以下、本発明を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。まず、図1〜図3を参照して、本発明の一実施形態である第1実施形態の潮流計12の概略について説明する。図1は、その潮流計12の構成を概略的に示す概略図であり、図2は、潮流計12が搭載された船舶11によって、水中の潮流の速度を計測する場合の状態を側面より示す模式図であり、図3は、同計測を行う場合の状態を斜視した模式図である。
潮流計12は、図1〜図3に示す通り船舶11に搭載され、使用者により設定された水中の深度での該船舶11の周囲における潮流の速度(速さと方向)を計測するものである。潮流計12は、海における潮流だけでなく、湖や池、川等における水中の水の流れの速度も計測できる。この潮流計12は、所望の深度における潮流の速度を算出可能としつつ、誤差の少ない潮流の速度を使用者に提示できることを特徴としている。以下、その詳細について説明する。
潮流計12は、本体13と、本体13に設けられた操作ボタン14と、本体13に一体形成された表示装置15と、超音波ビームTBを送受信する振動子31(図4参照)を有する送受波ユニット16と、送受波ユニット16を昇降させる昇降装置17とを有している。本体13は、船舶11の操舵室内に配置されるとともに、送受波ユニット16と昇降装置17とは、船舶11の船底内に配置されている。
操作ボタン14は、使用者によって操作可能なボタンであり、使用者が潮流計12に対し各種設定を行う場合に操作されるものである。例えば、潮流の計測対象とされる深度(以下「解析深度」という)が、操作ボタン14によって使用者により設定される。解析深度は複数設定可能に構成されており、解析深度が複数設定された場合には、各々の解析深度において潮流の速度が計測される。
送受波ユニット16は、昇降装置17によって昇降されることで、船舶11の船底から水中に対して出没自在となっている。潮流計12は、設定された解析深度における潮流の速度を計測する場合、昇降装置17を駆動して送受波ユニット16を船舶11の船底から突出させ、送受波ユニット16から細いビーム状の超音波ビームTBを送信(放射)する。潮流計12は、超音波ビームTBの送信方向にあるプランクトン等の散乱体Gから反射されたその超音波ビームTBの反射波を送受波ユニット16により受信する。
送受波ユニット16は、全周型ソナーによって構成されており、送受波ユニット16により送受信される超音波ビームTBの方位角δ(スキャン角、図3参照)と俯角θ(チルト角、図2参照)とを変更できる。
ここで、方位角δ(スキャン角)とは、船舶11が浮かぶ水面を上面視した場合の超音波ビームTBの送受信方向を表す角度である。本実施形態では、上記水面を上面視した場合に、船舶11の前方方向(船舶11が前進する方向、船首方向)に超音波ビームTBを送受信するときを0度とし、超音波ビームTBの送受信方向が船舶11の時計回りに変化するにつれて方位角δが増加するように、方位角δの大きさを定義する。
また、俯角θ(チルト角)とは、超音波ビームTBの送受信方向と船舶11が浮かぶ水面(水平面)とがなす角度であり、超音波ビームTBを水面(水平面)と平行に送受信する場合を0度とし、超音波ビームTBの送受信方向が水面(水平面)から離れて水面と垂直な方向に向くにつれて俯角θが増加するように、俯角θの大きさを定義する。
潮流計12は、潮流の速度を計測する場合、送受波ユニット16を駆動して直交する4つの方向に超音波ビームTBを送信し、各方向に送信した超音波ビームTBの散乱体Gからの反射波を送受波ユニット16により受信する。例えば、潮流計12は、超音波ビームTBの俯角θを所定の角度(例えば、60°)に設定しつつ、方位角δを0°,90°,180°,270°に順次設定して、各々の方向(4方向)で、超音波ビームTBを送信する。
そして、潮流計12は、各々の方向毎に、その方向に送信された超音波ビームTBにおいて、水塊中の散乱体G等から反射された超音波ビームTBの反射波を送受波ユニット16にて受信する。潮流計12は、受信した各反射波において、解析深度から反射された反射波のドップラシフト周波数を導出し、その導出したドップラシフト周波数に基づいて、その解析深度における潮流の速度を算出する。
潮流計12は、複数方向(本実施形態では4方向)に送受信された超音波ビームTBのドップラシフト周波数に基づいて潮流の速度を算出することにより、潮流の速度の速さと方向(ベクトル)が把握できる。なお、本実施形態では4方向に超音波ビームTBを送受信して潮流の速度を算出するが、潮流の速度を算出するために送受信する超音波ビームTBの送受信方向は、2以上の方向であればよい。
このようにして、操作ボタン12により設定された解析深度における潮流の速度が算出されると、その算出された速度が、その他の情報(例えば、解析深度、船舶11の速度、船舶11下の水深、水温等)とあわせて表示装置15に表示され、使用者に示される。
なお、詳細については後述するが、超音波ビームTBの送受信方向の方位角δは、必ずしも、0°,90°,180°,270°に固定されるものではない。受信した各方向の超音波ビームTBの反射波の受信強度に基づいて、少なくとも一部の方向において解析深度からの反射波が散乱体Gではなく浅い水底を捕捉したものである可能性があると判断される場合や、少なくとも一部の方向において解析深度に存在する散乱体Gが補足されていない可能性があると判断される場合等、その反射波を用いては算出する潮流の速度に大きな誤差が含まれる可能性がある場合は、送信する4つの方向の超音波ビームTBの方位角δを、その4つの方向の間隔(直交する関係)を保ちつつ、別の角度(例えば、45°、135°、225°、315°)に変更する。これにより、潮流の速度が精度よく算出できる方向に超音波ビームTBを送受信できる可能性を生じさせることができるので、誤差の少ない潮流の速度を使用者に可能な限り早く提示できる。
また、本実施形態では、潮流の速度を計測する場合に、超音波ビームTBの俯角θを所定の角度に設定するが、このとき常に固定の角度に設定してもよいし、潮流の速度を計測する深度(解析深度)に応じて超音波ビームTBの俯角θを設定するようにしてもよい。例えば、解析深度が浅い場合は超音波ビームTBの俯角θを小さく設定し、解析深度が深い場合は超音波ビームTBの俯角θを大きく設定してもよい。
このように解析深度に応じて超音波ビームTBの俯角θを設定することにより、深度の深い位置での潮流の速度を計測する場合は超音波ビームTBを深度の深い位置まで届かせる一方、浅場の潮流の速度を計測する場合は、超音波ビームTBの俯角θを小さく設定することで、計測対象となる深度へ超音波ビームTBが届くまでの時間(距離)を長くすることできる。よって、超音波ビームTBのパルス幅やドップラシフト周波数を計測するために必要な周波数解析幅を長く設定できるので、浅場の潮流の速度を計測する場合であっても周波数分解能の低下を防ぐことができる。また、超音波ビームTBの俯角θを小さく設定することで、速度分解能そのものを高めることができる。その結果、深度の深い場所のみならず深度の浅い場所の潮流の速度を、精度よく計測できる。
次いで、図4を参照して、送受波ユニット16の詳細構成について説明する。図4は、送受波ユニット16の断面を模式的に示した断面図である。送受波ユニット16は、上端が開口され下端部が半球状をなす有底円筒状の下ケース21と、下端が開口され上端部が円板状をなす有蓋円筒状の上ケース22と、上ケース22の下端開口及び下ケース21の上端開口を閉塞する円板状の蓋体23とにより構成される。蓋体23の上面と上ケース22とで上側収納空間24が形成され、蓋体23の下面と下ケース21とで下側収納空間25が形成されている。
