近年、ブロードバンドサービスの使用の増加及びその普及拡大と、その結果として高まる無線通信システムからのスペクトルリソースの需要により、情報送信に対する代替的な手法が、例えば、異なる変調スキーム、MIMO(「多入力多出力」)アーキテクチャを用いる空間ダイバーシティ技術、及び同様のものなどの徹底的な分析及び研究のテーマとなってきた。
最新の技術の1つが、無線送信のスペクトル効率(故に、容量)を改善する潜在的な可能性があるという理由で、トポロジー的なダイバーシティ(topologic diversity)に取り組む。
電磁波がエネルギー及び線形運動量に加えて角運動量も運ぶことは、一世紀以上前から公知である。それに関し、角運動量の2つの形態が存在する。1つ目は、電磁場の偏光に関するものであって、スピン角運動量(SAM)と定義される。2つ目は、電磁場の空間的分布に依存するものであって、軌道角運動量(OAM)と定義される。スピン角運動量は、古典電磁場及び1つ1つの光子の内因性の特性であり、電磁場の回転自由度のスピン特性を説明するものである。しかしながら、自由空間では、スピン角運動量は、左旋偏波又は右旋偏波の偏波にそれぞれ対応するσ=±1という2つの値だけしかとらない。
それとは逆に、電磁気的な軌道角運動量(OAM)は、古典電磁場及び1つ1つの光子の外因性の特性であり、その回転自由度の軌道特性を説明するものである。電磁場位相因子exp{iαφ}は、OAMと関連付けられ、任意の値をとり得る。ここで、φは波動ビームの軸周りの方位角であり、αは位相関数である。そのため、任意数のOAMモードを運ぶ波動ビームは、互いに直交し、故に独立して伝播するであろう、別個の整数のOAM自己モードのスペクトルを含む。換言すると、OAMは、次元がN=1,2,3,...の状態空間を含み、そのため、多数の任意状態を備える「アジマス偏波(azimuthal polarization)」であると見なされ得る。
この技術により、複数の信号は、軌道角運動量の異なる直交状態を使用して送信され、同じキャリア周波数を使用する事実上無限のチャネル数を提供し、伝送率の向上をもたらす。
OAM技術は、Allenら[L.Allen、M.W.Beijersbergen、R.J.C. Spreeuw、及びJ.P.Woerdman、「Optical angular momentum of light and the transformation of Laguerre Gauss laser modes」、Phys.Rev.A、第45巻、8185‐8189ページ、1992年]が、OAMが、らせん状位相を有する自然なビーム特性を有し、エルミートガウスビームをラゲールガウスビームに変換することで生成され得ることを発見する1992まで、さほど関心を呼ばなかった。
特に、OAMビームの状態の直交性により、光通信にOAMビームを使用する技術が大いに注目されてきた。OAMは、複数の直交状態として情報を符号化し、同じキャリア周波数を使用して、又は多重化のために異なるOAM状態を使用して、事実上無限のチャネル数を提供することにより、光通信システムのスペクトル容量及びスペクトル効率を大いに向上させ得る。
しかしながら、レーザ光学における、純粋で明確(well‐defined)なOAM状態で複数の光子を生成し、検出し、操作するための複数の実験技術の発見により、それまでは、応用分野は主に光周波数に関するものであった。そのような電磁場の基本的な物理的特性は、光学系から無線周波数に移行され得る。実際、無線通信分野における応用についての全ての研究は、10年を超える間、光周波数の枠内に留まっていた。見方が変わったのは、アンテナのアレイが、らせん状の波面(位相面が方位角に対して線形的に変化することを意味する)と光学系におけるラゲールガウスレーザビームと同様な複数のOAMモードとを有する無線ビームを生成し得るということを研究者らが示したときだった。
OAM特性を備える電波を生成すべく、同心で均一な円形アンテナアレイ(UCA)が使用されていた。UCA内の複数のアンテナ要素には、同じ入力信号が供給されたが、各要素に位相遅延が加えられた。それにより、1回転した後、位相は2πの整数k倍だけ増加させられたであろう。近接場領域において計算された場強度ダイアグラムは、近軸光学系において得られるものに非常に類似していた。この研究はまた、1つのビームにおける異なるOAM状態が、ビーム軸周りの円に沿ってexp(−jkφ)で重み付けされた複素数体のベクトルを積分することによって、どのように分解され得るかを強調した。
