この詳細な説明は、履物製品を作製する方法およびそのような方法によって作製された履物製品について全般的に説明する。
各実施形態において、その方法は、一般に、第1のニット層と、第1のニット層に重なっている第2のニット層とを有する一体ワープニット構造から成るニット布地要素を編むことを含む。各実施形態において、その方法は、一般に、シームレスニットブーティまたは履物製品の布地アッパーを形成するように構成されたニット構成要素を含むニット布地要素を編むことを含む。各実施形態において、第1のニット層と第2のニット層とが、ニットブーティまたは布地アッパーの足先部の全域に単一の連続層を形成し、およびシームレスブーティまたは布地アッパーは、第1のニット層と第2のニット層とをシームレスで接続する中間層ニットステッチラインを含む。
この詳細な説明の第1のセクションは、シームレスブーティまたは履物製品用の布地アッパーを形成するように構成されたニット構成要素を含むニット布地要素を編むための方法の実施形態について全般的に説明している。
この詳細な説明の第2のセクションは、押し込み部を有するニット構成要素を含むニット布地要素を編むための方法の実施形態について全般的に説明する。具体的には、第2のセクションは、シームレスブーティまたは布地アッパーを形成するように構成されている第1のニット構成要素部分と、シームレスブーティまたは布地アッパーの内部ポケット(すなわち、第1のニット構成要素部分)に押し込まれるか、または折り込まれるように構成されている第2のニット構成要素部分とを含むニット構成要素を含むニット布地要素を編むための方法の実施形態について全般的に説明する。その内部ポケットは、ニット布地要素の第1のニット層および第2のニット層によって形成され、また、その押し込み部(すなわち、第2のニット構成要素部分)は、足を受け入れるように構成されているシームレスブーティまたは布地アッパーの開口部において、シームレスブーティまたは布地アッパーの第1のニット層および第2のニット層(すなわち、第1のニット構成要素部分)とシームレスで結合されている。
この詳細な説明の第3のセクションは、ラップアラウンド部を有するニット構成要素を含むニット布地要素を編むための方法の実施形態について全般的に説明する。具体的には、第3のセクションは、シームレスブーティまたは布地アッパーを形成するように構成されている第1のニット構成要素部分と、シームレスブーティまたは布地アッパーの少なくとも一部(すなわち、第1のニット構成要素部分)に巻き付けられるように構成されている第2のニット構成要素部分とを含むニット構成要素を含むニット布地要素を編むための方法の実施形態について全般的に説明する。そのラップアラウンド部(すなわち、第2のニット構成要素部分)は、第1のニット構成要素部分の中間層ニットステッチラインにおいて、第1のニット構成要素部分の第1のニット層および/または第2のニット層とシームレスで結合されている。
〈シームレスブーティまたは布地アッパーの履物製品構成〉
このセクションは、シームレスブーティまたは履物製品用の布地アッパーを形成するように構成されているニット構成要素を含むニット布地要素を編むための方法の実施形態について全般的に説明する。
図1は、製品100とも呼ぶ履物製品100の実施形態の等角上部正面図である。いくつかの実施形態では、限定するものではないが、ハイキングブーツ、サッカーシューズ、フットボールシューズ、スニーカー、ランニングシューズ、クロストレーニングシューズ、ラグビーシューズ、バスケットボールシューズ、ベースボールシューズ、およびその他の種類の運動靴または履物を含む運動靴またはスポーツ関連の履物の形態をとってもよい。いくつかの実施形態では、製品100は、限定するものではないが、スリッパ、サンダル、ハイヒールの履物、ローファー、および他の任意の種類の履物および/または衣料品も含むさまざまな種類の非スポーツ関連の履物の形態をとってもよい。
図1に図示されているように、いくつかの実施形態では、製品100は、アッパー102および任意のソール構造104を含んでいてもよい。ソール構造104は、アッパー102に固定して、製品100が着用されたときに、足と地面との間に延びることができる。いくつかの実施形態では、ソール構造104は、製品100にトラクションを与えるように構成してもよい。いくつかの実施形態では、ソール構造104は、ウォーキング、ランニングまたは他の歩行活動中に、足と地面との間で圧縮された場合に、衝撃または他の地面反力を吸収するか、または弱めるように構成してもよい。
ソール構造104の構成は、異なる実施形態において、さまざまな既知の、または新たに開発されたソール構造および/または構成要素を含むように、大幅に変化する可能性がある。たとえば、ソール構造104は、アウトソール、ミッドソールおよび/またはインソールをさまざまに含んでもよい。ある場合には、それらの構成要素のうちの一つ以上が任意であってもよい。ある場合では、ソール構造104自体が任意であってもよい。ある場合では、ソール構造104の構成は、ソール構造104をその上で用いてもよい一種類以上の地面に適するように選択してもよい。地面の例は、限定するものではないが、天然芝、人工芝、土、砂、砂利、雪、氷およびその他の面を含んでもよい。
アッパー102は、足を受け入れて覆うように構成することができる。いくつかの実施形態では、アッパー102は、アッパー102の内部に入ることができる開口部106を含んでもよい。たとえば、図1に図示されているように、いくつかの実施形態では、開口部106は、足首開口部であってもよい。
いくつかの実施形態では、アッパー102は、固定またはクロージャ構造、または、締め付けるための、または、別の方法でアッパー102のフィット特性(たとえば、周長)を調節するための他の手段を含んでもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、アッパー102は、締めひも部材122等のテンショニング部材と、1つ以上の締めひもまたは他のテンショニング部材(たとえば、ケーブル)126を受け入れるためのひも穴124とを含んでもよい。このようにして、開口部106のサイズ、アッパー102の対応する周長は、アッパー102および履物製品100のフィット性をカスタマイズするように調節することができる。
いくつかの実施形態では、クロージャ構造の締めひも部材122は、補強縁部構造を備えてもよく、およびV字状構造、U字状構造、または、別の構造を有する開口部を形成してもよい。いくつかの実施形態では、図1に図示されているように、V字状構造を有するクロージャ構造は、快適性およびフィット性等の向上したパフォーマンス特性を提供してもよい。たとえば、ある場合では、V字状のクロージャ構造は、矩形またはU字状構造を有するクロージャ構造を締め付けることによって生じる可能性のあるアッパーの足先領域におけるバックリングを引き起こすことなく、アッパー102および履物製品100の足先および/または甲回り領域の全域で、よりタイトなクロージャを可能にすることができる。
他の実施形態では、クロージャシステムは、アッパー102の足先領域に隣接する終端部に、補強縁部構造を備えていてもよい。当業者は、アッパー102および履物製品100の所望のフィット性およびパフォーマンス特性に適したクロージャシステムの形状および構造を容易に選択することができるであろう。
いくつかの実施形態では、アッパー102は、(図1の仮想線で図示されている)ベロ130を含んでいてもよい。ベロ130は、快適性およびフィット性を促進するように、固定またはクロージャ構造と足との間に設けることができる。たとえば、ベロ130は、締めひも部材122と足との間に、ひも穴124と足との間に、または、締めひも126と、アッパー102の内部に受け入れられた足との間に設けてもよい。いくつかの実施形態では、ベロは任意であってもよいことは正しく認識されるであろう。
いくつかの実施形態では、アッパー102は、足先領域142、中足領域144およびかかと領域146を通って、および外側側部148および内側側部150の両方に沿って延びていてもよいシームレスブーティの形態の一体ニット構成要素140によって実質的に形成してもよい。これは、たとえば、縫製または接着によって接合される多数の材料要素(たとえば、布地、ポリマー発泡体、ポリマーシート、革、合成皮革)から形成されている公知の多くの履物アッパーとは対照的である。
また、いくつかの実施形態では、ニット構成要素140は、ベロ130を含んでいてもよい。ニット構成要素140は、アッパー102の露出した外側面および反対側の内側面の両方の部分を形成してもよい。したがって、ニット構成要素140は、アッパー102内の空洞の少なくとも一部を画定することができる。また、ニット構成要素140は、足の下にも延びている。いくつかの実施形態では、履物製品100は、ソール構造を含んでいてもよく、また、ニット構成要素140の一部は、足の下に延びていてもよい。この構造では、ニット構成要素は、中敷きと置き換えてもよく、または、中敷きとして機能してもよい。
以下でさらに詳細に説明するように、アッパー102のかなりの部分を形成しているニット構成要素140は、一般に、たとえば、ニット布地要素からのニット材料を備えている。したがって、他のいくつかの公知のアッパー材料と比較して、かなり柔軟性があり、かつ軽量である可能性がある。本願明細書に記載されているいくつかの実施形態は、全体的にニット材料で構成されたアッパーについて説明していてもよいが、アッパーの他の実施形態は、部分的にニット材料(または、布地材料)で構成されているだけでもよい。
いくつかの実施形態では、アッパー102は、以後、全体的に穴と呼ぶ、1つ以上の穴、開口、孔、開口部、ギャップ、スロットまたは他のそのような構造を含んでもよい。アッパー102は、本願明細書において総称的に複数の穴152と呼ぶ、さまざまな構成でさまざまな位置に配置されたさまざまな穴の群を含んでもよい。しかし、いくつかの実施形態では、このような穴は任意であってもよい。
いくつかの実施形態では、いくつかの穴が、アッパー102の厚さ全体を貫通して延びていてもよく、他の穴は、アッパー102の厚さを部分的に貫通して延びているだけでもよい。複数の穴152の穴の具体的な数、サイズ、形状、配列および構成は、実施形態によって変えてもよい。複数の穴152の具体的な構成は、アッパー102の所望のパフォーマンス特性、たとえば、アッパー102の全体的または局所的な通気性、および/またはアッパー102の全般的または局所的な伸縮性または柔軟性を実現するように選択される。たとえば、より多くの数および/またはより大きなサイズの穴は、布地のより大きな局所的または全体的な柔軟性および伸縮性をもたらす可能性がある。あるいは、たとえば、一列に並んだ、互い違いの、および/またはオフセットのパターン等の異なるパターンの穴は、異なる局所的および/または全体的な柔軟性、伸縮性および/または通気性をもたらす可能性がある。また、複数の穴152の具体的な構成は、美観的な魅力をもたらすように選択してもよい。
アッパー102および/または履物製品100は、参照のために、足先部160と、中足部162と、かかと部164とに大まかに分けてもよい。足先部160は、一般に、つま先と、中足骨と指骨とを接続する関節と、のための先芯に関連していてもよい。中足部162は、一般に、足の甲回りおよび/またはアーチに関連していてもよい。かかと部164は、一般に、踵骨を含む足のかかとに関連していてもよい。また、アッパー102は、外側側部部分166および内側側部部分168を含んでいてもよい。外側側部部分166および内側側部部分168は、アッパー102の対向している側部であってもよい。外側側部166および内側側部168の一方または両方は、足先部160、中足部162およびかかと部164を通って延びていてもよい。いくつかの実施形態はさらに、前方つま先部154と、バンプまたは甲回り部156とを含んでいてもよい。
足先部または足先領域、中足部または中足領域、かかと部またはかかと領域、つま先部またはつま先領域、および甲回り部または甲回り領域という用語は、この説明で用いる場合、説明目的を意図しているにすぎず、アッパー102の正確な部分または境界を画定することは意図されていない。同様に、外側側部(または、外側部)および内側側部(または、内側部)という用語は、製品の2つの側部を大まかに表すことが意図されており、アッパー102を2つの半体に厳密に区分するものではない。
上述したように、アッパー102は、少なくとも部分的にニット構成要素140から形成される。ニット構成要素140は、分離(たとえば、切開)されるように、および足の周りに延びるように形成されるかまたは形作られるように構成されている、大略的に平らな2次元の層状構造を含むニット布地要素から取り外すことができる。
図1に図示されているように、いくつかの実施形態では、ニット構成要素140は、足から離れて対向しているアッパー102の露出した外部または外側側面(または外側面)と、足に向かって内側に対向しているアッパー102の内部または外側側面(または、内側面)との両方を形成している。
以下でさらに詳細に説明するように、ニット構成要素140は、より大きなニット布地要素の一部としての一体ワープニット構造で形成してもよい。この場合、ニット構成要素140は、より大きなニット布地要素から取り外すことができ、およびニット構成要素140のさまざまな形状構成は、所望の形状のアッパー102を形成するように操作および/または処理してもよい。
いくつかの実施形態では、単一のニット布地要素は、別々の構成要素を形成するように取り外すことができる多数のニット構成要素を含んでもよい。たとえば、単一のニット布地要素の第1および第2のニット構成要素は、履物製品用の左および右のシームレスブーティまたは布地アッパーのマッチングペアに対応してもよい。あるいは、単一のニット布地要素の第1および第2のニット構成要素は、履物製品用のシームレスブーティまたは布地アッパーと、関連するベロまたは他のアクセサリとに対応してもよい。ニット布地要素が、さらに多くの数および/または種類のニット構成要素を含んでいてもよいことは正しく認識されるであろう。
ニット構成要素140は、さまざまな機能またはパフォーマンス特性をアッパー102に与える可能性がある。ニット構成要素140は、いくつかの公知のアッパー構造に勝るさまざまな利点を備えている可能性がある。上述したように、公知の履物アッパーは、たとえば、縫製または接着によって1つ以上の縫い目で接合されている多数の材料要素(たとえば、布地、ポリマー発泡体、ポリマーシート、革、合成皮革)から形成されている可能性がある。アッパーに組み込まれている材料要素の数および種類が増せば増すほど、材料要素の輸送、保管、裁断および接合に付随する時間および費用も増加する可能性がある。アッパーに組み込まれる材料要素の数および種類が増えるにつれて、裁断プロセスおよび縫製プロセスからの廃棄材もより多く蓄積する可能性がある。より多くの数の材料要素を有するアッパーは、より少ない種類および数の材料要素から形成されたアッパーよりもリサイクルするのが難しい可能性がある。そのため、アッパーを作製する際に利用する材料要素の数を減らせば、アッパーの製造効率およびリサイクル性を高めながら、廃棄物を減らせる可能性がある。このために、いくつかの実施形態では、ニット構成要素140がアッパー102のかなりの部分を形成して、それによって、製造効率を向上させ、廃棄物を減らし、およびリサイクル性を簡単にすることができる。
アッパー102の実施形態は、1つ以上の補強部分を利用している。補強部分という用語は、本明細書で用いる場合、ニット構成要素140の1つ以上の層内に何らかの追加的な材料を組み込んでいるアッパーの任意の部分を指す。
補強部分は、インサート部材等の補強材料が充填されているニット構成要素140の分離層を備えてもよい。インサート部材は、アッパーの所望のパフォーマンス特性に基づいて、たとえば、剛性のために革またはプラスチックを、または、クッション性のために気泡ゴムを選択してもよい。インサート部材は、局所的または全般的なパフォーマンス特性を、アッパーまたはアッパーの特定の領域に与えるために、その領域に設けてもよい。補強部分は、利用するインサート材料により、アッパーのための向上した強度および/または補強性を、および/または向上したクッション性および快適性を与える可能性がある。たとえば、いくつかの実施形態では、ベロ130は、ニット構成要素の2つの層間に挿入された発泡材料であるインサート部材(または、補強部分)を有する2層ニット構成要素を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、つま先またはかかと領域は、ニット構成要素の層間、または、ニット構成要素の層とストラップまたは他のニット構造との間に挿入された硬い材料であるつま先またはヒールキャップの形態のインサート部材(または、補強部分)を含んでもよい。
ニット構成要素140は、経編み機および経編みプロセスを用いる一体ワープニット構造で形成してもよい。いくつかの実施形態では、フラット経編み機を、一体ワープニット構造のニット構成要素を形成するのに用いてもよい。いくつかの実施形態では、針の2つのセットを有する経編み機を用いて、一体ニット構造から成る筒状布地として形成してもよい。
ニット構成要素は、本願明細書およびクレームで用いる場合、編みプロセスによってワンピース要素として形成される場合に、「一体ニット構造」で形成されるものとして定義される。すなわち、その編みプロセスは、大幅な追加的製造ステップまたはプロセスを要することなく、ニット構成要素のさまざまな形状構成および構造を実質的に形成する。一体ニット構造は、ヤーンの1つ以上のコースまたはウェールを、または、その構造または要素が、少なくとも1つのコースまたはウェールを共通して含む(すなわち、共通ヤーンを共有している)ようにおよび/またはその構造または要素の各々の間で実質的に連続しているコースまたはウェールを含むように接合されている他のニット材料を含む構造または要素を有するニット構成要素を形成するのに用いてもよい。
この構成によって、一体ニット構造のワンピース要素が提供される。経編みプロセスがニット構成要素を形成するのに用いられる実施形態において、ニット構成要素は、一体ワープニット構造で形成してもよく、およびヤーンの1つ以上のウェールを、または、その構造または要素が、少なくとも1つのウェールを共通して含む(すなわち、共通ヤーンを共有している)ようにおよび/またはその構造または要素の各々の間で実質的に連続しているウェールを含むように接合されている他のニット材料を含む構造または要素を有している。
ヤーンという言葉は、この明細書で用いる場合、一般に、少なくとも1本のフィラメントまたは複数のファイバーで形成されている、かなりの長さと比較的小さな断面とを有するアセンブリとして定義される。フィラメントは、無限長を有していてもよく、および布地に用いるのに適したヤーンを製造するために、単独で、または、1つ以上の他のフィラメントと組合せて用いてもよい。現在のフィラメントは、レーヨン、ナイロン、ポリエステルおよびポリアクリル等の複数の合成材料を含み、絹は、天然由来の主な例外である。ファイバーは、比較的短い長さを有し、および布地に用いるのに適切な長さのヤーンを製造するために、紡糸プロセスまたは撚糸プロセスを要する可能性がある。ファイバーの例は、綿およびウールを含む。
ヤーンは、従来、単繊維ヤーンと呼ばれている単一フィラメントで、または、まとめ合わされた複数の個々のフィラメントで形成される。ヤーンは、異なる材料で形成された別々のフィラメントを含んでもよい。ヤーンは、それぞれ、2つ以上の異なる材料で形成されているフィラメントを含んでもよい。同様の概念は、複数のファイバーで形成されたヤーンにも当てはまる。したがって、ヤーンは、上で規定された定義に全般的に適合するさまざまな構成を有している。当業者は、ヤーンの特性およびニット構成要素140の所望のパフォーマンス特性に基づいて、所望の用途に適した1つ以上の公知のまたは後に開発されたヤーンを選択することができるであろう。
ニット構成要素140は、アッパー102および/またはベロ130の個別の区域に異なる特性を与えるさまざまな種類のヤーンを組み込んでもよい。すなわち、ニット構成要素140の1つの部分は、特性の第1のセットを与える第1のタイプのヤーンから形成してもよく、また、ニット構成要素140の別の部分は、特性の第2のセットを与える第2のタイプのヤーンから形成してもよい。この構成では、ニット構成要素140の異なる部分に対して特定のヤーンを選択することにより、アッパー102および/またはベロ130の全域で特性が変化してもよい。
特定のタイプのヤーンがニット構成要素140のある部分に与えるであろう特性は、ヤーン内でさまざまなフィラメントおよびファイバーを形成している材料に部分的に依存する。たとえば、綿は、ソフトな手触り、自然な美しさおよび生分解性を備えている。エラステインおよび伸縮性ポリエステルは、それぞれ、かなりの伸縮性および復元性を備えており、伸縮性ポリエステルはさらにリサイクル性も備えている。レーヨンは、高い光沢性および吸湿性を備えている。ウールも、断熱性および生分解性に加えて、高い吸湿性を備えている。ナイロンは、比較的高い強度を有する耐久性がある耐摩耗性の材料である。ポリエステルは、比較的高い耐久性も備えている疎水性材料である。
材料に加えて、ニット構成要素140のために選択されるヤーンの他の態様が、アッパー102および/またはベロ130の特性に影響を与える可能性がある。たとえば、ニット構成要素140を形成しているヤーンは、単繊維ヤーンまたは多繊維ヤーンであってもよい。ヤーンは、それぞれ異なる材料で形成されている別々のフィラメントを含んでいてもよい。ヤーンは、それぞれ、鞘芯構成を有するフィラメント、または、異なる材料で形成された2つの半体を備えた複合ヤーン等の2つ以上の異なる材料で形成されているフィラメントを含んでいてもよい。異なる程度の撚りおよび捲縮ならびにデニールも、アッパー102および/またはベロ130の特性に影響を与える可能性がある。したがって、ヤーンを形成する材料およびヤーンの他の態様はともに、アッパー102および/またはベロ130の別々の区域にさまざまな特性を与えるように選択してもよい。
一般に、布地は、たとえば、編み合わせ、絡み合わせおよび撚り合わせ、またはインターループのいずれかのプロセスによって機械的に操作される1本以上のヤーンから形成してもよい。編み合わせは、互いに直角に交差して編み合わされる2本のヤーンの交わりである。編み合わせに用いられるヤーンは、従来、経糸および緯糸と呼ばれている。絡み合わせおよび撚り合わせは、ヤーンが互いに絡み合わされて布地を形成する組紐および結節等の手順を包含している。インターループは、互いに噛み合ったループから成る複数の列の形成を伴い、編みはインターループの一般的な方法である。そのため、布地要素は、布地を製造するためのこれらのプロセスのうちの一つから形成してもよい。いくつかの実施形態では、ニット布地要素は、編みプロセスを用いて形成してもよい。
編みによって布地を製造するために、さまざまな機械的プロセスが開発されている。一般に、機械的プロセスは、経編みまたは緯編みのいずれかに分類することができる。この説明で用いる場合、経編みは、ヤーンが布地の長さに沿ってジグザグに進む、すなわち、単一の行またはコースに沿ってではなく、編みの隣接する列またはウェールに追従する編み方法の種類を指す。比較のために、緯編みは、この説明で用いる場合、布地の幅にわたって編むことを指す。布地を製造するのに用いてもよい経編みのさまざまな具体的なサブタイプは、トリコット、ラッシェルおよびダブルニードルバーラッシェル(これはさらにジャガードダブルニードルバーラッシェルを含む)を含む。
いくつかの実施形態では、ニット布地要素は、経編みプロセスを用いて製造してもよい。したがって、いくつかの実施形態では、ワープニット構造から成るニット布地要素に含まれているニット構成要素140は、ワープニット材料を備えてもよい(たとえば、ニット構成要素140は、ワープニット構成要素であってもよい)。ワープニット布地要素を用いることにより、ニット構成要素140が、ニット布地要素から取り外されるか、または別の方法で分離、たとえば、裁断される結果として、ニット構成要素140の外周部または露出した縁部が解れる傾向を低減するのに役に立つ可能性がある。例示的な実施形態では、ニット布地要素は、経編みプロセスによる一体ニット構造で形成してもよく、同じニット布地要素上に一緒に形成された1つ以上のアッパーおよび/またはベロを含む1つ以上のニット構成要素を含んでいてもよい。
いくつかの実施形態では、ニット布地要素は、一方の側面および別の側面を形成するために、異なるヤーンを用いて製造してもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、ニット布地要素は、露出した外側面および内側面を形成するために、異なるヤーンを用いて製造してもよい。露出した外側面および内側面に異なるヤーンを用いることにより、ニット布地要素は、露出した外側面および内側面に異なる編み構成を有するように製造することができる。たとえば、ある場合では、露出した外側面のヤーンの具体的な構成は、内側面のヤーンの構成と異なっていてもよい。これらの相違は、限定するものではないが、編みパターンの違い、編み構成(knitted structures)の違い、使用するヤーンの種類の違い、使用するヤーンの色の違い、および/または使用するヤーンの材料特性の違い(たとえば、軟らかい内部または内側面および耐久性のある露出した外側面を提供するように選択された異なる材料)のうちの1つ以上を含むことができる。
いくつかの実施形態では、外側面用の編み構成は、より高い耐久性、強度および/または耐摩耗性または耐擦過性を、ニット構成要素140の露出した外側面に与えるように形成してもよい。たとえば、より高い耐久性、強度および/または耐摩耗性または耐擦過性を備えるために、より重いデニールを有するか、または、より高い強度またはより耐久性のある材料で形成されているヤーンを、露出した外側面の編み構成に用いてもよい。
同様に、いくつかの実施形態では、アッパー102の内部ライニングとして機能するように、より高い快適性または柔軟性を与えるために、内側面用の編み構成を形成してもよい。たとえば、より高い快適性または柔軟性を備えるために、より軽いデニールを有するか、または、手触りが軟らかい材料で形成されているヤーンを、内部または内側面の編み構成に用いてもよい。ニット構成要素の露出した外側面および内側面の各々に対する編み構成の所望の選択によって、所望の特性をアッパーに選択的に与えることができる。
図2〜図6は、取外し前の(pre-removal)状態または状況におけるニット構成要素を含むニット布地要素の実施形態の模式図を示す。
図2は、取外し前のニット構成要素230および240を含むニット布地要素200の実施形態の模式平面図であり、図には、そのニット布地要素のワープニットステッチ213および中間層ワープニットステッチライン214の形状構成が、それぞれ拡大詳細図213および図215に模式的に図示されている。
図3〜図6は、内側等角図から外側等角図までの回転シーケンスでニット布地要素200を模式的に示す。図3は内側等角図であり、図4は内側等角縁部図であり、図5は外側等角縁部図であり、図6は外側等角図である。図3〜図6が、ニット布地要素のいくつかの形状構成を説明することを意図した模式図であることは正しく認識されるであろう。
図2〜図6は、2層ニット布地要素の共通縁部(図4および図5)に沿った形状構成等のいくつかの形状構成、およびいくつかの実施形態において用いてもよいいくつかのプロセスに関する例示および説明を容易にするために、ニット布地要素200を連続ニット層(たとえば、筒状ニット布地要素)として図示している。しかし、いくつかの実施形態では、ニット布地要素200は、大略的筒状構成を有していなくてもよい。
ニット布地要素200は、経編み機および経編みプロセスからなる編み製品であってもよい。ニット布地要素200は、第1の層202と、第1の層202に重なっている第2の層204とを含む大略的に平らな2次元構造であってもよい。いくつかの実施形態では、ニット布地要素200は、2つの針のセットを有する経編み機を用いて、筒状布地として形成してもよい。いくつかの実施形態では、ニット布地要素200は、矢印201の送給方向に進む単一の編みプロセスで経編みを行ってもよい。いくつかの実施形態では、ニット布地要素200は、一体ワープニット構成から成っている。
図2〜図6の筒状構成において、第1の層202および第2の層204は、最初は、経編みプロセスの結果として露出されている共通の連続的な第1の面206と、最初は、経編みプロセスの結果として露出されていない共通の第2の面208とを有している。具体的には、第1の層202の露出した第1の面206、および第2の層204の露出した第1の面206は、筒状ニット布地要素200の共通縁部210の外側面の周りで連続している。同様に、第1の面202の最初は露出していない第2の面208、および第2の層204の最初は露出していない第2の面208は、共通縁部210の内側または内部側面の周りで連続している。
図2〜図6に図示されているように、いくつかの実施形態では、最初は露出されている第1の面206、および最初は露出していない面208も、共通縁部210の反対側の第2の共通縁部212の周りで連続していてもよい。いくつかの実施形態では、最初は露出されている第1の面206、および最初は露出されていない面208は、第2の縁部212において不連続であってもよい。共通縁部という用語が、この説明で用いる場合、たとえば、裏返されるか、またはそれ自体の上に折り返されることによって、ラインまたは折り目に沿って両側部の間で移行し、共通縁部を形成するように、両側部の間の共通の境界または外周として機能し、および両側部の間の不連続な面または輪郭を意味しない、大略的に連続する層を指すことは正しく認識されるであろう。
