JP2021522216A - 高度にシアル化された自己抗体およびその使用 - Google Patents

高度にシアル化された自己抗体およびその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、ネイティブのミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)に対して向けられたアイソタイプG抗体であって、
− 高度なシアル化を示すFc断片、および
− 自己抗原に結合することが可能なFab断片を含む、抗体に関する。本発明はまた、このような抗体を含有する組成物、および療法におけるその使用にも関する。

Description

本発明は、自己抗原に対して向けられたアイソタイプG抗体、好ましくはネイティブのミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)に対して向けられたアイソタイプG抗体であって、
− 高度なシアル化を示すFc断片、および
− 自己抗原に結合することが可能なFab断片
を含む、抗体に関する。
本発明はまた、このような抗体を含有する組成物、療法におけるその使用、特定には、多発性硬化症の防止および/または処置におけるその使用にも関する。
自己免疫疾患は、免疫応答が、誤って組織や臓器の天然成分を標的とする場合に起こる。生じた炎症性応答は、臓器の天然の機能を妨げ、重度の組織傷害を引き起こし、結果として疾患の発現が生じる。TおよびBリンパ球の活性化は、全ての自己免疫疾患に共通しており、有害な細胞性および体液性の炎症性応答を引き起こす。これらの応答は、Tリンパ球受容体およびBリンパ球の存在のために抗原特異的であり、自己免疫の場合、標的化された攻撃性を組織由来の自己抗原に科す。これはなぜなら、病変から単離された抗体およびTリンパ球は、炎症を起こしている組織に存在する自己抗原に容易に反応するためである。
現在、臓器特異的自己免疫疾患の処置は、免疫細胞を枯渇させ、その組織損傷への移動をブロックし、エフェクターサイトカインを中和することを目的とする緩和アプローチに基づいており、または静注用免疫グロブリン(IVIG)の投与に基づくことさえある。しかしながら、これらの処置が効果的であるとしても、一旦処置が終わってしまえば、疾患の天然の経過が復活する。
免疫介在性の炎症性疾患を治すことを目的とする将来的な療法は、処置期間を過ぎても持続するその有効性を増加させる必要がある。臓器特異的自己免疫疾患の場合、これは、免疫寛容が回復するように免疫系を再学習させることを含む。
1つの臓器特異的自己免疫疾患は、多発性硬化症(MS)である。
MSは、中枢神経系(CNS)の疾患である。CNSは、脳および脊髄で構成される。顕微鏡レベルで、中枢神経系は、主として星状細胞、ミエリン形成に関与する希突起膠細胞、およびニューロンで構成され、ニューロンのそれぞれは、細胞体とミエリン鞘で囲まれた伸長部分(軸索)で構成される。
このミエリン鞘は、神経線維を隔離し保護するのに役立ち、さらに、情報を有する神経インパルスのニューロンに沿った伝播速度においても役割を果たす。
MSは、脳と脊髄の両方の白質における限局性病変を特徴とする。この疾患の病理学的なマーカーとしては、髄鞘脱落、希突起膠細胞のアポトーシス、軸索の損傷、および最終的にはニューロンの損失が挙げられる。この組織損傷は、病変へのリンパ球および骨髄性細胞の浸潤によって示されるように、炎症によって引き起こされる。この病態生理学は、軸索内における神経インパルス伝導を困難にしており、それが運動、知覚および認知障害の原因となる。期間に程度の差はあるが、これらの障害は、回復不能のハンディキャップに進行する可能性がある。
最も一般的には、MSは、再発−寛解期間から始まるが、その間、活発な臨床的障害を有する期間と、それに続く長期の寛解期とが起こる。病変内で、炎症が消失し、修復メカニズム(再ミエリン化)により患者は適切な神経伝導を回復させることができる。ただし残念なことに、MSの一部の進行型において、または重度の炎症性の攻撃の間、再ミエリン化メカニズムはそれに負けて、対応する神経学的兆候を伴って回復不能の神経インパルス伝導障害が始まる。臨床的に、これらの患者は、段階的な進行を特徴とする二次進行経過に進行する。
MSは、自己免疫疾患とみなされる。MSにおいて、免疫系は、ミエリンを含むCNSにおける抗原性の標的を攻撃する。免疫応答の全ての要素が関与しており、これにはリンパ球、骨髄性細胞だけでなく、合成されたサイトカインや免疫細胞によって放出されたサイトカインも含まれ、これは、時には攻撃を促進し、時にはそれを和らげる。MSにおける免疫応答は、固定ではなく、複合的であり、抗原特異性に関して、さらには発病メカニズムにおいての両方で長期にわたり進行する。現在使用されているDMARDは、リンパ球に直接的に作用するか、またはそれを枯渇させることによって、もしくはそれらのCNSへの移動を抑制して炎症性の攻撃の程度を制限することによって作用するかのいずれかである。
しかしながら、現在の処置がぶり返しを低減し、患者の生活の質を改善する一方で、それらは、疾患の進行を制御することにおいて十分に有効ではない。
したがって、特定には、疾患の進行の速度を遅くすること、および/または疾患の進行を低減することが可能な、MSの有効な処置への必要性がある。
より一般的には、自己免疫疾患、特定には臓器特異的自己免疫疾患の有効な処置への必要性がある。
本発明は、この問題に取り組むものである。
本発明は、自己抗原に対して向けられたアイソタイプG抗体であって、
− 高度なシアル化を示すFc断片、および
− 自己抗原に結合することが可能なFab断片
を含む、抗体に関する。
より好ましくは、本発明は、ネイティブのミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)に対して向けられたアイソタイプG抗体であって、
− 高度なシアル化を示すFc断片、および
− ネイティブのMOGに結合することが可能なFab断片
を含む、抗体に関する。
実際に、実施例で実証されたように、発明者らは、疾患の進行の速度を遅くすること、および/または疾患の進行を低減することが可能な特異的な抗MOG IgG抗体を同定した。この抗体は、病原性クローン8−18C5(Merck Milliporeから参照番号MAB5680で商業的に入手可能)から得られ;これは、ネイティブのヒトまたはネズミMOGタンパク質に結合できるが、直鎖状断片MOG35〜55には結合できない。
加えて、この抗体は、特定には高度にシアル化されたFc断片を含むという点で、病原性クローン8−18C5と比較して改変されている。より正確には、そのFcは、294位にグルタミン酸の点欠失を含み(番号付けは、EUインデックスの番号付けまたはKabatにおけるそれと同等なものである)、それにより、この欠失が存在しないFcと比較して増加したシアル化がそれに付与される。
この欠失は、特定には、FcRnへの結合に影響を与えずに、FcγRIIIおよびFcγRIIBに対して低減された結合親和性;および抗炎症特性をバリアントに付与する。この抗体は、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)のマウスモデルにおいて、疾患の重症度を弱くする。
本出願において使用される定義は、以下の通りである:
「Fc断片」または「Fc領域」は、免疫グロブリンの第1の定常領域ドメイン(すなわちCH1−CL)を除いた全長免疫グロブリン(抗体)の定常領域を意味する。したがってFc断片は、それぞれの単量体が、IgGの最後の2つの定常ドメイン(すなわちCH2およびCH3)、およびこれらのドメインのN末端のフレキシブルなヒンジ領域を含むホモ二量体を指す。本発明による抗体のFc断片は、好ましくはヒトFc断片であり、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4のFc断片から選択することができる。好ましくは、本発明において、N末端のフレキシブルなヒンジおよびCH2−CH3ドメイン、すなわちアミノ酸C226からC末端までの部分からなるIgG1のFc断片が使用され、番号付けは、EUインデックスまたはKabatにおけるそれと同等なものに従って示される。好ましくは、ヒトIgG1のFc断片(すなわち、EUインデックスまたはKabatにおけるそれと同等なものに従って、アミノ酸226〜447)が使用される。この場合、EUインデックスまたはKabatにおけるそれと同等なものに従って、下のヒンジは、226位〜230位を指し、CH2ドメインは、231位〜340位を指し、CH3ドメインは、341位〜447位を指す。本発明に従って使用されるFc断片はまた、226位の上流に上のヒンジ領域の一部を含んでいてもよい。この場合、好ましくは、その領域の一部を含むヒトIgG1のFc断片が使用され、216位〜226位(EUインデックスに従って)の間に配置される。この場合、ヒトIgG1のFc断片は、アミノ酸216、217、218、219、220、221、222、223、224または225から、C端部までの部分を指す。
好ましくは、本発明による抗体のFc断片は、IgG1のFc断片である。
本発明による抗体のFc断片は、好ましくはヒトである。
本出願において、Fc断片の残基の番号付けは、EUインデックスまたはKabatにおけるそれと同等なものの番号付けである(免疫学的に興味深いタンパク質の配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1991))。この番号付けは、ヒトFc断片のみにとって好適である。
この番号付けの、ネズミ科(すなわちマウスまたはラット)Fc断片のための等価なものは、American Society for Biochemistry and Molecular Biologyによる、Zaunerら、Molecular & Cellular Proteomics 12.4、2013に記載されている。この論文は、特定には図2において、ヒトFcとネズミFcとの間のグリコシル化の差を記載している。
「アミノ酸突然変異」は、本明細書において、ポリペプチドのアミノ酸配列における変化を意味する。突然変異は、特定には、置換、挿入および欠失から選択される。
