JP2017505141A - 長時間作用型インスリンおよびその使用 - Google Patents

長時間作用型インスリンおよびその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、以下に関する:インスリンの血中半減期を増大させる目的でインスリン受容体結合力が低減されたインスリン類似体;このインスリン類似体を使用する長時間作用型インスリン;複合体;および長時間作用型インスリンの製造方法。

Description

本発明は、インスリンの血中半減期を増大させる目的でインスリン受容体結合親和性が低減されたインスリン類似体、およびそれを使用する長時間作用型インスリンに関する。
一般に、インスリンは、人体の膵臓によって分泌され、血中グルコースレベルを調節し、正常な血中グルコースレベルを維持する役割を果たし、同時に、細胞にエネルギーを供給するために血中の余剰なグルコースを細胞に輸送する役割を果たすホルモンである。しかし糖尿病患者では、インスリンの欠如、インスリンへの抵抗性およびβ細胞機能の喪失が原因でインスリンが正しく機能せず、それにより血中のグルコースをエネルギー源として利用することができず、血中グルコースレベルが上昇し、高血糖に至る。最終的に、様々な合併症の発生の一因となる尿排泄が起こる。したがって、インスリン療法は、異常なインスリン分泌(I型)またはインスリン抵抗性(II型)を有する患者に必須であり、インスリン投与によって血中グルコースレベルを正常に調節することができる。しかし、他のタンパク質およびペプチドホルモンのように、インスリンはin−vivo半減期が非常に短いので、反復投与されるという不利な点がある。そのような頻繁な投与は、患者に対して重度の苦痛および不快感を引き起こす。この理由で、タンパク質のin−vivo半減期を増大し、投与頻度を減らすことによって生活の質を改善するために、タンパク質製剤および化学的コンジュゲーション(脂肪酸コンジュゲート、ポリエチレンポリマーコンジュゲート)に関する多くの研究が行われてきた。市販の長時間作用型インスリンとしては、Sanofi Aventisが製造するインスリングラルギン(ランタス、約20時間〜22時間持続する)ならびにNovo Nordiskが製造するインスリンデテミル(レベミル、約18時間〜22時間持続する)およびトレシーバ(デグルデク、約40時間持続する)が挙げられる。これらの長時間作用型インスリン製剤は血中インスリン濃度のピークをもたらさないので、基礎インスリンとして適切である。しかし、これらの製剤は半減期が十分に長くないので、1日あたり1回または2回注射されるという不利な点がまだ残る。したがって、長期投与を必要としている糖尿病患者の利便性を改善するために投与頻度を著しく低減するという所期の目標は、限定的にしか達成されていない。
非特許文献1、非特許文献2および非特許文献3などによって、in−vivoでのインスリンのクリアランスプロセスが報告された。これらの報告によれば、50%以上のインスリンが腎臓で除去され、残りは、標的部位、例えば筋肉、脂肪、肝臓などにおいて、受容体媒介性クリアランス(RMC)プロセスを介して除去される。
この関連で、非特許文献4、非特許文献5および非特許文献6などによって、インスリンのRMCを回避するためにin−vitro活性が低減され、それによって、血中のインスリンレベルが増大することが報告された。
こうした状況下で、本発明者らは、インスリンの血中半減期を増大させるために多くの努力を払った。その結果、インスリン受容体結合親和性が低減されたインスリン類似体を発見し、さらに、そのインスリン類似体を含む、半減期、生物学的利用能を増大させ、かつインスリンの持続的活性を維持することができる製剤もインスリンの血中半減期を増大させることができることを確認し、それによって本発明を完成した。
Authier Fら(Biochem J.1998 Jun 1;332(Pt 2):421〜30) Duckworth WCら(Endocr Rev.1998 Oct;19(5):608〜24) Valera Mora MEら(J Am Coll Nutr.2003 Dec;22(6):487〜93) Lin Sら(J Pharmacol Exp Ther、1998、286(2):959〜66.) Brange Jら(Diabetes Care.1990 Sep;13(9):923〜54) Ribel Uら(Diabetes、1990、39:1033〜9)
本発明の一目的は、インスリンのin−vivo半減期を延ばす目的でインスリン受容体結合親和性が低減された新規なインスリン類似体、およびその長時間作用型製剤を提供することである。
特に、本発明の一目的は、天然インスリンと比較して、インスリン受容体結合親和性が低減されたインスリン類似体を提供することである。
本発明の別の目的は、インスリン類似体をコードするポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、および発現ベクターを含む形質転換体を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、半減期を延ばすことができる生体適合性物質がインスリン類似体に連結されている長時間作用型インスリンを提供することである。
本発明のさらに別の目的は、(a)(i)インスリン類似体ならびに(ii)ポリエチレングリコール、脂肪酸、コレステロール、アルブミンおよびそれらの断片、アルブミン結合物質、特定のアミノ酸配列の繰り返し単位のポリマー、抗体、抗体断片、FcRn結合物質、in−vivo結合組織またはそれらの誘導体、ヌクレオチド、フィブロネクチン、トランスフェリン、サッカリドならびにポリマーからなる群から選択される生体適合性物質をそれぞれ製造すること;ならびに(b)インスリン類似体を生体適合性物質に連結することを含む、長時間作用型インスリンに関する方法を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、以下の化学式1のコンジュゲートを提供することである。
[化学式1]
X−La−F;
式中、Xは、天然インスリンと比較してインスリン受容体結合親和性が低減されたインスリン類似体であり、
Lはリンカーであり、
aは0または自然数であり、但し、aが2以上である場合、各Lは互いに独立していることを条件とし、
Fは、インスリン類似体のin−vivo半減期を増大させることができる物質である。
本発明のさらに別の目的は、in−vivoでの持続時間および安定性が改善された、コンジュゲートを含む長時間作用型インスリン製剤を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、糖尿病治療のための、コンジュゲートを含む長時間作用型製剤を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、インスリン類似体またはインスリン類似体コンジュゲートを、それらを必要とする対象に投与することを含む、インスリン関連疾患の治療方法を提供することである。
上記の目的を達成するために、一態様では、本発明は、天然インスリンと比較してインスリン受容体結合親和性が低減されたインスリン類似体を提供する。
本発明の例示的実施形態では、インスリン類似体は、天然インスリンと比較して10%以上半減期が増大している。
本発明の別の例示的実施形態では、インスリン類似体は、天然インスリンの少なくとも1つのアミノ酸において突然変異または欠失を有する。
本発明のさらに別の例示的実施形態では、インスリン類似体は、インスリンのB鎖の位置1〜3、5、8、10、12、16および23〜30における、ならびにインスリンのA鎖の位置1、2、5、8、10、12、14、16〜19および21における1つまたは複数のアミノ酸が、他のアミノ酸(複数可)で置換されていること、または欠失していることを特徴とする。
本発明のさらに別の例示的実施形態では、インスリン類似体は、インスリンのB鎖の位置8および23〜25における、ならびにインスリンのA鎖の位置1、2、14および19における1つまたは複数のアミノ酸が、他のアミノ酸(複数可)で置換されていることを特徴とする。
本発明のさらに別の例示的実施形態では、置換アミノ酸(substituting amino acid)は、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン、イソロイシン、バリン、グルタミン、グリシン、リジン、ヒスチジン、システイン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、セリン、スレオニンおよびアスパラギン酸からなる群から選択される。
本発明のさらに別の例示的実施形態では、天然インスリンのA鎖またはB鎖の少なくとも1つのアミノ酸の欠失が原因で、インスリン類似体が、インスリン受容体結合親和性を低減している。
本発明のさらに別の例示的実施形態では、インスリン類似体は、以下の式1によって表される配列番号37のA鎖および以下の式2によって表される配列番号38のB鎖を含む:
[式1]
Xaa1−Xaa2−Val−Glu−Gln−Cys−Cys−Thr−Ser−Ile−Cys−Ser−Leu−Xaa3−Gln−Leu−Glu−Asn−Xaa4−Cys−Asn(配列番号37)
上記の式1では、
Xaa1はグリシンまたはアラニンであり、
Xaa2はイソロイシンまたはアラニンであり、
Xaa3はチロシン、グルタミン酸またはアスパラギンであり、
Xaa4はチロシンまたはアラニンである。
[式2]
Phe−Val−Asn−Gln−His−Leu−Cys−Xaa5−Ser−His−Leu−Val−Glu−Ala−Leu−Tyr−Leu−Val−Cys−Gly−Glu−Arg−Xaa6−Xaa7−Xaa8−Tyr−Thr−Pro−Lys−Thr(配列番号38)
上記の式2では、
Xaa5はグリシンまたはアラニンであり、
Xaa6はグリシンまたはアラニンであり、
Xaa7はフェニルアラニンまたはアラニンであり、
Xaa8はフェニルアラニンまたはアラニンである。
本発明のさらに別の例示的実施形態では、インスリン類似体は、以下を含む:
(i)式1において、Xaa1がアラニン、Xaa2がイソロイシン、Xaa3がチロシンおよびXaa4がチロシンである、A鎖;ならびに式2において、Xaa5がグリシン、Xaa6がグリシン、Xaa7がフェニルアラニンおよびXaa8がフェニルアラニンである、B鎖;
(ii)式1において、Xaa1がグリシン、Xaa2がアラニン、Xaa3がチロシンおよびXaa4がチロシンである、A鎖;ならびに式2において、Xaa5がグリシン、Xaa6がグリシン、Xaa7がフェニルアラニンおよびXaa8がフェニルアラニンである、B鎖;
(iii)式1において、Xaa1がグリシン、Xaa2がイソロイシン、Xaa3がグルタミン酸もしくはアスパラギンおよびXaa4がチロシンである、A鎖;ならびに式2において、Xaa5がグリシン、Xaa6がグリシン、Xaa7がフェニルアラニンおよびXaa8がフェニルアラニンである、B鎖;
(iv)式1において、Xaa1がグリシン、Xaa2がイソロイシン、Xaa3がチロシンおよびXaa4がアラニンである、A鎖;ならびに式2において、Xaa5がグリシン、Xaa6がグリシン、Xaa7がフェニルアラニンおよびXaa8がフェニルアラニンである、B鎖;
(v)式1において、Xaa1がグリシン、Xaa2がイソロイシン、Xaa3がチロシンおよびXaa4がチロシンである、A鎖;ならびに式2において、Xaa5がアラニン、Xaa6がグリシン、Xaa7がフェニルアラニンおよびXaa8がフェニルアラニンである、B鎖;
(vi)式1において、Xaa1がグリシン、Xaa2がイソロイシン、Xaa3がチロシンおよびXaa4がチロシンである、A鎖;ならびに式2において、Xaa5がグリシン、Xaa6がアラニン、Xaa7がフェニルアラニンおよびXaa8がフェニルアラニンである、B鎖;
(vii)式1において、Xaa1がグリシン、Xaa2がイソロイシン、Xaa3がチロシンおよびXaa4がチロシンである、A鎖;ならびに式2において、Xaa5がグリシン、Xaa6がグリシン、Xaa7がアラニンおよびXaa8がフェニルアラニンである、B鎖;または
(viii)式1において、Xaa1がグリシン、Xaa2がイソロイシン、Xaa3がチロシンおよびXaa4がチロシンである、A鎖;ならびに式2において、Xaa5がグリシン、Xaa6がグリシン、Xaa7がフェニルアラニンおよびXaa8がアラニンである、B鎖。
別の態様では、本発明は、インスリン類似体をコードするポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、および発現ベクターを含む形質転換体を提供する。
