[0012]次に、各図に一または複数の例が示されている様々な実施形態を細部にわたり参照する。各例は単なる説明として提示されており、限定を意味するものではない。例えば、一実施形態の一部として図示又は説明される特徴は、他の任意の実施形態に、又は他の任意の実施形態と併せて使用して、更に別の実施形態を生み出すことが可能である。本開示は、このような修正及び変形を含むことが意図されている。
[0013]図面についての以下の説明の中で、同じ参照番号は同じ又は類似の構成要素を指す。全体的に、個々の実施形態に関して相違点のみが説明される。他に特に規定がない限り、一実施形態の部分又は態様の説明は、別の実施形態の対応する部分又は態様に適用される。
[0014]図1は、光学コーティングの反射性及び透過性の測定を示す概略斜視図である。
[0015]堆積装置では、図1を参照しながら以下に更に詳しく説明するように、プラスチック膜とローラの表面とが確実に平坦に接触するように、基板、例えばプラスチック膜が装置のローラ(例:案内ローラ)と機械的に接触している位置で正反射率が測定されうる。
[0016]図1に示すように、基板15はコーティングドラム11、第1のローラ12及び/又は第2のローラ13によって運ばれて送られる。第1のローラ12と第2のローラ13は、案内ローラであってよい。第1のローラ12と第2のローラ13との間の位置に、透過性測定装置16が設けられる。第1のローラ12と第2のローラ13との間の位置又はエリアは、「自由スパン」又は「自由スパン位置」とも称されうる。更に、基板15、例えばプラスチック膜が第2のローラ13と機械的に接触している別の位置には、反射率測定装置14が設けられる。
[0017]しかしながら、入射光線は基板15の前面と背面に反射するだけでなく、第2のローラ13の表面でも反射する。例えば金属製ローラの反射率Rはどちらかといえば高い(例:R>50%)ため、反射率が低い又は低下したローラ表面が有益である。第2のローラ13は黒い又は黒ずんだ表面を有するため、第2のローラ13の表面は低い又は低下した反射率を有する。しかしながら、これら黒い又は黒ずんだ表面の反射率は、不十分に低く不均一な反射率となってしまう。絶対反射率の測定の信頼性はどちらかというと低い。
[0018]本開示は、球構造を有することで、例えば2つのローラの間の基板又はプラスチック膜の自由スパン位置等の特に同じ位置において同時に反射率の測定と透過性の測定が可能である測定構成を使用する、基板上の材料を処理する装置と、基板及び/又は基板上で処理される材料の一又は複数の光学特性を測定するための方法を提供する。膜の表面が平坦でなくても、反射した光がほぼ完ぺきに球構造に収集される。
[0019]球構造により、球構造内部での光の均一な散乱又は拡散が得られる。球構造の内面に入射する光は、球内部で均等に配分される。入射光の方向による影響は最小限となる。これにより、入射光(例えば基板及び/又は基板上で処理される材料から反射される又はそれらを通して透過される光)を高い精度と信頼性で測定することが可能になる。
[0020]本明細書で使用する「基板」という語は、具体的にはプラスチック膜、ウェブ又はフォイル等のフレキシブル基板を包含するものとする。しかしながら、本開示はこれらに限定されず、「基板」という語はまた例えばウェハ、サファイア等の透明結晶の片、又はガラス板等の非フレキシブル基板も包含しうる。幾つかの実施形態によれば、基板は透明基板であってよい。本明細書で使用する「透明な」という用語は具体的には、比較的散乱が少ない状態で光が透過し、その結果、例えば、それを通して透過される光を実質的に明瞭に見ることができるような構造性能を含むものとする。通常、基板はポリエチレンテレフタレート(PET)を含む。
[0021]幾つかの実施形態によれば、球構造は積分球である、又は積分球を含む。積分球(又はウルブリヒト球)は、少なくとも1つのポート、例えば少なくとも1つの入口ポート及び/又は少なくとも1つの出口ポートを有する中空の球形空洞を含む光学素子である。中空の球形空洞の内部は、反射コーティング(白色拡散反射コーティング)で覆われていてよい。積分球により、球内部での光の均一な散乱又は拡散が得られる。内面に入射する光は、球内部で均等に配分される。入射光の方向による影響は最小限となる。積分球は、電力は保存されるが、空間的情報は破壊される拡散器と見なされうる。
[0022]図2に、本明細書に記載の実施形態に係る球構造を有する測定構成20を示す概略図である。
[0023]測定構成20は、真空チャンバ(図示せず)内に配置される。真空チャンバは、コーティングされる基板15が位置づけされる処理チャンバであってよい、又はコーティングされる基板15が位置づけされる処理チャンバを含んでいてよい。本明細書に記載の実施形態に係る装置は堆積装置、具体的にはスパッタ装置、物理的気相堆積(PVD)装置、化学気相堆積(CVD)装置、プラズマ化学気相堆積(PECVD)装置等であってよい。