「置換」は、親ポリペプチド配列中の特定の位置における、1つまたは複数のアミノ酸の、同じ数の他のアミノ酸での置き換えを意味する。好ましくは、置換は、点置換(punctual)であり、すなわち単一のアミノ酸のみに関する。例えば、N434S置換は、EUインデックスまたはKabatにおけるそれと同等なものに従ってFc断片の434位のアスパラギンがセリンで置き換えられた、親ポリペプチドのバリアントを指す。
「挿入」は、親ポリペプチド配列中の特定の位置における少なくとも1つのアミノ酸の付加を意味する。例えば、挿入G>235〜236は、235位と236位との間におけるグリシンの挿入を意味する。
「欠失」は、親ポリペプチド配列中の特定の位置における少なくとも1つのアミノ酸の除去を意味する。例えば、E294delは、294位におけるグルタミン酸の除去を意味する。
「親ポリペプチド」および「親抗体」は、それぞれ、その後に改変されてバリアントを生成するポリペプチドまたは改変されていない抗体を意味する。前記親ポリペプチドまたは抗体は、天然起源、天然に存在するポリペプチドもしくは抗体のバリアント、天然のポリペプチドもしくは抗体の改変型、または合成のポリペプチドもしくは抗体に由来するものであってもよい。好ましくは、親ポリペプチドまたは抗体は、野生型Fc断片、その断片およびその突然変異体から選択されるFc断片を含む。それゆえに、親ポリペプチドまたは抗体は、任意選択で、野生型Fc断片と比較した、Fc断片における既存のアミノ酸改変を含んでいてもよい。したがって、好ましくは、親ポリペプチドまたは抗体のFc断片はすでに、少なくとも1つの追加の突然変異(すなわち既存の改変)、好ましくはP230S、T256N、V259I、N315D、A330V、N361D、A378V、S383N、M428L、N434Yから選択される突然変異を含む。
好ましくは、親ポリペプチドまたは抗体のFc断片は、配列番号1、2、3、4および5の配列から選択される。好ましくは、親ポリペプチドまたは抗体のFc断片は、配列番号1の配列を有する。
配列番号1、2、3、4および5に示される配列は、N末端にヒンジ領域を含まない。
配列番号6、7、8、9および10に提示される配列はそれぞれ、配列番号1、2、3、4および5に提示される配列に対応し、それらのN末端にヒンジ領域を有する。また特定の実施態様において、親ポリペプチドまたは抗体のFc断片は、配列番号6、7、8、9および10の配列からも選択される。
好ましくは、親ポリペプチドまたは抗体のFc断片は、配列番号6位の配列の、1位〜232位、2位〜232位、3位〜232位、4位〜232位、5位〜232位、6位〜232位、7位〜232位、8位〜232位、9位〜232位、10位〜232位または11位〜232位に対応する配列を有する。
「バリアント」は、少なくとも1つのアミノ酸改変で親ポリペプチドの配列と異なるポリペプチド配列を意味する。
好ましくは、バリアントの配列は、親ポリペプチドの配列と、少なくとも80%の同一性を有し、より好ましくは少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または99.5%の同一性を有する。
本出願にわたり、2つのアミノ酸配列間の「同一性のパーセンテージ」という表現は、本発明の意味の範囲内において、最良のアライメント後に得られた比較される2つの配列間の同一なアミノ酸残基のパーセンテージを意味することが意図され、このパーセンテージは、純粋に統計であり、2つの配列間の差は、ランダムに、それらの全長にわたり分布している。「最良のアライメント」または「最適なアライメント」は、後述するように決定された同一性のパーセンテージが最大であるアライメントを意味する。従来、2つのアミノ酸配列間の配列比較は、それらを最適にアライメントした後にこれらの配列を比較することによって行われ、前記比較は、配列類似性を有する局所的な領域を同定し比較するための、セグメントまたは「比較ウィンドウ」で行われる。比較のための配列の最適なアライメントは、手作業の他にも、SmithおよびWatermanのローカルホモロジーアルゴリズム(1981、J.Mol Evol.、18:38〜46)によって、NeddlemanおよびWunschの‘ローカルホモロジーアルゴリズム(1970)によって、PearsonおよびLipmanの類似性サーチ方法(1988、PNAS、85:2444〜2448)によって、これらのアルゴリズムを使用したコンピューターソフトウェア(Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、WIにおける、GAP、BESTFIT、BLAST P、BLAST N、FASTA、およびTFASTA)によって達成することができる。
より好ましくは、本発明による抗体は、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4から選択され、好ましくは、IgG1である。
本発明による抗体は、キメラ、ヒト化されたまたはヒトであってもよい。
用語「キメラ」抗体は、所与の種の抗体由来の天然可変領域(軽鎖および重鎖)と、それに連結された前記所与の種にとって異種の種の抗体の軽鎖および重鎖の定常領域とを含有する抗体を意味することが意図される。有利には、抗体は、キメラである場合、ヒト定常領域を含む。キメラ抗体は、非ヒト抗体(特定にはネズミの)から始めて、当業者周知の遺伝学的組換え技術を使用して調製することができる。例えば、キメラ抗体は、重鎖および軽鎖に関して、プロモーター、ならびに非ヒト抗体の可変領域をコードする配列、およびヒト抗体の定常領域をコードする配列を含む組換えDNAをクローニングすることによって生産することができる。キメラ抗体を調製する方法に関して、例えば、Verhoeynらの文書(Verhoeynら、BioEssays、8:74、1988)を参照することができる。
用語「ヒト化」抗体は、非ヒト起源の抗体由来の相補性決定領域(CDR)を含有し、抗体分子の他の部分は、1種の(またはそれより多くの)ヒト抗体由来である抗体を意味するものと理解される。加えて、フレームワーク領域(または「フレームワーク」または「FR」)の残基の一部は、結合親和性を保持するように改変されていてもよい(Jonesら、Nature、321:522〜525、1986;Verhoeyenら、1988;Riechmannら、Nature、332:323〜327、1988)。ヒト化抗体は、例えば、Almagroら(Almagroら、Frontiers in Bioscience 13、1619〜1633、2008年1月1日)による総論で要約されるような、「CDRグラフティング」、「リサーフェイシング」、「ヒト鎖含有(Human string content)」、「FRライブラリー」、「ガイド選択」、「FRシャッフリング」および「ヒューマニアリング(Humaneering)」などの当業者公知の技術によって調製することができる。
「ヒト」抗体は、抗体の配列全体がヒト起源である抗体、すなわちそのコード配列が、抗体をコードするヒト遺伝子の組換えによって生産された抗体を意味する。実際に、現在、免疫化されると、免疫グロブリンの内因性生産の非存在下でヒト抗体の全レパートリーを生産することが可能なトランスジェニック動物(例えばマウス)を生産することが可能である(Jakobovitsら、Proc Natl Acad Sci USA 90:2551(1993);Jakobovitsら、Nature 362:255〜258(1993);Bruggermannら、Year in Immuno、7:33(1993);Duchosalら、Nature 355:258(1992);米国特許第5,591,669号;米国特許第5,598,369号;米国特許第5,545,806号;米国特許第5,545,807号;米国特許第6,150,584号を参照)。ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリーからも得ることができる(Hoogenboomら、J.Mol.Biol、227:381(1991);Marksら、J.Mol.Biol、222:581〜5597(1991);Vaughanら、Nature Biotech 14:309(1996))。
本発明による抗体は、自己抗原に対して向けられている。
「自己抗原」は、自己免疫疾患における場合のように、正常な組織の成分であるにもかかわらず体液性または細胞性免疫応答の標的である抗原を意味する(Miller−Keane Encyclopediaにおける定義を参照)。
好ましくは、本発明による抗体は、ネイティブのミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)、グルコース−6ホスファターゼの触媒性の2つのサブユニット(IGRP、UniprotでG6PC2遺伝子;Q9NQR9によってコードされた)、2型コラーゲンおよびアクアポリン−4(UniprotでP55087)から選択される自己抗原に対して向けられている。
これらの自己抗原は、特定には、
− 抗MOG抗体が関与する脱髄疾患、例えば多発性硬化症;
− アクアポリン−4(AQP−4)および/またはMOGを標的化することによる、デビックの視神経脊髄炎(NMO/NMOSD);
− グルコース−6ホスファターゼ(IGRP)の触媒性の2つのサブユニットを標的化することによる、1型糖尿病
から選択される自己免疫疾患の防止および/または処置に関連する。IGRPは、2型コラーゲンを標的化することによって、ランゲルハンス島;および
− リウマチ様関節炎
に特異的である。
ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)は、MSにおいて免疫反応性が検出されるミエリンおよびニューロンにおける数種の抗原の1つである。この糖タンパク質は、CNSの軸索を隔離するミエリン鞘の微量成分である。
このネイティブのヒトタンパク質の配列は、Uniprotにおいて、受託番号Q16653で見出すことができる。成熟(ネイティブ)ヒトタンパク質は、218アミノ酸を含有する(すなわち29アミノ酸のシグナルペプチドの切断後に)。
同様に、ネイティブのマウスMOG配列は、Uniprotにおいて受託番号Q61885で入手可能である。成熟(ネイティブ)マウスタンパク質は、218アミノ酸を含有する(すなわち28アミノ酸のシグナルペプチドの切断後に)。ネイティブのヒトおよびマウスMOGタンパク質は、89%同一である。
