JP2017226830A - 樹脂組成物、フィルム、及び繊維 - Google Patents
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Abstract
Description
(1) 熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーのうち少なくとも1種類の樹脂、アクリル系成分、及び充填剤を含み、アクリル系成分を除く樹脂全体を100質量部としたときに、充填剤の含有量が10質量部以上200質量部以下であることを特徴とする、樹脂組成物。
(2) 熱可塑性ウレタン樹脂を含み、かつポリエステル系エラストマー及び/またはポリアミド系エラストマーを含むことを特徴とする、(1)に記載の樹脂組成物。
(3) (1)または(2)に記載の樹脂組成物からなる層(A層)を、少なくとも一方の最表面に有することを特徴とする、フィルム。
(4) 前記A層の摩擦係数が0.05以上0.80以下であることを特徴とする、(3)に記載のフィルム。
(5) せん断かたさが、0.1〜6.0gf/(cm・deg)以下であることを特徴とする、(3)または(4)に記載のフィルム。
(6) 伸度保持率が、75%以上であることを特徴とする、(3)〜(5)のいずれかに記載のフィルム。
(7) 以下の特徴1及び2を備える層(B層)を有することを特徴とする、(3)〜(6)のいずれかに記載のフィルム。
特徴1:熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーのうち少なくとも1種類の樹脂を含む。
特徴2:前記A層のアクリル系成分を除く樹脂全体を100質量部としたときの、A層における充填剤の含有量をXa質量部、B層のアクリル系成分を除く樹脂全体を100質量部としたときの、B層における充填剤の含有量をXb質量部としたときに、Xa>Xbである。
(8) 前記A層と前記B層が接することを特徴とする、(7)に記載のフィルム。
(9) 前記A層/前記B層/前記A層の2種3層構成であることを特徴とする、(7)または(8)に記載のフィルム。
(10)空孔率が10%以上50%以下であることを特徴とする、(3)〜(9)のいずれかに記載のフィルム。
(11) 透湿度が1,000g/(m2・day)以上であることを特徴とする、(3)〜(10)のいずれかに記載のフィルム。
(12) (1)または(2)に記載の樹脂組成物からなる繊維。
本発明の樹脂組成物は、フィルムや繊維とした際に柔らかさを付与する観点から、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーのうち少なくとも1種類の樹脂を含むことが重要である。熱可塑性ウレタン樹脂とは、短鎖グリコールとジイソシアネートによりなるハードセグメント相と、長鎖ポリオールとジイソシアネートよりなるソフトセグメント相とを有するブロックポリマーを指す。熱可塑性ウレタン樹脂は、ソフトセグメントの種類によりポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカプロラクトン系、及びポリカーボネート系等に分類される。
本発明の樹脂組成物は、フィルムや繊維とした際の機械特性の維持、粘着(ブロッキング)防止性やハンドリング性の向上、及びフィルムとしたときの触感向上の観点から、充填剤を含むこと、及び後述するアクリル系成分を除く樹脂全体を100質量部としたときに、充填剤の含有量が10質量部以上200質量部以下であることが重要である。充填剤とは、樹脂組成物中に含有させたときに、その諸性質の改善効果、及び/または樹脂組成物の体積を増加させる効果が認められる不活性物質をいう。充填剤を含有させることにより、樹脂組成物の諸性質の改善だけでなく、製品の製造コストを低減させることもできる。
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーのうち少なくとも1種類と充填剤を含むため、樹脂組成物中に分散する充填剤近傍での伸度低下により、溶融製膜時や溶融紡糸時の口金リップ部やノズル部への熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーと充填剤を含む樹脂組成物の堆積が起こり、この堆積物の一部が製膜中のフィルム表面や紡糸中の繊維表面に異物として混入しやすくなる(以下、この堆積物を目やにということがある。)危険性をはらんでおり、充填剤として炭酸カルシウムを用いる場合には、特にこの現象が顕著となる。本発明の樹脂組成物は、フィルム破れや糸切れの起点となり、かつ外観不良の原因ともなる目やにの発生を軽減する観点から、アクリル系成分を含むことが重要である。