ニット布地要素200は、第1の層202と第2の層204との間に中間層ニットステッチラインを含んでいる。たとえば、図2に図示されているように、いくつかの実施形態では、ニット布地要素200は、ニット構成要素240の周辺に設けられた中間層ニットステッチライン214と、ニット構成要素230の周辺に設けられた中間層ニットステッチライン232とを含んでもよい。
図2は、ニット構成要素240の足先部における第1のニット層202と第2のニット層204との間に、中間層ニットステッチライン214の拡大模式図215を含んでいる。符号215で図示されているように、中間層ニットステッチライン214は、第1のニット層202と第2のニット層204との間に、中間層ニットステッチを含み、第1のニット層202の少なくとも1本のヤーンは、第1のニット層202と第2のニット層204との境界において、第2のニット層204の少なくとも1本のヤーンと互いに結ばれている。いくつかの実施形態では、第1のニット層202の複数のヤーンおよび/または第2のニット層204の複数のヤーンは、中間層ニットステッチライン214において、互いに結ばれていてもよい。
ニット布地要素200は、ニット構成要素230および240をそれから取り外すことができる布地材料である。ニット構成要素230および240は、いずれかの公知のまたは後に開発された取外し方法によって取り外すことができる。たとえば、ニット構成要素230および240は、裁断、スタンピング、または、より大きなニット布地要素200またはニット布地要素200の余分な材料からニット構成要素を分離するための他のいずれかの方法によって、取り外すか、または分離してもよい。いくつかの実施形態では、ニット構成要素230および240は、裁断プロセスまたは他の分離プロセスを用いて、中間層ニットステッチライン214に沿って、布地要素200からニット構成要素230および240を分離することによって取り外してもよい。
第1のニット層202および第2のニット層204は、経編みプロセスを用いて、中間層ニットステッチライン214および中間層ニットステッチライン232に沿って相互に接続されているため、中間層ニットステッチライン214および232に沿ってニット布地要素200を分離しても、分離されたまたは裁断された縁部に沿ったニット構成要素230および240の解れが生じることはない。
図3〜図6は、任意の編み込み指示部を用いて、ニット布地要素200からニット構成要素230および240を取り外すか、または分離するためのプロセスを示す。いくつかの実施形態では、ニット構成要素230および240は、1つ以上の任意の編み込み指示部を用いて、ニット布地要素200から取り外すか、または分離してもよい。
図3は、ベロに対応してニット構成要素230の外周または輪郭の周りに形成された編み込み指示部310を示す。図3は、シームレスブーティまたは布地アッパーに対応するニット構成要素240、たとえば、図1に示すアッパー102のニット構成要素140の外周または輪郭の周りに形成された編み込み指示部312を示す。
ニット構成要素230は、編み込み指示部310に沿ってニット布地要素200を分離することによって、ニット布地要素200から取り外すか、または分離される。ニット構成要素240は、編み込み指示部312に沿ってニット布地要素200を分離することによって、ニット布地要素200から取り外すか、または分離される。
第1のニット層202および第2のニット層204は、経編みプロセスを用いて、中間層ニットステッチライン214および中間層ニットステッチライン232に沿って相互に接続されているため、編み込み指示部310および312に沿ってニット布地要素200を分離しても、分離されたまたは裁断された縁部に沿ったニット構成要素230および240の解れが生じることはないことは正しく認識されるであろう。さらに、ニット構成要素230および240の外周に沿って編み込み指示部310および312を設けることにより、中間層ニットステッチライン214および323と、編み込み指示部310および312に沿った各分離された、または裁断された縁部との間に、制御された間隔を設けることができる。この制御された間隔がさらに、ニット構成要素230および240の周縁部に沿ったそれらの何らかの解れを防ぐのに役に立つ可能性があることは正しく認識されるであろう。
図3〜図6は、ナイフ等の切断工具314を用いて、ニット布地要素からニット構成要素を取り外すか、または分離するためのプロセスを示す。
図3は、編み込み指示部312に沿って、ニット布地要素200の第1のニット層202を裁断して、分離または裁断ライン316を形成することによって、ニット布地要素200からニット構成要素240を分離するプロセスを示す。同様に、図6は、編み込み指示部312に沿ってニット布地要素200の第2のニット層204を裁断して、分離または裁断ライン616を形成することによって、布地要素200からニット構成要素240を分離するプロセスを示す。第1のニット層202および第2のニット層204は、中間層ニットステッチライン214に沿って相互に接続されているため、いくつかの実施形態では、第1のニット層202および第2のニット層204は、単一の同時の分離または裁断プロセスで分離または裁断することができることは正しく認識されるであろう。
図4および図5は、ニット構成要素240の部分を分離して、ニット構成要素240における開口部を形成するためのプロセスを示す。
図4は、共通縁部210に沿って設けられた(二重点線として図示されている)編み込み指示部410を示し、図5は、裁断プロセスを用いて、編み込み指示部410に沿ってニット構成要素240を分離して、ニット構成要素240の足首開口部に対応する、分離または裁断ライン510を形成するプロセスを示す。同様に、図5は、(二重点線として図示されている)編み込み指示部512を示し、図4は、裁断プロセスを用いて、編み込み指示部512に沿ってニット構成要素240を分離して、クロージャシステムの開口部に対応する分離または裁断ライン412を形成するプロセスを示す。
いくつかの実施形態では、図4および図5に図示されているように、編み込み指示部410および/または編み込み指示部412は、実質的に直線に沿って形成される。いくつかの実施形態では、編み込み指示部410および/または編み込み指示部412は、直線に沿って形成しなくてもよいが、規則的または不規則な幾何学的構成を有していてもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、編み込み指示部410は、輪郭形成足首開口部を形成するように構成された輪郭形成曲線であってもよい。いくつかの実施形態では、編み込み指示部412は、一連の締めひも部材の輪郭を描いている波打った構造を有するラインであってもよい。いくつかの実施形態では、編み込み指示部410および編み込み指示部412は連続していてもよく、またいくつかの実施形態では、ニット構成要素240は、単一の連続的裁断プロセスまたは他の分離プロセスで、編み込み指示部410および412に沿って分離してもよい。いくつかの実施形態では、編み込み指示部412は、任意であってもよい(すなわち、クロージャ構造がなくてもよい)。当業者は、所望の足首開口部を形成するのに適した編み込み指示部のためのさまざまな構成および所望のアッパー構成用の任意のクロージャ構造を容易に正しく認識するであろう。
図2〜図6の構成では、ニット布地要素200(およびそれに応じてニット構成要素230および240)は、一緒に編まれる1本以上のヤーンを備える、大略的に平らな2層の2次元構造を有している。いくつかの実施形態では、ニット布地要素200は、大略的に筒状の構造を有していてもよい。いくつかの実施形態では、ニット布地要素200は、ニット布地要素200の第2の共通縁部212に沿って、開構造または不連続構造を有していてもよい。いくつかの実施形態では、たとえば、以下で図23および図24に開示されているように、第1の層202および第2の層204は、ニット構成要素の周辺または輪郭の外側の区域または領域の少なくとも一部にわたって、大略的に連続する中間層ニット縫製を有してもよい。
ニット構成要素240は、図1に示すように、シームレスブーティまたは布地アッパー102の部分または領域に対応するさまざまな部分を含んでいる。たとえば、ニット構成要素240は、図1におけるアッパー102のニット構成要素140のそれぞれ足先部142、中足部144およびかかと部146に対応している可能性のある足先部242と、中足部244と、かかと部246とを含んでいてもよい。同様に、たとえば、外側側部部分248は、アッパー102のニット構成要素140の外側側部148に対応していてもよく、また、内側側部部分250は、アッパー102のニット構成要素140の内側側部150に対応していてもよい。
図7は、ベロに対応する、取外し後の図2のニット構成要素230の模式平面図である。ニット構成要素230は、一体ワープニット構造から成る。いくつかの実施形態では、ニット構成要素230は、第1のニット層202と、第2のニット層204と、ニット構成要素230の外周または輪郭を画定している中間層ニットステッチライン232とを含んでもよい。
ニット構成要素230は、中間層ニットステッチライン232によって、その外周において画定された一体ワープニット構造から成るため、ニット構成要素230は、ニット布地要素200から分離されて取り外されたときに、その外周縁部において解れることがない安定したニット構造を有していてもよい。ニット構成要素230は、ニット構成要素230における開口部236を形成するための分離ラインを示す編み込み指示部234を含んでいてもよい。このようにして、空洞またはポケットが、ニット構成要素230の内部に形成されてもよい。
いくつかの実施形態では、ニット構成要素230は、必要に応じて、開口部236を介して裏返しにしてもよい。この場合、ニット構成要素230の最初は露出されている外側面206は、ニット構成要素230の最初は露出されていない内側面208と入れ替えてもよい。いくつかの実施形態では、最初は露出されている面206は、最初は露出されていない面208とは異なる仕上げおよび/または美的特性を有していてもよい。いずれの場合でも、ベロのクッション特性を変更するために、たとえば、発泡材料で作られた任意のインサート部材(図示せず)を、開口部236を介して、ニット構成要素230の第1のニット層202と第2のニット層204との間に形成された内部空洞またはポケットに挿入してもよい。
ニット構成要素230は、複数の穴238を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、複数の穴238は、第1のニット層202および第2のニット層204内に設けてもよい。いくつかの実施形態では、複数の穴238は、第1のニット層202または第2のニット層204のいずれかに必要に応じて設けてもよい。複数の穴238は、編みプロセスによって、または、たとえば、複数の穴238に対応する編み込み指示部において、ニット構成要素230を分離することによって形成してもよい。複数の穴238が、向上した全般的および/または局所的な通気特性を備えていてもよいことは正しく認識されるであろう。また、複数の穴238は、所望の美的特性を備えていてもよい。
図8は、履物製品のシームレスブーティまたは布地アッパーに対応する、取外し後の図2のニット構成要素240の模式平面図である。たとえば、いくつかの実施形態では、ニット構成要素240は、図1におけるアッパー102のニット構成要素140に対応している。ニット構成要素240は、一体ワープニット構造から成る。ニット構成要素240は、一般に、ニット構成要素240の内側側部を形成する第1のニット層202と、ニット構成要素240の外側側部を形成する第2のニット層204とを含んでいる。ニット構成要素240の第1のニット層202および第2のニット層204は、共通縁部部分210を含む足先部242の全域で連続している。ニット構成要素240は、ニット構成要素240の外周部分に沿って第1のニット層202と第2のニット層204とを相互に接続する中間層ニットステッチライン214を含んでいる。いくつかの実施形態では、図2および図8に図示されているように、中間層ニットステッチライン214は、ニット構成要素240の前方つま先部254の周りに、ニット構成要素240の底部256の全域に、およびニット構成要素240のかかと部246の周りに延びていてもよい。
ニット構成要素240は、編み込み指示部410および分離ライン510に対応する縁部216によって画定されている足首開口部810と、編み込み指示部412および分離ライン512に対応する縁部218によって画定されているクロージャ構造221とを有していてもよい。いくつかの実施形態では、クロージャ構造221は、締めひも部材222と、ひも穴224とを含んでいてもよい。締めひも部材222は、強くて耐久性のある布地特性を備えるように選択された編み構成またはヤーンによって作られたニット構成要素240の補強構造を有していてもよい。たとえば、締めひも部材222およびひも穴224を含む、クロージャ構造221の具体的な構造は、ニット構成要素240の編み構成を選択することによって備えてもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、ひも穴224は、所望のサイズおよび形状を有する編み込み穴を含む、ニット構成要素240の編み構成を選択することによって形成してもよい。あるいは、いくつかの実施形態では、ひも穴224のための編み構成は、ニット構成要素240を分離してひも穴224を形成するための位置を示す編み込み指示部を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、ニット布地要素200から取り外すか、または分離する際のニット構成要素240は、その最終的な形態において、シームレスブーティまたは布地アッパーを形成するように、直接的に操作するか、または伸張させてもよい。しかし、いくつかの実施形態では、ニット構成要素240は、最終的なシームレスブーティまたは布地アッパーを形成するように操作されるか、または伸張される前に、シームレスブーティまたは布地アッパーのための代替的な仕上げ面を呈するように、反転させるか、または裏返しにしてもよい。
図9〜図13は、(取外し後にニット構成要素240を裏返しにするための)図8のニット構成要素240のための任意の反転プロセスを模式的に示す。ニット構成要素240は、中間層ニットステッチライン214に沿って分離(たとえば、裁断)することによって、部分的に画定されている露出された周縁部を含む一体ワープニット構造で形成されているため、ニット構成要素240は、大略的に、分離された周縁部で解れることのない安定したニット構造を備えている。それにもかかわらず、いくつかの実施形態では、ニット構成要素240は、ニット構成要素240の外側外周面として、中間層ニットステッチライン214のクリーンな(すなわち、分離されていない、または裁断されていない)部分を呈するように、第1および第2のニット層202および204の最初は露出されている外側面206と、最初は露出されていない内側面208とを入れ替えるために反転させてもよい。上述したように、いくつかの実施形態では、最初は露出されている外側面206および最初は露出されていない内側面208は、異なる仕上げ特性または他の特性を有していてもよい。ニット構成要素240を反転させることにより、最初は露出されていない内側面208を、ニット構成要素240(および結果として生じる履物製品100)の最終的な、露出された外側面として提示することが可能になる。
図9は、最初の取外し後の状態におけるニット構成要素240を示す。図9〜図13のこの説明における2つの面を区別するために、最初は露出されている外側面206は、実質的な陰影なしで図示され、また、最初は露出されていない内側面208は、実質的な陰影で図示されている。いくつかの実施形態では、最初は露出されている外側面206および最初は露出されていない内側面208は、同じか、または同様の特性を有していてもよい。いくつかの実施形態では、最初は露出されている外側面206および最初は露出されていない内側面208は、実質的に異なる特性を有していてもよい。
図10は、前方つま先部254が反転された状態のニット構成要素240を示し、すなわち、前方つま先部254は、矢印1010で図示されているように、ニット構成要素240の第1のニット層202と第2のニット層204との間の内部空洞または空間に前方つま先部254が押し込まれていることを模式的に示すために、仮想線で図示されている。
図11は、反転された前方つま先部254が、矢印1110によって示されているように、足首開口部810を通って引っ張られ、およびかかと部246が、矢印1112によって示されているように、前方つま先部254を越えて前方に押されている状態のニット構成要素240を示す。
図12は、矢印1210によって示されているように、前方つま先部および足先部244および254が足首開口部810を通って突出しており、および足首開口部810を通って引っ張り出され、また、かかと部246が、矢印1212によって示されているように、前方つま先部254および足先部244を越えて押し下げられている状態のニット構成要素240を示す。
図13は、完全に反転された、すなわち、その最初の取外しまたは分離状態から裏返されたニット構成要素240を示す。
図9〜図13における複数の陰影によって模式的に図示されているように、ニット構成要素240は、最初は露出されている外側面(最終的な内側面)206および最初は露出されていない内側面(最終的な露出された外側面)208に、実質的に異なる仕上げおよび美的特性を有していてもよい。いくつかの実施形態では、異なる陰影が、粗いか、または目が詰まった編み構成等の異なる編みステッチを呈してもよい。いくつかの実施形態では、異なる陰影は、大きいか、または小さい穴等の異なるサイズまたは形状の穴を呈してもよい。いくつかの実施形態では、異なる陰影は、異なる美的特性を呈してもよい。いくつかの実施形態では、異なる陰影は、異なる編み込み指示部に対応する異なる編みステッチを呈してもよい。いくつかの実施形態では、異なる陰影は、異なるヤーン材料を呈してもよい。いくつかの実施形態では、材料記憶および未処理ヤーンを可能にする薬剤で処理されたヤーン等の異なるヤーンまたは織布処理を呈してもよい。当業者は、このようにして、任意の所望の表面特性を示してもよく、および露出された外側面および内側面のいずれかに与えてもよいことを容易に正しく認識するであろう。
図14〜図18は、シームレスブーティまたは布地アッパー1440の形態の履物製品100の実施形態を模式的に示す。いくつかの実施形態では、シームレスブーティまたは布地アッパー1440は、図1のニット構成要素140または図2および図8のニット構成要素240に対応していてもよい。図14〜図16は、内側等角図(図14)から底部等角平面図(図15)まで、および外側等角図(図16)までの回転シーケンスでシームレスブーティまたは布地アッパー1440を示し、図17は、布地アッパーの模式的等角底部正面図であり、図18は、布地アッパーの模式的等角上部正面図である。
いくつかの実施形態では、ニット構成要素240は、少なくともサイズおよび形状を含む所望の構成を有するシームレスブーティまたは布地アッパー1440を形成するように操作してもよい。いくつかの実施形態では、ニット構成要素240の1つ以上の部分は、少なくともサイズおよび形状を含む所望の構成を有するシームレスブーティまたは布地アッパー1440を形成するように伸張させてもよい。いくつかの実施形態では、ニット構成要素240は、大略的に特定の足または標準的な足のサイズのいずれかに対応する所望のサイズおよび形状を有するシームレスブーティまたは布地アッパー1440に対応する靴型に被せて伸張させてもよい。たとえば、靴型は、所望の長さ、幅、周長および/または容積を有してもよい。
ニット構成要素240は、1つ以上の部分またはゾーンが、シームレスブーティまたは布地アッパー1440のための所望の構成まで伸ばすことを可能にするように選択された編みステッチまたは編み構成を有するその1つ以上の部分またはゾーンを含んでもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、ニット構成要素240のある部分またはゾーンは、伸縮ゾーンに複数の穴を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、ニット構成要素240は、伸縮ゾーンを形成するための粗い編みステッチまたは粗い編み構成を有する部分またはゾーンを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ニット構成要素240の伸縮ゾーンは、ニット構成要素240を、所望のサイズおよび形状を有するシームレスブーティまたは布地アッパー1440に形成することを容易にするために、ニット構成要素240の他の部分よりも、すなわち、相対的にニット構成要素240の他の部分よりも伸張するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、底部256は、伸縮ゾーンであってもよい。
図14〜図18において、ニット構成要素240は、(暗い陰影で示す)伸縮ゾーン1402を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、伸縮ゾーン1402は、シームレスブーティまたは布地アッパー1440の中央底部に対応するゾーン1404等のニット構成要素240の他のいくつかの部分よりも伸張するとともに、複数の穴1406および1408に対応する部分またはゾーン等のニット構成要素240の他のいくつかの部分またはゾーンよりも伸張しないように構成してもよい。たとえば、ニット構成要素240の第1のニット層202および第2のニット層204の(暗い陰影で示す)対応する部分1502および1504を、それぞれ、ニット構成要素240の中央底部256の外周の周りに、大略的に連続する環状伸縮ゾーン1402を形成するように設けてもよい。この構成は、ニット構成要素240が、たとえば、第1の材料特性を有する、大略的に対照的な中央底部256と、第2の材料特性を有する、非対称的な周囲のベースまたは底部(たとえば、伸縮ゾーン1402)とを有する非対称的構造を形成するように伸張されることを容易にする可能性がある。
いくつかの実施形態では、中央ベース部256および周囲の伸縮ゾーン1402は一緒になって、足のサイズおよび形状に、すなわち、足跡、および/またはソールの形状に大略的に一致していてもよい。第2の材料特性は、(たとえば、異なる程度の伸縮性に加えて)第1の材料特性と異なっていてもよい。この構成によって、ニット構成要素240は、シームレスブーティまたは布地アッパー1440のための少なくとも2つの、異なる、可能性のある所望の最終的な構成のうちの一方を実現するために、異なる方法で伸張してもよいことは正しく認識されるであろう。たとえば、ニット構成要素240は、伸縮ゾーン1402のさまざまな部分の伸縮性の相対的量を制御することによって、右足用の履物製品またはそれに合った左足用の履物製品のいずれかを形成するように伸張することができるであろう。あるいは、ニット構成要素240は、伸縮ゾーン1402の伸張の量を制御することによって、狭い仕上げ幅、中位の仕上げ幅、または広い仕上げ幅のいずれかを有する履物製品を形成するように伸張することができるであろう。さらに、中央ベース部256および周囲の伸縮ゾーン1402を含むこの構造および構成が、右と左とで同様の足構造および/または特定のサイズまたは幅を有するソール構造へのシームレスブーティまたは布地アッパー1440の接着を容易にする可能性があることは正しく認識されるであろう。
いくつかの実施形態では、ニット構成要素240は、ニット構成要素240を所望のサイズおよび形状まで伸張させたときの材料記憶を容易にするかまたは可能にするための薬剤で処理してもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、固有の材料記憶を有する材料で形成された1本以上のヤーンを、ニット構成要素240を編むための編みプロセスで用いてもよい。いくつかの実施形態では、ニット構成要素240の1本以上のヤーンは、編みプロセス前の材料記憶を可能にするための薬剤で予め処理してもよい。いくつかの実施形態では、ニット構成要素240の少なくとも1つの部分に対応するニット布地要素200の少なくとも1つの部分は、ニット構成要素240をニット布地要素200から取り外す前に、材料記憶を可能にする薬剤で予め処理してもよい。いくつかの実施形態では、ニット構成要素240の部分は、ニット構成要素240を靴型に被せて伸ばす前に、材料記憶を可能にするための薬剤で処理してもよい。いくつかの実施形態では、シームレスブーティまたは布地アッパー1440の少なくとも一部は、靴型上での伸張中または伸張後に、材料記憶を可能にするための薬剤で処理してもよい。材料記憶を可能にするための薬剤の例は、限定するものではないが、熱可塑性ポリウレタン(TPU)コーティング、TPUベースのコーティングおよび/またはTPUを含有する他の溶液を含む。当業者は、所望の用途のためのシームレスブーティまたは布地アッパー1440を実現するのに適切な材料記憶を容易にするか、または可能にする処理済みのヤーン、薬剤および処理手順を容易に選択することができるであろう。
いくつかの実施形態では、ニット構成要素240は、ニット構成要素の形成を可能にするように加熱処理してもよい。たとえば、ニット構成要素240は、靴型に被せた伸張と関連して加熱処理してもよい。いくつかの実施形態では、ニット構成要素240は、靴型に被せて伸張させる前に加熱処理してもよい。いくつかの実施形態では、ニット構成要素240は、靴型に被せて伸張させる間に加熱処理してもよい。いくつかの実施形態では、ニット構成要素240は、靴型から取り外した後に加熱処理してもよい。いくつかの実施形態では、これらの加熱処理のうちの1つ以上は、まとめて利用してもよい。いずれの場合であっても、ニット構成要素240を加熱処理することは、ニット構成要素240の1つ以上の部分を、所望のサイズ、形状および構成まで伸張させることによって、そのニット構成要素の形成を容易にする可能性がある。
いくつかの実施形態では、ニット構成要素240は、所望のサイズおよび形状を有し、材料記憶を備えたシームレスブーティまたは布地アッパー1440の形成を容易にするために、材料記憶を容易にするか、または可能にするための薬剤で処理し、および加熱処理してもよい。
図15および図17に図示されているように、操作および/または伸張による形成後、シームレスブーティまたは布地アッパー1440の内側側部の伸縮ゾーン1502の部分の幅1510は、シームレスブーティまたは布地アッパー1440の外側側部の伸縮ゾーン1504の対応する部分の幅1512と異なっていてもよい。
ニット布地240を操作および/または伸張させることによる形成後、ニット構成要素240の第1のニット層202と第2のニット層204との間の中間層ニットステッチライン214の位置は、シームレスブーティまたは布地アッパー1440の内側側部248および外側側部250に関して非対称的になってもよい。たとえば、図15の底部平面図に図示されているように、中間層ニットステッチライン214は、シームレスブーティまたは布地アッパー1440の中央底部256の輪郭を大略的にたどる緩やかなS字状曲線を有してもよい。
図16および図18に図示されているように、ニット構成要素240は、足先部242に連続層を備えた、一体ワープニット構造から成るため、シームレスブーティまたは布地アッパー1440は、足先部242において、美的見栄えが良い連続編みステッチおよび/または編み構成を有する可能性がある。たとえば、図16および図18に図示されているように、ニット構成要素240は、足先部242の全体にわたって連続穴パターンを有する複数の穴1406、たとえば、複数の連続的で平行な列状配列の穴を有してもよい。
図17および図18に図示されているように、ニット構成要素240を操作および/または伸張させることによる形成後、中間層ニットステッチライン214の位置は、シームレスブーティまたは布地アッパー1440の前方つま先部254の周りに少なくとも部分的に延びて(包み込んで)いる。いくつかの実施形態では、ニット構成要素240は、中間層ニットステッチライン214が、シームレスブーティまたは布地アッパー1440の内側面に実質的に隠れるように、反転させて(すなわち、裏返しにして)もよい。しかし、いくつかの実施形態では、ニット構成要素240は反転させなくてもよく、また、中間層ニットステッチライン214は、シームレスブーティまたは布地アッパー1440の前方つま先部254における露出した外側面に存在していてもよい。この場合、中間層ニットステッチライン214は、シームレスブーティまたは布地アッパー1440の前方つま先部254において、依然として実質的に連続的で安定したニット面を呈している。いくつかの実施形態では、前方つま先部254における、少なくとも露出した中間層ニットステッチライン214の部分は、ソール構造または他の仕上げ処理によって覆ってもよい。
シームレスブーティまたは布地アッパー1440は、実質的にさらなる変更または製造を伴うことなく、履物製品100を形成してもよい。いくつかの実施形態では、シームレスブーティ1440は、何らかのさらなる変更または製造を伴うことなく、履物製品100を形成してもよい。いくつかの実施形態では、シームレスブーティまたは布地アッパー1440は、そのブーティの少なくとも一部に、仕上げ処理またはプロセスを施すことによって、履物製品を形成してもよい。いくつかの実施形態では、耐久性および/またはトラクションを与えるために、仕上げ処理をブーティの底面部に施してもよい。このように施される処理または仕上げ処理の例は、限定するものではないが、ゴム等のグリップ材料から成る層、または、グリップ材料の直接注入を施すことを含んでもよい。シームレスブーティまたは布地アッパー1440に仕上げ処理またはプロセスを行うことも、中間層ニットステッチライン214に補強特性を与える可能性があることは正しく認識されるであろう。
