JP2017510045A - リチウムイオン電池用電解質添加剤 - Google Patents

リチウムイオン電池用電解質添加剤 Download PDF

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Abstract

改良された非水電解質が、リチウムイオン電池のために開発された。電解質は、リチウム塩と、非水系カーボネート溶媒と、少なくとも1つのA群化合物、少なくとも1つのB群化合物、及び少なくとも1つのC群化合物を含む添加剤の混合物とを含み、A群化合物は、VC及びPESからなる群から選択され、B群化合物は、MMDS、DTD、TMS、ES及びPSからなる群から選択され、C群化合物は、TTSP及びTTSPiからなる群から選択される。特定の三元又は四元の添加剤混合物は、VC単独の使用と比較して、4.1V以上で、正極における寄生反応を低減し、充電されたグラファイト電極の高温における熱安定性を高め、クーロン効率を改善し、更に、電池のインピーダンスを減らすことができる。これらの要素はすべて、エネルギー密度を向上させる、高電圧に対するより良い耐性を有する、より長寿命の、より安全な、より高電力のリチウム電池を示唆する。【選択図】図1A

Description

発明の詳細な説明
[技術分野]
本発明は、リチウムイオン電池用電解質、及びこのような電解質のための添加剤に関連する。特に、本発明はそのような電池の三元及び四元の電解質添加剤に関係する。
[背景]
リチウムイオン電池では、寿命と性能を向上させるために電解質添加剤が使用されている[例えば、S.S.Zhang,Journal of Power Sources 162,1379,(2006);及び、K.Xu,Chemical Reviews 104,4303,(2004)]。一般的には、研究者は、正又は負極のいずれか単独に対して、リチウムイオン電池の特性における単一の添加剤の影響を研究している[M.Broussely,Advances in Lithium−Ion Batteries,Kluwer Academic/Plenum Publishers,New York,2002,pp 393〜432;S.Patoux,L.Daniel,C.Bourbon,H.Lignier,C.Pagano,F.L.Cras,S.Jouanneau and S.Martinet,J.Power Sources,189,344(2009);及び、X.X.Zuo,C.J.Fan,X.Xiao,J.S.Liu and J.M.Nan,J.Power Sources,219,94(2012)]。しかしながら、市販のリチウムイオン電池がしばしば、明らかに相乗的に連携して作用する、いくつかの電解質添加剤を組み入れることは常識である。最近では、J.C.Burns et al.,J.Electrochem.Soc.,160,A1451(2013)において、この相乗効果は、5つまでの専有で非公開の、電解質添加剤を含んでいるリチウムイオン電池の研究で示されており、サイクル寿命が、添加剤なしの電解質と比較して20倍増加し、添加剤を1つだけ用いた電池と比較すると5倍以上増加した。同時に、インピーダンスを、専有で非公開の添加剤の適切な選択によって低減することができた。
様々なリチウムイオン電池の特性に対して、大幅に有用な改善を提供する電解質添加剤技術の進歩が、行われ続ける。この発明は、以下に明らかにされるように、同様のこのような改善及び他の利点を提供する。
[概要]
1)VC又はPES、及び2)硫黄を含む添加剤化合物、及び3)TTSP又はTTSPi、を含む添加剤混合物を含む特定の非水電解質が、リチウムイオン電池で使用されると、高クーロン効率、優れた蓄電特性、及び、サイクリング又は蓄電後の低インピーダンスという利点を同時に付与することが発見されている。PESを含む電解質は、60℃での蓄電中、VCを含む電解質よりも、生成するガスが少ない。更に、このような電解質の使用はまた、サイクル寿命を改善することが示されている。更に、実験結果はまた、添加剤混合物を有する電解質は、4.4V及びそれ以上のNMCベースの電池の充放電サイクルを改善できることを示唆する。
具体的には、このリチウムイオン電池用の非水電解質は、リチウム塩(例えば、LiPF)と、非水系カーボネート溶媒(例えば、EC及び/又はEMC)と、少なくとも1つのA群化合物、少なくとも1つのB群化合物、及び少なくとも1つのC群化合物を含む添加剤混合物とを含み、A群化合物は、VC及びPESからなる群から選択され、B群化合物は、MMDS、DTD、TMS、ES及びPSからなる群から選択され、C群化合物は、TTSP及びTTSPiからなる群から選択される。
少なくとも1つのA群化合物の濃度は、0.5〜3重量パーセントの範囲内とすることができる。少なくとも1つのB群化合物の濃度は、0.25〜3重量パーセントの範囲内とすることができる。少なくとも1つのC群化合物の濃度は、0.25〜3重量パーセントの範囲内とすることができる。
図1a〜図1dは、一部の実験中に収集された典型的なデータを示す。
