本発明の第1の態様は、異なる環状キメラ一本鎖核酸構築物の集団に関する。集団の各構築物は、宿主生物からの元のゲノムDNAの第1の一本鎖セグメントと、前記第1の一本鎖セグメントに結合し、前記宿主生物に対して外来性のヌクレオチド配列を含む、第2の一本鎖合成核酸セグメントとを含む。第2の一本鎖合成核酸セグメントは固有の識別子部分を含み、固有の識別子部分、及び元のゲノムDNAのセグメントの両方のヌクレオチド配列は、集団中の1つのキメラ一本鎖核酸構築物を、集団中の他の全てのキメラ一本鎖核酸構築物と区別する。集団中のキメラ一本鎖核酸構築物は環化され、ローリングサークル増幅及び/または配列決定に適している。
本発明の本態様に関して、集団は通常、1,000個〜4,000,000,000個の環状キメラ一本鎖核酸構築物を含有する。集団中のキメラ一本鎖核酸構築物の作製方法は、以下で詳述している。
キメラ核酸構築物の第1の一本鎖セグメントは、宿主からの元のゲノムDNAのセグメントを含む。元のゲノムDNAの本セグメントは、ゲノムDNAの分裂による直接生成物である、核酸フラグメント(即ち、フラグメントの末端に1つ以上のリンカーの付加を有しない)、または、リンカーが付加されたゲノムDNAの核酸フラグメントであってよい。元のゲノムDNAは、例えば動物、植物、原生動物、菌類、細菌、またはヒト、リンゴの木、ジアルジア、酵母菌、黄色ブドウ球菌、もしくはパピローマウイルスの遺伝子等のウイルスゲノムといった、任意のゲノムに由来してよい。DNAのセグメントは、組織、細胞、血清、血漿、血液、またはエクソソームを含むが、これらに限定されない、任意の新鮮な、凍結された、または固定された(例えば、ホルマリンで固定され、パラフィンで包埋された)生物源から単離することができる。
集団中の核酸構築物の第2の一本鎖合成核酸セグメントは、例えばホスホジエステル結合により、第1の一本鎖セグメントに共有結合される。第2の一本鎖合成核酸セグメントは識別子配列を含有する。一実施形態では、識別子配列はバーコードである。バーコードは通常、各核酸構築物を集団中で互いに区別するために、元のゲノムDNAの配列と共に用いられる、8〜12個のヌクレオチド塩基配列である。ゲノムDNAの断片が類似の配列である場合、2つの核酸構築物が同一とならないように、識別子またはバーコード配列は十分に異なっていることが重要である。約10,000個のゲノム等価物(1mLの無細胞DNA中におけるおよそのゲノム)を含む集団に関して、8ヌクレオチドの固有の識別子配列は十分な多様性(65,536)を有し、各環状構築物は確実に固有のものとなる。約1,000,000個のゲノム等価物(10mLの血液中の全細胞からのおよそのゲノム)を含む集団に関して、12ヌクレオチドの固有の識別子配列は十分な多様性(16,777,216)を有し、各環状構築物は確実に固有のものとなる。更に、ゲノムDNAが無作為に断片化されているか、または生物学的に(即ち、無細胞DNAのように)断片化されているかのいずれかの場合、ゲノムDNAと合成核酸の結合点は、各環状構築物の区別を補助する、更なる固有の配列を提供する。
別の実施形態において、識別子配列は、1つ以上のプライマー結合部位、及び/または以下で述べる患者識別子配列を含む。プライマー結合部位は増幅を容易にするためだけに用いられるではなく、単独で、または患者識別子配列と組み合わせて、集団中の個々の環状構築物を区別するための、識別配列セグメントとして機能することができる。したがって、集団の核酸構築物の第2の一本鎖セグメントの識別子配列は、バーコード配列、1つ以上のプライマー配列、患者識別子配列、またはこれらの任意の組み合わせを含んでよい。
集団のキメラ核酸構築物を環化、即ち、共有結合で閉じて環化した核酸分子とする。本発明の本態様に関して、環化構築物は完全に一本鎖である。本発明の別の態様では、環化構築物は部分的に二本鎖であるか、完全に二本鎖であってよい。
本発明の別の態様は、核酸分子の増幅方法に関する。本方法は、上述の本発明の異なる環状キメラ一本鎖核酸構築物の集団を提供する工程、並びに、集団をポリメラーゼ、及び短いプライマー(6〜10ヌクレオチド、前記配列の一部はランダムな塩基及び/またはヌクレオチド類似体;例えばランダム六量体、七量体、八量体を含む)とブレンドし、増幅反応を形成する工程を伴う。1つ以上の短いプライマーは、集団の1つ以上の環状キメラ一本鎖核酸構築物の一部に相補的である。増幅反応混合物を1つ以上のハイブリダイゼーション及び伸長処理に供する。ここで、1つ以上の短いプライマーは環状キメラ一本鎖核酸構築物にハイブリダイズし、ポリメラーゼはハイブリダイズしたプライマーを伸長して、複数の伸長生成物を作製する。各伸長生成物は、集団からのキメラ一本鎖核酸構築物に相補的な2つ以上のタンデム線状配列を含む。
図1(ステップA〜D)は、上述の核酸分子の増幅方法の例示的図解を提供する。図1、ステップAは、ある集団の環状キメラ一本鎖核酸構築物、及び複数のランダム六量体プライマーを示す。環状構築物中の元のゲノムDNAの第1の一本鎖セグメントを、単一の細い黒線で示す。元のゲノムDNA内の変異を(*)として表す。環状構築物の固有の識別子配列を二重線として示す。ハイブリダイズした六量体プライマーの続けての伸長による環状標的の増幅を、鎖置換が可能なポリメラーゼ、例えばPhi29 DNAポリメラーゼ等(図1では菱形で示す)を用いて達成する。図1、ステップBに示すように、ハイブリダイズしたプライマーのポリメラーゼ伸長は最後に元のプライマーを置き換え、一本鎖尾部を作製する。六量体プライマーの1つ以上は引き続き一本鎖尾部にハイブリダイズし得る。ポリメラーゼが仲立ちするこれらのハイブリダイズしたプライマーの伸長は、図1、ステップC及びDに示すように継続して、種々の長さの二本鎖伸長生成物を形成し、各伸長生成物は、環状構築物に相補的な2つ以上のタンデム線状配列を含有する。
この増幅法により形成した二本鎖伸長生成物の集団は、広範囲の次世代配列決定(NGS)プロトコール(例えば454 Pyrosequencing、合成によるIon Torrent(商標)配列決定、SOLiD(商標)、SBL(sequencing−by−ligation)、または合成系によるMiSeq(商標)もしくはHiSeq(商標))のいずれか1つに適している。NGSプロトコールに従い、標的DNAの1つ以上のタンデム相補コピーが単一フラグメント内にあるように、二本鎖伸長生成物を断片化する。リンカーが、断片化されたDNAの5’及び3’末端に付加され、クラスターまたはビーズ増幅を用いた標準的なライブラリー調製及び鋳型生成を可能にする。環状標的内の元のDNA分子の、物理的に結合した相補コピーのコンセンサス配列は、配列決定中に生成される。真の変異(*)はフラグメント内に2または3回存在するため、ポリメラーゼエラーとは容易に区別することができる。
本発明の本態様、及び全ての態様に従うと、本発明のキメラ環状核酸構築物及びその伸長生成物の配列決定は、蛍光プライマーハイブリダイゼーションによる配列決定、分子ビーコンハイブリダイゼーション、プライマー伸長、リガーゼ検出反応、リガーゼ連鎖反応、パイロシーケンス法、エキソヌクレアーゼベースの配列決定、蛍光ベースのSBS、蛍光ベースのSBL、ナノポア及びナノチューブベースの配列決定、イオンベースのSBS、並びにイオンベースのSBLを含むがこれらに限定されない、当該技術分野において公知の任意の配列決定方法を用いて実施することができる。本明細書で使用する場合、「配列決定」は、ポリヌクレオチド標的または鋳型の少なくとも10個の連続するヌクレオチドの識別を入手する方法を包含する。
本発明の別の態様では、集団の各環状核酸構築物は、宿主生物からの元のゲノムDNAの第1の一本鎖セグメントと、前記第1の一本鎖セグメントに結合し、前記宿主生物に対して外来性のヌクレオチド配列を含む、第2の一本鎖合成核酸セグメントとを含む。第2の一本鎖合成核酸セグメントは、固有の識別子部分、及び一次プライマー結合部位を含む。ここで、固有の識別子部分、一次プライマー結合部位、及び元のゲノムDNAのセグメントのヌクレオチド配列は、集団中の1つのキメラ一本鎖核酸構築物を、集団中の他の全てのキメラ一本鎖核酸構築物と区別する。集団中のキメラ一本鎖核酸構築物は環化され、ローリングサークル増幅及び/または配列決定に適している。
本発明の別の態様は、配列決定に好適である核酸分子のタンデム線状コピーの生成方法に関する。本方法は、上述の本発明の異なる環状キメラ一本鎖核酸構築物の集団を提供する工程、並びに、鎖置換活性を有するポリメラーゼ、及び1つ以上の一次プライマーと集団をブレンドし、ローリングサークル伸長反応を形成する工程を伴う。1つ以上の一次プライマーは、集団の1つ以上の環状キメラ一本鎖核酸構築物の一部に相補的である。ローリングサークル伸長反応混合物を、1つ以上のハイブリダイゼーション及び伸長処理に供する。ここで、1つ以上のプライマーは環状キメラ一本鎖核酸構築物にハイブリダイズし、ポリメラーゼはハイブリダイズしたプライマーを伸長して、複数の伸長生成物を作製する。各伸長生成物は、集団からのキメラ一本鎖核酸構築物に相補的な2つ以上のタンデム線状配列を含む。
図2、ステップA〜Cは、上述の核酸分子の増幅方法の例示的図解を提供する。図2、ステップAは、集団の環状キメラ一本鎖核酸構築物、及びハイブリダイズした一次プライマーを示す。環状構築物中の元のゲノムDNAの第1の一本鎖セグメントを、単一の細い黒線で示す。元のゲノムDNA内の変異を(*)として表す。環状構築物の固有の識別子配列及び一次プライマー結合部位を、わずかに細めの線で示す。ハイブリダイズしたプライマーの続けての伸長による環状標的の増幅は、鎖置換が可能なポリメラーゼ、例えばPhi29またはBst DNAポリメラーゼ等(図2では菱形で表す)を用いて達成される。図2、ステップBに示すように、ハイブリダイズしたプライマーのポリメラーゼ伸長は最後に元のプライマーを置き換え、一本鎖尾部を作製する。伸長生成物をサークルから変性させる(図2、ステップCを参照)。1つ以上の二次プライマーセットを提供する。各プライマーセットは、(a)一次プライマーから形成した一本鎖伸長生成物の第1の部分に相補的なヌクレオチド配列を有する、第1の二次非メチル化プライマー、及び(b)一本鎖伸長生成物の第2の部分に相補的なヌクレオチド配列を有する、第2の二次メチル化プライマーを含む。一本鎖伸長生成物を、二次プライマーセット、鎖置換活性を欠くポリメラーゼ、リガーゼ、及び、一本鎖伸長生成物と第1の二次プライマーが互いにハイブリダイズしている場合に両方を切断するエンドヌクレアーゼ(即ち、エンドヌクレアーゼは非メチル化二本鎖認識配列で切断する)と、ブレンドする。
第1及び第2の二次プライマーは、図2、ステップCに示すように、一本鎖伸長生成物の相補領域にハイブリダイズする。ポリメラーゼはハイブリダイズしたプライマーを伸長し、下流のハイブリダイゼーション二次プライマーとのライゲーション接合部を形成する。リガーゼは伸長二次プライマーを共にライゲーションして、図2、ステップCに示すように、二本鎖伸長生成物を形成する。エンドヌクレアーゼは伸長生成物と第1の二次プライマーの両方を切断する。ここでは、これらは共にハイブリダイズされて、標的ゲノムDNA配列のタンデム線状コピーを含有する二本鎖断片を形成する。二本鎖伸長生成物断片中のタンデム線状配列の数は、上述の方法で利用される第1及び第2の二次プライマーの割合を反映している。これらのタンデムコピー断片は、上述の当該技術分野において公知の任意の配列決定方法を用いての配列決定に適している。NGS配列決定に関して、リンカーが付加されて、標準的なクラスターまたはビーズ増幅、及び対を形成した末端の読取りを可能にする。真の変異(*)は2または3回存在するため、ポリメラーゼのエラーとは区別される。
本発明の別の態様は、標的が元のゲノムDNA中でメチル化された場合における、核酸分子のタンデム線状コピーの生成方法に関する(メチル化塩基は「m」と表される。図3を参照)。本プロセスは、上述のものと本質的に同一であり、Bstポリメラーゼが、BstU1(CG^CG)制限エンドヌクレアーゼの存在下において、ハイブリダイズした一次プライマーの連続した伸長に用いられる(図3、ステップB)。BstU1は、非メチル化の場合二本鎖DNAを切断するが、ハイブリッドメチル化/非メチル化DNA、及び非メチル化一本鎖DNAは切断しない(図3、ステップB)(Zierhut & Diffley,“Break Dosage,Cell Cycle Stage and DNA Replication Influence DNA Double Strand Break Response,”EMBO J.27(13):1875−85(2008)を参照、その全体が参照として本明細書に組み込まれている)。ポリメラーゼは、ローリングサークル増幅中に標的のいくつかのコピーを生成し、かつ非メチル化CGCG部位は二本鎖形態においてBstU1により切断されるため、本プロセスは、初期の標的DNA内の全てのBstU1部位でメチル化断片を特異的に選択する。図3は、BstUI制限エンドヌクレアーゼでの本法を示しているが、非メチル化の場合の二本鎖DNAを切断するが、ハイブリッドメチル化/非メチル化DNA、及び非メチル化一本鎖DNAは切断しない他のエンドヌクレアーゼを利用して、メチル化ゲノムDNAを特異的に増幅することができる。これらのエンドヌクレアーゼとしては、高温性酵素BstHHI(GCGCを認識;HhaIのイソ制限酵素)、BsiSI(CCGGを認識;HpaIIのイソ制限酵素)、及びTaiI(ACGTを認識;MaeIIのイソ制限酵素)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの酵素は全て、内部CpG配列のメチル化に対して感受性がある。本シリーズの最後の酵素であるTaqI制限酵素は、CpG部位でのメチル化に対して非感受性であるため、上記技術には適していない。
本発明の別の態様では、集団の各環状核酸構築物は、第2の一本鎖合成核酸セグメントに結合した宿主生物からの元のゲノムDNAの第1の一本鎖セグメントを含み、ここで前記第2の一本鎖セグメントは、1つ以上のプライマー特異的配列(例えば、第1及び/または第2の固体支持体プライマー特異的部分)、並びに任意で、患者識別子配列を含む。本発明の本態様に関して、第2の一本鎖セグメントは固有の識別子部分を含有してもよいし、しなくてもよい。集団のキメラ一本鎖核酸構築物を環化すると、本明細書に記載したローリングサークル増幅及び/または配列決定に好適となる。
第2の一本鎖セグメントの患者識別子配列は、元のゲノムDNAの患者源を識別する役割を果たす。患者識別子配列は通常約5〜8ヌクレオチド長を占め、異なる患者から生じる配列を区別するように設計されている。好ましい実施形態では、配列決定で単一塩基のエラーが生じても、正しい患者識別子配列の実際的な識別を可能にするように、患者識別子配列は少なくとも3つの位置で、互いに異なっている。現在での臨床実験の実施においては、試料のバッチ作業は通常、8、16、24、48、96、または384個の試料が同時に処理されるように、96及び384ウェルプレートフォーマットとの適合性があるように設計されている。
本発明の別の態様は、異なる環状キメラ一本鎖核酸構築物の集団を含むシステムに関する。集団の各構築物は、宿主生物からの元のゲノムDNAの第1の一本鎖セグメントと、前記第1の一本鎖セグメントに結合し、前記宿主生物に対して外来性のヌクレオチド配列を含む、第2の一本鎖核酸セグメントとを含む。第2の一本鎖核酸セグメントのヌクレオチド配列は、第1の固体支持体プライマー特異的部分、第2の固体支持体プライマー特異的部分、及び患者識別子配列を含む。集団中のキメラ一本鎖核酸構築物は環化され、ローリングサークル増幅及び/または配列決定に適している。本システムは、伸長生成物の集団を更に含み、各伸長生成物は、集団からのキメラ一本鎖核酸構築物に相補的な2つ以上のタンデム線状配列を含む。集団中の各伸長生成物を、集団中の相補環状キメラ一本鎖核酸構築物にハイブリダイズする。図4のステップBでは、本発明の本システムの例示的描写を提供する。
本発明の本システムは、複数の固定化された第1のオリゴヌクレオチドプライマーを有する固体支持体を更に含んでよい。固体支持体上の各第1のオリゴヌクレオチドプライマーは、集団のキメラ一本鎖核酸構築物の第1の固体支持体プライマー特異的部分ヌクレオチド配列と同一であり、かつ、伸長生成物の第1の固体支持体プライマー特異的部分に相補的なヌクレオチド配列を有する。したがって、固体支持体上の1つ以上の第1のオリゴヌクレオチドプライマーは、第1の固体支持体プライマー特異的部分を介して、伸長生成物の集団の伸長生成物にハイブリダイズすることができる。図4、ステップCでは、本発明の本システムの例示的描写を提供する。
固体支持体は、多種多様な材料から作製することができる。基質は、粒子、鎖、沈殿物、ゲル、シート、チューブ、球体、ビーズ、容器、毛細管、パッド、スライス、フィルム、プレート、スライド、ディスク、膜として存在する、生物学的基質、非生物学的基質、有機基質、無機基質、またはこれらの任意の組み合わせであってよい。基質は、ディスク、正方形、円等の任意の便利な形状を有してよい。基質は好ましくは平らであるが、種々の代替の表面形状をとってよい。例えば、基質は、ハイブリダイゼーションが行われる隆起した、または陥没した領域を含有してよい。基質及びその表面は、本明細書で記載される配列決定反応を実施する堅い支持体を形成するのが好ましい。
鋳型調製に用いられる、市販の次世代配列決定用固体支持体プラットフォームを、本発明のシステム及び方法で利用することができる。例えば、Illumina(登録商標)フローセル、Life Technologies(登録商標)IonSphere(商標)、並びにエマルションPCRビーズ及び454エマルションPCRビーズを、本発明のシステム及び方法で使用することができる。したがって、環状キメラ一本鎖核酸構築物の第1の固体支持体プライマー特異的部分は、市販されているNGS固体支持体上で固定化されるプライマーと同じように設計される。したがって、第1の固体支持体プライマー特異的部分の相補体を含有する伸長生成物は、NGS固体支持体表面上でプライマーにハイブリダイズすることができる。
本発明の本システムは、図5、ステップAに示すように、架橋オリゴヌクレオチドの集団を更に含んでよい。架橋オリゴヌクレオチドは、2つ以上のヌクレオチド配列の反復を有するオリゴヌクレオチドであり、ここで、反復ヌクレオチド配列は、集団中のキメラ一本鎖核酸構築物の第2の一本鎖核酸セグメントの少なくとも一部と同一の配列を有する。したがって、架橋オリゴヌクレオチドの反復ヌクレオチド配列は、キメラ核酸の伸長生成物のヌクレオチド配列の少なくとも一部(即ち、第2の一本鎖セグメントに対応する伸長生成物の一部)に相補的である。反復ヌクレオチド配列は、約10〜25ヌクレオチド長であってよい。各架橋オリゴヌクレオチドの1つ以上のヌクレオチド配列反復は、図5、ステップB〜Dに示すように、伸長生成物の集団の伸長生成物のタンデム線状配列にハイブリダイズし、縮合構造を形成する。
図5、ステップE〜Hに示すように、1つ以上の架橋オリゴヌクレオチドに結合した縮合伸長生成物を、複数の固定化された第1のオリゴヌクレオチドプライマーを有する固体支持体上で捕捉することができる。上述のように、固体支持体上の第1のオリゴヌクレオチドプライマーは、伸長生成物の第1の固体支持体プライマー特異的部分に相補的なヌクレオチド配列(即ち、キメラ一本鎖核酸構築物の第1の固体支持体プライマー特異的部分のヌクレオチド配列と同一のヌクレオチド配列)を有する。図5、ステップEに示すように、縮合伸長生成物構造体の1つ以上のタンデム線状配列を、固体支持体上で1つ以上の第1のオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイゼーションさせることで、縮合構造を固定化してよい。酵素により切断される、切断可能な結合(図5、ステップE及びFでは三角形で示す)を含有するように架橋オリゴヌクレオチドを設計することができる。好適な切断可能な結合としては、リボヌクレオチド、デオキシウラシル、アプリン酸部位、及び8−オキソグアニンが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、架橋オリゴヌクレオチドは、APE1エンドヌクレアーゼ、エンドIII、エンドIV、エンドVIII、Fpg、またはhOGG1により切断されるアプリン酸部位を含有してよい。架橋オリゴヌクレオチドの切断により、縮合構造が分解し、伸長生成物の個々のタンデム配列が、固体支持体表面上での隣接プライマーへのハイブリダイゼーションにより局所的に捕捉され、カーペット様構造を作り出す(図5、ステップF)。図5、ステップGに示すように、本アプローチにより、元の標的ゲノムDNA配列の数百〜数千のタンデム相補コピーが互いに隣接して捕捉されることが確実となり、これは後続の配列決定に好適である。
本発明の別の態様は、異なる環状キメラ一本鎖核酸構築物の集団を含むシステムに関する。各構築物は、宿主生物からの元のゲノムDNAの第1の一本鎖セグメントと、前記第1の一本鎖セグメントに結合し、前記宿主生物に対して外来性のヌクレオチド配列を含む、第2の一本鎖核酸セグメントとを含む。第2の一本鎖核酸セグメントのヌクレオチド配列は、第1の固体支持体プライマー特異的部分、第2の固体支持体プライマー特異的部分、及び患者識別子配列を含む。集団中のキメラ一本鎖核酸構築物は、ローリングサークル増幅及び/または配列決定に適している。本システムは、1つ以上のオリゴヌクレオチド増幅プライマーを更に含み、各プライマーは、集団中のキメラ一本鎖核酸構築物の第1の固体支持体プライマー特異的部分または第2の固体支持体プライマー特異的部分に相補的な、少なくとも第1のヌクレオチド配列部分を含む。最後に、本システムはまた、ローリングサークル増幅に適したポリメラーゼも有する。
本発明の本システムの例示的な描写を、図4、ステップAに示す。環化キメラ核酸構築物は、元のゲノムDNAセグメント(細い黒線)を含有し、元のDNAセグメント内にある問題の単一塩基置換または変異は、アスタリスク(*)で示される。構築物の第2の一本鎖セグメントは、キメラ構築物の第1の固体支持体プライマー特異的部分(太い黒線で示す)、及び第2の固体支持体プライマー特異的部分(黒の二重線で示す)を含有する。キメラ構築物のローリングサークル増幅のプライミングに適した増幅プライマーは、図4、ステップAの左パネルに示す、構築物の第1の固体支持体プライマー特異的部分のセグメント;図4、ステップAの中央及び右パネルに示す、キメラ構築物の第1及び第2の固体支持体プライマー特異的部分の両方のセグメント;または図9、ステップAに示す構築物の第2の固体支持体プライマー特異的部分の一部に相補的であることができる。この後者の実施形態において、キメラ構築物の第2の固体支持体プライマー特異的部分に相補的な増幅プライマーを固体支持体上に固定することで、ローリングサークル増幅中に形成した伸長生成物が固体支持体に直接繋がれる。代替の実施態様において、増幅プライマーは、図4、ステップD及び図10、ステップAに示すように、固体支持体に繋がれることが可能な更なる部分を含んでよい。一実施形態では、更なる部分は、固体支持体に固定化された捕捉オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列に相補的な固有のヌクレオチド配列を含む。別の実施形態において、更なる部分は、固体支持体上で固定化された第1または第2の固体オリゴヌクレオチドプライマーに相補的なヌクレオチド配列を含む。別の実施形態において、更なる部分は、固体支持体上で固定化された捕捉結合パートナーにより捕捉される捕捉部分である。捕捉部分及び捕捉結合パートナーは、天然の核酸である必要はない。例えば、捕捉部分は、固定化ストレプトアビジンまたはNTAマトリックスによりそれぞれ捕捉される、ビオチン基またはHisタグであってよい。
別の実施形態において、1つ以上のオリゴヌクレオチド増幅プライマーは、(i)集団のキメラ一本鎖核酸構築物の元のゲノムDNAセグメントに相補的な第1のヌクレオチド配列、(ii)切断可能なヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体と、前記オリゴヌクレオチド増幅プライマーの3’ポリメラーゼ伸長をブロックするブロック基とを含む3’部分、及び(iii)切断可能なヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体と捕捉基とを含む5’部分を含み、捕捉基は固体支持体に固定化されることが可能である。
別の実施形態において、1つ以上のオリゴヌクレオチド増幅プライマーは、(a)(i)集団のキメラ一本鎖核酸構築物の元のゲノムDNAセグメントの第1の部分に相補的な第1のヌクレオチド配列、及び(ii)切断可能なヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体と、前記第1のオリゴヌクレオチド増幅プライマーの3’ポリメラーゼ伸長をブロックするブロック基とを含む3’部分を有する、第1のオリゴヌクレオチド増幅プライマー、並びに(b)(i)集団のキメラ一本鎖核酸構築物の元のゲノムDNAセグメントの第2の部分に相補的な第1のヌクレオチド配列、及び(ii)切断可能なヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体と捕捉基とを含む5’部分を有する第2のオリゴヌクレオチド増幅プライマーを含み、捕捉基は固体支持体に固定化されることが可能である。
本発明の本態様に関して、本システムは、複数の固定化された第1のオリゴヌクレオチドプライマーを有する固体支持体を更に含んでよい。固体支持体上の第1のオリゴヌクレオチドプライマーは、集団のキメラ一本鎖核酸構築物の第1の固体支持体プライマー特異的部分のヌクレオチド配列と同一のヌクレオチド配列を有する(例えば、図6、ステップBを参照)。本システムの固体支持体は、集団のキメラ一本鎖核酸構築物の第2の固体支持体プライマー特異的部分のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有する、複数の固定化された第2のオリゴヌクレオチドプライマーを更に含んでよい(例えば、図5、ステップBを参照)。上述のように、鋳型調製に用いられる、市販のNGS固体支持体プラットフォーム(例えばIllumina(登録商標)フローセル、Life Technologies IonSphere(登録商標)等)は、本発明のシステムに適している。
本発明のシステムはまた、上述の架橋オリゴヌクレオチドの集団(即ち、ヌクレオチド配列の2つ以上の反復を有するオリゴヌクレオチド:ここで、反復ヌクレオチド配列は、集団中のキメラ一本鎖核酸構築物の第2の一本鎖核酸セグメントの少なくとも一部と同一の配列を有する)を含んでもよい。
本発明の本態様に従い、本システムのポリメラーゼは、ローリングサークル増幅に好適な鎖置換ポリメラーゼである。代表的な鎖置換ポリメラーゼとしては、phi29DNAポリメラーゼ、Bst DNAポリメラーゼ(大型断片または5’→3’エキソ)、Bsu DNAポリメラーゼ(大型断片または5’→3’エキソ)、DeepVentR(登録商標)(エキソ)ポリメラーゼ、クレノウ断片(3’→5’エキソ)、DNAポリメラーゼI(5’→3’エキソ)、M−MuLV逆転写酵素、VentR(登録商標)(エキソ)DNAポリメラーゼ、及びPyroPhage3173DNAポリメラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。他の例示的な鎖置換ポリメラーゼとしては、SD DNAポリメラーゼ(変異Taq DNAポリメラーゼ)(米国特許公開公報第2012/0115145号(Fu)、国際公開第2014/161712号(Ignatovら)、及びIgnatovら「A Strong Stand Displacement Activity of Thermostable DNA Polymerase Markedly Improves the Results of DNA Amplification,”BioTechniques 57:81087(2014)」を参照:それら全体が参考として本明細書に組み込まれる);AptaHotTaqポリメラーゼ(5’フラップエンドヌクレアーゼ活性と共に、熱安定性5’→3’ポリメラーゼ活性);好熱性ウイルス及び微生物由来のポリメラーゼ(米国特許公開公報第2012/0083018(Schoenfeldら)、及び米国特許第8,093,030号(Schoenfeldら)を参照:それら全体が参考として本明細書に組み込まれる);国際公開第2006/030455(Hjorleifsdottirら)、及び米国特許公開公報第2008/0311626号(Hjorleifsdottirら)(それら全体が参考として本明細書に組み込まれる)に開示されている、Thermus antranikianii及びThermus brockianus由来のポリメラーゼ;Thermus scotoductus由来の熱安定性ポリメラーゼ(国際公開第WO2007/076461(Rechら)を参照:その全体が参照として本明細書に組み込まれている);並びにBacillus pallidus由来のI型DNAポリメラーゼ(米国特許第5,736,373号(Hamilton)を参照:その全体が参照として本明細書に組み込まれている)等の、熱安定性及び鎖置換活性を有するものが挙げられる。当該技術分野において公知の他の鎖置換ポリメラーゼもまた、本システム及び関連する本発明の方法に好適である。
本発明の別の態様は、本システムを用いた、複数の核酸分子配列決定方法に関する。本方法に従い、相補集団中のキメラ一本鎖核酸構築物にハイブリダイズしたオリゴヌクレオチド増幅プライマーをポリメラーゼとブレンドし、ローリングサークル増幅反応混合物を形成する。ローリングサークル増幅反応混合物を伸長処理に供する。この処理で、ポリメラーゼは、1つ以上のハイブリダイズしたオリゴヌクレオチド増幅プライマーを伸長し、複数の一次伸長生成物を作製する。各一次伸長生成物は1つ以上のタンデム線状配列を含み、各タンデム線状配列は、集団中の環状キメラ一本鎖核酸構築物に相補的である。環状キメラ一本鎖核酸構築物は、直接配列決定することができる。例えば、環状キメラ構築物は、SBS用の鋳型である。あるいは、ローリングサークル増幅反応から形成した一次伸長生成物は、配列決定用に用いられる鋳型である。上記の通り、当該技術分野において公知の任意の配列決定方法を利用し、環状核酸構築物またはその一次伸長生成物の配列決定をすることができる。
一実施形態では、一次伸長生成物は配列決定の前に固体支持体上に固定化される。好適な固体支持体は、それぞれが、集団のキメラ一本鎖核酸構築物の第1の固体支持体プライマー特異的部分のヌクレオチド配列と同一のヌクレオチド配列を有する(即ち、一次伸長生成物の第1の固体支持体プライマー特異的部分に相補的な配列を有する)、少なくとも複数の第1のオリゴヌクレオチドプライマーを含む。好適な固体支持体としては、市販されており、次世代配列決定プラットフォームでの鋳型調製に利用されるもの、例えばIllumina(登録商標)フローセル、Life Technologies(商標)Ion Sphere(商標)が挙げられるが、これらに限定されない。一次伸長生成物は固体支持体上で第1のオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズし、以下でより詳細に記載するように、支持体上で配列決定される。
固体支持体は、複数の第2のオリゴヌクレオチドプライマーを更に含んでよい。第2のプライマーは、キメラ一本鎖核酸構築物の第2の固体支持体プライマー特異的プライマー部分に相補的なヌクレオチド配列を有する。図9、ステップBに示すように、かつ本明細書でより詳細に記載するように、核酸構築物のローリングサークル増幅は固体支持体上で第2のオリゴヌクレオチドプライマーによりプライミングされ得る。本アプローチを使用し、一次伸長生成物を固体支持体上で直接繋げることができる。
図5、ステップA〜Gに示すように、架橋オリゴヌクレオチドを利用して、ローリングサークル増幅反応から形成される伸びた一次伸長生成物を縮合することができる。図5、ステップAに示すように、DNAポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)が、元のゲノムセグメントを含有する環状構築物の周りで増幅プライマーを伸長する。ポリメラーゼが伸長を続けると、図5、ステップBに示すように、伸びた一次伸長生成物は、架橋オリゴヌクレオチドの相補的な反復領域にハイブリダイズすることにより縮合する。図5、ステップC及びDに示すように本プロセスは継続し、縮合構造中で、数百〜数千の標的DNAのタンデム相補コピーを生成する。異なる相補配列を有するオリゴヌクレオチドの数、及び所与のオリゴヌクレオチド内のタンデムリピートの数を変化させることにより、ループ、即ち「架橋ノード」の数を変更させることができ、構造体の「緻密性」を調節する可能性をもたらす。図5、ステップEに示すように、縮合一次伸長生成物は、一次伸長生成物の相補的な第1のオリゴヌクレオチドプライマーへのハイブリダイゼーションにより固体支持体上に固定化することができる。図5、ステップEに示すように、縮合構造はいくつかの位置にて相補プライマーにハイブリダイズする。架橋オリゴヌクレオチドは切断可能な結合を含有し、切断の際、縮合構造が壊れ始める(図5、ステップF)。一次伸長生成物の個々のループは、固体支持体の表面上の隣接第1プライマーにハイブリダイズすることで局所的に捕捉され、カーペット様構造を作り出す(図5、ステップG)。本アプローチにより、数百〜数千の標的のタンデムコピーが互いに隣接して捕捉されることが確実となり、これは後の配列決定に好適である。
図6は、本発明に従った、例示的な配列決定方法を示す。図6、ステップAに示すように、本プロセスは、環状キメラ核酸鋳型にハイブリダイズした増幅プライマーを伸長するDNAポリメラーゼ(例えばPhi29ポリメラーゼ;塗りつぶした菱形)により開始し、一次伸長生成物を生成する。伸長生成物は固体支持体上で第1のオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズする(図6、ステップB)。図6、ステップCに示すように、ローリングサークル増幅反応から形成した伸びた伸長生成物は、表面上で隣接第1のオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズすることで、固体支持体上で局所的に捕捉され、カーペット様構造を作り出す。図6、ステップDに示すように、本アプローチにより、数百〜数千の元のゲノムDNAのタンデム相補コピーが、後続の配列決定のために互いに隣接して捕捉されることが確実となる。
一次伸長生成物が固体支持体上で固定化されると(図6、ステップD)、図6、ステップEに示すように、配列決定プライマーが固体支持体上の第1のオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端に隣接してハイブリダイズする。任意に、図6、ステップEでまた示すように、PNAまたはブロッキングオリゴヌクレオチドは第1のオリゴヌクレオチドプライマーの5’末端に隣接してハイブリダイズすることができる。図6、ステップFに示すように、一次伸長生成物は、配列決定プライマーによりプライミングされる、SBS反応用の鋳型である。形成されるSBS二次伸長生成物が、PNAまたはブロッキングオリゴヌクレオチドにより更に伸長できなくなるまで、配列決定は続く(図6、ステップG)。
反対の鎖を配列決定するために(即ち、一次伸長生成物の配列を得るために)、固体支持体上の第1のオリゴヌクレオチドプライマーをアンブロックする。5’−3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)が、図6、ステップHに示すように、合成反応による配列決定からの生成物を分解しながら、固体支持体上で繋がれた配列決定プライマーを伸長する。図6、ステップIに示すように、PNAまたはブロッキングオリゴヌクレオチド(太い縞模様の線)のために更に進むことができなくなるまで、ポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)が鎖を伸長する。これが鋳型の単一長コピーを生成し、各鋳型は、元のゲノムDNAのコピーを含む。図6、ステップJに示すように、元の一次伸長生成物及び環状鋳型が変性され、洗い流される。図6、ステップKに示すように、第2の配列決定プライマーを各単一長鋳型鎖にハイブリダイズし、図6、ステップL及びMに示すように、合成による配列決定を用いて、固定化鋳型の配列を得る。
図7は、本発明に従った配列決定の別の代表的な方法を示す。本方法は、環状キメラ核酸構築物のローリングサークル増幅、並びに、第1及び第2のオリゴヌクレオチドプライマーを共に有する固体支持体上での、一次伸長生成物の捕捉を伴う。図7、ステップAに示すように、鎖置換DNAポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)が環化鋳型上で増幅プライマーを伸長し、一本鎖一次伸長生成物を生成する。固体支持体表面上の第1のオリゴヌクレオチドプライマーは、ローリングサークル増幅プロセス中に伸長をできなくさせる、3’末端の取り外し可能なブロック基を含有する(図7、ステップB)。ブロック基は、ポリメラーゼまたは他の酵素の、生産的な方法でのオリゴヌクレオチドとの増幅、伸長または反応を防止する化学的部分である。本実施例では、ブロック基は3’末端のポリメラーゼ伸長を防止する。好適なブロック基としては、C3スペーサー、C18スペーサー、重合停止ヌクレオチド、2’−Oメチルリボヌクレオチド誘導体、3’ホスフェート、または3’もしくは2’OH部分の他の修飾が挙げられるが、これらに限定されない。ブロック基そのものは、例えば、可逆的重合停止ヌクレオチド、もしくは3’ホスフェート、またはブロック基の使用により切断することができるか、及び任意でいくつかの追加のヌクレオチドは、切断可能な結合における切断により除去された後、遊離3’OH末端を遊離させることができる。好適な切断可能な結合としてはリボヌクレオチド、デオキシウラシル、アプリン酸部位、及び8−オキソグアニンが挙げられるが、これらに限定されない。図7、ステップCに示すように、ローリングサークル増幅が伸びた一次伸長生成物を生成し続けると、生成物は固体支持体表面上で隣接する第1のオリゴヌクレオチドプライマーに局所的にハイブリダイズされて捕捉され、カーペット様構造を作製する。本アプローチにより、数百〜数千のタンデムコピーが固体支持体表面上で互いに隣接して捕捉されることが確実となる(図7、ステップD)。
図7、ステップEに示すように、ブロック基は固体支持体上で一次伸長生成物にハイブリダイズした第1のオリゴヌクレオチドプライマーから除去される。ブロック基は切断可能な結合を切断することで除去されてよい。リボヌクレオチドの切断可能な結合は、RNaseHを用いて切断可能であり、デオキシウラシルの切断可能な結合は、UDG及びAPエンドヌクレアーゼを用いて、またはUDG、エンドVIII及びT4キナーゼを用いて切断可能であり、アプリン酸部位の切断可能な結合はTthエンドIV、エンドIV、またはAPエンドヌクレアーゼを用いて切断可能であり、かつ、8−オキソグアニン切断可能な結合はFgpで切断可能である。プライマーがアンブロックされると、プライマーが伸長され、これにより、5’→3’ヌクレアーゼ活性を欠くポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)を用いて、固体支持体上の数百〜数千の位置にて一次伸長生成物がコピーされる(図7、ステップF)。これにより、環化鋳型の単一長二次伸長生成物を生成する。図7、ステップGに示すように、一次伸長生成物及び環状鋳型を変性させて洗い流し、得られる鋳型の二次伸長生成物を、図8、ステップA〜Iに示す後続の配列決定に好適なものにする。
図8は、第1及び第2のオリゴヌクレオチドプライマーを共に有する固体支持体上で捕捉される、ローリングサークル増幅標的(例えば二次伸長生成物)の配列決定を示す。図8、ステップAは、図7に示すハイブリダイズした一次伸長生成物の、ポリメラーゼが仲立ちする伸長から生成した単一長二次伸長生成物を示す。配列決定プロセスは、図8、ステップAに示すように、配列決定プライマーが二次伸長生成物にハイブリダイズすることで開始する。SBSを用いて、固定化二次伸長生成物の配列を得る(図8、ステップB)。伸長生成物が繋がれた第1のオリゴヌクレオチドプライマーの末端に到達するまで、配列決定を続ける(図8、ステップC)。SBS生成物を、繋がれた二次伸長生成物から変性させ、一本鎖二次伸長生成物を、図8、ステップDに示すように固体支持体上の第2のオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズする。二次伸長生成物を、ハイブリダイズした第2のオリゴヌクレオチドプライマーを伸長することによりコピーし、二次伸長生成物の完全長コピー、即ち三次伸長生成物を生成する(図8、ステップE)。後続の配列決定に好適な、繋がれた三次伸長生成物を残しながら、二次伸長生成物を切断し、変性させ、洗い流す(図8、ステップE〜F)。配列決定プライマーを三次伸長生成物にハイブリダイズし(図8、ステップG)、SBSを実施して、図8、ステップH及びIに示すように三次生成物の配列を得る。
二次及び三次伸長生成物の配列決定は、本明細書で記載及び図示したSBSを使用して達成することができる。SBSとしては、蛍光ベースのSBS、及びイオンベースのSBSが挙げられる。例えば、蛍光プライマーハイブリダイゼーション、分子ビーコンハイブリダイゼーション、プライマー伸長、エキソヌクレアーゼベースの配列決定、リガーゼ検出反応、リガーゼ連鎖反応、パイロシーケンス法、蛍光ベースのSBL、ナノポア及びナノチューブベースの配列決定、並びにイオンベースのSBLを含むがこれらに限定されない、他の好適な配列決定方法もまた用いることができる。
図9は、本発明に従った配列決定の別の代表的な方法を示す。図9、ステップAに示すように、本実施形態は、固体支持体上での、キメラ環状核酸構築物の第2の非ブロックオリゴヌクレオチドプライマーへの直接ハイブリダイゼーションを伴う。第2のプライマーは増幅プライマーとして機能し、環状構築物のローリングサークル増幅をプライミングする。生成される一次伸長生成物を、固体支持体に直接繋げる(図9、ステップA)。ローリングサークル増幅により生成される一次伸長生成物は、図9、ステップB及びCに示すように、除去可能な3’ブロック基を含有する固体支持体上で第1のオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズすることにより、複数の「カーペットループ」構造体を生成する。第1プライマーの3’ブロック基が除去され(図9、ステップD)、第1プライマーが好適なポリメラーゼ(例えば、5’→3’ヌクレアーゼ活性を欠いているポリメラーゼ)により伸長可能となり、固体支持体表面に共有結合した、数百〜数千の単一長二次伸長生成物で構成される表面を生成する(図9、ステップE)。図9、ステップE〜Fに示すように、第1プライマーを切断する部位特異的切断試薬または酵素による表面処理、続いて変性ステップにより、図8、ステップA〜Iで図示及び説明する後続の配列決定に好適な共有結合した二次伸長生成物を残しながら、一次伸長生成物を放出する。
図10は、本発明に従った配列決定の別の例示的な方法を示す。本実施形態において、増幅プライマーは、短い一本鎖尾部、即ち、固体支持体上に捕捉される更なる部分を含む。図10、ステップAに示すように、更なる部分は、固体支持体表面上の捕捉プローブまたはプライマーのヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含んでよい。更なる部分の、相補捕捉プローブまたはプライマーへのハイブリダイゼーションは、ローリングサークル増幅により形成された一次伸長生成物を、固体支持体に直接繋げる。ローリングサークル増幅が、キメラ環状構築物のタンデム相補コピーを含む伸びた一次伸長生成物を生成し続けると、一次伸長生成物が、表面上での3’ブロックされた第1のオリゴヌクレオチドプライマーへのハイブリダイゼーションにより局所的に捕捉され、表面上で複数のカーペットループ構造体を生成する(図10、ステップB及びC)。第1プライマーが脱ブロックされ(図10、ステップD)、5’→3’ヌクレアーゼ活性を欠くポリメラーゼにより伸長し、単一長の複数の二次伸長生成物を形成する(図10、ステップE)。変性により一次伸長生成物が放出され、元の環化鋳型と同一のセンスであり、全ての末端に、3’末端で規定されたプライマー結合配列を有する、共有結合した二次伸長生成物が残る。共有結合した二次伸長生成物は、図8で示す配列決定に好適な鋳型である。
図11は、本発明に従った配列決定の別の例示的な方法を示す。図11、ステップAにおいて、Phi29 DNAポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)はキメラサークル鋳型上で増幅プライマーを伸長し、短い一本鎖一次伸長生成物を生成する。ポリメラーゼ及び一次伸長生成物は環状鋳型から変性される。図11、ステップBに示すように、一次伸長生成物は固体支持体上で第1プライマーにハイブリダイズする。一次伸長生成物は、複数の位置(塗りつぶした菱形)にて、固定化された第1のオリゴヌクレオチドプライマーのポリメラーゼ伸長によりコピーされる。好適なポリメラーゼとしては、上述のような、5’→3’ヌクレアーゼ活性を欠いているポリメラーゼが挙げられる。これにより、単一長の二次伸長生成物が生成される(図11、ステップC)。図11、ステップDに示すように、一次伸長生成物を変性させて洗い流す。クラスター増幅プロセスを用いて、残りの一本鎖二次伸長生成物を増幅する。ここで、図11、ステップEに示すように、二次伸長生成物は固体支持体上で第2のオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズする。第2のプライマーは、伸長したポリメラーゼであり(図11、ステップF)、三次伸長生成物を形成する。変性後(図11、ステップG)、二次及び三次伸長生成物は、固体支持体上で相補的な第1及び第2のプライマーにハイブリダイズする(図11、ステップH)。ハイブリダイズしたプライマーは伸長したポリメラーゼであり、図11Iに示すように、二次及び三次伸長生成物のコピーを形成する。伸長生成物は変性され、図8に示す方法を用いて、本プロセスを繰り返して各鎖を配列決定するために十分な鋳型を生成する(図11、ステップJ)。限定的な(短い)RCA単位複製配列の、共有結合した個々のコピーを用いる表面形成の代替手段としては、セコイア増幅(Sequoia amplification)(国際公開第2013/012440号(Baranyら)、その全体が参照として本明細書に組み込まれている)、及び野火増幅(wildfire amplification)(Maら、「Isothermal Amplification Method for Next−Generation Sequencing」Proc Natl Acad Sci U S A 10(35):14320−3(2013)、その全体が参照として本明細書に組み込まれている)が挙げられる。
図12は、図11で示したものに類似の、本発明に従った配列決定の別の代表的な方法を示す。図12、ステップAにおいて、Phi29またはBst DNAポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)はキメラサークル鋳型上で増幅プライマーを伸長し、一本鎖一次伸長生成物を生成する。ポリメラーゼ及び一次伸長生成物は環状鋳型から変性される。図12、ステップBに示すように、一次伸長生成物は、固体支持体上の2つ以上のウェルまたは領域内で複数の第1プライマーにハイブリダイズする。一次伸長生成物は長いため、プライマーを有する固体表面上の複数のウェルまたは別個の領域内に伸長されてよい。長い伸長生成物の本性質の利点は、同一標的が複数の隣接ウェルまたは領域内で配列決定されるため、低量の変異を更に確認できることである。図12、ステップCに示すように、一次伸長生成物は複数の位置(塗りつぶした菱形)にて、固定化された第1のオリゴヌクレオチドプライマーのポリメラーゼ伸長によりコピーされる。好適なポリメラーゼとしては、上述のような、5’→3’ヌクレアーゼ活性を欠いているポリメラーゼが挙げられる。これにより、タンデムリピート伸長生成物が生成されるウェル間で架橋が行われる場合を除いて、単一長の二次伸長生成物が生成される(図12、ステップC及びD)。図12、ステップEに示すように、一次伸長生成物を変性させて洗い流す。クラスター増幅プロセスを用いて、残りの一本鎖二次伸長生成物を増幅する。ここで、図11、ステップE〜Iに示すように、二次伸長生成物は固体支持体上で第2のオリゴヌクレオチドプライマーにハイブリダイズする。伸長生成物は変性され、図8に示す方法を用いて、本プロセスを繰り返して各鎖を配列決定するために十分な鋳型を生成する(図11、ステップJ)。
本発明の別の態様は、本明細書で記載されるシステム及び方法の構成成分である環状キメラ一本鎖核酸構築物の作製方法に関する。いくつかの例示的方法を以下に述べ、添付の図面に示している。
環状キメラ一本鎖核酸構築物の1つの好適な作製方法は、1つ以上の標的ゲノムDNAセグメントを含有する試料を提供する工程を伴う。標的ゲノムDNAセグメントは、1つ以上の塩基の違い、または、検出のための関心対象の1つ以上のメチル化残基を含有する可能性があり得る。本方法は、1つ以上の第1のオリゴヌクレオチドプローブを提供する工程を更に伴い、各第1のオリゴヌクレオチドプローブは、(a)5’標的特異的部分、(b)3’標的特異的部分、及び(c)更なる部分を含む。更なる部分は、(i)患者識別子配列、(ii)第1の固体支持体プライマー特異的部分、及び(iii)第2の固体支持体プライマー特異的部分を含むヌクレオチド配列である。試料中に存在する場合、第1のオリゴヌクレオチドプローブの3’標的特異的部分が塩基特異的な様式で標的ゲノムDNAセグメントの相補3’末端にハイブリダイズするのに効果的な、かつ第1のオリゴヌクレオチドプローブの5’標的特異的部分が塩基特異的な様式で標的ゲノムDNAセグメントの相補5’末端にハイブリダイズするのに効果的な条件下にて、試料と1つ以上の第1のオリゴヌクレオチドプローブを接触させる。ハイブリダイゼーションの後、第1のオリゴヌクレオチドプローブにハイブリダイズした標的ゲノムDNAセグメントの3’及び5’末端のカップリングに好適な1つ以上のライゲーション能のある接合部が生成され、標的ゲノムDNAセグメントを1つ以上のライゲーション接合部にて互いにライゲーションし、集団の環状キメラ一本鎖核酸構築物を形成する。
図13、ステップA〜Eは、上述の配列決定に好適なキメラ環状一本鎖核酸「標的」構築物の、1つの例示的な作製方法を示す。本実施形態において、元のゲノムセグメントは、160bpの平均長を有する無細胞DNA(cfDNA)のセグメント、または、約160bpの断片に剪断されたゲノムDNAのセグメント(「標的オリゴヌクレオチド」もしくは「DNAセグメント」)を含む。本プロセスは、短いリンカーのDNAセグメントへのライゲーションから開始する(黒い太い棒線、図13、ステップA)。図13、ステップBに示すように、標的DNAセグメントの5’及び3’に相補的、並びに3’リンカーに相補的な配列を含有するオリゴヌクレオチドプローブを、DNAセグメントにハイブリダイズする。図13、ステップBの標的DNAオリゴヌクレオチドの3’末端付近のループ領域は、オリゴヌクレオチドプローブに相補的でない標的オリゴヌクレオチドの領域である。本図に示すように、標的オリゴヌクレオチドセグメントとオリゴヌクレオチドプローブとの間の非相補的小領域は、キメラ環状構築物の形成プロセスに影響を及ぼさない。
オリゴヌクレオチドプローブの更なる部分(太い黒い棒線で示す)はまた、固有の識別子配列、患者識別子配列、プライマー結合配列、及び/または切断可能な結合を含有してもよい(図13、ステップB、左パネル、切断可能な結合は太い棒線間に「U」として標識した)。オリゴヌクレオチドプローブはまた、片端にブロック基を含有してよい(図13、ステップB、右パネル、プローブは5’ブロック基を有する)。図13、ステップCに示すように、ポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)はDNAセグメントのハイブリダイズした短いリンカー3’末端を伸長し、オリゴヌクレオチドプローブの更なる部分をコピーする。本実施形態で用いるポリメラーゼは、エキソヌクレアーゼ活性、例えば5’→3’エキソヌクレアーゼ活性または3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を含んでよい。伸長の後、5’ヌクレアーゼはマッチする標的DNAの5’重複塩基を切断し、5’リンカー領域を除去することで、ライゲーション能のある5’ホスフェートを残す。ポリメラーゼはまた、鋳型として標的DNAセグメントを用いてオリゴヌクレオチドプローブの3’末端を伸長する(図13、ステップC)が、ブロック基は切断しない(図13、ステップC、左側)。図13、ステップD(左パネル)において、リガーゼ(塗りつぶした円)は、伸長標的ゲノムDNAセグメントの3’及び5’末端間、並びに伸長オリゴヌクレオチドプローブの3’及び5’末端でライゲーション接合部を共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する。ニックを、環化オリゴヌクレオチドプローブの切断可能な結合に導入し(例えば、dUのUDG切断、塗りつぶした三角形)、オリゴヌクレオチドプローブを、エキソヌクレアーゼ分解を受けやすくさせる(図13、ステップE、左パネル)。図13、ステップD、右パネルに示すように、リガーゼ(塗りつぶした円)は、伸長標的ゲノムDNAセグメントの3’及び5’末端間のライゲーション接合部を共有結合で閉じるが、オリゴヌクレオチドプローブ上の5’ブロック基はオリゴヌクレオチドプローブの環化を防止する。図13、ステップEに示すように、エキソヌクレアーゼは、例えば固有の識別子配列、プライマー結合配列、または患者識別子配列を含有する更なる部分に結合した元の標的DNAセグメントを含む所望の一本鎖環状核酸構築物を残して、ライゲーションされていないオリゴヌクレオチド生成物またはニックオリゴヌクレオチド生成物(即ちオリゴヌクレオチドプローブ)を全て分解する。上述のように、得られる環化生成物は、ローリングサークル増幅及び環状配列決定に適している。
図14、ステップA〜Eに示すプロセスは、図13、ステップA〜Eに示すプロセスと実質的に同一であるが、オリゴヌクレオチドプローブは、3’末端にブロック基(3’−Blk)、1つ以上の切断可能な結合(「r」)、プライマー結合配列、及び任意の5’捕捉基(「Z」)を含む(図14、ステップBを参照)。ポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)はDNAセグメントのハイブリダイズした短いリンカー3’末端を伸長し、オリゴヌクレオチドプローブの更なる部分をコピーする。重複してマッチする塩基における、DNAセグメントの5’末端のヌクレアーゼ切断により、ライゲーション能のある5’ホスフェートが生成される(図14、ステップC)。図14、ステップDにおいて、リガーゼ(塗りつぶした円)は伸長した末端を共有結合で閉じ、環状標的ライゲーション生成物を作製する。オリゴヌクレオチドプローブの3’ブロック基は、オリゴヌクレオチドプローブの伸長を防止する。続いて、ブロック基が切断可能な結合における切断、例えばリボヌクレオチド「r」のRNase(塗りつぶした三角形)切断により除去される(図14、ステップD)。図14、ステップEに示すように、鎖置換活性を有するポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)はオリゴヌクレオチドプローブの遊離3’末端を伸長し、ローリングサークル増幅を開始する。ローリングサークル増幅により形成された一次伸長生成物は配列決定に好適である。任意の5’Z基は、ローリングサークル増幅の前または後に、固体支持体上で捕捉されてよい。捕捉されると、プライマーが結合した環状ライゲーション生成物またはその伸長物は、ローリングサークル増幅の前または後のいずれかで、切断可能な結合での切断により、固体支持体から遊離されることができる。
図15及び図17は、配列決定に好適なキメラ環状一本鎖核酸「標的」構築物の作製のための、図13に示すものと類似のプロセスを示す。標的ゲノムDNAは、160bpの平均長のcfDNA、または約160bpの断片に剪断されたゲノムDNAに由来する。本プロセスは、短いリンカーのDNAセグメントへのライゲーションから開始する(太い黒い棒線、図15、ステップA、及び図17、ステップA)。図15、ステップB、及び図17、ステップBに示すように、DNAセグメントの5’及び3’末端に相補的な、並びにDNAセグメントの3’リンカーに相補的な配列を含有するオリゴヌクレオチドプローブを、標的DNAセグメントにハイブリダイズする。図15、ステップBに示した実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブは、標的オリゴヌクレオチドの3’末端に非相補的な領域、即ち、ヌクレオチド配列部分(図15、ステップBにおける、オリゴヌクレオチドプローブの3’末端付近のループがほどけた部分)を含有する。更に、リンカーを含む標的オリゴヌクレオチドの5’末端はオリゴヌクレオチドプローブに相補的でないため、フラップを形成する。図17、ステップBの実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブ及び標的オリゴヌクレオチドは共に、それぞれ、標的またはプローブオリゴヌクレオチドに非相補的なヌクレオチド配列部分を含有する。これらの非相補領域は、オリゴヌクレオチドプローブの3’末端付近のループ領域、及び標的オリゴヌクレオチドの5’末端付近のループ領域として示される(図17、ステップB)。これらの領域は、環化核酸構築物を形成する全体的なプロセスに影響を及ぼさない。
オリゴヌクレオチドプローブの更なる部分(太い黒い棒線で示す)は、固有の識別子配列、患者識別子配列、プライマー結合配列、及び/または切断可能な結合(「U」として太い棒線内に示す(図15、ステップB及び17、ステップB、左パネル))を含有してよい。オリゴヌクレオチドプローブはまた、片端にブロック基を含有してもよい(図15、ステップB及び図17、ステップB、右パネル;オリゴヌクレオチドプローブの5’末端上のブロック基)。図15、ステップC及び17、ステップCで示すように、ポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)はDNAセグメントのハイブリダイズした短いリンカー3’末端を伸長し、オリゴヌクレオチドプローブの更なる部分をコピーする。本実施形態で用いるポリメラーゼは、エキソヌクレアーゼ活性、例えば5’→3’エキソヌクレアーゼ活性または3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を含んでよい。伸長の後、5’ヌクレアーゼはマッチする標的DNAの5’重複塩基を切断し、5’リンカー領域を除去することで、ライゲーション能のある5’ホスフェートを残す(図15、ステップC及び図17、ステップC)。ポリメラーゼはまた、標的DNAセグメントを鋳型として用い、オリゴヌクレオチドプローブの3’末端を伸長する(図15、ステップC及び図17、ステップC)。プローブの5’上のブロック基(図15、ステップC及び17、ステップC、左側)は切断されない。図15、ステップD及び図17、ステップD(左パネル)において、リガーゼ(塗りつぶした円)は伸長標的ゲノムDNAセグメントの3’及び5’末端と、伸長オリゴヌクレオチドプローブの3’及び5’末端との間でライゲーション接合部を共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する。ニックを、環化オリゴヌクレオチドプローブの切断可能な結合に導入し(例えば、dUのUDG切断、塗りつぶした三角形)、オリゴヌクレオチドプローブを、エキソヌクレアーゼ分解を受けやすくさせる(図15、ステップE及び図17、ステップE、左パネル)。図15、ステップD及び17、ステップD(右パネル)で示すように、リガーゼ(塗りつぶした円)は、伸長標的ゲノムDNAセグメントの3’及び5’末端間のライゲーション接合部を共有結合で閉じるが、オリゴヌクレオチドプローブ上の5’ブロック基はオリゴヌクレオチドプローブの環化を防止する。図15、ステップE及び図17、ステップEに示すように、エキソヌクレアーゼは、例えば固有の識別子配列、プライマー結合配列、または患者識別子配列を含有する更なる部分に結合した元の標的DNAセグメントを含む所望の一本鎖環状核酸構築物を残して、ライゲーションされていないオリゴヌクレオチド生成物またはニックオリゴヌクレオチド生成物(即ちオリゴヌクレオチドプローブ)を全て分解する。上述のように、得られる環化生成物は、ローリングサークル増幅及び環状配列決定に適している。
図16及び18に示すプロセスは、図15及び17にそれぞれ示すプロセスと実質的に同一であるが、オリゴヌクレオチドプローブは、3’末端にブロック基(3’−Blk)、1つ以上の切断可能な結合、プライマー結合配列、及び任意の5’捕捉基(「Z」)を含む(図16、ステップB及び図18、ステップB)。ポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)はDNAセグメントのハイブリダイズした短いリンカー3’末端を伸長し、オリゴヌクレオチドプローブの更なる部分をコピーする。重複してマッチする塩基における、DNAセグメントの5’末端のヌクレアーゼ切断により、ライゲーション能のある5’ホスフェートが生成される(図16、ステップC及び図18、ステップC)。図16、ステップD及び図18、ステップDにおいて、リガーゼ(塗りつぶした円)は伸長末端を共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する。オリゴヌクレオチドプローブの3’ブロック基は、オリゴヌクレオチドプローブの伸長を防止する。続いて、ブロック基を切断可能な結合にて、切断(例えばリボヌクレオチド「r」のRNase(塗りつぶした三角形)切断)により取り除く。図16、ステップE及び18、ステップEに示すように、鎖置換活性を有するポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)はオリゴヌクレオチドプローブの遊離3’末端を伸長し、ローリングサークル増幅を開始する。ローリングサークル増幅により形成された一次伸長生成物は配列決定に好適である。任意の5’Z基は、ローリングサークル増幅の前または後に、固体支持体上で捕捉されてよい。捕捉されると、プライマーが結合した環状ライゲーション生成物またはその伸長物は、ローリングサークル増幅の前または後のいずれかで、切断可能な結合での切断により、固体支持体から遊離されることができる。
図19及び21は、図13、15及び17に関して上述の、配列決定に好適なキメラ環状一本鎖核酸標的構築物の類似の作製プロセスを示す。標的ゲノムDNAは、160bpの平均長のcfDNA、または約160bpの断片に剪断されたゲノムDNAに由来する。本実施形態において、本プロセスは、短いヌクレオチド配列尾部を、末端トランスフェラーゼを介して、標的オリゴヌクレオチド鎖の3’末端に付加することにより開始する(標的オリゴヌクレオチドの3’末端上の太い黒い棒線、図19、ステップA及び21、ステップA)。図19、ステップB、及び図21、ステップBに示すように、DNAセグメントの5’及び3’末端に相補的な、並びにDNAセグメントの3’リンカーに相補的な配列を含有するオリゴヌクレオチドプローブを、標的DNAセグメントにハイブリダイズする。図19、ステップBに示した実施形態において、DNAオリゴヌクレオチドは、プローブオリゴヌクレオチドに非相補的な領域、即ち、3’末端上のヌクレオチド配列部分(図19、ステップBにおける、標的オリゴヌクレオチドの3’末端付近のループがほどけた部分)を含有する。更に、標的オリゴヌクレオチドの5’末端はオリゴヌクレオチドプローブに相補的でないため、フラップを形成する。図21、ステップBの実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブは、標的オリゴヌクレオチドに非相補的なヌクレオチド配列部分を含有する。この非相補領域は、オリゴヌクレオチドプローブの3’末端付近のループ領域として示される。図21、ステップBにおける標的オリゴヌクレオチドの5’末端はオリゴヌクレオチドプローブに相補的でなく、ヌクレアーゼ切断に好適なフラップを形成する。標的オリゴヌクレオチドとプローブオリゴヌクレオチドとの間のこれらの領域の非相補性は、環化核酸構築物を形成する全体的なプロセスに影響を及ぼさない。
オリゴヌクレオチドプローブの更なる部分(太い黒い棒線で示す)は、固有の識別子配列、患者識別子配列、プライマー結合配列、及び/または切断可能な結合(太い棒線内に「U」として示す)を含有してよい(図19、ステップB及び21、ステップB、左パネル)。オリゴヌクレオチドプローブはまた、片端にブロック基を含有してもよい(例えば、図19、ステップB及び21、ステップB、右パネルは、オリゴヌクレオチドプローブの5’末端上のブロック基を示す)。図19、ステップC及び図21、ステップCに示すように、ポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)はDNAセグメントのハイブリダイズした短いリンカー3’末端を伸長し、オリゴヌクレオチドプローブの更なる部分をコピーする。本実施形態で用いるポリメラーゼは、エキソヌクレアーゼ活性、例えば5’→3’エキソヌクレアーゼ活性または3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を含んでよい。伸長の後、5’ヌクレアーゼはマッチする標的DNAの5’重複塩基を切断し、5’リンカー領域を除去することで、ライゲーション能のある5’ホスフェートを残す。ポリメラーゼはまた、標的DNAセグメントを鋳型として用いて、オリゴヌクレオチドプローブの3’末端を伸長する(図19、ステップC及び21、ステップC)。プローブの5’上のブロック基(図19、ステップC及び21、ステップC、右側)は切断しない。図19、ステップD及び図21、ステップD(左パネル)において、リガーゼ(塗りつぶした円)は伸長標的ゲノムDNAセグメントの3’及び5’末端と、伸長オリゴヌクレオチドプローブの3’及び5’末端との間でライゲーション接合部を共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する。環化オリゴヌクレオチドプローブの切断可能な結合にニックが導入され(例えばdUのUDG切断、塗りつぶした三角形)、オリゴヌクレオチドプローブを、エキソヌクレアーゼ分解を受けやすくさせる(図19、ステップE及び21、ステップE、左パネル)。図19、ステップD及び21、ステップD(右パネル)で示すように、リガーゼ(塗りつぶした円)は、伸長標的ゲノムDNAセグメントの3’及び5’末端間のライゲーション接合部を共有結合で閉じるが、オリゴヌクレオチドプローブ上の5’ブロック基はオリゴヌクレオチドプローブの環化を防止する。図19、ステップE及び21、ステップEに示すように、エキソヌクレアーゼは、例えば固有の識別子配列、プライマー結合配列、または患者識別子配列を含有する更なる部分に結合した元の標的DNAセグメントを含む所望の一本鎖環状核酸構築物を残して、ライゲーションされていないオリゴヌクレオチド生成物またはニックオリゴヌクレオチド生成物(即ちオリゴヌクレオチドプローブ)を全て分解する。上述のように、得られる環化生成物は、ローリングサークル増幅及び環状配列決定に適している。
図20及び22に示すプロセスは、図19及び21にそれぞれ示すプロセスと実質的に同一であるが、オリゴヌクレオチドプローブは、3’末端にブロック基(3’−Blk)、1つ以上の切断可能な結合(「r」)、プライマー結合配列、及び任意の5’捕捉基(「Z」)を含む(図20、ステップB及び図22、ステップB)。ポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)はDNAセグメントのハイブリダイズした短いリンカー3’末端を伸長し、オリゴヌクレオチドプローブの更なる部分をコピーする。重複してマッチする塩基における、DNAセグメントの5’末端のヌクレアーゼ切断により、ライゲーション能のある5’ホスフェートが生成される(図20、ステップC及び図22、ステップC)。図20、ステップD及び図22、ステップDにおいて、リガーゼ(塗りつぶした円)は標的の伸長3’末端を5’末端と共有結合して閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する。オリゴヌクレオチドプローブの3’ブロック基は、オリゴヌクレオチドプローブの伸長を防止する。続いて、ブロック基を切断可能な結合にて、切断(例えばリボヌクレオチド「r」のRNase(塗りつぶした三角形)切断)により取り除く。図20、ステップE及び22、ステップEに示すように、鎖置換活性を有するポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)はオリゴヌクレオチドプローブの遊離3’末端を伸長し、ローリングサークル増幅を開始する。ローリングサークル増幅により形成された一次伸長生成物は配列決定に好適である。任意の5’Z基は、ローリングサークル増幅の前または後に、固体支持体上で捕捉されてよい。捕捉されると、プライマーが結合した環状ライゲーション生成物またはその伸長物は、ローリングサークル増幅の前または後のいずれかで、切断可能な結合での切断により、固体支持体から遊離されることができる。
図23及び図25は、図13、15、17、19、及び21に関して上述の、配列決定に好適なキメラ環状一本鎖核酸「標的」構築物の類似の作製プロセスを示す。標的ゲノムDNAは、160bpの平均長のcfDNA、または約160bpの断片に剪断されたゲノムDNAに由来する。図23及び25の実施形態において、3’または5’リンカーまたは尾部は、ゲノムDNAに付加されない。図23、ステップB、及び図25、ステップBに示すように、DNAセグメントの5’及び3’末端に相補的な配列を含有するオリゴヌクレオチドプローブを、標的DNAセグメントにハイブリダイズする。図23、ステップBに示した実施形態において、DNAオリゴヌクレオチドの3’及び5’末端はオリゴヌクレオチドプローブに相補的でなく、2つのハイブリダイズされていないフラップを形成する。図25、ステップBの実施形態において、DNAオリゴヌクレオチドの3’及び5’末端はオリゴヌクレオチドプローブに相補的である。