さらに別の態様では、本発明は、半減期を延ばすことができる生体適合性物質がインスリン類似体に連結されている長時間作用型インスリンを提供する。
本発明の例示的実施形態では、生体適合性物質は、ポリエチレングリコール、脂肪酸、コレステロール、アルブミンおよびそれらの断片、アルブミン結合物質、特定のアミノ酸配列の繰り返し単位のポリマー、抗体、抗体断片、FcRn結合物質、in−vivo結合組織またはそれらの誘導体、ヌクレオチド、フィブロネクチン、トランスフェリン、サッカリドならびにポリマーからなる群から選択される。
本発明の別の例示的実施形態では、インスリン類似体と生体適合性物質はペプチド結合によって互いに連結されている。
本発明のさらに別の例示的実施形態では、インスリン類似体と生体適合性物質は、ポリエチレングリコール、脂肪酸、サッカリド、ポリマー、低分子量化合物、ヌクレオチドおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるリンカーによって連結されている。
本発明のさらに別の例示的実施形態では、インスリン類似体と生体適合性物質はそれらの間に挿入されたリンカーによって連結されており、生体適合性物質はFcRn結合物質であり、リンカーは、ペプチドリンカー、またはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコールのコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖、デキストラン、ポリビニルエーテル、生分解性ポリマー、脂質ポリマー、キチン、ヒアルロン酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択される非ペプチドリンカーである。
本発明のさらに別の例示的実施形態では、FcRn結合物質は、免疫グロブリンFc領域を含むポリペプチドである。
本発明のさらに別の例示的実施形態では、非ペプチドリンカーの各末端は、それぞれ、生体適合性物質およびインスリン類似体のアミン基またはチオール基に連結されている。
さらに別の態様では、本発明は、以下を含む、長時間作用型インスリンを製造するための方法を提供する:
(a)(i)インスリン類似体;ならびに(ii)ポリエチレングリコール、脂肪酸、コレステロール、アルブミンおよびそれらの断片、アルブミン結合物質、特定のアミノ酸配列の繰り返し単位のポリマー、抗体、抗体断片、FcRn結合物質、in−vivo結合組織またはそれらの誘導体、ヌクレオチド、フィブロネクチン、トランスフェリン、サッカリドならびにポリマーからなる群から選択される生体適合性物質をそれぞれ製造すること;ならびに
(b)インスリン類似体を生体適合性物質に連結すること。
さらに別の態様では、本発明は、以下の化学式1のコンジュゲートを提供する:
[化学式1]
X−La−F;
式中、Xは、天然インスリンと比較してインスリン受容体結合親和性が低減されたインスリン類似体であり、
Lはリンカーであり、
aは0または自然数であり、但し、aが2以上である場合、各Lは互いに独立していることを条件とし、
Fは、インスリン類似体のin−vivo半減期を増大させることができる物質である。
本発明の例示的実施形態では、Xは、天然インスリンと比較してインスリン受容体結合親和性が低減されたインスリン類似体であり、インスリン類似体は、インスリンのA鎖またはB鎖の少なくとも1つのアミノ酸において突然変異または欠失を有する。
本発明の別の例示的実施形態では、インスリン類似体は、インスリンのB鎖の位置1〜3、5、8、10、12、16および23〜30における、ならびにインスリンのA鎖の位置1、2、5、8、10、12、14、16〜19および21における1つまたは複数のアミノ酸が、他のアミノ酸(複数可)で置換されていること、または欠失していることを特徴とする。
本発明のさらに別の例示的実施形態では、インスリン類似体は、インスリンのB鎖の位置8および23〜25における、ならびにインスリンのA鎖の位置1、2、14および19における1つまたは複数のアミノ酸が、他のアミノ酸(複数可)で置換されていることを特徴とする。
本発明のさらに別の例示的実施形態では、置換アミノ酸は、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン、イソロイシン、バリン、グルタミン、グリシン、リジン、ヒスチジン、システイン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、セリン、スレオニンおよびアスパラギン酸からなる群から選択される。
本発明のさらに別の例示的実施形態では、インスリン類似体のin−vivo半減期を増大させることができる物質は、ポリエチレングリコール、脂肪酸、コレステロール、アルブミンおよびそれらの断片、アルブミン結合物質、特定のアミノ酸配列の繰り返し単位のポリマー、抗体、抗体断片、FcRn結合物質、in−vivo結合組織、ヌクレオチド、フィブロネクチン、トランスフェリン、サッカリドならびにポリマーからなる群から選ばれる。
本発明のさらに別の例示的実施形態では、Lは、ペプチド、ポリエチレングリコール、脂肪酸、サッカリド、ポリマー、低分子量化合物、ヌクレオチドおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
本発明のさらに別の例示的実施形態では、XとFは、共有結合性化学結合、非共有結合性化学結合またはそれらの組み合わせを介して、Lによって連結されている。
本発明のさらに別の例示的実施形態では、ポリマーは、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコールのコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖、デキストラン、ポリビニルエーテル、生分解性ポリマー、脂質ポリマー、キチン、ヒアルロン酸、オリゴヌクレオチドおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される非ペプチドリンカーである。
本発明のさらに別の例示的実施形態では、FはIgG Fc領域である。
さらに別の態様では、本発明は、糖尿病治療のためのコンジュゲートを含む、in−vivoでの持続時間および安定性が改善された長時間作用型インスリン製剤を提供する。
さらに別の態様では、本発明は、インスリン類似体またはインスリン類似体コンジュゲートを、それらを必要とする対象に投与することを含む、インスリン関連疾患の治療方法を提供する。
本発明の長時間作用型インスリンは、天然インスリンと比較して血中の半減期が著しく増大しており、それにより、本発明の長時間作用型インスリンは、インスリン投与を必要としている患者にとっての利便性を改善することができる。
タンパク質電気泳動によるインスリン類似体の純度解析の結果を示す図である。これは、代表的インスリン類似体である類似体7番の結果である(レーン1:サイズマーカー、レーン2:天然インスリンおよびレーン3:インスリン類似体(7番))。 高圧クロマトグラフィーによるインスリン類似体の純度解析の結果を示す図である。これは、代表的インスリン類似体である類似体7番の結果である((A)RP−HPLC、(B)SE−HPLC)。 インスリン類似体のペプチドマッピングの結果を示す図である。これは、代表的インスリン類似体である類似体7番の結果である((A)天然インスリン、(B)インスリン類似体(7番))。 タンパク質電気泳動によるインスリン類似体−免疫グロブリンFcコンジュゲートの純度解析の結果を示す図である。これは、代表的インスリン類似体である類似体7番の結果である(レーン1:サイズマーカー、レーン2:インスリン類似体(7番)−免疫グロブリンFcコンジュゲート)。 高圧クロマトグラフィーによるインスリン類似体−免疫グロブリンFcコンジュゲートの純度解析の結果を示す図である。これは、代表的インスリン類似体である類似体7番の結果である((A)RP−HPLC、(B)SE−HPLCおよび(C)IE−HPLC)。 正常なラットにおける天然インスリン−免疫グロブリンFcコンジュゲートおよびインスリン類似体−免疫グロブリンFcコンジュゲートの薬物動態解析の結果を示す図である。((A)天然インスリン−免疫グロブリンFcコンジュゲートおよびインスリン類似体(7番)−免疫グロブリンFcコンジュゲート、(B)天然インスリン−免疫グロブリンFcコンジュゲートおよびインスリン類似体(8番)−免疫グロブリンFcコンジュゲートならびに(C)天然インスリン−免疫グロブリンFcコンジュゲートおよびインスリン類似体(9番)−免疫グロブリンFcコンジュゲート)。(白丸:天然インスリン−免疫グロブリンFcコンジュゲート(21.7nmol/kg)、黒丸:天然インスリン−免疫グロブリンFcコンジュゲート(65.1nmol/kg)、白四角:インスリン類似体−免疫グロブリンFcコンジュゲート(21.7nmol/kg)、黒四角:インスリン類似体−免疫グロブリンFcコンジュゲート(65.1nmol/kg))。
本発明を達成するために、一態様では、天然インスリンと比較してインスリン受容体結合親和性が低減されたインスリン類似体が提供される。
本明細書で使用する場合、用語「インスリン類似体」は、天然インスリンのものと同一のin−vivo血中グルコースレベルを制御する機能を有する物質を指す。本発明の目的において、インスリン類似体は、好ましくは、天然インスリンと比較してインスリン受容体結合親和性が低減された物質である。さらに、インスリン類似体は、インスリン受容体結合親和性の低減により天然インスリンよりも10%以上半減期が増大しているものでもよいが、これに限定されない。
特に、インスリン類似体は、インスリンのB鎖またはA鎖のアミノ酸が突然変異または欠失している、天然インスリンと比較してインスリン受容体結合親和性が低減されたインスリン類似体でもよい。例えば、インスリン類似体は、付加、欠失または置換の形態の、天然インスリンの一部のアミノ酸(複数可)の変異によって、天然インスリンと比較してインスリン受容体結合親和性が低減されたものでもよい。
一方、天然インスリンは膵臓によって分泌されるホルモンであり、これは、一般に、グルコースの細胞内吸収を促進し、脂肪分解を阻害し、それによって、in−vivo 血中グルコースレベルを制御する働きをする。血中グルコースレベルを制御する能力がない前駆体であるプロインスリン形態のインスリンは、ある過程によって、血中グルコースレベルを制御する能力を有するインスリンへと変換される。インスリンは、2つのポリペプチド鎖、21アミノ酸残基のA鎖および30アミノ酸残基のB鎖を有し、これらは、2つのジスルフィド結合によって互いに連結されている。天然インスリンのA鎖およびB鎖のそれぞれは、それぞれ、配列番号39および40によって表されるアミノ酸配列を含み得る。
A鎖:
Gly−Ile−Val−Glu−Gln−Cys−Cys−Thr−Ser−Ile−Cys−Ser−Leu−Tyr−Gln−Leu−Glu−Asn−Tyr−Cys−Asn(配列番号39)
B鎖:
Phe−Val−Asn−Gln−His−Leu−Cys−Gly−Ser−His−Leu−Val−Glu−Ala−Leu−Tyr−Leu−Val−Cys−Gly−Glu−Arg−Gly−Phe−Phe−Tyr−Thr−Pro−Lys−Thr(配列番号40)
本発明の実施例で使用するインスリン類似体は、遺伝子組換え技法によって製造されるものである。しかし、本発明のインスリン類似体はこれに限定されるのでなく、インスリン受容体結合親和性が低減されたすべてのインスリンを含むことができる。
特に、インスリン類似体としては、インバーテッドインスリン(inverted insulins)、インスリン変異体、インスリン断片、インスリンアゴニスト、インスリン誘導体などを挙げることができ、その製造方法としては、固相法および遺伝子組換え技法を挙げることができるが、これらに限定されない。
インスリンアゴニストは、インスリンの構造を問わず、インスリンのin−vivo受容体に結合して、インスリンの生物活性を示す物質を指す。
インスリン誘導体としては、それぞれ天然インスリンのA鎖およびB鎖のアミノ酸配列に相同性を有し、化学的置換(例えば、αメチル化、αヒドロキシル化)、除去(例えば、脱アミノ化)または修飾(例えば、N−メチル化)の形態で変化したいくつかのアミノ酸残基群を有するが、体内の血中グルコースレベルを制御する機能を有するペプチド形態が挙げられる。
さらに、インスリン誘導体としては、天然インスリンのアミノ酸配列と相同性がない場合でさえも、インスリン受容体にコンジュゲートされることによってin−vivo血中グルコースレベルを制御することができる、ペプチド模倣物および低分子量化合物またはポリマーを挙げることもできる。