サイクル数に対するクーロン効率(CE)を示す。2% VC及び2% VC+1% TMS+0.5% TTSPi+0.5% TTPSの電解質のデータが示される。 サイクル数に対してプロットされた、充電エンドポイント容量を示す。2% VC及び2% VC+1% TMS+0.5% TTSPi+0.5% TTPSの電解質のデータが示される。 4.2Vでの蓄電中の時間に対する開回路電圧を示す。2% VC及び2% VC+1% TMS+0.5% TTSPi+0.5% TTPSの電解質のデータが示される。 UHPCテストの15サイクル後に測定された電池のACインピーダンススペクトルを示す。2% VC及び2% VC+1% TMS+0.5% TTSPi+0.5% TTPSの電解質のデータが示される。 表1で考慮される電解質添加剤の性能指数を示す。 表1で考慮される電解質添加剤の性能指数を示す。 表2で考慮される電解質添加剤の性能指数を示す。 データが利用可能な、表1のすべての添加剤のCIE/hに対する、UHPCサイクリング後に測定されたRctを示す。本発明の組成物1〜10は、表1に定義され、記号「1」〜「10」が、データポイントが位置するグラフ上に配置される。他の本発明の組成物は、「y」で印されるデータポイントで指定される。 蓄電中の電圧降下に対する蓄電後のRctを示す。(データが利用可能な)本発明の組成物1〜10は、表1に定義され、記号「1」〜「10」が、データポイントが位置するグラフ上に配置される。他の本発明の組成物は、「y」で印されるデータポイントで指定される。 クーロン非効率性に対してプロットされた、UHPCサイクリング後に発生したガスを示す。本発明の組成物1〜10は、表1に定義され、かつ記号「1」〜「10」は、データポイントが位置するグラフ上に配置される。他の本発明の組成物は、「y」で印されるデータポイントで表記される。 表2の電解質のCIE/hに対する、UHPCサイクリング後のRctを示す。データポイントの記号は、表2に定義される。 表2の電解質を含む電池の60℃で蓄電中の電圧降下に対してプロットされた、60℃での蓄電後のRctを示す。データポイントの記号は、表2に定義される。 55℃で充電及び放電された電池のサイクル数に対する容量を示す。2% VC、2% VC+1% MMDS、及び本発明の組成物2% VC+1% MMDS+1% TTSPiの結果を示す。 55℃で充電及び放電された電池のサイクル数に対する容量を示す。2% VC、2% VC+1% DTD、及び本発明の組成物2% VC+1% DTD+1% TTSPiの結果を示す。 55℃で充電及び放電された電池のサイクル数に対する容量を示す。2% PES、2% PES+1% MMDS、2% PES+1% TTSPi、及び本発明の組成物2% PES+1% MMDS+1% TTSPiの結果を示す。 55℃で充電及び放電された電池のサイクル数に対する容量を示す。2% PES、2% PES+1% DTD、2% PES+1% TTSPi、及び本発明の組成物2% PES+1% DTD+1% TTSPiの結果を示す。 指定された電圧制限の範囲内で、400〜500時間の間、40℃でサイクルされた、NMC442/グラファイト電池のACインピーダンススペクトルを示す。2% VC、2%PES、及び本発明の組成物2% VC+1% MMDS+1%TTSPiを含む電解質を有する電池が取り上げられる。 指定された電圧制限の範囲内で、400〜500時間の間、40℃でサイクルされた、NMC442/グラファイト電池のACインピーダンススペクトルを示す。2% VC、2% PES、及び本発明の組成物2% VC+1% MMDS+1% TTSPiを含む電解質を有する電池が取り上げられる。 指定された電圧制限の範囲内で、400〜500時間の間、40℃でサイクルされた、NMC442/グラファイト電池のACインピーダンススペクトルを示す。2% VC、2% PES、及び本発明の組成物2% VC+1% MMDS+1% TTSPiを含む電解質を有する電池が取り上げられる。 指定された電圧制限の範囲内で、400〜500時間の間、40℃でサイクルされた、NMC442/グラファイト電池のACインピーダンススペクトルを示す。2% VC、2% PES、及び本発明の組成物2% VC+1% MMDS+1% TTSPiを含む電解質を有する電池が取り上げられる。 NMC111/グラファイトパウチ電池の等温微量熱量測定の(参照文献[6]の方法を使用している)結果を示す。 対照試料A及び様々なその他電解質からの、熱流の間の違いを示している。
文脈が、それ以外の場合を必要としない限り、本明細書と請求項を通じ、「comprise(含む)」、「comprising(含んでいる)」などの単語は、オープンで包括的な意味で解釈される。「a」、「an」、などの単語は、少なくとも1つ、の意味として見なされ、かつ丁度1つに限定されない。更に、数値の文脈では、「約(about)」の単語は、プラス又はマイナス10%の意味として解釈される。
略語
報告される研究で使用される、電解質溶媒及び塩の略語を以下に定義する。

LiPF 六フッ化リン酸リチウム
使用した溶媒
EC エチレンカーボネート
EMC エチルメチルカーボネート
本発明の組成物に使用される電解質添加剤
A群:
VC ビニレンカーボネート
PES 1−プロペン−1,3−スルトン
B群:
DTD 1,3,2−ジオキサチオラン−2,2−ジオキシド、別名硫酸エチレン