いくつかの実施形態では、シームレスブーティまたは布地アッパー1440に、仕上げ処理を行うことは、中間層ニットステッチライン214における第1のニット層202および第2のニット層204のヤーン間に結合剤を注入するか、または注ぎ込んで、中間層ニットステッチライン214における露出したヤーン端部またはその他の固定されていないヤーンを結合または接着してもよい。このようなシームレスブーティまたは布地アッパー1440は、レスリング、ダンス、エアロビクス、ロックウォールクライミング、または、独立したソール構造アセンブリを有していない軽量の履物を用いる他の活動等のさまざまな活動に適している履物製品を形成してもよい。
いくつかの実施形態では、シームレスブーティまたは布地アッパー1440は、ベロまたはインサート部材等の1つ以上のアクセサリを追加することによって、履物製品を形成してもよい。
図19は、図14〜図18のシームレスブーティまたは布地アッパー1440と、任意のベロ1930と、任意のソール構造1904とを組み込んだ履物製品1900の実施形態の模式的等角上部正面図である。図20は、図19の履物製品1900の模式的等角背面図である。
ベロ1930は、ニット構成要素から形成してもよい。たとえば、ベロ1930は、図2および図7に図示されているように、ニット構成要素230に対応させてもよい。図19に図示されているように、ベロ1930は、シームレスブーティまたは布地アッパー1440の内部空間に設けてもよい。ベロ1930は、シームレスブーティまたは布地アッパー1440のクロージャ構造221と、着用者の足との間に位置するように構成してもよい。ベロ1930は、ベロ1930の前縁部を、ニット構成要素240の足先部242に隣接するシームレスブーティまたは布地アッパー1440に取り付けることによって、クロージング領域221に結合してもよい。ベロ1930は、複数の穴1910を含んでもよい。ベロ1930は、第1および第2のニット層間に配置された、発泡材料等のインサート部材(図示せず)を含んでいてもよい。
ベロ1930は、何らかの適当な公知のまたは後に開発された取付方法によって、たとえば、接着剤、熱接合、縫製または他の取付機構によって、シームレスブーティまたは布地アッパー1440に取り付けてもよい。
ソール構造1904は、何らかの適当な公知のまたは後に開発されたソール構造であってもよい。いくつかの実施形態では、図19に図示されているように、ソール構造1904は、シームレスブーティまたは布地アッパー1440の前方つま先部254に位置する(説明のために、二重点線として仮想的に図示されている)中間層ニットステッチライン214の少なくとも一部を覆う前方つま先部1906を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、ソール構造1904は、前方つま先部254の少なくとも一部を包み込んでもよく、および前方つま先部254において、中間層ニットステッチライン214の実質的にすべてまたは全体を覆ってもよい(たとえば、図1を参照)。
ソール構造1904は、何らかの適当な公知のまたは後に開発された取付方法により、たとえば、接着剤または他の接着方法により、シームレスブーティまたは布地アッパー1440に結合してもよい。シームレスブーティまたは布地アッパー1440をソール構造1904に取り付けることは、中間層ニットステッチライン214に補強特性を与える可能性があることは正しく認識されるであろう。いくつかの実施形態では、接着剤または他の接着方法による取付けは、中間層ニットステッチライン214における第1のニット層202および第2のニット層204のヤーン間に接着剤または結合剤を注入して、中間層ニットステッチライン214において、いずれかの露出端部またはその他の固定されていないヤーンを結合または接着してもよい。
図20に図示されているように、ニット構成要素240の(説明のために仮想二重点線で示す)中間層ニットステッチライン214は、大略的に、シームレスブーティまたは布地アッパー1440のニット構成要素240の内側側部250と外側側部248との間の中心線に沿って位置していてもよい。ニット構成要素240は、中間層ニットステッチライン214を含む一体ワープニット構造から成るため、ニット構成要素240は、シームレスブーティまたは布地アッパー1440のかかと部246の全域で、実質的に連続する編みステッチおよび/または編み構成を呈していてもよいことは正しく認識されるであろう。いくつかの実施形態では、ニット構成要素240は、かかと部246の全体にわたって実質的に連続している穴パターンを有する複数の穴2010を含んでいてもよい。たとえば、図20に図示されているように、複数の穴2010は、中間層ニットステッチライン214を含む、かかと部246の全体にわたって、複数の実質的に連続する平行な列状配列の穴を含んでいてもよい。この構造が、見栄えの良い美的特性をもたらす可能性があることは正しく認識されるであろう。
図21は、取外し前のニット布地要素2100のニット構成要素2140の実施形態の形状構成を、取外し後のニット構成要素2140から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーに模式的に対応付けている。いくつかの実施形態では、ニット布地要素2100は、図2のニット布地要素200に対応していてもよく、また、ニット構成要素2140は、図2および図8のニット構成要素240および/または図1のニット構成要素140に対応していてもよい。
図21において、符号2101は、ニット布地要素2100の図(figure)を識別し(以後、参照図(reference figure)2101と呼ぶ)、および対応する図面にわたって、ニット布地要素2100のニット構成要素2140のさまざまな形状構成および特徴を符号2102,2103,2104および2105(以後、参照図2102,2103,2104および2105と呼ぶ)で模式的に対応付けている一連の区画線2111〜2119を含んでいる。
参照図2102は、区画線2111〜2119に沿ったニット布地要素2100のニット構成要素2140に関連する一連の断面図2121〜2129を示し、参照図2103は、ニット構成要素2140の内側側面図を示し、参照図2104は、ニット構成要素2140の底部平面図を示し、参照図2105は、ニット構成要素2140の外側側面図を示す。符号2106は、ニット構成要素2140の正面等角図を示す図であり(以後、参照図2106という)、符号2107は、参照図2106の区画線2107−2107に沿った足先部2158の断面図を示す図であり(以後、参照図2107という)、符号2108は、参照図2107のニット構成要素2140の中間層ニットステッチライン2150を模式的に示す分解詳細図であり(以後、参照図2108という)、符号2109は、参照図2106の区画線2109−2109に沿ったニット構成要素2140の足先部2158の断面図を示す図である(以後、参照図2109という)。
区画線2111は、中間層ニット層2150によって画定されたニット構成要素2140の周囲境界の外側で、ニット構成要素2140の上のニット布地要素2100を通っている。したがって、参照図2101〜参照図2102におけるマッピング区画線2111は、ニット構成要素2140に関連する物理的形状構成を有していない筒状構造2121の形態のニット構成要素2100の断面を示す。同様に、参照図2103,2104および2105は、区画線2111に沿ったニット構成要素2140に関連する物理的形状構成を示していない。
区画線2112は、ニット構成要素2140の後方かかと部を通っている。参照図2101〜参照図2102におけるマッピング区画線2112は、単一ノードを有する大略的に扁平な筒状構造2122の形態のニット布地要素2100の断面を示し、中間層ニットステッチライン2150が、ニット布地要素2100の共通側縁部2156(たとえば、図2〜図6における共通側縁部210を参照)からの距離2130において、第1のニット層2152と第2のニット層2154とを相互に接続している。
区画線2113は、ニット構成要素2140のかかと部のベースを通っている。参照図2101〜参照図2102におけるマッピング区画線2113は、単一ノードを有する大略的に扁平な筒状構造2123の形態のニット布地要素2100の断面を示し、中間層ニットステッチライン2150が、布地要素2100の連続的共通側縁部2156からの距離2131において、第1のニット層2152と第2のニット層2154とを相互に接続している。
区画線2114は、足首開口部に近接するクロージャシステム2170の端部におけるニット構成要素2140の中足部を通っている。参照図2101〜参照図2102におけるマッピング区画線2114は、単一ノードを有する大略的に扁平な筒状構造2124の形態のニット布地要素2100の断面を示し、中間層ニットステッチライン2150が、布地要素2100の共通側縁部2156からの距離2132において、第1のニット層2152と第2のニット層2154とを相互に接続している。
参照図2101から、ニット構成要素2140から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーの底面図を示す参照図2104までを対応付けると、区画線2114に沿った、ニット構成要素2140の共通縁部2156から中央底部2160の縁部までの距離2133と、中央底部2160の縁部から中間層ニットステッチライン2150までの距離2134とが、共通縁部2156から中間層ニットステッチライン2150までの距離2132に一致し(距離2133+距離2134=距離2132)、また、区画線2114に沿って中央底部2160の幅に相当する距離2146は、距離2134の2倍に等しい(距離2146=2×距離2134)ことは正しく認識されるであろう。同様に、区画線2114に沿った、中央底部2160の幅と、ニット構成要素2140の周囲底部2162とに相当する距離2147は、区画線2114に沿った、周囲底部2162の縁部と中間層ニットステッチライン2150との間の距離2135の2倍に等しい(距離2147=2×距離2135)。
区画線2115は、足先部2158に近接するクロージャシステム2170の端部において、ニット構成要素2140の中足部を通っている。参照図2101〜参照図2102におけるマッピング区画線2115は、単一ノードを有する扁平な筒状構造2125の形態のニット布地要素2100の断面を示し、中間層ニットステッチライン2150が、布地要素2100の共通側縁部2156からの距離2136において、第1のニット層2152と第2のニット層2154とを相互に接続している。区画線2115に沿って、参照図2101から参照図2104までを対応付けると、ニット構成要素2140の共通縁部2156から中央底部2160の縁部までの距離2137と、中央底部の縁部2156から中間層ニットステッチライン2150までの距離2138とが、共通縁部2156から中間層ニットステッチライン2150までの距離2136に一致し(距離2137+距離2138=距離2136)、また、区画線2115に沿った中央底部2160の幅に相当する距離2148が、区画線2115に沿った距離2138の2倍に等しいことは正しく認識されるであろう。同様に、区画線2115に沿った、中央底部2160の幅と、周囲底部2162とに相当する距離2149は、区画線2115に沿った、周囲底部2162の縁部と中間層ニットステッチライン2150との間の距離2139の2倍に等しい(距離2149=2×距離2139)。
区画線2116は、ニット構成要素2140の足先部2158を通っている。参照図2101〜参照図2102におけるマッピング区画線2116は、単一ノードを有する扁平な筒状構造2126の形態のニット布地要素2100の断面を示し、中間層ニットステッチライン2150が、布地要素2100の共通側縁部2156からの距離2141において、第1のニット層2152と第2のニット層2154とを相互に接続している。
区画線2117も、ニット構成要素2140の足先部2158を通っている。参照図2101〜参照図2102におけるマッピング区画線2117は、中間層ニットステッチライン2150が、布地要素2100の共通側縁部2156からの距離2142において、第1のニット層2152と第2のニット層2154とを相互に接続している第1のノードと、中間層ニットステッチライン2150が、区画線2117に沿った布地要素2100の第1のノードからの距離2143において、第1のニット層2152と第2のニット層2154とを相互に接続している第2のノードとを有する筒状構造2127の形態のニット布地要素2100の断面を示している。
区画線2118は、ニット構成要素2140の足先部2158の前縁部に接触して接線方向に延びている。参照図2101〜参照図2102におけるマッピング区画線2118は、単一ノードを有する扁平な筒状構造2128の形態のニット布地要素2100の断面を示し、中間層ニットステッチライン2150が、布地要素2100の共通縁部2156からの距離2144において、第1のニット層2152と第2のニット層2154とを相互に接続している。
区画線2119は、中間層ニットステッチライン2150によって画定されたニット構成要素2140の周囲境界の外側で、ニット構成要素2140の下のニット布地要素2100を通っている。したがって、参照図2101〜参照図2102におけるマッピング区画線2119は、ニット構成要素2140に関連する物理的形状構成を有していない扁平な筒状構造2129の形態のニット布地要素2100の断面を示す。同様に、参照図2103,2104および2105は、ニット構成要素2100および区画線2119に関連する物理的形状構成を示していない。
ニット布地要素2100およびニット構成要素2140の寸法は、ニット構成要素2140から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーにおいて、所望の構成(サイズおよび形状)、カスタムフィットおよびパフォーマンス特性を実現できるように選択してもよいことは正しく認識されるであろう。
たとえば、距離2131が、ニット布地構成要素2140の最大幅に一致すること、およびそれに伴って、距離2131が、ニット構成要素2140を画定して作製するのに十分なニット布地要素2100の最少幅を呈することは正しく認識されるであろう。したがって、いくつかの実施形態では、ニット布地要素2100の幅は、ニット布地要素2100およびニット構成要素2140を作製するのに必要な材料の量およびコストを最小限にするために、距離2131に実質的に等しいように選択してもよい。
(たとえば、ニット構成要素2140の足首開口部に近接するクロージャシステム2170の端部における)寸法2132,2133,2134および2135、および(たとえば、足先部2158に近接するクロージャシステム2170の端部における)寸法2136,2137,2138および2139を選択すれば、ニット構成要素2140から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーの所望のサイズおよび/またはカスタムフィットを実現できる可能性がある。
シームレスブーティの所望のカスタムフィットは、クロージャシステム2170の構成を選択することによって、さらに容易にしてもよい。たとえば、足先部2158に近接するクロージャシステム2170の端部において、V字形状のクロージャシステム2170(たとえば、図1を参照)に、このように選択した寸法を与えることにより、当該位置(たとえば、周長)において、所望のサイズおよび/またはカスタムフィットを実現できる可能性があり、およびクロージャシステム2170の締めひもシステムの正確な締め付け許容範囲を容易にすることによって、さらなるカスタムフィットを容易にする可能性がある。
同様に、ニット構成要素2141の他の位置において、たとえば、区画線2111〜2119に沿って同様の寸法を選択することは、そのような位置において、所望のサイジングおよび/またはカスタムフィットを実現できる可能性がある。たとえば、足先部2158において、寸法2141,2142および2143を選択することは、所望のサイジングおよび/またはカスタムフィットを有する先芯を備えていてもよい。
当業者は、ニット構成要素2140から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーの所望のサイジングおよび/またはカスタムフィットをもたらすのに適切なニット構成要素2140のための寸法を容易に選択することができるであろう。
参照図2106〜2109は、ニット構成要素2140から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーのさらなる形状構成を示す。参照図2106は、ニット構成要素2140から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーの正面斜視図である。
参照図2107は、参照図2106における区画線2107−2107に沿った足先部2158の断面を示す。いくつかの実施形態では、参照図2107に示すように、第1のニット層2152と第2のニット層2154とが、足先部2158において、単一の連続的で大略的に環状(筒状)のニット層を形成する。具体的には、中間層ニットステッチライン2150における拡大詳細図である参照図2108に示すように、第1のニット層2152および第2のニット層2154は、中間層ニットステッチライン2150において、連続的なニット層を形成している。
参照図2108に示すように、中間層ニットステッチライン2150は、第2のニット層2154の少なくとも1本のヤーンと互いに結ばれた第1のニット層2152の少なくとも1本のヤーンを含んでいる。中間層ニットステッチライン2150におけるこの連続ニット構造は、中間層ニットステッチライン2150におけるニット構成要素2140の解れを防ぐのに役に立つ可能性がある。参照図2108に模式的に図示されているように、中間層ニットステッチライン2150に沿ったニット布地要素2100からのニット構成要素2140の分離または取外し後、分離プロセスによって生じる少量の末端ヤーン端部が、中間層ニットステッチライン2150において露出する可能性がある。シームレスブーティまたは布地アッパーを形成する前に、ニット構成要素2140が反転されるいくつかの実施形態では、中間層ニットステッチライン2150における露出したヤーン端部は、(参照図2108に図示されているように)シームレスブーティまたは布地アッパーの内側に位置していてもよい。シームレスブーティまたは布地アッパーを形成する前に、ニット構成要素2140が反転されないいくつかの実施形態では、中間層ニットステッチライン2150における露出したヤーン端部は、シームレスブーティまたは布地アッパーの外側に位置していてもよい。
参照図2109は、参照図2106の区画線2109−2109に沿ったシームレスブーティまたは布地アッパーの断面を示す。いくつかの実施形態では、参照図2106に図示されているように、シームレスブーティまたは布地アッパーは、たとえば、図3〜図6に示すような分離プロセスによってニット構成要素2140中に形成されたクロージャシステム2170を含んでもよい。いくつかの実施形態では、クロージャシステム2170は、クロージャ部材2172と、ひも穴2174と、締めひも2176とを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、参照図2109に図示されているように、第1のニット層2152と第2のニット層2154とが、単一の連続ニット層を形成し、第1のニット層2152の一方の端部は、クロージャ構造2170の一方の側部でニットクロージャ部材2172として終端し、第2のニット層2154の一方の端部は、クロージャ構造2170の反対側の側部でニット締めひも部材2172として終端している。
図22は、図2〜図21の特徴による編み方法を用いて履物製品を作製するためのプロセスを含むプロセスフローチャート2200を示す。プロセス2201は、一体ワープニット構造から成るニット布地要素を編むことを含む。プロセス2202は、ニット布地要素からニット構成要素を取り外すことを含む。任意のプロセス2203は、ニット構成要素を反転させる、すなわち、ニット構成要素を裏返すことを含む。プロセス2204は、ニット構成要素を、履物製品用のシームレスブーティまたは布地アッパーに形成することを含む。そして、任意のプロセス2205は、シームレスブーティまたは布地アッパーと、ソール構造、ベロまたはオーバレイ構成要素等の1つ以上の追加的な構成要素とを結合することを含む。また、任意のプロセス2205も、仕上げ処理を施すこと、たとえば、シームレスブーティの底部面にグリップ材料を施すことを含んでもよい。当業者は、この実施形態の説明と整合する履物製品を実現するための所望のプロセスを容易に選択することができるであろう。
図23は、取外し前のニット構成要素を含むニット布地要素の別の実施形態の模式平面図であり、図には、ニット布地要素のワープニットステッチおよび中間層ニットステッチラインの形状構成が詳細に図示されている。図23は、図2と実質的に同様である。したがって、図2の形状構成の説明は、参照によって本願明細書に組み込まれ、また、この説明は、図23において異なっている可能性のある形状構成に注力する。
図23は、第1のニット層202と、第1のニット層202に重なっており、および共通縁部210に沿って第1のニット層202と連続している第2のニット層204とを含む一体ワープニット構造から成るニット布地要素2300を示す。いくつかの実施形態では、ニット布地要素2300は、ベロに相当するニット構成要素230と、シームレスブーティまたは布地アッパーに相当するニット構成要素240とを含んでいてもよい。ニット構成要素230およびニット構成要素240は、図2に図示されているように、および上述したように、ニット構成要素230およびニット構成要素240に相当する形状構成を大略的に含んでいてもよい。
図23において、ニット布地要素2300は、ニット構成要素240の周囲部分において、第1のニット層202と第2のニット層204とを相互に接続する中間層ニットステッチライン214と、ニット構成要素240の周囲部分において、第1のニット層202と第2のニット層204とを相互に接続する中間層ニットステッチライン232とを含んでいてもよい。
しかし、いくつかの実施形態では、図23に図示されているように、ニット布地要素2300の第1のニット層202および第2のニット層204は、(図23において、共通の連続的陰影で図示されている)ニット構成要素230および240の周囲部分の外側で、中間層ニット部分2310全面で相互に接続してもよい。
説明のため、図23は、中間層ニットステッチライン214および中間層ニット部分2310を含むニット布地要素2300の編み構成を断面で模式的に示す拡大した要素2315を含む。要素2315に模式的に図示されているように、第1のニット層202および第2のニット層204は、第1のニット層202の少なくとも1本のヤーンが、第2のニット層204の少なくとも1本のヤーンと互いに結ばれている複数の共通編みステッチによって、中間層ニット部分2310の全域で相互に接続されていてもよい。いくつかの実施形態では、複数の共通中間層編みステッチは、異なるヤーンを用いた一連の個々の中間層編みステッチを含んでもよい。いくつかの実施形態では、複数の共通中間層編みステッチは、共通ヤーンを用いた一連の中間層編みステッチを含んでもよい。いくつかの実施形態では、要素2315に図示されているように、中間層ニット部分2310は、第1のニット層202と第2のニット層204との間で、中間層ニットステッチライン214と連続していてもよい。いくつかの実施形態では、中間層ニット部分2310は、第1のニット層202と第2のニット層204との間で、中間層ニットステッチライン214と隣接していてもよい。いくつかの実施形態では、中間層ニット部分2310は、中間層ニットステッチライン214を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、中間層ニット部分2310を含むニット布地要素2300は、取外し前のニット構成要素230および240のための向上した寸法安定性を備えていてもよいことは正しく認識されるであろう。いくつかの実施形態では、中間層ニット部分2310を含む布地要素2300は、製造プロセス中の、改善された取り扱いを容易にする可能性がある。いくつかの実施形態では、中間層ニット部分2310を含む布地要素2300は、第1のニット層202および第2のニット層204の両方のための単一の分離プロセス、すなわち、第1のニット層202および第2のニット層204からニット構成要素を分離するための単一のプロセスを用いた、ニット構成要素230および240の取外しを容易にする可能性がある。
図24は、取外し前のニット布地要素2400のニット構成要素2440の実施形態の形状構成を、ニット構成要素2440から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーに模式的に対応付けている。図24は、図21と実質的に同様である。いくつかの実施形態では、布地要素2400は、図23の布地要素2300に対応していてもよく、また、ニット構成要素2440は、図21のニット構成要素2140に対応していてもよい。したがって、図21および図23に関連して前述した形状構成の説明は繰り返さず、ここでの説明は、図24において異なっている可能性のある形状構成に注力する。
図24において、ニット構成要素2440に関連する形状構成は、図21におけるニット構成要素2140の形状構成と実質的に同様である。参照図2401〜2409は、参照図2101〜2109と実質的に同様である。図24における区画線2411〜2419は、図21における区画線2111〜2119に相当する。
区画線2411は、中間層ニット層2450によって画定されたニット構成要素2440の周囲境界の外側で、ニット構成要素2440の上のニット布地要素2400を通っている。いくつかの実施形態では、この構造は、図23の中間層ニット部分に対応していてもよい。したがって、参照図2401〜参照図2402におけるマッピング区画線2411は、平らな2層構造2421の形態のニット構成要素2400の断面を示す。第1のニット層2452と第2のニット層2454とは、複数の共通中間層ニットステッチによって相互に接続してもよく、およびニット構成要素2440に関連する形状構成を有していなくてもよい。同様に、参照図2403,2404および2405は、区画線2411に沿ったニット構成要素2440に関連する物理的形状構成を示していない。
区画線2412は、ニット構成要素2440の後方かかと部を通っている。参照図2401〜参照図2402におけるマッピング区画線2412は、大略的に平らな2層構造2422の形態のニット布地要素2400の断面を示す。図21の実施形態と同様に、第1のニット層2452および第2のニット層2454は、共通側縁部2456を有し、および、共通側縁部2456から、中間層ニットステッチライン2450が、ニット布地要素2400の共通側縁部2456(たとえば、図2〜図6における共通側縁部210を参照)からの距離2430において、第1のニット層2452と第2のニット層2454とを相互に接続している単一ノードまで、第1のニット層2452と第2のニット層2454との間に空洞を形成している。第1のニット層2452および第2のニット層2454は、中間層ニットステッチ2450の外側で、複数の共通中間層編みステッチによって相互に接続されている(たとえば、図23における中間層ニット部分2310を参照)。
区画線2413は、ニット構成要素2440のかかと部のベースを通っている。参照図2401〜参照図2402におけるマッピング区画線2413は、大略的に平らな2層ニット構造2423の形態のニット布地要素2400の断面を示す。図21の実施形態と同様に、第1のニット層2452および第2のニット層2454は、共通側縁部2456を有し、および共通側縁部2456から、中間層ニットステッチライン2450が、ニット布地要素2400の共通側縁部2456からの距離2431において、第1のニット層2452と第2のニット層2454とを相互に接続している単一ノードまで、第1のニット層2452と第2のニット層2454との間に空洞を形成している。第1のニット層2452および第2のニット層2454は、中間層ニットステッチ2450の外側で、複数の共通中間層編みステッチによって相互に接続されている(たとえば、図23における中間層ニット部分2310を参照)。
区画線2414は、足首開口部に近接するクロージャシステム2470の端部におけるニット構成要素2440の中足部を通っている。参照図2401〜参照図2402におけるマッピング区画線2414は、大略的に平らな2層構造2424の形態のニット布地要素2400の断面を示す。図21の実施形態と同様に、第1のニット層2452および第2のニット層2454は、共通側縁部2456を有し、および共通側縁部2456から、中間層ニットステッチライン2450が、ニット布地要素2400の共通側縁部2456からの距離2432において、第1のニット層2452と第2のニット層2454とを相互に接続している単一ノードまで、第1のニット層2452と第2のニット層2454との間に空洞を形成している。第1のニット層2452および第2のニット層2454は、中間層ニットステッチ2450の外側で、複数の共通中間層ニットステッチによって相互に接続されている(たとえば、図23における中間層ニット部分2310を参照)。
