JP2017227623A - レーダ装置及び情報引継方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーダ装置に接続された車両制御装置の所望の基準点の検知の遅延を防止すること。【解決手段】レーダ装置は、信号処理部201と、ターゲット情報出力部204とを有する。ターゲット情報出力部204は、加算信頼度が閾値以上のペアデータだけをターゲット情報としてレーダ装置1の外部へ出力する。信号処理部201は、物標P1と物標P2とが同一の物体に属しているか否かを判定する。物標P1は、物標P2よりも後に導出されたペアデータである。そして、信号処理部201は、物標P1と物標P2とが同一の物体に属していると判定した場合に、物標P2の信頼度を物標P1に引き継ぐ。【選択図】図5

Description

本発明は、レーダ装置の物標の導出処理に関する。
レーダ装置では、レーダ装置から送信された送信信号が物体(object)において反射することによって到来する受信信号を受信することによって、物体に係る物標(target)が検知される。
レーダ装置の一例として、ミリ波レーダが挙げられる。また、レーダ装置は、例えば、車両に搭載され、周波数変調した連続波であるFM−CW(Frequency Modulated Continuous Wave)を用いて、車両の周辺に存在する物体に係る物標を検知する。
車両に搭載されるレーダ装置が検知対象とする物体は、例えば、静止物と移動物とに大別される。静止物の一例として、路面、路側帯及び歩道等に設置された、信号機、ポール、歩道橋、電柱、交通標識、ガードレール、道路案内板等が挙げられる。また、移動物の一例として、自車両の前方を自車両と同一方向へ向かって走行する他の車両(以下では「先行車」と呼ぶことがある)等が挙げられる。
また、車両に搭載されるレーダ装置は、各物標の種別に関するデータである物標の「信頼度」を算出する。信頼度が比較的低い物標として、例えば、レーダ装置が搭載された車両の車高よりも所定距離だけ高い位置に設置されている静止物(以下では「上方物」と呼ぶことがある)に係る物標や、レーダ装置が搭載された車両の底よりも低い位置に設置されている静止物(以下では「下方物」と呼ぶことがある)に係る物標等が挙げられる。上方物の一例として、歩道橋、道路案内板等が挙げられ、下方物の一例として、道路の中央分離帯やカーブに設置されている道路鋲等が挙げられる。また、信頼度が比較的高い物標として、例えば、自車線内で停止している車両(以下では「停止車両」と呼ぶことがある)に係る物標や、先行車に係る物標等が挙げられる。レーダ装置は、信頼度が閾値以上の物標に関する情報を車両の挙動を制御する車両制御装置に出力し、信頼度が閾値未満の物標に関する情報を車両制御装置に出力しない。
特開2016−006383号公報
レーダ装置が、全長が比較的長い停止車両(例えば、トラック)に係る物標を検知する場合、送信波が停止車両の複数の箇所で反射する場合がある。この場合、レーダ装置には、1台の停止車両からの複数の反射波が到来する。例えば、送信波が停車車両の後端に設置されたリアバンパーの位置で反射することによって受信信号R1がレーダ装置に受信される一方で、送信波がトラックの前部の運転席付近に設置されたサイドミラーの位置で反射することによって受信信号R2がレーダ装置に受信される。1台の停止車両から受信信号R1と受信信号R2とが受信されると、レーダ装置では、リアバンパーの反射点に係る物標P1と、サイドミラーの反射点に係る物標P2との2つの物標が検知される。このように、1つの物体について複数の物標が検知されてしまうことは「縦割れ」と呼ばれることがある。以下では、縦割れが発生している物体を「縦割れ物体」と呼ぶことがある。
これに対し、車両制御装置は、停止車両の後端(例えば、リアバンパー)に係る物標を車両制御の基準点とすることが多い。例えば、車両制御装置の一つであるAEBS(Advanced Emergency Braking System)は、自車両と停止車両の後端との間の距離が閾値未満になったときに、自車両のブレーキを動作させて停止車両への追突を防止する。
しかしながら、停止車両からの反射波の中には、反射点からレーダ装置まで直接的に受信される直接波だけでなく、反射点から地面に反射してレーダ装置まで間接的に受信されるマルチパス波もある。そして、リアバンパーからの直接波に停止車両の後端以外からのマルチパス波が干渉し、受信信号R1のパワーが低下して物標P1が検出できないことがある。
そして、受信信号R2のパワーがマルチパス波の干渉を受けることなく物標P2が検出されている場合、レーダ装置は、停止車両のリアバンパーに係る物標P1よりも時間的に早く、サイドミラーに係る物標P2を検出する。その結果、停止車両の位置として物標P2の位置が検知され、車両制御装置での基準点として用いられる物標P1の種別の判定処理が遅れる。このように、レーダ装置での物標の種別の判定処理が遅れると、車両制御装では、対象の物標が車両の制御が必要な物標か否かを判定する処理が遅れ、その結果、車両の制御が必要な物標の場合は、車両の制御(例えば、AEBSによる車両のブレーキングの開始)が遅延してしまう。
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、物標の種別を早期に判定することを目的とする。
開示の態様では、レーダ装置は、判定手段と、引継ぎ手段とを有する。前記レーダ装置は、自車両の周辺へ送信した送信波が該周辺に存在する物体に反射した反射波を受信して取得される受信信号に基づいて物標に係る情報を導出する。前記判定手段は、複数の物標が同一の物体に属しているか否かを判定する。前記引継ぎ手段は、前記複数の物標が前記同一の物体に属していると判定された場合に、前記複数の物標のうち第1物標が第2物標よりも近い位置に存在する物標であり、前記第1物標よりも前記第2物標が時間的に早く導出された物標のときは、前記第2物標の種別に関する情報を、前記第1物標の種別に関する情報として引き継ぐ。
開示の態様によれば、物標の種別を早期に判定することができる。
図1は、実施例1の車両制御システムが搭載される車両の一例を示す図である。 図2は、実施例1の車両制御システムの構成例を示す図である。 図3は、実施例1のレーダ装置の構成例を示す図である。 図4は、実施例1の送信信号と受信信号との関係の一例を示す図である。 図5は、実施例1のプロセッサの機能を示す機能ブロック図である。 図6は、実施例1のレーダ装置の処理の一例の説明に供するフローチャートである。 図7は、実施例1の信号処理部の動作例の説明に供する図である。 図8は、実施例1の信号処理部の動作例の説明に供する図である。 図9は、実施例1のペアリング処理の一例の説明に供するフローチャートである。 図10は、実施例1の履歴ペアリング処理の一例の説明に供するフローチャートである。 図11は、実施例1の正常履歴ピーク判定処理の一例の説明に供するフローチャートである。 図12は、実施例1の信号処理部の動作例の説明に供する図である。 図13は、実施例1の信号処理部の動作例の説明に供する図である。 図14は、実施例1の信頼度引継処理の一例の説明に供するフローチャートである。 図15は、実施例1の信号処理部の動作例の説明に供する図である。 図16は、実施例1の信号処理部の動作例の説明に供する図である。 図17は、実施例1の信号処理部の動作例の説明に供する図である。 図18Aは、実施例2の信号処理部の動作例の説明に供する図である。 図18Bは、実施例2の信号処理部の動作例の説明に供する図である。 図19は、実施例2の信号処理部の動作例の説明に供する図である。 図20は、実施例2の信号処理部の動作例の説明に供する図である。 図21Aは、外挿処理の要因1を説明する模式図である。 図21Bは、外挿処理の要因2を説明する模式図である。 図21Cは、外挿処理の要因3を説明する模式図である。 図21Dは、外挿処理の要因4を説明する模式図である。 図22は、縦割れしている物体が上方物の場合の反射波の状態を模式的に示す図である。
本願に開示のレーダ装置は、所定の周期で送信周波数が変化する送信信号を送信し、送信信号が物体において反射することによって到来する受信信号を受信する。また、本願に開示のレーダ装置は、送信信号の送信周波数と受信信号の受信周波数との差分周波数(以下では「ビート周波数」と呼ぶことがある)を示す信号(以下では「ビート信号」と呼ぶことがある)の周波数スペクトルのピークを、送信周波数の上昇区間(以下では「UP区間」と呼ぶことがある)と、送信周波数の下降区間(以下では「DOWN区間」と呼ぶことがある)とで取得する。そして、本願に開示のレーダ装置は、UP区間でのピーク(以下では「UPピーク」と呼ぶことがある)と、DOWN区間でのピーク(以下では「DOWNピーク」と呼ぶことがある)とのペア(対応付け)によるデータ基づいて、物標に関する情報(以下では「ターゲット情報」と呼ぶことがある)を導出する。このように、UPピークとDOWNピークとの対応付けによるデータを「物標」という。1つの物標は1つの物体の1つの反射点に相当する。
以下に、本願に開示のレーダ装置及び信頼度引継方法の実施例を図面に基づいて説明する。なお、この実施例により本願に開示のレーダ装置及び信頼度引継方法が限定されるものではない。以下では、各実施例において同一の機能を有する構成及び同一の処理を行うステップには同一の符号を付す。
[実施例1]
<車両制御システムの構成>
図1は、実施例1の車両制御システムが搭載される車両の一例を示す図であり、図2は、実施例1の車両制御システムの構成例を示す図である。
図1において、車両CRは、レーダ装置1と、車両制御装置2とを搭載する。レーダ装置1及び車両制御装置2は、図2に示すように、車両制御システム10に含まれる。車両制御装置2は、例えばECU(Electronic Control Unit)によって実現される。車両CRは、例えば、車両CRのフロントバンパー近傍にレーダ装置1を搭載する。レーダ装置1は、例えば中心軸BLのビームパターンNAを有する送信信号を送信して所定の走査範囲を走査し、車両CRと物標との間で、車両進行方向での距離(以下では「縦距離」と呼ぶことがある)と、車両横方向(車幅方向)での距離(以下では「横距離」と呼ぶことがある)を導出することにより、車両CRに対する物標の位置情報を導出する。また、レーダ装置1は、車両CRの速度(以下では「自車速」と呼ぶことがある)に対する物標の速度(以下では「相対速度」と呼ぶことがある)を導出する。
図2において、車両制御システム10は、レーダ装置1と、車両制御装置2とを有する。レーダ装置1は、ターゲット情報を車両制御装置2へ出力する。レーダ装置1から出力されるターゲット情報には、縦距離、横距離及び相対速度が含まれる。
車両制御装置2には、車速センサ40、ステアリングセンサ41、ブレーキ50及びスロットル51が接続されている。車速センサ40、ステアリングセンサ41、ブレーキ50及びスロットル51は車両CRに搭載されている。
車速センサ40は、自車速を検出し、検出した自車速の情報(以下では「自車速情報」と呼ぶことがある)をレーダ装置1及び車両制御装置2へ出力する。ステアリングセンサ41は、車両CRのステアリング角を検出し、検出したステアリング角の情報を車両制御装置2へ出力する。ブレーキ50は、車両制御装置2からの制御に従って、自車速を減少させる。スロットル51は、車両制御装置2からの制御に従って、自車速を増加させる。
