβ−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼおよびヒトのα−2,6−シアリルトランスフェラーゼの双方を過剰発現する。
βガラクトシルトランスフェラーゼおよびシアリルトランスフェラーゼをコードする核酸は、当業者に知られているいかなる方法によって宿主細胞内に導入されてもよい(例えば、Sambrookら、1990、Molecular Cloning、A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、N.Y.およびAusubelら編、1998、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons、NYに記載の技術を参照されたい。)。これらの方法は、限定されるものではないが、トランスフェクション(例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション)、例えばリポソームを使用した膜融合移入、(例えば、アデノウイルスベクターを用いた)ウイルス移入およびマイクロインジェクションまたはエレクトロポレーションを含む。
本発明によれば、本発明のIgG抗体を発現させるために、多様な発現系が使用され得る。一態様において、こうした発現系は、対象のコーディング配列が生成および次いで精製され得るビヒクルであるが、適切なヌクレオチドコーディング配列が一過的にトランスフェクトされたときに、インサイチューで本発明のIgG抗体を発現し得る細胞でもある。
本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。一実施形態において、該ベクターは、本発明のIgG抗体、すなわち、Fcドメイン内に変異を有する抗体の重鎖をコードするポリヌクレオチドを含有する。別の一実施形態において、前記ポリヌクレオチドは、本発明のIgG抗体の軽鎖をコードする。本発明は、融合タンパク質、修飾された抗体、抗体断片、およびこれらのプローブをコードするポリヌクレオチド分子を含むベクターも提供する。
本発明のIgG抗体の重鎖および/または軽鎖を発現させるために、前記重鎖および/または軽鎖をコードするポリヌクレオチドは、これらの遺伝子が転写配列および翻訳配列に作動可能に連結されるように発現ベクター内に挿入される。
「作動可能に連結された」配列は、対象の遺伝子と隣接した発現制御配列と、トランスでまたは対象の遺伝子を制御するための距離で作用する発現制御配列との双方を含む。本明細書中で使用される場合、「発現制御配列」という用語は、ライゲーションされたコーディング配列の発現およびプロセシングを行うのに必要なポリヌクレオチド配列を指す。発現制御配列は、適切な、転写開始配列、転写終結配列、プロモーター配列およびエンハンサー配列;スプライシングおよびポリアデニル化のシグナルなどの効率的なRNAプロセシングのシグナル;細胞質のmRNAを安定化する配列;翻訳効率を増大させる配列(すなわち、コザックコンセンサス配列);タンパク質安定性を増大させる配列;ならびに所望により、タンパク質分泌を増大させる配列を含む。こうした制御配列の性質は、宿主生物に依存して異なる;原核生物において、こうした制御配列は、一般に、プロモーター、リボソーム結合部位および転写終結配列を含む;真核生物において、一般に、こうした制御配列は、プロモーターおよび転写終結配列を含む。「制御配列」という用語は、発現およびプロセシングに存在が必須なすべての構成要素を、最小限で、含むことが意図され、存在が有利であるさらなる構成要素、例えば、リーダー配列および融合パートナー配列も含み得る。
本明細書中で使用される場合、「ベクター」という用語は、連結されている別の核酸を輸送する能力がある核酸分子を指すことが意図される。ベクターの1つの型は「プラスミド」であり、これは、さらなるDNA断片が中にライゲーションされ得る環状二本鎖DNAループを指す。ベクターのもう1つの型はウイルスベクターであり、ここで、さらなるDNA断片は、ウイルスゲノム内にライゲーションされ得る。ある種のベクター(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)は、それらが導入される宿主細胞における自律複製の能力がある。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞内への導入と同時に宿主細胞のゲノム内に組み込まれてもよく、それによって、宿主ゲノムと共に複製される。
ある種のベクターは、それらに作動可能に連結された遺伝子の発現を誘導する能力がある。本明細書において、こうしたベクターは、「組換え発現ベクター」(または簡単に、「発現ベクター」)と呼ばれる。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、プラスミドの形態である。プラスミドは、最も一般的に使用されるベクターの形態なので、本明細書において、「プラスミド」および「ベクター」は、互換可能に使用され得る。しかし、本発明は、細菌プラスミド、YAC、コスミド、レトロウイルス、EBV由来のエピソーム、および本発明の抗体の重鎖および/または軽鎖の発現を確実にするのに好都合であることを当業者が知る他のすべてのベクターのような、こうした型の発現ベクターを含むことが意図される。当業者は、該重鎖および該軽鎖をコードする該ポリヌクレオチドが、異なるベクター内にまたは同一のベクター内にクローニングされ得ることを認識する。一実施形態において、前記ポリヌクレオチドは、2種のベクター内にクローニングされる。
本発明のポリヌクレオチドおよびこれらの分子を含むベクターは、好適な宿主細胞の形質転換のために使用され得る。本明細書中で使用される場合、「宿主細胞」という用語は、本発明のIgG抗体を発現させるために組換え発現ベクターが導入されている細胞を指すことが意図される。こうした用語は、特定の対象細胞だけでなく、こうした細胞の後代も指すことが意図されると理解されるべきである。後代において変異または環境の影響のいずれかによる特定の改変が生じ得るので、こうした後代は、実際に、親細胞と同一でなくてもよいが、本明細書中で使用される場合、「宿主細胞」という用語の範囲内に依然として含まれる。
形質転換は、細胞宿主内にポリヌクレオチドを導入するための既知のいかなる方法によっても行われ得る。こうした方法は、当業者によく知られており、デキストラン媒介性形質転換、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン媒介性トランスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソーム中へのポリヌクレオチドのカプセル化、バイオリスティックインジェクションおよび核内へのDNAの直接マイクロインジェクションを含む。
該宿主細胞は、本発明のタンパク質を発現するベクターを含む、2種以上の発現ベクターが共トランスフェクトされてもよい。例えば、宿主細胞は、上述のような、IgG抗体をコードする第1のベクター、およびグリコシルトランスフェラーゼポリペプチドをコードする第2のベクターがトランスフェクトされ得る。代替的に、該宿主細胞は、上述のような、本発明の抗体をコードする第1のベクターおよびグリコシルトランスフェラーゼをコードする第2のベクター、ならびにもう1つのグリコシルトランスフェラーゼをコードする第3のベクターがトランスフェクトされ得る。哺乳動物細胞は、組換え治療用免疫グロブリンの発現のために、特に、全組換えIgG抗体の発現のために、一般的に使用される。ベクターと共に発現シグナルを含有するHEK293またはCHO細胞などの哺乳動物細胞(例えば、ヒトサイトメガロウイルスからの主要中間初期遺伝子プロモーターエレメントを有するもの)は、本発明のIgG抗体を発現させるために有効な系である(Foeckingら、1986、Gene 45:101;Cockettら、1990、Bio/Technology 8:2)。