好ましくは、本発明は、ネイティブのMOGに対して向けられたアイソタイプG抗体であって、
− 高度なシアル化を示すFc断片、および
− ネイティブのMOGに結合することが可能なFab断片
を含む、抗体に関する。
特定には、Breithauptら、PNAS、2003年8月5日、第100巻、第16号で詳述されたように、ネイティブのMOGエピトープは、MOG膜の遠位側に、特定には、配列番号26の配列の残基101〜108(R101DHSYQEE108、これは、成熟ヒトMOGの218における残基101〜108に対応する)のレベルに配置された3つのループからなり、これらの残基は、推定上のリガンド結合部位の上のエッジを形成するループを含有する。
好ましくは、本発明は、ネイティブのMOGに対して向けられたアイソタイプG抗体であって、
− 高度なシアル化を示すFc断片、および
− ネイティブのMOG、特定には配列番号26の配列の残基101〜108に結合することが可能なFab断片
を含む、抗体に関する。
好ましくは、本発明による抗体は、ネイティブのMOGに対して向けられている。好ましくは、本発明による抗体は、ネズミ抗体8−18C5の6つのCDRを含む。好ましくは、本発明による抗体は、以下の6つのCDR:
H−CDR1:配列番号11、
H−CDR2:配列番号12、
H−CDR3:配列番号13、
L−CDR1:配列番号14、
L−CDR2:GAS、および
L−CDR3:配列番号15
を含む。
特定の実施態様によれば、本発明によるネイティブのMOGに対して向けられた抗体は、キメラであり、VHとして、配列番号16の配列、およびVLとして、配列番号17の配列を含む。特定の実施態様によれば、本発明による抗体は、キメラであり、EUインデックスの番号付けまたはKabatにおけるそれと同等なもので、重鎖として、294位にグルタミン酸の欠失を有する配列番号24の配列、および軽鎖として、配列番号25の配列を含む。
本出願はまた、ネイティブのMOGに対して向けられたネズミ抗体も記載し、典型的には、これは、重鎖として、配列番号19の配列を含み、この配列は、171位にグルタミン酸の欠失を含み、軽鎖として、配列番号20の配列を含む。EUインデックスの番号付けまたはKabatにおけるそれと同等なものにより、ネズミFcにおける171位は、ヒトFcにおける294位に対応する。
有利には、本発明によるネイティブのMOGに対して向けられた抗体の軽鎖のそれぞれの可変領域は、配列番号17のネズミ配列と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも99%の同一性を有する配列によってコードされ、本発明によるネイティブのMOGに対して向けられた抗体の重鎖のそれぞれの可変領域は、配列番号16のネズミ核酸配列と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも99%の同一性を有する配列によってコードされる。
本発明の抗体はまた、FR領域(フレームワーク、可変領域の高度に保存された領域であり、「フレーム」とも呼ばれる)に連結された、8−18C5抗体のCDR(相補性決定領域)領域を有するネイティブのMOGに対して向けられたあらゆる抗体を意味することも理解される。このような抗体は、ネズミ8−18C5抗体と、極めて同等の、好ましくは同一な、親和性および特異性を有する。
好ましくは、上記で示したように、本発明によるネイティブのMOGに対して向けられた抗体は、ネズミ抗体8−18C5の6つのCDRを含む。好ましくは、本抗体は、以下の6つのCDR:
H−CDR1:配列番号11、
H−CDR2:配列番号12、
H−CDR3:配列番号13、
L−CDR1:配列番号14、
L−CDR2:GAS、および
L−CDR3:配列番号15
を含む。
有利には、本発明によるネイティブのMOGに対して向けられた抗体のVL領域のFR領域は、配列番号17のネズミ配列のFR領域と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも99%の同一性を有する配列によってコードされ、本発明によるネイティブのMOGに対して向けられた抗体のVH領域のFR領域は、配列番号16のネズミ配列のFR領域と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも99%の同一性を有する配列によってコードされる。
有利には、本発明によるネイティブのMOGに対して向けられた抗体は、Fc領域として、ヒトFc領域、好ましくは配列番号1〜10から選択されるヒトFc領域、好ましくは、配列番号1によってコードされ、EUインデックスの番号付けまたはKabatにおけるそれと同等なもので294位にグルタミン酸の欠失を含むFc領域を含む。
本発明による、自己抗原に対して向けられた、特定には、ネイティブのミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)に対して向けられたアイソタイプG抗体は、ファージバンクでの選択により得ることができ、具体的には、Nixonら、候補同定を実施するためファージディスプレイから得られた薬物(Drugs derived from phage display,From candidate identification to practice,mAbs)、mAbs 6:1、73〜85;2014年1月/2月に記載される通りである。
また本発明は、高度なシアル化を示すFc断片を含む上述したようなアイソタイプGの抗体組成物にも関する。このFcに対する高度なシアル化は、典型的には、親抗体組成物のそれを超えて増加または改善される。
「増加したシアル化」または「改善されたシアル化」は、得られた抗体組成物のFcのシアル化が、前記親抗体組成物のFcのシアル化に基づき、少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、好ましくは少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、好ましくは少なくとも35%、好ましくは少なくとも40%、好ましくは少なくとも45%、好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも55%、好ましくは少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%増加していることを意味する。
タンパク質のシアル化は、周知のグリコシル化メカニズムである(具体的には、Essentials of Glycobiology、第2版、Varkiら、2009を参照)。これは、タンパク質のグリコシル化鎖における、少なくとも1つのシアル酸(すなわちN−アセチルノイラミン酸およびその誘導体、例えばN−グリコシルノイラミン酸、N−アセチルグリコシルノイラミン酸)の共有結合による付加に相当する。
好ましくは、Fc断片におけるシアル化は、Fc断片の突然変異により得られる。
したがって、好ましくは、Fc断片、特定にはヒトFc断片は、親抗体のそれと比較して改変されており、前記Fc断片の240位〜243位、258位〜267位および290位〜305位におけるアミノ酸から選択される少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含み、番号付けは、EUインデックスの番号付けまたはKabatにおけるそれと同等なものである。
好ましくは、突然変異は、240位、241位、242位、243位、258位、259位、260位、261位、262位、263位、264位、265位、266位、267位、290位、291位、292位、293位、294位、295位、296位、297位、298位、299位、300位、301位、302位、303位、304位または305位に配置された、Fc断片の少なくとも1つのアミノ酸に行われ、番号付けは、EUインデックスの番号付けまたはKabatにおけるそれと同等なものである。
好ましくは、突然変異は、V262del、V263F、V263K、V263W、V264K、V264P、D265A、D265E、D265G、D265L、D265S、D265V、V266A、V266P、V266S、V266T、S267N、S267P、S267R、S267W、P291C、P291V、P291Y、P291W、R292A、R292del、R292T、R292V、R292Y、E293del、E293F、E293P、E293W、E293Y、E294del、E294D、E294N、E294W、E294F、E293del/E294del、Q295D、Q295del、Q295F、Q295G、Q295K、Q295N、Q295R、Q295W、Y296A、Y296C、Y296del、Y296E、Y296G、Y296Q、Y296R、Y296V、S298del、S298E、S298F、S298G、S298L、S298M、S298N、S298P、S298R、S298T、S298W、S298Y、Y300D、Y300del、Y300G、Y300N、Y300P、Y300R、Y300S、R301A、R301F、R301G、R301H、R301I、R301K、R301Q、R301V、R301W、R301Y、V302del、V302A、V302F、V302G、V302P、V303A、V303C、V303P、V303L、V303S、V303Y、S304C、S304M、S304Q、S304T、V305FおよびV305Lから選択され、番号付けは、EUインデックスの番号付けまたはKabatにおけるそれと同等なものである。
より好ましくは、本発明による抗体のFc断片は、親抗体のそれと比べて改変されており、少なくともE294del突然変異を含み、番号付けは、EUインデックスの番号付けまたはKabatにおけるそれと同等なものである。
好ましくは、本発明による抗体のFc断片、特定にはヒトFc断片は、親抗体のそれと比べて改変されており、E294del突然変異からなり、番号付けは、EUインデックスの番号付けまたはKabatにおけるそれと同等なものである。
本発明によれば、本発明による抗体のFc断片が、マウスFcである場合、それは、親抗体のそれと比較して、特定には配列番号18の配列の親抗体のそれと比較して改変されており、突然変異E171delからなる。