[0024]図2に概略的に示したが、本明細書に記載の実施形態に係る測定構成20は、基板15及び/又は基板15上で処理された材料の一又は複数の光学特性、具体的には反射率及び/又は透過性を測定するように構成されている。本願全体で使用される「反射率」という語は、表面に入射する総放射束が反射する割合を指すものである。表面は、基板上で処理される材料の表面、基板の前面、及び基板の背面のうちの少なくとも1つを含みうる。「反射率」と「反射性」という語が同意語として使用されうることを注記したい。本願全体で使用される「透過性」という語は、例えばその上で処理される材料又は層を有する基板を通過する入射光(電磁放射線)の割合を指すものである。「透過性」及び「透過率」という語は、同義語として使用されうる。
[0025]測定構成20は、空洞22を有する球構造21を含む。幾つかの実施形態によれば、空洞22は中空の球形空洞であってよい。通常の実行形態では、空洞22の表面は反射コーティング(例えば白色反射コーティング)で少なくとも部分的にカバーされている。球構造21により、球構造21内部に均一な光の散乱又は拡散が得られる。空洞22の表面に入射する光は、空洞22内部で均等に配分される。
[0026]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられうる幾つかの実施形態によれば、球構造21は積分球である、又は積分球を含む。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられうる実施形態によれば、球構造21、及び具体的には球構造21の空洞22は、150mm以下、具体的には100mm以下、より具体的には75mm以下の内径を有する。
[0027]測定構成は、一又は複数の光学特性を測定するために少なくとも1つの光源、及び少なくとも1つの検出器を有する形態を含みうる。少なくとも1つの光源と少なくとも1つの検出器の可能な形態を、以下に説明する。しかしながら、他の形態も可能である。
[0028]通常の実行形態では、測定構成20は光源23を含む。光源23は、球構造21の空洞22へ光を放射するように構成されている。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられうる実施形態によれば、光源23は380〜780nmの可視光の範囲、及び/又は780nm〜3000nmの遠赤外線の範囲、及び/又は200nm〜380nmの紫外線の範囲の光を放射するように構成されている。
[0029]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられうる実施形態によれば、光源23は、空洞22へ光が放射されうるように配置される。光源23は、空洞22内に配置されうる、又は空洞22の内壁又は表面に装着されうる。実施形態によれば、光源23は球構造21の外側に配置され得、球構造21の壁は、光源23から放射される光が球構造21、具体的には空洞22の内部へ光りうるように構成された開口部を含みうる。
[0030]幾つかの実施形態では、光源23は、球構造21から離れた位置に設けられうる。光を球構造21、具体的には空洞22に案内するために、光ファイバーが使われうる。
[0031]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられうる実施形態によれば、光源23は例えば、白熱電球、ハロゲン球、LED、高電力LED、又はキセノンランプとして構成されうる。光源23は、光源23を短時間でオンとオフに切り替えることができるように構成されうる。切り替えるために、光源23は制御ユニット(図示せず)に接続されうる。
[0032]通常の実施形態では、球構造21は少なくとも1つのポート26を有する。ポート26は、入口ポート及び/又は出口ポートとして構成されうる。一例として、基板15及び/又は基板15上で処理される材料から反射される、又は基板15及び/又は基板15上で処理される材料を通して透過する光は、ポート26を通して球構造21に入りうる。別の例では、光源23によって供給される光を、例えば反射率の測定のためにポート26を通して出すことができる。ポート26は、例えば保護ガラス等のカバー要素でカバーされうる。他の例では、ポート26はカバーされていなくてよい、又は開いていてよい。
[0033]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられうる実施形態によれば、ポート26は25mm以下、具体的には15mm以下、より具体的には10mm以下の直径を有しうる。基板15及び/又は基板15上で処理される材料のすくなくとも1つの光学特性の測定を実施するために、ポート26の直径を延ばすことにより、基板15のより大きい部分が照らされうる。