オリゴヌクレオチドプローブの更なる部分(太い黒い棒線で示す)は、固有の識別子配列、患者識別子配列、プライマー結合配列、及び/または切断可能な結合(黒い棒線内に「U」で示す)を含有してよい(図23、ステップB及び25、ステップB、左パネル)。オリゴヌクレオチドプローブはまた、片端にブロック基を含有してもよい(例えば、図23、ステップB及び25、ステップB、右パネル;オリゴヌクレオチドプローブの5’末端上のブロック基)。図23、ステップCに示すように、3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)は標的オリゴヌクレオチドの一本鎖3’末端を取り除き、続いて、DNAセグメントの3’末端を伸長してオリゴヌクレオチドプローブの更なる部分をコピーする。標的オリゴヌクレオチドの3’末端の、ポリメラーゼが仲立ちする伸長はまた、図25、ステップBのプロセスでも生じる。図23、ステップC及び図25、ステップCのプロセスにおける伸長に続いて、5’ヌクレアーゼは、マッチする標的DNAの5’重複塩基にて切断を行い、5’リンカー領域を取り除くことで、ライゲーション能のある5’ホスフェートを残す。ポリメラーゼはまた、標的DNAセグメントを鋳型として用いて、オリゴヌクレオチドプローブの3’末端を伸長する(図23、ステップC及び25、ステップC)。プローブの5’上のブロック基(図23、ステップC及び25、ステップC、右側)は切断しない。図23、ステップD及び25、ステップD(左パネル)において、リガーゼ(塗りつぶした円)は伸長標的ゲノムDNAセグメントの3’及び5’末端と、伸長オリゴヌクレオチドプローブの3’及び5’末端との間でライゲーション接合部を共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する。ニックを、環化オリゴヌクレオチドプローブの切断可能な結合に導入し(例えば、dUのUDG切断、塗りつぶした三角形)、オリゴヌクレオチドプローブを、エキソヌクレアーゼ分解を受けやすくさせる(図23、ステップE及び25、ステップE、左パネル)。図23、ステップD及び25、ステップD(右パネル)で示すように、リガーゼ(塗りつぶした円)は、伸長標的ゲノムDNAセグメントの3’及び5’末端間のライゲーション接合部を共有結合で閉じるが、オリゴヌクレオチドプローブ上の5’ブロック基はオリゴヌクレオチドプローブの環化を防止する。図23、ステップE及び25、ステップEに示すように、エキソヌクレアーゼは、例えば固有の識別子配列、プライマー結合配列、または患者識別子配列を含有する更なる部分に結合した元の標的DNAセグメントを含む所望の一本鎖環状核酸構築物を残して、ライゲーションされていないオリゴヌクレオチド生成物またはニックオリゴヌクレオチド生成物(即ちオリゴヌクレオチドプローブ)を全て分解する。上述のように、得られる環化生成物は、ローリングサークル増幅及び環状配列決定に適している。
オリゴヌクレオチドプローブ、例えば図25に示すプロセスで用いられるオリゴヌクレオチドプローブの3’及び5’標的特異的部分を、標的ゲノムDNAセグメントと1つ以上のヌクレオチドミスマッチを含むように設計することができる。この設計の特徴により、ライゲーションされた環化核酸構築物の標的ゲノムDNAセグメントが、ライゲーションされた環化核酸構築物のポリメラーゼ伸長部分から区別可能となることが確実となる(即ち、図25Eにおいて、実線の環化構築物が、破線の構築物と区別することができる)。
図24及び26に示すプロセスは、図23及び25にそれぞれ示すプロセスと実質的に同一であるが、オリゴヌクレオチドプローブは、3’末端にブロック基(3’−Blk)、1つ以上の切断可能な結合、プライマー結合配列、及び任意の5’捕捉基「Z」を含む(図24、ステップB及び26、ステップB)。ポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)はDNAセグメントのハイブリダイズした3’末端を伸長し、オリゴヌクレオチドプローブの更なる部分をコピーする。図24、ステップCの実施形態において、ポリメラーゼは、伸長の前に標的オリゴヌクレオチドの3’非相補フラップを切断する。重複してマッチする塩基における、DNAセグメントの5’末端のヌクレアーゼ切断により、ライゲーション能のある5’ホスフェートが生成される(図24、ステップC及び26、ステップC)。図24、ステップD及び26、ステップDにおいて、リガーゼ(塗りつぶした円)は、DNAセグメントの伸長3’末端を5’末端と共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する。オリゴヌクレオチドプローブの3’ブロック基は、オリゴヌクレオチドプローブの伸長を防止する。続いて、ブロック基を切断可能な結合にて、切断(例えばリボヌクレオチド「r」のRNase(塗りつぶした三角形)切断)により取り除く。図24、ステップE及び26、ステップEに示すように、鎖置換活性を有するポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)はオリゴヌクレオチドプローブの遊離3’末端を伸長し、ローリングサークル増幅を開始する。ローリングサークル増幅により形成された一次伸長生成物は配列決定に好適である。任意の5’Z基は、ローリングサークル増幅の前または後に、固体支持体上で捕捉されてよい。捕捉されると、プライマーが結合した環状ライゲーション生成物またはその伸長物は、ローリングサークル増幅の前または後のいずれかで、切断可能な結合での切断により、固体支持体から遊離されることができる。
図27は、隣接メチル化HinP1I部位(GCGC)を含有する、一本鎖環化核酸構築物の形成方法を示す。環化核酸構築物は、メチル化HinP1I部位の検出及び/または配列決定に適している。図27、ステップAに示すように、本プロセスは、cfDNAまたはゲノムDNAをHinP1Iにより、非メチル化HinP1I認識部位にて切断することで開始し、約160bpのDNAセグメントを形成する。標的オリゴヌクレオチド断片内のメチル化HinP1I部位は、「m」により示される。図27、ステップBに示すように、固有の識別子配列(太い黒線)、並びにオリゴヌクレオチドプローブの3’及び5’末端の両方に非メチル化HinP1I配列を有する(即ち、cfDNAのHinP1I部位に相補的な)オリゴヌクレオチドプローブを、メチル化HinP1I部位(左パネル)または非メチル化HinP1I部位(右パネル)を有する標的cfDNAオリゴヌクレオチドにハイブリダイズする。オリゴヌクレオチドプローブの5’末端はブロック基を含有し、3’末端は標的オリゴヌクレオチドにミスマッチしており、ポリメラーゼ伸長を防止する。図27、ステップCにおいて、ゲノム標的セグメントにハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドプローブを、HinP1I(塗りつぶした三角形)切断に供する。プローブ及び標的オリゴヌクレオチドがメチル化HinP1I部位を含有しない場合、HinP1Iは標的及びプローブオリゴヌクレオチドの両方を切断するため、非メチル化標的配列を更なる分析から除外する。図27、ステップC(左パネル)に示すように、標的オリゴヌクレオチドがメチル化HinP1I部位を含有するが、プローブオリゴヌクレオチドがメチル化HinP1I部位を含有しない場合、HinP1Iはプローブオリゴヌクレオチドのみを切断するため、伸長能のある3’OH及びライゲーション能のある5’ホスフェートが生成される。ポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)はオリゴヌクレオチドプローブの遊離3’末端を伸長し、リガーゼ(塗りつぶした円)はオリゴヌクレオチドプローブの3’伸長末端及び5’末端を共有結合で閉じ、共有結合で閉じたライゲーション生成物を作製する(図27、ステップD)。HinP1Iの熱による失活、または修飾ヌクレオチドのポリメラーゼ組み込みにより、HinP1Iによる再切断が防止させる。図27、ステップEに示すように、エキソヌクレアーゼ分解は、全てのライゲーションされていない生成物または切断された生成物を取り除くことにより、固有の識別子配列を有する標的DNAの相補体を含む所望の一本鎖環状DNAのみを残す。この環化ライゲーション生成物は、ローリングサークル増幅及び後続の配列決定に適している。
図28は、ゲノム全体を通しての、隣接HinP1I部位(GCGC)におけるメチル化の発見プロセスを示す。本プロセスは、HinP1IによりゲノムDNAを切断し、図28、ステップAに示すように、切断したゲノム断片に、ブロック5’末端を有する短いリンカー(太い黒線)をライゲーションすることを伴う。「m」は、メチル化HinP1I部位を示す。図28、ステップBにおいて、5’ブロックプライマーによる制限PCR増幅により、非メチル化生成物が生成される。HinP1I(塗りつぶした三角形)で切断した場合、元の標的でメチル化された隣接HinP1I部位(GCGG)のみが、非ブロック断片を生成する。図28、ステップCに示すように、ブロック3’末端またはチオホスフェート含有骨格(****)のいずれかを有する、任意の固有の識別子配列(灰色に塗りつぶした二重線)、任意の患者識別子配列(灰色に塗りつぶした二重線)を含有するリンカー(二重線)上でライゲーションし(塗りつぶした円)、3’エキソヌクレアーゼ(塗りつぶした三角形)による後続の分解を阻害する。両側にライゲーションしたリンカーを有する断片のみが、二本鎖として残る。図28、ステップDにおいて、リンカーの自由端に、(i)5’末端のリン酸化、(ii)ブロック3’基の除去、もしくは(iii)5’ヌクレアーゼ活性を用いた、ライゲーション能のある5’ホスフェートを残しながらの、マッチする5’重複塩基もしくはフラップの切断のいずれか、またはこれらの任意の組み合わせにより、ライゲーション能を付与する。図28、ステップEにおいて、オリゴマー化に有利となるようにライゲーション条件を設計する。ライゲーション生成物は、任意の固有の識別子及び/または患者識別子配列を有する、標的DNA中で元々メチル化されていた隣接HinP1I配列を含む。最終生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
図29は、平均長160bpのcfDNA、または約160bp断片に剪断されたゲノムDNA(「標的オリゴヌクレオチド」または「DNAセグメント」)から始まる、既知のゲノム領域での隣接AciI部位(GCGG)におけるメチル化の検出に好適な、キメラ環状一本鎖核酸構築物の作製プロセスを示す。図29、ステップAに示すように、本プロセスは、ゲノムDNAの3’及び5’末端上に、亜硫酸水素塩耐性リンカー(太い黒線)を(例えばライゲーションにより)付加することで開始する。ゲノムDNAを亜硫酸水素塩処理することで、非メチル化シトシンをウラシルに転換することで、一本鎖生成物が得られる(図29、ステップAの「m」はメチル化AciI部位を表す)。制限PCRを行い、二本鎖生成物を生成し、得られたPCR産物をAciI(塗りつぶした三角形)で切断する。元の標的セグメント内のメチル化部位のみがGCGGとして残り、AciI切断を受けてライゲーション能のある末端が生成される。図29、ステップBに示すように、切断標的オリゴヌクレオチドの5’及び3’側に相補的な配列、並びに任意で、5’ブロック基を含有するオリゴヌクレオチドプローブを、それぞれの相補標的オリゴヌクレオチドにハイブリダイズする。標的特異的部分に加えて、オリゴヌクレオチドプローブは更なる部分もまた含有する。この更なる部分は、固有の識別子配列、患者識別子配列、及び1つ以上のプライマー結合部位を含有し得るヌクレオチド配列部分である。図29、ステップCに示すように、5’−3’活性を欠くポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)が標的オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長し、プローブの更なる部分をコピーして、標的オリゴヌクレオチドの5’末端を有するライゲーション能のある接合部を生成する。ポリメラーゼはまた、標的オリゴヌクレオチドを鋳型として用いオリゴヌクレオチドプローブを伸長するが、存在する場合、プローブの5’ブロック基は切断しない。図29、ステップDにおいて、リガーゼ(塗りつぶした円)は標的オリゴヌクレオチドの3’及び5’末端を共有結合で閉じ、(亜硫酸水素塩で処理し、コピーした)標的DNAセグメントを含有する環状ライゲーション生成物を作製する。オリゴヌクレオチドプローブ上の5’ブロック基は、オリゴヌクレオチドプローブ鎖の環化を防止する。図29、ステップEに示すように、エキソヌクレアーゼは、固有の識別子配列を有する、亜硫酸水素塩で転換された標的DNAの相補体を含む所望の一本鎖環状DNAのみを残しながら、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。最終生成物は、上述の方法のいずれかを用いた環状配列決定に好適である。
図30は、160bpの平均長のcfDNA、または約160bp断片に剪断されたゲノムDNAから始まる、既知のゲノム領域での隣接AciI部位(GCGG)におけるメチル化の検出に好適な、キメラ環状一本鎖核酸構築物の作製プロセスを示す。図30Aに示すように、本プロセスは、DNAセグメントの3’及び5’末端に、亜硫酸水素塩耐性リンカー(太い黒線)を(例えばライゲーションにより)付加することから開始する。DNAセグメントの「m」は、メチル化AciI部位を表す。cfDNA及び/またはDNAセグメントを亜硫酸水素塩処理することで、非メチル化CがUに転換され、一本鎖生成物が生成される。制限PCRを行い、二本鎖生成物を生成し、得られたPCR産物をAciI(塗りつぶした三角形)で切断する(元の標的内のメチル化部位のみがGCGGとして残る)ことで、ライゲーション能のある末端が生成される。図30、ステップBに示すように、切断した標的PCR産物の5’及び3’側に相補的な配列を含有するオリゴヌクレオチドプローブを、それぞれの相補標的オリゴヌクレオチドにハイブリダイズする。オリゴヌクレオチドプローブは、3’末端にブロック基(3’−Blk)、1つ以上の切断可能な結合、及び/または任意の5’捕捉基(「Z」)を有してよい。標的特異的部分に加えて、オリゴヌクレオチドプローブは更なる部分もまた含有する。この更なる部分は、固有の識別子配列、患者識別子配列、及び1つ以上のプライマー結合部位を含有し得るヌクレオチド配列部分である。図30、ステップCに示すように、5’−3’活性を欠くポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)が標的オリゴヌクレオチドの3’末端を伸長し、プローブの更なる部分をコピーして、標的オリゴヌクレオチドの5’末端を有するライゲーション能のある接合部を生成する。図30、ステップDにおいて、リガーゼ(塗りつぶした円)は標的オリゴヌクレオチドの3’及び5’末端を共有結合で閉じ、(亜硫酸水素塩処理し、コピーした)標的DNAセグメントを含有する環状ライゲーション生成物を作製する。オリゴヌクレオチドプローブ上の3’ブロック基は、オリゴヌクレオチドプローブ鎖の伸長及び環化を防止する。切断可能な結合のニッキング(例えば、リボヌクレオチドrによるRNase切断)により、続いて3’ブロック基を取り除くことにより、ポリメラーゼが仲立ちするオリゴヌクレオチドプローブの伸長が可能となる(図30、ステップD)。図30に示す、ステップEに示すように、鎖置換活性を有するポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)は、ローリングサークル増幅のために遊離3’末端を伸長する。この伸長生成物は、本明細書記載の方法のいずれかを用いた配列決定に適している。任意の5’Z基は、ローリングサークル増幅の前または後に、固体支持体上で捕捉されてよい。捕捉されると、プライマーが結合した環状ライゲーション生成物またはその伸長物は、ローリングサークル増幅の前または後のいずれかで、切断可能な結合での切断により、固体支持体から遊離されることができる。
図31は、160bpの平均長のcfDNA、または約160bp断片に剪断されたゲノムDNAから始まる、既知のゲノム領域での隣接AciI部位(GCGG)でのメチル化の検出に好適な、キメラ環状一本鎖核酸構築物の作製プロセスを示す(mはメチル化AciI部位を表す)。図31、ステップAに示すように、本プロセスは、ゲノムDNAセグメントの3’及び5’末端上に(例えばライゲーションにより)亜硫酸水素塩耐性リンカー(太い黒線)を付加することにより開始する。cfDNA及び/またはDNAセグメントを亜硫酸水素塩処理することで、非メチル化CがUに転換され、一本鎖生成物が生成される。制限PCRを行い、二本鎖生成物を生成し、得られたPCR産物をAciIで切断する(塗りつぶした三角形)。元の標的内のメチル化部位のみがGCGGとして残り、AciIによる切断を受けてライゲーション能のある末端が生成される。図31、ステップBに示すように、二本鎖オリゴヌクレオチドプローブを、切断した標的DNAセグメントにハイブリダイズする。二本鎖プローブは、更なる部分により互いに分離される標的DNAセグメントの5’及び3’側に相補的なヌクレオチド配列を含有する第1のオリゴヌクレオチドプローブ鎖を含む。更なる部分は、固有の識別子部分、及び/または患者識別子部分、及び/または1つ以上のプライマー結合配列を含む。二本鎖オリゴヌクレオチドプローブ(ループを有する太い黒線)の第2のオリゴヌクレオチドプローブは、第1のオリゴヌクレオチドプローブの更なる部分に相補的な配列を含有する。第2のオリゴヌクレオチドプローブのループ領域は、非相補領域を示す。図31、ステップCに示すように、切断したゲノムDNAセグメントへの二本鎖プローブのハイブリダイゼーションは、DNAセグメントの3’末端と第2のオリゴヌクレオチドプローブの5’末端との間、及び第2のオリゴヌクレオチドプローブの3’末端と切断したゲノムセグメントの5’との間に、2つのライゲーション能のある接合部を作製する。リガーゼ(塗りつぶした円)は、ライゲーション接合部を共有結合で閉じ、(亜硫酸水素塩で処理し、コピーした)DNAセグメントを含有する環状ライゲーション生成物を作製する(図31、ステップC)。図31、ステップDに示すように、エキソヌクレアーゼ分解により、本明細書記載の方法のいずれかを用いた環状配列決定に好適な、所望の一本鎖環状ライゲーション生成物のみを残して、全てのライゲーションされていない生成物またはニック生成物が取り除かれる。
図32は、図31に図示及び記載した、隣接AciI部位におけるメチル化の検出に好適な、キメラ環状一本鎖核酸構築物と実質的に同一の作製プロセスを示す。図32に示す実施形態において、二本鎖プローブセットの第1のオリゴヌクレオチドプローブは、任意の5’捕捉基(「Z」)を有する(図32、ステップB)。第2のオリゴヌクレオチドプローブ、及び(亜硫酸水素塩で処理し、コピーした)標的DNAセグメントをライゲーションして環化ライゲーション生成物を形成した後(図32、ステップC)、第1のオリゴヌクレオチドプローブの3’末端を、鎖置換ポリメラーゼを用いて伸長する。ローリングサークル増幅により、環化ライゲーション生成物(図32、ステップD)に相補的であり、かつ本明細書記載の方法を用いた配列決定に好適なタンデム線状配列を含有する第1の一次伸長生成物が生成される。
図33は、150bpの平均サイズに剪断されたゲノムDNA、または160bpの平均サイズを有するcfDNAのいずれかから開始する、ゲノム全体を通しての、隣接AciI部位(GCGG)におけるメチル化発見のためのプロセスを示す。図33、ステップAに示すように、本プロセスは、例えばライゲーションにより、DNAセグメントの3’及び5’末端上に短いリンカー(太い黒線)を付加することにより開始する。5’リンカーはブロック基を含有する。ゲノムDNAを亜硫酸水素塩で処理することにより、非メチル化CをUに転換し、一本鎖生成物が得られる。図33、ステップBに示すように、5’ブロックプライマーによる制限PCR増幅により、非メチル化生成物が生成される。AciI(塗りつぶした三角形)で切断した場合、元の標的内でメチル化された隣接AciI部位(GCGG)のみが、非ブロック断片を生成する。図33、ステップCに示すように、固有の識別子配列及び/または患者識別子配列を含有するリンカー(灰色の二重線)が(例えば、AciI切断生成物へのライゲーションにより)付加される。リンカーは3’ブロック基、またはチオホスフェート含有骨格(****)のいずれかを含み、3’エキソヌクレアーゼ(塗りつぶした三角形)による後続の分解を阻害する。両側にリンカーが付加された断片のみが二本鎖のまま残る(図33、ステップC、下面)。図33、ステップDに示すように、(i)5’末端のリン酸化、(ii)ブロック3’基の除去、もしくは(iii)5’ヌクレアーゼ活性を用いた、マッチする5’重複塩基もしくはフラップの切断による、ライゲーション能のある5’ホスフェートの生成、または(iv)これらの技術の任意の組み合わせのいずれかにより、リンカー末端にライゲーション能を付与する(塗りつぶした円)。オリゴマー化に有利となるようにライゲーション条件を設計する。図33、ステップEは、任意の固有識別子及び/または患者識別子配列と共に、亜硫酸水素塩で転換した(多くの場合、CpGアイランドから生じる)標的DNAの相補体を含むライゲーション生成物を示す。最終生成物は追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
図34は、160bpの平均長のcfDNA、または約160bp断片に剪断されたゲノムDNAから開始する、ゲノムの規定領域における非メチル化隣接HinP1I部位の検出に好適な、キメラ環状一本鎖核酸構築物の作製プロセスを示す。図34、ステップAに示すように、本プロセスはGCGC認識部位におけるゲノムDNAのHinP1I切断により開始し(塗りつぶした三角形)、ライゲーション能のある3’及び5’末端を生成する。図34、ステップBに示すように、切断した標的DNAセグメントの5’及び3’側に相補的な配列を含有するオリゴヌクレオチドプローブを、それぞれの切断標的DNAセグメントにハイブリダイズする。オリゴヌクレオチドプローブはまた、固有の識別子配列、及び任意で、患者識別子配列を含有する、更なるヌクレオチド部分も含有する。図34の実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブはまた、片端、例えば5’末端上にブロック基を有する。5’−3’活性を欠くポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)は、ハイブリダイズした標的DNAセグメントの3’末端を伸長し、プローブの更なる部分をコピーして、標的の5’末端上にライゲーション能のあるホスフェートを有するライゲーション接合部を作製する(図34、ステップC)。ポリメラーゼはまた、標的DNAセグメントを鋳型として用いてオリゴヌクレオチドプローブも伸長するが、5’末端上のブロック基は切断しない。図34、ステップDにおいて、リガーゼ(塗りつぶした円)は、DNAセグメントの3’伸長末端と5’末端との間の接合部を共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する。オリゴヌクレオチドプローブ上の5’ブロック基はオリゴヌクレオチドプローブの環化を防止する。あるいは、更なる部分、例えばUDGを用いて切断されるウラシルヌクレオチドを含有する更なる部分に含まれる切断可能な結合に、ニックを導入する。図34、ステップEに示すように、全てのライゲーションされていない生成物またはニック生成物をエキソヌクレアーゼで分解することで、更なる識別ヌクレオチド配列、例えば固有の識別子配列に結合した元の標的DNAセグメントを含む、所望の一本鎖環状DNAのみが残る。最終生成物は、ローリングサークル増幅及び環状配列決定に好適である。
図35は、図34に図示及び記載したゲノムの規定領域における非メチル化隣接HinP1I部位の検出に好適な、キメラ環状一本鎖核酸構築物と実質的に同一の作製プロセスを示す。図35に示す実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブは、更なるヌクレオチド部分により分離される標的DNAセグメントの5’及び3’側に相補的な配列を含有する。更に、オリゴヌクレオチドプローブは、3’末端にブロック基(3’−Blk)、1つ以上の切断可能な結合(切断可能な結合は「r」として示される)、及び任意の5’捕捉基(「Z」)を有する(図35、ステップB)。ハイブリダイズした標的DNAセグメントの3’末端は、伸長ポリメラーゼで伸長され、標的DNAセグメントの5’末端上でライゲーション能のあるホスフェートとのライゲーション接合部を作製する。標的DNAセグメントの3’伸長末端及び5’末端のライゲーションにより、環化ライゲーション生成物を形成した後(図35、ステップC)、オリゴヌクレオチドプローブ上の3’ブロック基が取り除かれ(例えば、リボヌクレオチド結合のRNaseH切断)(図35、ステップD)、環化DNAライゲーション生成物を鋳型として用いて、5’−3’活性を欠くポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)がオリゴヌクレオチドプローブを伸長する(図35、ステップE)。ローリングサークル増幅により、環化ライゲーション生成物に相補的なタンデム線状配列を含有する一次伸長生成物が生成される(図35、ステップE)。この一次伸長生成物は、本明細書記載の方法を用いた配列決定に適している。ローリングサークル増幅の前または後に、任意の5’Z基を、固体支持体上に捕捉させてよい。捕捉されると、プライマーが結合した環状ライゲーション生成物またはその伸長物は、ローリングサークル増幅の前または後のいずれかで、切断可能な結合での切断により、固体支持体から遊離されることができる。
図36及び37は、cfDNAまたは剪断された全ゲノムDNAの既知のゲノム領域のHaeIII部位間でのメチル化AciI部位の検出に好適な、キメラ環状一本鎖核酸構築物の作製プロセスを示す。ゲノムDNAはAciI(塗りつぶした三角形、GCGG)とHaeIII(塗りつぶした三角形、GGCC)で切断され、ライゲーション能のある3’及び5’末端を生成する。mは切断セグメント内でのメチル化部位を表す(図36、ステップA及び37、ステップA)。図36の実施形態において、標的DNAセグメントの5’及び3’側に相補的な5’及び3’配列を含有するオリゴヌクレオチドプローブを、切断DNAセグメントにハイブリダイズする(図36、ステップB)。オリゴヌクレオチドプローブはまた、固有の識別子配列、患者識別子配列、及び/または1つ以上のプライマー結合部位の1つ以上を含有する更なるヌクレオチド部分も含有する。オリゴヌクレオチドプローブはまた、片端上にブロック基(例えば、図36、ステップBに示す5’ブロック基)を有してもよい。5’−3’活性を欠くポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)は、ハイブリダイズした標的DNAセグメントの3’末端を伸長し、プローブの更なる部分をコピーし、標的の5’末端上で、ライゲーション能のあるホスフェートとのライゲーション接合部を作製する(図36、ステップC)。ポリメラーゼはまた、標的DNAセグメントを鋳型として用いてオリゴヌクレオチドプローブも伸長するが、5’末端上のブロック基は切断しない。図36、ステップDにおいて、リガーゼ(塗りつぶした円)は、DNAセグメントの3’伸長末端と5’末端との間の接合部を共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する。オリゴヌクレオチドプローブ上の5’ブロック基はオリゴヌクレオチドプローブの環化を防止する。あるいは、更なる部分、例えばUDGを用いて切断されるウラシルヌクレオチドを含有する更なる部分に含まれる切断可能な結合に、ニックを導入する。図36、ステップEに示すように、全てのライゲーションされていない生成物またはニック生成物をエキソヌクレアーゼで分解することで、更なる識別ヌクレオチド配列、例えば固有の識別子配列に結合した元の標的DNAセグメントを含む、所望の一本鎖環状DNAのみが残る。最終生成物は、ローリングサークル増幅及び環状配列決定に好適である。
図37に示す実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブは、更なるヌクレオチド部分により分離される標的DNAセグメントの5’及び3’側に相補的な配列を含有する。更に、オリゴヌクレオチドプローブは、3’末端にブロック基(3’−Blk)、1つ以上の切断可能な結合(切断可能な結合は「r」として示される)、及び任意の5’捕捉基(「Z」)を有する(図37、ステップB)。標的DNAセグメントの3’伸長末端及び5’末端のライゲーションにより、環化ライゲーション生成物を形成した後(図37、ステップC)、オリゴヌクレオチドプローブ上の3’ブロック基が取り除かれ(例えば、リボヌクレオチド結合のRNaseH切断)(図37、ステップD)、環化DNAライゲーション生成物を鋳型として用いて、5’−3’活性を欠くポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)がオリゴヌクレオチドプローブを伸長する(図37、ステップE)。ローリングサークル増幅により、環化ライゲーション生成物に相補的なタンデム線状配列を含有する一次伸長生成物が生成される(図37、ステップE)。この一次伸長生成物は、本明細書記載の方法を用いた配列決定に適している。任意の5’Z基は、ローリングサークル増幅の前または後に、固体支持体上で捕捉されてよい。捕捉されると、プライマーが結合した環状ライゲーション生成物またはその伸長物は、ローリングサークル増幅の前または後のいずれかで、切断可能な結合での切断により、固体支持体から遊離されることができる。
図38は、cfDNAまたは剪断された全ゲノムDNAの既知のゲノム領域内のHaeIII部位間でのメチル化Bsh1236I部位の検出に好適な、キメラ環状一本鎖核酸構築物の作製プロセスを示す。ゲノムDNAはBsh1236I(CGCG)とHaeIII(塗りつぶした三角形、GGCC)で切断され、ライゲーション能のある3’及び5’末端を生成する。mは切断セグメント内のメチル化部位を表す(図38、ステップA)。図38の実施形態において、標的DNAセグメントの5’及び3’側に相補的な5’及び3’配列を含有するオリゴヌクレオチドプローブを、切断DNAセグメントにハイブリダイズする(図38、ステップB)。オリゴヌクレオチドプローブはまた、固有の識別子配列、患者識別子配列、及び/または1つ以上のプライマー結合部位の1つ以上を含有する更なるヌクレオチド部分も含有する。オリゴヌクレオチドプローブはまた、片端上にブロック基(例えば、図38、ステップBに示す5’ブロック基)を有してもよい。5’−3’活性を欠くポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)は、ハイブリダイズした標的DNAセグメントの3’末端を伸長し、プローブの更なる部分をコピーして、標的の5’末端上にライゲーション能のあるホスフェートを有するライゲーション接合部を作製する(図38、ステップC)。ポリメラーゼはまた、標的DNAセグメントを鋳型として用いてオリゴヌクレオチドプローブも伸長するが、5’末端上のブロック基は切断しない。図38、ステップDにおいて、リガーゼ(塗りつぶした円)は、DNAセグメントの3’伸長末端と5’末端との間の接合部を共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する。オリゴヌクレオチドプローブ上の5’ブロック基はオリゴヌクレオチドプローブの環化を防止する。あるいは、更なる部分、例えばUDGを用いて切断されるウラシルヌクレオチドを含有する更なる部分に含まれる切断可能な結合に、ニックを導入する。図38、ステップEに示すように、全てのライゲーションされていない生成物またはニック生成物をエキソヌクレアーゼで分解することで、更なる識別ヌクレオチド配列、例えば固有の識別子配列に結合した元の標的DNAセグメントを含む、所望の一本鎖環状DNAのみが残る。最終生成物は、BstUI(CGCG)の存在下におけるBstポリメラーゼを用いたローリングサークル増幅に適しており、元の標的内のメチル化された部位が切断されず、続いて配列決定により識別されることが確実となる。本実施例は、BstUI制限エンドヌクレアーゼの利用を示している。しかし、非メチル化の場合、二本鎖DNAを切断するが、ハイブリッドメチル化/非メチル化DNA及び非メチル化一本鎖DNAを切断しない他のエンドヌクレアーゼもまた、本方法で利用することができる。これらとしては、高温性酵素BstHHI(GCGCを認識;HhaIのイソ制限酵素)、BsiSI(CCGGを認識;HpaIIのイソ制限酵素)、及びTaiI(ACGTを認識;MaeIIのイソ制限酵素)が挙げられるが、これらに限定されない。
図39及び図36は、ゲノムDNAの既知領域内の5’HaeIII部位付近でのメチル化AciI部位の検出に好適な、キメラ環状一本鎖核酸構築物の作製プロセスを示す。本方法は、160bpの平均サイズに剪断されたゲノムDNA、または160bpの平均サイズを有するcfDNA内でのメチル化AciI部位の検出に適している。ゲノムDNAはAciI(GCGG)及びHaeIII(GGCC)で切断され、ライゲーション能のある5’末端を生成する(図39、ステップA及び40、ステップA)。図39に示す実施形態において、標的ゲノムDNAセグメントの5’及び3’側に相補的な5’及び3’末端配列を含有するオリゴヌクレオチドプローブを、切断DNAセグメントにハイブリダイズする(図39、ステップB)。オリゴヌクレオチドプローブはまた、固有の識別子配列、患者識別子配列、及び1つ以上のプライマー結合部位の1つ以上を含む更なるヌクレオチド部分も含有する。オリゴヌクレオチドプローブはまた、片端上にブロック基(例えば、図39、ステップBに示す5’ブロック基)を有してもよい。3’−5’ヌクレアーゼ活性を有するが、5’−3’ヌクレアーゼ活性を欠くポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)が一本鎖3’末端を取り除き、その後、ハイブリダイズした標的DNAセグメントの3’末端を伸長し、プローブの更なる部分をコピーして、標的の5’末端上にライゲーション能のあるホスフェートを有するライゲーション接合部を作製する(図39、ステップC)。ポリメラーゼはまた、標的DNAセグメントを鋳型として用いてオリゴヌクレオチドプローブも伸長するが、5’末端上のブロック基は切断しない。図39、ステップDにおいて、リガーゼ(塗りつぶした円)は、DNAセグメントの3’伸長末端と5’末端との間の接合部を共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する。オリゴヌクレオチドプローブ上の5’ブロック基はオリゴヌクレオチドプローブの環化を防止する。あるいは、更なる部分、例えばUDGを用いて切断されるウラシルヌクレオチドを含有する更なる部分に含まれる切断可能な結合に、ニックを導入する。図39、ステップEに示すように、全てのライゲーションされていない生成物またはニック生成物をエキソヌクレアーゼで分解することで、更なる識別ヌクレオチド配列、例えば固有の識別子配列に結合した元の標的DNAセグメントを含む、所望の一本鎖環状DNAのみが残る。最終生成物は、ローリングサークル増幅及び環状配列決定に好適である。
図40に示す実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブは、更なるヌクレオチド部分により分離される、切断標的DNAセグメントの5’及び3’側に相補的な5’及び3’末端配列を含有する。更に、オリゴヌクレオチドプローブはまた、3’末端にブロック基(3’−Blk)、1つ以上の切断可能な結合(切断可能な結合は「r」として示される)、及び任意の5’捕捉基(「Z」)も有する(図40、ステップA)。標的DNAセグメントの3’伸長末端及び5’末端のライゲーションにより、環化ライゲーション生成物を形成した後(図40、ステップC)、オリゴヌクレオチドプローブ上の3’ブロック基が取り除かれ(例えば、リボヌクレオチド結合のRNaseH切断)(図40、ステップD)、環化DNAライゲーション生成物を鋳型として用いて、5’−3’活性を欠くポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)がオリゴヌクレオチドプローブを伸長する(図40、ステップE)。ローリングサークル増幅により、環化ライゲーション生成物に相補的なタンデム線状配列を含有する一次伸長生成物が生成される(図40、ステップE)。この一次伸長生成物は、本明細書記載の方法を用いた配列決定に適している。任意の5’Z基は、ローリングサークル増幅の前または後に、固体支持体上で捕捉されてよい。捕捉されると、プライマーが結合した環状ライゲーション生成物またはその伸長物は、ローリングサークル増幅の前または後のいずれかで、切断可能な結合での切断により、固体支持体から遊離されることができる。
図41は、ゲノムDNAの既知領域における、5’HaeIII部位付近のメチル化Bsh1236I部位の検出に好適な、キメラ環状一本鎖核酸構築物の作製プロセスを示す。本方法は、150bpの平均サイズに剪断されたゲノムDNA、または160bpの平均サイズを有するcfDNA内でのメチル化Bsh1236I部位の検出に適している。ゲノムDNAはBsh1236I(CGCG)とHaeIII(GGCC)で切断され、ライゲーション能のある5’末端を生成する(図41、ステップA)。図41に示す実施形態において、標的ゲノムDNAセグメントの5’及び3’側に相補的な5’及び3’末端配列を含有するオリゴヌクレオチドプローブを、切断DNAセグメントにハイブリダイズする(図41、ステップB)。オリゴヌクレオチドプローブはまた、固有の識別子配列、患者識別子配列、及び1つ以上のプライマー結合部位の1つ以上を含む更なるヌクレオチド部分も含有する。オリゴヌクレオチドプローブはまた、片端上にブロック基(例えば、図41、ステップBに示す5’ブロック基)を有してもよい。3’−5ヌクレアーゼ活性を有するが、5’−3’活性を欠くポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)は標的DNAセグメントの一本鎖3’末端を取り除き、その後、ハイブリダイズした標的DNAセグメントの切断3’末端を伸長し、プローブの更なる部分をコピーして、標的の5’末端上にライゲーション能のあるホスフェートを有するライゲーション接合部を作製する(図41、ステップC)。ポリメラーゼはまた、標的DNAセグメントを鋳型として用いてオリゴヌクレオチドプローブも伸長するが、5’末端上のブロック基は切断しない。図41、ステップDにおいて、リガーゼ(塗りつぶした円)は、DNAセグメントの3’伸長末端と5’末端との間の接合部を共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する。オリゴヌクレオチドプローブ上の5’ブロック基はオリゴヌクレオチドプローブの環化を防止する。あるいは、更なる部分、例えばUDGを用いて切断されるウラシルヌクレオチドを含有する更なる部分に含まれる切断可能な結合に、ニックを導入する。図41、ステップEに示すように、全てのライゲーションされていない生成物またはニック生成物をエキソヌクレアーゼで分解することで、更なる識別ヌクレオチド配列、例えば固有の識別子配列に結合した元の標的DNAセグメントを含む、所望の一本鎖環状DNAのみが残る。最終生成物は、BstUI(CGCG)の存在下におけるBstポリメラーゼを用いたローリングサークル増幅に適しており、元の標的内のメチル化された部位は続いて、配列決定により確実に識別される。本実施例は、BstUI制限エンドヌクレアーゼの利用を示している。しかし、非メチル化の場合、二本鎖DNAを切断するが、ハイブリッドメチル化/非メチル化DNA及び非メチル化一本鎖DNAを切断しない他のエンドヌクレアーゼを代わりに利用することができる。これらとしては、高温性酵素BstHHI(GCGCを認識;HhaIのイソ制限酵素)、BsiSI(CCGGを認識;HpaIIのイソ制限酵素)、及びTaiI(ACGTを認識;MaeIIのイソ制限酵素)が挙げられるが、これらに限定されない。
図42及び図43は、cfDNAまたは剪断された全ゲノムDNAの既知のゲノム領域内の3’HaeIII部位付近でのメチル化AciI部位の検出に好適な、キメラ環状一本鎖核酸構築物の作製プロセスを示す。ゲノムDNAはAciI(GCGG)及びHaeIII(GGCC)で切断され、伸長能のある3’末端を生成する(図42、ステップA及び43、ステップA)。図42の実施形態において、標的DNAセグメントの5’及び3’側に相補的な5’及び3’配列を含有するオリゴヌクレオチドプローブを、切断DNAセグメントにハイブリダイズする(図42、ステップB)。オリゴヌクレオチドプローブはまた、固有の識別子配列、患者識別子配列、及び/または1つ以上のプライマー結合部位の1つ以上を含有する更なるヌクレオチド部分も含有する。オリゴヌクレオチドプローブはまた、片端上にブロック基(例えば、図42Bに示す5’ブロック基)を有してもよい。5’−3’活性を欠くポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)は、ハイブリダイズした標的DNAセグメントの3’末端を伸長し、プローブの更なる部分をコピーする。ポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性は、標的DNAセグメントのマッチする5’重複塩基を切断することにより、ライゲーション能のある5’ホスフェートを生成する(図42、ステップC)。ポリメラーゼはまた、標的DNAセグメントを鋳型として用いてオリゴヌクレオチドプローブも伸長するが、5’末端上のブロック基は切断しない。図42、ステップDにおいて、リガーゼ(塗りつぶした円)は、DNAセグメントの3’伸長末端と5’末端との間の接合部を共有結合で閉じ、元のゲノムDNAセグメントを含有する環状ライゲーション生成物を作製する。オリゴヌクレオチドプローブ上の5’ブロック基はオリゴヌクレオチドプローブの環化を防止する。あるいは、更なる部分、例えばUDGを用いて切断されるウラシルヌクレオチドを含有する更なる部分に含まれる切断可能な結合に、ニックを導入する。図42、ステップEに示すように、全てのライゲーションされていない生成物またはニック生成物をエキソヌクレアーゼで分解することで、更なる識別ヌクレオチド配列、例えば固有の識別子配列に結合した元の標的DNAセグメントを含む、所望の一本鎖環状DNAのみが残る。最終生成物は、ローリングサークル増幅及び環状配列決定に好適である。
図43の実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブは、更なるヌクレオチド部分により分離される標的DNAセグメントの5’及び3’側に相補的な配列を含有する。更に、オリゴヌクレオチドプローブはまた、3’末端上にブロック基(3’−Blk)、1つ以上の切断可能な結合(切断可能な結合は「r」として示される)、及び任意の5’捕捉基(「Z」)も有する(図43、ステップB)。標的DNAセグメントの3’伸長末端及び5’末端のライゲーションにより、環化ライゲーション生成物を形成した後(図43、ステップC)、オリゴヌクレオチドプローブ上の3’ブロック基が取り除かれ(例えば、リボヌクレオチド結合のRNaseH切断)(図43、ステップD)、環化DNAライゲーション生成物を鋳型として用いて、5’−3’活性を欠くポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)がオリゴヌクレオチドプローブを伸長する(図43、ステップE)。ローリングサークル増幅により、環化ライゲーション生成物に相補的なタンデム線状配列を含有する一次伸長生成物が生成される(図43、ステップE)。この一次伸長生成物は、本明細書記載の方法を用いた配列決定に適している。任意の5’Z基は、ローリングサークル増幅の前または後に、固体支持体上で捕捉されてよい。捕捉されると、プライマーが結合した環状ライゲーション生成物またはその伸長物は、ローリングサークル増幅の前または後のいずれかで、切断可能な結合での切断により、固体支持体から遊離されることができる。
図44は、cfDNAまたは剪断された全ゲノムDNAの既知のゲノム領域において、3’HaeIII部位付近のメチル化Bsh1236I部位の検出に好適な、キメラ環状一本鎖核酸構築物の作製プロセスを示す。ゲノムDNAはBsh1236I(CGCG)とHaeIII(GGCC)で切断され、伸長能のある3’末端を生成する(図44、ステップA)。図44の実施形態において、標的DNAセグメントの5’及び3’側に相補的な5’及び3’配列を含有するオリゴヌクレオチドプローブを、切断DNAセグメントにハイブリダイズする(図44、ステップB)。オリゴヌクレオチドプローブはまた、固有の識別子配列、患者識別子配列、及び/または1つ以上のプライマー結合部位の1つ以上を含有する更なるヌクレオチド部分も含有する。オリゴヌクレオチドプローブはまた、片端上にブロック基(例えば、図44、ステップBに示す5’ブロック基)を有してもよい。5’−3’活性を欠くポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)は、ハイブリダイズした標的DNAセグメントの3’末端を伸長し、プローブの更なる部分をコピーする。ポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性は、標的DNAセグメントのマッチする5’重複塩基を切断することにより、ライゲーション能のある5’ホスフェートを生成する(図44、ステップC)。ポリメラーゼはまた、標的DNAセグメントを鋳型として用いてオリゴヌクレオチドプローブも伸長するが、5’末端上のブロック基は切断しない。図44、ステップDにおいて、リガーゼ(塗りつぶした円)は、DNAセグメントの3’伸長末端と5’末端との間の接合部を共有結合で閉じ、元のゲノムDNAセグメントを含有する環状ライゲーション生成物を作製する。オリゴヌクレオチドプローブ上の5’ブロック基はオリゴヌクレオチドプローブの環化を防止する。あるいは、更なる部分、例えばUDGを用いて切断されるウラシルヌクレオチドを含有する更なる部分に含まれる切断可能な結合に、ニックを導入する。図44、ステップEに示すように、全てのライゲーションされていない生成物またはニック生成物をエキソヌクレアーゼで分解することで、更なる識別ヌクレオチド配列、例えば固有の識別子配列に結合した元の標的DNAセグメントを含む、所望の一本鎖環状DNAのみが残る。最終生成物は、BstUI(CGCG)の存在下におけるBstポリメラーゼを用いたローリングサークル増幅に適しており、元の標的内のメチル化された部位は続いて、配列決定により確実に識別される。本実施例は、BstUI制限エンドヌクレアーゼの使用を示す。しかし、非メチル化の場合、二本鎖DNAを切断するが、ハイブリッドメチル化/非メチル化DNA及び非メチル化一本鎖DNAを切断しない他のエンドヌクレアーゼを使用することができる。これらとしては、高温性酵素BstHHI(GCGCを認識;HhaIのイソ制限酵素)、BsiSI(CCGGを認識;HpaIIのイソ制限酵素)、及びTaiI(ACGTを認識;MaeIIのイソ制限酵素)が挙げられるが、これらに限定されない。
図45は、ゲノムDNAの既知領域における隣接メチル化Bsh1236I部位の検出に好適な、キメラ環状一本鎖核酸構築物の作製プロセスを示す。本方法は、150bpの平均サイズに剪断されたゲノムDNA、または160bpの平均サイズを有するcfDNA内でのメチル化Bsh1236I部位の検出に適している。ゲノムDNAは、標的DNA内の非メチル化認識部位にてBsh1236I(CGCG)により切断される(図45、ステップA)。図45に示す実施形態において、標的ゲノムDNAセグメントの5’及び3’側に相補的な5’及び3’末端配列を含有するオリゴヌクレオチドプローブを、DNAセグメントにハイブリダイズする(図45、ステップB)。オリゴヌクレオチドプローブはまた、固有の識別子配列、患者識別子配列、及び1つ以上のプライマー結合部位の1つ以上を含む更なるヌクレオチド部分も含有する。オリゴヌクレオチドプローブはまた、片端上にブロック基(例えば、図44、ステップBに示す5’ブロック基)を有してもよい。3’−5’活性を有するポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)が標的の一本鎖3’末端を取り除き、続いて、ハイブリダイズした標的DNAセグメントの3’末端を伸長し、プローブの更なる部分をコピーする。ポリメラーゼの5’−3’ヌクレアーゼ活性は、標的DNAセグメントのマッチする5’重複塩基を切断することにより、ライゲーション能のある5’ホスフェートを生成する(図45、ステップC)。ポリメラーゼはまた、標的DNAセグメントを鋳型として用いてオリゴヌクレオチドプローブも伸長するが、5’末端上のブロック基は切断しない。図45、ステップDにおいて、リガーゼ(塗りつぶした円)は、DNAセグメントの3’伸長末端と5’末端との間の接合部を共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する。オリゴヌクレオチドプローブ上の5’ブロック基はオリゴヌクレオチドプローブの環化を防止する。あるいは、更なる部分、例えばUDGを用いて切断されるウラシルヌクレオチドを含有する更なる部分に含まれる切断可能な結合に、ニックを導入する。図45、ステップEに示すように、全てのライゲーションされていない生成物またはニック生成物をエキソヌクレアーゼで分解することで、更なる識別ヌクレオチド配列、例えば固有の識別子配列に結合した元の標的DNAセグメントを含む、所望の一本鎖環状DNAのみが残る。最終生成物は、BstUI(CGCG)の存在下でのBstポリメラーゼを用いたローリングサークル増幅に適している。したがって、元の標的内のメチル化された部位が増幅され、続いて配列決定により識別される。本実施例は、BstUI制限エンドヌクレアーゼの利用を示している。しかし、非メチル化の場合、二本鎖DNAを切断するが、ハイブリッドメチル化/非メチル化DNA及び非メチル化一本鎖DNAを切断しない他のエンドヌクレアーゼを使用することができる。これらとしては、高温性酵素BstHHI(GCGCを認識;HhaIのイソ制限酵素)、BsiSI(CCGGを認識;HpaIIのイソ制限酵素)、及びTaiI(ACGTを認識;MaeIIのイソ制限酵素)が挙げられるが、これらに限定されない。
図46は、ゲノムDNAの既知領域における、Bsh1236I部位付近の全てのメチル化CpG部位の検出に好適な、キメラ環状一本鎖核酸構築物の作製プロセスを示す。本方法は、150bpの平均サイズに剪断されたゲノムDNA、または160bpの平均サイズを有するcfDNA内の、メチル化Bsh1236I部位付近での全てのメチル化CpG部位の検出に適している。ゲノムDNAは、非メチル化認識部位にてBsh1236I(CGCG)により切断される(図46、ステップA)。亜硫酸水素塩処理により非メチル化CがUに転換され、鎖を非相補的にする。図46に示す実施形態において、亜硫酸水素塩処理したメチル化標的ゲノムDNAセグメントの5’及び3’側に相補的な5’及び3’末端配列を含有するオリゴヌクレオチドプローブを、DNAセグメントにハイブリダイズする(図46、ステップB)。オリゴヌクレオチドプローブはまた、固有の識別子配列、患者識別子配列、及び1つ以上のプライマー結合部位の1つ以上を含む更なるヌクレオチド部分も含有する。オリゴヌクレオチドプローブはまた、片端上にブロック基(例えば、図46、ステップBに示す5’ブロック基)を有してもよい。3’−5’活性を有するポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)が亜硫酸水素塩処理した標的の一本鎖3’末端を取り除き、続いてハイブリダイズした標的DNAセグメントの3’末端を伸長してプローブの更なる部分をコピーする。ポリメラーゼの5’−3’ヌクレアーゼ活性は亜硫酸水素塩処理した標的DNAセグメントのマッチする5’重複塩基を切断することにより、ライゲーション能のある5’ホスフェートを生成する(図46、ステップC)。ポリメラーゼはまた、亜硫酸水素塩処理した標的DNAセグメントを鋳型として用いてオリゴヌクレオチドプローブを伸長するが、5’末端上のブロック基は切断しない。図46、ステップDにおいて、リガーゼ(塗りつぶした円)は、DNAセグメントの3’伸長末端と5’末端との間の接合部を共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する。オリゴヌクレオチドプローブ上の5’ブロック基はオリゴヌクレオチドプローブの環化を防止する。図46、ステップEに示すように、全てのライゲーションされていない生成物またはニック生成物をエキソヌクレアーゼで分解することで、更なる識別ヌクレオチド配列、例えば固有の識別子配列に結合した元の亜硫酸水素塩処理済標的DNAセグメントを含む、所望の一本鎖環状DNAのみを残す。最終生成物は、BstUI(CGCG)の存在下におけるBstポリメラーゼを用いたローリングサークル増幅に適しており、亜硫酸水素塩により転換されない部位が元の標的内で確実にメチル化され、他の全てのメチル化CpG部位が配列決定により識別される。本実施例は、BstUI制限エンドヌクレアーゼの使用を示す。しかし、非メチル化の場合、二本鎖DNAを切断するが、ハイブリッドメチル化/非メチル化DNA及び非メチル化一本鎖DNAを切断せず、亜硫酸水素塩処理の後にメチル化部位の制限認識を保持する、他のエンドヌクレアーゼを利用することができる。これには高温性酵素のTaiI(ACGTを認識;MaeIIのイソ制限酵素)が挙げられるが、これに限定されない。
図47及び図48は、cfDNAまたは剪断された全ゲノムDNAの既知のゲノム領域内での非メチル化隣接HinP1I部位の検出に好適な、キメラ環状一本鎖核酸構築物の作製プロセスを示す。ゲノムDNAはHinP1I(GCGC)(塗りつぶした三角形)で切断され、ライゲーション能のある3’及び5’末端を生成する(図47、ステップA及び48、ステップA)。図47、ステップBに示すように、二本鎖オリゴヌクレオチドプローブを、切断した標的DNAセグメントにハイブリダイズする。二本鎖プローブは、更なる部分により分離される標的DNAセグメントの5’及び3’側に相補的なヌクレオチド配列を含有する第1のオリゴヌクレオチドプローブ鎖を含む。更なる部分は、固有の識別子部分、及び/または患者識別子部分、及び/または1つ以上のプライマー結合配列を含む。二本鎖オリゴヌクレオチドプローブの第2のオリゴヌクレオチドプローブ(ループを有する太い黒線)は、第1のオリゴヌクレオチドプローブの更なる部分に相補的な配列を含有する。第2のオリゴヌクレオチドプローブのループ領域は、非相補領域を示す。図47、ステップCに示すように、2つのライゲーション能のある接合部、即ち、二本鎖プローブの切断ゲノムDNAセグメントへのハイブリダイゼーションにより、DNAセグメントの3’末端と第2のオリゴヌクレオチドプローブの5’末端との間、及び第2のオリゴヌクレオチドプローブの3’末端と切断ゲノムセグメントの5’との間、が作製される。リガーゼ(塗りつぶした円)は、ライゲーション接合部を共有結合で閉じ、ゲノムDNAセグメントを含有する環状ライゲーション生成物を作製する(図47、ステップC)。図47、ステップDに示すように、エキソヌクレアーゼ分解により、本明細書記載の方法のいずれかを用いた環状配列決定に好適な所望の一本鎖環状ライゲーション生成物のみを残して、全てのライゲーションされていない生成物またはニック生成物が取り除かれる。
図48に示す実施形態において、二本鎖プローブの第1のオリゴヌクレオチドプローブは、更なるヌクレオチド部分により分離される標的DNAセグメントの5’及び3’側に相補的な配列を含有する。更に、第1のオリゴヌクレオチドプローブはまた、任意の5’捕捉基(「Z」)も有する(図48、ステップB)。標的DNAセグメントと第2のオリゴヌクレオチドプローブとの間の2つのライゲーション接合部にてライゲーションをし、図48、ステップCの環化ライゲーション生成物を形成した後、ライゲーション生成物を鋳型として含有する環化DNAを用いて、鎖置換活性を有するポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)が第1のオリゴヌクレオチドプローブを伸長する(図48、ステップD)。ローリングサークル増幅により、環化ライゲーション生成物に相補的なタンデム線状配列を含有する一次伸長生成物が生成される(図48、ステップD)。この一次伸長生成物は、本明細書記載の方法を用いた配列決定に適している。任意の5’Z基は、ローリングサークル増幅の前または後に、固体支持体上で捕捉されてよい。捕捉されると、プライマーが結合した環状ライゲーション生成物またはその伸長物は、ローリングサークル増幅の前または後のいずれかで、切断可能な結合での切断により、固体支持体から遊離されることができる。
図49及び図50は、cfDNAまたは剪断された全ゲノムDNAの既知のゲノム領域内のHaeIII部位間に位置するメチル化(「m」)AciI部位の検出に好適な、キメラ環状一本鎖核酸構築物の作製プロセスを示す。ゲノムDNAはAciI(塗りつぶした三角形、GCGG)とHaeIII(塗りつぶした三角形、GGCC)で切断され、ライゲーション能のある3’及び5’末端を生成する(図49、ステップA及び50、ステップA)。図49、ステップB及び50、ステップBで示すように、二本鎖オリゴヌクレオチドプローブを、切断した標的DNAセグメントにハイブリダイズする。図49に示す実施形態において、二本鎖プローブは、更なる部分により分離される標的DNAセグメントの5’及び3’側に相補的なヌクレオチド配列を含有する第1のオリゴヌクレオチドプローブ鎖を含む。更なる部分は、固有の識別子部分、及び/または患者識別子部分、及び/または1つ以上のプライマー結合配列を含む(図49、ステップB)。二本鎖オリゴヌクレオチドプローブの第2のオリゴヌクレオチドプローブ(ループを有する太い黒線)は、第1のオリゴヌクレオチドプローブの更なる部分に相補的な配列を含有する(図49、ステップB)。第2のオリゴヌクレオチドプローブのループ領域は、非相補領域を示す。図49、ステップCに示すように、2つのライゲーション能のある接合部、即ち、二本鎖プローブの切断ゲノムDNAセグメントへのハイブリダイゼーションにより、DNAセグメントの3’末端と第2のオリゴヌクレオチドプローブの5’末端との間、及び第2のオリゴヌクレオチドプローブの3’末端と切断ゲノムセグメントの5’との間、が作製される。リガーゼ(塗りつぶした円)は、ライゲーション接合部を共有結合で閉じ、メチル化ゲノムDNAセグメントを含有する環状ライゲーション生成物を作製する(図49、ステップC)。図49、ステップDに示すように、エキソヌクレアーゼ分解により、本明細書記載の方法のいずれかを用いた環状配列決定に好適な所望の一本鎖環状ライゲーション生成物のみを残して、全てのライゲーションされていない生成物またはニック生成物が取り除かれる。
図50に示す実施形態において、二本鎖プローブの第1のオリゴヌクレオチドプローブは、更なるヌクレオチド部分により分離される標的DNAセグメントの5’及び3’側に相補的な配列を含有する。更に、第1のオリゴヌクレオチドプローブはまた、任意の5’捕捉基(「Z」)も有する(図50、ステップB)。標的DNAセグメントと第2のオリゴヌクレオチドプローブとの間で2つのライゲーション接合部をライゲーションし、環状メチル化ライゲーション生成物を形成した後(図50、ステップC)、ライゲーション生成物を鋳型として含有する環化DNAを用いて、鎖置換活性を有するポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)が第1のオリゴヌクレオチドプローブを伸長する(図50、ステップD)。ローリングサークル増幅により、環化ライゲーション生成物に相補的なタンデム線状配列を含有する一次伸長生成物が生成される(図50、ステップD)。この一次伸長生成物は、本明細書記載の方法を用いた配列決定に適している。任意の5’Z基は、ローリングサークル増幅の前または後に、固体支持体上で捕捉されてよい。捕捉されると、プライマーが結合した環状ライゲーション生成物またはその伸長物は、ローリングサークル増幅の前または後のいずれかで、切断可能な結合での切断により、固体支持体から遊離されることができる。
図51は、ゲノムDNAの既知領域内での、非メチル化隣接HinP1I部位(GCGC)の発見プロセスを示す。全細胞から単離されたか、または血漿内にcfDNAとして存在するゲノムDNAは、天然酵素プロセスまたは剪断により、末端を含有する。これらは、短いリンカーをDNA末端の3’及び5’末端に付加する(例えば、ライゲーションによりリンカーを付加する)ことにより後続のステップからブロックする必要がある。図51、ステップAに示すように、5’末端リンカーはブロック基(太い黒線)を含有する。リンカーが付加されたDNAをHinP1I(GCGC)(塗りつぶした三角形)で切断する(図51、ステップA)。元のゲノムDNA内の非メチル化隣接HinP1I部位(GCGG)のみが、HinP1Iにより切断される時に非ブロック断片を生成する。図51、ステップBに示すように、固有の識別子配列及び/または患者識別子配列を含有する長いリンカー(部分的な灰色の二重線)が、HinP1Iにより切断されたDNA断片に付加される。長いリンカーは、3’末端ブロック基またはチオホスフェート含有骨格(****)のいずれかを含有し、3’エキソヌクレアーゼ(塗りつぶした三角形)による後続の分解を阻害する。両側にリンカーが付加された断片のみが二本鎖として残る。図51、ステップCに示すように、リンカーの自由端に、(i)5’末端のリン酸化、(ii)3’ブロック基の除去、(iii)5’ヌクレアーゼ活性を用いた、マッチする5’重複塩基もしくはフラップの切断による、ライゲーション能のある5’ホスフェートの生成、または(iv)(i)、(ii)、(iii)の任意の組み合わせのいずれかにより、ライゲーション能を付与する。オリゴマー化に有利となるように、ライゲーション(塗りつぶした円)条件を設計する。図51、ステップDに示すように、ライゲーション生成物は、固有の識別子配列及び/または患者識別子配列に結合したゲノムDNA内に、元々非メチル化されている隣接HinP1I配列を含む。最終生成物は、後続の配列決定に適している。
図52は、ゲノム全体を通しての、既知の領域内でのメチル化隣接AciI部位(GCGG)の発見プロセスを示す。ゲノムDNAはAciI(塗りつぶした三角形)で切断され、mはメチル化部位を表す。図52、ステップAに示すように 5’末端ブロック基(太い黒線)を有する短いリンカーが、例えばライゲーションにより、AciIで分解されたDNAに付加される。リンカーが付加されたDNAはHaeIII(GGCC)で切断される。元のゲノムDNA中の、メチル化AciI部位を有する隣接HaeIII部位(GGCC)のみが、HaeIIIにより切断される時に非ブロック断片を生成する。図52、ステップBにおいて、固有の識別子配列及び/または患者識別子配列を含有する長いリンカー(部分的な灰色の二重線)が、HaeIIIにより切断されたDNA断片に付加される。長いリンカーは、3’末端ブロック基またはチオホスフェート含有骨格(****)のいずれかを含有し、3’エキソヌクレアーゼ(塗りつぶした三角形)による後続の分解を阻害する。両側にリンカーが付加された断片のみが二本鎖として残る。図52、ステップCに示すように、リンカーの自由端に、(i)5’末端のリン酸化、(ii)3’ブロック基の除去、(iii)5’ヌクレアーゼ活性を用いた、マッチする5’重複塩基もしくはフラップの切断による、ライゲーション能のある5’ホスフェートの生成、または(iv)(i)、(ii)、(iii)の任意の組み合わせのいずれかにより、ライゲーション能を付与する。オリゴマー化に有利となるように、ライゲーション(塗りつぶした円)条件を設計する。図52、ステップDに示すように、ライゲーション生成物は、固有の識別子配列及び/または患者識別子配列に結合したゲノムDNA内のAciI部位にて、元々メチル化されている隣接HaeIII配列を含む。最終生成物は、後続の配列決定に適している。
図53及び図54は、cfDNAまたは剪断された全ゲノムDNAの既知のゲノム領域内での非メチル化隣接HinP1I部位の検出に好適な、キメラ環状一本鎖核酸構築物の作製プロセスを示す。図53、ステップA及び54、ステップAに示すように、ゲノムDNAをHinP1I(GCGC)で切断し、ライゲーション能のある3’及び5’末端を生成する。HinP1Iで分解したDNAを亜硫酸水素塩で処理することで、非メチル化CをUに転換する。図53の実施形態において、標的DNAセグメントの5’及び3’側に相補的な5’及び3’配列を含有するオリゴヌクレオチドプローブを、切断DNAセグメントにハイブリダイズする(図53、ステップB)。オリゴヌクレオチドは、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、及び片端での任意のブロック基を含有する。5’−3’活性を欠くポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)が標的DNAセグメントの3’末端を伸長し、標的の5’末端上のライゲーション能のあるホスフェートとなる(図53、ステップC)。ポリメラーゼはまた、標的上でオリゴヌクレオチドプローブを伸長するが、5’ブロック基は切断しない。図53、ステップDにおいて、リガーゼ(塗りつぶした円)は伸長標的DNAセグメント末端を共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する。ブロック基はオリゴヌクレオチドプローブの環化を防止する。図53、ステップEに示すように、エキソヌクレアーゼ分解により、固有の識別子配列と共に、亜硫酸水素塩で転換された元の標的DNAを含む所望の一本鎖環状DNAのみを残して、全てのライゲーションされていない生成物またはニック生成物が取り除かれる。最終生成物は、ローリングサークル増幅及び環状配列決定に好適である。
図54の実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブは、更なるヌクレオチド部分により分離される標的DNAセグメントの5’及び3’側に相補的な配列を含有する。更に、オリゴヌクレオチドプローブはまた、3’末端上にブロック基(3’−Blk)、1つ以上の切断可能な結合(切断可能な結合は「r」として示される)、及び任意の5’捕捉基(「Z」)も有する(図54、ステップB)。標的DNAセグメントの3’伸長末端及び5’末端のライゲーションにより、環化ライゲーション生成物を形成した後(図54、ステップC)、オリゴヌクレオチドプローブ上の3’ブロック基が取り除かれ(例えば、リボヌクレオチド結合のRNaseH切断)(図54、ステップD)、環化DNAライゲーション生成物を鋳型として用いて、5’−3’活性を欠くポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)がオリゴヌクレオチドプローブを伸長する(図54、ステップE)。ローリングサークル増幅により、環化ライゲーション生成物に相補的なタンデム線状配列を含有する一次伸長生成物が生成される(図54、ステップE)。この一次伸長生成物は、本明細書記載の方法を用いた配列決定に適している。任意の5’Z基は、ローリングサークル増幅の前または後に、固体支持体上で捕捉されてよい。捕捉されると、プライマーが結合した環状ライゲーション生成物またはその伸長物は、ローリングサークル増幅の前または後のいずれかで、切断可能な結合での切断により、固体支持体から遊離されることができる。
図55及び56は、cfDNAまたは剪断された全ゲノムDNAの既知のゲノム領域内での非メチル化隣接HinP1I部位の検出に好適な、キメラ環状一本鎖核酸構築物の作製プロセスを示す。図55、ステップA及び56、ステップAに示すように、ゲノムDNAはHinP1I(GCGC)(塗りつぶした三角形)で切断され、ライゲーション能のある3’及び5’末端を生成する。HinP1Iで分解されたDNAを亜硫酸水素塩で処理することにより、非メチル化CがUに転換される(図55、ステップA及び56、ステップA)。図55、ステップB及び56、ステップBで示すように、二本鎖オリゴヌクレオチドプローブを、切断した標的DNAセグメントにハイブリダイズする。図55に示す実施形態において、二本鎖プローブは、更なる部分により分離される標的DNAセグメントの5’及び3’側に相補的なヌクレオチド配列を含有する第1のオリゴヌクレオチドプローブ鎖を含む。更なる部分は、固有の識別子部分、及び/または患者識別子部分、及び/または1つ以上のプライマー結合配列を含む(図55、ステップB)。二本鎖オリゴヌクレオチドプローブの第2のオリゴヌクレオチドプローブ(ループを有する太い黒線)は、第1のオリゴヌクレオチドプローブの更なる部分に相補的な配列を含有する(図55、ステップB)。第2のオリゴヌクレオチドプローブのループ領域は、非相補領域を示す。図55、ステップCに示すように、二本鎖プローブの、HinP1Iで分解し亜硫酸水素塩で処理したゲノムDNAへのハイブリダイゼーションにより、2つのライゲーション能のある接合部、即ち、DNAセグメントの3’末端と第2のオリゴヌクレオチドプローブの5’末端との間、及び第2のオリゴヌクレオチドプローブの3’末端とDNAセグメントの5’との間が作製される。リガーゼ(塗りつぶした円)は、ライゲーション接合部を共有結合で閉じ、亜硫酸水素塩処理したゲノムDNAセグメントを含有する環状ライゲーション生成物を作製する(図55、ステップC)。図55、ステップDに示すように、エキソヌクレアーゼ分解により、本明細書記載の方法のいずれかを用いた環状配列決定に好適な所望の一本鎖環状ライゲーション生成物のみを残して、全てのライゲーションされていない生成物またはニック生成物が取り除かれる。
