JP2010512306A - 抗炎症特性が増強され、細胞毒性特性が減少したポリペプチドおよび関連する方法 - Google Patents

抗炎症特性が増強され、細胞毒性特性が減少したポリペプチドおよび関連する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、少なくとも一つのIgG Fc領域がα2,6結合により各末端シアル酸部分に結合する少なくとも一つのガラクトース部分でグリコシル化され、該ポリペプチドが未精製の抗体に比してより高い抗炎症活性を有する、少なくとも一つのIgG Fc領域を含むポリペプチドを提供する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2006年4月5日に出願された米国仮特許出願第60/789,384号に対して優先権を主張する、2007年4月3日に出願されたPCT特許出願第PCT/US07/08396号の一部継続出願であり、これらは双方とも参考で本明細書中に引用される。本出願はまた、2006年10月27日に出願されたPCT特許出願第PCT/US06/41791号、及び2005年11月7日に出願された米国仮特許出願第60/734,196号に対して優先権を主張する、2007年4月3日に出願されたPCT特許出願第PCT/US07/08396号に対して優先権を主張し、これらは双方とも参考で本明細書中に引用される。
連邦政府の資金による研究に関する言及
本発明に至る研究は、一部、国立衛生研究所認可番号AI034662によって支援された。したがって、米国政府が、本発明についてある程度権利を有しうる。
技術分野
本発明は、炎症性疾患の治療を目的とした、治療用ポリペプチドを設計する新規な方法に関する。
免疫グロブリンに対する細胞受容体は、40年近く前に最初に同定されたけれども、免疫反応におけるそれらの中心的役割は、ここ10年ほどで見出されたに過ぎない。免疫反応の末梢から中枢に向かう時期(afferent phase)および中枢から末梢に向かう時期(efferent phase)の双方においてそれらは中心的存在であり、B細胞活性化および抗体産生の閾値を設定し、樹状細胞の成熟を調節し、そして抗体反応の高い特異性を、食作用、抗体依存性細胞障害ならびに炎症性細胞の動員および活性化のようなエフェクター経路へと導く。体液性免疫システムを固有のエフェクター細胞に導く際のそれらの中心的役割により、それらは、in vivoにおける抗体活性を増強させる、または抑制するための魅力的な免疫治療用ターゲットとなる。
抗体および抗体−抗原複合体と、免疫システムの細胞との相互作用は、抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC)および補体依存性細胞障害(CDC)、食作用、炎症性メディエータの放出、抗原クリアランス、ならびに抗体半減期などの種々の反応を引き起こす(Daron,Annu Rev Immunol,15,203−234(1997);Ward and Ghetie,Therapeutic Immunol,2,77−94(1995);Ravetch and Kinet,Annu Rev Immunol,9,457−492(1991)中で概説され,各々は、本明細書で参照として引用される)。
抗体定常領域は、直接的には抗原への抗体の結合に関与しないが、種々のエフェクター機能を示す。重鎖の定常領域のアミノ酸配列によって、抗体または免疫グロブリンを、異なるクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンには5つの主なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMが存在し、これらのうちいくつかはさらにサブクラス(イソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4;IgA1およびIgA2、に分けられる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常領域は、それぞれα、δ、ε、γ、およびμと呼ばれる。種々のヒト免疫グロブリンクラスのうち、ヒトIgG1およびIgG3がIgG2およびIgG4よりもより効果的にADCCを媒介する。
抗体のパパイン消化により、2つの同一の抗原結合フラグメントが生成するが、このフラグメントは、各々が単一の抗原結合部位を有するFabフラグメント、および、すぐに結晶化できることを示す名前である「Fc」フラグメントと呼ばれる。Fc領域は、抗体のエフェクター機能の中心となる。ヒトIgG Fc領域の結晶構造が決定されてきた(Deisenhofer,Biochemistry,20,2361−2370(1981)、これは本明細書に参照として引用される)。ヒトIgG分子において、Fc領域は、パパインでN末端からCys226までを切断することによって得られる。
IgGは、Fcフラグメントによって媒介される相互作用を通じて、炎症性、および抗炎症性双方の活性を媒介すると長い間考えられてきた。したがって、Fc−FcyR相互作用は、免疫複合体および細胞障害抗体の炎症性特性に関与する一方、静脈内ガンマグロブリン(IVIG)およびそのFcフラグメントは、抗炎症性であり、炎症性疾患を抑制するために広く用いられる。そのような逆説的な特性の正確なメカニズムは不明であるが、IgGのグリコシル化がIgGの細胞毒性および炎症性の制御に重要であることが提案されてきている。
IgGは、その2つの重鎖の各々のCH2ドメイン中のAsn297に単一の、N−結合型グリカンを含む。共有結合した複合糖質は、N−アセチルグルコサミン(GIcNAc)およびマンノース(man)を含む、コアの二分岐ペンタ−ポリサッカロイドから構成される。コア糖質構造のさらなる修飾が、可変的に見出されるフコース、分岐GIcNAc、ガラクトース(gal)および末端シアル酸(sa)部分の存在によって血清抗体中に見られる。それ故、40を超える異なる糖型が、この一つのグリコシル化部位に共有結合していることが見出されている。Fujii et al.,J. Biol. Chem 265,6009(1990)。IgGのグリコシル化は、2つの重鎖のオープン構造(open conformation)を維持することによって、全てのFcyRへの結合に不可欠であることが示されてきている。Jefferis and Lund,Immune.l Lett. 82,57(2002),Sondermann et al.,J. Mol. Biol. 309,737(2001)。このようにFcyR結合にIgGグリコシル化が絶対不可欠であることは、脱グリコシル化IgG抗体がADCC、食作用および炎症性メディエーターの放出のような、インビボで誘発される炎症反応を媒介することができないことの説明となる。Nimmerjahn and Ravetch,Immunity 24,19(2006)。さらに、フコースを含むまたは欠くIgG抗体に対して報告された各々のFcyRに対して親和性が変化し、その結果として細胞毒性に影響を与えることにより、個々のIgGの糖型が炎症反応の調節に寄与しうるという知見が示唆された。Shields et al.,J. Biol. Chem. 277,26733(2002),Nimmerjahn and Ravetch,Science 310,1510(2005)。自己免疫状態とIgG抗体の特定のグリコシル化パターンとの関連が、IgG抗体のガラクトシル化およびシアル化の減少が報告されている関節リウマチ、および自己免疫血管炎患者において見出されている。Parekh et al.,Nature 316,452(1985),Rademacher et al.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91,6123(1994),Matsumoto et al.,128,621 (2000),Holland et al.,Biochim. Biophys. Acta Dec 27;[印刷に先立つ電子出版]2005。IgG糖型の変化のインビボにおける重要性は究明されていないものの、IgG糖型の変化もまた老化および免疫性に関連することが報告されている。Shikata et al.,Glycoconj. J. 15,683 (1998),Lastra, et al.,Autoimmunity 28,25(1998)。
したがって、インビボにおけるIVIG特性の種々の知見を説明しうるポリペプチドの作製方法の開発が必要とされている。
発明の要約
本発明は、そのような方法および分子を提供することによって前述の要求を満たすものである。一態様において、本発明は、少なくとも一つのIgG Fc領域を含み、未精製の抗体調製物とは性質の異なる単離ポリペプチドであって、該単離ポリペプチドのシアル化能(sialylation)が未精製の抗体調製物より高い、単離ポリペプチドを提供する。一実施形態では、該少なくとも一つのIgG Fc領域を有する単離ポリペプチドは、α2,6結合により各末端シアル酸部分に結合する少なくとも一つのガラクトース部分でグリコシル化され、該ポリペプチドが未精製抗体に比してより高い抗炎症活性を有する。一実施形態では、該少なくとも一つのIgG Fc領域を有する単離ポリペプチドは、α2,6結合により各末端シアル酸部分に結合する少なくとも一つのガラクトース部分でグリコシル化され、該ポリペプチドが未精製の抗体調製物に比してFc活性化レセプターに対する結合能が低い。さらなる実施形態では、Fc活性化レセプターがFcγRIIA、FcγRIICおよびFcγRIIIAからなる群より選択される。