TMS 1,3,2−ジオキサチアン−2,2−ジオキシド、別名硫酸トリメチレン、
MMDS 1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシド、別名メチレンメタンジスルホネート、
PS 1,3−プロパンスルトン
ES 亜硫酸エチレン
C群:
TTSP トリス(−トリメチル−シリル)−リン酸
TTSPi トリス(−トリメチル−シリル)−亜リン酸
使用されるその他の添加剤
PMS プロパルギルメタンスルホネート
AMS メタンスルホン酸アリル
BSF ブタジエンスルホン
PLS 硫酸プロピレン
SA 無水コハク酸
MA 無水マレイン酸
OHD 3−オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2,4−ジオン
BMI 1,1’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビスマレイミド
参考文献
以降の説明では、角括弧内の数字によって示される以下の出版物が参照される。
[1]T.M.Bond,J.C.Burns,D.A.Stevens,H.M.Dahn,and J.R.Dahn,J.Electrochem.Soc.,160,A521(2013)。
[2]N.N.Sinha,T.H.Marks,H.M.Dahn,A.J.Smith,D.J.Coyle,J.J.Dahn and J.R.Dahn,J.Electrochem.Soc.,159,A1672(2012)。
[3]L.J.Krause,L.D.Jensen,and J.R.Dahn,J.Electrochem.Soc.,159,A937〜A943(2012)。
[4]J.C.Burns,Adil Kassam,N.N.Sinha,L.E.Downie,Lucie Solnickova,B.M.Way and J.R.Dahn,Predicting and Extending the Lifetime of Li−ion Batteries,J.Electrochem.Soc.160,A1451〜A1456(2013)。
[5]David Yaohui Wang,N.N.Sinha,R.Petibon,J.C.Burns and J.R.Dahn,A systematic study of well−known electrolyte additives in LiCoO/graphite pouch cells,Journal of Power Sources,251,311〜318(2014)。
[6]Laura E.Downie,Kathlyne J.Nelson,Remi Petibon,V.L.Chevrier and J.R.Dahn,The impact of electrolyte additives determined using isothermal microcalorimetry,ECS Electrochemical Letters 2,A106〜A109(2013)。
本発明の電解質は、まず適切な1種又は複数種の非水系カーボネート溶媒の混合溶液(例えば、以降の例で使用されるEC:EMC)を得ることによって、調製することができる。この混合溶液に、ある量の適切なリチウム塩(以下の例で再度使用されるLiPF塩など)を得る。最後に、本発明の電解質は、適切な重量%の所望の添加剤(1種又は複数種)を加えて、調製される。当業者なら理解するように、使用される添加剤の種類と使用する量は、最も改善されて欲しい特性、及び、作成されるリチウムイオン電池で使われる他の構成要素、及び、設計に依存するであろう。これらの選択を行うガイダンスは、以下の詳細な例から拾うことができる。
リチウムイオン電池は、次に添加剤の混合物で適切に調製された電解質を用いて様々な従来の方法で調製できる。
以下の実施例は、ある特定の実施形態を説明するために提供されるが、いかなる限定としても解釈されるべきではない。
以下、機械製の「パウチ電池」が、様々な電解質組成物を用いたリチウムイオン電池特性を評価するのに使用された。
パウチ電池
ここで報告される研究では、1MのLiPF EC/EMC(3:7重量パーセント比、BASF製)が、対照試料の電解質として使用された。この電解質に対して、表1及び表2(下記)に記載されている、様々な電解質添加剤が、単独で又は組み合わせて、のいずれかで添加された。指定した重量パーセントで、添加剤の構成成分が、電解質に添加された。
4.2V動作でバランスの取られた、ドライLi[Ni1/3Mn1/3Co1/3]O(NMC111)/グラファイトパウチ電池(220mAh)(表1の結果で記載される)、及び、4.4V動作でバランスの取られた、ドライLi[Ni1/3Mn1/3Co1/3]O(NMC111)/グラファイトパウチ電池(240mAh)(表2の結果で記載される)が、Whenergy(中国、山東省)から入手された。両方の電池のタイプは、「4.4V電池」が4.4Vまでテストされた特別な場合(図12)を除いて、通常は、4.2Vの上限カットオフ電圧までだけでテストされた(例えば表1及び2のすべての結果は、4.2V動作である)。4.7V動作でバランスの取られた、ドライLi[Ni0.42Mn0.42Co0.16]O(NMC442)/グラファイトパウチ電池(240mAh)も又、Whenergyから入手され、いくつかの特別な実験で使用された(図11)。