さらに、挿入された配列の発現を調節する、または望ましい特定の様式で遺伝子産物を修飾およびプロセシングする、宿主細胞が選択される。タンパク質産物のこうした修飾(例えば、グリコシル化)およびプロセシングは、該タンパク質の機能に重要であってもよい。異なる宿主細胞は、タンパク質と遺伝子産物の翻訳後のプロセシングおよび修飾についての特徴および特定の機序を有している。発現された対象の抗体の正確な修飾およびプロセシングを確実にするために、適切な細胞または宿主の系が選択される。したがって、転写一次産物の適切なプロセシング、遺伝子産物のグリコシル化のための細胞機構を有する真核生物宿主細胞(特に、哺乳動物宿主細胞)が使用され得る。こうした哺乳動物宿主細胞は、チャイニーズハムスター細胞(例えば、CHO細胞)、サル細胞(例えば、COS細胞)、ヒト細胞(例えば、HEK293細胞)、ベビーハムスター細胞(例えば、BHK細胞)、NS/0、Y2/0、3T3または骨髄腫細胞を含むが、これらに限定されない(すべてのこれらの細胞株は、the Collection Nationale des Cultures de Microorganismes、Paris、France、またはthe American Type Culture Collection、Manassas、VA、U.S.A.などの公的な保管所から入手可能である。)。代替的に、該酵母細胞は、グリコシル化(特にN−グルコシル化)の機序が哺乳動物細胞において生じているものと同様または同一であるように改変されている酵母細胞であってもよい。
組換えタンパク質の長期の高収率の生産のために、安定な発現が好ましい。本発明の一実施形態において、該抗体を安定に発現する細胞株は、改変されていてもよい。したがって、本発明による方法の特定の一実施形態において、β−ガラクトシルトランスフェラーゼおよびシアリルトランスフェラーゼ活性を発現する細胞株は、該抗体をコードする1種または2種のベクター(例えば、軽鎖を発現する第1のベクターおよび重鎖を発現する第2のベクター、または双方の鎖を発現する1種のベクター)が安定にトランスフェクトされている。ウイルスの複製起点を含有する発現ベクターを使用するよりもむしろ、宿主細胞は、プロモーター、エンハンサー、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位、および当業者に知られている他の適切な配列、ならびに選択可能なマーカーを含む、適切な発現調節エレメントの制御下でDNAで形質転換される。外来DNAの導入後、改変された細胞は、濃縮培地中で1から2日間増殖できるようにされてもよく、次いで、選択培地に移される。組換えプラスミド上の選択可能なマーカーは、選択に対する耐性を与えて、細胞がプラスミドを染色体中に安定に組み込むのを可能にし、細胞株に拡張される。安定な細胞株を構築するための他の方法は、当技術分野において知られている。特に、部位特異的組込みのための方法は、開発されている。これらの方法によれば、プロモーター、エンハンサー、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位、および他の適切な配列を含む、適切な発現調節エレメントの制御下で形質転換されたDNAは、予め切断された特定の標的部位で宿主細胞ゲノム内に組み込まれる(Moeleら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、104(9):3055−3060;US5,792,632;US5,830,729;US6,238,924;WO2009/054985;WO03/025183;WO2004/067753)。
tk細胞における単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子(Wiglerら、Cell 11:223、1977)、hgprt細胞におけるヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Szybalskaら、Proc Natl Acad Sci USA 48:202、1992)、メチオニンスルホキシミドの存在下におけるグルタミン酸合成酵素選択(Adv Drug Del Rev、58:671、2006およびLonza Group Ltd.のウェブサイトまたは文献)およびaprt細胞におけるアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Lowyら、Cell 22:817、1980)を含むが、これらに限定されない、いくつかの選択系が本発明に従って使用され得る。さらに、代謝拮抗薬耐性は、以下の遺伝子の選択の基準として使用され得る:メトトレキサートに対する耐性を与える、dhfr(Wiglerら、Proc Natl Acad Sci USA 77:357、1980);ミコフェノール酸に対する耐性を与える、gpt(Mulliganら、Proc Natl Acad Sci USA 78:2072、1981);アミノグリコシドであるG−418に対する耐性を与える、neo(Wuら、Biotherapy 3:87、1991);および、ハイグロマイシンに対する耐性を与える、hygro(Santerreら、Gene 30:147、1984)。組換えDNA技術の分野において知られている方法は、所望の組換えクローンを選択するために日常的に適用されてもよく、こうした方法は、例えば、Ausubelら編、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons(1993)において記載されている。抗体の発現レベルは、ベクターの増幅によって上昇する。抗体を発現するベクター系内のマーカーが増幅可能なとき、培養物中に存在する阻害剤のレベルの上昇は、マーカー遺伝子のコピー数を増加させる。増幅された領域は、本発明のIgG抗体をコードする遺伝子を伴っているので、前記抗体の産生も増加する(Crouseら、Mol Cell Biol 3:257、1983)。本発明の遺伝子を発現させる代替法は、存在し、当業者に知られている。例えば、本発明の遺伝子の上流に発現調節エレメントを結合する能力がある改変ジンクフィンガータンパク質が設計されてもよい;本発明の宿主細胞における前記改変ジンクフィンガータンパク質(ZFP)の発現は、タンパク質産生における増加をもたらす(例えば、Reikら、Biotechnol.Bioeng.、97(5):1180−1189、2006を参照されたい。)。さらに、ZFN(ジンクフィンガーヌクレアーゼ)は、予め決定されたゲノムの位置へのDNAの組み込みを刺激することができ、高効率の部位特異的遺伝子付加をもたらす(Moehleら、Proc Natl Acad Sci USA、104:3055、2007)。
本発明の抗体は、形質転換された宿主細胞の培養物を、所望の抗体を発現させるのに必要な培養条件下で培養することによって調製され得る。結果として得られた発現抗体は、次いで、培地または細胞抽出液から精製され得る。可溶型の本発明の抗体は、培養液上清から回収され得る。これは、次いで、当技術分野において知られている、免疫グロブリン分子の精製のための任意の方法によって精製されてもよく、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー、特にFcに対するプロテインAアフィニティーによって、など)、遠心分離、示差的な溶解性によってまたはタンパク質の精製のための他の任意の標準的な技術によって精製されてもよい。好適な精製の方法は、当業者に明らかである。
