配列
本発明における使用のための触媒が、以下に列挙される配列番号に関連して本明細書に記載される。配列は、配列表に開示される。
配列番号1 触媒アミノ酸配列(ENE−101アミノ酸配列)
配列番号2 触媒をコードする(配列番号1をコードする)核酸配列
配列番号3 触媒をコードする(配列番号1をコードする)コドン最適化された核酸配列
配列番号4 T7タグを含む、触媒アミノ酸配列
配列番号5 Hisタグ及びT7タグを含む、触媒アミノ酸配列
配列番号6 Hisタグ及びT7タグを含む触媒をコードする(配列番号5をコードする)核酸配列
配列番号7 触媒アミノ酸配列(ENE−102アミノ酸配列)
配列番号8 触媒をコードする(配列番号7をコードする)核酸配列
配列番号9 触媒アミノ酸配列(ENE−103アミノ酸配列)
配列番号10 触媒をコードする(配列番号9をコードする)核酸配列
発明の詳細な説明
本発明は、基質反応における触媒の使用を提供する。以下にさらに詳細に記載されるとおり、触媒は、活性型エチレン基の還元のような還元反応における使用に好適である。触媒は、反応生成物の、高収率の、例えば、90%超の変換、及び/又は立体選択性の高い、例えば、99%超のee、生成を可能とする。触媒は、高い基質濃度、例えば、50、100及び300mMにおいて使用されうる。実際に、発明者らは、触媒が750及び1,500mMもの高い基質濃度において使用されうることを確立した。
本発明は、還元反応を触媒するための触媒の使用であって、基質濃度は高い、使用を提供する。本発明は、還元反応を触媒するための触媒の使用であって、基質濃度は高く、触媒は、図18に示すアミノ酸配列のうちの1つと少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである、使用を提供する。
本発明は、還元触媒としての触媒の使用であって、触媒は、配列番号1と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである、使用を提供する。本発明は、還元触媒としての触媒の使用であって、触媒は、配列番号7と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである、使用を提供する。本発明は、還元触媒としての触媒の使用であって、触媒は、配列番号9と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである、使用を提供する。該使用は、水素化触媒としての使用でありうる。
本発明は、還元触媒としての触媒の使用であって、触媒は、配列番号1と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである、使用を提供する。本発明は、還元触媒としての触媒の使用であって、触媒は、配列番号7と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである、使用を提供する。本発明は、還元触媒としての触媒の使用であって、触媒は、配列番号9と少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである、使用を提供する。該使用は、水素化触媒としての使用でありうる。
本発明は、還元触媒としての触媒の使用であって、触媒は、配列番号1のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるポリペプチドである、使用を提供する。本発明は、還元触媒としての触媒の使用であって、触媒は、配列番号7のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるポリペプチドである、使用を提供する。本発明は、還元触媒としての触媒の使用であって、触媒は、配列番号9のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるポリペプチドである、使用を提供する。該使用は、水素化触媒としての使用でありうる。
本発明者らは、本明細書に記載の触媒が、高い基質濃度の存在下で、反応を触媒できることを示した。高い基質又は生成物濃度による酵素活性の阻害は、酵素法のスケールアップにおける大きな問題であることが多い。したがって、本明細書に開示された触媒、使用及び方法は、方法のスケールアップのために有益である。
本発明は、還元反応を触媒するための本明細書に記載の触媒の使用であって、基質濃度は高い、使用を提供する。例えば、本発明は、還元反応を触媒するための触媒の使用であって、基質濃度は、少なくとも10mM、少なくとも20mM、少なくとも50mM、少なくとも100mM、少なくとも200mM、少なくとも300mM、少なくとも500mM又は少なくとも1500mMでありうる、使用を提供する。触媒は、本明細書に記載の触媒であり、例えば、触媒は、配列番号1、7又は9のいずれか1つと少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号1、7又は9のいずれか1つと少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドでありうる。
一実施態様において、本発明は、還元反応を触媒するための触媒の使用であって、基質濃度は、少なくとも50mMであり、触媒は、配列番号1、7又は9のいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである、使用を提供する。
一実施態様において、本発明は、還元反応を触媒するための触媒の使用であって、基質濃度は、少なくとも100mMであり、触媒は、配列番号1、7又は9のいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである、使用を提供する。
一実施態様において、本発明は、還元反応を触媒するための触媒の使用であって、基質濃度は、少なくとも50mMであり、触媒は、配列番号1、7又は9のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるポリペプチドである、使用を提供する。
一実施態様において、本発明は、還元反応を触媒するための触媒の使用であって、基質濃度は、少なくとも100mMであり、触媒は、配列番号1、7又は9のアミノ酸配列を含むか又はそれからなるポリペプチドである、使用を提供する。
触媒−構造
触媒は、ポリペプチドである。ポリペプチド触媒は、酵素として知られ、したがって、触媒は酵素である。酵素は、生体触媒としても知られている。より具体的には、触媒はレダクターゼである。特に、触媒は、2−シクロ−ヘキセン−1−オン又は2−シクロペンテン−1−オン構成要素を有する基質を還元することができるレダクターゼである。触媒は、補助因子としてNADHを用いることができる。触媒は、フラビン依存性酵素である。
触媒は、「旧黄色酵素」として知られる群に属する酵素でありうる。国際生化学分子生物学連合の命名委員会(NC−IUBMB)の命名法を用いて、該触媒は、クラス1(オキシドレダクターゼ)に属する酵素である。触媒は、EC1.3(この群は、ドナーのCH−CH基に作用するオキシドレダクターゼを含む)に属する酵素でありうる。触媒は、EC1.3.1(この群は、補助因子としてNADH又はNADPHを使用する)に属する酵素でありうる。触媒は、EC1.3.1.42(この群は、12−オキソフィトジエノエートレダクターゼを含む)に属する酵素でありうる。
触媒は、組換えポリペプチドありうる、すなわち、触媒は、以下により詳細に議論されるように、組換え核酸配列から発現されたものでありうる。触媒は、本明細書に提供される核酸から発現されたものでありうる。触媒は、配列番号3に示す核酸配列から発現されたものでありうる。
或いは、触媒は、天然のポリペプチドでありうる。触媒は、細菌中の内因性の(自然の)遺伝子から発現されるレダクターゼでありうる。
触媒は、フィトバクテリウムのアシドボラクス・アヴェナ(Acidovorax avenae)により発現された酵素でありうる。触媒は、A.アヴェナにより発現されたレダクターゼでありうる。具体的に、触媒は、ATCC 19860として寄託されたA.アヴェナにより発現されたレダクターゼでありうる(Lucas等、2011)。受け入れ番号F0Q098(UniPortデータベースのバージョン1)により同定されるポリペプチドは、受け入れ番号ADX43981.1(バージョン1、EMBL−EBI European Nucleotide Archive、Lucas等、2011)により同定されるA.アヴェナ核酸配列によりコードされるレダクターゼである。
配列番号1に示すアミノ酸配列は、F0Q098のアミノ酸配列である。配列番号2に示す核酸配列は、ADX43981.1の核酸配列である。
触媒は、クロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)により発現された酵素でありうる。触媒は、C.ビオラセウムにより発現されたレダクターゼでありうる。具体的に、触媒は、ATCC12472として寄託されたC.ビオラセウムにより発現されたレダクターゼでありうる。受け入れ番号Q7NSC5により同定されるポリペプチドは、C.ビオラセウムによりコードされるレダクターゼである(2003年12月15日に発売されたバージョン1、Uniprot)。
配列番号7に示すアミノ酸配列は、Q7NSC5のアミノ酸配列である。
触媒は、バチルス種(Bacillus species)により発現された酵素でありうる。触媒は、バチルス種により発現されたレダクターゼでありうる。具体的に、触媒は、バチルス種NRRL B−14911により発現されたレダクターゼでありうる。受け入れ番号Q2B6D5により同定されるポリペプチドは、バチルス種NRRL B−14911によりコードされたレダクターゼである(2006年4月4日に発売されたバージョン1、Uniprot)。
配列番号9に示すアミノ酸配列は、Q2B6D5のアミノ酸配列である。
図18は、配列番号1、配列番号7及び配列番号9のアラインメントを示す。図18及び本願のその他の場所において、配列番号1のアミノ酸配列は、ENE−101と呼ばれ、配列番号7のアミノ酸配列は、ENE−102と呼ばれ、配列番号9のアミノ酸配列は、ENE−103と呼ばれる。
触媒は、配列番号1と少なくとも約50%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号1と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号1に100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであることができ、すなわち、触媒は、配列番号1に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドでありうる。
触媒は、配列番号7と少なくとも約50%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号7と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号7と100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであることができ、すなわち、触媒は、配列番号7に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドでありうる。
触媒は、配列番号9と少なくとも約50%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号9と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号9と100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであることができ、すなわち、触媒は、配列番号9に示すアミノ酸配列を含むポリペプチドでありうる。
触媒は、配列番号1と少なくとも約50%の配列同一性を有するアミノ酸配列から本質的になるポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号1と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列から本質的になるポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号1と100%の配列同一性を有するアミノ酸配列から本質的になるポリペプチドであることができ、すなわち、触媒は、配列番号1に示すアミノ酸配列から本質的になるポリペプチドでありうる。
触媒は、配列番号7と少なくとも約50%の配列同一性を有するアミノ酸配列から本質的になるポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号7と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列から本質的になるポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号7と100%の配列同一性を有するアミノ酸配列から本質的になるポリペプチドであることができ、すなわち、触媒は、配列番号7に示すアミノ酸配列から本質的になるポリペプチドでありうる。
触媒は、配列番号9と少なくとも約50%の配列同一性を有するアミノ酸配列から本質的になるポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号9と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列から本質的になるポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号9と100%の配列同一性を有するアミノ酸配列から本質的になるポリペプチドであることができ、すなわち、触媒は、配列番号9に示すアミノ酸配列から本質的になるポリペプチドでありうる。
触媒は、配列番号1と少なくとも約50%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号1と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号1と100%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドであることができ、すなわち、触媒は、配列番号1に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドでありうる。
触媒は、配列番号7と少なくとも約50%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号7と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号7と100%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドであることができ、すなわち、触媒は、配列番号7に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドでありうる。