車両制御装置2は、ターゲット情報、車速センサ40によって検出された自車速、及び、ステアリングセンサ41によって検出された車両CRのステアリング角に基づいてブレーキ50の動作及びスロットル51の動作を制御することにより、車両CRの挙動を制御する。例えば、車両制御装置2は、ターゲット情報、自車速及び車両CRのステアリング角に基づいてブレーキ50及びスロットル51を制御することにより、車両CRと先行車と間の距離を一定に保ったままで車両CRを先行車に追従させて走行させるACC(Adaptive Cruise Control)を実現する。また例えば、車両制御装置2は、ターゲット情報、自車速及び車両CRのステアリング角に基づいてブレーキ50を制御することにより、車両CRが障害物に衝突する危険性がある場合に自車速を減少させるAEBSを実現する。
<レーダ装置の構成>
図3は、実施例1のレーダ装置の構成例を示す図である。図3において、レーダ装置1は、プロセッサ17と、メモリ18と、発振器11と、送信アンテナ12と、受信アンテナ13a,13b,13cと、ミキサ14a,14b,14cと、ADC(Analog to Digital Converter)16a,16b,16cとを有する。プロセッサ17は、ターゲット情報を出力する。受信アンテナ13a,13b,13cは、直線上に一列に並べて等間隔で配置され、受信アンテナアレイを形成する。プロセッサ17の一例として、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が挙げられる。また、メモリ18の一例として、SDRAM等のRAM、ROM、フラッシュメモリ等が挙げられる。以下では、受信アンテナ13a,13b,13cを「受信アンテナ13」と、ミキサ14a,14b,14cを「ミキサ14」と、ADC16a,16b,16cを「ADC16」と総称することがある。
発振器11は、プロセッサ17から入力される変調信号に基づいて連続波の信号を周波数変調することによって、時間の経過に伴って周波数が変化する送信信号を生成し、生成した送信信号を送信アンテナ12及びミキサ14へ出力する。
送信アンテナ12は、発振器11によって周波数変調された送信信号を送信波として送信する。
受信アンテナ13は、送信波としての送信信号がレーダ装置1の周辺に存在する物体において反射した反射波を受信信号として受信して受信信号を取得する。
ミキサ14は、発振器11から入力される送信信号と、受信アンテナ13から入力される受信信号とをミキシングする。ミキサ14のミキシングにより、送信信号の送信周波数と受信信号の受信周波数との差分周波数であるビート周波数を示すビート信号が生成される。ミキサ14は、ミキシングにより生成したビート信号をADC16へ出力する。
ADC16は、アナログのビート信号をデジタルのビート信号に変換し、変換後のデジタルのビート信号をプロセッサ17へ出力する。
<送信信号と受信信号との関係>
図4は、実施例1の送信信号と受信信号との関係の一例を示す図である。以下では、FM−CW方式を一例に挙げて説明する。但し、本願に開示の技術が適用される方式は、FM−CW方式に限定されない。本願に開示の技術が適用される方式は、送信信号の送信周波数が上昇するUP区間と、送信信号の送信周波数が下降するDOWN区間とを用いて物標を検知するすべての方式に適用可能である。
以下では、「f」は距離周波数、「f」は速度周波数、「f」は送信信号の中心周波数、「△F」は周波数偏移幅、「f」は変調信号の繰り返し周波数、「c」は光速(電波の速度)、「T」はレーダ装置1と物標との間の電波の往復時間、「f」は送信/受信周波数、「R」は縦距離、「V」は相対速度、「θ」はレーダ装置1に対する物標の角度、「θup」はUPピークに対応する角度、「θdn」はDOWNピークに対応する角度、「D」はレーダ装置1から物標までの距離をそれぞれ示す。また、以下では、送信信号TX1,TX2を「送信信号TX」と、受信信号RX1,RX2を「受信信号RX」と、ビート信号BS1,BS2を「ビート信号BS」と総称することがある。
図4の上段の図において、時刻t0〜t4では、送信信号TX1の送信周波数は、中心周波数をfとして、UP区間U1で上限周波数まで上昇した後にDOWN区間D1で下限周波数まで下降し、UP区間U2で上限周波数まで上昇した後にDOWN区間D2で下限周波数まで下降するというように、所定の周期「1/f」で上昇と下降とを繰り返す。例えば、中心周波数fは76.5GHz、上限周波数は76.6GHz、下限周波数は76.4GHzである。このように、レーダ装置1は、1つのUP区間と1つのDOWN区間とを組み合わせた区間を1周期とし、1回の送信で、2周期分に相当する送信信号TXを送信する。また、送信アンテナ12から送信された送信信号TX1が物体において反射することによってレーダ装置1に到来して受信アンテナ13によって受信される受信信号RX1も、送信信号TX1と同様に、所定の周期「1/f」で上昇と下降とを繰り返す。
次いで、時刻t4〜t5のプロセッサ処理区間PAでは、プロセッサ17が、送信信号TX1と受信信号RX1とを用いて、ターゲット情報を導出するための信号処理を行う。
次いで、時刻t5〜t9では、時刻t0〜t4と同様に、送信信号TX2の送信周波数は、中心周波数をfとして、UP区間U3で上限周波数まで上昇した後にDOWN区間D3で下限周波数まで下降し、UP区間U4で上限周波数まで上昇した後にDOWN区間D4で下限周波数まで下降するというように、所定の周期「1/f」で上昇と下降とを繰り返す。また、送信アンテナ12から送信された送信信号TX2が物体において反射することによってレーダ装置1に到来して受信アンテナ13によって受信される受信信号RX2も、送信信号TX2と同様に、所定の周期「1/f」で上昇と下降とを繰り返す。
そして、時刻t9〜t10のプロセッサ処理区間PBでは、プロセッサ17が、送信信号TX2と受信信号RX2とを用いて、ターゲット情報を導出するための信号処理を行う。
時刻t10以降も時刻t0〜t10と同様の処理が繰り返される。以上のように、レーダ装置1では、送信信号TXの送信と、受信信号RXの受信と、ターゲット情報の導出とが順番に繰り返し行われる。
受信信号RXには、送信信号TXに対する遅延時間τが生じる。この遅延時間τは、レーダ装置1から物標までの距離Dに応じたものになる。さらに、自車速と物標の速度との間に速度差がある場合は、送信信号TXに対して受信信号RXにドップラーシフト分の周波数差が生じる。
図4の下段の図には、ビート信号BSを示す。送信信号TX1と受信信号RX1とがミキシングされることによりビート信号BS1が生成され、送信信号TX2と受信信号RX2とがミキシングされることによりビート信号BS2が生成される。ビート信号BSは、送信信号TXの送信周波数と、受信信号RXの受信周波数との差分周波数(つまりビート周波数)を示す。例えば、UP区間U1,U2,U3,U4におけるビート周波数はBF1となり、DOWN区間D1,D2,D3,D4におけるビート周波数はBF2となる。このように、各区間において、ビート周波数が導出される。
そして、プロセッサ17では、ADC16から入力されるビート信号BSに対してFFT(Fast Fourier Transform)が施されることによって、ビート信号BSが周波数領域のデータである周波数スペクトルに変換され、UP区間及びDOWN区間のそれぞれにおいて、ビート信号BSの周波数スペクトルが得られる。以下では、ビート信号BSの周波数スペクトルを「FFTデータ」と呼ぶこともある。
そして、このようにして導出されたFFTデータを用いて、レーダ装置1に対する物標の縦距離、相対速度、及び、横距離が導出される。例えば、レーダ装置1に対する物標の距離は式(1)により導出され、レーダ装置1に対する物標の相対速度は式(2)により導出される。また例えば、レーダ装置1に対する物標の角度は式(3)により導出される。そして、式(1)により導出された距離と、式(3)により導出された角度とに基づいて、三角関数を用いた演算により、レーダ装置1に対する物標の縦距離及び横距離が導出される。
Figure 2017227623
Figure 2017227623
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<プロセッサの機能>
図5は、実施例1のプロセッサの機能を示す機能ブロック図である。図5において、プロセッサ17は、プロセッサ17の機能として、信号処理部201と、送信制御部202と、信号生成部203と、ターゲット情報出力部204とを有する。
信号生成部203は、送信制御部202からの制御に従って、三角波状に電圧が変化する変調信号を生成し、生成した変調信号を発振器11へ出力する。
信号処理部201は、FFTデータのピークをUP区間とDOWN区間とのそれぞれで取得し、UPピークとDOWNピークとに基づいてターゲット情報を生成する。この際、信号処理部201は、UP区間におけるFFTデータのパワーが所定の閾値を超えるピークをFFTデータから抽出してUPピークを取得し、DOWN区間におけるFFTデータのパワーが所定の閾値を超えるピークをFFTデータから抽出してDOWNピークを取得する。そして、信号処理部201は、UPピークとDOWNピークとのペアに基づいてターゲット情報を導出し、導出したターゲット情報をターゲット情報出力部204へ出力する。信号処理部201での処理の詳細は後述する。
ターゲット情報出力部204は、信号処理部201から入力されるターゲット情報の中から、優先順位の高い所定個数のターゲット情報であって、かつ、信頼度が所定の閾値以上のターゲット情報を選択し、選択したターゲット情報を車両制御装置2へ出力する。ターゲット情報出力部204での処理の詳細は後述する。
ここで、「信頼度」とは、物標の種別に関する情報である。具体的には、物標の複数のパラメータからその物標が停止車両に係る物標か上方物に係る物標かを判定する場合に用いる値である。レーダ装置の複数回のスキャン処理において、信頼度が閾値以上のときは、その物標は停止車両に係る物標と判定される。また信頼度が閾値未満のときは、その物標は上方物に係る物標と判定される。このような判定を行うことで、その物標を有する物体が、自車両が進行方向に進んだときに衝突する物体であるか否かを正確に判定できる。
メモリ18には、信号処理部201が導出したFFTデータ及びターゲット情報等が記憶される。例えば、メモリ18には、前回の処理区間(例えばプロセッサ処理区間PA(図4))及び今回の処理区間(例えばプロセッサ処理区間PB(図4))のそれぞれにおいて導出されたFFTデータ及びターゲット情報が記憶される。つまり、メモリ18には、時系列な複数のFFTデータ、及び、時系列な複数のターゲット情報が記憶される。
送信制御部202は、信号処理部201からの指示に基づき、変調信号の生成指示を信号生成部203へ出力する。信号処理部201は、例えば、図4に示す時刻t0,t5,t10で、送信制御部202に対して、変調信号の生成指示の出力指示を与える。
<レーダ装置の処理>
図6は、実施例1のレーダ装置の処理の一例の説明に供するフローチャートである。図6のフローチャートにおいて、ステップS101の処理は、時刻t0〜t4及び時刻t5〜t9(図4)で実行され、ステップS103〜S133の処理は、プロセッサ処理区間PA(時刻t4〜t5)及びプロセッサ処理区間PB(時刻t9〜t10)で実行される。また、図6のフローチャートにおけるステップS103〜S133の各処理について、「前回の処理」がプロセッサ処理区間PAで実行されると、「今回の処理」は、プロセッサ処理区間PBで実行される。