蓋体23の中央部には、貫通孔26が形成されている。蓋体23上の中央部にはステッピングモータによって構成されたスキャンモータ27が固着され、スキャンモータ27の下面からはスキャンモータ27の出力軸27aが、貫通孔26に回転可能に挿通された状態で真下に向かって延びている。出力軸27aの先端(下端)は、下側収納空間25の上部まで達している。
出力軸27aの先端には、円板状の支持板28が設けられており、支持板28の上面の中心部が出力軸27aの先端に接続されている。支持板28の下面には、略逆U字状をなす支持フレーム29が設けられており、支持フレーム29の下端部間には、水平に延びる回転軸30が回転可能に架設されている。
回転軸30の中央部には、細いビーム状の超音波ビームTBを1つの方向に送信し、その送信した超音波ビームTBの反射波を受信可能な振動子31が固着されている。回転軸30における振動子31と隣り合う位置には、略半円状のチルト歯車32が固着されており、回転軸30、振動子31及びチルト歯車32は、互いに一体して回転するように構成されている。
支持フレーム29の上端部には、ステッピングモータによって構成されたチルトモータ33が固着されている。チルトモータ33は、チルト歯車32側に向かって延びる出力軸33aを備えている。出力軸33aの先端には、小歯車33bが設けられ、小歯車33bは、チルト歯車32と噛合している。
スキャンモータ27が駆動されると、出力軸27aが回転し、それに伴って支持板28、支持フレーム29、及び、回転軸30が出力軸27aを軸として一体して回転することで、回転軸30に固着された振動子31が、やはり出力軸27aを軸として回転する。
これにより、振動子31による超音波ビームTBの送信方向は、船舶11が浮かぶ水面を上面視した場合に時計回り又は反時計回りに変化させることができる。即ち、スキャンモータ27を駆動することにより、振動子31によって送信される超音波ビームTBの方位角δ(スキャン角)が変更される。
一方、チルトモータ33が駆動されると、出力軸33aが回転し、それに伴って小歯車33bが回転して、その小歯車33bと噛合するチルト歯車32が回転することで、チルト歯車32が固着された回転軸30がチルト歯車32の回転に合わせて回転し、その回転軸30に固着された振動子31が回転軸30を軸として回転する。
これにより、振動子31の向く方向(振動子31から送信される超音波ビームTBの送信方向)と船舶11が浮かぶ水面(水平面)とのなす角度である俯角θ(チルト角)が、チルトモータ33を駆動することによって、変更される。
次いで、図5を参照して、潮流計12の電気的構成について説明する。図5は、潮流計12の電気的構成を示したブロック図である。潮流計12の本体13(図1参照)は、制御装置50を有している。制御装置50は、潮流計12の動作を制御するものである。制御装置50は、図5に示す通り、CPU(Central Proccesing Unit)51と、ROM(Read Only Memory)52と、RAM(Random Access Memory)53とを有しており、それらがバスライン55を介して入出力ポート54に接続されている。
入出力ポート54には、潮流計12を構成する操作ボタン14、表示装置15及び昇降装置17が接続される。また、送受波ユニット16を構成する上述のスキャンモータ27及びチルトモータ33(図4参照)が、モータドライバ61を介して入出力ポート54と接続され、振動子31(図4参照)が、送受信回路62を介して入出力ポート54と接続される。
CPU51は、ROM52に記憶されたプログラムデータ52aに従って、潮流計12の動作を制御するための各種演算を実行する演算装置であり、例えば、図6に示す潮流計測処理を実行する。潮流計測処理の詳細については、図6を参照して後述する。
ROM52は、CPU51によって実行されるプログラムデータ52aを記憶するほか、固定値データ等を記憶するための書き換え不能な不揮発性のメモリである。なお、書き換え不能なROMに代えて、書き換え可能な不揮発性のメモリ(例えば、フラッシュメモリ)を用いてもよい。
RAM53は、書き換え可能な揮発性のメモリであり、CPU51によるプログラムの実行時に各種のデータを一時的に記憶する。RAM53は、解析深度データ53a、最大値データ53b、最小データ53c、潮流データ53dを少なくとも記憶する。
解析深度データ53aは、使用者により設定された解析深度に関するデータである。本実施形態では、複数の解析深度が解析深度データ53aに対して設定可能となっている。例えば、使用者が解析深度として20m、40m、60m、80mを設定した場合、設定された解析深度が20m、40m、60m、80mであることを示すデータが解析深度データ53aとしてRAM53に格納される。CPU51は、解析深度データ53aによって示される解析深度に対して、潮流の速度を計測する処理を実行する。
潮流計12の電源がオンされた直後は、解析深度データ53aの初期値として、所定の解析深度を示すデータ(例えば、解析深度10m、20m、30m、40mを示すデータ)がRAM53に格納される。よって、使用者により解析深度の設定が行われなかった場合は、この初期値によって示される解析深度での潮流の速度の計測が行われる。
なお、潮流計12の電源がオフされるときに、解析深度データ53aの値を別途設けられたフラッシュメモリ等に格納し、潮流計12の電源がオンされたときにそのフラッシュメモリ等に格納された値を解析深度データ53aとしてRAM53に格納するようにしてもよい。これにより、電源を一旦オフした場合であっても、使用者が前回設定した解析深度がそのまま解析深度データ53aに設定されるので、使用者が一度設定した解析深度を再び設定しなくてもすむようにすることができる。
最大値データ53bは、複数方向(本実施形態では4方向)に送信された各超音波ビームTBに対し、解析深度データ53aにより設定された解析深度に存在する散乱体Gから反射された各反射波の中で、最も受信強度の大きい反射波の、その受信強度の大きさを示すデータである。また、最小値データ53cは、その各反射波の中で、最も受信強度の小さい反射波の、その受信強度の大きさを示すデータである。
CPU51により潮流計測処理が実行されると、潮流の速度を計測するために、4方向に超音波ビームTBが送信され、各方向において超音波ビームTBの反射波が受信される。その受信された各反射波のそれぞれにおいて、解析深度データ53aにより設定された解析深度に存在する散乱体Gから反射された反射波の受信強度が判断される。そして、その中で、最も受信強度の大きい反射波の受信強度の大きさが、最大値データ53bとしてRAM53に格納され、最も受信強度の小さい反射波の受信強度の大きさが、最小値データ53cとしてRAM53に格納される。
この最大値データ53b及び最小値データ53cは、4方向に送信された超音波ビームTBのうち少なくとも一部の方向において、解析深度近辺に存在する水底が補足されているか否かを判断するために用いられる。水底から反射された超音波ビームTBの反射波の受信強度は、散乱体Gから反射された超音波ビームTBの反射の受信強度よりも極端に大きなものとなる。そこで、最大値データ53bと最小値データ53cとの差が所定の値(第1閾値)よりも大きいと判断される場合は、4方向に送信された超音波ビームTBのうち一部の方向において、解析深度近辺に存在する水底が補足されていると判断する。そして、この場合は、これら4方向の反射波を利用して潮流の速度を算出しても、その算出した潮流の速度に大きな誤差が含まれてしまうので、本実施形態では、これら4方向の反射波に基づく潮流の速度の算出を非実行とする。