図56に示す実施形態において、二本鎖プローブの第1のオリゴヌクレオチドプローブは、更なるヌクレオチド部分により分離される標的DNAセグメントの5’及び3’側に相補的な配列を含有する。更に、第1のオリゴヌクレオチドプローブはまた、任意の5’捕捉基(「Z」)も有する(図56、ステップB)。標的DNAセグメントと第2のオリゴヌクレオチドプローブとの間の2つのライゲーション接合部におけるライゲーションにより環化ライゲーション生成物を形成した後(図56、ステップC)、ライゲーション生成物を鋳型として含有する環化DNAを用いて、鎖置換活性を有するポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)が第1のオリゴヌクレオチドプローブを伸長する(図56、ステップD)。ローリングサークル増幅により、環化ライゲーション生成物に相補的なタンデム線状配列を含有する一次伸長生成物が生成される(図56、ステップD)。この一次伸長生成物は、本明細書記載の方法を用いた配列決定に適している。任意の5’Z基は、ローリングサークル増幅の前または後に、固体支持体上で捕捉されてよい。捕捉されると、プライマーが結合した環状ライゲーション生成物またはその伸長物は、ローリングサークル増幅の前または後のいずれかで、切断可能な結合での切断により、固体支持体から遊離されることができる。
図57は、cfDNAまたは剪断された全ゲノムDNAの既知のゲノム領域内での非メチル化隣接HinP1I部位(GCGC)の発見プロセスを示す。全細胞から単離されたか、または血漿内にcfDNAとして存在するゲノムDNAは、天然酵素プロセスまたは剪断により、末端を含有する。これらは、短いリンカーをDNA末端の3’及び5’末端に付加する(例えば、ライゲーションによりリンカーを付加する)ことにより後続のステップをブロックする必要がある。図57、ステップAに示すように、5’末端リンカーはブロック基(太い黒線)を含有する。リンカーが付加されたDNAをHinP1I(GCGC)(塗りつぶした三角形)で切断する(図57、ステップA)。元のゲノムDNA内の非メチル化隣接HinP1I部位(GCGG)のみが、HinP1Iにより切断される時に非ブロック断片を生成する。図57、ステップBに示すように、固有の識別子配列及び/または患者識別子配列を含有する長いリンカー(部分的な灰色の二重線)が、HinP1Iにより切断されたDNA断片に付加される。長いリンカーは、3’末端ブロック基またはチオホスフェート含有骨格(****)のいずれかを含有し、3’エキソヌクレアーゼ(塗りつぶした三角形)による後続の分解を阻害する。両側にリンカーが付加された断片のみが二本鎖として残る。図57、ステップCに示すように、リンカーの自由端に、(i)5’末端のリン酸化、(ii)3’ブロック基の除去、(iii)5’ヌクレアーゼ活性を用いた、マッチする5’重複塩基もしくはフラップの切断による、ライゲーション能のある5’ホスフェートの生成、または(iv)(i)、(ii)、(iii)の任意の組み合わせのいずれかにより、ライゲーション能を付与する。オリゴマー化に有利となるように、ライゲーション(塗りつぶした円)条件を設計する。図57、ステップDに示すように、ライゲーション生成物を亜硫酸水素塩処理することで、非メチル化CがUに転換する。ライゲーション生成物は、固有の識別子及び/または患者識別子配列に結合した標的DNA内の、元々非メチル化されている隣接HinP1I配列内に、亜硫酸水素塩により転換されたDNAを含む。最終生成物は追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
図58及び図59は、cfDNAまたは剪断された全ゲノムDNAの既知のゲノム領域内での非メチル化隣接「HphI」の検出に好適な、キメラ環状一本鎖核酸構築物の作製プロセスを示す。図58、ステップA及び59、ステップAに示すように、短いリンカーがcfDNA断片または剪断したゲノムDNAに(例えばライゲーションにより)付加される。リンカーが付加されたDNAを亜硫酸水素塩で処理し、非メチル化CをUに転換する。制限PCRを行い、得られるPCR産物をHphI(非メチル化GGCGAのみがGGTGAとなる)により切断し、ライゲーション能のある末端を生成する(図58、ステップA及び59、ステップA)。図58の実施形態において、分解した標的PCRセグメントに5’及び3’側に相補的な5’及び3’末端配列を含有するオリゴヌクレオチドプローブを、切断DNAセグメントにハイブリダイズする(図58、ステップB)。オリゴヌクレオチドプローブはまた、固有の識別子配列、患者識別子配列、及び/または1つ以上のプライマー結合部位の1つ以上を含有する更なるヌクレオチド部分も含有する。オリゴヌクレオチドプローブはまた、片端上にブロック基(例えば、図58、ステップBに示す5’ブロック基)を有してもよい。5’−3’活性を欠くポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)は、ハイブリダイズした標的DNAセグメントの3’末端を伸長し、プローブの更なる部分をコピーし、ハイブリダイズした標的DNAセグメントの5’末端とライゲーション接合部を形成する(図58、ステップC)。ポリメラーゼはまた、標的DNAセグメントを鋳型として用いてオリゴヌクレオチドプローブも伸長するが、5’末端上のブロック基は切断しない。図58、ステップDにおいて、リガーゼ(塗りつぶした円)は、3’伸長末端とDNAセグメントの5’末端との間の接合部を共有結合で閉じ、PCRで作製した、HphIで分解したDNAセグメントを含有する環状ライゲーション生成物を生成する。オリゴヌクレオチドプローブ上の5’ブロック基はオリゴヌクレオチドプローブの環化を防止する。あるいは、更なる部分、例えばUDGを用いて切断されるウラシルヌクレオチドを含有する更なる部分に含まれる切断可能な結合に、ニックを導入する。図58、ステップEに示すように、全てのライゲーションされていない生成物またはニック生成物をエキソヌクレアーゼで分解することで、更なる識別ヌクレオチド配列、例えば固有の識別子配列に結合した、PCRで生成したHphIで分解したDNAセグメントを含む所望の一本鎖環状DNAのみが残る。最終生成物は、ローリングサークル増幅及び環状配列決定に好適である。
図59の実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブはまた、更なるヌクレオチド部分により分離された、分解された標的PCRセグメントの5’及び3’側に相補的な配列も含有する。更に、オリゴヌクレオチドプローブはまた、3’末端にブロック基(3’−Blk)、1つ以上の切断可能な結合(切断可能な結合は「r」として示される)、及び任意の5’捕捉基(「Z」)も有する。(図59、ステップB)3’伸長末端と標的PCRセグメントの5’末端とのライゲーションにより環化ライゲーション生成物を形成した後(図59、ステップC)、オリゴヌクレオチドプローブ上の3’ブロック基が取り除かれ(例えば、リボヌクレオチド結合のRNaseH切断)(図59、ステップD)、環化DNAライゲーション生成物を鋳型として用いて、5’−3’活性を欠くポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)がオリゴヌクレオチドプローブを伸長する(図59、ステップE)。ローリングサークル増幅により、環化ライゲーション生成物に相補的なタンデム線状配列を含有する一次伸長生成物が生成される(図58、ステップE)。この一次伸長生成物は、本明細書記載の方法を用いた配列決定に適している。任意の5’Z基は、ローリングサークル増幅の前または後に、固体支持体上で捕捉されてよい。捕捉されると、プライマーが結合した環状ライゲーション生成物またはその伸長物は、ローリングサークル増幅の前または後のいずれかで、切断可能な結合での切断により、固体支持体から遊離されることができる。
図60及び61は、cfDNAまたは剪断された全ゲノムDNAの既知のゲノム領域内での非メチル化隣接「HphI」の検出に好適な、キメラ環状一本鎖核酸構築物の作製プロセスを示す。図60、ステップA及び61、ステップAに示すように、短いリンカーがcfDNA断片または剪断したゲノムDNAに(例えばライゲーションにより)付加される。リンカーが付加されたDNAを亜硫酸水素塩で処理し、非メチル化CをUに転換する。制限PCRを行い、得られるPCR産物をHphI(非メチル化GGCGAのみがGGTGAとなる)により切断し、ライゲーション能のある末端を生成する(図60、ステップA及び61、ステップA)。図60、ステップB及び61、ステップBで示すように、二本鎖オリゴヌクレオチドプローブを、切断した標的DNAセグメントにハイブリダイズする。図60に示す実施形態において、二本鎖プローブは、標的PCRセグメントの5’及び3’側に相補的なヌクレオチド配列を含有する第1のオリゴヌクレオチドプローブ鎖を含む。第1のオリゴヌクレオチドプローブのこれらの標的特異的部分は、固有の識別子部分、及び/または患者識別子部分、及び/または1つ以上のプライマー結合配列を含む更なる部分により分離される(図60、ステップB)。二本鎖オリゴヌクレオチドプローブの第2のオリゴヌクレオチドプローブ(ループを有する太い黒線)は、第1のオリゴヌクレオチドプローブの更なる部分に相補的な配列を含有する(図60、ステップB)。第2のオリゴヌクレオチドプローブのループ領域は、非相補領域を示す。図60、ステップCに示すように、二本鎖プローブの、HphIで分解したPCR産物へのハイブリダイゼーションにより、2つのライゲーション能のある接合部、即ち、DNAセグメントの3’末端と第2のオリゴヌクレオチドプローブの5’末端との間、及び第2のオリゴヌクレオチドプローブの3’末端とDNAセグメントの5’との間が作製される。リガーゼ(塗りつぶした円)は、ライゲーション接合部を共有結合で閉じ、HphIで分解したセグメントを含有する環状ライゲーション生成物を作製する(図60、ステップC)。図60、ステップDに示すように、エキソヌクレアーゼ分解により、本明細書記載の方法のいずれかを用いた環状配列決定に好適な所望の一本鎖環状ライゲーション生成物のみを残して、全てのライゲーションされていない生成物またはニック生成物が取り除かれる。
図61に示す実施形態において、二本鎖プローブの第1のオリゴヌクレオチドプローブは、更なるヌクレオチド部分により分離される標的DNAセグメントの5’及び3’側に相補的な配列を含有する。更に、第1のオリゴヌクレオチドプローブはまた、任意の5’捕捉基(「Z」)も有する(図61、ステップB)。HphIで分解したPCRセグメントと第2のオリゴヌクレオチドプローブとの間の2つのライゲーション接合部にてライゲーションをし、環化ライゲーション生成物を形成した後(図61、ステップC)、環化ライゲーション生成物を鋳型として用いて、鎖置換活性を有するポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)が第1のオリゴヌクレオチドプローブを伸長する(図61、ステップD)。ローリングサークル増幅により、環化ライゲーション生成物に相補的なタンデム線状配列を含有する一次伸長生成物が生成される(図61、ステップD)。この一次伸長生成物は、本明細書記載の方法を用いた配列決定に適している。5’Z基は、ローリングサークル増幅の前または後に、固体支持体上で捕捉されることができる。捕捉されると、プライマーが結合した環状ライゲーション生成物またはその伸長物は、ローリングサークル増幅の前または後のいずれかで、切断可能な結合での切断により、固体支持体から遊離されることができる。
図62は、cfDNAまたは剪断された全ゲノムDNAの既知のゲノム領域内での、非メチル化隣接HphI部位の発見プロセスを示す。全細胞から単離されたか、または血漿内にcfDNAとして存在するゲノムDNAは、天然酵素プロセスまたは剪断により、末端を含有する。これらは、短いリンカーをDNA末端の3’及び5’末端に付加する(例えば、ライゲーションによりリンカーを付加する)ことにより後続のステップをブロックする必要がある。図62、ステップAに示すように、5’末端リンカーはブロック基(太い黒線)を含有する。リンカーが付加されたDNAを亜硫酸水素塩で処理し、非メチル化CをUに転換する。図62、ステップBに示すように、5’ブロックプライマーによる制限PCR増幅により、非メチル化二本鎖生成物を生成する。元の標的内で非メチル化されていた隣接HphI部位(非メチル化GGCGA→GGTGA)のみが、HphI(塗りつぶした三角形)により切断される場合に非ブロック断片を生成する。図62、ステップCに示すように、固有の識別子配列及び/または患者識別子配列を含有するリンカー(灰色で塗りつぶした二重線)が、HphIで切断したDNA断片に付加される。リンカーは、3’末端ブロック基またはチオホスフェート含有骨格(****)のいずれかを含有し、3’エキソヌクレアーゼ(塗りつぶした三角形)による後続の分解を阻害する。両側にリンカーが付加された断片のみが二本鎖として残る。図62、ステップDに示すように、リンカーの自由端に、(i)5’末端のリン酸化、(ii)3’ブロック基の除去、(iii)5’ヌクレアーゼ活性を用いた、マッチする5’重複塩基もしくはフラップの切断による、ライゲーション能のある5’ホスフェートの生成、または(iv)(i)、(ii)、(iii)の任意の組み合わせのいずれかにより、ライゲーション能を付与する。オリゴマー化に有利となるように、ライゲーション(塗りつぶした円)条件を設計する。図62、ステップEに示すように、ライゲーション生成物は、任意の固有の識別子及び/または患者識別子配列を有する、ゲノムDNA内で元々非メチル化されていた隣接HphI配列内に、亜硫酸水素塩により転換されたDNAの相補体を含む。最終生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
集団の異なる環状キメラ一本鎖核酸構築物を生成するための別の好適なアプローチは、1つ以上の塩基の違いまたは1つ以上のメチル化残基を含む可能性のある1つ以上の標的ゲノムDNAセグメントを含有する試料を提供する工程、並びに、ヌクレオチドリンカー配列を標的ゲノムDNAセグメントの3’及び5’末端に付加することを伴う。付加されたヌクレオチドリンカーは任意で、(i)患者識別子配列、(ii)第1の固体支持体プライマー特異的部分、(iii)第2の固体支持体プライマー特異的部分、及び/または(iv)固有の識別子配列を含む。各第1のオリゴヌクレオチドプローブが(a)リンカーが付加された標的ゲノムDNAセグメントの3’リンカー部分に相補的な部分、(b)リンカーが付加された標的ゲノムDNAセグメントの5’リンカー部分に相補的な部分、及び(c)任意で更なる部分を含む、1つ以上の第1のオリゴヌクレオチドプローブが提供される。更なる部分は、任意で、(i)患者識別子配列、(ii)第1の固体支持体プライマー特異的部分、(iii)第2の固体支持体プライマー特異的部分、及び/または(iv)固有の識別子配列を含む。試料中に存在する場合、リンカーが付加された標的ゲノムDNAセグメントの相補リンカーに第1のオリゴヌクレオチドプローブの3’及び5’部分が塩基特異的な様式でハイブリダイズするのに効果的な条件下にて、試料と1つ以上の第1のオリゴヌクレオチドプローブを接触させる。第1のオリゴヌクレオチドプローブにハイブリダイズした、リンカーが付加された標的ゲノムDNAセグメントの3’及び5’末端の結合に好適な1つ以上のライゲーション能のある接合部が生成される。1つ以上のライゲーション接合部における、リンカーが付加された標的ゲノムDNAセグメントのライゲーションにより、集団の異なる環状キメラ一本鎖核酸構築物が形成される。
図63は、上述の配列決定に好適なキメラ環状一本鎖核酸標的構築物の作製に関連する例示的プロセスを示す。これらの実施形態において、元のゲノムセグメントは、例えば、腫瘍特異的変異、SNP、または多型反復配列を含有する、cfDNA(約160bp)のセグメント、または剪断されたゲノムDNA(約160bp)のセグメントを含む。本プロセスは、短いリンカーをDNAセグメントの3’及び5’末端上にライゲーションすることから開始する(太い黒い棒線、図63、ステップA)。図63の右パネルに示すプロセスの付加されたリンカーは、ライゲーション能のある5’ホスフェート基を含有するが、図63の左パネルに示すプロセスの付加されたリンカーは、ライゲーション能のある5’ホスフェート基を含有しない。標的DNAセグメントの5’及び3’リンカーに相補的なヌクレオチド配列、並びに5’ブロック基を含有するオリゴヌクレオチドプローブ(太い黒線)を、それぞれの標的DNAセグメントにハイブリダイズする(図63、ステップA)。オリゴヌクレオチドプローブのリンカー特異的部分は、更なる部分により分離される。この更なる部分は、任意の固有の識別子部分、及び/または患者識別子部分、及び/または1つ以上のプライマー結合配列を含む。ポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)はハイブリダイズした標的DNAセグメントの3’リンカー末端を伸長して、標的DNAセグメントの5’リンカー末端とのライゲーション接合部を形成する(図63、ステップB)。図63、ステップCに示す実施形態において、5’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼは、伸長によりライゲーション能のある5’ホスフェートを生成した後、5’リンカー上で、マッチする5’重複塩基を切断する。図63、ステップC(右パネル)に示す実施形態において、標的DNAセグメントの5’リンカーはライゲーション能のある5’末端を含有するため、5’→3’ヌクレアーゼ活性を欠くポリメラーゼを利用することができる。ポリメラーゼはまた、ハイブリダイズした環化標的DNAセグメントを鋳型として用いて、セグメントがプローブの5’ブロック基に到達するまで、オリゴヌクレオチドプローブの3’末端も伸長する。図63、ステップDに示すように、リガーゼ(塗りつぶした円)はDNAセグメントの伸長3’末端及び5’末端を共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する。オリゴヌクレオチドプローブ上の5’ブロック基は、ポリメラーゼにより伸長したオリゴヌクレオチドプローブの環化を防止する。図63、ステップEに示すように、エキソヌクレアーゼ分解により、所望の一本鎖環化DNAライゲーション生成物のみを残して、全てのライゲーションされていない生成物またはニック生成物が取り除かれる。これらの環化ライゲーション生成物は、固有もしくは反復配列(例えばテトラヌクレオチド反復)による任意の捕捉、または固有の標的指向プライマーによるローリングサークル伸長と後続の配列決定に適している。
図64は、上述の配列決定に好適なキメラ環状一本鎖核酸標的構築物を作製するための、別の例示的プロセスを示す。本実施形態において、標的ゲノムDNAセグメントは、ライゲーションまたは伸長に好適な5’及び3’末端を有する二本鎖標的ゲノムDNAセグメントである(図64、ステップB)。標的ゲノムDNAセグメントにヌクレオチドリンカー配列を付加する。本実施形態に従うと、ヌクレオチドリンカーは第1及び第2のリンカーオリゴヌクレオチドを含み、(i)第1のリンカーオリゴヌクレオチドは、5’一本鎖部分、1つ以上の切断可能なヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体、固有の識別子配列、第2のリンカーオリゴヌクレオチドに相補的な3’末端、及び3’OHを含み、並びに、(ii)第2のリンカーオリゴヌクレオチドは、5’OH末端、第1のリンカーオリゴヌクレオチドに相補的な5’部分、及び任意の3’ブロック末端を含む。第2のリンカーオリゴヌクレオチドは、第1のリンカーオリゴヌクレオチドの相補部分にハイブリダイズし、標的ゲノムDNAセグメントの付加に好適な複合リンカーを形成する。
図64、ステップC〜Dに示すように、(i)複合リンカーの第1のリンカーオリゴヌクレオチドの3’OHの、二本鎖標的ゲノムDNAセグメントの5’末端へのライゲーションに好適な、(ii)複合リンカーの第1のリンカーオリゴヌクレオチドの相補コピーを作製するための二本鎖標的ゲノムDNAセグメントの3’末端のポリメラーゼ伸長に好適な、及び(iii)リンカーが付加された標的ゲノムDNAセグメントを形成するための1つ以上の切断可能なヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体の切断に好適な条件下にて、二本鎖標的ゲノムDNAを、複合リンカー、リガーゼ、及びポリメラーゼとブレンドする。標的DNAセグメントのリンカーの5’及び3’一本鎖部分に相補的なヌクレオチド配列を含有するオリゴヌクレオチドプローブ(太い黒二重線)を、それぞれの標的DNAセグメントにハイブリダイズする(図64、ステップF)。オリゴヌクレオチドプローブは、患者識別子配列、プライマー結合部位、及び3’末端上のミスマッチ尾部を含有する。ポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)はハイブリダイズした標的DNAセグメントの3’リンカー末端を伸長して、標的DNAセグメントの5’リンカー末端とライゲーション接合部を形成する(図64、ステップG)。図64、ステップHに示すように、リガーゼ(塗りつぶした円)はリンカーが付加されたDNAセグメントの3’及び5’末端を共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する。これらの環化ライゲーション生成物は、固有もしくは反復配列(例えばテトラヌクレオチド反復)による任意の捕捉、または固有の標的指向プライマーによるローリングサークル伸長と後続の配列決定に適している。
図65は、上述の配列決定に好適なキメラ環状一本鎖核酸標的構築物の作製に関連する例示的プロセスを示す。これらの実施形態において、元のゲノムセグメントは、例えば、腫瘍特異的変異、SNP、または多型反復配列を含有する、cfDNA(約160bp)のセグメント、または剪断されたゲノムDNA(約160bp)のセグメントを含む。本プロセスは、一本鎖(細い黒二重線)と二本鎖部分(太い黒線)の両方を含む複合リンカーの、DNAセグメントの3’及び5’末端上へのライゲーションにより開始する(図65、ステップA)。図65、ステップB(右パネル)に示すプロセスの付加されたリンカーは、ライゲーション能のある5’ホスフェート基を含有するが、図65、ステップB(左パネル)に示すプロセスの付加されたリンカーは、ライゲーション能のある5’ホスフェート基を含有しない。標的DNAセグメントのリンカーの5’及び3’一本鎖部分に相補的なヌクレオチド配列を含有するオリゴヌクレオチドプローブ(太い黒二重線)を、それぞれの標的DNAセグメントにハイブリダイズする。ポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)はハイブリダイズした標的DNAセグメントの3’リンカー末端を伸長して、標的DNAセグメントの5’リンカー末端とライゲーション接合部を形成する(図65、ステップC)。図65、ステップCに示す実施形態において、5’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼは、伸長によりライゲーション能のある5’ホスフェートを生成した後、5’リンカー上で、マッチする5’重複塩基を切断する。図65、ステップDに示すように、リガーゼ(塗りつぶした円)はリンカーが付加されたDNAセグメントの3’及び5’末端を共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する。図65、ステップEに示すように、エキソヌクレアーゼ分解により、所望の一本鎖環化DNAライゲーション生成物のみを残して、全てのライゲーションされていない生成物またはニック生成物が取り除かれる。これらの環化ライゲーション生成物は、固有もしくは反復配列(例えばテトラヌクレオチド反復)による任意の捕捉、または固有の標的指向プライマーによるローリングサークル伸長と後続の配列決定に適している。
リンカーを付加するための標準的アプローチは図66に図示されており、当業者に周知である。これらの実施形態において、元のゲノムセグメントは、例えば、腫瘍特異的変異、SNP、または多型反復配列を含有する、cfDNA(約160bp)のセグメント、または剪断されたゲノムDNA(約160bp)のセグメントを含む。断片化DNAの末端は、T4ポリメラーゼまたはDNAポリメラーゼI(大型)(クレノウ)断片等の、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを用いて修復され、このポリメラーゼは、5’末端と重なるまで、陥凹3’末端を伸長するか、または3’オーバーハング末端を分解する(図66、ステップA)。5’末端が、T4キナーゼによりリン酸化され、3’→5’ヌクレアーゼ活性を欠いているDNAポリメラーゼI(大型)(クレノウ)断片を用いて、追加のA塩基が3’末端に付加される(図66、ステップB及びC)。T4リガーゼを用いて、リンカー上で3’Tオーバーハングをライゲーションする(図66、ステップD)。この図において、リンカーのプライマー部分1及び3を用いて、それぞれ任意の患者及び固有の識別子配列1及び2を決定する。プライマー部分2及び3’を用いて、それぞれフォワード及びリバース標的DNAを配列決定する。本生成物は、上の図63及び65に示す、元の標的トップ鎖及びボトム鎖の環化に適している。
標準的なアプローチは、リンカーの一本鎖部分に固有配列を導入する可能性を提供するが、これらの配列では、トップ鎖配列のボトム鎖配列との明確なマッチングが可能とならない。この種類の構築物を得るために、図67に示すように、標準的なアプローチを修正する。これらの実施形態において、元のゲノムセグメントは、例えば、腫瘍特異的変異、SNP、または多型反復配列を含有する、cfDNA(約160bp)のセグメント、または剪断されたゲノムDNA(約160bp)のセグメントを含む。断片化DNAの末端は、T4ポリメラーゼまたはDNAポリメラーゼI(大型)(クレノウ)断片等の、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを用いて修復され、このポリメラーゼは、5’末端と重なるまで、陥凹3’末端を伸長するか、または3’オーバーハング末端を分解する(図67、ステップA)。5’末端がT4キナーゼによって任意でリン酸化され(図67、ステップB)、3’→5’ヌクレアーゼ活性を欠くDNAポリメラーゼI(大型)(クレノウ)断片を用いて、A塩基オーバーハングが3’末端に付加される。
本実施形態において、リンカー配列は第1、第2、及び第3のオリゴヌクレオチドを含む。第1のオリゴヌクレオチドは、第1の固体支持体プライマー特異的部分、1つ以上の第1の患者識別子配列、第1の配列決定プライマー結合部位、及び、第3のオリゴヌクレオチドに相補的な3’末端を含む。第2のオリゴヌクレオチドは、第3のオリゴヌクレオチドの5’末端に相補的な領域を含み、第3のオリゴヌクレオチドは、第2のオリゴヌクレオチドに相補的な5’末端、第2の配列決定プライマー結合部位、第1のオリゴヌクレオチドの3’末端に相補的な部分、第2の患者識別子配列、及び第2の固体支持体プライマー特異的部分を含む。第3のオリゴヌクレオチドは第1及び第2のオリゴヌクレオチドの相補部分にハイブリダイズし、複合リンカーを形成する。図67、ステップDに示すように、複合リンカーの第2及び第3のオリゴヌクレオチドの、二本鎖標的ゲノムDNAセグメントのそれぞれ5’及び3’末端へのライゲーションに好適な条件下にて、二本鎖標的ゲノムDNAセグメントを複合リンカー、リガーゼ、及びポリメラーゼとブレンドする。ポリメラーゼは複合リンカーの第1のオリゴヌクレオチドの3’末端を伸長し、5’末端にて、複合リンカーの第2のオリゴヌクレオチドとのライゲーション接合部を作製する(図67、ステップE)。複合リンカーの第2のオリゴヌクレオチド5’末端がリン酸化されていない場合、ポリメラーゼは、ライゲーションに好適な5’ホスフェートを遊離させるために5’−3’ヌクレアーゼ活性を有する。第2のオリゴヌクレオチドが5’末端上でリン酸化されている場合、ポリメラーゼは5’−3’ヌクレアーゼ活性を欠き、これによりポリメラーゼがリンカーまで伸長することができ、続いてリガーゼがニックを閉じることができる。図67、ステップEに示すように、リガーゼは、前記ライゲーション接合部にて複合リンカーの第1及び第2のオリゴヌクレオチドを共有結合で閉じ、リンカーが付加された二本鎖標的ゲノムDNAを形成する。本実施形態において、リンカーのプライマー部分1及び3はそれぞれ、任意の患者識別子配列1及び2を決定するために用いられる(図67、ステップFを参照)。リンカーのプライマー部分2及び3’はそれぞれ、フォワードとリバース標的DNA、並びに固有の識別子配列1及び2を配列決定するために用いられる。本生成物は、上の図63及び65に示す、元の標的鎖のそれぞれの環化に適している。これらの鎖の配列の決定時に、固有の識別子配列1及び2は、トップ鎖配列の、ボトム鎖配列との明確なマッチングが可能となり、これにより、元の標的分子の両方の鎖における、低量の変異の独立した検証を行うことができる。
図68は、キメラ環状一本鎖核酸標的構築物の作製の好適であり、トップ鎖配列のボトム鎖配列との明確なマッチングが可能となるような、プライマー配列を標的DNAの末端に付加する別のアプローチを例示する。これらの実施形態において、元のゲノムセグメントは、例えば、腫瘍特異的変異、SNP、または多型反復配列を含有する、cfDNA(約160bp)のセグメント、または剪断されたゲノムDNA(約160bp)のセグメントを含む。断片化したDNAは、5’末端と重なるまで陥凹3’末端を伸長するか、または3’オーバーハング末端を分解する、T4ポリメラーゼまたはDNAポリメラーゼI(大型)(クレノウ)断片等の、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを用いて修復される(図68、ステップA)。5’末端は任意で、T4キナーゼでリン酸化される(図68、ステップB)。モロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素(M−MLV RT、New England Biolabs)またはSuperscriptIIもしくはIII逆転写酵素(Life Technologies)等の逆転写酵素は、3つのC塩基を各標的の3’末端に付加する(図68、ステップC)。
本実施形態において、リンカー配列は、(i)第1の固体支持体プライマー特異的部分、1つ以上の第1の患者識別子配列、第1のプライマー結合部位、及び3’末端上のリボグアノシン塩基を含む第1のリンカーオリゴヌクレオチド、並びに(ii)第2の配列決定プライマー結合部位、第2の患者識別子配列、第2の固体支持体プライマー特異的部分、及び第1のオリゴヌクレオチドに相補的な5’部分を含む第2のリンカーオリゴヌクレオチドを含む。二本鎖標的ゲノムDNAセグメントをリンカー配列、逆転写酵素、及びリガーゼとブレンドし、逆転写−ライゲーション反応混合物を形成する。第1のリンカーオリゴヌクレオチドのリボグアノシン塩基は、二本鎖標的ゲノムDNAセグメントの3’シトシンオーバーハングにハイブリダイズする(図68、ステップD)。逆転写酵素は鎖のスイッチングを受け、二本鎖標的ゲノムDNAセグメントのハイブリダイズされた3’末端が伸長され、第1のリンカーオリゴヌクレオチドの第1の患者識別子配列に相補的な配列、及び第2のリンカーオリゴヌクレオチドの5’末端とのライゲーション接合部を生成する(図68、ステップD)。二本鎖標的ゲノムDNAセグメントの伸長3’末端は、ライゲーション接合部にて第2のオリゴヌクレオチドの5’末端にライゲーションされる。RNaseH2は第1のリンカーオリゴヌクレオチドのリボグアノシン塩基を切断し、ポリメラーゼが仲立ちする伸長に好適な3’OHを遊離させる(図68、ステップE)。第1のリンカーオリゴヌクレオチドの3’末端が伸長され、二本鎖標的ゲノムDNAの5’末端にライゲーションされる(図68、ステップF)。第2のリンカーまたは標的DNAが5’末端上でリン酸化されていない場合、ポリメラーゼはライゲーションに好適な5’ホスフェートを遊離させるために5’−3’ヌクレアーゼ活性を有する。第2のリンカー及び標的がリン酸化されている場合、図68に示すように、ポリメラーゼは5’−3’ヌクレアーゼ活性を欠き、これにより第2のプライマーまたは標的の5’末端まで伸長可能であり、その後ニックがリガーゼにより閉じられる。図68、ステップGに示すように、リンカーのプライマー部分1及び3は、それぞれ任意の患者識別子配列1及び2を測定するために用いられる。リンカーのプライマー部分2及び3’はそれぞれ、フォワードとリバース標的DNA、並びに固有の識別子配列1及び2を配列決定するために用いられる。上の図63及び65で示すように、本生成物は元の標的鎖のそれぞれの環化に適している。これらの鎖の配列の決定時に、固有の識別子配列1及び2は、トップ鎖配列の、ボトム鎖配列との明確なマッチングが可能となり、これにより、元の標的分子の両方の鎖における、低量の変異の独立した検証を行うことができる。
図69は、キメラ環状一本鎖核酸標的構築物の作製に好適であるような、プライマー配列を標的DNAの末端に付加する別のアプローチを例示する。本実施形態において、元のゲノムセグメントは、例えば、腫瘍特異的変異、SNP、または多型反復配列を含有する、cfDNA(約160bp)のセグメント、または剪断されたゲノムDNA(約160bp)のセグメントを含む。断片は変性され、標的は一本鎖となる(図69、ステップA)。平均50〜100塩基が付加され、最初の30塩基に少なくとも1つのrATPの組み込みが存在するように、dATPとATPの混合物を用いて、3’末端に末端トランスフェラーゼが付加される(図69、ステップB)。本実施形態に従うと、1つ以上のオリゴヌクレオチドセットが提供され、各セットは、i)第2の固体支持体プライマー特異的部分と、1つ以上の患者識別子配列と、配列決定プライマー結合部位と、標的ゲノムDNAセグメントの伸長領域に相補的であり1つ以上の切断可能なヌクレオチドを含むモノヌクレオチド反復領域とを含む、プライマーオリゴヌクレオチド、及び(ii)第1の固体支持体プライマー特異的部分と、1つ以上の患者識別子配列と、配列決定プライマー結合部位とを含む、第1のリンカーオリゴヌクレオチドを含む。第1のリンカーオリゴヌクレオチドは、3’上に2つのリボグアノシン塩基及びロックド核酸であるグアノシン塩基(rGrG+G)を有する。図69、ステップBに示すように、本プロセスは、任意の患者及び固有識別子(2)を有する5’プライマー結合部位(3及び4)、3’末端での(T,dU)30VN配列、及び切断可能な結合(dU)を含有するプライマーオリゴヌクレオチドの、標的ゲノムDNAの末端トランスフェラーゼ伸長領域へのハイブリダイゼーションを伴う(図69、ステップB)。モロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素(M−MLV RT、New England Biolabs)またはSuperscriptIIもしくはIII逆転写酵素(Life Technologies)等の逆転写酵素はプライマーを伸長して標的の完全長コピーを作製し、3つのC塩基を伸長標的配列の3’末端に付加させる(図68、ステップC)。図68、ステップCに示すように、3’rGrG+Gを有する第1のリンカーオリゴヌクレオチドは、伸長標的配列の3つのC塩基にハイブリダイズする。逆転写酵素は鎖のスイッチングを受け、第1のリンカーオリゴヌクレオチドをコピーする(図69、ステップD)。RNaseH2はRNA塩基を切断し、A尾部内、及び第1のリンカーオリゴヌクレオチドのrGrG+Gに隣接するDNAの3’OHを遊離させる(図69、ステップD)。5’→3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼはプライマーオリゴヌクレオチド領域を複製し、第1のリンカーオリゴヌクレオチドを伸長して標的DNA上の5’ホスフェートを遊離させる(図69、ステップF)。リガーゼが第1のリンカーオリゴヌクレオチドのニックを閉じ、第1のリンカーを元の標的鎖にライゲーションする(図69、ステップG)。続いて、標的のコピーが第1のプライマー結合領域を欠くために更なる増幅を受けないように、プライマーオリゴヌクレオチドの切断可能な結合にニックを導入する(例えばdUのUDG切断)。この図において、プライマー部分1及び3は、それぞれ任意の患者及び固有の識別子配列1及び2を決定するために用いられる(図69、ステップH)。プライマー部分2及び3’を用いて、それぞれフォワード及びリバース標的DNAを配列決定する。初期サイクルにプライマー3’を用いる場合、T30領域の配列決定に機器が時間を浪費しないように、ターミネーターを含まないTTPを用いる。本生成物は、上の図63及び65に示す、元の標的トップ及びボトム鎖の環化に適している。
図70は、上述の配列決定に好適なキメラ環状一本鎖核酸標的構築物を作製するための、別の例示的プロセスを示す。これらの実施形態において、元のゲノムセグメントは、例えば、腫瘍特異的変異、SNP、または多型反復配列を含有する、cfDNA(約160bp)のセグメント、または剪断されたゲノムDNA(約160bp)のセグメントを含む。本プロセスは、短いリンカーをDNAセグメントの3’及び5’末端上にライゲーションすることから開始する(太い黒い棒線、図70、ステップA)。付加されたリンカーの5’末端は、任意でライゲーション能のあるホスフェートを含有する。標的DNAセグメントの固有または反復部分(即ちAGAT反復)、並びにリンカーの5’及び3’側に相補的な配列を含有するオリゴヌクレオチドプローブを、図70、ステップBに示すように、それぞれの標的DNAセグメントにハイブリダイズする。オリゴヌクレオチドプローブはまた、1つ以上の固有の識別子配列、患者識別子配列、ライゲーション能のある5’ホスフェート、及び切断可能な結合(dU)を含有する更なる部分も含有する。ポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)は標的DNAセグメントのハイブリダイズした3’末端及びオリゴヌクレオチドプローブを伸長し(図70、ステップC)、それぞれ、標的DNAセグメントの対応する5’末端及びプローブとライゲーション接合部を作製する。標的セグメントまたはプローブ上にライゲーション能のある5’ホスフェートが存在しない場合、ポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性がマッチする5’重複塩基を切断し、ライゲーション能のある5’ホスフェートを生成する。図70、ステップDに示すように、リガーゼ(塗りつぶした円)はオリゴヌクレオチドプローブと標的セグメントの隣接末端を共有結合で閉じ、結合した環状ライゲーション生成物を作製する。続いて、ニックをオリゴヌクレオチドプローブの切断可能な結合に導入する(例えばdUのUDG切断、塗りつぶした三角形)。図70、ステップEに示すように、エキソヌクレアーゼ分解により、固有の識別子配列に結合した元の標的DNAセグメントを含む所望の一本鎖環状構築物のみを残して、全てのライゲーションされていない生成物またはニック生成物が取り除かれる。最終生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
図71は、上述の配列決定に好適なキメラ環状一本鎖核酸標的構築物を作製するための、別の例示的プロセスを示す。これらの実施形態において、元のゲノムセグメントは、例えば腫瘍特異的な変異、SNP、または固有配列を含有する、cfDNA(約160bp)のセグメント、または剪断されたゲノムDNA(約160bp)のセグメントを含む。本プロセスは、短いリンカーをDNAセグメントの3’及び5’末端上にライゲーションすることから開始する(太い黒/白い棒線、図71、ステップA)。付加されたリンカーの5’末端は、任意でライゲーション能のあるホスフェートを含有する。標的DNAセグメントの固有配列、並びにリンカーの5’及び3’側に相補的な配列を含有するオリゴヌクレオチドプローブを、図71、ステップBに示すように、それぞれの標的DNAセグメントにハイブリダイズする。オリゴヌクレオチドプローブはまた、1つ以上の固有の識別子配列、患者識別子配列、任意のライゲーション能のある5’ホスフェート、及び任意の切断可能な結合(dU)を含有する更なる部分も含有する。一実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブの3’末端は更に、標的、例えばリボヌクレオチド塩基にブロック基として、及びRNase H2(星印)に切断ヌクレアーゼとしてハイブリダイズした時にのみ、ヌクレアーゼによる切断により遊離され、遊離3’OHを形成するいくつかの過剰の塩基及びブロック基を含む(図71、ステップC)。ポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)は標的DNAセグメントのハイブリダイズした3’末端及びオリゴヌクレオチドプローブを伸長し(図71、ステップC)、それぞれ、標的DNAセグメントの対応する5’末端及びプローブとライゲーション接合部を作製する。標的セグメントまたはプローブ上にライゲーション能のある5’ホスフェートが存在しない場合、ポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性がマッチする5’重複塩基を切断し、ライゲーション能のある5’ホスフェートを生成する。図71、ステップDに示すように、リガーゼ(塗りつぶした円)オリゴヌクレオチドプローブと標的セグメントの隣接末端を共有結合で閉じ、結合した環状ライゲーション生成物を作製する。続いて、ニックをオリゴヌクレオチドプローブの切断可能な結合に導入する(例えばdUのUDG切断、塗りつぶした三角形)。図71、ステップEに示すように、エキソヌクレアーゼ分解により、任意の患者または固有の識別子配列に結合した元の標的DNAセグメントを含む所望の一本鎖環状構築物のみを残して、全てのライゲーションされていない生成物またはニック生成物が取り除かれる。最終生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
図72は、上述の配列決定に好適なキメラ環状一本鎖核酸標的構築物を作製するための、別の例示的プロセスを示す。これらの実施形態において、元のゲノムセグメントは、例えば腫瘍特異的な変異、SNP、または固有配列を含有する、cfDNA(約160bp)のセグメント、または剪断されたゲノムDNA(約160bp)のセグメントを含む。本プロセスは、短いリンカーをDNAセグメントの3’及び5’末端上にライゲーションすることから開始する(太い黒/白い棒線、図72、ステップA)。付加されたリンカーの5’末端は、任意でライゲーション能のあるホスフェートを含有する。標的DNAセグメントの固有配列、並びにリンカーの5’及び3’側に相補的な配列を含有するオリゴヌクレオチドプローブを、図71、ステップBに示すように、それぞれの標的DNAセグメントにハイブリダイズする。オリゴヌクレオチドプローブはまた、1つ以上の固有の識別子配列、患者識別子配列、ライゲーション能のある5’ホスフェート、及び任意の切断可能な結合(dU)を含有する更なる部分も含有する。一実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブの3’末端は更に、標的、例えばリボヌクレオチド塩基にブロック基として、及びRNase H2(星印)に切断ヌクレアーゼとしてハイブリダイズした時にのみ、ヌクレアーゼによる切断により遊離され、遊離3’OHを形成するいくつかの過剰の塩基及びブロック基を含む。ここで、オリゴヌクレオチドプローブが標的にハイブリダイズした場合、遊離3’OHは5’リン酸化末端への直接ライゲーションに適している(図72、ステップC)。ポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)は標的DNAセグメントのハイブリダイズした3’末端を伸長し(図72、ステップC)、標的DNAセグメントの対応する5’末端とライゲーション接合部を作製する。標的セグメントのリンカー上にライゲーション能のある5’ホスフェートが存在しない場合、ポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性がマッチする5’重複塩基を切断し、ライゲーション能のある5’ホスフェートを生成する。図72、ステップDに示すように、リガーゼ(塗りつぶした円)は標的セグメントの隣接末端を共有結合で閉じ、結合した環状ライゲーション生成物を作製する。続いて、ニックをオリゴヌクレオチドプローブの切断可能な結合に導入する(例えばdUのUDG切断、塗りつぶした三角形)。図72、ステップEに示すように、エキソヌクレアーゼ分解により、任意の患者または固有の識別子配列に結合した元の標的DNAセグメントを含む所望の一本鎖環状構築物のみを残して、全てのライゲーションされていない生成物またはニック生成物が取り除かれる。最終生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
図73は、上述したローリングサークル増幅のプライミング及び配列決定に好適な、ハイブリダイズした標的特異的オリゴヌクレオチドを有するキメラ環状一本鎖核酸標的構築物を作製する例示的プロセスを示す。これらの実施形態において、元のゲノムセグメントは、例えば腫瘍特異的な変異、SNP、または固有配列を含有する、cfDNA(約160bp)のセグメント、または剪断されたゲノムDNA(約160bp)のセグメントを含む。本プロセスは、一本鎖(細い黒二重線)と二本鎖部分(太い黒い棒線)の両方を含む複合リンカーの、DNAセグメントの3’及び5’末端上へのライゲーションにより開始する(図73、ステップA)。図73(左パネル)に示すプロセスの付加されたリンカーは、ライゲーション能のある5’ホスフェート基を含有するが、図73(右パネル)に示すプロセスの付加されたリンカーは、ライゲーション能のある5’ホスフェート基を含有しない。標的DNAセグメントの固有配列(太い黒線)、並びに標的DNAセグメントに付加されたリンカーの5’及び3’一本鎖部分(細い黒の二重線)に相補的なヌクレオチド配列を含有するオリゴヌクレオチドプローブを、図73、ステップBに示すように、それぞれの標的DNAセグメントにハイブリダイズする。オリゴヌクレオチドプローブはまた、任意の固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、5’末端での任意のホスフェート、及び1つ以上の切断可能な結合(dU)も含有する。一実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブの3’末端は更に、標的、例えばリボヌクレオチド塩基にブロック基として、及びRNase H2(星印)に切断ヌクレアーゼとしてハイブリダイズした時にのみ、ヌクレアーゼによる切断により遊離され、遊離3’OHを形成するいくつかの過剰の塩基及びブロック基を含む。ポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)は標的DNAセグメントのハイブリダイズした3’末端及びオリゴヌクレオチドプローブを伸長し(図73、ステップC)、それぞれ、標的DNAセグメントの対応する5’末端及びプローブとライゲーション接合部を作製する。標的セグメントまたはプローブ上にライゲーション能のある5’ホスフェートが存在しない場合、ポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性がマッチする5’重複塩基を切断し、ライゲーション能のある5’ホスフェートを生成する。図73、ステップDに示すように、リガーゼ(塗りつぶした円)はオリゴヌクレオチドプローブと標的セグメントの隣接末端を共有結合で閉じ、結合した環状ライゲーション生成物を作製する。続いて、オリゴヌクレオチドプローブの切断可能な結合に1つ以上のニックを導入する(例えばdUのUDG切断、塗りつぶした三角形)。図73、ステップEに示すように、標的特異的なハイブリダイズしたプライマーと共に元の標的DNAセグメントを含む所望の一本鎖環状構築物のみを残して、切断されたオリゴヌクレオチド断片は標的DNAからなくなる。最終生成物はローリングサークル増幅、任意の追加のステップ、及び後続の配列決定に適している。
図74は、上述したローリングサークル増幅のプライミング及び配列決定に好適な、ハイブリダイズした標的特異的オリゴヌクレオチドを有するキメラ環状一本鎖核酸標的構築物を作製するための別の例示的プロセスを示す。本実施形態のステップは、図73、ステップA〜Eに示す実施形態と類似している。しかし、本実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブはまた、固体支持体上(即ち、ストレプトアビジンでコーティングした固体支持体)での生成物の捕捉に好適な捕捉基(Z)(即ち、ビオチン)も含む。図74、ステップEに示すように、後続の捕捉ステップのための捕捉基(Z)もまた含有する、標的特異的ハイブリダイズしたプライマーと共に元の標的DNAセグメントを含む所望の一本鎖環状構築物のみを残して、切断されたオリゴヌクレオチド断片は標的DNAからなくなる。最終生成物はローリングサークル増幅、任意の追加のステップ、及び後続の配列決定に適している。
図75は、上述したローリングサークル増幅のプライミング及び配列決定に好適な、ハイブリダイズした標的特異的オリゴヌクレオチドを有するキメラ環状一本鎖核酸標的構築物を作製するための別の例示的プロセスを示す。これらの実施形態において、元のゲノムセグメントは、例えば腫瘍特異的な変異、SNP、または固有配列を含有する、cfDNA(約160bp)のセグメント、または剪断されたゲノムDNA(約160bp)のセグメントを含む。本プロセスは、一本鎖(細い黒二重線)と二本鎖部分(太い黒い棒線)の両方を含む複合リンカーの、DNAセグメントの3’及び5’末端上へのライゲーションにより開始する(図75、ステップA)。図75(左)に示すプロセスの付加されたリンカーはライゲーション能のある5’ホスフェート基を含有するが、図75(右)に示すプロセスの付加されたリンカーはライゲーション能のある5’ホスフェート基を含有しない。標的DNAセグメントの固有配列(太い黒線)、並びに標的DNAセグメントの付加されたリンカーの5’及び3’一本鎖部分(細い黒の二重線)に相補的なヌクレオチド配列を含有するオリゴヌクレオチドプローブを、図75、ステップBに示すように、それぞれの標的DNAセグメントにハイブリダイズする。オリゴヌクレオチドプローブはまた、任意で固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、5’末端のホスフェート、及び1つ以上の切断可能な結合(dU)も含む。一実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブの3’末端は更に、標的、例えばリボヌクレオチド塩基にブロック基として、及びRNase H2(星印)に切断ヌクレアーゼとしてハイブリダイズした時にのみ、ヌクレアーゼによる切断により遊離され、遊離3’OHを形成するいくつかの過剰の塩基及びブロック基を含む。オリゴヌクレオチドプローブの末端は、RNaseH2による切断の後で互いに隣接するため、これらはリガーゼによる閉鎖(図75、ステップC)に適している。ポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)は標的DNAセグメントのハイブリダイズした3’末端を伸長し(図75、ステップC、右)、標的DNAセグメントの対応する5’末端とライゲーション接合部を作製する。標的セグメント上にライゲーション能のある5’ホスフェートが存在しない場合、ポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性がマッチする5’重複塩基を切断し、ライゲーション能のある5’ホスフェートを生成する。図75、ステップDに示すように、リガーゼ(塗りつぶした円)は標的セグメントの隣接末端を共有結合で閉じ、結合した環状ライゲーション生成物を作製する。続いて、オリゴヌクレオチドプローブの切断可能な結合に1つ以上のニックを導入する(例えばdUのUDG切断、塗りつぶした三角形)。図75、ステップEに示すように、標的特異的ハイブリダイズしたプライマーと共に元の標的DNAセグメントを含む所望の一本鎖環状構築物のみを残して、切断されたオリゴヌクレオチド断片は標的DNAからなくなる。最終生成物はローリングサークル増幅、任意の追加のステップ、及び後続の配列決定に適している。
図76は、上述のローリングサークル増幅及び配列決定に好適な、ハイブリダイズした標的特異的オリゴヌクレオチドを有するキメラ環状一本鎖核酸標的構築物を作製するための別の例示的プロセスである。本実施形態のステップは、図75、ステップA〜Eに示すステップに類似している。しかし、本実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブはまた、固体支持体上(即ち、ストレプトアビジンでコーティングした固体支持体)での生成物の捕捉に好適な捕捉基(Z)(即ち、ビオチン)も含む。図76、ステップEに示すように、後続の捕捉ステップのための捕捉基(Z)もまた含有する標的特異的なハイブリダイズしたプライマーと共に、元の標的DNAセグメントを含む所望の一本鎖環状構築物のみを残して、切断されたオリゴヌクレオチド断片は標的DNAからなくなる。最終生成物はローリングサークル増幅、任意の追加のステップ、及び後続の配列決定に適している。
図77は、上述の配列決定に好適なキメラ環状一本鎖核酸標的構築物を作製するための別の例示的プロセスを示す。これらの実施形態において、元のゲノムセグメントは、例えば、腫瘍特異的変異、SNP、または多型反復配列を含有する、cfDNA(約160bp)のセグメント、または剪断されたゲノムDNA(約160bp)のセグメントを含む。本プロセスは、短いリンカーをDNAセグメントの3’及び5’末端上にライゲーションすることから開始する(太い黒い棒線、図77、ステップA)。付加されたリンカーの5’末端は任意で、ライゲーション能のあるホスフェートを含有する(図77、ステップB、左パネル)。標的DNAセグメントの固有または反復部分(即ちAGAT反復)、並びに付加されたリンカーの5’及び3’側に相補的な配列を含有するオリゴヌクレオチドプローブを、図77、ステップBに示すように、それぞれの標的DNAセグメントにハイブリダイズする。オリゴヌクレオチドプローブはまた、1つ以上の固有の識別子配列、患者識別子配列、ライゲーション能のある5’ホスフェート、及び切断可能な結合(dU)を含有する更なる部分も含有する。図77、ステップCは、標的DNAセグメントのハイブリダイズした3’末端とオリゴヌクレオチドプローブの、ポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)が仲立ちする伸長のための、3つのdNTP(即ちdTTP、dCTP、dATP)の使用を示す。標的DNAセグメントの3’末端の伸長により、標的DNAセグメントの対応する5’末端とのライゲーション接合部が作製される。標的DNAセグメントにライゲーション能のある5’ホスフェートが存在しない場合(図77、ステップC)、ポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性がマッチする5’重複塩基を切断し、ライゲーション能のある5’ホスフェートを生成する。図77、ステップDにおいて、リガーゼ(塗りつぶした円)は標的DNAセグメントの隣接末端を共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する。エキソヌクレアーゼ分解により、固有の識別子配列に結合した元の標的DNAセグメントを含む所望の一本鎖環状構築物のみを残して、全てのライゲーションされていない生成物またはニック生成物が取り除かれる。最終生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
図78は、上述の配列決定に好適なキメラ環状一本鎖核酸標的構築物を作製するための、別の例示的プロセスを示す。これらの実施形態において、元のゲノムセグメントは、例えば、腫瘍特異的変異、SNP、または多型反復配列を含有する、cfDNA(約160bp)のセグメント、または剪断されたゲノムDNA(約160bp)のセグメントを含む。本プロセスは、短いリンカーをDNAセグメントの3’及び5’末端上にライゲーションすることから開始する(太い黒い棒線、図78、ステップA)。本プロセスの付加されたリンカーは、固有の識別子配列、並びに任意で、患者識別子配列及びライゲーション能のある5’ホスフェート基を含有する。図78、ステップBに示すように、標的DNAセグメントの固有または反復部分(即ちAGAT反復)、並びに付加されたリンカーの5’及び3’側に相補的な配列を含有するオリゴヌクレオチドプローブを、それぞれの標的DNAセグメントにハイブリダイズする。オリゴヌクレオチドプローブはまた、任意の切断可能な結合(dU)、及びライゲーション能のある5’ホスフェート基も含有する。リンカーが付加された標的DNAセグメントの5’末端、及び/またはオリゴヌクレオチドプローブの5’末端が、ライゲーション能のある5’末端を含有しない(図78、左パネル)が、フラップもしくは重複塩基を含有する場合(図78、ステップB、右パネル)、5’ヌクレアーゼ活性(塗りつぶした菱形)は、ライゲーション能のある5’ホスフェートを残しながら、マッチする5’重複塩基またはフラップを切断する(図78、ステップC)。図78、ステップDに示すように、リガーゼ(塗りつぶした円)がオリゴヌクレオチドプローブと標的DNAセグメントの隣接末端を共有結合で閉じ、結合した環状ライゲーション生成物を作製する。続いて、オリゴヌクレオチドプローブの切断可能な結合にニックが導入され(例えば、dUのUDG切断、塗りつぶした三角形)、エキソヌクレアーゼ分解により、固有の識別子配列に結合した元のゲノム標的DNAを含む、所望の一本鎖環状DNAのみを残して、全てのライゲーションされていない生成物またはニック生成物が取り除かれる。最終生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
配列決定に好適なキメラ環状一本鎖核酸標的構築物を作製するための、図63、65、及び70〜78に例示する手順、並びに、キメラ環状一本鎖核酸標的構築物を作製するためのプロセスにおける、標的DNAにリンカーを付加させるための、図66、67、68、及び69に例示する手順は全て共通して、元の標的DNAを一本鎖環内に捕捉している。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブはいくつかの標的選択性(図70〜78)を提供し、かつ場合によっては、生成物は、ローリングサークル増幅または直接の捕捉、及び後続の配列決定に好適な、標的特異的なハイブリダイズしたプライマーを有する一本鎖環内に元の標的DNAを、共に含む(図73〜76)。最終生成物が、ハイブリダイズしたプライマーを有しないキメラ環状一本鎖核酸標的であるこれらのアプローチに関して、図79〜81は、非常に高い特異性にて、標的特異的プライマーをハイブリダイズし、続いて捕捉を行い、非標的核酸を洗い流し、後続のローリングサークル増幅を行うための3つの異なるアプローチを例示する。
図79は、上述の配列決定に好適な、所望の標的特異的キメラ環状一本鎖核酸標的構築物を濃縮するための例示的プロセスを示す。標的特異的オリゴヌクレオチドプライマーは、標的にハイブリダイズした場合、かつその場合に限り、切断可能なリボヌクレオチドのRNaseH2による切断により遊離したブロック3’基(Dobosy et al.,“RNase H−Dependent PCR(rhPCR):Improved Specificity and Single Nucleotide Polymorphism Detection Using Blocked Cleavable Primers,”BMC Biotechnol.11:80(2011)、その全体が参照として本明細書に組み込まれている)及び、任意の5’捕捉基(例えばビオチン部分)を含有するように設計される(図79、ステップBを参照のこと)。所望の標的を含む環状DNAは、プライマーの捕捉基による、固体支持体上でのハイブリダイズしたプライマー/環状構築物の捕捉、例えばビオチン部分のストレプトアビジン捕捉により濃縮される。標的を含有しないサークルを洗浄により取り除く。ニックを切断可能な結合に導入し(例えば、リボヌクレオチドrのRNase切断)、固体支持体から標的含有環を遊離させ、プライマー上に3’OH基を生成する。鎖置換活性を有するポリメラーゼにより、ローリングサークル増幅のために、プライマーの遊離3’末端を伸長する(図80、ステップBを参照)。この伸長生成物は、後続の配列決定に好適である。
図80は、上述の配列決定に好適な所望の標的特異的キメラ環状一本鎖核酸標的構築物を濃縮するための、別の例示的なプロセスを示す。本実施形態において、標的特異的オリゴヌクレオチドプライマーは、15〜20塩基の5’アンカー配列、ミスマッチした3〜5塩基、標的に相補的なマッチした6〜10塩基を含有するように設計されている(Chun et al.,“Dual Priming Oligonucleotide System for the Multiplex Detection of Respiratory Viruses and SNP Genotyping of CYP2C19 Gene,”Nucleic Acids Res.35(6):e40(2007)、その全体が参照として本明細書に組み込まれている)。図79のように、オリゴヌクレオチドプライマーはまた、標的にハイブリダイズした場合、かつその場合に限り、切断可能なリボヌクレオチド結合にてRNaseH2による切断により遊離されるブロック3’基、及び任意の5’捕捉基(即ち、ビオチン部分)も含有する(図80、ステップBを参照)。所望の標的を含む環状DNAは、固体支持体上で捕捉基を介しての、ハイブリダイズしたプライマー/環状作成物の捕捉、例えば、ビオチン部分のストレプトアビジン捕捉により濃縮される。標的を含有しないサークルを洗浄により取り除く。ニックを切断可能な結合に導入し(例えば、リボヌクレオチドrのRNase切断)、固体支持体から標的含有環を遊離させ、プライマー上に3’OH基を生成する(図80、ステップC)。鎖置換活性を有するポリメラーゼは、ローリングサークル増幅のためにプライマーの遊離3’末端を伸長する(図80、ステップD)。この伸長生成物は、後続の配列決定に好適である。
図81は、上述の配列決定に好適な所望の標的特異的キメラ環状一本鎖核酸標的構築物を濃縮するための、別の例示的なプロセスを示す。本実施形態において、2つの隣接オリゴヌクレオチドを、環状構築物の標的特異的部分にハイブリダイズする。上流オリゴヌクレオチドプライマーは、任意の5’捕捉基(例えばビオチン部分)を含む。下流オリゴヌクレオチドプライマーは、標的にハイブリダイズした場合、かつその場合に限り、切断可能なリボヌクレオチド結合にてRNaseH2により遊離される、5’ホスフェート及びブロック3’基を含有するように設計される(図81、ステップB)。標的の存在下において、リガーゼは2つのオリゴヌクレオチドを互いに共有結合させる(図81、ステップB)。捕捉基による、固体支持体上でのハイブリダイズしたプライマー/環状構築物の捕捉、例えばビオチン部分のストレプトアビジン捕捉により、所望の標的を含む環状DNAを濃縮することができる。標的を含有しないサークルを洗浄により取り除く。ニックを切断可能な結合に導入し(例えば、リボヌクレオチドrのRNase切断)、固体支持体から標的含有環を遊離させ、下流オリゴヌクレオチド上に3’OH基を生成する(図81、ステップC)。鎖置換活性を有するポリメラーゼは、ローリングサークル増幅のために遊離3’末端を伸長する(図81、ステップD)。この伸長生成物は、後続の配列決定に好適である。
したがって、配列決定に好適なキメラ環状一本鎖核酸標的構築物を作製するための、図55、56、65、70、及び71〜78に例示する手順、並びに図79〜81に例示する手順は、ローリングサークル増幅と後続の配列決定に好適な、標的特異的結合部位、またはプライマーがハイブリダイズしたプライマー結合部位を有する、キメラ環状一本鎖核酸標的構築物を生成するための実施例を提供する。図82〜89は、所望の標的を捕捉、または更に濃縮するための異なる方法を例示する。
図82は、標的濃縮のための例示プロセスを示す。本実施形態において、キメラ環状一本鎖核酸標的構築物にハイブリダイズした標的特異的プライマーは、鎖置換ポリメラーゼを用いて伸長され、タンデムコピーのキメラ環状一本鎖構築物の2つ以上のタンデムコピーを含む、一本鎖伸長生成物を生成する(図82、ステップB)。伸長生成物に相補的なオリゴヌクレオチドをハイブリダイズする。これらのオリゴヌクレオチドは任意で、ブロックまたはミスマッチ3’末端を含有し、5’末端上に捕捉基Z(例えばビオチン部分)を含有する(図82、ステップC)。標的特異的なタンデムリピート伸長生成物は固体支持体で捕捉され、他の核酸は洗い流される。タンデムリピート伸長生成物は固体支持体上で捕捉オリゴヌクレオチドから変性される(図82、ステップC)。本伸長生成物は配列決定に適している。
図83は、標的特異的濃縮のための別の例示的プロセスを示す。本実施形態において、標的特異的オリゴヌクレオチドプライマーは、キメラ環状一本鎖核酸標的にハイブリダイズされ、5’末端に捕捉基Z(即ち、ビオチン部分)を含有させる。キメラ環状一本鎖核酸標的構築物は固体支持体上で捕捉され、他の核酸は洗い流される(図83、ステップA)。5’→3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを用いて、元のハイブリダイズしたプライマーを伸長し、捕捉基を含有するハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドの5’部分をポリメラーゼが切断すると、固体支持体から遊離されるニック環を生成する(図83、ステップB)。元のポリメラーゼは、熱またはプロテアーゼのいずれかにより失活される。ニック環の3’末端は鎖置換ポリメラーゼにより伸長され、標的DNAのタンデムコピーの一本鎖を生成する(図83、ステップC)。本伸長生成物は配列決定に適している。
図84は、標的特異的濃縮のための別の例示的プロセスを示す。本実施形態において、図84、ステップBに示すように、2つの標的特異的オリゴヌクレオチドはキメラ環状一本鎖核酸標的にハイブリダイズする。オリゴヌクレオチドを任意で、3’末端にてブロックまたはミスマッチさせ、5’末端に捕捉基Z(即ち、ビオチン部分)を含有させる。キメラ環状一本鎖核酸標的構築物は固体支持体上で捕捉され、他の核酸は洗い流される。図84、ステップCに示すように、鎖置換活性を有するポリメラーゼを用いてハイブリダイズしたプライマーの1つが伸長され、標的DNAのタンデムコピーの一本鎖が生成され、固体支持体から伸長生成物が遊離される。本伸長生成物は配列決定に適している。
図85は、標的特異的濃縮のための別の例示的プロセスを示す。本実施形態において、第1の標的特異的オリゴヌクレオチドは、キメラ環状一本鎖核酸標的にハイブリダイズする。このオリゴヌクレオチドは任意で、3’末端でブロックまたはミスマッチされており、5’末端に捕捉基Z(即ち、ビオチン部分)を含有する。キメラ環状一本鎖核酸標的構築物は固体支持体上で捕捉され、他の核酸は洗い流される。第2の標的特異的プライマーを、捕捉した環状構築物にハイブリダイズする(図85、ステップB)。鎖置換活性を有するポリメラーゼを伸長した第2のプライマーに導入し、標的DNAのタンデムコピーを含有する一本鎖伸長生成物を生成して、固体支持体から伸長生成物が遊離される(図85、ステップC)。本伸長生成物は配列決定に適している。
図86及び87は、標的特異的濃縮のための例示的プロセスを示す。これらの実施形態において、プライマー結合部位プライマーはキメラ環状一本鎖核酸標的にハイブリダイズし、鎖置換ポリメラーゼを用いて伸長し、標的DNAのタンデムコピーを含有する一本鎖伸長生成物を生成する(図86、ステップA〜B、及び図87、ステップA〜B)。伸長生成物に相補的な標的特異的オリゴヌクレオチドをハイブリダイズする。ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドは任意で3’末端にてブロックされているか、またはミスマッチしており、5’末端に捕捉基Z(即ち、ビオチン部分)を含有する。標的特異的なタンデムリピート伸長生成物は固体支持体で捕捉され、他の核酸は洗い流される(図86、ステップC及び図87、ステップC)。図86において、タンデムリピート伸長生成物は固体支持体上で捕捉オリゴヌクレオチドから変性される(図86、ステップD)。本伸長生成物は配列決定に適している。図87において、伸長生成物に相補的な追加の標的特異的プライマーがハイブリダイズされる。鎖置換ポリメラーゼによる伸長は、更なるコピーを作製しながら、固体支持体から元の伸長生成物を遊離させる(図87、ステップD)。元の伸長生成物、及び更なるコピーは配列決定に適している。
図88は、標的特異的濃縮のための別の例示的プロセスを示す。本実施形態において、第1の標的特異的プライマー及び第2のプライマー結合部位特異的オリゴヌクレオチドは、キメラ環状一本鎖核酸構築物にハイブリダイズする(図88、ステップA〜Bを参照)。第2のオリゴヌクレオチドは任意で、3’末端にてブロックされるか、またはミスマッチしており、5’末端に捕捉基Z(即ち、ビオチン部分)を含有する。キメラ環状一本鎖核酸標的構築物は固体支持体上で捕捉され、他の核酸は洗い流される。第1の標的特異的なハイブリダイズしたプライマーが、鎖置換活性を有するポリメラーゼを用いて伸長され、標的DNAのタンデムコピーを含有する一本鎖伸長生成物を生成し、固体支持体から伸長生成物を遊離させる。本伸長生成物は配列決定に適している。
図89は、標的特異的濃縮のための別の例示的プロセスを示す。本実施形態において、プライマー結合部位特異的オリゴヌクレオチドが最初に、キメラ環状一本鎖核酸標的構築物にハイブリダイズする。このオリゴヌクレオチドは任意で、3’末端でブロックまたはミスマッチされており、5’末端に捕捉基Z(即ち、ビオチン部分)を含有する。キメラ環状一本鎖核酸標的構築物は固体支持体上で捕捉され、他の核酸は洗い流される(図89、ステップA)。第2の標的特異的プライマーが捕捉された環状構築物にハイブリダイズする。鎖置換活性を有するポリメラーゼを用いて、標的DNAのタンデムコピーを含有する一本鎖伸長生成物を生成し、固体支持体から前記伸長生成物を遊離させる。本伸長生成物は配列決定に適している。
図90〜99は、異なるオリゴヌクレオチドプローブ構築物のカバレッジ効果を示す。各図のオリゴヌクレオチドプローブは、5’(上流)標的特異的部分、3’(下流)標的特異的部分、ギャップ長、並びに3’のみ、または5’及び3’アンカー末端が異なっており、160ヌクレオチドのcfDNA標的セグメントのカバレッジを達成する。標的ゲノムDNAセグメントは10塩基刻みで移動し、ヌクレオソーム保護により作製される、全ての可能な160ヌクレオチド標的の「ファミリー」を刺激する。