まず、ステップS101では、送信アンテナ12から送信された送信信号TXが物体において反射することによってレーダ装置1に到来して受信アンテナ13によって受信信号RXとして受信される。送信信号TXと受信信号RXとがミキサ14によってミキシングされることによりアナログのビート信号BSが生成される。アナログのビート信号BSはADC16によってデジタルのビート信号BSに変換され、変換後のデジタルのビート信号BSは信号処理部201に入力される。
次いで、ステップS103では、信号処理部201は、ADC16から入力されるビート信号BSに対してFFTを施すことによって、UP区間及びDOWN区間のそれぞれにおいてFFTデータを取得する。
次いで、ステップS105では、信号処理部201は、ピーク抽出処理を行って、FFTデータのピークをUP区間とDOWN区間とのそれぞれにおいて取得する。ピーク抽出処理では、信号処理部201は、UP区間におけるFFTデータのパワーが所定の閾値を超えるピークをFFTデータから抽出してUPピークを取得し、DOWN区間におけるFFTデータのパワーが所定の閾値を超えるピークをFFTデータから抽出してDOWNピークを取得する。
次いで、ステップS107では、信号処理部201は、今回のピーク抽出処理(ステップS105)で抽出されたピークの中から、過去の物標に係るピークと時間的な連続性を有するピーク(以下では「履歴ピーク」と呼ぶことがある)を抽出する「履歴ピーク抽出処理」を行う。
すなわち、ステップS107では、信号処理部201は、UP区間及びDOWN区間の各々について、プロセッサ17の前回の処理区間において実行された「次回予測処理(ステップS121)」で導出されたピークの予測値(以下では「予測ピーク」と呼ぶことがある)の周波数を基準にした所定周波数の範囲内にあるピークを履歴ピークとして抽出する。以下では、UPピークの予測値を「予測UPピーク」と呼び、DOWNピークの予測値を「予測DOWNピーク」と呼ぶことがある。また、以下では、UP区間の履歴ピークを「履歴UPピーク」と呼び、DOWN区間の履歴ピークを「履歴DOWNピーク」と呼ぶことがある。以下、ステップS107の処理について、より詳細に説明する。
図7及び図8は、実施例1の信号処理部の動作例の説明に供する図である。図7は、FFTデータにおけるUPピークを示し、図8は、FFTデータにおけるDOWNピークを示す。図7において、信号処理部201は、予測UPピークの周波数feupを中心にして±3binの範囲内で履歴UPピークを探索する。図7に示す場合は、周波数feupの±3bin以内に、パワーが閾値TH以上のUPピークfupが存在しているため、信号処理部201は、UPピークfupを履歴UPピークとして抽出する。例えば、1binは約468Hzである。
同様に、図8において、信号処理部201は、予測DOWNピークの周波数fednを中心にして±3binの範囲内で履歴DOWNピークを探索する。図8に示す場合は、周波数fednの±3bin以内に、パワーが閾値TH以上のDOWNピークfdnが存在しているため、信号処理部201は、DOWNピークfdnを履歴DOWNピークとして抽出する。
なお、予測ピークの周波数に対して±3bin以内にパワーが閾値TH以上の複数のピークが存在する場合は、信号処理部201は、予測ピークの周波数に最も近い周波数位置に存在するピークを履歴ピークとして抽出する。
次いで、ステップS109では、信号処理部201は、車速センサ40から入力される自車速情報に基づいて、UPピークとDOWNピークとの周波数差が自車速に対応する各区間におけるピークを、静止物に対応するピーク(以下では「静止物ピーク」と呼ぶことがある)として抽出する。ここで、静止物は、自車速とほぼ同じ大きさの相対速度を有する物体であり、移動物は、自車速と異なる大きさの相対速度を有する物体である。
なお、このように履歴ピーク抽出処理(ステップS107)及び静止物ピーク抽出処理(ステップS109)を行うのは、レーダ装置1が車両制御装置2に対して優先的に与える必要性のある物標に対応するピークを選択するためである。例えば、今回のピーク抽出処理(ステップS105)で抽出されたピークに対応する物標のうち、前回の物標のピークと時間的な連続性を有するピークに対応する物標は、今回の処理で新規に抽出されたピークに対応する物標と比べて、実存する確率が高い。このため、時間的な連続性を有するピークは、新規に抽出されたピークよりも優先順位が高い場合がある。また例えば、移動物は、静止物に比べて、車両CRと衝突する可能性が高いため、移動物に対応するピークは、静止物に対応するピークよりも優先順位が高い場合がある。
次いで、ステップS111では、信号処理部201は、UP区間及びDOWN区間のそれぞれにおいて、抽出されたピークに基づいて、物標の方位を演算する。例えば、信号処理部201は、ESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques)等の所定の方位演算アルゴリズムを用いて、物標の方位(角度)を導出する。ESPRITが用いられる場合、信号処理部201は、受信アンテナ13における受信信号RXの位相情報から相関行列の固有値、及び、固有ベクトル等を演算し、UPピークに対応する角度θupと、DOWNピークに対応する角度θdnとを導出する。そして、信号処理部201は、角度θupと角度θdnとから、式(3)に従って、物標の角度を導出する。なお、1つのピークに複数の物標の情報が含まれている場合がある。例えば、レーダ装置1に対する物標の位置情報において、距離が同じ値で角度が異なる値の複数の物標の情報が、同一周波数のピークに含まれている場合がある。このような場合、異なる角度から到来した複数の受信信号RXの位相は互いに異なるものになるため、信号処理部201は、各受信信号RXの位相に基づいて、1つのピークについて、複数の物標にそれぞれ対応する複数の角度を導出する。
次いで、ステップS113では、信号処理部201は、UPピークとDOWNピークとをペアリングする「ペアリング処理」を行う。このペアリング処理は、ピーク抽出処理(ステップS105)で抽出されたすべてのピークのうち、履歴ピーク抽出処理(ステップS107)で抽出された履歴ピークについては、履歴UPピークと、履歴DOWNピークとの間で行われる。ピーク抽出処理(ステップS105)で抽出されたすべてのピークのうち、静止物ピーク抽出処理(ステップS109)で抽出された静止物ピークについては、UP区間の静止物ピーク(以下では「静止物UPピーク」と呼ぶことがある)と、DOWN区間の静止物ピーク(以下では「静止物DOWNピーク」と呼ぶことがある)との間でペアリング処理が行われる。さらに、ピーク抽出処理(ステップS105)で抽出されたすべてのピークのうち、履歴ピークと静止物ピークとを除いた残りのピーク(以下では「残ピーク」と呼ぶことがある)については、UP区間の残ピーク(以下では「残UPピーク」と呼ぶことがある)と、DOWN区間の残ピーク(以下では「残DOWNピーク」と呼ぶことがある)との間でペアリング処理が行われる。
なお、UPピークとDOWNピークとのペアリング処理は、例えば、「マハラノビス距離」を用いた演算を用いて行われる。例えば、レーダ装置1を車両CRに搭載する前に試験的にUPピークとDONWピークとをペアリングし、複数のペアリングの中において正しい組み合わせでペアリングされたペアデータである「正常ペア」と、複数のペアリングの中において誤った組み合わせでペアリングされたペアデータである「ミスペア」とをそれぞれ複数取得する。そして、複数の正常ペアのそれぞれにおいてUPピークとDOWNピークと間の「周波数スペクトルのパワーの差」、「角度の差」、及び、「角度スペクトラムのパワーの差」の3つのパラメータ値を求め、複数の正常ペア間において3つのパラメータ毎の平均値を導出し、予めメモリ18に記憶する。
そして、レーダ装置1を車両CRに搭載した後に、プロセッサ17がターゲット情報を導出する際には、信号処理部201は、UPピークとDOWNピークとのすべての組み合わせにおける3つのパラメータ値と、複数の正常ペア間における3つのパラメータ毎の平均値とを用いて、式(4)によりマハラノビス距離D(x)を導出する。そして、信号処理部201は、今回の処理でマハラノビス距離D(x)が最小となるペアを正常ペアとして導出する。ここで、マハラノビス距離D(x)は、平均がμ=(μ1,μ2,μ3)で、共分散行列がΣであるような多変数ベクトルx=(x1,x2,x3)で表される一群の値に対するもので、式(4)により導出される。なお、要素μ1,μ2,μ3は正常ペアの3つのパラメータ値を示し、要素x1,x2,x3は今回の処理のペアの3つのパラメータ値を示す。
Figure 2017227623
そして、信号処理部201は、このペアリング処理において、正常ペアのパラメータ値と式(1)〜(3)とを用いて、正常ペアの縦距離、相対速度及び横距離を導出する。なお、履歴ピークを用いたペアリング処理については後述する。
次いで、ステップS115では、信号処理部201は、今回のペアリング処理(ステップS113)によりペアリングされたペアデータ(以下では「今回ペア」と呼ぶことがある)と、前回のペアリング処理(ステップS113)によりペアリングされたペアデータ(以下では「前回ペア」と呼ぶことがある)との間に時間的な連続性が存在するか否かを判定する。ここで、今回ペアと前回ペアとの間に時間的な連続性がある場合とは、例えば、前回ペアに基づいて予測した今回ペア(以下では「予測ペア」と呼ぶことがある)と、実際に取得された今回ペアとの間における縦距離の差、横距離の差及び相対速度の差のすべてが所定値以内の場合である。この場合、今回の処理により検知された物標と、前回の処理により検知された物標とが同一の物標であると判定される。なお、信号処理部201は、所定値以内に複数の今回ペアが存在する場合、複数の今回ペアのうち、予測ペアとの差が最小の今回ペアを、前回ペアと時間的な連続性があるペアデータと判定する。
一方で、信号処理部201は、予測ペアと、実際に取得された今回ペアとの間における縦距離の差、横距離の差または相対速度の差の何れかが所定値以内でない場合、今回ペアと前回ペアとの間に時間的な連続性がないと判定する。そして、このように前回ペアと時間的な連続性がないと判定された今回ペアは、今回の処理で初めて導出されたペアデータ(以下では「新規ペア」と呼ぶことがある)となる。
次いで、ステップS117では、信号処理部201は、今回ペアと前回ペアとの間に時間的な連続性がある場合は、今回ペアと予測ペアとの間で縦距離、相対速度、横距離及びパワーの値に対してフィルタリングを行い、フィルタリングされたペアデータ(以下では「フィルタデータ」と呼ぶことがある)を導出する。
例えば、今回ペアと前回ペアとの間に時間的な連続性がある場合に、信号処理部201は、横距離については、予測ペアの横距離に0.75の重み付けを行い、今回ペアの横距離に0.25の重み付けを行い、重み付け後の横距離同士を足し合わせたものを今回の処理におけるフィルタデータの横距離として導出する。信号処理部201は、縦距離、相対速度及びパワーの値についても、横距離と同様なフィルタリングを行う。
次いで、ステップS119では、信号処理部201は、自車速と物標の相対速度とに基づいて、物標が移動物に係る物標であるか静止物に係る物標であるかを判定する「移動物判定処理」を行う。移動物判定処理において、信号処理部201は、移動物に係る物標に対応するペアデータの「移動物フラグ」をONに設定し、静止物に係る物標に対応するペアデータの「移動物フラグ」をOFFに設定する。つまり、「移動物フラグ」とは、検知された物標が移動物に係る物標であるか静止物に係る物標であるかを示すフラグである。ターゲット情報出力部204では、移動物フラグがONに設定されているペアデータは移動物に対応するペアデータであると認識され、移動物フラグがOFFに設定されているペアデータは静止物に対応するペアデータであると認識される。
