JP2017227108A - 扉体昇降機構を有するフラップゲート - Google Patents

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【課題】敷き段差のない水路でも確実に開閉することができ、複雑な制御をすることなく扉体を開閉でき、また扉体の回転動作及び略垂直方向動作によって夾雑物の挟み込みをより確実に防止できる扉体昇降機構を有するフラップゲートを提供する。【解決手段】扉体昇降機構を有するフラップゲート1は、主に敷き段差のない水路54に設置されて開閉するものであり、フラップゲート1は開口部51を閉塞するための扉体揺動軸21を中心に回動する扉体2と、扉体2を略鉛直方向へ昇降するための扉体昇降機構3を備え、扉体昇降機構3は水路上面に設置されたトルクアーム軸受45のトルクアーム軸44には浮力を有する昇降フロート46とトルクアーム43の一端とが取り付けられ、トルクアーム43の他端にはリンク軸42を介して昇降リンク41の一端が取り付けられ、昇降リンク41の他端が扉体揺動軸21に取り付けられている。【選択図】 図1

Description

本発明は、排水路や取水路などを開閉するフラップゲートに関するものである。
従来より、排水路や取水路などを扉体を回転させて水路を開閉させるフラップゲートが知られている。
図13(従来例1)は、従来のフラップゲートを示す断面図である。図13に示すフラップゲート201は、ゲート210と、このゲート210の上部を回転自在に支持するヒンジ203とを備えている。このフラップゲート201は、水路202の内側から作用する水圧によって、ゲート210を開閉する。
図13のフラップゲートは構造が比較的簡単で、設置もし易くコンパクトなので小さい水路にもローコストで設置できる利点がある。また、ゲートに駆動装置を取り付ければ強制的にゲート210を開閉することもできる。
しかしながら、図13のフラップゲートはゲート210の回転により流出口を開閉する際、ゲート210と流出口下部との間にゴミなどの夾雑物が挟まると、流出口を完全に密閉することができない可能性がある。
これに対して、特許文献1に開示されているオーバーリンクゲートは、単動型油圧シリンダと複動型油圧シリンダの2種類の油圧シリンダを制御して、まず、第2の単動型油圧シリンダを伸長させ4節リンク機構の第2リンクとし、第1の複動型油圧シリンダによって4節リンク機構を開動作させ、扉体を略鉛直方向へ引き上げたのち、扉体を回転させて水路を開放する構造となっている。逆に水路を閉じる場合には第1の複動型油圧シリンダによって4節リンク機構を閉動作させ、扉体を回転させて水路を半閉状態にしたのち、略鉛直方向に引き下げる動作によって流出口を密閉する。
また、従来のフラップゲートの設置においては、開口部下方の水路底部には敷き段差と呼ばれる段差を設けて、その敷き段差に扉体を当接することによって水路下部の水密性を確保したり、扉体の開度(初期開度)がわずかでも、水路と扉体との隙間が十分確保され、内水側からのわずかな排水も阻害しないように工夫されている。しかしながら、この敷き段差は水路設置時に予め設けることが望ましく、敷き段差のない既存の水路や、新設の水路であっても水理上の制約により敷き段差を設けられない水路では、内水側から外水側への水の流れを阻害しないために、扉体の初期開度を大きくとる必要がある。
敷き段差のない水路に設置するフラップゲートとしては、特許文献2のように、敷き段差のない水路であっても、開口部の外水側の水位の昇降に応じて外部フロートが上下に浮動し、外部フロートが下降したときにはその重量が扉体を円弧上に持ち上げる力として伝達されて開口部を開放するように作用し、外部フロートが浮力により上昇したときにはその上昇に応じて扉体を自重により円弧状に回動させて開口部を閉鎖するように作用し、内水側からの排水量が増えたときには内水側からの水流によって扉体を開放方向に回動させて、開口部を開放するように作用する扉体開閉制御手段を有する。
特許第3413598号 特開2016−65447号公報