図90は、cfDNAに由来する、リンカーが付加された(黒い棒線)全ての可能な160ヌクレオチド断片の検出に好適なオリゴヌクレオチドプローブ設計を示す。本実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブは図示したcfDNA断片のファミリーの、リンカーが付加された3’末端にアンカリングされ、かつ、60塩基の5’または上流標的特異的部分(灰色の棒線)、20塩基の3’または下流標的特異的部分(灰色の棒線)、10塩基のリンカー特異的部分(黒い棒線)、及び20塩基の識別子配列(上流及び下流特異的部分の下に示される、5’標的特異的部分とリンカー部分の間の細い線)を含有する。20塩基を識別子配列として用いるのは、例証の目的のためである。これは、図1に示すように、キメラ環状DNAを増幅し配列決定する場合、12塩基の固有の識別子配列と8塩基の患者識別子配列を含有してよい。あるいは、図4〜12に示すように、患者識別子、固相捕捉に好適な第1及び第2のプライマー特異的部分、並びに配列決定プライマー結合領域を用いる場合、識別子部分は40〜80塩基の範囲であることができる。標的cfDNA断片にハイブリダイズした、この図のオリゴヌクレオチドプローブの図解を図13に提供する。図90に示すオリゴヌクレオチドプローブ上の3’標的特異的部分とリンカー部分の間の、種々の長さの非常に細い線は、図13〜16に示す標的セグメントの3’末端付近のループ領域の長さに対応する。これは、プローブ領域と、リンカー領域に相補的な領域とが互いに物理的に結合していることを示す。
図91に示すオリゴヌクレオチドプローブ設計は、図90に示すものに類似している。本実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブは、図示したcfDNA断片のファミリーの、リンカーが付加された3’末端にアンカリングされ、かつ、80塩基の5’または上流標的特異的部分、20塩基の3’または下流標的特異的部分、10塩基のリンカー特異的部分(太い黒い棒線)、及び20〜160塩基の識別子配列を含有する。標的cfDNA断片にハイブリダイズした、この図のオリゴヌクレオチドプローブの図解は、図13〜16でもまた提供される。
図92は、cfDNAに由来する、リンカーが付加された(黒い棒線)全ての可能な160ヌクレオチド断片の検出に好適なオリゴヌクレオチドプローブの変形を示す。本実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブは図示したcfDNA断片のファミリーの、リンカーが付加された3’末端にアンカリングされ、かつ、60塩基の5’または上流標的特異的部分(灰色の棒線)、50塩基の3’または下流標的特異的部分(灰色の棒線)、10塩基のリンカー特異的部分(黒い棒線)、及び20〜160塩基の識別子配列(5’標的特異的部分とリンカー部分との間の細い線)を含有する。20塩基を識別子配列として用いるのは、例証の目的のためのみである。図90を参照した上述の代わりの長さもまた好適である。標的cfDNA断片にハイブリダイズした、この図のオリゴヌクレオチドプローブの図解を図13及び15に提供する。図92に示すcfDNAセグメントの3’リンカーとcfDNAの3’末端との間の、種々の長さの非常に細い線は、図13〜16に示すオリゴヌクレオチドプローブのループ領域の長さに対応する。これは、プローブ領域と、リンカー領域に相補的な領域とが互いに物理的に結合していることを示す。
図93に示すオリゴヌクレオチドプローブ設計は、図92に示すものに類似している。本実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブは図示したcfDNA断片のファミリーの、リンカーが付加された3’末端にアンカリングされ、かつ、80塩基の5’または上流標的特異的部分、50塩基の3’または下流標的特異的部分、10塩基のリンカー特異的部分(太い黒い棒線)、40塩基のギャップセグメント、及び20〜160塩基の識別子配列を含有する。標的cfDNA断片にハイブリダイズした、この図のオリゴヌクレオチドプローブの図解を図13〜16に提供する。
図94は、cfDNAに由来する、リンカーが付加された(黒い棒線)全ての可能な160ヌクレオチド断片の検出に好適なオリゴヌクレオチドプローブのわずかな変形を示す。本実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブは図示したcfDNA断片のファミリーの、リンカーが付加された3’末端にアンカリングされ、かつ、50塩基の5’または上流標的特異的部分(灰色の棒線)、50塩基の3’または下流標的特異的部分(灰色の棒線)、10塩基の3’リンカー特異的部分(黒い棒線)、10塩基の5’リンカー特異的部分(黒い棒線)、及び20〜80塩基の識別子配列(5’及び3’の標的特異的部分の間の、即ち図示される下の灰色の棒線とリンカー部分の下に示される細い線)を含有する。標的cfDNA断片にハイブリダイズした、この図のオリゴヌクレオチドプローブの図解を図14に提供する。図94に示す標的cfDNAセグメントの、種々の長さの非常に細い線は、図14のオリゴヌクレオチドプローブ内のループ領域に対応し、図94のオリゴヌクレオチドプローブ内の種々の長さの非常に細い線は、図17及び18の標的DNAセグメントのループ領域に対応する。これは、プローブ領域と、リンカー領域に相補的な領域とが互いに物理的に結合していることを示す。
図95に示すオリゴヌクレオチドプローブ設計は、図94に示すものに類似している。本実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブは、図示するcfDNA断片のファミリーの、3’のリンカー付加末端、及び5’のリンカー付加末端にアンカリングされる。プローブは、60塩基の5’または上流標的特異的部分、60塩基の3’または下流標的特異的部分、10塩基の3’リンカー特異的部分、10塩基の5’リンカー特異的部分、及び20〜80塩基の識別子配列を含有する。標的cfDNA断片にハイブリダイズした、この図のオリゴヌクレオチドプローブの図解を図17及び18でも提供する。
図96は、cfDNAに由来する、リンカーが付加されていない全ての可能な160ヌクレオチド断片(濃い灰色の棒線)の検出に好適な、オリゴヌクレオチドプローブ設計の別の変形を示す。本実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブは、50塩基の5’または上流標的特異的部分(黒線を有する灰色の棒線)、50塩基の3’または下流標的特異的部分(黒線を有する灰色の棒線)、及び20〜80塩基の識別子配列(5’及び3’標的特異的部分の間の細い線、下に灰色の棒線で示す)を含有する。灰色のプローブ領域内の短い垂直の黒線は、本物の標的DNA領域とプローブのコピーが速やかに識別されるように、元の標的に対する単一塩基のミスマッチを表す。標的cfDNA断片にハイブリダイズした、この図のオリゴヌクレオチドプローブの図解を図23〜26に提供する。
図97に示すオリゴヌクレオチドプローブ設計は、図96に示すものに類似している。本実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブは、60塩基の5’または上流標的特異的部分、60塩基の3’または下流標的特異的部分、及び20〜160塩基の識別子配列を含有する。標的cfDNA断片にハイブリダイズした、この図のオリゴヌクレオチドプローブの図解を、図23、24、25及び26でも提供する。
図98に示すオリゴヌクレオチドプローブ設計は、図96に示すものに類似している。本実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブは、70塩基の5’または上流標的特異的部分、70塩基の3’または下流標的特異的部分、及び20〜160塩基の識別子配列を含有する。標的cfDNA断片にハイブリダイズした、この図のオリゴヌクレオチドプローブの図解を、図23、24、25及び26でも提供する。
図99に示すオリゴヌクレオチドプローブ設計は、図96に示すものに類似している。本実施形態において、オリゴヌクレオチドプローブは、80塩基の5’または上流標的特異的部分、80塩基の3’または下流標的特異的部分、及び20〜160塩基の識別子配列を含有する。標的cfDNA断片にハイブリダイズした、この図のオリゴヌクレオチドプローブの図解は、図23〜26でもまた提供される。
図100〜103は、隣接する160bpの標的領域にまたがりタイリングされているとおり、3’及び/または5’リンカー領域を有する標的特異的オリゴヌクレオチドプローブによる標的領域のカバレッジを示す。具体的には、図100は、より大きな連続領域(一例として約500塩基を示す)を配列決定するための、重複タイリング法によるオリゴヌクレオチドプローブの設計方法を示す。検出される標的領域の配列は、濃い灰色部分で表される。検出されない標的領域の配列はライトグレー部分として示され、リンカーは黒色部分として示される。この図での、それぞれの連続した縦のグルーピングは、無作為に生成したcfDNA断片(または無作為に剪断した断片)に見出される160bpの標的領域をスライドすることにより得られるプローブのカバレッジを示す。標的領域は連続して10塩基刻みでスライドし、一つのプローブによる標的領域のカバレッジを示す。それぞれの連続した縦の、左から右へのグルーピングは、第2、第3、及び第4の異なるプローブによる標的領域のカバレッジ及びプローブの重複を示す。ここ(縦のそれぞれのグルーピングの下)に示すオリゴヌクレオチドプローブ構築物は、60塩基の5’または上流標的特異的プローブ部分、50塩基の3’または下流プローブ、10塩基のリンカー部分、及び20〜160bpの識別子領域(細い線)を含有する。
図101は、図100に示すより大きな連続領域を配列決定するための、重複タイリング法によるオリゴヌクレオチドプローブの設計方法の類似の図解を示す。ここで示すオリゴヌクレオチドプローブ構築物は、80塩基の5’または上流標的特異的プローブ部分、50塩基の3’または下流プローブ、10塩基のリンカー部分、及び20〜160bpの識別子領域(細い線)を含有する。
図102は、図100に示すより大きな連続領域を配列決定するための、重複タイリング法によるオリゴヌクレオチドプローブの設計方法の類似の図解を示す。ここで示すオリゴヌクレオチドプローブ構築物は、50塩基の5’または上流標的特異的プローブ部分、50塩基の3’または下流プローブ、10塩基の5’及び3’リンカー部分、並びに20〜160bpの識別子領域(細い線)を含有する。
図103は、図100に示すより大きな連続領域を配列決定するための、重複タイリング法によるオリゴヌクレオチドプローブの設計方法の類似の図解を示す。ここで示すオリゴヌクレオチドプローブ構築物は、60塩基の5’または上流標的特異的プローブ部分、60塩基の3’または下流プローブ、10塩基の5’及び3’リンカー部分、並びに20〜160bpの識別子領域(細い線)を含有する。
図104〜107は、隣接する160bpの標的遺伝子領域にまたがりタイリングされているとおり、3’または5’リンカーを含まない、標的特異的なフェーズで標識されたオリゴヌクレオチドによる標的領域のカバレッジを示す(図20及び22に示すプロセスを表す)。50塩基の5’及び3’標的特異的領域を有するオリゴヌクレオチドプローブは、10塩基毎に1つの塩基ミスマッチ(縦のハッシュマーク)を含有する。検出された標的領域の配列(濃い灰色);検出されていない標的領域の配列(ライトグレー)。具体的には、図104は、ゲノムDNAの伸長における、隣接する160bpの遺伝子標的(標的セグメントにリンカーは付加されていない)にまたがりタイリングされた、標的特異的なフェーズで標識されたオリゴヌクレオチドを示す。5’及び3’標的特異的プローブは、10塩基毎に1本の塩基ミスマッチ(縦のハッシュマーク)を有する。この図での、それぞれの連続したグルーピングは、cfDNAで発見された、スライドした160bpの標的領域のプローブカバレッジのシミュレーションを示す。標的領域は連続して10塩基刻みでスライドし、一つのプローブによる標的領域のカバレッジを示す。それぞれの連続した左から右へのグルーピングは、第2、第3、及び第4の異なるプローブによる標的領域のカバレッジ及びプローブの重複を示す。この図で示すオリゴヌクレオチドプローブ構築物は、50塩基の5’または上流標的特異的部分、50塩基の3’または下流標的特異的部分、及び20〜160塩基の配列識別子領域を含有する。
図105は、図104に示す、隣接する160bpの遺伝子標的にまたがってタイリングされた、標的特異的なフェーズにより標識されたオリゴヌクレオチドに対する類似アプローチを示す。この図で示すオリゴヌクレオチドプローブ構築物は、60塩基の5’または上流標的特異的部分、60塩基の3’または下流標的特異的部分、及び20〜160塩基の配列識別子領域を含有する。
図106は、図104に示す、隣接する160bpの遺伝子標的にまたがってタイリングされた、標的特異的なフェーズにより標識されたオリゴヌクレオチドに対する類似アプローチを示す。この図で示すオリゴヌクレオチドプローブ構築物は、70塩基の5’または上流標的特異的部分、70塩基の3’または下流標的特異的部分、及び20〜160塩基の配列識別子領域を含有する。
図107は、図104に示す、隣接する160bpの遺伝子標的にまたがってタイリングされた、標的特異的なフェーズにより標識されたオリゴヌクレオチドに対する類似アプローチを示す。この図で示すオリゴヌクレオチドプローブ構築物は、80塩基の5’または上流標的特異的部分、80塩基の3’または下流標的特異的部分、及び20〜160塩基の配列識別子領域を含有する。
本発明の別の態様は、試料中で、試料中の他の核酸分子とは1つ以上の塩基が異なる1つ以上の標的リボ核酸分子を識別する方法に関する。本方法は、1つ以上の塩基の違いを含有する可能性がある1つ以上の標的リボ核酸分子を含む試料を提供する工程、及び、前記試料内に存在する場合、1つ以上の標的リボ核酸分子のcDNAを前記試料内で生成する工程を伴う。本方法は、1つ以上の第1のオリゴヌクレオチドプローブを提供する工程を更に伴い、各第1のオリゴヌクレオチドプローブは、(a)3’cDNA標的特異的配列部分、(b)5’cDNA標的特異的部分、及び更なる部分を含み、前記更なる部分は、(i)固有の識別子配列、(ii)患者識別子配列、(iii)1つ以上のプライマー結合配列、または(i)、(ii)、及び(iii)の任意の組み合わせを含む。第1のオリゴヌクレオチドプローブの3’及び5’標的特異的部分が塩基特異的な様式でcDNAの相補領域にハイブリダイズするのに効果的な条件下にて、試料を1つ以上の第1のオリゴヌクレオチドプローブと接触させる。相補cDNAにハイブリダイズした第1のオリゴヌクレオチドプローブの3’及び5’末端の結合に好適な1つ以上のライゲーション能のある接合部を生成し、1つ以上のライゲーション接合部にて第1のオリゴヌクレオチドプローブをライゲーションし、第1のオリゴヌクレオチドプローブの更なる部分に結合した標的リボ核酸配列のデオキシリボ核酸コピーを含む、ライゲーション環状生成物を形成する。本方法は、試料中の環状ライゲーション生成物を検出及び区別する工程であって、それにより、試料中の他のリボ核酸分子とは1つ以上の塩基が異なる1つ以上の標的リボ核酸分子の存在を識別する、工程を更に伴う。
本発明の本態様に従い、図108は、配列決定のための、mRNAまたはlncRNA転写物の標的特異的捕捉プロセスを示す。図108、ステップAに示すように、所望の標的領域を含有するmRNAまたはlncRNAを逆転写し(逆転写−塗りつぶした菱形)、相補DNA(cDNA)分子を生成する。図108、ステップBに示すように、cDNA標的領域に相補的な5’及び3’配列を含有するオリゴヌクレオチドプローブをcDNA分子にハイブリダイズする。オリゴヌクレオチドプローブの標的特異的部分は、更なる部分により分離される。更なる部分は、固有の識別子部分、任意で患者識別子部分、及び任意で5’ホスフェートを含む。必要であれば、ポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)がオリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイズした3’末端を伸長し、オリゴヌクレオチドプローブの5’末端と重なる3’末端を生成する(図108、ステップC)。5’末端上にライゲーション能のあるホスフェートが存在しない場合、5’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼが5’末端のマッチする5’重複塩基を切断し、5’ホスフェートを生成する(図108の左側、ステップC)。図108、ステップDに示すように、リガーゼ(塗りつぶした円)は伸長またはライゲーション能のある末端を共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する。最後に、図108、ステップEに示すように、エキソヌクレアーゼ分解により、固有の識別子配列または患者識別子配列に結合した標的リボ核酸配列のcDNAコピーを含む所望の一本鎖環状構築物のみを残して、全てのライゲーションされていない生成物またはニック生成物が取り除かれる。本生成物は、本明細書記載の方法のいずれかを用いたローリングサークル増幅及び配列決定に適している。
本発明の別の態様は、試料内での、互いに結合した異なる第1標的領域及び第2標的領域(例えば、推定上の遺伝子融合体)を含む可能性がある1つ以上の核酸分子の識別方法に関する。本方法は、互いに結合した異なる第1標的領域及び第2標的領域を含む1つ以上の核酸分子を含む可能性がある試料を提供する工程、並びに1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを提供する工程を伴い、各プローブセットは、(i)5’第1標的特異的部分と、3’第2標的特異的部分と、更なる部分とを含む第1のオリゴヌクレオチドプローブ、及び、(ii)5’第2標的特異的部分と、3’第1標的特異的部分と、更なる部分とを含む第2のオリゴヌクレオチドプローブを含み、プローブセットの前記第1または第2のオリゴヌクレオチドプローブの前記更なる部分は、(i)固有の識別子配列、(ii)患者識別子配列、(iii)1つ以上のプライマー結合配列、または(i)、(ii)、及び(iii)の任意の組み合わせを含む。本方法は、試料中に存在する場合、プローブセットの第1及び第2のオリゴヌクレオチドプローブが塩基特異的な様式で核酸分子の対応する第1及び第2の標的領域にハイブリダイズするのに効果的な条件下にて、試料と1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを接触させる工程、並びに、前記プローブセットが核酸分子の相補第1標的領域及び第2標的領域にハイブリダイズされた場合に、プローブセットの第1のオリゴヌクレオチドプローブの3’末端を第2のオリゴヌクレオチドプローブの5’末端に結合させるのに好適な、及び、プローブセットの第1のオリゴヌクレオチドプローブの5’末端を第2のオリゴヌクレオチドプローブの3’末端に結合させるのに好適な1つ以上のライゲーション能のある接合部を生成する工程を更に伴う。プローブセットの第1及び第2のオリゴヌクレオチドを1つ以上のライゲーション能のある接合部にてライゲーションし、更なる部分に結合した核酸分子の第1及び第2の異なる標的領域に対応するヌクレオチド配列を含む環状ライゲーション生成物を形成する。環状ライゲーション生成物を試料内で検出及び区別することにより、存在する場合、試料中に互いに結合した異なる第1標的領域及び第2標的領域を含む1つ以上の核酸分子の存在を識別する。
本発明の本態様に関して、図109、ステップA〜Eは、mRNA内での推定上の特定の遺伝子融合を検出する例示的プロセスを示す。推定上遺伝子融合が含まれるmRNAを逆転写し、cDNA分子を生成する(図109、ステップA)。それぞれの可能性のある標的に関して、第1及び第2のオリゴヌクレオチドプローブを含むプローブセットを提供する。第1のプローブは5’第1標的特異的部分及び3’第2標的特異的部分を有する一方、第2のプローブは5’第2標的特異的部分及び3’第1標的特異的部分を有する。各プローブの標的特異的部分は、固有の識別子配列、患者識別子配列、1つ以上のプライマー結合配列、またはこれらの任意の組み合わせを含有するヌクレオチド配列により分離される。図109、ステップBに示すように、オリゴヌクレオチドプローブを標的cDNA分子のそれぞれの相補部分にハイブリダイズする。オリゴヌクレオチドプローブがライゲーション能のある5’末端を含有する場合、図109、ステップD(左パネル)に示すように、リガーゼはハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドの隣接末端を共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する。オリゴヌクレオチドプローブが5’フラップまたは重複ヌクレオチド塩基を含有する場合、5’ヌクレアーゼは5’末端を切断し、ライゲーション(図109、ステップD(右パネル))の前にライゲーション能のある5’ホスフェートを生成する(図109、ステップC)。エキソヌクレアーゼ分解により、固有の識別配列、患者識別配列、及び/または捕捉配列(例えばプライマー結合配列)に結合した遺伝子融合生成物からの、上流及び下流配列を含む所望の一本鎖環化DNA構築物のみを残し、ライゲーションされていない生成物または線状生成物が全て取り除かれる。本生成物は、本明細書に記載したローリングサークル増幅及び後続の配列決定に適している。
図110は、mRNA内での、推定上の特定の遺伝子融合を検出するための、図109に示すプロセスの変形を示す。本実施形態において、図110、ステップBに示すように、第1及び第2のオリゴヌクレオチドプローブをcDNA分子のそれぞれの相補領域にハイブリダイズする。図110、ステップCに示すように、ポリメラーゼは各第1及び第2プローブのハイブリダイズした3’末端を伸長し、各第2のプローブ、及び第1のプローブのハイブリダイズした5’末端とライゲーション接合部を形成する。オリゴヌクレオチドプローブが5’OHを有する場合(図110、ステップCの右側)、ポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性は、ライゲーション能のある5’ホスフェートを残しながら、マッチする5’重複塩基を切断する。リガーゼ(塗りつぶした円)はハイブリダイズした第1及び第2のオリゴヌクレオチドプローブの隣接末端を共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する(図110、ステップD)。エキソヌクレアーゼ分解により、固有の識別子配列、患者識別子配列、及び/または捕捉配列(即ちプライマー結合配列)に結合した遺伝子融合生成物からの上流及び下流配列を含む所望の一本鎖環状DNA構築物のみを残し、ライゲーションされていない生成物または線状生成物が取り除かれる。本生成物は、本明細書に記載したローリングサークル増幅及び後続の配列決定に適している。
図111は、mRNAまたはlncRNA内の特定のエクソンの検出及び定量に好適な、本発明の本態様に従った別のプロセスを示す。本実施形態において、所望のエクソンを含有するmRNAまたはlncRNAを逆転写してcDNAにする(図111、ステップA)。図111、ステップBに示すように、それぞれの可能性のある標的に関して、2つのオリゴヌクレオチドプローブを提供し、各プローブは、cDNA分子の各エクソンの固有部分に相補的な3’及び5’標的特異的配列を含有する。各プローブの標的特異的部分は、固有の識別子配列、患者識別子配列、1つ以上のプライマー結合配列、またはこれらの任意の組み合わせを含有するヌクレオチド配列により分離される。図111、ステップBに示すように、プローブを標的のcDNA上で互いに隣接させてハイブリダイズする。オリゴヌクレオチドプローブがライゲーション能のある5’末端を含有する場合、図111、ステップD(左パネル)に示すように、リガーゼはハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドの隣接末端を共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する。オリゴヌクレオチドプローブが5’フラップまたは重複ヌクレオチド塩基を含有する場合、5’ヌクレアーゼは5’末端を切断し、ライゲーション(図111、ステップD(右パネル))の前にライゲーション能のある5’ホスフェートを生成する(図111、ステップC)。エキソヌクレアーゼ分解により、固有の識別子配列、患者識別子配列、及び/または捕捉配列(例えばプライマー結合配列)に結合した所望のエクソンのcDNA配列を含む所望の一本鎖環化DNA構築物のみを残し、ライゲーションされていない生成物または線状生成物が全て取り除かれる。本生成物は、本明細書に記載したローリングサークル増幅及び後続の配列決定に適している。
図112は、mRNAまたはlncRNA内での特定のエクソンの検出及び定量のための、図111に示すプロセスの変形を示す。本実施形態において、図112、ステップBに示すように、第1及び第2のオリゴヌクレオチドプローブはcDNA分子のそれぞれの相補領域にハイブリダイズする。図112、ステップCに示すように、ポリメラーゼは各第1及び第2プローブのハイブリダイズした3’末端を伸長し、各第2のプローブ、及び第1のプローブのハイブリダイズした5’末端とライゲーション接合部を形成する。オリゴヌクレオチドプローブが5’OHを有する場合(図110、ステップCの右側)、ポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性は、ライゲーション能のある5’ホスフェートを残しながら、マッチする5’重複塩基を切断する。リガーゼ(塗りつぶした円)は、ハイブリダイズした第1及び第2のオリゴヌクレオチドプローブの隣接する伸長末端を共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する(図112、ステップD)。エキソヌクレアーゼ分解により、固有の識別子配列、患者識別子配列、及び/または捕捉配列(即ちプライマー結合配列)に結合した所望のエクソンのcDNA配列を含む所望の一本鎖環状DNA構築物のみを残し、ライゲーションされていない生成物または線状生成物が取り除かれる。本生成物は、本明細書に記載したローリングサークル増幅及び後続の配列決定に適している。
図113は、ゲノムDNAの同じ鎖での、既知の多型の検出に好適な、本発明の本態様に従った別のプロセスを示す。図113、ステップAに示すように、標的ゲノムDNAセグメントの上流及び下流領域は、多型を含有する。図113、ステップBに示すように、それぞれの可能性のある標的に関して、2つのオリゴヌクレオチドプローブが提供され、各プローブは、多型を含有するDNAの上流及び下流部分に相補的な3’及び5’標的特異的配列を含有する。各プローブの標的特異的部分は、固有の識別子配列、患者識別子配列、1つ以上のプライマー結合配列、またはこれらの任意の組み合わせを含有するヌクレオチド配列により分離される。図113、ステップBに示すように、プローブを標的ゲノムDNA配列上で互いに隣接してハイブリダイズする。オリゴヌクレオチドプローブがライゲーション能のある5’末端を含有する場合、図113、ステップD(左パネル)に示すように、リガーゼはハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドの隣接末端を共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する。オリゴヌクレオチドプローブが5’フラップまたは重複ヌクレオチド塩基を含有する場合、5’ヌクレアーゼは5’末端を切断し、ライゲーション(図113、ステップD(右パネル))の前にライゲーション能のある5’ホスフェートを生成する(図113、ステップC)。エキソヌクレアーゼ分解により、固有の識別子配列、患者識別子配列、及び/または捕捉配列(例えばプライマー結合配列)に結合した多型を含有するゲノムDNAの上流及び下流配列を含む所望の一本鎖環化DNA構築物のみを残し、ライゲーションされていない生成物または線状生成物が全て取り除かれる。本生成物は、本明細書に記載したローリングサークル増幅及び後続の配列決定に適している。
本発明の別の態様は、試料中における、試料の別の核酸分子とは1つ以上の塩基が異なる1つ以上の標的miRNA分子の識別方法に関する。本方法は、1つ以上の塩基の違いを含有する可能性がある1つ以上の標的miRNA分子を含む試料を提供する工程、並びに、ヌクレオチドリンカーを試料内の標的miRNA分子の3’及び5’末端に付加する工程を伴う。本方法は、1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを提供する工程を更に伴い、各オリゴヌクレオチドプローブは、(a)標的miRNA分子の3’ヌクレオチドリンカーに相補的な3’部分、(b)標的miRNA分子の5’ヌクレオチドリンカーに相補的な5’部分、及び(c)更なる部分を含み、前記更なる部分は、(i)固有の識別子配列、(ii)患者識別子配列、(iii)1つ以上のプライマー結合配列、または(i)、(ii)、及び(iii)の任意の組み合わせを含む。試料中に存在する場合、オリゴヌクレオチドプローブの3’及び5’部分が塩基特異的な様式で標的miRNA分子上の相補ヌクレオチドリンカーにハイブリダイズするのに効果的な条件下にて、試料を1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブと接触させる。ハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドプローブの3’末端を伸長して1つ以上の標的miRNA分子の相補体を生成し、オリゴヌクレオチドプローブの伸長した3’末端をオリゴヌクレオチドプローブの5’末端にライゲーションし、標的miRNA分子の3’ヌクレオチドリンカーに相補的な配列、標的miRNA分子の5’ヌクレオチドリンカーに相補的な配列、1つ以上の標的miRNA分子の相補体、及びオリゴヌクレオチドプローブの更なる部分を含む環状ライゲーション生成物を形成する。本方法は、試料中の環状ライゲーション生成物を検出及び区別する工程であって、それにより、試料内で他の核酸分子とは1つ以上の塩基が異なる1つ以上の標的miRNA分子の存在を識別する工程を更に伴う。
本発明の本態様に従い、図114はmiRNAの遺伝集団(generic populations)の検出プロセスを示す。本プロセスの出発物質は、血清、または血漿、またはエクソソームから単離したmiRNAである(図114、ステップA)。図114、ステップBに示すように、ヌクレオチドリンカーは、試料内の標的リボ核酸分子の3’及び5’末端に付加される。図114、ステップBに示すように、3’リンカーは3’末端にブロック基を、及び5’末端にホスフェート基を含有し、標的miRNA分子の3’末端にT4 RNAリガーゼ(塗りつぶした円)を使用してライゲーションを促進する。5’末端にブロック基もまた含有する5’リンカーを、T4 RNAリガーゼを用いて同様に、miRNA分子の5’末端にライゲーションする。標的miRNAの3’ヌクレオチドリンカーに相補的な3’部分、及び標的miRNAの5’ヌクレオチドリンカーに相補的な5’部分を含有するオリゴヌクレオチドプローブを、リンカーが付加された標的miRNA分子にハイブリダイズする(図114、ステップC)。オリゴヌクレオチドプローブはまた、固有の識別子配列、患者識別子配列、1つ以上のプライマー結合配列、またはこれらの任意の組み合わせを含むヌクレオチド配列も含有する。5’−3’活性を欠く逆転写酵素(塗りつぶした菱形)はハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドプローブの3’末端を伸長し、ライゲーション能のあるオリゴヌクレオチドプローブの5’末端に隣接するまで、miRNA配列をコピーする(図114、ステップD)。図114、ステップEに示すように、T4 DNAリガーゼ(塗りつぶした円)はオリゴヌクレオチドプローブの伸長3’末端を共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する。UDG及びAPエンドヌクレアーゼ(塗りつぶした三角形)はmiRNAにニックを入れ(図114、ステップE)、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全てエキソヌクレアーゼ分解すると、固有の識別配列に結合したmiRNA標的のコピーを含む所望の一本鎖環状核酸構築物のみが残る。本生成物は、本明細書に記載したローリングサークル増幅及び環状配列決定に適している。
本発明の別の態様は、試料中における、試料中の別の核酸分子とは1つ以上の塩基が異なる1つ以上の標的miRNA分子の識別方法に関する。本方法は、1つ以上の塩基の違いを含有する可能性がある1つ以上の標的miRNA分子を含む試料を提供する工程、並びに、ヌクレオチドリンカーを試料内の標的miRNA分子の3’及び5’末端にライゲーションする工程を伴う。ヌクレオチドリンカーは更なる部分により互いに結合され、前記更なる部分は、(i)固有の識別子配列、(ii)患者識別子配列、(iii)1つ以上のプライマー結合配列、または(i)、(ii)、及び(iii)の任意の組み合わせを含み、前記ライゲーションは、標的miRNA分子、3’及び5’ヌクレオチドリンカー配列、並びに更なる部分を含む環状ライゲーション生成物を形成する。本方法は、環状ライゲーション生成物の3’または5’ヌクレオチドリンカー配列に相補的なヌクレオチド配列を含む1つ以上の第1のオリゴヌクレオチドプライマーを提供する工程、及び、1つ以上の第1のオリゴヌクレオチドプライマーを塩基特異的な様式で環状ライゲーション生成物にハイブリダイズさせる工程を更に伴う。第1のオリゴヌクレオチドプライマーの3’末端を伸長し、環状ライゲーション生成物の相補体を生成し、試料中の環状ライゲーション生成物相補体を検出して区別することにより、試料内で他の核酸分子とは1つ以上の塩基が異なる1つ以上の標的miRNA分子の存在を識別する。
本発明の本態様に関して、図115は、特定のmiRNA配列の検出プロセスを示す。血清またはエクソソームから単離したmiRNA(図115、ステップA)は、5’末端にてリン酸化される。図115、ステップBに示すように、結合したヌクレオチドリンカーは、試料内の標的リボ核酸分子の3’及び5’末端上にライゲーションされる。ヌクレオチドリンカーは、固有の識別子配列、3’リボヌクレオチド、患者識別子配列、1つ以上のプライマー結合配列、またはこれらの任意の組み合わせを含有するヌクレオチド配列により結合される。図115、ステップBに示すように、結合したヌクレオチドリンカーのライゲーションは、結合リンカーの3’末端に相補的な3’配列、結合リンカーの5’末端に相補的な5’配列、及び標的miRNAに相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドプローブにより促進される。ヌクレオチドリンカーのmiRNA分子へのライゲーションは、標的miRNA分子を含有する環化ライゲーション生成物を作製する。図115、ステップCに示すように、エキソヌクレアーゼ分解により、標的miRNAを含有する所望の一本鎖環状構築物のみを残して、ライゲーションされていない生成物、例えばオリゴヌクレオチドプローブが全て取り除かれる。図115、ステップDに示すように、リン酸化5’プライマーが環状構築物にハイブリダイズされ、逆転写酵素活性を有するが5’−3’活性を欠くポリメラーゼ(菱形)が環化した構築物の周りでハイブリダイズしたプライマーを伸長し、miRNA分子の相補コピーを生成する。図115、ステップEに示すように、リガーゼ(塗りつぶした円)は、プライマーの伸長3’末端とリン酸化5’末端を共有結合で閉じ、第2の環化ライゲーション生成物を作製する。UDG及びAPエンドヌクレアーゼ(塗りつぶした三角形)は元のmiRNA分子にニックを入れ、エキソヌクレアーゼ分解により、固有の識別配列に結合したmiRNA標的のコピーを含む所望の一本鎖環状核酸構築物のみを残して、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物が全て取り除かれる。本生成物は、本明細書に記載したローリングサークル増幅及び環状配列決定に適している。
図116は、特定のmiRNA配列を検出するための、図115に示すプロセスの変形を示す。この変形において、結合したヌクレオチドリンカーの標的miRNAへのライゲーションは、3’ブロック基、及び標的miRNA配列に相補的な配列内に内部スペーサー(「X」)を有するオリゴヌクレオチドプローブを用いて促進される(図116、ステップB(左パネル))。結合リンカーの標的miRNAへのライゲーションにより、図116、ステップB(左パネル)に示すように、環化ライゲーション生成物を形成する。図116、ステップCに示すように、チオホスフェートを含有する5’OHプライマーを環化ライゲーション生成物にハイブリダイズする。逆転写酵素活性、及び5’−3’を有するポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)はハイブリダイズしたプライマーの3’末端を伸長し、環化ライゲーション生成物の相補コピー、及びその中に含まれる標的miRNA分子を形成する(図116、ステップC及び116、ステップD(左パネル))。ポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性は、ライゲーション能のある5’ホスフェートを残しながら、プライマーのマッチする5’重複塩基を切断する(図116、ステップD(左パネル))。図116、ステップEに示すように、リガーゼ(塗りつぶした円)は伸長末端を共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する。UDG及びAPエンドヌクレアーゼ(塗りつぶした三角形)は元のmiRNA分子を切断し(図116、ステップE(左パネル))、エキソヌクレアーゼ分解により、固有の識別配列に結合したmiRNA標的のコピーを含む所望の一本鎖環状DNAのみを残して、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物が全て取り除かれる(図116、ステップF(左パネル))。本生成物は、本明細書に記載したローリングサークル増幅及び環状配列決定に適している。標的miRNAの不存在下において、図116、ステップB〜E(右パネル)に示すように、5’−3’ヌクレアーゼによるプライマー伸長により、二本鎖切断を有するギャップが作製される。ギャップ生成物はライゲーションせず、線状のままとなる(図116、ステップE(右パネル))。これらの線状生成物は、エキソヌクレアーゼ分解により分析から取り除かれる(図116、ステップF)。
本発明の別の態様は、試料中における、試料の別の核酸分子とは1つ以上の塩基が異なる1つ以上の標的miRNA分子の識別方法に関する。本方法は、1つ以上の塩基の違いを含有する可能性がある1つ以上の標的miRNA分子を含む試料を提供する工程、及び1つ以上のオリゴヌクレオチドプローブセットを提供する工程を伴い、各セットは、(a)5’ステムループ部分、及び標的miRNA分子の3’部分に相補的な3’部分を有する第1のオリゴヌクレオチドプローブ、(b)標的miRNA分子の5’末端のコピーに相補的な3’部分、第1のオリゴヌクレオチドプローブの5’ステムループ部分に相補的な5’部分、並びに、(i)固有の標的識別子配列、(ii)患者識別子配列、(iii)プライマー結合配列、または(i)、(ii)、及び(iii)の任意の組み合わせを含む更なる部分を有する第2のオリゴヌクレオチドプローブを含む。本方法は、試料中に存在する場合、試料、プローブセットからの1つ以上の第1のオリゴヌクレオチドプローブ、及び逆転写酵素をブレンドして逆転写酵素反応物を形成する工程、並びに、相補標的miRNA分子にハイブリダイズした第1のオリゴヌクレオチドプローブの3’末端を伸長して、標的miRNA分子の相補体を生成する工程を更に伴う。プローブセットの1つ以上の第2のオリゴヌクレオチドプローブは、標的miRNA配列の相補体を含む伸長した第1のオリゴヌクレオチドプローブにハイブリダイズされ、1つ以上のライゲーション能のある接合部が、伸長した第1のオリゴヌクレオチドプローブにハイブリダイズされた各第2のオリゴヌクレオチドプローブの3’及び5’末端間で生成される。本方法は、各第2のオリゴヌクレオチドプローブの3’及び5’末端をライゲーションして環状ライゲーション生成物を形成する工程を更に伴い、各生成物は、第2のオリゴヌクレオチドプローブの更なる部分に結合した標的miRNA配列のデオキシリボ核酸コピーを含む。試料中の環状ライゲーション生成物を検出して区別することにより、試料内で他の核酸分子とは1つ以上の塩基が異なる1つ以上の標的miRNA分子の存在を識別する。
本発明の本態様に関して、図117は特定のmiRNA配列の検出方法を示す。血清、血漿、またはエクソソームから単離したmiRNAを、標的miRNAの3’末端に相補的な配列、及び5’末端にステムループを有する第1のオリゴヌクレオチドプローブにハイブリダイズする(図117、ステップB)。第1のオリゴヌクレオチドプローブのステップループ領域(step loop region)はまた、切断可能な結合(dU)も含有する。逆転写酵素(塗りつぶした菱形)を用いて第1のオリゴヌクレオチドプローブを伸長することで、miRNA分子の相補コピーを形成する。図117、ステップCに示すように、伸長した第1のオリゴヌクレオチドプローブの3’末端に相補的な3’配列、及び第1のオリゴヌクレオチドプローブの5’ステムループに相補的な5’配列を含有する第2のオリゴヌクレオチドプローブを、第1のオリゴヌクレオチドプローブの相補領域にハイブリダイズする。第2のオリゴヌクレオチドプローブはまた、固有の識別子配列、患者識別子配列、1つ以上のプライマー結合配列、5’ホスフェート、またはこれらの任意の組み合わせも含有してよい。ポリメラーゼ(塗りつぶした菱形)は第2のオリゴヌクレオチドプローブの3’末端を伸長し、miRNA配列の相補コピーを作成し、プローブの3’末端を5’末端に隣接させてライゲーション接合部を形成する。(図117、ステップD)。ポリメラーゼはまた、(ハイブリダイズした第2のオリゴヌクレオチドプローブを鋳型として用いて)第1のオリゴヌクレオチドプローブの3’末端を伸長し、5’末端とのライゲーション接合部を作製する(図117、ステップD)。図117、ステップEに示すように、リガーゼ(塗りつぶした円)は対応するそれぞれのライゲーション接合部にて、第1及び第2のオリゴヌクレオチドプローブの3’及び5’末端を共有結合で閉じ、環化ライゲーション生成物を作製する。ニックが第1のオリゴヌクレオチドプローブの切断可能な結合に導入される(例えば、dUのUDG切断、及びAPエンドヌクレアーゼ−塗りつぶした三角形)。図117、ステップEに示すように、エキソヌクレアーゼ分解により、固有の識別配列に結合したmiRNA標的配列のコピーを含む、所望の一本鎖環状核酸構築物(即ち、第2のオリゴヌクレオチドプローブ)のみを残して、全てのライゲーションされていない生成物またはニック生成物が取り除かれる。本生成物は、本明細書に記載したローリングサークル増幅及び環状配列決定に適している。
予測実施例1−既知の遺伝子(例えばBraf、K−ras、p53)における、高感度変異マーカー(1%〜0.01%で存在する場合)、単一の塩基変異、小挿入、及び小欠失変異。
癌遺伝子における変異変化は通常、ばらばらの領域または位置に存在し、多くの場合、腫瘍の進行をもたらす。これらの遺伝子、及びその変異の一覧は、Sanger Genome Centerの「COSMIC」データベース等の公開データベースに見出され得る。血清中にかかる変異が存在することは、体内におけるいくつかの腫瘍組織の強力な指標となる。従来、かかる変異は対立遺伝子特異的PCR増幅を用いて識別されている。本アプローチは、初期の誤った増幅、続いて誤った生成物の増幅を受けやすい。他では、デジタルPCRを用いて血清中の変異DNAの定量が試みられている。しかし、p53及びAPC等の癌抑制遺伝子における変異変化はあまりにも多く、対立遺伝子特異的PCRアプローチを用いてカバーできない。したがって、このアプローチは、タンパク質の全てのエクソンに渡るディープシークエンシングに移った。投入DNAが限定的である場合、異なる領域を等しく増幅し、カバレッジを確実に同一の一般深度とすることを達成するのが重要である。分子反転プローブ(MIP)を用いた等しい増幅を達成する試みが存在する(例えば、Akhras et al.,“Connector Inversion Probe Technology:A Powerful One−Primer Multiplex DNA Amplification System for Numerous Scientific Applications,”PLoS One 2(9):e915(2007);Hiatt et al.,“Single Molecule Molecular Inversion Probes for Targeted,High−Accuracy Detection of Low−Frequency Variation,”Genome Res.23(5):843−54(2013)を参照:それら全体が参考として本明細書に組み込まれる)。しかし、これらの技術はゲノムDNAのコピーの作製に依存しているため、更なるエラーを導入するリスクがある。
アプローチの概要:ここでの考えは、対象の領域またはエクソンをカバーする標的DNAの各断片を正確に捕捉し、固有の識別子配列及び任意の患者識別子を付加し、環状配列決定等の後続の配列決定のためにこれらを環化することである。元の標的DNA鎖が環化され、配列決定される。これにより、偽陽性をもたらす、伸長(及び環化)ハイブリダイゼーションオリゴヌクレオチドから生じるポリメラーゼ導入エラーが回避される。本アプローチは、必要な場合にコピー数情報(即ちウイルス量、腫瘍内のクロロソーム不均衡、非侵襲性出生前診断における異数性の検出)、及び必要最小限の配列決定による変異データの両方を得る利点を提供する。
変形1.1:(図13〜16)。この変形において、短いリンカーがDNA標的(約160塩基の平均長のcfDNA)にライゲーションされる。所望の領域を捕捉するために、標的の5’側の配列に相補的な5’プローブ領域、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、リンカーの3’末端に相補的な配列、及び標的の3’側の配列に相補的な3’プローブ領域を含むオリゴヌクレオチドプローブを標的にハイブリダイズする。オリゴヌクレオチドは、片端に任意のブロック基(図示した5’末端)、または任意の切断可能なリンカーを含有してよい。プローブ設計、並びに標的断片の開始及び末端塩基に応じて、標的の一部が、3’リンカーと、3’プローブに相補的な標的の一部との間で一本鎖領域としてループアウトし得る(図13及び14)か、または標的配列の5’末端の一部がハイブリダイズしない場合があるか、またはオリゴヌクレオチドから3’プローブ配列の一部がループアウトし得る(図15及び16)。ポリメラーゼを加えることにより、標的上でのオリゴヌクレオチドの3’末端の伸長、並びに、固有の識別子配列、及び任意の患者識別子配列を介しての3’末端リンカーの伸長が可能となる。
ハイブリダイゼーション条件は、標的の3’側の配列に相補的な3’プローブ領域のハイブリダイゼーションが、標的上のリンカーの3’末端の、その相補体に対する局所濃縮をもたらし、それが正しくハイブリダイズし、速やかにポリメラーゼにより伸長されるように選択される。しかし、オリゴヌクレオチドプローブと標的DNAとの間に十分な相補性が存在しない場合、標的上のリンカーの3’末端は相補体にハイブリダイズせず、ポリメラーゼにより伸長されることはほとんどない。標的上のオリゴヌクレオチドの3’末端を伸長することにより、プローブの標的への会合が向上するため、リンカーの3’末端が相補体にハイブリダイズし、ポリメラーゼにより伸長される能力が増加する。ポリメラーゼ(またはFenヌクレアーゼ)の5’→3’ヌクレアーゼ切断能が、本物の標的からライゲーション能のある5’ホスフェートを残しながら、標的の5’側がプローブの5’部分に相補的な位置にて、またはその付近にて、マッチする標的の5’重複塩基を切断する。ポリメラーゼは標的上でもまたオリゴヌクレオチドを伸長し、ライゲーション能のある5’ホスフェートを生成する(図13及び15、ステップDの左側)か、またはオリゴヌクレオチドの5’末端上でブロック基を切断しない(図13及び15、ステップDの右側)かのいずれかである。
リガーゼは伸長3’末端をライゲーション能のある5’ホスフェートと共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する。ブロック基はオリゴヌクレオチドプローブの環化を防止する(図13及び15、ステップD、右側)か、あるいは切断可能な結合にニックが導入される(例えば、dUのUDG切断、続いてAPエンドヌクレアーゼによるアプリン骨格の切断、図13及び15、ステップD、左側)。ウラシル−DNAグリコシラーゼ(UDG)及びホルムアミドピリミジン−DNAグリコシラーゼ(Fpg、8−オキソグアニンDNAグリコシラーゼとしても知られ、N−グリコシラーゼ及びAPリアーゼの両方として作用する)の任意付加を用いて、損傷した塩基を含有する標的にニック付加してよい。次にエキソヌクレアーゼを加え、固有の識別子配列と共に元の標的DNAを含む、所望の一本鎖環状DNAのみを残しながら、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本生成物はローリングサークル増幅及び環状配列決定、または直接SMRT配列決定に適している。
本アプローチには、5’プローブ領域と5’標的領域との間に適切なハイブリダイゼーション及び相補性が存在する場合にのみライゲーション能のある5’ホスフェートが生成されるように、標的依存性5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する酵素が必要である。5’→3’ヌクレアーゼ切断活性を有するポリメラーゼを用いる場合、課題は、ライゲーションステップなしで5’標的領域を破壊する(即ち、ニック翻訳)ような方法で、ポリメラーゼが5’プローブ領域に沿って短いリンカーを伸長するのを回避することである。元の標的DNAを破壊し、伸長DNAで置き換えるニック翻訳は、増殖し変異として誤って呼ばれてしまうポリメラーゼエラーを意図せず導入する場合がある。このことは、ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼによりライゲーション能のある接合部を作製することが必要であり、続いてポリメラーゼ解離、及びライゲーション現象により所望の環状ライゲーション生成物を生成するまで、大部分の伸長はヌクレアーゼ活性を有しないポリメラーゼによるものとなる、リガーゼの存在下にて分布伸長(distributive extension)を行う条件下において、5’→3’ヌクレアーゼ切断活性を有するもの及び有しないものの両方のポリメラーゼの混合物(例えば1:20の比率)を用いることで、最小限に抑えられ得る。
140〜170ヌクレオチド範囲のサイズを有するcfDNAは、ヌクレオソーム単位周辺の染色体DNAの切断を反映する。かかる切断現象はある程度段階を踏むか、またはより無作為的な場合があり、均一に、まてたは不均一に分布され得るいくつかの断片を生成する。したがって、どこで断片が切断されるかに依存せずにカバレッジを与えるオリゴヌクレオチドプローブを設計することが必要となる。
図90〜93は、250塩基領域にまたがる断片をカバーするための、異なるオリゴヌクレオチドプローブ設計のいくつかの例を提供する。これらの図においては、可能性のある標的断片(領域にわたって10塩基ごとにシフトする)はダークグレーの棒線で表され、リンカーは短い黒棒線で表され、プローブ領域はライトグレーの棒線で表され、固有配列識別子及び所望の患者識別子は太い黒線で表され、2つの配列間の接続は細い線で概略的に表される。図100及び101は、約500塩基の連続領域をカバーするための複数のプローブの設計方法を表す。
図90において、上流5’プローブ領域(60塩基)は標的塩基50〜110に相補的である一方、下流3’プローブ領域(20塩基)は標的塩基140〜160に相補的である。本実施例の目的に関して、リンカーは10塩基であり、複合識別子配列は20塩基である(12塩基が配列識別子、及び8塩基が患者識別子)。標的が位置1〜160に存在する場合、このプローブ設計により140塩基生成物の環化が可能となり、そのうち110塩基、即ち位置50〜160が標的配列情報を提供する。標的が位置11〜170に存在する場合、このプローブ設計により、150塩基生成物の環化が可能となり、そのうち120塩基、即ち位置50〜170が標的配列情報を提供する。この設計により、それぞれ位置51〜81から開始し、かつ位置210〜240で終了する標的を有する、最大160塩基の配列情報がもたらされる。この図において、標的が位置61〜250に存在する場合、環化生成物は形成されない。しかし、5’プローブ領域と標的の5’側との間の相補性がより短い領域であることにより、いくつかの生成物が形成される場合があり、これらは必ずしもハイブリダイズするとは限らないという懸念がある。更に、この設計を用いると、標的の、3’側の90塩基の「ループアウト」領域が長すぎるため、リンカーの3’末端(図の右側にある短い黒棒線)がオリゴヌクレオチド上の相補体に効率的にハイブリダイズすることが不可能となる場合がある、という懸念がある。
図91において、上流5’プローブ領域(80塩基)は標的塩基30〜110に相補的である一方、下流3’プローブ領域(20塩基)は標的塩基140〜160に相補的である。この図は、5’プローブ領域がより長いことを除いて図90に類似している。標的の最初の4例に関して、オリゴヌクレオチドがより長ければより多くの標的DNAの捕捉が可能となり、得られるサークルは、元の標的DNAに追加の20塩基を含有する。
図100及び101は、より大きな連続領域(本明細書では約500塩基を示す)を配列決定するための、重複タイリング法によるオリゴヌクレオチドプローブの設計方法を表す。図100は、図90の設計を用いた4つの「連続」プローブを示し、図101は、図91の設計を用いた4つの「連続」プローブを示す。領域にまたがって生成され得る、可能性のある160bp断片(10塩基ごとにシフト)を示す。下は、上で示したこれら全ての断片をカバーするオリゴヌクレオチドである。標的内の領域がライトグレーである場合、信頼できる配列情報は提供されない。標的内の領域がダークグレーである場合、良好な配列情報を提供するはずである。本図面において、一覧で示したプローブは順に#1、#2、#3、#4等として示される。多重化伸長−ライゲーションステップについては、奇数プローブ#1、#3、#5が第1のオリゴヌクレオチドプールセットにプールされ、続いて偶数プローブ#2、#4、#6が第2のプールセットにプールされる。本アプローチにより、隣接オリゴヌクレオチド(即ち#1及び#2)が同一標的鎖への結合に対して競合することが避けられる。伸長−環化が発生すると、2つのプールは組み合わされ、エキソヌクレアーゼ、並びにローリングサークル増幅及び環状配列決定、または直接SMRT配列決定等の後続ステップが進行し得る。
既知の遺伝子(例えばBraf、K−ras、p53)における、単一の塩基変異、小挿入、及び小欠失変異(1%〜0.01%で存在する場合)の非常に高感度な検出に関する詳細プロトコール(V1.1):
1.1.a.cfDNA(または例えば、約150bpに剪断した、CTCから単離したゲノムDNA)から開始して、T4ポリメラーゼ及びT4キナーゼにより末端を修復し、続いて、単一の塩基3’Aオーバーハングをクレノウ(エキソ)及びdATPと共に加える。T4リガーゼを用いたライゲーションが断片の両端にリンカーを付加するように、リンカーは単一の塩基3’Tオーバーハングを有する。任意で、ライゲーションしていないリンカーから標的DNAを精製する。
1.1.b.(標的の5’側の配列に相補的な5’プローブ領域、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、リンカーの3’末端に相補的な配列、及び標的の3’側の配列に相補的な3’プローブ領域を含む)オリゴヌクレオチドプローブの存在下で、両端にリンカーを含有する標的DNAを変性させ(94℃で1分)、所望の温度に冷却する(例えば50℃で2時間)ことにより、オリゴヌクレオチドが所望の断片の相補領域にハイブリダイゼーションするようにさせる。Taqポリメラーゼ、及び(好ましくは株AK16Dからの)熱安定性リガーゼ、dNTP、及びKlenTaq(ヌクレアーゼ活性を欠くTaqポリメラーゼ)を、アニーリングステップに続いて、または手順の開始時のいずれかに加える。ハイブリダイゼーション温度にて伸長及びライゲーションをさせ、任意で温度を上げて(例えば60℃)伸長及びライゲーションを確実に完了させ、環状生成物を生成する。
1.1.c.任意で、切断可能な結合にてオリゴヌクレオチドプローブ鎖を切断する(例えば、UDG及びAPエンドヌクレアーゼを用いて切断したU)。エキソヌクレアーゼI(3’→5’方向に一本鎖DNAを分解する)、及びエキソヌクレアーゼIII(3’→5’方向に二本鎖DNAを分解する)を加えて、元の標的DNA、リンカー配列、固有の識別子配列、及び任意の患者識別子配列を含む所望の一本鎖環状DNAのみを残しながら、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本生成物は、所望の配列のタンデムリピートを作製するための(phi29ポリメラーゼを有するランダム六量体プライマーを用いた)ローリングサークル増幅、及び後続の、次世代配列決定を用いた標的の識別、あるいはリンカー配列をプライマー結合部位として用いた、共有結合で閉じた鋳型上での直接SMRT配列決定に適している。
注1:オリゴヌクレオチドプローブは、オリゴヌクレオチドプローブが環化しないように、後続のポリメラーゼの5’−3’ヌクレアーゼ活性を妨げるための任意のブロック基を5’側に含有してよい。あるいは、切断可能な結合が元のオリゴヌクレオチドプローブに含まれてよい。
注2:5’−3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼの代わりにFenヌクレアーゼを用いて、標的の5’側にライゲーション能のある5’ホスフェートを生成してよい。
注3:(5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する)TaqポリメラーゼとKlenTaq(5’→3’ヌクレアーゼ切断活性を有しないTaqポリメラーゼ)の1:20混合物を、分布伸長の条件下(即ち、より高い塩濃度)にて用いて、ニック翻訳による標的DNAの分解を最小限に抑えることができる。
注4:ライゲーション伸長プロセスは2つ以上の反応管内で実施してよい。第1のセットは「奇数」番号のプローブを含有し、第2のセットは「偶数」番号のプローブを含有することで、プローブが同一の標的DNA鎖に関して競合することを回避する。それらの別々の反応物をその後にプールしてよい。
変形1.2:(図17〜18)。この変形において、目的は、どこでプローブが標的に結合することに関係なく、標的DNA配列を全て捕捉することである。前述のとおり、短いリンカーがDNA標的(約160塩基の平均長のcfDNA)にライゲーションされる。所望の領域を捕捉するために、標的の5’側の配列に相補的な5’プローブ領域、リンカーの5’末端に相補的な配列、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、リンカーの3’末端に相補的な配列、及び標的の3’側の配列に相補的な3’プローブ領域を含むオリゴヌクレオチドプローブを標的にハイブリダイズする。オリゴヌクレオチドプローブは、片端での任意のブロック基(図示した5’末端)、または任意の切断可能なリンカーを含有してよい。プローブ設計、並びに標的断片の開始及び末端塩基に応じて、3’リンカーと、3’プローブに相補的な標的の一部との間、及び、5’リンカーと、5’プローブに相補的な標的の一部との間で、標的またはプローブ配列の一部が、一本鎖領域としてループアウトしてよい(図17)。ポリメラーゼを加えることにより、標的の5’リンカーに隣接するまでの、標的上でのオリゴヌクレオチドの3’末端の伸長、並びに、固有の識別子配列、及び任意の患者識別子配列を介しての、3’末端リンカーの伸長が可能となる。
ハイブリダイゼーション条件は、標的の3’側の配列に相補的な3’プローブ領域のハイブリダイゼーションが、標的上のリンカーの3’末端の局所濃縮をもたらし、それが正しくハイブリダイズし、ポリメラーゼにより速やかに伸長されるように選択される。リンカーの5’末端は、ポリメラーゼが3’リンカーを伸長すると、5’プローブ領域にハイブリダイズした5’標的部分に当たるまで、5’リンカー相補配列の始めから終わりまでを伸長しないように、わずかに長く設計されてよい。しかし、3’リンカーと5’リンカー領域の両方の、オリゴヌクレオチドプローブ上の相補体への「合わさった」ハイブリダイゼーション効果では、オリゴヌクレオチドプローブへの間違った標的のランダムハイブリダイゼーションが、発生したとしても、ごく稀にしか伸長及びライゲーションにより環状生成物を与えることがないように、ハイブリダイゼーション温度より低いTmを依然として有しなければならない。
この変形は、オリゴヌクレオチドプローブは、配列がわずか約20塩基により分離されている、3’及び5’リンカー鎖の両方に相補的な配列を含有することを必要とする。配列がリンカー鎖に相補的であり、配列は結果として互いに相補的であるので、オリゴヌクレオチドプローブの自己対形成が回避される必要がある。1つの解決策は、2つのリンカーが、リンカーライゲーションに用いられる低温(T4リガーゼにより16℃、あるいは4℃)にて二本鎖特徴を保持するように、内部バブルを含有するリンカーをライゲーションすることである。更に、5’リンカーは3’リンカーよりも長くなるように設計されてよい。最終的に、リンカー内の相補領域は、オリゴヌクレオチドプローブはより、全体のハイブリダイゼーション温度(即ち50℃)にてループを有する内部自己対形成を形成しにくくなるように、相補オリゴヌクレオチドプローブ(即ち、C:A及びA:C;またはC:T)内でより安定性を損なう、わずかなミスマッチまたはヌクレオチド類似体(即ち、G:T及びT:G;もしくはI:A)を有するように設計されてよい。
例えば、リンカー内のAトラクトの中央のI:Aミスマッチは、T:Aマッチと比較してTmを2.4℃下げるが、オリゴヌクレオチド内の相補性ミスマッチであるC:Tは、Tmを10.1℃下げる(7.7℃の差)。同様に、リンカー内のAトラクトの中央のG:Tミスマッチは、G:Cマッチと比較してTmを10.2℃下げるが、オリゴヌクレオチド内の相補性ミスマッチであるA:Cは、Tmを18.0℃下げる(7.8℃の差)。Kawase et al.,“Studies on nucleic acid interactions.I.Stabilities of mini−duplexes(dG2A4XA4G2−dC2T4YT4C2)and self−complementary d(GGGAAXYTTCCC)containing deoxyinosine and other mismatched bases,”Nucleic Acids Res.14(19):7727−36(1986)を参照のこと(その全体が参照として本明細書に組み込まれている)。したがって、リンカー内にかかるミスマッチを共に配置することは、リンカーの自己対形成と比較して、約15.5℃、オリゴヌクレオチド自己対形成のTmを下げると予想される。正確な量は配列関係に基づいて変化し得るものの、4℃または16℃のいずれかのライゲーション温度にて二本鎖のままであるリンカーDNA二本鎖内にてI:A及びG:Tミスマッチを用いることは、確実にオリゴヌクレオチド内で約20塩基により分離された相補配列が、より高い50Cのハイブリダイゼーション温度にて自己対形成(即ち、20塩基ループを有するヘアピン)を行わないのに十分過ぎるということが、当業者には明らかとなるであろう。
標的上のオリゴヌクレオチドの3’末端を伸長することにより、プローブの標的への会合が向上するため、リンカーの3’末端が相補体にハイブリダイズし、ポリメラーゼにより伸長される能力が増加する。ポリメラーゼ(またはFenヌクレアーゼ)の5’→3’ヌクレアーゼ切断活性は、リンカー上にライゲーション能のある5’ホスフェートを残しながら、5’リンカーのマッチする5’重複塩基を切断する。ポリメラーゼは標的上でもまたオリゴヌクレオチドを伸長し、ライゲーション能のある5’ホスフェートを生成するか、またはオリゴヌクレオチドの5’末端上のブロック基を切断しないかのいずれかとなる。
リガーゼは伸長3’末端をライゲーション能のある5’ホスフェートと共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する。ブロック基がオリゴヌクレオチドプローブの環化を防止するか、あるいは、ニックを切断可能な結合に導入する(例えば、dUのUDG切断、続いてAPエンドヌクレアーゼによるアプリン骨格の切断)。ウラシル−DNAグリコシラーゼ(UDG)及びホルムアミドピリミジン−DNAグリコシラーゼ(Fpg、8−オキソグアニンDNAグリコシラーゼとしても知られ、N−グリコシラーゼ及びAPリアーゼの両方として作用する)の任意付加を用いて、損傷した塩基を含有する標的にニック付加してよい。次にエキソヌクレアーゼを加え、固有の識別子配列と共に元の標的DNAを含む、所望の一本鎖環状DNAのみを残しながら、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本生成物はローリングサークル増幅及び環状配列決定、または直接SMRT配列決定に適している。
ここでの課題は、ライゲーションステップ(即ちニック翻訳)なしに5’リンカーを破壊するような方法で、ポリメラーゼに3’リンカーの伸長をさせることを回避することである。このことは、5’ホスフェート末端から2番目及び3番目の位置に(ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性により遊離される)チオホスフェート結合を組み込むことで達成され得る。1つの塩基をあまりに多く伸長する(下流リンカーへのライゲーションが不可能となる)ことによるこれらの塩基のポリメラーゼ置換を最小限に抑えるために、ライゲーション接合部での標的塩基は、3’側でATリッチであり、5’側でGCリッチであることが好ましい。
代替アプローチの1つは、所望の5’ホスフェートに隣接する位置にアプリン(AP)部位を含有する5’リンカーを用いることである。この5’ホスフェートは、熱安定性エンドIII(TmaエンドIII等)を用いて遊離される。この酵素は、リンカーが標的に結合した時に、5’ホスフェートを残してAp部位を切断する。エンドヌクレアーゼはまた、一本鎖リンカーも切断するが、効率が低いため、鋳型にハイブリダイズしたリンカーが好ましい基質となる。熱安定性エンドIIIを用いる場合、用いるPCRポリメラーゼは5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く。
上述の通り、ニック翻訳の問題は、大部分の伸長は、ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼがライゲーション能のある接合部を作製し、続いてポリメラーゼ解離、及びライゲーション現象により所望の環状ライゲーション生成物を生成するまで、ヌクレアーゼ活性を有しないポリメラーゼにより行われるような、リガーゼの存在下における分布伸長の条件下にて、5’→3’ヌクレアーゼ切断活性を有するもの及び有しないものの両方のポリメラーゼの混合物(例えば1:20の比率)を用いることによっても、最小限に抑えることができる。
図94及び95は、250塩基領域にまたがる断片をカバーするための、異なるオリゴヌクレオチドプローブ設計のいくつかの例を提供する。これらの図においては、可能性のある標的断片(領域にわたって10塩基ごとにシフトする)はダークグレーの棒線で表され、リンカーは短い黒い棒線で表され、プローブ領域はライトグレーの棒線で表され、固有配列識別子及び所望の患者識別子は太い黒線で表され、かつ2つの配列間の接続は細い線で概略的に表される。図102及び103は、約500塩基の連続領域をカバーするための複数のプローブの設計方法を表す。
図94において、上流5’プローブ領域(50塩基)は標的塩基50〜100に相補的である一方、下流3’プローブ領域(50塩基)は標的塩基150〜200に相補的である。本実施例の目的に関して、3’リンカーは10塩基であり、複合識別子配列は20塩基であり(12塩基が配列識別子、及び8塩基が患者識別子)、5’リンカーは10塩基として示されるが、別の実施形態において、5’リンカーはいくらか長い、約12〜18塩基である。標的が位置1〜160に存在する場合、このプローブを設計することで、160塩基全てが標的配列情報を提供する200塩基生成物の環化が可能となる。これらのプローブは、標的が1〜160にあるか、91〜250にまたがっているかに関わらず、依然として、環化して約200塩基の生成物を形成する伸長生成物を形成するように設計される。
図95において、上流5’プローブ領域(60塩基)は標的塩基40〜100に相補的である一方、下流3’プローブ領域(60塩基)は標的塩基140〜200に相補的である。この図は、3’及び5’プローブ領域の両方がより長いことを除いて図94に類似している。このプローブ設計は、末端での標的(即ち、標的1〜160;11〜170;81〜240;及び91〜250)の捕捉により効果的であり得る。
図102及び103は、より大きな連続領域(本明細書では約500塩基を示す)を配列決定するための、重複タイリング法によるオリゴヌクレオチドプローブの設計方法を表す。図102は、図94の設計を用いた4つの「連続」プローブを示す一方、図103は、図95の設計を用いた4つの「連続」プローブを示す。領域にまたがって生成されることが可能な、可能性のある160bp断片(10塩基ごとにシフト)を示す。下は、上の全ての断片をカバーするであろうオリゴヌクレオチドを示す。本図面において、列挙したプローブは#1、#2、#3、#4等で順次示される。多重化伸長−ライゲーションステップに関して、奇数プローブ#1、#3、#5は第1のオリゴヌクレオチドプールセットにプールし、続いて偶数プローブ#2、#4、#6を第2のプールセットにプールする。本アプローチにより、隣接オリゴヌクレオチド(即ち#1及び#2)が同一標的鎖への結合について競合することが避けられる。伸長−環化が発生すると、2つのプールは組み合わされ、エキソヌクレアーゼ、並びにローリングサークル増幅及び環状配列決定、または直接SMRT配列決定等の後続ステップが進行し得る。