本発明のIgG抗体は、未改変および/または未精製の抗体と比較してその増加されたシアル酸の量に基づいてさらに精製され得る。この目的に到達するために、複数の方法が存在する。一方法において、例えば本発明の宿主細胞の培地のような、未精製のポリペプチド源は、シアル酸を結合することが知られている、レクチンを有するカラムに通される。当業者は、異なるレクチンが、ガラクトースおよびシアル酸の間のα−2,6結合対α−2,3結合に対して異なる親和性を示すことを理解する。したがって、特定のレクチンを選択することは、シアル酸およびガラクトースとの間に所望の型の結合を有する抗体の濃縮を可能にする。一実施形態において、該レクチンは、サンブカス・ニグラ(Sambucus nigra)から単離される。当業者は、サンブカス・ニグラのアグルチニン(SNA)が、α−2−6結合によってガラクトースまたはN−アセチルガラクトサミンに連結されたシアル酸に特異的であることを認める(Shibuyaら、J.Biol.Chem.、262:1596−1601、1987)。対照的に、マーキア・アムレンシス(Maakia amurensis)(「MAA」)レクチンは、α−2−3結合によってガラクトースに連結されたシアル酸に特異的である(Wangら、J Biol Chem.、263:4576−4585、1988)。
少なくとも1種のIgGのFcドメインを含むポリペプチド上のグリコシル化の程度を調べるために、これらのポリペプチドは、精製されてもよく、還元条件下のSDS−PAGEにおいて分析されてもよい。グリコシル化は、単離されたポリペプチドを特定のレクチンと反応させることによって決定され得る。または、当業者によって理解されるはずであるように代替的に、HPLCを使用することもでき、その後、質量分析でグリコフォームを同定する(Wormaldら、Biochem、36(6):1370−1380、1997)。IgG抗体中のN−グリカンの定量的シアル酸同定(N−アセチルノイラミン酸残基)、炭水化物組成分析および定量的オリゴ糖マッピングが、本質的に以前に記載されているように行われてもよい(Saddicら、Methods Mol.Biol.、194:23−36、2002;Anumulaら、Glycobiology、8:685−694、1998)。
したがって、本発明の方法は、前記抗体のFcドメインに結合された、2つのシアル酸残基を含有する、複合二分岐オリゴ糖を含む抗体の生産を高い生産性で可能にする。本明細書中で使用される場合、「高い生産性」とは、前記抗体が、25mg/L以上、好ましくは30mg/L、より好ましくは35mg/L、さらに好ましくは40mg/L、さらにより好ましくは45mg/L、または最も好ましくは50mg/L以上の収率で生産され得ることを意味する。
本発明は、精製された、広範囲にシアリル化されたIgG抗体にも関し、これは、上記の方法によって得られ得る。前記抗体は、広範囲にシアリル化された複合二分岐N−グリカンを各Fcドメイン上に含む、IgGアイソタイプの抗体であり、前記抗体は、Fcドメイン内に変異を有する。好ましくは、本発明の抗体は、G2F型のオリゴ糖を有する、すなわち、前記抗体の各N−グリカンは、2つのガラクトース残基および1つのフコースを含む。より好ましくは、本発明の抗体の前記N−グリカンは、2つのシアル酸残基を含む。さらにより好ましくは、該シアル酸残基は、α−2,6結合によってガラクトース残基に連結されている。さらにより好ましくは、該シアル酸残基は、いずれも5−N−アセチルノイラミン酸残基(NeuNAc)である。
好ましくは、本発明の抗体は、前原線維型のペプチドA−βに特異的に結合するヒト化抗体であり、したがって、アミロイド斑形成を伴う疾患を治療するために使用され得る。特に、本発明のヒト化抗体は、ADを治療するために使用され得る。より好ましくは、前記ヒト化抗体は、低下されたエフェクター機能を有し、したがって、減少された有害作用をもたらす。前記ヒト化抗体は、広範囲にわたってシアリル化されているため、抗炎症特性を示す。したがって、本発明のヒト化抗体は、より高い安全性と組み合わされた治療有効性を示す。
本発明者らは、IgG抗体の組成物を得ることが可能であることを初めて示しており、ここで、きわめて高い割合の前記抗体が広範囲にシアリル化されている(例えば、表3を参照されたい。)。したがって、本発明は、本発明のIgG抗体を含む組成物も提供し、ここで、前記抗体のうちの少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、さらに最も好ましくは少なくとも97%または最も好ましくは少なくとも99%は、精製された、広範囲にシアリル化されたIgG抗体である。したがって、本発明は、IgG抗体を含む組成物を提供し、ここで、前記抗体のうちの少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%、さらに最も好ましくは少なくとも97%または最も好ましくは少なくとも99%は、前記抗体の各Fcドメインに結合された複合二分岐N−グリカンを含み、前記オリゴ糖は2つのシアル酸残基を含み、ここで、前記抗体のFcドメインは、天然のヒトIgGのFcドメイン配列と異なるアミノ酸配列を含む。好ましくは、本発明の組成物の抗体は、アミノ酸243、264および265位のうちのいずれか1つ以上におけるアミノ酸置換を含む。より好ましくは、前記アミノ酸は、アラニン(A)、グリシン(G)、ロイシン(L)およびリシン(K)からなる群から選択されるアミノ酸によって置換されている。さらにより好ましくは、該置換は、F243A、V264A、D265A、D265G、D265LおよびD265Kを含む群において選択される。さらにより好ましくは、前記変異は、D265A、D265G、D265LおよびD265Kからなる群から選択される。最も好ましくは、前記変異は、D265A、D265KおよびD265Lからなる群から選択される。
実際に、本発明者らは、有利なことに、F243位、V264位およびD265位のうちの1つにおける変異が、きわめて均一なシアリル化プロファイルを示す抗体種の獲得をもたらすことを示しており(図12B、CおよびDを参照されたい。)、前記種は完全に特徴付けおよび定義されている(表3を参照されたい。)。これとは対照的に、こうした変異のないことは、シアリル化されていないまたは不完全にシアリル化されたN−グリカンを含有する少なくとも12異種の混合物の産生をもたらした(図12A)。
265位のすべての変異が、増加されたシアリル化をもたらすわけではないことに注意することが重要である。例えば、この点において、D265Sの置換は、野生型のようにふるまうのに対して、D265A、D265G、D265LまたはD265Kの変異はすべて、ジシアリル化された抗体分子の割合を増大させ、したがって、本発明の変異体の特異性を強調している(実施例7を参照されたい。)。
特定の一実施形態において、該変異は、D265位における変異(例えば、D265L、D265KまたはD265A変異)である。実際に、本発明者らは、驚くべきことに、この部位における変異が、広範囲にシアリル化された抗体をもたらすだけでなく、その標的に対して増強された結合を示す抗体ももたらすことを見出している(実施例6および図16Bを参照されたい。)。
別の一態様において、本発明の抗体は、配列番号48、50、52および54からなる群から選択される配列を有する重鎖を含む。好ましくは、本発明の抗体の重鎖は、配列番号48、配列番号52および配列番号54の間で選択される配列を有する。
