JP2017521699A - 合成ダイヤモンド光学素子 - Google Patents

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Abstract

光学素子であって、合成ダイヤモンド材料と、合成ダイヤモンド材料の少なくとも1つの表面内に直接形成された光学表面パターンとを有し、光学表面パターンは、トレンチによって互いに隔てられた複数の突出部を含み、突出部は、周期数dで互いに間隔を置いて配置され、周期数は、0次回折次数限界の65〜99%であり、非0次回折次数は、0次回折次数限界よりも上において動作波長λで観察され、光学表面パターンは、0.1から0.6までの範囲にあるフィルフラクションを有し、フィルフラクションは、[一周期ユニット中の突出部面積]/[周期ユニットの面積]として定義され、光学素子は、室温で測定して10.6μmの波長で≦0.2cm-1の吸収係数を有することを特徴とする光学素子。【選択図】図2

Description

本発明は、合成ダイヤモンド光学素子に関する。或る特定の実施形態は、薄膜の反射防止膜を有する合成ダイヤモンド光学素子の代替物の提供に関する。特定の実施形態は、高出力又はハイパワー光学用途に適した光学特性、熱的特性、及び機械的特性を備えた合成ダイヤモンド光学素子に関するが、本明細書において説明する合成ダイヤモンド光学素子は、反射防止膜を設けることが機械的堅牢さ、化学的不活性、低吸収度(吸光度)、及び高い熱伝導率を含む要因に起因して望ましくないような他の用途において使用できる。或る特定の別の実施形態は、これら特性を備えた複屈折ダイヤモンド光学素子の提供に関する。
合成ダイヤモンド光学素子に施される標準型の薄膜の反射防止膜は、反射を最小限に抑えるという面で優れた性能を有するが、高出力光学系では、かかる反射防止膜が損傷を受けやすいのでこれらの使用が制限される。高い吸収度及び/又は貧弱な又は低い熱伝導率に起因して、反射防止膜は、どのような合成ダイヤモンド窓においても弱点になる傾向があり、その結果、低いレーザ誘導損傷しきい値(LIDT)の合成ダイヤモンド窓が生じる。さらに、薄膜反射防止膜の吸光レベルが比較的低い場合であっても、薄膜は、高出力密度光学用途では依然として破損する場合がある。例えば、20kWレーザシステムの場合、薄膜反射防止膜の損傷は、問題であり、現行の技術的手段としての薄膜反射防止膜は、40kW以上で動作するレーザシステムと適合性のあることはまずない。かかる高出力レーザシステムは、集積回路加工を小さな寸法に合わせて行うためにレーザ誘導プラズマ(LPP)極紫外線(EUV)リソグラフィシステムを含む多くの用途にとって望ましい。かかる極端な光学用途は、極端に高出力密度を取り扱うことができる合成ダイヤモンド窓を必要とするが、これには、(1)所要の寸法及び低い光学反射率/吸収(吸光)度/散乱量を含む所望のバルク光学特性を備えた合成ダイヤモンド材料、及び(2)極端に高いパワー密度を取り扱うことができる反射防止表面仕上げの組み合わせが必要である。薄膜反射防止膜は、例えば引っ掻き又は研磨を受ける場合、これらの機械的健全性の面でも問題となる場合がある。
薄膜反射防止膜の代替手段として、反射防止表面パターン、例えばモスアイ(moth-eye)型構造体を光学窓材料の表面内に直接形成することが知られており、その目的は、被膜を必要としないで反射防止表面仕上げを提供することができるからである。かかる反射防止表面パターンが或る範囲の光学窓材料に首尾良く作製されたが、合成ダイヤモンド窓へのこの技術の利用は、課題となることが判明した。かかる表面仕上げの反射防止性能は、ダイヤモンド材料の極端に高い硬度、低い靱性及び化学的不活性のために正確に規定された表面パターンをダイヤモンド材料中に加工する際の困難に起因して変化しやすかった。多結晶ダイヤモンド材料の表面処理は、多結晶ダイヤモンド材料が種々の配向及び種々の処理速度を有するダイヤモンド結晶粒を含むと言うことによって更に複雑になる。さらに、反射防止表面構造体をダイヤモンド材料中に形成するのに必要な処理方法の結果として、相当な表面及び表面下結晶損傷がダイヤモンド材料中に生じた。合成ダイヤモンド窓中のこの表面及び表面下損傷により、多くの相互に関連する悪影響が生じ、かかる悪影響としては、(1)合成ダイヤモンド窓のレーザ誘導損傷しきい値の減少、(2)合成ダイヤモンド窓の動作可能なパワーの減少、及び(3)表面及び表面下損傷により生じるビーム収差の結果として合成ダイヤモンド窓の光学性能の低下が挙げられる。したがって、表面及び表面下結晶損傷を生じさせることなく合成ダイヤモンド窓中に正確に規定された反射防止表面構造体を形成して低吸収度、低反射率、高いレーザ誘導損傷しきい値及び合成ダイヤモンド窓を通る透過の際のビーム収差を最小限に抑えた高い光学性能を有する合成ダイヤモンド窓を達成する方法を開発することが望ましい。加うるに、低コストであり、既存の材料加工と適合性があり、しかも広い面積にわたってスケール変更可能なプロセスを提供することが望ましい。
上述の説明と関連して、多くの先行技術文献が反射防止表面構造体を以下に説明するようにダイヤモンド窓材料中に作製する技術を開示している。しかしながら、上述した特徴の組み合わせを達成した先行技術は存在していないと思われる。
「マテリアルズ・フォア・インフラレッド・ウィンドウズ・アンド・ドームズ(Materials for Infrared Windows and Domes)」[(ダニエル・ハリス(Daniel Harris),ジ・インターナショナル・ソサエティ・フォア・オプティカル・エンジニアリング(The International Society for Optical Engineering),1999年]において、セクション6.1.1では、モスアイ型表面構造体をダイヤモンド材料中に直接形成して反射を減少させることができるということが開示されている。この場合、かかる表面構造体は、最初に逆モスアイ型構造体をリソグラフィ技術によりシリコン中にエッチングし、次に化学気相成長によりダイヤモンド材料をエッチングされた表面上に成長させることによって作製できることが開示されている。次に、シリコンを溶解させてモスアイ型構造体を備えたダイヤモンド材料を残す。平坦な外面を備えた外側ダイヤモンド層を含む多層構造体が10μmの波長で約18%の反射率を有することが記載されており、外側ダイヤモンド層の前側フェースからの単一表面反射率(15%)の方がこの反射率よりも勝っている。平坦なダイヤモンド外面に代えてモスアイ型構造体を用いた場合、反射率は、10μmの波長では7%に減少する。
この方式に関する1つの問題は、反射率が依然として比較的高いことであり、これは、逆モスアイ型構造体を基板中にエッチングし、次にダイヤモンド材料を化学気相成長によりエッチングされた表面上で成長させる技術によってはダイヤモンド材料中に正確に規定された反射防止構造体を容易には達成することができないことに起因している。さらに、パターン付けされた基板上でのダイヤモンド材料の成長により、ダイヤモンド材料内に結晶欠陥、例えば転位が増加する場合があり、かかる結晶欠陥は、ダイヤモンド材料の光学的性質に悪影響を及ぼす。この方式の更にもう1つの弱点は、最初の光学素子が熱コンダクタンスが減少すると共に光吸収度が増大した初期核生成ダイヤモンドを不可避的に含むことになるということにある。
米国特許第5,334,342号明細書は、逆モスアイ型構造体を基板中にパターン付けし、ダイヤモンド材料をパターン付けされた基板上で成長させ、次に基板を除去してモスアイ型表面構造体を備えたダイヤモンド材料を残すことによってダイヤモンド材料中にモスアイ型表面構造体を作製する同様な方法を開示している。
ジェイ・エフ・デナターレ他(J. F. DeNatale et al.),[「ファブリケーション・アンド・キャラクタライゼイション・オブ・ダイヤモンド・モス・アイ・アンチリフレクティブ・サーフェス・オン・ゲルマニウム(Fabrication and characterization of diamond moth eye antireflective surfaces on Germanium)」,ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス71(J. Appl. Phys. 71),1992年,p.1388]は、ゲルマニウム基板に表面レリーフ(モスアイ)構造体をパターン付けし、次に薄いダイヤモンド膜をパターン付けされた基板上で過剰に成長させて薄いダイヤモンド膜がパターン付けされた基板の下に位置する表面構造体を保持するようにすることによる同様な方式を開示している。空気と複合材基板との間の有効屈折率の漸次変化は、フレネル反射損失を1%未満まで減少させたことが記載されている。これは、多結晶ダイヤモンド薄膜の光学用途を制限する場合の多い高い屈折率及び表面粗さに関する課題を解決する手段となる。しかしながら、かかるモスアイ型構造体を自立型ダイヤモンド窓中にどのように作製するかについての開示はなく、反射損失を1%未満まで減少させたが、ダイヤモンド材料の品質に敏感であるダイヤモンド材料のレーザ誘導損傷しきい値についての開示は、存在しない。ダイヤモンド材料の品質は、この場合、品質が劣るようになる恐れがある。というのは、ダイヤモンド材料をパターン付けされたゲルマニウム基板上で成長させるからである。
ティー・ブイ・コノネンコ(T. V. Kononenko),[「フォーメイション・オブ・アンチリフレクティブ・サーフェス・ストラクチャーズ・オン・ダイヤモンド・フィルムズ・バイ・レーザ・パターニング(Formation of antireflective surface structures on diamond films by laser patterning)」,アプライド・フィジックスA(Applied Physics A ),1999年1月,第68巻,第1号,p.99〜102]は、上述した先行技術で開示されている基板パターン付け及びダイヤモンド過剰成長技術の代替手段を開示している。この論文は、レーザアブレーション技術によるダイヤモンド表面微細構造化を記載している。ダイヤモンド膜の光透過率は、レーザアブレーションにより微細構造化表面を形成することによって10.6μmの波長で70%から80%に増大することが判明した。
ダグラス・ホッブス(Douglas Hobbs ),[「スタディ・オブ・ジ・エンバイロメンタル・アンド・オプティカル・デュラビリティ・オブ・AR・マイクロストラクチャーズ・イン・サファイア・ALON・アンド・ダイヤモンド(Study of the Environmental and Optical Durability of AR Microstructures in Sapphire, ALON, and Diamond)」,www.telaztec.com]も又、ダイヤモンド材料中へのモスアイ型反射防止表面微細構造体の直接的な作製を報告している。未処理のダイヤモンド膜について約70%という値と比較して10μmの波長で約80%の透過率を有する反射防止表面構造体を備えたダイヤモンド窓が作製されたことが報告されている。これらの結果は、ダイヤモンド表面をパターン付けするためのレーザアブレーション技術を用いるコノネンコによって報告された結果とほぼ同じであるように思われる。
ホッブスは又、パルス長が100nsでありパルス繰り返し周波数が4Hzの状態で9.56μmで動作するパルスCO2レーザを用いてレーザ誘導損傷しきい値について反射防止微細構造化ダイヤモンド窓について試験したことを開示している。試験結果は、ダイヤモンド材料の性状に起因して変化しやすく且つ一貫しなかったが、測定した損傷しきい値が50〜100J/cm2の範囲にあり、これが薄膜反射防止膜で達成できるレベルよりも非常に高いレベルであることが示されている。
2つの重要なポイントをホッブスの論文から注目することができる。第1に、80%という透過率の値は、依然としてかなり低く、このことは、ダイヤモンド材料の品質が比較的貧弱であり、ダイヤモンド窓内に作製された表面構造体が正確には規定されていないことを示しており、或いは、相当大きな表面又は表面下損傷が反射防止表面微細構造体を形成する際にダイヤモンド結晶構造体中にもたらされたことを示している。第2に、この論文は、反射防止表面構造体をダイヤモンド窓内にどのように作製したかを示していない。