最大値データ53bが所定の値(第2閾値)よりも大きいと判断される場合も、4方向に送信された超音波ビームTBのうち少なくとも一部の方向において、解析深度付近に存在する水底が補足されたために、反射波の受信強度が大きくなったと判断する。第2閾値は、反射波の受信強度が水底からの受信強度(ボトム強度)か否かを判断するための値である。これにより、例えば全ての方向において水底が補足されている場合等、最大値データ53b及び最小値データ53cの差では検出できなかった、少なくとも一部の方向において解析深度付近に存在する水底が補足された場合を、最大値データ53bと第2閾値との比較によって検出することができる。そして、この場合も、これら4方向の反射波を利用して潮流の速度を算出しても、正しく潮流の速度を算出できないので、本実施形態では、これら4方向の反射波に基づく潮流の速度の算出を非実行とする。
最小値データ53cは、4方向に送信された超音波ビームTBのうち少なくとも一部の方向において、その反射波の受信強度が極めて微弱なものが含まれているか否かを判断するためにも用いられる。即ち、最小値データ53cが所定の値(第3閾値)よりも小さい場合は、少なくとも一部の方向において反射波の受信強度が極めて微弱であると判断する。この場合、誤差の少ないドップラシフト周波数を導出することが困難であり、結果として、算出する潮流の速度に大きな誤差が含まれる可能性が高くなるので、本実施形態では、これら4方向の反射波に基づく潮流の速度の算出を非実行とする。
なお、複数の解析深度が解析深度データ53aに対して設定されている場合は、最も深い解析深度から反射された各反射波の中で、最も受信強度の大きい反射波の受信強度の大きさを示すデータが最大値データ53bに設定され、最も受信強度の小さい反射波の受信強度の大きさを示すデータが最小値データ53bに設定される。その理由については後述する。
潮流データ53dは、算出した潮流の速度を示すデータである。CPU51により4方向に超音波ビームTBが送受信され、各方向における解析深度からの反射波のドップラシフト周波数に基づいて潮流の速度が算出されると、この算出された潮流の速度を示すデータが、潮流データ53dとしてRAM53に格納される。CPU51は、このRAM53に格納された潮流データ53dに基づいて、計測した潮流の速度を表示装置81に表示する。なお、最大値データ53b及び最小値データ53cの値に基づき、大きな誤差が含まれるとして潮流の速度が算出されなかった場合は、潮流データ53dは上書きされず、その前の潮流測定タイミングにおいて、大きな誤差が含まれないと判断されて有効に算出された潮流の速度を示すデータが、潮流データ53dにそのまま保存される。よって、有効に算出された潮流の速度を示すデータが、そのまま表示装置81に表示され続けることになる。
次に、図6を参照して、制御装置50が実行する潮流計測処理の詳細について説明する。図6は、潮流計測処理を示すフローチャートである。潮流計測処理は、電源がオンされた場合、または、潮流の速度の計測が開始される場合にCPU51によって実行が開始される。この潮流計測処理は、電源がオフされるまで、または、使用者による操作ボタン14の操作などによって潮流の速度の計測を終了するまで、継続して実行され続ける。
潮流計測処理では、まず、昇降装置17を駆動し、送受波ユニット16を降下させる(S11)。これにより、送受波ユニット16が船舶11の船底から水中に突出され、振動子31による超音波ビームTBの送受信が可能となる。
次に、潮流測定タイミングか否かが判断される(S12)。具体的には、S12の処理では、前回S12の処理にて潮流測定タイミングとなったと判断されてから所定時間(例えば、1秒)経過したか否かを判断し、所定時間経過したと判断される場合に、潮流測定タイミングとなった(S12:Yes)と判断する。また、潮流計測処理が実行されてから初めてS12の処理が実行される場合は、S12の処理は、そのまま潮流測定タイミングとなった(S12:Yes)と判断する。それ以外の場合は、S12の処理は、潮流測定タイミングとなっていない(S12:No)と判断し、潮流測定タイミングとなった(S12:Yes)と判断されるまでS12の処理が繰り返し実行される。これにより、所定時間間隔で潮流の測定(計測)が実行される。
S12の処理により、潮流測定タイミングとなったと判断されると(S12:YES)、まず、潮流を測定するために送信する超音波ビームTBの送信方向を設定する(S13)。具体的には、超音波ビームTBを送信する4方向の方位角δ1,δ2,δ3,δ4を設定するとともに、超音波ビームTBの俯角θを設定する。S13の処理では、例えば、超音波ビームTBの方位角δ1,δ2,δ3,δ4をそれぞれ0°,90°,180°,270°に設定し、俯角θを60°に設定する。
なお、S13の処理において、潮流計測処理が実行されてから初めてS13の処理が実行される場合(即ち、初めて潮流測定タイミングとなった場合)には、方位角δ1,δ2,δ3,δ4をそれぞれ0°,90°,180°,270°に設定し、以後、S13の処理が実行される度に、その直前の潮流測定タイミングにおいて、大きな誤差が含まないと判断されて有効に潮流の速度を算出できた超音波ビームTBの方位角δ1,δ2,δ3,δ4をそのまま設定するようにしてもよい。
詳細については後述するが、潮流計測処理では、4方向に送信した超音波ビームTBの反射波を使用して潮流の速度を算出しては大きな誤差が含まれると判断される場合に、超音波ビームTBの方位角δ1,δ2,δ3,δ4を変更して(S26参照)、再度超音波ビームTBを4方向に送受信するようにしている。直前の潮流測定タイミングにおいて、大きな誤差が含まれないと判断されて有効に潮流の速度を算出できた超音波ビームTBの方位角δ1,δ2,δ3,δ4を、S13の処理にてそのまま設定することで、今回の潮流測定タイミングにおいても、大きな誤差を含まない潮流の速度を算出できる可能性を高めることができる。
ただし、この場合、直前の潮流測定タイミングにおいて、超音波ビームTBの方位角δ1,δ2,δ3,δ4を変更しても、算出される潮流の速度に大きな誤差が含まれると判断される場合も起こり得る。このような場合には、S13の処理では、直前の潮流測定タイミングで最終的に設定した超音波ビームTBの方位角δ1,δ2,δ3,δ4をそのまま設定してもよいし、方位角δ1,δ2,δ3,δ4の初期値として、それぞれ0°,90°,180°,270°に設定するようにしてもよい。
また、S13の処理では、俯角θを60°に必ずしも固定して設定しなくてもよく、上述した通り、解析振動データ53aにより示される解析深度に応じて超音波ビームTBの俯角θを設定するようにしてもよい。例えば、複数設定された解析深度のうち最も深い解析深度が浅い位置にある場合は超音波ビームTBの俯角θを小さく設定し、最も深い解析深度が深い位置にある場合は超音波ビームTBの俯角θを大きく設定してもよい。これにより、上述の通り、深度の深い場所のみならず深度の浅い場所の潮流の速度を、精度よく計測できる。
次いで、超音波ビームTBが、S13の処理により設定された俯角θで送受信されるように、モータドライバ61を介してチルトモータ33を駆動する(S14)。これにより、振動子31が回転軸30(図4参照)を軸として回転され、振動子31から送受信される超音波ビームTBの俯角θを、S13の処理により設定された俯角θとすることができる。
