JP2017518492A - 陽電子放出断層撮影法で使用するための43Sc放射性核種およびその放射性医薬品の製造 - Google Patents

陽電子放出断層撮影法で使用するための43Sc放射性核種およびその放射性医薬品の製造 Download PDF

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Abstract

放射性核種43Scは、本発明によれば、商業上意味のある収率で、かつ陽電子放出断層撮影用の試剤のような放射性診断剤において使用するのに適した特定の活性および放射性核種純度で生成される。本発明の方法およびシステムにおいては、不活性基材上に準備された同位体的に濃縮されたターゲット層を有する固形ターゲットを、特定の設計のターゲットホルダ中に配置し、該ターゲットに陽電子または重陽子の荷電粒子線を照射する。その荷電粒子線は、生物医学的なサイクロトロンのような加速器を使用して3MeVから約22MeVまでの範囲のエネルギーで生成される。本発明は、3つの異なる核反応:a)濃縮された43Caターゲットに陽子を照射して、放射性核種43Scを生成する核反応43Ca(p,n)43Sc、b)濃縮された42Caターゲットに重陽子を照射して、放射性核種43Scを生成する核反応42Ca(d,n)43Sc、およびc)濃縮された46Tiターゲットに陽子を照射して、放射性核種43Scを生成する核反応46Ti(p,α)43Scの使用を含む。

Description

本発明は、陽電子放出断層撮影法で使用するための43Sc放射性核種およびその放射性医薬品の様々な製造方法に関する。
陽電子放出断層撮影法(PET)は、X線コンピュータ断層撮影法(CT)または核磁気共鳴画像法(MRI)のようなその他の生物医学的な撮像法と共に、心臓病学、神経病学、腫瘍学または免疫学における生体内プロセスの可視化のための核医学において通常用いられる診断分子イメージング法のうちの一つである。
最も広く用いられる放射性核種は、1.83時間の半減期を有する18Fであり、大抵は、2−デオキシ−2−(18F)フルオロ−D−グルコース(FDG)の形で用いられる。この理由は、その原子核崩壊特性と、生物医学的サイクロトロンの数が絶えず増え続けていることによるその利用可能性からである。18F標識された化合物は、GMP(適性製造規範)認定の中央集中型の放射性薬局で大量に合成されて、PETセンターを運営する病院へと比較的長距離にわたって運搬することができる。18Fは、小さい有機分子を標識するのに適しているが、ペプチド類またはタンパク質類を標識するにあたっては幾つかの欠点を有する。
放射性金属は、これらの種類の分子のためにより見込みのあるものである。近年では、68Ge/68Ga放射性核種ジェネレータシステムから得られ、また1.13時間の半減期を有する68Gaは、多くの68Ga標識化合物の形でPET用に知名度を上げている。68Ga標識化合物が有するPET診断のための多くの利点にもかかわらず、幾つかの関連した欠点が存在する。一つ目に、比較的短い半減期は、PETスキャナーを稼働するそれぞれの場所に加えて、法制によって課される全ての要件を満たす放射性医薬品生産施設の立ち上げも必要とする。二つ目に、68Ge/68Gaジェネレータは、限られた量の放射活性、つまり1回の溶出あたり最大で約2回分ないし3回分の患者用量しか提供できない。更に、68Ga標識されたソマトスタチン類似体は、治療に用いられる177Lu標識および90Y標識されたそれらの対照物と比べて、ヒトソマトスタチン受容体サブタイプSSTR1〜SSTR5に対して異なる親和性プロフィールを有することが示されている。結果として、68Ga PET撮像法に基づいた正しい治療計画および患者の用量決定には疑問の余地があるように思われる。
これらの制限を乗り越えるために、本発明の課題は、68Gaに対するより適切な代替物を提供することであり、それは以下の特性、すなわち数時間の半減期を有する陽電子を放出する放射性核種であること、高い陽電子収率を有するが、低い陽電子エネルギーを有すること(高いPET解像度をもたらす)、少数の低エネルギーガンマ線が(あるとしても)低い強度でしか生じないこと、そして現存の臨床関連の放射性医薬品を使用した診断アプローチへの導入を可能にする(治療に用いられる)90Yまたは177Luに類似した複合化学的特性を有することを必要とすることとなる。更に、その生産は、生物医学的なサイクロトロンで大きな活性において経済的に達成されるとともに、その化学的単離は、それが後続の標識反応のために直接的に用いることができるように比較的単純な短い手順で達成されるべきである。
前記課題は、本発明によれば43Scを生成する方法であって、以下の方法:
a)濃縮された43Caを5MeV〜24MeVの陽子線エネルギーで使用する、43Ca(p,n)43Sc、
b)濃縮された42Caおよび3MeV〜12MeVの重陽子線エネルギーを使用する、42Ca(d,n)43Sc、
c)濃縮された46Tiおよび10MeV〜24MeVの陽子線エネルギーを使用する、46Ti(p,α)43Sc、
の1つが利用される前記方法によって解決される。
これらの3つの生成経路は、43Sc放射性核種を、容量および純度の点で望ましい程度で、上述の放射性核種、特に18Fおよび68Gaと比較して競争力のある価格で生成するために見込みのある選択肢である。