別の有利な一実施形態において、本発明の組成物の抗体は、G2F型のオリゴ糖を有する、すなわち、前記抗体の各N−グリカンは、2つのガラクトース残基および1つのフコースを含む。好ましくは、該シアル酸残基は、α−2,6結合によってガラクトース残基に連結されている。より好ましくは、該シアル酸残基は、いずれも5−N−アセチルノイラミン酸残基(NeuNAc)である。
該抗炎症特性がIVIGのFc部分によって決定されることは長い間知られていた。脾臓マクロファージの表面上で発現される、マウスのレクチンであるSIGN−R1(Kangら、Int.Immunol.、15(2):177−186、2003)は、ヒトの樹状細胞において発現されるヒトのレクチンであるDC−SIGNがそうであるのと同様に、α−2,6−シアリル化Fc断片の受容体である(Anthonyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、105(50):19571−19578、2008)。前記受容体とのα−2,6−シアリル酸残基の相互作用は、前記免疫グロブリンの抗炎症活性と関連している。
有利な一実施形態において、本発明の抗体組成物は、SIGN−R1またはDC−SIGNを結合し、したがって、抗炎症活性を示す。好ましくは、本発明のヒト化抗体組成物は、5%未満の抗体が少なくとも1つのジシアリル化N−グリカンを有する組成物よりも高い親和性でSIGN−R1またはDC−SIGNを結合する。本明細書において、「SIGN−R1」により、「CD209抗原様プロテインA」とも呼ばれる、NP_573501.1にあるようなアミノ酸配列を有するタンパク質が指される。本明細書において、「DC−SIGN」により、AAK20997にあるようなアミノ酸配列を有するタンパク質が意味される。より好ましくは、本発明のヒト化抗体組成物によって結合される受容体は、DC−SIGNである。
本発明者らは、本発明によって生産され、Fcドメイン内にD265A変異を有する抗体は、SIGN−R1に最も高い親和性を示すことを示している。したがって、本発明によって生産され、D265A、D265G、D265KおよびD265Lからなる群から選択される変異を含有する抗体は、SIGN−R1に対して最も高い親和性を与えられるはずである。さらにより優先的に、本発明の抗体は、配列番号48、配列番号52および配列番号54の間で選択される配列の重鎖を有する。
本発明は、したがって、医薬としての本発明の抗体にも関する。
本発明のもう1つの目的は、アミロイド斑形成を伴う疾患を治療する方法であって、広範囲にシアリル化された複合二分岐N−グリカンをFcドメイン上に含むIgGアイソタイプのヒト化抗体を、これを必要としている患者に投与することを含み、前記ヒト化抗体がFcドメイン内に変異を有する、方法を提供することである。本発明は、アミロイド斑形成を伴う疾患の治療における使用のためのIgGアイソタイプのヒト化抗体にも関し、前記ヒト化抗体は、広範囲にシアリル化された複合二分岐N−グリカンをFcドメイン上に含み、前記ヒト化抗体は、Fcドメイン内に変異を有する。本発明は、アミロイド斑形成を伴う疾患の治療用の医薬の製造のためのIgGアイソタイプのヒト化抗体の使用にさらに関し、前記ヒト化抗体は、広範囲にシアリル化された複合二分岐N−グリカンをFcドメイン上に含み、前記ヒト化抗体は、Fcドメイン内に変異を有する。一実施形態において、アミロイド斑形成を伴う該疾患はADである。別の一実施形態において、該シアル酸残基は、α−2,6結合によってガラクトース残基に連結されている。
別の一態様において、本発明は、アミロイド斑形成を伴う疾患、特にADの治療用の医薬組成物に関し、前記治療用組成物は、治療有効量の本発明のヒト化抗体および医薬として許容される担体を含む。
本発明の医薬組成物は、本発明の抗体に加えて、多様な賦形剤、増量剤、塩、緩衝液、安定剤、溶解剤および当技術分野においてよく知られている他の材料を含有していてもよい。
本明細書中で使用される場合、「医薬として許容される担体」は、生理学的に適合するあらゆるすべての溶媒、緩衝液、塩溶液、分散媒、コーティング、抗菌剤、抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。担体の種類は、意図された投与の経路に基づいて選択され得る。種々の実施形態において、該担体は、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、局所、経皮または経口の投与に好適である。医薬として許容される担体は、無菌の水溶液または分散液、および無菌の注射用の溶液または分散液の即席製剤用の無菌粉末を含む。医薬として有効な物質用の媒質および作用剤の使用は、当技術分野においてよく知られている。静脈内注入用の典型的な医薬組成物は、250mlの無菌リンゲル溶液、および100mgの該組合せを含有するように構成されていてもよい。非経口的に投与可能な化合物を調製するための実際の方法は、当業者に既知または明らかであり、例えば、参照により本明細書に組み込む、Remington’s Pharmaceutical Science、第17版、Mack Publishing Company、Easton、Pa.(1985)、ならびにこれらの第18版および第19版においてさらに詳細に記載されている。
該組成物中のヒト化抗体は、好ましくは、有効量で製剤化される。「有効量」は、投与量および必要な期間で、アミロイド斑形成の予防または治療のような、所望の結果を達成するのに有効な量を指す。「治療有効量」は、特定の疾患状態の治療経過に影響を及ぼすのに十分な量を意味する。治療有効量は、作用剤のあらゆる有毒または不利益な作用が、治療的に有益な作用によって上回られる量でもある。
治療的適用の場合、本発明のヒト化抗体は、上述したもののような医薬として許容される剤形で、哺乳動物、好ましくはヒトに投与され、ボーラスとしてもしくは一定時間にわたる連続注入によって静脈内で、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、関節滑液嚢内、髄腔内、経口、局所、または吸入の経路によって、ヒトに投与され得るものを含む。
投与量レジメンは、最適な反応性をもたらすように調整されてもよい。例えば、単回のボーラスが投与されてもよく、数回の分割された用量が時間をかけて投与されてもよく、または該用量は比例的に減少または増加されてもよい。本発明の組成物は、対象における細胞増殖活性をもたらすために対象に投与され得る。本明細書中で使用される場合、「対象」という用語は、アポトーシスが誘導され得る生物を含むことが意図され、特に、哺乳動物、例えば、ウサギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、サル、これらのトランスジェニック種など、好ましくはヒトを含む。
以下の実施例は、本発明の範囲および本開示の内容の例示的なものにすぎない。当業者は、以下に挙げている実施例に対する多数の改変を、本発明の範囲から逸脱することなく考案および構築することができる。
以下の実施例において、置換は、図中に示しているような分泌されたポリペプチドのアミノ酸配列上の部位を指し、EUナンバリングによらない。したがって、EUナンバリングにおけるD265位は、HC antiAbeta_13C13_D257A mAb上のD257またはantiAbeta_13C13_IgG4_D260A mAb、antiAbeta_13C13_IgG4_D260K、antiAbeta_13C13_IgG4_D260L mAb、antiAbeta_13C13_IgG4_D260G mAb、antiAbeta_13C13_IgG4_D260S mAbのHC上のD260に相当する。同様に、EUナンバリングにおけるF243Aは、HC antiAbeta_13C13_F235A mAb上のF235Aに相当し、EUナンバリングにおけるV264Aは、HC antiAbeta_13C13_V256A mAb上のV256に相当する。