本発明のフィルムは、本発明の樹脂組成物からなる層(A層)を、少なくとも一方の最表面に有することを特徴とする。このようなフィルムは、医療分野では細菌やウイルス等に対して、衣料分野では風雨や汚染物質等に対しての遮断材料として用いることができ、衛生材の分野では、例えば生理用品であれば下着への経血、おむつであれば下着への尿の浸透防止材料として用いることができる。
本発明のフィルムの厚みは、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、ハンドリング性及び生産性の観点から、3μm以上200μm以下であることが好ましい。ここでいうフィルムの厚みとは、フィルムがA層のみの単層構成であるか、A層以外の層を有する積層構成であるかにかかわらず、フィルム全体の厚みをいう。フィルムの厚みは、走査型電子顕微鏡でフィルム断面の写真を観察することにより測定することができる。
本発明のフィルムは単層構成であっても積層構成であってもよいが、積層構成である場合は、製膜性や機械特性の観点から、以下の特徴1及び2を備える層(B層)を有することが好ましい。
特徴1:熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーのうち少なくとも1種類を含む。
特徴2:前記A層のアクリル系成分を除く樹脂全体を100質量部としたときの、A層における充填剤の含有量をXa質量部、B層のアクリル系成分を除く樹脂全体を100質量部としたときの、B層における充填剤の含有量をXb質量部としたときに、Xa>Xbである。
前記A層およびB層を有する積層フィルムは、A層が少なくとも一方の表面に配置されている限り特に制限されないが、後述するせん断かたさや透湿度の観点からA層とB層が接することが好ましく、A層/B層/A層の2種3層構成であることがより好ましい。A層とB層が接する積層構成とすることにより、層間密着力の不足による層間剥離を抑制しやすくなる。
本発明フィルムは、フィルムの少なくとも一つの面に触れた際の触感を向上させる観点から、A層の摩擦係数が、0.05以上0.80以下であることが好ましい。ここで摩擦係数とは、Kawabata Evaluation System法(KES法)に従い測定される摩擦係数をいい、具体的には、23℃、相対湿度65%の雰囲気下で、滑り子として標準摩擦子(指紋タイプ)を取り付け、荷重12gf、1mm/secの速度で滑り子をサンプルの表面で移動させて、KES法により測定される摩擦係数をいう。
本発明のフィルムは、布のような柔らかさを付与する観点から、せん断かたさ(G)が0.1gf/(cm・deg)以上6.0gf/(cm・deg)以下であること好ましい。
式G1:G(+)=(HG2.5−HG0.5)/(2.5°−0.5°)
式G2:G(−)=(HG−2.5−HG−0.5)/(−2.5°−(−0.5°))
フィルムのせん断変形性をより向上させる観点から、せん断かたさ(G)は、0.1gf/(cm・deg)以上3.0gf/(cm・deg)以下であることがより好ましく、0.1gf/(cm・deg)以上1.0gf/(cm・deg)以下であることがより好ましい。
本発明のフィルムは、せん断かたさを小さくして布のような柔らかさを持たせることや、布のような心地よい触感を持たせることを目的として、製膜後にエンボス加工を施して表面凹凸形状を付与することがある。エンボス加工性を向上させる観点から、本発明のフィルムは、伸度保持率が、75%以上であることが好ましい。伸度保持率とは、120℃の雰囲気下にて1分間、フィルムを長手方向に1.5倍の長さに伸長させた後のフィルム長手方向の伸度保持率を意味する。ここで、長手方向とはフィルム製造時にフィルムが進行する方向をいう。
フィルム長手方向の伸度保持率(%)=100×(伸長開放後の直線の長さ−30)/(45−30)
フィルム長手方向の伸度保持率は、エンボス加工性のさらなる改良の観点から、高いほど好ましい。そのため、フィルム長手方向の伸度保持率は、80%以上100%以下であることがより好ましく、90%以上100%以下であることがさらに好ましい。
