JP2017515039A - 燃料噴射器フィルタ - Google Patents

Abstract

燃料噴射器の制御流のためのフィルタであって、一次燃料流は、入口開口部を通り噴射器に入り、一次燃料流の一部が制御流開口部を通り制御弁に入る二次燃料流を形成し、フィルタは、燃料の二次流のみがフィルタを通過するように配置され、フィルタは、スロット、孔または穿孔などのフィルタオリフィスを備え、フィルタオリフィスの少なくとも１つの寸法がノズル制御弁リフト値未満である。

Description

本発明は、ディーゼルなどの燃料を内燃機関の燃焼空間に供給する燃料噴射器、およびより具体的には、燃料噴射器のノズル制御弁を通る二次燃料流のためのフィルタに関する。

電子的に制御されたコモンレール燃料噴射システムの従来技術において、燃料の硬い粒子汚染によるノズル制御弁座の磨耗が既知の問題となっている。このような磨耗は、制御弁座の漏洩を導くことがあり、それにより噴射効率が低減する。

ノズル制御弁のリフト量より小さい燃料汚染物質粒子は、弁座が開くと洗い流される。しかし、制御弁リフト量と同じような大きさの粒子は、制御弁座の入口に捕捉されるようになり、制御弁座を通る経路に最終的に浸食する前にかなりの数の動作中に留まっている。したがって、典型的には１０〜２０ミクロンである制御弁リフト量と同じような寸法の汚染物質粒子は、弁座漏洩および噴射非効率を導く制御弁座を損傷する原因となり得る。

現在のユニット噴射器において、制御弁座の磨耗の問題は、主燃料流、すなわち燃料噴射器に入る全体の燃料流の適当なろ過を確実にすることにより、許容限度内に維持されてきた。

コモンレール噴射器のための制御弁は、連続的に加圧され、従来技術の実施形態において弁座にハードコーティングを適用し、それにより燃料汚染への許容範囲を向上させることが必要であることが判明している。

しかし、コモンレール噴射器は、ますます高い圧力で費用され、かつますますコンパクトかつ効率的になっている。この新しい世代のコモンレール噴射器は、弁座漏洩を許容するためにポンプ容量の限界がますます小さくなっている。さらに、次世代のコモンレール噴射器に使用される燃料の質は、グローバル市場においては保証されないことがある。

コモンレール噴射器への主燃料入口に現在配置され、それにより噴射器への一次燃料流をろ過するフィルタは、比較的大きいエッジフィルタまたはメッシュフィルタを備える。このようなフィルタのメッシュの大きさまたは間隔は、制御弁座を損傷する原因となり得るより小さい粒子、すなわち制御弁リフト量と同じような大きさの粒子を効果的にろ過するには大きすぎる。フィルタを通る際の過剰な圧力降下をもたらすか、または圧力降下を許容水準内に維持するために非常に大きなフィルタが必要となるため、このようなフィルタのメッシュの大きさまたは間隔を減らすことは不可能である。

本発明の目的は、上記の問題を少なくとも軽減することである。

したがって、本発明は、第１態様において、内燃機関において燃料供給に使用する燃料噴射器を提供し、燃料噴射器は、ハウジング、入口開口部、既知のリフト値を有するノズル制御弁に通じる制御流開口部、ニードルピストン、および少なくとも１つのノズル出口開口部が設けられたノズルキャビティを備え、
燃料の一次流が入口開口部を通り噴射器に入り、一次流の一部が制御流開口部を通り制御弁に入る燃料の二次流を形成し、ノズル制御弁がニードルピストンの動きを制御し、それにより少なくとも１つのノズル出口開口部を通りノズルキャビティから出る燃料の流れを制御し、
燃料の二次流のみがフィルタを通過するように配置されたフィルタであって、フィルタが少なくとも１つのフィルタオリフィスを備え、少なくとも１つのフィルタオリフィスの少なくとも１つの寸法がノズル制御弁リフト値未満である、フィルタによって特徴付けられる。

フィルタオリフィスの少なくとも１つの寸法がノズル制御弁のリフト値より小さいため、制御弁のリフト値と同じような寸法の、噴射器に入る燃料の一次流の汚染物質粒子が二次、または制御流または燃料へフィルタを通過することができず、したがってこのような粒子がノズル制御弁座の磨耗または他の損傷の原因となることがなくなる。