[0034]通常の実行形態では、基板15及び/又は基板15上で処理される材料の少なくとも1つの光学特性を測定するために、ポート26を通して球構造21から放射される散乱光が基板15上で光りうる。散乱光で基板15を照らすことにより、基板15上で光る光は、基板15の照らされた部分全体と同じ強度である。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられうる幾つかの実施形態によれば、放射された散乱光は、複数の角度、特に光強度の均一な角度分布での光の放射によって特徴づけられうる。例えば、これは球の材料が散乱反射が得られるように選択された球構造、例えば積分球又はウルブリヒト球における散乱反射によって生じうる。
[0035]図2に例示的に示すように、矢印が光の方向を示している実線として示す光線は、光線がポート26を出る前に、球構造21の内面上に原点Pの位置を有しうる。光線は図2に例示的に示すように、基板15及び/又は基板15上で処理される材料から反射され得、反射率の場合、ある反射率角度でポート26に入る。
[0036]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられうる幾つかの実施形態によれば、測定構成20は、基板15及び/又は基板15上で処理される材料の反射率を測定するように構成される球構造21における第1の検出器を含む。通常の実行形態では、第1の検出器は、第1の検出装置24と第2の検出装置27とを含む。
[0037]第1の検出装置24は、(矢印が光の方向を示している実線によって示される)ポート26を通して入る光、特に基板15及び/又は基板15上で処理される材料から反射される光を受けるように構成されうる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられうる実施形態によれば、第1の検出装置24は、球構造21内部から反射される光が第1の検出装置24によって検出されないように構成され配置される。例えば、第1の検出装置24は、例えば基板15及び/又は基板15上で処理される材料における反射に起因して、球構造21のポート26を通して入る光だけが第1の検出装置24によって検出されうるように配置されうる。
[0038]第2の検出装置27は、空洞22の内壁から散乱する又は反射する光を受けるように構成されうる。一例として、第2の検出装置27は基準の測定を提供しうる。通常の実行形態では、反射率は、第1の検出装置24によって受け入れられる又は測定される第1の光強度と、第2の検出装置27によって受け入れられる又は測定される第2の光強度に基づいて決定される。第1の光強度は、基板15及び/又は基板15上で処理される材料から反射され、球構造21の内部で反射せずに第1の検出装置24に直接到達する光を含みうる。第2の光強度は、基板15及び/又は基板15上で処理される材料から反射される上記直接光をほぼ含まない基準光強度であってよい。
[0039]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられうる実施形態によれば、第1の光検出装置、すなわち第1の検出装置24、及び/又は第2の光検出装置、すなわち第2の検出装置27は、第1の光検出装置及び/又は第2の光検出装置が光源23からの直接光を検出しないように構成され配置されている。例えば、光源23によって放射される光が第1の光検出装置及び/又は第2の光検出装置に直接当たるのを防止するスクリーニング手段(図示せず)が、球構造21内に設けられうる。上記スクリーニング手段は例えば、光源23によって放射される光が第1の光検出装置及び/又は第2の光検出装置に直接当たらないように構成され配置されたシールド、開孔又はレンズによって実現されうる。
[0040]実施形態によれば、第1のデータ処理又はデータ分析ユニット25は第1の検出装置24に接続され、第2のデータ処理又はデータ分析ユニット28は第2の検出装置27に接続されている。実施形態によれば、第1の検出装置24は、ケーブル又は無線接続を介して第1のデータ処理又はデータ分析ユニット25に接続され得、及び/又は第2の検出装置27はケーブル又は無線接続を介して第2のデータ処理又はデータ分析ユニット28に接続されうる。
[0041]データ処理ユニット25及びデータ分析ユニット28はそれぞれ、第1の検出装置24と第2の検出装置27の信号を検査し分析するように適合されうる。幾つかの実施形態によれば、非正規として定義される、基板15及び/又は基板15上で処理される材料の任意の特性が測定された場合、データ処理ユニット25又はデータ分析ユニット28は変化を検出して、例えば基板15の処理の停止等の反応を誘発しうる。