反射防止表面構造体をダイヤモンド窓内に作製する上述の方法では、基板のパターン付け及びダイヤモンド過剰成長かレーザアブレーションによる直接パターン付けかのいずれかが行われる。別の技術は、反射防止表面構造体をダイヤモンド窓中に直接エッチングすることである。例えば、スウェーデン国のウプサラ大学から発行された種々の刊行物は、ダイヤモンド材料中への表面構造体の誘導結合プラズマエッチングに的を絞っており、かかる刊行物としては、エム・カールソン(M. Karlsson),ケイ・ヨルト(K. Hjort),エフ・ニコラジェフ(F. Nikolajeff),「トランスファ・オブ・コンティニュアス−レリーフ・ディフラクティブ・ストラクチャーズ・イントゥ・ダイヤモンド・バイ・ユーズ・オブ・インダクティブリー・カップルド・プラズマ・ドライ・エッチング(Transfer of continuous-relief diffractive structures into diamond by use of inductively coupled plasma dry etching)」,オプティクス・レターズ26(Optics Letters 26),2001年,p.1752〜1754、エム・カールソン(M. Karlsson),エフ・ニコラジェフ(F. Nikolajeff),「ファブリケーション・アンド・エバリュエーション・オブ・ア・ダイヤモンド・ディフラクテイブ・ファン−アウト・エレメント・フォア・ハイ・パワー・レーザーズ(Fabrication and evaluation of a diamond diffractive fan-out element for high power lasers)」,オプティクス・エクスプレス11(Opt. Express 11),2003年,p.191〜198、及びエム・カールソン(M. Karlsson),エフ・ニコラジェフ(F. Nikolajeff),「ダイヤモンド・マイクロ−オプティクス:マイクロレンジズ・アンド・アンチリフレクション・ストラクチャード・サーフェス・フォア・ジ・インフラレッド・スペクトラル・リジョン(Diamond micro-optics: Microlenses and antireflection structured surfaces for the infrared spectral region)」,オプティクス・エクスプレス11(Opt. Express 11),2003年,p.502〜507が挙げられる。
ウプサラグループは、ダイヤモンドを利用したオプティクスが耐損傷性、熱的レンズ効果の減少及びUV領域から遠IRスペクトル領域までの透明性に起因して高出力レーザオプティクスに関して魅力的な代替手段を提供している。ウプサラグループは、ダイヤモンドを利用したオプティクスのための良好な表面パターン付けの必要性を強調すると共に誘導結合プラズマエッチング方式を提案しており、かかる誘導結合プラズマエッチング方式では、直接描画式電子ビームリソグラフィを用いてレジスト層を光学品質の合成ダイヤモンド上にパターン付けし、次に、誘導結合プラズマ(ICP)内でドライエッチングする。ダイヤモンドエッチングに用いられるガスは、O2及びArであり、典型的なICPエッチング方式が7sccm(毎分標準立方センチメートル)のO2及び8sccmのArのガス流量、2.5mTorrのチャンバ圧力、600WのICPパワー、−100〜−180Vの間で変化するバイアス電圧、2〜20分のサンプルエッチング時間を含むものとして開示されている。
サブ波長を反射防止構造体を正確に設計してこれらをダイヤモンド窓の両側上に作製することによって、10.6μmの波長での透過率を71%(非構造化ダイヤモンド)からほぼ97%(微細構造化ダイヤモンドの場合)に増大させることが可能であることが示された。透過率のこの向上は、散乱された高い光パワーの一部分であっても、これにより深刻な問題が生じる場合のある高出力レーザにとっては極めて重要であることが示されている。この技術の用途は、ネオジムヤグ(neodymium-doped yttrium aluminum garnet)(Nd:YAG)又はCO2レーザのための取り出し窓、サテライト窓(satellite windows)を含むと共に、X線オプティクス内で用いられるものとして記載されている。これらの用途では、駆動要因が主として、高い熱伝導率、高いレーザ損傷しきい値、及び光学窓の高い耐摩耗性であることが示されている。
反射防止表面構造体をダイヤモンド窓中に作製する際の上述の技術的進歩にもかかわらず、反射防止表面構造体を改良する必要性が依然として存在する。表面及び表面下結晶損傷を生じさせないで正確に規定された反射防止表面構造体を合成ダイヤモンド窓中に形成して低い反射率、高いレーザ誘導損傷しきい値、及び合成ダイヤモンド窓の透過の際のビーム収差を最小限に抑えた状態の高い光学性能を有する合成ダイヤモンド窓を達成することが望ましい。この点に関し、多くの先行技術文献は、上述したように反射防止表面構造体をダイヤモンド窓材料中に作製する技術を開示しているが、特徴のこの望ましい組み合わせを達成した先行技術は存在していないと考えられる。さらに、エッチングに先立つレジストのパターン付けのための直接描画式電子ビームリソグラフィプロセスは、時間がかかりしかも費用が嵩むことも又注目された。
上述の内容に照らして、本発明の実施形態の目的は、合成ダイヤモンド材料の表面上に直接形成された反射防止表面パターンを有すると共に低吸光度及び低屈折率を有する一方で、僅かな表面及び表面下結晶損傷を有し、かくして高いレーザ誘導損傷しきい値を示す合成ダイヤモンド光学素子を提供することにある。もう1つの目的は、かかる反射防止表面パターンをダイヤモンド材料内に作製する技術であって、比較的迅速であって低コストでありしかも許容可能な処理誤差内にある技術を開発することにある。
上述の背景技術情報は、合成ダイヤモンド材料の表面内に直接形成された反射防止表面パターンを有する合成ダイヤモンド光学素子の提供に関する。或る特定の用途に関し、複屈折光学素子を提供することが必要とされており、従って同様な問題が生じる。例えば、四分の一波長板及び二分の一波長板は、多くの用途において必要不可欠な光学コンポーネントであり、操作されるべき入射光の偏光を許容する。現行の波長板技術には、波長板サイズ及びレーザ誘導損傷しきい値(LIDT)を含む種々の問題点がある。特に、高出力レーザ用途に関し、LIDTは、波長板基板の発熱及び/又は波長板表面の被膜の発熱に起因して問題となる場合がある。
0次波長板の場合、レーザ誘導損傷は、特に問題となる場合がある。これは、0次波長板が典型的には互いに対して特定の向きで互いに貼り合わされた2つの複屈折材料片で作られているからである。この薄いセメント層は、典型的には、複屈折材料よりも多くのレーザエネルギーを吸収し、それにより発熱に関する問題を生じさせる場合がある。
互いに貼り合わされた2つの複屈折材料片の使用の代替手段として、複屈折表面パターンを光学窓の表面内に直接形成する場合があることが知られており、その目的は、別個の被膜材料を必要としないで複屈折表面仕上げを提供するからである。かかる複屈折表面パターンを或る範囲の光学窓材料で首尾良く作製したが、合成ダイヤモンド窓に対するこの技術の利用が、反射防止表面パターンに関して上述したのと同じ理由で問題であることが判明した。
ダイヤモンドサブ波長格子(グレーティング)を提供するという基本的な考え方が当該技術分野において知られている(これについては、ドラクロア他(Delacroix et al.),「デザイン、マニュファクチャリング、アンド・パフォーマンス・アナリシス・オブ・ミッド−インフラレッド・アクロマティック・ハーフ−ウェーブ・プレーツ・ウィズ・ダイヤモンド・サブウェーブレングス・グレーティングス(Design, manufacturing, and performance analysis of mid-infrared achromatic half-wave plates with diamond subwavelength gratings)」,アプライド・オプティックス51(Applied Optics 51),p.5897〜5902を参照されたい)。しかしながら、反射防止表面パターンについて上述したように、改良型複屈折表面構造体を提供することが依然として必要とされている。表面及び表面化結晶損傷を誘導させないで正確に規定された複屈折表面構造体を合成ダイヤモンド窓中に形成して合成ダイヤモンド窓を通る透過の際のビーム収差を最小限に抑えた状態で高いレーザ誘導損傷しきい値及び高い光学性能を有する合成ダイヤモンド窓を達成するプロセスを開発することが望ましい。この点に関し、多くの先行技術の特許文献が表面構造体を上述したようにダイヤモンド窓材料中に作製する技術を開示しているが、先行技術のうちでどれもこの所望の特徴の組み合わせを達成していないと考えられる。
上記内容に照らして、本発明の実施形態の目的は又、合成ダイヤモンド材料の表面内に直接形成された複屈折表面パターンを有すると共に表面及び表面化結晶損傷が少なく、かくして高いレーザ誘導損傷しきい値を呈する合成ダイヤモンド光学素子を提供することにある。別の目的は、比較的迅速であり、安価であり、しかも許容可能な処理誤差の範囲内にある、かかる複屈折表面パターンをダイヤモンド材料中に作製する技術を開発することにある。
米国特許第5,334,342号明細書
ダニエル・ハリス(Daniel Harris),「マテリアルズ・フォア・インフラレッド・ウィンドウズ・アンド・ドームズ(Materials for Infrared Windows and Domes)」ジ・インターナショナル・ソサエティ・フォア・オプティカル・エンジニアリング(The International Society for Optical Engineering),1999年 ジェイ・エフ・デナターレ他(J. F. DeNatale et al.),「ファブリケーション・アンド・キャラクタライゼイション・オブ・ダイヤモンド・モス・アイ・アンチリフレクティブ・サーフェス・オン・ゲルマニウム(Fabrication and characterization of diamond moth eye antireflective surfaces on Germanium)」,ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス71(J. Appl. Phys. 71 ),1992年,p.1388 ティー・ブイ・コノネンコ(T. V. Kononenko),「フォーメイション・オブ・アンチリフレクティブ・サーフェス・ストラクチャーズ・オン・ダイヤモンド・フィルムズ・バイ・レーザ・パターニング(Formation of antireflective surface structures on diamond films by laser patterning)」,アプライド・フィジックスA(Applied Physics A),1999年1月,第68巻,第1号,p.99〜102 ダグラス・ホッブス(Douglas Hobbs),「スタディ・オブ・ジ・エンバイロメンタル・アンド・オプティカル・デュラビリティ・オブ・AR・マイクロストラクチャーズ・イン・サファイア・ALON・アンド・ダイヤモンド(Study of the Environmental and Optical Durability of AR Microstructures in Sapphire, ALON, and Diamond)」,www.telaztec.com エム・カールソン(M. Karlsson),ケイ・ヨルト(K. Hjort),エフ・ニコラジェフ(F. Nikolajeff),「トランスファ・オブ・コンティニュアス−レリーフ・ディフラクティブ・ストラクチャーズ・イントゥ・ダイヤモンド・バイ・ユーズ・オブ・インダクティブリー・カップルド・プラズマ・ドライ・エッチング(Transfer of continuous-relief diffractive structures into diamond by use of inductively coupled plasma dry etching)」,オプティクス・レターズ26(Optics Letters 26),2001年,p.1752〜1754 エム・カールソン(M. Karlsson),エフ・ニコラジェフ(F. Nikolajeff),「ファブリケーション・アンド・エバリュエーション・オブ・ア・ダイヤモンド・ディフラクテイブ・ファン−アウト・エレメント・フォア・ハイ・パワー・レーザーズ(Fabrication and evaluation of a diamond diffractive fan-out element for high power lasers)」,オプティクス・エクスプレス11(Opt. Express 11),2003年,p.191〜198 エム・カールソン(M. Karlsson),エフ・ニコラジェフ(F. Nikolajeff),「ダイヤモンド・マイクロ−オプティクス:マイクロレンジズ・アンド・アンチリフレクション・ストラクチャード・サーフェス・フォア・ジ・インフラレッド・スペクトラル・リジョン(Diamond micro-optics: Microlenses and antireflection structured surfaces for the infrared spectral region)」,オプティクス・エクスプレス11(Opt. Express 11),2003年,p.502〜507 ドラクロア他(Delacroix et al.),「デザイン、マニュファクチャリング、アンド・パフォーマンス・アナリシス・オブ・ミッド−インフラレッド・アクロマティック・ハーフ−ウェーブ・プレーツ・ウィズ・ダイヤモンド・サブウェーブレングス・グレーティングス(Design, manufacturing, and performance analysis of mid-infrared achromatic half-wave plates with diamond subwavelength gratings)」,アプライド・オプティックス51(Applied Optics 51),p.5897〜5902