すべてパウチ電池が、電解質なしで、中国で真空封入され、カナダの試験所へと出荷された。電解質を充填する前に、電池が熱シールのすぐ下で切断され、すべての残留する水分を除去するために、12時間、真空下80℃で乾燥された。その後、電池は、充填及び真空封止のために、アルゴンが充填されたグローブボックスにすぐに移された。NMC/グラファイトパウチ電池は、0.9gの電解質で充填された。充填後、電池は小型真空シーラー(MSK115A、MTI社)で真空封止された。まず、ウェッティングを完了させるために、電池は、40.0±0.1℃で温度ボックスに置かれ、そこで1.5Vで24時間保持された。その後、電池は11mA(C/20)で4.2Vに充電され、3.8Vに放電された。この工程の後、電池がグローブボックスに移動され、発生したガスを放出するために切断して開かれ、そして再度、真空封止された。
電気化学インピーダンス分光法
電気化学インピーダンス分光法(EIS)測定は、蓄電後及び、UHPCのサイクリングの後でも、NMC/グラファイトパウチ電池で実施された。電池が、10.0±0.1℃の温度ボックスに移動される前に、3.80Vまで充電又は放電された。ACインピーダンススペクトルは、10mVの信号振幅で、10.0±0.1℃で、100kHz〜10mHzの周波数10倍あたり10ポイントで収集された。このデータを収集するために、BiologicのVMP−3が使用された。
超高精度のサイクリング及び蓄電実験
2.8〜4.2Vで、40.0±0.1℃で、C/20に対応する電流を使用して、15サイクルにわたって、Dalhousie大学で超高精度充電器(UHPC)[1]を使用して電池がサイクルされ、各サイクルで比較が行われた。これらのテストで使用されるサイクリング/蓄電手順は次のとおりである。まず、電池が4.2Vまで充電され、2.8Vまで放電され、これが2回行われる。そして、電池はC/20(11mA)の電流で4.2Vまで充電され、4.2VでC/1000に測定電流が減少するまで保持された。Maccorシリーズ4000サイクラーが、蓄電に先立って電池の調製のために使用された。プリサイクリングプロセスの後、電池は、500時間の合計蓄電時間にわたって、6時間ごとの開回路電圧を監視する蓄電システムに、注意深く移動された[2]。表1に記載される蓄電実験を、40±0.1℃で行った。表2に記載される蓄電実験を、60±0.1℃で行った。
パウチ電池のガス発生の定量化
ex−situ(静的)ガス測定を用いて形成中及びサイクリング中にガス放出を測定する。この測定は、液体に浸漬しながら天秤からつるされて、アルキメデスの原理を使用して行われた。液体中につるされた電池の重量変化は、テストの前後で、浮力の変化による体積変化に直接関連している。密度ρの液体中に浮かんでいる、電池の質量変化Δmは、電池体積の変化Δvに、以下の式によって関係付けられる。
Δv=Δm/ρ 式1
ex−situ測定は、Shimadzuの天秤(AUW200D)の下で接続された細いワイヤ「フック」から、パウチ電池をつるして行われた。パウチ電池が、20±1℃で脱イオン「ナノピュア」水(18.2MΩ・cm)のビーカーに測定のために、浸漬された。
等温電池熱量測定
Maccorシリーズ4000自動テストシステム(Maccor社)を使用して、微量熱量測定器の内部での電池のサイクリングを行った。TAM III熱量計(TAインスツルメンツ)を用いて、<±1.0μWの測定不確かさで、40.0の±0.1℃の温度で、等温熱流量の微量熱量測定が行われた。この計器の校正と操作、背景情報、及び方法の詳細は、参考文献[3]で詳しく説明されている。計器のノイズレベルは約10nWで、かつ0.00μWからの基準ドリフトは、ここで実施された実験の時間枠にわたって、500nW未満であった。
Figure 2017510045
Figure 2017510045
Figure 2017510045
Figure 2017510045
典型的なデータの例
図1は、いくつかのこれらの実験中に収集された典型的なデータを示している。2つの電解質添加剤系、2% VCと、2% VC+1% TMS+0.5 TTSP+0.5% TTSPiが比較のために選ばれた。図1aは、サイクル数に対するクーロン効率(CE)を示す。図1は、2% VC+1% TMS+0.5 TTSP+0.5% TTSPiの電池は、2% VCの電池よりも、より高いCEを有し、より長い寿命を有することを示している。表1には、次のように計算される「1時間当たりのクーロン非効率性」の列が含まれている。
CIE/h=[1−(サイクル13〜15の平均CE)]/40 式2
式2中の「40」は、時間単位での1サイクルの時間である。
図1bは、サイクル数に対してプロットされた、充電エンドポイント容量を示す。表1には「充電エンドポイント容量低下(充電低下)」の列が含まれていて、サイクル11から15の間の図1bのデータの傾きとして計算される(単位はmAh/サイクル)。より小さな充電エンドポイント容量低下レートの電池は、正極における電解質の酸化がより少ないことを示し、通常、より長い寿命を示す。