区画線2415は、足先部2458に近接するクロージャシステム2470の端部におけるニット構成要素2440の中足部を通っている。参照図2401〜参照図2402におけるマッピング区画線2415は、大略的に平らな2層構造2425の形態のニット布地要素2400の断面を示す。図21の実施形態と同様に、第1のニット層2452および第2のニット層2454は、共通側縁部2456を有し、および共通側縁部2456から、中間層ニットステッチライン2450が、ニット布地要素2400の共通側縁部2456からの距離2436において、第1のニット層2452と第2のニット層2454とを相互に接続している単一ノードまで、第1のニット層2452と第2のニット層2454との間に空洞を形成している。第1のニット層2452および第2のニット層2454は、中間層ニットステッチ2450の外側で、複数の共通中間層ニットステッチによって相互に接続されている(たとえば、図23における中間層ニット部分2310を参照)。
区画線2416は、ニット構成要素2440の足先部2458を通っている。参照図2401〜参照図2402におけるマッピング区画線2416は、大略的に平らな2層構造2426の形態のニット布地要素2400の断面を示す。図21の実施形態と同様に、第1のニット層2452および第2のニット層2454は、共通側縁部2456を有し、および共通側縁部2456から、中間層ニットステッチライン2450が、ニット布地要素2400の共通側縁部2456からの距離2441において、第1のニット層2452と第2のニット層2454とを相互に接続している単一ノードまで、第1のニット層2452と第2のニット層2454との間に空洞を形成している。第1のニット層2452および第2のニット層2454は、中間層ニットステッチ2450の外側で、複数の共通中間層ニットステッチによって相互に接続されている(たとえば、図23における中間層ニット部分2310を参照)。
区画線2417も、ニット構成要素2440の足先部2458を通っている。参照図2401〜参照図2402におけるマッピング区画線2413は、大略的に平らな2層構造2427の形態のニット布地要素2400の断面を示す。構造2427は、中間層ニットステッチライン2450が、布地要素2100の共通側縁部2456からの距離2442において、および区画線2417に沿った布地要素2100の第1のノードからの距離2443において、第1のニット層2452と第2のニット層2454とを相互に接続している2つのノードを有している。第1のニット層2452および第2のニット層2454は、中間層ニットステッチ2450の外側で、複数の共通中間層ニットステッチによって相互に接続されている(たとえば、図23における中間層ニット部分2310を参照)。
区画線2418は、ニット構成要素2440の足先部2458の前縁部に接触している。参照図2401〜参照図2402におけるマッピング区画線2418は、大略的に平らな2層構造2428の形態のニット布地要素2400の断面を示す。図21の実施形態と同様に、第1のニット層2452および第2のニット層2454は、共通側縁部2456と、中間層ニットステッチライン2450が、ニット布地要素2400の共通側縁部2456からの距離2444において、第1のニット層2452と第2のニット層2454とを相互に接続している(2層構造2428内の「ピンチ」として図示されている)ノードとを有している。第1のニット層2452および第2のニット層2454は、中間層ニットステッチ2450の外側で、複数の共通中間層ニットステッチによって相互に接続されている(たとえば、図23における中間層ニット部分2310を参照)。
区画線2419は、中間層ニット層2450によって画定されたニット構成要素2440の周囲境界の外側で、ニット構成要素2440の下のニット布地要素2400を通っている。したがって、参照図2401〜参照図2402におけるマッピング区画線2419は、ニット構成要素2440に関連する形状構成を有していない平らな2層構造2429の形態のニット布地要素2400の断面を示す。同様に、参照図2403,2404および2405は、ニット構成要素2400および区画線2419に関連する形状構成を示していない。
ニット布地要素2400およびニット構成要素2440の寸法を、図21におけるニット構成要素2100に関して上述したように、ニット構成要素2440から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーに、所望のサイジングおよび/またはカスタムフィットおよびパフォーマンス特性を与えるように選択することができることは正しく認識されるであろう。当業者は、ニット構成要素2440から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーの所望のサイジングおよび/またはカスタムフィットを備えるように、ニット構成要素2440のための寸法を容易に選択することができるであろう。
参照図2406〜2409は、ニット構成要素2440から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーのさらなる形状構成を示す。参照図2406は、ニット構成要素2440から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーの正面斜視図である。
参照図2407は、参照図2406における区画線2407−2407に沿った足先部2458の断面を示す。いくつかの実施形態では、参照図2407に示すように、第1のニット層2452および第2のニット層2454は、足先部2458において、単一の連続的で大略的に環状(筒状)のニット層を形成する。具体的には、中間層ニットステッチライン2450における拡大詳細図である参照図2408に示すように、第1のニット層2452および第2のニット層2454は、中間層ニットステッチライン2450において、連続的なニット層を形成している。参照図2408に示すように、中間層ニットステッチライン2450は、第2のニット層2454の少なくとも1本のヤーンと互いに結ばれた第1のニット層2452の少なくとも1本のヤーンを含んでいる。さらに、図2408に図示されているように、いくつかの実施形態では、中間層ニットステッチライン2450は、隣接する中間層ニット部分2310において分離されていてもよいことは正しく認識されるであろう。中間層ニットステッチライン2450および中間層ニット部分2310におけるこの連続ニット構造は、中間層ニットステッチライン2450におけるニット構成要素2440の解れを防ぐのに役に立つ可能性がある。参照図2408に模式的に図示されているように、中間層ニット部分2310における中間層ニットステッチライン2450に沿ったニット布地要素2400からのニット構成要素2440の分離または取外し後、分離プロセスによって生じる少量の末端ヤーン端部が、中間層ニットステッチライン2450において露出する可能性がある。
シームレスブーティまたは布地アッパーを形成する前に、ニット構成要素2440が反転される(すなわち、裏返しにされる)いくつかの実施形態では、中間層ニットステッチライン2450における露出したヤーン端部は、(参照図2408に図示されているように)シームレスブーティまたは布地アッパーの内側に位置していてもよい。シームレスブーティまたは布地アッパーを形成する前に、ニット構成要素2440が反転されないいくつかの実施形態では、中間層ニットステッチライン2450における露出したヤーン端部は、シームレスブーティまたは布地アッパーの外側に位置していてもよい。
参照図2409は、参照図2406の区画線2409−2409に沿ったシームレスブーティまたは布地アッパーの断面を示す。いくつかの実施形態では、参照図2406に図示されているように、シームレスブーティまたは布地アッパーは、分離プロセスによってニット構成要素2440中に形成されたクロージャシステム2470を含んでもよい。いくつかの実施形態では、クロージャシステム2470は、締めひも部材2472と、ひも穴2474と、締めひも2476とを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、参照図2409に図示されているように、第1のニット層2452および第2のニット層2454は、単一の連続ニット層を形成し、第1のニット層2452の一方の端部は、クロージャ構造2470の一方の側部でニットクロージャ部材2472として終端し、第2のニット層2454の一方の端部は、クロージャ構造2170の反対側の側部でニットクロージャ部材2472として終端している。
〈押し込まれた部分を備えるシームレスブーティまたは布地アッパーの履物製品構成〉
詳細な説明のこのセクションは、履物製品用のアッパーに組み込むための押し込み部分を有するニット構成要素を含むニット布地要素を編むための方法の実施形態について全般的に説明する。
具体的には、このセクションは、シームレスブーティまたは布地アッパーを形成するように構成されている第1のニット構成要素部分と、そのシームレスブーティまたは布地アッパーの内部ポケット(すなわち、第1のニット構成要素部分)に押し込まれるか、または折り込まれるように構成されている第2のニット構成要素部分とを含むニット布地要素を編むための方法の実施形態について全般的に説明する。その内部ポケットは、ニット布地要素の第1のニット層および第2のニット層によって形成され、また、その押し込み部(すなわち、第2のニット構成要素部分)は、足を受け入れるように構成されているシームレスブーティまたは布地アッパーの開口部において、そのシームレスブーティまたは布地アッパーの第1のニット層および第2のニット層(すなわち、第1のニット構成要素部分)とシームレスで結合されている。
いくつかの実施形態では、押し込み部は、履物製品のダイナミックフィット構造を形成してもよい。いくつかの実施形態では、押し込み部は、ガセットベロ等の履物製品のクロージャ構造を形成してもよい。いくつかの実施形態では、押し込み部は、第1のニット層および/または第2のニット層によって形成された、インサート部材を収容するためのポケットを含んでもよい。いくつかの実施形態では、押し込み部は、インサート部材を収容するためのポケットを形成するように、シームレスブーティまたは布地アッパーの第1のニット層および第2のニット層の一方(すなわち、第1のニット構成要素部分)と協働してもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、インサート部材は、製品の足先部におけるつま先カップ、製品のかかと部におけるかかとカップ、製品の甲回り部におけるアーチサポート、ベロ用のパッド層および/または他のインサート部材を含んでもよい。
図25〜図35は、押し込み部を含むシームレスブーティまたは布地アッパーの実施形態を示す。図25〜図35に図示されている実施形態は、それぞれが、ブーティのクロージャ構造において、ブーティと連続している押し込み部を含む一体ワープニット構造から成るシームレスブーティまたは布地アッパーを含むという点で同様である。いくつかの実施形態では、押し込み部は、ダイナミックフィット構造を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、押し込み部は、ガセットベロ構造を備えていてもよい。
〈ダイナミックフィット形状構成〉
図25は、ニット布地要素2500のニット構成要素2540の実施形態の形状構成を、そのニット構成要素から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーに模式的に対応付けている。いくつかの実施形態では、ニット構成要素2540は、連続クロージャ構造を用いたニットダイナミックフィットミッドソール構成要素を含んでもよい。
図25において、符号2501は、ニット布地要素2500の図(以後、参照図2501と呼ぶ)を識別し、および符号2502,2503,2504および2505における対応する図面(以後、参照図2502,2503,2504および2505と呼ぶ)にわたって、ニット布地要素2500のニット構成要素2540のさまざまな形状構成および特徴を模式的に対応付けている一連の区画線2511〜2519を含んでいる。参照図2502は、区画線2511〜2519に沿ったニット布地要素2500のニット構成要素2540に関連する一連の断面図2521〜2529を示し、参照図2503は、ニット構成要素2540の内側側面図を示し、参照図2504は、ニット構成要素2540の底部平面図を示し、参照図2505は、ニット構成要素2540の外側側面図を示す。符号2506は、ニット構成要素2540の正面等角図を示す図(以後、参照図2506という)であり、符号2507は、参照図2506の区画線2507−2507に沿った足先部2558の断面図を示す図(以後、参照図2507という)であり、符号2508は、参照図2506の区画線2508−2508に沿ったニット構成要素2540の足先部2558の断面図を示す図(以後、参照図2508という)である。
図21のニット布地要素2100および図24のニット布地要素2400と同様に、ニット布地要素2500は、第1のニット層2552と、第1のニット層2552に重なっている第2のニット層2554とを含み、ニット布地要素2500は、一体ワープニット構造から成る。参照図2501を参照すると、この実施形態では、第1のニット層2552は、製造または編みプロセスの方向に延びている共通開口部2553の共通縁部2556に沿って、第2のニット層2554と連続している。ニット布地要素2500が、図2および図21におけるニット布地要素200および2100と同様の大略的に筒状の構造か、または、図23および図24におけるニット布地要素2300および2400と同様の大略的に平らな2層構造を有していてもよいことは正しく認識されるであろう。簡略にするため、および大略的に筒状の構造(たとえば、図2〜図8および図21)を有するニット布地要素のさまざまな形状構成および部分は、大略的に平らな2層構造(たとえば、図23および図24)を有するニット布地要素の形状構成および部分に対応し、およびそれらの形状構成および部分と置換え可能であるため、ニット布地要素2500は、大略的に平らな2層構造に関して説明する。
区画線2511は、中間層ニットステッチライン2550によって画定されたニット構成要素2540の周囲境界の外側で、ニット構成要素2540の上のニット布地要素2500を通っている。したがって、参照図2501〜参照図2502におけるマッピング区画線2511は、ニット構成要素2540に関連する形状構成を有していない平らな2層構造2521の形態のニット構成要素2500の断面を示す。同様に、参照図2503,2504および2505は、区画線2511に沿ったニット構成要素2540に関連する形状構成を示していない。
区画線2512は、ニット構成要素2540の後方かかと部を通っている。参照図2501〜参照図2502におけるマッピング区画線2512は、中間層ニットステッチライン2550が、ニット布地要素2500の共通縁部2556に関連する中心ライン2551からの距離2530において、第1のニット層2552と第2のニット層2554とを相互に接続している、対向する1つのペアのノードを有する、大略的に平らな2層構造2522の形態のニット布地要素2500の断面を示す。いくつかの実施形態では、共通縁部2556は、ニット布地要素2500のニット構成要素2540の足先部2558の連続面にわたって第1のニット層2552および第2のニット層2554に共通する連続ニット層を備えていてもよいため、ニット構成要素2540の共通縁部2556が、図2の共通縁部210、図21の共通縁部2156および共通縁部2456と同様に機能してもよいことは正しく認識されるであろう。
区画線2513は、ニット構成要素2540のかかと部を通っている。参照図2501〜参照図2502におけるマッピング区画線2513は、中間層ニットステッチライン2550が、中心ライン2551からの距離2531において、第1のニット層2552と第2のニット層2554とを相互に接続している、対向する1つのペアのノードを有する、大略的に平らな2層構造2523の形態のニット布地要素2500の断面を示す。
区画線2514は、ニット構成要素2540の足首開口部に近接するクロージャ構造2570の部分を通っている。参照図2501〜参照図2502におけるマッピング区画線2514は、中間層ニットステッチライン2550が、中心ライン2551からの距離2532において、第1のニット層2552と第2のニット層2554とを相互に接続している、対向する1つのペアのノードを有する、大略的に平らな2層構造2524の形態のニット布地要素2500の断面を示す。
区画線2515は、ニット構成要素2540の足先部2558に近接するクロージャ構造2570の部分を通っている。参照図2501〜参照図2502におけるマッピング区画線2515は、中間層ニットステッチライン2550が、中心ライン2551からの距離2533において、第1のニット層2552と第2のニット層2554とを相互に接続している、対向する1つのペアのノードを有する、大略的に平らな2層構造2525の形態のニット布地要素2500の断面を示す。
区画線2516は、ニット構成要素2540の足先部2558を通っている。参照図2501〜参照図2502におけるマッピング区画線2516は、共通縁部2556の1つのペアと、中間層ニットステッチライン2550が、中心ライン2551からの距離2534において、第1のニット層2552と第2のニット層2554とを相互に接続している、対向する1つのペアのノードとを有する、大略的に平らな2層構造2526の形態のニット布地要素2500の断面を示す。
区画線2517は、ニット構成要素2540の足先部2558を通っている。参照図2501〜参照図2502におけるマッピング区画線2517は、共通縁部2556の1つのペアと、中間層ニットステッチライン2550が、中心ライン2551からの距離2535において、第1のニット層2552と第2のニット層2554とを相互に接続している、対向する1つのペアのノードとを有する、大略的に平らな2層構造2527の形態のニット布地要素2500の断面を示す。
区画線2518は、ニット構成要素2540の足先部2558に接触して接線方向に延びている。参照図2501〜参照図2502におけるマッピング区画線2518は、中間層ニットステッチライン2550が、中心ライン2551からの距離2536において、第1のニット層2552と第2のニット層2554とを相互に接続している、対向する1つのペアのノード(参照図2502の2層構造2528における、対向する1つのペアのピンチ部として示す)を有する、大略的に平らな2層構造2528の形態のニット布地要素2500の断面を示す。
区画線2519は、中間層ニットステッチライン2550によって画定されたニット構成要素2540の周囲境界の外側で、ニット構成要素2540の下のニット布地要素2500を通っている。したがって、参照図2501〜参照図2502におけるマッピング区画線2519は、ニット構成要素2540に関連する形状構成を有していない平らな2層構造2529の形態のニット布地要素2500の断面を示す。同様に、参照図2503,2504および2505は、区画線2519に沿ったニット構成要素2540に関連する形状構成を示していない。
ニット構成要素2540は、何らかの公知のまたは後に開発された取外しまたは分離プロセスによって、ニット布地要素2500から取り外してもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、ニット構成要素2540は、分離プロセス、たとえば、図2〜図8に関して上述したように、裁断プロセスを用いて、ニット構成要素2540の中間層ニットステッチライン2550に沿ってニット布地要素2500を分離することにより、布地要素2500から取り外すか、または分離してもよい。
取外し後のニット構成要素2540は、参照図2503〜2508に大略的に図示されているように、シームレスブーティまたは布地アッパーを形成するように操作しおよび/または伸張させてもよい。
図26〜図30は、第1のまたは一番目の(たとえば、外側の)ニット構成要素2560内に第2のまたは二番目の(たとえば、内側の)ニット構成要素2562を折り込むか、または押し込むための、取外し後の図25のニット構成要素2540のための任意の反転プロセスを模式的に示す。
図26は、最初の取外し後の状態のニット構成要素2540を示す。図26は、反転プロセスの前の、一番目の(外側の)ニット構成要素2562の上に配置された二番目の(内側の)ニット構成要素2562を示す。
図27は、二番目の(内側の)ニット構成要素2562の足先部2557が、二番目の(内側の)ニット構成要素2562の第1のニット層2552と第2のニット層2554との間に形成された空洞内に、矢印2710の方向に押し込まれている状態のニット構成要素2540を示す。図27に図示されているように、二番目の(内側の)ニット構成要素2562の足先部2557は、その後、点線矢印2720の方向にさらに下方に押し込まれ、および、一番目の(外側の)ニット構成要素2560の一番目の足先部2558において、一番目の(外側の)ニット構成要素2560の第1のニット層2552と第2のニット層2554との間に形成された空洞内に、(仮想的に示す)二番目の(内側の)ニット構成要素2562の足先部2557を押し込むように、その矢印方向に回って戻される。
図28は、点線矢印2810の方向にさらに押し込まれ、第1の(内側の)ニット構成要素2560の足先部2558にさらに押し込まれている(仮想的に図示されている)二番目の(内側の)ニット構成要素2562の足先部2557を示す。図28はさらに、一番目の(外側の)ニット構成要素2560の第1のニット層2552と第2のニット層2554との間に形成された空洞内に、矢印2820の方向に押し込まれている二番目の(内側の)ニット構成要素2562のかかと部2563を示す。二番目の(内側の)ニット構成要素2562のかかと部2563は、その後、一番目の(外側の)ニット構成要素2560のかかと部2564において、第1のニット層2552と第2のニット層254との間に形成された空洞内に、点線矢印2830の方向にさらに押し込まれる。
図29は、一番目の(外側の)ニット構成要素2560の一番目の足先部2558の第1のニット層2552と第2のニット層2554との間に形成された空洞内に、二番目の(内側の)ニット部分2562の足先部2557を実質的に押し込むように、点線矢印2910の方向にさらに押し込まれている二番目の(内側の)ニット構成要素2562の足先部2557を示す。図29は、二番目の(内側の)ニット部分2562のかかと部2563を、一番目の(外側の)ニット構成要素2560のかかと部2564に実質的に押し込むように、点線矢印2920の方向にさらに押し込まれている(仮想的に図示されている)かかと部2563を示す。
図30は、完全に反転された、折り込まれた、または、一番目の(外側の)ニット構成要素2560内に押し込まれた(仮想的に図示されている)二番目の(内側の)ニット構成要素2562を示す。この構成の場合、ニット構成要素2562およびニット構成要素2560は、履物製品の布地アッパーから成るブーティ・イン・ブーティ構造を形成してもよい。
いくつかの実施形態では、二番目の(内側の)ニット構成要素2562のサイズおよび構造は、一番目の(外側の)ニット構成要素2560のサイズおよび構造と実質的に同じであってもよい。しかし、いくつかの実施形態では、二番目の(内側の)ニット構成要素2562のサイズは、(たとえば、許容差適合のために)一番目の(外側の)ニット構成要素2560のサイズよりもわずかに小さく作製してもよいことは正しく認識されるであろう。いくつかの実施形態では、一番目の(外側の)ニット構成要素2560は、二番目の(内側の)ニット構成要素2562よりも大きく伸張してもよい。当業者は、所望のシームレスブーティまたは布地アッパーに適したサイジングおよび構成を容易に選択することができるであろう。
ニット布地要素2500およびニット構成要素2540の寸法は、図21におけるニット構成要素2100および図2400におけるニット構成要素2400に関して全般的に上述したように、ニット構成要素2540から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーに、所望のサイジングおよび/またはカスタムフィットおよびパフォーマンス特性をもたらすように選択してもよい。たとえば、寸法2531〜2536は、所望のサイジングおよび/またはカスタムフィットをもたらすように選択してもよい。当業者は、ニット構成要素2540から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーの所望のサイジングおよび/またはカスタムフィットをもたらすのに適した、ニット構成要素2540のための寸法を容易に選択することができるであろう。
参照図2503〜2505は、一番目の(外側の)ニット構成要素2560および二番目の(内側の)ニット構成要素2562を含むニット構成要素2540から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーを、内側輪郭図、底部輪郭図および外側輪郭図で示している。
参照図2506は、ニット構成要素2540から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーを正面輪郭図で示している。参照図2507は、参照図2506の区画線2507−2507に沿ったシームレスブーティまたは布地アッパーの断面図であり、参照図2508は、参照図2506の区画線2508−2508に沿ったシームレスブーティまたは布地アッパーの断面図である。
参照図2507に図示されているように、いくつかの実施形態では、ニット構成要素2540から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーは、足先部2557および2558に、2つの隣接する連続層を含んでいてもよい。すなわち、一番目または外側のニット構成要素2560および二番目または内側のニット構成要素2562の各々は、第1のニット層2552と、第1のニット層2554と、中間層ニットステッチライン2550とによって形成された連続ニット層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、これら2つの層は隣接していてもよい。いくつかの実施形態では、二番目の(内側の)ニット構成要素2562のサイジングは、ダイナミックフィットによってカスタムフィットを容易にするように、より小さく作製してもよい。
いくつかの実施形態では、ニット構成要素2540は、クロージャ部材2572と、二番目の(内側の)ニット構成要素2562のひも穴2573と、一番目の(外側の)ニット構成要素2560のひも穴2574と、締めひも2576とを含むクロージャシステム2570を含んでもよい。いくつかの実施形態では、参照図2508に図示されているように、二番目の(内側の)ニット構成要素2562のひも穴2573、および一番目の(外側の)ニット構成要素2560のひも穴2574は、共通の締めひも2576と位置合わせするか、または、その締めひもと整合させて構成してもよい。いくつかの実施形態では、二番目の(内側の)ニット構成要素2562の相対的サイジングと、一番目の(外側の)ニット構成要素2560のサイジングと、一番目の(外側の)ニット構成要素2560のソール構造(たとえば、図1のソール構造を参照)への任意の取付けとを制御することにより、二番目の(内側の)ニット構成要素2562は、共通の締めひも2576を用いて、ユーザの足のためのダイナミックフィットを実現することができる。
〈ダイナミックフィット甲回りおよびかかと形状構成〉
図31は、ニット布地要素3100のニット構成要素3140の別の実施形態の形状構成を、そのニット構成要素から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーに模式的に対応付けている。いくつかの実施形態では、ニット布地要素3100のニット構成要素3140は、連続クロージャ構造を用いたニットダイナミックフィット構成要素を含んでもよい。
図31において、符号3101は、ニット布地要素3100の図を識別し(以後、参照図3101と呼ぶ)、および対応する図面にわたって、ニット布地要素3100のニット構成要素3140のさまざまな形状構成および特徴を、符号3102,3103,3104および3105(以後、参照図3102,3103,3104および3105と呼ぶ)で模式的に対応付けている一連の区画線3111〜3119を含んでいる。参照図3102は、区画線3111〜3119に沿ったニット布地要素3100のニット構成要素3140に関連する一連の断面図3121〜3129を示し、参照図3103は、取外しおよび反転プロセス後のニット構成要素3140の内側側面図を示し、参照図3104は、取外しおよび反転プロセス後のニット構成要素3140の底部平面図を示し、参照図3105は、取外しおよび反転プロセス後のニット構成要素3140の外側側面図を示す。符号3106は、取外しおよび反転プロセス後のニット構成要素3140の正面等角図を示す図であり(以後、参照図3106という)、符号3107は、参照図3106の区画線3107−3107に沿った足先部3158の断面図を示す図であり(以後、参照図3107という)、符号3108は、参照図3106の区画線3108−3108に沿ったニット構成要素3140の足先部3158の断面図を示す図である(以後、参照図3108という)。