本出願人の先の特許出願であるPCT/EP2014/054183号明細書は、反射防止表面パターンを吸収度が低く且つ反射率が低く、しかも少ない表面及び表面下結晶損傷を有し、かくして高いレーザ誘導損傷しきい値を呈する合成ダイヤモンド材料の表面内に直接反射防止表面パターンを作製する誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング(ICP RIE)プロセスを記載している。本出願人は、かかる技術を用いて全ダイヤモンドモスアイ型パターンを全ダイヤモンド窓の表面中にエッチングすることによりその表面のところの反射率を<1%に減少させる一方で、依然として高いレーザ誘導損傷しきい値を維持することが可能であるという知見を得た。
この仕事に続き、本出願人は、表面反射率を減少させる上でのモスアイ型パターンの有効性が表面特徴部の幾何学的形状及び特定の幾何学的パターンを正確に作製することができるということにかかっていることに注目した。不完全な処理に起因した理想的な表面構造体幾何学的形状からの僅かなずれは、避けられず、かかるずれにより、表面屈折率を一表面当たり1%未満しか減少させることができない。理想的な表面構造体幾何学的形状からのずれは、エッチングされた領域のアスペクト比が大きい場所で起こる可能性が多分にある。この場合におけるアスペクト比は、(エッチングされた表面の深さ)/(エッチングされた領域の幅)として定義される。かかる問題は、本明細書の背景技術の項で説明したようにダイヤモンド材料、特に多結晶ダイヤモンド材料に反射防止表面パターンを設けようとする場合に特に問題である。
今や、ダイヤモンド材料中における反射防止表面構造体の周期数(periodicity)の増大が二重の利益、即ち、(i)かかる周期数が理想的な構造体からのずれに対する反射防止性能の感度を減少させるという利益、及び(ii)かかる周期数が反射防止表面構造体の所要の深さ/幅アスペクト比を減少させ、それによりかかる反射防止表面構造体をより正確に形成することができるという利益を有する。これら付加的な作用効果は、特に高い精度に合わせて加工するのが難しいダイヤモンドのような材料にとって周期数の増大が有利であることを示唆している。
構造体の周期数の増大が作製上の誤差に対する感度を減少させると共に上述したように誤差なく構造体を作製する能力を高めるが、構造体の周期数に対しては限界がある。或る特定の周期数では、モスアイ型表面は、回折格子として作用し始め、光は、0次格子次数から追加の透過されると共に反射された格子次数まで失われることになる。理想的な構造体の周期数は、追加の非0次の格子次数が抑制される最も大きな値によって定められる。
加うるに、光学表面パターンが規定された範囲内のフィルフラクション(fill fraction )を有するべきであるということも又判明しており、フィルフラクションは、[一周期ユニット中の突出部面積]/[周期ユニットの面積]として定められる。この面積に基づく2次元フィルフラクションパラメータは、機能上の性能にとって重要であることが判明しており、そして[突出部幅]/[周期ユニットの長さ]として定められる1次元フィルファクタパラメータとは異なる。この点に関し、ダイヤモンドのリソグラフィック加工の結果として、完全に造形された突出部像が得られるわけではなく、かくして1次元フィルファクタパラメータを2次元フィルファクタパラメータに容易には変換することができないということが注目されるべきである。
同様な設計上の規則は、他のダイヤモンド光学表面構造体、例えば複屈折表面パターンについても当てはまる。
上記内容に照らして、本発明の第1の観点によれば、光学素子であって、
合成ダイヤモンド材料と、
合成ダイヤモンド材料の少なくとも1つの表面内に直接形成された光学表面パターンとを有し、
光学表面パターンは、トレンチによって互いに隔てられた複数の突出部を含み、突出部は、周期数dで互いに間隔を置いて配置され、
周期数dは、0次回折次数限界の65〜99%であり、非0次回折次数は、0次回折次数限界よりも上において動作波長λで観察され、
光学表面パターンは、0.1から0.6までの範囲にあるフィルフラクションを有し、フィルフラクションは、[一周期ユニット中の突出部面積]/[周期ユニットの面積]として定義され、
光学素子は、室温で測定して10.6μmの波長で≦0.2cm-1の吸収係数を有することを特徴とする光学素子が提供される。
上記内容に加えて、少なくとも複屈折表面パターンに関し、光学表面パターンは、1.2から3までの範囲にある深さと幅のアスペクト比を有するトレンチを備えた状態で構成されるのが良い(但し、或る特定の反射防止表面パターンについては0.8から3までの広い範囲を利用できる)。この点に関し、低い深さと幅の比は、より正確な仕方でダイヤモンド材料中への容易な作製を実現することが判明したが、深さと幅の比が小さすぎる場合、非0次格子次数は、構造体の周期数の増大につれて目で見えるようになる場合がある。
さらに又、或る特定の分野に関し、97%未満の透過率の値が許容できる場合があるが、多くの光学用途の場合、高い透過率の値が必要であり、本明細書で説明しているエッチング技術は、97%を超える透過率を有するダイヤモンド光学素子を高信頼度で達成する(例えば、少なくとも98%の透過率値を一貫して達成する)ことが判明した。上記の内容に加えて、多くの用途は、比較的広い面積にわたり(例えば、多くの用途については少なくとも100mm2、通常はこれよりも非常に広い面積にわたって)上述した厳しい要件を満たす表面パターンを必要とする。本明細書において説明するエッチング技術は、商業的要件を満たすよう広い面積にわたって所要のパラメータを有するダイヤモンド光学素子を高信頼度で達成することが判明した。
本発明の第2の観点によれば、
上述した光学素子と、
光を少なくとも300W、少なくとも500W、少なくとも1kW、少なくとも3kW、少なくとも5kW、少なくとも10kW 、少なくとも15kW、少なくとも20kW、少なくとも25kW、少なくとも30kW、少なくとも35kW、少なくとも40kW、少なくとも45kW、又は少なくとも50kWの電力で発生させて、光学素子を通ってこの光を透過させるよう構成された光源とを含む光学システムが提供される。
次に、本発明を一層良く理解するため、そして本発明をどのようにすれば実施することができるかを示すために、添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明するが、これは例示であるに過ぎない。
合成ダイヤモンド材料から成る光学素子を作製する方法の概略流れ図であり、光学表面仕上げパターンが合成ダイヤモンド材料の表面中に直接形成される状態を示す図である。 深さ、幅、及び周期数の次元パラメータを示す合成ダイヤモンド光学素子の表面中の反射防止パターンの一部分の略図である。 正方形突出部を含む反射防止表面パターンが幅の広いエッチング領域及び小さい深さと幅のアスペクト比を有することを示す円筒形(又は円柱状)突出部及び正方形突出部を有する反射防止表面パターンの略図である。 2.12μmの周期数及び1.72μmの深さを備えた円筒形突出部を含む反射防止表面パターンに関し、光学素子の作製中における処理の不完全さに起因して理想的な表面構造体からのずれによって引き起こされる場合のある表面幾何学的形状の変化につれて10.6μmでの反射率がどのように変化するかを示すグラフ図である。 2μmの周期数及び1.72μmの深さを備えた正方形突出部を含む反射防止表面パターンに関し、光学素子の作製中における処理の不完全さに起因して理想的な表面構造体からのずれによって引き起こされる場合のある表面幾何学的形状の変化につれて10.6μmでの反射率がどのように変化するかを示すグラフ図である。 4μmの周期数及び1.72μmの深さを備えた正方形突出部を含む反射防止表面パターンに関し、光学素子の作製中における処理の不完全さに起因して理想的な表面構造体からのずれによって引き起こされる場合のある表面幾何学的形状の変化につれて10.6μmでの反射率がどのように変化するかを示すグラフ図である。 合成ダイヤモンド光学素子の表面中の複屈折パターンの一部分の概略平面図であり、複屈折パターンが細長い突出部を含み、細長いトレンチが細長い突出部の各側に設けられている状態を示す図である。 断面形状が台形である細長い突出部を有する複屈折表面パターンの概略断面図である。 周期数が4μmであり、側壁のテーパ角度が5°であるばあいに図8に示されているような複屈折表面パターンに関し、10.6μmの動作波長で線幅及びエッチング深さにつれて透過率がどのように変化するかを示すグラフ図である。 高出力レーザ源及び合成ダイヤモンド材料で形成された光学素子を含む高出力レーザシステムの略図であり、光学表面パターンが合成ダイヤモンド材料の表面内に直接形成されている状態を示す図である。
PCT/EP2014/054183号明細書に記載されているように、本発明者は、量子センシング及び量子情報処理の分野における高純度単結晶CVDダイヤモンド材料の処理における最近の開発を本明細書の背景技術の項において概要説明した課題を解決して低反射率及び高透過率を有する一方で更に表面及び表面下結晶損傷が僅かであり、かくして高いレーザ誘導損傷しきい値を示す合成ダイヤモンド光学素子の作製を達成するよう高出力多結晶CVDダイヤモンドレーザオプティクスに転用することができるということを認識した。
量子センシング及び量子情報処理分野における高純度単結晶CVDダイヤモンド材料の使用に対する研究は、ダイヤモンド結晶格子内に見受けられる特定種類の点欠陥、即ち、負に帯電した窒素‐空孔欠陥(NV-)に的が絞られている。NV-欠陥は、量子ビットとして又は別法として量子センシング素子として機能するよう操作できる電子スピンを有する。NV-欠陥は、マイクロ波を用いて光学的に励起され、操作されることが可能であり、かかるNV-欠陥は、その電子スピン状態に特有の蛍光を出す。
量子センシング及び量子情報処理用途に関する一要件は、NV-電子スピン欠陥が長い量子コヒーレンス時間を有することが必要であるということであり、このためには、NV-電子スピン欠陥を結晶欠陥の低い濃度を有すると共に小さい内部応力を有する非常に純粋なダイヤモンド格子環境内に配置することが必要であり、もしそうでなければ、かかる非常に純粋なダイヤモンド格子環境は、ダイヤモンド結晶格子内に設けられているNV-スピン欠陥の量子コヒーレンス時間を有害なほど減少させる場合がある。量子センシング及び量子情報処理用途に関するもう1つの要件は、NV-電子スピン欠陥から放出された蛍光がダイヤモンド材料から適当な構成のプロセッサ又は検出器に効率的に取り出される必要があるということにあり、この点に関し、ナノワイヤ、光導波路構造体、及びフォトニック共振器構造体をダイヤモンド材料中に作製してNV-電子スピン欠陥から放出された光量子を効果的に取り出すことが望ましい。誘導結合プラズマエッチング(ウプサラ・ユニバーシティ(Uppsala University)により用いられ、そして本明細書の背景技術の項で上述した誘導結合プラズマエッチングとほぼ同じである)がかかる光学構造体を作製するために用いられている。しかしながら、作製プロセスは、表面及び表面下損傷をダイヤモンド結晶構造中に生じさせ、かかる損傷が光学表面構造体に結合された表面近くのところのNV-電子スピン欠陥の量子コヒーレンス時間に悪影響を及ぼすことが判明した。さらに、望ましい表面構造体の品質及び所望の表面構造体相互間の望ましくないエッチンググラス(etch grass)の形成は、用いられるエッチングマスクのタイプ及びエッチング条件に敏感であることが判明した。したがって、ダイヤモンド量子デバイスのための構造体を開発するグループによる最近の研究は、相当な量の表面及び表面下損傷をダイヤモンド結晶構造体中にもたらさないで、表面近くのNV-電子スピン欠陥のための光学取り出し構造体の作製を可能にすると同時に光学構造体相互間に望ましくないエッチンググラスを生じさせないでダイヤモンド表面中に明確に規定された光学構造体を達成するために誘導結合(ICP)エッチングプロセスを改良することに的が絞られた。この研究は、多くの刊行物に記載されており、かかる刊行物としては、ビー・ハウスマン他(B. Hausmann et al.),「ファブリケーション・オブ・ダイヤモンド・ナノワイヤズ・フォア・クアンタム・インフォメーション・プロセッシング・アプリケーション(Fabrication of diamond nanowires for quantum information processing applications)」,ダイヤモンド・アンド・リレイティッド・マテリアルズ19(Diamond and Related Materials 19),2010年,p.621〜629、エム・ブレク他(M. Burek et al.),「フリー−スタンディング・メカニカル・アンド・フォトニック・ナノストラクチャーズ・イン・シングル・クリスタル・ダイヤモンド(Free-standing mechanical and photonic nanostructures in single crystal diamond)」,ナノ・レターズ(Nano Lett.),2012年、及び米国特許出願公開第2001/0309265号明細書が挙げられる。