ところが、図13のような従来型のフラップゲートを敷き段差のない水路に設置すると、扉体の下端が円弧状の軌跡を描くため扉体の下端と水路の底面との間に隙間が必要になる。この隙間がないと、扉体が完全に閉じる前に扉体下端が水路の底面に接触して止まり、最後まで閉じることができなくなる一方、隙間を設けると水密状態を確保できなくなる問題が発生する。
さらに、特許文献1のオーバーリンクゲートは、ゴミなどの夾雑物を挟み込むことをある程度防ぐことができるが、夾雑物の量や大きさによっては挟み込みを完全に防止することができない可能性があり、その点で課題があった。また、第2の単動型油圧シリンダは制御ができないので、状況に合わせた扉体の開閉制御において改善の余地があった。さらに、このオーバーリンクゲートは油圧シリンダを使用しているため従来例1(図13)のような従来型のフラップゲートのように無動力で自由揺動(自由開閉)の機能はなく、操作者による水位の監視と操作が必要であったり、無人の場合では各種センサーを用いた大がかりな装置を必要とし、通常時の内水排除や洪水時等の逆流防止において操作遅れが生じる危険性がある。
また、特許文献2のフラップゲートは、外部フロートが浮力により上昇したときその上昇に応じて扉体が自重により円弧状に回動し開口部を閉鎖する際、扉本体の下端部は円弧状の軌跡を描き、開口部を閉鎖する手前では水平方向の移動距離に対して鉛直方向の下降距離は小さく、扉本体下端部が戸当り面に当接した後、扉本体は背面が略鉛直方向になるように扉本体ヒンジ周りに揺動し扉本体下端部が下降すると共に、揺動アームの揺動軌跡に沿って扉本体ヒンジが下降するがそれらの下降距離は小さいため、水路の底面に土砂等の堆積物が多く堆積するところでは、堆積物によって扉体の揺動が邪魔され、扉体を完全に閉鎖できなくなる。また、開口部を閉鎖した後の扉本体と開口部の水密の取り方は、扉本体の背面である開口部側の上部と側部にP形水密ゴムを設け外水側の水圧によりP形ゴムを開口部戸当り面に圧着し水密を取るが、扉本体の下端部と水路下面の水密は扉体を自重により円弧状に回動させて開口部を閉鎖する機構であるため、扉本体の下部に設けられた平形水密ゴムを水路下面に圧着させる力は扉本体の自重のみで、扉体開閉制御手段からの押し付け力は作用せず、外水側の水位が高く水圧が大きいときは水密のためのシール圧が不足し下部からの漏水の危険性がある。
本発明の課題は、敷き段差のない水路でも確実に開閉することができ、複雑な制御をすることなく扉体を開閉でき、また扉体の回転動作及び略垂直方向動作によって夾雑物の挟み込みをより確実に防止できる扉体昇降機構を有するフラップゲートを提供することである。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、請求項1に記載の扉体昇降機構を有するフラップゲートの発明は、樋門等の水路に設置されて扉体が扉体揺動軸周りに自由揺動するフラップゲートであって、外水側の水位の変動に応じて上下浮動するフロートと、前記フロートが取り付けられて、前記フロートが水位の変動によって所定の位置より上昇した際には前記フロートの浮力によって前記扉体を略鉛直方向へ所定の距離押し下げ、前記フロートが水位の変動によって所定の位置より下降した際には前記フロートの重量によって前記扉体を略鉛直方向へ所定の距離持ち上げる扉体昇降機構と、を有することを特徴としている。
請求項2記載の発明は、前記扉体昇降機構が、昇降リンクとトルクアームとバランスアームによって構成されて前記扉体揺動軸に取り付けられる四節リンク機構であることを特徴とする請求項1に記載の扉体昇降機構を有するフラップゲートである。
請求項3記載の発明は、前記フロートが初期位置において前記扉体の外水側の前記水路の前記開口部上端より低い位置に配置され、前記扉体が所定の角度回動し開放されると前記フロートと前記扉体とが接触し、所定の角度より大きい開度では前記フロートと前記扉体とが当接したまま回動することを特徴とする請求項1又は2に記載の扉体昇降機構を有するフラップゲートである。
請求項4記載の発明は、前記フロートが軸中心に回転する円柱形状であり、前記フロートの円柱側面と前記扉体とが当接したまま回動する際に、前記フロートと前記扉体との間に生じる接触抵抗を前記フロート自体が回転することにより軽減する構造であることを特徴とする請求項3に記載の扉体昇降機構を有するフラップゲートである。