次いで、ステップS121では、信号処理部201は、フィルタデータを、先行車に対応するフィルタデータと、自車両の前方を自車両と反対方向へ向かって走行する他の車両(以下では「対向車」と呼ぶことがある)に対応するフィルタデータと、静止物に対応するフィルタデータとに分類する。例えば、信号処理部201は、自車速の逆向きの速度よりも大きな相対速度を有するフィルタデータを先行車に対応するフィルタデータに分類し、自車速の逆向きの速度よりも小さな相対速度を有するフィルタデータを対向車に対応するフィルタデータに分類し、自車速の逆向きの速度とほぼ同じ相対速度を有するフィルタデータを静止物に対応するフィルタデータに分類する。
次いで、ステップS123では、信号処理部201は、次回の履歴ピーク抽出処理(ステップS107)に用いる予測値(予測縦距離、予測相対速度、予測横距離等)を導出する。例えば、信号処理部201は、車両CRの制御を行う上で優先順位の高い所定個数のフィルタデータを特定し、特定したフィルタデータに対応するUPピーク及びDOWNピークのそれぞれの予測ピークを導出し、導出した予測ピークを用いてプロセッサ17の次回の処理区間での履歴ピーク抽出処理(ステップS107)を行う。フィルタデータの優先順位については、ACCでは、車両CRが走行している車線(以下では「自車線」と呼ぶことがある)に相当する横位置を有し、かつ、車両CRとの縦距離が比較的小さいフィルタデータの優先順位が高く、自車線に隣接する車線に相当する横位置を有し、かつ、車両CRとの縦距離が比較的大きいフィルタデータの優先順位が低い。
例えば、信号処理部201は、UPピークとDOWNピークとをペアリングする処理と逆の処理を実行して、フィルタデータをUPピークとDOWNピークとに分離する。そして、信号処理部201は、UPピークの周波数情報及び角度情報を用いて予測UPピークを導出し、DOWNピークの周波数情報及び角度情報を用いて予測DOWNピークを導出する。
次いで、ステップS125では、信号処理部201は、これまでの処理で導出されたフィルタデータから、ターゲット情報として車両制御装置2への出力が不要なフィルタデータを除去する。例えば、信号処理部201は、車両CRの車高よりも所定距離だけ高い位置に存在する静止物(例えば、車道の上方に設けられている片持式や門型式の道路標識等)に対応するフィルタデータを、これまでの処理で導出されたフィルタデータから除去する。また例えば、信号処理部201は、車両CRの底よりも低い位置に存在する静止物(例えば、道路の中央分離帯やカーブに設置されている道路鋲等)に対応するフィルタデータを、これまでの処理で導出されたフィルタデータから除去する。また例えば、信号処理部201は、レーダ装置1から所定距離以上の位置に実際に存在する物標に対応するピークと、レーダ装置1の電源装置のDC-DCコンバータでのスイッチングノイズとの間の干渉(相互変調)によって生じるゴーストピークに対応するフィルタデータを、これまでの処理で導出されたフィルタデータから除去する。よって、車両CRの車高よりも所定距離だけ高い位置に存在する静止物、車両CRの底よりも低い位置に存在する静止物、及び、ゴーストピークに対応するフィルタデータは、ターゲット情報として車両制御装置2へ出力されない。
次いで、ステップS127では、信号処理部201は、今回の処理で導出した物標の信頼度を算出し、算出した信頼度と、前回の処理までに導出した物標の信頼度とを重み付けして加算する。なお、このような加算の処理は物標毎に行われる。以下では、物標毎に重み付けして加算された信頼度を「加算信頼度」と呼ぶことがある。ここで、物標の信頼度は、その物標のターゲット情報が車両制御装置2へ出力されるターゲット情報として適当か否かを示す指標であり、信頼度が大きい物標のターゲット情報ほど、車両制御装置2へ出力されるターゲット情報としてより適当であるとされる。換言すれば、信頼度が比較的高い物標は、自車両が進行方向に進んだ場合に衝突する物体に係る物標である。また、信頼度が比較的低い物標は、自車両が進行方向に進んだときに衝突しない物体に係る物標である。
例えば、物標の信頼度は、受信信号レベルに基づいて算出され、受信信号レベルが大きいほど、より大きい値の信頼度が算出される。例えば、停止車両や先行車に係る物標に関するターゲット情報は、上方物や下方物に係る物標に関するターゲット情報に比べて、車両制御装置2へ出力されるターゲット情報としてより適当である。そのため、停止車両や先行車に係る物標の信頼度については、上方物や下方物に係る物標の信頼度よりも大きい値が算出される。なお、物標の信頼度は「コンフィデンスレベル」と呼ばれることもある。
次いで、ステップS129では、信号処理部201は、ペアデータ間(つまり、物標間)で信頼度の引継を行う。ステップS129での信頼度引継処理については後述する。
次いで、ステップS131では、信号処理部201は、1つの物体に対応する複数のフィルタデータを1つにまとめる「結合処理」を行う。例えば、同一の物体における複数の反射点でそれぞれ反射されて到来する複数の受信信号をレーダ装置1が受信する場合、信号処理部201は、それぞれの受信信号に基づいて、互いに位置情報が異なる複数のフィルタデータを導出する。しかし、これらの複数のフィルタデータは元々1つの物体に対応するフィルタデータであるので、信号処理部201がこれらの複数のフィルタデータを1つにまとめることにより、同一の物体に対応する複数のフィルタデータは1つのグループデータとして取り扱われる。そこで、信号処理部201は、例えば、複数のフィルタデータの間で、各フィルタデータの相対速度がほぼ同一で、各フィルタデータの縦距離及び横距離が所定範囲内にあれば、それら複数のフィルタデータを同一の物体に関するものとみなし、それら複数のフィルタデータを1つの物体に対応する1つのグループデータにまとめる。「結合処理」は、「グルーピング処理」または「グループ化」と呼ばれることもある。
そして、ステップS133では、ターゲット情報出力部204は、結合処理(ステップS131)が為された後のグループデータの中から、優先順位の高い所定個数のグループデータを選択し、選択したグループデータをターゲット情報として車両制御装置2へ出力する。また、ターゲット情報出力部204は、結合処理(ステップS131)が為された後のグループデータの中から、加算信頼度が閾値以上のグループデータを選択し、選択したグループデータをターゲット情報として車両制御装置2へ出力する。つまり、ターゲット情報出力部204は、加算信頼度が閾値以上の物標に対応するグループデータだけをターゲット情報としてレーダ装置1の外部へ出力する。なお、結合処理後の加算信頼度として、例えば、結合対象となった複数のフィルタデータにそれぞれ対応する複数の物標の複数の加算信頼度の中の最大値を用いると良い。
<ペアリング処理>
図9は、実施例1のペアリング処理の一例の説明に供するフローチャートである。図9に示す一連のペアリング処理は、図6に示すステップS113の処理に相当する。
図9において、まず、ステップS301では、信号処理部201は、履歴ピーク抽出処理(ステップS107)で抽出した履歴UPピークと履歴DOWNピークとをペアリングしたペアデータである「履歴ペア」を導出する。
ここで、ステップS301の履歴ペアリング処理をより詳細に説明する。図10は、実施例1の履歴ペアリング処理の一例の説明に供するフローチャートである。
図10において、ステップS311では、信号処理部201は、所定の周波数範囲に含まれる履歴ピークの中から、予測UPピーク及び予測DOWNピークにそれぞれ対応する履歴UPピーク及び履歴DOWNピークを抽出する「正常履歴ピーク判定処理」を行う。
図11は、実施例1の正常履歴ピーク判定処理の一例の説明に供するフローチャートである。
図11において、ステップS329では、信号処理部201は、ステップS107で抽出した履歴ピークの中から、履歴ピークから導出される角度と、予測ピークから導出される角度(以下では「予測角度」と呼ぶことがある)との差が4度以下の履歴ピークを抽出する。例えば、信号処理部201は、ステップS107で抽出した履歴UPピークを用いて上述した方位演算と同様の処理を行うことにより角度を導出する。そして、信号処理部201は、この導出した角度と、予測UPピークから導出した予測角度とを比較し、両者の間の角度差が±4度以内である履歴UPピーク(以下では「正常履歴UPピーク」と呼ぶことがある)を抽出する。また、信号処理部201は、履歴DOWNピークについても履歴UPピークと同様に、履歴DOWNピークから導出した角度と、予測DOWNピークから導出した予測角度とを比較し、両者の間の角度差が4度以内である履歴DOWNピーク(以下では「正常履歴DOWNピーク」と呼ぶことがある)を抽出する。以下では、「正常履歴UPピーク」と「正常履歴DOWNピーク」とを「正常履歴ピーク」と総称することがある。以下、ステップS329の処理について、より詳細に説明する。
図12及び図13は、実施例1の信号処理部の動作例の説明に供する図である。信号処理部201は、ステップS107の処理で抽出した履歴UPピークfupに基づく方位演算により角度θupを導出する。図12は、履歴UPピークfupから導出された角度スペクトルを示す。図12において、信号処理部201は、予測UPピークから導出された予測角度θeupから±4度以内に、パワーが閾値TH以上の角度θupが含まれているか否かを判定する。そして、パワーが閾値TH以上の角度θupが予測角度θeupから±4度以内にある場合は、信号処理部201は、履歴UPピークfupを正常履歴UPピークに決定する。
同様に、信号処理部201は、ステップS107の処理で抽出した履歴DOWNピークfdnに基づく方位演算により角度θdnを導出する。図13は、履歴DOWNピークfdnから導出された角度スペクトルを示す。図13において、信号処理部201は、予測DOWNピークから導出された予測角度θednから±4度以内に、パワーが閾値TH以上の角度θdnが含まれているか否かを判定する。そして、パワーが閾値TH以上の角度θdnが予測角度θednから±4度以内にある場合は、信号処理部201は、履歴DOWNピークfdnを正常履歴DOWNピークに決定する。
なお、予測角度θeupに対して±4度以内にパワーが閾値TH以上の複数の角度θupが存在する場合は、信号処理部201は、予測角度θeupに最も近い角度θupに対応する履歴UPピークを正常履歴UPピークに決定する。同様に、予測角度θednに対して±4度以内にパワーが閾値TH以上の複数の角度θdnが存在する場合は、信号処理部201は、予測角度θednに最も近い角度θdnに対応する履歴DOWNピークを正常履歴DOWNピークに決定する。
図11に戻り、ステップS331では、信号処理部201は、正常履歴UPピーク及び正常履歴DOWNピークの双方ともが存在するか否かを判定する「正常履歴ピーク判定処理」を行う。例えば、ステップS329の条件を満たす正常履歴UPピーク及び正常履歴DOWNピークが共に存在する場合に、信号処理部201は、正常履歴ピークが存在すると判定する。これに対して、ステップS327及びステップS329の条件を満たす正常履歴UPピーク及び正常履歴DOWNピークの何れか一方または双方が存在しない場合には、信号処理部201は、正常履歴ピークが存在しないと判定する。