ダイヤモンド量子デバイスのための構造体を開発しているグループは、相当な量の表面及び表面下結晶損傷をダイヤモンド結晶構造体中にもたらすことなく光学取り出し構造体を単結晶CVDダイヤモンド材料内に作製するガス流量、ICPパワー、及び圧力の多種多様な組み合わせにより実験した。例えば、以下の誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング(ICP RIE)方式がこの目的に適しているものとして文献に報告されており、即ち、酸素エッチング剤が30〜50sccmO2の酸素ガス流量を有し、チャンバ圧力が約10mTorrであり、ICPパワーが約700Wであった。このエッチング方式は、極めて明確に規定された表面構造体の形成を可能にする一方で、所望の表面構造体相互間のエッチンググラスの形成を回避していることが報告されている。加うるに、ダイヤモンド表面中のエッチングされた光学構造体の形状及び量は、エッチングプロセス中、ICPパワーを変化させることによって制御できるということが報告されている。例えば、単結晶CVDダイヤモンド材料の表面中におけるナノワイヤの作製にあたり、700WのICPパワーを2分間かけ、600WのICPパワーを3分間かけ、そして1000WのICPパワーを5分間かけるマルチステップICP RIEプロセスが報告されている。さらに又、Al23粒子、Au粒子、SiO2粒子、蒸発Au及びFOx 電子ビームレジストを含む多種多様なエッチングマスクがダイヤモンド量子デバイス関連文献に報告されている。
上述の説明に照らして、ダイヤモンド格子中の欠陥を利用したダイヤモンド量子デバイス用の構造体を開発しているグループは、ダイヤモンド材料中に明確に規定された表面構造体を形成することができるICP RIEプロセスを首尾良く開発したことが明らかであり、その場合、かかる構造体相互間には望ましくないエッチンググラスが形成されることなく、しかも多量の表面及び表面下結晶損傷がもたらされることがなかった。この技術は、特に、NV-電子スピン欠陥から放出された光量子を効果的に取り出すことを目的としたダイヤモンド材料中へのナノワイヤ、光導波路構造体、及びフォトニック共振器構造体の形成を含む量子センシング及び量子情報処理用途においてNV-電子スピン欠陥から放出された蛍光を効果的に取り出すために開発された。
本発明者は、例えば量子センシング及び量子情報処理用途においてナノワイヤ、光導波路構造体、及びフォトニック共振器構造体のような取り出し構造体に関する要件が高出力レーザ用途に適した透過型ダイヤモンド窓内への良好な反射防止表面パターンの作製に関する要件に非常に似ているということを認識した。即ち、量子センシング及び量子情報処理用途向きに開発されたエッチング技術を透過型オプティクスの分野に転用し、それにより合成ダイヤモンド窓の表面内に直接形成された反射防止表面パターン、例えばモスアイ型パターンを有し、低い反射率及び高い透過率を有する一方で更に、僅かな表面及び表面下結晶損傷を有し、かくして高いレーザ誘導損傷しきい値を示す高出力レーザ用途向けの合成ダイヤモンド窓を提供することができる。量子センシング及び量子情報処理用途向きに開発されたエッチング技術は、蛍光NV-欠陥を含む単結晶CVDダイヤモンド材料中にナノワイヤ、光導波路構造体、及びフォトニック共振器構造体をエッチングするために利用されるが、本発明の実施形態によれば、かかるエッチング技術を低吸収率光学的特性のダイヤモンド材料、例えば高品質多結晶CVDダイヤモンド材料に利用してかかるダイヤモンド材料内に表面損傷の少ない反射防止表面仕上げ、例えばモスアイ型構造体を作製し、かくして低吸収度と低反射率と高いレーザ誘導損傷しきい値の組み合わせを有する光学素子を製造する。
図1に示されているように、光学素子の作製方法が提供されており、この方法は、
パターン付けレジスト層2を合成ダイヤモンド材料4の少なくとも1つの表面上に形成するステップと、
パターン付けレジスト層2を介して合成ダイヤモンド材料4の少なくとも1つの表面をエッチングする(3)ステップと、
パターン付けレジスト層を除去して合成ダイヤモンド材料4の少なくとも1つの表面中に直接形成された反射防止表面パターン6を残すステップとを含み、
エッチングは、例えば、酸素ガス流量が20〜50sccmO2、チャンバ圧力が5〜20mTorr、ICPパワーが600〜1100Wの誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング(ICP RIE)プロセスから成る。
オプションとして、誘導結合プラズマ反応性イオンエッチングプロセスは、25〜35sccmO2の酸素流量、7〜15mTorrのチャンバ圧力、及び700〜1000WのICPパワーのうちの1つ又は2つ以上を含む。誘導結合プラズマ反応性イオンエッチングプロセスは、反射防止表面パターンの表面プロフィールを制御するために種々のICPパワーを含む多数のステップを更に含むのが良い。さらに、パターン付けされたレジスト層は、Al23粒子、Au粒子、SiO2粒子、蒸発Au、及びFOx 電子ビームレジストのうちの1つで形成されるのが良い。実際には、レジストは、制御されたマクロエッチングに対して耐性があるよう選択される。例えば、レジストは、2μm以上、4μm以上、6μm以上、8μm以上、又は10μm以上の高さを備えた表面エッチング特徴部の形成と適合性があるよう選択されるのが良い。
互いに異なるエッチング化学的性質を用いたサイクリックエッチングも又、エッチング及びパターン付けプロセスを制御するのに利用できる。例えば、ハロゲンを利用したエッチング、例えば塩素‐アルゴンプラズマエッチングも又、例えば上述した酸素プラズマエッチングに加えて利用できる。
上述した説明に加えて、背景技術の項で説明した或る特定の先行技術の方式は、エッチングに先立ってレジストのパターン付けのための直接描画式電子ビームリソグラフィプロセスを利用していることが注目された。この直接描画式電子ビームリソグラフィプロセスは、幾分時間がかかり、しかも費用が嵩む。したがって、レジスト層をパターン付けする迅速且つ費用効果の良い方式を提供することができる1つの別のオプションによれば、干渉リソグラフィ技術を用いてパターン付けされたレジスト層を形成することが提案される。当該技術分野においては、他の材料中にモスアイ(moth eye)型反射防止構造体を形成するための干渉リソグラフィ技術が既に知られている。例えば、Telaztec(商標)は、或る範囲の材料中にモスアイ型反射防止構造体を作製するためにこの方式を利用している。ここでは、レジスト層をパターン付けするかかる干渉リソグラフィ技術を高出力レーザ用途向きの低吸収度、低反射率、及び高いレーザ誘導損傷しきい値を備えたダイヤモンド光学窓を作製する商用的に有用な仕方を提供する方式として僅かな表面/表面下結晶損傷エッチング技術と組み合わせるのが良いことが提案される。
上述の方法論を適用すると、合成ダイヤモンド材料の少なくとも1つの表面内に直接形成された反射防止表面パターンを有する合成ダイヤモンド光学素子を作製することが可能であり、この場合、光学素子は、低い吸収係数、低い反射率、及び高いレーザ誘導損傷しきい値を有する。しかしながら、本発明の概要の項で説明したように、かかる構造体を工業的製造プロセスにおいて一貫し且つ再現可能な仕方で製造することが容易かどうかは、表面構造体の幾何学的形状及びダイヤモンド材料中に特定の幾何学的形状パターンを正確に作製することができるかどうかにかかっていることが判明した。
図2は、深さ、幅、及び周期数の次元パラメータを示す合成ダイヤモンド光学素子の表面内の反射防止パターンの一部分の略図である。本出願人は、ダイヤモンド材料中のモスアイ型表面構造体の周期数を増大させると、以下に説明するような二重の利益が得られるという知見を得た。
ダイヤモンド材料中のモスアイ型表面構造体の周期数を増大させた場合の第1の利点は、ダイヤモンド表面の反射防止性が表面の平面内で起こる理想的な構造体の幾何学的形状からのずれに対する感度が小さくなるということにある。これは、モスアイ型作製プロセス中に誤差に関するマージンを増大させる上で著しい効果を有する。
ダイヤモンド材料中のモスアイ型表面構造体の周期数を増大させた場合の第2の利益は、エッチングされた領域のアスペクト比を理想的なモスアイ型表面について減少させることができるということにある。これは、理想的なエッチング高さが任意の構造体の周期数について一定であるので、しかも理想的な表面パターンのフィルフラクションが周期数の増大に伴ってほんの僅かしか変化しないからである。フィルフラクションは、(一周期ユニット中の表面構造体の面積)/(周期ユニット全体の面積)として定義される。表面構造体の周期数を増大させることによるエッチングされた領域のアスペクト比の減少を可能にすることによって、モスアイ型構造体をダイヤモンド材料中で誤差なしにエッチングする能力が高められる。
構造体の周期数の増大が作製上の誤差に対する感度を減少させると共に上述したように誤差なく構造体を作製する能力を高めるが、構造体の周期数に対しては限界がある。或る特定の周期数では、モスアイ型表面は、回折格子として作用し始め、光は、0次格子次数から追加の透過されると共に反射された格子次数まで失われることになる。理想的な構造体の周期数は、追加の非0次の格子次数が抑制される最も大きな値によって定められる。
加うるに、光学表面パターンが規定された範囲内のフィルフラクション(fill fraction )を有するべきであるということも又判明しており、フィルフラクションは、[一周期ユニット中の突出部面積]/[周期ユニットの面積]として定められる。この面積に基づく2次元フィルフラクションパラメータは、機能上の性能にとって重要であることが判明しており、そして[突出部幅]/[周期ユニットの長さ]として定められる1次元フィルファクタパラメータとは異なる。この点に関し、ダイヤモンドのリソグラフィック加工の結果として、完全に造形された突出部像が得られるわけではなく、かくして1次元フィルファクタパラメータを2次元フィルファクタパラメータに容易には変換することができないということが注目されるべきである。
上記内容に照らして、光学素子であって、
合成ダイヤモンド材料と、
合成ダイヤモンド材料の少なくとも1つの表面内に直接形成された反射防止表面パターンとを有し、
反射防止表面パターンは、トレンチによって互いに隔てられた複数の突出部を含み、突出部は、周期数dで互いに間隔を置いて配置され、
周期数dは、0次回折次数限界の65〜99%であり、非0次回折次数は、0次回折次数限界よりも上において動作波長λで観察され、
光学表面パターンは、0.1から0.6までの範囲にあるフィルフラクションを有し、フィルフラクションは、[一周期ユニット中の突出部面積]/[周期ユニットの面積]として定義され、
光学素子は、室温で測定して10.6μmの波長で≦0.2cm-1の吸収係数を有することを特徴とする光学素子が提供される。
周期数dは、反射防止表面パターン中の突出部の間隔であり、かかる周期数は、隣り合う突出部の中心相互間の距離(又は、より一般的に言えば、1つの突出部上の一点から隣の突出部上の対応の点までの距離)を測定することによって求められる。通常、理想的な反射防止表面パターンは、反射防止表面パターン中の任意の2つの隣り合う突出部相互間の間隔が反射防止表面パターン中の任意の他の2つの隣り合う突出部相互間の間隔と同一であるように完全に周期的である反射防止表面パターンであろう。しかしながら、本明細書における説明から理解されるように、周期数dが0次回折限界の65〜99%であるようにすることによって、反射防止表面パターン中の僅かなずれ又はばらつきを許容することができる。多くの突出部全体にわたる平均周期数は、突出物の数n全体にわたる距離を測定し、次に(n−1)で除算することによって容易に求められる。この場合、平均周期数は、0次回折限界の65〜99%であるはずである。
