以下、本発明の一実施形態に係るタイルについて、図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、タイルを敷設対象としての床に敷設する場合について説明する。
まず、タイルの形状及び構造について説明する。図1及び図3に示すように、タイル1は、六角形状に形成された薄板である。本実施形態のタイル1は、一枚の板で構成されている。タイル1は、表面2と、該表面2を囲む目地部3と、該目地部3からタイル1の厚み方向に延出する側面部4と、表面2の反対側に位置する裏面5とを備える。本実施形態のタイル1は、正六角形状に形成されている。
タイル1は、6つの頂点及び6つの辺を有する。以下、6つの頂点のうちの1の頂点を第1頂点P1として、該第1頂点P1を基準として時計回りに、第2頂点P2、第3頂点P3、第4頂点P4、第5頂点P5、及び第6頂点P6とする。また、第1頂点P1の両サイドに位置する2つの辺のうち、右側に位置する辺を第1辺S1として、該第1辺S1を基準として時計回りに、第2辺S2、第3辺S3、第4辺S4、第5辺S5、第6辺S6とする。
表面2には、意匠が施されている。具体的には、表面2には、タイル1を敷設した際にデザインを創出する意匠が施されている。本実施形態では、「表面2に意匠が施された」とは、表面2から意匠を視認できる状態を意味する。そのため、後述する柄層F2に意匠が印刷され、該柄層F2の上に重ねられた表層F1を通して柄層F2の意匠が視認できる場合も「表面2に意匠が施された」状態である。本実施形態の表面2は、略フラットで滑らかに形成されている。また、表面2には、後述するエンボス加工が施され、微小な凹凸CVが形成されている。
図3に示すように、目地部3は、表面2の端縁から延び、表面2の端縁に沿って設けられている。目地部3は、表面2が広がる面方向に対して裏面5側に向かって傾斜した傾斜面31を構成している。複数のタイル1が並べて敷設されると、目地部3が隣り合うタイル1とタイル1との間に位置することで、隣り合うタイル1の意匠同士が目地部3を介して連続し、該意匠同士が直接連続することを避けることができる。即ち、隣り合うタイル1の意匠同士が、目地部3で一度途切れつつ連続する。そのため、タイル1の製造の精度によってタイル1間で意匠が多少ずれていたとしても、タイル1の意匠同士の連続性を曖昧にすることができるので、目地部3は、デザインのずれを緩和することができる。
側面部4は、目地部3の端縁から延び、目地部3の端縁に沿って設けられている。側面部4は、タイル1の厚み方向(鉛直方向)に延びている。側面部4は、タイル1の厚み方向に対してタイル1の中心C側(図3参照)に向かってやや傾斜していてもよい。
裏面5には、細かい凹凸(図示しない)が規則的に設けられている。本実施形態の裏面5は、略フラットに形成されている。裏面5は、表面2よりも面積が大きく形成されている。
図3に示すように、本実施形態のタイル1には、目地部3と側面部4との境となる境界部BRが形成され、タイル1は、側面が六角形状となっている。
本実施形態のタイル1は、樹脂製材料によって形成されている。具体的には、タイル1は、複数の樹脂製の層が積層されることによって形成されている。図3に示すように、タイル1は、3層の樹脂製の層が積層されることによって形成されている。具体的には、タイル1は、上から、表層F1、柄層F2、下層F3の順で各層が積層されて形成されている。
表層F1は、所定の厚みを有するシート状の部材である。表層F1は、透明に形成されており、表層F1を通して柄層F2が視認可能となっている。表層F1は、端縁が傾斜面F1Cを構成している。本実施形態の表層F1は、塩化ビニル樹脂、可塑剤、安定剤、及び滑剤等を混合した材料で形成されている。表層F1は、例えば、0.1mm〜0.5mmの厚みで形成されている。また、耐傷付き性や耐久性を向上させるために、表層F1の上に、さらに表面保護層を設けてもよい。表面保護層は、たとえば紫外線硬化樹脂などの電離放射線硬化樹脂で形成することができる。
柄層F2は、例えば、下層F3の上面、又は表層F1の下面に印刷の施された模様フィルムを貼付することにより形成されてもよいし、直接模様を印刷することにより形成されてもよい。図3に例示する形態では、下層F3の上面に、印刷の施された模様フィルムを貼付することにより、所定の意匠が施されている。柄層F2の模様フィルムは、塩化ビニル樹脂、可塑剤、安定剤、滑剤、及び着色剤等を混合した材料で形成されている。尚、柄層F2は、着色剤を含有する樹脂組成物により形成されてもよいし、着色剤を含有する樹脂組成物に他の色の樹脂チップを添加して練り込む等の従来用いられている意匠形成手段によって形成されてもよい。