インスリン断片は、1つまたは複数のアミノ酸がインスリンに付加された、またはインスリンから除去されたインスリン形態を指し、付加されたアミノ酸(複数可)は天然に存在しないもの(例えば、D型アミノ酸)でもよく、このタイプのインスリン断片はin−vivo血中グルコースレベルを制御する機能を有する。
インスリン変異体は、1つまたは複数のアミノ酸配列がインスリンのものとは異なり、in−vivo血中グルコースレベルを制御する機能を有するペプチドを指す。
本発明のインスリンアゴニスト、誘導体、断片および変異体を製造するためのそれぞれの方法は、独立に使用してもよいし、組み合わせて使用してもよい。例えば、1つまたは複数のアミノ酸配列がインスリンのものとは異なり、N末端のアミノ酸残基が脱アミノ化されており、in−vivo血中グルコースレベルを制御する機能も有するペプチドは、本発明の範囲に含まれる。
特に、インスリン類似体は、インスリンのB鎖の位置1〜3、5、8、10、12、16および23〜30における、ならびにインスリンのA鎖の位置1、2、5、8、10、12、14、16〜19および21における1つまたは複数のアミノ酸が、他のアミノ酸(複数可)で置換されているものでもよく;またはより具体的には、インスリンのB鎖の位置8および23〜25における、ならびにインスリンのA鎖の位置1、2、14および19における1つまたは複数のアミノ酸が、他のアミノ酸(複数可)で置換されているインスリン類似体でもよい。特に、インスリン類似体は、上記の、1つまたは複数のアミノ酸、2つ以上のアミノ酸、3つ以上のアミノ酸、4つ以上のアミノ酸、5つ以上のアミノ酸、6つ以上のアミノ酸、7つ以上のアミノ酸、8つ以上のアミノ酸、9つ以上のアミノ酸、10個以上のアミノ酸、11個以上のアミノ酸、12個以上のアミノ酸、13個以上のアミノ酸、14個以上のアミノ酸、15個以上のアミノ酸、16個以上のアミノ酸、17個以上のアミノ酸、18個以上のアミノ酸、19個以上のアミノ酸、20個以上のアミノ酸、21個以上のアミノ酸、22個以上のアミノ酸、23個以上のアミノ酸、24個以上のアミノ酸、25個以上のアミノ酸、26個以上のアミノ酸または27個以上のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されているインスリン類似体でもよいが、これらに限定されない。
上記の位置のアミノ酸残基を、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン、イソロイシン、バリン、グルタミン、グリシン、リジン、ヒスチジン、システイン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、セリン、スレオニンおよび/またはアスパラギン酸で置換することができる。さらに、インスリンのA鎖またはB鎖における1つまたは複数のアミノ酸の欠失が原因でインスリン受容体結合親和性が低減されたインスリン類似体も本発明の範囲に属するが、インスリン受容体結合親和性が低減されたいかなるインスリン類似体も、限定なしで含むことができる。
本発明によるインスリン類似体としては、天然インスリンのA鎖およびB鎖のアミノ酸配列におけるアミノ酸(複数可)の置換、付加または翻訳後修飾(例えば、メチル化、アシル化、ユビキチン化および分子内共有結合)の導入によって、天然インスリンと比較してインスリン受容体結合親和性が低減された、任意のペプチドが挙げられる。アミノ酸(複数可)の置換または付加については、20種の通常観察されるアミノ酸に加えて、非定型または天然に存在しないアミノ酸を使用することができる。非定型アミノ酸の販売元としては、Sigma−Aldrich、ChemPepおよびGenzymepharmaceuticalsを挙げることができる。これらのアミノ酸を含むペプチドの配列および典型的なペプチドは、商業的なペプチド合成会社、例えば、American peptide company、Bachem(USA)およびAnygen(Korea)によって合成することができ、またはこれらの会社から購入することができる。
より具体的には、インスリン類似体は、以下の式1によって表される配列番号37のA鎖および以下の式2によって表される配列番号38のB鎖を含むことができる。さらに、インスリン類似体は、A鎖およびB鎖の配列がジスルフィド結合によって互いに連結されている形態でもよいが、これに限定されない。
[式1]
Xaa1−Xaa2−Val−Glu−Gln−Cys−Cys−Thr−Ser−Ile−Cys−Ser−Leu−Xaa3−Gln−Leu−Glu−Asn−Xaa4−Cys−Asn(配列番号37)
上記の式1では、
Xaa1はグリシンまたはアラニンであり、
Xaa2はイソロイシンまたはアラニンであり、
Xaa3はチロシン、グルタミン酸またはアスパラギンであり、
Xaa4はチロシンまたはアラニンである。
[式2]
Phe−Val−Asn−Gln−His−Leu−Cys−Xaa5−Ser−His−Leu−Val−Glu−Ala−Leu−Tyr−Leu−Val−Cys−Gly−Glu−Arg−Xaa6−Xaa7−Xaa8−Tyr−Thr−Pro−Lys−Thr(配列番号38)
上記の式2では、
Xaa5はグリシンまたはアラニンであり、
Xaa6はグリシンまたはアラニンであり、
Xaa7はフェニルアラニンまたはアラニンであり、
Xaa8はフェニルアラニンまたはアラニンである。
より具体的には、限定されないが、インスリン類似体は以下を含むことができる:
(i)式1において、Xaa1がアラニン、Xaa2がイソロイシン、Xaa3がチロシンおよびXaa4がチロシンである、A鎖;ならびに式2において、Xaa5がグリシン、Xaa6がグリシン、Xaa7がフェニルアラニンおよびXaa8がフェニルアラニンである、B鎖;
(ii)式1において、Xaa1がグリシン、Xaa2がアラニン、Xaa3がチロシンおよびXaa4がチロシンである、A鎖;ならびに式2において、Xaa5がグリシン、Xaa6がグリシン、Xaa7がフェニルアラニンおよびXaa8がフェニルアラニンである、B鎖;
(iii)式1において、Xaa1がグリシン、Xaa2がイソロイシン、Xaa3がグルタミン酸もしくはアスパラギンおよびXaa4がチロシンである、A鎖;ならびに式2において、Xaa5がグリシン、Xaa6がグリシン、Xaa7がフェニルアラニンおよびXaa8がフェニルアラニンである、B鎖;
(iv)式1において、Xaa1がグリシン、Xaa2がイソロイシン、Xaa3がチロシンおよびXaa4がアラニンである、A鎖;および式2において、Xaa5がグリシン、Xaa6がグリシン、Xaa7がフェニルアラニンおよびXaa8がフェニルアラニンである、B鎖;
(v)式1において、Xaa1がグリシン、Xaa2がイソロイシン、Xaa3がチロシンおよびXaa4がチロシンである、A鎖;ならびに式2において、Xaa5がアラニン、Xaa6がグリシン、Xaa7がフェニルアラニンおよびXaa8がフェニルアラニンである、B鎖;
(vi)式1において、Xaa1がグリシン、Xaa2がイソロイシン、Xaa3がチロシンおよびXaa4がチロシンである、A鎖;ならびに式2において、Xaa5がグリシン、Xaa6がアラニン、Xaa7がフェニルアラニンおよびXaa8がフェニルアラニンである、B鎖;
(vii)式1において、Xaa1がグリシン、Xaa2がイソロイシン、Xaa3がチロシンおよびXaa4がチロシンである、A鎖;ならびに式2において、Xaa5がグリシン、Xaa6がグリシン、Xaa7がアラニンおよびXaa8がフェニルアラニンである、B鎖;または
(viii)式1において、Xaa1がグリシン、Xaa2がイソロイシン、Xaa3がチロシンおよびXaa4がチロシンである、A鎖;ならびに式2において、Xaa5がグリシン、Xaa6がグリシン、Xaa7がフェニルアラニンおよびXaa8がアラニンである、B鎖。
例えば、対応するインスリン類似体の配列に対して70%以上、具体的には80%以上、より具体的には90%以上、さらにより具体的には95%以上の相同性を有し、同時に、上記の特徴的なアミノ酸残基を含み、天然インスリンと比較してインスリン受容体結合親和性が低減されたペプチドは、本発明の範囲に含まれる。
本明細書で使用する場合、用語「相同性」は、野生型タンパク質のアミノ酸配列またはそれをコードするポリヌクレオチド配列に対する類似性のレベルを指し、上記のパーセンテージまたはそれ以上の、本発明のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列と同じ配列を含む配列を有する配列を含む。この相同性は、肉眼による比較を介して決定することができ、または2つの配列を整列させることによって相同性の程度を解析するバイオインフォマティクスアルゴリズムを介して決定することができる。2つのアミノ酸配列の間の相同性は、パーセンテージで示すことができる。有用な自動アルゴリズムを、Wisconsin Genetics Software Package(Genetics Computer Group、Madison、WI、USA)のGAP、BESTFITおよびFASTAとTFASTAコンピューターソフトウェアモジュールの両方で使用することができる。自動整列アルゴリズムとしては、Needleman&Wunsch、Pearson&LipmanおよびSmith&Watermanの配列整列アルゴリズムが挙げられる。アルゴリズムおよび相同性に関する決定は、FASTP、BLAST、BLAST2、PSIBLASTおよびCLUSTAL Wを含めたソフトウェアで自動化される。
本発明のさらに別の態様では、インスリン類似体をコードするポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、および発現ベクターを含む形質転換体が提供される。
インスリン類似体は上記と同様である。
ポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖の状態で存在するデオキシリボヌクレオチド(DNA)またはリボヌクレオチド(RNA)であり、ゲノムDNA、cDNAおよびそれらから転写されるRNAを含むことを意味する。基本構成単位としてのヌクレオチドは、天然のヌクレオチドだけでなく、糖または塩基領域が修飾された類似体(Scheit、Nucleotide Analogs、John Wiley、New York、1980;Uhlman and Peyman、Chemical Reviews、90:543〜584、1990)も含む。本発明のポリヌクレオチドは、標準的な分子生物学的技法によって分離または製造することができる。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって天然インスリンの遺伝子配列(NM_000207.2、NCBI)からポリヌクレオチドを増幅することができ、および自動DNA合成機を使用する標準的な合成技術によってポリヌクレオチド製造することができる。本発明では、ポリヌクレオチドという用語は、核酸と互換的に使用することができる。
インスリン類似体をコードするポリヌクレオチドとしては、上記のA鎖およびB鎖のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを挙げることができ、例としては、配列番号19、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33および配列番号35のポリヌクレオチドを挙げることができるが、これらに限定されない。例えば、上記のポリヌクレオチドに加えて、上記の配列と70%以上、具体的には80%以上、より具体的には90%以上、さらにより具体的には95%以上の相同性を有し、同時に、天然インスリンと比較してインスリン受容体結合親和性が低減されたポリヌクレオチドも本発明の範囲に含まれる。
本発明による組換えベクターは、典型的なクローニング用または発現用ベクターとして構築することができ、宿主細胞として真核細胞または原核細胞を使用するベクターとして構築することができる。
本明細書で使用する場合、用語「ベクター」は、宿主細胞で標的タンパク質を発現させることができる組換えベクターであり、核酸挿入断片を発現させることができるように作動可能に連結されている必須調節因子を含む核酸コンストラクトを指す。本発明は、調節因子をコードする核酸を含む組換えベクターを製造することができ、本発明のインスリン類似体を、宿主細胞中への組換えベクターの形質転換またはトランスフェクションを介して得ることができる。