本発明のフィルムは、機械特性を維持しつつ後述する透湿度を向上させる観点から、空孔率が10%以上50%以下であることが好ましい。空孔率が10%以上50%以下であれば、フィルムは衛生材等の用途に用いることができるレベルの透湿性及び機械特性を容易に実現できる。空孔率は、より好ましくは20%以上50%以下、さらに好ましくは30%以上40%以下である。
空孔率(%)=〔(d−ρ)/d〕×100
フィルムの空孔率を10%以上50%以下又は上記の好ましい範囲とするための手段は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、フィルムを得るための樹脂組成物の組成を調整するとともに、後述する延伸方法においてフィルムを得る方法が挙げられる。具体的には、熱可塑性ウレタン樹脂、アクリル系成分、充填剤を含む樹脂組成物より得られた無配向フィルムを、後述する延伸方法において延伸倍率を小さくすれば空孔率を小さくすることができ、延伸倍率を大きくすれば空孔率を大きくすることができる。
本発明のフィルムは、衛生材や衣服などの透湿性が要求される用途に使用する場合、透湿度が1,000g/(m2・day)以上であることが好ましい。ここで透湿度とは、水蒸気の透過性の指標であり、より具体的には、25℃、90%RHに設定した恒温恒湿装置にて、JIS Z0208(1976)に規定された方法により測定する透湿度をいう。透湿度が1,000g/(m2・day)以上であれば、衛生材や衣服として用いる際に皮膚とフィルムの間に滞留する水蒸気をスムーズにフィルム外に排出することができ、快適な着用感が得られる。
本発明のフィルムは、引張りやねじり、突き刺し等の外力による破れを軽減する観点から、本発明の樹脂組成物よりなるフィルムは、長手方向の破断伸度と幅方向の破断伸度が共に100%以上であることが好ましく、200%以上であることがより好ましく、300%以上であることがさらに好ましい。このような態様とすることにより、衛生材や衣服などに使用してもフィルムが破断しにくくなる。長手方向及び幅方向の破断伸度はどちらも高ければ高いほど好ましいが、衛生材や衣服などに使用する観点から1,000%程度あれば十分である。
本発明の樹脂組成物は、溶融紡糸法により繊維としてもよい。かかる方法により得られる繊維は、目やにに起因する異物が少ないものであるため、紡糸工程における糸切れが軽減される他、高強度・高伸度となり好ましい。
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で前述した成分以外の成分を含有してもよい。例えば、酸化防止剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、抗菌剤、消臭剤、耐候剤、抗酸化剤、イオン交換剤、着色顔料、染料などを含有してもよい。
次に、本発明の樹脂組成物および、該樹脂組成物を用いたフィルムを製造する方法について具体的に説明するが、本発明の樹脂組成物やフィルムの製造方法はこれに限定されるものではない。
このようにして得られた本発明の樹脂組成物からなる層(A層)を、少なくとも一方の最表面に有するフィルムは、目やにに起因するフィルム破れ、機械特性低下、加工性低下、及び外観不良が少なく、エンボス加工のような大きな変形を伴う加工や意匠性を要する用途において好適に用いることができる。また、本発明のフィルムは、布のような柔らかさや触感を有するため、衛生材料や衣料等にて布や不織布の代替として用いることができる。
実施例中に示す測定や評価は次に示すような条件で行った。なお、厚み方向とは、長手方向及び幅方向に垂直な方向をいうものとする。
フィルムからサンプル片を切り出し、ウルトラミクロトームを用いて該サンプル片の長手方向−厚み方向断面(以下、フィルム断面ということがある。)を観察面とするように−100℃で超薄切片を採取した。走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ社製 S−3400N)を用いて倍率500倍〜1,500倍でフィルム断面の写真を撮影し、顕微鏡の測長機能を用いてフィルムの厚みおよび積層フィルムの各層の厚みを測定した。測定は、観察箇所を変えて10回行い、得られた値の平均値をフィルムの厚み(μm)および積層フィルムの各層の厚み(μm)とするとともに、得られた各層の厚み比より積層比を算出した。なお、フィルムの厚みは、小数第1位を四捨五入して得られた値とした。なお、厚み方向とは、長手方向及び幅方向に垂直な方向をいう。