[実施例1] グリコシルトランスフェラーゼを過剰発現させたときの低いmAb産生能
この実施例において、グリコシルトランスフェラーゼの存在下におけるモノクローナル抗体(mAb)の一過的産生は著しく減少することが示されたのに対して、これらのグリコシルトランスフェラーゼをコードするプラスミドの濃度は上昇した。
ヒトα−2,6シアリルトランスフェラーゼ(SIAT1)(配列番号33)またはヒトβ−1,4ガラクトシルトランスフェラーゼ(B4GT1)(配列番号35)をコードするcDNAをクローンコレクション(Invitrogen)から回収し、CMVプロモーターから発現が引き起こされる哺乳動物発現ベクターpXL4214に挿入してプラスミドpXL4555およびpXL4551を生成した。プラスミドのマップを図2に示しており、SIAT1およびB4GT1の核酸配列および対応しているアミノ酸配列をそれぞれ図3および4に示している。同一の発現ベクターを、ネズミAntiAbeta_13C3 mAbの軽鎖(LC)および重鎖(HC)をコードするcDNAをクローニングするためにも使用した。プラスミドpXL4808は、antiAbeta_13C13 mAbのLCをコードしていた、図5A;プラスミドpXL4792は、antiAbeta_13C13 mAbのHCをコードしていた、図5B。LCはネズミCkappaであり、HCはネズミIgG1アイソタイプであった。LCおよびHCのmAbバリアントの核酸配列および対応しているアミノ酸配列を図6および7に記載した。(配列番号37から40)
懸濁培養した293−F細胞(ヒト胚性腎HEK293細胞由来であり、Invitrogenで購入した。)において、異なる比率で293fectin(商標)(Invitrogen)と複合体形成させた4種のプラスミドpXL4792、pXL4808、pXL4551およびpXL4555の共トランスフェクションによってAntiAbeta_13C3 mAbの一過的発現を行った。Durocherら、(Nucl.Acids Res.、30:e9、2002)によって報告されているように、EBNAをコードするプラスミドも含めた。細胞培養およびトランスフェクションを、供給業者(Invitrogen)からの推奨に従って振とうフラスコ内で100mL規模で行った。トランスフェクションの8日後、生存可能な細胞を計数して(Vi−CELL XR Cell Viability Analyzer(Beckman Coulter))、280nmにおけるUV検出と連動した分析用HPLC(Poros G/20)によってmAb濃度を決定した。表2に示しているように、mAb産生は、生存可能な細胞が著しく減少したときに回収された細胞と対応していた。
SIAT1およびB4GT1をコードするプラスミドの濃度を40倍に上昇させたときに、生存可能な細胞の百分率は低下し、産生能は5分の1に低下した(表2を参照されたい。)。
Figure 2014508759
6つのmAbバッチを、プロテインA(MabSelect、GE、Healthcare)上での親和性クロマトグラフィーによって精製して、100mMの酢酸pH2.8、20mMのNaClの緩衝液でカラムから溶出させた。これらを、PBS中に製剤化して、LTQ−Orbitrap MSと併用したナノLC上で質量分析によって分析した。予想されるantiAbeta_13C3 mAbの質量およびN−グリカンの存在を図11に示している。グリコシルトランスフェラーゼの発現レベルが上昇したとき、N−グリカンのシアリル化含有量はより多く、より複合型であった。
[実施例2] Fc内にα−2,6−シアリル化N−グリカンを有するmAbバリアントの産生。
この実施例では、Fc内にα−2,6−シアリル化N−グリカンを有するmAbバリアントの産生について、小規模の哺乳動物細胞HEK293またはCHOにおける一過的発現によって説明している。
同一の発現ベクターを使用して、AntiAbeta_13C3 mAbバリアントのLCおよびHCをコードするcDNAをクローニングした。以下のプラスミドを、生成し、図5に示した。プラスミドpXL4808は、antiAbeta_13C13 mAbのLCをコードしていた、図5A;プラスミドpXL4792は、antiAbeta_13C13 mAbのHCをコードしていた、図5B;プラスミドpXL5105は、AntiAbeta_13C3_D257Aの改変HCをコードしていた、図5C;プラスミドpXL5111は、AntiAbeta_13C3_F235A mAbの改変HCをコードしていた、図5D、プラスミドpXL5132は、AntiAbeta_13C3_V256A mAbの改変HCをコードしていた、図5E。LCおよびHCのmAbバリアントの核酸配列および対応しているアミノ酸配列を図6、7、8、9および10に記載した。HCのAntiAbeta_13C3_F235A、AntiAbeta_13C3_V256AおよびAntiAbeta_13C3_D257A mAbバリアントのヌクレオチド配列は、それぞれ配列番号41、43および45の配列に該当する。HCのAntiAbeta_13C3_F235A、AntiAbeta_13C3_V256AおよびAntiAbeta_13C3_D257A mAbバリアントのアミノ酸配列は、それぞれ配列番号42、44および46の配列に該当する。EUナンバリングを使用して、ネズミIgG1のFcドメインの235、256および257位は、それぞれヒトIgG1のFcドメイン内の243、264および265位に相当する。
懸濁培養した293−F細胞において、293fectin(商標)(Invitrogen)と複合体形成させた、HC、LC、SIAT1およびB4GT1をコードする4種のプラスミドの一過的共発現によって、各モノクローナル抗体バリアントを産生させた。最適な産生能およびシアル酸含有量を確実にするためにプラスミド比率を最適化した。最適なプラスミド比率は、[HCおよびLCプラスミド]/[SIAT1プラスミド]/[B4GT1プラスミド]について6/0.5/0.5であった。分泌されたmAbを、トランスフェクションの8日後に回収して、遠心分離した。このmAbを、プロテインA(MabSelect、GE、Healthcare)上での親和性クロマトグラフィーによって精製して、100mMの酢酸pH2.8、20mMのNaClの緩衝液でカラムから溶出させた。これらを、PBS中に製剤化して、0.22μmのフィルターに通し、+5℃で保管した。精製したmAbの濃度を、280nmにおける吸光度の測定によって決定した。
150mLの培養物から合計1.5から1.8mgのmAbが精製された。各バッチを、還元条件および非還元条件下でSDS−PAGE(Nupage Bistris/MOPS−SDS 4−12%、Invitrogen)によって分析して、99%を超える純度ならびに各サブユニットおよびこのモノマーの予想される分子量を決定した。各バッチを、ゲル濾過(Tricorn 10/300 GL Superdex 200)によっても分析して、99%のモノマーの均一性および高分子量の種の1.2%未満の少ない含有量を決定した。LTQ−Orbitrap MSと併用したナノLC上で質量分析を行った。これにより、バッチLP10091、10094およびLP10097について、種々のmAbの予想される質量、およびFcドメイン内に点変異を含有する各バリアントで本質的にシアリル化されたN−グリカンが明らかにされた(図12および表3を参照されたい。)。