他の態様において、本発明は、抗炎症活性のより高い少なくとも一のFc領域を有するポリペプチドおよび適当な担体または希釈剤を含む薬剤を提供する。
Fc領域の多糖鎖のシアル化能(sialylation)を変更することを有する、ポリペプチドの性質の調節方法。
一実施形態では、本方法は、末端シアル酸がα2,6結合を介してガラクトース部分に連結してなる多糖鎖を有する少なくとも一のFc領域を含む複数のポリペプチド、および末端シアル酸がα2,6結合を介してガラクトース部分に連結してなる多糖鎖が欠損する少なくとも一のFc領域を含む複数のポリペプチドを含む、少なくとも一のFc領域を含むポリペプチドの未精製源を用意し;さらに末端シアル酸がα2,6結合を介してガラクトース部分に連結してなる多糖鎖が欠損する少なくとも一のFc領域を含む複数のポリペプチドに対する末端シアル酸がα2,6結合を介してガラクトース部分に連結してなる多糖鎖を有する少なくとも一のFc領域を含む複数のポリペプチドの割合を増加させる、ことを有する。
図面の簡単な説明
図1Aは、SNA FC結合のMALDI−Tof分析結果を示すものである。 図1Bは、SNA FC結合のMALDI−Tof分析結果を示すものである。 図1Cは、SNA FC結合のMALDI−Tof分析結果を示すものである。 図2は、シアル酸とがガラクトースとのα2,6結合を増加させることにより、IVIG Fcフラグメントの抗炎症性が向上することを示す実験を要約したものである。 図3は、シアル酸とがガラクトースとのα2,6結合の除去により、IVIG Fcフラグメントの抗炎症性が低減することを示す実験を要約したものである。
発明の詳細な説明
本発明者らは、驚くべきことに、IgG Fcドメインの細胞毒性および抗炎症反応が、Fcに結合したコア多糖のシアル化が異なることに起因することを見出した。IgG抗体の細胞毒性は、シアル化時に低減する;逆に、IVIGの抗炎症活性は増強される。IgG シアル化は、抗原特異的免疫反応の誘導によって制御されることが示され、したがって、抗原投与によって、定常状態の固有の抗炎症分子から、適応的、炎症性種にIgGを転換する新規な方法を提供する。Fc−シアル化IgGはマクロファージ上の固有のレセプターに結合し、次に阻害性Fcγレセプター(FcγR)をアップレギュレートし、これにより自己抗体が仲介する病変に対する保護が生じる。概して、Ravetch and Nimmerjahn,J. Experim. Medicine 24(1):11−15(2007)を参照。
したがって、本明細書では、所望の細胞毒性および抗炎症性ポテンシャルを有するIgGの製造および選択の有利な戦略を提供する。
定義
本明細書および請求項を通じて、免疫グロブリン重鎖における残基のナンバリングは、本明細書に参照として明示的に引用される、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed. Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)に記載されるようなEU indexのものである。「Kabatに記載されるようなEU index」とは、ヒトIgG1 EU抗体の残基ナンバリングを指す。
「ネイティブ」または「親(parent)」という用語は、Fcアミノ酸配列を含む改変されていないポリペプチドを指す。親ポリペプチドは、ネイティブ配列Fc領域または(付加、欠失および/または置換のような)予め存在するアミノ酸配列の改変を持つFc領域を含みうる。
「ポリペプチド」という用語は、少なくとも一つのIgG Fc領域を含むタンパク質のいずれかの断片を指し、以下に限定されるものではないが、例えば、抗体、例えばIgG抗体のような、十分に機能するタンパク質が挙げられる。
「Fc領域」という用語は、免疫グロブリン重鎖のC−末端領域を規定するために用いられる。「Fc領域」は、ネイティブ配列Fc領域であっても、または変異Fc領域であってもよい。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は、変化しうるが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常Cys226位、またはPro230位のアミノ酸残基からカルボキシル末端まで伸びると規定される。
ヒトIgG Fc領域の「CH2ドメイン」(「Cγ2」ドメインとしても言及される)は、通常、約231番目のアミノ酸から約340番目のアミノ酸まで拡がる。CH2ドメインは、他のドメインと密接に対をなさない点で特有である。正確には、2つのN−結合分岐糖質鎖が、正常ネイティブIgG分子の2つのCH2ドメイン間に入っている。糖質は、ドメイン−ドメイン対の代わりとなり、CH2ドメインの安定化を助けると考えられている(Burton,Mol Immunol, 22,161−206(1985)、これは参考で本明細書中に引用される)。
「CH3ドメイン」は、Fc領域中のC−末端からCH2ドメインまでの残基の拡がりを含む(すなわち、IgGの約341番目のアミノ酸残基から約447番目のアミノ酸残基まで)。
「ヒンジ領域」という用語は、一般的には、ヒトIgG1のGlu216からPro230までの拡がりとして定義される(Burton(1985))。他のIgGイソタイプのヒンジ領域を、最初および最後にシステイン残基を配置して、同じ位置に重鎖S−S結合間(inter−heavy chain S−−S bond)を形成することによって、IgG1配列と並べてもよい。
「結合ドメイン」は、他の分子に結合するポリペプチドの領域を指す。FcRの場合、結合ドメインは、Fc領域との結合に関与するポリペプチド鎖(例えば、そのα鎖)の一部を含みうる。結合ドメインの一例としては、FcR鎖の細胞外ドメインがある。
「機能的Fc領域」は、ネイティブ配列Fc領域の部分的「エファクター機能」を少なくとも有する。「エフェクター機能」の例としては、C1q結合;補体依存性細胞障害;Fcレセプター結合;抗体依存性細胞媒介性細胞障害(ADCC);食作用;細胞表面レセプター(例えば、B細胞レセプター(B cell receptor);BCR)のダウンレギュレーションなどが挙げられる。かようなエフェクター機能は、通常、Fc領域が結合ドメイン(例えば、抗体可変領域)に結合することを必要とし、例えば本明細書で開示されているような種々のアッセイを用いて分析することができる。
「ネイティブ配列Fc領域」は、天然で見出されるFc領域のアミノ酸配列に一致したアミノ酸配列を含む。当業者によって認識されているように、「変異Fc領域」は、少なくとも一つの「アミノ酸修飾」によりネイティブ配列Fc領域のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む。好ましくは、変異Fc領域は、ネイティブ配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域と比べて少なくとも一つのアミノ酸置換、例えば、ネイティブ配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域において約1から約10アミノ酸置換、好ましくは約1から約5アミノ酸置換を有する。本明細書における変異Fc領域は、好ましくは、ネイティブ配列Fc領域および/または親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%の相同性、より好ましくはこれらと少なくとも約90%の相同性、より好ましくはこれらと少なくとも約95%の相同性、より好ましくは少なくとも約99%の相同性を有するであろう。
「変化した(altered)グリコシル化」という用語は、上記で定義したような、特定の糖成分を増加させるか、減少させるために、重鎖定常領域への糖質付加が操作された、ネイティブでのあるいは修飾されたポリペプチドを指す。例えば、Lec2またはLec3のような特定の細胞系中で準備された抗体のような、ポリペプチドは、フコースやシアル酸のような糖部分の付着ができない可能性がある。