好ましくは、本発明による抗体のFc断片、特定にはヒトFc断片は、親抗体のそれと比べて改変されており、Y300del突然変異からなり、番号付けは、EUインデックスの番号付けまたはKabatにおけるそれと同等なものである。好ましくは、このような抗体は、HEK細胞で生産される。
好ましくは、本発明の抗体は、前記親抗体のエフェクター活性に対して低減されたFc断片によって媒介される少なくとも1つのエフェクター活性を示す。
「Fc断片によって媒介されるエフェクター活性」とは、特に、抗体に依存する細胞傷害(ADCC又は抗体依存性細胞媒介性細胞傷害)、補体依存性細胞傷害(CDC又は補体依存性細胞傷害)、抗体依存性細胞貪食、抗体(ADCP)、エンドサイトーシス活性又はサイトカインの分泌を意味する。好ましくは、本発明において考慮されるFc断片によって媒介されるエフェクター活性は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)及び抗体依存性細胞貪食(ADCP)及びサイトカインの分泌から選択される。
「低減された」エフェクター活性とは、低減された、又は無効にされたエフェクター活性を意味する。したがって、本発明の抗体は、無効にされたFc断片によって媒介される少なくとも1つのエフェクター活性を示し得る。好ましくは、本発明の抗体は、少なくとも10%の、好ましくは、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%の親抗体のものに対して低減しているFc領域によって媒介されるエフェクター活性を示す。
好ましくは、本発明の抗体は、前記Fc断片によって媒介される任意のエフェクター活性を欠く。
別の態様によれば、本発明の抗体は、Fc領域(FcR)の受容体のうち少なくとも1つに対して、親抗体の親和性に対して低減された、Fc断片によって媒介される親和性を示す。
「Fc領域の受容体」又は「FcR」とは、特に、C1q及びFcγ受容体(FcγR)を意味する。「Fcγ受容体」又は「FcγR」とは、CD64(FcγRI)、CD32(FcγRII)及びCD16(FcγRIII)と呼ばれるIgG受容体、特に、5つの発現された受容体FcγRIa、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIa及びFcγRIIIbを指す。免疫細胞の活性化を阻害する受容体であるヒトFcγRIIbを除いて、すべてエフェクター細胞の受容体活性化因子である(Muta Tら、Nature、1994年、368巻:70〜73頁)。
C1q補体は、CDC活性に関与している。
FcgRIIIa(CD16a)受容体は、ADCCに関与しており、158位でV/F多型を示す。
FcgRIIa(CD32a)受容体は、血小板活性化及び貪食に関与しており、131位でH/R多型を示す。
最後に、FcgRIIb(CD32b)受容体は、細胞活性の阻害に関与している。
「減少した」親和性とは、減少した、又は無効にされた親和性を意味し、好ましくは、親和性は、Fc断片を含む親抗体のものに対して、少なくとも10%、好ましくは、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%低減される。
好ましくは、本発明の抗体は、補体C1q及びFcgRIIIa(CD16a)、FcgRIIa(CD32a)及びFcgRIIb(CD32b)受容体から選択されるFc領域(FcR)の受容体のうち少なくとも1つに対して、親抗体の親和性に対して低減された、前記Fc断片によって媒介される親和性を示す。好ましくは、本発明の抗体は、2つの受容体C1q及びCD16aに対して、親抗体の親和性に対して低減された、前記Fc断片によって媒介される親和性を示す。
FcRに対するFc断片を含む抗体の親和性は、先行技術において周知の方法によって評価され得る。例えば、当業者ならば、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)又はOctet(登録商標)技術(BLI「バイオレイヤー干渉法」技術、Pall)を使用して親和性(Kd)を決定できる。或いは、当業者ならば、適当なELISA試験を実施できる。適当なELISAアッセイは、親Fc及び突然変異Fcの結合力の比較を可能にする。突然変異Fc及び親Fcに特異的な検出されたシグナルが比較される。結合親和性は、抗体全体を評価することによって、又はそれから単離されたFc領域を評価することによって決定され得る。
好ましくは、本発明のIgG型抗体は、天然MOGに対して向けられ、
−以下の6つのCDR:
H−CDR1:配列番号11、
H−CDR2:配列番号12、
H−CDR3:配列番号13、
L−CDR1:配列番号14、
L−CDR2:GAS、及び
L−CDR3:配列番号15、並びに
−前記Fc断片の240〜243位、258〜267位及び290〜305位のアミノ酸から選択される少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含む、親抗体のものに対して修飾されたヒトFc断片であって、番号付けは、KabatにおけるEUインデックス又は等価物のものである、ヒトFc断片、好ましくは、少なくともE294del突然変異(又は少なくともY300del突然変異)を含む、親抗体のものから修飾されたヒトFc断片であって、番号付けは、EUインデックスのもの又はKabatにおける等価物のものである、ヒトFc断片を含む。
好ましくは、本発明のIgG型抗体は、天然MOGに対して向けられ、
−以下の6つのCDR:
H−CDR1:配列番号11、
H−CDR2:配列番号12、
H−CDR3:配列番号13、
L−CDR1:配列番号14、
L−CDR2:GAS、及び
L−CDR3:配列番号15、並びに
−少なくともE171del突然変異(KabatにおけるEUインデックス又は等価物の番号付けを用いて、ヒトFc断片のE294delに対応する)を含む親抗体のものから修飾されたマウスFc断片を含む。好ましくは、マウスFc断片は、配列番号18の配列を有し、E171del突然変異を含む。
好ましい実施形態では、上記で定義されるようなIgG型抗体は、天然MOGに対して向けられ、
−配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、配列番号67、配列番号69、配列番号71、配列番号73、配列番号75、配列番号77、配列番号79、配列番号81、配列番号83、配列番号85、配列番号87、配列番号89、配列番号91、配列番号93、配列番号95、配列番号97、配列番号99、配列番号101、配列番号103、配列番号105及び配列番号107の配列からなる群から選択される配列を含む、若しくはからなる重鎖の可変ドメイン並びに/又は、
−配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号70、配列番号72、配列番号74、配列番号76、配列番号78、配列番号80、配列番号82、配列番号84、配列番号86、配列番号88、配列番号90、配列番号92、配列番号94、配列番号96、配列番号98、配列番号100、配列番号102、配列番号104、配列番号106及び配列番号108の配列からなる群から選択される配列を含む、若しくはからなる軽鎖の可変ドメインを含む。
好ましい実施形態では、上記で定義されるIgG型抗体は、天然MOGに対して向けられ、配列:
−配列番号29及び配列番号30、
−配列番号31及び配列番号32、
−配列番号33及び配列番号34、
−配列番号35及び配列番号36、
−配列番号37及び配列番号38、
−配列番号39及び配列番号40、
−配列番号41及び配列番号42、
−配列番号43及び配列番号44、
−配列番号45及び配列番号46、
−配列番号47及び配列番号48、
−配列番号49及び配列番号50、
−配列番号51及び配列番号52、
−配列番号53及び配列番号54、
−配列番号55及び配列番号56、
−配列番号57及び配列番号58、
−配列番号59及び配列番号60、
−配列番号61及び配列番号62、
−配列番号63及び配列番号64、
−配列番号65及び配列番号66、
−配列番号67及び配列番号68、
−配列番号69及び配列番号70、
−配列番号71及び配列番号72、
−配列番号73及び配列番号74、
−配列番号75及び配列番号76、
−配列番号77及び配列番号78、
−配列番号79及び配列番号80、
−配列番号81及び配列番号82、
−配列番号83及び配列番号84、
−配列番号85及び配列番号86、
−配列番号87及び配列番号88、
−配列番号89及び配列番号90、
−配列番号91及び配列番号92、
−配列番号93及び配列番号94、
−配列番号95及び配列番号96、
−配列番号97及び配列番号98、
−配列番号99及び配列番号100、
−配列番号101及び配列番号102、
−配列番号103及び配列番号104、
−配列番号105及び配列番号106、又は
−配列番号107及び配列番号108
の重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む。
本出願に記載される配列は、以下のとおりにまとめることができる(情報について、Kabatによる294位のFcのグルタミン酸は、ヒト配列では太字で、下線が引かれて示されている):
Figure 2021522216

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本発明の目的はまた、本発明の抗体を得るための方法であって、以下のステップ:
i)IgG重鎖をコードする核酸配列を提供するステップであり、前記重鎖は、(a)可変ドメイン中に自己抗原と結合する3つのCDRと、(b)Fc断片中に240〜243位、258〜267位及び290〜305位のアミノ酸から選択されるアミノ酸の突然変異、好ましくは、少なくともE294del又はY300del突然変異とを含み、番号付けは、KabatにおけるEUインデックス又は等価物のものである、ステップと、
ii)IgG軽鎖をコードする核酸配列が提供されるステップであり、前記軽鎖は、可変ドメイン中に、i)において標的化されるものと同一の自己抗原の3つの結合性CDRを含む、ステップと、
iii)i)及びii)において得られた核酸配列が、宿主細胞において発現され、抗体が回収されるステップと
を含む、方法である。