下層F3は、2層構造となっている。下層F3は、上側に位置する第1バック層F31と、下側に位置する第2バック層F4とを備える。また、下層F3には、ガラス繊維などの織布、ガラス繊維、スパンボンドなどの不織布を、中間層または最裏面に設けてもよい。第1バック層F31と第2バック層F4との間に、ガラス繊維などの織布、ガラス繊維、スパンボンドなどの不織布を設けてもよい。
第1バック層F31は、所定の厚みを有するシート状の部材である。第1バック層F31は、該第1バック層F31の一方の面から下方に延びる第1面F31Cであって、該一方の面から拡径する方向に傾斜した傾斜面を構成する第1面F31Cと、該第1面F31Cから下方に延びる第2面F32Cであって、第1バック層F31の厚み方向に延びる第2面F32Cとを有する。本実施形態の第1バック層F31は、塩化ビニル樹脂、可塑剤、安定剤、充填剤、着色剤、及びリサイクル材等の各種の材料を混合した材料で形成されている。
第2バック層F4は、所定の厚みを有するシート状の部材である。第2バック層F4は、端縁が側面F4Cを構成している。本実施形態の第2バック層F4は、塩化ビニル樹脂、可塑剤、安定剤、充填剤、着色剤、及びリサイクル材等の各種の材料を混合した材料で形成されている。
タイル1は、例えば、柄層F2が最も薄く、第1バック層F31が最も厚くなるように形成されている。タイル1は、表層F1の傾斜面F1C、柄層F2の端縁、及び第1バック層F31の第1面F31Cが目地部3の傾斜面31を構成し、第1バック層F31の第2面F32C及び第2バック層F4の側面F4Cが側面部4を構成している。また、第1バック層F31の第1面F31Cと第2面F32Cとの境界が、境界部BRとなっている。目地部3に傾斜面31が形成されている場合、タイル1同士を並べた際に、隣り合うタイル1間に傾斜面31が表れるので、タイル1間の意匠のずれが目立ちにくくなる。後述するグラデーション領域D2の作用に傾斜面31の効果が加わることによって、タイル1間の意匠のずれは、さらに目立ち難くなる。
次に、タイル1の表面2に施された意匠について説明する。
図1に示すように、タイル1は、6つの頂点のうちの1つの頂点である基準頂点SP及び該基準頂点SPの両側に位置する2つのサイド頂点DPによって三角形状に画定される三角形領域TR(図1の破線7で仕切られた領域)と、基準頂点SPを除く5つの頂点によって五角形状に画定される五角形領域PNであって、三角形領域TRを除く領域を構成する五角形領域PNとを備える。本実施形態では、第1頂点P1を基準頂点SPとし、第1頂点P1の左側に位置する第6頂点P6、及び第1頂点P1の右側に位置する第2頂点P2がサイド頂点DPを構成している。即ち、第1頂点P1、第6頂点P6、及び第2頂点P2の3つの頂点によって三角形領域TRが画定されている。また、第1頂点P1を除く、第2頂点P2から第6頂点P6の5つの頂点によって五角形領域PNが画定されている。
タイル1は、意匠が施された第1領域D1と、該第1領域D1の意匠とは異なる意匠が施された第2領域D3と、第1領域D1の意匠から第2領域D3の意匠へと段階的に変化させるように意匠が施されたグラデーション領域D2とを備える。第1領域D1と第2領域D3との間にグラデーション領域D2が位置するように、各領域が配置されている。
また、第1領域D1、第2領域D3、及びグラデーション領域D2には、共通の斑点DTであって、第1領域D1、第2領域D3、及びグラデーション領域D2に施された色彩とは異なる色彩から成る斑点DTが設けられている。
本実施形態の第1領域D1、第2領域D3、及びグラデーション領域D2の位置関係について説明する。図2は、図1のタイル1における表面2であって、意匠が省略された表面2を表している。図2に示すように、タイル1は、第1頂点P1と第4頂点P4とを結ぶ直線が延びる方向を縦方向として、該縦方向に略直交する横方向に延びる端縁によって、第1領域D1、グラデーション領域D2、及び第2領域D3における各領域同士の境界が構成されている。具体的には、タイル1は、第1領域D1とグラデーション領域D2との境界となる第1境界端縁50と、グラデーション領域D2と第2領域D3との境界となる第2境界端縁6とを有する。