触媒は、配列番号9と少なくとも約50%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号9と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号9と100%の配列同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドであることができ、すなわち、触媒は、配列番号9に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドでありうる。
触媒は、配列番号1と少なくとも約50%の類似性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドでありうる。配列類似性は、配列相同性としても知られている。触媒は、配列番号1と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%の類似性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号1と100%の類似性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであることができる。
触媒は、配列番号7と少なくとも約50%の類似性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドでありうる。配列類似性は、配列相同性としても知られている。触媒は、配列番号7と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%の類似性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号7と100%の類似性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであることができる。
触媒は、配列番号9と少なくとも約50%の類似性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドでありうる。配列類似性は、配列相同性としても知られている。触媒は、配列番号9と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%の類似性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号9と100%の類似性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドであることができる。
触媒は、配列番号1と少なくとも約50%の配列類似性を有するアミノ酸配列から本質的になるポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号1と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%の配列類似性を有するアミノ酸配列から本質的になるポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号1と100%の配列類似性を有するアミノ酸配列から本質的になるポリペプチドであることができる。
触媒は、配列番号7と少なくとも約50%の配列類似性を有するアミノ酸配列から本質的になるポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号7と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%の配列類似性を有するアミノ酸配列から本質的になるポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号7と100%の配列類似性を有するアミノ酸配列から本質的になるポリペプチドであることができる。
触媒は、配列番号9と少なくとも約50%の配列類似性を有するアミノ酸配列から本質的になるポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号9と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%の配列類似性を有するアミノ酸配列から本質的になるポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号9と100%の配列類似性を有するアミノ酸配列から本質的になるポリペプチドであることができる。
触媒は、配列番号1と少なくとも約50%の配列類似性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号1と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%の配列類似性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号1と100%の配列類似性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドであることができる。
触媒は、配列番号7と少なくとも約50%の配列類似性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号7と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%の配列類似性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号7と100%の配列類似性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドであることができる。
触媒は、配列番号9と少なくとも約50%の配列類似性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号9と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%又は少なくとも約99%の配列類似性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号9と100%の配列類似性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドであることができる。
触媒は、上で示した配列番号1、配列番号7又は配列番号9とある一定の配列同一性及び/又は配列類似性パーセンテージを有するアミノ酸配列を含むポリペプチドでありうる。該ポリペプチドは、1つ又は複数の追加のアミノ酸を含みうる。例えば、該ポリペプチドは、さらにアフィニティータグを含みうる。アフィニティータグは、触媒を精製するために有用でありうる。そのようなアフィニティータグは、本分野で周知である。例えば、アフィニティータグは、ニッケルカラムを用いて触媒を精製するためのポリ−ヒスチジンタグ(「Hisタグ」)であることができ、それは、抗T7タグ抗体を含むカラムを用いてタンパク質を精製するためのT7エピトープタグ(T7タグ)であることができるか、又はそれは、グルタチオンカラムを用いて触媒を精製するためのグルタチオン−S−トランスフェラーゼタグ(「GSTタグ」)であることができる。アフィニティータグは、ポリペプチドのN末端又はC末端に配置されてもよい。或いは又はさらに、ポリペプチドは、N末端にリーダー配列をさらに含みうる。リーダー配列は、組換え発現系におけるポリペプチドの分泌及び/又は細胞内標的化を方向づけるために有用でありうる。リーダー配列は、シグナルペプチドとしても知られており、本分野で周知である。或いは又はさらに、ポリペプチドは、蛍光標識のような標識をさらに含みうる。
触媒は、配列番号1、配列番号7又は配列番号9プラス上で示した1つ又は複数の追加のアミノ酸にある一定の配列同一性及び/又は配列類似性パーセンテージを有するアミノ酸配列を含むポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号1、配列番号7又は配列番号9に示すアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドでありうる。具体的に、触媒は、配列番号4に示すポリペプチドのような、配列番号1に示すアミノ酸配列プラスN末端T7タグからなるアミノ酸配列を含むポリペプチドでありうる。触媒は、配列番号5に示すポリペプチドのような、配列番号1に示すアミノ酸配列プラスN末端Hisタグ及びT7タグからなるアミノ酸配列を含むポリペプチドでありうる。
触媒−機能
触媒は、レダクターゼである。触媒は、本明細書に定義される基質の還元を触媒することができる。具体的に、触媒は、不飽和炭素−炭素二重結合を還元することができる。特に、触媒は、以下の反応スキーム:
(式中、
−R
1から−R
4のそれぞれは、以下にさらに詳細に定義されるとおりである。)
に示す反応を、例えば、補助基質の存在下で触媒することが可能な場合もある。
本発明のある一定の実施態様において、触媒は、以下の反応スキーム:
(式中、
−R
1から−R
4のそれぞれは、以下にさらに詳細に定義されるとおりである。)
に示す反応を、例えば、補助基質の存在下で触媒することが可能な場合もある。
触媒の活性は、測光法で、例えば、補助因子としてのNADHの存在下で反応を実行すること、及びNADHの酸化によって引き起こされた、340nMにおける吸収の減少を測定することによって、測定することができる。
一実施態様において、本発明の触媒は、NADH補助因子の存在下で基質の還元における活性を有する酵素である。
酵素の量は、酵素単位を用いてその活性を単位として表することができる。1酵素単位(U)は、1分あたり1μモルの基質を変換する酵素の量である。典型的に、触媒調製物中に存在する酵素単位数は、参照基質を用いてアッセイされて、例えば、U/mgの触媒調製物を提供する。本発明の触媒の1Uは、pH7、22℃において1分あたり1μモルのNADHからNADを触媒する触媒の量として定義されることができ、例えばここで、参照基質は、1−オクテン−3−オンである。参照基質は、アッセイ混合物中に0.98mMの濃度で存在しうる。NADHからNADへの反応は、当業者に知られた技術を使用し、340nmの吸収における変化を用いてモニターされうる。
酵素単位で表した触媒の活性は、触媒調製物中に存在する酵素の量を表すために使用されることができ、これは、以下に記載される比較的未精製の形態の触媒を提供しうる。
(カタールは、SI基本単位を用いて酵素活性を表し、1カタールは、1秒あたり1モルの基質を変換する酵素の量であり、したがって、1Uは、1/60μカタールに等しい。)
例えば、触媒調製物中に存在する酵素単位数は、以下に示されるアッセイ手順に従って決定されうる。
980μLの溶液A(0.1Mのリン酸カリウムバッファー、pH7.0中、1mMの1−オクテン−3−オン溶液)を含有する2つのキュベットが、少なくとも5分間、22℃でインキュベートされて、試験キュベット及びブランクキュベットを提供する。試験キュベットにおいて、反応は、10μLの溶液B(H2O中、15mMのNADH)及び10μLの溶液C(H2O中、酵素(例えば、凍結乾燥酵素)溶液;1mLのH2Oあたり、0.8mgの触媒調製物)を添加すること、及び徹底的に混合することによって開始される。10μLの溶液B及び10μLのH2Oがブランクキュベットに添加され、徹底的に混合される。22℃における1分間にわたる340nmの吸収の減少が決定される。(減少が直線的でない場合、酵素溶液(溶液C)は、H2Oで希釈されるべきである。)ΔA340分−1が、試験キュベット及びブランクキュベットの両方についての最大線形速度を用いて決定される。触媒調製物のU/mgで表した酵素活性が、以下の式を用いて決定される。
(ΔA340分−1試験−ΔA340分−1ブランク)/(6.2×0.01×0.8)
ここで、6.2×103Lモル−1cm−1は、NADHについての340nmにおけるモル吸光計数であり、0.01は、mLで表した酵素溶液の体積であり、0.8は、mg/mLで表した触媒調製物の質量で(かつ、溶液Cの任意の希釈倍率に基づいて適合可能で)ある。
本明細書に開示された触媒はレダクターゼである。それらは、3−メチル(2−シクロへキセン)−1−オン(表1のエントリー4から6に示される基質)の還元を触媒して、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上又は99.9%以上のee値を有する生成物を生成する。ここで、触媒は、本明細書に記載の実験手順1又は実験手順2に示される方法において使用されうる。
配列番号1と少なくとも50%同一であるアミノ酸配列を含み、配列番号1のアミノ酸配列に対する1つ又は複数のアミノ酸の付加、置換及び/又は欠失を含むポリペプチドである触媒は、3−メチル(2−シクロへキセン)−1−オン(表1のエントリー4から6に示される基質)の還元を触媒して、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上又は99.9%以上のee値を有する生成物を生成しうる。ここで、触媒は、本明細書に記載の実験手順1又は実験手順2に示される方法において使用されうる。
配列番号7と少なくとも50%同一であるアミノ酸配列を含み、配列番号7のアミノ酸配列に対する1つ又は複数のアミノ酸の付加、置換及び/又は欠失を含むポリペプチドである触媒は、3−メチル(2−シクロへキセン)−1−オン(表1のエントリー4から6に示される基質)の還元を触媒して、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上又は99.9%以上のee値を有する生成物を生成しうる。ここで、触媒は、本明細書に記載の実験手順1又は実験手順2に示される方法において使用されうる。
本明細書に記載の触媒はレダクターゼである。それらは、2−メチル(2−シクロペンテン)−1−オン(表1のエントリー7から9に示される基質)の還元を触媒して、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上又は99.9%以上の変換率を有する生成物を生じさせうる。ここで、触媒は、実験セクションに記載の実験手順1又は実験手順2に示される方法において使用されうる。
配列番号1と少なくとも50%同一であるアミノ酸配列を含み、配列番号1のアミノ酸配列に対する1つ又は複数のアミノ酸の付加、置換及び/又は欠失を含むポリペプチドである触媒は、2−メチル(2−シクロペンテン)−1−オン(表1のエントリー7から9に示される基質)の還元を触媒して、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上又は99.9%以上の変換率を有する生成物を生じさせうる。ここで、触媒は、実験セクションに記載の実験手順1又は2に示される方法において使用されうる。
配列番号7と少なくとも50%同一であるアミノ酸配列を含み、配列番号7のアミノ酸配列に対する1つ又は複数のアミノ酸の付加、置換及び/又は欠失を含むポリペプチドである触媒は、2−メチル(2−シクロペンテン)−1−オン(表1のエントリー7から9に示される基質)の還元を触媒して、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上又は99.9%以上の変換率を有する生成物を生じさせうる。ここで、触媒は、実験セクションに記載の実験手順1又は実験手順2に示される方法において使用されうる。