本発明では、インスリン類似体をコードする核酸は、プロモーターに作動可能に連結されている。本明細書で使用する場合、用語「作動可能に連結されている」は、核酸の発現調節配列(例えば、プロモーター、シグナル配列、リボソーム結合ドメイン、転写終結配列など)と別の核酸配列との間の機能的な連結を指し、この連結によって、調節配列が、別の核酸配列の転写および/または翻訳を制御することができる。
本明細書で使用する場合、用語「プロモーター」は、ポリメラーゼ結合ドメインを含み、かつプロモーターの下流にある遺伝子に対して、mRNAへの転写開始活性を有する、コード領域の上流にある非翻訳核酸の配列、すなわち、ポリメラーゼが結合して遺伝子の転写を開始し、かつmRNA転写の開始部位の5’領域に位置するDNAドメインを指す。
例えば、本発明のベクターが組換えベクターであり、宿主細胞として原核細胞を用いる場合、ベクターは、一般に、転写を実行することができる強力なプロモーター(例えば、tacプロモーター、lacプロモーター、lacUV5プロモーター、lppプロモーター、pLλプロモーター、pRλプロモーター、rac5プロモーター、ampプロモーター、recAプロモーター、SP6プロモーター、trpプロモーター、T7プロモーターなど)、リボソーム結合ドメインおよび転写/翻訳終結配列に関する配列を含む。
さらに、本発明で使用されるベクターは、当技術分野で一般に使用されるプラスミド(例えば、pSC101、pGV1106、pACYC177、ColE1、pKT230、pME290、pBR322、pUC8/9、pUC6、pBD9、pHC79、pIJ61、pLAFR1、pHV14、pGEXシリーズ、pETシリーズ、pPICZαシリーズ、pUC19など)、ファージ(例えば、λgt4・λB、λ−シャロン、λΔz1、M13など)、またはウイルス(例えば、SV40など)を操作することによって構築することができる。
さらに、本発明のベクターは組換えベクターであり、宿主細胞として真核細胞を用い、ベクターは、一般に、哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)を含み、または哺乳類ウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター、牛痘ウイルス7.5Kプロモーター、SV40プロモーター、サイトメガロウイルスプロモーターおよびHSVのtkプロモーター)を使用することができ、転写終結配列として、ポリアデニル化配列(例えば、ウシ成長ホルモンのターミネーターおよびSV40由来のポリアデニル化配列)を有する。
さらに、本発明の組換えベクターは選択マーカーであり、当技術分野で一般に使用される抗生物質耐性遺伝子を含み、例えば、アンピシリン、ゲンタマイシン、カルベニシリン、クロラムフェニコール、ストレプトマイシン、カナマイシン、ジェネテシン、ネオマイシンおよびテトラサイクリンに対して抵抗性を有する遺伝子を使用することができる。
本発明の組換えベクターは、組換えベクターから収集された標的タンパク質、すなわちインスリン類似体が容易に精製されるようにするために、必要に応じて他の配列をさらに含むことができる。
ベクターにさらに含まれる配列は、タンパク質精製用のタグ配列、例えば、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(Pharmacia、USA)、マルトース結合タンパク質(NEB、USA)、FLAG(IBI、USA)、6−ヒスチジン(ヘキサヒスチジン)などでもよいが、標的タンパク質の精製に必要な配列の種類は、これらに限定されない。
上記のようなタグ配列を含む組換えベクターによって発現される融合タンパク質を、アフィニティークロマトグラフィーによって精製することができる。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼが融合される場合、酵素の基質としてのグルタチオンを使用することができ、一方、6−ヒスチジンタグが使用される場合、Ni−NTAカラムによって所望の標的タンパク質を容易に収集することができる。
ベクターが形質転換された形質転換体は、インスリン類似体をコードするポリヌクレオチドを含む組換えベクターを使用して構築することができる。
DNAが宿主細胞に導入され、それによって、染色体因子としてのDNAによる複製、または染色体への組み込みの完了が可能になる、用語「形質転換」は、本明細書で使用する場合、外来性DNAを細胞に導入することによって人工的に遺伝的変化を引き起こす現象を指す。
本発明で使用される形質転換法は形質転換のためのいかなる方法でもよく、当技術分野の従来の方法に従って形質転換を容易に行うことができる。一般に、形質転換法としては、CaCl沈殿法;CaCl沈殿法において還元性物質であるジメチルスルホキシド(DMSO)を使用して効率を高める、Hanahan法;エレクトロポレーション;リン酸カルシウム沈殿法;細胞質融合;炭化ケイ素繊維を使用する撹拌法;アグロバクテリウム媒介性形質転換;PEGを使用する形質転換;デキストラン硫酸法;リポフェクタミンおよび乾燥/阻害媒介性形質転換などを挙げることができる。
本発明によるインスリン類似体をコードする核酸を含む組換えベクターの形質転換法はこれらに限られず、当技術分野で従来から使用されている形質転換またはトランスフェクションのための任意の方法を、限定なしで使用することができる。
本発明の形質転換体は、インスリン類似体をコードする核酸を含む組換えベクターを宿主細胞に導入することによって得ることができる。
本発明に適した宿主は、宿主細胞が本発明の核酸の発現を可能にする範囲で、特に制限される可能性はない。宿主の例としては、大腸菌のような大腸菌属の種;枯草菌のような桿菌属の種;シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)のようなシュードモナス属(Pseudomonas)の種;ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、出芽酵母および分裂酵母のような酵母;ヨトウガ(SF9)のような昆虫細胞;およびCHO、COS、BSCなどのような動物細胞を挙げることができる。好ましくは、大腸菌が宿主細胞として使用される。
本発明のさらに別の態様では、インスリン類似体の半減期を増大させること、生物学的利用能を増大させること、または持続的活性を維持することができる製剤が提供される。
さらに本発明は、半減期を延ばすことができる生体適合性物質がインスリン類似体に連結されていることを特徴とする長時間作用型インスリンを提供する。
さらに本発明は、以下の化学式1を有するコンジュゲートを提供する。
[化学式1]
X−La−F;
式中、Xは、天然インスリンと比較してインスリン受容体結合親和性が低減されたインスリン類似体であり、
Lはリンカーであり、
aは0または自然数であり、但し、aが2以上である場合、各Lは互いに独立していることを条件とし、
Fは、インスリン類似体のin−vivo半減期を増大させることができる物質である。
インスリン類似体は、上記と同様である。
本発明の例示的実施形態によれば、インスリン類似体が、インスリンの半減期および生物学的利用能を増大させるのに使用される、またはインスリンの持続的活性を維持することができる製剤に適用される場合、インスリン類似体は、天然インスリンと比較して、インスリンの半減期およびin−vivo活性の大きな改善を示し得る。
特に、本発明の例示的実施形態では、in−vivo半減期を延ばすことができる物質とインスリン類似体が互いに連結されている場合、得られたインスリン類似体は、in−vivo半減期の顕著な増大を示した。
半減期、生物学的利用能を増大させることおよびインスリンの持続的活性を維持することができる製剤は、インスリン類似体に直接的に共有結合している担体を含む製剤、またはインスリン類似体のin−vivo活性を増大させることができる成分を含む製剤を指す。
本明細書で使用する場合、用語「長時間作用型インスリン」は、半減期を延ばすことができる生体適合性物質がインスリン類似体に連結されている物質を指す。長時間作用型インスリンは、天然インスリンと比較して半減期増大の効果がある。
本明細書で使用する場合、用語「生体適合性物質または半減期を増大させることができる物質」は、インスリン類似体に連結され、それによって、インスリンの半減期を延ばすことができる物質を指す。本明細書で使用する場合、半減期を延ばすことができる生体適合性物質という用語は、用語「担体」と互換的に使用することができる。
生体適合性物質または担体としては、インスリン類似体に連結することができ、インスリンの半減期を延ばすことができる限りにおいて、任意の物質、例えば、ポリエチレングリコール、脂肪酸、コレステロール、アルブミンおよびそれらの断片、アルブミン結合物質、特定のアミノ酸配列の繰り返し単位のポリマー、抗体、抗体断片、FcRn結合物質、in−vivo結合組織またはそれらの誘導体、ヌクレオチド、フィブロネクチン、トランスフェリン、サッカリドならびにポリマーからなる群から選択されるものを挙げることができるが、これらに限定されない。共有結合または非共有結合を介して、生体適合性物質または担体をインスリン類似体に連結することができる。
さらに、インスリン受容体結合親和性が低減されたインスリン類似体を、in−vivo半減期を延ばすことができる生体適合性物質または担体に連結する方法としては、遺伝子組換え技法、in−vitro連結などを挙げることができるが、任意の特定の連結方法に限定されない。FcRn結合物質は、免疫グロブリンFc領域、例えば、IgG Fcでもよい。
担体としてポリエチレングリコールが使用される場合、ポリエチレングリコールの位置特異的付着を可能にするAmbrx,Inc.のRecode技術を挙げることができ、グリカン部位における特異的付着を可能にするNeose Technologies,Inc.のグリコpeg化技術(glycopegylation)も挙げることができる。さらに、方法としては、体内でポリエチレングリコールの徐放を可能にする、放出可能なPEG技法を挙げることができるが、方法はこれらに限られず、PEGを使用して生物学的利用能を増大させることができる方法を使用することもできる。さらに、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコールのコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖、デキストラン、ポリビニルエーテル、生分解性ポリマー、脂質ポリマー、キチンおよびヒアルロン酸のようなポリマーも、上記の方法によってインスリン類似体に連結することができる。
担体としてアルブミンが使用される場合、アルブミンまたはアルブミン断片とインスリン類似体の間の直接的な共有結合によってin−vivo安定性を増大させることができる技術を使用することができる。さらに、アルブミンをインスリン類似体に直接的に連結する代わりに、アルブミンに結合することができる物質、例えば、アルブミン特異的抗体またはその抗体断片をインスリン類似体に連結することによって、間接的にアルブミンをインスリン類似体に連結させる技術;およびアルブミンに結合親和性を有する特定のペプチド/タンパク質(例えば、Affibody ABによるAlbumod技術によって生成されるアルブミン結合ペプチド)をインスリン類似体に連結する技術、アルブミンに結合親和性を有する脂肪酸などを連結する技術などを使用することができるが、本方法はこれらに限られず、アルブミンを使用してin−vivo安定性を改善することができる任意の技術または連結方法を、限定なしで使用することができる。
in−vivo半減期を増大させるために、担体として抗体またはその抗体断片を使用する技術を本発明の範囲に含むことができる。これは、FcRn結合領域を含む抗体またはその抗体断片でもよく、FabなどのようなFcRn結合領域を含まない任意の抗体断片でもよい。本発明の範囲は、触媒抗体を使用する、CovX Research LLCによるCovX−body技術を含むことができ、免疫グロブリンFc領域を使用してin−vivo半減期を増大させる技術も含むことができる。
免疫グロブリンFc領域が使用される場合、Fc領域をインスリン類似体およびそのリンカーに連結する方法は、ペプチド結合およびポリエチレングリコールなどでもよいが、これに限定されず、任意の化学的連結方法を使用することができる。さらに、Fc領域とインスリン類似体の間の連結比は1:1または1:2であり得るが、これらに限定されない。
免疫グロブリンFc領域は、in−vivoで代謝される生分解性ポリペプチドであるので、薬物担体としての使用に安全である。さらに、免疫グロブリンFc領域は、完全な免疫グロブリン分子と比較して比較的低い分子量を有するので、コンジュゲートの製造、精製および収率に関して有利である。免疫グロブリンFc領域は、抗体サブクラスにより異なるアミノ酸配列が原因で均一性が非常に低いFab断片を含まず、したがって、免疫グロブリンFc領域が物質の均一性を顕著に高めることができ、かつ血中で抗原性が低い可能性があることが期待される。