したがって、本発明は、制御弁リフトと同じような大きさの燃料汚染物質粒子がノズル制御弁座に到達することを防止することによって制御弁座の漏洩のリスクを低減する。

さらに、燃料噴射器システムの制御流のみをろ過することによって、シリンダに注入される燃料の一次流のろ過と比較してろ過される燃料の量が大幅に減少するため、本発明は、従来技術の実施形態のものよりもかなり小さく、かつ細かいフィルタを使用することができる。

噴射効率および／または燃焼効率に影響を及ぼすことなくフィルタを横切るより大きな圧力降下を維持することができるため、本発明によって可能なより小さい大きさのフィルタがまた可能である。

好ましくは、燃料の一次流がフィルタの上流面を通過する向きになるように、フィルタが入口開口部およびノズルキャビティの間の主燃料流路内に配置され、それによりフィルタを通過するには大きすぎるためフィルタの上流面に収集される汚染物質粒子が一次流によって生じる渦巻流によって確実に洗い流され、その後汚染物質粒子よりも大幅に大きいノズル出口開口部を通り噴射器から排出される。

少なくとも１つのフィルタオリフィスの少なくとも１つの寸法は、ノズル制御弁リフト値の半分〜４分の１とすることができる。

本発明のフィルタは、複数の孔または他の穿孔を備えることができる。この実施形態において、ノズル制御弁座リフト値未満のフィルタオリフィスの少なくとも１つの寸法が、孔または他の穿孔の最大直径である。

あるいは、少なくとも１つのフィルタオリフィスは、複数のスロットを備えることができる。この実施形態において、ノズル制御弁リフトの大きさ未満のフィルタオリフィスの少なくとも１つの寸法は、スロットの幅である。

フィルタは、チューブを備えることができ、複数の孔、または複数のスロットは、チューブの表面に設けられる。フィルタは、噴射器ハウジングの一部に好都合に取り付けることができる。

あるいはフィルタオリフィスは、代替のさらなる構成要素の表面、または既存の噴射器部分または構成要素の表面に機械加工されてもよい。

あるいはフィルタは、エッジフィルタに類似した２つの構成要素間の小さい間隔によって形成されることができる。この実施形態において、ノズル制御弁リフト値未満のフィルタオリフィスの少なくとも１つの寸法は、２つの構成要素間の間隔である。

さらに代替の実施形態において、複数のメッシュオリフィスを備えるメッシュフィルタによって，フィルタを形成することができる。この実施形態において、ノズル制御弁リフト値未満のフィルタオリフィスの少なくとも１つの寸法は、各メッシュオリフィスの最小寸法である。

本発明による噴射器の長手方向横断面図である。 図１の異なる長軸を通る図１の噴射器の詳細断面部分図である。 本発明による噴射器の概略断面部分図である。 本発明によるフィルタの一実施形態の等角図である。 図４のフィルタの長手方向断面図である。 図４のフィルタの中央部分の等角図である。 図６の中央部分の詳細部分正面図である。 図４のフィルタが取り付けられた噴射器の部分断面図である。

図を参照すると、本発明は、エンジンシリンダまたは内燃機関の他の燃焼空間に燃料を供給するのに適した燃料噴射器２を備える。燃料噴射器２は、噴射器ハウジングおよび噴射器入口開口部１２（図２および図３に示す）を備え、噴射器入口開口部を通り、主、または一次燃料流がＡ方向（図３）に噴射器２に入る。ノズルキャビティ５６には一次流から燃料が供給される。

燃料噴射器２はさらに、弁座（図示せず）を含むノズル制御弁（一般的に領域５２に配置される）を備え、ノズル制御弁は、既知のリフト値を有する。一次燃料流の一部（典型的には１０％）は、二次、または制御燃料流を形成し、この流れは、制御流開口部１４を通り制御弁に向かってＢ方向（図３に示す）に流れる。