配列番号9と少なくとも50%同一であるアミノ酸配列を含み、配列番号9のアミノ酸配列に対する1つ又は複数のアミノ酸の付加、置換及び/又は欠失を含むポリペプチドである触媒は、2−メチル(2−シクロペンテン)−1−オン(表1のエントリー7から9に示される基質)の還元を触媒して、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上又は99.9%以上の変換率を有する生成物を生じさせうる。ここで、触媒は、実験セクションに記載の実験手順1又は実験手順2に示される方法において使用されうる。
本明細書に記載の触媒は、高い基質許容性(substrate tolerance)を有するレダクターゼである。それらは、基質濃度が50mMである場合に、2−メチル(2−シクロペンテン)−1−オン(表1のエントリー7から9に示される基質)の還元を触媒して、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上又は99.9%以上の変換率を有する生成物を生じさせうる。ここで、触媒は、実験セクションに記載の実験手順1又は実験手順2に示される方法において使用されうる。反応時間は18時間でありうる。触媒は、以下に示される「試験反応条件」において、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上又は99.9%以上の変換率を有する生成物を生じさせることができうる。
本明細書に記載の触媒は、高い基質許容性を有するレダクターゼである。それらは、基質濃度が100mMである場合に、2−メチル(2−シクロペンテン)−1−オン(表1のエントリー7から9に示される基質)の還元を触媒して、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上又は99.9%以上の変換率を有する生成物を生じさせうる。ここで、触媒は、実験セクションに記載の実験手順1又は実験手順2に示される方法において使用されうる。反応時間は18時間でありうる。触媒は、以下に示される「試験反応条件」において、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上又は99.9%以上の変換率を有する生成物を生じさせることができうる。
本明細書に記載の触媒は、高い基質許容性を有するレダクターゼである。それらは、基質濃度が300mMである場合に、2−メチル(2−シクロペンテン)−1−オン(表1のエントリー7から9に示される基質)の還元を触媒して、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上又は99.9%以上の変換率を有する生成物を生じさせうる。ここで、触媒は、実験セクションに記載の実験手順1又は実験手順2に示される方法において使用されうる。反応時間は18時間でありうる。触媒は、以下に示される「試験反応条件」において、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上又は99.9%以上の変換率を有する生成物を生じさせることができうる。
「試験反応条件」は、35℃において、250mMのリン酸バッファー、pH7、1.1mMのNAD+、30mMのD−グルコース、10U/mLのGDHでありうる。反応時間は、3、6又は18時間でありうる。
当業者は、高い基質許容性を有し、したがって、本明細書に記載の使用及び方法のために好適な本開示の触媒を、高い基質許容性を有さない触媒から識別することができる。高い基質許容性を有する触媒は、上述の機能的能力を有する。対照的に、高い基質許容性を有さない触媒は、それらの機能的能力を有さない。高い基質許容性を有さない触媒は、基質濃度が50mMである場合に、2−メチル(2−シクロペンテン)−1−オン(表1のエントリー7から9に示される基質)の還元を触媒して、20%以下、10%以下、5%以下又は2%以下の変換率を有する生成物を生じさせうる。高い基質許容性を有さない触媒は、基質濃度が20mM以下である場合に、2−メチル(2−シクロペンテン)−1−オンの還元を触媒して、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上、又は99.9%以上の変換率を有する生成物を生じさせることができ、基質濃度が50mM以上である場合に、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、又は2%以下の変換率を有する生成物を生じさせることができる。高い基質許容性を有さない触媒は、基質濃度が20mM以下である場合に、2−メチル(2−シクロペンテン)−1−オンの還元を触媒して、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上、又は99.9%以上の変換率を有する生成物を生じさせることができ、基質濃度が300mM以上である場合に、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、又は2%以下の変換率を有する生成物を生じさせることができる。ここで、触媒は、実験セクションに記載の実験手順1又は2、あるいは上記「実験条件」に示される方法において使用されうる。反応時間は、18時間でありうる。
核酸
触媒をコードする核酸配列が本明細書中に提供される。核酸は、DNA又はRNAでありうる。核酸は、一本鎖又は二本鎖でありうる。触媒は、配列番号2に示される核酸配列によってコードされることができ、これは、A.アヴェナゲノム由来の核酸配列である(Lucas等、2011)。配列番号2の核酸配列は、配列番号1のアミノ酸配列をコードする。遺伝コードが縮重しているため(1つより多くのコドンが1つのアミノ酸をコードしうる)、配列番号2の核酸配列が変更されて、これも配列番号1のアミノ酸配列をコードするさらなる核酸配列を提供しうる。
触媒は、配列番号8に示される核酸配列によってコードされうる。配列番号8の核酸配列は、配列番号7のアミノ酸配列をコードする。遺伝コードが縮重しているため(1つより多くのコドンが1つのアミノ酸をコードしうる)、配列番号8の核酸配列が変更されて、これも配列番号7のアミノ酸配列をコードするさらなる核酸配列を提供しうる。
触媒は、配列番号10に示される核酸配列によってコードされうる。配列番号10の核酸配列は、配列番号9のアミノ酸配列をコードする。遺伝コードが縮重しているため(1つより多くのコドンが1つのアミノ酸をコードしうる)、配列番号10の核酸配列が変更されて、これも配列番号9のアミノ酸配列をコードするさらなる核酸配列を提供しうる。
触媒をコードする核酸配列は、宿主細胞中へ導入されて、触媒を発現する組換え宿主細胞を提供しうる。触媒を発現する宿主細胞を提供することによって、触媒が細胞中で提供されうる。触媒は、触媒を発現する宿主細胞を提供すること、触媒を宿主細胞中で発現させること、及び触媒を単離することによって、単離された形態で提供されうる。宿主細胞は、大腸菌(Escherichia coli)、枯草菌又はシュードモナス種(Pseudomonas species)のような原核細胞でありうる。宿主細胞は、真核細胞、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のような酵母細胞あるいはHeLa細胞又はCHO細胞のような哺乳動物細胞でありうる。
触媒をコードする核酸配列は、組換え宿主細胞中での発現のために最適化されうる。遺伝コードが生物間で変化しうる(コドン選択が生物間で変化しうる)ため、特定の宿主細胞中での所望のポリペプチドの発現は、宿主細胞のコドン選択に従ってポリペプチドをコードする核酸を変更することによって改善されうる。大腸菌のような宿主細胞中での触媒の改善された発現のために、A.アヴェナ核酸配列、配列番号2が変更されて配列番号3を提供した。遺伝子コードが縮重しているため、配列番号3の核酸配列は、変更されて、大腸菌のような宿主細胞中でも触媒をコードするさらなる核酸配列を提供しうる。コドン使用頻度が生物間で変化しうるため、配列番号2及び/又は配列番号3の核酸配列は、変更されて、他の宿主細胞中で触媒を発現するために好適なさらなる核酸を提供しうる。触媒が、配列番号1のアミノ酸配列の変異体でありうるため、配列番号1の変異体をコードする核酸配列は、宿主細胞中で触媒を発現するために好適でありうる。同様に、配列番号8及び配列番号10の核酸配列は、変更されて、他の宿主細胞中で触媒を発現するために好適なさらなる核酸を提供することができ、触媒が、配列番号7及び配列番号9のアミノ酸配列の変異体でありうるため、配列番号7又は配列番号9の変異体をコードする核酸配列は、宿主細胞中で触媒を発現するために好適でありうる。
触媒をコードする核酸配列は、配列番号3と少なくとも50%の同一性を有する核酸配列を含みうる。触媒をコードする核酸配列は、配列番号3と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の同一性を有する核酸配列を含みうる。触媒をコードする核酸配列は、配列番号3に100%の同一性を有する核酸配列を含みうる。触媒をコードする核酸配列は、配列番号3に示される核酸配列を含みうる。
触媒をコードする核酸配列は、配列番号8と少なくとも50%の同一性を有する核酸配列を含みうる。触媒をコードする核酸配列は、配列番号8と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の同一性を有する核酸配列を含みうる。触媒をコードする核酸配列は、配列番号8と100%の同一性を有する核酸配列を含みうる。触媒をコードする核酸配列は、配列番号8に示される核酸配列を含みうる。
触媒をコードする核酸配列は、配列番号10と少なくとも50%の同一性を有する核酸配列を含みうる。触媒をコードする核酸配列は、配列番号10と少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の同一性を有する核酸配列を含みうる。触媒をコードする核酸配列は、配列番号10と100%の同一性を有する核酸配列を含みうる。触媒をコードする核酸配列は、配列番号10に示される核酸配列を含みうる。
触媒をコードする核酸は、単離された及び/又は精製された形態、あるいはA.アヴェナゲノム中で配列番号2に隣接する核酸配列を含まないか又は実質的に含まないような、それが自然に結合される材料を含まないか又は実質的に含まない可能性がある。触媒をコードする核酸は、単離された及び/又は精製された形態、あるいはC.ビオラセウムゲノム中で配列番号8に隣接する核酸配列を含まないか又は実質的に含まないような、それが自然に結合される材料を含まないか又は実質的に含まない可能性がある。触媒をコードする核酸は、単離された及び/又は精製された形態、あるいはバチルス種ゲノム中で配列番号10に隣接する核酸配列を含まないか又は実質的に含まないような、それが自然に結合される材料を含まないか又は実質的に含まない可能性がある。
一般に、触媒をコードする核酸は、配列番号2又は配列番号3の改変により得られうる。配列番号2又は配列番号3を改変するために、部位特異的突然変異誘発のような組換え技術が使用されて、触媒をコードするさらなる核酸配列を提供しうる。そのようなさらなる核酸配列は、配列番号1の変異体をコードしうる。触媒をコードする核酸は、配列番号8の改変により得られうる。配列番号8を改変するために、部位特異的突然変異誘発のような組換え技術が使用されて、触媒をコードするさらなる核酸配列を提供しうる。そのようなさらなる核酸配列は、配列番号7の変異体をコードしうる。触媒をコードする核酸は、配列番号10の改変により得られうる。配列番号10を改変するために、部位特異的突然変異誘発のような組換え技術が使用されて、触媒をコードするさらなる核酸配列を提供しうる。そのようなさらなる核酸配列は、配列番号9の変異体をコードしうる。
本発明は、配列番号3に示される核酸配列を含む核酸を提供する。本発明は、配列番号3と少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又は少なくとも99%の同一性を有する核酸配列を含む、触媒をコードする核酸も提供する。本発明は、配列番号3と少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有する核酸配列を含む核酸であって、該核酸は、配列番号1と少なくとも50%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、該ポリペプチドはレダクターゼである、核酸を提供する。
本発明は、配列番号8に示される核酸配列を含む核酸を提供する。本発明は、配列番号8と少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又は少なくとも99%の同一性を有する核酸配列を含む、触媒をコードする核酸も提供する。本発明は、配列番号8と少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有する核酸配列を含む核酸であって、該核酸は、配列番号7と少なくとも50%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、該ポリペプチドはレダクターゼである、核酸を提供する。
本発明は、配列番号10に示される核酸配列を含む核酸を提供する。本発明は、配列番号10と少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%又は少なくとも99%の同一性を有する核酸配列を含む、触媒をコードする核酸も提供する。本発明は、配列番号10と少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有する核酸配列を含む核酸であって、該核酸は、配列番号9と少なくとも50%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、ポリペプチドはレダクターゼである、核酸を提供する。
触媒の生成のためのベクター、宿主細胞及び方法
触媒をコードする核酸は、複製可能なベクター中に組み込まれうる。ベクターは、適合性の宿主細胞中で核酸を複製するために使用されうる。よって、触媒をコードする核酸は、触媒をコードする核酸を複製可能なベクター中に導入すること、ベクターを適合性の宿主細胞中に導入すること、及びベクターの複製をもたらす条件下で宿主細胞を培養することによって生成することができる。
触媒をコードする核酸は、宿主細胞による触媒の発現を提供することのできる制御配列に作動可能に連結されうる。例えば、触媒をコードする核酸は、発現ベクター中にありうる。例えば、触媒をコードする核酸は、プラスミド又はクロモソーム中にありうる。用語「作動可能に連結された」は、記載された構成要素が、それらが意図された様式で機能することを許容する関係にある近位を指す。コード配列に「作動可能に連結された」制御配列は、制御配列に適合した条件下でコード配列の発現が達成されるような方法で連結されている。