次いで、モータドライバ61を介してスキャンモータ28を駆動しながら、送受信回路62を介して振動子31により4方向に順次超音波ビームTBを送受信する(S15)。具体的には、S15の処理では、まず、スキャンモータ28を駆動して、出力軸27a(図4参照)を軸として振動子31を回転させ、振動子31から送受信される超音波ビームTBの方位角δをδ1とする。そして、俯角θ及び方位角δ1の方向に超音波ビームTBを振動子31より送信し、その方向において送信した超音波ビームTBの反射波を振動子31にて受信する。受信した反射波に基づく受信信号は、一時的にRAM53に格納される。
次いで、S15の処理では、スキャンモータ28を駆動して、振動子31から送受信される超音波ビームTBの方位角δをδ2とする。そして、方位角δをδ1とした場合と同様に、俯角θ及び方位角δ2の方向に超音波ビームTBを振動子31より送信し、その方向において送信した超音波ビームTBの反射波を振動子31にて受信して、受信した反射波に基づく受信信号を一時的にRAM53に格納する。
更に、S15の処理では、スキャンモータ28を駆動して、超音波ビームTBの方位角δをδ3として、俯角θ及び方位角δ3の方向に超音波ビームTBを振動子31により送受信し、受信した反射波に基づく受信信号を一時的にRAM53に格納する。最後に、S14の処理では、スキャンモータ28を駆動して、超音波ビームTBの方位角δをδ4として、俯角θ及び方位角δ4の方向に超音波ビームTBを振動子31により送受信し、受信した反射波に基づく受信信号を一時的にRAM53に格納する。
S15の処理を終了すると、次に、超音波ビームTBが送受信された方向毎に、解析深度データ53aにより示される解析深度からの反射波の周波数解析を実行し、その反射波におけるドップラシフト周波数を導出する(S16)。解析深度データ53aにより示される解析深度が複数ある場合は、解析深度毎に、超音波ビームTBが送受信された各方向について、対応する解析深度からの反射波の周波数解析を実行して、ドップラシフト周波数を導出する。
次いで、超音波ビームTBが送受信された方向毎に、S16の処理により導出された、解析深度データ53aにより示される解析深度からの反射波のドップラシフト周波数に対して、平均化処理を実行する(S17)。解析深度データ53aにより示される解析深度が複数ある場合は、解析深度毎に、超音波ビームTBが送受信された各方向について導出された各々のドップラシフト周波数に対し、平均化処理を実行する。平均化処理を実行することにより、ノイズによるドップラシフト周波数の揺れを抑制できる。
次いで、4方向に送信された各超音波ビームTBに対し、解析深度データ53aにより示される解析深度の中で最も深い解析深度から反射された各反射波のうち、最も受信強度の大きい反射波を探索する最大値探索を実行する(S18)。探索された最も受信強度の大きい反射波のその受信強度は、最大値データ53bとしてRAM53に格納される。
また、4方向に送信された各超音波ビームTBに対し、解析深度データ53aにより示される解析深度の中で最も深い解析深度から反射された各反射波のうち、最も受信強度の小さい反射波を探索する最小値探索を実行する(S19)。探索された最も受信強度の小さい反射波のその受信強度は、最小値データ53cとしてRAM53に格納される。
そして、最大値データ53bにて示される4方向の反射波の受信強度の最大値と、最小値データ53cにて示される4方向の反射波の受信強度の最小値との差が、第1閾値以下であるか否かを判断する(S20)。
一部の方向の反射波が浅い水底を捕捉して反射されたものである場合、その反射波の受信強度は、散乱体Gから反射された反射波の受信強度よりも極めて大きなものとなる。そして、水底を捕捉して反射された反射波のドップラシフト量を用いて潮流の速度を算出すると、そのドップラシフト周波数は潮流に基づくものではないため、算出する潮流の速度に大きな誤差が含まれることになる。S20の処理では、4方向の反射波の受信強度の最大値とその最小値との差が第1閾値以下であるか否かを判断することによって、一部の方向の反射波に水底から反射されたものがあるか否かを判断する。
その結果、4方向の反射波の受信強度の最大値とその最小値との差が第1閾値以下であれば(S20:Yes)、S21の処理へ移行する。
S21の処理では、最大値データ52bにて示される4方向の反射波の受信強度の最大値が、第2閾値以下か否かを判断する(S21)。即ち、S21の処理では、超音波ビームTBが送受信される全ての方向において受信した反射波の受信強度が、水底を捕捉した場合のボトム強度(第2閾値)よりも小さいか否かを判断する。そして、S21の処理の結果、最大値データ52bにて示される4方向の反射波の受信強度の最大値が、第2閾値以下であると判断される場合は(S21:Yes)、S20の処理の結果とあわせて全ての方向の反射波が水底から反射されたものではないと判断し、S22の処理へ移行する。
なお、解析深度データ53aに複数の解析深度が設定されている場合、S20及びS21の処理では、4方向に送受信される超音波ビームTBの中で、最も深い解析深度からの各反射波の受信強度に基づいて、その受信強度の最大値や、その最大値と最小値との差を判断することになる。そして、最も深い解析深度からの各反射波の受信強度に基づいて、その受信強度の最大値と最小値との差が第1閾値以下であると判断され、且つ、受信強度の最大値が第2閾値以下であると判断されれば、水底はその最も深い解析深度よりも更に深い位置にあると判断できる。即ち、S20及びS21の処理では、最も深い解析深度からの反射波のみを用いて判断したとしても、その受信強度の最大値と最小値との差が第1閾値以下であり且つ受信強度の最大値が第2閾値以下であると判断されれば、全ての解析深度に対して、全ての方向の反射波が水底から反射されたものではないと判断できる。
S22の処理では、最小値データ53cにて示される4方向の反射波の受信強度の最小値が、第3閾値以上か否かを判断する(S22)。少なくとも一部の方向において、その反射波の受信強度が微弱であると、誤差の少ないドップラシフト周波数を導出することが困難であり、結果として、算出する潮流の速度に大きな誤差が含まれる可能性が高くなる。S22の処理では、4方向の反射波の受信強度の最小値が第3閾値以上であるか否かを判断することによって、4方向の反射波の中に受信強度が微弱なものが含まれているか否かを判断する。
その結果、4方向の反射波の受信強度の最小値が、第3閾値以上であれば(S22:Yes)、全ての方向の反射波において、受信強度がある程度の大きさをもっている判断する。
S20及びS21の処理により、全ての方向の反射波が水底から反射されたものではないと判断され、S22の処理により、全ての方向の反射波において、受信強度がある程度の大きさをもっていると判断された場合は(S20:Yes,S21:Yes,S22:Yes)、これらの反射波のドップラシフト周波数を用いて潮流の速度を算出したとしても、この潮流の速度に大きな誤差が含まれる可能性が少ないと判断できる。
そこで、この場合は、解析深度データ53aにて示される解析深度毎に、S16の処理にて導出され且つS17の処理にて平均化処理の実行された4方向の反射波のドップラシフト周波数を用いて、その解析深度における潮流の速度を算出する(S23)。具体的には、まず、超音波ビームTBが送受信された4方向それぞれの解析深度からの反射波のドップラシフト周波数より、その4つの方向、即ち、俯角θと方位角δm(m=1,2,3,4)とによって示される4つの方向それぞれの潮流の速度成分vmを算出する。
ここで算出される潮流の速度vmは、俯角θと方位角δmとをもつ超音波ビームTBの反射波によって算出されたものであり、それによって算出された潮流の速度vmは、俯角θと放射方位角δmとの方向によって示される成分である。一方で、方位角δ1と方位角δ3とは180°異なっており、その方向により送受信される超音波ビームTBに基づいて算出される潮流の速度v1及びv3は同一の方向をもつベクトルとなる。同様の理由により、潮流の速度v2及びv4も同一の方向をもつベクトルとなる。