「Fcレセプター」または「FcR」という用語は、抗体のFc領域に結合するレセプターを表すために用いられる。本発明の一実施形態において、FcRはネイティブ配列ヒトFcRである。他の実施形態において、ヒトFcRを含むFcRは、IgG抗体に結合し(γレセプター)、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIサブクラスのレセプターを含み、これにはこれらのレセプターの対立遺伝子多型および選択的スプライス型を含む。FcγRIIレセプターは、FcγRIIA(「活性化レセプター」)およびFcγRIIB(「阻害性レセプター」)を含むが、これらのレセプターは主としてこれらの細胞質ドメインにおいて異なる、同様のアミノ酸配列を有する。活性化レセプターであるFcγRIIAは、細胞質ドメインにおいて、免疫受容体チロシン系活性化モチーフ(immuno receptor tyrosine−based activation motif(ITAM))を含む。阻害性レセプターであるFcγRIlBは、細胞質ドメインにおいて、免疫受容体チロシン系阻害性モチーフ(immuno receptor tyrosine−based inhibition motif(ITIM))を含む(Daron,Annu Rev Immunol,15,203−234(1997);FcRs are reviewed in Ravetch and Kinet,Annu Rev Immunol,9,457−92(1991);Capel et al.,Immunomethods,4,25−34(1994);and de Haas et al.,J Lab Clin Med,126,330−41(1995),Nimmerjahn and Ravetch 2006,Ravetch Fc Receptors in Fundemental Immunology,ed William Paul 5th Ed.のレビューを参照、各々は本明細書に参照として引用される)。
「抗体依存性細胞媒介性細胞障害」および「ADCC」は、FcRを発現する細胞障害性細胞(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞やマクロファージのような単球細胞)が標的細胞上の結合抗体を認識し、続いて標的細胞の溶解を引き起こす、インビトロまたはインビボ細胞媒介反応を指す。原則として、活性化FcγRを有するいかなるエフェクター細胞もADCCを媒介する誘因となりうる。そのような細胞の一つである、NK細胞は、FcγRIIIのみを発現し、一方、単球は活性化、局在化、または分化によって、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIを発現することができる。造血細胞上のFcR発現は、本明細書に参照として引用される、Ravetch and Bolland, Annu Rev Immunol, (2001)に要約される。
「ヒトエフェクター細胞」は、一以上のFcRを発現し、エフェクター機能を行う白血球である。好ましくは、細胞は、例えばFcγRlIIのような活性化Fcレセプターの少なくとも一つの型を発現し、ADCCエファクター機能を果たす。ADCCを媒介するヒト白血球の例としては、末梢血単核球(peripheral blood mononuclear cells(PBMC))、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、および好中球が挙げられ、PBMCおよびNK細胞が好ましい。エフェクター細胞は、本明細書で開示されているように、例えば血液またはPBMCなどのこれらの天然源から単離されうる。
「抗体」という用語は、最も広い意味で用いられ、特にモノクローナル抗体(完全長のモノクローナル抗体を含む)、ポリクロール抗体、多特異的抗体(例えば、二重特異性抗体)、および所望の生物学的活性を示す限り抗体断片にまでわたる。
抗体の「シアル酸含有量」という語は、この語が文脈上他の意味を意図していることを明確に示唆していない場合には、抗体の重鎖のFc領域上のシアル酸残基の総数および未精製抗体調製物中の非シアル化(asialylated)抗体に対するシアル化抗体の比率の双方を指す。
本発明の目的のために定義される際、「抗体断片」は、通常、完全な(intact)抗体の抗原結合または可変領域あるいはFcR結合能力を保持している抗体のFc領域を含む、完全な抗体の部分を含む。抗体断片の例としては、線状(linear)抗体;一本鎖抗体分子;および抗体断片から形成される多特異的抗体が挙げられる。抗体断片は、好ましくはIgG重鎖のヒンジの少なくとも一部および必要であればCHl領域を保持する。より好ましくは、抗体断片は、IgG重鎖の全定常領域を保持し、IgG軽鎖を含む。
本明細書で用いられる場合、「モノクローナル抗体」とは、実質的に同質の抗体集団(population)から得られる抗体を意味し、すなわち、当該集団を含む個々の抗体が、少量で存在しうる、自然に起こりうる変異を除いて一致している。モノクローナル抗体は、非常に特異的で、単一の抗原部位に対して指向している。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対して指向している異なる抗体を通常含む従来の(ポリクローナル)抗体調製物に対して、各モノクローナル抗体は抗原上の単一の決定基に対して指向している。修飾語の「モノクローナル」は、抗体の実質的に同質な集団から得られるような抗体の特徴を示し、特定の方法によって抗体を製造する必要があると解されるべきではない。例えば、本発明に従って用いられるモノクローナル抗体は、本明細書に参照として引用される、Kohler and Milstein,Nature,256,495−497(1975)によって最初に開示されたハイブリドーマ法によって作製されてもよいし、組み換えDNA法(例えば、米国特許第4、816、567号参照、これは、本明細書に参照として引用される)によって作製されてもよい。モノクローナル抗体は、例えば、Clackson et al.,Nature,352,624−628(1991)およびMarks et al.,J MoI Biol,222,581−597(1991)に開示されている技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離されてもよい、なお、上記は本明細書に参照として引用される。
本発明の他の実施形態において、少なくとも一つのIgG Fc領域を含むポリペプチドは、以下に限定されるものではないが、全タンパク質などの、他のタンパク質断片に融合されてもよい。当業者は、多くのタンパク質が、以下に限定されるものではないが、他の免疫グロブリン、特に、それぞれのFc領域を欠く免疫グロブリンなどの、本発明のポリペプチドに融合されうることを、確かに理解するであろう。あるいは、例えば、本明細書に参照として引用される、米国特許第6、660、843号に記載されているように、他の生物学的に活性なタンパク質またはその断片を、本発明のポリペプチドに融合してもよい。この実施形態は、そのような生物学的に活性なタンパク質またはその断片をFcレセプターを発現する細胞へデリバリーするのにとりわけ有利である。さらに、例えば、GSTタグもしくは緑色蛍光タンパク質、またはGFPなどの異なるマーカーを用いてもよい。
本明細書中に詳細に記載されるモノクローナル抗体は、所望の生物学的活性を発揮する限り、抗体断片のみならず、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種由来のまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属している抗体中の対応する配列には一致するまたは相同するが、鎖の残りの部分は他の種由来のまたは他の抗体クラスもしくはサブクラスに属している抗体中の対応する配列に一致するまたは相同する「キメラ」抗体(免疫グロブリン)を包含する(米国特許第4、816、567号;Morrison et al.,Proc Natl Acad Sci USA,81,6851−6855(1984);Neuberger et al.,Nature,312,604−608(1984);Takeda et al.,Nature,314,452−454(1985);;国際特許出願第PCT/GB85/00392を参照、各々が本明細書に参照として引用される)。
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含むキメラ抗体である。大部分では、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域由来の残基が、所望の特異性、親和性および能力を有する、マウス、ラット、ウサギまたはヒト以外の霊長類等の非ヒト種の超可変領域(ドナー抗体)由来の残基で置換される、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非ヒト残基によって置換されている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にまたはドナー抗体には存在しない残基を含んでいてもよい。これらの改変は、抗体性能をさらに向上させるためになされる。一般的には、ヒト化抗体は、少なくとも一つの、通常は2つの可変ドメインを実質的に全てを含むが、可変ドメイン中、超可変ループの全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリンの超可変ループに対応し、FR残基の全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリン配列のFR残基である。ヒト化抗体はまた、必要であれば、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、通常はヒト免疫グロブリンの一部を含むであろう。さらに詳細には、Jones et al.,Nature,321,522−525(1986);Riechmann et al.,Nature,332,323−329(1988);Presta, Curr Op Struct Biol,2,593−596(1992);米国特許第5,225,539号を参照、各々が本明細書に参照として引用される。