IgG重鎖をコードする核酸配列(ポリヌクレオチド又はヌクレオチド配列)は、突然変異を有するFc断片を含む。IgGの重鎖をコードする核酸配列は、化学的に合成され得る(Young L及びDong Q.、2004年、Nucleic Acids Res.、4月15日;32巻(7号)、Hoover, DM及びLubkowski, J. 2002年、Nucleic Acids Res.、30巻、Villalobos Aら、2006年. BMC Bioinformatics、6月6日;7巻:285頁)。IgG重鎖をコードするヌクレオチド配列はまた、適したプライマーを使用するPCRによって増幅され得る。IgG重鎖をコードするヌクレオチド配列はまた、発現ベクター中にクローニングされ得る。
例えば、配列番号27の核酸配列(重鎖配列番号19をコードする)も使用され得る。
これらの技術は、参考マニュアルに詳細に記載されている:Molecular cloning: a laboratory manual、第3版−Sambrook及びRussel編(2001年)及びCurrent Protocols in Molecular Biology−Ausubelら編(2007年)。
親ポリペプチドをコードするi)において提供された核酸配列(ポリヌクレオチド)は、次いで、バリアントをコードする核酸配列を得るために修飾される。
このステップは、実際の突然変異ステップである。先行技術から公知の任意の方法によって、特に、位置指定突然変異誘発によって実施され得る。
好ましくは、アミノ酸置換及び欠失は、位置指定突然変異誘発によって、挿入された修飾に対応するオリゴヌクレオチドを使用するアセンブリーPCR技術によって実施される(例えば、Zoller及びSmith、1982年、Nucl. Acids Res. 10巻):6487〜6500頁;Kunkel、1985年、Proc. Natl. Acad. Sci USA 82巻:488頁を参照のこと)。
ステップii)では、IgG軽鎖をコードする核酸配列が提供され、前記軽鎖は、可変ドメイン中に、i)において標的化されるものと同一の自己抗原の3つの結合性CDRを含む。
例えば、配列番号28の核酸配列(軽鎖配列番号20をコードする)が使用され得る。
最後に、ステップiii)において、i)及びii)において得られた核酸配列が、宿主細胞において発現され、このように得られた抗体が回収される。
i)及びii)において得られた核酸配列は、バイシストロニックベクター中に挿入され得る。
細胞宿主は、原核生物又は真核生物の系から、例えば、細菌細胞だけでなく、酵母細胞又は動物細胞からも、特に、哺乳動物細胞から選択され得る。昆虫細胞又は植物細胞を使用することもあり得る。
好ましい宿主細胞として、ラット系YB2/0、ハムスター系CHO、特に、CHO dhfr−及びCHO Lec13系、PER.C6(商標)系(Crucell)、HEK系、特に、HEK293(ATCC番号CRL1573)、系EB66、K562、NS0、SP2/0、BHK、HeLa、NIH/3T3又はCOSがある。より好ましくは、ラット系YB2/0が使用される。これらの宿主細胞、例えば、CHO細胞に、シアル酸転移酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子をトランスフェクトできる。
好ましくは、本発明の抗体のFc断片は、特に、ヒトが、親抗体のものに対して修飾され、Y300del突然変異からなる場合には、それは、HEK293細胞などのHEK細胞において産生される。
重鎖及び軽鎖をコードするポリヌクレオチドはまた、特に、ある特定の細胞におけるその発現のために(ステップiii))最適化されたコドンを含み得る。コドン最適化の目的は、天然コドンを、考慮される細胞種においてアミノ酸を運ぶトランスファーRNA(tRNA)が最も頻繁に見られるコドンと置き換えることである。頻繁に遭遇するtRNAを動員するという事実は、メッセンジャーRNA(mRNAs)の翻訳の速度を高め、したがって、最終力価を増大するという主な利点を有する(Carton JMらProtein Expr Purif、2007年)。コドン最適化はまた、リボソーム複合体による読み取りを減速し得る二次mRNA構造の予測に影響を及ぼす。コドン最適化はまたmRNAの半減期と、したがって、その翻訳能と直接的に関連しているG/Cのパーセンテージに対しても影響を有する(Chechetkin, J. of Theoretical Biology 242巻、2006年922〜934頁)。
コドン最適化は、哺乳動物の、より詳しくは、ヒト(Homo sapiens)のコドン頻度表(コドン利用表)を使用する天然コドンの置換によって行われ得る。この配列最適化が実施されることを可能にする、インターネットで入手可能な、合成遺伝子の供給業者によって入手可能にされたアルゴリズムがある(DNA2.0、GeneArt、MWG、Genscript)。
好ましくは、重鎖及び軽鎖をコードするポリヌクレオチドは、HEK293細胞、CHO細胞又はYB2/0細胞などのHEK細胞におけるその発現のために最適化されたコドンを含む。より好ましくは、重鎖及び軽鎖をコードするポリヌクレオチドは、YB2/0細胞におけるその発現のために最適化されたコドンを含む。
本発明の目的はまた、生理学的に許容される培地中に本発明のモノクローナル抗体を含む組成物である。
「モノクローナル抗体」又は「モノクローナル抗体組成物」又はモノクローナル抗体の「mAb」とは、同一及び固有の抗原特異性を有する抗体分子を含む組成物を意味する。組成物中に存在する抗体分子は、すべて同一の重鎖及び軽鎖配列によってコードされ、したがって、同一タンパク質配列を有する。
本発明の目的はまた、医薬としての上記のような、本発明の抗体の使用又は組成物の使用である。
本発明の抗体は、治療用組成物を形成するための、薬学的に許容される賦形剤と、任意選択で、生分解性ポリマーなどの持続放出マトリックスと組み合わせてもよい。
医薬組成物は、経口的に、舌下に、皮下に、筋肉内に、静脈内に、動脈内に、くも膜下腔内に、眼内に、脳内に、経皮的に、肺性に、局所的に又は直腸性に投与され得る。次いで、有効成分は、投与の単位形態で、従来の製薬担体との混合物で投与され得る。単位投与形として、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤及び経口溶液又は懸濁液、舌下及び頬側投与形、エアロゾルなどの経口形、皮下留置剤、経皮、局所、腹腔内、筋肉内、静脈内、皮下、くも膜下腔内、鼻腔内(経鼻)投与形及び直腸投与形が挙げられる。
好ましくは、医薬組成物は、注射されることが可能な製剤のための薬学的に許容されるビヒクルを含有する。それらは、特に、等張性、滅菌処方、生理食塩水溶液(リン酸一ナトリウム又は二ナトリウム、塩酸ナトリウム、カリウム、カルシウム又はマグネシウムなど、又はこのような塩の混合物を有する)、又は必要に応じて、滅菌水若しくは生理学的血清の添加の際に、注射用溶液の構成を可能にする凍結乾燥組成物であり得る。
注射用使用に適した投与形として、滅菌水溶液又は分散物、滅菌注射用溶液(1つ又は複数)、分散物の即時調製のためのゴマ油、ピーナッツオイル及び滅菌散剤を含む油性製剤が挙げられる。すべての場合において、形態は、無菌でなくてはならず、シリンジによって注射されなければならない限り流体でなくてはならない。製造及び保存の条件下で安定でなくてはならず、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用から保護されなければならない。
本発明の分散物は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール若しくはその混合物中、又はオイル中で調製され得る。保存及び使用の正常状況下では、これらの調製物は、微生物の成長を防ぐために防腐剤を含有する。
薬学的に許容される担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、これら及び/又は植物油の適した混合物を含有する溶媒又は分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどの界面活性剤の使用によって維持され得る。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸又はさらにチメロサールによってもたらされ得る。多くの場合、等張剤、例えば、糖又は塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射用組成物の長期吸収は、組成物における吸収遅延剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム又はゼラチンの使用によってもたらされ得る。
滅菌注射用溶液は、適当な溶媒中に必要な量の活性物質を、必要に応じて上記で列挙された他の成分のうちいくつかとともに組み込むことと、それに続く濾過による滅菌法によって調製される。一般に、分散物は、滅菌有効成分を、基本分散媒と上記で列挙されるものからの必要な他の成分とを含有する滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌散剤の場合には、好ましい調製法は、真空乾燥及び凍結乾燥である。製剤化では、溶液は、投与量製剤と適合する方法で、治療上有効な量で投与される。製剤は、種々の投与形、例えば、上記の注射用溶液で容易に投与されるが、薬物放出カプセルなども使用され得る。水溶液での非経口投与には、例えば、溶液は、適宜緩衝されるべきであり、液体希釈剤は、十分な生理食塩水又はグルコースで等張性にされるべきである。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下及び腹膜内投与に特に適している。この関連で、使用できる滅菌水性媒体は、当業者に公知である。例えば、用量を、1mlの等張性NaCl溶液に溶解し、次いで、1000mlの適当な液体に添加し、注入の提案された部位に注射できる。処置されている対象の状態に応じて、投与量のある特定の変動が適用され得る。
本発明の医薬組成物は、用量あたり約0.0001〜1.0ミリグラム又は約0.001〜0.1ミリグラム又は約0.1〜1.0ミリグラム又はさらに約10ミリグラム又はそれより多くを含む治療用混合物に製剤化され得る。複数回用量も投与され得る。個々の患者の具体的な治療上有効な用量レベルは、処置されている障害及び疾患の重症度、使用される特定の化合物の活性、使用される特定の組成物、年齢、体重、全身の健康、患者の性別及び食事、投与の時間、投与経路、使用される特定の化合物の排出速度、処置の期間又は並行して使用される薬物を含む種々の因子に応じて変わり得る。