したがって、OAMベースの無線送信は、同じ帯域内において同じキャリア周波数で送信するための1つの可能なスキームを提供する。当該分野の実験が、Tamburiniらによって2011年ベニスで実施され[F.Tamburini、E.Mari、A.Sponselli、B.Thide、A.Bianchini、及びF.Romanato、「Encoding many channels on the same frequency through radio vorticity:first experimental test」、New J. Phys.、第14巻、Is.3、2012年3月]、同じ周波数で、2つの異なるOAM状態(l=[0,1])に符号化された2つの非干渉性の電波を同時に送受信することが可能であることを証明した。そのため、OAMベースの電波の送信は、従来の無線通信技術と比べて、接続レベルでスペクトル効率を改善する新しい機会を提供するように見える。
従って、軌道角運動量を持つ複数の電磁モードを有する複数の信号を送信及び/又は受信するためのシステムと、関連するデバイス及び方法とを提供することが本発明の目的である。信号の生成及び受信のプロセスは、複数のパスバンド信号でも容易に実装され得る。
軌道角運動量を持つ複数の電磁モードを有する複数の信号の送信及び/又は受信のためのシステム、デバイス、及び方法が以下で手短に説明される。OAM信号生成のプロセスは、デバイス、すなわち、離散フーリエ変換(DFT)を施すモーダル変換器によって行われる。特に、DFTは、複数の高周波数パスバンド信号とでもまた使用され得る複数の結合器/分割器及び複数の位相シフタなどのアナログコンポーネントによって実装される。複数のOAM信号は送信中に生成される。
受信において、本発明に係る同様のデバイスが、離散フーリエ逆変換(discrete Fourier anti‐transform)による逆モーダル変換を受信された複数のOAM信号へ施すことを可能にし、それにより、結果的に、初めに送信された複数の電磁信号を得る。
上記目的は、本記載の不可欠な部分である添付の特許請求の範囲に述べられた複数の特徴を有する、軌道角運動量を持つ複数の電磁モードを有する複数の信号を送信及び/又は受信するためのシステム、デバイス、及び方法によって達成される。
図1を参照すると、軌道角運動量(OAM)を持つ複数の電磁モードを有する複数の信号の通信のためのシステム(1)は、上記複数のOAM信号の生成及び送信のためのシステム1Tと、上記複数のOAM信号の受信のためのシステム1Rとを備える。
本発明に係るシステム1は、N個の送信アンテナ5とN個の受信アンテナ6とのアレイを使用して、それぞれが帯域幅Bを有するM個の送信チャネルL0、L1、...、LM−1(ブロック3)を、帯域幅Cを有する単一の無線チャネルで多重化することを提供する。
このようにして、使用可能な無線チャネルの(M回の)再利用が、複数の伝播経路が無い場合でさえも可能になる。加えて、使用される波の(垂直、水平、円)偏波は、チャネルの更なる再利用を可能にする更なる自由度をもたらす。
通信システム1は、M個の入力及びM個の出力を備えたブロック7としてモデル化され得る。それぞれが公知の変調で動作する、最大M個の送信機BBTx0..BBTxM−1(ブロック3)が上記M個の入力に接続され、同じM個の受信機BBRx0..BBRxM−1が上記M個の出力(ブロック9)に接続される。原則として、受信機BBRx0は送信機BBTx0から送信される信号を受信し、受信機BBRx1は送信機BBTx1から送信される信号を受信する、などとなる。しかしながら、ブロック7は、欠陥及び寄生結合の影響を受けることが考えられる無線チャネル及び複数のアンテナを備えるので、上記ブロック7の伝達行列は、理想的ではない、すなわち対角行列ではない。しかし、チャネル内の異なる信号間での相互干渉があるだろう。
伝達行列を対角化し、相互干渉をキャンセルすべく、従来技術であるMIMO技術が使用され得る。例えば、2つの偏波(例えば、垂直及び水平)上で2つの独立したストリームを送信すべく、通常複数の「XPIC」(「交差偏波干渉キャンセラ(Cross Polar Interference Canceller)」)回路が複数の無線リンクにおいて使用される。したがって、2×2MIMO技術が実装され、通信システムの容量を二倍にする。XPICキャンセラは、垂直偏波信号の水平偏波信号と干渉する成分を推定し、当該成分を水平偏波信号から差し引く。同じことが他方のストリームに対しても行われる。