そこで、潮流の速度v1及びv3の平均値である速度v13を算出し、また、潮流の速度v2及びv4の平均値である速度v24を算出する。ここで算出した潮流の速度v13は俯角θと方位角δ1との方向によって示された成分となり、潮流の速度v24は俯角θと方位角δ2との方向によって示された成分となる。
そして、S23の処理では、水面(水平面)に対して平行に流れる潮流の速度を求めるために、2つの方向の潮流の速度v13及びv24に対して、各々以下の式(1)及び(2)による俯角補正を行い、潮流の速度の俯角0度(水平方向)と、対応する方位角δn(n=1,2)とで示される方向の成分vn’を算出する。
v1´=v13/cosθ ・・・(1)
v2´=v24/cosθ ・・・(2)
そして、算出された2つの方向の潮流の速度の成分vn´をベクトル合成し、解析深度での潮流の速度(速さと方向)を算出する。S23の処理では、算出された潮流の速度を示すデータを潮流データ53dとしてRAM53に格納する。
S23の処理にて、潮流の速度が算出されると、その潮流の速度を算出した解析深度に対応付けて、その解析深度に対して算出された潮流の速度を表示装置15に表示する(S24)。そして、S12の処理に戻り、再び潮流測定タイミングとなると、S13以降の処理が実行される。
一方、S20の処理の結果、4方向の反射波の受信強度の最大値とその最小値との差が第1閾値よりも大きい場合は(S20:No)、一部の方向の反射波に水底から反射されたものがあると判断される。つまり、この場合は、S15の処理にて受信した4方向の反射波を用いて、潮流の速度を算出したとしても、その算出した潮流の速度に大きな誤差が含まれる可能性が高い。よって、この場合は、S25の処理へ移行し、S23の処理である潮流の速度の算出を非実行として、潮流の速度の算出を無効とする。従って、使用者に対して、大きな誤差が含まれる潮流の速度が提示されることを抑制できる。また、この場合、潮流の速度の算出そのものが非実行とされるので、不要な算出処理が実行されることを抑制できる。
また、S21の処理の結果、4方向の反射波の受信強度の最大値が第2閾値よりも大きい場合は(S21:No)、4方向に送信された超音波ビームTBのうち少なくとも一部の方向の反射波の受信強度が第2閾値よりも大きく、解析深度付近に存在する水底を補足していると判断される。つまり、この場合も、S15の処理にて受信した4方向の反射波を用いて、正しく潮流の速度が算出できないので、S25の処理へ移行し、S23の処理である潮流の速度の算出を非実行として、潮流の速度の算出を無効とする。従って、使用者に対して、大きな誤差が含まれる潮流の速度が提示されることを抑制でき、また、潮流の速度の算出そのものが非実行とされるので、不要な算出処理が実行されることを抑制できる。
また、S22の処理の結果、4方向の反射波の受信強度の最小値が第3閾値よりも小さい場合は(S22:No)、少なくとも一部の方向において反射波の受信強度が微弱であると判断される。つまり、この場合は、S15の処理にて受信した4方向の反射波を用いて、潮流の速度を算出したとしても、誤差の少ないドップラシフト周波数を導出することが困難でありため、算出する潮流の速度に大きな誤差が含まれる可能性が高い。よって、この場合も、S25の処理へ移行し、S23の処理である潮流の速度算出を非実行として、潮流の速度の算出を無効とする。従って、使用者に対して、大きな誤差が含まれる潮流の速度が提示されることを抑制できる。
なお、上述した通り、解析深度データ53aに複数の解析深度が設定されている場合、S20の処理では、4方向に送受信される超音波ビームTBの中で、最も深い解析深度からの各反射波の受信強度に基づいて、その受信強度の最大値と最小値との差の大きさや、その最大値の大きさを判断し、その最大値と最小値との差が第1閾値よりも大きい、又は、その最大値が第2閾値よりも大きいと判断されると、全ての解析深度における潮流の速度の算出が無効とされる。また、S22の処理では、4方向に送受信される超音波ビームTBの中で、最も深い解析深度からの各反射波の受信強度に基づいて、その受信強度の最小値が第3閾値以上であると判断されると、全ての解析深度における潮流の速度の算出が無効とされる。
つまり、本実施形態では、少なくとも一部の解析深度において、算出する潮流の速度に大きな誤差が含まれる状況にある場合には、全ての解析深度に対して潮流の速度の算出を無効とする。これにより、全ての解析深度において有効に潮流の速度が算出された場合にのみ、その潮流の速度が使用者に対して提示される。よって、本実施形態の潮流計12は、使用者に対して、解析深度毎に、その解析深度に対して算出された潮流の速度が有効なものか否かを判断させることがないので、使用者が混乱することなく、全ての解析深度において有効に算出された潮流の速度のみを確認することができる。
S20、S21又はS22の処理によって、潮流の速度の算出が無効とされる(S20:No、S21:No又はS22:No)と、S25の処理へ移行し、潮流の速度の算出が、大きな誤差が含まれる可能性があるために無効とされたことを示す潮流速度算出無効情報を表示装置15に表示する(S25)。
潮流速度算出無効情報は、例えば、三角形や菱形、円形の中に感嘆符(!マーク)を付した図形やその他の図形、又は、「計測無効」や「計測不能」といった文字によって、表示装置15のいずれかの領域に表示される。また、潮流速度算出無効情報は、表示装置15に表示された全ての潮流の速度を通常時とは異なる色で表示する(例えば、通常時は緑色で表示される潮流の速度を赤色で表示する)ことによって、示されるものであってもよい。潮流速度算出無効情報が表示装置15に表示されることにより、潮流の速度の算出が無効とされた事実を、使用者に把握させることができる。
S25の処理の後、次いで、超音波ビームTBを送信する4方向の方位角δ1,δ2,δ3,δ4を、それぞれの方位角が直行する関係を保たせながら(即ち、90°ずつ異なるようにしながら)、これまで設定されて角度とは別の角度となるように再設定する(S26)。そして、S15の処理に戻り、S15以降の処理を繰り返す。
これにより、S25の処理により再設定された新たな方位角δ1,δ2,δ3,δ4にて4方向に超音波ビームTBが送受信され、各解析深度における潮流の速度の算出が再度行われる。4方向に送受信される超音波ビームTBの方位角を変更することにより、補足していた浅い水底を避けたり、超音波ビームTBの反射波がある程度の大きさの受信強度を得られるようになったりできる可能性がある。よって、潮流の速度が精度よく算出できる方向に超音波ビームTBを送受信できる可能性を高めることができるので、誤差の少ない潮流の速度を使用者に可能な限り早く提示できる。
S26の処理における超音波ビームTBの方位角δ1,δ2,δ3,δ4を再設定する方法としては、例えば、それまで設定されていた方位角δ1,δ2,δ3,δ4の各々に対して、所定の角度(例えば10°)を加算する。つまり、方位角δ1,δ2,δ3,δ4を所定の角度(10°)ずつ変更する。これにより、振動子31を大きく動かすことなく、潮流の速度が精度よく算出できる方向に超音波ビームTBを送受信できる可能性を高めることができる。よって、振動子31を動かすことによって、振動子31や、振動子31により送受信される超音波ビームTBの方位角を変更するスキャンモータ27が故障しやすくなる可能性を抑制できる。