図2に示すように、第1領域D1は、第1頂点P1から延びる第6辺S6及び第1辺S1と、第1境界端縁50とによって区画された三角形状の領域である(斜線が施された領域)。グラデーション領域D2は、第1境界端縁50の左端部501、右端部502、第2頂点P2、第2境界端縁6の右端部62、左端部61、及び第6頂点P6を頂点とする五角形状の領域である(無地の領域)。第2領域D3は、第2境界端縁6、及び第2辺S2から第5辺S5によって囲まれた五角形状の領域である(縦線が施された領域)。本実施形態では、第1領域D1の縦の長さL1とグラデーション領域D2の縦の長さL2とが略同じとなっている。具体的には、第1頂点P1と第4頂点P4との直線距離であるタイル1の高さLを7等分し、第1領域D1の縦の長さL1及びグラデーション領域D2の縦の長さL2はそれぞれ高さLの約1/7となっており、第2領域D3の縦の長さL3は高さLの5/7となるように各領域に分けられている。そのため、タイル1の表面2において、第2領域D3が占める面積が最も広くなっている。このような領域配分とすることによって、三角形領域TRに第1領域D1が配置され、グラデーション領域D2が三角形領域TRと五角形領域PNを跨るように配置することができる。そのため、タイル1単体の配色バランスが優れたものとなるだけでなく、タイル1同士を並べて敷設した際に他のタイル1との間でずれが生じても、タイル1間の意匠のずれが目立ちにくくなる。
第1領域D1は、三角形領域TR上に形成されている。本実施形態の第1領域D1は、三角形領域TRの全域に広がっているか、又は三角形領域TR内に収まるように形成されている。本実施形態では、第1領域D1は、三角形領域TR内に収まるように形成され、且つ三角形状に形成されている。第1領域D1は、頂点を三角形領域TRの第1頂点P1と共有し、第6辺S6及び第1辺S1の一部を含むように、三角形領域TR上に広がっている。第1領域D1は、三角形領域TR内でグラデーション領域D2に切り替わるように構成されている。
図1に示すように、タイル1の意匠は、ベースとなる色彩に斑点DTが散りばめられた斑模様のベース意匠に対して、ベースとなる色彩及び斑点DTとは異なる色彩から成る意匠が上塗りされることによって表されている。具体的には、ベース意匠は、ベースとなる第1カラーに、該第1カラーとは異なる色彩から成る第1斑点DT1が散りばめられるようにして表されている。また、第1カラーは、タイル1の表面2の面積の85%〜95%を占めるように施され、第1斑点DT1は、表面2の面積の約5%〜15%を占めるように施されている。第1カラーと第1斑点DT1との面積の比率をこのような範囲とすることによって、タイル1の意匠を損なうことなく、ゆらぎの効果を持たせることができる。タイル1の意匠にゆらぎ効果を持たせることによって、本発明のグラデーション領域D2の効果をさらに増して、タイル1間の意匠のずれをさらに目立ち難くすることが出来る。同時に、タイル1全体に散りばめられた第1斑点DT1によって、意匠全体に一体感を持たせる効果を奏することができる。
本実施形態の第1領域D1の意匠は、ベース意匠に対して、第1カラーよりも濃い第2カラー、及び第2カラーとは異なる色彩から成る第2斑点DT2が上塗りされることによって構成されている。即ち、第1領域D1には、4種類の色彩を用いて意匠が施されている。例えば、第1カラーがベージュ、第2カラーがグレー、第1斑点DT1がオレンジ、第2斑点DT2がオフホワイト等として、4色の組み合わせとなっている。このように、第1カラーと第2カラーが異なる色彩であっても、タイル1全体に第1カラー及び第2カラーと異なる色彩の第1斑点DT1を散りばめることによって、意匠全体に一体感を持たせることができる。
第1領域D1では、第2カラーは第1カラーよりも濃いため、第2カラーが上塗りされた状態では、第1カラーは視認し難くなっている。これに対して、第1斑点DT1は、第2カラーが上塗りされた状態でも、視認可能となっている。
第2カラーは、第1領域D1の面積の85%〜95%を占めるように施され、第2斑点DT2は、第1領域D1の面積の約5%〜15%を占めるように施されている。第1斑点DT1は、第2カラーが施された状態で視認可能であるため、第1領域D1には、第1斑点DT1及び第2斑点DT2を合計した約10%〜30%が斑点DTとして表れている。
グラデーション領域D2には、該グラデーション領域D2内で、第1領域D1の色彩から第2領域D3の色彩まで縦方向に段階的に変化するように意匠が施されている。グラデーション領域D2における第1境界端縁50近傍では、第2カラーが優先的に表れ、第1領域D1の意匠と同様の意匠となっている。グラデーション領域D2の中間領域は、第2カラーが縦方向下方、即ち第2領域D3へ向かうに従って徐々に薄くなると共に、第1カラーが視認できる程度に徐々に濃くなるように構成されている。第2境界端縁6近傍では、第1カラーが優先的に表れており、第2領域D3の意匠と同様の意匠となっている。本実施形態のグラデーション領域D2は、三角形領域TRと五角形領域PNとに跨って帯状に形成されている。
第2領域D3は、五角形領域PN上に形成され、五角形状に形成されている。第2領域D3は、タイル1の表面2における、第1領域D1及びグラデーション領域D2を除く領域である。本実施形態の第2領域D3には、ベース意匠が表れている。