好ましくは、本発明は、自己免疫疾患の予防及び/又は処置における本発明の抗体の使用に関する。また、自己免疫疾患の予防及び/又は処置のための本発明のモノクローナル抗体を含む組成物の使用にも関する。
好ましくは、自己免疫疾患は、以下から選択される:
−抗MOG抗体が関与する脱髄疾患、例えば、多発性硬化症、
−特に、アクアポリン−4(AQP−4)及び/又はMOGを標的化することによる、デビック視神経脊髄炎(neuromyelitis optic)(NMO/NMOSD)、
−特に、グルコース−6ホスファターゼ(IGRP)の触媒2サブユニットを標的化することによる1型糖尿病。IGRPは、ランゲルハンス島に対して特異的である、及び
−特に、2型コラーゲンを標的化することによる関節リウマチ。
好ましくは、本発明の抗体又は組成物は、抗MOG抗体が関与する脱髄疾患の予防及び/又は処置において使用される。
このような疾患は、好ましくは、急性播種性脳脊髄炎(ADEM)、デビック視神経脊髄炎(neuromyelitis optic)(NMO/NMOSD)及び多発性硬化症(MS)の中から選択される。
実際、主に小児において生じる急性播種性脳脊髄炎(ADEM)を有する患者の40%は、抗MOG抗体について血清陽性である。デビック視神経脊髄炎(neuromyelitis optic)(NMO/NMOSD)では、成人抗アクアポリン−4(AQP−4)血清陰性患者のサブグループは、抗MOG抗体の高力価を示す。
MOG35〜55を有するEAEモデルにおいて、抗体8−18C5で処置したバリアントのパイロット実験を示す図である。 7日目に、50μgのYB2/0細胞において産生された8−18C5−Del抗体(「Del」、n=4)、HEK細胞において産生された8−18C5−WT(「WT」、n=4)、又は等体積のPBS(「PBS」、n=4)をマウスに注射した。A)臨床スコア、B)カプランマイヤー生存曲線。 HEK細胞において産生された8−18C5−WT抗体(「WT」、n=3)、細胞YB2/0において産生された8−18C5−Delバリアント(「Del」(n=2)、又は等体積のPBS(「PBS」、n=4)で処置したマウスのCD45hi CD11bhi CNSに浸潤するマクロファージの絶対数のヒストグラムを示す図である。 HEK細胞において産生された8−18C5−WT抗体(「WT」、n=3)、YB2/0細胞において産生された8−18C5−Delバリアント(「Del」)(n=2)、又は等体積のPBS(「PBS」、n=4)で処置したマウスの生存可能なCD4+ Th1.2+ T細胞上の、CNSに浸潤する活性化したFoxp3+制御性Tリンパ球の絶対数のヒストグラムを示す図である。データは、平均+/−SEMとしてプロットした。 異なる抗体:YB2/0細胞において産生された8−18C5−Del抗体(「Del(YB2/0)」)、YB2/0細胞において産生された抗体8−18C5−WT(「WT(YB2/0)」)及びHEK細胞において産生された8−18C5−WT(「WT(HEK)」)に関する、α2.6シアル酸に特異的なレクチン(SNA)を使用するウエスタンブロットを示す図である。 MOG35〜55を有するEAEの中程度モデルにおける抗体8−18C5で処置したバリアントのパイロット実験を示す図である。 9日目に、50μgの抗体8−18C5−Del(「Del」、n=8)、8−18C5−WT(「YB2」、n=8)、又は等量のPBS(「PBS」、n=7)をマウスに注射した。A)臨床スコア、B)カプランマイヤー生存曲線。
以下の実施例は、本発明の様々な実施形態を例証するために与えられる。
(例1)
マウスのモノクローナル抗体8−18C5のFcのクローニング及び操作、並びにI型Fc受容体、FcRn及びその抗原への結合についての特徴付け
IgG1である組換えマウスのmAb 8−18C5クローンをコードするDNAベクターからFcの操作を実施した。本発明者らは、コンセンサス定常ドメインをコードする配列をmAb 8−18C5の可変ドメイン(Fab)と結合させることによって、in silicoでクローニング構築物を作成した。Fab 8−18C5断片の結晶化構造は、PDB(Protein Data Bank)において受託番号1PKQにより利用可能である。定常ドメインとして、本発明者らは、オンラインデータベースIMGT(Immunogenetics)に列挙されたマウスのIgG1(ハツカネズミ(Mus musculus)、IGHG101)のコンセンサス配列を選択した。重鎖及び軽鎖に相当する配列をin vitroで合成し、別々のpCDNA3ベクター(例えば、Geneart)中にクローニングした。次いで、2つの配列を単一の哺乳動物のバイシストロニックベクター中にサブクローニングし、マウスのmAb 8−18C5(8−18C5−WT)の産生を可能にした。
次いで、本発明者らは、ヒトのE294Del欠失に対して相同な欠失を作成した(番号付けは、EUインデックスのもの又は等価なKabatにおけるものである):本発明者らは、8−18C5−Delバリアントを得るために、組換え8−18C5 mAbの配列番号18(定常領域)の171位のグルタミン酸を欠失させた。
組換え8−18C5マウスの抗体8−18C5−WTをHEK細胞において産生させた。
シアリル化のレベルを最適化するために(50〜90%)、組換えマウス8−18C5の8−18C5−WT抗体及びバリアントである8−18C5−Del抗体をYB2/0細胞において産生させ、シアリル化のレベルを最適化した(50〜90%)。有利なことに、YB2/0細胞系は、非常に高いレベルのシアリル化を伴う8−18C5−Delバリアントを得ることを可能にする。
YB2/0細胞における(又は8−18C5−WTに関してはHEK細胞においても)産生後に、8−18C5−WT及び8−18C5−Del抗体をプロテインG上で精製し、それらの純度(>97%)及びそれらの完全性(凝集率<2%)を検証するために、SDS−PAGE及びSECによって特徴付けした。
次いで、FcRn及び様々なFcγRsに関してELISAによってこれらを特徴付けした。
FcRn(ヒト又はマウス)に関するELISA:
8−18C5−WT及び8−18C5−Del抗体のFcRnへの結合を、標準的なELISA試験によって測定した。このために、Maxisorpのイムノプレートを組換えヒト又はマウスFcRnタンパク質でコーティングした。プレートを5%のPBS−LEで飽和させた後、8−18C5−WT又は8−18C5−Del抗体の溶液を異なる濃度(5ng/mLから0.5μg/mLまで)で各ウェルに添加し、37℃で1時間30分の間インキュベートした。次いで、ヤギ抗ヒト(又は抗マウス)IgG HRP F(ab’)2を37℃で1時間30分の間、1/2500でインキュベートした。次いで、ELISAプレートをTMB(Pierce)により可視化させ、450nmでの吸光度を読み取った。
FcγRs(ヒト又はマウス)に関するELISA
8−18C5−WT及び8−18C5−Del抗体のヒト又はマウスのFcγRsへの結合を、ヤギ抗ヒトIgG HRPのF(ab’)2を穏やかに撹拌しながら、室温で2時間インキュベート(各分子について、0.5μg/mlの最終濃度で)した後に、ELISAによって測定した。次いで、F(ab’)2に凝集したIgGを、前もってFcγRでコーティングし、4%のPBS−BSAで飽和させたMaxisorp又はNiNTAイムノプレート上で、穏やかにかき混ぜながら、30℃で1時間インキュベートした。次いで、ELISAプレートをTMB(Pierce)により可視化させ、450nmでの吸光度を読み取った。
8−18C5−WT及び8−18C5−Del抗体のELISAによる特徴付けによって、Fcドメインにおける点欠失の導入が抗原の認識(組換えMOGタンパク質、rMOGを使用する)に影響を及ぼさなかったことを確認した。以下の表1において示すように、FcRnへの結合に影響を及ぼさないことは印象的であるが、FcγRIII及びFcγRIIBへの結合は低減される。
Figure 2021522216

マウスのIgG1アイソタイプはFcγRIA(CD64)及びFcγRIVに結合しないため、このことは、8−18C5−DelバリアントがマウスのI型Fc受容体(FcR)のいずれにももはや結合しないことを示す。さらに、「Del」突然変異の導入によって誘導されるシアル化の増加をα2.6シアル酸に特異的なレシチン(SNA)を使用してウエスタンブロットによって確認した(図4)。これについては、SDS−PAGE電気泳動工程の後に、抗体をニトロセルロース膜上に移し、次いで、Western Blot SNAに供した:条件は以下の通りであった:
飽和:TBS+1%のBSA+0.05%のTween−20、4℃で一晩、
洗浄:Phy Water+0.05%のTween−20、5×5分、1回目のインキュベーション:1/1000のビオチン化SNA(VECTOR)、室温で90分
2回目のインキュベーション:1/2000のストレプトアビジンペルオキシダーゼ、室温で60分
化学発光検出
(例2)
自己免疫脳疾患へのmAb 8−18C5−Delバリアントに存在するFcの操作の影響
無傷の血液脳関門は、CNSの実質への抗体の浸潤を防止する。したがって、組織を「予備刺激する」ために、CNSに軽度の自己免疫性炎症を誘導することが必須である。これによって、抗体を実質に侵入させ、それらの免疫機能を働かせることが可能になる。