[0042]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられうる幾つかの実施形態によれば、第1のデータ処理又はデータ分析ユニット25と第1の検出装置24との間の接続と、第2のデータ処理又はデータ分析ユニット28と第2の検出装置27との間の接続のうちの少なくとも1つは、光ファイバー接続を含みうる、又は光ファイバー接続であってよい。一例として、測定構成20が、例えば測定位置を変更するために真空チャンバ内で移動した時に、データ処理ユニット25又はデータ分析ユニット28と検出装置24及び27は同時に移動するため、光ファイバー接続は移動しない。ファイバーが曲ると光ガラスファイバーの光強度が変化しうるため、これにより測定精度が改善しうる。幾つかの実行形態では、光測定は、例えば基準チャネルを使用して光源強度を追加測定することによって安定しうる。
[0043]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられうる幾つかの実施形態によれば、測定構成20は、基板15及び/又は基板15上で処理される材料の透過性を測定するための第2の検出器29を含む。第2の検出器29は、特に基板15及び/又は基板15上で処理される材料の透過性を測定するように構成されうる。通常の実行形態では、第2の検出器29は、第1の検出器を参照しながら上述したように、データ処理ユニット又はデータ分析ユニットに接続されている。
[0044]第2の検出器29は、ポート26を通って出る光、及び特に基板15及び/又は基板上で処理される材料を通して透過される光を受けるように構成されうる。本明細書に記載の実施形態と組み合わせられうる実施形態によれば、第2の検出器29は球構造21の外又は反対側に配置され、第2の検出器29と球構造21との間には隙間がある。基板15は、透過性、例えば基板15及び/又は基板15上で処理される材料を通して透過される光を測定するために隙間の内部に位置決めされうる。
[0045]上述の例における、光源23、第1の検出装置24、第2の検出装置27とを有する第1の検出器、及び第2の検出器29を有する測定構成の形態を説明する。しかながら、他の形態も可能である。一例として、2つの球構造が設けられ得、第1の球構造は反射率の測定用に構成され得、第2の球構造は透過性の測定用に構成されうる。反射率の測定のために、第1の球構造には第1の光源と第1の検出器が備えられうる。第2の球構造において、球構造のポートを通して入る光、特に基板及び/又は基板上で処理される材料を通して透過される光を受けるように構成された第2の検出器が備えられ得、第2の光源が、第2の球構造の外又は反対側に備えられ得、第2の光源及び第2の球構造の間には隙間がある。基板は、透過性、例えば基板及び/又は基板上で処理される材料を通して透過される光を測定するために、隙間の内部に位置決めされうる。
[0046]第1の検出器及び第2の検出器を有する測定構成を提供することによって、基板及び/又は基板上で処理される材料の透過性と反射率の両方を同じ位置で測定することが可能になる。基板の特性に対してより多くの情報が取得されうる。
[0047]本開示の測定構成により、球構造を使用することで改善された反射率及び/又は透過性の測定が得られる。一例として、例えばプラスチック膜等のフレキシブル基板の反射率及び/又は透過性は例えば、自由スパン位置で測定されうる。測定構成は、フレキシブル基板が平坦でない時、例えばフレキシブル基板が皺を有する場合にも機能する。
[0048]図3及び4は、本明細書に記載の実施形態に係る基板15上の材料を処理するための装置40の概略図である。処理される基板15は、真空チャンバ41に配置される。本明細書に記載の実施形態に係る一又は複数の測定構成が、真空チャンバ41に設けられる。測定構成は、真空チャンバ41の、特に少なくとも3つの位置30、31、及び32間で移動可能であるように構成されている。
[0049]本明細書に記載の実施形態と組み合わせられうる幾つかの実施形態によれば、真空チャンバ41は、真空チャンバ41を真空に引くための例えば真空ポンプ等の真空システムを接続するためのフランジを有しうる。
[0050]本明細書に記載の実施形態と組み合わせられうる幾つかの実施形態によれば、真空チャンバ41はバッファチャンバ、加熱チャンバ、移送チャンバ、サイクル時間調節チャンバ、堆積チャンバ、処理チャンバ等からなるグループから選択されるチャンバであってよい。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられうる実施形態によれば、真空チャンバ41は、処理チャンバであってもよい。本開示によれば、「処理チャンバ」は、基板を処理するための処理装置が配置されているチャンバとして理解してよい。処理装置は、基板を処理するのに使用される任意の装置として理解してよい。例えば、処理装置は、層を基板上に堆積させるための堆積源を含みうる。従って、堆積源を含む真空チャンバ又は処理チャンバは、堆積チャンバとしても称されうる。堆積チャンバは、化学気相堆積(CVD)チャンバ又は物理的気相堆積(PVD)チャンバであってよい。