任意選択で、配列番号2のN末端ttgコドンは、atgのような開始コドンで置換されうる。
プロモーター配列、ターミネーターフラグメント、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子及び適宜、他の配列を含む適切な調節配列を含有する好適なベクターが選択又は構築されうる。ベクターは、適宜、プラスミド、ウイルス、例えば、ファージ、ファージミド若しくはバキュロウイルス、コスミド、YAC、BAC又はPACでありうる。ベクターは、遺伝子療法ベクター、例えば、アデノウイルスに基づくベクター、アデノ関連ウイルス、(HIV又はMLVのような)レトロウイルス又はアルファウイルスベクターを含む。
ベクターには、複製開始点、任意選択で、触媒の発現のためのプロモーター及び任意選択で、プロモーターの制御因子が提供されうる。ベクターは、低コピープラスミド、中程度コピープラスミド又は高コピープラスミドでありうる。ベクターは、1つ又は複数の選択マーカー遺伝子、例えば、細菌プラスミドの場合のアンピリシン耐性遺伝子又は哺乳動物ベクターのためのネオマイシン耐性遺伝子を含有しうる。ベクターは、例えば、RNAの産生のために、又は宿主細胞をトランスフェクト若しくは形質転換するために、インビトロで使用されうる。多様な異なる宿主細胞中でのポリペプチドのクローニング及び発現のための系が周知である。
ベクターは、挿入された核酸の発現を推進するためのプロモーター又はエンハンサーのようは他の配列を含みうる。プロモーターは、宿主細胞の増殖培地にインデューサーを添加することによって触媒の発現が開始又は促進されるような、誘導性プロモーターでありうる。例えば、プロモーターは、IPTG(イソプロピル−β−D−チオ−ガラクトシド)がそのためのインデューサーである、lacオペロンに基づくことができる。或いは、プロモーターは、構成的活性型のプロモーターでありうる。プロモーターは、強力なプロモーターでありうる。
ベクターは、触媒が融合タンパク質(例えば、触媒及びアフィニティータグを含む融合タンパク質)として産生されるように、他の核酸配列を含み及び/又は宿主細胞中で産生されたポリペプチドが細胞から分泌されるように、リーダー配列をコードする核酸配列を含みうる。
上記のような、触媒の発現をもたらす条件下で培養されうる宿主細胞が、本明細書に提供される。触媒は、宿主細胞内で提供されうる。この方法において、触媒は、還元反応においてインビボで使用されることができ、すなわち、触媒は、細胞内還元反応において使用されうる。或いは、触媒の発現に、宿主細胞からの触媒の単離が続くことができる。触媒は、電気泳動及び/又はクロマトグラフィー技術を用いて単離されうる。触媒は、例えば、アフィニティータグを含む融合タンパク質として触媒を発現し、アフィニティータグを結合して融合タンパク質を回収する作用物質を使用することによって単離されうる。該作用物質は、例えば、セファロースカラムに結合されうる。アフィニティータグは、タンパク質が単離された後、タンパク質から切断されうる。
触媒調製物
触媒は、純粋な又は実質的に純粋な形態で提供されうる。純粋な又は実質的に純粋な形態の触媒は、他の分子又は天然にタンパク質に付随する細胞構成要素(例えば、リボソーム、細胞膜構成要素)から分離される。
触媒は、触媒調製物として比較的未精製の形態で提供されることができ、例えば、触媒調製物は、触媒を発現する組換え細胞のライセート又は清澄化されたライセートでありうる。触媒調製物は、触媒を発現する組換え細胞のホモジネート又はペーストでありうる。
触媒は、宿主細胞に含まれうる。触媒は、遊離形態又は固定化形態で提供されうる。固定化形態において、触媒は、セルロース粉末又はポリエチレンのような合成ポリマーのような不活性担体に結合されうる(Lalonde及びMargolin, 2002)。
触媒を生成する方法が本明細書中に提供され、この方法は、触媒をコードする核酸を宿主細胞中で発現させること及び宿主細胞から触媒を単離することを含む。該方法は、宿主細胞を溶解して、細胞ライセートを提供することを含むことができ、さらに、(例えば、遠心分離によって)宿主細胞のデブリを除去して、清澄化された細胞ライセートを提供することを含みうる。宿主細胞を溶解する工程は、フラビンモノヌクレオチド(FMN)を含む溶解バッファーを使用することができ、例えば、溶解バッファーは、約1−50μMのFMN又は約5−25μMのFMN又は約20μMのFMNを含みうる。さらに又は或いは、宿主細胞を溶解する工程は、MgSO4を含有する溶解バッファーを使用することができ、例えば、溶解バッファーは、約1−50mMのMgSO4、約1−5mMのMgSO4又は約5mMのMgSO4を含みうる。溶解バッファーは、FMN及びMgSO4を含みうる。
触媒又は触媒調製物から水が除去されて、凍結乾燥形態の触媒を提供しうる。触媒は、凍結乾燥物として提供されうる。触媒又は触媒調製物は、凍結されうる。
触媒調製物中の触媒の量は、触媒調製物1mgあたりの酵素の単位(U)、例えば、凍結乾燥物1mgあたりの酵素の単位として表することができる。
触媒調製物中の触媒の量は、(例えば、上記のアッセイ方法を用いて決定して)触媒調製物1mgあたり少なくとも約0.25U、触媒調製物1mgあたり少なくとも約1U又は触媒調製物1mgあたり少なくとも3Uでありうる。触媒調製物中の触媒の量は、(例えば、上記のアッセイ方法を用いて決定して)触媒調製物1mgあたり最大約5U、触媒調製物1mgあたり最大約10U、触媒調製物1mgあたり最大約20U、又は触媒調製物1mgあたり最大約50Uでありうる。触媒調製物は、(例えば、上記のアッセイ方法を用いて決定して)凍結乾燥物1mgあたり少なくとも約0.25U、凍結乾燥物1mgあたり少なくとも約1U、又は凍結乾燥物1mgあたり少なくとも約3Uを含む凍結乾燥物でありうる。凍結乾燥物中の触媒の量は、(例えば、上記のアッセイ方法を用いて決定して)凍結乾燥物1mgあたり最大約5U、凍結乾燥物1mgあたり最大約10U、凍結乾燥物1mgあたり最大約20U、又は凍結乾燥物1mgあたり最大約50Uでありうる。
調製物中の触媒の量は、上で与えられた高いほうの量及び低いほうの量から選択される範囲内、例えば、触媒調製物1mgあたり1−20Uの範囲内にありうる。
本発明は、本明細書に定義される触媒を含む、触媒調製物を提供する。触媒調製物は、(触媒調製物1mgあたりの触媒のUを単位として定義される)少なくともある一定量の、上で定義された触媒を含みうる。例えば、触媒調製物は、配列番号1と少なくとも約70%の配列同一性を有するアミノ酸を含むポリペプチドである触媒を含むことができ、ここで、触媒調製物中の触媒の量は、触媒調製物1mgあたり少なくとも0.25Uである。例えば、触媒調製物は、配列番号7と少なくとも約70%の配列同一性を有するアミノ酸を含むポリペプチドである触媒を含むことができ、ここで、触媒調製物中の触媒の量は、触媒調製物1mgあたり少なくとも0.25Uである。例えば、触媒調製物は、配列番号9と少なくとも約70%の配列同一性を有するアミノ酸を含むポリペプチドである触媒を含むことができ、ここで、触媒調製物中の触媒の量は、触媒調製物1mgあたり少なくとも0.25Uである。
類似性及び配列同一性
アミノ酸配列同一性及び類似性並びに核酸配列同一性は、無料で利用可能なEMBOSS又はBLASTソフトウェアツールのような、標準的なバイオインフォマティクスのソフトウェアツールを用いて測定されうる。デフォルトパラメータが一般的に使用される。例えば、EMBOSS Needleペアワイズ配列アラインメントが、アミノ酸配列同一性を決定するために使用されうる。Needleman−Wunschアルゴリズム(J. Mol. Biol. (48): 444-453(1970))を使用するEMBOSS Needleペアワイズ配列アラインメントは、例えば、デフォルトパラメータを用い、BLOSUM62スコアリングマトリックスのようなBLOSUMスコアリングマトリックスを用いて、アミノ酸配列類似性を決定するために使用されうる。デフォルトパラメータは、ギャップ生成ペナルティー=12及びギャップ伸長ペナルティー=4とともに使用されうる。GAPの使用が好ましいが、他のアルゴリズム、例えば、一般にデフォルトパラメータを採用する、(Altschul等(1990) J. Mol. Biol. 215:405-410の方法を使用する)BLAST又はTBLASTN、(Pearson及びLipman (1988) PNAS USA 85:2444-2448の方法を使用する)FASTA、又はSmith−Watermanアルゴリズム(Smith及びWaterman (1981) J. Mol Biol. 147:195-197)が使用されてよい。
上で議論したように、触媒は、配列番号1と少なくとも50%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドであって、基質の還元を触媒することができる。配列番号1に50%未満のアミノ酸配列同一性を有する触媒は、基質の還元を触媒することができ、したがって、少なくとも50%のアミノ酸配列同一性を有する多くのポリペプチドも、基質の還元を触媒することができる。例えば、枯草菌由来のYqjMとして知られる酵素(EC1.6.99.1、UniprotエントリーP54550)は、配列番号1に約30%の配列同一性を有し、ある一定のアルケン誘導体を還元することができ、トマトOYPR1遺伝子によりコードされる酵素(EC1.3.1.42、Uniprot Q9XG54)は、配列番号1に約42%の配列同一性を有し、ある一定のアルケン誘導体を還元することができ、トマトOYPR3遺伝子によりコードされる酵素(EC1.3.1.42、Uniprot Q9FEW9)は、配列番号1に約42%の配列同一性を有し、ある一定のアルケン誘導体を還元することができる(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願第2010/0035315号を参照されたい)。
配列番号1と少なくとも50%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドである触媒は、配列番号1のアミノ酸配列に対して、1つ又は複数のアミノ酸の付加、置換及び/又は欠失を含みうる。触媒は、配列番号1のアミノ酸配列に対して、1つ又は数個のアミノ酸の付加、置換及び/又は欠失を含みうる。触媒は、配列番号1のアミノ酸配列に対して、1−150個、1−100個、1−50個、1−20個又は1−10個のアミノ酸の付加、置換及び/又は欠失を含みうる。
配列番号7と少なくとも50%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドである触媒は、配列番号7のアミノ酸配列に対して、1つ又は複数のアミノ酸の付加、置換及び/又は欠失を含みうる。触媒は、配列番号7のアミノ酸配列に対して、1つ又は数個のアミノ酸の付加、置換及び/又は欠失を含みうる。触媒は、配列番号7のアミノ酸配列に対して、1−150個、1−100個、1−50個、1−20個又は1−10個のアミノ酸の付加、置換及び/又は欠失を含みうる。
配列番号9と少なくとも50%同一であるアミノ酸配列を含むポリペプチドである触媒は、配列番号9のアミノ酸配列に対して、1つ又は複数のアミノ酸の付加、置換及び/又は欠失を含みうる。触媒は、配列番号9のアミノ酸配列に対して、1つ又は数個のアミノ酸の付加、置換及び/又は欠失を含みうる。触媒は、配列番号9のアミノ酸配列に対して、1−150個、1−100個、1−50個、1−20個又は1−10個のアミノ酸の付加、置換及び/又は欠失を含みうる。
本発明の触媒は、配列番号1、7及び9のいずれか1つに示されるポリペプチドの変異体でありうる。変異体は、配列番号1、7及び9に示される配列から、1アミノ酸、2、3、4、5−10、10−20、20−30、30−50、50−100又は150を超えるアミノ酸の挿入、付加、置換又は欠失により異なる。変異体は、日常的な分子クローニング方法を用いて作られうる。
当業者は、そのような変異体をどのように作るかを知っており、触媒の機能的能力に影響を与える可能性のある因子を認識している。例えば、当業者は、比較的少数のアミノ酸の挿入、付加、欠失及び置換を有する変異体が、比較的多数のアミノ酸置換を有する変異体よりも、配列番号1、7及び9に示される触媒の機能性を保持する可能性が比較的高いことを理解する。当業者は、1つ又は複数の保存的アミノ酸置換を有する変異体が、1つ又は複数の非保存的置換を有する変異体よりも機能性を保持する可能性が高いことも理解している。
配列番号1、7及び9のアラインメントが、図18に示される。図18に表される配列番号1、7及び9の間で、(
*により示される)保存されたアミノ酸、(:により示される)強い類似性を有するアミノ酸及び(.により示される)弱い類似性を有するアミノ酸に関する情報は、置換が回避されることが望ましい可能性のあるアミノ酸位置を示唆する。保存されないか又は類似しないか若しくは弱い類似性のみを有するアミノ酸位置は、置換をより受けやすい可能性があるが、機能性を保持している。よって、当業者は、配列番号で示されたポリペプチドの変異体を生成することができる。当業者は、変異体ポリペプチドが、例えば、本明細書に記載の方法を用いて本発明に従う触媒としての使用に好適であるかを決定することができる。アミノ酸置換は、配列番号1、配列番号7又は配列番号9のアミノ酸が、類似の特性を有するアミノ酸によって置換される、保存的アミノ酸置換でありうる。例えば、疎水性アミノ酸(例えば、Leu)は、別の疎水性アミノ酸(例えば、Ile)により置換される。アミノ酸及び保存的置換が、以下の表に示される。
使用
本発明の触媒は、そのようなものとして、例えば、インビトロのようなエクスビボの反応における触媒として使用されうる。これに関連してインビトロの反応は、細胞外の又は細胞を含まない反応を指す。
本発明の触媒は、還元反応における触媒としての使用を有することがわかった。一実施態様において、還元反応は、エチレン結合のような不飽和炭素−炭素結合のような不飽和結合の還元である。触媒は、水素化活性を有するか又は移動水素化活性を有すると言われうる。よって、本発明の触媒は、一般に、例えば、対応する還元生成物をもたらすための、アルケニル含有化合物の還元において有用である。
一実施態様において、本発明の触媒は、式(I)の化合物のような、本明細書に記載の基質の還元における触媒としての使用を見出す。本発明の触媒は、レダクターゼと呼ばれうる。よって、該触媒は一般に、還元反応及びより具体的には水素化反応における使用を見出す。よって、触媒は、形式上、炭素−炭素二重結合(C=C)にわたる水素の付加をもたらす還元反応を触媒しうる。典型的に、本明細書に記載の還元反応における水素化物の供給源は、NADHのような補助因子によって提供される。
一実施態様において、本発明の触媒は、上記のように、細胞内反応のために細胞内に提供される。
一態様において、任意選択で補助因子と一緒の、触媒としての配列番号1の触媒の使用が提供される。別の態様において、任意選択で補助因子と一緒の、触媒としての配列番号7の触媒の使用が提供される。さらなる態様において、任意選択で補助因子と一緒の、触媒としての配列番号9の触媒の使用が提供される。
一実施態様において、触媒は、炭素−炭素二重結合(C=C)の水素化のような、水素化活性のような還元活性を有する。