少なくとも一つのIgG Fc領域を含むポリペプチドとしては、特定のアミノ酸置換、付加または欠失が、重鎖定常領域をコードする遺伝子を改変するために組み換えDNA技術を用いることによって親の配列に導入されるポリペプチドがある。これらの改変の導入は、Molecular Cloning(Sambrook and Russel,(2001))などのマニュアルに記載されてのと同様にして、分子生物学のよく確立された技術に従う。加えて、少なくとも一つのFc領域を有するポリペプチドは、自身のグリコシル化特異性で分かる細胞系での発現(Stanley P., et al.,Glycobiology,6,695−9(1996);Weikert S.,et al.,Nature Biotechnology,17,1116−1121(1999);Andresen DC and Krummen L.,Current Opinion in Biotechnology,13,117−123(2002))によってまたは特異的なレクチンの増加(enrichment)または枯渇(depletion)によってまたは酵素処理(Hirabayashi et al.,J Chromatogr B Analyt Technol Biomed Life Sci,771,67−87(2002);Robertson and Kennedy,Bioseparation,6,1−15(1996))によってのいずれかによって得られる、特定の糖質改変を含むよう選択された上記ポリペプチドを含むであろう。抗体グリコシル化の質および程度は、用いられる細胞のタイプや培養条件によって異なることが本分野において知られている。(例えば、Patel et al.,Biochem J,285,839−845(1992))は、抗体が結合した糖側鎖中のシアル酸含有量が、抗体が腹水としてまたは血清を含まないもしくは血清を含む培地中で生産される際には、有意に異なることを報告している。さらに、Kunkel et al.,Biotechnol Prog,16,462−470(2000)は、細胞成長に異なるバイオリアクターを使用することおよび培地中の溶存酸素の量が抗体が結合した糖部分中のガラクトースおよびシアル酸の量に影響を与えることを示した。しかしながら、これらの研究は、様々なシアル酸残基の量がどのようにインビボで抗体活性に影響を与えるかについては取り上げていなかった。
ホスト発現系
本発明のポリペプチドは、N−結合型グリコシル化が可能なホスト発現系、すなわち、ホスト細胞中で発現させることができる。通常、このようなホスト発現系としては、細菌の、真菌の、植物の、脊椎動物または無脊椎動物の発現系が挙げられる。一実施形態において、ホスト細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系(例えば、CHO−K1;ATCC CCL−61)、Green Monkey細胞系(COS)(例えばCOS1(ATCC CRL−1650)、COS 7(ATCC CRL−1651))等の哺乳類細胞;マウス細胞(例えばNS/0)、Baby Hamster Kidney(BHK)細胞系(例えば、ATCC CRL−1632またはATCC CCL−10)、またはヒト細胞(例えば、HEK 293(ATCC CRL−1573))、または例えば、American Type Culture Collection、Rockville、Md.等の公的な寄託機関から入手可能な他の適当な細胞系である。さらに、鱗翅目細胞系(Lepidoptora cell line)、例えばSf9、等の昆虫細胞系、植物細胞系、真菌細胞系、例えば、サッカロマイセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、Hansenula spp等の酵母、またはB. subtilis等のBacillus、またはEschericiae coliを用いた細菌の発現系が使用できる。場合によっては、ヒトIgGのFc領域上で通常見られるように複雑な、二分岐の糖となるためには、ホスト細胞への修飾がN−結合型グリコシル化およびグリカン成熟が確実に起こるために必要とされる場合もあることが理解されるであろう。
治療製剤
少なくとも一つのIgG Fc領域を有するポリペプチドを含む治療製剤は、所望の精製度を有する本発明のポリペプチドを、必要であれば生理学的に許容される担体、賦形剤または安定化剤と混合することによって、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で、保管用に製造されうる(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)参照)。許容される担体、賦形剤または安定化剤は、用いられる投与量および濃度で患者に無毒であり、これらとしては、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸等のバッファー;アスコルビン酸およびメチオニン等の抗酸化剤;(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェニル、ブチルまたはベンジルアルコール;メチルまたはプロピルパラベン等のアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾール等の)防腐剤;低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリシン等のアミノ酸;グルコース、マンノース、またはデキストリン等の単糖、二糖、および他の糖質;EDTA等のキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトール等の糖;ナトリウムのような塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);および/またはTWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)またはポリエチレングリコール(PEG)等のノニオン界面活性剤が挙げられる。
本明細書における製剤はまた、治療される特定の適応症に必要な一以上の活性化合物、好適には互いに悪影響を与えない相補的活性を有する化合物を含んでいてもよい。このような分子は、所望の目的に効果的な量で、適切に組み合わせて存在する。
活性成分はまた、それぞれ、コロイドドラッグデリバリーシステム(例えば、リポソーム、アルブミン小球体、マイクロエマルション、ナノ粒子およびナノカプセル)中にまたはマクロエマルション中に、例えば、コアセルベーション技術によってまたは界面重合によって調製されたマイクロカプセル中に、例えば、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン−マイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中に、取り込まれていてもよい。かような技術はRemington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition、Osol、A.Ed.(1980)に開示されている。
好ましい実施形態において、インビボ投与用に用いられる製剤は滅菌されている。本発明の製剤は、例えば、殺菌した濾過膜を通した濾過によって、容易に滅菌することができる。
徐放性製剤もまた準備されうる。徐放性製剤の適切な例としては、修飾抗体を含む固形疎水性ポリマーの半透性マトリクスが挙げられ、該マトリクスは、例えばフィルム、またはマイクロカプセルなどの、成形物の形態である。徐放性マトリクスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(例えば、米国特許第3,773,919号参照)、L−グルタミン酸およびy エチル−L−グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(登録商標)(乳酸−グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドから構成される注射可能なマイクロスフェア)等の分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が挙げられる。エチレン酢酸ビニルおよび乳酸−グリコール酸等のポリマーは、100日以上分子の放出が可能であるが、ヒドロゲルの中にはより短い期間タンパク質を放出するものもある。カプセル化された抗体は長時間体内に残存すると、37℃で湿度に晒される結果、変性するまたは凝集し、その結果、生物学的活性が失われ、免疫原性が変化する可能性がある。安定化に対する合理的戦略が、関連するメカニズムによって考え出されうる。例えば、凝集メカニズムがチオール−ジスルフィド交換により分子間でS−S結合が形成されることが見出される際には、安定化は、スルフヒドリル残基を修飾し、酸性溶液から凍結乾燥し、湿度量を制御し、添加剤を用い、そして特定のポリマーマトリクスを開発することによって達成されうる。
少なくとも一つのIgG Fc領域を含むシアル化されたポリペプチドの製造