図25のニット布地要素2500と同様に、ニット布地要素3100は、第1のニット層3152と、第1のニット層2552に重なっている第2のニット層3154とを含み、ニット布地要素3100は、一体ワープニット構造から成る。参照図3101を参照すると、いくつかの実施形態では、第1のニット層3152は、製造または編みプロセスの方向に延びている共通開口部3153の共通縁部3156に沿って、第2のニット層3154と連続していてもよい。いくつかの実施形態では、ニット布地要素3100が、図2および図21におけるニット布地要素200および2100と同様の大略的に筒状の構造を有してもよく、また、いくつかの実施形態では、ニット布地要素3100が、図23および図24におけるニット布地要素2300および2400と同様の大略的に平らな2層構造を有してもよいことは正しく認識されるであろう。簡略にするため、ニット布地要素3100は、大略的に平らな2層構造に関して説明する。当業者は、(たとえば、図2および図21に示すような)大略的に筒状の構造と、(たとえば、図23および図24に示すような)大略的に平らな2層構造との間でのさまざまな形状構成および部分の類似性および互換性を容易に正しく認識するであろう。
区画線3111は、中間層ニットステッチライン3150によって画定されたニット構成要素3140の周囲境界の外側で、ニット構成要素3140の上のニット布地要素3100を通っている。したがって、参照図3101〜参照図3102におけるマッピング区画線3111は、ニット構成要素3140に関連する形状構成を有していない平らな2層構造3121の形態のニット構成要素3100の断面を示す。同様に、参照図3103,3104および3105は、区画線3111に沿ったニット構成要素3140に関連する形状構成を示していない。
区画線3112は、ニット構成要素3140の後方かかと部を通っている。参照図3101〜参照図3102におけるマッピング区画線3112は、中間層ニットステッチライン3150が、ニット布地要素3100の共通縁部3156に関連する中心ライン3151からの距離3130において、第1のニット層3152と第2のニット層3154とを相互に接続している、対向する1つのペアのノードを有する、大略的に平らな2層構造3122の形態のニット布地要素3100の断面を示す。いくつかの実施形態では、共通縁部3156は、ニット布地要素3100のニット構成要素3140の足先部3158の連続面にわたって第1のニット層3152および第2のニット層3154に共通する連続ニット層を備えていてもよいため、ニット構成要素3140の共通縁部3156が、図2の共通縁部210、図21の共通縁部2156、図24の共通縁部2456および図25の共通縁部2556と同様に機能してもよいことは正しく認識されるであろう。
区画線3113は、ニット構成要素3140のかかと部を通っている。参照図3101〜参照図3102におけるマッピング区画線3113は、中間層ニットステッチライン3150が、中心ライン3151からの距離3131において、第1のニット層3152と第2のニット層3154とを相互に接続している、対向する1つのペアのノードを有する、大略的に平らな2層構造3123の形態のニット布地要素3100の断面を示す。
区画線3114は、ニット構成要素3140の足首開口部に近接するクロージャ構造3170の部分を通っている。参照図3101〜参照図3102におけるマッピング区画線3114は、中間層ニットステッチライン3150が、中心ライン3151からの距離3132において、第1のニット層3152と第2のニット層3154とを相互に接続している、対向する1つのペアのノードを有する、大略的に平らな2層構造3124の形態のニット布地要素3100の断面を示す。
区画線3115は、ニット構成要素3140の足先部3158に近接するクロージャ構造3170の部分を通っている。参照図3101〜参照図3102におけるマッピング区画線3115は、中間層ニットステッチライン3150が、中心ライン3151からの距離3133において、第1のニット層3152と第2のニット層3154とを相互に接続している、対向する1つのペアのノードを有する、大略的に平らな2層構造3125の形態のニット布地要素3100の断面を示す。
区画線3116は、ニット構成要素3140の足先部3158を通っている。参照図3101〜参照図3102におけるマッピング区画線3116は、共通縁部3156と、中間層ニットステッチライン3150が、中心ライン3151からの距離3134において、第1のニット層3152と第2のニット層3154とを相互に接続しているノードとを有する、大略的に平らな2層構造3126の形態のニット布地要素3100の断面を示す。
区画線3117は、ニット構成要素3140の足先部3158を通っている。参照図3101〜参照図3102におけるマッピング区画線3117は、中間層ニットステッチライン3150が、中心ライン3151からの距離3135において、第1のニット層3152と第2のニット層3154とを相互に接続している第1のノードと、中間層ニットライン3150が、第1のノードからの距離3136において、第1のニット層3152と第2のニット層3154とを相互に接続している第2のノードとを有する、大略的に平らな2層構造3127の形態のニット布地要素3100の断面を示す。
区画線3118は、ニット構成要素3140の足先部3158に接触して接線方向に延びている。参照図3101〜参照図3102におけるマッピング区画線3118は、中間層ニットステッチライン3150が、(参照図3102の2層構造3128におけるピンチとして図示されている)中心ライン1351からの距離3137において、第1のニット層3152と第2のニット層3154とを相互に接続している単一ノードを有する大略的に平らな2層構造3128の形態のニット布地要素3100の断面を示す。
区画線3119は、中間層ニットステッチライン3150によって画定されたニット構成要素3140の周囲境界の外側で、ニット構成要素3140の下のニット布地要素3100を通っている。したがって、参照図3101〜参照図3102におけるマッピング区画線3119は、ニット構成要素3140に関連する形状構成を有していない平らな2層構造3129の形態のニット構成要素3100の断面を示す。同様に、参照図3103,3104および3105は、区画線3119に沿ったニット構成要素3140に関連する形状構成を示していない。
ニット構成要素3140は、何らかの公知のまたは後に開発された取外しまたは分離プロセスによって、ニット布地要素3100から取り外してもよい。いくつかの実施形態では、ニット構成要素3140は、分離プロセス、たとえば、図2〜図8に関して上述したように、裁断プロセスを用いて、ニット構成要素3140の中間層ニットステッチライン3150に沿ってニット布地要素3100を分離することにより、布地要素3100から取り外すか、または分離してもよい。
取外し後のニット構成要素3140は、参照図3103〜3108に大略的に図示されているように、シームレスブーティまたは布地アッパーを形成するように操作および/または伸張させてもよい。
取外し後のニット構成要素340は、必要に応じて、図26〜図30と同様の方法で反転させるか、または押し込んでもよい。
ニット布地要素3100およびニット構成要素3140の寸法は、図21におけるニット構成要素2100および図2400におけるニット構成要素2400に関して全般的に上述したように、ニット構成要素3140から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーに、所望のサイジングおよび/またはカスタムフィットおよびパフォーマンス特性をもたらすように選択してもよい。たとえば、寸法3131〜3137は、所望のサイジングおよび/またはカスタムフィットをもたらすように選択してもよい。当業者は、ニット構成要素3140から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーの所望のサイジングおよび/またはカスタムフィットをもたらすのに適した、ニット構成要素3140のための寸法を容易に選択することができるであろう。
参照図3103〜3105は、一番目または外側のニット構成要素3160と、二番目または内側のニット構成要素3162とを含むニット構成要素3140から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーを、内側輪郭図、底部輪郭図および外側輪郭図で示している。
参照図3106は、ニット構成要素3140から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーを正面輪郭図で示している。参照図3107は、参照図3106の区画線3107−3107に沿ったシームレスブーティまたは布地アッパーの断面図であり、参照図3108は、参照図3106の区画線3108−3108に沿ったシームレスブーティまたは布地アッパーの断面図である。
参照図3107に図示されているように、いくつかの実施形態では、ニット構成要素3140から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーは、足先部2558に、連続ニット層を含んでいてもよい。すなわち、一番目(外側)のニット構成要素3160は、第1のニット層3152と、第2のニット層3154と、中間層ニットステッチライン3150とによって形成された連続ニット層を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、ニット構成要素3140は、クロージャ部材3172と、二番目の(内側の)ニット構成要素3162のひも穴3173と、一番目の(外側の)ニット構成要素3160のひも穴3174と、締めひも3176とを含むクロージャシステム3170を含んでもよい。いくつかの実施形態では、参照図3108に図示されているように、二番目の(内側の)ニット構成要素3162のひも穴3173、および一番目の(外側の)ニット構成要素3160のひも穴3174は、共通の締めひも3176と位置合わせするか、または、その締めひもと整合させて構成してもよい。いくつかの実施形態では、二番目の(内側の)ニット構成要素3162の相対的サイジングと、一番目の(外側の)ニット構成要素3160のサイジングと、一番目の(外側の)ニット構成要素3160のソール構造(たとえば、図1のソール構造を参照)への任意の取付けとを制御することにより、二番目の(内側の)ニット構成要素3162は、共通の締めひも3176を用いて、ユーザの足のためのダイナミックフィットを実現することができる。
〈ダイナミックフィット甲回り形状構成〉
図32は、ニット布地要素3200のニット構成要素3240の別の実施形態の形状構成を、そのニット構成要素から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーに模式的に対応付けている。いくつかの実施形態では、ニット布地要素3200のニット構成要素3240は、連続クロージャ構造を用いたニットダイナミックフィットミッドソール構成要素を含んでもよい。
図32において、符号3201は、ニット布地要素3200の図を識別し(以後、参照図3201と呼ぶ)、および対応する図面にわたって、ニット布地要素3200のニット構成要素3240のさまざまな形状構成および特徴を、符号3202,3203,3204および3205(以後、参照図3202,3203,3204および3205と呼ぶ)で模式的に対応付けている一連の区画線3211〜3219を含んでいる。参照図3202は、区画線3211〜3219に沿ったニット布地要素3200のニット構成要素3240に関連する一連の断面図3221〜3229を示す。参照図3203は、取外しおよび押し込み後のニット構成要素3240の内側側面図を示し、参照図3204は、取外しおよび押し込み後のニット構成要素3240の底部平面図を示し、参照図205は、取外しおよび押し込み後のニット構成要素3240の外側側面図を示す。符号3206は、ニット構成要素3240の正面等角図を示し(以後、参照図3206という)、符号3207は、参照図3206の区画線3207−3207に沿った足先部3258の断面図を示す図であり(以後、参照図3207という)、符号3208は、参照図3206の区画線3208−3208に沿ったニット構成要素3240の足先部3258の断面図を示す図である(以後、参照図3208という)。
図25のニット布地要素2500と同様に、ニット布地要素3200は、第1のニット層3252と、第1のニット層2252に重なっている第2のニット層3254とを含み、ニット布地要素3200は、一体ワープニット構造から成る。参照図3201を参照すると、いくつかの実施形態では、第1のニット層3252は、製造または編みプロセスの方向に延びている共通開口部3253の共通縁部3256に沿って、第2のニット層3254と連続していてもよい。いくつかの実施形態では、第1のニット層3252は、製造または編みプロセスの方向に延びている共通開口部3282の共通縁部3280に沿って、第2のニット層3254と連続していてもよい。いくつかの実施形態では、ニット布地要素3200が、図2および図21におけるニット布地要素200および2100と同様の大略的に筒状の構造を有してもよく、また、いくつかの実施形態では、ニット布地要素3200が、図23および図24におけるニット布地要素2300および2400と同様の大略的に平らな2層構造を有してもよいことは正しく認識されるであろう。簡略にするため、ニット布地要素3200は、大略的に平らな2層構造に関して説明する。当業者は、(たとえば、図2および図21に示すような)大略的に筒状の構造と、(たとえば、図23および図24に示すような)大略的に平らな2層構造との間でのさまざまな形状構成および部分の類似性および互換性を容易に正しく認識するであろう。
区画線3211は、中間層ニットステッチライン3250によって画定されたニット構成要素3240の周囲境界の外側で、ニット構成要素3240の上のニット布地要素3200を通っている。したがって、参照図3201〜参照図3202におけるマッピング区画線3211は、ニット構成要素3240に関連する形状構成を有していない平らな2層構造3221の形態のニット構成要素3200の断面を示す。同様に、参照図3203,3204および3205は、区画線3211に沿ったニット構成要素3240に関連する形状構成を示していない。
区画線3212は、ニット構成要素3240の後方かかと部を通っている。参照図3201〜参照図3202におけるマッピング区画線3212は、共通縁部3280と、中間層ニットステッチライン3250が、ニット布地要素3200の共通縁部3280に関連する中心ライン3251からの距離3231において、第1のニット層3252と第2のニット層3254とを相互に接続しているノードとを有する、大略的に平らな2層構造3222の形態のニット布地要素3200の断面を示す。いくつかの実施形態では、共通縁部3280は、ニット布地要素3200のニット構成要素3240に対して足首開口部を分離および形成するのに適した第1のニット層3252および第2のニット層3254に共通する連続ニット層を備えていてもよいため、ニット構成要素3240の共通縁部3280が、図2の共通縁部210、図21の共通縁部2156、図24の共通縁部2456および図25の共通縁部2556と同様に機能してもよいことは正しく認識されるであろう。
区画線3213は、ニット構成要素3240のかかと部を通っている。参照図3201〜参照図3202におけるマッピング区画線3213は、共通縁部3280と、中間層ニットステッチライン3250が、ニット布地要素3200の共通縁部3280に関連する中心ライン3251からの距離3232において、第1のニット層3252と第2のニット層3254とを相互に接続しているノードとを有する、大略的に平らな2層構造3223の形態のニット布地要素3200の断面を示す。
区画線3214は、ニット構成要素3240の足首開口部に近接するクロージャ構造3270の部分を通っている。参照図3201〜参照図3202におけるマッピング区画線3214は、中間層ニットステッチライン3250が、中心ライン3251からの距離3233において、第1のニット層3252と第2のニット層3254とを相互に接続している、対向する1つのペアのノードを有する、大略的に平らな2層構造3224の形態のニット布地要素3200の断面を示す。
区画線3115は、ニット構成要素3240の足先部3258に近接するクロージャ構造3270の部分を通っている。参照図3201〜参照図3202におけるマッピング区画線3215は、中間層ニットステッチライン3250が、中心ライン3251からの距離3234において、第1のニット層3252と第2のニット層3254とを相互に接続している、対向する1つのペアのノードを有する、大略的に平らな2層構造3225の形態のニット布地要素3200の断面を示す。
区画線3216は、ニット構成要素3240の足先部3258を通っている。参照図3201〜参照図3202におけるマッピング区画線3216は、共通縁部3256と、中間層ニットステッチライン3250が、中心ライン3251からの距離3235において、第1のニット層3252と第2のニット層3254とを相互に接続しているノードとを有する、大略的に平らな2層構造3226の形態のニット布地要素3200の断面を示す。
区画線3217は、ニット構成要素3240の足先部3258を通っている。参照図3201〜参照図3202におけるマッピング区画線3217は、中間層ニットステッチライン3250が、中心ライン3251からの距離3236において、第1のニット層3252と第2のニット層3254とを相互に接続している第1のノードと、中間層ニットライン3250が、第1のノードからの距離3237において、第1のニット層3252と第2のニット層3254とを相互に接続しているノードとを有する、大略的に平らな2層構造3227の形態のニット布地要素3200の断面を示す。
区画線3218は、ニット構成要素3240の足先部3258に接触して接線方向に延びている。参照図3201〜参照図3202におけるマッピング区画線3218は、中間層ニットステッチライン3250が、(参照図3202の2層構造3228におけるピンチとして図示されている)中心ライン3251からの距離3238において、第1のニット層3252と第2のニット層3254とを相互に接続している単一ノードを有する、大略的に平らな2層構造3228の形態のニット布地要素3200の断面を示す。
区画線3219は、中間層ニットステッチライン3250によって画定されたニット構成要素3240の周囲境界の外側で、ニット構成要素3240の下のニット布地要素3200を通っている。したがって、参照図3201〜参照図3202におけるマッピング区画線3219は、ニット構成要素3240に関連する形状構成を有していない平らな2層構造3229の形態のニット構成要素3200の断面を示す。同様に、参照図3203,3204および3205は、区画線3219に沿ったニット構成要素3240に関連する形状構成を示していない。
ニット構成要素3240は、何らかの公知のまたは後に開発された取外しまたは分離プロセスによって、ニット布地要素3200から取り外してもよい。いくつかの実施形態では、ニット構成要素3240は、分離プロセス、たとえば、図2〜図8に関して上述したように、裁断プロセスを用いて、ニット構成要素3240の中間層ニットステッチライン3250に沿ってニット布地要素3200を分離することにより、布地要素3200から取り外すか、または分離してもよい。さらに、ニット構成要素3240は、何らかの公知のまたは後に開発された分離プロセスによって、共通開口部3282の共通縁部3280に沿って分離して、足首開口部を形成してもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、共通縁部3280は、1つ以上の編み込み指示部を備えていてもよく、また、ニット構成要素3240は、その編み込み指示部に沿って分離して、足首開口部を形成してもよい。
取外し後のニット構成要素3240は、参照図3203〜3208に大略的に図示されているように、シームレスブーティまたは布地アッパーを形成するように操作および/または伸張させてもよい。
取外し後のニット構成要素3240は、必要に応じて、図26〜図30と同様の方法で反転させるか、または押し込んでもよい。
ニット布地要素3200およびニット構成要素3240の寸法は、図21におけるニット構成要素2100および図2400におけるニット構成要素2400に関して全般的に上述したように、ニット構成要素3240から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーに、所望のサイジングおよび/またはカスタムフィットおよびパフォーマンス特性をもたらすように選択してもよい。たとえば、寸法3231〜3238は、所望のサイジングおよび/またはカスタムフィットをもたらすように選択してもよい。当業者は、ニット構成要素3240から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーの所望のサイジングおよび/またはカスタムフィットをもたらすのに適した、ニット構成要素3240のための寸法を容易に選択することができるであろう。
参照図3203〜3205は、一番目または外側のニット構成要素3260と、二番目または内側のニット構成要素3262とを含むニット構成要素3240から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーを、内側輪郭図、底部輪郭図および外側輪郭図で示している。
参照図3206は、取外しおよび押し込み後の、ニット構成要素3240から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーを正面輪郭図で示している。参照図3207は、参照図3206の区画線3207−3207に沿ったシームレスブーティまたは布地アッパーの断面図であり、参照図3208は、参照図3206の区画線3208−3208に沿ったシームレスブーティまたは布地アッパーの断面図である。
参照図3207に図示されているように、いくつかの実施形態では、ニット構成要素3240から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーは、足先部3258に、連続ニット層を含んでいてもよい。すなわち、一番目(外側)のニット構成要素3260は、第1のニット層3252と、第2のニット層3254と、中間層ニットステッチライン3250とによって形成された連続ニット層を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、ニット構成要素3240は、クロージャ部材3272と、二番目の(内側の)ニット構成要素3262のひも穴3273と、一番目の(外側の)ニット構成要素3260のひも穴3274と、締めひも3276とを含むクロージャシステム3270を含んでもよい。いくつかの実施形態では、参照図3208に図示されているように、二番目の(内側の)ニット構成要素3262のひも穴3273、および一番目の(外側の)ニット構成要素3260のひも穴3274は、共通の締めひも3276と位置合わせするか、または、その締めひもと整合させて構成してもよい。いくつかの実施形態では、二番目の(内側の)ニット構成要素3262の相対的サイジングと、一番目の(外側の)ニット構成要素3260のサイジングと、一番目の(外側の)ニット構成要素3260のソール構造(たとえば、図1のソール構造を参照)への任意の取付けとを制御することにより、二番目の(内側の)ニット構成要素3262は、共通の締めひも3276を用いて、ユーザの足のためのダイナミックフィットを実現することができる。
図33は、ニット構成要素を組み込んだ履物製品のためのクロージャ、テンショニングおよび/またはダイナミックフィット構造の追加的な実施形態を示す模式断面図である。いくつかの実施形態では、図33に図示されている構造は、図25、図31および図32に図示されているニット構成要素の実施形態に対応していてもよい。いくつかの実施形態では、図33に図示されている構造は、シームレスブーティまたは布地アッパーの他の実施形態に対応していてもよい。
いくつかの実施形態では、図33の左側または内側側部3310に図示されているように、ニット構成要素3340は、シームレスブーティまたは布地アッパーの連続した二重壁構造を形成するように、共通縁部3322において、それ自体の上に折り返されている(たとえば、押し込まれている)単一のニット層3320を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、単一のニット層3322は、縁部3322に近接して形成された第1のひも穴(ホール)3324と、縁部3322からの距離3328に形成された第2のひも穴(ホール)3326とを備えてもよい。いくつかの実施形態では、第2のひも穴3326は、図33に図示されているように、露出した外側の層3330に形成してもよい。いくつかの実施形態では、第2のひも穴3326は、内側の層3332に形成してもよい。距離3328は、クロージャの全体構造、テンショニング、または、履物製品のダイナミックフィット構造を含むさまざまな要因に基づいて変えてもよい。当業者は、所望のクロージャ、テンショニング、または、シームレスブーティまたは布地アッパーのダイナミックフィット構造またはシステムに適した第1のひも穴3324および第2のひも穴3326の構成を容易に選択することができるであろう。
いくつかの実施形態では、図33の右側または外側側部3312に図示されているように、ニット構成要素3340は、露出した第1のニット層3330と、内部の第2のニット層3332とを有していてもよい。いくつかの実施形態では、第1のニット層3330および第2のニット層3332は、シームレスブーティまたは布地アッパーの二重壁構造を形成するように、互いに実質的に平行に配置してもよい。いくつかの実施形態では、第1のニット層3330および第2のニット層3332の一方は、第1の層および第2の層の他方のクロージャ部材(たとえば、タブ、フィンガ、リボンまたは他のクロージャ構造)を、そこを通して送り込むことができる開口部(たとえば、ホールまたはスロット)を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、クロージャ部材は、クロージャまたはテンショニングシステムの締めひもまたは他のテンショニング構造(たとえば、ケーブル類)を収容するためのひも穴(ホール)を備えていてもよい。たとえば、図33に図示されているように、いくつかの実施形態では、露出した第1のニット層3330は、内部の第2のニット層3332のタブまたはフィンガ構成要素3336を収容するためのスロット3334を備えていてもよく、また、内部の第2のニット層はさらに、締めひも3346を収容するためのひも穴(ホール)3338を備えていてもよい。この場合、締めひも3346は、シームレスブーティまたは布地アッパーのニット構成要素3340の露出した外側面に設けてもよい。
しかし、いくつかの実施形態では、内部のニット層は、露出した外側のニット層のクロージャ部材(たとえば、タブまたはフィンガ構成要素)を収容するための開口部(たとえば、スロットまたはホール)を備えていてもよく、また、露出した外側のニット層のクロージャ部材は、二重壁シームレスブーティまたは布地アッパーの内側面に設けられた締めひもまたは他のテンショニング構造を収容するためのひも穴を備えていてもよい。当業者は、所望の用途に適したクロージャ、テンショニングおよび/またはダイナミックフィット構造および構成を容易に選択することができるであろう。
また、図33(すなわち、外側側部3312)に図示されているように、いくつかの実施形態では、第1のニット層3330と第2のニット層3332との間に形成されたポケット内に、インサート部材3360を配置してもよい。たとえば、インサート部材3360は、ニット構成要素の中足領域に配置されたアーチサポートであってもよい。
〈ガセットベロ形状構成〉
図34は、ニット布地要素3400のニット構成要素3440の別の実施形態の形状構成を、押し込み部を含むニット構成要素から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーに模式的に対応付けている。いくつかの実施形態では、ニット布地要素3400のニット構成要素3440は、連続クロージャ構造を用いたニットガセットベロ構成要素を含んでもよい。
図34において、符号3401は、ニット布地要素3400の図を識別し(以後、参照図3401と呼ぶ)、および対応する図面にわたって、ニット布地要素3400のニット構成要素3440のさまざまな形状構成および特徴を、符号3402,3403,3404および3405(以後、参照図3402,3403,3404および3405と呼ぶ)で模式的に対応付けている一連の区画線3411〜3419を含んでいる。参照図3402は、区画線3411〜3419に沿ったニット布地要素3400のニット構成要素3440に関連する一連の断面図3421〜3429を示す。参照図3403は、取外しおよび押し込み後のニット構成要素3440の内側側面図を示し、参照図3404は、取外しおよび押し込み後のニット構成要素3440の底部平面図を示し、参照図3405は、取外しおよび押し込み後のニット構成要素3440の外側側面図を示す。符号3406は、取外しおよび押し込み後のニット構成要素3440の正面等角図を示す図(以後、参照図3406という)であり、符号3407は、参照図3406の区画線3407−3407に沿った足先部3458の断面図を示す図であり(以後、参照図3407という)、符号3408は、参照図3406の区画線3408−3408に沿ったニット構成要素3440の足先部3458の断面図を示す図である(以後、参照図3408という)。