[0051]本明細書に記載の実施形態と組み合わせられうる幾つかの実施形態によれば、装置は、例えばSiO2、MgF等の低い率の材料、例えばSiN、Al203、A1N、ITO、IZO、SiOxNy、AlOxNy等の中間の率の材料、及び例えばNb2O5、TiO2、TaO2等の高い率の材料、又はその他の高い率の材料からなるグループから選択された材料を堆積させるように構成されうる。
[0052]本明細書に記載の実施形態と組み合わせられうる通常の実施形態によれば、装置40は、基板15の装置40への搬入及び/又は搬出、特に真空チャンバ41への搬入及び/又は搬出を案内するための少なくとも1つのロードロックチャンバを含む。少なくとも1つのロードロックチャンバは、内部の圧力を大気圧から例えば10mbar以下の圧力等の真空へ、又はその逆に変化させるように構成されうる。実施形態によれば、入口ポートを含む入口ロードロックチャンバと、出口ポートを含む出口ロードロックチャンバが設けられている(図示せず)。
[0053]本開示の幾つかの実施形態によれば、装置40は真空チャンバ41で少なくとも球構造21を移動させるように構成された搬送装置を含む。一例として、搬送装置は、少なくとも球構造21、第1の検出器、及び第2の検出器29を真空チャンバ41内で移動させるように構成されている。幾つかの実行形態では、搬送装置は直線状の位置決めステージを含みうる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられうる幾つかの実施形態によれば、搬送装置は、アクチュエータを含みうる。アクチュエータは、軌道、例えば線形軌道に沿って少なくとも球構造の移動を実行するように構成されうる。アクチュエータは、エネルギーを運動に変換する電流、作動液圧又は空気圧の形態のエネルギー源によって動作しうる。幾つかの実施形態によれば、アクチュエータは電気モータ、線形モータ、空気圧アクチュエータ、油圧アクチュエータ又は圧電アクチュエータであってよい。
[0054]通常の実行形態では、搬送装置は少なくとも球構造21を反射率較正位置及び/又は透過性較正位置へ移動するように構成されている。反射率較正位置及び透過性較正はそれぞれ、反射率基準位置及び透過性基準位置とも称されうる。一例として、搬送装置は、球構造21、具体的には球構造21、第1の検出器、及び第2の検出器29、より具体的には少なくとも3つの位置30、31及び32間で測定構成を移動させるように構成されうる。第1の位置30は透過性較正位置であってよく、第2の位置31は測定位置であってよく、第3の位置32は反射率較正位置であってよい。少なくとも3つの位置30、31、及び32は、自由スパン位置であってよい。一例として、透過性較正位置は開位置であってよい。測定位置は、特に2つの案内ローラ間の自由スパン位置であってよい。通常、例えば少なくとも5、及び特に6、7,8、9又は10等の1を超える測定位置が設けられる。幾つかの実施形態によれば、反射率基準要素33は、反射率較正位置に設けられうる。反射率基準要素33は、周知の反射基準を提供しうる。一例として、反射率基準要素33は、シリコン(Si)を含みうる、又はシリコン(Si)であってよい。
[0055]一例として、透過性の測定及び反射率の測定の較正は、自由スパン位置において実施されうる。球構造、第1の検出器(反射率センサ)、及び第2の検出器(透過性センサ)は、同期して移動するように、移動可能な直線状の位置決めステージに装着されうる。透過性の較正において、検出器(センサ)は100%−較正のために透過性較正位置へ移動する。透過性較正位置は、開位置であってよい。反射性の較正において、検出器(センサ)は、周知の反射基準(例えばSi)が提供される反射率較正位置へ移動する。通常、検出器は、駆動機構としても称されうる搬送装置で較正位置へ移動しうる。幾つかの実施形態では、測定位置は例えば生産の連続稼働中に変更されうる。
[0056]上述したように、幾つかの実施形態では、装置40は基板15外の2つの基準位置を用いうる。ある位置において、反射率は例えば較正されたアルミニウム製ミラー又は研磨されたシリコン表面等の周知の基準によって較正され得、透過率は他の位置において、球構造21と第2の検出器29との間に何もない状態で較正されうる。反射率及び透過性の較正は、例えばドリフト(drift)を補正するために基板15外の較正位置で周期的に繰り返されうる。これは、例えば数時間の間続く長いコーティングの連続運転の一態様であってよい。