本発明のポリペプチドは、未修飾および/または未精製の抗体と比較してシアル酸の量が増加するように、さらに精製または修飾してもよい。この目的に到達するために多数の方法が存在する。一つの方法では、例えば、IVIG等の、未精製のポリペプチド源を、シアル酸に結合することが知られているレクチンを有するカラムに通過させる。当業者は、レクチンが異なれば、ガラクトースとシアル酸との間でのα2,6結合およびα2,3結合に対する親和性が異なることを理解するであろう。ゆえに、特定のレクチンを選択することによりシアル酸とガラクトースとの間の所望の結合型を有する抗体を増加することができるであろう。一実施形態においては、レクチンをセウヨウニワトコ(Sambuccus nigra)から分離する。当業者であれば、セウヨウニワトコ(Sambuccus nigra)のアグルチニン(SNA)が(2−6)結合によりガラクトースまたはN−アセチルガラクトサミンに結合するシアル酸に特異的であることを理解するであろう。Shibuya et al,J. Biol. Chem.,262:1596−1601(1987)。これに対して、イヌエンジュ(Maakia amurensis)(「MAA」)レクチンは、(2−3)結合によりガラクトースに結合するシアル酸に結合する。Wang et al,J Biol Chem.,263:4576−4585(1988)。
したがって、ガラクトースとシアル酸との間の所望の結合を有する少なくとも一つのIgG Fc領域を含むポリペプチドのシアル化フラクションはカラム中に保持されるが、一方、このような結合をもたないフラクションは通過するであろう。少なくとも一つのIgG Fc領域を含むポリペプチドのシアル化フラクションは、異なるストリンジェンシーな条件で別の洗浄液によって溶出されうる。このようにして、シアル酸含有量が通常の含有量と比較して増加する本発明のポリペプチドの調製物を得ることができる。さらに、シアリルトランスフェラーゼおよび、例えば、米国特許出願公開第2006/0030521号に記載されるようなシアル酸の供与体を用いた酵素反応を使用してもよい。
限定されるものではないが、請求の範囲に記載される方法に使用できるシアリルトランスフェラーゼの適切な例としては、α−(2,3)シアリルトランスフェラーゼ(sialyltransferase)(EC 2.4.99.6)、およびα−(2,6)シアリルトランスフェラーゼ(EC 2.4.99.1)とも称される、ST3Gal IIIがある。
α−(2,3)シアリルトランスフェラーゼは、Gal−β−1,3GlcNAcまたはGal−β−1,4GlcNAcグリコシドのGalへのシアル酸の転移を触媒し(例えば、Wen et al.,J. Biol. Chem. 267:21011(1992);Van den Eijnden et al.,J. Biol. Chem. 256:3159(1991)を参照)、糖ペプチド中のアスパラギン結合オリゴ糖のシアル化に応答する。シアル酸は、2つの単糖間のα−連結(α−linkage)を形成してGalに連結する。単糖間の結合(連結)は、NeuAcの2位およびGalの3位間でおこる。この特有の酵素は、ラットの肝臓から単離することができ(Weinstein et al.,J. Biol. Chem. 257:13845(1982));ヒトのcDNA(Sasaki et al.(1993) J. Biol. Chem. 268:22782−22787;Kitagawa & Paulson(1994) J. Biol. Chem. 269:1394−1401)およびゲノム(Kitagawa et al. (1996) J. Biol. Chem. 271:931−938)DNA配列が知られており、これにより組み換え発現によってこの酵素を容易に製造できる。
α−(2,6)シアリルトランスフェラーゼの活性は、6−シアル化ガラクトースなどの、6−シアル化オリゴ糖でみられる。「α−(2、6)シアリルトランスフェラーゼ」の名は、アクセプター多糖の6番目の原子にシアル酸を結合するシアリルトランスフェラーゼのファミリーを指す。a−(2、6)シアリルトランスフェラーゼの異なる型は、異なる組織から単離されうる。例えば、この酵素の一つの特定の型である、ST6Gal IIは、脳および胎生組織から単離することができる。Krzewinski−Recchi et al.,Eur. J. Biochem. 270,950(2003)。
さらに、平均的な当業者であれば、シアル化率を変化させるために細胞培養条件を操作することができることを理解するであろう。例えば、シアル酸含有量を増加させるためには、生成率を減少させ、培養される特定のホスト細胞に適切なより低い範囲内で浸透圧を通常維持する。シアル酸含有量を増加させるためには、約250mOsmから約450mOsmの範囲内の浸透圧が適切である。このおよび他の適切な細胞培養条件は、例えば、米国特許第6,656,466号に開示されている。Patel et al.,Biochem J,285,839−845(1992)では、抗体を腹水からまたは血清を含まない若しくは血清含有培養培地中で生産する場合では、抗体が結合した糖側鎖中のシアル酸の含有量は顕著に異なることが報告されている。さらに、Kunkel et al., Biotechnol. Prog.,16,462−470(2000)では、細胞成長を目的とした異なるバイオリアクターの使用および培地中の溶解酸素量が抗体が結合した糖部分中のガラクトースおよびシアル酸の量に影響を与えることが示されている。
別の実施形態において、例えば、不死化ヒト胎生期網膜細胞等の、ホスト細胞を、例えば、CMVプロモーター等の、プロモーターに操作して結合される、例えば、α−2,3−シアリルトランスフェラーゼまたはα−2,6−シアリルトランスフェラーゼ等の、シアリルトランスフェラーゼをコードする核酸を導入することによって改変してもよい。このα−2,3−シアリルトランスフェラーゼは、SIAT4CまたはSTZ(GenBank 受託番号:L23767)として知られ、例えば、米国特許出願公開第2005/0181359号に開示される、ヒトのα−2,3−シアリルトランスフェラーゼであってもよい。
シアリルトランスフェラーゼをコードする核酸は、当業者に公知の方法によってホスト細胞中に導入されうる。外来の核酸配列を導入する適切な方法は、Sambrook and Russel,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(3rd Edition),Cold Spring Harbor Press,NY,2000中にも開示されている。これらの方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、マイクロインジェクションまたはエレクトロポーション等の物理的導入技術;例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション等のトランスフェクション;例えば、リポソームを用いた膜融合転写(membrane fusion transfer);および例えば、DNAまたはレトロウィルスベクターを用いた導入等のウィルス導入が挙げられる。
少なくとも一つのIgG Fc領域を含むポリペプチドは、細胞上清から回収してもよく、また、このポリペプチドに、所望であれば、例えば、イオン交換またはアフィニティークロマトグラフィー等の一以上の精製段階を行なってもよい。適切な精製方法は、当業者にとって明白であろう。
当業者であれば、上述したシアル化方法の様々な組合わせによって、非常に高いシアル化レベルで少なくとも一つのIgG Fc領域を含むポリペプチドを製造することができることを理解するであろう。例えば、上述したように、シアリルトランスフェラーゼを過剰発現したホスト細胞中で、少なくとも一つのIgG Fc領域を含むポリペプチドを発現させた後、例えば、酵素反応中でこれらのポリペプチドをシアル化し、続いてレクチンを含むカラムを用いたアフィニティークロマトグラフィーを行うことによって、これらのポリペプチドのシアル化フラクションをさらに濃縮してもよい。同様にして、酵素反応およびその後のアフィニティークロマトグラフィーを、少なくとも一つのIgG Fc領域を含むIVIG源に用いてもよい。
少なくとも一つのIgG Fc領域を含むポリペプチドのグリコシル化の程度を調べるために、これらのポリペプチドを精製し、還元条件下SDS−PAGEにおいて分析することができる。グリコシル化は、特定のレクチンを用いて単離されたポリペプチドを反応させることによって決定することができる、または、当業者によって認識されているように、糖型を同定するためにHPLC次いで質量分析を用いることができるWormald,MR et al.,Biochem 36:1370(1997)。
本発明をより詳細に説明するために、非制限的な幾つかの実施例を下記に記載する。
実施例1. シアル酸含有量が増加したIVIGは、細胞毒性の減少を示す