本発明の扉体昇降機構を有するフラップゲートによれば、フロートが水位の変動によって所定の位置より上昇した際にはフロートの浮力によって前記扉体を略鉛直方向へ所定の距離押し下げ、フロートが水位の変動によって所定の位置より下降した際には前記フロートの重量によって前記扉体を略鉛直方向へ所定の距離持ち上げる扉体昇降機構を有しているので、フロートの浮力による回転モーメントは、扉体揺動軸と共に上下に昇降させる力として作用し、扉本体の下端部は所定の距離持ち上げる昇降ストローク分だけ略鉛直状の軌跡で昇降し、引き上げ式のスライドゲートやローラーゲートと同様の昇降をするため、敷き段差のない水路や堆積物の多い水路においても開口部を完全に閉鎖することができる。また、モーターや油圧シリンダ等の動力機構を有さずに作動するため、地震時や停電時でも確実に扉体の開閉動作を行える利点もある。
また、請求項2記載の発明は、前記扉体昇降機構が、昇降リンクとトルクアームとバランスアームによって構成されて前記扉体揺動軸に取り付けられる四節リンク機構であるので、フロートの回転運動を効率よく扉体の鉛直方向への運動へ変換することができるので、フロートへの小さい外力(浮力)に対しても反応性よく扉体の鉛直方向運動へ移行することができる。
また、請求項3記載の発明は、フロートが初期位置において扉体の外水側の水路の開口部上端より低い位置に配置され、扉体が所定の角度回動し開放されるとフロートと扉体とが接触し、所定の角度より大きい開度ではフロートと扉体とが当接したまま回動することを特徴としているので、フロートの設置高さを低くすることができるため内水位が低い状態でもフラップゲートを作動することができ、さらに、フロートが扉体に当接してもその運動を阻害することなくフラップゲートをコンパクトに構成することができる。
また、請求項4記載の発明は、フロートが軸中心に回転する円柱形状であり、フロートの円柱側面と扉体とが当接したまま回動する際に、フロートと扉体との間に生じる接触抵抗をフロート自体が回転することにより軽減する構造であることを特徴としているので、フロートと扉体とが当接しながら回転する際にフロートと扉体の軌道が異なることによる摩擦が生じうる場合であっても、フロートが回転することにより摩擦抵抗を大幅に軽減することができるので扉体の回動運動を妨げることがなく扉体の開閉の応答性を高く維持できる。
本発明に係る扉体昇降機構を有するフラップゲートの実施形態の側面断面図を示す。 本発明に係る扉体昇降機構を有するフラップゲートの正面図を示す。 本発明に係る扉体昇降機構を有するフラップゲートの動作状態を示す図で、内水側からの水流で扉体が揺動している状態を示す。 本発明に係る扉体昇降機構を有するフラップゲートの動作状態を示す図で、扉体が略鉛直方向へ閉鎖開始する状態を示す。 本発明に係る扉体昇降機構を有するフラップゲートの動作状態を示す図で、扉体が略鉛直方向へ閉鎖完了した状態を示す。 本発明に係る扉体昇降機構を有するフラップゲートの揺動軸の動き及び扉体下端部の動きを示す拡大図を示す。 本発明に係る扉体昇降機構を有するフラップゲートの第2の実施例の側面断面図を示す。 本発明に係る扉体昇降機構を有するフラップゲートの第3の実施例の側面断面図を示す。 本発明に係る扉体昇降機構を有するフラップゲートの第3の実施例の正面図を示す。 本発明に係る扉体昇降機構を有するフラップゲートの第3の実施例の扉体揺動状態の側面断面図を示す。 本発明に係る扉体昇降機構を有するフラップゲートの第3の実施例の扉体閉鎖開始時の側面断面図を示す。 本発明に係る扉体昇降機構を有するフラップゲートの第3の実施例の扉体閉鎖完了時の側面断面図を示す。 従来のフラップゲート(従来例1)の側面断面図を示す。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態の一例について、さらに詳しく説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る扉体昇降機構を有するフラップゲートの実施形態の側面断面図である。