一実施態様において、触媒は、エンレダクターゼ活性を有する。
一実施態様において、本発明の触媒は、本明細書に記載の方法における使用を見出す。
方法
一態様において、本発明は、合成方法であって、本発明の触媒の存在下で基質を反応させ、それによって生成物を提供する工程を含む方法を提供する。該方法は、基質を触媒と接触させることを含みうる。
該方法は、還元であることができ、したがって、触媒及び還元剤の存在下で基質が還元される。
一実施態様において、反応は、立体特異的反応である。
任意選択で、方法は、生成物を触媒及び任意の残留基質から単離するような、生成物を単離する工程をさらに含む。単離工程は、エナンチオマーを含む、生成物の立体異性体である生成物のような、副生成物からの生成物の単離を含みうる。単離工程は、反応媒体から生成物を単離する工程も含みうる。
一実施態様において、方法は、触媒を単離する工程を含む。触媒は、その後、必要に応じて、本発明のさらなる方法において再使用されうる。
本発明の触媒は、還元生成物のような生成物の高収率の調製を可能としうる。実施例は、触媒が還元反応において使用されて、60%以上のような50%以上の収率で生成物を得ることができることを示す。
本発明の方法は、水中で、典型的には、別の溶媒(「共溶媒」)の存在下で実行されうる。反応媒体は、単相性又は二相性でありうる。
一実施態様において、共溶媒が、最大10体積%、最大15体積%又は最大25体積%の量で存在する。
一実施態様において、共溶媒は、少なくとも0.5体積%、少なくとも1体積%又は少なくとも2体積%の量で存在する。
一実施態様において、共溶媒は、約5体積%の量で存在する。
共溶媒は、トルエン、キシレン、エタノール、イソプロパノール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)、イソプロパノール、ジメチルホルムアミド(DMF)及びジメチルスルホキシド(DMSO)からなる群から選択されうる。
一実施態様において、共溶媒はトルエンである。
反応は、溶媒の総体積に対して5v/v%以下のような非常に少ない量で水が存在する反応媒体中で実行することもできる。これは、あまり好ましくない。
反応は、周囲温度又は高温で実行されうる。反応は、最大35℃、最大40℃、最大45℃、最大50℃又は最大55℃の温度で実行されうる。予想どおり、非常に高温の維持された温度は、酵素活性の損失と関連する。
反応は、少なくとも30℃、少なくとも25℃、少なくとも20℃、少なくとも15℃又は少なくとも0℃の温度で実行されうる。
発明者らは、触媒が、上で示された高いほうの温度及び低いほうの温度から選択される範囲内、例えば、20から45℃の範囲内又は20から35℃の範囲内の温度で使用される場合に、最適の結果が得られることを見出した。
水性媒体中の反応は、限定された範囲内のpHにおいて実行されうる。
一実施態様において、反応媒体のpHは、最大で8、最大で9、又は最大で10である。
一実施態様において、反応媒体のpHは、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも6.5、又は少なくとも7である。
発明者らは、触媒が、上で示された高いほうの数量及び低いほうの数量から選択される範囲内、例えば、pH6.5から8の範囲内のpHにおいて使用される場合に、最適の結果が得られることを見出した。
反応媒体のpHは、反応開始時の反応媒体のpHを指し得る。さらに又は或いは、pHは反応のエンドポイントにおける反応のpHを指し得る。
バッファーは、反応媒体のpHを、上で示された上限値及び下限値から選択される範囲内に維持するために、反応媒体中に提供されうる。
本発明者らは、本発明の触媒が、高い基質濃度において使用されうることを確立した。実施例は、300mM、750mM及び1,500mMの基質濃度における触媒の使用を実証する。対照的に、米国特許出願第2010/0035315号中の研究は、多くて5mMの基質濃度のみにおける生体触媒の使用を実証する。
一実施態様において、基質は、少なくとも0.1mM、少なくとも0.5mM、少なくとも1mM、少なくとも5mM、少なくとも10mM、少なくとも50mM、少なくとも100mM、少なくとも200mM、少なくとも300mM、少なくとも400mM、少なくとも500mM、少なくとも750mM、少なくとも1,000mM、少なくとも1,500mM、少なくとも2,000mM、少なくとも2,500mM、又は少なくとも3,000mMの濃度で存在する。
一実施態様において、基質は、最大で50mM、最大で100mM、最大で200mM、最大で300mM、最大で500mM、最大で1,000mM、最大で1,500mM、最大で2,000mM、最大で2,500mM、最大で3,000mM、最大で3,500mM、最大で4,000mM、最大で4,500mM、又は最大で5,000mMの濃度で存在する。
発明者らは、基質が、上で示された高いほうの量及び低いほうの量から選択される範囲内、例えば、5mMから1,500mMの範囲内の濃度で使用される場合に、最適の結果が得られることを見出した。
基質濃度は、50mMから5,000mM、50mMから3,000mM、50mMから1,500mM、50mMから1,000mM、50mMから500mM、100mMから5,000mM、100mMから3,000mM、100mMから1,500mM、100mMから1,000mM、500mMから5,000mM、500mMから3,000mM、500mMから1,500mM、又は500mMから1,000mMの範囲内にありうる。
一実施態様において、基質は、少なくとも10mg/L、少なくとも50mg/L、少なくとも100mg/L、少なくとも500mg/L、少なくとも1,000mg/L、少なくとも5g/L、少なくとも10g/L、少なくとも20g/L、少なくとも30g/L、少なくとも40g/L、少なくとも50g/L、少なくとも75g/L、少なくとも100g/L、少なくとも150g/L、少なくとも200g/L、少なくとも250g/L、又は少なくとも300g/Lの濃度で存在する。
一実施態様において、基質は、最大で5g/L、最大で10g/L、最大で20g/L、最大で30g/L、最大で50g/L、最大で100g/L、最大で150g/L、最大で200g/L、最大で250g/L、最大で300g/L、最大で350g/L、最大で400g/L、最大で450g/L、又は最大で500g/Lの濃度で存在する。
反応において必要とされる触媒調製物の量は、存在する基質の量に対して少なく、反応媒体中のその濃度の点から低くてもよい。例えば、0.4g/Lの触媒調製物が使用されうる。
一実施態様において、触媒調製物は、最大で5g/L、最大で10g/L、最大で50g/L又は最大で100g/Lの濃度で存在しうる。
一実施態様において、触媒調製物は、少なくとも0.05g/L、少なくとも0.10g/L、少なくとも0.25g/L、少なくとも0.5g/L、又は少なくとも1.0g/Lの濃度で存在しうる。
一実施態様において、触媒調製物は約0.4g/Lで存在する。
一実施態様において、触媒調製物は、約0.4g/Lで存在する。
上で議論されたとおり、酵素の量は、酵素単位Uを用いてその活性を単位として表することができる。Uは、上記のアッセイを用いて決定されうる。同様に、酵素の濃度はU/mLとして表されうる。
一実施態様において、酵素は、最大で500U/mL、最大で300U/mL、最大で200U/mL又は最大で150U/mLの濃度で存在しうる。いくつかの実施態様において、酵素は、最大で50U/mLの濃度で存在しうる。
一実施態様において、酵素は、少なくとも1U/mL、少なくとも5U/mL、少なくとも10U/mL、又は少なくとも20U/mLの濃度で存在しうる。いくつかの実施態様において、酵素は、少なくとも50U/mLの濃度で存在しうる。
発明者らは、酵素が、上で示された高いほうの量及び低いほうの量から選択される範囲内の量で使用される場合に、最適の結果が得られることを見出した。
反応において必要とされる酵素の量は、存在する基質の量に対して少なくてもよい。例えば、基質1ミリモルあたり約70Uの酵素が存在しえ、又は基質1ミリモルあたり約140Uの酵素が存在しうる。例えば、基質1ミリモルあたり1250Uの酵素が存在しうる。
一実施態様において、酵素は、基質1ミリモルあたり最大で5000U、基質1ミリモルあたり最大で2500U、基質1ミリモルあたり最大で2000U、又は基質1ミリモルあたり最大で1500Uの量で存在する。いくつかの実施態様において、酵素は、基質1ミリモルあたり最大で500U、基質1ミリモルあたり最大で300U、又は基質1ミリモルあたり最大で200Uの量で存在する。
一実施態様において、酵素は、基質1ミリモルあたり少なくとも1U、基質1ミリモルあたり少なくとも10U、基質1ミリモルあたり少なくとも20U、基質1ミリモルあたり少なくとも40U、又は基質1ミリモルあたり少なくとも60Uの量で存在する。
発明者らは、酵素が、上で示された高いほうの量及び低いほうの量から選択される範囲内の量で使用される場合に、最適の結果が得られることを見出した。
反応は、所望量の材料の生成を可能とするのに十分な時間、行われうる。その後、生成材料を単離するために反応混合物がまとめられうる。
一実施態様において、反応時間は、少なくとも1時間、少なくとも2時間、又は少なくとも3時間である。
一実施態様において、反応時間は、最大で18時間、最大で24時間、最大で36時間、最大で48時間、最大で72時間、最大で96時間又は最大で120時間である。
反応の終了は、触媒と生成物が分離される時点でありうる。
反応は、所望の生成物の収量が経時的に実質的に増加しない場合に、完了したとみなされうる。
一実施態様において、反応はインビトロで実行される。
反応は、連続的又は断続的に実行されうる。
基質
本発明の触媒は、そのようなものとして、基質の反応において使用されうる。基質は、触媒の存在下で反応して生成物をもたらす。基質は、補助基質とともに反応して、生成物をもたらしうる。
一実施態様において、基質は、還元されうる官能基を有する化合物である。したがって、反応の生成物は還元生成物である。
一実施態様において、基質はエチレン結合(C=C)を有する。反応の生成物は、還元されたエチレン結合、例えば、−CH−CH−を有する基質でありうる。
一実施態様において、エチレン結合は、活性化型エチレン結合である。よって、エチレン結合は、活性化基に対してα,βにありうる。活性化基の例としては、アシル、カルボキシ、アシルオキシ、ニトロ、アシルアミノ及びニトリル基が挙げられる。したがって、基質は、α,β−不飽和アシル、アシルオキシ、ニトロ、アシルアミノ及びニトリル基を有しうる。
一実施態様において、エチレン結合は、活性型エチレン結合である。よって、エチレン結合は、活性化基に対してα,βにありうる。活性化基の例としては、アシル、カルボキシ、アシルオキシ、ニトロ又はアシルアミノ基が挙げられる。したがって、基質は、α,β−不飽和アシル、アシルオキシ、ニトロ又はアシルアミノ基を有しうる。
一実施態様において、基質は、式(I):
(式中、
−R
1は、アシル、カルボキシ、アシルオキシ、ニトロ、アシルアミノ及びニトリルから独立して選択され、
−R
2は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アミノ、ヒドロキシル及びオキシから独立して選択され、−R
2は任意選択で、さらにアミド若しくはニトリルから選択され、
−R
3は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アミノ、ヒドロキシル、オキシ、カルボキシ、アシルオキシ、ニトリル及びアシルアミノであるか、
又は、−R
1がアシル、アシルオキシ又はアシルアミノである場合、−R
1及び−R
2は、アシル、アシルオキシ又はアシルアミノ基を含有する環を形成してもよく、又は−R
1及び−R
3は、アシル、アシルオキシ又はアシルアミノ基を含有する環を形成してもよく、
−R
4は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アミノ、ヒドロキシル、オキシ、カルボキシ、アシルオキシ、ニトリル及びアシルアミノであり、
各アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル及びアリール基は、置換されていてもよく、
又は−R
2及び−R
4は、一緒になって非置換又は置換された環を形成してもよい。)
の化合物である。
一実施態様において、−R1は、アシル、カルボキシ、アシルオキシ、ニトロ及びアシルアミノからなる群から独立して選択される。
一実施態様において、−R1は、アシル又はアシルオキシである。発明者らは、−R1に存在するそのような基を有する基質は、本発明の触媒の存在下で、良好な収率及び/又は高いエナンチオマー過剰率で還元されることを確立した。
一実施態様において、−R1は、アシルアミノである。
一実施態様において、−R2は水素である。この実施態様において、−R3及び−R4は異なってよい。この場合、発明者らは、還元反応が、特に高いエナンチオマー過剰率を有する生成物を提供することを見出した。
一実施態様において、−R2は、非置換又は置換アルキル、例えば、非置換アルキルである。
一実施態様において、−R2は、−R4及びそれらが結合している炭素原子と一緒になって、非置換又は置換炭素環、例えば非置換又は置換炭素環を形成する。例えば、該環は、非置換又は置換シクロヘキセン環のようなシクロペンテン又はシクロへキセン環でありうる。該環は、任意選択で、ヘテロ原子を含みうる。
一実施態様において、例えば、−R1がアシルオキシである場合、−R2はアミドである。
一実施態様において、−R1がアシル、アシルオキシ又はアシルアミノ基である場合、−R1及び−R2は、アシル、アシルオキシ又はアシルアミノ基を含有する環を形成しうる。この実施態様において、炭素−炭素二重結合は、環に対して外部にある。環は、5又は6個の環原子のような、4−7個の環原子を有しうる。−R1がアシルオキシである場合、1つの環原子は酸素原子であり、−R1がアシルアミノである場合、1つの環原子は窒素原子である。
一実施態様において、−R1及び−R2は、それらが結合する炭素原子(α炭素)と一緒になって、シクロペンテノン又はシクロヘキセノン環を形成する。ここで、−R1はアシルである。
−R1及び−R2が環を形成する場合、その環は、置換されていてもよい。
一実施態様において、−R3は、水素、及び非置換又は置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル及びアルキニルから選択される。
一実施態様において、−R3は水素である。
一実施態様において、−R3は、非置換又は置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル及びアルキニルから選択される。
一実施態様において、−R3は、非置換又は置換アルキルから選択される。
一実施態様において、−R1が、アシル、アシルオキシ又はアシルアミノ基である場合、−R3及び−R1は、アシル、アシルオキシ又はアシルアミノ基を含有する、非置換又は置換環を形成する。該環は、5又は6個の環原子のような、4−7個の環原子を有しうる。例えば、該環は、シクロペンテノン又はシクロヘキセノン環でありうる。