IgGの特定の糖型が抗体のエフェクター機能を調節することに関与するかどうかを究明するために、特定のIgGモノクローナル抗体の細胞毒性wp仲介する際の特定のAsn297に結合した炭水化物の役割を調べた。前記(6)で記載されるのと同様にして293個の細胞中でIgG1、2aまたは2bスイッチ変異体のいずれかとして発現している、6A6ハイブリドーマ由来の、抗血小板抗体を、これらの具体的な炭水化物組成および構造を決定するために質量分析によって分析した。これらの抗体は、最小限のシアル酸残基を含む。セイヨウニワトコ(Sambucus nigra)レクチンアフィニティークロマトグラフィーによるシアル酸含有種の濃縮(enrichment)によって、シアル酸含有量が60〜80倍高い抗体を産生した。シアル化および非シアル化6A6−IgG1および2b抗体の血小板クリアランスを媒介する能力を比較すると、シアル化とインビボ活性との間で逆相関を示した。6A6 IgG抗体のシアル化により、生物学的活性が40〜80%低下した。
このような活性の減少のメカニズムを究明するため、マウスFcYRの各々に対するおよび同種の抗原に対するこれらの抗体について、表面プラズモン共鳴結合を行った。
表面プラズモン共鳴分析は、Nimmerjahn and Ravetch,Science 310,1510(2005)に記載されているのと同様にして行なった。簡潔に述べると、糖側鎖中のシアル酸残基レベルが高いまたは低い6A6抗体変異体を、CM5センサーチップの表面上に固定化した。可溶性Fcy−レセプターを、30μI/分の流量でHBS−EPランニングバッファー(10mM Hepes、pH 7.4、150mM NaCl、3.4mM EDTA、および0.005%界面活性剤P20)中で室温にてフローセルを通じて異なる濃度で注入した。可溶性Fc−レセプターを3分間注入し、7分間結合分子の解離を観察した。コントロールフローセルに対するバックグラウンド結合を自動的に引いた。物質移動の制限を排除するためにコントロール実験を行なった。結合および解離相に対する同時フィッティングならびに一連の全てのカーブに対するグローバルフィッティングを用いて、親和定数をセンサーグラムデータから誘導した。1:1ラングミュア結合モデルが観察されたセンサーグラムデータに緊密に適合したため、全ての実験においてこれを用いた。
各々の活性化FcyRに対するこれらの抗体のシアル化型で、非シアル化のカウンターパートと比較して、結合親和性が5〜10倍減少することが観察された一方で、抗原に対する結合親和性においては何ら相違が観察されなかった。IgG2bは、活性化レセプターであるFcyRIIIに対するIgG1の結性に比べて、活性化レセプターであるFcyRIVに対してより高い親和性で結合するため、シアル化の効果として、活性化レセプターであるFcyRIIIに対する非シアル化IgG1結合親和性に匹敵する活性化レセプターであるFcyRIVに対するIgG2bの結合親和性を生じることがある。活性化レセプター結合性のこのような定量的な相違のこの効果は、非シアル化IgG1の活性に匹敵するin vivo活性を示すシアル化IgG2bで認められる。同様にして、IgG1のシアル化により、7の係数(factor)ほど、活性化レセプターであるFcyRIIIに対するすでに低い結合親和性を低減し、これにより生理学的に不活性な抗体を生産する。ゆえに、IgGのAsn297結合グリカン構造のシアル化は、サブクラス−限定的活性FcyRに対する結合親和性の減少をもたらし、したがってインビボ細胞毒性の減少をもたらした。
IgGのN−結合型グリカンのシアル化がインビボでの免疫活性を調節することに関与しているという考察の一般性を明らかにするために、我々は、次に、IVIGの抗炎症活性におけるN−結合型グリカンの役割を調べた。5〜10、000ドナーのプールされた血清から得られるこの精製IgGフラクションは、高投与量(1〜2g/kg)で静脈内投与されると、広く炎症性疾患の処置を目的とした治療に用いられる。Dwyer,N. Engl. J. Med. 326,107(1992)。この抗炎症活性は、Fcフラグメントの特性であり、ITP、RAおよび腎毒性腎炎のネズミモデルで保護特性を示す。Imbach et al.,Lancet 1,1228(1981),Samuelsson et al.,Science 291,484(2001),Bruhns et al.,Immunity 18,573(2003),Kaneko et al.,J. Exp. Med. in press(2006)。
この抗炎症活性の共通のメカニズムは、エフェクターマクロファージ上の阻害性FcyRIIB分子の表面発現を誘導し、それによる細胞毒性IgG抗体または免疫複合体に必要とされる閾値を高めて、活性化FcyRトリガーによるエフェクター細胞反応を誘導することに係わりがあると、報告された。Nimmerjahn and Ravetch,Immunity 24,19(2006)。
実施例2. IVIGの脱シアル化がマウス関節炎モデルでIVIGの抗炎症効果を減少させる
マウス
C57BL/6およびNODマウスは、Jackson Laboratory(バーハーバー、メイン州)から購入した。FcyRIIB−/−マウスは、発明者の研究室で作製され、C57BL/バックグラウンドに対して12世代戻し交配された。C57BL/6バックグラウンド(K/B)のKRN TCRトランスジェニックマウスは、D.MathisおよびC.Benoist(ハーバードメディカルスクール、ボストン、マサチューセッツ州)から贈与され、NODマウスと交配させて、K/BxNマウスを作製した。8〜10週齢のメスマウスを全ての実験に用い、ロックフェラーユニバーシティ動物施設で飼育した。全ての実験は連邦法および機関ガイドラインにしたがって行われ、ロックフェラーユニバーシティ(ニューヨーク、ニューヨーク州)によって認証された。
抗体および可溶性Fcレセプター
6A6抗体スイッチ変異体を、293T細胞の一過性トランスフェクションを行ない、次いでNimmerjahn and Ravetch,Science 310,1510(2005)に記載されるのと同様にしてプロテインGにより精製することによって作製した。シアル酸リッチな抗体変異体を、Sambucus nigra agglutinin(SNA)アガロース(Vector Laboratories、バーリンゲーム、カリフォルニア州)を用いたレクチンアフィニティークロマトグラフィーによってこれらの抗体調製物から分離した。シアル酸含有量が高いことは、レクチンブロットによって確認した(下記参照)。静脈注射用ヒト免疫グロブリン(IVIG、10%マルトース中5%、クロマトグラフィー精製)は、Octapharma(Hemdon、バージニア州)から購入した。Kaneko Y. et al.,Exp. Med. in press(2006)に記載されるのと同様にして、ヒトIVIGの消化を行なった。簡単に述べると、IVIGを37℃で1時間0.5mg/mlパパインによって消化し、2.5mg/mlヨードアセトアミドを添加することによって止めた。得られたFabおよびFcフラグメントを、HiPrep 26/60 S−200HRカラム(GE Healthcare、ピスカタウェイ、ニュージャージー州)で、未消化IVIGから分離した後、プロテインGカラム(GE Healthcare)およびプロテインLカラム(Pierce、ロックフォード、イリノイ州)を用いてFcおよびFabフラグメントを精製した。フラグメントの純度は、抗−ヒトIgG FabまたはFcに特異的な抗体(Jackson ImmunoResearch、West Grove、ペンシルバニア州)を用いて免疫ブロット法によって確認した。純度は、99%より高いと判断された。F4/80抗体はSerotec(オックスフォード、イギリス)社製である。Ly 17.2抗体は、Caltag(バーリンゲーム、カリフォルニア州)社製である。ヒツジ抗糸球体基底膜(GBM)抗血清(腎毒性血清(nephrotoxic serum)、NTS)は、M.P.Madaio(ペンシルバニア大学、フィラデルフィア、ペンシルバニア州)から贈与された。C−末端のヘキサ−ヒスチジンタグを含む可溶性Fc レセプターを、293T細胞の一過性トランスフェクションによって作製し、製造元(Qiagen社)によって示されるのと同様にして、Ni−NTAアガロースを用いて細胞培養上清から精製した。
IVIGをノイラミニダーゼで処理し、得られた調製物の組成および構造を質量分析によって分析した。ノイラミニダーゼ処理後には、グリカンを含むシアル酸は何ら検出されなかった。次いで、これらのIgG調製物について、IgG1免疫複合体が仲介する炎症性疾患モデルである、KxN血清の受動伝達によって誘発される関節炎からマウスを保護する能力を試験した。ノイラミニダーゼによる脱シアル化は、KxN血清誘発性関節炎モデルにおいてIVIG調製物の保護効果を消滅させた。この活性の消失は、非シアル化IgG調製物の血清半減期の減少の結果またはIgGの単量体組成もしくは構造的完全性への変化の結果ではなかった。PNGaseを用いた全てのグリカンの除去は同様の効果を有し、インビボでのIVIGの保護効果を消滅させた。
実施例3. シアル酸含有量が高いIVIGフラクションはマウス関節炎モデルにおいて炎症を抑制する
シアル酸含有量が増加したIVIGの調製
シアル酸はIVIGの抗炎症活性に必要であると思われるので、この抗炎症活性には高投与量(1g/kg)が必要であるという根拠は、全IgG調製物中のシアル化IgGの限定濃度でありうる。IVIGをSNA−レクチンアフィニティカラムで分画して、シアル酸修飾グリカン構造が濃縮されたIgG分子を得た。