N個の送信アンテナ5は、円周上に等間隔で配置される。そのようなタイプのアンテナアレイは、−N/2<A<N/2の角度インデックス(angular index)Aを有する複数のOAMモードの生成を可能にする。
M個のベースバンド送信機BBTx0..BBTxM−1によって生成された複数の電磁信号は、それぞれが各OAMモードに割り当てられたM個の入力L0、L1、...、LM−1に送信される。A=0モードは、古典的(classic)な平面波に関連付けられたモードである。典型的な割り当てによると、最小の複数のインデックスを有する複数のモードが、それらは何れの場合でもよりロバストであるという理由で最初に使用され、続いてA=0、1、−1、2、−2、などの漸進的により高いインデックスを有するモードが使用される。
複数のOAMモードとN個の送信アンテナ5に供給されるM個の入力電磁信号との間のマッピングは、本発明に係るデバイス11、すなわち、離散フーリエ変換(DFT)を実行するモーダル変換器TM11によって有利に実行される。例えば、入力信号として、モーダル変換器TM11のインデックスh(ここで0≦h<M)を有する入力におけるユニタリ信号を考える。当該信号は、DFTによって、複数の出力においてexp(j2πhk/N)タイプ(kは、DFTの出力のインデックスである)の位相ランプに変換されるであろう。DFTの線形特性のおかげで、マッピングは全ての入力電磁信号L0、L1、...、LM−1について同時に行われ得る。
−N/2<A<N/2であるので、DFTは、正の複数の出力位相ランプにおける複数の入力h=1、...、(N/2)−1、及び負の複数の出力位相ランプにおける入力h=(N/2)、...、(N−1)をマッピングする。
特に、ユニタリ入力h=1により、A=1モードについて使用される、1周期1サイクルを有する位相ランプ、すなわちexp(j2πk/N)がDFT出力において得られ、ユニタリ入力h=2により、A=2モードについて使用される、1周期2サイクルを有する位相ランプexp(j2π2k/N)が得られる、などとなる。ユニタリ入力h=(N−1)により、A=−1モードについて使用される、1周期1サイクルを有する負の位相ランプexp(−j2πk/N)が出力において得られ、ユニタリ入力h=N−2により、A=−2モードについて使用される、1周期2サイクルを有する負の位相ランプexp(−j2π2k/N)が出力において得られる、などとなる。
より良好なコンポーネントの効率及び/又は経済性のために、特に、2の整数乗である値Nを使用することが可能である。この選択が成された場合、DFTは、FFT(「高速フーリエ変換」)アルゴリズムによってより効率的に実装され得る。
「時間デシメーション」アルゴリズム及び「周波数デシメーション」アルゴリズムと呼ばれる主なFFTアルゴリズムは、自然に配置された複数の入力を使用し、「ビット反転」配置(ビット反転置換)で複数の出力を提供する、又はその逆を行う。「ビット反転」配置の場合、通信システム1は、再度自然な配置を得るためのストリーム置換ブロックを備える。
モーダル変換器TM11の下流に、第1のUPC周波数変換器13、すなわち「アップ変換器(Up‐Converter)」がある。(全ての信号について同期している)周波数変換器13は、使用中の無線チャネルの周波数で複数の出力OAM信号を得ることを可能にする。すなわち、当該変換器は、複数のOAM信号をベースバンドからパスバンドに変換する。
周波数変換された複数のOAM信号は、N個の送信アンテナ5(AT0、AT1、...、ATN−1)に送信される。そのような複数の送信アンテナ5は、任意の技術、例えば、ダイポール、八木‐宇田、ホーンなどを使用して実装され得る。接続性能を改善すべく、単一アンテナATの指向性が有効に利用され得る。
受信システム1Rに関しては、受信アンテナ6(AR0、AR1、...、ARN−1)のアレイが使用され得る。当該受信アンテナは、送信アンテナ5と類似しており、かつ対称である。