或る特定の実施形態によれば、周期数dは、0次回折限界の70%以上、80%以上、85%以上、又は87%以上且つ/或いは0次回折限界の97%以下、95%以下、又は92%以下であるのが良く且つ/或いはこれら上限と下限の任意の組み合わせであるのが良い。
動作波長λは、10.6μm、2.2μm、1.06μm、532nm、355nm、又は266nmの中から選択された1つであるのが良いが、これらの波長には限定されない。例えば、動作波長λが10.6μmの場合、0次回折限界は、4.45μmであり、反射防止表面パターンの周期数dは、3μmから4.40μmの範囲内にある。この場合、周期数dは、3.20μm以上、3.40μm以上、3.60μm以上、又は3.80μm以上であり且つ/或いは、4.30μm以下、4.20μm以下、又は4.10μm以下であるのが良く且つ/或いはこれら上限と下限の任意の組み合わせであるのが良い。
非0次回折次数が動作波長λで観察される下限としての周期数dに関する0次回折限界は、次のように計算できる。
上式において、θ及びφは、それぞれ、極角及び方位角であり、ns及びniは、それぞれ、基板及び入射媒体の屈折率である。空気‐ダイヤモンドインターフェースの場合、ns=2.38且つni=1である。入射角がダイヤモンド表面に垂直であると仮定すると、θ=φ=0であり、これら方程式は、次のように簡単になる。
上述したように、反射防止表面パターンの周期数を増大させることにより、表面構造対中のトレンチの深さと幅のアスペクト比を減少させることができる。例えば、反射防止表面パターンのトレンチは、3未満、2未満、又は1.5未満の深さと幅のアスペクト比を有することができる。かかる比較的幅の広いトレンチは、ダイヤモンド材料中により正確に容易に作製される。しかしながら、注目されるべきこととして、トレンチの所望の深さは、構造体の周期数が増大するので、約1.72ミクロンで一定のままである。構造体の周期数を増大させる場合のアスペクト比の減少は、エッチングされた領域の幅の増大に由来している。トレンチのアスペクト比は、構造体の周期数を更に増大させた場合に見かけ上非0次の格子次数に起因して最小値で約1.2という最小値に制限される。
上述の値は、10.6ミクロンで動作するモスアイ型構造体中の深さと幅のアスペクト比に関するものである。しかしながら、一般的に言って、この好ましいアスペクト比は、波長がスケールアップされても波長がスケールダウンされてもほぼ一定のままである。動作波長を変化させることにより所望の構造体の周期数への影響が生じる場合であっても、所望のフィルフラクションは、ほぼ同じままであり、所望のエッチング深さは、線形にスケール変更する。例えば、動作波長が5.3ミクロンに変更された場合、エッチング深さは、1/2だけスケール変更され、エッチング幅は、約1/2だけスケール変更され、アスペクト比はほぼ不変のままである。
他の実施例が以下の表にまとめられている。

反射防止表面パターンは、例えば正方形、長方形、円筒形(円柱状)、穴、又は六角形を含む種々の形状を有する突出部を含むことができる。側壁は又、或る程度のテーパを有するのが良い。トレンチの所望のアスペクト比も又、エッチングされている構造体の形状に依存することが判明した。例えば、正方形又は長方形の断面形状を有する突出部を含む反射防止表面パターンは、円筒形と比較して有利であることが判明した。周期的な正方形構造体は、フィルフラクション及び周期数が所与の場合、各フェースに沿って一定の離隔距離(及びかくして一定のアスペクト比)を保つ。同一フィルフラクション及び周期数の円筒形構造体を考察すると、円筒形相互間の最小離隔距離は、正方形構造体の一定の離隔距離の最小値よりも著しく小さい。この理由で、円筒形ではなく正方形構造体をエッチングすることが有利である。一例として、周期数が4μmの場合に10.6μmについて最適化された理想的な正方形構造体は、1.27という最小アスペクト比を有し、同一周波数の円筒形構造体は、1.72という最小アスペクト比を有することになる。
図3は、正方形突出部を含む反射防止表面パターンが幅の広いエッチング領域及び小さい深さと幅のアスペクト比を有することを示す円筒形(円柱状)突出部及び正方形突出部を有する反射防止表面パターンの略図である。
図4は、2.12μmの周期数及び1.72μmの深さを備えた円筒形突出部を含む反射防止表面パターンに関し、光学素子の作製中における処理の不完全さに起因して理想的な表面構造体からのずれによって引き起こされる場合のある表面幾何学的形状の変化につれて10.6μmでの反射率がどのように変化するかを示すグラフ図である。この周期数及び深さに関し、10.6μmの動作波長では、円筒形突出部に関する理想的な半径は、グラフ中の下側の線によって示されているように0.88μmである(%反射率は、この幾何学的形状に関し、10.6μmではゼロである)。しかしながら、円筒形突出部の幾何学的形状がこの理想的な幾何学的形状からずれていて、例えば円筒形突出部の半径が0.73μmである場合、10.6μmの動作波長での反射率は、グラフ中の上側の線によって示されているように著しく増大している(%反射率は、この幾何学的形状に関し、10.6μmでは2%を超えている)。
図5は、2μmの周期数及び1.72μmの深さを備えた正方形突出部を含む反射防止表面パターンに関し、光学素子の作製中における処理の不完全さに起因して理想的な表面構造体からのずれによって引き起こされる場合のある表面幾何学的形状の変化につれて10.6μmでの反射率がどのように変化するかを示すグラフ図である。円筒形突出部に関して図4に示されている作用効果と同様な作用効果が観察される。この周期数及び深さに関し、10.6μmの動作波長では、正方形突出部に関する理想的な辺の長さは、グラフ中の下側の線によって示されているように1.48μmである(%反射率は、この幾何学的形状に関し、10.6μmではゼロである)。しかしながら、正方形突出部の幾何学的形状がこの理想的な幾何学的形状からずれていて、例えば正方形突出部の辺の長さが1.78μmである場合、10.6μmの動作波長での反射率は、グラフ中の上側の線によって示されているように著しく増大している(%反射率は、この幾何学的形状に関し、10.6μmでは約5%を超えている)。
図6は、4μmの周期数及び1.72μmの深さを備えた正方形突出部を含む反射防止表面パターンに関し、光学素子の作製中における処理の不完全さに起因して理想的な表面構造体からのずれによって引き起こされる場合のある表面幾何学的形状の変化につれて10.6μmでの反射率がどのように変化するかを示すグラフ図である。図4及び図5と比較して、このグラフ図は、周期数の増大が表面幾何学的形状のばらつきに対する反射率の感度の低下をもたらすことを示している。この周期数及び深さに関し、10.6μmの動作波長では、正方形突出部に関する理想的な辺の長さは、グラフ中の下側の線によって示されているように2.65μmである(%反射率は、この幾何学的形状に関し、10.6μmではゼロである)。正方形突出部の幾何学的形状がこの理想的な幾何学的形状からずれていて、例えば正方形突出部の辺の長さが2.95μmである場合、10.6μmの動作波長での反射率は、グラフ中の上側の線によって示されているように少量しか増大していない(%反射率は、この幾何学的形状に関し、10.6μmでは依然として1%未満である)。
オプションとして、ダイヤモンド光学素子は、以下の特性、即ち、
室温で測定して10.6μmの波長で≦0.5cm-1、≦0.4cm-1、≦0.3cm-1、≦0.2cm-1、≦0.1cm-1、≦0.07cm-1、又は≦0.05cm-1の吸収係数、
反射防止表面パターンを含む表面のところでの光学素子の動作波長において2%以下、1.5%以下、1%以下、又は0.5%以下の反射率、及び
次の特性のうちの一方又は両方を満たすレーザ誘導損傷しきい値を有し、かかる特性は、
レーザ誘導損傷しきい値がパルス長を100nsとし、パルス繰り返し周波数を1Hzから10Hzまでの範囲にあるとして波長10.6μmのパルスレーザを用いて測定して、少なくとも30Jcm-2、少なくとも50Jcm-2、少なくとも75Jcm-2、少なくとも100Jcm-2、少なくとも150Jcm-2、又は少なくとも200Jcm-2であるという特性、及び
レーザ誘導損傷しきい値が波長10.6μmの連続波レーザを用いて測定して少なくとも1MW/cm2、少なくとも5MW/cm2、少なくとも10MW/cm2、少なくとも20MW/cm2、又は少なくとも50MW/cm2、であるという特性である。
光学素子の吸収度、反射率、及びレーザ誘導損傷しきい値は、当業者によって容易に測定可能である(例えば、ISO21254‐2:2011は、レーザ誘導損傷しきい値を測定する方法を記載しており、他方、サスマン他(Sussmann et al.),[ダイヤモンド・アンド・リレイテッド・マテリアルズ(Diamond and Related Materials),1994年,3,1173〜117]は、CVDダイヤモンド窓へのレーザ損傷試験の特定の応用を記載している)。
注目されるべきこととして、光学素子に関する反射率は、動作波長で決まると共に反射防止表面パターンは、特定の動作波長について最適化されるよう設計されることになる。光学素子の動作波長が未知の場合、或る範囲の波長を試験して反射率がどこで参照源に抑えられるかを判定するのが良く、これは、本明細書の目的のための動作波長に一致することになる。とは言うものの、オプションとして、動作波長は、10.6μm、1.06μm、532nm、355nm、又は266nmのうちから選択された1つであり、10.6μmの動作波長が或る特定の商業的用途に好ましい。
僅かな表面損傷及び増大したレーザ誘導損傷しきい値と組み合わせて低い吸収度及び低い反射率を有する合成ダイヤモンド光学素子が提供される。これは、高出力レーザ窓及び他の高出力レーザオプティクス、例えばプリズム及びレンズについてパラメータの重要な組み合わせであると考えられる。
オプションとして、ダイヤモンド光学素子は、以下の特性のうちの1つ又は2つ以上を更に有するのが良く、かかる特性は、
光学素子の動作周波数で少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の透過率、
前方半球中に光学素子の動作周波数で2%以下、1%以下、0.5%以下、又は0.1%以下の積分全散乱量(total integrated scatter)、
室温で測定して145GHzにおいて2×10-4以下、10-4以下、5×10-5以下、10-5以下、5×10-6以下、又は10-6以下の誘電損失係数tanδ、
5mm-2以下、3mm-2以下、1mm-2以下、0.5mm-2以下又は0.1mm-2以下の平均微小特徴部密度(microfeature density)、
任意の3mm2領域内に5個以下、4個以下、3個以下、2個以下、又は1個以下の微小特徴部が存在するような微小特徴部分布、
2760cm-1から3030cm-1までの範囲にある補正直線背景で測定したときに0.20cm-2以下、0.15cm-2以下、0.10cm-2以下、又は0.05cm-2以下の単位厚さ当たりの積分吸収能、
1800Wm-1-1以上、1900Wm-1-1以上、2000Wm-1-1以上、2100Wm-1-1以上、又は2200Wm-1-1以上の熱伝導率、及び
二次イオン質量分析計によって測定して1017cm-3以下、5×1016cm-3以下、1016cm-3以下、5×1015cm-3以下、又は1015cm-3以下のシリコンコンセントレーション、
二次イオン質量分析計によって測定して1018cm-3以下、5×1017cm-3以下、5×1016cm-3以下、1016cm-3以下、5×1015cm-3以下、又は1015cm-3以下の窒素コンセントレーション、及び
酸素を末端基とする表面である。
上記内容と関連して、注目されるべきこととして、微小特徴部が多結晶CVDダイヤモンド材料中に存在するミクロンスケールの特徴部(即ち、表面特徴部ではなくバルク材料特徴部)であり、これら微小特徴部は、多結晶CVDダイヤモンド材料内の微小割れ及び/又はsp2炭素の結果であると考えられる。これら特徴部は、光学的解析により、観察でき、測定でき、そして計数できる。特定の分野に関して微小特徴部の密度及び分布状態に関する上限は、ダイヤモンド光学素子中の微小特徴部のサイズ及び微小特徴部の位置に依存するであろう。例えば、平均微小特徴部密度は、50μmから150μmまでの範囲にある直径を有する微小特徴部に関しては<0.3/mm2であるのが良く、150μmから350μmまでの範囲にある直径を有する微小特徴部の場合、<0.08/mm2であるのが良く、350μmを超える直径を有する微小特徴部の場合、0個の微小特徴部/mm2であるのが良い。さらに、微小特徴部の分布状態は、50μmから150μmまでの範囲にある直径を有する微小特徴部の場合、光学コンポーネントの20mm直径内に150個以下の微小特徴部が存在し、光学コンポーネントの20〜40mm直径内に350個以下の微小特徴部が存在するようなものであるのが良い。150μmから350μmまでの範囲にある直径を有する微小特徴部の場合、光学コンポーネントの20mm直径内に25個以下の微小特徴部が存在し、光学コンポーネントの20〜40mm直径内に100個以下の微小特徴部が存在するのが良い。350μmを超える直径を有する微小特徴部の場合、光学コンポーネント中にはどこにも微小特徴部が存在しないのが良い。