なお、この所定の角度(10°)ずつ方位角を変更する再設定の方法において、方位角δ1が再設定されることによって、S13の処理により設定された方位角δ1よりも90°以上大きい角度となる場合は、S13の処理により設定された4方向の方位角δ1,δ2,δ3,δ4及びS26の処理によりこれまで再設定してきた4方向の方位角δ1,δ2,δ3,δ4により送受信された超音波ビームTBの送受信エリアと同一エリアに対して、超音波ビームTBが送受信されることになる。
そして、この場合、ここまで方位角δ1,δ2,δ3,δ4を再設定してきたにもかかわらず、その方位角δ1,δ2,δ3,δ4で送受信される超音波ビームTBに基づく潮流の速度の算出が無効とされたのであって、これ以降、方位角δ1,δ2,δ3,δ4を再設定したとしても、誤差の少ない潮流の速度が算出できる可能性が低い。よって、この場合は、S26の処理から、S12の処理へ移行して、再び潮流の測定のタイミングとなるまで、一旦潮流の算出にかかわる処理を中断するようにしてもよい。これにより、方位角δ1,δ2,δ3,δ4を再設定したとしても、誤差の少ない潮流の速度が算出できる可能性が低いと判断される場合に、同じエリアを何度も無駄に超音波ビームTBを送受信することで、振動子31や、振動子31により送受信される超音波ビームTBの方位角を変更するスキャンモータ27が故障しやすくなる可能性を抑制できる。
また、S26の処理における超音波ビームTBの方位角δ1,δ2,δ3,δ4を再設定する別の方法としては、S12の処理にて潮流の測定タイミングとなり、S13の処理によって方位角δ1,δ2,δ3,δ4が設定(以後、S13の処理により設定された方位角をとするδ10,δ20,δ30,δ40)されてから初めてS26の処理が実行された場合には、まず、δ1をδ10+45°と再設定し、δ2をδ20+45°と再設定し、δ3をδ30+45°と再設定し、δ4をδ40+45°と再設定する。
この再設定によっても潮流の速度の算出が無効とされ、再びS26の処理が実行される場合は、δ1をδ10+67.5°と再設定し、δ2をδ20+67.5°と再設定し、δ3をδ30+67.5°と再設定し、δ4をδ40+67.5°と再設定する。この再設定によっても潮流の速度の算出が無効とされ、3度目のS26の処理が実行される場合は、δ1をδ10+78.75°と再設定し、δ2をδ20+78.75°と再設定し、δ3をδ30+78.75°と再設定し、δ4をδ40+78.75°と再設定する。
この再設定によっても潮流の速度の算出が無効とされ、4度目のS26の処理が実行される場合は、δ1をδ10+56.25°と再設定し、δ2をδ20+56.25°と再設定し、δ3をδ30+56.25°と再設定し、δ4をδ40+56.25°と再設定する。この再設定によっても潮流の速度の算出が無効とされ、5度目のS26の処理が実行される場合は、δ1をδ10+22.5°と再設定し、δ2をδ20+22.5°と再設定し、δ3をδ30+22.5°と再設定し、δ4をδ40+22.5°と再設定する。この再設定によっても潮流の速度の算出が無効とされ、6度目のS26の処理が実行される場合は、δ1をδ10+33.75°と再設定し、δ2をδ20+33.75°と再設定し、δ3をδ30+33.75°と再設定し、δ4をδ40+33.75°と再設定する。この再設定によっても潮流の速度の算出が無効とされ、7度目のS26の処理が実行される場合は、δ1をδ10+11.25°と再設定し、δ2をδ20+11.25°と再設定し、δ3をδ30+11.25°と再設定し、δ4をδ40+11.25°と再設定する。この再設定によっても潮流の速度の算出が無効とされ、8度目のS26の処理が実行される場合は、S26の処理からS12の処理へ移行して、再び潮流の測定のタイミングとなるまで、一旦潮流の算出にかかわる処理を中断する。
この方法により、超音波ビームTBの方位角δ1,δ2,δ3,δ4を再設定することにより、超音波ビームTBの送受信方向を大きく変えながら、潮流の速度が精度よく算出できる超音波ビームTBの送受信方向を探ることができるので、その潮流の速度が精度よく算出できる超音波ビームTBの送受信方向を素早く見つけることができる可能性を高くできる。
以上説明した通り、第1実施形態における潮流計12によれば、解析深度データ53aにて示される解析深度における潮流の速度を計測する場合に、振動子31により超音波ビームTBが複数の方向(本実施の形態では4方向)へ送信され、超音波ビームTBが送信された各方向における散乱体Gからの反射波が、該振動子31によって受信される。そして、S16の処理により、各方向において受信した反射波に対して周波数解析を行い、解析深度からの反射波のドップラシフト周波数が導出される。そして、この各方向における反射波のドップラシフト周波数に基づいて、解析深度における潮流の速度がS23の処理によって算出され、算出された潮流の速度が表示装置15に表示される。
一方で、振動子31により受信された各方向の反射波の受信強度がS20の処理により判断される。そして、各受信強度の中で最大強度と最小強度との差が第1閾値よりも大きい場合に(S20:No)、その受信強度が判断された反射波に基づく潮流の速度の算出が非実行とされ、無効とされる。これにより、複数の方向へ送信した超音波ビームTBのうち、一部の方向の超音波が浅い水底を捕捉して反射し、その反射波が振動子31によって受信されたとしても、その受信強度は、解析深度に存在する散乱体Gからの反射波の受信強度と比して極端に大きくなるため、このような場合は、S20の処理によって、潮流の速度の算出が無効とされる。よって、所望の深度における潮流の速度を算出可能としつつ、誤差の少ない潮流の速度を使用者に提示できる。
また、S21の処理により、各反射波の中で最大強度が第2閾値よりも大きい場合にも(S21:No)、その受信強度が判断された反射波に基づく潮流の速度の算出が非実行とされ、無効とされる。これにより、複数の方向へ送信した超音波ビームTBのうち、少なくとも一部の方向において水底から反射された可能性のある反射波の存在を判断することができる。よって、各方向の反射波の受信強度の最大強度と最小強度との差が第1所定値よりも小さい場合であっても、水底から反射された可能性のある反射波に基づく潮流の速度の算出を無効とできる。従って、所望の深度における潮流の速度を算出可能としつつ、誤差の少ない潮流の速度を使用者に提示できる。
また、S22の処理により、各反射波の受信強度の中で最小強度が第3閾値よりも小さい場合にも(S22:No)、その受信強度が判断された反射波に基づく潮流の速度の算出が非実行とされ、無効とされる。これにより、複数の方向へ送信した超音波ビームTBのうち、少なくとも一部の方向において超音波ビームTBの反射波の受信強度が微弱なため、結果として、潮流の速度を精度よく算出できない場合においても、潮流の速度の算出が無効とされる。よって、誤差の少ない潮流の速度をより確実に使用者に提示できる。
また、S20の処理により、各受信強度の中で最大強度と最小強度との差が第1閾値よりも大きい場合、S21の処理により、各受信強度の中で最大強度が第2閾値よりも大きい場合、又は、S22の処理により、各受信強度の中で最小強度が第3閾値よりも小さい場合に、その受信強度が判断された反射波に基づくS23の処理による潮流の速度の算出が非実行とされることで、その潮流の速度の算出が無効とされる。つまり、算出される潮流の速度に大きな誤差が含まれる可能性のある場合には、潮流の速度が算出されないので、誤差の少ない潮流の速度のみを使用者に提示できるとともに、不要な潮流の速度の算出処理が実行されることを抑制できる。