本明細書で使用する場合、用語「免疫グロブリンFc領域」は、免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の可変領域、重鎖定常領域(CH1)および軽鎖定常領域1(CL1)を除いて、免疫グロブリンの重鎖定常領域2(CH2)および重鎖定常領域3(CH3)を含むタンパク質を指す。これは、重鎖定常領域にヒンジ領域をさらに含むことができる。さらに、本発明の免疫グロブリンFc領域は、天然型のものと実質的に類似した、または天然型のものよりも優れた効果を有する限り、免疫グロブリンの軽鎖および重鎖の可変領域を除いて、重鎖定常領域1(CH1)および/または軽鎖定常領域1(CL1)を含むFc領域の一部またはすべて含むことができる。さらに、これは、CH2および/またはCH3のアミノ酸配列の比較的長い部分に欠失を有する断片でもよい。
すなわち、本発明の免疫グロブリンFc領域は、1)CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメインおよびCH4ドメイン、2)CH1ドメインおよびCH2ドメイン、3)CH1ドメインおよびCH3ドメイン、4)CH2ドメインおよびCH3ドメイン、5)1つまたは複数のドメインと免疫グロブリンのヒンジ領域(またはヒンジ領域の一部)との組み合わせ、ならびに6)重鎖定常領域および軽鎖定常領域の各ドメインの二量体を含むことができる。
さらに、本発明の免疫グロブリンFc領域は、天然のアミノ酸配列だけでなくその配列変異体(突然変異体)も含む。アミノ酸配列誘導体は、1つまたは複数のアミノ酸残基の欠失、挿入、非保存的もしくは保存的置換またはそれらの組み合わせが原因で、天然のアミノ酸配列と異なる配列を有する。例えば、IgG Fcでは、位置214〜238、297〜299、318〜322または327〜331の、結合に重要であると知られているアミノ酸残基を、変異についての適切な標的として使用することができる。
さらに、ジスルフィド結合を形成することができる領域の欠失、天然Fc形態のN末端におけるいくつかのアミノ酸残基の欠失、または天然Fc形態のN末端へのメチオニン残基の付加を有する変異体を含めた、他の様々な種類の変異体があり得る。さらに、エフェクター機能を除去するために、欠失は、補体結合部位、例えばC1q−結合部位および抗体依存性細胞傷害(ADCC)部位に導入してもよい。免疫グロブリンFc領域のそのような配列誘導体を製造する技法は、WO97/34631およびWO96/32478に開示されている。
分子の活性を通常変化させないタンパク質およびペプチドにおけるアミノ酸の置換は当技術分野で既知である(H.Neurath,R.L.Hill、The Proteins、Academic Press、New York、1979)。最も一般的に見られる置換は、両方向での、Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Thy/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、Asp/Glyである。
必要に応じて、リン酸化、硫酸化、アクリル化、グリコシル化、メチル化、ファルネシル化、アセチル化、アミド化などによって、Fc領域を修飾することができる。
前述のFc誘導体は、本発明のFc領域のものと同一の生物活性を有する、または熱、pHなどに対する改善された構造的安定性を有する誘導体である。
さらに、これらのFc領域は、ヒトならびにウシ、ヤギ、ブタ、マウス、ウサギ、ハムスター、ラットおよびモルモットを含めた他の動物から単離される天然型から得ることができ、または形質転換された動物細胞または微生物から得られる、それらの組換え体または誘導体でもよい。ここで、Fc領域は、ヒトまたは動物の生体から完全な免疫グロブリンを単離し、それをタンパク質分解酵素で処理することによって、天然免疫グロブリンから得ることができる。パパインは天然免疫グロブリンをFabおよびFc領域に消化し、ペプシン処理はpF’cおよびF(ab)を生成する。これらの断片をサイズ排除クロマトグラフィーにかけて、FcまたはpF’cを単離することができる。
好ましくは、ヒト由来のFc領域は、微生物から得られる組換え免疫グロブリンFc領域である。
さらに、免疫グロブリンFc領域は、天然の糖鎖を有する、天然型と比較して糖鎖が増加した、または天然型と比較して糖鎖が減少した形態でもよいし、脱グリコシル化された形態でもよい。免疫グロブリンFcの糖鎖の増加、減少または除去は、当技術分野で一般的な方法、例えば化学的方法、酵素的方法および微生物を使用する遺伝子工学的方法によって達成することができる。ここで、Fc領域からの糖鎖の除去は、補体(c1q)に対する結合親和性を鋭く低下させ、抗体依存性細胞介在性細胞傷害または補体依存性細胞傷害を低下または喪失させることになり、それによって、in−vivoで不要な免疫応答が誘導されない。この関連で、脱グリコシル化または非グリコシル化された形態の免疫グロブリンFc領域は、薬物担体として、本発明の目的により適する可能性がある。
本明細書で使用する場合、用語「脱グリコシル化」は、Fc領域から糖部分を酵素的に除去することを意味し、用語「非グリコシル化」は、原核生物、好ましくは大腸菌によって、グリコシル化されていない形態でFc領域が生成されることを意味する。
その一方で、免疫グロブリンFc領域は、ヒトまたはウシ、ヤギ、ブタ、マウス、ウサギ、ハムスター、ラットおよびモルモットを含めた他の動物に由来してもよく、好ましくはヒトに由来してもよい。さらに、免疫グロブリンFc領域は、IgG、IgA、IgD、IgEおよびIgMに由来するFc領域でもよいし、それらの組み合わせまたはそれらのハイブリッドによって作製されるFc領域でもよい。好ましくは、免疫グロブリンFc領域は、ヒトの血中で最も豊富なタンパク質であるIgGまたはIgMに由来し、最も好ましくは、リガンド結合タンパク質の半減期を増すことが知られているIgGに由来する。
その一方で、本明細書で使用する場合、用語「組み合わせ」は、同じ起源の単鎖の免疫グロブリンFc領域をコードするポリペプチドを、異なる起源の単鎖のポリペプチドと連結して、二量体または多量体を形成することを意味する。すなわち、二量体または多量体を、IgG Fc、IgA Fc、IgM Fc、IgD FcおよびIgE Fc断片からなる群から選択される2つ以上の断片から形成することができる。
本明細書で使用する場合、用語「ハイブリッド」は、異なる起源の2つ以上の免疫グロブリンFc領域をコードする配列が、1つの単鎖の免疫グロブリンFc領域中に存在することを意味する。本発明では、様々なタイプのハイブリッドがあり得る。すなわち、ドメインハイブリッドは、IgG Fc、IgM Fc、IgA Fc、IgE FcおよびIgD FcのCH1、CH2、CH3およびCH4からなる群から選択される1つから4つのドメインからなっていてもよく、ヒンジ領域を含んでもよい。
その一方で、IgGはIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4サブクラスに分けられ、本発明は、それらの組み合わせおよびハイブリッドを含む。IgG2およびIgG4サブクラスが好ましく、エフェクター機能、例えば補体依存性細胞傷害(CDC)をめったに有さないIgG4のFc領域が最も好ましい。すなわち、本発明の薬物担体として最も好ましい免疫グロブリンFc領域は、ヒトIgG4由来のグリコシル化されていないFc領域である。ヒト由来のFc領域は、人体で抗原として働き、望ましくない免疫応答、例えば抗原に対する新しい抗体の産生を引き起こす可能性がある非ヒト由来のFc領域よりも好ましい。
in−vivo半減期を増大させるために、ペプチドまたはタンパク質断片をインスリン類似体に連結する技術も本発明の範囲に含むことができる。使用されるペプチドまたはタンパク質断片は、特定のアミノ酸配列の繰り返し単位のエラスチン様ポリペプチド(ELP)でもよく、Versartis,Inc.による人工ポリペプチドを使用するXten技術も本発明の範囲に含まれる。さらに、Zealanddによる、マルチリジンを使用してin−vivo半減期を増大する構造誘導性プローブ(structure inducing probe)(SIP)技術、Prolor Biotech Inc.によるCTP融合技術も含まれ、高いin−vivo安定性を有することが知られているトランスフェリンまたは結合組織の構成成分であるフィブロネクチンおよびそれらの誘導体なども含むことができる。インスリン類似体に連結されているペプチドまたはタンパク質は上記に限定されないが、インスリン類似体のin−vivo半減期を増大させることができる任意のペプチドまたはタンパク質を本発明の範囲に含むことができる。
さらに、in−vivo半減期を増大するのに使用される担体は、非ペプチド材料、例えば多糖または脂肪酸などでもよい。
天然インスリンと比較してインスリン受容体結合親和性が低減されたインスリン類似体と、インスリン類似体のin−vivo半減期を増大させることができる担体を、リンカーを介して連結することができる。
リンカーは、ペプチドリンカーでも非ペプチドリンカーでもよく、例えば、ポリエチレングリコール、脂肪酸、サッカリド、ポリマー、低分子量化合物、ヌクレオチドおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるものでもよい。
ポリマーは、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコールのコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖、デキストラン、ポリビニルエーテル、生分解性ポリマー、脂質ポリマー、キチン、ヒアルロン酸、オリゴヌクレオチドおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される非ペプチドリンカーでもよいが、これらに限定されない。生分解性ポリマーとしては、生分解性ポリマー、例えばポリ乳酸(PLA)およびポリ乳酸−グリコール酸(PLGA)を挙げることができる。
本発明の非ペプチドリンカーとしては、上記のものだけでなく、当技術分野で周知であるそれらの誘導体を挙げることができ、当技術分野の範囲内で容易に製造することができるものも本発明の範囲に含まれる。
リンカーによる連結は、限定されないが、任意の化学結合、例えば共有結合性化学結合または非共有結合性化学結合でもよい。
より具体的には、本発明では、非ペプチドポリマーは、互いに連結されている2つ以上の繰り返し単位(繰り返し単位は、ペプチド結合を除いた任意の共有結合によって連結されている)を含む生体適合性ポリマーを意味する。そのような非ペプチドポリマーは、2つの末端または3つの末端を有し得る。
従来のインフレームの融合方法によって得られる融合タンパク質で使用されるペプチドリンカーは、タンパク質分解酵素によって体内で容易に切断され、それにより、担体によって活性薬物の血中半減期を増大させる十分な効果が予想通りには得られない可能性があるという欠点がある。しかし本発明では、ペプチドリンカーだけでなく非ペプチドリンカーも使用してコンジュゲートを製造することができる。非ペプチドリンカーでは、担体の血中半減期と同程度の、ペプチドの血中半減期を維持するために、タンパク質分解酵素に抵抗性を有するポリマーを使用することができる。したがって、前述の機能を有するポリマー、すなわち、in−vivoのタンパク質分解酵素に抵抗性を有するポリマーである限り、任意の非ペプチドポリマーを、限定なしで使用することができる。非ペプチドポリマーは、1kDa〜100kDaに及ぶ、および好ましくは、1kDa〜20kDaに及ぶ分子量を有する。
さらに、免疫グロブリンFc領域に連結されている本発明の非ペプチドポリマーは、1種のポリマーでもよいし、様々な種類のポリマーの組み合わせでもよい。
本発明で使用される非ペプチドポリマーは、免疫グロブリンFc領域およびタンパク質薬物に結合することができる反応基を有する。
非ペプチドポリマーは、反応性アルデヒド基、プロピオンアルデヒド基、ブチルアルデヒド基、マレイミド基およびスクシンイミド誘導体からなる群から好ましくは選択される反応基を両端に有する。スクシンイミド誘導体は、スクシンイミジルプロピオネート、ヒドロキシスクシンイミジル、スクシンイミジルカルボキシメチルまたはスクシンイミジルカーボネートでもよい。特に、非ペプチドポリマーがその両端に反応性アルデヒド基を有する場合、これは、生理的に活性なポリペプチドおよび非特異的反応が最小限の免疫グロブリンと両端で連結するのに有効である。アルデヒド結合による還元的アルキル化によって生成された最終産物は、アミド結合によって連結されているものよりもはるかに安定である。アルデヒド反応基は、低pHでN末端に選択的に結合し、pH9.0のような高pHで共有結合を形成するようにリジン残基に結合する。