かかる光学特性は、本明細書において説明したようなパターン付け技術を高品質光学等級合成ダイヤモンド材料、例えばエレメント・シックス・リミテッドから入手できる高品質光学等級多結晶CVDダイヤモンドに利用することによって達成できる。また、このパターン付け技術を或る特定の光学用途について、光学等級単結晶CVDダイヤモンド(これ又、エレメント・シックス・リミテッドから入手できる)に利用することができるということが想定される。さらに、多結晶ダイヤモンド材料及び単結晶ダイヤモンド材料に加えて、本明細書において説明したパターン付け技術は、複数の単結晶ダイヤモンド基板が複数の単結晶ダイヤモンド窓を有する単一の光学板を形成するよう内部成長するタイル型単結晶ダイヤモンド板又は効果的に単結晶の大面積ダイヤモンド板にも利用できる。パターン付け技術は、ヘテロエピタキシャル成長した単結晶ダイヤモンド材料にも利用できる。
有利には、光学要素は、反射防止回折表面仕上げが形成されているダイヤモンド光学素子の表面の面積の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも100%にわたり本明細書において説明した光学特性のうちの1つ又は2つ以上を満たす。この点に関し、ダイヤモンド光学素子は、比較的広い面積に合わせて作成されるのが良い。例えば、合成ダイヤモンドコンポーネントは、最も大きな直線寸法が少なくとも5mm、少なくとも10mm、少なくとも20mm、少なくとも40mm、少なくとも60mm、少なくとも80mm、少なくとも100mm、少なくとも120mm、又は少なくとも140mmであるよう作成されるのが良い。かかる合成ダイヤモンドコンポーネントは、200μm以上、250μm以上、350μm以上、450μm以上、500μm以上、750μm以上、1000μm以上、1500μm以上、又は2000μm以上の厚さを備えた状態で作成されるのが良い。
有利には、合成ダイヤモンド材料は、最終の光学素子に必要な厚さよりも大きな標的厚さまで成長させ、次にダイヤモンド材料の核生成フェースを処理して初期の核生成ダイヤモンドを除去することによって作製される。背景技術の項で示したように、先行技術の方式の一弱点は、初期の核生成ダイヤモンドが最終の光学素子に混入することにより、熱コンダクタンスの減少及び光吸収度の増大が起こる場合があるということにある。合成ダイヤモンド材料を最終の光学素子に必要な厚さよりも大きな標的厚さまで成長させることにより、初期の核生成ダイヤモンドを除去し、かくして高い熱コンダクタンス及び低い光吸収度を備えた光学素子を提供することが可能である。初期核生成ダイヤモンドの除去により、その結果として、不可避的に合成ダイヤモンド材料の強度の僅かな低下が起こる。しかしながら、製造業者、例えばエレメント・シックス・リミテッドは、初期核生成ダイヤモンドの除去を可能にする一方で最終用途に十分な機械的強度を保持する高い引張破壊強度を備えた合成ダイヤモンド材料の厚手のウェーハ、例えば多結晶CVDダイヤモンドウェーハを作製することができる。例えば、合成ダイヤモンド材料は、以下の構造特性のうちの1つ又は2つ以上を有するのが良く、これら特性は、
合成ダイヤモンド材料の核生成フェースが張力下にある状態で、200〜500μmの厚さの場合に760MPa×n以上、500〜750μmの厚さの場合に700MPa×n以上、750〜1000μmの厚さの場合に650MPa×n以上、1000〜1250μmの厚さの場合に600MPa×n以上、1250〜1500μmの厚さの場合に550MPa×n以上、1500〜1750μmの厚さの場合に500MPa×n以上、1750〜2000μmの厚さの場合に450MPa×n以上、2000μm以上の厚さの場合に400MPa×n以上の引張破壊強度、乗率nは、1.0、1.1、1.2、1.4、1.6、1.8、又は2であり、
合成ダイヤモンド材料の成長フェースが張力下にある状態で、200〜500μmの厚さの場合に330MPa×n以上、500〜750μmの厚さの場合に300MPa×n以上、750〜1000μmの厚さの場合に275MPa×n以上、1000〜1250μmの厚さの場合に250MPa×n以上、1250〜1500μmの厚さの場合に225MPa×n以上、1500〜1750μmの厚さの場合に200MPa×n以上、1750〜2000μmの厚さの場合に175MPa×n以上、2000μm以上の厚さの場合に150MPa×n以上の引張破壊強度、乗率nは、1.0、1.1、1.2、1.4、1.6、1.8、又は2である。
かかる合成ダイヤモンド材料は、5μm以下、4μm以下、3μm以下、2μm以下、1μm以下、0.5μm以下、0.2μm以下、又は0.1μm以下の表面平坦度及び/又は200nm以下、150nm以下、100nm以下、80nm以下、60nm以下、40nm以下、20nm以下、又は10nm以下の表面粗さRaまで加工されるのが良い。この点に関し、Ra限界が動作波長によって部分的に定められることが注目できる。上述の限界は、中及び遠IR動作波長について当てはまる。可視動作波長に関し、Ra限界は、代表的には、これよりも低い。この点に関し、単結晶ダイヤモンド材料に関し、10nmよりも非常に小さいRaが達成可能であることが注目されよう。
合成ダイヤモンド材料の熱伝導率に対するそれ以上の改善は、材料の天然の1.1%13C含有量を減少させることによって行うことができる。したがって、合成ダイヤモンド材料は、1.0%未満、0.8%未満、0.6%未満、0.4%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.05%未満、又は0.01%未満の13C含有量を有する少なくとも一部分を有するのが良い。この点に関し、注目されるべきこととして、同位体的に純化された炭素原料ガスは、高価である。光学素子全体を同位体的に純化されたダイヤモンド材料から作製するのではなく、光学素子の一部分だけを同位体的に純化されたダイヤモンド材料で作製することが有利であると言える。例えば、合成ダイヤモンド材料の1つ又は2つ以上の表面層は、内部バルクが高い13C含有量、好ましくは天然存在度を用いて作製された同位体的に純化されたダイヤモンド材料で作られるのが良い。特に有用な一実施形態では、反射防止表面パターンを有する表面層が反射防止表面パターンの熱伝導率を増大させ、かくして局所加熱を減少させると共に反射防止表面パターンのレーザ誘導損傷しきい値を増大させるよう同位体的に純化されたダイヤモンド材料で作られる。この場合、合成ダイヤモンド材料の下に位置する部分は、合成に要するコストを減少させるよう高い濃度、好ましくは、天然存在度の13Cを含むのが良い。
本発明の反射防止表面仕上げは、合成ダイヤモンド材料の表面の大部分にわたり、例えば、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%又は表面全体にわたり形成されるのが良い。したがって、反射防止回折表面仕上げは、少なくとも25mm2、少なくとも50mm2、少なくとも100mm2、少なくとも200mm2、少なくとも300mm2、少なくとも500mm2、少なくとも700mm2、少なくとも1000mm2、少なくとも1500mm2、少なくとも2000mm2、少なくとも3000mm2、少なくとも5000mm2、少なくとも7000mm2、少なくとも10000mm2、少なくとも15000mm2、又は20000mm2の領域にわたって形成されるのが良い。
反射防止表面仕上げでパターン付けされた表面は、例えば、ダイヤモンド窓、レンズ又はプリズムの主要な光学出口及び/又は入口フェースを形成することができ、光学素子の光学出口及び/又は入口フェースの大部分又は全体は、反射防止回折表面仕上げでパターン付けされている。幾つかの用途では、透過型光学素子の取り付けのために透過型光学素子の周辺領域の周りに非パターン付け部分を残すことが望ましい場合がある。オプションとして、反射防止表面パターンは、合成ダイヤモンド材料の少なくとも2つの表面上に形成される。例えば、反射防止回折表面仕上げは、光学素子の光学入口フェース及び光学出口フェースの両方上、例えば、ダイヤモンド窓の互いに反対側の主要なフェース上に形成されるのが良い。変形例として、或る特定の光学素子に関し、低い反射率は、光学素子、例えば、部分反射が一方の表面上で必要なビームスプリッタの一方の表面上しか必要とされない。
合成ダイヤモンド材料の表面内に直接形成された反射防止表面パターンを有する合成ダイヤモンド光学素子を提供するという観点で本発明を上述した。しかしながら、本明細書の背景技術の項で説明したように、或る特定の用途に関し、複屈折光学素子を提供することが必要とされており、従って同様な問題が生じる。したがって、本発明の他の実施形態は、合成ダイヤモンド材料の表面内に直接形成された複屈折表面パターンを有すると共に表面及び表面化結晶損傷が少なく、かくして高いレーザ誘導損傷しきい値を呈する合成ダイヤモンド光学素子を提供する。本明細書において説明した作製技術を用いてかかる複屈折表面パターンを合成ダイヤモンド材料の表面内に直接形成することができる。反射防止表面パターンと複屈折表面パターンの大きな差は、複屈折表面パターンが偏光の操作に用いられる細長い突出部を有していることにある。とは言うものの、これらの最終使用が極めて異なっている場合があるが、本明細書において説明した反射防止表面パターン及び複屈折表面は、周期数の面で同一の設計上の指針に基づいている。また、複屈折格子が又、これらが配置されている表面のところの反射率を減少させるが、反射率が最適化された反射防止表面パターンについての反射率の程度までは減少させないことが注目できる。例えば、複屈折表面パターンのところの反射率は、複屈折パターンの正確な設計に応じて約7又は8%であろう。かくして、或る特定の形態によれば、光学素子は、合成ダイヤモンド材料の一表面に形成された複屈折表面パターン及び合成ダイヤモンド材料の別の表面に形成された反射防止表面パターンを備えることができる。
複屈折サブ波長格子が四分の一波長板か二分の一波長板かのいずれかを作るために必要なエッチング深さで合成ダイヤモンドの表面内に形成されるのが良い。この方式は、伝統的な波長板と比較して多くの利点を有する。1つの利点に関し、合成ダイヤモンドは、極めて高いレーザ誘導損傷しきい値を備え、かかる合成ダイヤモンドは、室温における優れた熱導体である。このことは、ダイヤモンドに作製された波長板格子を、損傷を受けないでしかも他の材料に特有の有害な熱的効果を受けないで最も需要の高い高出力レーザ用途に用いることができることを意味している。
サブ波長格子は、特徴部の周期数が、0次回折次数が現れる限界を下回る格子である。平面波が法線入射する場合、この限界は、P<λ/max(ns,ni)によって与えられ、この式において、P=周期数、λ=波長、ns=基板の屈折率、ni=入射媒体の屈折率である。最も現実的な用途ではガウス形ビームを含んで真の平面波を含むことがないので、上述した限界の90%を下回るサブ波長格子を設計することが最善であり、即ち、P<0.9・λ/max(ns,ni)である。サブ波長格子の特徴部サイズは、入射光の波長に対して小さいので、格子は、これが基板の屈折率と入射媒体の屈折率との間のどれかの屈折率を備えた一様な媒体であるかのごとく作用する。
複屈折サブ波長格子を作るためには、x軸及びy軸に沿う非対称寸法を備えた特徴部が必要なだけである。複屈折サブ波長格子に関する最も簡単な設計は、線の周期数がサブ波長限界を下回る線形格子である。変形例として、他の簡単な設計としては、長方形(しかしながら、正方形ではない)又は楕円形である構造体が挙げられる。本明細書において説明した処理技術を用いてこれら構造体をダイヤモンドの表面中にエッチングするのが良い。
光がサブ波長格子と相互作用すると、格子は、これが或る特定の屈折率を備えた一様な物質であるかのごとく取り扱われる。格子は、本質的には、入射媒体の屈折率と基板の屈折率との間の有効屈折率を備えた薄膜であるとみなされ得る。サブ波長格子構造体がx軸とy軸との間で非対称である場合、格子の有効屈折率は又、x軸とy軸との間で非対称になる。換言すると、非対称格子は、「速い」軸線及び「遅い」軸線を備えた複屈折媒体として取り扱われる。複屈折サブ波長格子の深さを制御することによって、遅い軸線に対して速い軸線に沿って偏光状態相互間の決定されたリターダンスの量を備えた状態で格子を設計することが可能である。四分の一波長か二分の一波長かのいずれかであるようにリターダンスを設計することによって、格子が有効四分の一波長板又は有効二分の一波長板になる。