図25のニット布地要素2500と同様に、ニット布地要素3400は、第1のニット層3452と、第1のニット層3452に重なっている第2のニット層3454とを含み、ニット布地要素3400は、一体ワープニット構造から成る。参照図3401を参照すると、いくつかの実施形態では、第1のニット層3452は、製造または編みプロセスの方向に延びている共通開口部3453の共通縁部3456に沿って、第2のニット層3454と連続していてもよい。いくつかの実施形態では、第1のニット層3452は、製造または編みプロセスの方向に延びている共通開口部3482の共通縁部3480に沿って、第2のニット層3454と連続していてもよい。いくつかの実施形態では、ニット布地要素3400が、図2および図21におけるニット布地要素200および2100と同様の大略的に筒状の構造を有してもよく、また、いくつかの実施形態では、ニット布地要素3400が、図23および図24におけるニット布地要素2300および2400と同様の大略的に平らな2層構造を有してもよいことは正しく認識されるであろう。
簡略にするため、ニット布地要素3400は、大略的に平らな2層構造に関して説明する。当業者は、(たとえば、図2および図21に示すような)大略的に筒状の構造と、(たとえば、図23および図24に示すような)大略的に平らな2層構造との間でのさまざまな形状構成および部分の類似性および互換性を容易に正しく認識するであろう。
区画線3411は、中間層ニットステッチライン3450によって画定されたニット構成要素3440の周囲境界の外側で、ニット構成要素3440の上のニット布地要素3400を通っている。したがって、参照図3401〜参照図3402におけるマッピング区画線3411は、ニット構成要素3440に関連する形状構成を有していない平らな2層構造3421の形態のニット構成要素3400の断面を示す。同様に、参照図3403,3404および3405は、区画線3411に沿ったニット構成要素3440に関連する形状構成を示していない。
区画線3412は、ニット構成要素3440の後方かかと部を通っている。参照図3401〜参照図3402におけるマッピング区画線3412は、共通縁部3480と、中間層ニットステッチライン3450が、ニット布地要素3400の共通縁部3480に関連する中心ライン3451からの距離3431において、第1のニット層3452と第2のニット層3454とを相互に接続しているノードとを有する、大略的に平らな2層構造3422の形態のニット布地要素3400の断面を示す。いくつかの実施形態では、共通縁部3480は、ニット布地要素3400のニット構成要素3440に対して足首開口部を分離および形成するのに適した第1のニット層3452および第2のニット層3454に共通する連続ニット層を備えていてもよいため、ニット構成要素3440の共通縁部3480が、図2の共通縁部210、図21の共通縁部2156、図24の共通縁部2456および図25の共通縁部2556と同様に機能してもよいことは正しく認識されるであろう。
区画線3413は、ニット構成要素3440のかかと部を通っている。参照図3401〜参照図3402におけるマッピング区画線3413は、共通縁部3480と、中間層ニットステッチライン3450が、ニット布地要素3400の共通縁部3480に関連する中心ライン3451からの距離3432において、第1のニット層3452と第2のニット層3454とを相互に接続しているノードとを有する、大略的に平らな2層構造3423の形態のニット布地要素3400の断面を示す。
区画線3414は、ニット構成要素3440の足首開口部に近接するクロージャ構造3470の部分を通っている。参照図3401〜参照図3402におけるマッピング区画線3414は、中間層ニットステッチライン3450が、シームレスブーティまたは布地アッパー3460の本体に対応する、中心ライン3451の一方の側の距離3433において、およびシームレスブーティまたは布地アッパー3460のガセットベロ部分3462に対応する、中心ライン3451の他方の側の距離3434において、第1のニット層3452と第2のニット層3454とを相互に接続している、非対称的に配置された対向する1つのペアのノードを有する、大略的に平らな2層構造3424の形態のニット布地要素3400の断面を示す。
区画線3415は、ニット構成要素3440の足先部3458に近接するクロージャ構造3470の部分を通っている。参照図3401〜参照図3402におけるマッピング区画線3415は、中間層ニットステッチライン3450が、シームレスブーティまたは布地アッパー3460の本体に対応する、中心ライン3451の一方の側の距離3435において、およびシームレスブーティまたは布地アッパー3460のガセットベロ部分3462に対応する、中心ライン3451の他方の側の距離3436において、第1のニット層3452と第2のニット層3454とを相互に接続している、非対称的に配置された対向する1つのペアのノードを有する、大略的に平らな2層構造3425の形態のニット布地要素3400の断面を示す。
区画線3416は、ニット構成要素3440の足先部3458を通っている。参照図3401〜参照図3402におけるマッピング区画線3416は、共通縁部3456と、中間層ニットステッチライン3450が、中心ライン3451からの距離3437において、第1のニット層3452と第2のニット層3454とを相互に接続しているノードとを有する、大略的に平らな2層構造3426の形態のニット布地要素3400の断面を示す。
区画線3417は、ニット構成要素3440の足先部3458を通っている。参照図3401〜参照図3402におけるマッピング区画線3417は、中間層ニットステッチライン3450が、中心ライン3451からの距離3438において、第1のニット層3452と第2のニット層3454とを相互に接続している第1のノードと、中間層ニットライン3450が、第1のノードからの距離3439において、第1のニット層3452と第2のニット層3454とを相互に接続している第2のノードとを有する、大略的に平らな2層構造3427の形態のニット布地要素3400の断面を示す。
区画線3418は、ニット構成要素3440の足先部3458に接触して接線方向に延びている。参照図3401〜参照図3402におけるマッピング区画線3418は、中間層ニットステッチライン3450が、(参照図3402の2層構造3428におけるピンチとして図示されている)中心ライン3451からの距離3441において、第1のニット層3452と第2のニット層3454とを相互に接続している単一ノードを有する、大略的に平らな2層構造3428の形態のニット布地要素3400の断面を示す。
区画線3419は、中間層ニットステッチライン3450によって画定されたニット構成要素3440の周囲境界の外側で、ニット構成要素3440の下のニット布地要素3400を通っている。したがって、参照図3401〜参照図3402におけるマッピング区画線3419は、ニット構成要素3440に関連する形状構成を有していない平らな2層構造3429の形態のニット構成要素3400の断面を示す。同様に、参照図3403,3404および3405は、区画線3419に沿ったニット構成要素3440に関連する形状構成を示していない。
ニット構成要素3440は、何らかの公知のまたは後に開発された取外しまたは分離プロセスによって、ニット布地要素3400から取り外してもよい。いくつかの実施形態では、ニット構成要素3440は、分離プロセス、たとえば、図2〜図8に関して上述したように、裁断プロセスを用いて、ニット構成要素3440の中間層ニットステッチライン3450に沿ってニット布地要素3400を分離することにより、布地要素3400から取り外すか、または分離してもよい。さらに、ニット構成要素3440は、何らかの公知のまたは後に開発された分離プロセスによって、共通開口部3482の共通縁部3480に沿って分離して、足首開口部を形成してもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、共通縁部3480は、1つ以上の編み込み指示部を備えていてもよく、また、ニット構成要素3440は、その編み込み指示部に沿って分離して、足首開口部を形成してもよい。
取外し後のニット構成要素3440は、参照図3203〜3208に大略的に図示されているように、シームレスブーティまたは布地アッパーを形成するように操作および/または伸張させてもよい。
取外し後のニット構成要素3240は、図26〜図30と同様の方法で反転させるか、または押し込んでもよい。
ニット布地要素3400およびニット構成要素3440の寸法は、図21におけるニット構成要素2100および図2400におけるニット構成要素2400に関して全般的に上述したように、ニット構成要素3440から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーに、所望のサイジングおよび/またはカスタムフィットおよびパフォーマンス特性をもたらすように選択してもよい。たとえば、寸法3431〜3139は、所望のサイジングおよび/またはカスタムフィットをもたらすように選択してもよい。当業者は、ニット構成要素3440から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーの所望のサイジングおよび/またはカスタムフィットをもたらすのに適した、ニット構成要素3440のための寸法を容易に選択することができるであろう。
参照図3403〜3405は、ニットブーティ構成要素3460およびニットガセットベロ構成要素3462を含む、取外しおよび押し込み後のニット構成要素3440から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーを、内側輪郭図、底部輪郭図および外側輪郭図で示している。
参照図3406は、取外しおよび押し込み後の、ニット構成要素3440から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーを正面輪郭図で示している。参照図3407は、参照図3406の区画線3407−3407に沿ったシームレスブーティまたは布地アッパーの断面図であり、参照図3408は、参照図3406の区画線3408−3408に沿ったシームレスブーティまたは布地アッパーの断面図である。
参照図3407に図示されているように、いくつかの実施形態では、ニット構成要素3440から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーは、足先部3458に、連続ニット層を含んでいてもよい。すなわち、ニットブーティ構成要素3260は、第1のニット層3452と、第2のニット層3454と、中間層ニットステッチライン3450とによって形成された連続ニット層を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、ニット構成要素3440は、クロージャ部材3472と、ニットガセットベロ構成要素3262のひも穴3473と、ニットブーティ構成要素3460のひも穴3274と、締めひも3476とを含むクロージャシステム3470を含んでもよい。いくつかの実施形態では、参照図3408に図示されているように、ニットガセットベロ構成要素3462のひも穴3473と、ニット構成要素3460のひも穴3474とを、共通の締めひも3476と位置合わせしてもよい。
〈タブ形状構成を備えたガセットベロ〉
図35は、ニット布地要素3500のニット構成要素3540の別の実施形態の形状構成を、押し込み部を含むニット構成要素から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーに模式的に対応付けている。いくつかの実施形態では、ニット布地要素3500のニット構成要素3540は、連続クロージャ構造を用いた、タブを備えたニットガセットベロ構成要素を含んでもよい。
図35において、符号3501は、ニット布地要素3500の図を識別し(以後、参照図3501と呼ぶ)、および対応する図面にわたって、ニット布地要素3500のニット構成要素3540のさまざまな形状構成および特徴を、符号3502,3503,3504および3505(以後、参照図3502,3503,3504および3505と呼ぶ)で模式的に対応付けている一連の区画線3511〜3519を含んでいる。参照図3502は、区画線3511〜3519に沿ったニット布地要素3500のニット構成要素3540に関連する一連の断面図3521〜3529を示す。参照図3503は、取外しおよび押し込み後のニット構成要素3540の内側側面図を示し、参照図3504は、取外しおよび押し込み後のニット構成要素3540の底部平面図を示し、参照図3505は、取外しおよび押し込み後のニット構成要素3540の外側側面図を示す。符号3506は、ニット構成要素3540の正面等角図を示す図(以後、参照図3506という)であり、符号3507は、参照図3506の区画線3507−3507に沿った足先部3558の断面図を示す図であり(以後、参照図3507という)、符号3508は、参照図3506の区画線3508−3508に沿ったニット構成要素3540の足先部3558の断面図を示す図である(以後、参照図3508という)。
図25のニット布地要素2500と同様に、ニット布地要素3500は、第1のニット層3552と、第1のニット層3552に重なっている第2のニット層3554とを含み、ニット布地要素3500は、一体ワープニット構造から成る。参照図3501を参照すると、いくつかの実施形態では、第1のニット層3552は、製造または編みプロセスの方向に延びている共通開口部3553の共通縁部3556に沿って、第2のニット層3554と連続していてもよい。いくつかの実施形態では、第1のニット層3552は、製造または編みプロセスの方向に延びている共通開口部3582の共通縁部3580に沿って、第2のニット層3554と連続していてもよい。いくつかの実施形態では、ニット布地要素3500が、図2および図21におけるニット布地要素200および2100と同様の大略的に筒状の構造を有してもよく、また、いくつかの実施形態では、ニット布地要素3500が、図23および図24におけるニット布地要素2300および2400と同様の大略的に平らな2層構造を有してもよいことは正しく認識されるであろう。簡略にするため、ニット布地要素3500は、大略的に平らな2層構造に関して説明する。当業者は、(たとえば、図2および図21に示すような)大略的に筒状の構造と、(たとえば、図23および図24に示すような)大略的に平らな2層構造との間でのさまざまな形状構成および部分の類似性および互換性を容易に正しく認識するであろう。
区画線3511は、中間層ニットステッチライン3550によって画定されたニット構成要素3540の周囲境界の外側で、ニット構成要素3540の上のニット布地要素3500を通っている。したがって、参照図3501〜参照図3502におけるマッピング区画線3511は、ニット構成要素3540に関連する形状構成を有していない平らな2層構造3521の形態のニット構成要素3500の断面を示す。同様に、参照図3503,3504および3505は、区画線3511に沿ったニット構成要素3540に関連する形状構成を示していない。
区画線3512は、ニット構成要素3540の後方かかと部を通っている。参照図3501〜参照図3502におけるマッピング区画線3512は、共通縁部3580と、中間層ニットステッチライン3550が、ニット布地要素3500の共通縁部3580に関連する中心ライン3551からの距離3531において、第1のニット層3552と第2のニット層3554とを相互に接続しているノードとを有する、大略的に平らな2層構造3522の形態のニット布地要素3500の断面を示す。いくつかの実施形態では、共通縁部3580は、ニット布地要素3500のニット構成要素3540に対して足首開口部を分離および形成するのに適した第1のニット層3552および第2のニット層3554に共通する連続ニット層を備えていてもよいため、ニット構成要素3540の共通縁部3580が、図2の共通縁部210、図21の共通縁部2156、図24の共通縁部2456および図25の共通縁部2556と同様に機能してもよいことは正しく認識されるであろう。
区画線3513は、ニット構成要素3540のかかと部を通っている。参照図3501〜参照図3502におけるマッピング区画線3513は、共通縁部3580と、中間層ニットステッチライン3550が、ニット布地要素3500の共通縁部3580に関連する中心ライン3551からの距離3532において、第1のニット層3552と第2のニット層3554とを相互に接続しているノードとを有する、大略的に平らな2層構造3523の形態のニット布地要素3500の断面を示す。
区画線3514は、ニット構成要素3540の足首開口部に近接するクロージャ構造3570の部分を通っている。参照図3501〜参照図3502におけるマッピング区画線3514は、中間層ニットステッチライン3550が、シームレスブーティまたは構成要素3560の本体に対応する、中心ライン3551の一方の側の距離3533において、およびニットブーティ構成要素3560のガセットベロ部分3562に対応する、中心ライン3551の他方の側の距離3534において、第1のニット層3552と第2のニット層3554とを相互に接続している、非対称的に配置された対向する1つのペアのノードを有する、大略的に平らな2層構造3524の形態のニット布地要素3500の断面を示す。
区画線3515は、ニット構成要素3540の足先部3558に近接するクロージャ構造3570の部分を通っている。参照図3501〜参照図3502におけるマッピング区画線3515は、中間層ニットステッチライン3550が、シームレスニットブーティ構成要素3560の本体に対応する、中心ライン3551の一方の側の距離3535において、およびニットブーティ構成要素3560のガセットベロ部分3562に対応する、中心ライン3551の他方の側の距離3536において、第1のニット層3552と第2のニット層3554とを相互に接続している、非対称的に配置された対向する1つのペアのノードを有する、大略的に平らな2層構造3525の形態のニット布地要素3500の断面を示す。
区画線3516は、ニット構成要素3540の足先部3558を通っている。参照図3501〜参照図3502におけるマッピング区画線3516は、共通縁部3556と、中間層ニットステッチライン3550が、ニットブーティ構成要素3560の本体に対応する、中心ライン3551の一方の側の距離3538において、第1のニット層3552と第2のニット層3554とを相互に接続しているノードとを有する、大略的に平らな2層構造3526の形態のニット布地要素3500の断面を示す。2層構造3526はさらに、共通縁部3556と、中間層ニットステッチライン3550が、ガセットベロ3562上のタブに対応する、中心ライン3551の他方の側の距離3537において、第1のニット層3552と第2のニット層3554とを相互に接続しているノードとを含んでいる。
区画線3517は、ニット構成要素3540の足先部3558を通っている。参照図3501〜参照図3502におけるマッピング区画線3517は、共通縁部3556と、中間層ニットステッチライン3550が、中心ライン3551からの距離3539において、第1のニット層3552と第2のニット層3554とを相互に接続しているノードとを有する、大略的に平らな2層構造3527の形態のニット布地要素3500の断面を示す。
区画線3518は、ニット構成要素3540の足先部3558を通っている。参照図3501〜参照図3502におけるマッピング区画線3518は、中間層ニットステッチライン3550が、中心ライン3551からの距離3538において、第1のニット層3552と第2のニット層3554とを相互に接続しているノードと、中間層ニットステッチライン3550が、中心ライン3451からの距離3539において、第1のニット層3552と第2のニット層3554とを相互に接続している第2のノードとを有する、大略的に平らな2層構造3528の形態のニット布地要素3500の断面を示す。
区画線3519は、ニット構成要素3540の足先部3558に接触して接線方向に延びている。参照図3501〜参照図3502におけるマッピング区画線3519は、中間層ニットステッチライン3550が、(参照図3402の2層構造3529におけるピンチとして図示されている)中心ライン3451からの距離3541において、第1のニット層3552と第2のニット層3554とを相互に接続している単一ノードを有する、大略的に平らな2層構造3529の形態のニット布地要素3500の断面を示す。
ニット構成要素3540は、何らかの公知のまたは後に開発された取外しまたは分離プロセスによって、ニット布地要素3500から取り外してもよい。いくつかの実施形態では、ニット構成要素3540は、分離プロセス、たとえば、図2〜図8に関して上述したように、裁断プロセスを用いて、ニット構成要素3540の中間層ニットステッチライン3550に沿ってニット布地要素3500を分離することにより、布地要素3500から取り外すか、または分離してもよい。さらに、ニット構成要素3540は、何らかの公知のまたは後に開発された分離プロセスによって、共通開口部3582の共通縁部3580に沿って分離して、足首開口部を形成してもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、共通縁部3580は、1つ以上の編み込み指示部を備えていてもよく、また、ニット構成要素3540は、その編み込み指示部に沿って分離して、足首開口部を形成してもよい。
取外し後のニット構成要素3540は、参照図3503〜3508に大略的に図示されているように、シームレスブーティまたは布地アッパーを形成するように操作および/または伸張させてもよい。
取外し後のニット構成要素3540は、図26〜図30と同様の方法で反転させるか、または押し込んでもよい。
ニット布地要素3500およびニット構成要素3540の寸法は、図21におけるニット構成要素2100および図2400におけるニット構成要素2400に関して全般的に上述したように、ニット構成要素3540から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーに、所望のサイジングおよび/またはカスタムフィットおよびパフォーマンス特性をもたらすように選択してもよい。たとえば、寸法3531〜3539および3541は、所望のサイジングおよび/またはカスタムフィットをもたらすように選択してもよい。当業者は、ニット構成要素3540から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーの所望のサイジングおよび/またはカスタムフィットをもたらすのに適した、ニット構成要素3440のための寸法を容易に選択することができるであろう。
参照図3503〜3505は、ニットブーティ構成要素3560およびニットガセットベロ構成要素3562を含む、取外しおよび押し込み後のニット構成要素3540から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーを、内側輪郭図、底部輪郭図および外側輪郭図で示している。
参照図3506は、取外しおよび押し込み後の、ニット構成要素3540から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーを正面輪郭図で示している。参照図3507は、参照図3506の区画線3507−3507に沿ったシームレスブーティまたは布地アッパーの断面図であり、参照図3508は、参照図3506の区画線3508−3508に沿ったシームレスブーティまたは布地アッパーの断面図である。
参照図3507に図示されているように、いくつかの実施形態では、ニット構成要素3540から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーは、足先部3558に、連続ニット層を含んでいてもよい。すなわち、ニットブーティ構成要素3560は、第1のニット層3552と、第2のニット層3554と、中間層ニットステッチライン3550とによって形成された連続ニット層を含んでもよい。
参照図3507に図示されているように、いくつかの実施形態では、ガセットベロ3562のタブ構成要素3583は、足先部3558において、シームレスブーティまたは布地アッパーの内部に押し込んでもよい。いくつかの実施形態では、タブ構成要素3583は、たとえば、接着、縫製または別の取付プロセスによって、足先部3558に取り付けてもよい。
いくつかの実施形態では、ニット構成要素3540は、押し込みベロ部分3562と、クロージャ部材3572と、ニットガセットベロ構成要素3562のひも穴3573と、ニットブーティ構成要素3560のひも穴3574と、締めひも3576とを含むクロージャシステム3570を含んでもよい。いくつかの実施形態では、参照図3508に図示されているように、ベロ構成要素3562は、折り畳むか、または押し込んでもよい。いくつかの実施形態では、参照図3508に図示されているように、ベロ構成要素3562は、ニットガセットベロ構成要素3562のひも穴3573と、ニット構成要素3560のひも穴3574とを、共通の締めひも3576と位置合わせすることができるか、またはその共通締めひもと整合させることができるように、押し込み、および折り畳んでもよい。このようにして、ベロ構成要素3562は、締めひも3562と、シームレスブーティまたは布地アッパー内に配置された足との間に設けてもよい。
〈ラップアラウンド部を備えたシームレスブーティの履物製品構成〉
このセクションは、履物製品用の布地アッパーに組み込むためのラップアラウンド部を有するニット構成要素を含むニット布地要素を編むための実施形態および方法について全般的に説明する。具体的には、このセクションは、シームレスブーティまたは布地アッパーを形成するように構成されている第1のニット構成要素部分と、シームレスブーティまたは布地アッパーの少なくとも一部(すなわち、第1のニット構成要素部分)に巻き付けられるように構成されている第2のニット構成要素部分とを含むニット布地要素を編むための実施形態および方法について説明する。そのラップアラウンド部(すなわち、第2のニット構成要素部分)は、第1のニット構成要素部分の中間層ニットステッチラインにおいて、第1のニット構成要素部分の第1のニット層および/または第2のニット層とシームレスで結合される。
いくつかの実施形態では、ラップアラウンド部は、履物製品のダイナミックフィット構造を形成してもよい。いくつかの実施形態では、ラップアラウンド部は、第1のニット層および/または第2のニット層によって形成された、インサート部材を収容するためのポケットを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ラップアラウンド部は、インサート部材を収容するためのポケットを形成するために、シームレスブーティまたは布地アッパーの第1のニット層および第2のニット層の一方(すなわち、第1のニット構成要素部分)と協働してもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、インサート部材は、製品の足先部におけるつま先カップ、製品のかかと部におけるかかとカップ、製品の甲回り部におけるアーチサポート、ベロのためのパッド層、および/または別のインサート部材を含んでもよい。
図36〜図49は、ラップアラウンドスプライン構造を含むシームレスブーティまたは布地アッパーの実施形態を示す。図36〜図49に図示されている実施形態は、各々が、ブーティのスプラインにおいて、すなわち、ニットブーティの本体を画定する中間層ニットステッチラインにおいて、そのブーティと連続しているラップアラウンド部を含む、一体ワープニット構造から成るシームレスブーティまたは布地アッパーを含むという点で同様である。いくつかの実施形態では、ラップアラウンド構造は、ダイナミックフィット構造を備えていてもよい。
図36は、ニット布地要素3600のニット構成要素3640の形状構成を、そのニット構成要素から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーに模式的に対応付けている。いくつかの実施形態では、ニット布地要素3600のニット構成要素3640は、ラップアラウンド構造を用いたニットダイナミックフィット構成要素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ニットダイナミックフィット構成要素は、中間層ニットステッチライン3650によって形成されたニット構成要素3640のスプラインと一体的に編んでもよい。
図36において、符号3601は、ニット布地要素3600の図を識別し(以後、参照図3601と呼ぶ)、および対応する図面にわたって、ニット布地要素3600のニット構成要素3640のさまざまな形状構成および特徴を、符号3602,3603,3604および3605(以後、参照図3602,3603,3604および3605と呼ぶ)で模式的に対応付けている一連の区画線3611〜3619を含んでいる。参照図3602は、取外し前の、区画線3611〜3619に沿ったニット布地要素3600のニット構成要素3640に関連する一連の断面図3621〜3629を示す。参照図3603は、部分的ラップアラウンドを備えた、取外し後のニット構成要素3640の内側側面図を示し、参照図3604は、部分的ラップアラウンドを備えた、取外し後のニット構成要素3640の底部平面図を示し、参照図3605は、部分的ラップアラウンドを備えた、取外し後のニット構成要素3640の外側側面図を示す。符号3606は、取外し後のニット構成要素3640の正面等角図を示し、およびラップアラウンドプロセスを示す図であり(以後、参照図3606という)であり、符号3607は、参照図3606の区画線3607−3607に沿った足先部3658の断面図を示す図であり(以後、参照図3607という)、符号3608は、参照図3606の区画線3608−3608に沿ったニット構成要素3640の足先部3658の断面図を示す図である(以後、参照図3608という)。