非ペプチドポリマーの両端の反応基は、互いに同じでも良いし、違っていてもよい。例えば、非ペプチドポリマーは、一方の端にマレイミド基を、他方の端にアルデヒド基、プロピオンアルデヒド基またはブチルアルデヒド基を有してもよい。両端に反応性ヒドロキシ基を有するポリエチレングリコールが非ペプチドポリマーとして使用される場合、本発明の単鎖インスリン類似体コンジュゲートを製造するために、既知の化学反応によってヒドロキシ基を様々な反応基に活性化することができ、または市販の修飾された反応基を有するポリエチレングリコールを使用することができる。
さらに、インスリン類似体と生体適合性物質がリンカーによって互いに連結されている場合、非ペプチドリンカーの各末端を、それぞれ、生体適合性物質およびインスリン類似体のアミン基またはチオール基に連結することができる。
さらなる例示的実施形態では、インスリン類似体と生体適合性物質を、それらの間に挿入されたリンカーによって連結することができ、生体適合性物質は、FcRn結合物質でもよく、リンカーは、ペプチドリンカーまたはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコールのコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖、デキストラン、ポリビニルエーテル、生分解性ポリマー、脂質ポリマー、キチン、ヒアルロン酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択される非ペプチドリンカーである。
一方、生物学的利用能を増大させることができる、または持続的活性を維持することができる製剤としては、PLGA、ヒアルロン酸、キトサンなどを使用する微粒子およびナノ粒子による持続性放出製剤を挙げることができる。
さらに、生物学的利用能を増大させることができる、または持続的活性を維持することができる製剤の他の形態の例としては、埋込剤、吸入剤および経鼻製剤ならびにパッチ剤を挙げることができる。
本発明のインスリン類似体コンジュゲートは、従来のインスリンのin−vivo活性、例えばエネルギー代謝および糖代謝を維持することができ、インスリン類似体の血中半減期も増大させることができ、ペプチドのin−vivoでの効能の持続時間を顕著に増大させることができるので、このコンジュゲートは糖尿病治療に有用である。
本発明の別の例示的実施形態では、(a)(i)インスリン類似体;ならびに(ii)ポリエチレングリコール、脂肪酸、コレステロール、アルブミンおよびそれらの断片、アルブミン結合物質、特定のアミノ酸配列の繰り返し単位のポリマー、抗体、抗体断片、FcRn結合物質、in−vivo結合組織またはそれらの誘導体、ヌクレオチド、フィブロネクチン、トランスフェリン、サッカリドならびにポリマーからなる群から選択される生体適合性物質をそれぞれ製造すること;ならびに
(b)インスリン類似体を生体適合性物質に連結すること
を含む、長時間作用型インスリンを製造するための方法が提供される。
インスリン類似体、生体適合性物質および長時間作用型インスリンは、上記と同様である。
別の態様では、本発明は、インスリン類似体コンジュゲートを含む長時間作用型インスリン製剤を提供する。長時間作用型インスリン製剤は、in−vivoでの持続時間および安定性が増大した長時間作用型インスリン製剤でもよい。長時間作用型製剤は、糖尿病治療のための医薬組成物でもよいが、これに限定されない。
本発明のコンジュゲートを含む医薬組成物は、医薬的に許容可能な担体を含むことができる。経口投与については、医薬的に許容可能な担体としては、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、賦形剤、可溶化剤、分散剤、安定化剤、懸濁化剤、着色剤、芳香剤などを挙げることができる。注射用調製物については、医薬的に許容可能な担体としては、緩衝剤、保存剤、鎮痛剤、可溶化剤、等張剤および安定化剤が挙げられる。局所投与用調製物については、医薬的に許容可能な担体としては、基剤、賦形剤、潤滑剤、保存剤などが挙げられる。本発明の医薬組成物は、前述の医薬的に許容可能な担体と組み合わせて、様々な剤形に製剤化することができる。例えば、経口投与については、医薬組成物は、錠剤、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤またはカシェ剤に製剤化することができる。注射用調製物については、医薬組成物は、単回用量のアンプルまたは多回用量の容器中に製剤化することができる。医薬組成物はまた、液剤、懸濁剤、錠剤、丸剤、カプセル剤および持続性放出調製物に製剤化することができる。
その一方で、製剤に適した担体、賦形剤および希釈剤の例としては、ラクトース、デキストロース、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アラビアゴム、アルギネート、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシ安息香酸、プロピルヒドロキシ安息香酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ミネラルオイルなどが挙げられる。
さらに、医薬製剤は、フィラー、抗凝固剤、潤滑剤、湿潤剤、芳香剤、防腐剤などをさらに含むことができる。
さらに別の態様では、本発明は、インスリン類似体またはインスリン類似体コンジュゲートを、それらを必要とする対象に投与することを含む、インスリン関連疾患の治療方法を提供する。
本発明によるコンジュゲートは糖尿病治療に有用であり、したがって、本発明によるコンジュゲートを含む医薬組成物を投与することによって、この疾患を治療することができる。
本明細書で使用する場合、用語「投与」は、ある種の適切な方法によって、所定の物質を患者に導入することを指す。本発明のコンジュゲートは、所望の組織に達することができる限り、一般的な経路のうちのいずれかを介して投与することができる。腹腔内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、経口、局所、鼻腔内、肺内および直腸内投与を行うことができるが、本発明はこれらに限定されない。しかし、経口投与の際にペプチドが消化されるので、経口投与用の組成物の活性成分は、胃における分解から保護するために、コーティングまたは製剤化されるべきである。好ましくは、本組成物は注射剤型で投与することができる。さらに、活性成分を標的細胞へ輸送することができるある種の装置を使用して、医薬組成物を投与することができる。
さらに、治療される疾患のタイプ、投与経路、患者の年齢、性別および体重ならびに疾病の重症度を含めたいくつかの関連因子によって、ならびに活性成分としての薬物のタイプによって、本発明の医薬組成物を決定することができる。本発明の医薬組成物は優れたin−vivo持続時間および力価を有するので、本発明の医薬製剤の投与頻度を大きく減らすという利点がある。
[最良の形態]
以下に、実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は例示のみを目的としており、本発明は、これらの実施例によって制限されることを意図するものではない。
単鎖インスリン類似体発現ベクターの製造
A鎖またはB鎖中に変異したアミノ酸を有するインスリン類似体を製造するために、鋳型として天然インスリン発現ベクターを使用して、フォワードおよびリバースオリゴヌクレオチドを合成し(表2)、次いでPCRを行って、各類似体遺伝子を増幅した。
以下の表1では、A鎖またはB鎖中で変異したアミノ酸配列および類似体名を示す。すなわち、類似体1は、A鎖の1番目のグリシンがアラニンで置換されていることを表し、類似体4は、B鎖の8番目のグリシンがアラニンで置換されていることを表す。
インスリン類似体増幅用のプライマーを以下の表2に示す。
インスリン類似体増幅のためのPCR反応を、95℃30秒、55℃30秒および68℃6分、18サイクルの条件下でて行った。細胞内封入体として発現させるために、この条件下で得られたインスリン類似体断片をpET22bベクターに挿入し、生成した発現ベクターをpET22b−インスリン類似体1〜9と命名した。これらの発現ベクターは、T7プロモーターの制御下で、インスリン類似体1〜9のアミノ酸配列をコードする核酸を含んでおり、インスリン類似体タンパク質は、宿主細胞中で封入体として発現させた。
インスリン類似体1〜9のDNA配列およびタンパク質配列を以下の表3に示す。
組換えインスリン類似体融合ペプチドの発現
T7プロモーターの制御下で組換えインスリン類似体の発現を行った。各組換えインスリン類似体発現ベクターで大腸菌BL21−DE3(大腸菌B F−dcm ompT hsdS(rB−mB−)gal λDE3;Novagen)を形質転換した。形質転換は、推奨されるプロトコール(Novagen)に従って行った。各組換え発現ベクターで形質転換された単一コロニーを収集し、アンピシリン(50μg/mL)を含む2×ルリアブロス(LB)に播種し、37℃で15時間培養した。組換え株の培養ブロスと30%グリセリンを含む2×LB培地とを1:1(v/v)の比で混合した。各1mLをクライオチューブに分注し、−140℃で保管し、これを組換え融合タンパク質を産生させるための細胞ストックとして使用した。
組換えインスリン類似体を発現させるために、各細胞ストックの1つのバイアルを解凍し、500mLの2×ルリアブロスに播種し、振盪しながら37℃で14時間〜16時間培養した。OD600が5.0以上に達したら培養を終了した。この培養ブロスを種培養ブロスとして使用した。この種培養ブロスを17Lの発酵培地を含む50Lの発酵槽(MSJ−U2、B.E.MARUBISHI、Japan)に播種し、最初の槽発酵(bath fermentation)を開始した。37℃の温度、20L/分(1vvm)の空気流量、500rpmの撹拌速度および30%アンモニア溶液によるpH6.70で、培養条件を維持した。培養ブロスの栄養素が枯渇した場合に供給溶液を加えることによって、フェッドバッチ方式で発酵を行った。菌株の増殖をOD値によってモニターした。OD値が100を超えたら、500μMの終濃度でIPTGを導入した。導入後、培養をさらに約23時間〜25時間行った。培養終了時に、遠心分離によって組換え株を回収し、使用するまで−80℃で保管した。
組換えインスリン類似体の回収およびリフォールディング
実施例2で発現させた組換えインスリン類似体を可溶性形態に変えるために、細胞を破壊し、続いてリフォールディングした。細胞ペレット100g(湿重量)を、1Lの溶解バッファー(50mM Tris−HCl(pH9.0)、1mM EDTA(pH8.0)、0.2M NaClおよび0.5%Triton X−100)に再懸濁した。マイクロフルイダイザープロセッサーM−110EH(AC Technology Corp.モデルM1475C)を15,000psiの動作圧で使用して、細胞を破壊した。このようにして破壊した細胞可溶化物を、7,000rpm、4℃で、20分間遠心分離した。上清を捨て、ペレットを3Lの洗浄バッファー(0.5%Triton X−100および50mM Tris−HCl(pH8.0)、0.2M NaCl、1mM EDTA)に再懸濁した。7,000rpm、4℃で、20分間遠心分離してから、細胞ペレットを蒸留水に再懸濁し、続いて同様に遠心分離した。このようにして得たペレットを400mLのバッファー(1Mグリシン、システイン−HCl3.78g、pH10.6)に再懸濁し、室温で1時間攪拌した。このようにして再懸濁した組換えインスリン類似体を回収するために、400mLの8M尿素を加え、40℃で1時間攪拌した。可溶化した組換えインスリン類似体をリフォールディングするために、7,000rpm、4℃で、30分間遠心分離を行い、上清を収集した。4℃で16時間攪拌しながら、1000mL/時間の流速でペリスタルティックポンプを使用して、これに7.2Lの蒸留水を加えた。
陽イオン結合クロマトグラフィー精製
45%エタノールを含む20mMクエン酸ナトリウム(pH2.0)バッファーで平衡化したSource S(GE Healthcare)カラムにリフォールディングしたサンプルを装填し、次いで、0%〜100%の直線勾配の、0.5M塩化カリウムおよび45%エタノールを含む20mMクエン酸ナトリウム(pH2.0)バッファーを用いて、インスリン類似体タンパク質を10カラム容量で溶出した。