図2に示すように、第1境界端縁50は、左端部501と、右端部502とを有する。本実施形態の左端部501は、第6辺S6上に位置している。また、右端部502は、第1辺S1上に位置している。具体的には、左端部501は、第6辺S6の中心よりも第6頂点P6側に設けられている。また、右端部502は、第1辺S1の中心よりも第2頂点P2側に設けられている。本実施形態では、図示するものではないが、第1境界端縁50は、左端部501から右端部502に亘って蛇行して形成されていることが好ましい。第1境界端縁50を蛇行させることによって、本発明のグラデーション領域D2のゆらぎ効果を高め、タイル1同士を並べて敷設した際に他のタイル1との間でずれが生じても、タイル1間の意匠のずれをより目立ちにくくすることができる。また、第1境界端縁50に蛇行を設けると、第1境界端縁50の位置が曖昧となるので、タイル1の打ち抜き形成時にずれが生じても、ずれを目立ち難くすることができる。
また、第2境界端縁6は、左端部61と、右端部62とを有する。第2境界端縁6は、三角形領域TR又は五角形領域PNに設けられている。本実施形態では、第2境界端縁6は、五角形領域PNに設けられている。本実施形態の左端部61は、第5辺S5上に位置している。また、右端部62は、第2辺S2上に位置している。具体的には、左端部61は、第5辺S5の中心よりも第6頂点P6側に設けられている。また、右端部62は、第2辺S2の中心よりも第2頂点P2側に設けられている。本実施形態では、第2境界端縁6は、左端部61から右端部62に亘って蛇行して形成されていることが好ましい。グラデーション領域D2の第2境界端縁6近傍の意匠は、第2領域D3の意匠との差が不明瞭となるように施されている。また、別の例として、第2境界端縁6が三角形領域TRに設けられていてもよい(即ち、図1における破線7よりも第1頂点P1側)。この場合、グラデーション領域D2が三角形領域TR内に収まり、タイル1を敷設した際に、デザインを綺麗に表すことができる。例えば、後述する図6や図8に例示するような態様で複数のタイル1を敷設した際に、第1頂点P1が第2境界端縁6と直線的に並ぶように表されるので、グラデーション領域D2に対して第1頂点P1が浮き上がるように現れ、第1頂点P1を綺麗に見せることができる。
図1に示すように、タイル1の表面2には、凹凸CVが形成されている。本実施形態では、表面2の全域に大きさ及び形状が異なる多数の凹凸CVが方向性無く不規則に表れるように、表面2にエンボス加工が施されている。具体的には、表面2には、石目調のエンボス加工が施されている。本実施形態では、エンボスの深度は平均で0.1mm〜0.2mmとなっている。このようなエンボス深度とすることによって、タイル1の敷設時に表出する凹凸CVの陰影が、タイル1の意匠性を損なうことなく、意匠全体に一体感を持たせる効果を奏することができる。また、凹凸CVの陰影は、第1斑点DT1と同様のゆらぎの効果をタイル1の意匠にもたらすことができ、本発明のグラデーション領域D2の効果をさらに増して、タイル1間の意匠のずれをさらに目立ち難くすることが出来る。
また、タイル1の表面2側には、端縁が直線状、アール状等に面取られた面取り部が形成されていてもよい。例えば、面取り部が形成されることによって、複数のタイル1を敷設した際に、隣り合うタイル1間に目地が形成されるので、柄のずれを隠蔽することができ、各タイル1の一体感を出すことができる。また、面取り部が形成されることによって、例えば、図6、及び図8に示す例のように、柄が直線状に形成されるようにタイル1を敷設した場合に、柄のずれを効果的に隠蔽することができると共に、柄の一体感を表現することができる。
本実施形態に係るタイル1の説明は以上である。以下、本実施形態に係るタイル1の製造方法について説明する。
本実施形態のタイル1は、図4に示すような、表面に意匠が施された樹脂製の打ち抜き材100を打ち抜くことによって製造される。打ち抜き材100は、複数の樹脂製の層が積層されることによって形成されている。図3は、打ち抜き後のタイル1を示すものであるが、打ち抜き材100は、図3に示す3層の樹脂製の層が積層されることによって形成されている。打ち抜き材100は、上から、表層F1、柄層F2、下層F3の順で各層が積層されて形成されている。各層の詳細については、既に説明しているため、説明は割愛する。
図4に示すように、打ち抜き材100は、意匠が施された第1領域D11と、該第1領域D11の意匠とは異なる意匠が施された第2領域D31と、第1領域D11の意匠から第2領域D31の意匠へと段階的に変化させるように意匠が施されたグラデーション領域D21とを備える。打ち抜き材100は、矩形の長尺な板状部材である。打ち抜き材100は、短手方向における中央部に、第1領域D11が長手方向に延びるように配置されており、該第1領域D11の両サイドに、グラデーション領域D21が長手方向に延びるように配置されている。即ち、打ち抜き材100には、第1領域D11とグラデーション領域D21とが、打ち抜き材100の中央部において長手方向に延びる線状の領域D100を構成し、線状の意匠として表れている。打ち抜き材100の第1領域D11の意匠は、タイル1の第1領域D1の意匠と同様の構成であり、グラデーション領域D21の意匠は、タイル1のグラデーション領域D2の意匠と同様であり、第2領域D31の意匠は、第2領域D3の意匠と同様であるため、各意匠の説明は割愛する。