光学モデル化ソフトウェアを用いると、複屈折サブ波長格子の設計を最適化することが可能である。これは、図7及び図8に示されている線形サブ波長格子について行われており、と言うのは、これらは、最も簡単な複屈折格子だからである。図7は、合成ダイヤモンド光学素子の表面内に作られた複屈折パターンの一部分の概略平面図であり、複屈折パターンは、細長い突出部を含み、細長いトレンチが細長い突出部の各側に設けられている。図8は、台形の断面形状を有する細長い突出部を含む複屈折表面パターンの概略断面図である。最適化は、エッチング深さ及び線幅にわたって2Dパラメータスイープを用いる一方で、リターダンス量及び格子透過率についてデータを記録することによって実施される。次に所望のリターダンス量を与えるパラメータを選択して透過率に換算してプロットする。本発明者の光学モデル化ソフトウェアは、透過率とリターダンスの両方の面で実世界の結果を正確に予測することが示された。
図9は、結果的に半波長又は四分の一波長リターダンスかのいずれかを結果的にもたらすパラメータについての透過率と線幅及びエッチング深さの関係を示している。最適設計は、高透過率と製造性とのバランスによって定められる。この最適化は、周期数が4μm、側壁テーパが5°、設計波長が10.6μmであることを前提条件としている。
伝統的な波長板と比較した場合のダイヤモンドにおける複屈折サブ波長格子の利点としては、レーザ誘導損傷しきい値が高いこと、高い熱伝導率材料が得られること、サイズがダイヤモンド窓の有効サイズでしか制限されないこと、真の0次波長板が提供できることが挙げられる。
高品質光学等級合成ダイヤモンド材料で作製されていて本明細書において説明した光学表面パターンを有する光学素子は、これらの反射率が低く且つレーザ誘導損傷しきい値が高いので高出力光学系に用いるのに適している。したがって、本発明のもう1つの観点によれば、図10に示されている光学系であって、
本明細書において説明したような光学表面パターンを有する合成ダイヤモンド光学素子10と、
光14を少なくとも300W、少なくとも500W、少なくとも1kW、少なくとも3kW、少なくとも5kW、少なくとも10kW 、少なくとも15kW、少なくとも20kW、少なくとも25kW、少なくとも30kW、少なくとも35kW、少なくとも40kW、少なくとも45kW、又は少なくとも50kWの電力で発生させ、そして合成ダイヤモンド光学素子10を通ってこの光を透過させるよう構成された光源12(例えば、レーザ)を有する光学系が提供される。
上述した内容に関し、注目されるように、上述の光学系の動作パワーは、1MW/cm2という従来規定された連続波レーザ誘導損傷しきい値よりも著しく低い。しかしながら、注目されるべきこととして、長い動作寿命を有する光学素子を提供するためには、合成ダイヤモンド光学素子のレーザ誘導損傷しきい値は、光学系の動作パワーよりも著しく高いことが必要である。
レーザ誘導損傷しきい値(LIDT)は、本発明の実施形態に関する重要な動機付けのうちの1つであり、出力密度によって測定される。この点において、出力密度が高いことは、動作電力が高いことを必ずしも意味していないことが注目されるのが良く、但し、高い動作電力は、代表的には、高い出力密度を伴う。現行のシステムは、今や、100kW/cm2に向かうそれ以上の増加が予想された状態で1〜10kW/cm2の出力密度で動作する。レーザが20kW CW電力を有し、1/e2ビームサイズが20mm、40mm、又は60mmであり、ビームがガウス系である(窓の中心のところの出力密度が約2倍の平均出力密度である)と仮定すると、合成ダイヤモンド光学窓の中心のところでは、それぞれCW出力密度が12.7kW/cm2、3.2kW/cm2、及び1.4kW/cm2である。この場合、ピーク出力密度は、パルス長及び繰り返し率に応じて著しく高くなるであろう。図10に示されている光学システムの実施形態によれば、光源12(例えば、レーザ)は、かくして、少なくとも1kW/cm2、少なくとも3kW/cm2、少なくとも5kW/cm2、少なくとも10kW/cm2、少なくとも20kW/cm2、又は少なくとも50kW/cm2の出力密度で光14を発生させ、そして合成ダイヤモンド光学素子10を通ってこの光を透過させるよう構成されるのが良い。
図10の例示の実施形態では、光学素子10は、透過型ダイヤモンド窓の形態をしており、反射防止表面パターン16がこの窓の両方の主要なフェース内に作製されている。
オプションとして、光学系は又、合成ダイヤモンド光学素子を冷却するための冷却系を提供するのが良い。この点に関し、本発明者は、エレメント・シックス・リミテッドの光学等級合成ダイヤモンド材料が低温において吸収度の大幅な減少を示すことに注目した。この作用効果は、或る特定の他のダイヤモンド材料については同じ程度までは見受けられない。
要約すると、本明細書において説明した光学素子は、高出力レーザ窓のためのパラメータの重要な組み合わせを有すると考えられる。したがって、本発明の実施形態は、高出力レーザシステムのための実施可能な技術であると考えられる。また、更に、本明細書において説明した光学素子を反射防止表面仕上げがこれらの機械的堅牢さの故に薄膜被膜に対して提供できる広帯域可視波長用途(例えば、ウォッチフェース(watch face))に使用できることが想定される。
実施形態を参照して本発明を具体的に図示すると共に説明したが、当業者には理解されるように、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、形態及び細部における種々の変更を行うことができる。
実施形態を参照して本発明を具体的に図示すると共に説明したが、当業者には理解されるように、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、形態及び細部における種々の変更を行うことができる。
なお、好ましい構成態様として、本発明を次のように構成することもできる。
1. 光学素子であって、
合成ダイヤモンド材料と、
前記合成ダイヤモンド材料の少なくとも1つの表面内に直接形成された光学表面パターンとを有し、
前記光学表面パターンは、トレンチによって互いに隔てられた複数の突出部を含み、前記突出部は、周期数dで互いに間隔を置いて配置され、
前記周期数dは、0次回折次数限界の65〜99%であり、非0次回折次数は、前記0次回折次数限界よりも上において動作波長λで観察され、
前記光学表面パターンは、0.1から0.6までの範囲にあるフィルフラクションを有し、前記フィルフラクションは、[一周期ユニット中の突出部面積]/[周期ユニットの面積]として定義され、且つ
前記光学素子は、室温で測定して10.6μmの波長で≦0.2cm -1 の吸収係数を有する、光学素子。
2. 前記動作波長λは、10.6μm、2.2μm、1.06μm、532nm、355nm、又は266nmの中から選択された1つである、上記1記載の光学素子。
3. 前記周期数dは、前記0次回折限界の70%以上、80%以上、85%以上、又は87%以上である、上記1又は2記載の光学素子。
4. 前記周期数dは、前記0次回折限界の97%以下、95%以下、又は92%以下である、上記1〜3のうちいずれか一に記載の光学素子。
5. 前記動作波長λは、10.6μmであり、前記0次回折限界は、4.45μmであり、前記光学表面パターンの前記周期数dは、3μmから4.40μmまでの範囲にある、上記1〜4のうちいずれか一に記載の光学素子。
6. 前記周期数dは、3.20μm以上、3.40μm以上、3.60μm以上、又は3.80μm以上である、上記5記載の光学素子。
7. 前記周期数dは、4.30μm以下、4.20μm以下、又は4.10μm以下である、上記5又は6記載の光学素子。
8. 前記光学表面パターンの前記トレンチは、3未満、2未満、又は1.5未満の深さと幅のアスペクト比を有する、上記1〜7のうちいずれか一に記載の光学素子。
9. 前記トレンチの深さと幅のアスペクト比は、1.2以上である、請求8記載の光学素子。
10. 前記光学表面パターンの前記突出部は、正方形又は長方形の断面形状を有する、上記1〜9のうちいずれか一に記載の光学素子。
11. 前記光学素子は、室温で測定して10.6μmの波長で≦0.1cm -1 、≦0.07cm -1 又は≦0.05cm -1 の吸収係数を有する、上記1〜10のうちいずれか一に記載の光学素子。
12. 前記光学素子は、以下の特性のうちの一方又は両方を満たすレーザ誘導損傷しきい値を有し、
前記レーザ誘導損傷しきい値が、パルス長を100ns、パルス繰り返し周波数を1Hzから10Hzまでの範囲にあるとして、波長10.6μmのパルスレーザを用いて測定して少なくとも30Jcm -2 、少なくとも50Jcm -2 、少なくとも75Jcm -2 、少なくとも100Jcm -2 、少なくとも150Jcm -2 、又は200Jcm -2 であり、
前記レーザ誘導損傷しきい値が、波長10.6μmの連続波レーザを用いて測定して少なくとも1MW/cm 2 、少なくとも5MW/cm 2 、少なくとも10MW/cm 2 、少なくとも20MW/cm 2 又は少なくとも50MW/cm 2 である、上記1〜11のうちいずれか一に記載の光学素子。
13. 前記光学素子は、前方半球中に前記光学素子の前記動作波長で2%以下、1%以下、0.5%以下、又は0.1%以下の積分全散乱量を有する、上記1〜12のうちいずれか一に記載の光学素子。
14. 前記光学素子は、室温で測定して145GHzにおいて2×10 -4 以下、10 -4 以下、5×10 -5 以下、10 -5 以下、5×10 -6 以下、又は10 -6 以下の誘電損失係数tanδを有する、上記1〜13のうちいずれか一に記載の光学素子。
15. 前記光学素子は、以下の特性のうちの1つ又は2つ以上を有し、前記特性は、
5mm -2 以下、3mm -2 以下、1mm -2 以下、0.5mm -2 以下又は0.1mm -2 以下の平均微小特徴部密度、
任意の3mm 2 領域内に5個以下、4個以下、3個以下、2個以下、又は1個以下の微小特徴部が存在するような微小特徴部分布、
2760cm -1 から3030cm -1 までの範囲にある補正直線背景で測定したときに0.20cm -2 以下、0.15cm -2 以下、0.10cm -2 以下、又は0.05cm -2 以下の単位厚さ当たりの積分吸収能、
1800Wm -1 -1 以上、1900Wm -1 -1 以上、2000Wm -1 -1 以上、2100Wm -1 -1 以上、又は2200Wm -1 -1 以上の熱伝導率、
二次イオン質量分析計によって測定して10 17 cm -3 以下、5×10 16 cm -3 以下、10 16 cm -3 以下、5×10 15 cm -3 以下、又は10 15 cm -3 以下のシリコンコンセントレーション、及び
二次イオン質量分析計によって測定して10 18 cm -3 以下、5×10 17 cm -3 以下、5×10 16 cm -3 以下、10 16 cm -3 以下、5×10 15 cm -3 以下、又は10 15 cm -3 以下の窒素コンセントレーションである、上記1〜14のうちいずれか一に記載の光学素子。
16. 前記光学素子は、以下の特性のうちの1つ又は2つ以上を有し、前記特性は、
前記合成ダイヤモンド材料の核生成フェースが張力下にある状態で、200〜500μmの厚さの場合に760MPa×n以上、500〜750μmの厚さの場合に700MPa×n以上、750〜1000μmの厚さの場合に650MPa×n以上、1000〜1250μmの厚さの場合に600MPa×n以上、1250〜1500μmの厚さの場合に550MPa×n以上、1500〜1750μmの厚さの場合に500MPa×n以上、1750〜2000μmの厚さの場合に450MPa×n以上、2000μm以上の厚さの場合に400MPa×n以上の引張破壊強度、乗率nは、1.0、1.1、1.2、1.4、1.6、1.8、又は2であり、
前記合成ダイヤモンド材料の成長フェースが張力下にある状態で、200〜500μmの厚さの場合に330MPa×n以上、500〜750μmの厚さの場合に300MPa×n以上、750〜1000μmの厚さの場合に275MPa×n以上、1000〜1250μmの厚さの場合に250MPa×n以上、1250〜1500μmの厚さの場合に225MPa×n以上、1500〜1750μmの厚さの場合に200MPa×n以上、1750〜2000μmの厚さの場合に175MPa×n以上、2000μm以上の厚さの場合に150MPa×n以上の引張破壊強度、乗率nは、1.0、1.1、1.2、1.4、1.6、1.8、又は2である、上記1〜15のうちいずれか一に記載の光学素子。
17. 前記光学表面パターンは、前記合成ダイヤモンド材料の少なくとも1つの表面に、少なくとも25mm 2 、少なくとも50mm 2 、少なくとも100mm 2 、少なくとも200mm 2 、少なくとも300mm 2 、少なくとも500mm 2 、少なくとも700mm 2 、少なくとも1000mm 2 、少なくとも1500mm 2 、少なくとも2000mm 2 、少なくとも3000mm 2 、少なくとも5000mm 2 、少なくとも7000mm 2 、少なくとも10000mm 2 、少なくとも15000mm 2 、又は20000mm 2 の領域にわたって形成されている、上記1〜16のうちいずれか一に記載の光学素子。