選択した実験モデルは、中枢神経系の壊滅的な自己免疫性炎症性疾患である実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)である。1993年のその記載から、これは、現在市販されている疾患修飾性処置のほとんどが検証されている、過敏症(特に、IV型)の原型モデル及び多発性硬化症(MS)の前臨床モデルとしての役割を果たしている。最も一般的な形態は、C57Bl/6マウスにおいて、MOGタンパク質の直鎖状の35〜55ペプチドによる免疫化によって、脱髄疾患が誘導される、活性EAEである(Ramadan A、Lucca LE、Carrie N、Desbois S、Axisa PP、Hayder M、Bauer J、Liblau RS、Mars LT. 別個の自己抗原を認識するT細胞のin situでの増殖はCNSにおける自己免疫を持続させる(In situ expansion of T cells that recognize distinct self−antigens sustains autoimmunity in the CNS)。Brain(2016) 139:1433〜1446頁)。MAb 8−18C5は、MOGの高次構造エピトープに特異的である(Breithaupt C、Schafer B、Pellkofer H、Huber R、Linington C、Jacob U. 脱髄性ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質に特異的な自己抗体応答は齧歯類の1つの優勢な高次構造エピトープ領域に集中する(Demyelinating myelin oligodendrocyte glycoprotein−specific autoantibody response is focused on one dominant conformational epitope region in rodents)。J Immunol(2008) 181:1255〜1263頁):
MAb 8−18C5は、免疫化に使用される直鎖状MOG35−55ペプチドを認識せず、CNSに存在する無傷の天然MOGタンパク質と相互作用するだけである。したがって、mAb 8−18C5によって誘導される免疫媒介性作用は、炎症病変内で局所的に天然MOGに結合することの結果である。
実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)の麻痺性疾患に関する8−18C5−WT(HEKにおいて産生された)及び8−18C5−Del抗体の影響は、パイロット実験において決定され、その結果を図1及び5に示す。
− 試験1:
600μgの不活性化結核菌(Mycobacterium tuberculosis)H37RAを含むCFA(完全フロイントアジュバント)中50μgのMOG35−55で免疫化し、続いて、0日目(200ng)と2日目(400ng)に百日咳毒素を2回注射することによって、EAEの誘導をC57Bl/6マウスにおいて行う。
免疫化の7日後に、マウス1匹当たり50μgの単回用量で、各抗体を注射した。8−18C5抗体のこの2.5mg/kg用量は、計画的に、同一疾患を処置するためのIVIgの用量(合計4g/kg:4×1g/kg)よりも低い。
結果は以下の通りである:
PBSを注射した対照マウスと比較して、8−18C5−WT(WT)抗体で処置したマウスは、EAEの悪化を示し、注射の5〜6日後にこれらのマウスのすべてが死亡する結果となった(図1B)。
8−18C5−Delバリアントは反対の結果をもたらす:このバリアントは、その本来の病原性を失っただけでなく(この場合、疾患の重症度は、PBSで処置したマウスのものに類似することとなった)、疾患の重症度を低下させた。8−18C5−Delバリアントで処置したマウスは、PBSに関する4匹のマウスのうちの2匹と比較して、1匹も死亡せず(図1B)、EAEの重症度は、明確化の遅れを反映する臨床スコア2で停滞した。麻痺の最も重篤な段階(>3)には達しなかった(図1A)。
− 試験2:
100μgの不活性化結核菌H37RAを含むCFA(完全フロイントアジュバント)中100μgのMOG35−55で免疫化し、続いて、0日目(200ng)と2日目(200ng)に百日咳毒素を2回注射することによって、中程度のEAEの誘導を行う。
11日目のEAEの誘導の2日前である9日目に、各抗体(YB2/0(YB2)細胞において産生されたマウスの8−18C5、E171(Del)欠失(ヒトのDel294欠失に相当する)を有するバリアント)をマウス1匹当たり50μgの単回用量で注射し、PBSを対照マウスに注射する。
結果は以下の通りである:
PBSを注射した対照マウスと比較して、8−18C5−WT抗体(YB2)で処置したマウスは、EAEの悪化を示し、免疫化のおよそ15日後にマウスの38%が死亡する結果となった(図5B及び表2)
8−18C5−Del(Del)バリアントは、その本来の病原性を失い(この場合、疾患の重症度は、PBSで処置したマウスのものに類似することとなった)、疾患の重症度を低減した。EAEの重症度はスコア2で停滞し、麻痺の最も重篤な段階には達しない(図5A)。
最後に、8−18C5−Del(Del)バリアントは、すべてのマウスの完全な臨床的回復を可能にし、一方、PBS処置は、マウスの57%の臨床的回復を可能にし、8−18C5抗体による処置は、38%の動物の臨床的回復しか可能にしない(表2)。
Figure 2021522216

結論
− 8−18C5−Delバリアントは、IVIGよりも400倍弱く、組換えシアリル化バリアントF241Aよりも40倍弱い単回用量でEAEを改善する(Fiebiger BM、Maamary J、Pincetic A、Ravetch JV. 抗炎症性IgG Fcsによる抗体及びT細胞に媒介される自己免疫疾患における保護にはII型FcRが必要とされる(Protection in antibody− and T cell−mediated autoimmune diseases by antiinflammatory IgG Fcs requires type II FcRs)。Proc Natl Acad Sci USA(2015) 112:E2385〜E2394頁に記載されている)。これらのパラメーター間の臨界差は、8−18C5抗体が、疾患に関連する自己抗原を認識することである。
− 注射の時、すなわち、疾患発症の直前には、8−18C5−Delバリアントが、進行している病態メカニズムに関して効果を有することが強く示される。さらに、8−18C5抗体は、中枢神経系において排他的に発現される天然MOGタンパク質のみを認識するため、この効果は、炎症組織において局所的に生じる傾向がある。
(例3)
脳における細胞浸潤物の組成に関する8−18C5−Delバリアントの効果
低用量の自己抗原に誘導される機序による免疫寛容の回復は、FoxP3+制御性T細胞の蓄積をもたらすことが多い。8−18C5−DelバリアントがFoxP3+制御性T細胞の富化を促進し得るかどうかを決定するために、本発明者らは、例2において処置したマウスの脳におけるFoxP3+制御性T細胞の大きさを評価する間に実験を実施した。
免疫化後16日目に、本発明者らは、Percoll勾配を使用して脳に浸潤している単核細胞を単離し、フローサイトメトリーによって免疫浸潤物の細胞組成を分析した。
図2に示したように、PBS対照群と比較して、浸潤しているマクロファージの比率及び総数が低いことを考慮すると、8−18C5−Delバリアントで処置したマウスの炎症性活性は低減されている。
マクロファージの低減と同時に、8−18C5−Delバリアントで処置したマウスにおけるCNS浸潤によって、PBSで処置したEAEマウスと比較して、活性化Foxp3+制御性T細胞の比率及び絶対数の著しい増加が示された。
結論
これらの研究は、8−18C5−Delバリアントが、標的MOG抗原に対して特異的な制御性Tリンパ球の増殖を駆動することによって免疫系を再教育する(re−educate)シナリオと一致する。このメカニズムは、MOG自己抗原が、エフェクターT細胞の病原性応答の損失に対して制御性T細胞を優先的に活性化する免疫寛容原性抗原提示細胞(APC)によって提示されることを必要とするようである。
これによって、II型Fc受容体を発現する免疫寛容原性APCに自己抗原を選択的に移動させるための特有のベクターとして、本発明による8−18C5−Delバリアントが特定されることになる。
(例4)
ファージディスプレイによる8−18C5と同等な抗体の選択
ヒトscFvライブラリーの選択(MG−UmAb):
選択工程の間に、標準的手順(Smith GP, Science 228:1315(1985))を使用して、ヒトscFvライブラリー(MG−UmAb)をバクテリオファージM13の表面に発現させた。ベクターpMG72において発現及びクローニングされるライブラリーを含有する大腸菌(E. coli)XL1−Blue細菌を100μg/mlのアンピシリン、15μg/mlのテトラサイクリン及び1%(p/v)のグルコースを補充した60mlの2YT培地中で、30℃にて培養した。次いで、ヘルパーファージM13(M13K07、Biolabs、細菌/ファージ比=1/3)を37℃で20分間細胞に感染させ、ファージ−scFvの生成を0.5mMのIPTG及び1ml当たり50μgのカナマイシンを含む2YT/アンピシリン/グルコース中で、230rpmで、26℃にて一晩継続させた。次の日に、標準プロトコールを使用してPEG6000を用いてファージを沈殿させ、pH7.4のPBS緩衝液1ml中に再懸濁させ、用量設定して、XL1−Blue細胞に感染させた。
固相選択のために、PBS/4%のスキムミルク/0.1%のTween 20中に希釈したファージ−scFvを組換えヒトMOG又はビオチン化したMOGタンパク質(ストレプトアビジンプレート上で)で前もってコーティングした8ウェルのMaxisorpプレート(1ウェル当たり1〜2×1011個のファージで最終100μl)中でインキュベートし、PBS中4%のスキムミルクでブロックした。37℃で2時間のインキュベーション後に、ウェルをPBS/0.1%のTween 20で10回及びPBSで2回洗浄した。次いで、選択したファージを指数増殖期のXL1−Blue細菌による感染によって溶出させた(2×150μl/ウェル、20分、振盪せずに37℃にて)。次いで、感染した細菌を2YT/アンピシリン/グルコースの固体培地上にプレーティングした。次の日に、15%のグリセロールを含む2YT培地中に細胞を再懸濁させ、凍結させて、次回の選択まで−80℃で保存した。
液相選択のために、4×1011個のファージをビオチン化したヒトMOG組換えタンパク質と共に、穏やかに浸透させながら、室温で1時間最初にインキュベートした。次いで、PBS中4%のスキムミルクで前もってブロックした、ストレプトアビジン(Dynal)をコーティングした磁気ビーズを室温で30分間ファージに添加した。ファージ−ビーズ複合体をPBS/0.1%のTween 20で10回及びPBSで2回、磁石を使用して洗浄した。次いで、ファージ−ビーズ複合体を使用して、5mlの指数増殖中のXL1−Blue細菌に感染させ、これらを2YT/アンピシリン/グルコース固体培地上にプレーティングした。次の日に、15%のグリセロールを含む2YT培地中に細胞を再懸濁させ、凍結させて、次回の選択まで−80℃で保存した。