先ず、120℃に調整した恒温槽の中で、150mm(長手方向)×10mm(幅方向)の短冊状のフィルムサンプルを、チャック間のフィルムサンプルの長手方向の長さが50mmとなるように、チャック間距離が50mmである2つのチャックに固定した。次いで、2つのチャックで固定されたフィルムサンプルの中心点(2つのチャックからの距離が共に25mmであり、長手方向と平行な2つの辺からの距離が共に5mmである点)が中点となるように、フィルムサンプルに長手方向と平行な30mmの直線を引き、引張速度200mm/分でフィルムを長手方向に1.5倍の長さ(チャック間距離75mm)に伸長させて1分間保持した。その後、伸長を開放してフィルムサンプル上の直線の長さを測定し、以下の式より伸度保持率(%)を算出した。なお、測定は10回行い、その平均値をフィルムの伸度保持率(%)とした。
伸度保持率(%)=100×(伸長開放後の直線の長さ−30)/(45−30)
(3)フィルムのせん断かたさ(G)
フィルムを12cm(長手方向)×12cm(幅方向)の大きさに切取り試料とし、試験台に取り付けた。次いで、カトーテック社製のせん断試験機KES−FB1−Aを用いて、23℃、相対湿度65%の雰囲気下、強制荷重10gf、せん断ずり速度0.417mm/secの条件で、試料に−8°〜8°のせん断変形を与え、せん断変形が−2.5°、−0.5°、0.5°、及び2.5°である点におけるせん断応力を測定した(以下、各点におけるせん断応力をそれぞれHG−2.5、HG−0.5、HG0.5、HG2.5ということがある。)。HG0.5及びHG2.5より下記式G1を用いて正方向のせん断かたさ(G(+))を、HG−2.5及びHG−0.5より下記式G2を用いて負方向のせん断かたさ(G(−))をそれぞれ算出した。せん断応力の測定およびG(+)、G(−)の算出は、長手方向、幅方向ともに3回(合計6回)行い、そのすべてのG(+)、G(−)の値の平均値の小数第2位を四捨五入した値をそのフィルムのせん断かたさ(G)(gf/(cm・deg))とした。
式G1:G(+)=(HG2.5−HG0.5)/(2.5°−0.5°)
式G2:G(−)=(HG−2.5−HG−0.5)/(−2.5°−(−0.5°))
なお、長手方向のせん断かたさ(G)を測定する場合は、フィルムの長手方向がせん断変形方向と直交するように試料を取り付け、幅方向のせん断かたさ(G)を測定する場合は、フィルムの幅方向がせん断変形方向と直交するように試料を取り付けた。
カトーテック社製の表面特性試験機KES−SEを用いて、フィルムを12cm(長手方向)×12cm(幅方向)の大きさに切取り試料とし、試験台に取り付けて、滑り子として標準摩擦子(指紋タイプ)を取り付け、荷重12gf、1mm/secの速度で滑り子をフィルムのA層表面で移動させ、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気の条件にてフィルムの巻外面の摩擦係数を測定した。長手方向、幅方向ともに測定をそれぞれ3回(合計6回)行い、そのすべてのデータの平均値をそのフィルムの摩擦係数とした。
25℃、90%RHに設定した恒温恒湿装置にて、JIS Z0208(1976)に規定された方法に従って測定した。測定は3回行い、得られた値の平均値をフィルムの透湿度(g/(m2・day))とした。なお、フィルムの透湿度はフィルムの巻外面から測定した。
インフレーション法によりブロー比2.0、フィルム厚み20μmの条件で製膜を行い、5時間のうちに目やにが原因で起こった製膜破れの回数をカウントし、回数に応じて、下記の6段階で評価した。製膜安定性は5が最も優れている。なお、製膜破れの原因が目やにであるか否かは、破れが起こった部分における目やにに起因する異物の有無により判断した。
5:目やにが原因で起こった製膜破れなし
4:目やにが原因で起こった製膜破れの回数が1回
3:目やにが原因で起こった製膜破れの回数が2回
2:目やにが原因で起こった製膜破れの回数が3回
1:目やにが原因で起こった製膜破れの回数が4回以上又は製膜不可
また、製膜破れが起こった時点から、フィルムのつなぎ合わせを行って製膜を再開するまでの時間は、5時間の評価時間から除外した。