18. 前記光学素子は、前記領域の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも100%にわたって上記1〜14のうちいずれか一に記載の要件を満たす、上記17記載の光学素子。
19. 前記光学表面パターンは、前記合成ダイヤモンド材料の少なくとも2つの表面内に形成される、上記1〜18のうちいずれか一に記載の光学素子。
20. 前記合成ダイヤモンド材料は、単結晶CVDダイヤモンド又は多結晶CVDダイヤモンドである、上記1〜19のうちいずれか一に記載の光学素子。
21. 前記合成ダイヤモンド材料は、200μm以上、250μm以上、350μm以上、450μm以上、500μm以上、750μm以上、1000μm以上、1500μm以上、又は2000μm以上の厚さを有する、上記1〜20のうちいずれか一に記載の光学素子。
22. 前記光学表面パターンは、反射防止表面パターンである、上記1〜21のうちいずれか一に記載の光学素子。
23. 前記光学素子は、前記少なくとも1つの表面のところの反射率が前記光学素子の動作波長で2%以下、1.5%以下、1%以下、又は0.5%以下である、上記22記載の光学素子。
24. 前記光学素子は、前記光学素子の前記動作周波数で少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の透過率を有する、上記22又は23記載の光学素子。
25. 前記光学表面パターンは、複屈折表面パターンである、上記1〜21のうちいずれか一に記載の光学素子。
26. 前記複屈折表面パターンは、前記合成ダイヤモンド材料の一方の表面内に形成され、上記24〜26のうちいずれか一に記載の前記反射防止表面パターンは、前記合成ダイヤモンド材料の別の表面内に形成されている、上記25記載の光学素子。
27. 光学システムであって、
上記1〜26のうちいずれか一に記載の光学素子と、
光を少なくとも300Wの電力で発生させ前記光学素子を通って前記光を透過させるよう構成された光源とを含む、光学システム。
28. 前記光源は、光を少なくとも500W、少なくとも1kW、少なくとも3kW、少なくとも5kW、少なくとも10kW、少なくとも15kW、少なくとも20kW、少なくとも25kW、少なくとも30kW、少なくとも35kW、少なくとも40kW、少なくとも45kW、又は少なくとも50kWの電力で発生させるよう構成されている、上記27記載の光学システム。
29. 前記光学素子を冷却する冷却システムを更に含む、上記27又は28記載の光学システム。

Claims (29)

  1. 光学素子であって、
    合成ダイヤモンド材料と、
    前記合成ダイヤモンド材料の少なくとも1つの表面内に直接形成された光学表面パターンとを有し、
    前記光学表面パターンは、トレンチによって互いに隔てられた複数の突出部を含み、前記突出部は、周期数dで互いに間隔を置いて配置され、
    前記周期数dは、0次回折次数限界の65〜99%であり、非0次回折次数は、前記0次回折次数限界よりも上において動作波長λで観察され、
    前記光学表面パターンは、0.1から0.6までの範囲にあるフィルフラクションを有し、前記フィルフラクションは、[一周期ユニット中の突出部面積]/[周期ユニットの面積]として定義され、且つ
    前記光学素子は、室温で測定して10.6μmの波長で≦0.2cm-1の吸収係数を有する、光学素子。
  2. 前記動作波長λは、10.6μm、2.2μm、1.06μm、532nm、355nm、又は266nmの中から選択された1つである、請求項1記載の光学素子。
  3. 前記周期数dは、前記0次回折限界の70%以上、80%以上、85%以上、又は87%以上である、請求項1又は2記載の光学素子。
  4. 前記周期数dは、前記0次回折限界の97%以下、95%以下、又は92%以下である、請求項1〜3のうちいずれか一に記載の光学素子。
  5. 前記動作波長λは、10.6μmであり、前記0次回折限界は、4.45μmであり、前記光学表面パターンの前記周期数dは、3μmから4.40μmまでの範囲にある、請求項1〜4のうちいずれか一に記載の光学素子。
  6. 前記周期数dは、3.20μm以上、3.40μm以上、3.60μm以上、又は3.80μm以上である、請求項5記載の光学素子。
  7. 前記周期数dは、4.30μm以下、4.20μm以下、又は4.10μm以下である、請求項5又は6記載の光学素子。
  8. 前記光学表面パターンの前記トレンチは、3未満、2未満、又は1.5未満の深さと幅のアスペクト比を有する、請求項1〜7のうちいずれか一に記載の光学素子。
  9. 前記トレンチの深さと幅のアスペクト比は、1.2以上である、請求8記載の光学素子。
  10. 前記光学表面パターンの前記突出部は、正方形又は長方形の断面形状を有する、請求項1〜9のうちいずれか一に記載の光学素子。
  11. 前記光学素子は、室温で測定して10.6μmの波長で≦0.1cm-1、≦0.07cm-1又は≦0.05cm-1の吸収係数を有する、請求項1〜10のうちいずれか一に記載の光学素子。
  12. 前記光学素子は、以下の特性のうちの一方又は両方を満たすレーザ誘導損傷しきい値を有し、
    前記レーザ誘導損傷しきい値が、パルス長を100ns、パルス繰り返し周波数を1Hzから10Hzまでの範囲にあるとして、波長10.6μmのパルスレーザを用いて測定して少なくとも30Jcm-2、少なくとも50Jcm-2、少なくとも75Jcm-2、少なくとも100Jcm-2、少なくとも150Jcm-2、又は200Jcm-2であり、
    前記レーザ誘導損傷しきい値が、波長10.6μmの連続波レーザを用いて測定して少なくとも1MW/cm2、少なくとも5MW/cm2、少なくとも10MW/cm2、少なくとも20MW/cm2又は少なくとも50MW/cm2である、請求項1〜11のうちいずれか一に記載の光学素子。
  13. 前記光学素子は、前方半球中に前記光学素子の前記動作波長で2%以下、1%以下、0.5%以下、又は0.1%以下の積分全散乱量を有する、請求項1〜12のうちいずれか一に記載の光学素子。
  14. 前記光学素子は、室温で測定して145GHzにおいて2×10-4以下、10-4以下、5×10-5以下、10-5以下、5×10-6以下、又は10-6以下の誘電損失係数tanδを有する、請求項1〜13のうちいずれか一に記載の光学素子。
  15. 前記光学素子は、以下の特性のうちの1つ又は2つ以上を有し、前記特性は、
    5mm-2以下、3mm-2以下、1mm-2以下、0.5mm-2以下又は0.1mm-2以下の平均微小特徴部密度、
    任意の3mm2領域内に5個以下、4個以下、3個以下、2個以下、又は1個以下の微小特徴部が存在するような微小特徴部分布、
    2760cm-1から3030cm-1までの範囲にある補正直線背景で測定したときに0.20cm-2以下、0.15cm-2以下、0.10cm-2以下、又は0.05cm-2以下の単位厚さ当たりの積分吸収能、
    1800Wm-1-1以上、1900Wm-1-1以上、2000Wm-1-1以上、2100Wm-1-1以上、又は2200Wm-1-1以上の熱伝導率、
    二次イオン質量分析計によって測定して1017cm-3以下、5×1016cm-3以下、1016cm-3以下、5×1015cm-3以下、又は1015cm-3以下のシリコンコンセントレーション、及び
    二次イオン質量分析計によって測定して1018cm-3以下、5×1017cm-3以下、5×1016cm-3以下、1016cm-3以下、5×1015cm-3以下、又は1015cm-3以下の窒素コンセントレーションである、請求項1〜14のうちいずれか一に記載の光学素子。
  16. 前記光学素子は、以下の特性のうちの1つ又は2つ以上を有し、前記特性は、
    前記合成ダイヤモンド材料の核生成フェースが張力下にある状態で、200〜500μmの厚さの場合に760MPa×n以上、500〜750μmの厚さの場合に700MPa×n以上、750〜1000μmの厚さの場合に650MPa×n以上、1000〜1250μmの厚さの場合に600MPa×n以上、1250〜1500μmの厚さの場合に550MPa×n以上、1500〜1750μmの厚さの場合に500MPa×n以上、1750〜2000μmの厚さの場合に450MPa×n以上、2000μm以上の厚さの場合に400MPa×n以上の引張破壊強度、乗率nは、1.0、1.1、1.2、1.4、1.6、1.8、又は2であり、
    前記合成ダイヤモンド材料の成長フェースが張力下にある状態で、200〜500μmの厚さの場合に330MPa×n以上、500〜750μmの厚さの場合に300MPa×n以上、750〜1000μmの厚さの場合に275MPa×n以上、1000〜1250μmの厚さの場合に250MPa×n以上、1250〜1500μmの厚さの場合に225MPa×n以上、1500〜1750μmの厚さの場合に200MPa×n以上、1750〜2000μmの厚さの場合に175MPa×n以上、2000μm以上の厚さの場合に150MPa×n以上の引張破壊強度、乗率nは、1.0、1.1、1.2、1.4、1.6、1.8、又は2である、請求項1〜15のうちいずれか一に記載の光学素子。
  17. 前記光学表面パターンは、前記合成ダイヤモンド材料の少なくとも1つの表面に、少なくとも25mm2、少なくとも50mm2、少なくとも100mm2、少なくとも200mm2、少なくとも300mm2、少なくとも500mm2、少なくとも700mm2、少なくとも1000mm2、少なくとも1500mm2、少なくとも2000mm2、少なくとも3000mm2、少なくとも5000mm2、少なくとも7000mm2、少なくとも10000mm2、少なくとも15000mm2、又は20000mm2の領域にわたって形成されている、請求項1〜16のうちいずれか一に記載の光学素子。
  18. 前記光学素子は、前記領域の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも100%にわたって請求項1〜14のうちいずれか一に記載の要件を満たす、請求項17記載の光学素子。
  19. 前記光学表面パターンは、前記合成ダイヤモンド材料の少なくとも2つの表面内に形成される、請求項1〜18のうちいずれか一に記載の光学素子。
  20. 前記合成ダイヤモンド材料は、単結晶CVDダイヤモンド又は多結晶CVDダイヤモンドである、請求項1〜19のうちいずれか一に記載の光学素子。
  21. 前記合成ダイヤモンド材料は、200μm以上、250μm以上、350μm以上、450μm以上、500μm以上、750μm以上、1000μm以上、1500μm以上、又は2000μm以上の厚さを有する、請求項1〜20のうちいずれか一に記載の光学素子。
  22. 前記光学表面パターンは、反射防止表面パターンである、請求項1〜21のうちいずれか一に記載の光学素子。
  23. 前記光学素子は、前記少なくとも1つの表面のところの反射率が前記光学素子の動作波長で2%以下、1.5%以下、1%以下、又は0.5%以下である、請求項22記載の光学素子。
  24. 前記光学素子は、前記光学素子の前記動作周波数で少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の透過率を有する、請求項22又は23記載の光学素子。
  25. 前記光学表面パターンは、複屈折表面パターンである、請求項1〜21のうちいずれか一に記載の光学素子。
  26. 前記複屈折表面パターンは、前記合成ダイヤモンド材料の一方の表面内に形成され、請求項24〜26のうちいずれか一に記載の前記反射防止表面パターンは、前記合成ダイヤモンド材料の別の表面内に形成されている、請求項25記載の光学素子。
  27. 光学システムであって、
    請求項1〜26のうちいずれか一に記載の光学素子と、
    光を少なくとも300Wの電力で発生させ前記光学素子を通って前記光を透過させるよう構成された光源とを含む、光学システム。
  28. 前記光源は、光を少なくとも500W、少なくとも1kW、少なくとも3kW、少なくとも5kW、少なくとも10kW、少なくとも15kW、少なくとも20kW、少なくとも25kW、少なくとも30kW、少なくとも35kW、少なくとも40kW、少なくとも45kW、又は少なくとも50kWの電力で発生させるよう構成されている、請求項27記載の光学システム。
  29. 前記光学素子を冷却する冷却システムを更に含む、請求項27又は28記載の光学システム。
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