環は、任意選択でヘテロ原子を含みうる。環は、オキソ(=O)置換基を環炭素原子に提供されうる。オキソ−置換炭素環原子は、アシルアミノ基と一緒になって、環状イミド(−C(O)−NR−C(O)−)を形成しうる。そのような構造は、例えば、SYE−4酵素(Iqbal等を参照されたい)の存在下で、活性な基質であることが示される。
一実施態様において、−R1がアシル基を含有する場合、−R3及び−R1は、非置換又は置換環を形成する。
アルケニル又はアルキニル基が、−R2、−R3及び−R4のいずれかの中に存在する場合、−R1基に対してα,βにある不飽和結合とコンジュゲーションされないことが好ましい。
一実施態様において、−R4は、水素及び非置換又は置換アルキル、シクロアルキル、アルケニル及びアルキニルから選択される。一実施態様において、−R4は水素である。
一実施態様において、−R2、−R3及び−R4のうちの1つは水素でない。
一実施態様において、−R2、−R3及び−R4のうちの1つは水素である。例えば、−R2が水素であるか又は−R3が水素である。
一実施態様において、−R3及び−R4は水素である。
一実施態様において、基質は、12−オキソ−シス−10,15−フィトジエノエートではない。
発明者らは、ENE−103が、基質3−メチル−2−シクロペンテノン及び3−メチル−2−シクロヘキセノンに対するわずかな活性を有することを見出した。しかしながら、この場合の実施例において示されるように、このわずかな活性は、これらの特定の基質と関連し、ENE−103は、他の構造的に関連した基質に触媒活性を示すと考えられる。
一実施態様において、例えば、触媒が配列番号9と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである場合、例えばポリペプチドが配列番号9のアミノ酸配列を含む場合、基質は、3−メチル−2−シクロペンテノン又は3−メチル−2−シクロへキセノンではない。
一実施態様において、−R4は水素である。一実施態様において、−R2は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アミノ、ヒドロキシル及びオキシから独立して選択される。
これらの実施態様は、−R1がアシルであり、−R1と−R3が一緒になって、シクロペンテノン環のような、アシル基を含有する環を形成する場合に当てはまりうる。
一実施態様において、基質はニトリル(−CN)基を含有しない。例えば、−R1、−R3及び−R4は、それぞれニトリルでない。したがって、−R1基は、アシル、カルボキシ、アシルオキシ、ニトロ及びアシルアミノから独立して選択されうる。−R3基は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アミノ、ヒドロキシル、オキシ、カルボキシ、アシルオキシ及びアシルアミノから独立して選択されうる。−R4基は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アミノ、ヒドロキシル、オキシ、カルボキシ、アシルオキシ及びアシルアミノから独立して選択されうる。
アルキル基は、直鎖又は分枝鎖のC1−20飽和アルキル基を指し得る。アルキル基は、C1−4、C1−6又はC1−10アルキル基でありうる。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル及び1−メチルエチル(イソ−プロピル)が挙げられる。
アルケニル基は、直鎖又は分枝鎖のC2−20アルケニル基を指し得る。アルケニル基は、C2−4、C2−6又はC2−10アルケニル基でありうる。アルケニル基の例としては、エテニル及びプロペニルが挙げられる。アルケニル基に置換基が提供される場合、基のエチレンは、置換基のα,βに提供される。アルケニル基は、1つ又は複数の不飽和結合を有しうる。
アルキニル基は、直鎖又は分枝鎖のC2−20アルキニル基を指し得る。アルキニル基は、C2−4、C2−6又はC2−10アルキニル基でありうる。アルキニル基の例としては、エチニル及びプロピニルが挙げられる。アルキニル基は、1つ又は複数の不飽和結合を含みうる。
シクロアルキル基は、C6−10シクロアルキル基を指し得る。アルキル基の例としては、シクロヘキシル及びシクロペンチルが挙げられる。
一実施態様において、シクロアルキル基は、任意選択で不飽和である。
シクロアルキル基は、縮合環系の一部でありうる。縮合系において、シクロアルキル基は、2つ以上の縮合環を含む環系を有し、ここで、縮合環系の1つの環は、(ヘテロ芳香環を含む)芳香環であることができ、該基は非芳香族環原子(すなわち、環系の一部である非芳香族環の一部である環原子)によって、分子の残りに結合される。よって、縮合環系は、シクロアルキル環の環原子を介して連結される。縮合系の例としては、テトラリニル及びインダニルが挙げられる。縮合環系は、任意の利用可能な環原子において置換されていてもよい。
ヘテロシクリル基は、C5−10ヘテロリクリル基を指し得る。ヘテロシクリル基は、C5−7、C5−6又はC6ヘテロシクリル基でありうる。ヘテロ環基は、N、O及びSから選択される1つ又は2つのヘテロ原子のような、1つ又は複数のヘテロ原子を含有する。ヘテロシクリル基は、環炭素原子又は存在する場合には、環窒素原子を介して連結されうる。窒素環原子は、NH基でありうるか又は窒素環原子が置換されうる。イオウ環原子は、−S−、−S(O)−又は−S(O)2−基でありうる。
ヘテロシクリル基の例としては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピロリジン、1,4−ジオキサン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、ピペリジン及び1,4−ジアゼピンが挙げられる。
ヘテロシクリル基は、縮合環系の一部でありうる。縮合系において、ヘテロシクリル基は、2つ以上の縮合環を含む環系を有し、ここで、縮合環系の1つの環は、(ヘテロ芳香環を含む)芳香環であることができ、該基は、非芳香族環原子(すなわち、環系の一部である非芳香族環の一部である環原子)によって、分子の残りに結合される。よって、縮合環系は、ヘテロシクリル環の環原子を介して連結される。例としては、インドリニル、インドリル、ジヒドロベンゾフラニル、クロマニル、及び2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニルが挙げられる。縮合環系は、任意の利用可能な環原子において置換されていてもよい。
アリール基は、C5−14カルボアリール又はヘテロアリール基を指し得る。
カルボアリール基は、C6−14又はC6−10カルボアリール基でありうる。
カルボアリール基の例としては、フェニル及びナフチルが挙げられる。
カルボアリール基は、縮合環系の一部でありうる。縮合系において、カルボアリール基は、2つ以上の縮合環を含む環系を有し、ここで、縮合環系の少なくとも1つの環は、(ヘテロ芳香環を含む)芳香環であり、該基は、芳香族環原子(すなわち、環系の一部である芳香族環の一部である環原子)によって、分子の残りに結合される。よって、縮合環系は、芳香環の環原子を介して連結される。例としては、ナフチル、インドリニル、インドリル及びジヒドロベンゾフラニル、クロマニル及び2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニルが挙げられる。縮合環系は、任意の利用可能な環原子において置換されていてもよい。
へテロアリール基は、C5−14、C5−10又はC5−6ヘテロアリール基でありうる。
ヘテロアリール基の例としては、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリドニル、ピラジニル、キノリニル及びイソ−キノリニルが挙げられる。
ヘテロアリール基は、縮合環系の一部でありうる。縮合系において、ヘテロアリール基は、2つ以上の縮合環を含む環系を有し、ここで、縮合環系の少なくとも1つの環は、ヘテロ芳香環であり、該基は、ヘテロ芳香族環の環原子(すなわち、環系の一部である芳香環の一部である環原子)によって、分子の残りに結合される。よって、縮合環系は、芳香環の環原子を介して連結される。ヘテロアリール基は、環炭素原子又は存在する場合には環窒素原子を介して連結されうる。例としては、インドリル、ベンゾールフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾキサゾイル、プリニル、キノリニル及びイソ−キノリニルが挙げられる。
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル及びアリール基は、置換されていてもよい。基は、一、二又は三置換されうる。
基が置換されると言われる場合、それは、ハロ、ヒドロキシル(−OH)、ニトロ(−NO2)、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、オキシ、チオ、アミノ、アシル、カルボキシ、アシルオキシ、オキシアシル、アミド及びアシルアミノからなる群から独立して選択される置換基により置換されうる。これらの基は、以下において議論される。
窒素環原子が、ヘテロ環基中に存在する場合、環原子は、非置換(NH)又は本明細書に記載されたようなアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、アシル及びアシルオキシにより置換されていてもよい。
ハロ、ヒドロキシル(−OH)、ニトロ(−NO2)、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、オキシ、チオ、アミノ、アシル、カルボキシ、アシルオキシ、オキシアシル、アミド及びアシルアミノ基は、以下に記載の基でありうる。
アシル基は、−C(O)H又は−C(O)R基であり、ここで−Rは、置換又は非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル及びアリールから選択される。
一実施態様において、アシル基は−C(O)Rである。
アシル基が窒素環原子に置換される場合、アシル基は窒素環原子と一緒になってアミド基を形成する。
一実施態様において、−R1がアシル基である場合、−Rは、置換又は非置換アルキルから選択される。
一実施態様において、−R1がアシル基である場合、この基は、−R3基と一緒になって形成された環の一部でありうる。例えば、−R1及び−R3は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、2−シクロヘキセン−1−オン又は2−シクロペンテン−1−オン環を形成しうる。
カルボキシ基は、−C(O)OH又はこの基のカルボキシレート形態である。
アシルオキシ基は、−C(O)OR基であり、ここで−Rは、置換又は非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル及び又はアリールから選択される。
アシル基が窒素環原子に対する置換基である場合、アシルオキシ基は窒素環原子と一緒になって、カルバメート基を形成する。
−R1基は、アシルオキシ基でありうる。一実施態様において、−Rは、−R3と一緒になって環を形成しうる。一実施態様において、−R6及び−R3及びそれらに結合する原子は、非置換又は置換環を形成し、ここで、該環は、5−7個のような、4−8個の環原子を有する。該環は、例えば、シクロへキセン又はシクロペンテン環でありうる。該環は、置換されていてもよい。
一実施態様において、−R1がアシルオキシ基である場合、−Rは、置換又は非置換アルキルから選択される。
ハロ基は、−F、−Cl、−I及び−Brから独立して選択される。
オキシ基は、−OR基であり、ここで−Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル及びアリールから独立して選択される。
チオ基は、−SH又はSR基であり、ここで−Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル及びアリールから独立して選択される。
アミノ基は、−NH2、−NHR及び−N(R)2から選択される基であり、ここで各−Rは、アルキル、シクロアルキル及びアリールのように、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル及びアリールから独立して選択される。
オキシアシル基は、−OC(O)R基であり、ここで−Rは、置換又は非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル及びアリールから独立して選択される。
アミド基は、−NHC(O)R基、−NRC(O)R基であり、ここで−Rは、置換又は非置換アルキルのように、置換又は非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル及びアリールから独立して選択される。
アシルアミノ基は、−C(O)NH2、−C(O)NHR又は−C(O)N(R)2基であり、ここで−Rは、置換又は非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル及びアリールから独立して選択されるか、又は2つのR基が、それらが結合する窒素原子と一緒になって、任意選択で、1つのさらなる環ヘテロ原子を含有する置換又は非置換窒素ヘテロ環を形成しうる。ヘテロ環は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル及びアリールで置換されていてもよい。
置換又は非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル及びアリールから選択される−R基が、上で記載される。
一実施態様において、−Rは、存在する場合、置換又は非置換アルキル、アルケニル、アルキニル及びシクロアルキルから選択される。
一実施態様において、−Rは、存在する場合、アルキルのような、置換又は非置換アルキル及びシクロアルキルから選択される。
一実施態様において、−Rは、存在する場合、置換又は非置換アルキル、アルケニル及びアリールから選択される。
一実施態様において、−Rは、存在する場合、置換又は非置換アリールである。
アルキル、アルケニル又はアルキニル基は、アルキル、アルケニル又はアルキニル基で置換されない。
各置換基は、さらに置換されていてもよい。
一実施態様において、−R3及び−R4は同じでない。一実施態様において、−R2、−R3及び−R4は同じでない。
一実施態様において、−R2、−R3及び−R4は、アシル、カルボキシ、アシルオキシ又はニトロ基に対するα,βのような、活性化基に対してα,βにあるエチレン基を含有しない。ここで、基質は、活性化エチレン基を1つだけ有し、すなわち、−R1に対してα,βにあるエチレン基である。
一実施態様において、基質は、最大で500、最大で750又は最大で1,000の分子量を有する化合物である。
一実施態様において、基質はアキラルである。
補助基質
本発明の方法において、基質は補助基質と一緒に反応して、生成物を生じさせることができる。還元反応において、補助基質は、還元剤とみなされうる。還元剤は、形式上、還元のための水素を提供しうる。還元剤は、典型的に補助因子である。
補助因子