トリプシンおよびカルボキシペプチダーゼB処理
脱塩カラムを使用して、溶出したサンプルから塩を除去し、バッファーをバッファー(10mM Tris−HCl、pH8.0)と交換した。得られたサンプルタンパク質に対して、1000モル比に相当するトリプシンおよび2000モル比に相当するカルボキシペプチダーゼBを加え、次いで、16℃で16時間攪拌した。反応を終了させるために、1Mクエン酸ナトリウム(pH2.0)を使用して、pHを3.5に下げた。
陽イオン結合クロマトグラフィー精製
このようにして反応させたサンプルを、45%エタノールを含む20mMクエン酸ナトリウム(pH2.0)バッファーで平衡化したSource S(GE Healthcare)カラムに装填し、次いで、0%〜100%の直線勾配の、0.5M塩化カリウムおよび45%エタノールを含む20mMクエン酸ナトリウム(pH2.0)バッファーを用いて、インスリン類似体タンパク質を10カラム容量で溶出した。
陰イオン結合クロマトグラフィー精製
脱塩カラムを使用して、溶出したサンプルから塩を除去し、バッファーをバッファー(10mM Tris−HCl、pH7.5)と交換した。実施例6で得られたサンプルから純粋なインスリン類似体を単離するために、10mM Tris(pH7.5)バッファーで平衡化した陰イオン交換カラム(Source Q:GE Healthcare)にサンプルを装填し、0%〜100%の直線勾配の、0.5M塩化ナトリウムを含む10mM Tris(pH7.5)バッファーを用いて、インスリン類似体タンパク質を10カラム容量で溶出した。
このようにして精製したインスリン類似体の純度をタンパク質電気泳動(SDS−PAGE、図1)および高圧クロマトグラフィー(HPLC)(図2)によって解析し、アミノ酸の変異をペプチドマッピング(図3)および各ピークの分子量解析によって特定した。
その結果、各インスリン類似体がそのアミノ酸配列において所望の変異を有することが分かった。
インスリン類似体(7番)−免疫グロブリンFcコンジュゲートの製造
3.4K ALD2 PEG(NOF、Japan)を使用してインスリン類似体のβ鎖のN末端をペグ化するために、インスリン類似体とPEGを、5mg/mLのインスリン類似体濃度で、1:4のモル比で4℃において約2時間反応させた。この時、pH6.0の50mMクエン酸ナトリウムおよび45%イソプロパノール中で反応を行った。3.0mMシアノ水素化ホウ素ナトリウムを還元剤として加えて、反応させた。クエン酸ナトリウム(pH3.0)と45%エタノールを含むバッファーおよびKCl濃度勾配を使用するSP−HP(GE Healthcare、USA)カラムを用いて、この反応溶液を精製した。
インスリン類似体−免疫グロブリンFc断片コンジュゲートを製造するために、精製したモノペグ化インスリン類似体と免疫グロブリンFc断片を、約20mg/mLの総タンパク質濃度で、1:1〜1:2のモル比で25℃において13時間反応させた。この時、反応バッファー条件はpH8.2の100mM HEPESであり、還元剤として20mMシアノ水素化ホウ素ナトリウムをこれに加えた。それによって、Fc断片のN末端にPEGが結合した。
反応が終了してから、Tris−HCl(pH7.5)バッファーおよびNaCl濃度勾配を用いるQ HP(GE Healthcare、USA)カラムにこの反応溶液を装填して、未反応の免疫グロブリンFc断片およびモノペグ化インスリン類似体を分離および精製した。
その後、Source 15ISO(GE Healthcare、USA)を第2のカラムとして使用して、残存免疫グロブリンFc断片、および2つ以上のインスリン類似体が免疫グロブリンFc断片に連結されているコンジュゲートを除去し、それによって、インスリン類似体−免疫グロブリンFc断片コンジュゲートを得た。この時、Tris−HCl(pH7.5)を含む硫酸アンモニウムの濃度勾配を使用して溶出を行い、このようにして溶出したインスリン類似体−免疫グロブリンFcコンジュゲートを、タンパク質電気泳動(SDS−PAGE、図4)および高圧クロマトグラフィー(HPLC)(図5)によって解析した。
その結果、コンジュゲートがほぼ99%の純度を有することが分かった。
天然インスリンとインスリン類似体と天然インスリン−免疫グロブリンFcコンジュゲートとインスリン類似体−免疫グロブリンFcコンジュゲートのインスリン受容体結合親和性の比較
インスリン類似体−免疫グロブリンFcコンジュゲートのインスリン受容体結合親和性を測定するために、表面プラスモン共鳴(SPR、BIACORE 3000、GE Healthcare)を解析に使用した。インスリン受容体をアミンカップリングによってCM5チップ上に固定化し、これに、5希釈以上の天然インスリン、インスリン類似体、天然インスリン−免疫グロブリンFcコンジュゲートおよびインスリン類似体−免疫グロブリンFcコンジュゲートを独立にアプライした。次いで、各物質のインスリン受容体結合親和性を調べた。BIAevaluationソフトウェアを使用して、各物質の結合親和性を計算した。この時、使用したモデルはベースラインドリフトをともなう1:1ラングミュア結合(1:1 Langmuir binding with baseline drift)であった。
その結果、ヒトインスリンと比較して、インスリン類似体(6番)は14.8%の受容体結合親和性を示し、インスリン類似体(7番)は9.9%の受容体結合親和性を示し、インスリン類似体(8番)は57.1%の受容体結合親和性を示し、インスリン類似体(9番)は78.8%の受容体結合親和性を示し、天然インスリン−免疫グロブリンFcコンジュゲートは、実験の実施に応じて3.7%〜5.9%の受容体結合親和性を示し、インスリン類似体(6番)−免疫グロブリンFcコンジュゲートは0.9%以下の受容体結合親和性を示し、インスリン類似体(7番)−免疫グロブリンFcコンジュゲートは1.9%の受容体結合親和性を示し、インスリン類似体(8番)−免疫グロブリンFcコンジュゲートは1.8%の受容体結合親和性を示し、インスリン類似体(9番)−免疫グロブリンFcコンジュゲートは3.3%の受容体結合親和性を示した(表4)。したがって、本発明のインスリン類似体は天然インスリンと比較してインスリン受容体結合親和性を低減したこと、およびインスリン類似体−免疫グロブリンFcコンジュゲートもインスリン受容体結合親和性を著しく低減したことが観察された。
天然インスリン−免疫グロブリンFcコンジュゲートとインスリン類似体−免疫グロブリンFcコンジュゲートのin−vitroでの効能の比較
インスリン類似体−免疫グロブリンFcコンジュゲートのin−vitroでの効能を評価するために、マウス由来の分化3T3−L1脂肪細胞を使用して、グルコースの取り込みまたは脂質合成を試験した。3T3−L1細胞を、10%NBCS(新生仔ウシ血清)含有DMEM(ダルベッコ改変イーグル培地、Gibco、カタログ番号12430)に週2回または3回継代し、維持した。3T3−L1細胞を分化培地(10%FBS含有DMEM)に懸濁し、次いで、48ウェルディッシュのウェルあたり5×10の密度で播種し、48時間培養した。脂肪細胞の分化については、1μg/mLヒトインスリン(Sigma、カタログ番号I9278)、0.5mM IBMX(3−イソブチル−1−メチルキサンチン、Sigma、カタログ番号I5879)および1μMデキサメタゾン(Sigma、カタログ番号D4902)を分化培地と混合し、以前の培地を除去した後、250μLのこの混合物を各ウェルに加えた。48時間後、培地を、1μg/mLのヒトインスリンのみが補充された分化培地と取り替えた。その後、培地を、1μg/mLのヒトインスリンが補充された分化培地と48時間毎に交換しながら、脂肪細胞分化の誘導を7日間から9日間にわたって調べた。グルコースの取り込みを試験するために、分化細胞を血清フリーDMEM培地で1回洗浄し、次いで、250μLを加えて、血清枯渇を4時間にわたって誘導した。血清フリーDMEM培地を使用して、ヒトインスリンについて10μM〜0.01μMの、ならびに天然インスリン−免疫グロブリンFcコンジュゲートおよびインスリン類似体−免疫グロブリンFcコンジュゲートについて20μM〜0.02μMの10倍段階希釈を行った。各250μLのこのようにして調製したサンプルを細胞に加え、5%COインキュベーター中で、37℃で24時間培養した。インキュベーション後の培地中のグルコースの残存量を測定するために、200μLの培地を採取し、D−PBSで5倍希釈し、続いて、GOPODアッセイ(GOPODアッセイキット、Megazyme、カタログ番号K−GLUC)を行った。グルコース標準溶液の吸光度に基づいて、培地中に残存するグルコースの濃度を換算し、天然インスリン−免疫グロブリンFcコンジュゲートおよびインスリン類似体−免疫グロブリンFcコンジュゲートのグルコースの取り込みに対するEC50値をそれぞれ計算した。
その結果、ヒトインスリンと比較して、天然インスリン−免疫グロブリンFcコンジュゲートは11.6%のグルコースの取り込みを示し、インスリン類似体(6番)−免疫グロブリンFcコンジュゲートは0.43%のグルコースの取り込みを示し、インスリン類似体(7番)−免疫グロブリンFcコンジュゲートは1.84%のグルコースの取り込みを示し、インスリン類似体(8番)−免疫グロブリンFcコンジュゲートは16.0%のグルコースの取り込みを示し、インスリン類似体(9番)−免疫グロブリンFcコンジュゲートは15.1%のグルコースの取り込みを示した(表5)。
したがって、本発明のインスリン類似体(6番)−免疫グロブリンFcコンジュゲートおよびインスリン類似体(7番)−免疫グロブリンFcコンジュゲートが、天然インスリン−免疫グロブリンFcコンジュゲートと比較して著しく低減したin−vitro力価を有すること、ならびにインスリン類似体(8番)−免疫グロブリンFcコンジュゲートおよびインスリン類似体(9番)−免疫グロブリンFcコンジュゲートが、天然インスリン−免疫グロブリンFcコンジュゲートのものと類似したin−vitro力価を有することが観察された。
インスリン類似体−免疫グロブリンFcコンジュゲートの薬物動態
インスリン類似体−免疫グロブリンFcコンジュゲートの薬物動態を調べるために、その経時的血中濃度時間を、実験室に5日間順応させた正常なラット(6週齢、雄のSDラット)において比較した。21.7nmol/kgの天然インスリン−免疫グロブリンFcコンジュゲートおよび65.1nmol/kgのインスリン類似体−免疫グロブリンFcコンジュゲートをそれぞれ皮下に注射した。0、1、4、8、24、48、72、96、120、144、168、192および216時間目に採血した。各時点で、天然インスリン−免疫グロブリンFcコンジュゲートおよびインスリン類似体−免疫グロブリンFcコンジュゲートの血中濃度を酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって測定し、キットとしてインスリンELISA(ALPCO、USA)を使用した。しかし検出抗体としては、マウス抗ヒトIgG4 HRPコンジュゲート(Alpha Diagnostic Intl,Inc、USA)を使用した。
天然インスリン−免疫グロブリンFcコンジュゲートおよびインスリン類似体−免疫グロブリンFcコンジュゲートの薬物動態を調べた結果、それらの血中濃度が、それらの投与濃度に比例して増大すること、およびインスリン受容体結合親和性が低いインスリン類似体−免疫グロブリンFcコンジュゲートが、天然インスリン−Fcコンジュゲートと比較して非常に増大した半減期を示すことが、示された(図6)。
これらの結果は、インスリン受容体結合親和性が低減するように変異させた本発明のインスリン類似体を免疫グロブリンFc領域に連結してコンジュゲートを製造する場合、in−vivo血中半減期が著しく増大するので、そのコンジュゲートを安定なインスリン製剤として提供することができ、それにより糖尿病の治療剤として効果的に使用することができることを示唆する。
前述ことから、本発明の技術概念または本質的な特徴を変更することなく、本発明を他の特定の形態で具体化できることを、本発明が属する分野の当業者なら理解できるであろう。この関連で、本明細書に開示される例示的実施形態は例示目的のためだけであり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。それどころか、本発明は、例示的実施形態だけでなく、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨および範囲内に含むことができる様々な代替物、修正形態、均等物および他の実施形態を包含することが意図される。