図1cは、4.2Vかつ40℃での蓄電中の、時間に対する開回路電圧を示している。4.2V及び500時間の蓄電後の電圧との間の差が、「電圧降下」又はVdropと呼ばれる。Vdropのより小さな値を持つ電池は、通常、より長い寿命を示す。表1は、40℃で蓄電された電池のVdropの列を列挙する。表2に記載された実験は、60℃で行われた蓄電実験であった。
図1dは、UHPCテストの15サイクル後に測定された電池のACインピーダンススペクトルを示している。測定は10℃で、3.8Vの電池で行われた。半円の直径は、正と負の両方の電極での電荷移動抵抗の合計、Rct、を表し、図1dに示される。表1及び表2の両方は、UHPCサイクリング後、及び蓄電後に測定されたRctの値を含む。
図1のほとんどの測定基準において、2% VC+1% TMS+0.5 TTSP+0.5% TTPSiの添加剤を含む電解質は、2% VCだけの電解質よりも良好である。
性能指数(Figure of Merit)
表1と表2に列挙された添加剤を比較するために、「性能指数」が設定された。電池が、長寿命と高レート性能を必要とするアプリケーションに合うために、高いクーロン効率(低いCIE/h)、小さい充電エンドポイント容量低下、及び、小さい電荷移動抵抗を、同時に有することが重要である。図2にプロットされている表1の結果に対しては、性能指数(FOM)として、
FOM=(CIE/h)×2×10+20×(充電低下)+0.1×Rct
を採用した。
図3にプロットされている表2の結果に対しては、FOMとして、
FOM=(CIE/h)×2×10+38.6×(充電低下)+0.1×Rct
を採用した。
これらの式は、電池の2つのタイプの場合を考慮して、クーロン効率、充電エンドポイント容量低下、及びインピーダンスの寄与をおおよそ均等に重み付けている。図2a、図2b及び図3のFOM値は、それらの図の間ではなく、それらの図内でのみ比較できる。性能指数を構成する3つの成分は、図2a、図2b及び図3で異なる陰影で指定されている。最小のFOMを有する電解質は、しばしば、全般的に最高性能の電解質である。
参考文献[4]は、高レートのアプリケーション向けの電池において、クーロン効率を最大にし、かつ、Rctを最小に、同時にすることの重要性を示している。低レートのアプリケーション又は高温アプリケーション向けの電池にとって、低いRct値は、蓄電中の高いCE値及び低い電圧低下値よりも重要ではない場合がある。本発明の電解質組成物は、組成を調整することで、様々な条件の下で所望の性能を実現することを可能にする。
参考文献[5]は、本明細書で記載された発明の電解質添加剤と比較される、数多くの異なる電解質添加剤を用いて実行された、様々な同様の測定を示している。参考文献[5]においては、2% VCの全般的性能に勝ることのできる添加剤の混合物を見つけることは、非常に困難であった。本明細書で記載された発明の組成物は、2% VCよりもはるかに優れている。
表1の結果の検討
図2は、表1で検討された電解質添加剤の性能指数を示す。最小のFOMを有する7つの電解質は、VC+硫黄含有+TTSP/TTSPiを含む電解質である。最低のFOMを有する12の電解質の内、10の電解質は、VC+硫黄含有+TTSP/TTSPiであり、1つは2% VC+1% MMDSであり、そして残る1つは2% DTDである。これは、「VC+硫黄含有+TTSP/TTSPi」の組み合わせの添加剤を有する電解質は、リチウムイオン電池に有益な特性を与えることを示唆する。したがって、これらが「本発明(inventive)」として表示される。表1の第3列は、様々な電解質添加剤を、「y」(つまり本発明のクラスに属する)、「n」(つまり本発明のクラスに属していない)として、及び他の表記(他の表記の電解質は、本発明クラスに属していないが、参考のため異なる印が付けられている)によって、ラベル付ける。列3は、本発明の10個の添加剤の組み合わせを、1、2...10として列挙する。これらは、表1のFOMに基づく10個の「最良の」本発明の添加剤である。列3は更に、2% VC+1% MMDSを「A」として、及び2% DTDを「B」として列挙する。VCのみを伴う表1の2つのエントリは、表1の列3でVCとして印される。これらの表記の理由は、図4〜図10をより容易に解釈することができるからである。
図4は、データが利用可能な表1のすべての添加剤について、UHPCサイクリング後に測定されたRctのCIE/hに対するプロットを示している。本発明の組成物1〜10は、すべてこのグラフの原点の最も近くに存在していることに注意されたい。これは、それらが最小のインピーダンス且つ最大のクーロン効率を有する電池を生み出し、おそらくは高レートの組成物の下で最長の寿命の電池につながることを意味する。これらの組成物は、組成物A及びBばかりではなく、VCと比べて大きな利点を示す。本発明の他の組成物は、図4に「y」と印されて、本発明ではない組成物(「n」で印されている)よりも概してはるかに原点により近くに位置している。TTSP及びTTSPiが組成物「A」に追加されて、本発明の組成物「4」が生じると、インピーダンスはほとんど影響を受けない一方、CIE/hが大幅に向上する。図4は明らかに、本発明の組成物の利点を示す。