受信アンテナ6 AR0、AR1、...、ARN−1によって、A=hモード(ここで−N/2<h<N/2)のOAM波が受信される。当該受信アンテナの複数の出力において、exp(j2πhk/N)タイプの位相シフトが発生する。ここで、kは、複数の受信アンテナ6のインデックスである。
複数の受信アンテナ6の下流に、本発明に係るデバイス11と同様なデバイス15がある。しかしながら、この場合は、デバイス15は、逆DFT演算(IDFT)を実施する逆モーダル変換器(inverse modal transformer)TMI15であり、それにより、各OAMモードで送信された複数の電磁信号を、その出力L0、L1、...、LM−1において選択的に元に戻す。モーダル変換器TM11及び逆モーダル変換器TMI15の線形特性により、システム1は同時に複数のモードに対して動作し得る。
フーリエ変換の双対性のおかげで、同じデバイス11,15は送信及び受信の両方で使用され得る。
受信アンテナ6と逆モーダル変換器TMI15との間に第2のDNC周波数変換器17(「ダウン変換器」)がある。当該変換器は、全てのストリームについて同期しており、その入力は、使用中の無線チャネルの周波数である。上記DNC変換器17は、受信された複数の電磁信号をベースバンドに戻すことができる。第2のDNC周波数変換器17は、複数(M個)の周波数変換器を備えるのが好ましい。
逆モーダル変換器TMI15とM個の受信機BBRx0..BBRxM−1との間には、干渉キャンセラXIC19があるのが好ましい。当該キャンセラは、その中を通過中の複数の信号の何れの相互干渉をも打ち消す、すなわち、当該キャンセラは、特定のOAMモードに関連付けられた各信号から、他の複数のOAMモードに関連付けられた複数の信号を除去する。換言すると、干渉キャンセラXIC19は、「交差偏波干渉キャンセル」技術と同様の機能を実行する。
システム1では、モーダル変換器TM11及び逆モーダル変換器TMI15は、複数の複素ベースバンド信号、典型的にはサンプリングされた複数の複素ベースバンド信号に対して動作する。従って、システム1のアーキテクチャは、サンプリングされたデータの数値処理技術で作られた複数の送信機及び/又は複数の受信機に容易に統合され得る。
本発明の第2の好適な実施形態では、モーダル変換器TM11及び第1のUPC周波数変換器13の位置が逆にされ、同じことが、受信部において第2のDNC周波数変換器17及び逆モーダル変換器TMI15にも適用される。そのような場合においては、モーダル変換器TM11及び逆モーダル変換器TMI15は、選択された無線チャネルの周波数で、それ故、複数のパスバンド信号で動作するであろう。このことにより、第2のDNC周波数変換器17を完全な形で実装する必要がなくなる。
実際、図2を参照すると、システム1は極めて多くの信号を送信するが、受信機はそれらの一部だけを選択しなくてはならず、それにより、実際には一度に1つの受信機だけが使用されれば十分である場合、第2のDNC周波数変換器17(すなわち、前述のようにM個の周波数変換器を含んでいる)を完全に取り去り、それをただ1つの周波数変換器で置き換えることが可能である。当該ただ1つの周波数変換器は、受信機Rx21に含まれ、したがって、完全な無線周波数受信機として動作するであろう。
上記受信機Rx21は、セレクタ23によって逆モーダル変換器TMI15に接続され得、所望のh番目のOAMモードから来る信号を選択することを可能にする。
従って、受信機Rx21は、任意の公知の受信装置、例えば、従来の無線テレビジョン受信機であってよい。
受信アンテナ6は、受信機Rx21の技術及び使用中の変調タイプとは有利に独立したものである。
同様に、送信側でも、送信機Tx0..TxM−1の全てを使用する必要がない場合は、第1のUPC周波数変換器13を取り去ることができる。
図3を参照すると、モーダル変換器TM11の複数の未使用の入力に、0信号が供給されている。図3は、ただ2つの送信機Tx0及びTx1(ブロック3)が、モーダル変換器TM11に直接接続され、各送信機Tx0及びTx1は、それ自身の周波数変換器(「アップ変換器」)を備えているという場合を表している。
本発明はまた、複数のOAM信号を生成するためのデバイス11、すなわちモーダル変換器TM11及び逆モーダル変換器TMI15に関する。
