JP2017508113A - セルフロック式の軸受を備えた旋回座軸受 - Google Patents

Abstract

特に天井懸架式スタンドを支承するための、セルフロック式の軸受（１）を備えた旋回座軸受であって、旋回座軸受が、内輪（２）と少なくとも１つの外輪（３）とを有しており、軸受（１）が、滑り軸受として形成されていて、少なくとも１つの内輪（２）と少なくとも１つの外輪（３）との間に半径方向で配置された中間輪（４）を有しており、各輪が、外部から接近することができない少なくとも１つの環状の滑り面を有しており、少なくとも１つの内輪（２）と外輪（３）との間に第１の滑り対（５）が設けられており、中間輪（４）と少なくとも１つの外輪（３）との間に第２の滑り対（６）が設けられており、一方の滑り対（５，６）の一方の滑り面が、滑り塗料で被覆されている、旋回座軸受。

Description

本発明は、特に天井懸架式スタンドを支承するための、セルフロック式の軸受を備え、内輪と少なくとも１つの外輪とを有している旋回座軸受に関する。

セルフロック式の軸受を備えた旋回座軸受は、種々異なる用途において必要とされる。これに対する一例は、たとえば医療機器に用いられる天井懸架式スタンド、塗装ロボット、自転車のスイングアーム、ヘリオスタットの主軸受装置および別種の用途である。

全ての用途において、旋回座軸受およびセルフロック式の軸受の寿命にわたってほぼ一定の調節モーメントまたは操作モーメントが必要となる。セルフロック式の軸受を備えた従来の旋回座軸受は、大抵、転がり軸受と、所望のセルフロック力を発生させるために、別体の制動エレメントまたは摩擦エレメントを有している。転がり支承をベースとするセルフロック式の軸受を備えた旋回座軸受は、メンテナンスを少なく形成することができるだけでなく、メンテナンスを義務づけて形成することもできる。前者の場合には、１回の給脂が行われ、第２の変形例では、規則的な後潤滑が必要となる。しかしながら、転がり軸受への、たとえばグリースまたは油のような潤滑剤の使用時には、この潤滑剤が軸受の内部から漏れ、ひいては流れ出す危険が常につきまとっている。したがって、問題となるのは、清潔さを重要視する用途、たとえば手術室内に組み付けられた医療機器の天井懸架式スタンドの場合である。また、クリーンルーム内での使用時にも、潤滑剤の漏れおよび／または蒸発を阻止するために、特別な措置が講じられなければならない。

本発明の課題は、清潔さを重要視する領域での使用にも適した、セルフロック式の軸受を備えた旋回座軸受を提供することである。

この課題を解決するため、本発明によれば、冒頭に記載した形態の旋回座軸受において、軸受が滑り軸受として形成されていて、少なくとも１つの内輪と少なくとも１つの外輪との間に半径方向で配置された中間輪を有しており、各輪が、外部から接近することができない少なくとも１つの環状の滑り面を有しており、少なくとも１つの内輪と外輪との間に第１の滑り対が設けられており、中間輪と少なくとも１つの外輪との間に第２の滑り対が設けられており、一方の滑り対の一方の滑り面が、滑り塗料で被覆されていることが特定されている。

セルフロック式の軸受を備えた従来の旋回座軸受と異なり、本発明に係る旋回座軸受では、転がり軸受が省略される。その代わりに、滑り塗料で被覆された一方の滑り面が設けられており、この一方の滑り面が他方の滑り面と共に滑り対を形成している。この滑り対は、環状の両滑り面が互いに直に重なり合って回転するので、グリースも油も必要としない乾燥した滑り対である。

本発明に係る旋回座軸受では、滑り塗料を有する滑り面が、アンカコーティングまたは緊急用コーティングを有していて、このアンカコーティングまたは緊急用コーティングに滑り塗料が被着されていることが特定されていてよい。製造時には、まず、アンカコーティングまたは緊急用コーティングが被着され、次いで、このアンカコーティングまたは緊急用コーティングに滑り塗料が被着される。旋回座軸受の通常の運転中に、滑り塗料が一方の滑り面を形成しており、当該滑り塗料が摩耗させられた場合に初めて、アンカコーティングまたは緊急用コーティングが機能し始める。このアンカコーティングまたは緊急用コーティングは、たとえばリン酸マンガンおよび／または硫化モリブデンを含んでいてもよいし、リン酸マンガンおよび／または硫化モリブデンから成っていてもよい。

好ましくは、上述した全ての変化態様は、滑り対の、滑り塗料を有していない滑り面が、一般的に被覆されていないという共通性を有している。好ましくは、被覆されていない滑り面は、軸受輪の軌道面に類似して、金属表面である。