図2は正面図である。図3は本発明の実施の形態に係る扉体昇降機構を有するフラップゲートの動作状態を示す図で、内水側からの水流で扉体が揺動している状態を示す。図4は本発明に係る扉体昇降機構を有するフラップゲートの動作状態を示す図で、扉体が略鉛直方向へ閉鎖開始する状態を示す。図5は本発明に係る扉体昇降機構を有するフラップゲートの動作状態を示す図で、扉体が略鉛直方向へ閉鎖完了した状態を示す。図6は本発明に係る扉体昇降機構を有するフラップゲートの揺動軸の動き及び扉体下端部の動きを示す拡大図を示す。図7は本発明に係る扉体昇降機構を有するフラップゲートの第2の実施例を示す側面断面図を示す。図8〜図12は本発明に係る扉体昇降機構を有するフラップゲートの第3の実施例の構成及び動作を示す。
扉体昇降機構を有するフラップゲート1は、主に敷き段差のない水路54に設置されて開閉するものであり、フラップゲート1は開口部51を閉塞するための扉体2と、扉体2を略鉛直方向へ昇降するための扉体昇降機構3を備えていて、図2のようなコの字状の土木躯体4に上方開放されて囲まれるように設置されている。
扉体2は、扉本体23が揺動アーム22を介して水路上方に設けられた扉体揺動軸21に回動可能に取り付けられていて、扉体揺動軸21を中心に揺動する構造となっている。扉体揺動軸21は、バランスアーム31の一端に支持され、バランスアーム31の他端はバランスアーム軸32を介して水路上面に設置されたバランスアーム軸受34に取り付けられ、バランスアーム軸32に設けられたバランスウェイト33によってバランスをとっている。
また、扉体2の開閉及び揺動動作やバランスを補助するためにカウンターウェイト24及び扉体内部フロート25が設けられている。図1ではカウンターウェイト24は扉体揺動軸21を中心に扉本体23とは反対方向に固定されているが、これに限らずフラップゲートの設置環境に応じて設けられればよい。扉体内部フロート25は水路の大きさや扉体の大きさ・重量に応じて最適な揺動・開閉動作を行えるサイズに設定する。
扉体2の下端部は本実施例では図1のように外力の掛からない静止時には水路54の開口部51(戸当り面52)よりも外水側で下面55よりも上方の位置に静止している。これによって水路の水量が少なく内水側の内水位が扉体2の下端部より低い状態では扉体の抵抗を受けずにスムーズに排水が行われる。
なお、扉体揺動軸21は後述する扉体昇降機構3に連結されていて、平常時(図3)には図1の実線位置で扉体2の揺動の軸となっており、外水側から大量の逆流が起こるような非常時(図4、図5)には図1の一点鎖線位置まで昇降ストロークS分略垂直下降して開口部51を完全閉鎖する構造となっている。
扉体昇降機構3は水路上面に設置されたトルクアーム軸受45のトルクアーム軸44には浮力を有する昇降フロート46とトルクアーム43の一端とが取り付けられ、トルクアーム43の他端にはリンク軸42を介して昇降リンク41の一端が取り付けられ、昇降リンク41の他端が扉体揺動軸21に取り付けられている。
つまり、扉体昇降機構3はバランスアーム31と昇降リンク41とトルクアーム43とによって四節リンク機構を構成しており、これによって水路上方に位置している昇降フロート46が外水側からの水位上昇によってその水位に応じてフロートが昇降し、昇降フロート46の自重による回転モーメント又は浮力による回転モーメントがトルクアーム軸44を介して四節リンク機構によって扉体揺動軸21を略垂直方向に昇降する構成となっている。
次に、扉体昇降機構3による扉体2の垂直方向の昇降動作について図3〜図6を参照して説明する。
図3は平常時のフラップゲートの揺動動作を示しており、内水側から外水側への水流によって扉体2が揺動(開放)されている状態となっている。
この状態では扉体揺動軸21は所定の位置で静止しており、扉体揺動軸21を中心に扉体2は内水側の水量に応じて揺動している。
図4、図5は外水側からの水流が多くなり、水路54の開口部51よりも大幅に外水位が高くなった非常時の状態となっている。外水が水路上方に設置された昇降フロート46の初期位置(一点鎖線)よりも高い位置となると、昇降フロート46がその浮力によってトルクアーム軸44を中心に上昇方向へ回動し、浮力による回転モーメントが四節リンク機構を有する扉体昇降機構3によって扉本体23を略垂直方向に下降させる力として作用することとなる。