弁制御チャンバ内の燃料圧力は、ニードルピストン５８の動きを制御し、それによりノズル出口開口部（図示せず）を通るノズルキャビティ５６からの燃料の流れを制御する。

噴射器２はさらに、フィルタ１６を備え、図に示す、図４〜図８に最もよく示されている実施形態において、フィルタ６は、円断面の細長いチューブを備える中央部分２６、閉端部キャップ２２および基部２４を備える。中央部分２６および基部２４には、貫通穴が設けられている。中央部分２６には、示される実施形態においては、細長いスロット２０を備える複数のフィルタオリフィス設けられている。スロット２０は、幅寸法Ｗおよび長さ寸法Ｌ（両方の図７に示す）を有し、幅寸法Ｗは、ノズル制御弁の既知のリフト値未満である。

図に示す実施形態において、フィルタ１６の基部２４が、ピストンガイド３０の部分に制御流開口部１４に隣接して取り付けられているため、フィルタ１６を通り流れる燃料が、その後制御流開口部１４を通りノズル制御弁へ流れる。

スロットの幅Ｗより大きい直径を有する略球形の燃料汚染物質粒子は、フィルタ１６を通過することができない。また、粒子の最小寸法がスロット２０の長さＬより大きい不規則な形を有する汚染物質粒子がフィルタ１６を通過することが妨げられる。

フィルタオリフィスの寸法を最も小さい燃料汚染物質粒子より小さくする必要はない。フィルタオリフィスの寸法の１つがノズル制御リフト値未満であるため、フィルタ１６を通過することができ、その後ノズル制御弁を通る汚染物質粒子のみがノズル制御弁のリフトより小さい。それによりノズル制御弁のリフト量と同じような大きさの汚染物質粒子によって生じるノズル制御弁座の損傷は、回避される。

フィルタ１６は、主燃料経路、すなわち入口開口部１２およびノズルキャビティ５６の間に流れる燃料の一次供給経路に配置される。フィルタ１６を通過するには大きすぎる主燃料流の任意の汚染物質粒子は、一次燃料流の渦巻きによってフィルタ１６の上流面、すなわちフィルタ１６の中央部分２６を形成するチューブの外表面から洗い流される。したがってこのような大きさの粒子は、ノズルキャビティ５６に流れる燃料によって運ばれ、その後ノズル出口開口部から洗い流される。

フィルタ１６の直径、およびスロット２０の長さ、幅および数を変えることができる。１つの特定の実施形態において、中央部分２６は、直径１．５ｍｍを有し、幅５ミクロン、および長さ２００ミクロンをそれぞれ有する２０００のスロット２０が設けられている。したがって、スロット２０の幅は、ノズル制御弁の典型的なリフト値、例えば１０〜２０ミクロン未満である。

本発明の特定の例において、各フィルタオリフィスの１つの寸法は、制御弁リフトの大きさの２分の１〜４分の１である。

１つの特定の実施形態において、フィルタ１６には、幅５ミクロン×長さ６ｍｍの１６個のスロットが設けられる。このフィルタは、制御弁座の流れ領域の４倍であり、約１／１６のフィルタ横切る圧力降下を生じる。

さらなる代替の実施形態において、フィルタ１６は、２つの構成要素間の小さい間隔によって形成されることができ、１つのフィルタオリフィスが構成要素の間に形成される。この実施形態において、ノズル制御弁の既知のリフトより小さいフィルタオリフィスの寸法は、２つの構成要素の間隔を備える。

あるいは、フィルタオリフィスは、図に示すようなフィルタ１６の表面、またはピストンガイド３０に配置された代替の個別の構成要素に機械加工された細かい孔または他の穿孔として形成されることができる。この実施形態において、制御弁の既知のリフトの大きさより小さい少なくとも１つの寸法は、孔または他の穿孔の最大直径である。孔または他の穿孔の最大直径より大きい直径を有する略球形の燃料汚染物質粒子は、フィルタ１６を通過することができない。さらに、粒子の最大寸法が孔または穿孔の最大直径より大きい、不規則な形の任意の燃料汚染物質粒子がフィルタ１６を通過することが妨げられる。