[0057]図5は、本明細書に記載の実施形態に係る基板上の材料を処理するための更に別の装置を示す概略図である。
[0058]装置は、真空チャンバ41、測定構成20、及び基板支持体を含む。基板支持体は、基板15を支持するように構成される。基板は、例えばプラスチック膜、ウェブ、薄いフレキシブルガラス又はフォイル等のフレキシブル基板であってよい。幾つかの実施形態では、基板支持体は少なくとも第1のローラ12と第2のローラ13を含み得、具体的にはコーティング度ドラム11、第1のローラ12及び第2のローラ13を含みうる。通常、基板15は、コーティングドラム11、第1のローラ12及び第2のローラ13によって運ばれ送られる。
[0059]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられうる幾つかの実施形態によれば、第1のローラ12と第2のローラ13は、基板15、特にフレキシブル基板を搬送するために、第1のローラ12と第2のローラ13との間に形成された隙間と平行に配置されうる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられうる通常の実施形態によれば、特に基板15及び/又は基板15上で処理される材料の一又は複数の光学特性を測定している間に、第1のローラ12と第2のローラ13との間の一領域に少なくとも球構造が位置決めされる。幾つかの実施形態では、測定構成20、特に球構造、第1の検出器及び第2の検出器が、第1のローラ12と第2のローラ13との間の位置に設けられる。第1のローラ12と第2のローラ13との間の位置は、「自由スパン位置」とも称されうる。第1のローラ12と第2のローラ13との間の位置又はエリアは、第1のローラ12と第2のローラ13との間の隙間における、又は隙間近辺の位置に対応しうる。
[0060]図5に示す測定構成20は、図2〜4を参照しながら上述した測定構成のうちのいずれかの測定構成として構成されうる。
[0061]幾つかの実施形態によれば、真空環境内の測定構成の直列工程において、測定構成の提供が得られうる。一例として、装置、特に測定構成の機械要素及び/又は電子要素は、真空互換性を持つように構成されうる。
[0062]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられうる幾つかの実施形態によれば、測定構成は、冷却装置(図示せず)を更に含む。冷却装置は、例えば球構造等の測定構成の要素の少なくとも幾つかの要素を冷却するように構成されうる。測定構成の例えば電子要素の温度は、測定の安定性及び正確さに対して考慮すべき一態様でありうる。電子要素の温度は、冷却装置によって安定化されうる。幾つかの実施形態によれば、冷却装置は水冷を利用する。水冷チューブは、貫通フレキシブルホースであってよい。このフレキシブルホース内部に雰囲気が供給されうる。これにより、水回路のプラスチックチューブ内に漏れがあった場合に、真空チャンバ41の中に直接漏れた水がいかないようにすることができる。
[0063]本開示の一態様によれば、基板上で材料を処理するための装置が提供される。本装置は、真空チャンバと、基板上で処理される材料の反射率及び透過性のうちの少なくとも1つを測定するように構成され、真空チャンバに位置づけされた少なくとも1つの球構造を含む測定構成と、真空チャンバ内の測定位置と少なくとも1つの較正位置との間で少なくとも球構造を移動させるように構成された搬送装置とを含む。通常の実行形態では、装置と、特に測定構成が、上述した測定構成のうちのいずれかの測定構成として構成されうる。
[0064]図6及び7は、例えば基板上で処理される又はコーティングされる材料の厚さ分布を評価するための測定位置を示す概略図である。
[0065]図6及び7は、測定構成のスキャンモードを示す図である。測定構成は、反射率/透過性(R/T)ヘッドとも称されうる。図6に、基板15が移動しない、基板15上で処理される、又は基板15上にコーティングされる材料の厚さ分布を評価するための静的測定を示す。スキャン位置は参照番号50で示され、スキャン方向は参照番号51で示される。スキャン位置50は、図3及び4を参照しながら上述した第2の位置に対応しうる。図7に、基板15が搬送方向52に移動している、基板15上で処理される又はコーティングされる材料の厚さ分布を評価するための動的測定を示す。スキャン位置は参照番号50で示され、スキャン方向は参照番号51で示される。スキャン位置50は、図3及び4を参照しながら上述した第2の位置に対応しうる。
[0066]図8は、本明細書に記載の実施形態による装置を用いて、基板及び/又は基板上で処理される材料の一又は複数の光学特性を測定するための方法100を示すフロー図である。