特異的なscFvが選択されたことを確実にするために、異なる条件下で(4〜6の固相及び/又は4〜6の液相)、数回の選択を実行した。最も密接に関連するscFvを選択するために、標的濃度(組換えヒトMOGタンパク質)を漸次低減させた。これらのタンパク質も認識するscFvを得るために、相同的なマウス及びカニクイザルのMOG組換えタンパク質に関しても、選択ラウンドを行った(2回目又は3回目の選択からの類似するスクリーニング条件)。最後に、参照抗体818−C5に類似するエピトープを標的とするscFvを得るために、この抗体を進歩的な選択工程(4回目の選択に由来する)における直接的な競争相手として使用した。
得られたscFvの配列は以下の通りである:
Figure 2021522216

Figure 2021522216

Figure 2021522216
MOGタンパク質への結合の決定:MOGタンパク質(ヒト及びマウス)に関するファージ−ScFvのELISA試験:
スクリーニングの間に単離されたファージの表面に発現したscFvの結合の特徴を組換えMOGタンパク質(R&D system)を使用するELISAアッセイを使用して決定した。選択したクローンと一緒に、ファージ−scFv−8−18C5が発現され、ELISAに対する陽性対照としての役割を果たす。簡潔には、ファージ−scFvをヘルパーファージM13K07(前述した通り)を感染させた800μlの2YT/アンピシリン/グルコース培養物中で、96ウェルプレート上で単離したクローンの形態で生成した。次いで、26℃で一晩生成させたファージを3000gで30分間遠心分離した後、上清中に回収した。これらの上清をPBS/4%のBSA/0.1%のTween 20中で1/2に直接希釈し、1ウェル当たり0.5μgのヒト若しくはマウスのMOG又はPBS(BSAにおけるバックグラウンド対照(bdf))で前もってコーティングしたMaxisorpイムノプレート上で試験し、PBS中4%のBSAでブロックした。37℃で2時間のインキュベーション後に、PBS/0.1%のTween−20で3回ウェルを洗浄し、結合したファージ−scfvを抗M13 HRP抗体(GE Healthcare)を用いて検出した。プレートをプレートリーダー(TECAN)で450nm(OD)にて読み取った。結果を比として表す:標的/OD bdfに関するOD(BSAで飽和させたコーティングされていないプレートに関するOD)及び比を陽性対照について得られたものと比較する。
Figure 2021522216

Figure 2021522216
上記の生成したクローンは、8−18C5陽性対照の比よりも高い比を有した;したがって、これらは、MOGタンパク質に対してより良好に結合する。
さらに、以下の実験を追加で行ってもよい:
T細胞応答への影響を決定する:
免疫化後16日目に、本発明者らは、Percoll勾配を使用して、脳に浸潤している単核細胞を単離し、フローサイトメトリーによって免疫浸潤物の細胞組成を分析した。制御性(Foxp3+)及び病原性(Th1/Th17)Tリンパ球の振幅を決定し、8−18C5−Delで処置したマウスにおいて、病原性応答の収縮が増殖制御性T細胞応答と相関するかどうかを形式的に示してもよい。
病原性及び免疫調節性T細胞応答の特異性を決定する:
抗原ブースター実験を使用すると、MHC四量体及びT細胞は、MOG35−55に対して特異的なトランスジェニックTCRを発現し、制御性及び病原性T細胞応答の特異性を確立することができる。目的は、モノクローナル抗体8−18C5の治療効果を媒介するMOG自己抗原の中心的役割を確立することである。
8−18C5−Delと相互作用する免疫寛容原性骨髄性サブセットを同定する:
疾患の改善中に、m8−18C5−Delバリアント(I型受容体に結合していない)は、とりわけ、C型のレシチンに対するCD209受容体(SIGN−R1)及びCD23を含むII型FcRに結合すると考えられる。8−18C5−Del抗体の標的細胞を特定するために、2つのアプローチを有利に開発することができる:
− 8−18C5−Del及び8−18C5−WTを別個の蛍光色素で標識し、いずれか又は両方の抗体に結合する、脳に浸潤している免疫細胞をフローサイトメトリーによって分析する。
− 脳に浸潤している免疫細胞上のI型又はII型Fc受容体のプロファイルは、フローサイトメトリーアプローチを使用して確立する。
DC−SIGN+マクロファージ/免疫調節性ミクログリアに対して、及び抗炎症性M2マクロファージ/ミクログリアArg−1+ CD45+ CD11B+ F4/80+ CD68+に対して、特に注意を払う。骨髄に由来するサプレッサー細胞及び形質細胞様DCは、EAEをさらに悪化させることが報告されているため、より不十分な候補である。
上述の戦略と同様に、免疫化後16日目に、Percoll勾配を使用して、脳に浸潤している単核細胞を単離することによって、これらのアプローチを実施する。
特定した免疫寛容原性骨髄性サブセットの機能的意義
CNS単離後に、免疫寛容原性サブセットをトランスジェニックTCR T細胞と共培養し、MOG抗原の提示によって制御性T細胞が増殖することを実証する。次に、中和抗体のアプローチをin vivoで使用し、関与する細胞の誘導又は機能を遅らせる。

Claims (12)

  1. ネイティブのミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)に対して向けられたアイソタイプG抗体であって、
    − 高度なシアル化を示すFc断片、および
    − 自己抗原に結合することが可能なFab断片
    を含む、抗体。
  2. Fc断片が、親抗体のそれと比べて改変されており、前記Fc断片の240位〜243位、258位〜267位および290位〜305位におけるアミノ酸から選択される少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含み、番号付けは、EUインデックスの番号付けまたはKabatにおけるそれと同等なものである、請求項1に記載の抗体。
  3. 突然変異が、V262del、V263F、V263K、V263W、V264K、V264P、D265A、D265E、D265G、D265L、D265S、D265V、V266A、V266P、V266S、V266T、S267N、S267P、S267R、S267W、P291C、P291V、P291Y、P291W、R292A、R292del、R292T、R292V、R292Y、E293del、E293F、E293P、E293W、E293Y、E294del、E294D、E294N、E294W、E294F、E293del/E294del、Q295D、Q295del、Q295F、Q295G、Q295K、Q295N、Q295R、Q295W、Y296A、Y296C、Y296del、Y296E、Y296G、Y296Q、Y296R、Y296V、S298del、S298E、S298F、S298G、S298L、S298M、S298N、S298P、S298R、S298T、S298W、S298Y、Y300D、Y300del、Y300G、Y300N、Y300P、Y300R、Y300S、R301A、R301F、R301G、R301H、R301I、R301K、R301Q、R301V、R301W、R301Y、V302del、V302A、V302F、V302G、V302P、V303A、V303C、V303P、V303L、V303S、V303Y、S304C、S304M、S304Q、S304T、V305FおよびV305Lから選択され、番号付けは、EUインデックスの番号付けまたはKabatにおけるそれと同等なものである、請求項2に記載の抗体。
  4. Fc断片が、親抗体のそれと比べて改変されており、少なくともE294del突然変異を含み、番号付けは、EUインデックスの番号付けまたはKabatにおけるそれと同等なものである、請求項1から3のいずれか一項に記載の抗体。
  5. ネイティブのMOGに対して向けられており、以下の6つのCDR:
    H−CDR1:配列番号11、
    H−CDR2:配列番号12、
    H−CDR3:配列番号13、
    L−CDR1:配列番号14、
    L−CDR2:GAS、および
    L−CDR3:配列番号15
    を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の抗体。
  6. ヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4から選択され、好ましくは、IgG1である、請求項1から5のいずれか一項に記載の抗体。
  7. キメラ、ヒト化またはヒトである、請求項1から6のいずれか一項に記載の抗体。
  8. EUインデックスの番号付けまたはKabatにおけるそれと同等なもので、重鎖として、294位にグルタミン酸の欠失を有する配列番号24の配列、および軽鎖として、配列番号25の配列を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の抗体。
  9. 薬学的に許容される媒体中に、請求項1から8のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体を含む組成物。
  10. 医薬としてのその使用のための、請求項1から8のいずれか一項に記載の抗体または請求項9に記載の組成物。
  11. 自己免疫疾患を防止および/または処置することにおけるその使用のための、請求項1から8のいずれか一項に記載の抗体または請求項9に記載の組成物。
  12. 抗MOG抗体が関与する脱髄疾患、好ましくは、急性播種性脳脊髄炎、デビックの視神経脊髄炎および多発性硬化症から選択される脱髄疾患を防止および/または処置するためのその使用のための、請求項1から8のいずれか一項に記載の抗体または請求項9に記載の組成物。
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