これらのシアル酸濃縮フラクションについて、未分画のIVIGと比較した、KxN血清転移関節炎モデルにおける保護的効果を試験した。未分画のIVIGが1g/kgであったのに対して、SNA濃縮IVIGでは0.1g/kgで同等の保護が得られ、10倍の保護増強がSNA−結合フラクションで観察された。SNA濃縮フラクションの血清半減期およびIgGサブクラス分布は、未分画のIVIGのものと同等であった。シアル化の効果は、IgGに特異的であった;同じような2つのアンテナ(bi−antennary)、複合炭水化物構造を有するフェチュインまたはトランスフェリン等のシアル化N−結合型グリコプロテインは、等モル濃度のIgGで統計学的に有意な抗炎症活性を示さなかった。最後に、シアル化IVIG調製物の保護機構は、FcyRIIB発現に依存し、エフェクターマクロファージでのこの阻害性レセプターの発現の増大をもたらすという点で、未分画のIVIGと同様である。
実施例4. シアル酸含有量が増加したIVIGの抗炎症反応の向上はFCドメインのN−結合型グリカンのシアル化によって仲介される
ポリクローナルIgGもまたシアル化されうる軽鎖または重鎖可変領域のOおよびN結合型グリカンをIVIG中の含むので、我々は、SNA−リッチなIgG調製物の抗炎症活性の増加がFc上のN−結合型グリコシル化部位のシアル化が増加した結果であることを、確認した。Fc−フラグメントは、未分画化のおよびSNA分画されたIVIGから作製し、それらのインビボ活性を試験した。インタクトIgGで観察されたように、未分画化のIVIGから作製したFc−フラグメントと比較した場合に、SNA−精製Fcフラグメントはインビボにおける保護効果を向上した。これに対して、Fabフラグメントはこのインビボアッセイにおいて何ら抗炎症活性を示さなかった。したがって、IVIGの抗炎症活性には高投与量が必要であることは、全調製物中に存在するシアル化IgGの寄与がより小さいことに起因している可能性がある。シアル酸結合レクチンクロマトグラフによってこれらのフラクションを濃縮することは、その結果として抗炎症活性を増加した。
IgG抗体の受動免疫法を用いたこれらの結果から、炎症性種から抗炎症種へと切り替えるIgGの能力がFcドメインのN−結合型グリカンのシアル化の程度の影響を受けることが示された。
実施例5. IgGのシアル化によって媒介される、抗炎症活性の増加は、活性免疫反応中に起こる
グッドパスチャー症候群のマウスモデル
このモデルでは、マウスを最初にアジュバントを併用したヒツジIgGで感作し、4日後にヒツジ抗マウス糸球体基底膜調製物を注射した(腎毒性血清、NTS)。簡単に述べると、CFA中ヒツジIgG(Serotec)200μgをマウスに腹腔内に予め免疫した後、4日後に体重グラムあたりNTS血清2.5μlを静脈注射した。血液を、抗GBM抗血清を注射してから4日後に未処理コントロールマウスから集め、血清IgGをプロテインG(GE Healthcare、プリンストン、ニュージャージー州)およびNHS−活性化セファロースカラム(GE Healthcare、プリンストン、ニュージャージー州)にヒツジIgGを共有結合することによって作製される、セファロース結合ヒツジIgGカラム、アフィニティークロマトグラフィーで精製した。
予備感作、続いてのNTS処理により、マウスIgG2b抗−ヒツジIgG抗体を誘発する(NTN免疫付与)。Kaneko Y. et al.,Exp. Med., 203:789(2006)。マウスIgG2b抗体は、NTS抗体とともに糸球体中に蓄積され、浸潤性マクロファージのFcyRIVのIgG2b媒介活性化による急性劇症炎症反応をもたらす。予備感作がない場合、炎症は観察されないことから、マウスIgG2b抗−ヒツジIgG抗体は炎症性反応のメディエーターであることが示される。
炎症促進性IgG(pro−inflammatory IgG)をもたらす能動的な免疫処置(active immunization)がシアル化の変化と関連するかどうかを明らかにするために、免疫処置前のおよびNTSで免疫処置されたマウスの血清IgGおよびIgMについて、SNAレクチン結合によってシアル酸含有量を特性化した。全IgGシアル化は、免疫処置されていないコントロールと比較して、免疫処置されたマウスで平均で40%減少した。この効果はIgGに特異的であった;IgMのシアル化は免疫処置前および免疫処置後で同等であった。マウス血清のヒツジ特異的IgGフラクションを分析すると、このシアル化の相違はより顕著であり、免疫処置前のIgGと比較してシアル化が50〜60%減少したことが示された。
これらの結果は、MALDI−TOF−MS分析によって確認された。単糖組成分析は、UCSD Glycotechnology Core Resource(サンディエゴ、カリフォルニア州)によって行なった。糖タンパク質サンプルを、SDSおよび2−メルカプトエタノールで変性し、PNGase Fで消化した。放出された混合N−グリカンは逆相HPLCおよび固相抽出によって精製した後、N−グリカンの露出した水酸基をメチル化した。得られた誘導体化単糖類を逆相HPLCで再度精製し、MALDI−TOF−MSにかけた。
免疫処置前および免疫処置後のIgGの分析によって、N−グリカン構造の変化が末端シアル酸部分に特異的であることが確認された。FcyRIV産生のエンゲージメント(engagement)に応答することを前記で示した、糸球体、浸潤性マクロファージ中に蓄積されるマウスIgG2b抗−ヒツジ抗体は、免疫処置前のコントロールと比較してシアル酸含有量が減少した。
実施例6. IVIGにおけるシアル酸とガラクトースとの結合の分析
SNA(Sambuccus Nigra Agglutinin) IVIG FcのSequential Maldi−Tof分析を行ない、上記したITP、RAおよび腎毒性腎炎モデルで保護特性を示したシアル化IgG Fcフラクションの構造を決定した。Maldi−Tofで生じたグリカンピークを単離し、さらに分画して、ガラクトース−シアル酸構造が得られるまで再分析した。インビボで抗炎症活性を有する高濃度のガラクトース−シアル酸構造物のフットプリントヒストグラム(図1A)を、シアル酸結合の標準物である、a2−3シアリルラクトース(図1B)およびa2−6シアリルラクトース(図1C)のヒストグラムと比較した。標準物質の付号のついたピーク(signature peak)は矢印で識別され、それぞれ、a2−3(図1B)またはa2−6(図1C)では矢印で示され、サンプルから得られたピークと比較する。
実施例7. IVIG Fcフラグメントのインビトロでのグリコシル化によるα2,6結合の濃縮により、IVIGの抗炎症特性が向上する
図2Aで示されるように、IVIG FcフラグメントのグリカンMaldi−Tof MS分析から、末端にガラクトースが存在しない(ピークG0)、1個のガラクトースが存在する(ピークG1)、2個のガラクトースが存在する(ピークG2)、またはシアル酸が存在する(「末端シアル酸」と記載される括弧で示される)構造物が示される。2,3または2,6シアル化IgG Fcのインビボ活性を測定するために、サンプルをシアリダーゼで処理した後、ガラクトーストランスフェラーゼで処理して、G0(ガラクトースなし)およびG1(1個のガラクトース)をG2(完全にガラクトシル化)に変換して、シアル化の可能性のある部位を増やした。図2Bに示されるように、ECLによって測定される末端ガラクトースの相対的なバンド強度比をクマシーをのせたコントロールと比較することによって、過剰ガラクトシル化(hypergalactosylation)が確認された。インビトロのシアル化を、2−6シアリルトランスフェラーゼ(「ST6Gal」)または2−3シアリルトランスフェラーゼ(「ST3Gal」)のいずれかを用いて行ない、SNAでは2−6結合(上段)またはECL(中段)およびクマシー(下段)では2−3結合をレクチンブロットによって確認した。インビトロでのシアル化Fcが炎症を阻害する能力を評価する(図2D)ために、マウスに、0.66mgの2−6シアル化Fc(黒三角)または0.66mgの2−3シアル化Fc(赤三角)のいずれかを投与した。1時間後、0.2mlのK/BxN血清を投与し、足底の腫れ(臨床スコア)を次の7日間モニターした。抗炎症活性は、2,6シアル化IgG Fcフラグメントでは観察されたが、2,3シアル化分子では観察されなかった。これらの結果は上記データと一致し、これから2,6シアル酸−ガラクトースの優先的結合がシアル化IgGの抗炎症活性に関与していることが示される。
実施例8. 2,3シアル酸結合ではなく2−6シアル酸結合を除去すると、IVIGの免疫抑制特性が無効にされる
IVIGを結合に特異的なシアリダーゼ(SA)で処理し、消化物をレクチンブロットで確認した(図3A)。上段は、IVIGの2−6結合(左レーン)、および2−3SA tx IVIG(中央レーン)では染色が確認され、陽性Sambucus nigraレクチン(SNA)を示すが、2−3,6SA tx IVIG(右レーン)では染色が確認されなかった。中段は、a2−3シアル酸結合に関するドットブロットであり(MAL I)、フェチュイン陽性コントロールでのみ陽性の染色が示される;100μgのタンパク質を1ドット当たりのせる。下段は、クマシーをのせたコントロールを示す。10μg/レーンがブロットおよびゲルで示される。シアル酸部分の特異的な除去効果を調べるために、マウスに、1g/kgのIVIG調製物を投与した後、200μlのK/BxN血清を投与した。図3Bに示されるように、K/BxN血清が投与されたマウス(白丸)では、1週間の間中、臨床スコアによって測定される際の、足底の腫れが観察された。IVIGで処置されたマウスでは、a2−3SA tx IVIGで処置されたマウス(白三角)と同様、わずかなむくみが観察された(黒三角)が、2−3,6SA tx IVIGが投与されたマウス(赤四角)は足底の腫れが保護されなかった。