[0067]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられうる幾つかの実施形態によれば、処理装置を用いて、基板及び/又は基板上で処理される材料の一又は複数の光学特性を測定するための方法100が提供されている。処理装置は真空チャンバを含み、上述した装置のうちのいずれかの装置として構成されうる。本方法は、真空チャンバに位置づけされている少なくとも1つの球構造を有する測定構成を使用して、一又は複数の光学特性を測定することを含む。
[0068]幾つかの実施形態では、方法100は、少なくとも球構造を真空チャンバの第1の較正位置、具体的には反射率較正位置(ブロック101)へ移動させることと、測定構成を較正すること(102)とを含みうる。通常の実行形態では、方法100は、少なくとも球構造を真空チャンバの第2の較正位置、具体的には透過性較正位置(ブロック103)へ移動させることと、測定構成を較正すること(104)とを含みうる。
[0069]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられうる幾つかの実施形態によれば、第1の較正位置(ブロック101及び102)における較正、及び第2の較正位置(ブロック103及び104)における較正のうちの少なくとも1つは周期的に、又は定期的に繰り返される。一例として、較正は、処理サイクルの後、処理サイクルの間等に所定の時間間隔で繰り返されうる。反射率及び透過性の較正は、例えばドリフトを補正するために較正位置で周期的に繰り返されうる。これは例えば、数時間続く長いコーティングの連続運転の一態様であってよい。
[0070]本明細書に記載の実施形態によれば、処理装置を用いて基板及び/又は基板上で処理される材料の一又は複数の光学特性を測定するための方法は、大面積基板を処理するために装置の対応する構成要素と連通しているCPU、メモリ、ユーザインターフェース、及び入出力手段を有しうるコンピュータプログラム、ソフトウェア、コンピュータソフトウェア製品及び相関コントローラを用いて行われ得る。
[0071]本開示は、真空チャンバ内の球構造を、例えば2つのローラ間のプラスチック膜等の基板の自由スパン位置における反射率及び/又は透過性の測定に使用する。幾つかの実施形態によれば、反射率及び透過性の測定は同じ位置で実施されうる。膜の表面が平坦でない場合でも、反射した光はほぼ完全に球構造に収集される。幾つかの実施形態によれば、基板の幅に沿った任意の選択位置で測定することを可能にするために、本装置の測定構成は、例えばモータ駆動の直線状の位置決めステージ上に据付けられうる。本明細書に記載の実施形態に係る装置が透過率の検出器と組み合わされることにより、例えばコーティング膜等の基板上で処理される材料の既定位置における反射性及び透過性の測定が可能になる。特に反射率の測定は、基板平面の変化(皺)(例えば±5mm)に対して鈍感である。
[0072]上述したように、本開示の装置により、例えば基板を処理している間にユーザが定めた位置で反射性及び透過性を同時に測定することが可能になる。具体的には、透過性及び反射性の測定は同じ位置、例えば2つの連結軸を有する1つの直線状の位置決めステージのみで実施可能である。球構造を使用することにより、反射率の測定精度の改善が得られる。具体的には、図1を参照して上述したように、黒ずんだローラの反射率の干渉による反射率のずれが起こらない。本装置により、プロセスを導入している間の機械の設定時間の縮小が得られ、測定サンプルを切断することなく直列で、又はその場で均一性が測定されうる。プロセス導入時間の縮小が達成されうる。例えば、約30%〜50%のプロセス導入時間の縮小が可能である。測定構成を用いて信頼性のあるスペクトルデータが取得可能であることにより、層厚の値を更に評価するための多層システムの再計算が可能である。本装置は例えば、反射防止、不可視ITO、窓用フィルム等の光学層システムの検査に使用されうる。ウェブの全幅にわたる、顧客の光学上の品質管理が可能になりうる。幾つかの実施形態によれば、本装置、特に測定構成は電磁干渉(EMI)適合性を有し、例えばスパッタ堆積源(DC、MF、RF)によって誘発される強い電場に対して耐性がありうる。
[0073]以上の記述は、本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施形態及び更なる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲によって決定される。
[0009]本開示はまた、本開示に記載の方法を実施するための装置を対象とし、記載された各方法ステップを実施するための装置部分を含む。これらの方法ステップは、ハードウェア構成要素、適当なソフトウェアによってプログラムされたコンピュータを手段として、又はこれらの2つの任意の組合せによって、あるいは任意の他の方式で実行することができる。更に、本開示は、記載の装置を作動させる方法も対象とする。本方法は、装置のあらゆる機能を実施するための方法ステップを含む。
[0011]本開示の上記の特徴を詳細に理解することができるように、実施形態を参照することによって、上で簡単に概説した本開示のより具体的な説明を得ることができる。添付の図面は、本開示の実施形態に関し、以下において説明される。図面に典型的な実施形態を示し、以下に詳細を説明する。
[0020]本明細書で使用する「基板」という語は、具体的にはプラスチック膜、ウェブ又はフォイル等のフレキシブル基板を包含するものとする。しかしながら、本開示はこれらに限定されず、「基板」という語はまた例えばウェハ、サファイア等の透明結晶の片、又はガラス板等の非フレキシブル基板も包含しうる。幾つかの実施形態によれば、基板は透明基板であってよい。本明細書で使用する「透明な」という用語は具体的には、比較的散乱が少ない状態で光が透過し、その結果、例えば、構造を通して透過される光を実質的に明瞭に見ることができるような構造性能を含むものとする。通常、基板はポリエチレンテレフタレート(PET)を含む。
[0024]図2に概略的に示したが、本明細書に記載の実施形態に係る測定構成20は、基板15及び/又は基板15上で処理された材料の一又は複数の光学特性、具体的には反射率及び/又は透過性を測定するように構成されている。本願全体で使用される「反射率」という語は、表面に入射する総放射束が反射する割合を指すものである。表面は、基板上で処理される材料の表面、基板の前面、及び基板の背面のうちの少なくとも1つを含みうる。「反射率」と「反射性」という語が同意語として使用されうることを注記したい。本願全体で使用される「透過性」という語は、例えば基板上で処理される材料又は層を有する基板を通過する入射光(電磁放射線)の割合を指すものである。「透過性」及び「透過率」という語は、同義語として使用されうる。
[0042]本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせられうる幾つかの実施形態によれば、第1のデータ処理又はデータ分析ユニット25と第1の検出装置24との間の接続と、第2のデータ処理又はデータ分析ユニット28と第2の検出装置27との間の接続のうちの少なくとも1つは、光ファイバー接続を含みうる、又は光ファイバー接続であってよい。一例として、測定構成20が、例えば測定位置を変更するために真空チャンバ内で移動した時に、第1のデータ処理又はデータ分析ユニット25及び第2のデータ分析又はデータ分析ユニット28と第1の検出装置24及び第2の検出装置27は同時に移動するため、光ファイバー接続は移動しない。ファイバーが曲ると光ガラスファイバーの光強度が変化しうるため、これにより測定精度が改善しうる。幾つかの実行形態では、光測定は、例えば基準チャネルを使用して光源強度を追加測定することによって安定しうる。
[0054]通常の実行形態では、搬送装置は少なくとも球構造21を反射率較正位置及び/又は透過性較正位置へ移動するように構成されている。反射率較正位置及び透過性較正位置はそれぞれ、反射率基準位置及び透過性基準位置とも称されうる。一例として、搬送装置は、球構造21、具体的には球構造21、第1の検出器、及び第2の検出器29、より具体的には少なくとも3つの位置30、31及び32間で測定構成を移動させるように構成されうる。第1の位置30は透過性較正位置であってよく、第2の位置31は測定位置であってよく、第3の位置32は反射率較正位置であってよい。少なくとも3つの位置30、31、及び32は、自由スパン位置であってよい。一例として、透過性較正位置は開位置であってよい。測定位置は、特に2つの案内ローラ間の自由スパン位置であってよい。通常、例えば少なくとも5、及び特に6、7,8、9又は10等の1を超える測定位置が設けられる。幾つかの実施形態によれば、反射率基準要素33は、反射率較正位置に設けられうる。反射率基準要素33は、周知の反射基準を提供しうる。一例として、反射率基準要素33は、シリコン(Si)を含みうる、又はシリコン(Si)であってよい。
[0068]幾つかの実施形態では、方法100は、少なくとも球構造を真空チャンバの第1の較正位置、具体的には反射率較正位置(ブロック101)へ移動させることと、測定構成を較正すること(ブロック102)とを含みうる。通常の実行形態では、方法100は、少なくとも球構造を真空チャンバの第2の較正位置、具体的には透過性較正位置(ブロック103)へ移動させることと、測定構成を較正すること(ブロック104)とを含みうる。