あるいは、フィルタオリフィスは、噴射器２の既存の構成要素のいずれかの表面に機械加工されたスロットまたは孔として形成することができる。この実施形態において、制御弁の既知のリフトの大きさより小さい少なくとも１つの寸法は、スロットの幅、または孔の直径である。

本発明のフィルタ１６は、制御弁が二方向制御弁、または三方向制御弁を備え、燃料制御を効率的に用いることにより必要流量が最小化される噴射器２に使用することができる。

２ 噴射器
１２ 噴射器入口開口部
１４ 制御流開口部
１６ フィルタ
２０ スロット
２２ フィルタキャップ
２４ フィルタ基部
２６ フィルタ中央部分
３０ ピストンガイド
５０ 制御チャンバ
５２ ノズル制御弁の（領域）
５６ ノズルキャビティ
５８ ニードルピストン
Ａ 噴射器への流れ方向
Ｂ 制御弁への流れ方向
Ｌ スロットの長さ
Ｗ スロットの幅

Claims (9)

1. 内燃機関における燃料供給に使用する燃料噴射器（２）であって、前記燃料噴射器（２）は、ハウジング、入口開口部（１２）、既知のリフト値を有するノズル制御弁（５２）に通じる制御流開口部（１４）、ニードルピストン（５８）、および少なくとも１つのノズル出口開口部が設けられたノズルキャビティ（５６）を備え、
   一次燃料流が前記入口開口部（１２）を通り前記噴射器（２）に入り、前記一次燃料流の一部が前記制御流開口部（１４）を通り前記ノズル制御弁（５２）に入る二次燃料流を形成し、かつ前記ノズル制御弁（５２）が前記ニードルピストン（５８）の動きを制御し、それにより前記少なくとも１つのノズル出口開口部を通り前記ノズルキャビティ（５６）から出る燃料の流れを制御し、
   前記二次燃料流のみがフィルタ（１６）を通過するように配置されたフィルタ（１６）であって、前記フィルタ（１６）が少なくとも１つのフィルタオリフィス（２０）を備え、前記少なくとも１つのフィルタオリフィス（２０）の少なくとも１つの寸法が前記ノズル制御弁のリフト値未満である、フィルタ（１６）によって特徴付けられる、燃料噴射器（２）。
2. 前記一次燃料流が前記フィルタ（１６）の上流面を通過するように、前記フィルタが前記入口開口部（１２）および前記ノズルキャビティ（５６）の間の燃料流路に配置される、請求項１に記載の燃料噴射器（２）。
3. 前記少なくとも１つのフィルタオリフィス（２０）の前記少なくとも１つの寸法が前記制御弁のリフト値の二分の１〜四分の１の間である、請求項１または請求項２に記載の燃料噴射器（２）。
4. 前記少なくとも１つのフィルタオリフィス（２０）が複数のスロット（２０）を備え、前記スロットの前記少なくとも１つの寸法が各スロット（２０）の幅である、請求項１〜３のいずれか一項に記載の燃料噴射器（２）。
5. 前記少なくとも１つのフィルタオリフィスが複数の孔または穿孔を備え、前記少なくとも１つの寸法が各孔または穿孔の最大直径である、請求項１〜３のいずれか一項に記載の燃料噴射器（２）。
6. 前記フィルタ（１６）が前記噴射器ハウジングに取り付けられ、かつチューブ（２６）を備え、スロット、孔または穿孔が前記チューブ（２６）の表面に設けられている、請求項４または請求項５に記載の燃料噴射器（２）。
7. スロット、孔または穿孔が前記噴射器（２）の構成要素または部品の表面に設けられている、請求項４または請求項５に記載の燃料噴射器（２）。
8. 前記少なくとも１つのフィルタオリフィスが２つの構成要素の間の間隔を備え、かつ前記フィルタオリフィス（２）の前記少なくとも１つの寸法が前記２つの構成要素の間の前記間隔である、請求項１〜３のいずれか一項に記載の燃料噴射器（２）。
9. 前記少なくとも１つのフィルタオリフィスが複数のメッシュオリフィスを有するメッシュを備え、かつ前記フィルタオリフィスの前記少なくとも１つの寸法が各メッシュオリフィスの最小寸法である、請求項１〜３のいずれか一項に記載の燃料噴射器（２）。

Images