また、S20の処理、S21の処理又はS22の処理により、S23の処理による潮流の速度の算出が非実行とされ、潮流の速度の算出が無効とされた場合に、その潮流の速度の算出が無効とされたことを示す潮流速度算出無効情報が、表示装置15に表示される。これにより、潮流の速度の算出が無効とされた事実を使用者に把握させることができる。
また、S20の処理、S21の処理又はS22の処理により、S23の処理による潮流の速度の算出が非実行とされ、潮流の速度の算出が無効とされた場合に、超音波ビームTBを送受信する複数の方向の方位角が、S26の処理によって変更される。これにより、潮流の速度が精度よく算出できる方位角で、超音波ビームTBを送受信できる可能性を高めることができるので、誤差の少ない潮流の速度を使用者に可能な限り早く提示できる。
次いで、図7を参照して、第2実施形態における潮流計12について説明する。図7は、第2実施形態の潮流計12の制御装置50が実行する潮流計測処理を示すフローチャートである。
第1実施形態における潮流計12は、S20〜S22の処理により、4方向に送受信された超音波ビームTBの各反射波の受信強度から、その反射波に基づいて算出される潮流の速度に大きな誤差が含まれると判断される場合に、その潮流の速度の算出処理(S23)を非実行とすることで、潮流の速度の算出を無効とした。
これに対し、第2実施形態における潮流計12は、S20〜S22の処理により、4方向に送受信された超音波ビームTBの各反射波の受信強度から、その反射波に基づいて算出される潮流の速度に大きな誤差が含まれると判断される場合に、その潮流の速度は算出されるものの、その算出された潮流の速度を表示装置15に対して非表示とすることで、潮流の速度の算出を無効とする。
この第2実施形態における潮流計12の構成は、制御装置50にて実行される潮流計測処理の一部処理が第1実施形態における潮流計12と異なるほかは、第1実施形態の潮流計12と同一である。以下、第2実施形態における潮流計12について、第1実施形態の潮流計12と相違する点を中心に説明し、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
図7に示す通り、第2実施形態の潮流計12の制御装置50にて実行される潮流計測処理では、S16の処理の周波数解析により、解析深度データ53aにて示される解析深度毎に、超音波ビームTBが送信された4方向のそれぞれおいて、対応する解析深度からの反射波のドップラシフト周波数が導出され、S17の処理にて、解析深度毎に、各方向にそれぞれ導出されたドップラシフト周波数に対して平均化処理が実行されると、S18〜S22の処理による、4方向に送受信された超音波ビームTBの各反射波の受信強度から、その反射波に基づいて算出される潮流の速度に大きな誤差が含まれるか否かの判断を行う前に、平均化処理の実行された4方向の反射波のドップラシフト周波数を用いて、解析深度毎に、その解析深度における潮流の速度を算出する(S31)。このS31の処理は、第1実施形態の潮流計12の制御装置50にて実行される潮流計測処理のS23(図6参照)の処理と同一の処理が実行される。
そして、S20及びS21の処理により、全ての方向の反射波が水底から反射されたものではないと判断され、S22の処理により、全ての方向の反射波において、受信強度がある程度の大きさをもっていると判断される場合は(S20:Yes,S21:Yes,S22:Yes)、これらの反射波のドップラシフト周波数を用いて算出された潮流の速度に大きな誤差が含まれる可能性が少ないと判断できる。よって、この場合はS24の処理へ移行して、S31の処理により算出された潮流の速度を、その潮流の速度が算出された解析深度に対応付けて、表示装置15に表示する(S24)。
一方、S20の処理の結果、4方向の反射波の受信強度の最大値とその最小値との差が第1閾値よりも大きい場合は(S20:No)、一部の方向の反射波に水底から反射されたものがあると判断され、潮流の速度を算出したとしても、その算出した潮流の速度に大きな誤差が含まれる可能性が高い。よって、この場合は、S25の処理へ移行し、S24の処理である算出された潮流の速度の表示を非実行とすることで、潮流の速度の算出を無効とする。従って、使用者に対して、大きな誤差が含まれる潮流の速度が提示されることを抑制できる。
また、S21の処理の結果、4方向の反射波の受信強度の最大値が第2閾値よりも大きい場合は(S22:No)、少なくとも一部の方向の反射波に水底から反射されたものがあると判断され、正しく潮流の速度を算出できない可能性が高い。よって、この場合も、S25の処理へ移行し、S24の処理である算出された潮流の速度の表示を非実行とすることで、潮流の速度の算出を無効とする。従って、使用者に対して、大きな誤差が含まれる潮流の速度が提示されることを抑制できる。
また、S22の処理の結果、4方向の反射波の受信強度の最小値が第3閾値よりも小さい場合は(S22:No)、少なくとも一部の方向において反射波の受信強度が微弱であると判断され、算出する潮流の速度に大きな誤差が含まれる可能性が高い。よって、この場合も、S25の処理へ移行し、S24の処理である算出された潮流の速度の表示を非実行とすることで、潮流の速度の算出を無効とする。従って、使用者に対して、大きな誤差が含まれる潮流の速度が提示されることを抑制できる。
以上説明した通り、第2実施形態における潮流計12によれば、S20の処理により、各受信強度の中で最大強度と最小強度との差が第1閾値よりも大きい場合、S21の処理により、各受信強度の中で最大強度が第2閾値よりも大きい場合、又は、S22の処理により、各受信強度の中で最小強度が第3閾値よりも小さい場合に、その受信強度が判断された反射波に基づいて算出された潮流の速度が非表示とされることで、その潮流の速度の算出が無効とされる。つまり、算出される潮流の速度に大きな誤差が含まれる可能性のある場合には、算出した潮流の速度が表示されないので、誤差の少ない潮流の速度のみを使用者に提示できる。
その他、第2実施形態における潮流計12は、第1実施形態と同一の構成によって、同一の効果を奏する。
次いで、図8を参照して、第3実施形態における潮流計12について説明する。図8は、第3実施形態の潮流計12の制御装置50が実行する潮流計測処理を示すフローチャートである。
第2実施形態における潮流計12は、第2実施形態における潮流計12は、S20、S21及びS22の処理により、4方向に送受信された超音波ビームTBの各反射波の受信強度から、その反射波に基づいて算出される潮流の速度に大きな誤差が含まれると判断される場合に、算出された潮流の速度を表示装置15に対して非表示とすることで、潮流の速度の算出を無効とした。
これに対し、第3実施形態における潮流計12は、S20、S21及びS22の処理により、4方向に送受信された超音波ビームTBの各反射波の受信強度から、その反射波に基づいて算出される潮流の速度に大きな誤差が含まれると判断される場合に、算出された潮流の速度を表示装置15に対して表示する一方、その表示された潮流の速度が無効なものであることを示す潮流速度無効情報を表示することで潮流の速度の算出を無効とする。
この第3実施形態における潮流計12の構成は、制御装置50にて実行される潮流計測処理の一部処理が第2実施形態における潮流計12と異なるほかは、第2実施形態の潮流計12と同一である。以下、第3実施形態における潮流計12について、第2実施形態の潮流計12と相違する点を中心に説明し、第2実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