上述の一番目の選択肢のために好ましい方法は、以下の生成ステップによって達成できる:
a)50%またはそれより高い43Caの含有率を有する、CaCO3、Ca(NO32、CaF2もしくはCaOの粉末またはCa金属の形の濃縮された43Caターゲットに陽子線を照射することで、その43Ca含分を43Scへと変えるステップ、
b)照射後の濃縮された43Caターゲットを酸性溶液中に溶解させ、そして得られた溶液を、DGA樹脂を装填した第一のカラムに通すことで、その43Scイオンを吸収させるステップ、
c)その吸収された43Scイオンを、第一のカラムをHClですすぐことによって、カチオン交換樹脂、例えばDOWEX 50W−X2またはSCXのいずれかのカチオン交換樹脂を装填した第二のカラム中へと溶出させて、該第二のカラム中で43Scを吸着させるステップ、および
d)該第二のカラムからの43Scの溶出をNH4酢酸塩/HClまたはNaCl/HClを用いて実施するステップ。
上述の二番目の選択肢のために好ましい方法は、以下の生成ステップによって達成できる:
a)50%またはそれより高い42Caの含有率を有する、CaCO3、Ca(NO32、CaF2もしくはCaOの粉末またはCa金属の形の濃縮された42Caターゲットに重陽子線を照射することで、その42Ca含分を43Scへと変えるステップ、
b)照射後の濃縮された42CaターゲットをHCl中に溶解させ、そして溶解した溶液を、DGA樹脂を装填した第一のカラムに通すことで、その43Scイオンを吸収させるステップ、
c)その吸収された43Scイオンを、第一のカラムをHClですすぐことによって、カチオン交換樹脂、例えばDOWEX 50W−X2またはSCXのいずれかのカチオン交換樹脂を装填した第二のカラム中へと溶出させて、該第二のカラム中で43Scを吸着させるステップ、および
d)該第二のカラムからの43Scの溶出をNH4酢酸塩/HClまたはNaCl/HClを用いて実施するステップ。
照射後に43Scへと変換されなかった42Caまたは43Caの部分を再循環するために、以下のステップを利用することができる:
a)該当する価値のある濃縮されたCa同位体を含む第一のカラムからの溶出液を蒸発乾涸させることで、生成残分を形成するステップ、
b)その生成残分を、脱イオン水中に溶解させ、そしてアンモニア溶液およびHClをそれぞれ用いて4.5〜5のpHに調整することで、溶解されたCa(II)イオンを含む溶液を形成するステップ、
c)そのCa(II)の溶解された含分を、シュウ酸アンモニウム溶液の添加によってシュウ酸カルシウムとして沈殿させるステップ、ならびに
d)該沈殿したシュウ酸カルシウムを濾過し、そして濾過されたシュウ酸カルシウムをゆっくりと加熱することによって該シュウ酸塩を炭酸塩へと変化させるステップ。
上述の三番目の選択肢のために好ましい方法は、以下の生成ステップによって達成できる:
a)50%またはそれより高い46Tiの含有率を有するチタニア粉末の形の濃縮された46TiターゲットをTi金属に還元させて、陽子線を照射することで、その46Ti含分を43Scへと変えるステップ、
b)照射後の46TiターゲットをHCl中に溶解させ、脱イオン水を添加することで、該溶液を3M〜5MのHClへと希釈するステップ、
c)その溶液を、DGA樹脂を含む第一のカラムであってSCXカチオン交換樹脂を含む第二のカラムに直接的に連結されているカラムに通すことで、SCX樹脂上で43Scを吸着させるステップ、および
d)その吸着された43Scを、SCXカラムからSCX溶出剤(NaCl/HCl)を用いて溶出するステップ。
従って、陽電子放出断層撮影法で利用されるべき放射性医薬品は、放射性金属を基礎とする放射性医薬薬剤を含み、該医薬薬剤は、標的用媒介体(例えば抗体、ペプチド、ナノ粒子、ビタミンおよびそれらの誘導体)に結合された二官能性キレート化剤、例えばDOTA配位子(1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸)と、該キレート化剤に結合されている43Scとを含有する。好ましくは、この放射性医薬品は、43Scを、1回の陽電子放出断層撮影法のための1用量につき100MBq〜500MBqの、好ましくは約200MBqの放射能量で含む。
本発明の好ましい実施形態を、以下で、特に以下の図面への参照とともにより詳細に記載する。
黒鉛粉末と一緒に圧縮した後のターゲット材料の位置と相対厚さを示す考えられるターゲットの図案を示す。 濃縮されたCaを使用する43Sc生成パネル画の概略図を示す。
そのような長寿命の陽電子を放出する放射性核種を探し出すにあたり、本発明は、68Gaよりも適切な候補として、よりYおよびランタニドと類似した化学特性を有するため、そのGa対照物よりも適合性が高い43Scを割り出している。43Scの放射性崩壊は、0.476MeVの低い平均陽電子エネルギー(68Ga:0.830MeV)、88.1%の高い全陽電子収率(68Ga:88.9%)、および3.89時間の理想的な半減期(68Ga:1.13時間)で生ずるため、消費者への長距離にわたる(すなわち500kmを超える)その輸送が可能となる。その崩壊は、373keVの比較的低エネルギーのガンマ線および23%の存在度(68Ga:1077keV、3.2%)を伴うが、最近のPETスキャナーは比較的狭いエネルギー窓(すなわち440keV〜665keV)を用いて運転できるため、それはPET撮像に悪影響を及ぼさない。