触媒は、還元反応のための還元当量を提供するために、NAD(P)Hを補助因子として使用しうる。例えば、不飽和炭素−炭素二重結合の還元を触媒することにおいて、触媒はNAD(P)Hからの還元当量を使用し、それによってこれをNAD(P)+に酸化しうる。酸化された補助因子に対する還元された補助因子の割合、例えば、NAD(P)+に対するNAD(P)Hの割合は、補助因子の酸化及び付随する基質の還元に好都合とするために、比較的高くなければならない。
補助因子は、補酵素としても知られ、補助基質としても知られうる。用語「NAD(P)H」は、NADH及び/又はNADPHを示すために使用され、該用語及び「NAD(P)+」は、NAD+及び/又はNADP+を示すために使用される。例えば、「NAD(P)H」を補助因子として使用する触媒は、NADHを補助因子として使用することができ、さらに又は或いは、NADPHを補助因子として使用することができる。
インビトロの反応においては、還元型補助因子が化学量論的量で基質とともに存在しうる。或いは、還元型補助因子は、基質とともに化学量論的量よりも顕著に少ない量で存在しうる。還元型補助因子は、反応の間に酸化された補助因子を還元し、それによって補助因子が化学量論的量よりも顕著に少ない量で基質とともに存在することを可能とする、還元型補助因子再生系を用いて再生されうる。還元型補助因子再生系は、本分野で知られている。そのような系は、還元剤を、任意選択で、還元剤から酸化型補助因子へ還元当量を移動させることのできる酵素と一緒に含みうる。還元剤は、糖、特に、グルコース、マンノース、フルクトースのようなヘキソースを含み、還元剤は、エタノール、プロパノール及びイソプロパノールのような酸化可能なアルコールも含み、還元剤は、ギ酸塩、亜リン塩及び分子水素も含む。そのような系は、還元剤としての糖を、任意選択で、糖から酸化型補助因子への還元当量の移動を触媒するための適合性の糖デヒドロゲナーゼとともに含みうる。補助因子としてのNADHのためには、スキーム1に示すように、還元型補助因子再生系は、グルコース及びグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)を含みうる。補助因子としてのNADHのためには、還元型補助因子再生系は、ギ酸及びギ酸デヒドロゲナーゼを含みうる。補助因子としてのNADPHのためには、補助因子再生系は、グルコース−6−リン酸塩及びグルコース−6−ホスファターゼを含みうる。
インビボの反応においては、触媒が細胞中で提供される場合、還元型NAD(P)Hが細胞内酵素によって再生される。そのような酵素は、内因性又は組換えによるものでありうる。例えば、グリセルアルデヒドホスフェートデヒドロゲナーゼのような解糖に関与する細胞内酵素が、NAD+をNADHに還元しうる。
触媒は、フラビン依存性酵素でありうる。すなわち、触媒は補助因子から還元当量を受け取り、フラビンモノヌクレオチド(FMN)補欠分子族を介して不飽和炭素−炭素二重結合を還元しうる。
立体選択的反応
本発明の触媒は、生成物中の2つのような、1つ又は複数の炭素原子が特定の立体化学を有する生成物を生成するために使用されうる。よって、本発明の触媒は、キラル化合物を調製するために有利に使用されうる。
本発明の触媒は、70%以上、80%以上、95%以上、99%以上のee値を有する生成物を生成するために使用されうる。
したがって、本発明の触媒は、エナンチオマーのような、1つの立体異性体が圧倒的であり、別の立体異性体が少量である生成物を調製するために使用されうる。
本発明の触媒は、アキラルの基質と一緒に使用されうる。よって、該基質は、不斉中心を有する原子を有することができない。本明細書に記載の方法は、生成物中に1つ又は2つの不斉中心を生成することを可能とする。よって、本発明の触媒は、アキラルの出発材料からキラリティーを与えるために使用されうる。
なお、本明細書に記載の反応方法は、立体選択的な合成方法に限定されない。実施例に示すように、本発明の触媒は、高収量の還元型基質を生成するために使用されうる。基質の立体選択的還元が、生成物の高収量をともない又はともなわずに、起こりうる。
基質がエチレン結合を含有する場合、触媒を用いる該結合の還元は、該結合の反対面(anti)へ幾何学的な水素付加により起こると理解される。式(I)の化合物において、エチレン結合は、右下に位置する−R1基とともに示される。描かれるように、触媒の存在下でのこの結合の還元は、−R3及び−R4に結合した炭素における上面(紙の平面の上方)からの水素原子の付加並びに−R1及び−R2に結合した炭素における下面(紙の平面の下方)からの水素原子の付加により起こりうる。
よって、一実施態様において、式(I)の化合物の還元は、このように起こる:
生成物中のエナンチオマーの量又はエナンチオマーの割合は、キラル固定相を用いるHPLCのような標準的な分光光学技術によって決定されうる。本明細書に記載のとおり、還元反応の生成物のee値が、生成物混合物のGC分析によって決定された。
発明者らは、−R3及び−R4が結合した炭素原子がプロキラルな炭素原子(還元に際してキラル炭素原子になる炭素原子)である場合、高いエナンチオマー過剰率が得られることを見出した。対照的に、−R1及び−R2が結合する炭素原子(α炭素)がプロキラルな炭素原子である場合、高いエナンチオマー過剰率は時として達成されない。これは、α炭素に結合した水素原子の相対的不安定性が還元後に高く、α炭素がキラル炭素原子であると、(例えば、−R1がアシルである場合、エノール形態を介して)これがラセミ化反応をもたらしうることによると考えられる。したがって、高いエナンチオマー過剰率が望まれる場合には、−R3及び−R4が結合する炭素原子がプロキラルな炭素原子であることが好ましいかもしれない。−R1及び−R2が結合する炭素原子はプロキラルな炭素原子でないことが好ましいかもしれない。
特に、発明者らは、−R2が水素であり、−R3及び−R4がそれぞれ水素でなく、かつ同じでない化合物に関して、高いエナンチオマー過剰率が得られうることを見出した。ここで、−R3及び−R4が結合する炭素は、還元に際してキラル炭素原子となるため、プロキラルな中心とみなされうる。対照的に、−R1に結合したα炭素は、反応の結果としてこの炭素原子が2つの水素原子を有するため、還元に際して四級不斉中心を生じない。
当業者は、本明細書中で使用される用語、キラル炭素原子を容易に理解する。これは、そのうちの1つが水素原子でありうる4つの異なる基がそこに結合した炭素原子を含む。
キット
一態様において、本発明は、キット中の本発明の触媒を提供する。
キットは、1つ又は複数のさらなる触媒を含みうる。さらなる触媒は、本明細書に記載のエチレン基の還元のような還元反応における使用のためのものであることができる。
さらに又は或いは、さらなる触媒は、還元反応でないか又はエチレン基の還元でない反応における使用のためのものであることができる。
一実施態様において、さらなる触媒は生体触媒である。よって、各触媒は酵素活性を有する。
触媒は、他の触媒又はキットの他の構成要素から空間的に分離されうる。よって、触媒は、ウエルプレートのウエル中、又は別々のバイアル若しくは他の容器中に提供されうる。
本発明のキットは、還元触媒を1つ又は複数の他の触媒と一緒に有するキットであることができ、ここで、還元触媒は、配列番号1に対して少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである。これは、還元触媒を1つ又は複数の他の触媒と一緒に有するキットであることができ、ここで、還元触媒は、配列番号7と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである。これは、還元触媒を1つ又は複数の他の触媒と一緒に有するキットであることができ、ここで、還元触媒は、配列番号9と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドである。
キットは、キットの使用のための説明書とともに提供されうる。任意選択で、キットは、触媒とともに使用するための追加の試薬とともに提供されうる。例えば、補助因子、バッファー、溶媒などが提供されうる。バッファーは、後の再水和のために濃縮形態で提供されうる。
さらなる触媒のうちの1つ又はすべてが酵素触媒でありうる。
一実施態様において、キットは、トランスフェラーゼ活性、ヒドロラーゼ活性、リアーゼ活性、イソメラーゼ活性及びリガーゼ活性からなる群から選択される活性を有する1つ又は複数の触媒をさらに含む。
一実施態様において、キットは、リパーゼ活性、エステラーゼ活性、(ペプチダーゼ活性を含む)アミダーゼ活性、グリコシダーゼ活性、グリコールトランスフェラーゼ活性、エポキシダーゼ活性、(ニトリルヒドラターゼ活性を含む)ニトリラーゼ活性、ヒドロキシル化活性、(アルコールデヒドロゲナーゼ活性を含む)デヒドロゲナーゼ活性、ジヒドロキシル化活性、バイヤー・ビリガー(Baeyer−Villiger)酸化活性、アルドラーゼ活性、オキシニトリラーゼ活性、アミノトランスフェラーゼ活性及び補助因子再生活性からなる群から選択される活性を有する1つ又は複数の触媒をさらに含む。
さらに又は或いは、キットは、エンレダクターゼ活性である活性を有する触媒を含む。
一実施態様において、キットは、キット中の1つ又は各触媒のための基質とともに提供される。基質は、例えば、キット内の触媒の活性を確立するための、参照基質として提供されうる。
一実施態様において、キットは、各触媒の使用のための説明書とともに提供される。
他の実施態様
上記の実施態様の適合性の組み合わせはいずれもみな、いずれの組み合わせも個別にかつ明白に記述されるかのように、明白に本明細書に開示される。
本開示を考慮して、本発明の多様なさらなる態様及び実施態様が当業者に明らかとなる。
本明細書中で使用される場合、「及び/又は」は、2つの特定された特徴又は構成要素それぞれの、他方と一緒の又は一緒でない具体的な開示として受け止められるべきである。例えば、「A及び/又はB」は、本明細書中にそれぞれが個別に示されるかのように、(i)A、(ii)B並びに(iii)A及びBのそれぞれの具体的な開示として受け止められるべきである。
別段の定めのない限り、上で示される特徴の説明及び定義は、本発明のいかなる特別な態様又は実施態様に限定されるものでなく、記載されたすべての態様及び実施態様に等しく当てはまる。
本発明のある一定の態様及び実施態様が、例として、そして上記の図面を参照して例解される。
実験
触媒
ENE−101を、標準的な発現技術を用いて大腸菌内で発現させた。大腸菌内でのENE−101の発現のために最適化された核酸配列(配列番号3)を、IPTG誘導性の発現のための標準的な発現ベクター中へクローニングした。
いくつかの実験において、1つ又は複数のN末端タグを有する、ENE−101をコードする(非コドン最適化)核酸配列(配列番号5及び配列番号7)を発現させ、触媒活性を有することを確認した。
細胞を採取すること、バイオマスを回収すること及びバイオマスをバッファー(0.1Mのリン酸カリウム、pH7.0)に再懸濁すること、懸濁液を溶解すること及び細胞デブリを除去して、清澄化した細胞ライセートを提供することによって、ENE−101調製物を生成した。いくつかの実験において、溶解バッファーは、20μMのFMN(フラビンモノノヌクレオチド)及び5mMのMgSO4を含有した。20μMのFMN及び5mMのMgSO4を溶解バッファーに含めることは、ENE−101活性の10%増大をもたらした。清澄化した細胞ライセートを最初に、0.5μm及び0.2μmの孔サイズのフィルターを通してろ過し、次いで、限外ろ過によってさらに濃縮して、ENE−101調製物を提供した。そのようなENE−101調製物は、直接使用するか又は後の再構成及び使用のために凍結乾燥しうる。ENE−101調製物は、1−オクテン−3−オンを参照基質として用いる上記アッセイによって決定した、典型的に約5Umg−1の触媒を含む。
活性試験のために、配列番号3を発現するベクターを用いてENE−101調製物を作成した。
配列番号1の触媒の使用を以下に記載する。これを、ENE−101と呼ぶ。
実験手順1
50μLの凍結乾燥したENE−101調製物の水溶液(1試験あたり、100mg/mL;5mgの酵素)を、900μLの水性媒体、pH7(250mMのリン酸カリウムバッファー、pH7、1.1mMのNAD+、30mMのD−グルコース、10U/mLのGDH)及び50μLの基質のトルエン溶液(400mM、基質の最終濃度20mM)を含有した反応バイアルに添加した。バイアルを35℃で3、6及び18時間、振盪した。1mLのEtOAcを添加後、反応バイアルをボルテックスし、遠心分離した。有機相のサンプルを、GCにより分析して、変換及びeeを測定した。
結果を表1に示す。
いくつかの実験における変換値は、採用した特定の反応条件下では比較的低いことがわかった。しかしながら、副生成物は観察せず、未反応の基異質が残った主な構成要素だった。基質が回収され、次の反応において再使用されうると仮定すると、生成物の収率は、比較的高いと考えられる。
a GCにおける生成物のピークの積算(未補正のGC面積)。
b 反応媒体中における生成物eeの浸食が観察された。この浸食は、酵素により触媒されたものではない。
c eeは決定されなかった。
c Stereo.は、生成物の割り当てられた立体化学を指す。
3−メチル−2−シクロペンテノン(エントリー1、2及び3)及び3−メチル−2−シクロヘキセノン(エントリー4、5及び6)の還元は、両場合において、遅くかつ一部のみの変換が得られたことを証明した。エナンチオ選択性は、両基質で卓越していた。
一方、2−メチル−2−シクロペンテノンは、非常に活性で、迅速に反応したことを証明した。対応する生成物、2−メチルシクロペンタノンが、反応条件下でラセミ化することに注目されたい。
図1は、表1に列挙した基質のうちの4つに関する、反応時間(時間)の変化にともなう変換%の変化を示す。
濃度試験
ENE−101によってより活性であることが証明された基質を、次に、3つの異なる濃度:50、100及び300mMで試験した。これらの試験では、実験手順1に従った。グルコース、ENE−101、GDH及びNADの量を、基質濃度に従ってスケールアップしたため、当量数は一定のままであった。上記実験手順に記載のとおり、反応のために、250mMのリン酸バッファー、pH7.0を使用した。反応が起こるときのpHを調節することは試みなかった。これは、高い基質濃度においては、生成されたグルコン酸が完全に中和されず、したがって、媒体のpHを、ENE−101が働くには酸性としすぎる可能性があることを意味する。
結果を表2に示す。
a GCにおける生成物のピークの積算(未補正のGC面積)。
b 反応媒体中における生成物eeの浸食が観察された。この浸食は、酵素により触媒されたものではない。
c eeは決定されなかった。
図2は、表1に列挙した基質のうちの3つに関する、反応時間(時間)の変化及び基質濃度の変化にともなう変換%の変化を示す。
試験したほとんどの基質について、反応時間を3から18時間に増加させた場合に、変換が顕著に改善しなかったことが注目される。これは、高い基質濃度において特に顕著であり、反応媒体のpHが、酵素が働くには、酸性に変化しすぎて、変換を停止させたことを示す。これを、3及び18時間後の反応バイアルのpHを測定することによって証明した。