本明細書で引用される全ての特許および非特許文献は、これらの特許および非特許文献の各々が全体で参照によって本明細書に組み込まれる範囲で本明細書に組み込まれる。さらに、本明細書の発明が例え特定の例や実施形態を参照して説明されているとしても、これらの実施例や実施形態は、本発明の原理および用途を単に詳細に説明するにすぎないと理解されるべきである。したがって、詳細な実施形態には多数の修飾が可能であり、下記特許請求の範囲によって規定される本発明の精神および範囲から外れない限り、他の改変が考え出されうることが理解されるべきである。

Claims (31)

  1. 少なくとも一つのIgG Fc領域を含み、未精製の抗体調製物とは性質の異なる単離ポリペプチドであって、該単離ポリペプチドのシアル化能が該未精製の抗体調製物より高い、単離ポリペプチド。
  2. 該少なくとも一つのIgG Fc領域がα2,6結合により各末端シアル酸部分に結合する少なくとも一つのガラクトース部分でグリコシル化され、該ポリペプチドが未精製の抗体調製物に比してより高い抗炎症活性を有する、請求項1に記載の単離ポリペプチド。
  3. 該少なくとも一つのIgG Fc領域がα2,6結合により各末端シアル酸部分に結合する少なくとも一つのガラクトース部分でグリコシル化され、該ポリペプチドが未精製の抗体調製物に比してFc活性化レセプターに対する結合能が低い、請求項1または2に記載の単離ポリペプチド。
  4. 該Fc活性化レセプターがFcγRIIA、FcγRIICおよびFcγRIIIAからなる群より選択される、請求項3に記載の単離ポリペプチド。
  5. ヒトのIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4 Fc領域を有し、未精製抗体に比してα2,6結合により各シアル酸末端部分に結合する少なくとも一つのガラクトース部分の含量が高い、請求項1〜4のいずれか1項に記載の単離ポリペプチド。
  6. in vitroでの抗炎症性が向上した、請求項1〜5のいずれか1項に記載の単離ポリペプチド。
  7. in vivoでの抗炎症性が向上した、請求項1〜6のいずれか1項に記載の単離ポリペプチド。
  8. 天然に存在する抗体源由来である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の単離ポリペプチド。
  9. 組換え抗体源由来である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の単離ポリペプチド。
  10. 該未修飾抗体がIVIGを有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の単離ポリペプチド。
  11. 少なくとも一つのガラクトース部分とタンパク質の多糖鎖中の各末端シアル酸との間のα2,6結合を生じる活性が向上した細胞系由来である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の単離ポリペプチド。
  12. α−(2,6)シアリルトランスフェラーゼによる処理で修飾される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の単離ポリペプチド。
  13. 精製される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の単離ポリペプチド。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の単離ポリペプチドおよび適当な担体または希釈剤を含む薬剤。
  15. Fc領域の多糖鎖のシアル化能(sialylation)を変更することを有する、Fc領域を含むポリペプチドの性質の調節方法。
  16. 該性質は、未精製の抗体調製物より抗炎症活性が高い、請求項15に記載の方法。
  17. シアル化を変更する段階が、
    末端シアル酸がα2,6結合を介してガラクトース部分に連結してなる多糖鎖を有する少なくとも一のFc領域を含む複数のポリペプチド、および末端シアル酸がα2,6結合を介してガラクトース部分に連結してなる多糖鎖が欠損する少なくとも一のFc領域を含む複数のポリペプチドを含む、少なくとも一のFc領域を含むポリペプチドの未精製源を用意し;さらに
    末端シアル酸がα2,6結合を介してガラクトース部分に連結してなる多糖鎖が欠損する少なくとも一のFc領域を含む複数のポリペプチドに対する末端シアル酸がα2,6結合を介してガラクトース部分に連結してなる多糖鎖を有する少なくとも一のFc領域を含む複数のポリペプチドの割合を増加させる、
    ことを有する、請求項15または16に記載の方法。
  18. 該少なくとも一のFc領域を含むポリペプチドの未精製源は、ヒトの未精製IgG抗体を含む、請求項15〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 該少なくとも一のFc領域を含むポリペプチドの未精製源は、発現系に核酸配列を含むベクターを発現させることから提供され、ここで、該核酸配列はIgG抗体に翻訳される、請求項15〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 該発現システムは、細菌、真菌、植物、脊椎動物及び無脊椎動物の発現系、ならびにこれらの組合せからなる群より選択されるN−結合グリコシル化(N−linked glycosylation)が可能である修飾宿主発現系を有する、請求項19に記載の方法。
  21. 末端シアル酸がα2,6結合を介してガラクトース部分に連結してなる多糖鎖が欠損する少なくとも一のFc領域を含む複数のポリペプチドに対する末端シアル酸がα2,6結合を介してガラクトース部分に連結してなる多糖鎖を有する少なくとも一のFc領域を含む複数のポリペプチドの割合を増加させる段階が、末端シアル酸がα2,6結合を介してガラクトース部分に連結してなる多糖鎖が欠損する少なくとも一のFc領域を含むポリペプチドを除去することによって達成される、請求項15〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 該除去は、物理的または化学的方法によって達成される、請求項21に記載の方法。
  23. 該除去は、HPLC、レクチンアフィニティクロマトグラフィー、高pHアニオン交換クロマトグラフィー、及びこれらの組合せからなる群より選択される方法によって達成される、請求項21に記載の方法。
  24. 該レクチンアフィニティクロマトグラフィーは、ガラクトース部分と末端シアル酸との間のα2,3結合に対するよりα2,6結合に対する方が親和性の低いレクチンを用いて実施される、請求項23に記載の方法。
  25. 末端シアル酸がα2,6結合を介してガラクトース部分に連結してなる多糖鎖が欠損する少なくとも一のFc領域を含む複数のポリペプチドに対する末端シアル酸がα2,6結合を介してガラクトース部分に連結してなる多糖鎖を有する少なくとも一のFc領域を含む複数のポリペプチドの割合を増加させる段階が、末端シアル酸がα2,6結合を介してガラクトース部分に連結してなる多糖鎖を有する少なくとも一のFc領域を含むポリペプチドの未精製源を増やすこと(enrichment)によって達成される、請求項15〜24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 該増やすこと(enrichment)は、HPLC、レクチンアフィニティクロマトグラフィー、高pHアニオン交換クロマトグラフィー、及びこれらの組合せからなる群より選択される方法によって達成される、請求項25に記載の方法。
  27. 該レクチンアフィニティクロマトグラフィーは、ガラクトース部分と末端シアル酸との間のα2,3結合に対するよりα2,6結合に対する方が親和性の高いレクチンを用いて実施される、請求項26に記載の方法。
  28. 該増やすことは、少なくとも一のFc領域を含むポリペプチドに結合する糖質と末端シアル酸との間のα2,6結合を作製する酵素との化学反応によって実施される、請求項25〜27のいずれか1項に記載の方法。
  29. 該酵素は、α−(2,6)シアリルトランスフェラーゼである、請求項28に記載の方法。
  30. 治療上有効な量の、請求項1〜14のいずれか1項に記載のポリペプチドを、患者に投与することを有する、炎症性疾患の治療方法。
  31. 該炎症性疾患は、関節炎、血小板減少症、および腎炎からなる群より選択される、請求項30に記載の方法。
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