結果として、この放射性核種は、上述の68Gaの制限を乗り越える可能性を有する一方で、優れた特性を与える。スカンジウムは、非常に高い安定度定数でDOTA(1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸)、つまり放射性医薬品化学における放射性金属のために広く用いられるキレート化剤と錯体を形成することが知られている。その安定度定数は、全て、四方逆プリズム型の形態を有する錯体を形成するため、ルテチウムまたはイットリウムに匹敵するものであるが、その一方で、歪んだ八面体形状を有するガリウムの場合には、前記安定度定数はより低いものである。従って、63Gaは、DOTAキレート化剤を用いる放射性医薬品において容易に43Scと置き換えることができるとともに、GMPに準拠したカセット標識システム、例えばDOTA−TATE、DOTA−TOC、DOTA−BASS、DOTA−PSMA、DOTA−フォレート等の形のDOTA配位子の標識のためのEckert&Ziegler社によって供給されるシステムに直接導入することができる。
本発明は、また十分な量および高い放射性核種純度で、生物医学的なサイクロトロンによって、すなわち10MeV〜24MeVのエネルギー範囲の陽子線(または3MeV〜12MeVのエネルギー範囲の重陽子線)を用いて43Scを生成するための様々な方法を記載している。
本発明は、また43Scをそのターゲット材料から、直接的な標識反応とその後の医療用途に適した品質と量で抽出するために必要な放射化学的手順を記載している。更に、価値のある濃縮されたターゲット材料を回収する手順を開示する。
当該分野における最近の研究状況
金属性放射性核種を含む放射性医薬品は、診断的な核医療と治療的な核医療において重要性を増している。最も重要な一例は、99mTcであり、それは最近では核医学において最も一般的に普及した診断的な金属性放射性核種であって、世界的な供給危機を理由に関心が高まっている。代替手段を探すことが最重要である。治療的な金属性放射性核種の例は、Zevalin(登録商標)(90Yで標識されたイブリツモマブチウキセタン)において使用される90Y、Lutathera(登録商標)[177Lu−DOTA−TATE(177Lu−DOTA0−Tyr3−オクトレオテート(Octreotate);177Lu−DOTA−DPhe−c(Cys−Tyr−DTrp−Lys−Thr−Cys)−Thr;DOTA:1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸)としても知られる]における177Lu、あるいは前立腺癌および骨転移を伴う患者の治療のためのXofigo(登録商標)における223Ra(223RaCl2)である。
近年では、神経内分泌腫瘍(NET)のソマトスタチン受容体を標的とした放射性核種療法が大きな注目を集めている。90Yおよび177Luを用いた療法は非常に効果的であると証明され、国際原子力機関(IAEA)は、最近、EANMおよびSNMMIと協力して、神経内分泌腫瘍(NET)のためのペプチド受容体放射性核種療法(PRRNT)についての実践的な手引きを発行した。ペプチド受容体放射性核種療法(PRRNT)は、1996年にスイスのバーゼルで初めて行われた。ペプチドを用いたGタンパク質共役受容体を標的とする療法、葉酸受容体を標的とする療法または適切な金属性放射性核種に結合されたモノクローナル抗体を使用する療法といった他の療法は、現在、前臨床試験および臨床試験の段階にあるか、または既に放射性医薬品として許可されている。かなり頻繁に、これらの医薬品は、特に薬物動態が素早いのであれば、比較的短寿命の診断的放射性核種で標識されることもある。研究努力の中核をなすものは、診断目的と治療目的のために理想的な放射性核種の対をなす元素の同位体である(セラノスティクスまたはセラグノスティクス)。こうして、同じ医薬品実体を診断的核種か治療的核種のどちらかで標識することができ、同位体効果が僅かであるため、撮像法によって前もって特定された位置で治療効果が起きるであろうことが想定できる。そのようなアプローチが、今日まで効果的に解消されていなかった、正しい治療計画および患者の用量決定といった問題を楽にすることが望まれる。
核種の一覧の調査によって、特に診断的な放射性核種がPETに適していなければならないことが一つの要件であるならば、そのような「合致した対」は非常に僅かしか存在しないことが分かっている。PRRNTにおいて最も広く用いられる2つの治療的な放射性核種、つまり90Yと177Luについては、適切な合致した陽電子放出体は存在しない(86Yは31.9%の低い陽電子分岐を有していて、多量の高強度の高エネルギーガンマ線は、修正法を利用するとともに患者および作業者への線量も考慮しなければ特に適しているとみなすことはできないが、それでも患者には使用されている)。