図24のニット布地要素2400と同様に、ニット布地要素3600は、第1のニット層3652と、第1のニット層3652に重なっている第2のニット層3654とを含み、ニット布地要素3600は、一体ワープニット構造から成る。参照図3601を参照すると、いくつかの実施形態では、第1のニット層3652は、製造または編みプロセスの方向に延びている共通縁部3656に沿って、第2のニット層3654と連続していてもよい。いくつかの実施形態では、ニット布地要素3600が、図2および図21におけるニット布地要素200および2100と同様の大略的に筒状の構造を有してもよく、また、いくつかの実施形態では、ニット布地要素3600が、図23および図24におけるニット布地要素2300および2400と同様の大略的に平らな2層構造を有してもよいことは正しく認識されるであろう。簡略にするため、ニット布地要素3600は、大略的に平らな2層構造に関して説明する。当業者は、(たとえば、図2および図21に示すような)大略的に筒状の構造と、(たとえば、図23および図24に示すような)大略的に平らな2層構造との間でのさまざまな形状構成および部分の類似性および互換性を容易に正しく認識するであろう。
区画線3611は、中間層ニットステッチライン3650によって画定されたニット構成要素3640の周囲境界の外側で、ニット構成要素3640の上のニット布地要素3600を通っている。したがって、参照図3601〜参照図3602におけるマッピング区画線3611は、ニット構成要素3640に関連する形状構成を有していない平らな2層構造3621の形態のニット構成要素3600の断面を示す。同様に、参照図3603,3604および3605は、区画線3611に沿ったニット構成要素3640に関連する形状構成を示していない。
区画線3612は、ニット構成要素3640の後方かかと部を通っている。参照図3601〜参照図3602におけるマッピング区画線3612は、中間層ニットステッチライン3650が、ニット布地要素3600の共通縁部3656からの距離3631において、第1のニット層3652と第2のニット層3654とを相互に接続しているノードを有する、大略的に平らな2層構造3622の形態のニット布地要素3600の断面を示す。いくつかの実施形態では、共通縁部3656は、ニット布地要素3600のニット構成要素3640に対して足首開口部を分離および形成するのに適した第1のニット層3652および第2のニット層3654に共通する連続ニット層を備えていてもよいため、ニット構成要素3640の共通縁部3656が、図2の共通縁部210、図21の共通縁部2156、および図24の共通縁部2456と同様に機能してもよいことは正しく認識されるであろう。
区画線3613は、ニット構成要素3640のかかと部を通っている。参照図3601〜参照図3602におけるマッピング区画線3613は、中間層ニットステッチライン3650が、ニット布地要素3600の共通縁部3656からの距離3632において、第1のニット層3652と第2のニット層3654とを相互に接続しているノードを有する、大略的に平らな2層構造3623の形態のニット布地要素3600の断面を示す。
区画線3614は、ニット構成要素3640の足首開口部に近接するクロージャ構造3670の部分を通っている。参照図3601〜参照図3602におけるマッピング区画線3614は、中間層ニットステッチライン3650が、シームレスブーティまたは構成要素3640の本体に対応する、共通縁部3656からの距離3633において、第1のニット層3652と第2のニット層3654とを相互に接続している第1のノードと、中間層ニットステッチライン3650が、第1のニット層3652のダイナミックフィット構成要素3660の遠位端に対応する、第1のノードからの距離3634において、第1のニット層3652と第2のニット層3654とを相互に接続している第2のノードと、シームレスブーティまたは布地アッパー3640の第2のニット層3654のダイナミックフィット構成要素3462とを有する、大略的に平らな2層構造3624の形態のニット布地要素3600の断面を示す。
区画線3615は、ニット構成要素3640の足先部3658に近接するクロージャ構造3670の部分を通っている。参照図3601〜参照図3602におけるマッピング区画線3615は、中間層ニットステッチライン3650が、シームレスブーティまたは布地アッパー3640に対応する、共通縁部3656からの距離3635において、第1のニット層3652と第2のニット層3654とを相互に接続している第1のノードと、中間層ニットステッチライン3650が、第1のニット層3652のダイナミックフィット構成要素3660の遠位端に対応する、第1のノードからの距離3636において、第1のニット層3652と第2のニット層3654とを相互に接続している第2のノードと、シームレスブーティまたは布地アッパー3640の第2のニット層3654のダイナミックフィット構成要素3662とを有する、大略的に平らな2層構造3625の形態のニット布地要素3600の断面を示す。
区画線3616は、ニット構成要素3640の足先部3658を通っている。参照図3601〜参照図3602におけるマッピング区画線3616は、中間層ニットステッチライン3650が、共通縁部3656からの距離3637において、第1のニット層3652と第2のニット層3654とを相互に接続しているノードを有する、大略的に平らな2層構造3626の形態のニット布地要素3600の断面を示す。
区画線3617は、ニット構成要素3640の足先部3658を通っている。参照図3601〜参照図3602におけるマッピング区画線3617は、中間層ニットステッチライン3650が、共通縁部3656からの距離3638において、第1のニット層3652と第2のニット層3654とを相互に接続している第1のノードと、中間層ニットライン3650が、第1のノードからの距離3639において、第1のニット層3652と第2のニット層3654とを相互に接続している第2のノードとを有する、大略的に平らな2層構造3627の形態のニット布地要素3600の断面を示す。
区画線3618は、ニット構成要素3640の足先部3658に接触して接線方向に延びている。参照図3601〜参照図3602におけるマッピング区画線3618は、中間層ニットステッチライン3650が、(参照図3602の2層構造3628におけるピンチとして図示されている)共通縁部3656からの距離3641において、第1のニット層3652と第2のニット層3654とを相互に接続している単一のノードを有する、大略的に平らな2層構造3628の形態のニット布地要素3600の断面を示す。
区画線3619は、中間層ニットステッチライン3650によって画定されたニット構成要素3640の周囲境界の外側で、ニット構成要素3640の下のニット布地要素3600を通っている。したがって、参照図3601〜参照図3602におけるマッピング区画線3619は、ニット構成要素3640に関連する形状構成を有していない平らな2層構造3629の形態のニット構成要素3600の断面を示す。同様に、参照図3603,3604および3605は、区画線3619に沿ったニット構成要素3640に関連する形状構成を示していない。
ダイナミックフィット構成要素3660および3662を含むニット構成要素3640は、何らかの公知のまたは後に開発された取外しまたは分離プロセスによって、ニット布地要素3600から取り外してもよい。いくつかの実施形態では、ニット構成要素3640は、分離プロセス、たとえば、図2〜図8に関して上述したように、裁断プロセスを用いて、ニット構成要素3640の中間層ニットステッチライン3650に沿ってニット布地要素3600を分離することにより、布地要素3600から取り外すか、または分離してもよい。この場合、ニット構成要素3640は、ダイナミックフィット構成要素3660および3662を含むニット構成要素3640の周辺の周りでニット布地要素3600を分離することによって取り外される。
さらに、ニット構成要素3640は、何らかの公知のまたは後に開発された分離プロセスによって、共通縁部3656に沿って分離して、足首開口部を形成してもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、共通縁部3656は、1つ以上の編み込み指示部を備えていてもよく、また、ニット構成要素3640は、その編み込み指示部に沿って分離して、足首開口部を形成してもよい。いくつかの実施形態では、ニット構成要素3640は、分離プロセス、たとえば、図2〜図8に関して上述したように、裁断プロセスを用いて、共通縁部3656に沿って分離してもよい。
ダイナミックフィット構成要素3660および3662は、ニット構成要素3640の内側側部に第1のダイナミックフィット構成要素3660を、およびニット構成要素3640の外側側部に第2のダイナミックフィット構成要素3662を形成するように、同様に、中間層ニットステッチライン3650の周辺ライン3663,3664および3665に沿って分離してもよい。
取外し後のニット構成要素3640は、参照図3603〜3608に大略的に図示されているように、シームレスブーティまたは布地アッパーを形成するように操作および/または伸張させてもよい。
取外し後のニット構成要素3640は、必要に応じて、図26〜図30と同様の方法(たとえば、以下、図37〜図45を参照)で反転させるか、または裏返してもよい。
ニット布地要素3600およびニット構成要素3640の寸法は、図21におけるニット構成要素2100および図2400におけるニット構成要素2400に関して全般的に上述したように、ニット構成要素3640から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーに、所望のサイジングおよび/またはカスタムフィットおよびパフォーマンス特性をもたらすように選択してもよい。たとえば、寸法3631〜3639および3641は、所望のサイジングおよび/またはカスタムフィットをもたらすように選択してもよい。いくつかの実施形態では、ダイナミックフィット構成要素3660および3662の寸法3634および3636は、カスタムダイナミックフィットをもたらすように選択してもよい。当業者は、ニット構成要素3640から形成された、ダイナミックフィットを含む、シームレスブーティまたは布地アッパーの所望のサイジングおよび/またはカスタムフィットをもたらすのに適した、ニット構成要素3640のための寸法を容易に選択することができるであろう。
参照図3603〜3605は、ダイナミックフィット構成要素3660および3662を含む、取外し後のニット構成要素3640から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーを、内側輪郭図、底部輪郭図および外側輪郭図で示している。説明のため、参照図3603,3604および3605では、ダイナミックフィット構成要素3660は、ニット構成要素3640の内側側部に巻き付けられて図示され、また、ダイナミックフィット構成要素3662は、その元の取外し後の状態において、完全に広げられて図示されている。
参照図3606は、取外し後のニット構成要素3640から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーを正面輪郭図で示している。参照図3607は、参照図3606の区画線3607−3607に沿ったシームレスブーティまたは布地アッパーの断面図であり、参照図3608は、取外しおよび巻き付け後の、参照図3606の区画線3608−3608に沿ったシームレスブーティまたは布地アッパーの断面図である。
参照図3606に図示されているように、ニットダイナミックフィット構成要素3660は、ニット構成要素3640の内側側部で上方へ巻き付けてもよく、また、ニットダイナミックフィット構成要素3662は、ニット構成要素3640の外側側部で上方へ巻き付けてもよい。
参照図3607に図示されているように、いくつかの実施形態では、ニット構成要素3640から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーは、足先部3658に、連続ニット層を含んでいてもよい。すなわち、シームレスブーティまたは布地アッパー3640は、第1のニット層3652と、第2のニット層3654と、中間層ニットステッチライン3650とによって形成された連続ニット層を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、ニット構成要素3640は、クロージャシステム3670を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、クロージャシステム3670は、クロージャ部材3672と、ひも穴3674と、締めひも3676とを含んでもよい。
いくつかの実施形態では、ニットダイナミックフィット構成要素3660および3662は、ダイナミックフィット構成要素3660および3662の遠位端が、クロージャシステム3670に対応するように、ニット構成要素3640の上方に向かって巻き付けることができる。
いくつかの実施形態では、ニットダイナミックフィット構成要素3660および3662は、少なくとも1つのクロージャ部材3682と、少なくとも1つのひも穴3684とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ダイナミックフィット構成要素3660および3662は、ダイナミックフィット構成要素3660の少なくとも1つのクロージャ部材3682およびひも穴3684および/またはダイナミックフィット構成要素3662の少なくとも1つのクロージャ部材3682およびひも穴3683が、シームレスブーティまたは布地アッパー3640の少なくとも1つのクロージャ部材3672およびひも穴3674と位置合わせされるように、ニット構成要素3640の上方に向かって巻き付けてもよい。
参照図3608に図示されているように、いくつかの実施形態では、クロージャシステム3670の複数のクロージャ部材3672,3682およびひも穴3674,3684と、ダイナミックフィット構成要素3660および3662とを位置合わせして配置してもよい。この場合、参照図3608に図示されているように、クロージャシステム3670と、ダイナミックフィット構成要素3660および3662を含むダイナミックフィットシステムとが、共通の締めひも3676を用いてもよいことは正しく認識されるであろう。いくつかの実施形態では、ダイナミックフィット構成要素3660および3662は、クロージャシステム3670とは異なる締めひもを用いてもよい。いくつかの実施形態では、ニット構成要素3640は、ダイナミックフィット構成要素3660および3662を含んでいるが、いかなるクロージャシステムも含んでいないダイナミックフィットシステムを含んでもよい。当業者は、所望の履物製品に適したダイナミックフィットシステム、または、ダイナミックフィットシステムおよびクロージャシステムから成る組合せを容易に選択することができるであろう。
いくつかの実施形態では、参照図3606および3608に図示されているように、ニット構成要素3640から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーは、インサート部材3690を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、インサート部材は、ニット構成要素3640の第1のニット層3652と第2のニット層3654との間に形成されたポケットに挿入することができる。たとえば、参照図3606および3608に図示されているように、いくつかの実施形態では、インサート部材3690は、ニット構成要素3640の中足領域に設けられたアーチサポートであってもよい。
図37〜図45は、取外し後の図36のニット構成要素を折り畳むか、または裏返すための任意の反転プロセスを模式的に示す。
図37は、図36のニット構成要素3640を、初期の取外し後の状態で示す。図37に図示されているように、いくつかの実施形態では、ダイナミックフィット構成要素3660は、矢印3720の方向で、シームレスブーティ3640の外側側部に巻き付けてもよく、また、ダイナミックフィット構成要素3662は、矢印3710の方向で、シームレスブーティ3640の内側側部に巻き付けてもよい。
図38は、ダイナミックフィット構成要素部分3660および3662が、それぞれ矢印3810および3820の方向で、ニットシームレスブーティのそれぞれ内側側部および外側側部に部分的に巻き付けられている状態のニット構成要素3640を示し、また、図39は、それぞれ矢印3910および3920の方向で、ニット構成要素3640のそれぞれ内側側部および外側側部に実質的に巻き付けられているダイナミックフィット構成要素3660および3662を示す正面図である。図40は、ニット構成要素3640の内側側部および外側側部に完全に巻き付けられ、およびシームレスブーティ3640のクロージャ構造3670に重なっているダイナミックフィット構成要素3660および3662を示す正面図である。
図41は、ニット構成要素3640の内側側部および外側側部に完全に巻き付けられ、およびシームレスブーティ3640のクロージャ構造3670に重なっているダイナミックフィット構成要素3660および3662を示す側面図である。図42は、足先部3658が部分的に反転されている状態のニット構成要素3640を示す。具体的には、足先部3658は、矢印4210の方向で、ニット構成要素(シームレスブーティ)3640の内部に押し込まれている。図43は、足先部3658が、矢印4320の方向にさらに押し込まれて、矢印4310の方向に、ニット構成要素(シームレスブーティ)3640の足首開口部から引っ張り出されているとともに、シームレスブーティ3640のかかと部が、矢印4330の方向に押されている状態のニット構成要素を示す。図44は、足先部3658が、矢印4410の方向に、足首開口部から実質的に引っ張り出されているとともに、矢印4420の方向に押すことによって、シームレスブーティ3640のかかと部が反転されている状態のニット構成要素3640を示し、また、図45は、完全に反転されているか、または、裏返されているニット構成要素を示す。
図46は、図36〜図45に図示されているように、取外しおよび裏返した後のニット構成要素3640を組み込んだシームレスブーティまたは布地アッパーの模式的正面等角図である。図47は、区画線47−47に沿った図46のシームレスブーティまたは布地アッパーの断面図である。図48は、区画線48−48に沿った図46のシームレスブーティまたは布地アッパーの断面図である。
図46〜図48のシームレスブーティまたは布地アッパー3640の構造および形状構成が、図46〜図48において、ダイナミックフィット構成要素3660および3662がシームレスブーティ3640の内部に設けられていることを除いて、図36の構造および形状構成と同様であることは正しく認識されるであろう。
図49は、ニット布地要素4900のニット構成要素4940の別の実施形態の形状構成を、そのニット構成要素から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーに模式的に対応付けている。いくつかの実施形態では、ニット布地要素4900のニット構成要素4940は、少なくとも1つのニットダイナミックフィットフィンガ構成要素またはラップアラウンド部を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのニットダイナミックフィット構成要素は、中間層ニットステッチライン4950によって形成されたニット構成要素4940のスプラインと一体的に編んでもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのニットダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分4980は、必要に応じて、シームレスブーティ4940のかかと領域に設けてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのニットダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分(たとえば、符号4981,4982,4983および4984)は、必要に応じて、シームレスブーティ4940の中足領域に設けてもよい。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのニットダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分4985は、必要に応じて、シームレスブーティ4940の足先領域に設けてもよい。説明を簡単にするために、参照図4901〜4905は、シームレスブーティ4940のかかと領域および足先領域に、任意のダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分4980および4985のペアを含んでいる実施形態を示しているが、図49の参照図4906〜4908は、ダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分4981,4982,4983および4984の詳細を含む、シームレスブーティ4940の中足領域に設けられた5つのみのペアの任意のダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分を含む実施形態を示している。以下の図50〜図52は、シームレスブーティのかかと領域および足先領域に設けられた任意のペアのダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分の詳細を含む実施形態を示す。
図49において、符号4901は、ニット布地要素4900の図を識別し(以後、参照図4901と呼ぶ)、および対応する図面にわたって、ニット布地要素4900のニット構成要素4940のさまざまな形状構成および特徴を、符号4902,4903,4904および4905(以後、参照図4902,4903,4904および4905と呼ぶ)で模式的に対応付けている一連の区画線4911〜4919を含んでいる。
参照図4902は、取外し前の、区画線4911〜4919に沿ったニット布地要素4900のニット構成要素4940に関連する一連の断面図4921〜4929を示す。参照図4903は、部分的ラップアラウンドを備えた、取外し後のニット構成要素4940の内側側面図を示し、参照図4904は、部分的ラップアラウンドを備えた、取外し後のニット構成要素4940の底部平面図を示し、参照図4905は、部分的ラップアラウンドを備えた、取外し後のニット構成要素4940の外側側面図を示す。符号4906は、部分的ラップアラウンドを備えた、取外し後のニット構成要素4940の正面等角図を示し、およびラップアラウンドプロセスを示す図であり(以後、参照図4906という)、符号4907は、完全に巻き付けられた状態のニット構成要素4940の正面等角図を示す図であり(以後、参照図4907という)、符号4908は、参照図4907の区画線4908−4908に沿ったニット構成要素4940の足先部4958の断面図を示す図である(以後、参照図4908という)。
図24のニット布地要素2400と同様に、ニット布地要素4900は、第1のニット層4952と、第1のニット層4952に重なっている第2のニット層4954とを含み、ニット布地要素4900は、一体ワープニット構造から成る。参照図4901を参照すると、いくつかの実施形態では、第1のニット層4952は、製造または編みプロセスの方向に延びている共通縁部4956に沿って、第2のニット層4954と連続していてもよい。いくつかの実施形態では、ニット布地要素4900が、図2および図21におけるニット布地要素200および2100と同様の大略的に筒状の構造を有してもよく、また、いくつかの実施形態では、ニット布地要素4900が、図23および図24におけるニット布地要素2300および2400と同様の大略的に平らな2層構造を有してもよいことは正しく認識されるであろう。簡略にするため、ニット布地要素4900は、大略的に平らな2層構造に関して説明する。当業者は、(たとえば、図2および図21に示すような)大略的に筒状の構造と、(たとえば、図23および図24に示すような)大略的に平らな2層構造との間でのさまざまな形状構成および部分の類似性および互換性を容易に正しく認識するであろう。
区画線4911は、中間層ニットステッチライン4950によって画定されたニット構成要素4940の周囲境界の外側で、ニット構成要素4940の上のニット布地要素4900を通っている。したがって、参照図4901〜参照図4902におけるマッピング区画線4911は、ニット構成要素4940に関連する形状構成を有していない平らな2層構造4921の形態のニット構成要素4900の断面を示す。同様に、参照図4903,4904および4905は、区画線4911に沿ったニット構成要素4940に関連する形状構成を示していない。
区画線4912は、ニット構成要素4940の本体の上を通っており、およびいくつかの実施形態では、区画線4912は、ニット構成要素4940の後方かかと部から延びている3つのペアの任意のニットダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分4980を通っていてもよい。参照図4901〜参照図4902におけるマッピング区画線4912は、中間層ニットステッチライン4950が、ニット布地要素4900の共通縁部4956からの距離4931において、第1のニット層4952と第2のニット層4954とを相互に接続している第1のノードと、中間層ニットステッチライン4950が、第1のノードからの距離4932において、第1のニット層4952と第2のニット層4954とを相互に接続している第2のノードと、中間層ニットステッチライン4950が、第2のノードからの距離4933において、第1のニット層4952と第2のニット層4954とを相互に接続している第3のノードと、中間層ニットステッチライン4950が、第3のノードからの距離4934において、第1のニット層4952と第2のニット層4954とを相互に接続している第4のノードとを有する、大略的に平らな2層構造4922の形態のニット布地要素4900の断面を示す。
いくつかの実施形態では、これら4つのノードは、ニット構成要素4940のかかと部から延びている任意のダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分4980の3つのペアに対応して第1のニット層4952と第2のニット層4954との間に形成された3つのポケットの境界を画定している。しかし、説明を簡単にするために、これら3つのペアの任意のダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分4980が、参照図4906〜4908の実施形態には図示されていないことは正しく認識されるであろう。
区画線4913は、ニット構成要素4940の後方かかと部を通っている。参照図4901〜参照図4902におけるマッピング区画線4913は、中間層ニットステッチライン4950が、ニット布地要素4900の共通縁部4956からの距離4935において、第1のニット層4952と第2のニット層4954とを相互に接続しているノードを有する、大略的に平らな2層構造4923の形態のニット布地要素4900の断面を示す。いくつかの実施形態では、共通縁部4956は、ニット布地要素4900のニット構成要素4940に対して足首開口部を分離および形成するのに適した第1のニット層4952および第2のニット層4954に共通する連続ニット層を備えていてもよいため、ニット構成要素4940の共通縁部4956が、図2の共通縁部210、図21の共通縁部2156、および/または図24の共通縁部2456と同様に機能してもよいことは正しく認識されるであろう。
区画線4914は、ニット構成要素4940の足首開口部に近接するクロージャ構造4970の部分を通っている。参照図4901〜参照図4902におけるマッピング区画線4914は、中間層ニットステッチライン4950が、シームレスブーティまたは布地アッパー4940の本体に対応する、共通縁部4956からの距離4936において、第1のニット層4952と第2のニット層4954とを相互に接続している第1のノードと、中間層ニットステッチライン4950が、シームレスブーティまたは布地アッパー4940のダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分4981および4982から成る第1のペアの遠位端に対応する、第1のノードからの距離4937において、第1のニット層4952と第2のニット層4954とを相互に接続している第2のノードとを有する、大略的に平らな2層構造4924の形態のニット布地要素4900の断面を示す。
区画線4915は、ニット構成要素4940の足先部4958に近接するクロージャ構造4970の部分を通っている。参照図4901〜参照図4902におけるマッピング区画線4915は、中間層ニットステッチライン4950が、シームレスブーティまたは布地アッパー4940の本体に対応する、共通縁部4956からの距離4938において、第1のニット層4952と第2のニット層4954とを相互に接続している第1のノードと、中間層ニットステッチライン4950が、ニット構成要素4940から延びているシームレスブーティまたは布地アッパー4940のダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分4983および4984から成る別のペアの遠位端に対応する、第1のノードからの距離4939において、第1のニット層4952と第2のニット層4954とを相互に接続している第2のノードとを有する、大略的に平らな2層構造4925の形態のニット布地要素4900の断面を示す。