図5は、蓄電中の電圧降下に対する、蓄電後のRctのプロットを示す。すべての本発明の組成物1〜10のデータが利用可能ではない。ただし、図5では、図5の原点に最も近い10の組成物のうち1つ以外はすべて、本発明の組成物であることを示す。原点に近いということは、正極での電解質の酸化を制限する組成物が、高インピーダンスに同時にはつながらないことを意味する。
図6は、クーロン非効率性に対してプロットされた、UHPCサイクリング後に発生するガスのグラフを示している。図6は、本発明の組成物1〜10(#5を除く)は、大量のガスを生成しないことを示す。本発明の組成物5は、大量のガスに原因であるDTDを含む。実際に点#5の周りの「y」記号の集まりは、すべてDTDを含む。これらの電解質は、低いCIE/h(良好)を示しているが、パウチ電池内に少なくない量のガスを示している。それらは電池缶の膨張が問題ではない円筒電池により適し得る。
本発明の組成物の有利な特性は予測され得るものではない。
本発明の組成物の特性は、VCの特性、及び二元の添加剤混合物の特性に基づいて予測され得ない。例えば、次の例を考慮されたい。表1の2つの2% VCデータに関する、CIE/h、充電低下(Charge slippage)及びRctの平均値は、それぞれ4.3、0.24及び93である。2% VCと比べて、2% VC+1% MMDSのCIE/h、充電低下及びRctの変化は、表1から計算することができるように、−0.2、−0.05及び−17.1である。2% VCと比べて、2% VC+1% TTSPのCIE/h、充電低下及びRctの変化は、表1から計算することができるように、2.0、0.11及び35.7である。2% VCと比べて、2% VC+1% TTSPiのCIE/h、充電低下及びRctの変化は、表1から計算することができるように、1.7、0.05及び−40.0である。したがって、2% VC+1% MMDS+1% TTSP+1% TTSPiの値は、CIE/h、充電低下及びRctに対して、それぞれ3.2、0.27及び80の測定値と比較して、7.7、0.35、及び−0.9と予測される。この例は、二元の混合物の測定値を使って、三元及び四元の本発明の例の値を正確に予測することはできないことを示している。したがって、混合された電解質添加剤は、予期しない特性を示す。
表2の結果の検討
表2は、主要な電解質添加剤として、VCの代わりに、PESを含む電解質を検討する。図3は、表2におけるこれらの電解質系のFOMを示す。これらの添加剤系の多くは、2%VCに匹敵するFOMを有する。
これらの添加剤系(表2)に対する関心は、2%VCを有する電解質が60℃で蓄電中に相当量のガスを生成するという事実に由来する(表2、一番下の行を参照)、一方、PESを含む表2のその他のすべての電解質は、60℃で蓄電の500時間の間に大量のガスを生成しない。表2の列2は、図7及び図8で使用される電解質添加剤の「符号」を与える。図7は、表2の電解質のCIE/hに対するRctを示す。PES+TMS+TTSPi及びPES+ES+TTSPiを有する電解質は、いくつかの本発明の電解質系において、PESをVCに置き換えることによって、高温蓄電時に実質的にガスを生じない利点を付加し得ることを示唆しており、非常に魅力的である。
2% PESから2% PES+1% ESへ、2% PES+1% ES+1% TTSPiへと、UHPC後のRctがいかに低減されているかを比較することは、特に興味深い。このインピーダンスの低減と同様な特徴は、VCをPESに置き換えた場合にも観察される。
表2と図7と図8において、混合物2% PES+1% MMDS+1% TTSPi及び2% PES+1% DTD+1% TTSPiもまた興味深い。これらの混合は、PESを含むすべての混合の中で、CIE/h及び充電低下の最小の合計値を有する。この情報はまた、図3からも収集できる。これらの混合は、寄生的な反応の影響がインピーダンスの影響をはるかに上回る高温で、最良の長期サイクル寿命を有すると予想される。
いくつかの本発明の組成物の長期サイクリングの結果
複数の4.4V型のパウチ電池が、55℃において、80mA(C/2.5)で、3.0〜4.2Vで充放電された。これらのパウチ電池は、比較用と本発明の電解質混合物を含んでいた。図9aは、2% VC、2% VC+1% MMDS、及び本発明の組成物2% VC+1% MMDS+1% TTSPiの結果を示す。図9bは、2% VC、2% VC+1% DTD、及び本発明の組成物2% VC+1% DTD+1% TTSPiの結果を示す。図9aと図9bは、表1のCIE/h及び充電低下の結果に基づいて予想できるように、本発明の組成物が、より良い充放電サイクル寿命をもたらすことを示す。図10aは、2% PES、2% PES+1% MMDS、2% PES+1% TTSPi、及び本発明の組成物2% PES+1% MMDS+1% TTSPiの結果を示す。図10bは、2% PES、2% PES+1% DTD、2% PES+1% TTSPi、及び本発明の組成物2% PES+1% DTD+1% TTSPiの結果を示す。図10aと図10bは、表2のCIE/h及び充電低下の結果に基づいて予想できるように、本発明の組成物が、より良い充電放電サイクル寿命をもたらすことを示す。200サイクル後に測定されたガスの体積は、VCを含有している電池が最大0.25mLのガスを発生した一方で、すべてのPESを含有している電池は0.08mL未満のガスを発生したことを示している。このことはまた、高温でのガスの発生を抑制するPESの混合の利点を示している。