従って、化学的に同様に振る舞い、生物学的な振る舞いが同等のものとなる放射性核種を考慮に入れるべきである。最近では、神経内分泌腫瘍(NET)の診断は、オクトレオチドの68Ga放射線標識された誘導体を使用して効果的に行われている。68Gaは、68Ge/68Ga放射性核種ジェネレータシステムから得られ、1.13時間の半減期を有する。診断結果は、111In放射性標識された誘導体の単一光子放出型コンピュータ断層撮影法(SPECT)に対してはるかに優れているが、68Gaの使用では欠点を有する。比較的短い半減期は、PETスキャナーを稼働するそれぞれの場所に加えて、GMPに関連する法制によって課される全ての新しい要件を満たす放射性医薬品生産場所の立ち上げも必要とする。更に、最近の68Ge/68Ga放射性核種ジェネレータシステムは、約2GBqの活性に制限されており、その結果、ジェネレータ溶出あたりに2回分ないし3回分以下の患者用量しか得られない。68Geの半減期(270.82日)は、最良でもジェネレータの年一回の取り替えを必要とする。最近のシステムは、68Ga標識された放射性医薬品およびその必要とされるインフラに大きな労働力を要するものとするため、本出願人が68Ga−DOTA−TATEの最近の導入によって経験したように、実用に費用がかかると思われる。
例えばGMP認定の放射性薬局で合成でき、PETセンターを運営する病院へと更なる距離にわたって運搬することができる18F標識された化合物と比較すると、上述の68Gaの欠点は、PET撮像法のためにこの放射性核種を広く一般に利用することを制限するかもしれない。更に、68Ga標識されたソマトスタチン類似体は、治療に用いられる177Luおよび90Yのそれらの対照物と比べて、ヒトソマトスタチン受容体サブタイプSST1〜SST5に対して異なる親和性プロフィールを示すことが裏付けられている。結果として、68Ga撮像法に基づいた正しい治療計画および患者の用量決定には疑問の余地があるように思われる。
上述の内容を考慮に入れると、44Sc放射性標識された放射性医薬品は、特にScの化学的挙動がそのGa対照物に比べてYおよびLuと類似性が高いと予想されるので、一つの選択肢として考慮された。3.92時間という魅力的な半減期を有するこの放射性核種は、44Ti/44Sc放射性核種ジェネレータシステムから得ることができ、または44Ca(p,n)44Sc核反応を介して10MeV〜20MeVの生物医学的なサイクロトロンで生成でき、こうしてジェネレータからそれを取り出すよりもはるかに高い収率が得られる。
陽電子放出性の放射性核種としての44Scの唯一の重大な欠点は、99.9%の強度で1157keVのガンマ線を一緒に放出することである。コンプトン散乱されたガンマ線は、陽電子の対消滅反応位置の正しい画像再構成を妨げるため、得られるPET撮像を損ねることがある。その高エネルギーガンマ線は、また患者および作業者の放射線曝露を大きくする。それにもかかわらず、一緒に放出される44Scの1157keVのガンマ線は、検出媒体としての液体キセノンによるβ+γの同時計数の検出を使用した「3γイメージング」のために使用されたことが述べられるべきである。初めてのヒトの患者は、37MBqの44Sc−DOTA−TOC(44Sc−DOTA0−Tyr3−オクトレオチド;44Sc−DOTA−DPhe−c(Cys−Tyr−DTrp−Lys−Thr−Cys)−Thr(ol))を投与することによって診断した。高品質のPET/CT画像は、注射の18時間後(p.i.)でさえも記録された。そのことは、取り込みの動力学が、68Ga標識された類似体に比べて比較的長い期間にわたり継続できることと、より長寿命の90Y類似体または177Lu類似体を用いた引き続いての治療用途の個々の用量決定を可能にしうることを裏付けている。
18Fの生成のために主に使用される生物医学的なサイクロトロンは、陽子と、かなり頻繁に重陽子も加速するように設計されている。本発明によれば、43Scの臨床に関連した活性を生成するために、生物医学的なサイクロトロンを使用した3種の核反応が使用される。提案される反応は、
a)市販される濃縮された43Ca(天然存在量0.153%)を5MeV〜24MeVの陽子線エネルギーで使用する、43Ca(p,n)43Sc、
b)市販される濃縮された42Ca(天然存在量0.647%)および3MeV〜12MeVの重陽子線エネルギーを使用する、42Ca(d,n)43Sc、
c)市販される濃縮された46Ti(天然存在量8.25%)および10MeV〜24MeVの陽子線エネルギーを使用する、46Ti(p,α)43Sc、
である。
比較的低い線エネルギーのため、43Scの生成は、固形ターゲットステーションを備えた殆どの生物医学的なサイクロトロンで達成でき、その結果、中央集中型の製造により全体の費用の削減がもたらされる。そのより長い半減期のため、43Sc放射性医薬品は、同時に、または18F標識されたものより早くに製造できるとともに、一緒に顧客へと発送することができる。
本開示は、種々の生成経路を使用した43Scの生成を記載しており、生成物を臨床評価用の化合物の標識のために使用できる最も適切なものを確立している。主としてSSTR2に結合する配位子を基礎とする種々の43Sc標識されたDOTAペプチドは、結合親和性、インターナリゼーション、安定性および生体内特性の点で177Luで、90Yで、そして68Gaで標識された対照物に匹敵するものである。
43Scは、生物医学的なサイクロトロンで、より詳細に論じられる3つの異なる生成経路を使用して生成することができる。反応40Ca(α,n)43Ti→β+43Scでアルファ粒子線を使用するその生成は一つの選択肢であるが、アルファ粒子線を出力できる加速器は不足しており、稼働により高い費用がかかる。更に、活性ターゲットの厚さは、アルファ粒子線ではより大幅に制限されるため、全体の生成収率は大きく低下する。