区画線4916は、ニット構成要素4940の足先部4958を通っている。参照図4901〜参照図4902におけるマッピング区画線4916は、中間層ニットステッチライン4950が、共通縁部4956からの距離4941において、第1のニット層4952と第2のニット層4954とを相互に接続している第1のノードと、中間層ニットステッチライン4950が、第1のノードからの距離4942において、第1のニット層4952と第2のニット層4954とを相互に接続している第2のノードとを有する、大略的に平らな2層構造4926の形態のニット布地要素4900の断面を示す。いくつかの実施形態では、これら2つのノードは、ニット構成要素4940の足先部4958から延びている任意のダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分4985から成る別の2つのペアに対応する、第1のニット層4952と第2のニット層4954との間に形成されたポケットの境界を画定している。
区画線4917は、ニット構成要素4940の足先部4958を通っている。参照図4901〜参照図4902におけるマッピング区画線4917は、中間層ニットステッチライン4950が、共通縁部4956からの距離4943において、第1のニット層4952と第2のニット層4954とを相互に接続している第1のノードと、中間層ニットライン4950が、第1のノードからの距離4944において、第1のニット層4952と第2のニット層4954とを相互に接続している第2のノードと、中間層ニットライン4950が、第2のノードからの距離4945において、第1のニット層4952と第2のニット層4954とを相互に接続している第3のノードと、中間層ニットライン4950が、第3のノードからの距離4946において、第1のニット層4952と第2のニット層4954とを相互に接続している第4のノードとを有する、大略的に平らな2層構造4927の形態のニット布地要素4900の断面を示す。
いくつかの実施形態では、これら第2、第3および第4のノードは、参照図4901〜参照図4905に図示されているように、ニット構成要素4940の足先領域から延びている任意のダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分4985から成る2つの追加的なペアに対応する、第1のニット層4952と第2のニット層4954との間に形成されたポケットの境界を画定している。しかし、説明を簡単にするために、任意のダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分4985から成るこれら2つのペアは、参照図4906〜4908の実施形態には図示されていないことは正しく認識されるであろう。
区画線4918は、ニット構成要素4940の足先部4958に接触して接線方向に延びている。参照図4901〜参照図4902におけるマッピング区画線4918は、中間層ニットステッチライン4950が、(参照図4902の2層構造4928におけるピンチとして図示されている)共通縁部4956からの距離4947において、第1のニット層4952と第2のニット層4954とを相互に接続している第1のノードと、中間層ニットステッチライン4950が、第1のノードからの距離4948において、第1のニット層4952と第2のニット層4954とを相互に接続している第2のノードと、中間層ニットステッチライン4950が、第2のノードからの距離4949において、第1のニット層4952と第2のニット層4954とを相互に接続している第3のノードと、中間層ニットステッチライン4950が、第3のノードからの距離4951において、第1のニット層4952と第2のニット層4954とを相互に接続している第4のノードとを有する、大略的に平らな2層構造4928の形態のニット布地要素4900の断面を示す。
いくつかの実施形態では、これら第2、第3および第4のノードは、参照図4901〜参照図4905に図示されているように、ニット構成要素4940の足先領域から延びている任意のダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分4985から成る2つの追加的なペアに対応する、第1のニット層4952と第2のニット層4954との間に形成されたポケットの境界を画定している。しかし、説明を簡単にするために、任意のダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分4985から成るこれら2つのペアは、参照図4906〜4908の実施形態には図示されていないことは正しく認識されるであろう。
区画線4919は、ニット構成要素4940の本体の下を通っており、およびいくつかの実施形態では、区画線4919は、ニット構成要素4940の足先領域から延びている任意のニットダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分4985から成る2つの追加的なペアの一方を通っていてもよい。
参照図4901〜参照図4902におけるマッピング区画線4919は、中間層ニットステッチライン4950が、ニット布地要素4900の共通縁部4956からの距離4952において、第1のニット層4952と第2のニット層4954とを相互に接続している第1のノードと、中間層ニットステッチライン4950が、第1のノードからの距離4953において、第1のニット層4952と第2のニット層4954とを相互に接続している第2のノードとを有する、大略的に平らな2層構造4929の形態のニット布地要素4900の断面を示す。
いくつかの実施形態では、これら2つのノードは、参照図4901〜参照図4905に図示されているように、ニット構成要素4940の足先領域から延びている任意のダイナミックフィットフィンガ構成要素4985から成る2つのペアの一方に対応する、第1のニット層4952と第2のニット層4954との間に形成されたポケットの境界を画定している。しかし、説明を簡単にするために、任意のダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分4985から成るこれら2つのペアは、参照図4906〜4908の実施形態には図示されていないことは正しく認識されるであろう。
何らかのダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分(たとえば、ダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分4981,4982,4983および4984および/またはいずれかの任意のダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分4980および/または4985)を含むニット構成要素4940は、何らかの公知のまたは後に開発された取外しまたは分離プロセスによって、ニット布地要素4900から取り外してもよい。いくつかの実施形態では、ニット構成要素4940は、分離プロセス、たとえば、図2〜図8に関して上述したように、裁断プロセスを用いて、ニット構成要素4940の中間層ニットステッチライン4950に沿ってニット布地要素4900を分離することにより、布地要素4900から取り外すか、または分離してもよい。さらに、ニット構成要素4940は、何らかの公知のまたは後に開発された分離プロセスによって、共通縁部4956に沿って分離して、足首開口部を形成してもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、共通縁部4956は、1つ以上の編み込み指示部を備えていてもよく、また、ニット構成要素4940は、その編み込み指示部に沿って分離して、足首開口部を形成してもよい。いくつかの実施形態では、ニット構成要素4940は、分離プロセス、たとえば、図2〜図8に関して上述したように、裁断プロセスを用いて、共通縁部4956に沿って分離してもよい。
ダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分は、図36におけるダイナミックフィット構成要素3660および3662に関するプロセスと同様に、ダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分から成るペア(たとえば、ペア4981−4982およびペア4983−4984)を形成するように、そのダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分の周囲ラインに沿って分離してもよい。この場合、シームレスブーティまたは布地アッパー4940の足先部、中足部およびかかと部のいずれかに沿って、シームレスブーティまたは布地アッパー4940のスプライン(すなわち、中間層ニットステッチライン4950)からさまざまに延びているダイナミックフィットフィンガ構成要素から成る1つ以上のペアがあってもよいことは明らかであろう。いくつかの実施形態では、ダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分は、ニット布地要素4900の一方の側にのみ、たとえば、第1のニット層4952および第2のニット層4954の一方にのみ形成してもよい。当業者は、所望の履物製品の所望のパフォーマンス特性に適した1つ以上のダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分またはダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分から成るペアの数、位置および構成を容易に選択することができるであろう。
取外し後のニット構成要素4940は、参照図4903〜4908に大略的に図示されているように、シームレスブーティまたは布地アッパーを形成するように操作および/または伸張させてもよい。
取外し後のニット構成要素4940は、図37〜図45と同様の方法で反転させるか、または裏返してもよい。
ニット布地要素4900およびニット構成要素4940の寸法は、図21におけるニット構成要素2100および図2400におけるニット構成要素2400に関して全般的に上述したように、ニット構成要素4940から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーに、所望のサイジングおよび/またはカスタムフィットおよびパフォーマンス特性をもたらすように選択してもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、寸法4935,4936,4938,4941,4943,4944および/または4947は、シームレスブーティ4940に対して所望のサイジングおよび/またはカスタムフィットをもたらすように選択してもよい。いくつかの実施形態では、寸法4937および4939は、ダイナミックフィットフィンガ構成要素4981,4982,4983および/または4984に対してカスタムフィットをもたらすように選択してもよい。当業者は、ニット構成要素4940から形成された、ダイナミックフィットを含む、シームレスブーティまたは布地アッパーの所望のサイジングおよび/またはカスタムフィットをもたらすのに適した、ニット構成要素4940およびいずれかのダイナミックフィットフィンガ構成要素のための寸法を容易に選択することができるであろう。
参照図4903〜4905は、ニット構成要素4940のかかと領域に設けられた任意のダイナミックフィットフィンガ構成要素4980から成る3つのペアと、ニット構成要素4940の中足領域に設けられた任意のダイナミックフィットフィンガ構成要素から成る5つのペア(たとえば、ペア4981−4982および4983−4984を参照)と、ニット構成要素4940の足先領域に設けられた任意のダイナミックフィットフィンガ構成要素4985から成る2つのペアとを含む、ニット構成要素4940から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパー4940を、内側輪郭図、底部輪郭図および外側輪郭図で示している。たとえば、説明のため、参照図4903,4904および4905では、ニット構成要素4940の内側側部に対するニットダイナミックフィットフィンガ構成要素4981および4983は、ニット構成要素4940の内側側部に完全に巻き付けられて図示されており、また、ニット構成要素4940の外側側部に対するニットダイナミックフィットフィンガ構成要素4982および4984は、それらの元の取外し後の状態において、完全に広げられて図示されている。
参照図4906は、ニット構成要素4940の中足領域に、任意のニットダイナミックフィットフィンガ構成要素から成る5つのペアを備えた、ニット構成要素4940から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーを正面輪郭図で示し、たとえば、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分4982および4984は、ニット構成要素4940の内側側部において、上方へ完全に巻き付けられており、また、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素4981および4983は、ニット構成要素4940の外側側部において、部分的に上方へ巻き付けられているにすぎない。
参照図4907は、(ペア4981−4982およびペア4983−4984を含む)任意のニットダイナミックフィットフィンガ構成要素から成る5つのペアが、ニット構成要素4940の内側側部と、ニット構成要素4940の外側側部との両方において、完全に上方に巻き付けられた状態の、ニット構成要素4940から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーを正面輪郭図で示す。
参照図4908は、参照図4907の区画線4908−4908に沿ったシームレスブーティまたは布地アッパーの断面図である。
参照図4906および4907に図示されているように、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素は、ニット構成要素4940の内側側部で上方へ巻き付けてもよく、また、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素は、ニット構成要素3640の外側側部で上方へ巻き付けてもよい。
参照図4906および4907に図示されているように、いくつかの実施形態では、ニット構成要素4940から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーは、足先部4958に連続ニット層を含んでいてもよい。すなわち、シームレスブーティまたは布地アッパー4940は、第1のニット層4952と、第2のニット層4954と、中間層ニットステッチライン4950とによって形成された連続ニット層を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、ニット構成要素4940は、クロージャシステム4970を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、クロージャシステムは、クロージャ部材4972と、ニットホールまたはひも穴4974と、締めひも4976とを含んでもよい。
いくつかの実施形態では、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素4981および/または4982は、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素4981および/または4982の遠位端が、クロージャシステム4970に対応するように、ニット構成要素4940の上方に向かって巻き付けることができる。いくつかの実施形態では、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素4981および4982の遠位端は、ニットクロージャ部材4986と、少なくとも1つのニットホールまたはひも穴4987とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素4981および4982は、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素4981の少なくとも1つのクロージャ部材4986および少なくともひも穴4987および/またはニットダイナミックフィットフィンガ構成要素4982の少なくとも1つのクロージャ部材4986および少なくとも1つのひも穴4987が、シームレスブーティまたは布地アッパー4940の少なくとも1つのクロージャ部材4972およびひも穴4974と位置合わせされるように、ニット構成要素4940に巻き付けてもよい。
参照図4908に図示されているように、いくつかの実施形態では、クロージャシステム4970の複数のクロージャ部材4972,4988およびひも穴4974,4987と、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素4981および4982とを位置合わせして配置してもよい。この場合、参照図4908に図示されているように、クロージャシステム4970と、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素4981および4982を含むダイナミックフィットシステムとが、共通の締めひも4976を用いてもよいことは正しく認識されるであろう。いくつかの実施形態では、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素4981および4982は、クロージャシステム4970とは異なる締めひもまたは他のテンショニング構造を用いてもよい。いくつかの実施形態では、ニット構成要素4940は、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素4981および4982を含んでいるが、いかなるクロージャシステムも含んでいないダイナミックフィットシステムを含んでもよい。当業者は、所望の履物製品に適した、クロージャシステムとダイナミックフィット構成要素との組合せを選択することができるであろう。
図50は、一体ワープニット構造から成るニット構成要素5040の別の実施形態を、取外し後の状態または状況で示す。図50に図示されているように、いくつかの実施形態では、ニット構成要素5040は、任意のニットダイナミックフィットフィンガ構成要素から成る3つのペアを含んでもよい。任意のニットダイナミックフィットフィンガ構成要素5080および5081から成る第1のペアは、ニット構成要素5040の後方かかと部に配置してもよく、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素5080は、中間層ニットステッチライン5050において、第1のニット層5052の部分によって形成され、また、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素5081は、中間層ニットステッチライン5050において、第2のニット層5054の部分によって形成されている。
任意のダイナミックフィットフィンガ構成要素5082および5083から成る第2のペアは、ニット構成要素5040の底部かかと部に配置してもよく、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素5082は、中間層ニットステッチライン5050において、第1のニット層5052の部分によって形成され、また、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素5083は、中間層ニットステッチライン5050において、第2のニット層5054の部分によって形成されている。任意のダイナミックフィットフィンガ構成要素5084および5085から成る第3のペアは、ニット構成要素5040の足先部に配置してもよく、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素5084は、中間層ニットステッチライン5050において、第1のニット層5052の部分によって形成され、また、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素5085は、中間層ニットステッチライン5050において、第2のニット層5054の部分によって形成されている。いくつかの実施形態では、ニット構成要素5040は、ニットクロージャ構造5070を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ニットクロージャ構造は、複数のニットクロージャ部材5072および複数のニットホールまたはひも穴5074を含んでいてもよい。
いくつかの実施形態では、ニット構成要素5040は、ニット布地要素から取り外してもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、ニット構成要素5040は、図49におけるニット布地要素4900のニット構成要素4940に大略的に一致している。いくつかの実施形態では、ニット構成要素5040は、裁断プロセス等の分離プロセスによって、ニット布地要素から取り外してもよい。
取外し後のニット構成要素5040は、必要に応じて、図37〜図45と同様の方法で、反転させるか、または裏返してもよい。
ニット構成要素5040の寸法は、図21におけるニット構成要素2100および図2400におけるニット構成要素2400に関して全般的に上述したように、ニット構成要素5040から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーに、所望のサイジングおよび/またはカスタムフィットおよびパフォーマンス特性をもたらすように選択してもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、ニット構成要素5040の後方かかと領域に設けられた任意のダイナミックフィットフィンガ構成要素5080および5081の長さに相当する寸法5091、ニット構成要素5040の底部かかと領域に設けられた任意のダイナミックフィットフィンガ構成要素5082および5083の長さに相当する寸法5092、ニット構成要素5040の足先領域に設けられた任意のダイナミックフィットフィンガ構成要素5084および5085の長さに相当する寸法5093は、所望のサイジングおよび/またはカスタムフィットをシームレスブーティ5040に与えるように選択してもよい。当業者は、ニット構成要素5040から形成された、ダイナミックフィットを含む、シームレスブーティまたは布地アッパーの所望のサイジングおよび/またはカスタムフィットをもたらすのに適した、ニット構成要素5040およびいずれかのダイナミックフィットフィンガ構成要素のための寸法を容易に選択することができるであろう。
図51は、図50のニット構成要素5040から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーを正面輪郭図で示し、任意のニットダイナミックフィットフィンガ構成要素または部分5080,5082および4984は、ニット構成要素5040の内側側部に部分的に上方に巻き付けられており、また、任意のニットダイナミックフィットフィンガ構成要素5081,5083および5085は、ニット構成要素5040の外側側部に部分的に上方に巻き付けられている。
図51に図示されているように、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素5080は、矢印5110の方向で、ニット構成要素5040の内側後方かかと部に上方に向けて巻き付けることができ、また、ダイナミックフィットフィンガ構成要素5081は、矢印5112の方向で、ニット構成要素5040の外側後方かかと部に上方に向けて巻き付けることができる。同様に、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素5082は、矢印5114の方向で、ニット構成要素5040の内側底部かかと部に上方に向けて巻き付けることができ、また、ダイナミックフィットフィンガ構成要素5083は、矢印5116の方向で、ニット構成要素5040の外側底部かかと部に上方に向けて巻き付けることができる。同様に、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素5084は、矢印5118の方向で、ニット構成要素5040の内側足先部に上方に向けて巻き付けることができ、また、ダイナミックフィットフィンガ構成要素5085は、矢印5120の方向で、ニット構成要素5040の外側足先部に上方に向けて巻き付けることができる。
参照図5007は、ニット構成要素5040から形成されたシームレスブーティまたは布地アッパーを正面輪郭図で示し、任意のニットダイナミックフィットフィンガ構成要素から成る3つのペア(すなわち、ペア5080−5081、ペア5082−5083およびペア5084−5085)が、ニット構成要素4940の内側側部とニット構成要素4940の外側側部との両方に上方に向けて完全に巻き付けられている。
いくつかの実施形態では、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素5080,5081,5082,5083,5084,5085は、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素5080,5081,5082,5083,5084,5085の遠位端がクロージャシステム5070に一致するように、ニット構成要素5040に上方に向けて巻き付けてもよい。いくつかの実施形態では、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素5080,5081,5082,5083,5084,5085の遠位端は、ニットクロージャ部材5086と、少なくとも1つのニットホールまたはひも穴5087とを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素5080,5081,5082,5083,5084,5085は、少なくとも1つのクロージャ部材5086と、少なくとも1つのニットダイナミックフィットフィンガ構成要素5080,5081,5082,5083,5084,5085の少なくともひも穴5087とが、シームレスブーティまたは布地アッパー5040の少なくとも1つのクロージャ部材5072およびひも穴5074と位置合わせされるように、ニット構成要素5040に上方に向けて巻き付けてもよい。
図52に図示されているように、いくつかの実施形態では、クロージャシステム5070の複数のクロージャ部材5074,5086およびひも穴5074,5087と、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素5080,5081,5082,5083,5084,5085とは、位置合わせして配置してもよい。この場合、クロージャシステム5070と、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素5080,5081,5082,5083,5084,5085を含むダイナミックフィットシステムとが、共通の締めひもを用いてもよいことは正しく認識されるであろう。いくつかの実施形態では、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素5080,5081,5082,5083,5084,5085は、異なる締めひも、または、クロージャシステム5070とは異なる他のテンショニング構造を用いてもよい。いくつかの実施形態では、ニット構成要素5040は、ニットダイナミックフィットフィンガ構成要素5080,5081,5082,5083,5084,5085を含んでいるが、いかなるクロージャシステムも含んでいないダイナミックフィットシステムを含んでもよい。当業者は、所望の履物製品に適した、クロージャシステムとダイナミックフィット構成要素との組合せを選択できるであろう。
実施形態に関するこの説明は、クロージャ、テンショニングおよび/またはダイナミックフィットを実現するための方法および構造を含んでもよい履物製品に注力している。2013年7月11日に出願された、Tiffany Beersによる「Article With Closed Instep Portion Having Variable Volume」(PLG 51-2970)というタイトルの共同所有の特許文献1は、履物製品用のクロージャ、テンショニングおよび/またはダイナミックフィットを実現するための方法および構造を開示しており、その開示は、その全体が本書に組み込まれる。当業者は、本願明細書に開示され、およびクレームされている所望のシームレスブーティまたは布地アッパーの実施形態とともに用いるのに適したクロージャ、テンショニングおよび/またはダイナミックフィット構造を容易に選択することができるであろう。
さまざまな実施形態について説明してきたが、その説明は、限定的であるというよりも、例示的であることが意図されており、また、当業者には、それらの実施形態の範囲内にある多くの実施形態および実施態様が可能であることは明らかであろう。したがって、それらの実施形態は、添付クレームおよびそれらの等価物の観点を除いて限定すべきではない。また、さまざまな変更および変形を、添付クレームの範囲内で行うことができる。