高電圧サイクリングにおける本発明の電解質の影響
図11a〜図11dは、400から500時間の間、40℃で、指定された電圧制限の範囲でサイクルされた、NMC442/グラファイト電池のACインピーダンススペクトルを示す。VCを含有している電池のインピーダンスがいかに、PESを含有している電池のインピーダンスよりも、いかにとても大きいか、及び、その両方のインピーダンスが、4.5V以上では、2% VC+1% MMDS+1% TTSPiのインピーダンスも、はるかに大きいことに留意されたい。このことは、本発明の組成物は、高電圧サイクリング中に、インピーダンスの増大を安定させる有用性を有することを示唆している。
図12aは、様々な電解質添加剤を含む、NMC111/グラファイトパウチ電池(4.4Vにバランスされた電池)の、等温微量熱量測定の結果(参考文献[6]の方法を使用している)を示している。電池の充電中に収集されたデータは実線表示され、電池の放電中に収集されたデータは破線で示される。対照試料Aの電解質は、1MのLiPF EC:EMC(3:7)である。対照試料Aの電解質の電池が、最も多い寄生熱を示す。2% VCを加えると、図12aで示すように寄生熱が低減される。対照試料Bの電解質は、対照試料A+1% TTSPiである。こうして対照試料Bを伴う3つのデータセットは、すべて本発明の電解質である。本発明の電解質はすべて、対照試料A+2% VCと比較して、特に4.2V以上で、劇的に寄生熱を下げる。これは、本発明の電解質が、図11a〜図11dの結果と一致して、2% VCと比較して、4.4Vのサイクリング時に改善されたサイクリングの挙動を示すであろうことを示唆している。図12bは、対照試料A及び様々な他の電解質からの熱流の間の違いを示している。図12bの中抜きの記号は充電に対してであり、黒塗りの記号は放電に対してである。本発明の電解質は、4.2V以上で2% VCと比較して劇的に寄生熱を減らす。
55℃での長期間のサイクリング
4.2V動作にバランスされた、ドライLi[Ni1/3Mn1/3Co1/3]O(NMC111)/グラファイトパウチ電池(220mAh)は、Whenergy(山東省、中国)から入手された。すべてのパウチ電池が、電解質なしで、中国で真空封入され、カナダの試験所へと出荷された。電解質を充填する前に、電池が熱封止部のすぐ下で切断され、残留する水分をすべて取り除くために、12時間、真空下で、80℃で乾燥された。その後、電池は、充填及び真空封止のために、アルゴンが充填されたグローブボックスにすぐに移された。NMC/グラファイトパウチ電池は、0.9gの電解質で充填された。充填後、電池は小型真空シーラー(MSK115A、MTI社)で真空封止された。まず、ウェッティングを完了させるために、電池は、40.0±0.1℃で温度ボックスに置かれ、そこで1.5Vで24時間保持された。その後、電池は11mA(C/20)で4.2Vに充電され、3.8Vに放電された。この工程の後、電池がグローブボックスに移動され、発生したガスを放出するために切断して開かれ、そして再度、真空封止された。対照試料の電解質(比較例)は、BASFから入手した1MのLiPF EC:EMC 3:7であった。サンプル電解質(例)は、表3、表4及び表5の電解質添加剤を添加した対照試料の電解質を含んでいる。電池は次に、Neware電池テスターに移され、80mAで、2.8〜4.2Vで、55℃で、充電及び放電された。VCに他の添加剤を加えた電解質を含む電池の試験結果が、表3に列挙されている。他の添加剤を加えたPESを含む電池の試験結果が、表4に列挙されている。
Figure 2017510045
Figure 2017510045
表3及び表4は、本発明の組成物、特に2% PES+1% MMDS+1% TTSPi、及び2% PES+1% DTD+1% TTSPiの利点を示す。
自動化されたインピーダンス分光法/充電−放電サイクリング実験
4.7V動作にバランスされた、ドライ(電解質なし)Li[Ni0.42Mn0.42Co0.16]O(NMC442)/グラファイトパウチ電池(240mAh)が、Lifun Technologiesから入手され、自動化されたインピーダンス分光法/サイクリング実験に用いられた。パウチ電池は、長さ40mm×幅20mm×厚さ3.5mmであった。電池の電極の組成は次のようであった。正極96.2%:1.8%:2.0%=活性物質:カーボンブラック:PVDFバインダー。負極95.4%:1.3%:1.1%:2.2%=活性物質:カーボンブラック:CMC:SBR。正極のコーティングは、合計で105μmの厚さ、片面コーティングで47.5μmの厚さを有し、かつ3.55g/cmの密度にカレンダー加工された。負極のコーティングは、合計で110μmの厚さ、片面コーティングで51μmの厚さを有し、かつ1.55g/cmの密度にカレンダー加工された。正極のコーティングは、16mg/cmの面密度であり、かつ負極は、9.5mg/cmの面密度であった。正極の寸法は、200mm×26mmであり、かつ負極の寸法は、204mm×28mmであった。両極は、約100cmの活性領域につながる箔の端の片面の小さな領域を除いて、両面にコーティングされた。電極は、これらのパウチ電池で、ら旋状に巻かれていて、積層されていない。