本実施形態に係るタイル1の製造方法は、上記のような打ち抜き材100を形成する打ち抜き材形成工程と、該打ち抜き材100を打ち抜く打ち抜き工程と、打ち抜かれたタイル1の端部を面取りする面取り工程とを備える。
打ち抜き材形成工程は、打ち抜き材100を構成する各層を形成する層形成工程と、形成された層を積層して、積層体を形成する積層体形成工程と、積層体の表面に凹凸を形成する凹凸形成工程とを有する。
層形成工程は、塩化ビニル樹脂、可塑剤、安定剤等、各層の原料を混合して、シート状の層を形成する工程である。積層体形成工程は、層形成工程で形成された層を積層して、各層同士を加熱や加圧することによって接合する工程である。積層体形成工程では、例えば、ラミネート加工やプレス加工によって積層体を形成する。ラミネート加工では、第2バック層F4の上に第1バック層F31、柄層F2、表層F1の順に順次積層することで積層体を形成する。プレス加工では、各層を積層した状態で、プレス機によってプレスすることで積層体を形成する。凹凸形成工程は、エンボス板又はエンボスロールを積層体の表面に対して押圧することで、積層体の表面に凹凸CV(エンボス、図1参照)を形成する工程である。
図4に示すように、打ち抜き工程は、第1領域D11が、隣り合う3つの頂点によって画定される領域に位置するように、打ち抜き材100を六角形状に打ち抜く工程である。本実施形態の打ち抜き工程では、第1領域D11上に1つの頂点が位置し、該頂点の両側に位置する2つの頂点がグラデーション領域D21上に位置し、且つ残りの3つの頂点が第2領域D31上に位置するように、打ち抜き材100を打ち抜く。図5に示すように、タイル1が打ち抜かれると、第1領域D11上に位置する頂点が第1頂点P1となる。打ち抜き工程では、打ち抜き材100に表れた線状の領域D100に沿って、一枚の打ち抜き材100から複数のタイル1を打ち抜くものである。
具体的には、図4に示すように、打ち抜き工程では、短手方向における中央に対して左側に広がる左側領域DL及び短手方向における中央に対して右側に広がる右側領域DRに、各タイル1が長手方向に沿って並ぶように打ち抜き材100を打ち抜いていく。本実施形態では、各タイル1は、隣り合うタイル1に対して長手方向に間隔を開けるようにして打ち抜かれる。左側領域DLにおいて長手方向に沿って打ち抜かれるタイル1を左タイルLE1とし、打ち抜き材100の長手方向端部から順に左第1タイルLE11、左第2タイルLE12、左第3タイルLE13、左第4タイルLE14…とする。右側領域DRにおいて長手方向に沿って打ち抜かれるタイル1を右タイルR1とし、打ち抜き材100の長手方向端部から順に右第1タイルR11、右第2タイルR12、右第3タイルR13、右第4タイルR14…とする。
打ち抜き工程では、左タイルLE1と、右タイルR1とが長手方向で部分的に重なるようにして打ち抜かれる。即ち、左側領域DL及び右側領域DRは、中央部を共有している。そして、タイル1は、線状の領域D100に、長手方向に沿って、左タイルLE1と、右タイルR1とが交互に配されるように打ち抜かれる。これによって、複数のタイル1を一工程で精度よく製造することができる。
面取り工程は、打ち抜き工程で打ち抜かれたタイル1の端縁を面取りする工程である。該面取り工程では、タイル1は、表層F1、柄層F2、及び下層F3の一部が含まれるように面取りされる。また、面取り工程で面取りされることによって、下層F3が表出し、目地部3の目地が表れる。面取り工程は、タイル1の端縁を切削によって面取りするものであっても良い。また、面取り工程は、打ち抜き工程と同時に行なわれても良い。面取り工程と打ち抜き工程とが同時に行なわれることによって、一工程短縮することができるので、作業効率を高めることができる。尚、面取りと打ち抜きとを同時に行なう押圧刃を有する装置によって、面取り工程と打ち抜き工程とを同時に行なうことができる。
本実施形態に係るタイル1の製造方法は以上である。次に、本実施形態のタイル1によって表現されるデザインについて説明する。本実施形態のタイル1によって表現し得るデザインには、該タイル1のみを組み合わせて表現されるデザインの他に、該タイル1と、単色が施された単色タイル8とを組み合わせて表現されるデザインが含まれる。単色タイル8としては、例えば、第1領域D1の意匠のみが施された第1単色タイル81(図12、図13参照)と、第2領域D3の意匠のみが施された第2単色タイル82(図14参照)とが用いられる。