既知の遺伝子(例えばBraf、K−ras、p53)における、単一の塩基変異、小挿入、及び小欠失変異(1%〜0.01%で存在する場合)の非常に高感度な検出の詳細プロトコール(V1.2):
1.2.a.cfDNA(または、例えば約150bpに剪断した循環腫瘍細胞(CTC)から単離したゲノムDNA)から開始し、T4ポリメラーゼ及びT4キナーゼにより末端を修復し、続いて、単一の塩基3’Aオーバーハングをクレノウ(エキソ)及びdATPと共に加える。T4リガーゼを用いる4℃でのライゲーションは、断片の両端にリンカーを付加するように、リンカーは単一の塩基3’Tオーバーハングを有する。任意で、ライゲーションしていないリンカーから標的DNAを精製する。
1.2.b.(標的の5’側の配列に相補的な5’プローブ領域、リンカーの5’末端に相補的な配列、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、リンカーの3’末端に相補的な配列、及び標的の3’側の配列に相補的な3’プローブ領域を含む)オリゴヌクレオチドプローブの存在下で、両端にリンカーを含有する標的DNAを変性させ(94℃で1分)、所望の温度に冷却する(例えば50℃で2時間)ことにより、オリゴヌクレオチドが所望の断片の相補領域にハイブリダイズするようにさせる。Taqポリメラーゼ及び/またはKlenTaq(ヌクレアーゼ活性を欠くTaqポリメラーゼ)、並びに(好ましくは株AK16Dからの)熱安定性リガーゼ、dNTPを、アニーリングステップに続いて、または手順の開始時に加える。ハイブリダイゼーション温度にて伸長及びライゲーションさせ、かつ任意で温度を上げて(例えば60℃)伸長及びライゲーションを確実に完了させ、環状生成物を生成する。
1.2.c.任意で、切断可能な結合にてオリゴヌクレオチドプローブを切断する(例えば、UDG及びAPエンドヌクレアーゼを用いて切断したU)。エキソヌクレアーゼI(3’→5’方向に一本鎖DNAを分解する)、及びエキソヌクレアーゼIII(3’→5’方向に二本鎖DNAを分解する)を加えて、元の標的DNA、リンカー配列、固有の識別子配列、及び任意の患者識別子配列を含む所望の一本鎖環状DNAのみを残しながら、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本生成物は、所望の配列のタンデムリピートを作製するための(phi29ポリメラーゼを有するランダム六量体プライマーを用いた)ローリングサークル増幅、及び後続の、次世代配列決定を用いた標的の識別、あるいはリンカー配列をプライマー結合部位として用いた、共有結合で閉じた鋳型上での直接SMRT配列決定に適している。
注1:オリゴヌクレオチドは任意のブロック基を5’側に含有し、オリゴヌクレオチドプローブが環化しないように、後続のポリメラーゼの5’−3’ヌクレアーゼ活性を妨げてよい。あるいは、切断可能な結合は元のオリゴヌクレオチドに含まれてよい。
注2:5’−3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼの代わりにFenヌクレアーゼを用いて、標的の5’側にライゲーション能のある5’ホスフェートを生成してよい。
注3:5’末端リンカーは、5’ホスフェート末端から2番目及び3番目の位置に(ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性により遊離される)チオホスフェート結合を含有するように合成されてよい。1つの塩基をあまりに多く伸長する(下流リンカーへのライゲーションが不可能となる)ことによるこれらの塩基のポリメラーゼ置換を最小限に抑えるために、ライゲーション接合部での標的塩基は、3’側でATリッチであり、5’側でGCリッチであることが好ましい。
注4:KlenTaqポリメラーゼ(5’→3’ヌクレアーゼ切断活性を有しないTaqポリメラーゼ)を用いる場合、所望の5’ホスフェートに隣接する位置にアプリン(AP)部位を含有するように5’末端リンカーを合成してよい。この5’ホスフェートは、熱安定性エンドIII(TmaエンドIII等)を用いて遊離される。この酵素は、標的に結合する時に5’ホスフェートを残してAP部位を切断する。エンドヌクレアーゼはまた、一本鎖オリゴヌクレオチドも切断するが、効率が低いため、鋳型にハイブリダイズしたリンカーが好ましい基質となる。
注5:KlenTaqポリメラーゼ(5’→3’ヌクレアーゼ切断活性を有しないTaqポリメラーゼ)を用いる場合、5’末端リンカーは、5’ホスフェートを含有するように合成されてよい。あるいは、標的DNAのライゲーションする前、またはライゲーションステップの後のいずれかに、T4キナーゼを用いて5’ホスフェートを加えてよい。
注6:(5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する)TaqポリメラーゼとKlenTaq(5’→3’ヌクレアーゼ切断活性を有しないTaqポリメラーゼ)の1:20混合物を、分布伸長の条件下(即ち、より高い塩濃度)にて用いて、ニック翻訳による標的DNAの分解を最小限に抑えることができる。
注7:ライゲーション伸長プロセスは2つ以上の反応管内で実施してよい。第1のセットは「奇数」番号のプローブを含有し、第2のセットは「偶数」番号のプローブを含有することで、プローブが同一の標的DNA鎖に関して競合することを回避する。別々の反応物をその後にプールしてよい。
注8:単一の塩基3’「T」オーバーハングを含有するリンカーの例を、オリゴヌクレオチドiSx−003−ShAdT(トップ鎖)、及びiSx−004−pShAdB(ボトム鎖)として提供する(表1を参照)。リンカー領域への結合を向上させる、わずかに長いリンカーの例を、オリゴヌクレオチドiSx−006−MdAdT(トップ鎖)、及びiSx−007−pMdAdB(ボトム鎖)として提供する(表1を参照)。リンカーiSx−003−ShAdT及びiSx−006−MdAdT(表1を参照)は、ニック翻訳を防止し、標的のリンカー末端との環化を促進するために、5’末端の末端に任意のチオホスフェート基を含有してよい。リンカーiSx−004−pShAdB及びiSx−007−pMdAdB(表1を参照)は、プルーフリーディング活性を有するポリメラーゼを用いる場合に分解を防止し、標的のリンカー末端との環化を促進するために、3’末端付近、または3’末端に任意のチオホスフェート基を含有してよい。
注9:過剰の塩基が標的DNAに付加されない(即ち、クレノウステップを省略する)場合、平滑末端ライゲーションを用いる。リンカー同士のライゲーションを避けるために、リンカーの平滑末端はリン酸化されていない。平滑末端を含有するリンカーの例を、オリゴヌクレオチドiSx−003−ShAdT(トップ鎖)、及びiSx−005−ShAdB(ボトム鎖)として提供する(表1を参照)。
注10:市販の機器で用いるための「バーコード」または「インデックス」配列を含む、より長いリンカー配列と用いるためのオリゴヌクレオチドを設計する場合、PCR、鎖置換増幅、またはこれらの組み合わせを用いて、オリゴヌクレオチドをアセンブルする必要があり得る。PCRの間に、UDGによる後続の切断に好適な、TTPの代わりにdUTPを用いてウラシルに組み込む。リバース鎖プライマーをリン酸化して、λエキソヌクレアーゼまたは類似の5’→3’エキソヌクレアーゼを用いて分解を可能にすることができる。dA30配列をフォワードプライマーの5’末端に付加し、鎖置換増幅を可能にすることができる。KRAS、BRAF、及びホットスポット変異を含有するTP53エクソンの5〜8領域の配列決定のためのアセンブリ増幅に好適なオリゴヌクレオチドの例は表1(下)に示され、以下を含む:(i)KRASのフォワード及びリバース標的領域(iSx−001−bkA30、iSx−016−bkA30−KRSF11、iSx−017−pKRSF12、iSx−008−701F、iSx−009−501R、iSx−018−pKRSF13、及びiSx−018−pKRSR14)及び(iSx−015−pKRSF10、iSx−017−pKRSF12、iSx−008−701F、iSx−009−501R、iSx−018−pKRSF13、iSx−019−bkA30−KRSR15、及びiSx−001−bkA30);(ii)BRAFのフォワード及びリバース標的領域(iSx−001−bkA30、iSx−023−bkA30−BRF−F11、iSx−024−pBRF−F12、iSx−008−701F、iSx−009−501R、iSx−025−pBRF−F13、及びiSx−026−pBRF−R14)並びに(iSx−022−pBRF−F10、iSx−024−pBRF−F12、iSx−008−701F、iSx−009−501R、iSx−025−pBRF−F13、iSx−027−bkA30−pBRF−R15、及びiSx−001−bkA30);(iii)TP53エクソン5の上流フォワード及びリバース標的領域(iSx−001−bkA30、iSx−035−bkA30−pTP53e5F11、iSx−036−pTP53e5F12、iSx−008−701F、iSx−009−501R、iSx−037−pTP53e5F13、iSx−038−pTP53e5R14)並びに(iSx−034−pTP53e5F10、iSx−036−pTP53e5F12、iSx−008−701F、iSx−009−501R、iSx−037−pTP53e5F13、iSx−039−bkA30−TP53e5R15、及びiSx−001−bkA30);(iv)TP53エクソン5の下流フォワード及びリバース標的領域(iSx−001−bkA30、iSx−043−bkA30−TP53e5F21、iSx−044−pTP53e5F22、iSx−008−701F、iSx−009−501R、iSx−045−pTP53e5F23、及びiSx−046−pTP53e5R24)並びに(iSx−042−pTP53e5F20、iSx−044−pTP53e5F22、iSx−008−701F、iSx−009−501R、iSx−045−pTP53e5F23、iSx−047−bkA30−TP53e5R25及びiSx−001−bkA30);(v)TP53エクソン6のフォワード及びリバース標的領域(iSx−001−bkA30、iSx−053−bkA30−TP53e6F31、iSx−054−pTP53e6F32、iSx−008−701F、iSx−009−501R、iSx−055−pTP53e6F33、及びiSx−056−pTP53e6R34)並びに(iSx−052−pTP53e6F30、iSx−054−pTP53e6F32、iSx−008−701F、iSx−009−501R、iSx−055−pTP53e6F33、iSx−057−bkA30−TP53e6R35、及びiSx−001−bkA30);(vi)TP53エクソン7のフォワード及びリバース標的領域(iSx−001−bkA30、iSx−063−bkA30−TP53e7F41、iSx−064−pTP53e7F42、iSx−008−701F、iSx−009−501R、iSx−065−pTP53e7F43、及びiSx−066−pTP53e7R44)並びに(iSx−062−pTP53e7F40、iSx−064−pTP53e7F42、iSx−008−701F、iSx−009−501R、iSx−065−pTP53e7F43、iSx−067−pTP53e7R45、及びiSx−001−bkA30);並びに(vii)TP53エクソン8のフォワード及びリバース標的領域(iSx−001−bkA30、iSx−073−bkA30−TP53e8F51、iSx−074−pTP53e8F52、iSx−008−701F、iSx−009−501R、iSx−075−pTP53e8F53、及びiSx−076−pTP53e8R54)並びに(iSx−072−pTP53e8F50、iSx−074−pTP53e8F52、iSx−008−701F、iSx−009−501R、iSx−075−pTP53e8F53、iSx−077−bkA30−TP53e8R55、及びiSx−001−bkA30)。
注11:KRAS、BRAF、及びホットスポットを含有するTP53エクソン5〜8の標的領域を含む環状生成物を生成した後、これらの領域を、標的特異的プライマーを用いたローリングサークル増幅に供し、タンデムリピート生成物を生成してよい。これらの生成物は、固体支持体上での標的特異的オリゴヌクレオチドによる所望標的の捕捉前、または後のいずれかに、生成してよい(以下の注12を参照)。プライマーは1’−2’ジデオキシリボース(dSpacer)等の内部で切断可能なヌクレオチド塩基、または脱塩基部位を含有することができ、ローリングサークル増幅の間に、コンタミネーションのキャリーオーバーに対する保護のために、dUTPの組み込みが可能となる。かかるプライマーの例は下表1に示され、以下を含む:(i)KRASのフォワード及びリバースプライマー(iSx−108−KRS−rcF26、iSx−109−KRS−rcR27);(ii)BRAFのフォワード及びリバースプライマー(iSx−118−BRF−rcF26、iSx−119−BRF−rcR27);(iii)TP53エクソン5のフォワード及びリバースプライマー(iSx−128−TP53e5−rcF66、iSx−129−TP53e5−rcR67;iSx−130−TP53e5−rcF68、iSx−131−TP53e5−rcR69);(iv)TP53エクソン6のフォワード及びリバースプライマー(iSx−138−TP53e6−rcF76、iSx−139−TP53e6−rcR77);(v)TP53エクソン7のフォワード及びリバースプライマー(iSx−148−TP53e7−rcF86、iSx−149−TP53e7−rcR87);並びに(vi)TP53エクソン8のフォワード及びリバースプライマー(iSx−158−TP53e8−rcF96、iSx−159−TP53e8−rcR97)。
注12:KRAS、BRAF、及びホットスポットを含有するTP53エクソン5〜8の標的領域を含む環状生成物を生成し、かつ/またはタンデムリピート生成物を生成した後、これらの生成物は、固体支持体上での後続の捕捉に好適な捕捉基を含有するより長いオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることにより捕捉され得る。ストレプトアビジンコートした固体表面を介しての捕捉に好適なビオチン基を含有する、かかるプライマーの例は下表1に示されており、以下を含む:(i)KRASフォワード及びリバース捕捉オリゴヌクレオチド(iSx−013−KRS−bcF1、iSx−014−KRS−bcR2);(ii)BRAFフォワード及びリバース捕捉オリゴヌクレオチド(iSx−020−BRF−bcF1、iSx−021−BRF−bcR2);(iii)TP53エクソン5のフォワード及びリバース捕捉オリゴヌクレオチド(iSx−030−TP53e5−bcF1、iSx−031−TP53e5−bcR2;iSx−032−TP53e5−bcF3、iSx−033−TP53e5−bcR4);(iv)TP53エクソン6のフォワード及びリバース捕捉オリゴヌクレオチド(iSx−050−TP53e6−bcF5、iSx−051−TP53e6−bcR6);(v)TP53エクソン7のフォワード及びリバース捕捉オリゴヌクレオチド(iSx−060−TP53e7−bcF7、iSx−061−TP53e7−bcR8);並びに(vi)TP53エクソン8のフォワード及びリバース捕捉オリゴヌクレオチド(iSx−070−TP53e8−bcF9、iSx−071−TP53e8−bcR10)。
注13:上記プライマー及びリンカー設計を用いて生成した上述の生成物を用いて、クラスターもしくはビーズ増幅、または市販機器のウェル、アドレス(address)、フローセル表面内での捕捉の後、以下のプライマー:(i)iLx−003−PEsqP1、対形成したエンド配列決定プライマー1;(ii)iLx−004−BrCdR1、インデックスプライマー、バーコード読取り1;(iii)iLx−001−P5−BrCdR2、バーコード読取り2;及び(iv)iLx−005−PEsqP2、対形成したエンド配列決定プライマー2を用いて配列決定反応を開始してよい(プライマー配列については表1を参照)。
変形1.3:(例えば図19〜22を参照)。この変形において、短いリンカーをDNA標的にライゲーションする代わりに、短いモノヌクレオチド尾部を、末端トランスフェラーゼを用いて付加する(約160塩基の平均長のcfDNA)。残りのステップは図13及び15と同一である。末端トランスフェラーゼによりどれだけ多くの塩基が付加するかを調節することは困難である。したがって、オリゴヌクレオチド内のホモヌクレオチドトラクト(即ちポリA)の長さがハイブリダイゼーションTmを決定する。3’→5’プルーフリーディング活性を有するポリメラーゼを用いて、相補体と重なるまで、過剰のホモヌクレオチドトラクトのいくつかを取り除くこともまた必要となり得る。これはポリメラーゼによる伸長に好適である。
変形1.4:(例えば図23〜26を参照)。この変形において、DNA標的(約160塩基の平均長のcfDNA)には何も付加されない。所望の領域を捕捉するために、標的の5’側の配列に相補的な5’プローブ領域、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び標的の3’側の配列に相補的な3’プローブ領域を含むオリゴヌクレオチドを標的にハイブリダイズする。5’及び3’プローブ領域は、規則的な間隔(即ち10、12、または15塩基)で任意のミスマッチを含有する。オリゴヌクレオチドプローブは、片端での任意のブロック基(図示した5’末端)、または任意の切断可能なリンカーを含有してよい。プローブ設計、並びに標的断片の開始及び末端塩基に応じて、標的配列の5’または3’末端の一部はハイブリダイズしない場合がある(図23)。3’→5’及び5’→3’双方のヌクレアーゼ活性を含有する、ポリメラーゼまたはポリメラーゼセットを加えることにより、標的上でのオリゴヌクレオチドの3’末端の伸長、及びオリゴヌクレオチドの3’プローブ領域に重なるまでの、標的の一本鎖3’末端の任意の分解(図23)、続いて、固有の識別子配列及び任意の患者識別子配列を介しての、標的の3’末端の伸長が可能となる。
ハイブリダイゼーション条件は、標的の3’側の配列に相補的な3’プローブ領域のハイブリダイゼーション、及び標的の5’側の配列に相補的な5’プローブ領域のハイブリダイゼーションが、片側のみにハイブリダイズする標的よりも強化される(かつ環化しない非生産的な伸長生成物を形成する)となるように選択される。標的上でのオリゴヌクレオチドの3’末端の伸長は、プローブの標的への会合を向上させる。ポリメラーゼ(またはFenヌクレアーゼ)の5’→3’ヌクレアーゼ切断活性が、本物の標的からライゲーション能のある5’ホスフェートを残して、標的の5’側がプローブの5’部分に相補的な位置にて、またはその付近にて、マッチする標的の5’重複塩基を切断する。ポリメラーゼはまた、鋳型で標的を用いてオリゴヌクレオチドプローブを伸長し、かつ、ライゲーション能のある5’ホスフェートを生成する(図23及び22の左側)か、またはオリゴヌクレオチドの5’末端上のブロック基を切断しない(図23及び25の右側)かのいずれかである。
リガーゼは伸長3’末端をライゲーション能のある5’ホスフェートと共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する。ブロック基はオリゴヌクレオチドプローブの環化を防止する(右側)か、あるいは切断可能な結合にニックが導入される(例えば、dUのUDG切断、続いてAPエンドヌクレアーゼによるアプリン骨格の切断、左側)。ウラシル−DNAグリコシラーゼ(UDG)及びホルムアミドピリミジン−DNAグリコシラーゼ(Fpg、8−オキソグアニンDNAグリコシラーゼとしても知られ、N−グリコシラーゼ及びAPリアーゼの両方として作用する)の任意付加を用いて、損傷した塩基を含有する標的にニック付加してよい。次にエキソヌクレアーゼを加え、固有の識別子配列と共に元の標的DNAを含む、所望の一本鎖環状DNAのみを残しながら、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本生成物はローリングサークル増幅及び環状配列決定、または直接SMRT配列決定に適している。
本アプローチでは、5’プローブ領域と5’標的領域との間に適切なハイブリダイゼーション及び相補性が存在する場合にのみライゲーション能のある5’ホスフェートが生成されるように、標的依存性5’→3’及び3’→5’ヌクレアーゼ活性を有する酵素または酵素セットが必要となる。5’→3’ヌクレアーゼ切断活性を有するポリメラーゼを用いる場合、課題は、ライゲーションステップなしで5’標的領域を破壊する(即ち、ニック翻訳)ような方法で、ポリメラーゼが5’プローブ領域に沿って短いリンカーを伸長するのを回避することである。元の標的DNAを破壊し、伸長DNAで置き換えるニック翻訳は、増殖し変異として誤って呼ばれてしまうポリメラーゼエラーを意図せず導入する場合がある。このことは、ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼがライゲーション能のある接合部を作製するために必要となり、続いてポリメラーゼ解離、及びライゲーション現象により所望の環状ライゲーション生成物を生成するまで、大部分の伸長はヌクレアーゼ活性を有しないポリメラーゼによるものとなる、リガーゼの存在下にて分布伸長を行う条件下において、5’→3’ヌクレアーゼ切断活性を有するもの及び有しないものの両方のポリメラーゼの混合物(例えば1:20の比率)を用いることで、最小限に抑えられ得る。図25及び26に示すオリゴヌクレオチドプローブ設計を用いることにより、3’→5’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼの必要性がなくなる場合がある。T4キナーゼを用いて、初期反応において標的の5’末端にホスフェートを付加することを用いて、ライゲーション能のある5’ホスフェートを作製し、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼの必要性をなくすこともまたできる場合がある。
図96〜99は、250塩基領域にまたがる断片をカバーするための、異なるオリゴヌクレオチドプローブ設計のいくつかの例を提供する。これらの図においては、可能性のある標的断片(領域にまたがり10塩基ごとにシフトする)はダークグレーの棒線で表され、灰色の棒線の中に薄い黒線を有するライトグレーの棒線のプローブ領域はミスマッチ塩基を示し、固有の識別子及び所望の患者識別子は太い黒線で表される。図104〜107は、約500塩基の連続領域をカバーするための複数のプローブの設計方法を示す。
図96において、上流5’プローブ領域(50塩基)は標的塩基40〜90に相補的である一方、下流3’プローブ領域(50塩基)は標的塩基150〜200に相補的である。本実施例の目的のために、ミスマッチは10塩基ごとに存在し、複合識別子配列は20塩基である(12塩基が配列識別子、及び8塩基が患者識別子)。標的が位置1〜160に存在する場合、このプローブを設計することで、180塩基生成物の環化が可能となり、そのうちの110塩基、即ち位置50〜160が標的配列情報を提供する。標的が位置11〜170に存在する場合、このプローブを設計することで、180塩基生成物の環化が可能となり、そのうちの120塩基、即ち位置50〜170が標的配列情報を提供する。この設計により、それぞれ位置31〜51から開始し、かつ位置190〜210で終了する標的に関する、最大140塩基の配列情報がもたらされる。この図において、標的が位置81〜250に存在する場合、環化生成物は形成されない。しかし、5’プローブ領域と標的の5’側との間のより短い領域が相補性を有することにより、いくつかの生成物が形成される場合があり、これらは常にハイブリダイズするとは限らないという懸念がある。
図97において、上流5’プローブ領域(60塩基)は標的塩基30〜90に相補的である一方、下流3’プローブ領域(60塩基)は標的塩基150〜210に相補的である。この図は、5’及び3’プローブ領域が共により長いことを除いて、図96に類似している。標的の最初の5例に関して、オリゴヌクレオチドがより長ければより多くの標的DNAの捕捉が可能となり、得られるサークルは、元の標的DNAに追加の20塩基を含有する。
図98及び99は、図96及び97の傾向を拡張し、それぞれ70及び80塩基のプローブ領域を有する。上述のとおり、より長いプローブ領域では、より多くの標的が確実にカバーされる。ミスマッチは、プローブのポリメラーゼコピーから本物の標的を区別するのに役立つ。問題のDNAが野生型塩基を含有する場合、その野生型塩基は標的及び標的に隣接するDNA配列から開始する。DNAがプローブ上にミスマッチ塩基の相補体を含有する場合、塩基はプローブから生成されたことが分かる。
図104〜107は、より大きな連続領域(本明細書では約500塩基を示す)を配列決定するための、重複タイリング法によるオリゴヌクレオチドプローブの設計方法を示す。図104は、図96の設計を用いた4つの「連続」プローブを示し、図105〜107は、それぞれ図97〜99の設計を用いた4つの「連続」プローブを示す。領域にまたがって生成されることが可能な、可能性のある160bp断片(10塩基ごとにシフト)を示す。下は、上のそれらの全ての断片をカバーするオリゴヌクレオチドを示す。標的内の領域がライトグレーである場合、信頼できる配列情報は提供されない。標的内の領域がダークグレーである場合、良好な配列情報を提供するはずである。本図面において、一覧で示したプローブは#1、#2、#3、#4等として順次示される。多重化伸長−ライゲーションステップについて、奇数プローブ#1、#3、#5は第1のオリゴヌクレオチドプールセットにプールし、続いて偶数プローブ#2、#4、#6を第2のプールセットにプールする。本アプローチにより、隣接オリゴヌクレオチド(即ち#1及び#2)が同一標的鎖への結合について競合することが避けられる。伸長−環化が発生すると、2つのプールが組み合わされて、エキソヌクレアーゼ、並びにローリングサークル増幅及び環状配列決定等の後続ステップ、あるいは、任意のプライマー結合配列をプライマー結合部位として用いての、共有結合で閉じた鋳型上での直接SMRT配列決定に進むことができる。
既知の遺伝子(例えばBraf、K−ras、p53)における、単一の塩基変異、小挿入、または小欠失変異(1%〜0.01%で存在する場合)の非常に高感度な検出の詳細プロトコール:
1.4.a.cfDNA(または例えば、約150bpに剪断した、CTCから単離したゲノムDNA)から開始して、(標的の5’側の配列に相補的な5’プローブ領域、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び標的の3’側の配列に相補的な3’プローブ領域を含む)オリゴヌクレオチドの存在下で標的DNAを変性させ(94℃、1分)、所望の温度に冷却することにより(例えば40℃または45℃で2時間)、オリゴヌクレオチドの、所望の断片の相補領域へのハイブリダイゼーションを可能にする。この反応の温度を下げ、DNAポリメラーゼ(即ち、強力な3’→5’プルーフリーディング活性を有するT4ポリメラーゼ)及びDNAポリメラーゼ1(弱い3’→5’プルーフリーディング活性、しかし良好な5’→3’活性を有する)、並びに任意でクレノウ断片(5’→3’活性なし)、DNAリガーゼ(T4リガーゼまたは大腸菌リガーゼ)、及びdNTPを、アニーリングステップの後に加える。23℃または30℃での伸長及びライゲーションをさせ、任意で温度を上げ(例えば37℃)、伸長及びライゲーションを確実に完了させて環状生成物を生成する。
1.4.b.任意で、切断可能な結合にてオリゴヌクレオチドプローブを切断する(例えば、UDG及びAPエンドヌクレアーゼを用いて切断したU)。エキソヌクレアーゼI(3’→5’方向に一本鎖DNAを分解する)、及びエキソヌクレアーゼIII(3’→5’方向に二本鎖DNAを分解する)を加えて、元の標的DNA、リンカー配列、固有の識別子配列、及び任意の患者識別子配列を含む所望の一本鎖環状DNAのみを残しながら、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本生成物は、所望の配列のタンデムリピートを作製するための(phi29ポリメラーゼを有するランダム六量体プライマーを用いた)ローリングサークル増幅、及び後続の、次世代配列決定を用いた標的の識別、あるいはリンカー配列をプライマー結合部位として用いた、共有結合で閉じた鋳型上での直接SMRT配列決定に適している。
注1:オリゴヌクレオチドは任意のブロック基を5’側に含有し、オリゴヌクレオチドプローブが環化しないように、後続のポリメラーゼの5’−3’ヌクレアーゼ活性を妨げてよい。あるいは、切断可能な結合は元のオリゴヌクレオチドに含まれてよい。
注2:5’−3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼの代わりにFenヌクレアーゼを用いて、標的の5’側にライゲーション能のある5’ホスフェートを生成してよい。
注3:T4ポリメラーゼ(5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する)とDNAポリメラーゼI(弱い3’→5’プルーフリーディング活性、しかし良好な5’→3’活性)の1:20混合物、及びクレノウ(5’→3’ヌクレアーゼ切断活性を有しないDNAポリメラーゼI)を、分布伸長の条件下(即ち、より高い塩濃度)にて用いて、ニック翻訳による標的DNAの分解を最小限に抑えることができる。
注4:ライゲーション伸長プロセスは2つ以上の反応管内で実施してよい。第1のセットは「奇数」番号のプローブを含有し、第2のセットは「偶数」番号のプローブを含有することで、プローブが同一の標的DNA鎖に関して競合することを回避する。別々の反応物をその後にプールしてよい。
注5:プローブ配列内で規則的な間隔(即ち10、12、または15塩基)のミスマッチ塩基を用いることにより、プローブ鎖をコピーすることにより生成した配列から本物の標的DNA配列を区別することが可能になる。以下の注6で一覧にするオリゴヌクレオチドは、標的配列領域内で、およそ15塩基ごとにミスマッチ塩基を含有する。
注6:市販の機器で用いるための「バーコード」または「インデックス」配列を含む、より長いリンカー配列と用いるためのオリゴヌクレオチドを設計する場合、PCR、鎖置換増幅、またはこれらの組み合わせを用いて、オリゴヌクレオチドをアセンブルする必要があり得る。PCRの間に、UDGによる後続の切断に好適な、TTPの代わりにdUTPを用いてウラシルに組み込む。リバース鎖プライマーをリン酸化して、λエキソヌクレアーゼまたは類似の5’→3’エキソヌクレアーゼを用いて分解を可能にすることができる。dA30配列をフォワードプライマーの5’末端に付加し、鎖置換増幅を可能にすることができる。KRAS、BRAF、及びホットスポットを含有するTP53エクソン5〜8の配列決定領域のアセンブリ増幅に好適なオリゴヌクレオチドの例は下表1に示されており、以下を含む:(i)KRASフォワード及びリバース標的領域(iSx−001−bkA30、iSx−103−bkA30−KRSF21、iSx−104−pKRSF22、iSx−100−705F、iSx−101−502R、iSx−105−pKRSF23、及びiSx−106−pKRSR24)並びに(iSx−102−pKRSF20、iSx−104−pKRSF22、iSx−100−705F、iSx−101−502R、iSx−105−pKRSF23、iSx−107−bkA30−KRSR25、及びiSx−001−bkA30);(ii)BRAFフォワード及びリバース標的領域(iSx−001−bkA30、iSx−113−bkA30−BRF−F21、iSx−114−pBRF−F22、iSx−100−705F、iSx−101−502R、iSx−115−pBRF−F23、及びiSx−116−pBRF−R24)並びに(iSx−112−pBRF−F20、iSx−114−pBRF−F22、iSx−100−705F、iSx−101−502R、iSx−115−pBRF−F23、iSx−117−bkA30−BRF−R25及びiSx−001−bkA30);(iii)TP53エクソン5のフォワード及びリバース標的領域(iSx−001−bkA30、iSx−123−bkA30−TP53e5F61、iSx−124−pTP53e5F62、iSx−100−705F、iSx−101−502R、iSx−125−pTP53e5F63、及びiSx−126−pTP53e5R64)並びに(iSx−122−pTP53e5F60、iSx−124−pTP53e5F62、iSx−100−705F、iSx−101−502R、iSx−125−pTP53e5F63、iSx−127−bkA30−TP53e5F65、及びiSx−001−bkA30);(iv)TP53エクソン6のフォワード及びリバース標的領域(iSx−001−bkA30、iSx−133−bkA30−TP53e6F71、iSx−134−pTP53e6F72、iSx−100−705F、iSx−101−502R、iSx−135−pTP53e6F73、及びiSx−136−pTP53e6R74)並びに(iSx−132−pTP53e6F70、iSx−134−pTP53e6F72、iSx−100−705F、iSx−101−502R、iSx−135−pTP53e6F73、iSx−137−bkA30−TP53e6F75、及びiSx−001−bkA30);(v)TP53エクソン7のフォワード及びリバース標的領域(iSx−001−bkA30、iSx−143−bkA30−TP53e7F81、iSx−144−pTP53e7F82、iSx−100−705F、iSx−101−502R、iSx−145−pTP53e7F83、及びiSx−146−pTP53e7R84)並びに(iSx−142−pTP53e7F80、iSx−144−pTP53e7F82、iSx−100−705F、iSx−101−502R、iSx−145−pTP53e7F83、iSx−147−bkA30−TP53e7R85、及びiSx−001−bkA30);並びに(vi)TP53エクソン8のフォワード及びリバース標的領域(iSx−001−bkA30、iSx−153−bkA30−TP53e8F91、iSx−154−pTP53e8F92、iSx−100−705F、iSx−101−502R、iSx−155−pTP53e8F93、及びiSx−156−pTP53e8R94)並びに(iSx−152−pTP53e8F90、iSx−154−pTP53e8F92、iSx−100−705F、iSx−101−502R、iSx−155−pTP53e8F93、iSx−157−bkA30−TP53e8R95及びiSx−001−bkA30)。
注7:KRAS、BRAF、及びホットスポットを含有するTP53エクソン5〜8の標的領域を含む環状生成物を生成した後、これらの領域を、標的特異的プライマーを用いたローリングサークル増幅に供し、タンデムリピート生成物を生成してよい。これらの生成物は、固体支持体上での標的特異的オリゴヌクレオチドによる所望標的の捕捉前、または後のいずれかに生成してよい(以下の注8を参照)。プライマーは1’,−2’−ジデオキシリボース(dSpacer)等の内部で切断可能なヌクレオチド塩基、または脱塩基部位を含有することができ、ローリングサークル増幅の間に、コンタミネーションのキャリーオーバーに対する保護のために、dUTPの組み込みが可能となる。かかるプライマーの例は表1(下)に示されており、以下を含む:(i)KRASのフォワード及びリバースプライマー(iSx−108−KRS−rcF26、iSx−109−KRS−rcR27);(ii)BRAFのフォワード及びリバースプライマー(iSx−118−BRF−rcF26、iSx−119−BRF−rcR27);(iii)TP53エクソン5のフォワード及びリバースプライマー(iSx−128−TP53e5−rcF66、iSx−129−TP53e5−rcR67;iSx−130−TP53e5−rcF68、iSx−131−TP53e5−rcR69);(iv)TP53エクソン6のフォワード及びリバースプライマー(iSx−138−TP53e6−rcF76、iSx−139−TP53e6−rcR77);(v)TP53エクソン7のフォワード及びリバースプライマー(iSx−148−TP53e7−rcF86、iSx−149−TP53e7−rcR87);並びに(vi)TP53エクソン8のフォワード及びリバースプライマー(iSx−158−TP53e8−rcF96、iSx−159−TP53e8−rcR97)。
注8:KRAS、BRAF、及びホットスポットを含有するTP53エクソン5〜8の標的領域を含む環状生成物を生成し、かつ/またはタンデムリピート生成物を生成した後、これらの生成物は、固体支持体上での後続の捕捉に好適な捕捉基を含有するより長いオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることにより捕捉され得る。ストレプトアビジンコートした固体表面を介しての捕捉に好適な、ビオチン基を含有するかかる捕捉オリゴヌクレオチドの例は表1(下)に示されており、以下を含む:(i)KRASフォワード及びリバース捕捉オリゴヌクレオチド(iSx−013−KRS−bcF1、iSx−014−KRS−bcR2);(ii)BRAFフォワード及びリバース捕捉オリゴヌクレオチド(iSx−020−BRF−bcF1、iSx−021−BRF−bcR2);(iii)TP53エクソン5のフォワード及びリバース捕捉オリゴヌクレオチド(iSx−030−TP53e5−bcF1、iSx−031−TP53e5−bcR2;iSx−032−TP53e5−bcF3、iSx−033−TP53e5−bcR4);(iv)TP53エクソン6のフォワード及びリバース捕捉オリゴヌクレオチド(iSx−050−TP53e6−bcF5、iSx−051−TP53e6−bcR6);(v)TP53エクソン7のフォワード及びリバース捕捉オリゴヌクレオチド(iSx−060−TP53e7−bcF7、iSx−061−TP53e7−bcR8);並びに(vi)TP53エクソン8のフォワード及びリバース捕捉オリゴヌクレオチド(iSx−070−TP53e8−bcF9、iSx−071−TP53e8−bcR10)。
注9:上記プライマー及びリンカー設計を用いて生成した上述の生成物を用いて、クラスターもしくはビーズ増幅、または市販機器のウェル、アドレス、フローセル表面内での捕捉の後、以下のプライマー:(i)iLx−003−PEsqP1、対形成したエンド配列決定プライマー1;(ii)iLx−004−BrCdR1、インデックスプライマー、バーコード読取り1;(iii)iLx−001−P5−BrCdR2、バーコード読取り2;及び(iv)iLx−005−PEsqP2、対形成したエンド配列決定プライマー2を用いて配列決定反応を開始してよい(プライマー配列は以下の表1に提供する)。
予測実施例2−血漿DNA内でのプロモーター高メチル化(存在する場合、1%〜0.01%)に対する、高感度メチル化マーカー検出
プロモーターのメチル化は、遺伝子発現を制御するのに重要な役割を果たす。遺伝子用プロモーターは多くの場合、「CpGアイランド」として知られている、CpG含量が高い領域を有する。プロモーターCpGアイランドを有する癌抑制因子遺伝子等の遺伝子がオフになった場合、プロモーター及び1番目のエクソン領域内の多くのCpG配列のメチル化が、通常伴う。メチル化変化を検出する従来のアプローチは2つ存在する。
第1は、メチル感受性制限酵素を利用することであり、ここでは、非メチル化である場合にゲノムDNAが切断され、その後、該部位に隣接するプライマーを用いたPCR増幅が続く。DNAがメチル化された場合には増幅され、非メチル化である場合は増幅しない。この技術は、分解が必ずしも完了しないという欠点を有し、更に、同一配列の大部分が非メチル化である場合、血漿検出の場合と同様に、低量のメチル化DNAは正確には発見されない。
第2のアプローチは「メチル特異的PCR」として知られており、これは、非メチル化CをUに転換する、DNAの亜硫酸水素塩処理に基づいている。塩基がメチル化される場合、その塩基は転換されない。メチル特異的PCRは、非メチル化である場合ではなく、メチル化された場合に得られる転換配列に対して特異的であるプライマー及びTaqManプローブを用いることに基づく。メチル特異的PCRは、非常に少ない量のメチル化DNAを検出可能であるという利点を有する。本技術を更に改良する場合は、亜硫酸水素塩で転換した非メチル化DNAの配列にハイブリダイズするブロッキングオリゴヌクレオチドを用いるため、亜硫酸水素塩で転換したメチル化DNAの増幅を強化する。欠点は、亜硫酸水素塩処理により、元のDNAがニック付加され、完全性が50%〜90%破壊されるということである。血漿からのDNA(約160塩基の平均長を有する)から開始する場合、これは深刻な問題となり得る。更に、CをUに転換することで、配列の複雑性が4塩基から3塩基に低下する。ここで、転換した配列はよりA:Tリッチであるので、より長いPCRプライマーもまた必要となる。したがって、プライマーは密接に関係している正しくない配列にてよりミスプライミングする可能性が高いため、非特異的増幅が起こり得る。これには通常、ネステッドPCRアプローチが必要となり、このアプローチはキャリーオーバーコンタミネーションのリスクがあり、通常多重増幅には理想的でない。
アプローチの概要:ここでの考えは、対象領域の隣接制限酵素切断部位にメチル化を含有する標的DNAの各断片を正確にコピーし、固有の識別子配列及び所望の患者識別子を付加し、後続の配列決定のためにこれらを環化することである。オリゴヌクレオチドDNA鎖は環化され配列決定される。本アプローチは、必要な場合にコピー数情報、及び必要な最少の配列決定によるメチル化データの両方を得るという利点をもたらす。
隣接部位におけるメチル化の検出
変形2.1:(例えば図27を参照)。この変形において、DNAはまずHinP1Iにより切断され、非メチル化標的の量を著しく低下させる。所望のメチル化領域を捕捉するために、標的の5’側の配列に相補的な5’プローブ領域、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、及び標的の3’側の配列に相補的な3’プローブ領域を含むオリゴヌクレオチドを標的にハイブリダイズする。オリゴヌクレオチドは、上流プローブの3’末端、及び下流プローブのブロック5’またはライゲーション能のない末端の両方に非メチル化HinP1Iを含有する。3’末端は、ポリメラーゼによる伸長を防止するために標的に対するミスマッチを含有するか、ブロックされている。HinP1Iは、標的DNAがメチル化されている場合、伸長能のある3’OH末端、及びライゲーション能のある5’ホスフェートを遊離させ、プローブ標的ハイブリッドの非メチル化鎖にニック付加する(図27の左側)。標的が非メチル化である場合、鎖の両方が切断され、標的鋳型が破壊される(図27の右側)。鎖置換活性、並びに3’→5’及び5’→3’ヌクレアーゼ活性の両方を欠くリガーゼ及びポリメラーゼを加えることにより、メチル化標的上のプローブの遊離3’末端の伸長、続いて、プローブの遊離5’末端へのライゲーションによる、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列の両方を含有する環状生成物の形成が可能となる。ライゲーションしていない生成物は、エキソヌクレアーゼ分解により取り除かれる。本環状生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
制限エンドヌクレアーゼにより3’OH及び5’ホスフェートの両方を生成させることを要求することで、間違ったシグナルが回避され、同様にいかなる非特異的ライゲーションシグナルも取り除かれるはずである。したがって、精製後に一本鎖となる、または切断されていないゲノムDNAの任意の希少断片は生産的な基質を形成せず、エキソヌクレアーゼ処理ステップにより破壊される。
プロモーターのメチル化の高感度検出のための詳細プロトコール:
2.1.a.単離cfDNA、またはメチル強化DNAを、1つ以上のメチル感受性酵素(AciI、HinP1I、Hpy99I、及びHpyCH4IV)で切断する。本実施例では、HinP1Iを用いる。エンドヌクレアーゼを熱失活させ(65℃で15分間)、DNAを変性させる(94℃で1分間)。
2.1.b.(標的の5’側の配列に相補的な5’プローブ領域、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、任意のプライマー結合部位、及び標的の3’側の配列に相補的な3’プローブ領域を含む)オリゴヌクレオチドプローブの存在下で標的DNAを変性させ(94℃、1分)、所望の温度に冷却する(例えば40〜50℃で2時間)ことにより、オリゴヌクレオチドが所望の断片の相補領域にハイブリダイズするようにさせる。オリゴヌクレオチドはプローブの3’及び5’末端の両方付近に非メチル化HinP1I配列を含有し、これらの配列は、ポリメラーゼまたはリガーゼのいずれかに対する基質とならないように、ミスマッチを含有するか、ブロック基を含有するか、またはリン酸化を欠いているかのいずれかに設計されている。37℃まで冷却してHinP1Iを加えることで、標的DNAがメチル化されている場合には、伸長能のある3’OH末端、及びライゲーション能のある5’ホスフェートを遊離させて、プローブ標的ハイブリッドの非メチル化鎖にニック付加する。エンドヌクレアーゼを熱失活させる(65℃で15分間)。KlenTaq(ヌクレアーゼ活性を欠くTaqポリメラーゼ)、及び熱安定性リガーゼ(好ましくは株AK16Dから)、dNTPを、アニーリングステップの後で、または制限エンドヌクレアーゼによるニッキングステップの後で加える。50℃にて伸長及びライゲーションさせ、かつ任意で温度を上げて(例えば60℃)伸長及びライゲーションを確実に完了させ、環状生成物を生成する。
2.1.c.エキソヌクレアーゼI(3’→5’方向に一本鎖DNAを分解する)、及びエキソヌクレアーゼIII(3’→5’方向に二本鎖DNAを分解する)を加えて、メチル化DNAのコピー、固有の識別子配列、及び任意の患者識別子配列を含む所望の一本鎖環状DNAのみを残しながら、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本環状生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
注1:オリゴヌクレオチドの5’末端がライゲーションに適さないように、オリゴヌクレオチドは5’ホスフェートを欠いているか、または5’側上に任意のブロック基を含有してよい。オリゴヌクレオチドの3’末端が標的上での伸長に適さないように、オリゴヌクレオチドは3’ミスマッチ、3’ヘアピン、または3’側上に任意のブロック基を含有してよい。両方の場合において、ブロックは、メチル化標的にハイブリダイズした場合にプローブの制限酵素ニック付加により遊離されるだけである。
注2:上記実施例では、KlenTaq、鎖置換活性、並びに3’→5’及び5’→3’ヌクレアーゼ活性の両方欠くポリメラーゼを用いる。オリゴヌクレオチドが3’側上にブロック基を有する場合、3’→5’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを用いることができる一方、ブロック基が5’側にある場合、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを用いることができる。
注3:本実施例において、制限エンドヌクレアーゼ(HinP1I)は、65℃にて15分間インキュベーションすることにより熱失活される。代替アプローチ(または、BstUI等の熱失活酵素を用いる場合)は、制限酵素に、認識エンドヌクレアーゼによる再切断に対する耐性を付与するヌクレオチド類似体(即ち5−メチル−dCTP、またはα−チオホスフェートdCTP)により伸長することである。ヌクレオチド類似体(即ちHinP1I)を用いて、オリゴヌクレオチドの5’側の制限酵素切断部位が耐性形態に転換されない場合、このケースは、5’側にブロック基を有するオリゴヌクレオチド、及び5’→3’ヌクレアーゼ活性を含有するポリメラーゼを用いることにより解決され得る。まず、制限エンドヌクレアーゼのニック付加活性によりブロック基が取り除かれる。続いて、ヌクレオチド類似体を用いた伸長ステップの間に、5’→3’ヌクレアーゼ活性を含有するポリメラーゼが認識部位を通してニック翻訳を行い、ニックを、部位に更なる切断への耐性を付与するヌクレオチドと置き換える。
注4:上記実施例において、更に、認識配列を過ぎたニック翻訳を最小限に抑えるために、5’プローブ部位の制限酵素切断部位に直接隣接するオリゴヌクレオチドの部分を、チオホスフェート結合を含有させて合成してよい。1つの塩基をあまりに多く伸長する(下流プライマーへのライゲーションが不可能となる)ことによるこれらの塩基のポリメラーゼ置換を最小限に抑えるために、ライゲーション接合部での標的塩基は、3’側でATリッチであり、5’側でGCリッチであることが好ましい。
注5:オリゴヌクレオチドプローブの標的特異的部分は、作製不可能な3’及び5’末端のライゲーションの後でも、標的にハイブリダイズしたままとなるように設計される。標的がプローブ部分と重複する更なる制限酵素切断部位を含有する場合、プローブはこれらの位置で5−メチル−dCにより合成され得る。標的がこれらの位置でメチル化される場合、その部位は標的及びオリゴヌクレオチドプローブの両方がメチル化されるため、ニック耐性を有することとなる。しかし、標的がこれらの位置で非メチル化である場合、部位は標的鎖上でニック付加されるため、(短くなった)鎖へのプローブハイブリダイゼーションが妨げられる。
注6:環状生成物は、(phi29ポリメラーゼを有するランダム六量体プライマーを用いた)ローリングサークル増幅による、所望の配列に相補的なタンデムリピートの作製、及び、次世代配列決定を用いた後続の標的識別、あるいは、プライマー結合配列をプライマー結合部位として用いる、共有結合で閉じた鋳型上での直接SMRT配列決定に適している。
注7:オリゴヌクレオチドプローブが任意のプライマー結合部位(即ち、ユニバーサルプライマー結合部位)もまた含む場合、PCR増幅、続いて、次世代配列決定、TaqManアッセイ、UniTaqアッセイ、リアルタイムPCRアッセイ、デジタルPCR、マイクロアレイ、ハイブリダイゼーション、または他の検出方法を用いた標的識別に好適である。
隣接メチル感受性制限酵素切断部位におけるメチル化状態のデータベース。
現在のTCGAデータベースは、通常、及び多くの異なる組織部位の腫瘍の両方に関する、ヒトゲノムの約450,000CpG部位のメチル化状態に関する情報を含有する。しかし、このデータベースは隣接HinP1I部位のメチル化状態を全てカバーしておらず、また、ゲノムDNAの同一断片上でメチル化された両方の部位を区別しない。
したがって、上記アッセイ方法を最大限に有用にするため、隣接メチル感受性制限酵素切断部位におけるメチル化状態のデータベースを作成するのが役に立つ。かかるアプローチの1つを、図28に示す。
アプローチの概要:ここでの考えは、断片の両末端が、元のゲノムDNA内でメチル化されている制限酵素切断部位を含有する場合のみに形成可能である小断片のライブラリーを生成することである。断片は、ここではライゲーションを受けて追加のステップ及び後続の配列決定用の基質となる断片多量体を作製することができる、任意の固有識別子及び任意の患者識別子配列が付加されたリンカーを有する。
変形2.1.1:(例えば図28を参照)。本アプローチは、ゲノム全体での、隣接HinP1I部位(GC*GC)におけるメチル化の発見方法を示す。出発材料は、約160bpの平均長さのインタクトなゲノムDNAまたはcfDNAのいずれかとすることができる。HinP1IでゲノムDNAを切断し、非メチル化HinP1I部位にてDNAを断片化する。ライゲーションされていない末端にブロック5’末端を含有する短いリンカーを、標的断片の、HinP1Iで切断した末端及び修復末端が埋められた両端上にライゲーションする。(これらのリンカーはライゲーション接合部にてHinP1I部位を再び作製しない。)非メチル化dNTP及び5’ブロックプライマーを用いた数ラウンドのPCR増幅により、残存するHinP1I部位がここでは非メチル化である生成物が生成される。次に、これらの生成物をHinP1Iで切断する。HinP1Iで切断した場合に、元の標的内でメチル化されていた隣接HinP1I部位(GCGC)を含有するPCR単位複製配列のみが、両端が脱ブロックされている(即ち、リンカーによるライゲーション能のある)断片を生成する。任意の固有の識別子配列及び任意の患者識別子配列を含有するリンカーを、HinP1Iが切断した末端が埋められた、新しく生成した断片にライゲーションする。これらの新しいリンカーは、(図28に****として示すように)、ライゲーションされていない側にブロック3’末端またはチオホスフェート含有骨格のいずれかを含有する。二本鎖3’エキソヌクレアーゼ(即ちエキソヌクレアーゼIII)を加える際に、片側または両側に元の短いリンカーを含有する断片が分解され、一本鎖となる。3’ブロック基またチオホスフェートが3’エキソヌクレアーゼによる分解を阻害するので、両側にライゲーションした新しいリンカーを有する断片のみが二本鎖のままとなる。(i)5’末端のリン酸化、(ii)ブロック3’基の除去、もしくは(iii)5’ヌクレアーゼ活性を用いた、ライゲーション能のある5’ホスフェートを残しながらの、マッチする5’重複塩基もしくはフラップの切断、またはこれらの任意の組み合わせのいずれかにより、リンカー含有断片のままである自由端にライゲーション能が付与される。例えば、クラウディング剤(即ち20%PEG)、及び/または2セットのライゲーション生成物を混合することにより、多量体化に有利となるようにライゲーション条件を設計し、これらの2セットにおいては、第1セットの非回文状5’リンカーオーバーハングは、第2セットの非回文状5’リンカーオーバーハングに相補的である。ライゲーション生成物は、任意の固有の識別子及び/または患者識別子配列を有する、標的DNA中で元々メチル化されていた隣接HinP1I配列で成る。本生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
隣接メチル感受性制限酵素切断部位におけるメチル化状態のデータベースを生成するための詳細プロトコール:
2.1.1.a.単離ゲノムDNA、またはメチル強化DNAを、1つ以上のメチル感受性酵素(AciI、HinP1I、Hpy99I、及びHpyCH4IV)で切断する。本実施例では、HinP1Iを用いる。任意で、エンドヌクレアーゼを熱失活させる(65℃で15分間)。ライゲーションされていない末端の5’末端上でブロックされているリンカーにライゲーションする。標的末端をT4ポリメラーゼ及びT4キナーゼで修復し、続いて単一の塩基3’Aオーバーハングをクレノウ(エキソ)及びdATPで生成する。T4リガーゼを用いたライゲーションが断片の両端にリンカーを付加するように、リンカーは単一の塩基3’Tオーバーハングを有する。(以下の注1を参照。)
2.1.1.b.5’ブロックプライマー、Taqポリメラーゼ、及びdNTPを加えてPCRを数サイクル実施し、残存するHinP1I部位がここでは非メチル化である生成物を生成する。
2.1.1.c.HinP1Iを加えてかかる部位を含有する生成物を切断する。HinP1Iで切断した場合に、元の標的内でメチル化されていた隣接HinP1I部位(GCGC)を含有するPCR単位複製配列のみが、両端が脱ブロックされている(即ち、リンカーによるライゲーション能のある)断片を生成する。Taqポリメラーゼからの残存ポリメラーゼは2塩基オーバーハングを埋める(任意で温度を60℃に上げる)。dNTPを(スピンカラムにより)取り除き、dATPのみを戻して単一の3’Aオーバーハングを生成する。
2.1.1.d.T4リガーゼを用いて、ライゲーション末端上に単一の塩基3’Tオーバーハングを有する(任意の固有の識別子配列及び任意の患者識別子配列を含有する)リンカーを、切断して埋めた標的配列の単一の塩基Aオーバーハングに付加する。リンカーのライゲーションされていない5’側は5’オーバーハングを含有し、任意でリン酸化されていない。リンカーのライゲーションされていない3’側は3’ブロック基及び/またはチオホスフェートを含有し、3’エキソヌクレアーゼによる分解を阻害する。
2.1.1.e.3’エキソヌクレアーゼ(即ちエキソヌクレアーゼIII)を加え37℃で分解する。片側または両側に元の短いリンカーを含有する断片を分解し、一本鎖とする。両側にライゲーションした新しいリンカーを有する断片のみが二本鎖のままとなる。エキソヌクレアーゼはまた、リンカーを一本鎖にもする。任意で、スピンカラムにより所望の断片から分解生成物を取り除く。
2.1.1.f.(i)T4キナーゼを用いた5’末端のリン酸化、(ii)ブロック3’基の除去、もしくは(iii)Taqポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性を用いた、ライゲーション能のある5’ホスフェートを残しての、マッチする5’重なり合った塩基もしくはフラップの切断、またはこれらの任意の組み合わせのいずれかにより、リンカー含有断片のままである自由端にライゲーション能が付与される。多量体化に有利となるようにライゲーション条件を設計する。ライゲーション生成物は、任意の固有識別子及び/または患者識別子配列を有する、標的DNA内で元々メチル化されている隣接HinP1I配列を有する、標的断片の多量体を含む。本生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
注1:リンカーのライゲーションに関して:単一の塩基Tオーバーハングを含有するリンカーによるリンカーライゲーションの前に、末端を埋めて修復し、Aテーリングすることに代えて、HinP1Iにより生成した5’CpGオーバーハングを利用することができる。クレノウ(エキソ)及びdCTPを用いて、単一の塩基3’Cオーバーハングを生成することができる。T4リガーゼを用いたライゲーションが断片の両端にリンカーを付加するように、リンカーは単一の塩基3’Cオーバーハングを有する。あるいは、CGオーバーハングを有するリンカーを、部位の埋め込みなしに直接用いてもよいが、これらがセルフライゲーションする場合、AciI部位(AA^CGTT)を作製するようにリンカーを設計する。したがって、ゲノムDNAは、リンカー及びT4リガーゼの両方の存在下において、37℃でHinP1I(G^CGC)、AciI部位(AA^CGTT)で切断される。互いの断片へのライゲーションはHinP1Iにより切断され、互いのリンカーへのライゲーションはAciIにより切断されるが、リンカーの断片末端へのライゲーションはいずれかの酵素によっても切断されないため、この3−酵素ライゲーション混合は「生化学的選択」として機能し、所望の生成物を強化する。
注2:ブロックリンカーの3’末端は、ブロックに対して内部の位置にてウラシルまたはアプリン(AP)部位を含有するように合成され、UDG及びAPエンドヌクレアーゼでの処理の後、ライゲーション能のある3’末端を遊離させる。
注3:5’−3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼの代わりにFenヌクレアーゼを用いて、標的の5’側にライゲーション能のある5’ホスフェートを生成してよい。
注4:ライゲーションは、クラウディング剤(即ち20%PEG)を用いることにより、及び/または2セットのライゲーション生成物を混合することにより、多量体の形成に有利となり、これらの2セットにおいては、第1セットの非回文状5’リンカーオーバーハングは、第2セットの非回文状5’リンカーオーバーハングに相補的である。
亜硫酸水素塩処理を用いた、隣接部位におけるメチル化の検出
上記アプローチは、隣接したメチル化HinP1I部位を、DNA断片内でのメチル化の代わりとして含有する断片の識別及び計数に理想的である。しかし、いくつかの用途に関して、所与の領域内での個々のCpG部位のメチル化状態を識別することが重要である。したがって、投入DNAを亜硫酸水素塩で処理することが必要となり得、これはメチルCではなく通常のCをUに転換する。
亜硫酸水素塩を用いるアプローチの概要:ここでの考えは、対象の領域に関する配列(G*CGG)の隣接AciI制限酵素切断部位がメチル化されている標的DNAの各断片を確実にコピーし、亜硫酸水素塩で処理し、固有の識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び所望の患者識別子を付加し、後続の配列決定のためにこれらを環化することである。オリゴヌクレオチドDNA鎖は環化され配列決定される。本アプローチは、必要な場合にコピー数情報、及び必要な最少の配列決定によるメチル化データの両方を得るという利点をもたらす。
ここでの考えは、AciIに対する認識配列の固有の性質を利用する。酵素は1方向において、3.5塩基の認識配列G^CGGを切断し、第2方向においてC^CGCを切断する。メチル化AciI部位が第1の方向において亜硫酸水素塩で処理される場合(G*CGG)、この部位は変化しないままである(G*CGG)が、第2の方向において(C*CGC)は、変化が起こる(U*CGU、ここで*Cは5−meCを表す)。数ラウンドのPCR増幅の後、5−メチルCはCに転換されるが、UはTに転換される。第1方向のメチル化AciI部位はGCGGとして残り、第1方向の非メチル化AciI部位はGTGGに転換され、第2方向のメチル化AciI部位はTCGTに転換され、第2方向の非メチル化AciI部位はTTGTに転換される。AciIで切断した場合、元の標的内でメチル化されている隣接AciI部位のみが、3’及び5’末端の両方でライゲーション能のある断片を作製する。
本アプローチの1つの固有の特長は、亜硫酸水素塩による転換が2つの非相補鎖を作製するということである。したがって、トップ鎖は隣接G*CGG配列を有し、介在C*CGC配列が存在する場合でさえも、この配列はU*CGUに転換され、PCRの後TCGTに転換されてAciI部位としては認識されないため、問題はない。更に、介在G*CGGまたはGCGG(即ち非メチル化)部位が存在する場合でさえも、この部位は一本鎖領域に存在するため、AciIによりニック付加されない。更に良いことには、形式C*CGCのトップ鎖上の配列はボトム鎖上でG*CGGとなる。ボトム鎖はメチル化状態を確認するためにもまた用いられ得、かつ2つの配列はここでは非常に異なっているため、トップ及びボトム鎖へのオリゴヌクレオチドプローブは互いにハイブリダイズせず、転換標的にのみハイブリダイズする。したがって、本アプローチでは、トップ及びボトム鎖の両方からの情報を用いて、プロモーター上の詳細のメチル化状態を得ることが可能になる。
DNAを亜硫酸水素塩で処理して、非メチル化DNAを、制限酵素により切断されないが、メチル化されている場合に同じ制限酵素により依然として切断可能である配列に転換する原理は、いくつかの更なる制限酵素切断部位まで拡大することができる。例えば、BstUI部位(CG^CG)は、亜硫酸水素塩転換により両方のCG部位がメチル化された(即ち、*CG*CG)後に、同一配列を保持する。同様に、Hpy99I部位(CGWCG^)もまた、亜硫酸水素塩転換により両方のCG部位がメチル化された(*CGW*CG)後に、同一配列を保持する。異なる種類の例では、HpyCH2IV(A^CGT)は、亜硫酸水素塩転換の後、形式A*CGT及びA*CGCの両方の配列を切断し、共にA*CGTになる。したがって、AciIに関して以下で考慮する変形は、制限エンドヌクレアーゼBstUI、Hpy99I、HpyCH2IV及びこれらのイソ制限酵素限定されないが、これらに対して同様に有効である。
変形2.2:(例えば図29〜30を参照)。この変形において、5−メチルCを含有する短いリンカーが、DNAの末端にライゲーションされる。次にDNAを亜硫酸水素塩で処理し、これにより鎖が非相補性となるため、一本鎖となる。数ラウンドのPCR増幅により、残存するAciI部位がここでは非メチル化である生成物が生成される。これらの生成物を次に、AciIで切断する。元の標的内でメチル化された隣接AciI部位(GCGG)を含有するPCR単位複製配列のみが、ここでは両方の末端でライゲーション能のある断片を生成する。所望の領域を捕捉するために、標的の5’側の配列に相補的な5’プローブ領域、固有の識別子配列、任意のプライマー結合配列、任意の患者識別子配列、及び標的の3’側の配列に相補的な3’プローブ領域を含むオリゴヌクレオチドプローブを標的にハイブリダイズする。鎖置換活性、並びに3’→5’及び5’→3’ヌクレアーゼ活性の両方を欠くリガーゼ及びポリメラーゼを加えることにより、非メチル化標的の3’末端の伸長、続いて、標的の5’末端へのライゲーションを行い、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、及び任意のプライマー結合部位を含有する環状生成物を形成することが可能となる。ライゲーションしていない生成物は、エキソヌクレアーゼ分解により取り除かれる。本環状生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
制限エンドヌクレアーゼにより3’OH及び5’ホスフェートの両方を生成させることを要求することで、間違ったシグナルが回避され、同様にいかなる非特異的ライゲーションシグナルも取り除かれるはずである。したがって、精製後に一本鎖となる、または切断されていないゲノムDNAの任意の希少断片は生産的な基質を形成せず、エキソヌクレアーゼ処理ステップにより破壊される。
プロモーターのメチル化の高感度検出のための詳細プロトコール:
2.2.a.5−メチルCを含有するリンカーへのライゲーションを行い、亜硫酸水素塩による転換後に配列を保持する。標的末端をT4ポリメラーゼ及びT4キナーゼで修復し、続いて単一の塩基3’Aオーバーハングをクレノウ(エキソ)及びdATPで生成する。T4リガーゼを用いたライゲーションが断片の両端にリンカーを付加するように、リンカーは単一の塩基3’Tオーバーハングを有する。亜硫酸水素塩でcfDNAをインキュベーションすることにより、メチル−Cではなく通常のCをUに転換する。亜硫酸水素塩による処理は、処理後、鎖がもはや互いに相補的ではなくなり、融解して別々になるように、トップ及びボトム鎖を異なるように転換する。
2.2.b.プライマー類、Taqポリメラーゼ、及びdNTPを加えてPCRを数サイクル実施し、残存するAciI部位がここでは非メチル化である生成物を生成する。
2.2.c.AciIを加えて、かかる部位を含有する生成物を切断する。AciIで切断された場合、元の標的内でメチル化された隣接AciI部位(GCGG)を含有するPCR単位複製配列のみが、両端が脱ブロックされている(即ち、リンカーによるライゲーション能のある)断片を生成する。Taqポリメラーゼからの残存ポリメラーゼは2塩基オーバーハングを埋める(任意で温度を60℃に上げる)。
2.2.d.(標的の5’側の配列に相補的な5’プローブ領域、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、任意のプライマー結合部位、及び標的の3’側の配列に相補的な3’プローブ領域を含む)オリゴヌクレオチドプローブの存在下で標的DNAを変性させ(94℃、1分)、所望の温度に冷却する(例えば50℃〜60℃で2時間)ことにより、オリゴヌクレオチドを所望の断片上で相補領域にハイブリダイズさせる。KlenTaq(ヌクレアーゼ活性を欠くTaqポリメラーゼ)、及び(好ましくは株AK16Dからの)熱安定性リガーゼ、dNTPを加えて、50℃にて伸長及びライゲーションを可能にし、かつ任意で温度を上げて(例えば60℃)伸長及びライゲーションを確実に完了させ、環状生成物を生成する。
2.2.e.エキソヌクレアーゼI(3’→5’方向に一本鎖DNAを分解する)、及びエキソヌクレアーゼIII(3’→5’方向に二本鎖DNAを分解する)を加えて、メチル化DNAのコピー、固有の識別子配列、及び任意の患者識別子配列を含む所望の一本鎖環状DNAのみを残しながら、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本環状生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
注1:オリゴヌクレオチドの5’末端がライゲーションに適さないように、オリゴヌクレオチドは5’ホスフェートを欠いているか、または5’側上に任意のブロック基を含有してよい。
注2:上記実施例では、KlenTaq、鎖置換活性、並びに3’→5’及び5’→3’ヌクレアーゼ活性の両方欠くポリメラーゼを用いる。オリゴヌクレオチドが5’側にブロック基を有する場合、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを用いることができる。
注3:環状生成物は、所望の配列のタンデムリピートを作製するための(phi29ポリメラーゼを有するランダム六量体プライマーを用いた)ローリングサークル増幅、及び後続の、次世代配列決定を用いた標的の識別、あるいは、プライマー結合配列をプライマー結合部位として用いる、共有結合で閉じた鋳型上での直接SMRT配列決定に適している。
注4:オリゴヌクレオチドが任意のプライマー結合部位(即ち、ユニバーサルプライマー結合部位)もまた含む場合、PCR増幅、続いて、次世代配列決定、TaqManアッセイ、UniTaqアッセイ、リアルタイムPCRアッセイ、デジタルPCR、マイクロアレイ、ハイブリダイゼーション、または他の検出方法を用いた標的識別に好適である。
変形2.2において、ポリメラーゼ及びリガーゼの両方を用いて、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、及び任意のプライマー結合部位を含有する共有結合で閉じた環を形成する。これは、リガーゼのみを用いても達成可能である。