電解質を充填する前に、電池が熱シールのすぐ下で切断され、すべての残留する水分をすべて除去するために、12時間、真空下80℃で乾燥された。その後、電池は、充填及び真空封止のために、アルゴンが充填されたグローブボックスにすぐに移された。NMC/グラファイトパウチ電池は、0.9gの電解質で充填された。充填後、電池は小型真空シーラー(MSK115A、MTI社)で真空封止された。まず、ウェッティングを完了させるために、電池は、40.0±0.1℃で温度ボックスに置かれ、そこで1.5Vで24時間保持された。その後、電池は11mA(C/20)で、4.4Vに充電された。この工程の後、電池はグローブボックスに移され、発生したガスを放出するために切断して開かれ、そして再度、真空封止された。
電池は、電池の所望のインピーダンススペクトルを測定するためにプログラムすることができる、カスタムビルドの充放電装置に置かれた。電池は、以下のように定義される工程A)及び工程B)を含む次の手順を施行した。工程A)C/5で4.4Vまで充電し、4.4Vで20時間保持され、その後C/5で2.8Vまで放電する。工程B)EISスペクトルを0.1Vごとに測定しながら、C/20で4.4Vに充電し、その後、EISのスペクトルを0.1Vごとに測定しながら、C/20で2.8Vまで放電する。電池は、40℃でテストされ、3回の工程A)の手順及び1回の工程B)の手順のシーケンスを繰り返した。つまり、テストは以下の工程の順序で行われた:A A A B A A A B A A A B......。
表5は、上記の段落で説明したサイクル−保持−サイクルのテスト結果を示している。ACインピーダンススペクトルは、10mVの信号振幅で、40.0±0.1℃で、100kHz〜10mHzの周波数10倍あたり10ポイントで収集された。ACインピーダンススペクトルは、ナイキスト線図としてプロットされ、かつナイキスト線図の半円の直径が、正負極の両方での電荷移動抵抗の合計Rctを表し、そして、4.4Vで測定された、表3の電池の最後の充放電サイクルに対して示されている。すべての電池は、4.4Vで、0.2Ω近傍のRctで、テストを開始する。Rctの値は、サイクルのカウントに伴い着実に上昇し、対照試料の電解質のほんの27サイクル後の1.0Ωという値は、本発明の電解質のうちの1つの95サイクル後の0.9Ωという値よりも、大幅により悪い状況を表している。表5は、本発明の電解質組成物が、40℃で、4.4Vまで積極的にサイクルされたときに、より長いサイクル寿命、及び大幅に低いインピーダンスを有する電池をもたらすことを示している。
Figure 2017510045
上記の例は、本発明の電解質の使用が次の利点の1つ又は2つ以上を提供できることを示している。
1)充電された電極材料と電解質の間の寄生反応の低減を示す、等温電池微量熱量測定の間の、より低い寄生熱。
2)寄生反応レートの低減を示す、より高いクーロン効率、及び、より低い充電エンドポイント容量低下レート。
3)電極表面上の、より理想的な不動態化被膜の形成を示唆している、サイクリング後のより低い電荷移動インピーダンス。
4)長期のサイクリング中のガス発生量が、VCのみ(DTDを用いる電池を除く)の電池によって生成されるものより小さいか同等であること。
5)55℃での長期サイクリングの間のより良い容量保持。
上記の米国特許、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、及び本明細書で参照される非特許公開文献のすべては、全体として参照によって本明細書に組み込まれる。
本発明の特定の要素、実施形態及び応用が示され、記載されてきたが、本発明はそれらに限定されないことが、当然として理解されるであろう。なぜなら、特に前述の教示を考慮すれば、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって更なる修正を行い得るからである。このような変更は、本明細書に添付される請求項の領域及び範囲内であると考慮されるべきである。

Claims (4)

  1. リチウム塩と、非水系カーボネート溶媒と、少なくとも1つのA群化合物、少なくとも1つのB群化合物、及び、少なくとも1つのC群化合物を含む添加剤混合物と、を含むリチウムイオン電池用の非水電解質であって、前記A群化合物は、VC及びPESからなる群から選択され、前記B群化合物は、MMDS、DTD、TMS、ES及びPSからなる群から選択され、前記C群化合物は、TTSP及びTTSPiからなる群から選択される、非水電解質。
  2. 前記少なくとも1つのA群化合物の濃度は、0.5〜3重量パーセントの範囲内である、請求項1に記載の非水電解質。
  3. 前記少なくとも1つのB群化合物の濃度は、0.25〜3重量パーセントの範囲内である、請求項1に記載の非水電解質。
  4. 前記少なくとも1つのA群化合物の濃度は、0.25〜3重量パーセントの範囲内である、請求項1に記載の非水電解質。
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