レクチン・マーキア・アムレンシス(Maackia amurensis)(MAA)を用いたN−グリカン中の末端α−2,3シアル酸の検出またはレクチン・サンブカス・ニグラ(SNA)を用いたN−グリカン中の末端α−2,6シアル酸の検出の各々のために、2種の酵素結合レクチンアッセイ(ELLA)が開発された。図13に示しているように、MAAに反応性は認められなかったのに対して、SNAで特異性が観察され、N−グリカンのシアリル化含有量がより多かったときに反応性がより高かった(バッチLP10091、LP10094およびLP10097を参照されたい。)。
Figure 2014508759
まとめると、これらの結果により、Fc内の3つの点変異(V256A、D257A、F235A)のうちの1つで改変されたmAbバリアントが、B4GT1およびSIAT1をコードするプラスミドの存在下のHEK293細胞における一過的発現によって生産されたときに、N−グリカンは、本質的にα−2,6−シアリル化型からなっていたことが示された。より詳細には、V256A、D257AまたはF235Aの存在は、きわめて均一なシアリル化プロファイルを示す抗体種の獲得をもたらし(図12B、CおよびDを参照されたい。)、前記種は完全に特徴付けおよび定義されている(表3を参照されたい。)。メジャーピークは、他のピークと比較して実際に優位であり、完全にシリル化された(4つのシアル酸残基)種に相当する。これとは対照的に、野生型mAbとのB4GT1およびSIAT1の過剰発現は、シアリル化されていないまたは不完全にシアリル化されたN−グリカンを含有する少なくとも12異種の混合物の産生をもたらした(図12A)。
antiAbeta_13C3_D257A mAbバリアントも、懸濁培養したCHO細胞において、HEK293において用いた最適なプラスミド比率を用いた、HC、LC、SIAT1およびB4GT1をそれぞれコードする4種のプラスミドpXL5105、pXL4808、pXL4555およびpXL4551の一過的共発現によって産生された。同様の含有量のα−2,6シアル酸を、CHOおよびHEK293において産生されたバッチでELLAアッセイによって検出した。図14を参照されたい。
[実施例3] Fc内にα−2,6−シアリル化N−グリカンを有するmAbバリアントの大規模の産生。
この実施例では、Fc内にα−2,6−シアリル化N−グリカンを有するantiAbeta_13C3_D257A mAbの産生について、大規模の哺乳動物細胞におけるSIAT1およびB4GT1との一過的共発現によって説明している。このmAbの特徴付けおよび結合特異性を、SIAT1およびB4GT1の共発現なしで産生された同一のantiAbeta_13C3_D257A mAbと比較した。
10LのWave Bioreactor内で懸濁培養した293−F細胞において、実施例1で用いた最適なプラスミド比率を用いて、293fectin(商標)と複合体形成させた、HC(pXL5105)、LC(pXL4808)、SIAT1(pXL4555)およびB4GT1(pXL4551)をコードする4種のプラスミドの一過的共発現によって、AntiAbeta_13C3_D257A mAbバリアントを産生させた。このバッチを、トランスフェクションの8日後に回収して、LP10104と名づけた。LP10116という名称のもう1種のバッチも、10LのWave Bioreactor内で懸濁培養した293−F細胞において、HC(pXL5105)およびLC(pXL4808)をコードするプラスミドの一過的共発現によって産生させた。双方のバッチを、実施例1に記載のように精製して特徴付けした。LP10104およびLP10116の2種のバッチの特徴付けを表5にまとめている。
該mAb中のN−グリカンの定量的シアル酸同定、炭水化物組成分析および定量的オリゴ糖マッピングも、本質的に以前に記載されているように行った(Saddicら、Methods Mol.Biol.、194:23−36、2002;Anumulaら、Glycobiology、8:685−694、1998)。第1に、mAbの穏やかな加水分解後にシアル酸残基を遊離させて、オルト−フェニレンジアミンで蛍光標識し、逆相HPLCによって分離した。個々のピークを、蛍光検出(励起、230nm;放出、425nm)によって検出して、N−アセチルノイラミン(NeuNAc)酸およびN−グリコリルノイラミン(NeuNGc)酸の標準と比較することによって同定および定量した。第2に、mAb試料を酸加水分解して個々の単糖を遊離させた後に炭水化物組成物を決定した。加水分解後、これらの単糖(中性糖およびアミノ糖)を、アントラニル酸で誘導体化し、次いで、逆相HPLCによって分離して、蛍光検出(励起、360nm;放出、425nm)によって検出した。個々のピークを、単糖の標準と比較することによって同定および定量した。第3に、オリゴ糖を、PNGase Fで酵素的に遊離させて、アントラニル酸で蛍光標識し、その後、Asahipak−NH2P(Phenomenex)カラム上での順相−陰イオン交換HPLCによってそれらのシアル酸残基の数による分離を行った。標識されたグリカンを、蛍光検出(励起、360nm;放出、425nm)によって検出および定量した。分析データを、表4において報告している。
Figure 2014508759
Figure 2014508759
この実施例において示した全体的なデータにより、きわめて高いα−2,6シアリル化N−グリカンFcの含有量を有する、数百ミリグラムものAntiAbeta mAbを治療的使用に必要とされる質で産生可能なことが示される。以下の実施例において、このmAbを、α−2,6シアリル化antiAbeta_13C3_D257Aと呼んでいる。
[実施例4] α−2,6シアリル化antiAbeta_13C3_D257Aのこのリガンドに対する親和性
この実施例において、Aβ前原線維に対するantiAbeta_13C3_D257Aの親和性を試験した。この理由は、元のantiAbeta_13C3 mAbがこのリガンドに特異的に結合するからである。
前原線維は、可溶性のロッド様構造であり、アミロイドベータペプチドであるAβ1−42ペプチドから自己凝集によって生じる。これらは、以前に公表されているように(Johanssonら、FEBS Journal、273:2618−30、2006)、合成のヒトAβ1−42ペプチドを10mMのNaOH中に溶解して、NaCl/リン酸緩衝液中で37℃で16時間インキュベートすることによって得られた。200kDaより大きい分子量を有する前原線維を、サイズ排除クロマトグラフィーによって11kDa程度の分子量を有する小さい分子量型と分離した。親和性をELISAによって試験した。前原線維を96ウェルプレート上にコーティングし、一濃度範囲の抗体を適用して、ペルオキシダーゼに結合された抗Fcモノクローナル抗体で検出を行った。
表6に記載のように、α−2,6シアリル化antiAbeta_13C3_D257Aに対するAβ前原線維の親和性は、元のantiAbeta_13C3および低シアリル化antiAbeta_13C3_D257Aで得られたEC50と同程度の、0.0415mg/LのEC50で測定された。
したがって、α−2,6シアリル化N−グリカンFcによる修飾は、mAb/リガンド親和性に干渉しなかった。
Figure 2014508759
[実施例5] Fcγ受容体に対するα−2,6シアリル化antiAbeta_13C3_D257Aの親和性