図10に戻り、信号処理部201は、ステップS331での判定において正常履歴ピークが存在すると判定した場合は(ステップ313:Yes)、正常履歴UPピークと正常履歴DOWNピークとをペアリングすることにより履歴ペアを導出する(ステップS317)。
一方で、信号処理部201は、ステップS331での判定において正常履歴ピークが存在しないと判定した場合は(ステップ313:No)、処理はステップS315の「片側履歴ピーク抽出処理」へ進む。
ここで、正常履歴ピーク判定処理(ステップS311)では、信号処理部201は、正常履歴UPピークと正常履歴DOWNピークとの双方が存在するか否かを判定している。従って、信号処理部201は、ステップS331で正常履歴UPピークまたは正常履歴DOWNピークの何れか一方が存在しないと判定した場合には、正常履歴ピークが存在しないと判定するものの、正常履歴UPピークまたは正常履歴DOWNピークの何れか一方のみが存在する旨の判定結果を保持している。このため、片側履歴ピーク抽出処理(ステップS315)では、信号処理部201は、正常履歴ピーク判定処理(ステップS311)の結果から、正常履歴UPピーク及び正常履歴DOWNピークのうち、存在する一方の正常履歴ピークを抽出する。そして、信号処理部201は、ステップS315において、正常履歴UPピーク及び正常履歴DOWNピークのうち、何れか一方のピークが存在する場合は、片側履歴ピークが存在すると判定して「片側履歴ペアフラグ」をONに設定し、双方のピークが存在しない場合は、片側履歴ピークが存在しないと判定して「片側履歴ペアフラグ」をOFFに設定する。
そして、信号処理部201は、ステップS315で片側履歴ピークが存在すると判定した場合は、例えば、存在する一方の正常履歴UPピークまたは正常履歴DOWNピークと、他方の予測DOWNピークまたは予測UPピークとをペアリングすることにより履歴ペアを導出する。
図9に戻り、信号処理部201は、履歴ペアリング処理(ステップS301)を実行した後は、ステップS303において、静止物ピーク抽出処理(ステップS109)で抽出した静止物ピークに対するペアリング処理を行う。ステップS303では、信号処理部201は、静止物UPピークと静止物DOWNピークとをペアリングする。信号処理部201は、静止物UPピークと静止物DOWNピークとのペアリングを、履歴UPピークと履歴DOWNピークとのペアリングと同様にして行う。
次いで、ステップS305では、信号処理部201は、残UPピークと残DOWNピークとをペアリングする。信号処理部201は、残UPピークと残DOWNピークとのペアリングを、履歴UPピークと履歴DOWNピークとのペアリングと同様にして行う。残UPピークと残DOWNピークとのペアデータは上記の新規ペアに相当する。
次いで、ステップS307では、信号処理部201は、上記の各ペアリング処理にて導出したペアデータに基づいて、縦距離、相対速度、角度及び横距離等を算出する。信号処理部201は、静止物ペアリング処理(ステップS303)にて導出したペアデータ、または、新規ペアリング処理(ステップS305)にて導出したペアデータに基づいて縦距離、相対速度、角度及び横距離を算出する場合は、式(1)〜式(3)を用いた場合と同様にして算出することができる。
また、信号処理部201は、履歴ペアリング処理(ステップS301)にて導出したペアデータに基づいて縦距離、相対速度、角度及び横距離を算出する場合は、以下のようにして算出する。
すなわち、まず、信号処理部201は、片側履歴ペアフラグがONに設定されている履歴ペアを抽出する。片側履歴ペアフラグがONに設定されている履歴ペアに含まれている2つのピークのうち、一方のピークは正常履歴UPピークまたは正常履歴DOWNピークであるため、他方のピークは、履歴DOWNピークまたは履歴UPピークであるか、または、予測DOWNピークまたは予測UPピークである。
次いで、信号処理部201は、抽出した履歴ペアの優先自車レーン先行車状態フラグがONに設定されているか否かを判定する。
次いで、信号処理部201は、優先自車レーン先行車状態フラグがONに設定されている履歴ペアのピークにFFTデータのピーク(以下では「FFTピーク」と呼ぶことがある)が存在するか否かを判定し、FFTピークが存在する場合は、FFTピークを用いて距離等を算出する。信号処理部201は、例えば、履歴ペアが正常履歴UPピークと履歴DOWNピークとから形成される場合は、正常履歴UPピークのFFTピークと、履歴DOWNピークのFFTピークとを用いて距離や相対速度等を算出する。また、履歴DOWNピークには角度情報がないため、信号処理部201は、正常履歴UPピークの角度を履歴ペアの角度として導出する。FFTピークを用いた距離等の算出は、式(1)〜式(3)を用いて行うことができる。すなわち、信号処理部201は、式(1)及び式(2)においては、正常履歴UPピークのFFTピークの周波数をfupとして用い、履歴DOWNピークのFFTピークの周波数をfdnとして用いる。また、信号処理部201は、式(3)においては、正常履歴UPピークから導出した角度をθupとして用い、θdnを用いない。
一方で、優先自車レーン先行車状態フラグがONに設定されている履歴ペアのピークにFFTピークが存在しない場合は、履歴ペアに含まれる2つのピークのうちの一方が予測ピークであるため、信号処理部201は、予測ピークを用いて距離等を算出する。例えば、履歴ペアが正常履歴UPピークと予測DOWNピークとから形成される場合には、信号処理部201は、正常履歴UPピークのFFTピークと、予測ピークとを用いて距離や相対速度を算出する。また、信号処理部201は、予測DOWNピークからは予測した角度を導出することも可能であるが、正常履歴UPピークの角度を履歴ペアの角度として導出しても良い。予測ピークを用いた距離等の算出は、式(1)〜式(3)を用いて行うことができる。すなわち、信号処理部201は、式(1)及び式(2)においては、正常履歴UPピークのFFTピークの周波数をfupとして用い、予測DOWNピークのFFTピークの周波数をfdnとして用いる。また、信号処理部201は、式(3)においては、正常履歴UPピークから導出した角度をθupとして用い、θdnを用いない。
なお、上記では、片側履歴ピークが存在する場合について説明したが、例えば、正常履歴ピークも片側履歴ピークも存在しない場合には、UP区間及びDOWN区間の双方で予測ピークを用いて距離、相対速度及び角度を算出すれば良い。
<信頼度引継処理>
図14は、実施例1の信頼度引継処理の一例の説明に供するフローチャートであり、図15は、実施例1の信号処理部の動作例の説明に供する図である。図15において、中心軸BLのビームパターンNAの走査範囲内に、所定の領域ARが設定される。領域ARの縦距離方向の長さは「α」と規定され、領域ARの横距離方向の長さは、中心軸BLを中心にして「±β」と規定される。そして、例えば、停止車両であるトラックの後端に設置されたリアバンパーを反射点とする物標P1と、停止車両であるトラックの前部の運転席付近に設置されたサイドミラーを反射点とする物標P2とが領域AR内に存在する。
図14において、ステップS141では、信号処理部201は、「条件群A」が満たされているか否かを判定する。「条件群A」は、以下の条件1〜条件5を含み、信号処理部201は、条件1〜条件5のすべてが満たされる場合に、条件群Aが満たされていると判定する。また、条件1〜条件5のうち条件3及び条件4の双方が満たされる場合とは、互いに異なる複数のペアデータが同一の物体に属している場合に相当し、例えば、物標P1と、物標P2とが、縦割れ物体に係る物標である場合に相当する。つまり、ステップS141において、信号処理部201は、互いに異なる複数の物標が同一の物体に属しているか否かを判定する。また、ここでは、物標P2の導出後に、物標P2よりも遅れて物標P1が導出されているものとする。つまり、レーダ装置1では、物標P2が物標P1よりも時間的に早く検知されているものとする。バッテリ等が設けられているトラックの車体底部からマルチパス波を受信し、このマルチパス波がトラック後端からの直接波と干渉して、後端の物標P1の検知が遅れることで、このような物標の検知の時間差が生じる。
以下、複数の物標(例えば、物標P1及び物標P2)が同一の物体に属する物標であるか否かを判定する一部の条件について説明する。
<条件1>
物標P1が、レーダ装置1に最も近接している物標である。
<条件2>
X1<物標P1の縦距離<X2
例えば、X1=80m、X2=105mである。
<条件3>
物標P1の縦距離<物標P2の縦距離≦物標P1の縦距離+α
<条件4>
物標P1の横距離の絶対値、及び、物標P2の横距離の絶対値<β
<条件5>
領域AR内に存在する物標の数が閾値以下である。例えば、閾値が「2」である場合 に条件5を満たすのは、領域AR内に物標P1及び物標P2だけが存在し、領域AR内 に物標P1及び物標P2以外の物標が存在しない場合である。
ステップS141において、条件群Aが満たされる場合は(ステップS141:Yes)、処理はステップS143へ進む。一方で、条件群Aが満たされない場合、つまり、条件1〜条件5の何れかが満たされない場合は(ステップS141:No)、信頼度引継処理を終了する。
ステップS143では、信号処理部201は、条件群Aを満たした物標P1について、以下の4つのパラメータ(パラメータ1〜パラメータ4)を算出する。以下、複数の物標(例えば、物標P1及び物標P2)が同一の物体に属する物標であるか否かを判定する他の条件について説明する。
<パラメータ1>
物標距離差w=(物標P2の縦距離)−(物標P1の縦距離)
<パラメータ2>
物標角度差x=(物標P2の角度)−(物標P1の角度)
<パラメータ3>
物標相対速度差y=(物標P2の相対速度)−(物標P1の相対速度)
<パラメータ4>
物標角度パワー差z=(角度スペクトルにおける物標P2のパワー)
−(角度スペクトルにおける物標P1のパワー)
ここで、信頼度の引継ぎ対象となる物標同士の各パラメータは、特定の値を中心にして、パラメータ同士が相関を持ちながら分布する。一方で、信頼度の引き継ぎ対象でない物標同士の各パラメータは、如何なる値もとり得るため、その分布はピークを持たない。
そこで、ステップS145では、信号処理部201は、ステップS143で算出したパラメータ1〜パラメータ4(物標距離差w、物標角度差x、物標相対速度差y、物標角度パワー差z)に対して図16に示す縦割れモデル及び静止物モデルを適用して、以下のようにしてスコアを算出する。図16は、実施例1の信号処理部の動作例の説明に供する図である。図16において、縦割れモデルは多変量正規分布として規定され、静止物モデルは一様分布として規定される。縦割れモデル及び静止物モデルは、統計モデルの一例である。
また、物標距離差wをパラメータとした場合の尤度は図17に示すようにして算出される。図17は、実施例1の信号処理部の動作例の説明に供する図である。図17に示すような正規分布を用いて、例えば、物標距離差wが1.2mの場合は尤度は0.7と算出され、物標距離差wが1.4mの場合は尤度は0.2と算出される。物標角度差x、物標相対速度差y、及び、物標角度パワー差zについても、物標距離差wと同様にして、正規分布を用いて尤度を算出することができる。