変形2.3:(例えば図31〜32を参照)。この変形において、5−メチルCを含有する短いリンカーを、DNAの末端にライゲーションする。次にDNAを亜硫酸水素塩で処理し、これにより鎖が非相補性となるため、一本鎖となる。数ラウンドのPCR増幅により、残存するAciI部位がここでは非メチル化である生成物が生成される。これらの生成物を次に、AciIで切断する。元の標的内でメチル化された隣接AciI部位(GCGG)を含有するPCR単位複製配列のみが、ここでは両方の末端でライゲーション能のある断片を生成する。所望の非メチル化領域を捕捉するために、標的の5’側の配列に相補的な5’プローブ領域、任意のプライマー結合配列、任意の患者識別子配列、及び標的の3’側の配列に相補的な3’プローブ領域を有する第1のオリゴヌクレオチドプローブ、並びに、第1のオリゴヌクレオチドプローブ鎖に相補的な5’領域、固有の識別子配列、及び第1のオリゴヌクレオチドプローブ鎖に相補的な3’領域を含む第2のオリゴヌクレオチドプローブを含む、部分的に二本鎖のオリゴヌクレオチド対を標的にハイブリダイズする。リガーゼを加えることにより、標的の3’末端の、第2のオリゴヌクレオチドプローブの5’末端へのライゲーション、及び標的の5’末端の、第2のオリゴヌクレオチドプローブの3’末端へのライゲーションが可能となり、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、及び任意のプライマー結合部位を含有する環状生成物を形成する。ライゲーションしていない生成物は、エキソヌクレアーゼ分解により取り除かれる。本環状生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
制限エンドヌクレアーゼにより3’OH及び5’ホスフェートの両方を生成させることを要求することで、間違ったシグナルが回避され、同様にいかなる非特異的ライゲーションシグナルも取り除かれるはずである。したがって、精製後に一本鎖となる、または切断されていないゲノムDNAの任意の希少断片は生産的な基質を形成せず、エキソヌクレアーゼ処理ステップにより破壊される。
プロモーター非メチル化の高感度な検出のための詳細プロトコール:
2.3.a.5−メチルCを含有するリンカーへのライゲーションを行い、亜硫酸水素塩による転換後に配列を保持する。標的末端をT4ポリメラーゼ及びT4キナーゼで修復し、続いて単一の塩基3’Aオーバーハングをクレノウ(エキソ)及びdATPで生成する。T4リガーゼを用いたライゲーションが断片の両端にリンカーを付加するように、リンカーは単一の塩基3’Tオーバーハングを有する。亜硫酸水素塩でcfDNAをインキュベーションすることにより、メチル−Cではなく通常のCをUに転換する。亜硫酸水素塩による処理は、処理後、鎖がもはや互いに相補的ではなくなり、融解して別々になるように、トップ及びボトム鎖を異なるように転換する。
2.3.b.プライマー類、Taqポリメラーゼ、及びdNTPを加えてPCRを数サイクル実施し、残存するAciI部位がここでは非メチル化である生成物を生成する。
2.3.c.AciIを加えて、かかる部位を含有する生成物を切断する。AciIで切断された場合、元の標的内でメチル化された隣接AciI部位(GCGG)を含有するPCR単位複製配列のみが、両端が脱ブロックされている(即ち、リンカーによるライゲーション能のある)断片を生成する。Taqポリメラーゼからの残存ポリメラーゼは2塩基オーバーハングを埋める(任意で温度を60℃に上げる)。
2.3.d.(標的の5’側の配列に相補的な5’プローブ領域、任意のプライマー結合配列、任意の患者識別子配列、及び標的の3’側の配列に相補的な3’プローブ領域を有する第1のオリゴヌクレオチドプローブ、並びに、第1のオリゴヌクレオチドプローブに相補的な5’領域、固有の識別子配列、及び第1のオリゴヌクレオチドプローブに相補的な3’領域を含む第2のオリゴヌクレオチドプローブを含む)部分的に二本鎖のオリゴヌクレオチド対の存在下で標的DNAを変性させ(94℃、1分)、所望の温度に冷却する(例えば50℃〜60℃で2時間)ことにより、オリゴヌクレオチドを所望の断片上で相補領域にハイブリダイズさせる。熱安定性リガーゼ(好ましくは株AK16Dから)を加え、60℃でライゲーションさせて環状生成物を生成する。
2.3.e.エキソヌクレアーゼI(3’→5’方向に一本鎖DNAを分解する)、及びエキソヌクレアーゼIII(3’→5’方向に二本鎖DNAを分解する)を加えて、メチル化DNAのコピー、固有の識別子配列、及び任意の患者識別子配列を含む所望の一本鎖環状DNAのみを残しながら、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本環状生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
注1:環状生成物は、所望の配列のタンデムリピートを作製するための(phi29ポリメラーゼを有するランダム六量体プライマーを用いた)ローリングサークル増幅、及び後続の、次世代配列決定を用いた標的の識別、あるいは、プライマー結合配列をプライマー結合部位として用いる、共有結合で閉じた鋳型上での直接SMRT配列決定に適している。
注2:オリゴヌクレオチドが任意のプライマー結合部位(即ち、ユニバーサルプライマー結合部位)もまた含む場合、PCR増幅、続いて、次世代配列決定、TaqManアッセイ、UniTaqアッセイ、リアルタイムPCRアッセイ、デジタルPCR、マイクロアレイ、ハイブリダイゼーション、または他の検出方法を用いた標的識別に好適である。
隣接メチル感受性制限酵素切断部位(AciI部位)におけるメチル化状態のデータベース。
現在のTCGAデータベースは、通常、及び多くの異なる組織部位の腫瘍の両方に関する、ヒトゲノムの約450,000CpG部位のメチル化状態に関する情報を含有する。しかし、このデータベースは隣接AciI部位のメチル化状態を全てカバーしておらず、また、ゲノムDNAの同一断片上でメチル化された両方の部位を区別しない。
したがって、上記アッセイ方法を最大限に有用にするため、同一方向(GCGG)の隣接AciI制限酵素切断部位におけるメチル化状態のデータベースを作成することが役に立つ。本アプローチはまた、他方の方向(CCGC)の隣接AciI制限酵素切断部位も含む。これは、この部位が亜硫酸水素塩転換の後、反対鎖ではGCGGとなるためである。かかるアプローチの1つを、図33に示す。
アプローチの概要:ここでの考えは、断片の両末端が、元のゲノムDNA内でメチル化されている制限酵素切断部位を含有する場合のみに形成可能である小断片のライブラリーを生成することである。ここでの考えは、AciIに対する認識配列の固有の性質を利用する。酵素は1方向において3.5塩基認識配列G^CGG、かつ他方の方向でC^CGCを切断する。メチル化AciI部位から開始し、亜硫酸水素塩で処理する。第1の方向(G*CGG)において、部位は変化しないままであるが、第2の方向において、部位は変化する(U*CGU、*Cは5−meC)。数ラウンドのPCR増幅の後、第1の部位はAciIにより認識されるGCGGに転換されるが、第2の部位は切断されないTCGTに転換される。したがって、亜硫酸水素塩処理の後、AciIを用いて、固有のメチル化配列を識別することができる。断片は、ここではライゲーションを受けて追加のステップ及び後続の配列決定用の基質となる断片多量体を作製することができる、任意の固有識別子及び任意の患者識別子配列が付加されたリンカーを有する。
変形2.3.1:(例えば図33を参照)。本アプローチは、ゲノム全体での、隣接AciI部位(GC*GG)におけるメチル化の発見方法を示す。出発材料は、約160bpの平均長さのインタクトなゲノムDNAまたはcfDNAのいずれかとすることができる。ライゲーションされていない末端にブロック5’末端を含有する短いリンカーを、DNAの末端にライゲーションする。亜硫酸水素塩によりDNAを処理し、メチル−Cではなく通常のCをUに転換する。非メチル化dNTP及び5’ブロックプライマーを用いた数ラウンドのPCR増幅により、残存するAciI部位がここでは非メチル化である生成物が生成される。これらの生成物を次に、AciIで切断する。AciIで切断された場合、元の標的内でメチル化された隣接AciI部位(GCGG)を含有するPCR単位複製配列のみが、両端が脱ブロックされている(即ち、リンカーによるライゲーション能のある)断片を生成する。任意の固有の識別子配列及び任意の患者識別子配列を含有するリンカーを、新しく生成した、AciIが切断した部位が埋められた断片にライゲーションする。これらの新しいリンカーは、ライゲーションされていない末端に、ブロック3’末端、またはチオホスフェート含有骨格(図33に****として示す)を含有する。二本鎖3’エキソヌクレアーゼ(即ちエキソヌクレアーゼIII)を加える際に、片側または両側に元の短いリンカーを含有する断片が分解され、一本鎖となる。3 ’ブロック基またチオホスフェートが3’エキソヌクレアーゼによる分解を阻害するので、両側にライゲーションした新しいリンカーを有する断片のみが二本鎖のままとなる。(i)5’末端のリン酸化、(ii)ブロック3’基の除去、もしくは(iii)5’ヌクレアーゼ活性を用いた、ライゲーション能のある5’ホスフェートを残しながらの、マッチする5’重複塩基もしくはフラップの切断、またはこれらの任意の組み合わせのいずれかにより、リンカー含有断片のままである自由端にライゲーション能が付与される。例えば、クラウディング剤(即ち20%PEG)、及び/または2セットのライゲーション生成物を混合することにより、多量体化に有利となるようにライゲーション条件を設計し、これらの2セットにおいては、第1セットの非回文状5’リンカーオーバーハングは、第2セットの非回文状5’リンカーオーバーハングに相補的である。ライゲーション生成物は、任意の固有識別子及び/または患者識別子配列を有する標的DNA内で元々メチル化されている同一方向(即ちGCGG)に、隣接AciI配列を含む。本生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
隣接AciI制限酵素切断部位におけるメチル化状態のデータベースを生成するための詳細プロトコール:
2.3.1.a.ライゲーションされていない末端の5’末端上でブロックされているリンカーにライゲーションする。標的末端をT4ポリメラーゼ及びT4キナーゼで修復し、続いて単一の塩基3’Aオーバーハングをクレノウ(エキソ)及びdATPで生成する。T4リガーゼを用いたライゲーションが断片の両端にリンカーを付加するように、リンカーは単一の塩基3’Tオーバーハングを有する。亜硫酸水素塩でcfDNAをインキュベーションすることにより、メチル−Cではなく通常のCをUに転換する。亜硫酸水素塩による処理は、処理後、鎖がもはや互いに相補的ではなくなり、融解して別々になるように、トップ及びボトム鎖を異なるように転換する。
2.3.1.b.5’ブロックプライマー、Taqポリメラーゼ、及びdNTPを加えてPCRを数サイクル実施し、残存するAciI部位がここでは非メチル化である生成物を生成する。
2.3.1.c.AciIを加えて、かかる部位を含有する生成物を切断する。AciIで切断された場合、元の標的内でメチル化された隣接AciI部位(GCGG)を含有するPCR単位複製配列のみが、両端が脱ブロックされている(即ち、リンカーによるライゲーション能のある)断片を生成する。Taqポリメラーゼからの残存ポリメラーゼは2塩基オーバーハングを埋める(任意で温度を60℃に上げる)。dNTPを(スピンカラムにより)取り除き、dATPのみを戻して単一の3’Aオーバーハングを生成する。
2.3.1.d.T4リガーゼを用いて、ライゲーション末端上に単一の塩基3’Tオーバーハングを有する(任意の固有の識別子配列及び任意の患者識別子配列を含有する)リンカーを、切断して埋めた標的配列の単一の塩基Aオーバーハングに付加する。リンカーのライゲーションされていない5’側は5’オーバーハングを含有し、任意でリン酸化されていない。リンカーのライゲーションされていない3’側は3’ブロック基及び/またはチオホスフェートを含有し、3’エキソヌクレアーゼによる分解を阻害する。
2.3.1.e.3’エキソヌクレアーゼ(即ちエキソヌクレアーゼIII)を加え37℃で分解する。片側または両側に元の短いリンカーを含有する断片を分解し、一本鎖とする。両側にライゲーションした新しいリンカーを有する断片のみが二本鎖のままとなる。エキソヌクレアーゼはまた、リンカーを一本鎖にもする。任意で、スピンカラムにより所望の断片から分解生成物を取り除く。
2.3.1.f.(i)T4キナーゼを用いた5’末端のリン酸化、(ii)ブロック3’基の除去、もしくは(iii)Taqポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性を用いた、ライゲーション能のある5’ホスフェートを残しての、マッチする5’重なり合った塩基もしくはフラップの切断、またはこれらの任意の組み合わせのいずれかにより、リンカー含有断片のままである自由端にライゲーション能が付与される。多量体化に有利となるようにライゲーション条件を設計する。ライゲーション生成物は、任意の固有識別子及び/または患者識別子配列を有する標的DNA内で元々メチル化されている隣接AciI配列を有する、標的断片の多量体を含む。本生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
注1:ブロックリンカーの3’末端は、ブロックに対して内部の位置にてウラシルまたはアプリン(AP)部位を含有するように合成され、UDG及びAPエンドヌクレアーゼでの処理の後、ライゲーション能のある3’末端を遊離させる。
注2:5’−3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼの代わりにFenヌクレアーゼを用いて、標的の5’側にライゲーション能のある5’ホスフェートを生成してよい。
注3:ライゲーションは、クラウディング剤(即ち20%PEG)を用いることにより、及び/または2セットのライゲーション生成物を混合することにより、多量体の形成に有利となり、これらの2セットにおいては、第1セットの非回文状5’リンカーオーバーハングは、第2セットの非回文状5’リンカーオーバーハングに相補的である。
予測実施例3−全ての血漿DNA中での、プロモーター低メチル化(存在する場合1%〜0.1%)に対する高感度非メチル化マーカー。
腫瘍内でのメチル化変化の大部分は、低メチル化によるものである。予めメチル化されているプロモーター領域内でかかる低メチル化が発生する場合、癌遺伝子等の遺伝子の発現の増加の原因となり得る。更に、反復成分領域及び可動成分は通常、全体のメチル化によりサイレンシングされるが、かかるサイレンシングは、腫瘍が低メチル化した場合に失われる。
メチル感受性制限酵素を用いて、選択的増幅を補助して低量のメチル化配列を識別することができるが、そのアプローチは、低量の非メチル化配列の識別には機能しない。亜硫酸水素塩による処理、及び亜硫酸水素塩により変性した非メチル化DNAに対するPCRプライマーの使用を行うことができるが、かかるプライマーは非常にATリッチであり、特に多重PCRを試みる場合に、所望の断片全てを増幅するのが困難な場合がある。
アプローチの概要:ここでの考えは、対象の領域に対する隣接制限酵素切断部位が非メチル化である標的DNAのそれぞれの断片を確実にコピーし、固有の識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び所望の患者識別子を付加させ、後続の配列決定のためにこれらを環化することである。オリゴヌクレオチドDNA鎖は環化され配列決定される。本アプローチは、必要な場合にコピー数情報、及び必要最小限の配列決定による非メチル化データの両方を得るという利点を提供する。
変形3.1:(例えば、図34及び35を参照)。この変形において、HinP1I(または他のメチル化感受性制限エンドヌクレアーゼ)でDNAを切断し、ライゲーション能のある3’及び5’末端を生成する。所望の非メチル化領域を捕捉するために、標的の5’側の配列に相補的な5’プローブ領域、固有の識別子配列、任意のプライマー結合配列、任意の患者識別子配列、及び標的の3’側の配列に相補的な3’プローブ領域を含むオリゴヌクレオチドプローブを標的にハイブリダイズする。鎖置換活性、並びに3’→5’及び5’→3’ヌクレアーゼ活性の両方を欠くリガーゼ及びポリメラーゼを加えることにより、非メチル化標的の3’末端の伸長、続いて標的の5’末端へのライゲーションを行い、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列及び任意のプライマー結合部位を共に含有する環状生成物を形成することができる。ライゲーションしていない生成物は、エキソヌクレアーゼ分解により取り除かれる。本環状生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
制限エンドヌクレアーゼにより3’OH及び5’ホスフェートの両方を生成させることを要求することで、間違ったシグナルが回避され、同様にいかなる非特異的ライゲーションシグナルも取り除かれるはずである。したがって、精製後に一本鎖となった、または切断されていないゲノムDNAの任意の希少断片は生産的な基質を形成せず、エキソヌクレアーゼ処理ステップにより破壊される。
プロモーター非メチル化の高感度な検出のための詳細プロトコール:
3.1.a.単離cfDNAを1つ以上のメチル感受性酵素(AciI、HinP1I、Hpy99I、及びHpyCH4IV)で切断する。本実施例は、HinP1Iの使用を示す。エンドヌクレアーゼを熱失活させ(65℃で15分間)、DNAを変性させる(94℃で1分間)。
3.1.b.(標的の5’側の配列に相補的な5’プローブ領域、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、任意のプライマー結合部位、及び標的の3’側の配列に相補的な3’プローブ領域を含む)オリゴヌクレオチドの存在下で標的DNAを変性させ(94℃、1分)、所望の温度に冷却する(例えば50℃〜60℃で2時間)ことにより、オリゴヌクレオチドを所望の断片上で相補領域にハイブリダイズさせる。KlenTaq(ヌクレアーゼ活性を欠くTaqポリメラーゼ)、及び(好ましくは株AK16Dからの)熱安定性リガーゼ、dNTPを加えて、50℃にて伸長及びライゲーションを可能にし、かつ任意で温度を上げて(例えば60℃)伸長及びライゲーションを確実に完了させ、環状生成物を生成する。
3.1.c.エキソヌクレアーゼI(3’→5’方向に一本鎖DNAを分解する)、及びエキソヌクレアーゼIII(3’→5’方向に二本鎖DNAを分解する)を加えて、メチル化DNAのコピー、固有の識別子配列、及び任意の患者識別子配列を含む所望の一本鎖環状DNAのみを残しながら、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本環状生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
注1:オリゴヌクレオチドの5’末端がライゲーションに適さないように、オリゴヌクレオチドは5’ホスフェートを欠いているか、または5’側上に任意のブロック基を含有してよい。
注2:上記実施例では、KlenTaq、鎖置換活性、並びに3’→5’及び5’→3’ヌクレアーゼ活性の両方欠くポリメラーゼを用いる。オリゴヌクレオチドが5’側上にブロック基を有する場合、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを用いることができる。
注3:環状生成物は、所望の配列のタンデムリピートを作製するための(phi29ポリメラーゼを有するランダム六量体プライマーを用いた)ローリングサークル増幅、及び後続の、次世代配列決定を用いた標的の識別、あるいは、プライマー結合配列をプライマー結合部位として用いる、共有結合で閉じた鋳型上での直接SMRT配列決定に適している。直接SMRT配列決定を用いる場合、元の鋳型DNAのメチル化状態の喪失は、直接決定されることができる。
注4:オリゴヌクレオチドが任意のプライマー結合部位(即ち、ユニバーサルプライマー結合部位)もまた含む場合、PCR増幅、続いて、次世代配列決定、TaqManアッセイ、UniTaqアッセイ、リアルタイムPCRアッセイ、デジタルPCR、マイクロアレイ、ハイブリダイゼーション、または他の検出方法を用いた標的識別に好適である。
注5:同一のアプローチを用いて、プロモーター領域がメチル化されている領域を識別することができる(図36及び37を参照)。単離cfDNAを、メチル感受性酵素(AciI、HinP1I、Hpy99I及びHpyCH4IV)とメチル非感受性酵素(HaeIII及びMspI)のカクテルで切断する。図は、2つのHaeIII部位の内部にあり、2つのHaeIII部位に隣接する、メチル化AciI部位を有する断片を示す。1つのメチル非感受性制限酵素切断部位のみが存在する場合でさえも、本アプローチは作用する(例えば、図39、40、42、43を参照)。メチル非感受性制限エンドヌクレアーゼがライゲーション能のある3’末端を遊離させる場合、この末端は(5’−3’ヌクレアーゼ活性を有する)Taqポリメラーゼによりオリゴヌクレオチド上で伸長され、ポリメラーゼは標的内の過剰の5’配列を伸長して切断し、標的上に、ライゲーションにより環状生成物を作製するのに好適なライゲーション能のある5’ホスフェートを生成する(図39)。メチル非感受性制限エンドヌクレアーゼがライゲーション能のある5’ホスフェートを遊離させる場合、3’−5’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを用いることで、(必要な場合)標的内の過剰な3’配列が分解され、次いで、オリゴヌクレオチドプローブ上の相補配列に重なると、ポリメラーゼは、標的鎖を標的上のライゲーション能のある5’ホスフェートまで伸長し、リガーゼによりニックが閉じられ環状生成物が作製される(図40)。エキソヌクレアーゼ分解の後、メチル感受性制限エンドヌクレアーゼ切断から残った鎖は、その領域のメチルの用マーカーとなる。更に、共有結合で閉じた鋳型上で直接SMRT配列決定を用いる場合、元の鋳型DNAのメチル化状態を決定してよい。
注6:同一アプローチを用いて、プロモーター領域内のBsh1236I部位にてメチル化されている領域を識別することができる(図38、41、44、45、46を参照)。単離cfDNAをBsh1236I(CGCG)、及びメチル非感受性酵素(HaeIII)で切断する。図38は、2つのHaeIII部位の内部にあり、2つのHaeIII部位に隣接する、メチル化Bsh1236I部位を有する断片で示す。本アプローチは、メチル非感受性制限酵素切断部位が1つしか存在しない場合でも作用する(例えば図41、44、45を参照)。メチル非感受性制限エンドヌクレアーゼがライゲーション能のある3’末端を遊離させる場合、次いで、この末端は(5’−3’ヌクレアーゼ活性を有する)Taqポリメラーゼによりオリゴヌクレオチド上で伸長され、ポリメラーゼは標的内の過剰の5’配列を伸長して切断し、標的上に、ライゲーションにより環状生成物を作製するのに好適なライゲーション能のある5’ホスフェートを生成する(図38)。メチル非感受性制限エンドヌクレアーゼがライゲーション能のある5’ホスフェートを遊離させる場合、3’−5’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを用いることで、(必要な場合)標的内の過剰な3’配列が分解され、次いで、オリゴヌクレオチドプローブ上の相補配列に重なると、ポリメラーゼは、標的鎖を標的上のライゲーション能のある5’ホスフェートまで伸長し、リガーゼによりニックが閉じられ環状生成物が作製される(図41及び45)。エキソヌクレアーゼ分解の後、メチル感受性制限エンドヌクレアーゼ切断から残った鎖は、その領域のメチル化のマーカーとなる。BstUI(CGCG)の存在下における、Bstポリメラーゼを用いたローリングサークル複製により、元の試料中で部位がメチル化されたことが確実となる。
変形3.1において、ポリメラーゼとリガーゼの両方を用いて、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、及び任意のプライマー結合部位を含有する、共有結合で閉じた環を形成する。これは、リガーゼのみを用いても達成可能である。
変形3.2:(例えば、図47及び48を参照)。この変形において、HinP1I(または他のメチル化感受性制限エンドヌクレアーゼ)でDNAを切断し、ライゲーション能のある3’及び5’末端を生成する。所望の非メチル化領域を捕捉するために、標的の5’側の配列に相補的な5’プローブ領域、任意のプライマー結合配列、任意の患者識別子配列、及び標的の3’側の配列に相補的な3’プローブ領域を有する第1のオリゴヌクレオチドプローブ、並びに、第1のプローブに相補的な5’領域、固有の識別子配列、及び第1のプローブに相補的な3’領域を含む第2のオリゴヌクレオチドプローブを含む、部分的に二本鎖のオリゴヌクレオチド対を標的にハイブリダイズする。リガーゼを加えることにより、標的の3’末端の、第2のオリゴヌクレオチドプローブの5’末端へのライゲーション、及び標的の5’末端の、第2のオリゴヌクレオチドプローブの3’末端へのライゲーションが可能となり、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、及び任意のプライマー結合部位を含有する環状生成物を形成する。ライゲーションしていない生成物は、エキソヌクレアーゼ分解により取り除かれる。本環状生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
制限エンドヌクレアーゼにより3’OH及び5’ホスフェートの両方を生成させることを要求することで、間違ったシグナルが回避され、同様にいかなる非特異的ライゲーションシグナルも取り除かれるはずである。したがって、精製後に一本鎖となる、または切断されていないゲノムDNAの任意の希少断片は生産的な基質を形成せず、エキソヌクレアーゼ処理ステップにより破壊される。
プロモーター非メチル化の高感度な検出のための詳細プロトコール:
3.2.a.単離cfDNAを1つ以上のメチル感受性酵素(AciI、HinP1I、Hpy99I、及びHpyCH4IV)で切断する。本実施例では、HinP1Iを用いる。エンドヌクレアーゼを熱失活させ(65℃で15分間)、DNAを変性させる(94℃で1分間)。
3.2.b.(標的の5’側の配列に相補的な5’プローブ領域、任意のプライマー結合配列、任意の患者識別子配列、及び標的の3’側の配列に相補的な3’プローブ領域を有する第1のオリゴヌクレオチドプローブ、並びに、第1の鎖に相補的な5’領域、固有の識別子配列、及び第1の鎖に相補的な3’領域を含む第2のオリゴヌクレオチドプローブを含む)部分的に二本鎖のオリゴヌクレオチド対の存在下で標的DNAを変性させ(94℃、1分)、所望の温度に冷却する(例えば50℃〜60℃で2時間)ことにより、オリゴヌクレオチドを所望の断片上で相補領域にハイブリダイズさせる。熱安定性リガーゼ(好ましくは株AK16Dから)を加え、60℃でライゲーションさせて環状生成物を生成する。
3.2.c.エキソヌクレアーゼI(3’→5’方向に一本鎖DNAを分解する)、及びエキソヌクレアーゼIII(3’→5’方向に二本鎖DNAを分解する)を加えて、メチル化DNAのコピー、固有の識別子配列、及び任意の患者識別子配列を含む所望の一本鎖環状DNAのみを残しながら、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本環状生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
注1:環状生成物は、所望の配列のタンデムリピートを作製するための(phi29ポリメラーゼを有するランダム六量体プライマーを用いた)ローリングサークル増幅、及び後続の、次世代配列決定を用いた標的の識別、あるいは、プライマー結合配列をプライマー結合部位として用いる、共有結合で閉じた鋳型上での直接SMRT配列決定に適している。直接SMRT配列決定を用いる場合、元の鋳型DNAのメチル化状態の喪失は、直接決定されることができる。
注2:オリゴヌクレオチドが任意のプライマー結合部位(即ち、ユニバーサルプライマー結合部位)もまた含む場合、PCR増幅、続いて、次世代配列決定、TaqManアッセイ、UniTaqアッセイ、リアルタイムPCRアッセイ、デジタルPCR、マイクロアレイ、ハイブリダイゼーション、または他の検出方法を用いた標的識別に好適である。
注3:同一のアプローチを用いて、プロモーター領域がメチル化されている領域を識別することができる(図49及び51を参照)。単離cfDNAを、メチル感受性酵素(AciI、HinP1I、Hpy99I及びHpyCH4IV)とメチル非感受性酵素(HaeIII及びMspI)のカクテルで切断する。これらの図は、2つのHaeIII部位の内部にあり、2つのHaeIII部位に隣接するメチル化AciI部位を示す。メチル感受性制限エンドヌクレアーゼ切断から残った鎖は、その領域のメチルの用マーカーとなる。更に、共有結合で閉じた鋳型上で直接SMRT配列決定を用いる場合、元の鋳型DNAのメチル化状態を決定してよい。
隣接メチル感受性制限酵素切断部位における非メチル化状態のデータベース
現在のTCGAデータベースは、通常、及び多くの異なる組織部位の腫瘍の両方に関する、ヒトゲノムの約450,000CpG部位のメチル化状態に関する情報を含有する。しかし、このデータベースは隣接HinP1I部位の非メチル化状態を全てカバーしておらず、ゲノムDNAの同一断片上で、両方の部位が非メチル化であることを区別しない。
したがって、上記アッセイ方法を最大限に有用にするため、隣接メチル感受性制限酵素切断部位における非メチル化状態のデータベースを作成することが役に立つ。かかるアプローチの1つを、図51に示す。
アプローチの概要:ここでの考えは、断片の両端が、元のゲノムDNA内で非メチル化である制限酵素切断部位を含有する場合にのみ形成可能であったであろう小断片のライブラリーを生成することである。断片は、ここではライゲーションを受けて追加のステップ及び後続の配列決定用の基質となる断片多量体を作製することができる、任意の固有識別子及び任意の患者識別子配列が付加されたリンカーを有する。
変形3.2.1:(例えば図51を参照)。本アプローチは、ゲノム全体での、隣接HinP1I部位(GCGC)における非メチル化の発見方法を示す。出発材料は、約160bpの平均長さのインタクトなゲノムDNAまたはcfDNAのいずれかとすることができる。ライゲーションされていない末端にブロック5’末端を含有する短いリンカーを標的DNAにライゲーションする。HinP1IでゲノムDNAを切断し、非メチル化HinP1I部位にてDNAを断片化する。任意の固有の識別子配列及び任意の患者識別子配列を含有するリンカーを、HinP1Iが切断した末端が埋められた、新しく生成した断片にライゲーションする。これらの新しいリンカーは、ライゲーションされていない末端に、ブロック3’末端、またはチオホスフェート含有骨格(図51に****として示す)を含有する。二本鎖3’エキソヌクレアーゼ(即ちエキソヌクレアーゼIII)を加える際に、片側または両側に元の短いリンカーを含有する断片が分解され、一本鎖となる。3’ブロック基またチオホスフェートが3’エキソヌクレアーゼによる分解を阻害するため、両側にライゲーションした新しいリンカーを有する断片のみが二本鎖のままとなる。(i)5’末端のリン酸化、(ii)ブロック3’基の除去、もしくは(iii)5’ヌクレアーゼ活性を用いた、ライゲーション能のある5’ホスフェートを残しながらの、マッチする5’重複塩基もしくはフラップの切断、またはこれらの任意の組み合わせのいずれかにより、リンカー含有断片のままである自由端にライゲーション能が付与される。例えば、クラウディング剤(即ち20%PEG)、及び/または2セットのライゲーション生成物を混合することにより、多量体化に有利となるようにライゲーション条件を設計し、これらの2セットにおいては、第1セットの非回文状5’リンカーオーバーハングは、第2セットの非回文状5’リンカーオーバーハングに相補的である。ライゲーション生成物は、任意の固有の識別子及び/または患者識別子配列を有する標的DNA中で元々非メチル化された、隣接HinP1I配列を含む。本生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
隣接メチル感受性制限酵素切断部位におけるメチル化状態のデータベースを生成するための詳細プロトコール:
3.2.1.a.ライゲーションされていない末端の5’末端上でブロックされているリンカーにライゲーションする。標的末端をT4ポリメラーゼ及びT4キナーゼで修復し、続いて単一の塩基3’Aオーバーハングをクレノウ(エキソ)及びdATPで生成する。T4リガーゼを用いたライゲーションが断片の両端にリンカーを付加させるように、リンカーは単一の塩基3’Tオーバーハングを有する。単離ゲノムDNA、またはメチル強化DNAを、1つ以上のメチル感受性酵素(AciI、HinP1I、Hpy99I、及びHpyCH4IV)で切断する。本実施例では、HinP1Iを用いた。任意で、エンドヌクレアーゼを熱失活させる(65℃で15分間)。
3.2.1.b.HinP1Iを加えてかかる部位を含有する生成物を切断する。HinP1Iで切断した場合に、元の標的内で非メチル化であった隣接HinP1I部位(GCGC)を含有する標的のみが、両端が脱ブロックされている(即ち、リンカーによるライゲーション能のある)断片を生成する。Taqポリメラーゼからの残存ポリメラーゼは2塩基オーバーハングを埋める(任意で温度を60℃に上げる)。dNTPを(スピンカラムにより)取り除き、dATPのみを戻して、単一の塩基3’Aオーバーハングを生成する。
3.2.1.c.T4リガーゼを用いて、ライゲーション末端上に単一の塩基3’Tオーバーハングを有する(任意の固有の識別子配列及び任意の患者識別子配列を含有する)リンカーを、切断して埋めた標的配列の単一の塩基Aオーバーハングに付加させる。リンカーのライゲーションされていない5’側は5’オーバーハングを含有し、任意でリン酸化されていない。リンカーのライゲーションされていない3’側は3’ブロック基及び/またはチオホスフェートを含有し、3’エキソヌクレアーゼによる分解を阻害する。
3.2.1.d.3’エキソヌクレアーゼ(即ちエキソヌクレアーゼIII)を加え37℃で分解する。片側または両側に元の短いリンカーを含有する断片を分解し、一本鎖とする。両側にライゲーションした新しいリンカーを有する断片のみが二本鎖のままとなる。エキソヌクレアーゼはまた、リンカーを一本鎖にもする。任意で、スピンカラムにより所望の断片から分解生成物を取り除く。
3.2.1.1.e.(i)T4キナーゼを用いた5’末端のリン酸化、(ii)ブロック3’基の除去、もしくは(iii)Taqポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性を用いた、ライゲーション能のある5’ホスフェートを残しての、マッチする5’重なり合った塩基もしくはフラップの切断、またはこれらの任意の組み合わせのいずれかにより、リンカー含有断片のままである自由端にライゲーション能が付与される。多量体化に有利となるようにライゲーション条件を設計する。ライゲーション生成物は、任意の固有識別子及び/または患者識別子配列を有する、標的DNA内で元々メチル化されている隣接HinP1I配列を有する、標的断片の多量体を含む。本生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
注1:ブロックリンカーの3’末端は、ブロックに対して内部の位置にてウラシルまたはアプリン(AP)部位を含有するように合成され、UDG及びAPエンドヌクレアーゼでの処理の後、ライゲーション能のある3’末端を遊離させる。
注2:5’−3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼの代わりにFenヌクレアーゼを用いて、標的の5’側にライゲーション能のある5’ホスフェートを生成してよい。
注3:ライゲーションは、クラウディング剤(即ち20%PEG)を用いることにより、及び/または2セットのライゲーション生成物を混合することにより、多量体の形成に有利となり、これらの2セットにおいては、第1セットの非回文状5’リンカーオーバーハングは、第2セットの非回文状5’リンカーオーバーハングに相補的である。
注4:同一のアプローチを用いて、プロモーター領域がメチル化されている領域を識別することができる(例えば、図52を参照)。単離cfDNAを、メチル感受性酵素(AciI、HinP1I、Hpy99I、及びHpyCH4IV)のカクテルで切断し、短いリンカー上でブロック5’末端とライゲーションする。次いで、メチル非感受性酵素(HaeIII及びMspI)で標的を切断する。AciI及びHaeIIIをこの図に示す。メチル感受性制限エンドヌクレアーゼ切断から残った鎖は、その領域のメチルの用マーカーとなる。HaeIIIにより切断される時に、元の標的内の、メチル化AciI部位を有する隣接HaeIII部位(GGCC)のみが非ブロック断片を作製する。より長いリンカーの後続のライゲーションは、前述のとおりである。ライゲーションした生成物で直接SMRT配列決定を用いる場合、元の鋳型DNAのメチル化状態を決定してよい。
プロモーター領域内の非メチル化隣接部位の検出
プロモーター領域内の2つのメチル感受性制限酵素切断部位の間の、CpG配列の非メチル化状態を決定すること所望される場合がある。これは上記アプローチに類似しており、追加の亜硫酸水素塩ステップを含む。
アプローチの概要:ここでの考えは、対象の領域に対する隣接制限酵素切断部位が非メチル化である標的DNAのそれぞれの断片を確実にコピーし、亜硫酸水素塩で処理し、固有の識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び所望の患者識別子を付加させ、後続の配列決定のためにこれらを環化することである。オリゴヌクレオチドDNA鎖は環化され配列決定される。本アプローチは、必要な場合にコピー数情報、及び必要最小限の配列決定による非メチル化データの両方を得るという利点を提供する。
変形3.3:(例えば、図53及び54を参照)。この変形において、HinP1I(または他のメチル化感受性制限エンドヌクレアーゼ)でDNAを切断し、ライゲーション能のある3’及び5’末端を生成する。次にDNAを亜硫酸水素塩で処理し、これにより鎖が非相補性となるため、一本鎖となる。所望の非メチル化領域を捕捉するために、標的の5’側の配列に相補的な5’プローブ領域、固有の識別子配列、任意のプライマー結合配列、任意の患者識別子配列、及び標的の3’側の配列に相補的な3’プローブ領域を含むオリゴヌクレオチドプローブを標的にハイブリダイズする。鎖置換活性、並びに3’→5’及び5’→3’ヌクレアーゼ活性の両方を欠くリガーゼ及びポリメラーゼを加えることにより、非メチル化標的の3’末端の伸長、続いて、標的の5’末端へのライゲーションを行い、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、及び任意のプライマー結合部位を含有する環状生成物を形成することが可能となる。ライゲーションしていない生成物は、エキソヌクレアーゼ分解により取り除かれる。本環状生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
制限エンドヌクレアーゼにより3’OH及び5’ホスフェートの両方を生成させることを要求することで、間違ったシグナルが回避され、同様にいかなる非特異的ライゲーションシグナルも取り除かれるはずである。したがって、精製後に一本鎖となる、または切断されていないゲノムDNAの任意の希少断片は生産的な基質を形成せず、エキソヌクレアーゼ処理ステップにより破壊される。
プロモーター非メチル化の高感度な検出のための詳細プロトコール:
3.3.a.単離cfDNAを1つ以上のメチル感受性酵素(AciI、HinP1I、Hpy99I、及びHpyCH4IV)で切断する。本実施例ではHinP1Iについて記載する。エンドヌクレアーゼを熱失活させ(65℃で15分間)、DNAを変性させる(94℃で1分間)。亜硫酸水素塩でcfDNAをインキュベーションすることにより、メチル−Cではなく通常のCをUに転換する。亜硫酸水素塩による処理は、処理後、鎖がもやは互いに相補的ではなくなり、融解して別々になるように、トップ及びボトム鎖を異なるように転換する。
3.3.b.(標的の5’側の配列に相補的な5’プローブ領域、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、任意のプライマー結合部位、及び標的の3’側の配列に相補的な3’プローブ領域を含む)オリゴヌクレオチドの存在下で標的DNAを変性させ(94℃、1分、必要であれば)、所望の温度に冷却する(例えば50o〜60℃で2時間)ことにより、オリゴヌクレオチドを所望の断片上で相補領域にハイブリダイズさせる。KlenTaq(ヌクレアーゼ活性を欠くTaqポリメラーゼ)、及び(好ましくは株AK16Dからの)熱安定性リガーゼ、dNTPを加えて、50℃にて伸長及びライゲーションを可能にし、かつ任意で温度を上げて(例えば60℃)伸長及びライゲーションを確実に完了させ、環状生成物を生成する。
3.3.c.エキソヌクレアーゼI(3’→5’方向に一本鎖DNAを分解する)、及びエキソヌクレアーゼIII(3’→5’方向に二本鎖DNAを分解する)を加えて、メチル化DNAのコピー、固有の識別子配列、及び任意の患者識別子配列を含む所望の一本鎖環状DNAのみを残しながら、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本環状生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
注1:オリゴヌクレオチドの5’末端がライゲーションに適さないように、オリゴヌクレオチドは5’ホスフェートを欠いているか、または5’側上に任意のブロック基を含有してよい。
注2:上記実施例では、KlenTaq、鎖置換活性、並びに3’→5’及び5’→3’ヌクレアーゼ活性の両方欠くポリメラーゼを用いる。オリゴヌクレオチドが5’側にブロック基を有する場合、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを用いることができる。
注3:環状生成物は、所望の配列のタンデムリピートを作製するための(phi29ポリメラーゼを有するランダム六量体プライマーを用いた)ローリングサークル増幅、及び後続の、次世代配列決定を用いた標的の識別、あるいは、プライマー結合配列をプライマー結合部位として用いる、共有結合で閉じた鋳型上での直接SMRT配列決定に適している。
注4:オリゴヌクレオチドが任意のプライマー結合部位(即ち、ユニバーサルプライマー結合部位)もまた含む場合、PCR増幅、続いて、次世代配列決定、TaqManアッセイ、UniTaqアッセイ、リアルタイムPCRアッセイ、デジタルPCR、マイクロアレイ、ハイブリダイゼーション、または他の検出方法を用いた標的識別に好適である。
変形3.3において、ポリメラーゼとリガーゼの両方を用いて、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、及び任意のプライマー結合部位を含有する、共有結合で閉じた環を形成した。これは、リガーゼのみを用いても達成可能である。
変形3.4:(例えば、図55及び56を参照)。この変形において、DNAをHinP1I(または他のメチル化感受性制限エンドヌクレアーゼ)で切断し、ライゲーション能のある3’及び5’末端を生成して、亜硫酸水素塩による処理を続ける。所望の非メチル化領域を捕捉するために、標的の5’側の配列に相補的な5’プローブ領域、任意のプライマー結合配列、任意の患者識別子配列、及び標的の3’側の配列に相補的な3’プローブ領域を有する第1のオリゴヌクレオチドプローブ、並びに、第1のプローブに相補的な5’領域、固有の識別子配列、及び第1のプローブに相補的な3’領域を含む第2のオリゴヌクレオチドプローブを含む、部分的に二本鎖のオリゴヌクレオチド対を標的にハイブリダイズする。リガーゼを加えることにより、標的の3’末端の、第2のオリゴヌクレオチドプローブの5’末端へのライゲーション、及び標的の5’末端の、第2のオリゴヌクレオチドプローブの3’末端へのライゲーションが可能となり、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、及び任意のプライマー結合部位を含有する環状生成物を形成する。ライゲーションしていない生成物は、エキソヌクレアーゼ分解により取り除かれる。本環状生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
制限エンドヌクレアーゼにより3’OH及び5’ホスフェートの両方を生成させることを要求することで、間違ったシグナルが回避され、同様にいかなる非特異的ライゲーションシグナルも取り除かれるはずである。したがって、精製後に一本鎖となる、または切断されていないゲノムDNAの任意の希少断片は生産的な基質を形成せず、エキソヌクレアーゼ処理ステップにより破壊される。
プロモーター非メチル化の高感度な検出のための詳細プロトコール:
3.4.a.単離cfDNAを1つ以上のメチル感受性酵素(AciI、HinP1I、Hpy99I、及びHpyCH4IV)で切断する。本実施例では、HinP1Iを用いる。エンドヌクレアーゼを熱失活させ(65℃で15分間)、DNAを変性させる(94℃で1分間)。亜硫酸水素塩でcfDNAをインキュベーションすることにより、メチル−Cではなく通常のCをUに転換する。亜硫酸水素塩による処理は、処理後、鎖がもはや互いに相補的ではなくなり、融解して別々になるように、トップ及びボトム鎖を異なるように転換する。
3.4.b.(標的の5’側の配列に相補的な5’プローブ領域、任意のプライマー結合配列、任意の患者識別子配列、及び標的の3’側の配列に相補的な3’プローブ領域を有する第1のオリゴヌクレオチドプローブ、並びに、第1の鎖に相補的な5’領域、固有の識別子配列、及び第1の鎖に相補的な3’領域を含む第2のオリゴヌクレオチドプローブを含む)部分的に二本鎖のオリゴヌクレオチド対の存在下で標的DNAを変性させ(94℃、1分)、所望の温度に冷却する(例えば50℃〜60℃で2時間)ことにより、オリゴヌクレオチドを所望の断片上で相補領域にハイブリダイズさせる。熱安定性リガーゼ(好ましくは株AK16Dから)を加え、60℃でライゲーションさせて環状生成物を生成する。
3.4.c.エキソヌクレアーゼI(3’→5’方向に一本鎖DNAを分解する)、及びエキソヌクレアーゼIII(3’→5’方向に二本鎖DNAを分解する)を加えて、メチル化DNAのコピー、固有の識別子配列、及び任意の患者識別子配列を含む所望の一本鎖環状DNAのみを残しながら、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本環状生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
注1:環状生成物は、所望の配列のタンデムリピートを作製するための(phi29ポリメラーゼを有するランダム六量体プライマーを用いた)ローリングサークル増幅、及び後続の、次世代配列決定を用いた標的の識別、あるいは、プライマー結合配列をプライマー結合部位として用いる、共有結合で閉じた鋳型上での直接SMRT配列決定に適している。直接SMRT配列決定を用いる場合、元の鋳型DNAのメチル化状態の喪失は、直接決定されることができる。
注2:オリゴヌクレオチドが任意のプライマー結合部位(即ち、ユニバーサルプライマー結合部位)もまた含む場合、PCR増幅、続いて、次世代配列決定、TaqManアッセイ、UniTaqアッセイ、リアルタイムPCRアッセイ、デジタルPCR、マイクロアレイ、ハイブリダイゼーション、または他の検出方法を用いた標的識別に好適である。
隣接メチル感受性制限酵素切断部位における非メチル化状態のデータベース
現在のTCGAデータベースは、通常、及び多くの異なる組織部位の腫瘍の両方に関する、ヒトゲノムの約450,000CpG部位のメチル化状態に関する情報を含有する。しかし、このデータベースは隣接HinP1I部位、及びこれらの部位間のCpG部位の非メチル化状態を全てカバーしておらず、ゲノムDNAの同一断片上で、両方の部位が非メチル化であることを区別しない。
したがって、上記アッセイ方法を最大限に有用にするため、隣接メチル感受性制限酵素切断部位における非メチル化状態のデータベースを作成することが役に立つ。かかるアプローチの1つを、図57に示す。
アプローチの概要:ここでの考えは、断片の両端が、元のゲノムDNA内で非メチル化である制限酵素切断部位を含有する場合にのみ形成可能であったであろう小断片のライブラリーを生成することである。断片は、ここではライゲーションを受けて断片多量体を作製可能な任意の固有識別子及び任意の患者識別子配列が付加されたリンカーを有し、次いで断片を亜硫酸水素塩で処理してメチル化または非メチル化の位置を明らかにした後、この断片は追加のステップ及び後続の配列決定のための基質となる。
変形3.4.1:(例えば図57を参照)。本アプローチは、ゲノム全体を通しての、隣接HinP1I部位(GCGC)における非メチル化の発見方法を示す。出発材料は、約160bpの平均長さのインタクトなゲノムDNAまたはcfDNAのいずれかとすることができる。ライゲーションされていない末端にブロック5’末端を含有する短いリンカーを標的DNAにライゲーションする。HinP1IでゲノムDNAを切断し、非メチル化HinP1I部位にてDNAを断片化する。任意の固有の識別子配列及び任意の患者識別子配列を含有するリンカーを、HinP1Iが切断した末端が埋められた、新しく生成した断片にライゲーションする。これらの新しいリンカーは、ライゲーションされていない末端に、ブロック3’末端、またはチオホスフェート含有骨格(図57に****として示す)を含有する。二本鎖3’エキソヌクレアーゼ(即ちエキソヌクレアーゼIII)を加える際に、片側または両側に元の短いリンカーを含有する断片が分解され、一本鎖となる。3’ブロック基またチオホスフェートが3’エキソヌクレアーゼによる分解を阻害するため、両側にライゲーションした新しいリンカーを有する断片のみが二本鎖のままとなる。(i)5’末端のリン酸化、(ii)ブロック3’基の除去、もしくは(iii)5’ヌクレアーゼ活性を用いた、ライゲーション能のある5’ホスフェートを残しながらの、マッチする5’重複塩基もしくはフラップの切断、またはこれらの任意の組み合わせのいずれかにより、リンカー含有断片のままである自由端にライゲーション能が付与される。例えば、クラウディング剤(即ち20%PEG)、及び/または2セットのライゲーション生成物を混合することにより、多量体化に有利となるようにライゲーション条件を設計し、これらの2セットにおいては、第1セットの非回文状5’リンカーオーバーハングは、第2セットの非回文状5’リンカーオーバーハングに相補的である。ライゲーション生成物は、任意の固有の識別子及び/または患者識別子配列を有する標的DNA中で元々非メチル化であった、隣接HinP1I配列を含む。生成物を次に亜硫酸水素塩でインキュベーションし、これによりメチルCではなく通常のCをUに転換する。亜硫酸水素塩による処理は、処理後、鎖がもはや互いに相補的ではなくなり、融解して別々になるように、トップ及びボトム鎖を異なるように転換する。これらの一本鎖生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
隣接メチル感受性制限酵素切断部位におけるメチル化状態のデータベースを生成するための詳細プロトコール:
3.4.1.a.ライゲーションされていない末端の5’末端上でブロックされているリンカーにライゲーションする。標的末端をT4ポリメラーゼ及びT4キナーゼで修復し、続いて単一の塩基3’Aオーバーハングをクレノウ(エキソ)及びdATPで生成する。T4リガーゼを用いたライゲーションが断片の両端にリンカーを付加させるように、リンカーは単一の塩基3’Tオーバーハングを有する。単離ゲノムDNA、またはメチル強化DNAを、1つ以上のメチル感受性酵素(AciI、HinP1I、Hpy99I、及びHpyCH4IV)で切断する。本実施例では、HinP1Iを用いる。任意で、エンドヌクレアーゼを熱失活させる(65℃で15分間)。
3.4.1.b.HinP1Iを加えてかかる部位を含有する生成物を切断する。HinP1Iで切断した場合に、元の標的内で非メチル化であった隣接HinP1I部位(GCGC)を含有する標的のみが、両端が脱ブロックされている(即ち、リンカーによるライゲーション能のある)断片を生成する。Taqポリメラーゼからの残存ポリメラーゼは2塩基オーバーハングを埋める(任意で温度を60℃に上げる)。dNTPを(スピンカラムにより)取り除き、dATPのみを戻して単一の3’Aオーバーハングを生成する。
3.4.1.c.T4リガーゼを用いて、ライゲーション末端上に単一の塩基3’Tオーバーハングを有する(任意の固有の識別子配列及び任意の患者識別子配列を含有する)リンカーを、切断して埋めた標的配列の単一の塩基Aオーバーハングに付加させる。リンカーのライゲーションされていない5’側は5’オーバーハングを含有し、任意でリン酸化されていない。リンカーのライゲーションされていない3’側は3’ブロック基及び/またはチオホスフェートを含有し、3’エキソヌクレアーゼによる分解を阻害する。
3.4.1.d.3’エキソヌクレアーゼ(即ちエキソヌクレアーゼIII)を加え37℃で分解する。片側または両側に元の短いリンカーを含有する断片を分解し、一本鎖とする。両側にライゲーションした新しいリンカーを有する断片のみが二本鎖のままとなる。エキソヌクレアーゼはまた、リンカーを一本鎖にもする。任意で、スピンカラムにより所望の断片から分解生成物を取り除く。
3.4.1.1.e.(i)T4キナーゼを用いた5’末端のリン酸化、(ii)ブロック3’基の除去、もしくは(iii)Taqポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性を用いた、ライゲーション能のある5’ホスフェートを残しての、マッチする5’重なり合った塩基もしくはフラップの切断、またはこれらの任意の組み合わせのいずれかにより、リンカー含有断片のままである自由端にライゲーション能が付与される。多量体化に有利となるようにライゲーション条件を設計する。ライゲーション生成物は、任意の固有識別子及び/または患者識別子配列を有する、標的DNA内で元々メチル化されている隣接HinP1I配列を有する、標的断片の多量体を含む。ライゲーション生成物を亜硫酸水素塩でインキュベーションし、これによりメチルCではなく通常のCをUに転換する。亜硫酸水素塩による処理は、処理後、鎖がもはや互いに相補的ではなくなり、融解して別々になるように、トップ及びボトム鎖を異なるように転換する。これらの一本鎖生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
注1:より長いブロックリンカーの3’末端を、ブロック内の位置にウラシルまたはアプリン(AP)部位を含有するように合成し、UDG及びAPエンドヌクレアーゼでの処理の後、ライゲーション能のある3’末端を遊離させることができる。更に、これらのリンカーは、亜硫酸水素塩による処理の後、元の状態を保持するように5−メチルCと共に合成することができる。
注2:5’−3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼの代わりにFenヌクレアーゼを用いて、標的の5’側にライゲーション能のある5’ホスフェートを生成してよい。
注3:ライゲーションは、クラウディング剤(即ち20%PEG)を用いることにより、及び/または2セットのライゲーション生成物を混合することにより、多量体の形成に有利となり、これらの2セットにおいては、第1セットの非回文状5’リンカーオーバーハングは、第2セットの非回文状5’リンカーオーバーハングに相補的である。
所与の領域内での個々のCpG部位の非メチル化状態の検出
上記アプローチは、隣接した非メチル化HinP1I部位を、DNA断片内での非メチル化の代わりとして含有する断片の識別及び計数に理想的である。しかし、いくつかの用途のためには、所与の領域内での個々のCpG部位の非メチル化状態を識別することが重要である。したがって、投入DNAを亜硫酸水素塩で処理することが必要となり得、これはメチルCではなく通常のCをUに転換する。
亜硫酸水素塩を用いるアプローチの概要:ここでの考えは、対象の領域に関する配列(GGTGA)の隣接HphI制限酵素切断部位が非メチル化である標的DNAの全ての断片を正確にコピーし、亜硫酸水素塩で処理し(GGCGAをGGTGAに転換し)、固有の識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び所望の患者識別子を付加させ、後続の配列決定のためにこれらを環化することである。オリゴヌクレオチドDNA鎖は環化され配列決定される。本アプローチは、必要な場合にコピー数情報、及び必要な最少の配列決定によるメチル化データの両方を得るという利点をもたらす。
ここでの考えは、HphIに対する認識配列の固有の性質を利用する。酵素は1方向において4.5塩基の認識配列GGTGAを、他方の方向においてTCACCを切断する。非メチル化GGCGA部位が亜硫酸水素塩で処理される場合、第1の方向において、部位はHphI認識配列GGTGAとなる。数ラウンドのPCR増幅の後、5−メチルCはCに転換されるが、UはTに転換される。HphIで切断した場合、元の標的内で非メチル化である隣接部位のみが、3’及び5’末端の両方でライゲーション能のある断片を作製する。
本アプローチの1つの固有の特長は、亜硫酸水素塩による転換が2つの非相補鎖を作製するということである。したがって、トップ鎖は隣接するGGCGAまたはGGTGA配列を有し、介在TCACC配列が存在する場合でも、この配列は、HphI部位として認識されないTUAUUに転換されるため、問題ではない。更に良いことには、形式TCGCCのトップ鎖上の配列が、ボトム鎖上でGGCGAとなる。ボトム鎖はメチル化状態を確認するためにもまた用いられ得、かつ2つの配列はここでは非常に異なっているため、トップ及びボトム鎖へのオリゴヌクレオチドプローブは互いにハイブリダイズせず、転換標的にのみハイブリダイズする。したがって、本アプローチでは、トップ及びボトム鎖の両方からの情報を用いて、プロモーター上の詳細のメチル化状態を得ることが可能になる。
DNAを亜硫酸水素塩で処理し、非メチル化DNAを制限酵素により切断可能であるが、メチル化されている場合、同じ制限酵素で切断できない配列にする原理は、いくつかの更なる制限酵素切断部位まで拡大することができる。例えば、内部CGがメチル化されていないことを条件として、配列CCGTCはBccI部位(CCATC)に転換される。(これは、反対鎖、即ちGACGGの、BccIの反対鎖の認識配列、即ちGATGGへの転換によりもたらされる。)同様に、CGがメチル化されていないことを条件として、配列GGACGはFokI部位(GGATG)に転換される。したがって、HphIに関して以下で考慮する変形は、限定されないが制限エンドヌクレアーゼBccI、FokI、及びこれらのイソ制限酵素に対して有効である。
変形3.5:(例えば、図58及び59を参照)。この変形において、5−メチルCを含有する短いリンカーを、DNAの末端にライゲーションする。次にDNAを亜硫酸水素塩で処理し、これにより鎖が非相補性となるため、一本鎖となる。数ラウンドのPCR増幅により、HphI部位がここでは非メチル化である生成物を生成する。これらの生成物を次にHphIで切断する。元の標的で非メチル化であった隣接「HphI」部位(GGCGAまたはGGTGA)を含有するPCR単位複製配列のみが、両端がここではライゲーション能のある断片を生成する。所望の領域を捕捉するために、標的の5’側の配列に相補的な5’プローブ領域、固有の識別子配列、任意のプライマー結合配列、任意の患者識別子配列、及び標的の3’側の配列に相補的な3’プローブ領域を含むオリゴヌクレオチドプローブを標的にハイブリダイズする。鎖置換活性、並びに3’→5’及び5’→3’ヌクレアーゼ活性の両方を欠くリガーゼ及びポリメラーゼを加えることにより、非メチル化標的の3’末端の伸長、続いて、標的の5’末端へのライゲーションを行い、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、及び任意のプライマー結合部位を含有する環状生成物を形成することが可能となる。ライゲーションしていない生成物は、エキソヌクレアーゼ分解により取り除かれる。本環状生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
制限エンドヌクレアーゼにより3’OH及び5’ホスフェートの両方を生成させることを要求することで、間違ったシグナルが回避され、同様にいかなる非特異的ライゲーションシグナルも取り除かれるはずである。したがって、精製後に一本鎖となる、または切断されていないゲノムDNAの任意の希少断片は生産的な基質を形成せず、エキソヌクレアーゼ処理ステップにより破壊される。
プロモーター非メチル化の高感度な検出のための詳細プロトコール:
3.5.a.5−メチルCを含有するリンカーへのライゲーションを行い、亜硫酸水素塩による転換後に配列を保持する。標的末端をT4ポリメラーゼ及びT4キナーゼで修復し、続いて単一の塩基3’Aオーバーハングをクレノウ(エキソ)及びdATPで生成する。T4リガーゼを用いたライゲーションが断片の両端にリンカーを付加させるように、リンカーは単一の塩基3’Tオーバーハングを有する。亜硫酸水素塩でcfDNAをインキュベーションすることにより、メチル−Cではなく通常のCをUに転換する。亜硫酸水素塩による処理は、処理後、鎖がもはや互いに相補的ではなくなり、融解して別々になるように、トップ及びボトム鎖を異なるように転換する。
3.5.b.プライマー類、Taqポリメラーゼ、及びdNTPを加えてPCRを数サイクル実施し、残存するHphI部位がここでは非メチル化である生成物を生成する。
3.5.c.HphIを加えてかかる部位を含有する生成物を切断する。HphIで切断した場合、元の標的で非メチル化であった隣接HphI部位(GGCGAまたはGGTGA)を含有するPCR単位複製配列のみが、両端が脱ブロックされている(即ち、リンカーによるライゲーション能のある)断片を生成する。
3.5.d.(標的の5’側の配列に相補的な5’プローブ領域、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、任意のプライマー結合部位、及び標的の3’側の配列に相補的な3’プローブ領域を含む)オリゴヌクレオチドの存在下で標的DNAを変性させ(94℃、1分)、所望の温度に冷却する(例えば50o〜60℃で2時間)ことにより、オリゴヌクレオチドを所望の断片上で相補領域にハイブリダイズさせる。KlenTaq(ヌクレアーゼ活性を欠くTaqポリメラーゼ)、及び(好ましくは株AK16Dからの)熱安定性リガーゼ、dNTPを加えて、50℃にて伸長及びライゲーションを可能にし、かつ任意で温度を上げて(例えば60℃)伸長及びライゲーションを確実に完了させ、環状生成物を生成する。
3.5.e.エキソヌクレアーゼI(3’→5’方向に一本鎖DNAを分解する)、及びエキソヌクレアーゼIII(3’→5’方向に二本鎖DNAを分解する)を加えて、メチル化DNAのコピー、固有の識別子配列、及び任意の患者識別子配列を含む所望の一本鎖環状DNAのみを残しながら、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本環状生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
注1:オリゴヌクレオチドの5’末端がライゲーションに適さないように、オリゴヌクレオチドは5’ホスフェートを欠いているか、または5’側上に任意のブロック基を含有してよい。
注2:上記実施例では、KlenTaq、鎖置換活性、並びに3’→5’及び5’→3’ヌクレアーゼ活性の両方欠くポリメラーゼを用いる。オリゴヌクレオチドが5’側にブロック基を有する場合、5’→3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを用いることができる。
注3:環状生成物は、所望の配列のタンデムリピートを作製するための(phi29ポリメラーゼを有するランダム六量体プライマーを用いた)ローリングサークル増幅、及び後続の、次世代配列決定を用いた標的の識別、あるいは、プライマー結合配列をプライマー結合部位として用いる、共有結合で閉じた鋳型上での直接SMRT配列決定に適している。
注4:オリゴヌクレオチドプローブが任意のプライマー結合部位(即ち、ユニバーサルプライマー結合部位)もまた含む場合、PCR増幅、続いて、次世代配列決定、TaqManアッセイ、UniTaqアッセイ、リアルタイムPCRアッセイ、デジタルPCR、マイクロアレイ、ハイブリダイゼーション、または他の検出方法を用いた標的識別に好適である。
変形3.5において、ポリメラーゼとリガーゼを用いて、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、及び任意のプライマー結合部位を含有する、共有結合で閉じた環を形成する。これは、リガーゼのみを用いても達成可能である。
変形3.6:(例えば、図60及び61を参照)。この変形において、5−メチルCを含有する短いリンカーを、DNAの末端にライゲーションする。次にDNAを亜硫酸水素塩で処理し、これにより鎖が非相補性となるため、一本鎖となる。数ラウンドのPCR増幅により、HphI部位がここでは非メチル化である生成物を生成する。これらの生成物を次にHphIで切断する。元の標的で非メチル化であった隣接「HphI」部位(GGCGAまたはGGTGA)を含有するPCR単位複製配列のみが、両端がここではライゲーション能のある断片を生成する。所望の非メチル化領域を捕捉するために、標的の5’側の配列に相補的な5’プローブ領域、任意のプライマー結合配列、任意の患者識別子配列、及び標的の3’側の配列に相補的な3’プローブ領域を有する第1のオリゴヌクレオチドプローブ、並びに、第1の鎖に相補的な5’領域、固有の識別子配列、及び第1の鎖に相補的な3’領域を含む第2のオリゴヌクレオチドプローブを含む、部分的に二本鎖のオリゴヌクレオチド対を標的にハイブリダイズする。リガーゼを加えることにより、標的の3’末端の、第2のオリゴヌクレオチドプローブの5’末端へのライゲーション、及び標的の5’末端の、第2のオリゴヌクレオチドプローブの3’末端へのライゲーションが可能となり、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、及び任意のプライマー結合部位を含有する環状生成物を形成する。ライゲーションしていない生成物は、エキソヌクレアーゼ分解により取り除かれる。本環状生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
制限エンドヌクレアーゼにより3’OH及び5’ホスフェートの両方を生成させることを要求することで、間違ったシグナルが回避され、同様にいかなる非特異的ライゲーションシグナルも取り除かれるはずである。したがって、精製後に一本鎖となる、または切断されていないゲノムDNAの任意の希少断片は生産的な基質を形成せず、エキソヌクレアーゼ処理ステップにより破壊される。
プロモーター非メチル化の高感度な検出のための詳細プロトコール:
3.6.a.5−メチルCを含有するリンカーへのライゲーションを行い、亜硫酸水素塩による転換後に配列を保持する。標的末端をT4ポリメラーゼ及びT4キナーゼで修復し、続いて単一の塩基3’Aオーバーハングをクレノウ(エキソ)及びdATPで生成する。T4リガーゼを用いたライゲーションが断片の両端にリンカーを付加させるように、リンカーは単一の塩基3’Tオーバーハングを有する。亜硫酸水素塩でcfDNAをインキュベーションすることにより、メチル−Cではなく通常のCをUに転換する。亜硫酸水素塩による処理は、処理後、鎖がもはや互いに相補的ではなくなり、融解して別々になるように、トップ及びボトム鎖を異なるように転換する。
3.6.b.プライマー類、Taqポリメラーゼ、及びdNTPを加えてPCRを数サイクル実施し、残存するHphI部位がここでは非メチル化である生成物を生成する。
3.6.c.HphIを加えてかかる部位を含有する生成物を切断する。HphIで切断した場合、元の標的で非メチル化であった隣接HphI部位(GGCGAまたはGGTGA)を含有するPCR単位複製配列のみが、両端が脱ブロックされている(即ち、リンカーによるライゲーション能のある)断片を生成する。
3.6.d.(標的の5’側の配列に相補的な5’プローブ領域、任意のプライマー結合配列、任意の患者識別子配列、及び標的の3’側の配列に相補的な3’プローブ領域を有する第1のオリゴヌクレオチドプローブ、並びに、第1の鎖に相補的な5’領域、固有の識別子配列、及び第1の鎖に相補的な3’領域を含む第2のオリゴヌクレオチドプローブを含む)部分的に二本鎖のオリゴヌクレオチド対の存在下で標的DNAを変性させ(94℃、1分)、所望の温度に冷却する(例えば50℃〜60℃で2時間)ことにより、オリゴヌクレオチドを所望の断片上で相補領域にハイブリダイズさせる。熱安定性リガーゼ(好ましくは株AK16Dから)を加え、60℃でライゲーションさせて環状生成物を生成する。
3.6.e.エキソヌクレアーゼI(3’→5’方向に一本鎖DNAを分解する)、及びエキソヌクレアーゼIII(3’→5’方向に二本鎖DNAを分解する)を加えて、メチル化DNAのコピー、固有の識別子配列、及び任意の患者識別子配列を含む所望の一本鎖環状DNAのみを残しながら、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本環状生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
注1:環状生成物は、所望の配列のタンデムリピートを作製するための(phi29ポリメラーゼを有するランダム六量体プライマーを用いた)ローリングサークル増幅、及び後続の、次世代配列決定を用いた標的の識別、あるいは、プライマー結合配列をプライマー結合部位として用いる、共有結合で閉じた鋳型上での直接SMRT配列決定に適している。
注2:オリゴヌクレオチドプローブが任意のプライマー結合部位(即ち、ユニバーサルプライマー結合部位)もまた含む場合、PCR増幅、続いて、次世代配列決定、TaqManアッセイ、UniTaqアッセイ、リアルタイムPCRアッセイ、デジタルPCR、マイクロアレイ、ハイブリダイゼーション、または他の検出方法を用いた標的識別に好適である。
隣接HphI制限酵素切断部位におけるメチル化状態のデータベース
現在のTCGAデータベースは、通常、及び多くの異なる組織部位の腫瘍の両方に関する、ヒトゲノムの約450,000CpG部位のメチル化状態に関する情報を含有する。しかし、このデータベースは隣接AciI部位の非メチル化状態を全てカバーせず、また、ゲノムDNAの同一断片上でメチル化された両方の部位を区別しない。