実施例3に記載のα−2,6シアリル化antiAbeta_13C3_D257A mAbは、Fcドメイン内において、広範囲にシアリル化されたN−グリカンの存在によってかなり修飾されている。この修飾は、このドメインにおいて結合することが記載されているFcγ受容体およびC1q成分に対するFc結合に干渉する可能性があった(Shieldsら、J.Biol.Chem.、276:6591−6604、2001;Mershonら、373−382頁、「Therapeutic monoclonal antibodies:from bench to clinic」、編:Zhiqiang An、2009、John Wiley&Sons、Inc.、Hoboken、NJ、USA)。したがって、ネズミタンパク質FcγRsおよびC1qに対して、α−2,6シアリル化antiAbeta_13C3_D257Aの親和性を、Fcによって媒介される強力なエフェクター機能を有するネズミIgG2aモノクローナル抗体(LP09078)と比較して決定した。
組換えネズミFcγRs(R&D Systemsから入手した。)に対するα−2,6シアリル化antiAbeta_13C3_D257Aの親和性を、Biacore3000機器を使用して表面プラズモン共鳴技術(SPR)で決定した。親和性データを、BiaEvaluationソフトウェアで分析した。親和性パラメータを、速い解離を用いた低い親和性についての定常状態の分析または遅い解離を用いた高い親和性のための適切なモデルでのグローバルなフィットのいずれかで決定した。
組換えC1qに対するα−2,6シアリル化antiAbeta_13C3_D257Aの親和性を、ELISAによって測定した。Calbiochemからの組換えC1q(参照204876)を、96ウェルプレート上にコーティングし、一濃度範囲の抗体を適用して、ペルオキシダーゼに結合された抗Fcモノクローナル抗体で検出を行った。表7に示した結果により、FcγRおよびC1qに対するantiAbeta_13C3_D257Aの親和性は、α−2,6シアリル化N−グリカンFcの非存在下および存在下においてきわめて低かったことが示された。
α−2,6シアリル化N−グリカンFcによる修飾は、Fcγ受容体に対するmAb親和性にもC1q成分に対するmAb親和性にも干渉しなかった。したがって、このα−2,6シアリル化antiAbeta_13C3_D257Aについては、免疫エフェクター細胞または補体カスケードに関与する能力がきわめて低いはずである。
Figure 2014508759
[実施例6] SIGN−R1に対するα−2,6シアリル化antiAbeta_13C3_D257Aの親和性
α−2,6シアリル化Fcは、エフェクターマクロファージを標的とする抗炎症性の可溶性メディエーターの分泌をもたらす細胞プログラムを誘導したレクチンである、SIGN−R1に関与するという仮説が立てられていた。(Anthonyら、Proc Natl Acad Sci U.S.A.、105:19571−19578、2008)。したがって、この実施例において、SIGN−R1に対するα−2,6シアリル化antiAbeta_13C3_D257Aの親和性を試験した。
親和性をELISAによって試験した:R&D Systemsから得たSIGN−R1::Fcを96ウェルプレート上にコーティングし、一濃度範囲の抗体を適用して、ペルオキシダーゼに結合された抗ネズミCkappaモノクローナル抗体で検出を行った。図15に示している結果より、α−2,6シアリル化antiAbeta_13C3_D257A(バッチLP10104)は、SIGN−R1に対する反応性がantiAbeta_13C3_D257A(バッチLP10116)よりも高いことが示されている。
SIAT6を発現する細胞株から得られたantiAbeta_13C3_D257A mAb(実施例7、バッチVA1_11033)を用いてこの実験を再現することにより、SIGN−R1結合がα−2,6結合に特異的であったという確認が得られた。このmAbは、混合されたα−2,6/α−2,3シアリル化N−グリカンを含有し(図26を参照されたい。)、B4GT1およびSIAT1を発現する、したがって、オリゴ糖を有し、ここで、大部分のシアリル残基がα−2,6−結合によってガラクトースに連結されている細胞株において産生されたmAbと(図26を参照されたい。)、いかなるさらなるグリコシルトランスフェラーゼも発現していない細胞株において産生されたmAb(図16A)との間で中程度のレベルの、SIGN−R1に対する結合をもたらす。
したがって、α−2,6シアリル化N−グリカンFcは、SIGN−R1に対するmAbの反応性に関与している。
最終的に、SIGN−R1に対する結合が、CH2ドメイン内の変異の部位、α−2,6シアリル化antiAbeta_13C3における235位のF、256位のVまたはD257によって影響されたかどうかを調べた。図16Bに示しているように、257位における置換により、結合がかなり増強される結果になった。
したがって、257位における変異が特に好ましい。これは、完全にシアリル化された抗体をもたらすだけでなく、その標的に対して増強された結合を示す抗体ももたらすからである。
[実施例7] α−2,6シアリル化ヒト化AntiAbeta_13C3_IgG4_D260X(X=A、D、K、S、N、L、G)の獲得および特徴付け
この実施例は、ヒトIgG4アイソタイプを有し、Fc内にEU命名法で265位において点変異を含有するα−2,6シアリル化mAbを生産する方法を示している。これは、AntiAbeta_13C3_IgG4における対応している部位では、260位のアスパラギン酸に相当し、ここで、該残基は、分泌されたmAb重鎖の第一番目から番号付けされる。
本発明の方法がヒト化抗体またはヒト抗体に適用され得ることを検証するために、ヒト化AntiAbeta 13C3 mAbのIgG4のFcドメインのD260位に6つの異なる置換をPCRによって挿入した。導入されたアミノ酸は、A、D、K、S、N、LまたはGであった。結果として生じる変異抗体のそれぞれを、HEK293において一過的発現によって産生させて、そのシアル酸含有量およびSNAレクチンを結合するその能力について分析した。
プラスミドpXL4973は、ヒトCkappaドメインに融合されたヒト化VL1ドメインをコードしていた(図17A)のに対して、プラスミドpXL4979は、antiAbeta_13C13_IgG4 mAbのヒトIgG4定常ドメインに融合されたヒト化VH1をコードしていた、図A2。
同一の発現ベクターを使用して、AntiAbeta_13C3_D260X mAbバリアントのヒト化LCおよびHCをコードするcDNAをクローニングした。
プラスミド5227から5232は、pXL4979からIgG4ドメイン内の点変異によって得られた。プラスミドpXL5227は、AntiAbeta_13C3_IgG4_D260Aの改変HCをコードし、プラスミドpXL5228は、AntiAbeta_13C3_IgG4_D260K mAbの改変HCをコードし、プラスミドpXL5229は、AntiAbeta_13C3_IgG4_D260L mAbの改変HCをコードし、プラスミドpXL5230は、AntiAbeta_13C3_IgG4_D260G mAbの改変HCをコードし、プラスミドpXL5232は、AntiAbeta_13C3_IgG4_D260S mAbの改変HCをコードしていた。LCおよびHCのmAbバリアントの核酸配列および対応しているアミノ酸配列を図20から24に記載した。
懸濁培養した293−F細胞において、293fectin(商標)(Invitrogen)と複合体形成させた、HC、LC、SIAT1およびB4GT1をコードする4種のプラスミドの一過的共発現によって、各モノクローナル抗体バリアントを産生させた。最適な産生能およびシアル酸含有量を確実にするためにプラスミド比率を最適化した。最適なプラスミド比率は、[HCおよびLCプラスミド]/[SIAT1プラスミド]/[B4GT1プラスミド]について6/0.5/0.5であった。