図6〜図11には、本実施形態に係るタイル1のみを組み合わせて表現されるデザイン例が示されている。図6は、第1領域D1及びグラデーション領域D2が横方向に延びる横ラインQを表し、該横ラインQが縦方向に複数並んだデザインを表現している。具体的には、三角形を構成するように並ぶ各タイル1を、それぞれタイルA、タイルB、タイルCとすると、各タイル1は、タイルAの第1頂点P1A、タイルBの第2頂点P2B、及びタイルCの第6頂点P6Cが突き合うように並べられている。
図7は、図6と同様に、第1領域D1及びグラデーション領域D2が横方向に延びる横ラインQを表し、該横ラインQが縦方向に複数並んだデザインを表現している。図7では、タイルAの第4頂点P4A、タイルBの第2頂点P2B、及びタイルCの第6頂点P6Cが突き合うように並べられている。これにより、図7は、横ラインQが、上側端縁が切欠かれた凹凸ラインQ1となっており、該凹凸ラインQ1が、山と谷とを繰り返し描くようなデザインを表現している。
図8は、第1領域D1及びグラデーション領域D2が横方向(又は縦方向)に対して傾斜した傾斜ラインTを表し、該傾斜ラインTが傾斜した状態で横方向に複数並んだデザインを表現している。図8では、4枚のタイル1によって1つの傾斜ラインTが表現されている。図9は、図8の傾斜ラインTが短くなったものである。図9では、2枚のタイル1によって1つの傾斜ラインTが表現されている。本実施形態に係るタイル1は、図8及び図9に示すように、傾斜ラインTを長くすることで、長めの柄を繰り返し表し、大柄を表現すこともできるし、傾斜ラインTを短くすることで、短めの柄を繰り返し表し、細かな柄を表現することもできる。
図10は、第1領域D1及びグラデーション領域D2が三角形状の柄G1を表現している。具体的には、タイルAの第1頂点P1A、タイルBの第1頂点P1B、及びタイルCの第1頂点P1Cが突き合うように各タイル1が並べられている。
図11は、第1領域D1及びグラデーション領域D2が、九角形状の領域G2の輪郭を形成するようなデザインを表現している。具体的には、タイルA、タイルB、及びタイルCの第2頂点P2が突き合わされて該第2頂点P2を中心とする第1の風車G21と、タイルA、タイルB、及びタイルCの第6頂点P6が突き合わされて該第6頂点P6を中心とする第2の風車G22とが、1つの羽根を共有するように表現されている。
図12及び図13は、本実施形態に係るタイル1と、第1単色タイル81とを組み合わせることによって表現されたデザインを表している。図12は、第1単色タイル81を囲むようにタイル1が並べられることで、大きな三角形状の柄G3を表現している。また、図13は、本実施形態に係るタイル1の凹凸ラインQ1の間に、第1単色タイル81が横方向に並ぶように配置されることで、横ラインQを太く表し、該横ラインQが縦方向に複数並んだデザインを表現している。
図14は、本実施形態に係るタイル1と、第2単色タイル82とを組み合わせることによって表現されたデザインを表している。図14は、図12の第1単色タイル81が第2単色タイル82に置き換えられたデザインを表現している。そのため、大きな三角形状の柄G4の内側がくり抜かれたような、三角形状の輪郭を表現している。
以上のように、上記実施形態に係るタイル1は、グラデーション領域D2によって第1領域D1と第2領域D3との境界が曖昧(不明瞭)になっているので、タイル1同士を並べた際に、表された意匠がタイル1間でずれていても、タイル1間の意匠のずれが目立ちにくくなる。また、タイル1を六角形状にすることで、タイル1の組み合わせの自由度を広げることができる。
上記実施形態のタイル1では、タイル1の表面2に凹凸CVが形成されることで、様々な方向に光が反射するため、グラデーション領域D2に明るく見える部分や暗く見える部分ができる。そのため、グラデーション領域D2の意匠がぼやけたように変化するので、第1領域D1から第2領域D3へと意匠を自然に変化させることができる。
上記実施形態のタイル1では、第1領域D1、第2領域D3、及びグラデーション領域D2に、共通の斑点DTが各領域の面積を基準にして5〜15%となるように設けられていることで、第1領域D1、第2領域D3、及びグラデーション領域D2に統一感が出るので、第1領域D1から第2領域D3へと意匠を自然に変化させることができる。
上記実施形態のタイル1は、表面2に意匠が施された樹脂製の打ち抜き材100であって、第1領域D11と、該第1領域D11の意匠とは異なる意匠が施された第2領域D31と、前記第1領域D11と前記第2領域D31との間に位置するグラデーション領域D21であって、第1領域D11の意匠から第2領域D31の意匠へと段階的に変化させるように意匠が施されたグラデーション領域D21と、を備える打ち抜き材100を、前記第1領域D11が、隣り合う3つの頂点によって画定される領域に位置するように六角形状に打ち抜くことで製造される。