したがって、上記アッセイ方法を最大限に有用にするため、同一方向の隣接HphI制限酵素切断部位(GGCGAをGGTGAに転換)におけるメチル化状態のデータベースを作製することが役に立つ。本アプローチはまた、他方の方向の隣接HphI制限酵素切断部位(TCACC及びTCGCC)も含む。これは、これら部位が亜硫酸水素塩による転換の後反対鎖上でGGTGAになるためである。かかるアプローチの1つを、図62に示す。
アプローチの概要:ここでの考えは、断片の両端が、元のゲノムDNA内で非メチル化であった、(GGTGAに)転換したGGCGAを含有する場合にのみ形成可能であったであろう小断片のライブラリーを生成することである。ここでの考えは、HphIに対する認識配列の固有の性質を利用する。酵素は1方向において4.5塩基の認識配列GGTGAを、他方の方向においてTCACCを切断する。非メチル化GGCGA部位を亜硫酸水素塩で処理する場合、第1の方向において、部位はHphI認識配列GGTGAとなる。数ラウンドのPCR増幅の後、5−メチルCはCに転換されるが、UはTに転換される。HphIで切断した場合、元の標的内で非メチル化である隣接部位のみが、3’及び5’末端の両方でライゲーション能のある断片を作製する。断片は、ここではライゲーションを受けて追加のステップ及び後続の配列決定用の基質となる断片多量体を作製することができる、任意の固有識別子及び任意の患者識別子配列が付加されたリンカーを有する。
変形3.6.1:(例えば図62を参照)。この変形において、5−メチルCを含有する短いリンカーを、DNAの末端にライゲーションする。次にDNAを亜硫酸水素塩で処理し、これにより鎖が非相補性となるため、一本鎖となる。数ラウンドのPCR増幅により、HphI部位がここでは非メチル化である生成物を生成する。これらの生成物を次にHphIで切断する。元の標的で非メチル化であった隣接「HphI」部位(GGCGAまたはGGTGA)を含有するPCR単位複製配列のみが、両端がここではライゲーション能のある断片を生成する。所望の領域を捕捉するために、標的の5’側の配列に相補的な5’プローブ領域、固有の識別子配列、任意のプライマー結合配列、任意の患者識別子配列、及び標的の3’側の配列に相補的な3’プローブ領域を含むオリゴヌクレオチドを標的にハイブリダイズする。鎖置換活性、並びに3’→5’及び5’→3’ヌクレアーゼ活性の両方を欠くリガーゼ及びポリメラーゼを加えることにより、非メチル化標的の3’末端の伸長、続いて、標的の5’末端へのライゲーションを行い、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、及び任意のプライマー結合部位を含有する環状生成物を形成することが可能となる。ライゲーションしていない生成物は、エキソヌクレアーゼ分解により取り除かれる。本環状生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
変形3.6.1:(例えば図62を参照)。本アプローチは、ゲノム全体での、隣接「HphI」部位(GGCGAまたはGGTGA)における非メチル化の発見方法を示す。出発材料は、約160bpの平均長さのインタクトなゲノムDNAまたはcfDNAのいずれかとすることができる。ライゲーションされていない末端にブロック5’末端を含有する短いリンカーを、DNAの末端にライゲーションする。亜硫酸水素塩によりDNAを処理し、メチル−Cではなく通常のCをUに転換する。非メチル化dNTP及び5’ブロックプライマーを用いた数ラウンドのPCR増幅により、残存するHphI部位がここでは非メチル化である生成物を生成する。これらの生成物を次にHphIで切断する。HphIで切断した場合、元の標的で非メチル化であった隣接HphI部位(GGCGA及びGGTGA)を含有するPCR単位複製配列のみが、両端が脱ブロックされている(即ち、リンカーによるライゲーション能のある)断片を生成する。任意の固有の識別子配列及び任意の患者識別子配列を含有するリンカーを、これらの、新しく生成したHphIで切断した末端にライゲーションする。これらの新しいリンカーは、ライゲーションされていない末端に、ブロック3’末端、またはチオホスフェート含有骨格(図62に****として示す)を含有する。二本鎖3’エキソヌクレアーゼ(即ちエキソヌクレアーゼIII)を加える際に、片側または両側に元の短いリンカーを含有する断片が分解され、一本鎖となる。3’ブロック基またチオホスフェートが3’エキソヌクレアーゼによる分解を阻害するため、両側にライゲーションした新しいリンカーを有する断片のみが二本鎖のままとなる。(i)5’末端のリン酸化、(ii)ブロック3’基の除去、もしくは(iii)5’ヌクレアーゼの使用、またはこれらの任意の組み合わせのいずれかにより、リンカー含有断片のままである自由端にライゲーション能が付与される。例えば、クラウディング剤(即ち20%PEG)、及び/または2セットのライゲーション生成物を混合することにより、多量体化に有利となるようにライゲーション条件を設計し、これらの2セットにおいては、第1セットの非回文状5’リンカーオーバーハングは、第2セットの非回文状5’リンカーオーバーハングに相補的である。ライゲーション生成物は、任意の固有識別子及び/または患者識別子配列を有する標的DNA内で元々メチル化されている同一方向(即ちGCGG)に、隣接AciI配列を含む。本生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
隣接「HphI」制限酵素切断部位における非メチル化状態のデータベースを生成するための詳細プロトコール:
3.6.1.a.ライゲーションされていない末端の5’末端上でブロックされているリンカーにライゲーションする。標的末端をT4ポリメラーゼ及びT4キナーゼで修復し、続いて単一の塩基3’Aオーバーハングをクレノウ(エキソ)及びdATPで生成する。T4リガーゼを用いたライゲーションが断片の両端にリンカーを付加させるように、リンカーは単一の塩基3’Tオーバーハングを有する。亜硫酸水素塩でcfDNAをインキュベーションすることにより、メチル−Cではなく通常のCをUに転換する。亜硫酸水素塩による処理は、処理後、鎖がもはや互いに相補的ではなくなり、融解して別々になるように、トップ及びボトム鎖を異なるように転換する。
3.6.1.b.5’ブロックプライマー、Taqポリメラーゼ、及びdNTPを加えてPCRを数サイクル実施し、残存するHphI部位がここでは非メチル化である生成物を生成する。
3.6.1.c.HphIを加えてかかる部位を含有する生成物を切断する。HphIで切断した場合、元の標的で非メチル化であった隣接HphI部位(GGCGAまたはGGTGA)を含有するPCR単位複製配列のみが、両端が脱ブロックされている(即ち、リンカーによるライゲーション能のある)断片を生成する。標的末端をT4ポリメラーゼ及びT4キナーゼで修復する。dNTPを(スピンカラムにより)取り除き、dATPのみを戻して単一の3’Aオーバーハングを生成する。
3.6.1.d.T4リガーゼを用いて、ライゲーション末端上に単一の塩基3’Tオーバーハングを有する(任意の固有の識別子配列及び任意の患者識別子配列を含有する)リンカーを、切断して埋めた標的配列の単一の塩基Aオーバーハングに付加させる。リンカーのライゲーションされていない5’側は5’オーバーハングを含有し、任意でリン酸化されていない。リンカーのライゲーションされていない3’側は3’ブロック基及び/またはチオホスフェートを含有し、3’エキソヌクレアーゼによる分解を阻害する。
3.6.1.e.3’エキソヌクレアーゼ(即ちエキソヌクレアーゼIII)を加え37℃で分解する。片側または両側に元の短いリンカーを含有する断片を分解し、一本鎖とする。両側にライゲーションした新しいリンカーを有する断片のみが二本鎖のままとなる。エキソヌクレアーゼはまた、リンカーを一本鎖にもする。任意で、スピンカラムにより所望の断片から分解生成物を取り除く。
3.6.1.f.(i)T4キナーゼを用いた5’末端のリン酸化、(ii)ブロック3’基の除去、もしくは(iii)Taqポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性を用いた、ライゲーション能のある5’ホスフェートを残しての、マッチする5’重なり合った塩基もしくはフラップの切断、またはこれらの任意の組み合わせのいずれかにより、リンカー含有断片のままである自由端にライゲーション能が付与される。多量体化に有利となるようにライゲーション条件を設計する。ライゲーション生成物は、任意の固有識別子及び/または患者識別子配列を有する標的DNA内で元々メチル化されている隣接AciI配列を有する、標的断片の多量体を含む。本生成物は、任意の追加のステップ及び後続の配列決定に適している。
注1:ブロックリンカーの3’末端は、ブロックに対して内部の位置にてウラシルまたはアプリン(AP)部位を含有するように合成され、UDG及びAPエンドヌクレアーゼでの処理の後、ライゲーション能のある3’末端を遊離させる。
注2:5’−3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼの代わりにFenヌクレアーゼを用いて、標的の5’側にライゲーション能のある5’ホスフェートを生成してよい。
注3:ライゲーションは、クラウディング剤(即ち20%PEG)を用いることにより、及び/または2セットのライゲーション生成物を混合することにより、多量体の形成に有利となり、これらの2セットにおいては、第1セットの非回文状5’リンカーオーバーハングは、第2セットの非回文状5’リンカーオーバーハングに相補的である。
予測実施例4− 循環腫瘍細胞から単離したDNA中の腫瘍特異的なコピー変化の正確な定量。
腫瘍DNAのコピー変化は、転帰の強力な予測因子である。過去数十年間にわたり、大部分のコピー数作業はSNPチップ上で実施されてきており、ここでは、生物情報科学アプローチにより、領域にまたがるシグナルを平均して相対的なコピー数を決定する。少数の細胞に関して、デジタルPCRアプローチを用いて、出発分子の正確な数を得る。
アプローチの概要:一般に、コピー変化は染色体腕等のDNAの大型領域で生じる。非常に少数の腫瘍細胞が存在するため、所与の染色体腕の複数の領域を同時に照会し、得られるシグナルを加えるかまたは平均することにより、正確性を向上させることができる。同様に、特定の遺伝子をいくつかの腫瘍(即ち、Her2−neu、IGF2)において増幅し、これにより、結果を予想するか、または治療の指針とすることができる。
コピー変化に加えて、対象の領域内の多型SNPまたはマーカー内で、染色体を数えることによるだけでなく、ヘテロ接合性の従来の喪失を調査することによってもまた、ヘテロ接合性の喪失が続く場合がある。最も異種のマーカーは反復配列内に存在する。本明細書では、テトラヌクレオチド反復配列を用いる構想を示すが、トリ及びジヌクレオチド反復配列もまた考慮することができる。
全体的なアプローチは大変類似しているため、循環腫瘍細胞から単離したDNA中の腫瘍特異的なコピー変化の定量についての詳細プロトコールを、循環腫瘍細胞からの変異をスコアリングする次のセクションで取り扱う。
予測実施例5−循環腫瘍細胞またはcfDNAから単離したDNAにおける変異の検出
循環腫瘍細胞は、変異含有DNAを濃縮するという利点をもたらすため、過剰の野生型配列内で低量の変異を探す必要がもはやない。しかし、少数の出発DNA分子が存在するので、全ての領域を正確に増幅し、変異が実際に存在することを確認することが重要である。
アプローチの概要:ここでのアプローチは、前述で概略を述べたような、既知の共通の点変異を発見するためのアプローチ、または複数のエクソンを配列決定するためのアプローチに類似している。しかし、少量の投入DNAを取り扱う場合、ポリメラーゼエラーの可能性が存在する。本問題は、環状配列決定またはSMRT配列決定を用いることにより解決される。
いくつかの捕捉腫瘍細胞からDNAが得られているので、変異が存在する場合、変異は捕捉細胞の大部分ではなくても、いくつかに存在するはずである。
アプローチは大変類似しているので、コピー数の定量を含む、循環腫瘍細胞から単離したDNAにおける変異の検出のための詳細プロトコールを以下に記載する。
変形5.1:(例えば図63を参照)。ここでの全体的考えは、cfDNAまたはCTC DNAを全て一本鎖環に転換することであり、各断片は、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、及び任意のプライマー結合配列を含有する。転換が生じると、環は、ビオチン化プローブを用いる、所望の標的の生の配列決定(raw sequencing)、配列特異的捕捉、またはビオチン化プローブを用いる所望の標的のローリングサークル増幅及び向上した捕捉にここでは好適となる。
この変形において、目的は、標的に結合するプローブを用いることなく、全ての標的及び非標的DNA配列を捕捉することである。リンカーをDNA標的(約160塩基の平均長のcfDNA)にライゲーションする。配列を全て捕捉するために、リンカーの5’末端に相補的な5’配列、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、任意のプライマー結合配列、及びリンカーの3’末端に相補的な配列を含むオリゴヌクレオチドプローブを標的にハイブリダイズする。オリゴヌクレオチドは、任意の、片端での任意のブロック基(図示する5’末端)を含有してよい。ポリメラーゼを加えることにより、固有の識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び任意の患者識別子配列を介しての、標的の5’リンカーに隣接するまで標的上でのオリゴヌクレオチドの3’末端の伸長、及び3’末端リンカーの伸長が可能となる。
リンカーの5’末端は、ポリメラーゼが3’リンカーを伸長すると、5’プローブ領域にハイブリダイズした5’標的部分に当たるまで、5’リンカー相補配列の始めから終わりまでを伸長しないように、わずかに長く設計されてよい。
この変形は、オリゴヌクレオチドプローブが、配列が約20〜40塩基のみにより分離されている、3’及び5’リンカー鎖の両方に相補的な配列を含有することを必要とする。配列はリンカー鎖に相補的であり、配列は結果として互いに相補的であるので、オリゴヌクレオチドプローブ内の2つの配列が、ただ20〜40塩基ループを有する内部ヘアピンを形成することを防ぐことが重要である。1つの解決法は、2つのリンカーが、リンカーライゲーションに用いられる低温(T4リガーゼにより16℃、あるいは4℃)にて二本鎖特徴を保持するように、内部バブルを含有するリンカーをライゲーションすることである。更に、5’リンカーは3’リンカーよりも長くなるように設計されてよい。最終的に、リンカー内の相補領域は、オリゴヌクレオチドプローブが全体のハイブリダイゼーション温度(即ち、40〜50℃)で内部ヘアピンをより形成しにくくなるとなるように、相補オリゴヌクレオチドプローブ(即ち、C:A及びA:C)内でより安定を損なう僅かなミスマッチ(即ち、G:T及びT:G)を有するように設計してよい。
標的上のオリゴヌクレオチドの3’末端を伸長することにより、プローブの標的への会合が向上するため、リンカーの3’末端が相補体にハイブリダイズし、ポリメラーゼにより伸長される能力が増加する。ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ切断活性(またはFenヌクレアーゼ)は、リンカー上にライゲーション能のある5’ホスフェートを残しながら、5’リンカーのマッチする5’重複塩基を切断する。ポリメラーゼは標的上でもまたオリゴヌクレオチドを伸長し、オリゴヌクレオチドの5’末端上のブロック基は切断しない。
リガーゼは伸長3’末端をライゲーション能のある5’ホスフェートと共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製する。ブロック基はオリゴヌクレオチドプローブの環化を防止する。ウラシル−DNAグリコシラーゼ(UDG)及びホルムアミドピリミジン−DNAグリコシラーゼ(Fpg、8−オキソグアニンDNAグリコシラーゼとしても知られ、N−グリコシラーゼ及びAPリアーゼの両方として作用する)の任意付加を用いて、損傷した塩基を含有する標的にニック付加してよい。次にエキソヌクレアーゼを加え、固有の識別子配列と共に元の標的DNAを含む、所望の一本鎖環状DNAのみを残しながら、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本生成物は、ローリングサークル増幅及び環状配列決定、または直接SMRT配列決定と組み合わせた、ビオチン化プローブを用いる所望の標的の配列特異的捕捉に適している。
ここでの課題は、ライゲーションステップ(即ちニック翻訳)なしに5’リンカーを破壊するような方法で、ポリメラーゼが3’リンカーを伸長することを回避することである。このことは、5’ホスフェート末端から2番目及び3番目の位置に(ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性により遊離される)チオホスフェート結合を組み込むことで達成され得る。1つの塩基をあまりに多く伸長する(下流プライマーへのライゲーションが不可能となる)ことによるこれらの塩基のポリメラーゼ置換を最小限に抑えるために、ライゲーション接合部での標的塩基は、3’側でATリッチであり、5’側でGCリッチであることが好ましい。
代替アプローチの1つは、所望の5’ホスフェートに隣接する位置にアプリン(AP)部位を含有する5’リンカーを用いることである。この5’ホスフェートは、熱安定性エンドIII(TmaエンドIII等)を用いて遊離される。この酵素は、プライマーが標的に結合した際に、5’ホスフェートを残してAP部位を切断する。エンドヌクレアーゼは一本鎖プライマーもまた切断するが、効率が低いため、鋳型にハイブリダイズしたプライマーが好ましい基質となる。熱安定性エンドIIIを用いる場合、用いるPCRポリメラーゼは5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く。
上述の通り、ニック翻訳の問題は、大部分の伸長は、ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼがライゲーション能のある接合部を作製し、続いてポリメラーゼ解離、及びライゲーション現象により所望の環状ライゲーション生成物を生成するまで、ヌクレアーゼ活性を有しないポリメラーゼにより行われるような、リガーゼの存在下における分布伸長の条件下にて、5’→3’ヌクレアーゼ切断活性を有するもの及び有しないものの両方のポリメラーゼの混合物(例えば1:20の比率)を用いることによっても、最小限に抑えることができる。
循環腫瘍細胞またはcfDNAから単離したDNA中の既知の遺伝子(例えば、Braf、K−ras、p53)における、腫瘍特異的コピー変化または変異の検出の正確な定量に関する詳細プロトコール:
5.1.a.CTCから単離したcfDNAまたはゲノムDNAから開始し(約150bpに剪断)、T4ポリメラーゼ及びT4キナーゼにより末端を修復し、続いて、単一の塩基3’Aオーバーハングをクレノウ(エキソ)及びdATPと共に加える。T4リガーゼを用いる4℃でのライゲーションは、断片の両端にリンカーを付加させるように、リンカーは単一の塩基3’Tオーバーハングを有する。任意で、ライゲーションしていないリンカーから標的DNAを精製する。
5.1.b.(リンカーの5’末端に相補的な5’配列、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、任意のプライマー結合配列、及びリンカーの3’末端に相補的な配列を含む)オリゴヌクレオチドプローブの存在下で、両端にリンカーを含有する標的DNAを変性させ(94℃で1分)、所望の温度に冷却する(例えば40〜50℃で30分)ことにより、オリゴヌクレオチドプローブが所望の断片の相補領域にハイブリダイズするようにさせる。オリゴヌクレオチドプローブは5’末端に任意のブロック基を含有する。Taqポリメラーゼ及び/またはKlenTaq(ヌクレアーゼ活性を欠くTaqポリメラーゼ)、並びに(好ましくは株AK16Dからの)熱安定性リガーゼ、dNTPを、アニーリングステップに続いて、または手順の開始時に加える。ハイブリダイゼーション温度にて伸長及びライゲーションさせ、かつ任意で温度を上げて(例えば60℃)伸長及びライゲーションを確実に完了させ、環状生成物を生成する。
5.1.c.エキソヌクレアーゼI(3’→5’方向に一本鎖DNAを分解する)、及びエキソヌクレアーゼIII(3’→5’方向に二本鎖DNAを分解する)を加えて、元の標的DNA、リンカー配列、固有の識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び任意の患者識別子配列を含む所望の一本鎖環状DNAのみを残しながら、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本生成物は、ビオチン化プローブを用いた所望の標的の配列特異的捕捉、または(phi29ポリメラーゼを有する、プライマー結合配列に相補的なプライマーを用いた)ローリングサークル増幅による、所望の配列のタンデムリピートの作製、続いて、ビオチン化プローブを用いた、所望の標的の向上した捕捉に適している。これに、次世代配列決定を用いた標的の識別、あるいは、リンカー配列または任意のプライマー結合配列をプライマー結合部位として用いる、共有結合で閉じた鋳型上での直接SMRT配列決定が続いてよい。
注1:オリゴヌクレオチドは任意のブロック基を5’側に含有し、オリゴヌクレオチドプローブが環化しないように、後続のポリメラーゼの5’−3’ヌクレアーゼ活性を妨げてよい。
注2:5’−3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼの代わりにFenヌクレアーゼを用いて、標的の5’側にライゲーション能のある5’ホスフェートを生成してよい。
注3:5’末端リンカーは、5’ホスフェート末端から2番目及び3番目の位置に(ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性により遊離される)チオホスフェート結合を含有するように合成されてよい。1つの塩基をあまりに多く伸長する(下流プライマーへのライゲーションが不可能となる)ことによるこれらの塩基のポリメラーゼ置換を最小限に抑えるために、ライゲーション接合部での標的塩基は、3’側でATリッチであり、5’側でGCリッチであることが好ましい。
注4:KlenTaqポリメラーゼ(5’→3’ヌクレアーゼ切断活性を有しないTaqポリメラーゼ)を用いる場合、所望の5’ホスフェートに隣接する位置にアプリン(AP)部位を含有するように5’末端リンカーを合成してよい。この5’ホスフェートは、熱安定性エンドIII(TmaエンドIII等)を用いて遊離される。この酵素は、プライマーが標的に結合した際に、5’ホスフェートを残してAP部位を切断する。エンドヌクレアーゼは一本鎖プライマーもまた切断するが、効率が低いため、鋳型にハイブリダイズしたプライマーが好ましい基質となる。
注5:KlenTaqポリメラーゼ(5’→3’ヌクレアーゼ切断活性を有しないTaqポリメラーゼ)を用いる場合、5’末端リンカーは、5’ホスフェートを含有するように合成されてよい。あるいは、標的DNAのライゲーションする前、またはライゲーションステップの後のいずれかに、T4キナーゼを用いて5’ホスフェートを加えてよい。
注6:(5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する)TaqポリメラーゼとKlenTaq(5’→3’ヌクレアーゼ切断活性を有しないTaqポリメラーゼ)の1:20混合物を、分布伸長の条件下(即ち、より高い塩濃度)にて用いて、ニック翻訳による標的DNAの分解を最小限に抑えることができる。
注7:(ローリングサークル増幅により生成した)標的のタンデムリピートコピーの捕捉は、多価結合による、正しい標的の捕捉の向上という固有の利点をもたらす。これにより、より効率の高い捕捉、及び不必要な配列のより低い捕捉をもたらす、更にストリンジェントなハイブリダイゼーション/捕捉条件が可能となる。本アプローチを用いて、反復配列(即ち、AGATテトラヌクレオチド反復)を含有する標的を全て捕捉することもまた可能であり、ヘテロ接合性の喪失、コピー数の変形、ハロタイピング、父系の確立、及び他の用途に関するスコアリングが可能となる。
注8:固有配列識別子は、ローリングサークルまたは他の選択/増幅ステップの後であっても、それぞれの元の標的配列が固有にスコアリングされ、各標的の元のコピー数の正確な定量が確実に可能になる。
注9:固有の識別子配列はリンカーの両端に付加させることができる。過剰の塩基が標的DNAに付加されない(即ち、クレノウステップを飛ばす)場合、平滑末端ライゲーションを用いる。リンカー同士のライゲーションを避けるために、リンカーの平滑末端はリン酸化されていない。 固有識別子及び平滑末端を含有するリンカーの例を、オリゴヌクレオチドiSx−201−MdAdT(トップ鎖)、及びiSx−202−MdLgAdB−bk(ボトム鎖)として提供する(表1を参照)。トップ鎖のほうが長く、ライゲーションされてない側に5’一本鎖オーバーハングを作製する。ボトム鎖は5’OHを有し、任意で、伸長を防ぐための3’ブロック基、及び、トップ鎖の固有の識別子配列と対形成する場合にユニバーサル塩基として機能する内部5−ニトロインドール基を含有する。平滑末端リンカーのライゲーションの後、固有配列を二本鎖DNAの5’末端に付加させ、これらの配列は、ポリメラーゼを有する3’末端を伸長することによりコピーされる。任意で、トップ鎖は、UDG及びFPGによる後続の切断により、後続ステップでのライゲーション及び環化に好適な5’ホスフェートを遊離させるための、dU塩基を含有する。リンカーiSx−201−MdAdT(表1を参照)は、ニック翻訳を防止し、標的のリンカー末端との環化を促進するために、新しく遊離した5’ホスフェートに隣接する任意のチオホスフェート基を含有してよい。
注10:市販の機器で用いるための「バーコード」または「インデックス」配列を含む、より長いリンカー配列と用いるためのオリゴヌクレオチドを設計する場合、PCR、鎖置換増幅、またはこれらの組み合わせを用いて、オリゴヌクレオチドをアセンブルする必要があり得る。PCRの間に、UDGによる後続の切断に好適な、TTPの代わりにdUTPを用いてウラシルに組み込む。リバース鎖プライマーをリン酸化して、λエキソヌクレアーゼまたは類似の5’→3’エキソヌクレアーゼを用いて分解を可能にすることができる。dA30配列をフォワードプライマーの5’末端に付加させ、鎖置換増幅を可能にすることができる。上記リンカーと共に用いるのに好適な、リバース相補配列のアセンブリのためのオリゴヌクレオチドの例は、iSx−204−bkA30−Lk−F2、iSx−205−r503−F3、iSx−206−d701−R4、及びiSx−207−Lk−R5である(表1を参照)。
注11:付加に関する別の変形において、固有の識別子配列をリンカーの両側に付加させることができ、一方の鎖はまた、市販の機器と共に用いるための「バーコード」または「インデックス」配列を含む(例えば、図64を参照)。リンカーとハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドとの間の長い領域を分割することにより、異なる配列を直接合成し、長さを約100塩基に保ってよい。インデックスまたはバーコード配列、固有識別子及び平滑末端を含有するリンカーの例は、オリゴヌクレオチドiSx−211−r702−LgAdT(トップ鎖)、及びiSx−202−MdLgAdB−bk(ボトム鎖、上に同じ)として提供される(表1を参照)。トップ鎖は相当により長く、ライゲーションしてない側に5’一本鎖オーバーハングを作製する。ボトム鎖は5’OHを有し、任意で、伸長を防ぐための3’ブロック基、及び、トップ鎖の固有の識別子配列と対形成する場合にユニバーサル塩基として機能する内部5−ニトロインドール基を含有する。平滑末端リンカーのライゲーションの後、固有配列を二本鎖DNAの5’末端に付加させ、これらの配列は、ポリメラーゼを有する3’末端を伸長することによりコピーされる。任意で、トップ鎖は、UDG及びFPGによる後続の切断により、後続ステップでのライゲーション及び環化に好適な5’ホスフェートを遊離させるための、dU塩基を含有する。ブリッジオリゴヌクレオチドのiSx−212−r503−R4(表1を参照)は、リンカー、及び長い伸長3’末端を含有する切断5’ホスフェートにハイブリダイズし、ポリメラーゼによる伸長、及びリガーゼによる環化を可能にする。
注12:上記プライマー及びリンカー設計を用いて生成した上述の生成物を用いて、クラスターもしくはビーズ増幅、または市販機器のウェル、アドレス、フローセル表面内での捕捉の後、以下のプライマー:(i)iLx−003−PEsqP1、対形成したエンド配列決定プライマー1;(ii)iLx−004−BrCdR1、インデックスプライマー、バーコード読取り1;(iii)iLx−001−P5−BrCdR2、バーコード読取り2;及び(iv)iLx−005−PEsqP2、対形成したエンド配列決定プライマー2(下表1に提供するプライマー配列)を用いて配列決定反応を開始してよい。
上記手順は、5’OHを有するリンカーを用いる。変形5.2は、5’−3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼを用いることと関係するいくつかの可能性のある問題を避けるために、5’ホスフェートを有するリンカーを用いる(例えば、図63を参照)。
循環腫瘍細胞またはcfDNAから単離したDNA中の既知の遺伝子(例えば、Braf、K−ras、p53)における、腫瘍特異的コピー変化または変異の検出の正確な定量に関する詳細プロトコール:
5.2.a.CTCから単離したcfDNAまたはゲノムDNAから開始し(約150bpに剪断)、T4ポリメラーゼ及びT4キナーゼにより末端を修復し、続いて、単一の塩基3’Aオーバーハングをクレノウ(エキソ)及びdATPと共に加える。T4リガーゼを用いる4℃でのライゲーションは、断片の両端にリンカーを付加させるように、リンカーは単一の塩基3’Tオーバーハングを有する。5’リンカーはホスフェート基を含有する(T4キナーゼを用いることで任意で付加される)。
5.2.b.(リンカーの5’末端に相補的な5’配列、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、任意のプライマー結合配列、及びリンカーの3’末端に相補的な配列を含む)オリゴヌクレオチドプローブの存在下で、両端にリンカーを含有する標的DNAを変性させ(94℃で1分)、所望の温度に冷却する(例えば40〜50℃で30分)ことにより、オリゴヌクレオチドプローブが所望の断片の相補領域にハイブリダイズするようにさせる。オリゴヌクレオチドプローブは5’末端に任意のブロック基を含有してよい。KlenTaq(ヌクレアーゼ活性を欠くTaqポリメラーゼ)、及び熱安定性リガーゼ(好ましくは株AK16Dから)、dNTPを、アニーリングステップの後、または手順の開始時点で加える。ハイブリダイゼーション温度にて伸長及びライゲーションさせ、かつ任意で温度を上げて(例えば60℃)伸長及びライゲーションを確実に完了させ、環状生成物を生成する。
5.2.c.エキソヌクレアーゼI(3’→5’方向に一本鎖DNAを分解する)、及びエキソヌクレアーゼIII(3’→5’方向に二本鎖DNAを分解する)を加えて、元の標的DNA、リンカー配列、固有の識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び任意の患者識別子配列を含む所望の一本鎖環状DNAのみを残しながら、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本生成物は、ビオチン化プローブを用いた所望の標的の配列特異的捕捉、または(phi29ポリメラーゼを有する、プライマー結合配列に相補的なプライマーを用いた)ローリングサークル増幅による、所望の配列のタンデムリピートの作製、続いて、ビオチン化プローブを用いた、所望の標的の向上した捕捉に適している。これに、次世代配列決定を用いた標的の識別、あるいは、リンカー配列または任意のプライマー結合配列をプライマー結合部位として用いる、共有結合で閉じた鋳型上での直接SMRT配列決定が続いてよい。
注1:オリゴヌクレオチドプローブが環化しないとなるように、オリゴヌクレオチドは5’側に任意のブロック基、または5’OHを含有してよい。
注2:リンカーを5’ホスフェートと合成してよいか、またはT4キナーゼを用いてホスフェートを付加させてよい。
注3:(ローリングサークル増幅により生成した)標的のタンデムリピートコピーの捕捉は、多価結合による、正しい標的の捕捉の向上という固有の利点をもたらす。これにより、より効率の高い捕捉、及び不必要な配列のより低い捕捉をもたらす、更にストリンジェントなハイブリダイゼーション/捕捉条件が可能となる。本アプローチを用いて、反復配列(即ち、AGATテトラヌクレオチド反復)を含有する標的を全て捕捉することもまた可能であり、ヘテロ接合性の喪失、コピー数の変形、ハロタイピング、父系の確立、及び他の用途に関するスコアリングが可能となる。
注4:固有配列識別子は、ローリングサークルまたは他の選択/増幅ステップの後であっても、それぞれの元の標的配列が固有にスコアリングされ、各標的の元のコピー数の正確な定量が確実に可能になる。
注5:環化を促進するためのリンカー及び相補オリゴヌクレオチドの例は、それぞれiSx−220−d503−AdT1、iSx−221−pd707−AdB2、及びiSx−222−Lk−uRC1である(表1を参照)である。ニック翻訳を防止し、標的のリンカー末端との環化を促進するために、リンカーiSx−220−d503−AdT1(表1を参照)は、5’末端から2番目及び3番目の位置に、任意のチオホスフェート基を含有してよい。
図64及び65に示すアプローチでは、ゲノムDNAを全て捕捉して環化するためにユニバーサルリンカー及び、配列分析のための、標的を選択するためのビオチン化プローブを用いた、所望の標的の捕捉等の後のステップを用いる。ビオチン化プローブはハイブリダイゼーションの前、またはハイブリダイゼーションの後のいずれかでビーズ上に捕捉されるため、第2の場合においてハイブリダイゼーションステップが液体であるが、最終的に、液体を固体にするステップがあり、これらのステップは、より低い収率、または断片の脱落をもたらし得る。
変形5.3は、標的上で、互いの付近または互いに隣接してハイブリダイズするように設計されたプローブを用いることにより、捕捉ステップが液体で生じ、標的末端上でリンカーに対する「着地パッド(landing pad)」を作製し、ハイブリダイゼーション、伸長を行い共有結合で閉じた環状標的を作製する、代替アプローチについて記載している。本アプローチは、反復DNAを含有する標的を選択する場合に部分的に有用となり得る。
循環腫瘍細胞またはcfDNAから単離したDNA中の既知の遺伝子(例えば、Braf、K−ras、p53)における、腫瘍特異的コピー変化または変異の検出の正確な定量に関する詳細プロトコール:
5.3.a.CTCから単離したcfDNAまたはゲノムDNAから開始し(約150bpに剪断)、T4ポリメラーゼ及びT4キナーゼにより末端を修復し、続いて、単一の塩基3’Aオーバーハングをクレノウ(エキソ)及びdATPと共に加える。T4リガーゼを用いる4℃でのライゲーションは、断片の両端にリンカーを付加させるように、リンカーは単一の塩基3’Tオーバーハングを有する。リンカーを5’ホスフェートと合成してよいか、またはT4キナーゼを用いてホスフェートを付加させてよい。任意で、ライゲーションしていないリンカーから標的DNAを精製する。
5.3.b.(標的の固有または反復部分(即ちAGAT反復)に相補的な5’配列、任意のスペーサー領域、リンカーの5’末端に相補的な配列、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、任意のプライマー結合配列、任意のスペーサー領域、リンカーの3’末端に相補的な配列、及び固有または反復部分(即ちAGAT反復)に相補的であり、かつ標的に相補的な5’配列に隣接する3’配列を含む)オリゴヌクレオチドプローブの存在下で、両端にリンカーを含有する標的DNAを変性させ(94℃で1分)、所望の温度に冷却する(例えば50℃で2時間)ことにより、オリゴヌクレオチドが所望の断片の相補領域にハイブリダイズするようにさせる。オリゴヌクレオチドは5’側に任意のブロック基を含有してよい。Taqポリメラーゼ及び/またはKlenTaq(ヌクレアーゼ活性を欠くTaqポリメラーゼ)、並びに(好ましくは株AK16Dからの)熱安定性リガーゼ、dNTPを、アニーリングステップに続いて、または手順の開始時に加える。リンカー配列が5’ホスフェートを有する場合において、KlenTaqは、ライゲーション能のある5’末端に隣接するまで3’末端を伸長する(図70の左側)。リンカー配列が5’OHを有する場合において、ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性はマッチする5’重複塩基を切断し、ライゲーション能のある5’ホスフェートを作製する(図70の右側)。ハイブリダイゼーション温度にて伸長及びライゲーションさせ、任意で温度を上げて(例えば60℃)伸長及びライゲーションを確実に完了させ、環状生成物を生成する。
5.3.c.任意で、切断可能な結合にてオリゴヌクレオチドプローブを切断する(例えば、UDG及びAPエンドヌクレアーゼを用いて切断したU)。エキソヌクレアーゼI(3’→5’方向に一本鎖DNAを分解する)、及びエキソヌクレアーゼIII(3’→5’方向に二本鎖DNAを分解する)を加えて、元の標的DNA、リンカー配列、固有の識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び任意の患者識別子配列を含む所望の一本鎖環状DNAのみを残しながら、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本生成物は、ビオチン化プローブを用いた所望の標的の配列特異的捕捉、または(phi29ポリメラーゼを有する、プライマー結合配列に相補的なプライマーを用いた)ローリングサークル増幅による、所望の配列のタンデムリピートの作製、続いて、ビオチン化プローブを用いた、所望の標的の向上した捕捉に適している。これに、次世代配列決定を用いた標的の識別、あるいは、リンカー配列または任意のプライマー結合配列をプライマー結合部位として用いる、共有結合で閉じた鋳型上での直接SMRT配列決定が続いてよい。
注1:オリゴヌクレオチドは任意のブロック基を5’側に含有し、オリゴヌクレオチドプローブが環化しないように、後続のポリメラーゼの5’−3’ヌクレアーゼ活性を妨げてよい。あるいは、切断可能な結合は元のオリゴヌクレオチドに含まれてよい。
注2:5’−3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼの代わりにFenヌクレアーゼを用いて、標的の5’側にライゲーション能のある5’ホスフェートを生成してよい。
注3:5’末端リンカーは、5’ホスフェート末端から2番目及び3番目の位置に(ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性により遊離される)チオホスフェート結合を含有するように合成されてよい。1つの塩基をあまりに多く伸長する(下流プライマーへのライゲーションが不可能となる)ことによるこれらの塩基のポリメラーゼ置換を最小限に抑えるために、ライゲーション接合部での標的塩基は、3’側でATリッチであり、5’側でGCリッチであることが好ましい。
注4:KlenTaqポリメラーゼ(5’→3’ヌクレアーゼ切断活性を有しないTaqポリメラーゼ)を用いる場合、所望の5’ホスフェートに隣接する位置にアプリン(AP)部位を含有するように5’末端リンカーを合成してよい。この5’ホスフェートは、熱安定性エンドIII(TmaエンドIII等)を用いて遊離される。この酵素は、プライマーが標的に結合した際に、5’ホスフェートを残してAP部位を切断する。エンドヌクレアーゼは一本鎖プライマーもまた切断するが、効率が低いため、鋳型にハイブリダイズしたプライマーが好ましい基質となる。
注5:KlenTaqポリメラーゼ(5’→3’ヌクレアーゼ切断活性を有しないTaqポリメラーゼ)を用いる場合、5’末端リンカーは、5’ホスフェートを含有するように合成されてよい。あるいは、標的DNAのライゲーションする前、またはライゲーションステップの後のいずれかに、T4キナーゼを用いて5’ホスフェートを加えてよい。
注6:(5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する)TaqポリメラーゼとKlenTaq(5’→3’ヌクレアーゼ切断活性を有しないTaqポリメラーゼ)の1:20混合物を、分布伸長の条件下(即ち、より高い塩濃度)にて用いて、ニック翻訳による標的DNAの分解を最小限に抑えることができる。
注7:(ローリングサークル増幅により生成した)標的のタンデムリピートコピーの捕捉は、多価結合による、正しい標的の捕捉の向上という固有の利点をもたらす。これにより、より効率の高い捕捉、及び不必要な配列のより低い捕捉をもたらす、更にストリンジェントなハイブリダイゼーション/捕捉条件が可能となる。本アプローチを用いて、反復配列(即ち、AGATテトラヌクレオチド反復)を含有する標的を全て捕捉することもまた可能であり、ヘテロ接合性の喪失、コピー数の変形、ハロタイピング、父系の確立、及び他の用途に関するスコアリングが可能となる。
注8:固有配列識別子は、ローリングサークルまたは他の選択/増幅ステップの後であっても、それぞれの元の標的配列が固有にスコアリングされ、各標的の元のコピー数の正確な定量が確実に可能になる。
注9:単一の塩基Tオーバーハングライゲーションを用いて、固有の識別子配列を、「インデックス」または「バーコード」配列を含むリンカーの両側に付加させてよい(例えば、図67を参照)。T4ポリメラーゼにより標的末端を修復し、T4キナーゼにより5’末端をリン酸化する。3’→5’ヌクレアーゼ活性を欠くクレノウ断片を用いて、A塩基を標的の3’末端に加える。30℃にてT4リガーゼを用いて、3’Tオーバーハングを3個の「ギャップ」リンカー上にライゲーションする。3’→5’ヌクレアーゼ活性を欠くクレノウ断片を用いてギャップを埋め、T4リガーゼの存在下で小さなリンカー鎖にライゲーションする。任意で、3’→5’ヌクレアーゼ活性を欠くDNAポリメラーゼを用いてギャップを埋め、T4リガーゼの存在下で小さなリンカー鎖にライゲーションする。かかる3個のリンカーオリゴヌクレオチドの例は、iSx−223−d504−AdT3、iSx−224−pSmAdT4、及びiSx−225−pd708−N6AdB5である(表1を参照)。ニック翻訳を防止し、標的のリンカー末端との環化を促進するために、リンカーiSx−223−d504−AdT3(表1を参照)は、5’末端の2番目及び3番目の位置に任意のチオホスフェート基を含有してよい。
注10:平滑末端ライゲーションを用いて、固有の識別子配列を「インデックス」または「バーコード」配列を含むリンカーの両側に付加させてよい。T4ポリメラーゼにより標的末端を修復する。30℃にてT4リガーゼを用いて、3個の「ギャップ」リンカーに3’ホスフェート及び平滑オーバーハングをライゲーションする。3’→5’ヌクレアーゼ活性を欠くクレノウ断片を用いて37℃にてギャップを埋め、50℃まで加熱して小さいリンカーを変性させる。(3’→5’ヌクレアーゼ活性を欠いているが5’−3’ヌクレアーゼ活性を有する)TaqDNAポリメラーゼを用いてギャップを埋め、熱安定性リガーゼにより標的にライゲーションする。3個のリンカーオリゴヌクレオチドの例は、iSx−226−d505−AdT6、iSx−227−SmAdT7p、及びiSx−225−pd708−N6AdB5である(上に同じ;表1を参照)。ニック翻訳を防止し、標的のリンカー末端との環化を促進するために、リンカーiSx−226−d505−AdT6(表1を参照)は、5’末端から2番目及び3番目の位置に任意のチオホスフェート基を含有してよい。
注11:逆転写を用いて、固有の識別子配列を「インデックス」または「バーコード」配列を含むリンカーの両側に付加させてよい。T4ポリメラーゼにより標的末端を修復し、T4キナーゼにより5’末端をリン酸化する(例えば、図68を参照)。逆転写酵素を用いて3つのC塩基を3’末端に加える。第1のリンカーが3’末端上にrGrG+Gを有し、(+GはLNA、rG3の記号である)、患者及び固有識別子を有するプライマー結合部位、並びに5’ホスフェートを有し、一方で第2のリンカーは患者識別子を有するプライマー結合部位を有するリンカー対をハイブリダイズする。逆転写酵素は鎖のスイッチングを経て、固有の識別子をコピーしてギャップを埋める。リガーゼは伸長標的を第2のリンカーと共有結合して閉じる。RNaseH2はRNA塩基を切断し、第1のリンカー配列内のrG3(rGrG+G)の3’0Hを遊離させる。ポリメラーゼはギャップを埋め、リガーゼが伸長末端を共有結合により閉じる。かかるリンカーオリゴヌクレオチドの例は、iSx−228−d506−AdT83+G、及びiSx−229−pd709−AdB6である。ニック翻訳を防止し、標的のリンカー末端との環化を促進するために、リンカーiSx−228−d506−AdT83+G(表1を参照)は、5’末端の2番目及び3番目の位置に任意のチオホスフェート基を含有してよい。
注12:1つの変形は、伸長/ライゲーション及切断剤による処理の後、ローリングサークル増幅によりタンデムリピート生成物を生成するのに好適な固有のプライマーを標的鎖に生成するように、複数の切断可能な結合を含むオリゴヌクレオチドを用いることである。KRAS、BRAF、及びホットスポットを含有するTP53エクソン5〜8の標的領域を含む環状生成物を生成するのに好適なかかるオリゴヌクレオチドの例は下表1に示されており、(i)KRASフォワード及びリバース標的伸長/ライゲーションオリゴヌクレオチド(iSx−232−KRS−T32、iSx−233−KRS−B33);(ii)BRAFフォワード及びリバース標的伸長/ライゲーションオリゴヌクレオチド(iSx−234−BRF−T34、iSx−235−BRF−B35);(iii)TP53エクソン5のフォワード及びリバース標的伸長/ライゲーションオリゴヌクレオチド(iSx−241−TP53e5−T41、iSx−242−TP53e5−B42、iSx−243−TP53e5−T43、iSx−244−TP53e5−B44);(iv)TP53エクソン6のフォワード及びリバース標的伸長/ライゲーションオリゴヌクレオチド(iSx−245−TP53e6−T45、iSx−246−TP53e6−B46);(v)TP53エクソン7のフォワード及びリバース標的伸長/ライゲーションオリゴヌクレオチド(iSx−247−TP53e7−T47、iSx−248−TP53e7−B48);並びに(vi)TP53エクソン8のフォワード及びリバース標的伸長/ライゲーションオリゴヌクレオチド(iSx−249−TP53e8−T49、iSx−250−TP53e8−B50)を含む。ニック翻訳を防止し、相補標的での環化を促進するために、上述の伸長/ライゲーションオリゴヌクレオチドは、5’末端の2番目及び3番目の位置に任意のチオホスフェート基を含有してよい。
注13:あるいは、KRAS、BRAF、及びホットスポットを含有するTP53エクソン5〜8の標的領域を含む環状生成物を生成した後、これらの領域を、新しく加えた標的特異的プライマーを用いたローリングサークル増幅に供し、タンデムリピート生成物を生成してよい。これらの生成物は、固体支持体上での標的特異的オリゴヌクレオチドによる所望標的の捕捉前、または後のいずれかに生成してよい(以下の注8を参照)。プライマーは1’,2’−ジデオキシリボース(dSpacer)等の内部で切断可能なヌクレオチド塩基、または脱塩基部位を含有することができ、ローリングサークル増幅の間に、コンタミネーションのキャリーオーバーに対する保護のために、dUTPの組み込みが可能となる。かかるプライマーの例は下表1に示され、以下を含む:(i)KRASのフォワード及びリバースプライマー(iSx−108−KRS−rcF26、iSx−109−KRS−rcR27);(ii)BRAFのフォワード及びリバースプライマー(iSx−118−BRF−rcF26、iSx−119−BRF−rcR27);(iii)TP53エクソン5のフォワード及びリバースプライマー(iSx−128−TP53e5−rcF66、iSx−129−TP53e5−rcR67;iSx−130−TP53e5−rcF68、iSx−131−TP53e5−rcR69);(iv)TP53エクソン6のフォワード及びリバースプライマー(iSx−138−TP53e6−rcF76、iSx−139−TP53e6−rcR77);(v)TP53エクソン7のフォワード及びリバースプライマー(iSx−148−TP53e7−rcF86、iSx−149−TP53e7−rcR87);並びに(vi)TP53エクソン8のフォワード及びリバースプライマー(iSx−158−TP53e8−rcF96、iSx−159−TP53e8−rcR97)。
注14:KRAS、BRAF、及びホットスポットを含有するTP53エクソン5〜8の標的領域を含む環状生成物を生成し、かつ/またはタンデムリピート生成物を生成した後、これらの生成物は、固体支持体上での後続の捕捉に好適な捕捉基を含有するより長いオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることにより捕捉され得る。ストレプトアビジンコートした固体表面を介しての捕捉に好適な、ビオチン基を含有するかかる捕捉オリゴヌクレオチドの例は下表1に示されており、以下を含む:(i)KRASフォワード及びリバース捕捉オリゴヌクレオチド(iSx−013−KRS−bcF1、iSx−014−KRS−bcR2);(ii)BRAFフォワード及びリバース捕捉オリゴヌクレオチド(iSx−020−BRF−bcF1、iSx−021−BRF−bcR2);(iii)TP53エクソン5のフォワード及びリバース捕捉オリゴヌクレオチド(iSx−030−TP53e5−bcF1、iSx−031−TP53e5−bcR2;iSx−032−TP53e5−bcF3、iSx−033−TP53e5−bcR4);(iv)TP53エクソン6のフォワード及びリバース捕捉オリゴヌクレオチド(iSx−050−TP53e6−bcF5、iSx−051−TP53e6−bcR6);(v)TP53エクソン7のフォワード及びリバース捕捉オリゴヌクレオチド(iSx−060−TP53e7−bcF7、iSx−061−TP53e7−bcR8);並びに(vi)TP53エクソン8のフォワード及びリバース捕捉オリゴヌクレオチド(iSx−070−TP53e8−bcF9、iSx−071−TP53e8−bcR10)。
注15:上記プライマー及びリンカー設計を用いて生成した上述の生成物を用いて、クラスターもしくはビーズ増幅、または市販機器のウェル、アドレス、フローセル表面内での捕捉の後、以下のプライマー:(i)iLx−003−PEsqP1、対形成したエンド配列決定プライマー1;(ii)iLx−004−BrCdR1、インデックスプライマー、バーコード読取り1;(iii)iLx−001−P5−BrCdR2、バーコード読取り2;及び(iv)iLx−005−PEsqP2、対形成したエンド配列決定プライマー2を用いて配列決定反応を開始してよい(プライマー配列は以下の表1に提供する)。
図70に記載するアプローチを、オリゴヌクレオチドプローブ及びリンカー含有標的の両方のライゲーションに用い、結合した環状ライゲーション生成物を得た。続いて、切断可能な結合にニックを導入する。反復配列に関して、以下の変形5.4に示すように、3つのdNTPのみを用いて3’末端を伸長することだけができる。例えば図77を参照。
循環腫瘍細胞またはcfDNAから単離したDNA中の既知の遺伝子(例えば、Braf、K−ras、p53)における、腫瘍特異的コピー変化または変異の検出の正確な定量に関する詳細プロトコール:
5.4.a.CTCから単離したcfDNAまたはゲノムDNAから開始し(約150bpに剪断)、T4ポリメラーゼ及びT4キナーゼにより末端を修復し、続いて、単一の塩基3’Aオーバーハングをクレノウ(エキソ)及びdATPと共に加える。T4リガーゼを用いる4℃でのライゲーションは、断片の両端にリンカーを付加させるように、リンカーは単一の塩基3’Tオーバーハングを有する。リンカーを5’ホスフェートと合成してよいか、またはT4キナーゼを用いてホスフェートを付加させてよい。任意で、ライゲーションしていないリンカーから標的DNAを精製する。
5.4.b.(リンカーの5’末端に相補的な5’配列、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、任意のプライマー結合配列、任意のスペーサー領域、リンカーの3’末端に相補的な配列、及び標的の固有または反復部分(即ちAGAT反復)に相補的な3’配列を含む)オリゴヌクレオチドプローブの存在下で、両端にリンカーを含有する標的DNAを変性させ(94℃で1分)、所望の温度に冷却する(例えば50℃で2時間)ことにより、オリゴヌクレオチドプローブを所望の断片上の相補領域にハイブリダイズするようにさせる。オリゴヌクレオチドプローブは5’側に任意のブロック基を含有してよい。Taqポリメラーゼ及び/またはKlenTaq(ヌクレアーゼ活性を欠くTaqポリメラーゼ)、並びに(好ましくは株AK16Dからの)熱安定性リガーゼ、並びにAGAT反復の例として、3つの相補ヌクレオチド(即ちdTTP、dCTP、dATP)のみを、アニーリングステップに続いて、または手順の開始時に加える。リンカー配列が5’ホスフェートを有する場合において、KlenTaqは、ライゲーション能のある5’末端に隣接するまで3’末端を伸長する(図77の左側)。リンカー配列が5’OHを有する場合において、ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性はマッチする5’重複塩基を切断し、ライゲーション能のある5’ホスフェートを作製する(図77の右側)。ハイブリダイゼーション温度にて伸長及びライゲーションさせ、かつ任意で温度を上げて(例えば60℃)伸長及びライゲーションを確実に完了させ、環状生成物を生成する。
5.4.c.エキソヌクレアーゼI(3’→5’方向に一本鎖DNAを分解する)、及びエキソヌクレアーゼIII(3’→5’方向に二本鎖DNAを分解する)を加えて、元の標的DNA、リンカー配列、固有の識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び任意の患者識別子配列を含む所望の一本鎖環状DNAのみを残しながら、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本生成物は、ビオチン化プローブを用いた所望の標的の配列特異的捕捉、または(phi29ポリメラーゼを有する、プライマー結合配列に相補的なプライマーを用いた)ローリングサークル増幅による、所望の配列のタンデムリピートの作製、続いて、ビオチン化プローブを用いた、所望の標的の向上した捕捉に適している。これに、次世代配列決定を用いた標的の識別、あるいは、リンカー配列または任意のプライマー結合配列をプライマー結合部位として用いる、共有結合で閉じた鋳型上での直接SMRT配列決定が続いてよい。
注1:オリゴヌクレオチドは任意のブロック基を5’側に含有し、オリゴヌクレオチドプローブが環化しないように、後続のポリメラーゼの5’−3’ヌクレアーゼ活性を妨げてよい。
注2:5’−3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼの代わりにFenヌクレアーゼを用いて、標的の5’側にライゲーション能のある5’ホスフェートを生成してよい。
注3:5’末端リンカーは、5’ホスフェート末端から2番目及び3番目の位置に(ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性により遊離される)チオホスフェート結合を含有するように合成されてよい。1つの塩基をあまりに多く伸長する(下流プライマーへのライゲーションが不可能となる)ことによるこれらの塩基のポリメラーゼ置換を最小限に抑えるために、ライゲーション接合部での標的塩基は、3’側でATリッチであり、5’側でGCリッチであることが好ましい。
注4:KlenTaqポリメラーゼ(5’→3’ヌクレアーゼ切断活性を有しないTaqポリメラーゼ)を用いる場合、所望の5’ホスフェートに隣接する位置にアプリン(AP)部位を含有するように5’末端リンカーを合成してよい。この5’ホスフェートは、熱安定性エンドIII(TmaエンドIII等)を用いて遊離される。この酵素は、プライマーが標的に結合した際に、5’ホスフェートを残してAP部位を切断する。エンドヌクレアーゼは一本鎖プライマーもまた切断するが、効率が低いため、鋳型にハイブリダイズしたプライマーが好ましい基質となる。
注5:KlenTaqポリメラーゼ(5’→3’ヌクレアーゼ切断活性を有しないTaqポリメラーゼ)を用いる場合、5’末端リンカーは、5’ホスフェートを含有するように合成されてよい。あるいは、標的DNAのライゲーションする前、またはライゲーションステップの後のいずれかに、T4キナーゼを用いて5’ホスフェートを加えてよい。
注6:(5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する)TaqポリメラーゼとKlenTaq(5’→3’ヌクレアーゼ切断活性を有しないTaqポリメラーゼ)の1:20混合物を、分布伸長の条件下(即ち、より高い塩濃度)にて用いて、ニック翻訳による標的DNAの分解を最小限に抑えることができる。
注7:(ローリングサークル増幅により生成した)標的のタンデムリピートコピーの捕捉は、多価結合による、正しい標的の捕捉の向上という固有の利点をもたらす。これにより、より効率の高い捕捉、及び不必要な配列のより低い捕捉をもたらす、更にストリンジェントなハイブリダイゼーション/捕捉条件が可能となる。本アプローチを用いて、反復配列(即ち、AGATテトラヌクレオチド反復)を含有する標的を全て捕捉することもまた可能であり、ヘテロ接合性の喪失、コピー数の変形、ハロタイピング、父系の確立、及び他の用途に関するスコアリングが可能となる。
注8:固有配列識別子は、ローリングサークルまたは他の選択/増幅ステップの後であっても、それぞれの元の標的配列が固有にスコアリングされ、各標的の元のコピー数の正確な定量が確実に可能になる。
ポリメラーゼ伸長及びニック翻訳に関する問題を回避するために、この手順は、図78(変形5.5)に示すように、リガーゼのみ、または、ポリメラーゼの5’−3’ヌクレアーゼ活性と組み合わせたリガーゼを用いて、ポリメラーゼ伸長ステップなしで実施してもよい。秘訣は固有の識別子配列をリンカーに付加させることである。
循環腫瘍細胞またはcfDNAから単離したDNA中の既知の遺伝子(例えば、Braf、K−ras、p53)における、腫瘍特異的コピー変化または変異の検出の正確な定量に関する詳細プロトコール:
5.5.a.CTCから単離したcfDNAまたはゲノムDNAから開始し(約150bpに剪断)、T4ポリメラーゼ及びT4キナーゼにより末端を修復し、続いて、単一の塩基3’Aオーバーハングをクレノウ(エキソ)及びdATPと共に加える。T4リガーゼを用いる4℃でのライゲーションは、断片の両端にリンカーを付加させるように、リンカーは単一の塩基3’Tオーバーハングを有する。リンカーは、リンカーの5’一本鎖側に固有の識別子配列を含有し、かつ5’ホスフェートと合成されてもよいし、または、T4キナーゼを用いてホスフェートが付加されてもよい。任意で、ライゲーションしていないリンカー及び/またはdNTPから標的DNAを精製する。
5.5.b.(標的の固有または反復部分(即ちAGAT反復)に相補的な5’配列、任意のスペーサー領域、リンカーの5’末端に相補的な配列、任意の患者識別子配列、任意のプライマー結合配列、任意のスペーサー領域、リンカーの3’末端に相補的な配列、及び、標的の固有または反復部分(即ちAGAT反復)に相補的であり、かつ、単一の塩基またはフラップにより、標的の5’配列に直接隣接しているかまたは重複している3’配列を含む)オリゴヌクレオチドの存在下で、両端にリンカーを含有する標的DNAを変性させ(94℃で1分)、所望の温度に冷却する(例えば50℃で2時間)ことにより、オリゴヌクレオチドが所望の断片の相補領域にハイブリダイズするようにさせる。オリゴヌクレオチドは5’側に任意のブロック基を含有してよい。任意で、Taqポリメラーゼ及び(好ましくは株AK16Dからの)熱安定性リガーゼのいずれかを、アニーリングステップに続いて、または手順の開始時に加える。リンカー配列が5’ホスフェートを有する場合において、3’リンカーはライゲーション能のある5’末端に直接隣接する(図78の左側)。リンカー配列が5’OHを有する場合において、ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性はマッチする5’重複塩基またはフラップを切断し、ライゲーション能のある5’ホスフェートを作製する(図78の右側)。任意をフラップ切断し、ハイブリダイゼーション温度のライゲーションさせ、及び任意で温度を上げる(例えば60℃)、確実にライゲーションを完了させ、環状生成物を生成する。
5.5.c.任意で、切断可能な結合にてオリゴヌクレオチドプローブを切断する(例えば、UDG及びAPエンドヌクレアーゼを用いて切断したU)。エキソヌクレアーゼI(3’→5’方向に一本鎖DNAを分解する)、及びエキソヌクレアーゼIII(3’→5’方向に二本鎖DNAを分解する)を加えて、元の標的DNA、リンカー配列、固有の識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び任意の患者識別子配列を含む所望の一本鎖環状DNAのみを残しながら、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本生成物は、ビオチン化プローブを用いた所望の標的の配列特異的捕捉、または(phi29ポリメラーゼを有する、プライマー結合配列に相補的なプライマーを用いた)ローリングサークル増幅による、所望の配列のタンデムリピートの作製、続いて、ビオチン化プローブを用いた、所望の標的の向上した捕捉に適している。これに、次世代配列決定を用いた標的の識別、あるいは、リンカー配列または任意のプライマー結合配列をプライマー結合部位として用いる、共有結合で閉じた鋳型上での直接SMRT配列決定が続いてよい。
注1:オリゴヌクレオチドは任意のブロック基を5’側に含有し、オリゴヌクレオチドプローブが環化しないように、後続のポリメラーゼの5’−3’ヌクレアーゼ活性を妨げてよい。あるいは、切断可能な結合は元のオリゴヌクレオチドに含まれてよい。
注2:5’−3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼの代わりにFenヌクレアーゼを用いて、標的の5’側にライゲーション能のある5’ホスフェートを生成してよい。
注3:(ローリングサークル増幅により生成した)標的のタンデムリピートコピーの捕捉は、多価結合による、正しい標的の捕捉の向上という固有の利点をもたらす。これにより、より効率の高い捕捉、及び不必要な配列のより低い捕捉をもたらす、更にストリンジェントなハイブリダイゼーション/捕捉条件が可能となる。本アプローチを用いて、反復配列(即ち、AGATテトラヌクレオチド反復)を含有する標的を全て捕捉することもまた可能であり、ヘテロ接合性の喪失、コピー数の変形、ハロタイピング、父系の確立、及び他の用途に関するスコアリングが可能となる。
注4:固有配列識別子は、ローリングサークルまたは他の選択/増幅ステップの後であっても、それぞれの元の標的配列が固有にスコアリングされ、各標的の元のコピー数の正確な定量が確実に可能になる。
予測実施例6−エクソソーム、循環腫瘍細胞、または循環腫瘍細胞を含む全血細胞から単離した腫瘍特異的mRNAまたはlncRNAの正確な定量(例えば、転帰を予想する、または治療をガイドする多数の発現マーカー)。
腫瘍特異的mRNAまたはlncRNA発現の変化は、組織特異的な方法で病気の状態を分類するための強力な手段である。これには、mRNAもしくはlncRNAの特定のエクソンの正確な検出及び定量(例えば図108、111、112を参照)、または、mRNA中に存在する遺伝子融合の再発の検出及び定量(例えば図109及び110を参照)が含まれる。poly−A mRNAもしくはpoly−A lncRNA、またはこれら全ては、エクソソームまたは循環腫瘍細胞のいずれかから単離され、本プロセスで使用するための逆転写酵素を用いてcDNAに転換される。cDNAは、通常、特定の転写物のエクソン−イントロン境界にまたがる領域の最大の特異性を得るための標準的な設計規則を用いて、エクソン特異的プライマーを用いて生成される。あるいは、ランダム六量体のプライミングを用いてトランスクリプトーム全体をコピーしてもよく、またはpoly dTプライマーを用いて、全ての転写物の3’末端を濃縮してよい。
隣接するが分離した領域に相補的な配列を含有するオリゴヌクレオチドをcDNA標的にハイブリダイズする。図108及び112は、5’及び3’オリゴヌクレオチド間のギャップ(即ち、10〜20ヌクレオチド)(ポリメラーゼを用いて、標的結合配列の3’末端を伸長して標的配列のいくつかをコピーし、ギャップを閉じて後続のライゲーションに好適なライゲーション能のある接合部を生成して環状生成物を形成する)を用いるエクソン検出及び定量方法を示す。一実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブの5’及び3’末端間のギャップは10〜20ヌクレオチドである。しかし、コピーされるギャップは、後続の配列決定ステップで用いられる読取りの長さに調節することができる。図111は、2つの標的結合配列が互いに直接隣接し、ギャップが存在しないエクソン検出及び定量方法を示す。
これらのレポーター環の計数は、次世代配列決定を含むがこれらに限定されない種々の定量方法により実施することができる。環形成による、多くの標的配列の同時多重検出を可能にすることに加えて、読出しとしての次世代配列決定は、ライゲーションによるアーチファクトから正当なライゲーション生成物を速やかに区別し、アッセイの感度を増加させるレポーター環についての追加情報(2つの固有識別子)を提供する。
図109及び110は、mRNAで見出される遺伝子融合の再発の検出及び定量のための2つの変形を示す。2つの遺伝子の融合接合部は、ある遺伝子の2つの5’末端と別の遺伝子の3’末端との間から、数百〜数千の塩基長の配列欠失と共に不正確に生じるため、不確定の融合接合部の上流及び下流に多数のプローブを含有するアッセイを設計するのは難しく、そのため、本明細書で記載される方法では、一端に上流エクソンを、そして他端に下流エクソンをそれぞれ有する、2つの半環状オリゴヌクレオチドプローブを利用する。両方のプローブ(4つの末端)の間のギャップに隣接する、またはcDNA標的上で互いに直接隣接する、これらの両方のプローブのハイブリダイゼーション時にのみ、ライゲーションが生じ単一の環状生成物を形成することが可能である。ライゲーションしていないオリゴヌクレオチドプローブの(エキソヌクレアーゼを用いる)後続分解は、ある変形(例えば図109を参照)において、元の標的cDNAからの更なる配列情報を含有しない(ギャップがない)環状生成物を残す。別の変形において(例えば図110)、ポリメラーゼはプローブのそれぞれの3’末端を、近くのプローブのそれぞれの5’末端と出会うまで伸長し、ギャップを閉じる。これらのレポーター環は共に、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、及びこれらの1つ、任意のプライマー結合部位を含有する。これらのレポーター環の計数は、次世代配列決定を含むがこれらに限定されない種々の定量方法により実施することができる。多くの融合転写物の同時多重検出を可能にすることに加えて、次世代配列決定は、ライゲーションによるアーチファクトから正当なライゲーション生成物を速やかに区別するレポーター環についての更なる情報(固有識別子の2つのコピー)を提供する。2つの変形(図109及び110)はまた、それぞれ、ライゲーション能のある5’末端の生成に対する2つのアプローチを示す。ハイブリダイゼーションの前にプローブが5’ホスフェートを有する(図の左側)か、またはTaqポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性を用いるかのいずれかにより、マッチする5’重複塩基またはフラップを切断し、ライゲーション能のある5’ホスフェートを生成する(図の右側)。
エクソソーム、循環腫瘍細胞、または循環腫瘍細胞を含む全血細胞から単離したmRNAまたはlncRNA内のエクソンの検出及び定量に関する詳細プロトコール。
変形6.1:例えば図108参照。6.1.a.エクソソーム、循環腫瘍細胞、または循環腫瘍細胞を含む全血細胞から単離したpoly−A mRNAもしくはpoly−A lncRNA、またはこれら全てから開始し、逆転写酵素及びエクソン特異的プライマーを用いてcDNAを生成する。
6.1.b.(5’側のcDNAの一部に相補的な5’プローブ領域、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び3’側のcDNAの別の部分に相補的な3’プローブ領域を含む)オリゴヌクレオチドの存在下で標的cDNAを変性させ(94℃で1分間)、所望の温度に冷却する(例えば40〜50℃で30分)ことにより、オリゴヌクレオチドが所望の断片の相補領域にハイブリダイズするようにさせる。オリゴヌクレオチドは、5’末端に任意のホスフェート基を、またはマッチする5’重複塩基もしくはフラップを含有してよい。任意で、Taqポリメラーゼ及び/またはKlenTaq(ヌクレアーゼ活性を欠くTaqポリメラーゼ)、並びに(好ましくは株AK16Dからの)熱安定性リガーゼ、並びに任意でdNTPを、アニーリングステップに続いて、または手順の開始時に加える。オリゴヌクレオチドが接合部において3’OHに直接隣接する5’ホスフェートを有する場合において、リガーゼを用いて2つの末端を直接結合してよい(図108の右側)。オリゴヌクレオチドが5’及び3’末端の間にギャップを有する5’ホスフェートを有する場合において、3’OHはKlenTaqにより伸長される。オリゴヌクレオチドが5’OHを有する場合において、Taqポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性がマッチする5’重複塩基またはフラップを切断し、ライゲーション能のある5’ホスフェートを作製する(図108の左側)。 ハイブリダイゼーション温度にて伸長及びライゲーションさせ、かつ任意で温度を上げて(例えば60℃)伸長及びライゲーションを確実に完了させ、環状生成物を生成する。