分泌されたmAbは、39から43mg/Lまでの範囲に及ぶ産生能で産生され、トランスフェクションの8日後に回収して遠心分離した。mAbを、プロテインA(MabSelect、GE、Healthcare)上での親和性クロマトグラフィーによって精製して、100mMの酢酸pH2.8、20mMのNaClの緩衝液でカラムから溶出させた。これらを、PBS中に製剤化して、0.22μmのフィルターに通し、+5℃で保管した。精製したmAbの濃度を、280nmにおける吸光度の測定によって決定した。
500mLの培養物から約10−11mgのmAbが精製された。各バッチを還元条件および非還元条件下でSDS−PAGE(Nupage Bistris/MOPS−SDS 4−12%、Invitrogen)によって分析して、97%を超える純度ならびに各サブユニットおよびこのモノマーの予想される分子量を決定した。各バッチを、ゲル濾過(Tricorn 10/300 GL Superdex 200)によっても分析して、モノマーの均一性および高分子量の種の10%未満の含有量を決定した。
LTQ−Orbitrap MSと併用したナノLC上で質量分析を行った。これにより、すべてのバッチについての種々のmAbの予想される質量が明らかにされた。さらに、N−グリカンは、以下のバッチ(VA1_11053からVA1_11056)で本質的にシアリル化されていた。これらのバッチは、Fcドメイン内に以下の点変異を含有するバリアントにそれぞれ相当する:EU命名法を使用してD265G、D265L、D265KおよびD265A(図25および表8を参照されたい。)。
レクチン・マーキア・アムレンシス(MAA)を用いたN−グリカン中の末端α−2,3シアル酸の検出またはレクチン・サンブカス・ニグラ(SNA)を用いたN−グリカン中の末端α−2,6シアル酸の検出の各々のために、2種の酵素結合レクチンアッセイ(ELLA)が開発された。α−2,3およびα−2,6シアリル化されたAntiAbeta_13C3_D257Aを含有する対照バッチ(VA1_11033)も含めた。これは、HC、LC、SIAT6およびB4GT1をそれぞれコードする4種のプラスミドpXL5105、pXL4808、pXL4544およびpXL4551の共発現によって産生させ、上記のように精製した。
図26に示しているように、バッチVA1_11051からVA1_11056でMAAに反応性は認められなかったのに対して、SNAで特異性が観察され、N−グリカンのシアリル化含有量がより多かったときに反応性がより高かった。Fc内のバッチおよび点変異のランキングは、以下の通りであった:VA1_11054〜VA1_11056〜VA1_11055>VA1_11053>>VA1_11052〜VA1_11051;この翻訳は、点変異について、以下の通りである:L〜A〜K>G>>S〜D。このランキングは、互いに異なる変異体のN−グリカンのシアル酸含有量と相関している。
Figure 2014508759
結論として、D265A、D265G、D265LおよびD265Kの変異はすべて、ジシアリル化された抗体分子の割合を増大させる。

Claims (21)

  1. IgG抗体を生産する方法であって、前記抗体のうちの少なくとも80%が、前記抗体の各Fcドメインに結合された2つのシアル酸残基を含有する複合二分岐オリゴ糖を含み、前記方法が、
    a)前記抗体の前記Fcドメイン内に変異を導入するステップ、および
    b)ステップa)で得られた変異抗体を、β−ガラクトシルトランスフェラーゼおよびシアリルトランスフェラーゼ活性を発現する細胞株において発現させるステップ
    を含む方法。
  2. β−ガラクトシルトランスフェラーゼがβ−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼであり、シアリルトランスフェラーゼがα−2,6−シアリルトランスフェラーゼである、請求項1に記載の方法。
  3. β−1,4−ガラクトシルトランスフェラーゼが、配列番号35によって表されるポリヌクレオチド配列によってコードされ、α−2,6−シアリルトランスフェラーゼが、配列番号33によって表されるポリヌクレオチド配列によってコードされる、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記シアル酸残基が、α−2,6−結合によって抗体に連結されている、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 抗体がモノクローナル抗体である、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. 抗体がヒト化抗体である、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記変異が、F243、V264およびD265からなる群から選択されるアミノ酸に影響を及ぼす、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記変異が、アラニン(A)、グリシン(G)、ロイシン(L)およびリシン(K)からなる群から選択されるアミノ酸による前記アミノ酸の置換である、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記変異が、D265L、D265KおよびD265Aからなる群から選択される、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記抗体が、ヒトIgG4のFcドメインを含む、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記抗体が、ヒトIgG1のFcドメインを含む、請求項1から10のいずれかに記載の方法。
  12. β−ガラクトシルトランスフェラーゼおよびシアリルトランスフェラーゼ活性を発現する前記細胞株が、β−ガラクトシルトランスフェラーゼおよびシアリルトランスフェラーゼをコードする1種または2種のベクターが安定にトランスフェクトされた細胞株である、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
  13. β−ガラクトシルトランスフェラーゼおよびシアリルトランスフェラーゼ活性を発現する前記細胞株が、前記抗体をコードする1種または2種のベクターが安定にトランスフェクトされた細胞株である、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
  14. 請求項1から13のいずれかに記載の方法によって生産された抗体。
  15. 請求項14の抗体を含む医薬組成物。
  16. 医薬として使用するための、請求項14に記載の抗体。
  17. IgG抗体を含む組成物であって、前記抗体のうちの少なくとも80%が、前記抗体の各Fcドメインに結合された複合二分岐オリゴ糖を含み、前記オリゴ糖が、2つのシアル酸残基を含み、前記Fcドメインが、天然配列のヒトIgGのFcドメインと異なるアミノ配列を含む、組成物。
  18. 前記シアル酸残基が、α−2,6−結合によって抗体に連結されている、請求項17に記載の組成物。
  19. 本発明の組成物の抗体が、アミノ酸243、264および265位のうちのいずれか1つ以上におけるアミノ酸置換を含む、請求項17または18に記載の組成物。
  20. 前記置換が、アラニン(A)、グリシン(G)、ロイシン(L)およびリシン(K)からなる群から選択されるアミノ酸による前記アミノ酸の置換である、請求項19に記載の組成物。
  21. 前記置換が、D265L、D265KおよびD265Aからなる群から選択される、請求項20に記載の組成物。
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