かかる製造方法によって製造されたタイル1は、六角形の隣り合う3つの頂点によって画定される三角形の領域に第1領域D11が表れ、該第1領域D11と第2領域D31との間にグラデーション領域D21が表れるように形成される。そのため、グラデーション領域D21によって第1領域D11と第2領域D31との境界が曖昧(不明瞭)になっているので、タイル1同士を並べた際に、表された意匠がタイル1間でずれていても、タイル1間の意匠のずれが目立ちにくくなる。しかも、タイル1を六角形状に形成することで、タイル1の組み合わせの自由度を広げることができる。
また、タイル1の表面2の意匠がタイル1間でずれていても、タイル1間の意匠のずれが目立ちにくいので、高い打ち抜き精度が要求されず、製造に対する負荷を下げることができる。
また、かかるタイルの製造方法では、打ち抜き材100を樹脂製とすることで打ち抜き易くなっている。具体的には、樹脂製材料は、セラミックや木材と比較して、打ち抜き刃等の切断手段によって打ち抜く際に、端縁が壊れ難く、容易に打ち抜くことができる。また、端縁を綺麗に仕上げることができる。
上記実施形態の第2境界端縁6は、左端部61から右端部62に亘って蛇行して形成されている。そのため、グラデーション領域D2と第2領域D3との境界を不明瞭に表すことができるので、グラデーション領域D2から第2領域D3へと自然に繋げることができる。また、複数のタイル1を敷設した際に各タイル1の一体感を表出することができる。
上記実施形態において、タイル1が表面2から下方側に向けて徐々に拡径し、目地部3と側面部4との境となる境界部BRを境に徐々に縮径し、裏面5に至るように形成されている場合には、タイル1を敷設する際に、隣り合うタイル1同士は、側面部4同士が当接することなく、境界部BR同士が突き当たった状態で敷き詰められる。即ち、側面部4が境界部BRよりもタイル1の中心C側に退避した形状となっているので、タイル1を並べた際に、各タイル1の側面部4が境界部BRの下側に隠れた状態となる。これにより、目地部3が綺麗に表側に現れると共に、隣り合うタイル1間で隙間が形成され難くなっている。
上記実施形態では、タイル1の表面2の全域に、大きさ及び形状が異なる多数の凹凸CVが不規則に表れるように、エンボス加工が施されている。そのため、上記実施形態のタイル1は、陶器の表面を表したような柔らかいデザインを創出することができる。また、複数のタイル1を敷設した際に、各タイル1の一体感を表出することができる。
上記実施形態では、打ち抜き材100は、線状の領域D100に、長手方向に沿って、左タイルLE1と、右タイルR1とが交互に配されるように打ち抜かれる。そのため、打ち抜き材100を無駄なく打ち抜くことができる。
尚、本発明のタイル1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
上記実施形態では、タイル1について説明したが、図6〜図14に示すように、該タイル1を複数備えたタイルセット10の発明としても捉えることができる。タイルセット10の発明としても、上記タイル1と同様の作用効果を奏することは言うまでもない。また、タイルセット10は、図6〜図14に係るデザインが組み合わされたデザインを表現してもよいし、図6〜図14に係るデザイン以外のデザインも表現することができる。即ち、使用者は、自由にデザインを創作することで、多種多様なデザインを表現することができる。
上記実施形態では、タイル1を床に敷設する場合について説明したが、これに限定されるものではない。タイル1は、壁や天井に貼り付けられてもよい。即ち、タイル1が敷設される場所については限定されるものではない。
上記実施形態では特に言及するものではないが、打ち抜き工程では、タイル1を1枚ずつ打ち抜くものでもよいし、複数枚のタイル1を一度に打ち抜くものであってもよい。例えば、左側領域DLの左タイルLE1を一度に打ち抜いた後に、右側領域DRの右タイルR1を一度に打ち抜くものでもよい。また、左側領域DL及び右側領域DRのタイル1を全て同時に打ち抜くものであってもよい。
上記実施形態では、第2カラーが第1カラーよりも濃い場合について説明したが、これに限定されるものではない。第2カラーは、第1カラーよりも薄くてもよい。即ち、カラーが薄い領域(第1領域D1)が、カラーが濃い領域(第2領域D3)よりも広い面積を占めることによって、タイル1を敷設した際に、第2カラーが薄く際立つようにしてもよい。また、第1カラー、第2カラー、第1斑点DT1及び第2斑点DT2の色彩の組み合わせは、自由に選択することができる。