Claims (32)

  1. 天然インスリンと比較してインスリン受容体結合親和性が低減されたインスリン類似体。
  2. 天然インスリンと比較して10%以上半減期が増大している、請求項1に記載のインスリン類似体。
  3. 天然インスリンの少なくとも1つのアミノ酸において突然変異または欠失を有する、請求項1に記載のインスリン類似体。
  4. インスリンのB鎖の位置1〜3、5、8、10、12、16および23〜30における、ならびにインスリンのA鎖の位置1、2、5、8、10、12、14、16〜19および21における1つまたは複数のアミノ酸が、他のアミノ酸(複数可)で置換されている、または欠失している、請求項3に記載のインスリン類似体。
  5. インスリンのB鎖の位置8および23〜25における、ならびにインスリンのA鎖の位置1、2、14および19における1つまたは複数のアミノ酸が、他のアミノ酸(複数可)で置換されている、請求項4に記載のインスリン類似体。
  6. 置換アミノ酸が、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン、イソロイシン、バリン、グルタミン、グリシン、リジン、ヒスチジン、システイン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、セリン、スレオニンおよびアスパラギン酸からなる群から選択される、請求項4に記載のインスリン類似体。
  7. 天然インスリンのA鎖またはB鎖の少なくとも1つのアミノ酸の欠失が原因で、インスリン受容体結合親和性が低減された、請求項4に記載のインスリン類似体。
  8. 以下の式1によって表される配列番号37のA鎖および以下の式2によって表される配列番号38のB鎖を含む、請求項1に記載のインスリン類似体:
    [式1]
    Xaa1−Xaa2−Val−Glu−Gln−Cys−Cys−Thr−Ser−Ile−Cys−Ser−Leu−Xaa3−Gln−Leu−Glu−Asn−Xaa4−Cys−Asn(配列番号37)
    式中:
    Xaa1はグリシンまたはアラニンであり、
    Xaa2はイソロイシンまたはアラニンであり、
    Xaa3はチロシン、グルタミン酸またはアスパラギンであり、
    Xaa4はチロシンまたはアラニンである;および
    [式2]
    Phe−Val−Asn−Gln−His−Leu−Cys−Xaa5−Ser−His−Leu−Val−Glu−Ala−Leu−Tyr−Leu−Val−Cys−Gly−Glu−Arg−Xaa6−Xaa7−Xaa8−Tyr−Thr−Pro−Lys−Thr(配列番号38)
    式中:
    Xaa5はグリシンまたはアラニンであり、
    Xaa6はグリシンまたはアラニンであり、
    Xaa7はフェニルアラニンまたはアラニンであり、
    Xaa8はフェニルアラニンまたはアラニンである。
  9. 以下を含む、請求項8に記載のインスリン類似体:
    (i)式1において、Xaa1がアラニン、Xaa2がイソロイシン、Xaa3がチロシンおよびXaa4がチロシンである、A鎖;ならびに式2において、Xaa5がグリシン、Xaa6がグリシン、Xaa7がフェニルアラニン、Xaa8がフェニルアラニンである、B鎖;
    (ii)式1において、Xaa1がグリシン、Xaa2がアラニン、Xaa3がチロシンおよびXaa4がチロシンであるA鎖;ならびに式2において、Xaa5がグリシン、Xaa6がグリシン、Xaa7がフェニルアラニンおよびXaa8がフェニルアラニンであるB鎖;
    (iii)式1において、Xaa1がグリシン、Xaa2がイソロイシン、Xaa3がグルタミン酸もしくはアスパラギンおよびXaa4がチロシンである、A鎖;ならびに式2において、Xaa5がグリシン、Xaa6がグリシン、Xaa7がフェニルアラニンおよびXaa8がフェニルアラニンである、B鎖;
    (iv)式1において、Xaa1がグリシン、Xaa2がイソロイシン、Xaa3がチロシンおよびXaa4がアラニンである、A鎖;ならびに式2において、Xaa5がグリシン、Xaa6がグリシン、Xaa7がフェニルアラニンおよびXaa8がフェニルアラニンである、B鎖;
    (v)式1において、Xaa1がグリシン、Xaa2がイソロイシン、Xaa3がチロシンおよびXaa4がチロシンである、A鎖;ならびに式2において、Xaa5がアラニン、Xaa6がグリシン、Xaa7がフェニルアラニンおよびXaa8がフェニルアラニンである、B鎖;
    (vi)式1において、Xaa1がグリシン、Xaa2がイソロイシン、Xaa3がチロシンおよびXaa4がチロシンである、A鎖;ならびに式2において、Xaa5がグリシン、Xaa6がアラニン、Xaa7がフェニルアラニンおよびXaa8がフェニルアラニンである、B鎖;
    (vii)式1において、Xaa1がグリシン、Xaa2がイソロイシン、Xaa3がチロシンおよびXaa4がチロシンである、A鎖;ならびに式2において、Xaa5がグリシン、Xaa6がグリシン、Xaa7がアラニンおよびXaa8がフェニルアラニンである、B鎖;または
    (viii)式1において、Xaa1がグリシン、Xaa2がイソロイシン、Xaa3がチロシンおよびXaa4がチロシンである、A鎖;ならびに式2において、Xaa5がグリシン、Xaa6がグリシン、Xaa7がフェニルアラニンおよびXaa8がアラニンである、B鎖。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のインスリン類似体をコードするポリヌクレオチド。
  11. 請求項10に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
  12. ヒトを除いた、請求項10に記載の発現ベクターを含む形質転換体。
  13. 半減期を延ばすことができる生体適合性物質が、請求項1から9のいずれか1項に記載のインスリン類似体に連結している、長時間作用型インスリン。
  14. 生体適合性物質が、ポリエチレングリコール、脂肪酸、コレステロール、アルブミンおよびそれらの断片、アルブミン結合物質、特定のアミノ酸配列の繰り返し単位のポリマー、抗体、抗体断片、FcRn結合物質、in−vivo結合組織またはそれらの誘導体、ヌクレオチド、フィブロネクチン、トランスフェリン、サッカリドならびにポリマーからなる群から選択される、請求項13に記載の長時間作用型インスリン。
  15. インスリン類似体と生体適合性物質がペプチド結合によって互いに連結されている、請求項13に記載の長時間作用型インスリン。
  16. インスリン類似体と生体適合性物質が、ポリエチレングリコール、脂肪酸、サッカリド、ポリマー、低分子量化合物、ヌクレオチドおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるリンカーによって連結されている、請求項13に記載の長時間作用型インスリン。
  17. インスリン類似体と生体適合性物質が、それらの間に挿入されたリンカーによって連結されており、生体適合性物質がFcRn結合物質であり、該リンカーが、ペプチドリンカー、またはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコールコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖、デキストラン、ポリビニルエーテル、生分解性ポリマー、脂質ポリマー、キチン、ヒアルロン酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択される非ペプチドリンカーである、請求項13に記載の長時間作用型インスリン。
  18. FcRn結合物質が、免疫グロブリンFc領域を含むポリペプチドである、請求項17に記載の長時間作用型インスリン。
  19. 非ペプチドリンカーの各末端が、それぞれ、生体適合性物質およびインスリン類似体のアミン基またはチオール基に連結されている、請求項17に記載の長時間作用型インスリン。
  20. 長時間作用型インスリンを製造するための方法であって:
    (a)(i)インスリン類似体;ならびに(ii)ポリエチレングリコール、脂肪酸、コレステロール、アルブミンおよびそれらの断片、アルブミン結合物質、特定のアミノ酸配列の繰り返し単位のポリマー、抗体、抗体断片、FcRn結合物質、in−vivo結合組織またはそれらの誘導体、ヌクレオチド、フィブロネクチン、トランスフェリン、サッカリドならびにポリマーからなる群から選択される生体適合性物質をそれぞれ製造すること;ならびに
    (b)該インスリン類似体を該生体適合性物質に連結すること
    を含む前記方法。
  21. 以下の化学式1のコンジュゲート:
    [化学式1]
    X−La−F;
    式中、Xは、天然インスリンと比較してインスリン受容体結合親和性が低減されたインスリン類似体であり、
    Lはリンカーであり、
    aは0または自然数であり、但し、aが2以上である場合、各Lは互いに独立していることを条件とし、
    Fは、インスリン類似体のin−vivo半減期を増大させることができる物質である。
  22. Xが、天然インスリンと比較してインスリン受容体結合親和性が低減されたインスリン類似体であり、該インスリン類似体が、該インスリンのA鎖またはB鎖の少なくとも1つのアミノ酸において突然変異または欠失を有する、請求項21に記載のコンジュゲート。
  23. インスリン類似体において、インスリンのB鎖の位置1〜3、5、8、10、12、16および23〜30における、ならびにインスリンのA鎖の位置1、2、5、8、10、
    12、14、16〜19および21における1つまたは複数のアミノ酸が、他のアミノ酸(複数可)で置換されている、または欠失している、請求項21に記載のコンジュゲート。
  24. インスリン類似体において、インスリンのB鎖の位置8および23〜25における、ならびにインスリンのA鎖の位置1、2、14および19における1つまたは複数のアミノ酸が、他のアミノ酸(複数可)で置換されている、請求項23に記載のコンジュゲート。
  25. 置換アミノ酸が、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン、イソロイシン、バリン、グルタミン、グリシン、リジン、ヒスチジン、システイン、フェニルアラニン、トリプトファン、プロリン、セリン、スレオニンおよびアスパラギン酸からなる群から選択される、請求項23に記載のコンジュゲート。
  26. インスリン類似体のin−vivo半減期を増大させることができる物質が、ポリエチレングリコール、脂肪酸、コレステロール、アルブミンおよびそれらの断片、アルブミン結合物質、特定のアミノ酸配列の繰り返し単位のポリマー、抗体、抗体断片、FcRn結合物質、in−vivo結合組織、ヌクレオチド、フィブロネクチン、トランスフェリン、サッカリドならびにポリマーからなる群から選ばれる、請求項21に記載のコンジュゲート。
  27. Lが、ペプチド、ポリエチレングリコール、脂肪酸、サッカリド、ポリマー、低分子量化合物、ヌクレオチドおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項21に記載のコンジュゲート。
  28. XとFが、共有結合性化学結合、非共有結合性化学結合またはそれらの組み合わせを介して、Lによって連結されている、請求項21に記載のコンジュゲート。
  29. ポリマーが、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコールコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール、ポリビニルアルコール、多糖、デキストラン、ポリビニルエーテル、生分解性ポリマー、脂質ポリマー、キチン、ヒアルロン酸、オリゴヌクレオチドおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される非ペプチドリンカーである、請求項27に記載のコンジュゲート。
  30. FがIgG Fc領域である、請求項21に記載のコンジュゲート。
  31. in−vivoでの持続時間および安定性が改善された長時間作用型インスリン製剤であって、請求項21〜30のいずれか1項に記載のコンジュゲートを含む前記長時間作用型インスリン製剤。
  32. 糖尿病治療のための長時間作用型インスリン製剤であって、請求項21〜30のいずれか1項に記載のコンジュゲートを含む前記長時間作用型インスリン製剤。
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