そこで、まず、ステップS145では、信号処理部201は、式(5)〜式(7)に従って、「縦割れ尤度f(x)」を算出する。式(5)において「m」はパラメータ数を表し、式(5)及び式(6)において「S」は共分散行列を表し、式(5)及び式(7)において「D」はマハラノビス距離を表す。ここでは、m=4である。また、式(6)及び式(7)において、w,x,y,zの各パラメータ値は、今回の処理で算出したものであり、w,x,y,z以外の平均値、分散及び共分散は、レーダ装置1を車両CRに搭載する前に取得した正常ペアから予め算出したものでありメモリ18に記憶されている。
Figure 2017227623
Figure 2017227623
そして、信号処理部201は、式(8)に従ってスコアを算出し、前回の処理までに算出したスコアに累積加算する。以下では、累積加算されたスコアを「累積スコア」と呼ぶことがある。式(8)における静止物尤度は、図16に示す静止物モデルの尤度に相当し、パラメータ値の大きさに関わらず一定の値をとる。また、累積スコアは、物標P1と物標P2との双方が縦割れ物体に対応するペアデータであることの確度を示し、累積スコアが大きいほど、物標P1と物標P2との双方が縦割れ物体に属する可能性がより高い。
スコア=log(縦割れ尤度f(x)/静止物尤度) …(8)
次いで、ステップS147では、信号処理部201は、「条件群B」が満たされているか否かを判定する。「条件群B」は、以下の条件6〜条件10を含み、信号処理部201は、条件6〜条件10のすべてが満たされる場合に、条件群Bが満たされていると判定する。以下、複数の物標(例えば、物標P1及び物標P2)が同一の物体に属する物標であるか否かを判定する他の条件について説明する。
<条件6>
前回の結合処理(ステップS131)において物標P1と物標P2とが結合された。
<条件7>
前回の結合処理(ステップS131)において物標P1と結合されたペアデータは 物標P2だけであり、物標P2と結合されたペアデータは物標P1だけであった。
<条件8>
累積スコア≧所定閾値
<条件9>
物標P1の存在時間≦物標P2の存在時間
<条件10>
物標P1の加算信頼度<物標P2の加算信頼度
ステップS147において、条件群Bが満たされる場合は(ステップS147:Yes)、処理はステップS149へ進む。一方で、条件群Bが満たされない場合、つまり、条件6〜条件10の何れかが満たされない場合は(ステップS147:No)、信頼度引継処理を終了する。
ステップS149では、信号処理部201は、物標P2の加算信頼度を物標P1に引き継ぐ。物標P1は物標P2よりも遅れて導出されたペアデータであるため、物標P2の加算信頼度を物標P1に引き継ぐ前は、物標P1の加算信頼度は、物標P2の加算信頼度に比べて小さい。よって、物標P2の加算信頼度を物標P1に引き継ぐことで、物標P1の加算信頼度は増加し、物標P1の加算信頼度が閾値に達すまでの時間が短縮される。
例えば、物標P1の加算信頼度が「10」で、物標P2の加算信頼度が「82」のとき、物標P2の加算信頼度を物標P1に引き継ぐことで、物標P1の加算信頼度は「10」から「82」に変更される。例えば加算信頼度の閾値を「91」とした場合、物標P2の加算信頼度を反映させる前の物標P1の加算信頼度「10」よりも、物標P2の加算信頼度を反映させた後の物標P1の加算信頼度「82」の方が、閾値「91」を早く超える可能性が高い。リアバンパーに係る物標P1の信頼度が閾値を比較的早く超えることで、レーダ装置1は、車両制御装置2の基準点として用いられる物標P1の種別の判定を早期に行える。
以上のように、実施例1では、レーダ装置1は、信号処理部201と、ターゲット情報出力部204とを有する。レーダ装置1は、所定の周期で送信周波数が変化する送信信号を送信し、その送信信号が物体において反射することによって到来する受信信号を受信する。また、レーダ装置1は、ビート信号の周波数スペクトルのピークをUP区間とDOWN区間とで取得し、UPピークとDOWNピークとのペアデータに基づいてターゲット情報を導出する。ターゲット情報出力部204は、加算信頼度が閾値以上のペアデータだけをターゲット情報としてレーダ装置1の外部へ出力する。信号処理部201は、物標P1と物標P2とが同一の物体に属しているか否かを判定する。物標P1は、物標P2よりも後に導出されたペアデータである。そして、信号処理部201は、物標P1と物標P2とが同一の物体に属していると判定した場合に、物標P2の信頼度を物標P1に引き継ぐ。
すなわち、レーダ装置1は、過去の処理から現在の処理まで物標P2の種別に関する情報として取得された情報を物標P1の種別に関する情報として扱う。そして、レーダ装置1は、物標P1が物標P2から引き継いだ種別に関する情報を含むターゲット情報を車両制御装置2に出力する。これにより、車両制御装置2は、レーダ装置1から取得したターゲット情報に基づき、車両のブレーキ制御等の適切な制御を実行できる。
このように、物標P2の加算信頼度を物標P1に引き継ぐことで、物標P1の加算信頼度は増加し、物標P1の加算信頼度が閾値に達すまでの時間が短縮されるため、レーダ装置1に接続された車両制御装置2の所望の基準点の検知の遅延を防止することができる。
また、実施例1では、信号処理部201は、パラメータ1〜パラメータ4に関する統計モデルを用いて、物標P2の信頼度を物標P1に引き継ぐか否かを判定する。
こうすることで、信頼度の引き継ぎ先として適当でないペアデータに信頼度が引き継がれてしまうことを防止できる。
[実施例2]
次に、実施例2に係るレーダ装置1について説明する。なお、以下では、主に実施例1と異なる部分について説明し、内容の重複する部分については説明を省略する。
実施例2では、上記した実施例1の信頼度引継処理においてスコアの算出に用いた統計モデルを変更するようにした。具体的には、実施例2の信頼度引継処理において、信号処理部201は、以下の4つのパラメータを算出または取得する(図14のステップS143参照)。
<パラメータA>
物標縦距離差w1=(物標P2の縦距離)−(物標P1の縦距離)
<パラメータB>
物標横距離差w2=(物標P2の横距離)−(物標P1の横距離)
<パラメータC>
物標角度パワー差z=(角度スペクトルにおける物標P2のパワー)
−(角度スペクトルにおける物標P1のパワー)
<パラメータD>
外挿処理の要因1〜5
次いで、信号処理部201は、パラメータA〜パラメータDに基づいて後述する統計モデルを適用してスコアを算出する(図14のステップS145参照)。
先ず、パラメータA,B(物標縦距離差w1及び物標横距離差w2(以下「縦・横距離差w1,w2」と記載する場合がある))について説明する。縦・横距離差w1,w2は、物標P1及び物標P2(図15参照)が信頼度の引継ぎ対象となる物標(例えば停止車両)における縦割れで検知されるような場合に、相関関係がある。
そこで、実施例2では、縦・横距離差w1,w2の両方をパラメータとする2次元正規分布モデル(統計モデル)を予め規定しておき、信号処理部201は、かかる統計モデルを用いてスコアを算出するようにした。
図18A,18Bは、実施例2の信号処理部201の動作例の説明に供する図である。具体的には、図18Aは、物標P1,P2が例えば自車線内の停止車両についての縦割れで検知された場合の縦・横距離差w1,w2に対する尤度の統計モデルであり、図18Bは、物標P1,P2が例えば上方物について縦割れで検知された場合の縦・横距離差w1,w2に対する尤度の統計モデルである。
なお、以下では、図18A等の停止車両についての縦割れに関する統計モデルを「車両縦割れモデル」、図18B等の上方物についての縦割れに関する統計モデルを「上方物縦割れモデル」と記載する場合がある。また、車両縦割れモデルの尤度を「車両縦割れ尤度」、上方物縦割れモデルの尤度を「上方物縦割れ尤度」と記載する場合がある。
なお、車両縦割れモデルは実施例1の「縦割れモデル」に、上方物縦割れモデルは実施例1の「静止物モデル」に概ね相当する。また、図18A,18Bの車両縦割れモデル及び上方物縦割れモデルは、第1統計モデルの一例である。
信号処理部201は、ステップS143で算出された物標縦距離差w1及び物標横距離差w2に対し、車両縦割れモデル及び上方物縦割れモデルを適用して車両縦割れ尤度及び上方物縦割れ尤度を算出する。そして、信号処理部201は、算出された各尤度を上記した式(8)に適宜当てはめてスコアを算出する。なお、車両縦割れ尤度は式(8)の「縦割れ尤度」に、上方物縦割れ尤度は式(8)の「静止物尤度」に概ね相当する。
ここで、図18A,18Bに示す車両縦割れモデル及び上方物縦割れモデルについて説明すると、車両縦割れ尤度は、物標縦距離差w1が所定距離差範囲A1内で、かつ、物標横距離差w2が所定距離差範囲A2内の場合に、上方物縦割れ尤度よりも大きくなっている。
他方、車両縦割れ尤度は、物標縦距離差w1及び物標横距離差w2のうち少なくともいずれか一方が対応する所定距離差範囲A1,A2外である場合、上方物縦割れ尤度以下となっている。
従って、スコアを算出する式(8)等からも分かるように、車両縦割れモデル及び上方物縦割れモデルは、物標縦距離差w1及び物標横距離差w2がそれぞれ対応する所定距離差範囲A1,A2内である場合のスコアが、物標縦距離差w1及び物標横距離差w2のうち少なくともいずれか一方が所定距離差範囲A1,A2外である場合のスコアに比べて高くなるように設定される。なお、所定距離差範囲A1,A2は、物標P1と物標P2とが自車線内の停止車両についての縦割れで検知された物標である可能性が高いことを示す範囲といえる。
このように、実施例2にあっては、相関関係を有する物標縦距離差w1及び物標横距離差w2の両方をパラメータとする統計モデル(車両縦割れモデル及び上方物縦割れモデル)を用いることで、スコアを精度よく算出することができる。
次いで、パラメータC(物標角度パワー差z)について説明する。図19は、実施例2の信号処理部201の動作例の説明に供する図である。具体的には、図19は、物標角度パワー差zをパラメータとする車両縦割れモデル及び上方物縦割れモデルである。
なお、物標角度パワー差zは、物標P1及び物標P2間の反射波の受信パワー差の一例である。また、図19の車両縦割れモデル及び上方物縦割れモデルは、第2統計モデルの一例である。
図19に示すように、物標角度パワー差zに対する車両縦割れモデル及び上方物縦割れモデルはともに、正規分布モデルとして予め規定される。信号処理部201は、ステップS143で算出された物標角度パワー差zに対し、図19に示す車両縦割れモデル及び上方物縦割れモデルを適用して車両縦割れ尤度及び上方物縦割れ尤度を算出する。そして、信号処理部201は、算出された各尤度に基づいてスコアを算出する。
このように、実施例2では、実施例1において一様分布として規定されていた上方物縦割れモデル(静止物モデル)が、正規分布として規定されるようにしたことから、スコアをより精度よく算出することができる。
次いで、パラメータD(外挿処理の要因1〜5)について説明する。ここで、パラメータDの説明に入る前に外挿処理について説明する。
信号処理部201は、上記したように、連続性判定処理(図6のステップS115参照)において、前回処理により導出された物標データ(前回ペア)に基づいて今回処理の物標データの位置を予測ペアとして予測する。そして、信号処理部201は、予測ペアと、今回処理により導出された物標データ(今回ペア)との間における縦距離差や横距離差等が所定値以内の場合、今回ペアと前回ペアとの間に時間的な連続性があると判定する。
しかしながら、信号処理部201の今回処理において、例えばピーク抽出処理(図6のステップS105参照)でFFTデータのパワーのピークが抽出されず、前回処理で導出された物標データと連続性を有する物標データが導出されない場合がある。