結果として、43Ca(p,n)43Sc、42Ca(d,n)43Scまたは46Ti(p,α)43Scの反応が検討される。TENDL−2013計算、つまりTALYSを基礎として評価された核データライブラリを、市販の濃縮されたターゲット材料の照射によって得ることができる活性および放射性核種の純度を見積もるために使用した。利用できるときには、予想されるTENDL−2013計算を、実験的に測定された生成反応断面積と比較した。10mg/cm2の濃縮されたターゲット元素が、予測される励起関数の極大値に相当する線エネルギーで2時間にわたって、かつ25μAの強度で照射されると想定した。照射後に、1時間の待機時間は、化学的処理と、医薬品の標識を含む1時間の処理時間との前に検討される。Sc/Ca分離の85%の化学的収率と標識手順の85%の収率を仮定すると、上述の条件下で、第1表に列挙される理論的生成物収率が期待できる。これらの収率は、市販の濃縮されたターゲット材料の以下の同位体組成に基づくものであった。
43Caターゲット:
40Ca(28.50%)、42Ca(1.05%)、43Ca(57.9%)、44Ca(12.36%)、46Ca(0.003%未満)、48Ca(0.19%)
42Caターゲット:
40Ca(17.79%)、42Ca(80.80%)、43Ca(0.39%)、44Ca(0.97%)、46Ca(0.01%未満)、48Ca(0.05%未満)
46Tiターゲット:
46Ti(96.9%)、47Ti(0.45%)、48Ti(2.32%)、49Ti(0.17%)、50Ti(0.16%)。
第1表:43Scの生成のための3種の異なる反応の計算された収率と放射性核種の純度
Figure 2017518492
1) ターゲットの回収収率を80%と仮定した場合の1回の患者用量(200MBq)についての濃縮されたターゲット材料の価格
43Ca(p,n)43Sc核反応:
該励起反応の計算された最大値は、9MeVの線エネルギーで約388mb(10-27cm2)に相当する。計算された断面積は、実験データおよび本出願人自身による測定値と妥当な一致を示している。第1表から理解できるように、2GBqの43Scの収率は良好であるが、44gScの同時生成が著しい。44gScがほぼ同一の半減期を有することと、適切なPET用核種として論じられていることを考慮すると、全ての他のSc核種は、全Sc活性の0.12%未満に寄与しており、長寿命の46gScは、全体の活性の2.1×10-5%未満を成すにすぎない。
42Ca(d,n)43Sc核反応:
該励起反応の計算された最大値は、5MeVの線エネルギーで約280mb(10-27cm2)に相当する。43Scの2GBqの収率は良好であり、44gScの同時の生成は1%未満である。43Sc+44gScに対して、全ての他のSc放射性核種は全Sc活性の0.11%未満に寄与しており、その際、最も大きく寄与しているのは、わずか57.2分の半減期を有する49Scである。長寿命の46gScは、全体の活性の3.5×10-6%未満を成すにすぎない。約80mb(10-27cm2)のみの最大生成断面積しか報告されていなかった。自身での測定は、3.6MeVから7.8MeVの間の線エネルギーの場合に、125mb〜225mb(10-27cm2)の範囲の生成断面積を示している。
46Ti(p,α)43Sc核反応:
該励起反応の計算された最大値は、16MeVの線エネルギーで約31mb(10-27cm2)に相当する。利用できる実験的な反応断面積データは、16MeVで約40mbであり(100%の46Ti同位体存在量に繰り込まれる)、従って妥当な一致を示している。43Scの0.2GBqの収率は、他の2種類の生成反応と比べて一桁小さいが、44gScの同時生成は1%未満である。43Sc+44gScに対して、全ての他のSc放射性核種は全Sc活性の0.02%未満に寄与している。長寿命の46gScは、全体の活性の3.6×10-4%を成すにすぎない。
全ての3種類の核反応について、濃縮されたターゲット材料を量的に回収する化学的手続を確立した。保存的な回収の収率が80%であると仮定して、患者用量(200MBqの43Sc)当たりの材料費用が第1表に示されている。それらのターゲット材料の最近の価格は、以下の通りである:43Ca 94.50CHF/mg、42Ca 54.00CHF/mg、および46Ti 13.65CHF/mg。比較のために、68Geの漏出が起き始める前にジェネレータを200回溶出できると仮定して、68Geの価格は、85CHF/用量で計算された。上記のことを考慮すると、43Scの生成費用は、特に生物医学的なサイクロトロンが通常18Fの生成のために毎日数時間だけしか稼働されないことを考慮に入れると、放射性医薬製品の費用と比較してあまり大きくないことが裏付けられる。
43Scの収率と長寿命の混在物としての46gScの同時生成を考慮に入れると、42Ca(d,n)43Sc反応が目下、最も好適であるように思われる。46Ti(p,α)43Sc反応はまた、比較的純粋な生成物を提供する。この理由のため、断面積の慎重な実験的評価が必要であった。43Ca(p,n)43Sc反応は、特により高度に濃縮された43Caが利用可能となれば見込みのあるものとなる。従って、全ての3種の反応の生成物スペクトルを実験的に調査するとともに、43Scの生成を、長寿命の46gScに対して線エネルギーの最適化によって最適化することが必須である。