また、滑り対が、滑り軸受ディスク対として形成されており、少なくとも１つの内輪に第１の滑り軸受ディスクが配置されていて、外輪に第２の滑り軸受ディスクが配置されており、かつ／または中間輪に第１の滑り軸受ディスクが配置されていて、少なくとも１つの外輪に第２の滑り軸受ディスクが配置されていることも、本発明の範囲内にある。これに相応して、これらの輪は、支承可能な表面品質を有する相応の滑り軸受ディスクを有している。この場合には、２つの滑り軸受ディスクが、それぞれ１つの滑り対を形成している。両滑り軸受ディスクのうちの一方の滑り軸受ディスクは、滑り塗料で被覆されており、これに対して、他方の滑り軸受ディスクは、一般的に被覆されていない。

本発明の別の態様では、中間輪が、滑り軸受の押付け圧および／またはセルフロック力を調整するための、内輪に螺合可能なまたは螺合された調整手段として形成されていることが特定されていてよい。調整は、内輪内への中間輪の、多少なりとも強力な螺入によって行うことができる。次いで、調整手段を、好ましくはねじ山付きピンによって位置固定することができる。これによって、螺合の緩みが阻止される。

調整手段によって、一方の滑り対の所望の押付け圧または押付け力を発生かつ／または調整することができる。軸方向または半径方向の調整手段によって、一方の滑り対の両滑り面の相対位置を少なくとも最小限調整することができ、これによって、所望のセルフロック力が調整される。

代替的または付加的に、本発明に係る旋回座軸受において、規定された押付け圧を発生させるために、一方の滑り対に、予荷重が加えられた少なくとも１つのばねエレメントが割り当てられていることが特定されていてよい。この少なくとも１つのばねエレメントは、滑り対の両滑り面を規定された力で互いに押圧し合い、これによって、両滑り面相互の回転時に摩擦が発生するようになっている。この摩擦は所望されていて、セルフロック力を発生させる。これによって、滑り面と、この滑り面に結合された構成要素との更なる回動が阻止される。

また、ばねエレメントが、１つの皿ばねもしくは１つのウェーブスプリングを含んでいるかまたは、好ましくは滑り面の全周にわたって分配されて配置された複数の皿ばねもしくは複数のウェーブスプリングを含んでいる態様も可能である。

本発明の実施の形態を図面に示し、以下に詳しく説明する。

セルフロック式の軸受を備えた本発明に係る旋回座軸受の断面側面図である。 図１に示した軸受の平面図である。 図１に示した軸受の斜視図である。

図１に断面側面図で示す軸受１は、医療機器の天井懸架式スタンドを支承する旋回座軸受の構成要素である。

セルフロック式の軸受１を備えた旋回座軸受は、内輪２と、外輪３と、内輪２と外輪３との間に半径方向で配置された中間輪４とを有している。

内輪２と外輪３との間には、第１の滑り対５が形成されており、中間輪４と外輪３との間には、第２の滑り対６が形成されている。したがって、軸受１は滑り軸受として形成されている。各滑り対５，６は、滑り塗料で被覆された滑り面を有している。

外輪３は貫通孔７を有しており、これによって、外輪３が、別の構成部材、たとえば医療機器の天井懸架式スタンドの支持アームに結合される。類似の形式で内輪２は盲孔ねじ山８を有しており、これによって、内輪２が、天井懸架式スタンドの別の構成要素に結合される。軸受１によって、天井懸架式スタンドの２つの構成要素、たとえば２つの支持アームが、互いに相対回動可能に支承される。

図１に示した実施の形態に認められるように、両滑り対５，６は滑り軸受ディスク対として形成されている。第１の滑り対５は、内輪２に設けられた第１の滑り軸受ディスク９と、外輪３に設けられた第２の滑り軸受ディスク１０とを有しており、中間輪４に設けられた第１の滑り軸受ディスク１１と、外輪３に設けられた第２の滑り軸受ディスク１２とを有している。

両滑り対５，６では、それぞれ第１の滑り軸受ディスク９，１１が、滑り塗料で被覆された滑り面を有している。この滑り面は、リン酸マンガンおよび／または硫化モリブデンから成るアンカコーティングまたは緊急用コーティングを有していて、このアンカコーティングまたは緊急用コーティングに滑り塗料が被着されている。滑り対５，６の、滑り塗料を有していない滑り面、ゆえに、図示の実施の形態では第２の滑り軸受ディスク１０，１２は被覆されていない。

図１に示した中間輪４は調整輪として形成されている。両滑り対の押付け圧の軸方向の調整が、内輪２への中間輪４の螺合によって行われる。このために、内輪２の外面に雄ねじ山が配置され、中間輪４の内面に雌ねじ山が配置されている。規定された押付け圧の調整後、内輪２の相応のねじ山内に、相対回動防止部材として働く２つのねじ山付きピン１３が螺入される。内輪２の両ねじ山は互いに対置している。螺入されたねじ山付きピン１３は、内輪２と中間輪４との間の螺合の緩みを阻止している。