図5のように扉体2が開口部51を閉鎖した状態において、閉鎖した後の扉本体23下部に通常設けられる平形水密ゴムを水路下面55に圧着させる力は、扉本体23・揺動アーム22・カウンターウェイト24の自重に加え、昇降フロート46の浮力による回転モーメントの力が加わり、扉体2下端部の水密が十分に確保されるという大きな利点がある。また、この機構によって敷き段差のない水路における課題となる閉鎖時の強固な水密性を解決することができる。
扉体2の昇降動作における扉体昇降機構3の動作及びそれに連動する扉本体23下端部の動作は、図6のように扉体昇降機構3の四節リンク機構による回転運動と垂直方向の昇降運動の軌跡が合成されるので、図6(b)のような扉本体23下端部の軌跡となる。
また、扉体昇降機構を有するフラップゲートの第2の実施例として図7のように昇降フロート46を開口部51の上方外水側に設けてもよい。さらに、より低い外水位において扉体2の略垂直方向の閉鎖動作を行えるように昇降フロート46を低い位置に設置してもよい。
昇降フロート46を外水側の低い位置に設置する別の構成としては、第3の実施例として図8〜図12を参照に説明する。
第3の実施例の扉体昇降機構を有するフラップゲート1は図8のように、扉体2は、扉本体23が揺動アーム22を介して水路上方に設けられた扉体揺動軸21に回動可能に取り付けられていて、扉体揺動軸21を中心に揺動する構造となっている。扉体揺動軸21は、バランスアーム31の一端に支持され、バランスアーム31の他端はバランスアーム軸32を介して水路上面に設置されたバランスアーム軸受34に取り付けられ、バランスアーム軸32に設けられたバランスウェイト33によってバランスをとっている。
扉体昇降機構3は昇降フロート46がトルクアーム43の一端に取り付けられ、トルクアーム43は水路上面に設置されたトルクアーム軸受45のトルクアーム軸44を回動動作の支点となるように取り付けられて他端をリンク軸42に接続され、リンク軸42には昇降リンク41の一端が接続され、昇降リンク41の一端は扉体揺動軸21に接続されている。
つまり、扉体昇降機構3はバランスアーム31と昇降リンク41とトルクアーム43とによって四節リンク機構を構成しており、これによって水路上方に位置している昇降フロート46が外水側からの水位上昇によってその水位に応じてフロートが昇降し、昇降フロート46の浮力による回転モーメントが扉体2の下降動作となり、自重による回転モーメントが扉体2の上昇動作となるようにトルクアーム軸44を介して四節リンク機構によって扉体揺動軸21つまり扉体2を略垂直方向に昇降する構成となっている。
図8、図9のように、昇降フロート46はトルクアーム43を介して扉体2の外水側に設けられ、初期位置として開口部51の上端部よりも低い高さに配置されている。昇降フロート46の高さは外水側から内水側への逆流を防ぐものであるので、初期位置の高さは水路の規模や水量等設置する条件に応じて変更することができる。また、昇降フロート46は軸中心に回転する円柱形状であり、昇降フロート46の円柱側面と扉体2とが当接したまま回動する際に、昇降フロート46と扉体2との間に生じる接触抵抗をフロート自体が回転することにより軽減することのできる構造となっている。
次に、図10を参照してフラップゲート1の揺動状態について説明する。
揺動状態では、内水側の水位が外水側の水位よりも高く、外水側への水流が発生している状態となっている。
内水側の水位が上昇することによって扉体2が開放されていき、所定の開度で扉体2前面(外水側)に設置されている昇降フロート46と接触することとなる。所定の開度以上に扉体2が開放される場合、昇降フロート46と扉体2とが当接したまま一緒に揺動する構造となっている。