かかる場合、信号処理部201は、前回処理で導出された物標データのパラメータ(縦距離や横距離等)に基づき、今回処理で導出されていない物標データを仮想的に導出する「外挿処理」を行う。なお、外挿処理により導出された外挿データは、今回処理で導出された物標データとして取り扱われるようにしてもよい。
このように、外挿処理は、物標を検知する検知処理が繰り返し行われる際、今回の検知処理で検知されなくなった物標の仮想位置を当該物標の過去の位置に基づいて予測する処理である。
ところで、例えば1つの物体(例えば停止車両や上方物)について物標P1,P2(図15参照)が検知されて縦割れが生じている場合、自車両のレーダ装置1から見たときに奥側にある物標P2は、検知処理が繰り返される中で、マルチパス等の影響により、対応するFFTデータのパワーのピークが抽出されず、外挿処理となり易い。
従来、外挿処理となった物標(ここでは物標P2)があると、スコアは更新されずに前回処理の値が保持される。これに対し、実施例2では、外挿処理が実行される要因に応じてスコアを算出するようにした。これにより、実施例2にあっては、例えば物標P2に対して外挿処理がなされた場合であっても、スコアを適切な値に更新することができる。
図20は、実施例2の信号処理部201の動作例の説明に供する図である。具体的には、図20は、外挿処理の要因1〜5をパラメータとする統計モデル(テーブル)である。
図20の統計モデルは、例えば物標P2に対して外挿処理がなされたときの物標データを集計し、外挿処理の要因1〜5に応じて車両縦割れ尤度及び上方物縦割れ尤度を算出し、各尤度に基づいてスコアを算出した統計モデルである。なお、図20の統計モデルは、第3統計モデルの一例である。
なお、図20の統計モデルにおいて、各尤度及びスコアには具体的な数値が設定されるが、ここでは、尤度が0.24以上で比較的高いものを「高」、0.1以上0.24未満を「中」、0.01以上0.1未満を「低」、0.01未満で極端に低いものを「極低」と分類して相対的に表記した。また、スコアについては、累積スコアに対して加算するものを「正値」、減算するものを「負値」、加減算しないものを「0」と表記した。
また、図21A〜図21Dは、外挿処理の要因1〜4を説明する模式図である。なお、図21A〜図21Dは、UP区間及びDOWN区間のFFTデータを示し、各グラフは例えば図7や図8のグラフに相当する。また、図21A〜図21Dにおいては、左側の2図が前回処理時のFFTデータを、右側の2図が今回処理時で、物標P2が外挿処理となったときのFFTデータを示している。
<要因1>
先ず、外挿処理の要因1について図21Aを参照しつつ説明する。なお、図21A等では、前回処理の物標P1についての履歴UPピークを「fu1a」、履歴DOWNピークを「fd1a」とし、物標P2についての履歴UPピークを「fu2a」、履歴DOWNピークを「fd2a」とした。また、今回処理の物標P1についての履歴UPピークを「fu1b」、履歴DOWNピークを「fd1b」とした。
図21Aに示すように、前回処理の物標P1,P2については、UP区間、DOWN区間ともに履歴UPピーク及び履歴DOWNピークが存在するため、例えばペアリング処理(図6のステップS113参照)によるペアリング等が正常になされ、物標P1,P2はともに正常検知される。
そして、今回処理において、物標P1についての履歴UPピークfu1b及び履歴DOWNピークfd1bは存在する。一方、物標P2については、マルチパス等の影響によって受信信号のパワーが低下し、UP区間、DOWN区間ともに履歴UPピーク及び履歴DOWNピークが存在しない状態であり、よって物標P2について外挿処理がなされるものとする。
また、要因1にあっては、物標P1の履歴UPピークfu1b、履歴DOWNピークfd1bが、UP区間、DOWN区間の両方の区間において、物標P2の予測UPピークの周波数feup、予測DOWNピークの周波数fednを含む予測範囲E内にあるものとする。
なお、予測UPピークの周波数feupや予測DOWNピークの周波数fednは、上記したように、前回処理に基づいて導出されるピークの予測値であり、また、例えば外挿処理で予測された物標P2の仮想位置に対応する周波数である。また、予測範囲Eは、例えば予測UPピークの周波数feup(または予測DOWNピークの周波数fedn)から−3binまでの範囲に設定されるが、これに限定されるものではない。
今回処理のUP区間及びDOWN区間のピークが図21Aの右図のような状態になるのは、例えば、1つのピークが物標P1,P2両方の履歴ピークの候補となった場合、手前側の物標P1に関する処理が優先されるため、当該1つのピークが物標P1の履歴ピークとしてみなされたときなどであるが、これに限られない。
要因1は、今回処理におけるUP区間及びDOWN区間のピークが上記した状態にあって外挿処理に至った場合であり、かかる場合、図20の統計モデルに示すように、車両縦割れ尤度が「高」、上方物縦割れ尤度が「低」、スコアが「正値」とされる。
従って、信号処理部201は、物標P2について要因1によって外挿処理がなされた場合、図20の統計モデルを適用してスコア(正値)を算出する、言い換えると、物標P1,P2が停止車両についての縦割れで検知された可能性が高いことを示すスコア(正値)を算出する。逆に言えば、信号処理部201にあっては、物標P1,P2が上方物についての縦割れで検知された可能性が低いことを示すスコアを算出する。
<要因2>
次に、外挿処理の要因2について図21Bを参照しつつ説明する。図21Bに示すように、前回処理では、物標P1,P2はともに正常検知されるものとする。そして、今回処理において、履歴UPピークfu1b及び履歴DOWNピークfd1bは存在する一方、物標P2についてのピークがなくなって物標P2の履歴UPピーク及び履歴DOWNピークが存在しない状態である。
また、要因2にあっては、物標P1の履歴UPピークfu1b、履歴DOWNピークfd1bが、UP区間、DOWN区間の両方の区間において、物標P2の予測範囲E外にあるものとする。
今回処理のUP区間及びDOWN区間のピークが図21Bの右図のような状態になるのは、マルチパス等の影響であり、また、縦割れしている物体が停止車両の場合より上方物の場合に、かかる状態となり易い。そのため、要因2の場合の統計モデルは、図20に示すように、車両縦割れ尤度が「中」、上方物縦割れ尤度が「高」、スコアが「負値」とされる。
従って、信号処理部201は、物標P2について要因2によって外挿処理がなされた場合、図20の統計モデルを適用してスコア(負値)を算出する。すなわち、信号処理部201は、物標P1,P2が停止車両についての縦割れで検知された可能性が低いこと、逆に言えば、上方物についての縦割れで検知された可能性が高いことを示すスコア(負値)を算出する。
<要因3>
次に、外挿処理の要因3について図21Cを参照しつつ説明する。図21Cに示すように、前回処理では、物標P1,P2はともに正常検知されるものとする。そして、今回処理において、履歴UPピークfu1b及び履歴DOWNピークfd1bは存在する一方、物標P2の履歴UPピーク及び履歴DOWNピークが存在しない状態である。
また、要因3にあっては、物標P1の履歴UPピークfu1b、履歴DOWNピークfd1bが、UP区間、DOWN区間の一方の区間(図21Cの例ではUP区間)において物標P2の予測範囲E内で、他方の区間(図21Cの例ではDOWN区間)において予測範囲E外にあるものとする。なお、要因3にあっては、履歴UPピークfu1bが予測範囲E外、履歴DOWNピークfd1bが予測範囲E内であってもよい。
今回処理のUP区間及びDOWN区間のピークが図21Cの右図のような状態になるのは、マルチパス等の影響であるが、縦割れしている物体が上方物の場合にはかかる状態となり難い。そのため、要因3の場合の統計モデルは、図20に示すように、車両縦割れ尤度が「中」、上方物縦割れ尤度が「極低」、スコアが「正値」とされる。
ここで、縦割れしている物体が上方物の場合には要因3の外挿処理となり難く、よって上方物縦割れ尤度が極低、すなわち、極めて低い値となる理由について説明する。図22は、縦割れしている物体が上方物の場合の反射波の状態を模式的に示す図である。
図22に示すように、ここでは上方物が陸橋100である場合を例にとって説明する。陸橋100の下面側は、例えば、複数の凸部101が車両CRの進行方向に沿って連続して形成された凹凸形状とされる。
このような形状の陸橋100に対して、レーダ装置1から送信波が送信されると、送信波は、例えば複数の凸部101の基端側の角部(溝の部分)付近で反射し易い。そのため、レーダ装置1は、1つの物体である陸橋100から例えば2つの反射波RXp1,RXp2を受信する場合があり、かかる場合、2つの物標P1,P2を検知することとなって縦割れが生じる。
ここで、物標P1が安定して検知され続ける一方、例えば奥側の物標P2については、二点鎖線で示すように、反射波RXp2が地面に反射するマルチパスの影響を受けるなどしてピークが抽出されず、外挿処理になる場合がある。
物標P2について外挿処理がなされた場合に、検知されている物標P1の履歴UPピークfu1b及び履歴DOWNピークfd1b(図21A〜図21Cの右図参照)が、物標P2の予測範囲E内に存在するか否かは、陸橋100の構造によって決まり易い。
具体的には、陸橋100の凸部101同士の離間距離Gが、予測範囲Eたる3binに相当する距離以下であれば、図21Aの右図に示すように、履歴UPピークfu1b及び履歴DOWNピークfd1bはともに、予測範囲E内に存在することとなる。
他方、凸部101同士の離間距離Gが3binに相当する距離より長ければ、図21Bの右図に示すように、履歴UPピークfu1b及び履歴DOWNピークfd1bはともに、予測範囲E外に存在することとなる。なお、陸橋100は、比較的大きな構造物であるため、陸橋100の多くにおいては図21Bの右図のような状態となる。
すなわち、上方物が下面側に凹凸のある陸橋100である場合、図21Cの右図のように、履歴UPピークfu1b及び履歴DOWNピークfd1bのうち、一方が予測範囲E内に、他方が予測範囲E外に存在する状態とはなりにくい。
従って、縦割れしている物体が上方物(ここでは陸橋100)の場合には、連続して形成された凹凸形状であることから、反射波を受信するタイミングがUP区間とDOWN区間とで異なっても、履歴UPピークfu1bと履歴DOWNピークfd1bとは略同様の状態となり、要因3に示す状態に関する外挿処理となり難く、よって要因3の上方物縦割れ尤度は極めて低い値となる。
これに対して、縦割れしている物体が停止車両の場合には、車両の形状が平面の箇所や曲面の箇所を有していることから、反射波を受信するタイミングがUP区間とDOWN区間とで異なると、図21Cの右図のような履歴UPピークfu1b及び履歴DOWNピークfd1bのうち、一方が予測範囲E内に、他方が予測範囲E外に存在する状態となることがある。すなわち、履歴UPピークfu1bと履歴DOWNピークfd1bとは異なる状態となることがある。従って、要因3の車両縦割れ尤度は「中」とされる(図20参照)。
スコアは、車両縦割れ尤度と上方物縦割れ尤度との比であることから、要因3のスコアは比較的大きな値となる。具体的には、要因3のスコアは、要因1のスコアよりも大きい値に設定される。なお、要因3のスコアについては、上記に限定されるものではなく、例えば要因1のスコア以下の値であってもよい。
以上から、実施例2の信号処理部201にあっては、物標P2について要因3によって外挿処理がなされた場合、物標P1,P2が停止車両についての縦割れで検知された可能性が高いことを示すスコア(正値)を算出する。逆に言えば、信号処理部201にあっては、物標P1,P2が上方物についての縦割れで検知された可能性が低いことを示すスコア(正値)を算出する。