別の形態では、規定された押付け圧を発生させるために、一方の滑り対に、予荷重が加えられたばねエレメントが割り当てられていてよい。このばねエレメントは、特に１つまたはそれ以上の皿ばねもしくは１つまたはそれ以上のウェーブスプリングを含んでいる。

滑り対５，６の、滑り塗料で被覆された滑り面が、全寿命の間、潤滑または油充填によるメンテナンスを必要としないので、軸受１はメンテナンスフリーであるという利点を有している。潤滑剤が必要なくなるので、軸受１は、この軸受からの潤滑剤の流出が絶対に阻止されなければならないような環境でも使用することができる。軸受１の更なる利点は、転動体と転動体保持器との省略に基づき、構造高さが減じられている点に認めることができる。なお、これによって、耐荷量が低減されることはない。滑り対の滑り層は、メンテナンスフリーの乾燥した滑り塗料から成っている。この滑り塗料は、切削屑なしに製造された滑り軸受ディスクまたはアンギュラ軸受ディスクの滑り面に被着されている。この滑り軸受ディスクは、これに向かい合って位置する他方の滑り軸受ディスクと共に滑り対を形成している。代替的に、滑り軸受ディスクが、対応輪郭体、たとえば外輪に対して直接回転させられてもよい。

軸受１に設けられた滑り対５，６は、規定された操作・調節モーメントひいてはセルフロック力を軸受１に直接発生させる。その際、付加的なまたは別体の制動エレメントまたは摩擦エレメントは不要である。さらに、調整手段によるセルフロック力の適合または後調整が可能となる。

１ 軸受
２ 内輪
３ 外輪
４ 中間輪
５ 滑り対
６ 滑り対
７ 貫通孔
８ 盲孔ねじ山
９ 滑り軸受ディスク
１０ 滑り軸受ディスク
１１ 滑り軸受ディスク
１２ 滑り軸受ディスク
１３ ねじ山付きピン

Claims (8)

1. 特に天井懸架式スタンドを支承するための、セルフロック式の軸受（１）を備えた旋回座軸受であって、内輪（２）と少なくとも１つの外輪（３）とを有している旋回座軸受において、
   前記軸受（１）が、滑り軸受として形成されていて、少なくとも１つの前記内輪（２）と前記少なくとも１つの外輪（３）との間に半径方向で配置された中間輪（４）を有しており、各輪が、外部から接近することができない少なくとも１つの環状の滑り面を有しており、前記少なくとも１つの内輪（２）と前記外輪（３）との間に第１の滑り対（５）が設けられており、前記中間輪（４）と前記少なくとも１つの外輪（３）との間に第２の滑り対（６）が設けられており、一方の滑り対（５，６）の一方の滑り面が、滑り塗料で被覆されていることを特徴とする、旋回座軸受。
2. 前記滑り塗料を有する前記滑り面が、アンカコーティングまたは緊急用コーティングを有していて、該アンカコーティングまたは該緊急用コーティングに前記滑り塗料が被着されている、請求項１記載の旋回座軸受。
3. 前記アンカコーティングまたは前記緊急用コーティングが、リン酸マンガンから成っているかまたはリン酸マンガンを含んでいる、請求項２記載の旋回座軸受。
4. 前記滑り対（５，６）の、滑り塗料を有していない滑り面が、被覆されていない、請求項１から３までのいずれか１項記載の旋回座軸受。
5. 前記滑り対（５，６）が、滑り軸受ディスク対として形成されており、前記少なくとも１つの内輪（２）に第１の滑り軸受ディスク（９）が配置されていて、前記外輪（３）に第２の滑り軸受ディスク（１０）が配置されており、かつ／または前記中間輪（４）に第１の滑り軸受ディスク（１１）が配置されていて、前記少なくとも１つの外輪（３）に第２の滑り軸受ディスク（１２）が配置されている、請求項１から４までのいずれか１項記載の旋回座軸受。
6. 前記中間輪（４）が、前記滑り軸受の押付け圧および／またはセルフロック力を調整するための、前記内輪（２）に螺合可能なまたは螺合された調整手段として形成されており、該調整手段が、好ましくはねじ山付きピン（１３）によって位置固定されている、請求項１から５までのいずれか１項記載の旋回座軸受。
7. 規定された押付け圧を発生させるために、一方の滑り対（５，６）に、予荷重が加えられた少なくとも１つのばねエレメントが割り当てられている、請求項１から６までのいずれか１項記載の旋回座軸受。
8. 前記ばねエレメントが、１つまたはそれ以上の皿ばねまたはウェーブスプリングを含んでいる、請求項７記載の旋回座軸受。

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