上記実施形態では、タイル1が一枚の板で構成されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。タイル1は、六角形状であればよく、例えば、6つの三角形(例えば、正三角形)の各頂点同士を突き合わせることによって六角形状としてもよいし、2つの台形の底辺同士を突き合わせるようにして六角形状としてもよい。
上記実施形態では、タイル1が樹脂製材料によって形成されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。タイル1は、意匠が明瞭に表現でき、製造も容易な樹脂製材料が本発明の実施には最適であるが、例えば、セラミックや木板、ガラス、金属、石の表面に意匠が施されたものであってもよい。また、セラミックや木板の上に、柄層F2や表層F1等の樹脂製の層が積層されていてもよい。また、タイル1は、タイルカーペットであってもよい。
上記実施形態では、グラデーション領域D2には、第1境界端縁50近傍に、第1領域D1の意匠と略同様の意匠が設けられ、第2境界端縁6近傍に、第2領域D3の意匠と略同様の意匠が設けられている場合について説明したが、これに限定されるものではない。グラデーション領域D2は、第1領域の意匠から第2領域の意匠へと段階的に変化させることができればよく、グラデーション領域D2には、第1領域D1又は第2領域D3との境界端縁において、第1領域D1の意匠又は第2領域D3の意匠と異なるように(即ち、隣接する領域と共通の意匠を有することなく)意匠が施されてもよい。
上記実施形態では、第1領域D1が三角形領域TR内に収まるように形成されている場合について説明したがこれに限定されるものではない。第1領域D1は、三角形領域TRをはみ出して、五角形領域PNに至るように形成されていてもよい。これに伴い、グラデーション領域D2は、五角形領域PNに形成されていてもよい。
上記実施形態では、意匠として、色彩が表されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。意匠は、模様であってもよい。例えば、第1領域D1に細かい柄が施され、第2領域D3に色彩が施され、グラデーション領域D2において、細かな柄が大柄になるように変化することで、第1領域D1の意匠から第2領域D3の意匠へと段階的に変化させてもよい。
上記実施形態では特に言及するものではないが、タイル1には、裏面5にも意匠が施されていてもよい。例えば、裏面5には表面2とは異なる意匠が施されていてもよい。即ち、タイル1は、リバーシブルであってもよい。
上記実施形態では、第1領域D1、第2領域D3、及びグラデーション領域D2には、共通の第1斑点DT1が設けられている場合について説明したが、これに限定されるものではない。第1領域D1、第2領域D3、及びグラデーション領域D2には、異なる色彩から成る斑点DTが設けられていてもよい。例えば、第1領域D1及び第2領域D3に、それぞれ異なる色彩から成る斑点DTが設けられていてもよく、グラデーション領域D2に、第1領域D1及び第2領域D3に設けられた2種類の斑点DTが設けられていてもよい。
また、上記実施形態では特に言及するものではないが、第1領域D1には、第2領域D3にベース色として施された第1カラーから成る斑点DTが設けられ、第2領域D3には、第1領域D1にベース色として施された第2カラーから成る斑点DTが設けられ、グラデーション領域D2には、第1カラー及び第2カラーから成る2種類の斑点DTが設けられていてもよい。これにより、第1領域D1、グラデーション領域D2、及び第2領域D3には、斑点DTを介して統一感が出て、タイル1は、自然なデザインを表現することができる。
上記実施形態では、石目調のエンボス加工が施されている場合について説明したがこれに限定されるものではない。エンボスの形状は、梨地、ストレート、割肌、スタッコ等であってもよい。また、エンボスの深度については限定されず、0.2mmよりも深くてもよく、浅くてもよく、エンボス間で異なっていてもよい。要は、第1領域D1の意匠から第2領域D3の意匠へと、自然に変化させることができればよい。
上記実施形態では特に言及するものではないが、第1カラーと第2カラーとの明度差としては、例えば、7.5〜8とすることができる。また、第1カラーと第2カラーとの色差ΔEとしては、例えば、5前後とすることができる。このようにすることで、第1領域D1と第2領域D3との差異が明確になりすぎず、柔らかいデザインを表現することができる。しかしながら、明度差及び色差の双方について、この数値に限定されるものではない。
上記実施形態では特に言及するものではないが、タイル1の大きさについては特に限定されるものではなく、敷設対象に相応しい所望の大きさのタイル1を使用できることは言うまでもない。