昇降フロート46の軌道と扉体2の軌道が異なる場合、当接したまま一緒に回動すると当接部分は摩擦を生じながら一緒に回動することとなる。本実施例では昇降フロート46が軸中心に回転する円柱形状であり、昇降フロート46の円柱側面と扉体2とが当接したまま回動する際に、昇降フロート46と扉体2との間に生じる接触抵抗・摩擦をフロート自体が回転することにより軽減することができる。これにより応答性よくスムーズに扉体2の揺動動作を行うことができる。なお、揺動状態では扉本体23下端と下面55には常に隙間のあいた状態となっている。
次に、図11、図12を参照してフラップゲート1の閉鎖開始から閉鎖完了までの動作について説明する。
閉鎖開始時には外水側の水位が内水側の水位よりも高く、内水側への水流が発生している状態となっている。なお、扉体2は内水側方向への水圧により図では左回転による開口部閉鎖の動作も伴う。
外水位が所定の高さ以上になると昇降フロート46が浮力により上昇する。これに伴いトルクアーム43がトルクアーム軸44を支点に右回転となる方向へ回動し、トルクアーム43の端部のリンク軸42に接続された昇降リンク41を含めた扉体昇降機構3が四節リンク機構によって扉体揺動軸21つまり扉体2を略垂直方向へ下降させるように動作する。
図12のように、外水位の上昇に応じた昇降フロート46の浮力上昇をリンク機構を介することにより扉体2が開口部51を完全に閉鎖した状態となり、閉鎖した後の扉本体23下部に通常設けられる平形水密ゴムを水路下面55に圧着させる力は、扉本体23・揺動アーム22・カウンターウェイト24の自重に加え、昇降フロート46の浮力による回転モーメントの力が加わり、扉体2下端部の水密が十分に確保されるという大きな利点がある。また、この機構によって敷き段差のない水路における課題となる閉鎖時の強固な水密性を解決することができる。
本発明の扉体昇降機構を有するフラップゲートは、外部動力を有さないフラップゲートを一例として説明したが、これに限らず動力機構を有したゲートに適用して動力源喪失時の緊急用扉体昇降機構として利用することも可能である。
1 フラップゲート
2 扉体
3 扉体昇降機構
4 土木躯体
21 扉体揺動軸
22 揺動アーム
23 扉本体
24 カウンターウェイト
25 扉体内部フロート
31 バランスアーム
32 バランスアーム軸
33 バランスウェイト
34 バランスアーム軸受
41 昇降リンク
42 リンク軸
43 トルクアーム
44 トルクアーム軸
45 トルクアーム軸受
46 昇降フロート
51 開口部
52 戸当り面
53 底部戸当り面
54 水路
55 下面

Claims (4)

  1. 樋門等の水路の開口部に設置されて扉体が扉体揺動軸周りに自由揺動するフラップゲートであって、
    外水側の水位の変動に応じて上下浮動するフロートと、
    前記フロートが取り付けられて、前記フロートが水位の変動によって所定の位置より上昇した際には前記フロートの浮力によって前記扉体を略鉛直方向へ所定の距離押し下げ、前記フロートが水位の変動によって所定の位置より下降した際には前記フロートの重量によって前記扉体を略鉛直方向へ所定の距離持ち上げる扉体昇降機構と、
    を有することを特徴とする扉体昇降機構を有するフラップゲート。
  2. 前記扉体昇降機構が、昇降リンクとトルクアームとバランスアームによって構成されて前記扉体揺動軸に取り付けられる四節リンク機構であることを特徴とする請求項1に記載の扉体昇降機構を有するフラップゲート。
  3. 前記フロートが初期位置において前記扉体の外水側の前記水路の前記開口部上端より低い位置に配置され、前記扉体が所定の角度回動し開放されると前記フロートと前記扉体とが接触し、所定の角度より大きい開度では前記フロートと前記扉体とが当接したまま回動することを特徴とする請求項1又は2に記載の扉体昇降機構を有するフラップゲート。
  4. 前記フロートが軸中心に回転する円柱形状であり、前記フロートの円柱側面と前記扉体とが当接したまま回動する際に、前記フロートと前記扉体との間に生じる接触抵抗を前記フロート自体が回転することにより軽減する構造であることを特徴とする請求項3に記載の扉体昇降機構を有するフラップゲート。
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