ターゲットは、金属の形またはCa化合物の形の濃縮された42Caまたは43Caのいずれか、例えばCaCO3、Ca(NO32、CaF2もしくはCaOの粉末またはCa金属を、ターゲットホルダの溝の中に圧縮することによって製造される。該ターゲットホルダは、該当する濃縮された同位体100mgまでを収容できる0.28cm3までの体積を提供する。Tiターゲットの場合に、その濃縮された材料は、TiO2の形でしか購入できない。ホットセル環境におけるTiO2の素早い溶解は、熱した硫酸または濃縮HFを避けることが望ましいのであれば重大な問題となる。結果として、該濃縮されたTiターゲット材料は、まずTi金属へと定量的に還元される。第1表から理解できるように、約100mgの濃縮された46Tiの使用は、1回の照射当たりに10回分より多くの患者用量の生産をもたらすこととなり、したがって、生成断面積が小さいにもかかわらず、46Ti(p,α)反応は見込みのある選択肢となる。
照射後のターゲット材料から43Scを、放射性医薬品用途のために十分な量および質で単離するための、該当する価値のあるターゲット材料の回収を含む化学的な方策が提供される。その生成物は、後続の標識過程のために直接的に使用できる化学的な形でなければならない。
濃縮されたCaターゲット材料からの43Scの生成のための化学的な方策は、44Scについて確立されたものと同様となる。
濃縮された42CaCO3または43CaCO3ターゲットの設計、製造および照射:
該ターゲットの製造のために、10±1mgの濃縮された42CaCO3または43CaCO3粉末を、約160mgの黒鉛粉末(99.9999%)の上に置き、10tの圧力で圧縮する。該ターゲットは、0.4mm〜0.5mmの厚さおよび16mmの直径の寸法を有する(圧縮された42CaCO3または43CaCO3粉末は、ディスクの中心で190μmの計算された厚さと6mmの直径を有する)。封入された42CaCO3または43CaCO3の圧縮されたターゲットを、照射設備に導入する前にターゲットホルダシステム中に入れる(図1を参照のこと)。該ターゲットの厚さは、濃縮された材料の高い費用によって決められるため、従って生産運転の場合には大きくすることができる。
図1は、黒鉛粉末と一緒に圧縮した後のターゲット材料の位置と相対厚さを示す考えられるターゲットの図案を示す。ターゲット材料は、膨らんだ形(bombardment configuration)のアルミニウム蓋によって覆われる。
樹脂カラムの準備
カラム(20μmフリットを備えた1mLカートリッジ、27mmの長さに切断)に、約70mgのDGA樹脂(Triskem International、フランス)を充填し、20μmフリットはその樹脂の上に位置している。DGAカラムを3MのHClでプレコンディショニングする。43Scを濃縮するために第二のカラムを使用する。生成物の濃縮のために、引き続き2つの方法を行うことができる。方法A:第二のカラム(20μmフリットを備えた1mLカートリッジ)に、約140μLのDOWEX 50W−Xを充填した。20μmフリットはその樹脂の上に位置している。そのカラムを0.1MのHCl溶液でプレコンディショニングする。方法B:あるいは、SCX(Agilent Technologies Inc.、米国)カートリッジを、濃縮ステップのために使用する。該カートリッジは、購入したままでプレコンディショニングなしで使用できる。
カルシウムターゲット材料からの43Scの分離:
活性化されたターゲットを、そのアルミニウム封入から取り出し、ガラスバイアル(反応容器)中に移し、2.5mLの3MのHCl中に溶解させ、事前に10mm長のフィルタ(20μmフリットを備えた1mLカートリッジ)に通過させて、DGAカラムにロードする。そのターゲット容器を2.5mLの3MのHClですすぎ、その溶液をDGA樹脂に通過させる。残留Ca(II)の完全な除去を保証するために、更なる4mLの3MのHClを、直接DGAカラムへと適用する。シリンジと三方弁のシステムを使用して、溶液を外部からホットセル中に移動させる(図2)。第一のカラムは第二のカラムと直接的に連結されており、43Scは、DGA樹脂から4mLの0.1MのHClで溶出させる。その溶液は、DOWEX 50W−X2(方法A)またはSCX(方法B)カチオン交換樹脂のいずれかを含む第二のカラムに吸着される。43Scの溶出は、別個の弁(図2)を介して、方法Aのためには1.5mLの0.75MのNH4酢酸塩/0.2MのHCl(pH4.5〜5.0)を、方法Bのためには0.7mLの5MのNaCl/0.13MのHCl(pH0〜0.5)をそれぞれ用いて実施する。43Scを適切な少量で回収するためには、酢酸塩/HCl溶出物(方法A)を、それぞれ約500μLを収容する3つのエッペンドルフバイアル中に分別する。溶出されたフラクションの活性を、放射活性センサでモニタリングする。方法Bの場合には分別回収は必要ない。Scの化学的収率は、98%を上回る。
図2は、濃縮されたCaを使用する43Sc生成パネル画(方法B)の概略図を示す。
濃縮された42CaCO3または43CaCO3ターゲット材料の再循環:
関連の価値のある濃縮されたCa同位体を含む、幾つかの生産運転のDGAカラムからの溶出物を蒸発乾涸させる。得られた白色の残留物を、20mLの脱イオン水中に溶解させ、2.5%のアンモニア溶液と1MのHClでそれぞれpH4.5〜5に調整する。Ca(II)を、20mLの0.3Mシュウ酸アンモニウム溶液の添加によってシュウ酸カルシウムとして沈殿させる。該混合物を、完全な沈殿を保証するために2時間にわたり静置し、磁器製のフィルタるつぼ(8μmの孔径)を通じて濾過し、そして500℃にゆっくりと加熱することによって該シュウ酸塩を炭酸塩へと変える。このように、価値のある濃縮された材料を、再び製造ターゲットに利用することができる。事前のICP−OES分析は、450ppmのCa濃度と、少量の金属混在物(2ppmのAlおよび1ppmのSr)を示した。そのシュウ酸アンモニウム沈殿法で、98%の全体の回収収率が得られた。その回収されたターゲット材料は、当初購入した43CaCO3からなるターゲットで得られたのと同じ品質の43Scをもたらした。
46Ti(p,α)43Sc反応を使用した43Scの生成は、ScのTiからの分離と、濃縮された46Tiターゲット材料のための再循環ステップを必要とする。化学的分離の方策は、文献データおよびPSIで進行中の研究開発に基づくものである。44Ti/44gScジェネレータシステムの開発では、既にTiとScの化学的分離は、一部の研究努力の議題となっている。
TiとScとの化学的分離は、Tiが酸化されやすく、その酸化物が熱した濃硫酸を使用してしか効果的に溶解されないため、困難であることが分かっている。更なる頭痛の種は、硫酸を蒸発させるために、それが300℃を上回る沸点を有するため大量の熱が必要とされるということである。これらの2つの元素の分離に際してのより最近の試みは、フッ化水素酸(HF)の使用を伴う。HFを、ターゲット材料を溶解させるために使用し、その後に、それを希釈して、アニオン交換樹脂カラムへとロードした。Tiは留まり、溶出するSc(希HFおよび希硝酸)をカチオン交換樹脂へとロードし、希酢酸アンモニウムで溶出させる。44TiのScターゲット材料からの分離を伴う別のシステムは、Tiを留まらせて、Scを通過させるアニオン交換樹脂に通すために、塩化水素酸の濃縮溶液を使用することを検討した。
照射後のTiターゲット材料から46Ti(p,α)反応で生成される43Scを、放射性医薬品用途のために十分な量および質で単離するための、該当する価値のあるターゲット材料の回収を含む化学的な方策が提供される。その生成物は、後続の標識過程のために直接的に使用できる化学的な形でなければならない。
46TiO2の還元:
250mgまでの46TiO2と40%過剰のCaH2のそれらの金属主成分を酸素不含のアルゴン環境中で混ぜる。タブレットを5tの圧力で2分間にわたり、アルゴンを充満させたオーブン中に挿入されたモリブデンるつぼ中で圧縮する。そのオーブンを、約30分で900℃まで加熱し、その温度を1時間にわたり900℃で維持する。そのオーブンを100℃にまで冷やす。それには約2時間〜3時間を費やす。還元が完了するとTiO2が黒色のTiへと変わる。該タブレットをブフナー漏斗中のミリポアフィルタ(0.45μm)上に置き、約20mlの脱イオン水で洗浄すると、そのタブレットは崩壊する。CaOを、100mL〜150mLのスプラピュア(suprapur)酢酸で(1:4)、3時間の期間にわたり洗浄することによって溶解させる。そのフィルタを脱イオン水で、ブフナー漏斗の溶出液のpHが中性になるまですすぐ。得られたTi粉末をデシケータ中で一晩乾燥させる。
濃縮された46Ti金属ターゲットの設計、製造および照射:
46Ti金属ターゲットの製造は、濃縮されたCaCO3ターゲットの製造と同様に進める。該ターゲットの製造のために、10±1mgの濃縮された46Ti金属粉末を、約160mgの黒鉛粉末(99.9999%)の上に置き、10tの圧力で圧縮する。得られたタブレットをアルミニウム中に封入し、ターゲットホルダシステム中に入れる。
樹脂カラムの準備
カラム(20μmフリットを備えた1mLカートリッジ、27mmの長さに切断)に、約70mgのDGA樹脂(Triskem International、フランス)を充填し、20μmフリットはその樹脂の上に位置している。DGAカラムを洗浄し、4mLの6MのHClおよび9mLの4MのHClでプレコンディショニングする。
チタンターゲット材料からの43Scの分離:
照射後の46Ti−黒鉛ターゲットを、5mLの6MのHCl中に180℃で10分間にわたり溶解させ、2mLの脱イオン水を添加して、その溶液を4MのHClへと希釈する。その出発溶液をDGA樹脂カラムに通過させる。バイアルを、その樹脂カラムを通過した3mLの4MのHClでフラッシングし、その際、一切の残留不純物をDGAカラムから追加の8mLの4MのHClで除去する。DGAカラムは、SCXカチオン交換樹脂を収容する第二のカラムに直接連結されている。43ScはそのDGAカラムから10mLの0.05MのHClで溶出され、SCXカラムへと吸着される。SCXカラムからの700μLのSCX溶出剤(4.8MのNaCl/0.1MのHCl)での溶出により、標識反応のために直接利用できる43Scが得られる。Scの化学的収率は、98%を上回る。
標識反応:
前記生成物を、2mLの2Mの酢酸ナトリウムバッファーおよび10μgのペプチド(DOTA−キレート化剤)を収容するリアクティバイアル中に入れる。得られた溶液を100℃で10分間にわたり加熱し、その後にそれをSep−Pak C18 Liteカートリッジ(Waters Corporation、米国)に通過させる。該カートリッジを2mLの0.9%生理食塩水ですすぎ、その後に生成物を2mLの50%エタノールで溶出させる。ゲンチジン酸の添加は、標識された生成物の放射線分解が起こらないことを保証する。
本出願人は、43Scは、高い期待が持てる放射性核種であり、独特かつ重要な科学的、臨床的、かつ工業的な潜在的重要性を有すると考える。

Claims (7)

  1. 43Scを生成する方法であって、以下の方法:
    a)濃縮された43Caを5MeV〜24MeVの陽子線エネルギーで使用する、43Ca(p,n)43Sc、
    b)濃縮された42Caおよび3MeV〜12MeVの重陽子線エネルギーを使用する、42Ca(d,n)43Sc、
    c)濃縮された46Tiおよび10MeV〜24MeVの陽子線エネルギーを使用する、46Ti(p,α)43Sc、
    の1つが利用される、前記方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、
    a)50%またはそれより高い43Caの含有率を有する、CaCO3、Ca(NO32、CaF2もしくはCaOの粉末またはCa金属の形の濃縮された43Caターゲットに陽子線を照射することで、その43Ca含分を43Scへと変え、
    b)照射後の濃縮された43Caターゲットを酸性溶液中に溶解させ、そして得られた溶液を、DGA樹脂を装填した第一のカラムに通すことで、その43Scイオンを吸収させ、
    c)その吸収された43Scイオンを、第一のカラムをHClですすぐことによって、カチオン交換樹脂、例えばDOWEX 50W−X2またはSCXのいずれかのカチオン交換樹脂を装填した第二のカラム中へと溶出させて、該第二のカラム中で43Scを吸着させ、そして
    d)該第二のカラムからの43Scの溶出を、NH4酢酸塩/HClまたはNaCl/HClを用いて実施する、前記方法。
  3. 請求項1に記載の方法であって、
    a)50%またはそれより高い42Caの含有率を有する、CaCO3、Ca(NO32、CaF2もしくはCaOの粉末またはCa金属の形の濃縮された42Caターゲットに重陽子線を照射することで、その42Ca含分を43Scへと変え、
    b)照射後の濃縮された42Caターゲットを酸性溶液中に溶解させ、そして得られた溶液を、DGA樹脂を装填した第一のカラムに通すことで、その43Scイオンを吸収させ、
    c)その吸収された43Scイオンを、第一のカラムをHClですすぐことによって、カチオン交換樹脂、例えばDOWEX 50W−X2またはSCXのいずれかのカチオン交換樹脂を装填した第二のカラム中へと溶出させて、該第二のカラム中で43Scを吸着させ、そして
    d)該第二のカラムからの43Scの溶出をNH4酢酸塩/HClまたはNaCl/HClを用いて実施する、前記方法。
  4. 請求項2または3に記載の方法であって、
    a)該当する価値のある濃縮されたCa同位体を含む第一のカラムからの溶出液を蒸発乾涸させることで、白色の生成残分を形成させ、
    b)その白色の生成残分を、脱イオン水中に溶解させ、そしてアンモニア溶液およびHClをそれぞれ用いて4.5〜5のpHに調整することで、溶解されたCa(II)イオンを含む溶液を形成させ、
    c)そのCa(II)の溶解された含分を、シュウ酸アンモニウム溶液の添加によってシュウ酸カルシウムとして沈殿させ、そして
    d)該沈殿したシュウ酸カルシウムを濾過し、そして濾過されたシュウ酸カルシウムをゆっくりと加熱することによって該シュウ酸塩を炭酸塩へと変化させる、前記方法。
  5. 請求項1に記載の方法であって、
    a)50%またはそれより高い範囲の46Tiの含有率を有するチタニア粉末の形の濃縮された46TiターゲットをTi金属に還元させて、陽子線を照射することで、その46Ti含分を43Scへと変え、
    b)照射後の46TiターゲットをHCl中に溶解させ、脱イオン水を添加することで、該溶液を3M〜5MのHClへと希釈し、
    c)その溶液を、DGA樹脂を含む第一のカラムであってSCXカチオン交換樹脂を含む第二のカラムに直接的に連結されている第一のカラムに通すことで、SCX樹脂上で43Scを吸着させ、そして
    d)その吸着された43Scを、SCXカラムからSCX溶出剤(NaCl/HCl)を用いて溶出する、前記方法。
  6. 陽電子放出断層撮影法で利用されるべき放射性医薬品であって、放射性金属を基礎とする放射性医薬薬剤を含み、該医薬薬剤は、標的用媒介体(例えば抗体、ペプチド、ナノ粒子、ビタミンおよびそれらの誘導体)に結合された二官能性キレート化剤、例えばDOTA配位子(1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸)と、該キレート化剤に結合されている43Scとを含有する、前記放射性医薬品。
  7. 1回の陽電子放出断層撮影のための用量が、43Scを、100MBq〜500MBqの、好ましくは約200MBqの放射能量で含む放射性医薬品。
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