モーダル変換器TM11及び逆モーダル変換器TMI15の両方は、カスケード接続で配置された複数のアナログコンポーネント(ステージ)を備える。そのようなステージの合成は、サンプリングされたベースバンドデータのFFT処理手法を使用して得られる。しかしながら、本発明では、当該合成技術は非常に異なるフレーム内、すなわちアナログの、又はより正確には、複数のベースバンドデジタル信号ではなくパスバンドの無線周波数の複数の回路に、及び複数のサンプリングされた信号ではなく複数の連続信号に適用される。さらに、複数のデジタルプロセッサが使用されるので、これまでFFTは、一括で、又は別々の段階での何れかで実行されている。本発明では、むしろ、複数のアナログ信号は、変換を施す複数の回路の中を連続ストリームで流れる。
FFTアルゴリズムは、n=log2(N)(ここでNは入力数)である一連のn個のステージによって実装され得る。各ステージは2つのオペランドの複数の複素数の和、及び、純位相定数(pure phase constant)による複数の複素数の積だけから成る。
本発明は、パスバンドにおいてこの特性を実装するのが好ましく、それにより、モーダル変換器TM11及び逆モーダル変換器TMI15が、無線周波数の複数の結合器/分割器及び複数の位相シフタを備えるという有用な結果を達成する。
このことにより、使用される複数のアナログRFコンポーネントの性能のみによって制限されるであろう、モーダル変換器TM11及び逆モーダル変換器TMI15のための広帯域幅を提供する。例えば、ミリ波用途は、数十ギガヘルツの複数の帯域幅を保証する。それは、デジタル回路では、リアルタイムには達成され得ないことである。
図4を参照すると、4つの入力値x0、x1、x2、x3にFFTを施し、4つの出力値X0、X2、X1、X3を返すフローグラフの一例を示している。出力値の順序は、「ビット反転」型の、自然な(元の)漸進的順序ではないことに注意されたい。このFFTは、log2(4)=2ステージに基づいている。この位相項は以下のように定義される。
インデックスNは、前述のFFT入力数であり、rは、古典的な「時間デシメーション」FFTアルゴリズム及び「周波数デシメーション」FFTアルゴリズムで基本の複素指数関数WNが累乗される指数である。
図5を参照すると、図4のフローグラフが無線周波数アナログコンポーネント25,26,27,31で実装されている。無線周波数アナログコンポーネント25,26,27,31は、複数の無線周波数信号分割器25として実装され、そこから2つの分岐が延びる複数の第1ノード25と、複数の無線周波数信号結合器(減算器27又は加算器26)として実装され、その中へ2つの分岐が加えられる第2ノード26,27とを備える。係数−1(図4の参照符号29)が、実際は、180°位相を持つ出力を有する分割器25として、又は180°位相を持つ入力を有する結合器26,27の入力として、実装され得る。位相項
は取り除かれる。なぜなら、これは1の乗算を表し、従って、信号は変化しないからである。
N=4の場合の、項
の乗算は、純粋な−90°の位相シフトであり、−90°位相、又は同じく+270°位相による無線周波数位相シフタ31を用いて実装される。従って、アナログ無線周波数コンポーネント25,26,27,31は位相シフタ31も備える。
位相シフタ31は、遅延線によって実装される、又は、90°位相、さらに180°位相反転を得るべく構成された分割器25の出力を使用することで、若しくは、それぞれ、90°位相、さらに180°位相反転を得るべく構成された結合器26,27の入力を使用することで得られることが好ましい。
N個の送信アンテナ5のケーブルを、位置の順序ではなく番号順で接続することで、値X0、X2、X1、X3を有する出力信号の並べ替えが達成される。
他の簡易化も可能であり、依然として本発明の範囲内に含まれる。
図6を参照し、以下で、図5に示された本発明に係るデバイス11,15の実装の更なる例が示される。
図6の回路において、入力1及び入力2において、複数の信号の和(S)及び差(J)を同時に提供する結合器/分割器コンポーネント33が導入される。このようにして、これらのコンポーネント33の1つは、図5の回路の2つの分割器25及び2つの結合器26,27を置き換える。従って、4つの結合器/分割器コンポーネント33は、図5の回路の16個を置き換える。