図8に示す通り、第3実施形態の潮流計12の制御装置50にて実行される潮流計測処理では、S20の処理の結果、4方向の反射波の受信強度の最大値とその最小値との差が第1閾値よりも大きい場合と(S20:No)、S21の処理の結果、4方向の反射波の受信強度の最大値が第2閾値よりも大きい場合と(S21:No)、S22の処理の結果、4方向の反射波の受信強度の最小値が第3閾値よりも小さい場合とにおいて(S22:No)、即ち、S31に処理にて算出された潮流の速度に大きな誤差が含まれる可能性が高いと判断できる場合において、S24の処理の代わりにS41の処理を実行する。
S41の処理では、S31の処理により算出された潮流の速度を、その潮流の速度が算出された解析深度に対応付けて、表示装置15に表示する一方、潮流速度無効情報も表示装置15に表示する(S41)。潮流速度無効情報は、例えば、三角形や菱形、円形の中に感嘆符(!マーク)を付した図形やその他の図形、又は、「計測無効」や「計測不能」といった文字によって、表示装置15のいずれかの領域に表示される。また、潮流速度無効情報は、表示装置15に表示された全ての潮流の速度を通常時とは異なる色で表示する(例えば、通常時は緑色で表示される潮流の速度を赤色で表示する)ことによって、表示されるものであってもよい。潮流速度無効情報が表示装置15に表示されることにより、算出されて表示装置15に表示された潮流の速度が、大きな誤差が含まれている可能性があり無効であるという事実を、使用者に把握させることができる。S41の処理の後、S26の処理へ移行する。
以上説明した通り、第3実施形態における潮流計12によれば、S20の処理により、各受信強度の中で最大強度と最小強度との差が第1閾値よりも大きい場合、S21の処理により、各受信強度の中で最大強度が第2閾値よりも大きい場合、又は、S22の処理により、各受信強度の中で最小強度が第3閾値よりも小さい場合に、その受信強度が判断された反射波に基づきS31の処理にて算出された潮流の速度とあわせて、S41の処理によって、その潮流の速度が無効であることを示す潮流速度無効情報が表示装置15に表示される。これにより、大きな誤差を含む可能性のある潮流の速度に対して、その潮流の速度が無効であることが使用者に示されるので、誤差の少ない潮流の速度が分かるように、使用者に提示できる。
その他、第3実施形態における潮流計12は、第2実施形態と同一の構成によって、同一の効果を奏する。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、各実施形態は、それぞれ、他の実施形態が有する構成の一部又は複数部分を、その実施形態に追加し或いはその実施形態の構成の一部又は複数部分と交換等することにより、その実施形態を変形して構成するようにしても良い。また、上記各実施形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
上記各実施形態では、解析深度データ53aにより示される解析深度の中で最も深い解析深度からの各反射波の受信強度に基づいて、その受信強度の最大値と最小値との差の大きさを判断し、その差が第1閾値以上である場合に、一部の方向の反射波が水底から反射されたものであると判断する場合について説明した。これに対し、解析深度データ53aにより示される全ての解析深度に対し、その解析深度毎に、その解析深度からの各反射波の受信強度に基づいて、その受信強度の最大値と最小値との差の大きさを判断し、その差が第1閾値以上である場合に、その解析深度からの反射波のうち一部の方向の反射波が水底から反射されたものであると判断するようにしてもよい。そして、解析深度データ53aにより示される解析深度のうち、当該判断により、その解析深度からの反射波が全ての方向で水底から反射されたものではないと判断された場合は、その反射波に基づいて算出された潮流の速度を有効なものとして表示装置15に表示し、当該判断により、その解析深度からの反射波のうち一部の方向の反射波が水底から反射されたものであると判断された場合は、その解析深度からの反射波に基づく潮流の速度の算出を無効とするようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、解析深度データ53aにより示される解析深度の中で最も深い解析深度からの各反射波の受信強度に基づいて、その受信強度の最大値を判断し、その最大値が第2閾値以上である場合に、少なくとも一部の方向の反射波が水底から反射されたものであると判断する場合について説明した。これに対し、解析深度データ53aにより示される全ての解析深度に対し、その解析深度毎に、その解析深度からの各反射波の受信強度に基づいて、その受信強度の最大値を判断し、その最大値が第2閾値以上である場合に、その解析深度からの反射波のうち一部の方向の反射波が水底から反射されたものであると判断するようにしてもよい。そして、解析深度データ53aにより示される解析深度のうち、当該判断により、その解析深度からの反射波が全ての方向で水底から反射されたものではないと判断された場合は、その反射波に基づいて算出された潮流の速度を有効なものとして表示装置15に表示し、当該判断により、その解析深度からの反射波のうち少なくとも一部の方向の反射波が水底から反射されたものであると判断された場合は、その解析深度からの反射波に基づく潮流の速度の算出を無効とするようにしてもよい。
このように、解析深度に応じて、有効に潮流の速度が算出できたものと判断できるものについては、たとえ他の解析深度において潮流の速度が無効とされる場合であっても、その有効に算出できた潮流の速度を使用者に提示できる。よって、使用者は、たとえ一部の解析深度のみであっても、その有効に算出できた潮流の速度を把握できる。
上記各実施形態では、解析深度データ53aにより示される解析深度の中で最も深い解析深度からの各反射波の受信強度に基づいて、その受信強度の最小値を判断し、その最小値が第3閾値以下である場合に、受信強度が微弱であるとして、算出する潮流の速度に大きな誤差が含まれる可能性が高いと判断する場合について説明した。これに対し、解析深度データ53aにより示される全ての解析深度に対し、その解析深度毎に、その解析深度からの各反射波の受信強度に基づいて、その受信強度の最小値を判断し、その最小値が第3閾値以下である場合に、その解析深度に対して算出する潮流の速度に大きな誤差が含まれる可能性が高いと判断してもよい。そして、解析深度データ53aにより示される解析深度のうち、当該判断により、その解析深度に対して算出する潮流の速度に大きな誤差が含まれる可能性は高くないと判断された場合は、その反射波に基づいて算出された潮流の速度を有効なものとして表示装置15に表示し、当該判断により、その解析深度に対して算出する潮流の速度に大きな誤差が含まれる可能性が高いと判断された場合は、その反射波に基づく潮流の速度の算出を無効とするようにしてもよい。このように、解析深度に応じて、有効に潮流の速度が算出できたものと判断できるものについては、たとえ他の解析深度において潮流の速度が無効とされる場合であっても、その有効に算出できた潮流の速度を使用者に提示できる。よって、使用者は、たとえ一部の解析深度のみであっても、その有効に算出できた潮流の速度を把握できる。
上記各実施形態では、全周型ソナーで構成された送受波ユニット16を1つ用いて、俯角θを設定しつつ、方位角δを順次変化させながら4方向に超音波ビームTBを送受信するものについて本発明を適用する場合について説明した。これに対し、4つ(又は2以上)の方位角δ方向毎に、対応する方位角δに向けて超音波ビームTBを送受信可能な送受波ユニットを設け、各々の送受波ユニットから俯角θにて超音波ビームTBを送受信するものであっても、本発明を適用可能である。