試験した例のいずれにおいても、300mMもの高濃度においてさえ、生成物又は基質による阻害の証拠はなかった。これは、300mM以下の濃度で(おそらくより高濃度でも)これらの還元を行うことが可能であるはずで、反応媒体のpHの制御を一緒に行うことが理想的であることを示す。
pH試験
pH試験においては、さらなる試験のための試験基質として、シトラール(3,7−ジメチル−2,6−オクタジエナール)を選択した。次いで、バッファーのpHの効果を試験し、結果を図3に示す。
短い反応時間(典型的に、約1分)から見て、反応混合物のpHは、反応手順の間を通じて実質的に一定であると仮定した。
反応性を側光アッセイにより決定した−NADHの酸化により引き起こされた340nmの吸収の減少は、ENE−101の触媒活性の尺度である。アッセイ濃度:1mLの反応混合物中、最終濃度は、0.1Mのリン酸カリウム、pH7.4、10mMの基質、15mMのNADH及び0.4mgのENE−101である。
バックグラウンド活性(基質非存在下におけるNADHの吸収の減少)を、各pH値について測定した。pH6から6.5及びpH8から9ではより高いことがわかった。ENE−101は、pH6.5から8の間で安定かつより活性であることがわかった。
温度プロフィール及び安定性
ENE−101の温度プロフィールも試験し、バックグラウンド活性を各温度について測定し、酵素を用いて測定した活性から差し引いた。結果を図4に示す。
pH試験に関して上記した側光アッセイによって反応性を決定した。基質はシトラールであった。
ENE−101の安定性を、3つの異なる温度(30、40及び50℃)において試験した。前のとおり、バックグラウンド活性を測定し、除した。残存活性の結果を図5に示す。ここでも、反応性を側光アッセイにより決定し、基質はシトラールであった。
図5の結果は、ENE−101が、40℃未満の温度ではかなり安定であるが、50℃においては急速に失活することを示している。
溶媒及び添加物の効果
比較的反応性の基質、2−メチルシクロペンテノンを用いて、溶媒及び添加物の効果を試験した。実験手順1に従って、異なる共溶媒を5体積%において比較した。生成物の収率及びeeに関するこの比較の結果を図6に示す。
前述のとおり、還元生成物、2−メチルシクロペンタノンは、反応条件下でラセミ化した。試験した共溶媒の中では、変換を改善し又は顕著な程度にラセミ化を防止するものはないように見えた。
同一条件下で、反応混合物への(0.1及び0.3体積%の)界面活性剤の添加の効果を評価した。結果を図7に示す。
示した体積で試験した共溶媒の中では、変換を改善し又は顕著な程度にラセミ化を防止するものはないように見えた。
スケールアップ実験
工業的に有用なレベルの触媒の有用性を示すために、続いて、より大規模に触媒反応を実行した。
以下のスキーム1に示すとおり、スケールアップした反応で還元を検討した。
温度制御し(40℃)、pH制御した投与ポンプを備え、磁力により攪拌した(600rpm、卵型の攪拌子)50mL丸底フラスコ中へ、脱イオン水(36.3mL)、K2HPO4(597mg)及びKH2PO4(27mg)を導入した。これは、0.1Mのリン酸バッファー溶液、pH8.0をもたらした。次いで、D−グルコース一水和物(8.2g)を添加し、溶液のpHを7.1まで低下させた。温度が安定した後、NaCl(1.68g)、続いてENE−101(1.0g)、GDH(103mg;4.88U/mg;500U)、NAD(166mg)及び1−アセチルシクロヘキセン(4.67g;37.6ミリモル)を添加した。
GC分析によって完全な変換が観察されるまで、反応を40℃で攪拌した。定常的なpH7.0を維持するために、反応に45%のNaOH溶液を投与した。
変換をモニターするために、規則的な間隔で反応からサンプル(50μL)を採取した。それらをDCM(1.5mL)で処理し、ボルテックスし、遠心分離して、不溶性の材料を除去し、GCにより分析して、変換を測定した。20時間後、GCによって、生成物への99.3%の変換を観察した。図8及び9に反応プロフィールを見出すことができる。
前に記載したものと同一の手順に従って、2倍の基質濃度で反応を繰り返した。この場合、リン酸バッファー0.1M、pH8.0(24.8mL)中、D−グルコース一水和物(15.4g;77.7ミリモル)、塩化ナトリウム(1.68g)、NAD(316mg;0.47ミリモル)、GDH(103mg;4.88U/mg;500U)及びENE−101(1.0g)の溶液を、1−アセチルシクロヘキセン(9.34g;75.2ミリモル)で処理する前に、40℃の磁力により攪拌した丸底フラスコに入れた。反応を40℃において96時間攪拌した。定常的なpH7.0を維持するために、反応に45%のNaOH溶液を投与した。
変換をモニターするために、規則的な間隔で反応からサンプル(25μL)を採取した。それらをDCM(1.5mL)で処理し、ボルテックスし、遠心分離して、不溶性の材料を除去し、GCにより分析して、変換を測定した。26時間後、GCによって、生成物への75%の変換を観察した(1.125Mの生成物濃度)。反応をスローダウンし、95%変換で停止した。図8及び9に反応プロフィールを見出すことができる。
以下のスキーム2に示すとおり、スケールアップしたさらなる反応で還元を検討した。
温度制御し(40℃)、pH制御した投与ポンプを備え、磁力により攪拌した(600rpm、卵型の攪拌子)50mL丸底フラスコ中へ、脱イオン水(36.8mL)、K2HPO4(597mg)及びKH2PO4(27mg)を導入した。これは、0.1Mのリン酸バッファー溶液、pH8.0をもたらした。次いで、D−グルコース一水和物(8.2g)を添加し、溶液のpHを7.1まで低下させた。温度が安定した後、NaCl(1.68g)、続いてENE−101(1.0g)、GDH(103mg;4.88U/mg;500U)、NAD(166mg)及びイタコン酸ジメチル(5.9g;37.3ミリモル)を添加した。GC分析によって完全な変換が観察されるまで、反応を40℃で攪拌した。定常的なpH7.0を維持するために、反応に45%のNaOH溶液を投与した。
変換をモニターするために、規則的な間隔で反応からサンプル(50μL)を採取した。それらをDCM(1.5mL)で処理し、ボルテックスし、遠心分離して、不溶性の材料を除去し、GCにより分析して、変換を測定した。43時間後、GCによって、生成物への99%の変換(>99.9%ee、Rエナンチオマー)を観察した。図10及び11に反応プロフィールを見出すことができる。
さらなる実験データ
触媒
ENE−102及びENE−103を、タグを含んで(例えば、N末端T7及びHisタグとともに)又はタグを含まずに生成した。
ENE−102及びENE−103を、上記のENE−101と類似した方法で生成した。ENE−102及びENE−103調製物は、典型的に、1−オクテン−3−オンを参照基質として使用する上記のアッセイにより一般的に記載した、NADPHを補助因子として使用する約1−2Umg−1の触媒調製物を含む。
これらのさらなる実験データは、比較の容易のために、すでに上で提示したデータを含む。
酵素ENE−101、ENE−102及びENE−103の基質範囲を定義するために、それらを多数の基質(活性型C=C結合)に対して試験した。(「実験手順2」に記載の)同一の条件下で反応を行い、3、6及び18時間後にサンプルを採取し、GCにより分析して、変換及びエナンチオマー過剰率を測定した。これらの反応からの結果を表3に記載する。
実験手順2:50μLの凍結乾燥した酵素ENE−101、ENE−102及びENE−103調製物の水溶液(1試験あたり、100mg/mL;5mgの酵素)を、900μLの水性媒体、pH7(250mMのリン酸カリウムバッファー、pH7、1.1mMのNAD
+、30mMのD−グルコース、10U/mLのGDH)及び50μLの基質のトルエン溶液(400mM、基質の最終濃度20mM)を含有した反応バイアルに添加した。バイアルを35℃で3、6及び18時間、振盪した。1mLのEtOAcを添加後、反応バイアルをボルテックスし、遠心分離した。有機相のサンプルを、GCにより分析して、変換及びeeを測定した。
a GCにおける生成物のピークの積算(未補正のGC面積)。
b 反応媒体中における生成物eeの浸食が観察された。この浸食は、酵素により触媒されたものではない。
c eeは決定されなかった。
3−メチル−2−シクロペンテノン及び3−メチル−2−シクロヘキセノンの還元は、ENE−101及びENE−102の両方において、遅くかつ一部のみの変換が得られたことを証明した。しかしながら、エナンチオ選択性は、両基質で卓越していた。ENE−103は、これらの基質に対して明らかに不活性であった(データは示さない)。ENE−103が、2−メチル−2−シクロペンテノン及び1−(シクロヘキセン−1−イル)エタノン(表3中のエントリー16及び17)のような、構造的に関連した形態について活性を有することを観察したため、これは、不活性のめったにない事例のように見える。
2−メチル−2−シクロペンテノンは、3つの酵素によって急速に還元された。あいにく、対応する生成物、2−メチルシクロペンタノンは、反応条件下でラセミ化した。
α−置換されたエノンが、β−置換されたものよりも、より急速に、旧黄色酵素によって還元されることが報告されている。例えば、シュワネラ(Shewanella)OYE(SYE−4)(Iqbal等、2012)、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)由来のエノエートレダクターゼ並びにクリベロマイセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)由来(KYE1)及びエルシニア・ベルコビエリ(Yersinia bercovieri)由来(Yers−ER)のOYE(Yanto等、2011;Hall等、2008)で還元ついての報告を参照されたい。
図12は、表3に報告したデータを示す。
より還元が容易であることが証明された基質を、次に、3つの異なる濃度:50、100及び300mMで試験した。3つの試験について実験手順2に従った。グルコース、ENE、GDH及びNADの量を、基質濃度に従って増加させたため、当量数は一定のままであった。実験手順に記載のとおり、反応のために、250mMのリン酸バッファー、pH7.0を使用した。反応が起こるときのpHを調節することは試みなかった。これは、高い基質濃度においては、生成されたグルコン酸が完全に中和されず、媒体のpHを、ENEが働くには酸性としすぎる可能性があることを意味する。
表4並びに図13A及び13Bに、これらの試験からの結果を見出すことができる。
a GCにおける生成物のピークの積算(未補正のGC面積)。
b 反応媒体中における生成物eeの浸食が観察された。この浸食は、酵素により触媒されたものではない。
c eeは決定されなかった。
試験したほとんどの基質について、反応時間を3から18時間にした場合に、変換が顕著に改善しなかった。これは、高い基質濃度において特に顕著であり、反応媒体のpHが、酵素が働くには、酸性に変化しすぎて、変換を停止させたことを示す。これを、3及び18時間後の反応バイアルのpHを測定することによって証明した。
実験のいずれにおいても、300mMもの高濃度においてさえ、生成物又は基質による阻害の証拠はなかった。これは、300mM以下、又は300mMよりも高い濃度でこれらの還元を行うことが可能であることを示す。反応媒体のpHを調節することは、高い基質濃度を使用する反応をさらに改善しうる。
スケールアップ実験
1−アセチルシクロヘキセンの還元
温度制御し(40℃)、pH制御した投与ポンプを備え、磁力により攪拌した(600rpm、卵型の攪拌子)50mL丸底フラスコ中へ、脱イオン水(36.3mL)、K2HPO4(597mg)及びKH2PO4(27mg)を導入した。これは、0.1Mのリン酸バッファー溶液、pH8.0をもたらした。次いで、D−グルコース一水和物(8.2g)を添加し、溶液のpHを7.1まで低下させた。温度が安定した後、NaCl(1.68g)、続いてENE(−101、−102又は−103、1.0g)、GDH(103mg;4.88U/mg;500U)、NAD(166mg)及び1−アセチルシクロヘキセン(4.67g;37.6ミリモル)を添加した。GC分析によって完全な変換が観察されるまで、反応を40℃で攪拌した。定常的なpH7.0を維持するために、反応に45%のNaOH溶液を投与した。
ENE−102については、750mMにおいて長時間後でさえ、変換が不完全であったため、300mMにおいて反応を繰り返し、結果として、一夜で完全な変換を生じた。ENE−101については、2倍の濃度、1500mMで反応を繰り返した
前に記載したものと同一の手順に従って、2倍の基質濃度で反応を繰り返した。この場合、リン酸バッファー0.1M、pH8.0(24.8mL)中、D−グルコース一水和物(15.4g;77.7ミリモル)、塩化ナトリウム(1.68g)、NAD(316mg;0.47ミリモル)、GDH(103mg;4.88U/mg;500U)及びENE−101(1.0g)の溶液を、1−アセチルシクロヘキセン(9.34g;75.2ミリモル)で処理する前に、40℃の磁力により攪拌した丸底フラスコに入れた。反応を40℃で96時間攪拌した。定常的なpH7.0を維持するために、反応に45%のNaOH溶液を投与した。
変換をモニターするために、規則的な間隔で異なる反応からサンプル(50μL)を採取した。それらをDCM(1.5mL)で処理し、ボルテックスし、遠心分離して、不溶性の材料を除去し、GCにより分析して、変換を測定した。図14及び15に異なる反応のプロフィールを見ることができる。
温度制御し(40℃)、pH制御した投与ポンプを備え、磁力により攪拌した(600rpm、卵型の攪拌子)50mL丸底フラスコ中へ、脱イオン水(36.8mL)、K2HPO4(597mg)及びKH2PO4(27mg)を導入した。これは、0.1Mのリン酸バッファー溶液、pH8.0をもたらした。次いで、D−グルコース一水和物(8.2g)を添加し、溶液のpHを7.1まで低下させた。温度が安定した後、NaCl(1.68g)、続いてENE(−101、−102又は−103、1.0g)、GDH(103mg;4.88U/mg;500U)、NAD(166mg)及びイタコン酸ジメチル(5.9g;37.3ミリモル)を添加した。
GC分析によって完全な変換が観察されるまで、反応を40℃で攪拌した。定常的なpH7.0を維持するために、反応に45%のNaOH溶液を投与した。
変換をモニターするために、規則的な間隔で反応からサンプル(50μL)を採取した。それらをDCM(1.5mL)で処理し、ボルテックスし、遠心分離して、不溶性の材料を除去し、GCにより分析して、変換を測定した。GCによって、生成物への95%を超える変換(>99.9%ee、Rエナンチオマー)を3つの酵素に関して観察した。図16及び17に反応プロフィールを見ることができる。
参考文献
本発明及び本発明の属する分野の技術水準をより完全に説明し、開示するために、多くの刊行物が上で引用される。これらの参考文献の完全な引用が以下に提供される。これら各参考文献の全体が本明細書に組み込まれる。
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