<要因4>
次に、外挿処理の要因4について図21Dを参照しつつ説明する。図21Dに示すように、前回処理では、物標P1,P2はともに正常検知されるものとする。そして、今回処理においては、物標P1の履歴UPピークfu1b、履歴DOWNピークfd1b、及び、物標P2の履歴DOWNピークfd2bは存在する一方、物標P2の履歴UPピークが存在しない状態である。
なお、図21Dでは、物標P1の履歴UPピークfu1bが物標P2の予測範囲E内である場合を示したが、これに限られず、例えば二点鎖線で示すように予測範囲E外であってもよい。
今回処理が図21Dの右図に示す状態の場合、物標P2については、UP区間に履歴UPピークが存在しないため、UP区間において外挿処理がなされる。なお、図21Dに示す例では、物標P2の履歴DOWNピークfd2bが存在するが、これに限定されるものではなく、例えば履歴DOWNピークfd2bが存在せず、物標P2の履歴UPピークが存在してもよい。
すなわち、要因4は、UP区間及びDOWN区間の2つの区間のうち、一方の区間(図21Dの例ではDOWN区間)において物標P1,P2のピークが検知され、他方の区間(図21Dの例ではUP区間)において物標P1のピークが検知され物標P2のピークが検知されなくなる状態により、外挿処理がなされることである。なお、以下では、今回処理の物標P2について、UP区間及びDOWN区間のうち片方の区間で外挿処理がなされる処理を「片側外挿処理」と記載する場合がある。
そして、要因4の片側外挿処理である場合の統計モデルは、図20に示すように、車両縦割れ尤度が「高」、上方物縦割れ尤度が「高」、スコアが「ゼロ」とされる。すなわち、片側外挿処理は、縦割れした物体が上方物の場合も、停止車両の場合も同程度に起こり得るため、スコアはゼロとされる。
従って、信号処理部201にあっては、物標P2について要因4の片側外挿がなされた場合、物標P1,P2が上方物についての縦割れで検知されたのか、停止車両についての縦割れで検知されたのかを判定しないことを示すスコア(ゼロ)を算出する。
<要因5>
次に、外挿処理の要因5について説明する。要因5は、上記した要因1〜4以外のその他の理由で外挿処理がなされることである。要因5としては、例えば、方位演算処理(図6のステップS111参照)のときに物標の方位が導出されないこと、ペアリング処理(ステップS113参照)のときに演算されるマハラノビス距離D(x)が比較的遠いなどの理由でペアリングされないこと、連続性判定処理(ステップS115参照)において前回ペアと時間的な連続性がある今回ペアが存在しないことなどであるが、これらに限定されるものではない。
そして、要因5の場合の統計モデルは、車両縦割れ尤度が「低」、上方物縦割れ尤度が「中」、スコアが「負値」とされる。なお、要因5のスコアは絶対値において、要因2のスコアよりも大きい値に設定されるが、これに限定されるものではなく、例えば要因2のスコア以下の値であってもよい。
従って、実施例2の信号処理部201にあっては、物標P2について要因5によって外挿処理がなされた場合、物標P1,P2が停止車両についての縦割れで検知された可能性が低いことを示すスコア(負値)を算出する。逆に言えば、信号処理部201にあっては、物標P1,P2が上方物についての縦割れで検知された可能性が高いことを示すスコア(負値)を算出する。
実施例2の信号処理部201は、上記したパラメータA〜パラメータDに基づいてスコアが算出されると、実施例1と同様、累積スコアを算出し、「条件群B」が満たされているか否かを判定する(図14のステップS147参照)。そして、信号処理部201は、条件群Bが満たされる場合(ステップS147:Yes)、物標P2の信頼度を物標P1に引き継ぐ(ステップS149参照)。
これにより、レーダ装置1は、車両制御装置2の基準点として用いられる物標P1の種別の判定を早期に行うことが可能となる。
また、実施例2にあっては、上記したパラメータA〜パラメータDを用いることで、例えば上方物が下面側に凹凸のある陸橋100(図22参照)のような場合であっても、物標P1,P2が上方物についての縦割れで検知された可能性が高いと推定することが可能となる。
なお、上記した信号処理部201は、判定手段や引継ぎ手段として機能する。また、物標P1は第1物標の一例であり、物標P2は第2物標の一例である。スコアは、物標P1,P2が物標P2の種別に関する情報を物標P1の種別に関する情報として引き継ぐ対象となる物標同士である可能性を示す値の一例である。
また、実施例1,2においては、複数の統計モデルの全てを用いてスコアを算出するように構成されるが、これに限定されるものではなく、一部の統計モデルを用いてスコアを算出するようにしてもよい。
[他の実施例]
[1]プロセッサ17での上記説明における各処理は、各処理に対応するプログラムをプロセッサ17に実行させることによって実現しても良い。例えば、上記説明における各処理に対応するプログラムがメモリ18に記憶され、各プログラムがプロセッサ17によってメモリ18から読み出されて実行されても良い。また、各プログラムは、必ずしも予めメモリ18に記憶されていなくても良い。すなわち、例えば、レーダ装置1に接続可能な磁気ディスク、光ディスク、ICカード、メモリカード等の可搬の記録媒体に各プログラムが予め記録され、各プログラムがプロセッサ17により記録媒体から読み出されて実行されても良い。また例えば、インターネット、LAN、無線LAN等を介して無線または有線によりレーダ装置1に接続されるコンピュータまたはサーバ等に各プログラムが記憶され、各プログラムがプロセッサ17へ読み出されて実行されても良い。
[2]上記実施例では、一例として、レーダ装置1の送信アンテナの本数は1本、受信アンテナの本数は3本として説明を行った。しかし、送信アンテナは複数本であっても良いし、受信アンテナは4本以上であっても良い。
1 レーダ装置
11 発振器
12 送信アンテナ
13a,13b,13c 受信アンテナ
14a,14b,14c ミキサ
16a,16b,16c ADC
17 プロセッサ
18 メモリ
201 信号処理部
202 送信制御部
203 信号生成部
204 ターゲット情報出力部

Claims (10)

  1. 自車両の周辺へ送信した送信波が該周辺に存在する物体に反射した反射波を受信して取得される受信信号に基づいて物標に係る情報を導出するレーダ装置であって、
    複数の物標が同一の物体に属しているか否かを判定する判定手段と、
    前記複数の物標が前記同一の物体に属していると判定された場合に、前記複数の物標のうち第1物標が第2物標よりも近い位置に存在する物標であり、前記第1物標よりも前記第2物標が時間的に早く導出された物標のときは、前記第2物標の種別に関する情報を、前記第1物標の種別に関する情報として引き継ぐ引継ぎ手段と、
    を備えるレーダ装置。
  2. 前記引継ぎ手段は、
    前記複数の物標のパラメータに関する統計モデルを用いて、前記第2物標の種別に関する情報を前記第1物標の種別に関する情報として引き継ぐか否かを決定する、
    請求項1に記載のレーダ装置。
  3. 前記統計モデルは、複数あり、
    前記複数の統計モデルは、
    前記第1物標及び前記第2物標間の前記自車両の進行方向における距離差を示す縦距離差と、前記第1物標及び前記第2物標間の前記自車両の車幅方向における距離差を示す横距離差とをパラメータとする第1統計モデル、
    前記第1物標及び前記第2物標間の前記反射波の受信パワー差をパラメータとする第2統計モデル、
    及び
    前記物標を検知する検知処理が繰り返し行われる際、今回の前記検知処理で検知されなくなった前記物標の仮想位置を当該物標の過去の位置に基づいて予測する外挿処理が実行されるときの要因をパラメータとする第3統計モデル
    の少なくともいずれかを含む、
    請求項2に記載のレーダ装置。
  4. 前記引継ぎ手段は、
    前記第1物標及び前記第2物標が前記第2物標の種別に関する情報を前記第1物標の種別に関する情報として引き継ぐ対象となる物標同士である可能性を示すスコアを前記第1、第2及び第3統計モデルに基づいてそれぞれ算出し、算出されたスコアを累積して得た累積スコアが所定閾値以上の場合、前記第2物標の種別に関する情報を前記第1物標の種別に関する情報として引き継ぐことを決定する、
    請求項3に記載のレーダ装置。
  5. 前記第1統計モデルは、
    前記縦距離差及び前記横距離差がそれぞれ対応する所定距離差範囲内である場合の前記スコアが、前記縦距離差及び前記横距離差のうち少なくともいずれか一方が前記所定距離差範囲外である場合の前記スコアに比べて高くなるように設定される、
    請求項4に記載のレーダ装置。
  6. 前記第3統計モデルは、
    今回の前記検知処理で前記第1物標が検知され前記第2物標が検知されなくなり、かつ、前記送信波の周波数が上昇する上昇区間及び下降する下降区間の2つの区間のうち、両方の区間において前記第1物標が、予測された前記第2物標の仮想位置を含む予測範囲内であることを要因とした外挿処理である場合、前記スコアが正値となるように設定される、
    請求項4又は5に記載のレーダ装置。
  7. 前記第3統計モデルは、
    今回の前記検知処理で前記第1物標が検知され前記第2物標が検知されなくなり、かつ、前記送信波の周波数が上昇する上昇区間及び下降する下降区間の2つの区間のうち、両方の区間において前記第1物標が、予測された前記第2物標の仮想位置を含む予測範囲外であることを要因とした外挿処理である場合、前記スコアが負値となるように設定される、
    請求項4〜6のいずれか一つに記載のレーダ装置。
  8. 前記第3統計モデルは、
    今回の前記検知処理で前記第1物標が検知され前記第2物標が検知されなくなり、かつ、前記送信波の周波数が上昇する上昇区間及び下降する下降区間の2つの区間のうち、一方の区間において前記第1物標が、予測された前記第2物標の仮想位置を含む予測範囲内で、他方の区間において前記第1物標が前記予測範囲外であることを要因とした外挿処理である場合、前記スコアが正値となるように設定される、
    請求項4〜7のいずれか一つに記載のレーダ装置。
  9. 前記第3統計モデルは、
    前記送信波の周波数が上昇する上昇区間及び下降する下降区間の2つの区間のうち、一方の区間において前記第1物標及び前記第2物標が検知され、他方の区間において前記第1物標が検知され前記第2物標が検知されなくなることを要因とした外挿処理である場合、前記スコアがゼロとなるように設定される、
    請求項4〜8のいずれか一つに記載のレーダ装置。
  10. 自車両の周辺へ送信した送信波が該周辺に存在する物体に反射した反射波を受信して取得される受信信号に基づいて物標に係る情報を導出するレーダ装置における情報引継方法であって、
    複数の物標が同一の物体に属しているか否かを判定し、
    前記複数の物標が前記同一の物体に属していると判定した場合に、前記複数の物標のうち第1物標が第2物標よりも近い位置に存在する物標であり、前記第1物標よりも前記第2物標が時間的に早く導出された物標のときは、前記第2物標の種別に関する情報を、前記第1物標の種別に関する情報として引き継ぐ、
    情報引継方法。
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