受動的なものであれ、能動的なものであれ、複数の変換器、複数のカプラ、複数の集中定数型疑似線(concentrated‐constant artificial line)などを含む様々な技術及び回路解決法を使用して、高周波数分割器25、結合器26,27、位相シフタ31、及び複数の結合器/複数の分割器33が実装され得る。そのような技術及び解決法は、依然として本発明の着想内に含まれる。このタイプの実装においてアナログ無線周波数コンポーネント25,26,27,31,33を使用することで、相反性に関して利点が得られる、すなわち、それらのコンポーネントが一方向に、又はその逆の方向に動作し、時間デシメーションに基づいた各FFTアルゴリズムは、周波数デシメーションに基づいたアルゴリズムである逆変換アルゴリズムに対応し、時間デシメーションに基づいた各FFTアルゴリズムについて、複数の入力及び複数の出力の交換、並びに図4のフローグラフの全ての矢印の方向の反転に対応する周波数デシメーションに基づいたFFTアルゴリズムが存在するので、同じアナログコンポーネント25,26,27,31,33は、IFFT(「逆高速フーリエ変換」)に対しては、逆方向に(出力の再配置を介して)再利用され得る。
最後に、応用の観点から、本発明の、複数のOAM電磁モードを有する複数の信号の送信及び/又は受信のためのシステム、並びに関連するデバイス及び方法はまた、無線通信に加え、無線周波数からマイクロ波までの、リモートセンシングから受動的な放射測定(例えば、地球物理学的調査、化学分析のための分光法、医学診断など)にわたる複数の用途、及びその他にも使用され得る。実際、本発明は、送信の間、送信機によって放射され、デバイス11に入力される複数の電磁信号を参照して、本明細書において説明されてきたが、複数の電磁信号はまた、更なる複数の放射体、例えば、受動的な放射測定を受ける複数の自然源から受信されてもよい。
本発明の特徴、及びそれらの利点は上記説明から明らかである。
本発明の第1の利点は、複数のOAM信号が離散フーリエ変換を用いて得られるということである。
本発明の第2の利点は、システムが、極めて多くの信号の送信と、それらの一部のみの受信とを提供する場合、第2のDNC周波数変換器は、完全な形で実装される必要がないということである。
本発明の更なる利点は、受信機Rxが、任意の従来技術の受信装置、特に従来の無線テレビジョン受信機であってよいということである。
本発明の更なる利点は、モーダル変換器TMにおいていくらかの未使用の入力がある場合、送信部において第1のUPC周波数変換器を取り去ることができるということである。
本発明の更なる利点は、モーダル変換器TM及び、逆モーダル変換器TMIのために、使用中の複数のアナログ無線周波数コンポーネントの性能のみによって制限される広帯域幅が得られるということである。
本発明の更なる利点は、本発明が、FFTアルゴリズム及びIFFTの両方を実行すべく、同じ複数のアナログ無線周波数コンポーネントを使用するということである。
軌道角運動量を持つ複数の電磁モードを有する複数の信号を生成及び送信するための方法は、デバイス11によって上記複数のOAM信号を生成する段階を提供する。
複数のOAM信号の受信のための方法は、デバイス15によって複数のOAM信号を受信する段階と、上記デバイス15によって複数のOAM信号に離散フーリエ逆変換を施す段階と、デバイス15の出力において、少なくとも1つの送信機3によって送信される複数の電磁信号を得る段階とを提供する。
当該方法はまた、特に、結合器26及び27、複数の分割器25、位相シフタ31、並びに複数の結合器/分割器コンポーネント33において、アナログコンポーネント25,26,27,31,33によって離散フーリエ変換及び/又は離散フーリエ逆変換を施す段階を提供する。
例として本明細書において説明された、軌道角運動量を持つ複数の電磁モードを有する複数の信号の送信及び/又は受信のためのシステム、並びに関連するデバイス及び方法は、発明の概念の新規性の趣旨から逸脱することなく多数の考えられる変更を受けてよく、本発明の実際の実装においては、示された詳細が異なる形状を有し得る、又は技術的に等価な他の要素で置き換えられ得ることも明らかである。
従って、本発明が、軌道角運動量を持つ複数の電磁モードを有する複数の信号の送信及び/又は受信のためのシステム、並びに関連するデバイス及び方法に限定されず、以下の特許請求の範囲において明確に規定されるような発明の概念の新規性の趣旨から逸脱することなく、等価な部分及び要素に対する多数の変形、改善、又は置換を受け得ることは容易に理解され得る。