6.1.c.エキソヌクレアーゼI(3’→5’方向に一本鎖DNAを分解する)、及びエキソヌクレアーゼIII(3’→5’方向に二本鎖DNAを分解する)を加えて、元の標的cDNAの短い伸長コピー、固有の識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び任意の患者識別子配列を含む所望の一本鎖環状DNAのみを残して、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本生成物は、所望の配列のタンデムリピートを作製するための(phi29ポリメラーゼを有するランダム六量体プライマーを用いた)ローリングサークル増幅、及び後続の、次世代配列決定を用いた標的の識別、あるいは、プライマー結合配列をプライマー結合部位として用いる、共有結合で閉じた鋳型上での直接SMRT配列決定に適している。
注1:5’−3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼの代わりにFenヌクレアーゼを用いて、標的の5’側にライゲーション能のある5’ホスフェートを生成してよい。
注2:オリゴヌクレオチドの5’末端を、5’ホスフェート末端から2番目及び3番目の位置に(ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性により遊離される)チオホスフェート結合を含有するように合成してよい。1つの塩基をあまりに多く伸長する(下流プライマーへのライゲーションが不可能となる)ことによるこれらの塩基のポリメラーゼ置換を最小限に抑えるために、ライゲーション接合部での標的塩基は、3’側でATリッチであり、5’側でGCリッチであることが好ましい。
注3:KlenTaqポリメラーゼ(5’→3’ヌクレアーゼ切断活性を有しないTaqポリメラーゼ)を用いる場合、所望の5’ホスフェートに隣接する位置にアプリン(AP)部位を含有するように5’末端リンカーを合成してよい。この5’ホスフェートは、熱安定性エンドIII(TmaエンドIII等)を用いて遊離される。この酵素は、プライマーが標的に結合した際に、5’ホスフェートを残してAP部位を切断する。エンドヌクレアーゼは一本鎖プライマーもまた切断するが、効率が低いため、鋳型にハイブリダイズしたプライマーが好ましい基質となる。
注4:KlenTaqポリメラーゼ(5’→3’ヌクレアーゼ切断活性を有しないTaqポリメラーゼ)を用いる場合、5’末端リンカーは、5’ホスフェートを含有するように合成されてよい。あるいは、標的DNAのライゲーションする前、またはライゲーションステップの後のいずれかに、T4キナーゼを用いて5’ホスフェートを加えてよい。
注5:(5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する)TaqポリメラーゼとKlenTaq(5’→3’ヌクレアーゼ切断活性を有しないTaqポリメラーゼ)の1:20混合物を、分布伸長の条件下(即ち、より高い塩濃度)にて用いて、ニック翻訳による標的DNAの分解を最小限に抑えることができる。
注6:オリゴヌクレオチドが任意のプライマー結合部位(即ち、ユニバーサルプライマー結合部位)もまた含む場合、PCR増幅、続いて、次世代配列決定、TaqManアッセイ、UniTaqアッセイ、リアルタイムPCRアッセイ、デジタルPCR、マイクロアレイ、ハイブリダイゼーション、または他の検出方法を用いた標的識別に好適である。
注7:MMLV逆転写酵素を改変して、全ての投入RNA(Invitrogen Superscript III)から、50〜60℃にてcDNAを合成してよい。あるいは、TthまたはTma DNAポリメラーゼを改変して、逆転写活性を向上させた(Mn補助因子の追加が必要となる場合がある)。最終的に好熱性PyroPhage 3173 DNAポリメラーゼは、鎖置換及び逆転写活性を共に有し、これもまた用いてよい。
エクソソーム、循環腫瘍細胞、または循環腫瘍細胞を含む全血細胞から単離したmRNA内の遺伝子融合の検出及び定量に関する詳細プロトコール
変形6.2:(例えば図109を参照)。6.2.a.エクソソームまたはCTCから単離したmRNAをまず、任意の可能な融合転写物に接合部にまたがるような方法で、逆転写酵素によりcDNAに転換する。好ましい方法において、エクソン特異的プライマーを用いる。
6.2.b.2つのオリゴヌクレオチド(第1のオリゴヌクレオチドは、標的エクソン#1の固有部分に相補的な5’配列、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び標的エクソン#2の固有部分に相補的な3’配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドは、標的エクソン#2の固有部分に相補的な5’配列、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、及び標的エクソン#1の固有部分に相補的な3’配列を含む)の存在下で標的cDNAを変性させ(94℃で1分間)、所望の温度に冷却する(例えば50℃で2時間)ことにより、オリゴヌクレオチドが所望の断片の相補領域にハイブリダイズするようにさせる。(好ましくは株AK16Dからの)熱安定性リガーゼ、並びに任意でTaqポリメラーゼ及びdNTPを、アニーリングステップに続いて、または手順の開始時に加える。オリゴヌクレオチド配列の両方が5’ホスフェートを有する場合において、ポリメラーゼは必要ではない(図109の左側)。オリゴヌクレオチド配列の両方が5’OHを有する場合において、ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性はマッチする5’重複塩基を切断し、ライゲーション能のある5’ホスフェートを作製する(図109の右側)。フラップを切断し、ハイブリダイゼーション温度にてライゲーションさせ、任意で温度を上げ(例えば60℃)、フラップ切断及びライゲーションを確実に完了させ、環状生成物を生成する。
6.2.c.エキソヌクレアーゼI(3’→5’方向に一本鎖DNAを分解する)、及びエキソヌクレアーゼIII(3’→5’方向に二本鎖DNAを分解する)を加えて、元の標的DNA、リンカー配列、固有の識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び任意の患者識別子配列を含む所望の一本鎖環状DNAのみを残しながら、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本生成物は、所望の配列のタンデムリピートを作製するための(phi29ポリメラーゼを有するランダム六量体プライマーを用いた)ローリングサークル増幅、及び後続の、次世代配列決定を用いた標的の識別、あるいは、プライマー結合配列をプライマー結合部位として用いる、共有結合で閉じた鋳型上での直接SMRT配列決定に適している。
注1:5’−3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼの代わりにFenヌクレアーゼを用いて、標的の5’側にライゲーション能のある5’ホスフェートを生成してよい。
注2:オリゴヌクレオチドが任意のプライマー結合部位(即ち、ユニバーサルプライマー結合部位)もまた含む場合、PCR増幅、続いて、次世代配列決定、TaqManアッセイ、UniTaqアッセイ、リアルタイムPCRアッセイ、デジタルPCR、マイクロアレイ、ハイブリダイゼーション、または他の検出方法を用いた標的識別に好適である。
注3:それぞれ固有の識別子配列、任意の患者識別子配列及び任意のプライマー結合部位を含有する2つの架橋オリゴヌクレオチドプローブを用いるシステムにおいて、オリゴヌクレオチドの両方ではなく一方のみがプライマー結合部位(上流または下流オリゴヌクレオチドのいずれか)を含有することが推奨される。偽陽性検出の追加レベルに関して、固有の識別子配列は上流及び下流プローブで異なることが推奨される。
注4:MMLV逆転写酵素を改変して、全ての投入RNA(Invitrogen Superscript III)から、50〜60℃にてcDNAを合成してよい。あるいは、TthまたはTma DNAポリメラーゼを改変して、逆転写活性を向上させる(Mn補助因子の追加が必要となる場合がある)。最終的に好熱性PyroPhage 3173 DNAポリメラーゼは、鎖置換及び逆転写活性を共に有し、これもまた用いてよい。
エクソソーム、循環腫瘍細胞、または循環腫瘍細胞を含む全血細胞から単離したmRNA内の遺伝子融合の検出及び定量のための別の変形に関する詳細プロトコール;
変形6.3:(例えば図110を参照)。6.3.a.エクソソームまたはCTCから単離したmRNAをまず、任意の可能な融合転写物に接合部にまたがるような方法で、逆転写酵素によりcDNAに転換する。好ましい方法において、エクソン特異的プライマーを用いる。
6.3.b.2つのオリゴヌクレオチド(第1のオリゴヌクレオチドは、標的エクソン#1の固有部分に相補的な5’配列、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び標的エクソン#2の固有部分に相補的な3’配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドは、標的エクソン#2の固有部分に相補的な5’配列、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、及び標的エクソン#1の固有部分に相補的な3’配列を含む)の存在下で標的cDNAを変性させ(94℃で1分間)、所望の温度に冷却する(例えば50℃で2時間)ことにより、オリゴヌクレオチドが所望の断片の相補領域にハイブリダイズするようにさせる。Taqポリメラーゼ及び/またはKlenTaqポリメラーゼ(ヌクレアーゼ活性を欠くTaqポリメラーゼ)、(好ましくは株AK16Dからの)熱安定性リガーゼ、並びにdNTPのいずれかを、アニーリングステップに続いて、または手順の開始時に加える。オリゴヌクレオチド配列の両方が5’ホスフェートを有する場合において、KlenTaqは、ライゲーション能のある5’末端に直接隣接するまで3’末端を伸長する(図110の左側)。オリゴヌクレオチド配列の両方が5’OHを有する場合において、ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性はマッチする5’重複塩基を切断し、ライゲーション能のある5’ホスフェートを作製する(図110の右側)。ハイブリダイゼーション温度にて伸長及びライゲーションさせ、かつ任意で温度を上げて(例えば60℃)伸長及びライゲーションを確実に完了させ、環状生成物を生成する。
6.3.c.エキソヌクレアーゼI(3’→5’方向に一本鎖DNAを分解する)、及びエキソヌクレアーゼIII(3’→5’方向に二本鎖DNAを分解する)を加えて、元の標的DNA、リンカー配列、固有の識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び任意の患者識別子配列を含む所望の一本鎖環状DNAのみを残しながら、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本生成物は、所望の配列のタンデムリピートを作製するための(phi29ポリメラーゼを有するランダム六量体プライマーを用いた)ローリングサークル増幅、及び後続の、次世代配列決定を用いた標的の識別、あるいは、プライマー結合配列をプライマー結合部位として用いる、共有結合で閉じた鋳型上での直接SMRT配列決定に適している。
注1:5’−3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼの代わりにFenヌクレアーゼを用いて、標的の5’側にライゲーション能のある5’ホスフェートを生成してよい。
注2:オリゴヌクレオチドの5’末端を、5’ホスフェート末端から2番目及び3番目の位置に(ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性により遊離される)チオホスフェート結合を含有するように合成してよい。1つの塩基をあまりに多く伸長する(下流プライマーへのライゲーションが不可能となる)ことによるこれらの塩基のポリメラーゼ置換を最小限に抑えるために、ライゲーション接合部での標的塩基は、3’側でATリッチであり、5’側でGCリッチであることが好ましい。
注3:KlenTaqポリメラーゼ(5’→3’ヌクレアーゼ切断活性を有しないTaqポリメラーゼ)を用いる場合、所望の5’ホスフェートに隣接する位置にアプリン(AP)部位を含有するように5’末端リンカーを合成してよい。この5’ホスフェートは、熱安定性エンドIII(TmaエンドIII等)を用いて遊離される。この酵素は、プライマーが標的に結合した際に、5’ホスフェートを残してAP部位を切断する。エンドヌクレアーゼは一本鎖プライマーもまた切断するが、効率が低いため、鋳型にハイブリダイズしたプライマーが好ましい基質となる。
注4:KlenTaqポリメラーゼ(5’→3’ヌクレアーゼ切断活性を有しないTaqポリメラーゼ)を用いる場合、5’末端リンカーは、5’ホスフェートを含有するように合成されてよい。あるいは、標的DNAのライゲーションする前、またはライゲーションステップの後のいずれかに、T4キナーゼを用いて5’ホスフェートを加えてよい。
注5:(5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する)TaqポリメラーゼとKlenTaq(5’→3’ヌクレアーゼ切断活性を有しないTaqポリメラーゼ)の1:20混合物を、分布伸長の条件下(即ち、より高い塩濃度)にて用いて、ニック翻訳による標的DNAの分解を最小限に抑えることができる。
注6:オリゴヌクレオチドが任意のプライマー結合部位(即ち、ユニバーサルプライマー結合部位)もまた含む場合、PCR増幅、続いて、次世代配列決定、TaqManアッセイ、UniTaqアッセイ、リアルタイムPCRアッセイ、デジタルPCR、マイクロアレイ、ハイブリダイゼーション、または他の検出方法を用いた標的識別に好適である。
注7:それぞれが固有の識別子配列、任意の患者識別子配列及び任意のプライマー結合部位を含有する2つの架橋オリゴヌクレオチドプローブを用いるシステムにおいて、オリゴヌクレオチドの両方ではなく一方のみがプライマー結合部位(上流または下流オリゴヌクレオチドのいずれか)を含有することが推奨される。偽陽性検出の追加レベルに関して、固有の識別子配列は上流及び下流プローブで異なることが推奨される。
注8:MMLV逆転写酵素を改変して、全ての投入RNA(Invitrogen Superscript III)から、50〜60℃にてcDNAを合成してよい。あるいは、TthまたはTma DNAポリメラーゼを改変して、逆転写活性を向上させる(Mn補助因子の追加が必要となる場合がある)。最終的に好熱性PyroPhage 3173 DNAポリメラーゼは、鎖置換及び逆転写活性を共に有し、これもまた用いてよい。
エクソソーム、循環腫瘍細胞、または循環腫瘍細胞を含む全血細胞から単離したmRNAに(互いに隣接し得ない)特定のエクソンを含有するmRNAの検出及び定量に関する詳細プロトコール;
変形6.4:(例えば図111参照)。6.4.a.エクソソームまたはCTCから単離したmRNAをまず、両方のエクソン領域を含むような方法で、逆転写酵素によりcDNAに転換する。好ましい方法において、エクソン特異的プライマーを用いる。
6.4.b.2つのオリゴヌクレオチド(第1のオリゴヌクレオチドは、標的エクソン#1の固有部分に相補的な5’配列、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び標的エクソン#2の固有部分に相補的な3’配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドは、標的エクソン#2の固有部分に相補的な5’配列、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、及び標的エクソン#1の固有部分に相補的な3’配列を含む)の存在下で標的cDNAを変性させ(94℃で1分間)、所望の温度に冷却する(例えば50℃で2時間)ことにより、オリゴヌクレオチドが所望の断片の相補領域にハイブリダイズするようにさせる。(好ましくは株AK16Dからの)熱安定性リガーゼ、並びに任意でTaqポリメラーゼ及びdNTPを、アニーリングステップに続いて、または手順の開始時に加える。オリゴヌクレオチド配列の両方が5’ホスフェートを有する場合において、ポリメラーゼは必要ではない(図111の左側)。オリゴヌクレオチド配列の両方が5’OHを有する場合において、ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性はマッチする5’重複塩基を切断し、ライゲーション能のある5’ホスフェートを作製する(図111の右側)。フラップを切断し、ハイブリダイゼーション温度にてライゲーションさせ、任意で温度を上げ(例えば60℃)、フラップ切断及びライゲーションを確実に完了させ、環状生成物を生成する。
6.4.c.エキソヌクレアーゼI(3’→5’方向に一本鎖DNAを分解する)、及びエキソヌクレアーゼIII(3’→5’方向に二本鎖DNAを分解する)を加えて、元の標的DNA、リンカー配列、固有の識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び任意の患者識別子配列を含む所望の一本鎖環状DNAのみを残しながら、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本生成物は、所望の配列のタンデムリピートを作製するための(phi29ポリメラーゼを有するランダム六量体プライマーを用いた)ローリングサークル増幅、及び後続の、次世代配列決定を用いた標的の識別、あるいは、プライマー結合配列をプライマー結合部位として用いる、共有結合で閉じた鋳型上での直接SMRT配列決定に適している。
注1:5’−3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼの代わりにFenヌクレアーゼを用いて、標的の5’側にライゲーション能のある5’ホスフェートを生成してよい。
注2:オリゴヌクレオチドが任意のプライマー結合部位(即ち、ユニバーサルプライマー結合部位)もまた含む場合、PCR増幅、続いて、次世代配列決定、TaqManアッセイ、UniTaqアッセイ、リアルタイムPCRアッセイ、デジタルPCR、マイクロアレイ、ハイブリダイゼーション、または他の検出方法を用いた標的識別に好適である。
注3:それぞれが固有の識別子配列、任意の患者識別子配列及び任意のプライマー結合部位を含有する2つの架橋オリゴヌクレオチドプローブを用いるシステムにおいて、オリゴヌクレオチドの両方ではなく一方のみがプライマー結合部位(上流または下流オリゴヌクレオチドのいずれか)を含有することが推奨される。偽陽性検出の追加レベルに関して、固有の識別子配列は上流及び下流プローブで異なることが推奨される。
注4:MMLV逆転写酵素を改変して、全ての投入RNA(Invitrogen Superscript III)から、50〜60℃にてcDNAを合成してよい。あるいは、TthまたはTma DNAポリメラーゼを改変して、逆転写活性を向上させる(Mn補助因子の追加が必要となる場合がある)。最終的に好熱性PyroPhage 3173 DNAポリメラーゼは、鎖置換及び逆転写活性を共に有し、これもまた用いてよい。
エクソソーム、循環腫瘍細胞、または循環腫瘍細胞を含む全血細胞から単離したmRNAに(互いに隣接し得ない)特定のエクソンを含有するmRNAの検出及び定量に関する詳細プロトコール;
変形6.5:(例えば図112を参照)。6.5.a.エクソソームまたはCTCから単離したmRNAをまず、両方のエクソン領域を含むような方法で、逆転写酵素によりcDNAに転換する。好ましい方法において、エクソン特異的プライマーを用いる。
6.5.b.2つのオリゴヌクレオチド(第1のオリゴヌクレオチドは、標的エクソン#1の固有部分に相補的な5’配列、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び標的エクソン#2の固有部分に相補的な3’配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドは、標的エクソン#2の固有部分に相補的な5’配列、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、及び標的エクソン#1の固有部分に相補的な3’配列を含む)の存在下で標的cDNAを変性させ(94℃で1分間)、所望の温度に冷却する(例えば50℃で2時間)ことにより、オリゴヌクレオチドが所望の断片の相補領域にハイブリダイズするようにさせる。Taqポリメラーゼ及び/またはKlenTaq(ヌクレアーゼ活性を欠くTaqポリメラーゼ)、(好ましくは株AK16Dからの)熱安定性リガーゼ、及びdNTPのいずれかを、アニーリングステップに続いて、または手順の開始時に加える。オリゴヌクレオチド配列の両方が5’ホスフェートを有する場合において、KlenTaqは、ライゲーション能のある5’末端に直接隣接するまで3’末端を伸長する(図112の左側)。オリゴヌクレオチド配列の両方が5’OHを有する場合において、ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性はマッチする5’重複塩基を切断し、ライゲーション能のある5’ホスフェートを作製する(図112の右側)。ハイブリダイゼーション温度にて伸長及びライゲーションさせ、かつ任意で温度を上げて(例えば60℃)伸長及びライゲーションを確実に完了させ、環状生成物を生成する。
6.5.c.エキソヌクレアーゼI(3’→5’方向に一本鎖DNAを分解する)、及びエキソヌクレアーゼIII(3’→5’方向に二本鎖DNAを分解する)を加えて、元の標的DNA、リンカー配列、固有の識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び任意の患者識別子配列を含む所望の一本鎖環状DNAのみを残しながら、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本生成物は、所望の配列のタンデムリピートを作製するための(phi29ポリメラーゼを有するランダム六量体プライマーを用いた)ローリングサークル増幅、及び後続の、次世代配列決定を用いた標的の識別、あるいは、プライマー結合配列をプライマー結合部位として用いる、共有結合で閉じた鋳型上での直接SMRT配列決定に適している。
注1:5’−3’ヌクレアーゼ活性を有するポリメラーゼの代わりにFenヌクレアーゼを用いて、標的の5’側にライゲーション能のある5’ホスフェートを生成してよい。
注2:オリゴヌクレオチドの5’末端を、5’ホスフェート末端から2番目及び3番目の位置に(ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性により遊離される)チオホスフェート結合を含有するように合成してよい。1つの塩基をあまりに多く伸長する(下流プライマーへのライゲーションが不可能となる)ことによるこれらの塩基のポリメラーゼ置換を最小限に抑えるために、ライゲーション接合部での標的塩基は、3’側でATリッチであり、5’側でGCリッチであることが好ましい。
注3:KlenTaqポリメラーゼ(5’→3’ヌクレアーゼ切断活性を有しないTaqポリメラーゼ)を用いる場合、所望の5’ホスフェートに隣接する位置にアプリン(AP)部位を含有するように5’末端リンカーを合成してよい。この5’ホスフェートは、熱安定性エンドIII(TmaエンドIII等)を用いて遊離される。この酵素は、プライマーが標的に結合した際に、5’ホスフェートを残してAP部位を切断する。エンドヌクレアーゼは一本鎖プライマーもまた切断するが、効率が低いため、鋳型にハイブリダイズしたプライマーが好ましい基質となる。
注4:KlenTaqポリメラーゼ(5’→3’ヌクレアーゼ切断活性を有しないTaqポリメラーゼ)を用いる場合、5’末端リンカーは、5’ホスフェートを含有するように合成されてよい。あるいは、標的DNAのライゲーションする前、またはライゲーションステップの後のいずれかに、T4キナーゼを用いて5’ホスフェートを加えてよい。
注5:(5’→3’ヌクレアーゼ活性を有する)TaqポリメラーゼとKlenTaq(5’→3’ヌクレアーゼ切断活性を有しないTaqポリメラーゼ)の1:20混合物を、分布伸長の条件下(即ち、より高い塩濃度)にて用いて、ニック翻訳による標的DNAの分解を最小限に抑えることができる。
注6:オリゴヌクレオチドが任意のプライマー結合部位(即ち、ユニバーサルプライマー結合部位)もまた含む場合、PCR増幅、続いて、次世代配列決定、TaqManアッセイ、UniTaqアッセイ、リアルタイムPCRアッセイ、デジタルPCR、マイクロアレイ、ハイブリダイゼーション、または他の検出方法を用いた標的識別に好適である。
注7:それぞれが固有の識別子配列、任意の患者識別子配列及び任意のプライマー結合部位を含有する2つの架橋オリゴヌクレオチドプローブを用いるシステムにおいて、オリゴヌクレオチドの両方ではなく一方のみがプライマー結合部位(上流または下流オリゴヌクレオチドのいずれか)を含有することが推奨される。偽陽性検出の追加レベルに関して、固有の識別子配列は上流及び下流プローブで異なることが推奨される。
注8:MMLV逆転写酵素を改変して、全ての投入RNA(Invitrogen Superscript III)から、50〜60℃にてcDNAを合成してよい。あるいは、TthまたはTma DNAポリメラーゼを改変して、逆転写活性を向上させる(Mn補助因子の追加が必要となる場合がある)。最終的に好熱性PyroPhage 3173 DNAポリメラーゼは、鎖置換及び逆転写活性を共に有し、これもまた用いてよい。
予測実施例7−エクソソームまたはアルゴノートタンパク質から単離した腫瘍特異的miRNA(例えば、転帰を予測または治療をガイドする多数のマイクロRNAマーカー)の正確な定量。
マイクロRNA(miRNA)は、腫瘍の存在、分類及び予後の可能性のある組織特異的マーカーとして認識されている。miRNAは、Ago2タンパク質との複合体、またはエクソソームによりカプセル化のいずれかとして、血清及び血漿中に存在する。
図114〜117は、高正確性配列決定による、後続の計数のためのmiRNA配列の捕捉方法について記載する。図示する全ての方法において、プロセスは、好適な環状DNAに転換される、標的miRNA配列のcDNAコピーの作製を伴う。
血清、血漿またはエクソソーム内に存在している全てのmiRNA種の、選択なしでの捕捉、識別、及び定量に関する詳細プロトコール:
変形7.1:(例えば図114参照)。7.1.a.エクソソームまたはCTCからmiRNAを単離する。ユニバーサルリンカーを、RNAリガーゼ1を用いて、5’ホスフェート末端及びブロック3’末端を有するDNAリンカーを用いてmiRNAの3’末端にライゲーションする。
7.1.b.変性miRNAの5’末端をT4キナーゼによりリン酸化する。ユニバーサルリンカーを、5’ホスフェート及びブロック3’末端を有するDNAを用いて、変性リンカーの5’末端にライゲーションする。
7.1.c.過剰のリンカーを取り除いた後、(リンカーの5’及び3’末端に相補的な配列、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、任意のプライマー結合配列を含む)オリゴヌクレオチドの存在下で核酸を変性させ(94℃で1分)、所望の温度に冷却する(例えば40〜50℃で30分)ことにより、オリゴヌクレオチドが所望の断片の相補領域にハイブリダイズするようにさせる。5’−3’活性を欠く逆転写酵素(即ち、Mn2+補助因子を用いるTth DNAポリメラーゼ)、(好ましくは株AK16Dからの)熱安定性リガーゼ及びdNTPを加える。成分は、アニーリングステップの後、または手順の開始時のいずれかに加える。ハイブリダイゼーション温度にて伸長及びライゲーションさせ、かつ任意で温度を上げて(例えば60℃)伸長及びライゲーションを確実に完了させ、環状生成物を生成する。
7.1.d.UDG及びAPエンドヌクレアーゼを加えて、元の標的内のmiRNAにニック付加し、エキソヌクレアーゼI(3’→5’方向に一本鎖DNAを分解する)、及びエキソヌクレアーゼIII(3’→5’方向に二本鎖DNAを分解する)を加えて、元の標的miRNAのコピー、固有の識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び任意の患者識別子配列を含む所望の一本鎖環状DNAのみを残して、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本生成物は、(phi29ポリメラーゼを有するプライマー結合配列に相補的なプライマーを用いた)ローリングサークル増幅による、所望の配列のタンデムリピートの作製に適している。これに、次世代配列決定を用いた標的の識別、あるいは、任意のプライマー結合配列をプライマー結合部位として用いての、共有結合で閉じた鋳型上での直接SMRT配列決定が続き得る。
注1:オリゴヌクレオチドがまた、任意のプライマー結合部位(即ちユニバーサルプライマー結合部位)もまた含む場合、環状DNAは、PCR増幅、続いて、次世代配列決定、TaqManアッセイ、UniTaqアッセイ、リアルタイムPCRアッセイ、デジタルPCR、マイクロアレイ、ハイブリダイゼーションまたは他の検出法を用いた標的の識別に適している。
本方法の次の変形(例えば、図115〜117を参照)は、血清、血漿またはエクソソームから単離した全てのmiRNAからの特定のmiRNA配列を捕捉するように設計されている。これらの方法は、標的miRNA配列の全てまたはいくつかの部分に相補的な捕捉プローブを用いるが、続いて、元のmiRNA配列のcDNAコピーを作製するため、miRNA内の単一の塩基変異の検出、またはミスハイブリダイゼーションによる捕捉が可能となる。
血清、血漿、またはエクソソームに存在する特定のmiRNA種の、選択なしでの捕捉、識別及び定量に関する詳細プロトコール:
変形7.2:(例えば図115参照)。7.2.a.エクソソームまたはCTCからmiRNAを単離する。T4キナーゼを用いて、単離したmiRNAをリン酸化する。オリゴヌクレオチド対をハイブリダイズする。第1のオリゴヌクレオチドは、固有5’及び3’リンカー配列に隣接する、miRNA標的に相補的な配列を含むが、第2のオリゴヌクレオチドは、固有3’リンカーの相補体が続く5’リン酸化末端、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び最後の塩基がリボヌクレオチド塩基である固有5’リンカーの相補体を含む。T4 RNAリガーゼ2は、miRNAの末端を共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製するために存在する。
7.2.b.エキソヌクレアーゼI(3’→5’方向に一本鎖DNAを分解する)、及びエキソヌクレアーゼIII(3’→5’方向に二本鎖DNAを分解する)を加えて、所望の一本鎖環状miRNA−DNAキメラのみを残しながら、ライゲーションされていないオリゴヌクレオチドを全て分解する。80℃で20分間加熱し、エキソヌクレアーゼを熱失活させる。
7.2.c.ユニバーサル5’リン酸化プライマーを環状生成物に加え、37℃にてハイブリダイズする。5’−3’エキソヌクレアーゼ活性を欠く逆転写酵素(Mn2+補助因子を用いるTth DNAポリメラーゼ)、(好ましくは株AK16Dからの)熱安定性リガーゼ、及びdNTPを加える。成分は、アニーリングステップの後、または手順の開始時のいずれかに加える。ハイブリダイゼーション温度にて伸長及びライゲーションさせ、任意で温度を上げ(例えば60℃)、伸長及びライゲーションを確実に完了させて、ここでは元の標的miRNAのコピーを含有する環状生成物を生成する。
7.2.d.UDG及びAPエンドヌクレアーゼを加えて、元の標的内のmiRNAにニック付加し、エキソヌクレアーゼI(3’→5’方向に一本鎖DNAを分解する)、及びエキソヌクレアーゼIII(3’→5’方向に二本鎖DNAを分解する)を加えて、元の標的miRNAのコピー、固有の識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び任意の患者識別子配列を含む所望の一本鎖環状DNAのみを残して、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本生成物は、(phi29ポリメラーゼを有するプライマー結合配列に相補的なプライマーを用いた)ローリングサークル増幅による、所望の配列のタンデムリピートの作製に適している。これに、次世代配列決定を用いた標的の識別、あるいは、任意のプライマー結合配列をプライマー結合部位として用いての、共有結合で閉じた鋳型上での直接SMRT配列決定が続き得る。
注1:オリゴヌクレオチドがまた、任意のプライマー結合部位(即ちユニバーサルプライマー結合部位)もまた含む場合、環状DNAは、PCR増幅、続いて、次世代配列決定、TaqManアッセイ、UniTaqアッセイ、リアルタイムPCRアッセイ、デジタルPCR、マイクロアレイ、ハイブリダイゼーションまたは他の検出法を用いた標的の識別に適している。
本方法の次の変形は、標的miRNAのコピーを可能にするC6またはC18スペーサーを用いるが、環状生成物の完成を防止し、それによって低量の所望のmiRNAの偽陽性検出を排除する。5’末端に対して2番目及び3番目の位置におけるチオホスフェートを含有するユニバーサルプライマーのニック翻訳により、ライゲーションしていない任意のmiRNAプローブの検出を可能にする標的miRNA結合相補配列の中央における、C6またはC18スペーサーの交差は不可能となる。
血清、血漿、またはエクソソームに存在する特定のmiRNA種の、任意の選択なしでの捕捉、識別及び定量に関する詳細プロトコール:
変形7.3:(例えば図116を参照)。7.3.a.エクソソームまたはCTCからmiRNAを単離する。T4キナーゼを用いて、単離したmiRNAをリン酸化する。オリゴヌクレオチド対をハイブリダイズする。第1のオリゴヌクレオチドは、固有の5’及び3’リンカー配列に隣接する、単一のC6またはC18スペーサーを含有するmiRNA標的に相補的な配列を含むが、第2のオリゴヌクレオチドは、固有の3’リンカーの相補体が続く5’リン酸化末端、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び最後の塩基がリボヌクレオチド塩基である固有の5’リンカーの相補体を含む。ハイブリダイゼーション混合物中にはまた、5’末端から2番目及び3番目の位置にチオホスフェート結合を含有するユニバーサルプライマーも存在する。T4 RNAリガーゼ2は、miRNAの末端を共有結合で閉じ、環状ライゲーション生成物を作製するために存在する。
7.3.b.5’−3’エキソヌクレアーゼ活性を有する逆転写酵素(Mn2+補助因子を用いるTth DNAポリメラーゼ)を加え、及び(好ましくは株AK16Dからの)熱安定性リガーゼ、dNTPを、アニーリングステップに続いて、または手順の開始時に加える。ハイブリダイゼーション温度伸長及びライゲーションさせ、任意で温度を上げ(例えば60℃)、伸長及びライゲーションを確実に完了させて、ここでは元の標的miRNAのコピーを含有する環状生成物を生成する。
7.3.c.UDG及びAPエンドヌクレアーゼを加えて、元の標的内のmiRNAにニック付加し、次いで、エキソヌクレアーゼI(3’→5’方向に一本鎖DNAを分解する)、及びエキソヌクレアーゼIII(3’→5’方向に二本鎖DNAを分解する)を加え、元の標的miRNAのコピー、固有の識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び任意の患者識別子配列を含む所望の一本鎖環状DNAのみを残しながら、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本生成物は、(phi29ポリメラーゼを有するプライマー結合配列に相補的なプライマーを用いた)ローリングサークル増幅による、所望の配列のタンデムリピートの作製に適している。これに、次世代配列決定を用いた標的の識別、あるいは、任意のプライマー結合配列をプライマー結合部位として用いての、共有結合で閉じた鋳型上での直接SMRT配列決定が続き得る。
注1:オリゴヌクレオチドがまた、任意のプライマー結合部位(即ちユニバーサルプライマー結合部位)もまた含む場合、環状DNAは、PCR増幅、続いて、次世代配列決定、TaqManアッセイ、UniTaqアッセイ、リアルタイムPCRアッセイ、デジタルPCR、マイクロアレイ、ハイブリダイゼーションまたは他の検出法を用いた標的の識別に適している。
別の変異体(図117)は、標的miRNAのいくつかの部分に相補的なステムループ捕捉プローブを利用する。詳細プロトコールは後述するとおりである。
血清、血漿、またはエクソソームに存在する特定のmiRNA種の、任意の選択なしでの捕捉、識別及び定量に関する詳細プロトコール:
変形7.4:(例えば図117を参照)。7.4.a.エクソソームまたはCTCからmiRNAを単離する。ステムループを形成する5’末端、標的miRNAのいくつかの部分に相補的な突起状3’領域を含むステムループプローブをハイブリダイズする。ループ部分は、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び任意の切断可能な結合を含有する。逆転写酵素及びdNTPにより、ステムループプローブの3’末端を伸長する。
7.4.b.(伸長cDNAの5’ステムループ配列及び3’末端に相補的な配列を含む)オリゴヌクレオチドの存在下で核酸を変性させる(94℃で1分)。更に、5’末端をブロックしてニック翻訳を防止する。所望の温度に冷却する(例えば40〜50℃で30分)ことにより、オリゴヌクレオチドが所望の断片の相補領域にハイブリダイズするようにさせる。
7.4.c.KlenTaq(ヌクレアーゼ活性を欠くTaqポリメラーゼ)及び(好ましくは株AK16Dからの)熱安定性リガーゼ、dNTPを、アニーリングステップに続いて、または手順の開始時に加える。KlenTaqは、ライゲーション能のある5’末端まで直接隣接するまで3’末端を伸長する。ハイブリダイゼーション温度にて伸長及びライゲーションさせ、任意で温度を上げて(例えば60℃)伸長及びライゲーションを確実に完了させ、環状生成物を生成する。
7.4.d.切断可能な結合にてオリゴヌクレオチドプローブを切断する(例えば、UDG及びAPエンドヌクレアーゼを用いてUが切断される)。エキソヌクレアーゼI(3’→5’方向に一本鎖DNAを分解する)、及びエキソヌクレアーゼIII(3’→5’方向に二本鎖DNAを分解する)を加えて、元の標的cDNAの短い伸長コピー、固有の識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び任意の患者識別子配列を含む所望の一本鎖環状DNAのみを残しながら、ライゲーションされていない生成物及び過剰のプローブを全て分解する。本生成物は、所望の配列のタンデムリピートを作製するための(phi29ポリメラーゼを有するランダム六量体プライマーを用いた)ローリングサークル増幅、及び後続の、次世代配列決定を用いた標的の識別、あるいは、プライマー結合配列をプライマー結合部位として用いる、共有結合で閉じた鋳型上での直接SMRT配列決定に適している。
注1:オリゴヌクレオチドがまた、任意のプライマー結合部位(即ちユニバーサルプライマー結合部位)もまた含む場合、環状DNAは、PCR増幅、続いて、次世代配列決定、TaqManアッセイ、UniTaqアッセイ、リアルタイムPCRアッセイ、デジタルPCR、マイクロアレイ、ハイブリダイゼーションまたは他の検出法を用いた標的の識別に適している。
予測実施例8−母体の血漿試料からの出生前診断の臨床的必要性。
胎児検診分野において、21、18、または13トリソミー等の一般的な異数性、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)遺伝子での欠失から生じるもの等の小欠失、自閉症の原因となるもの等の他のコピー数の小さな異常、可能性のある臨床症状を測定するためのバランスの取れた転座、アンジェルマン症候群またはプラダー・ウィリー症候群等の刷り込みに関係する病気をもたらし得るメチル化変化、ハンチントン病等の病気の原因となる三塩基反復の変化、嚢胞性線維症の原因となるCFTR遺伝子におけるもの等の点変異に対する非侵襲性アッセイを開発する緊急性が存在する。
概要:近年の研究は、血漿中における母体DNAに対する胎児DNAの割合(%)は、1番目、2番目及び3番目のトリメスターにおいてそれぞれ約6%、20%及び26%であることを示している。DNAが劣化する様式に起因して、母性DNAは通常約160塩基であり、依然としてH1ヒストンと関係している一方、胎児DNAは約140塩基であり、ヒストンとは関係がない。臨床的必要性、及び知識により最良のケアがもたらされる箇所に応じて、適切なトリメスターにおいて胎児DNAを検出するのに十分な感度を有する試験を開発することができる。
遺伝子が既知である、約3,500種類の劣性遺伝病が存在する。最も一般的な疾患は、21トリソミー等の過剰染色体、または、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)遺伝子等の遺伝子の一部の欠失のいずれかの、DNAコピーの異常に起因する。出生前スクリーニングを考慮する際、遺伝病の確率と手技のリスクのバランスを取る必要がある。現在では、標準的なケアでは、35歳の妊娠中の母の17週の間に羊水穿刺が推奨されている。これは、1/200である21トリソミーまたは他の染色体異数性のリスクがここで、該手技の後の自然流産のリスクと一致するからである。
出生前スクリーニングに関する、本明細書で記載される核酸配列決定方法の使用を考慮する際、2つのレベルの試験が推奨される。21、13、及び18トリソミーに対する、全ての妊娠期間の低コストスクリーニングのために、本発明の配列決定方法を用いて、染色体21、13、及び18において異なって発現する遺伝子を速やかに識別することができる、例えば、メチル化サイレンシングの結果として、胎児内でスイッチがオフされるが、大人ではオンされるこれらの遺伝子を識別することができる。3つの対照染色体、即ち2、5、7において、類似の領域を識別する。最初のトリメスターで母の血清からDNAを単離する時でも、対照の染色体領域間でメチル化DNAを非メチル化DNAと比較することにより、胎児から生じるDNAの割合を速やかに計算することができる。本明細書の例では、この割合は6%である。他の染色体のいずれかにトリソミー、即ち21トリソミーが存在する場合、この染色体からのプロモーターは約9%のメチル化を示し、換言すれば、通常の二染色体の場合よりも約50%高い。トリソミーの場合についての90個のメチル化コピーの数が、通常試料の60個のメチル化コピーから容易に区別されるように、1,000個のゲノム等価物のスコアリングが推奨される。
かかる手順の第1ステップとして、成長の初期段階の間に胎児DNA内でメチル化されているが、母性DNA(即ちWBC)で決してメチル化されないこれらのプロモーター領域を識別するために。これは、二倍体胎児を妊娠している女性、トリソミーを含有する胎児を妊娠している女性、及び妊娠していない女性から単離したcfDNAにおけるメチル化パターンを比較することにより、実験的に実施される必要がある。NIPDに対するエピジェネティックなマーカーを用いることに関する一般的な概要については、Patsalis et al.,“A New Non−invasive Prenatal Diagnosis of Down syndrome through Epigenetic Markers and Real−time qPCR,”Expert Opin Biol Ther.12 Suppl 1:S155−61(2012)を参照のこと(その全体が参照として本明細書に組み込まれている)。単一のマーカーPDE9Aにおいてメチル化状態を検出する例としては、Lim et al.,“Non−invasive Epigenetic Detection of Fetal Trisomy 21 in First Trimester Maternal Plasma,”PLoS One 6(11):e27709(2011)(その全体が参照として本明細書に組み込まれている)を参照のこと。本明細書で記載されるアプローチにより、かかるマーカーを更にはるかに速やかに識別可能となる。ゲノム全体での隣接HinP1I部位におけるメチル化を識別するために、図28に概説したアプローチを用いる。あるいは、選択した染色体上の既知の遺伝子に焦点を合わせる時、図27にスコアリングされた特定の標的領域及びメチル化のためにプローブを設計することができる。本アプローチはまた、最終の出生前スクリーニングテストにも用いられる。ゲノム全体での、より多くのメチル化部位、即ちHaeIII部位間の隣接AciI部位に関して、図36に概説したアプローチを用いる。既知の遺伝子に焦点を合わせる場合、図36、37、39、及び40でスコアリングした特定の標的領域及びメチル化に対してプローブを設計することができる。上記アプローチが十分なマーカーを産生しない場合、図33に概説するアプローチを用いて、ゲノム全体での隣接AciI部位におけるメチル化部位を識別してよい。これらの部位に関して、図29、及び31に概説する、より標的指向されたアプローチを用いてよい。
あるいは、胎児成長の間にはスイッチがオンされ、大人の組織または血液中ではスイッチがオフされるある種の遺伝子が存在する。これらの条件下において、二倍体胎児を妊娠している女性、トリソミーを含有する胎児を妊娠している女性、及び妊娠していない女性から単離したcfDNAにおける非メチル化パターンを比較することにより、非メチル化プロモーター領域を識別することが重要となる。メチル化パターンのゲノム全般での喪失を識別するために、図51、57、または62に記載する方法を用いてよい。選択した染色体上で既知の非メチル化遺伝子を識別するために、図53、55、58、60にスコアリングした特定の標的領域及び非メチル化に対してプローブを設計することができる。本アプローチはまた、最終の出生前スクリーニングテストにも用いられる。
更に、上記アプローチはゲノム内の他の位置にて、アンジェルマン症候群またはプラダー・ウィリー症候群等の、刷り込みに関係する病気をもたらし得るメチル化変化を正確に定量することが可能である。メチル化状態を決定し、同時に、SNPまたは反復配列多型検出により、欠失が父系染色体にあるのか、または母系染色体にあるのか(即ち、上流または下流のシス位置にある、母系または父系識別SNPまたは反復配列多型の欠失)を判定する本発明の能力は、刷り込み病の診察識別能を向上させる。
DANSRと称される非侵襲性出生前診断のために染色体断片をカウントするリガーゼベースのアプローチが近年報告されている((Sparks et al.,“Selective Analysis of Cell−free DNA in Maternal Blood for Evaluation of Fetal Trisomy,”Prenat Diagn.32(1):3−9(2012)、その全体が参照として本明細書に組み込まれている)。本アプローチは、染色体腕上でのライゲーション反応において3つの断片を使用することに基づく。左の断片は上流ユニバーサル配列を含有し、中央の断片及び右の断片は下流ユニバーサル配列を含有する。ライゲーション反応の後、生成物を投入プライマーから単離し、PCR増幅して配列決定する。擬似ライゲーション(即ち、中央の断片がない、上流の偽の下流プライマーへの直接結合)は配列決定により容易に区別でき、5%未満であった。本発明はまた、図63〜69に記載するような、ゲノム全体のライゲーション生成物から特定の標的を捕捉するか、または図13〜26、もしくは図70〜78に記載するような、初期ライゲーション事象の間に標的特異的プローブを用いるかのいずれかにより、本アプローチを用いることができる。
上記アプローチは染色体領域の計数に依存するため、本技術の正確性は、かかる領域において多型を利用することにより向上し得る。図70、77、及び78は、反復配列多型を含有する断片を捕捉するための一連の技術について記載している。これらの多型は、ゲノムにまたがるかまたは規定の箇所のいずれかにおいて、コピー数増加またはコピー数減少のいずれかについてのコピー数差の識別を可能にし、この差は、癌ゲノム分析にも適切である。トリソミーは、初期の減数分裂中、または2番目の減数分裂中の非分裂からも生じ得る。精子形成の場合を取り上げる。1番目の減数分裂において非分裂が生じる場合、相同染色体は後期の間に同じ極に移動する。続いて、これらが分裂して配偶子を形成する時、2つは二染色体性(それぞれの親の染色体の1つを含有する)となり、2つは零染色体性となる。これらの配偶子が正倍数体卵を受精する場合、得られる接合子は2つが三染色体性(1+1+1)、及び2つが一染色体性である。一方、2番目の減数分裂にて非分裂が生じた後、姉妹染色分体が後期の間に同じ極に移動する。続いて、これらが分裂して配偶子を形成する時、1つは二染色体性(同じ親の染色体の2つを含有する)となり、1つは零染色体性となり、2つが正倍数体となる(それぞれの染色体を1つ)。これらの配偶子が正倍数体卵を受精する場合、得られる接合子は1つが三染色体性(2+1)、及び1つが一染色体性、及び2つが正倍数体(二染色体性)である。母系染色体についても同じことが当てはまる。したがって、トリソミー胎児は、父系及び母系染色体の多数の異なる組み合わせを有し得る。
母系DNAについての1,000個のゲノム等価物、及び胎児DNAについての100個のゲノム等価物の例を用いて、コピーの存在と多型の存在をスコアリングすることによる区別の差を示すことができる。テトラヌクレオチド反復を有するもの等の、非常に多型のマーカーを用いる場合、3つ、または4つ全ての多型が異なることは珍しいことではない。結果をこれらの場合と比較し、ここでは、母系または父系染色体に対するマーカーのいずれかは同一であるか、または異なっている。染色体2を対照として用い、染色体21をトリソミーの例として用いる。
ケース1(コピー数のみ)
ケース2(母系マーカーはホモ接合、母系非分離、最初の減数分裂)
*注:対立遺伝子2M1及び2M2は同一であるので、合計は2,100である。同様に、対立遺伝子21M1及び21M2は同一であるので、合計は2,200である。父系対立遺伝子はヘテロ接合またはホモ接合のいずれかである。
ケース3(母系マーカーはホモ接合、母系非分離、2番目の減数分裂)
*注:対立遺伝子2M1及び2M2は同一であるので、合計は2,100である。同様に、対立遺伝子21M1及び21M2は同一であるので、合計は2,200である。父系対立遺伝子はヘテロ接合またはホモ接合のいずれかである。
ケース4(母系マーカーはヘテロ接合、母系非分裂、最初の減数分裂)
ケース5(母系マーカーはヘテロ接合、母系非分裂、2番目の減数分裂)
*注:追加のトリソミーの組み合わせが存在し、これらにおいて、対立遺伝子21M1の2つのコピーは受精卵内にある。
ケース6(母系マーカーはホモ接合、母系非分裂、最初の減数分裂)
*注:対立遺伝子2M1及び2M2は同一であるので、合計は2,100である。同様に、対立遺伝子21M1及び21M2は同一であるので、合計は2,100である。父系対立遺伝子はヘテロ接合またはホモ接合のいずれかである。
ケース7(母系マーカーはホモ接合、母系非分裂、2番目の減数分裂)
*注:対立遺伝子2M1及び2M2は同一であるので、合計は2,100である。同様に、対立遺伝子21M1及び21M2は同一であるので、合計は2,100である。父系対立遺伝子はヘテロ接合またはホモ接合のいずれかである。
ケース8(母系マーカーはヘテロ接合、母系非分裂、最初の減数分裂)
ケース9(母系マーカーはヘテロ接合、母系非分裂、2番目の減数分裂)
*注:追加のトリソミーの組み合わせが存在し、これらにおいて、対立遺伝子21P2の2つのコピーは受精卵内にある。
この分析から、トリソミーを区別するためには、最も有用なマーカーは、母系遺伝子座が多型であり、父系遺伝子座が母系対立遺伝子の両方とは異なるものであることが明らかである。父系遺伝子座は多型である必要はない。例えばデュシェンヌ型筋ジストロフィーに見出される、X連鎖欠失に関して、病気はほとんどの場合において男子で現れるため、アプローチは更に簡便である。再び、欠失が起こる領域において、染色体2をX染色体と比較する。
ケース10(母系マーカーはヘテロ接合であり、遺伝X連鎖欠失)
*注:遺伝領域の欠失
ケース11(母系マーカーはヘテロ接合、胎児はX連鎖欠失を含有しない)
*注:遺伝領域の欠失
ケース11(母系マーカーはヘテロ接合、散発性X連鎖欠失)
*注:遺伝領域の欠失
ケース10は、母がキャリアである遺伝デュシェンヌ型筋ジストロフィーを示している。これらの条件下において、2つのX染色体対立遺伝子の合計量は、他の位置の半分のようである。ケース11において、胎児は病気を有さず、ケース12において、病気は胎児で現れる散発性変異である。Y染色体マーカーは雄の胎児を確認する。上では、ジェノタイピングがDMD遺伝子座においてどのように実施されるかが示されている。母がキャリアであるという知識が予め存在する場合、隣接多型による欠失のフェージングを測定することができ(以下を参照)、続いて、これらの隣接多型をまた用いて、胎児も欠失を保有するのか、かつ、胎児が雄である場合、病気に感染しやすいのかどうかを確認することができる。本アプローチを用いて、X連鎖及び常染色体優性変化の両方を発見することができる。
胎児が、欠失、点突然変異、または異常メチル化を含む、およそ3,500種類の他の疾患の1つにおいて、遺伝または散発性変異を含有するか否かを判定するために、より洗練された分析が推奨される。配列分析は、両方の親における劣性対立遺伝子の存在を速やかに決定する。変異が両方の親で異なる場合、母の血清からの無細胞DNAを評価することにより、子供が病気に関して複合ヘテロ接合体であるか否かを判定することが可能である。母系血清内の胎児DNAの分析から全ての回答を得るためには、本アッセイに2つのパートが必要となり得る。第1のパートは、病気の遺伝子を取り囲む反復領域内の母系SNPまたは多型用のフェーズを確立することである。このことは、母の白血球から、または父の唾液から高分子量のDNAを単離することにより達成され得る。
正確なハプロタイプまたは位相を決定することは、Complete Genomicsにより開発されたアプローチの変形を用いることにより達成され得る(例えば、Peters et al.,“Accurate Whole−genome Sequencing and Haplotyping from 10 to 20 Human Cells,” Nature 487(7406):190−5(2012)を参照、その全体が参照として本明細書に組み込まれている)。本出願に関して、HMW DNAは、ウェルあたり1つ未満の染色体が存在するように、96または384ウェルプレートに分配される。続いて、ゲノム増幅を用いて、どのウェルが染色体を含有するのかを決定し、その後、母系疾患対立遺伝子に対する96個の隣接SNPまたは反復配列多型の相を、問題の遺伝子に関して決定する。これが達成されると、父からの疾患対立遺伝子の存在を(上記アプローチ4に記載するように)スコアリングし、かつ、配列決定を用いて、母から遺伝した染色体もまた疾患対立遺伝子を含有することを確認する。ゲノム全体での、DNAの反復配列の捕捉のための複数のアプローチを本明細書で記載し、これらを用いて、元の、または全ゲノムが増幅されたDNAからの多型を識別することができる。
二倍体ゲノムからハプロタイプを決定する能力は、配列決定またはいくつかの他の技術によるジェノタイピングの前に、染色体またはサブ染色体断片の物理的単離に実質的に依存する、依然として大変技術的に困難であり高価な課題のままである。以下では、ゲノムDNAの同一鎖上の2つの領域を捕捉し、2つの領域により規定されるハプロタイプ構造の決定を可能にする、迅速かつ容易な手順について記載している。
それぞれの可能性のある標的に関して、それぞれが、標的の2つの多型のそれぞれに隣接する上流及び下流部分に相補的な配列を含有する、2つのオリゴヌクレオチドを同時にハイブリダイズする。これらの多型はテトラヌクレオチド、トリヌクレオチド、もしくはジヌクレオチド反復、またはSNPであることができる。最も有益な多型は、胎児に転写される、母系染色体、及び父系染色体の両方が多型であるものである。ポリメラーゼを用いて、2つの3’末端のそれぞれから伸長してギャップを閉じ、隣接結合配列の2つの対の間に位置する多型の遺伝子型を決定する。標的となる2つの多型は必ずしも互いに隣接する必要はなく、他の多型により分離されることができる。対象の2つの多型の間の距離は、2つのオリゴヌクレオチドに含有される4つの結合配列により架橋される確率のみにより制限される。オリゴヌクレオチドのそれぞれは、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び5’末端上の任意のホスフェートを含有する。
2つの既知の多型間のハプロタイプの決定に関する詳細プロトコール:
変形8.1:(例えば図113を参照)。8.1.a。高分子量(15kb超)材料を得る方法によりゲノムDNAを単離する。
8.1.b。2つのオリゴヌクレオチド(第1のオリゴヌクレオチドは、標的多型#1の固有領域上流に相補的な5’配列、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び標的多型#2の固有配列下流に相補的な3’配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドは、標的多型#2の固有領域上流に相補的な5’配列、固有の識別子配列、任意の患者識別子配列、及び標的多型#1の固有領域下流に相補的な3’配列を含む)の存在下で標的DNAを変性させ(94℃、1分)、所望の温度に冷却する(例えば50℃で2時間)ことにより、オリゴヌクレオチドが所望の断片の相補領域にハイブリダイズするようにさせる。Taqポリメラーゼ及び/またはKlenTaq(ヌクレアーゼ活性を欠くTaqポリメラーゼ)、並びに(好ましくは株AK16Dからの)熱安定性リガーゼ、dNTPを、アニーリングステップに続いて、または手順の開始時に加える。オリゴヌクレオチド配列の両方が5’ホスフェートを有する場合において、KlenTaqは、ライゲーション能のある5’末端に直接隣接するまで3’末端を伸長する(図113の左側)。オリゴヌクレオチド配列の両方が5’OHを有する場合において、ポリメラーゼの5’→3’ヌクレアーゼ活性はマッチする5’重複塩基を切断し、ライゲーション能のある5’ホスフェートを作製する(図113の右側)。ハイブリダイゼーション温度にて伸長及びライゲーションさせ、任意で温度を上げて(例えば60℃)伸長及びライゲーションを確実に完了させ、環状生成物を生成する。
8.1.c。エキソヌクレアーゼI(3’→5’方向に一本鎖DNAを分解する)、及びエキソヌクレアーゼIII(3’→5’方向に二本鎖DNAを分解する)を加えて、元の標的DNA、リンカー配列、固有の識別子配列、任意のプライマー結合配列、及び任意の患者識別子配列を含む所望の一本鎖環状DNAのみを残しながら、ライゲーションされていない生成物またはニック生成物を全て分解する。本生成物は、所望の配列のタンデムリピートを作製するための(phi29ポリメラーゼを有するランダム六量体プライマーを用いた)ローリングサークル増幅、及び後続の、次世代配列決定を用いた標的の識別、あるいは、プライマー結合配列をプライマー結合部位として用いる、共有結合で閉じた鋳型上での直接SMRT配列決定に適している。
注1:本アプローチはまた、容易に、変異を引き起こす実際の病気を有するハプロタイプ(即ち位相)の確立を可能にする。多型部位の1つが実際の病気遺伝子となるように、プライマーが設計される。
注2:それぞれが固有の識別子配列、任意の患者識別子配列及び任意のプライマー結合部位を含有する2つの架橋オリゴヌクレオチドプローブを用いるシステムにおいて、オリゴヌクレオチドの両方ではなく一方のみがプライマー結合部位(上流または下流オリゴヌクレオチドのいずれか)を含有することが推奨される。偽陽性検出の追加レベルに関して、固有の識別子配列は上流及び下流プローブで異なることが推奨される。
注3:2つのオリゴ結合配列が、DNAの連続伸長により実際に結合されるライゲーション生成物の形成を最大化し、架橋断片が連続しないライゲーション生成物の形成を最小限にすることが重要である。
例証の目的のために以下の例を考える。上流領域は「X」と示され、AGATテトラヌクレオチド反復を有するが、下流領域は「Y」と示され、CAジヌクレオチド反復を有する。上流領域Xは以下で上流プライマー結合部位「X-up」と示され、AGAT(n)はテトラヌクレオチド反復領域であり、「X-dn」が下流プライマー結合部位である。下流領域Yは以下で上流プライマー結合部位「Y-up」と示され、CA(n)はジヌクレオチド反復領域であり、「Y-dn」は下流プライマー結合部位である。本実施例では、2つの領域は10kb離れており、2つの母系染色体は、
X-up AGAT(12) X-dn.........(10kb).......Y-up CA(23) Y-dn
X-up AGAT(16) X-dn.........(10kb).......Y-up CA(18) Y-dn
の形態である。
次いで、下の鎖に結合するライゲーション−伸長プライマーを加える(図113の通り)。これらは、
(左) 5' X-dn-プライマー部位-識別子#1-Y-up 3'
(右) 5' Y-dn-識別子#2-X-up 3'
の形態を取る。
(本実施例では、プライマー結合部位は左のプライマーにのみ存在する。)
次いで、ハプロタイプにより規定される2つの可能なライゲーション生成物(プライマー結合部位にて線状化されるため、続くのが一層容易である)は、
プライマー部位-識別子#1-Y-up CA(23) Y-dn-識別子#2-X-up AGAT(12)X-dn
プライマー部位-識別子#1-Y-up CA(18) Y-dn-識別子#2-X-up AGAT(16)X-dn
の形態を取る。
非連続部位から生じる生成物の確率が微小となるように反応を希釈することにより、同一染色体断片上の連続部位から生じる正しい生成物の形成を最大化することができる。更に、プライマーが染色体DNAに対して大変過剰であるので、2つの断片が連続していない場合、各断片が既に、断片に結合する「左」及び「右」複合プライマー(即ち、2つの別の断片に結合する4つのプライマー)を有する確率が非常により高い。2つの断片が連続している場合のみ、その2つの領域が各「左」及び「右」複合プライマーの1つにより互いに結合される可能性が高い。これは、異なる標的濃度対ライゲーション−伸長プライマーの異なる希釈の条件のマトリクスを生成することにより正しいライゲーション生成物を最適に得る直接的で簡単な実験である。
合わさる2つの異なる染色体領域から生じる間違ったライゲーション生成物が存在する場合、CA(23)がAGAT(16)と結合し、CA(18)がAGAT(12)と結合する生成物が間違って作製される。
例として、ライゲーション生成物の80%が、連続していない架橋断片から生じる最悪の場合のシナリオを考える。簡便さのため、1,000ゲノムの等価物を推定する。生成物が架橋断片から生じる場合、同一の母系染色体、そして父系染色体(即ち、それぞれ400個)から生じる可能性は等しいことに留意されたい。しかし、連続するDNAから生じるこれらの生成物は、同一の母系染色体(即ち、それぞれ200個)からのみ生じる。したがって、以下の組み合わせが存在するはずである。
CA(23)及びAGAT(12) 600(=400+200)
CA(23)及びAGAT(16) 400
CA(18)及びAGAT(12) 400
CA(18)及びAGAT(16) 600(=400+200)
これらの数字が、最も好ましくない方向に50変動しても(架橋断片から生じるライゲーション生成物の90%に等しい)、各染色体において、CA(23)及びAGAT(12)、並びにCA(18)及びAGAT(16)としてハプロタイプ区別するのは依然として直接的で簡単であろう。
CA(23)及びAGAT(12) 550(=400−50+200)
CA(23)及びAGAT(16) 450(=400+50)
CA(18)及びAGAT(12) 450(=400+50)
CA(18)及びAGAT(16) 550(=400−50+200)
あるいは、第2のアプローチにおいて、病気遺伝子を、20個の最も一般的な遺伝病、及び常染色体優性病に分け、次いで、それぞれ平均200個の遺伝子をカバーする、さほど一般的でない変異配列の17個のグループに分けてよい。遺伝子の各グループを捕捉プローブセットによりカバーし、次いで、父系配列決定分析の結果に応じて、母体血液に適切な患者識別子を与え、17個の特別プローブ捕捉セットの1つ以上で評価する。
上記アプローチの1番目では、遺伝及び散発性変異の両方を識別すると共に、胎児が母から変異を有する領域を遺伝しているか否かを決定する。本アプローチではまた、X連鎖遺伝病に関する欠失、他の染色体欠失、胎児における異常メチル化、三塩基反復から生じる病気、及び染色体点在または他の転位から生じる病気の存在を決定することもまた可能なはずである。
2番目のアプローチでは、照会遺伝子に関する病状を識別する。鍵となる問題は、家族にとって正しい回答を得ることがどれほど重要であるか、ということである。両方の親が保持者であるか否かを決定するのは直接的で簡単であり、変異が異なる場合、父の疾患対立遺伝子が胎児に存在するか否かを決定するのは比較的直接的で簡単である。存在しない場合、胎児は病気を有しないか、または保持者であるかのいずれかとなる。存在する場合、母系対立遺伝子が遺伝子、病気を受け取る可能性は50%である。母系対立遺伝子に関するハプロタイプが決定された場合、ハプロタイプマーカーを用いて、遺伝母系対立遺伝子の存在または不存在を確認してよい。羊水穿刺を行い、母系対立遺伝子の存在を直接試験することもまた、賢明であり得る。現在では、前述で概略を述べた通りに遺伝子を配列決定し、父系疾患対立遺伝子についてスコアリングをすることが推奨される。存在する場合、または、父系及び母系病気特異的変異が同一である場合、医師は羊水穿刺を推奨する。
本発明の方法はまた、バランスの取れていない染色体転座の非侵襲性出生前診断及び着床前遺伝子診断(PGD)のために用いることも可能である。染色体転座を有する個体は、不妊症、不着、死産、及び/または先天性異常を有する子供を持つリスクが増加する。着床前遺伝子診断により、正しい量マテリアルバランス(バランスが取れた/通常)を有する胚と、転座の結果遺伝物質を欠いている(バランスの取れていない)胚とを区別することが可能である。一方が転座キャリアである多くの夫婦は、不着を経験しているか、または、不均衡な染色体セットを有する妊娠について学ぶ際、異なる選択を行うことに直面している。本発明の方法に基づくPGD により、移った胚はバランスの取れた染色体転座を有するという概念を予め知ることで、これらの特定の状況に対処しなければならない可能性が低下する。
染色体特異的SNPまたは相対的配列多型をスコアリングするアプローチはまた、着床前スクリーニングで用いることもできる。生体外受精による、21、18、及び13トリソミーのみが受け入れられる(同様に、X及びY染色体異常である)妊娠とは対照的に、他の染色体異常は依然として、16、32、またはより大きい細胞数段階での増殖が可能となり得る。したがって、ゲノム全体での多型は、適切なコピー数、及び染色体領域のロスまたはゲインの両方を考慮に入れるのに必要である。照会される多型の数が多ければ多いほど、より細密にコピー数変化を決定することができる。
予測実施例9−胎児の父系試験(例えば胎児検診支援)
概要:基本的なアプローチは、父には存在するが、母には存在しない対立遺伝子の存在を調査することである。これには2つの一般的なアプローチがある。共通の対立遺伝子を約70〜75%の頻度で有するSNPから開始することができ、それにより母が主要対立遺伝子に関してホモ接合である可能性は、約50%である。約半分(24個)に関して、母が共通の対立遺伝子に関してホモ接合となる約48個のSNPから開始することができ、父が少数の対立遺伝子に関してヘテロ接合またはホモ接合のいずれかとなる可能性は50%である。変異の調査の同じように、母体血液中における少数の対立遺伝子を簡便にスコアリングするが、父からの少数の対立遺伝子を確認するためだけに、存在する量も定量する。第2のアプローチは、約50%の頻度を有する対立遺伝子から開始し、母が対立遺伝子の1つに関してホモ接合である可能性は50%であり、父がその位置において別の対立遺伝子を有する可能性は75%である。父を区別するには、わずかにさほど情報量が多くはないが、より多くの位置の情報が有益である。第3のアプローチは、所与の位置において、父の対立遺伝子が母の対立遺伝子のいずれかと異なる可能性が高くなるように、高い多型度を有する反復配列多型を用いることである。これには、最少量の対立遺伝子が必要となる。これらの全ての条件下において、夫が胎児の父でない(非父系)である場合、母のプライバシーを尊重して、医師によりケアがなされなければならない。
(表1)本開示のオリゴヌクレオチド配列
/3Phos/=3’ホスフェート
/3SpC3/=3’C3スペーサー(3’末端をブロック)
/5Phos/=5’ホスフェート
/5SpC3/=5’C3スペーサー(5’末端をブロック)
/52−Bio/=5’デュアルビオチン
/idSp/=内部1’,2’−ジデオキシリボース(dスペーサー)
/i5NitInd/=内部5−ニトロインドール
+G=LNA(ロックド核酸)グアニジン
N=任意の塩基
rG=リボ−グアニジン
U=デオキシウリジン
*=チオホスフェート骨格
好ましい実施形態を本明細書において詳細に記述及び記載したが、関連分野の当業者には、本発明の精神から逸脱することなく、種々の変更、追加、置換等を行うことができ、したがってこれらは、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲内であると考えられることが明らかとなるであろう。