フィルムを30mm×40mmの大きさ(方向は任意)に切取り試料とした。電子比重計(ミラージュ貿易(株)製SD−120L)を用いて、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気にて前記試料の比重を測定した。測定を3回行い、その平均値をそのフィルムの比重(ρ)とした。次に、測定したフィルムを温度210℃、圧力5MPaで熱プレスを行い、その後、25℃の水で急冷して無孔シート状物を作成した。この無孔シート状物の比重を同様に3回測定し、その平均値を樹脂の比重(d)とした。フィルムの比重(ρ)と無孔シート状物の比重(d)から、以下の式により空孔率を算出した。
空孔率(%)=〔(d−ρ)/d〕×100
(8)フィルムの目やに数
製膜により得られたロール状フィルムサンプルから、ロールの全幅を維持しつつ10m2分を巻き出し、巻き出した領域について0.5mm角以上の目やにの数をカウントした。目やにの数は20個/m2以下であれば、外観上実用性に耐えうるものとみなした。
製膜により紙管に巻き取られたロール状フィルムサンプルを室温23℃、相対湿度65%の雰囲気の条件にて空中吊り状態で24時間放置し、その後巻き外面から5m長のフィルムを巻き出し、以下の基準にてブロッキング性を評価した。ブロッキング性は○を合格とした。
○:フィルム巻き出し時に自己粘着からの引き剥がしによる伸びや破れがなかった。
×:フィルム巻き出し時に自己粘着からの引き剥がしによる伸びや破れがあった。
オリエンテック社製“TENSILON”(登録商標) UCT−100を用いて、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気にて、引張伸度を測定した。具体的には、150mm(長手方向)×10mm(幅方向)の短冊状のフィルムサンプルを、チャック間のフィルムサンプルの長手方向の長さが50mmとなるように、チャック間距離が50mmである2つのチャックに固定した。次いで引張速度200mm/分で、JIS K−7127(1999)に規定された方法にて5回の測定を行い、その平均値の小数第一位を四捨五入した値を長手方向の破断伸度とした。幅方向の破断伸度についても、フィルムサンプルを150mm(幅方向)×10mm(長手方向)の短冊状のものとした以外は同様に測定した。
(A1)
熱可塑性ウレタン樹脂(商品名:OP85A10 、BASFジャパン(株)製)使用前に回転式真空乾燥機にて90℃で5時間乾燥した。
(A2)
熱可塑性ウレタン樹脂(商品名:ET885FG、BASFジャパン(株)製)使用前に回転式真空乾燥機にて90℃で5時間乾燥した。
(B1)
ポリエステル系エラストマー(商品名:“ハイトレル”(登録商標) G3548LN 、東レ・デュポン(株)製)使用前に回転式真空乾燥機にて90℃で5時間乾燥した。
(B2)
ポリアミド系エラストマー(商品名:“PEBAX”(登録商標)MV1073,アルケマ(株)製)使用前に回転式真空乾燥機にて90℃で5時間乾燥した。
(B3)
エチレン−メチルメタクリレート共重合体(商品名:“アクリフト”(登録商標)WH303、住友化学工業(株)製)
(B4)
熱可塑性エチレン樹脂(商品名:NUC8506、日本ユニカー(株)製)
[充填剤(C)]
(C1)
炭酸カルシウム(商品名:カルテックスR、丸尾カルシウム(株)製)
(C2)
硫酸バリウム(商品名:B−54、堺化学工業(株)製)
[アクリル系成分又はその他の滑剤(D)]
(D1)
アクリル系成分(商品名:“メタブレン”(登録商標)L1000、三菱レイヨン(株)製)
(D2)
ポリエチレンワックス(商品名:“ハイワックス”(登録商標)110P、三井化学(株)製)
(D3)フッ素系滑剤(商品名:“ソレフ”(登録商標)110010、ソルベイ(株)製)
[フィルムの作製]
(実施例1)
A層組成が、表1に記載の配合比となるようにシリンダー温度190℃のスクリュー径44mmの真空ベント付二軸押出機に供給して溶融混練し、均質化した後にペレット化して樹脂組成物を得た。この樹脂組成物のペレットを、回転式ドラム型真空乾燥機を用いて、温度90℃で5時間真空乾燥した。真空乾燥した樹脂組成物のペレットをシリンダー温度200℃、スクリュー径60mmの単軸押出機に供給し、直径250mm、リップクリアランス1.0mm、温度190℃の環状ダイスより、インフレーション法によりブロー比2.0にてバブル状に上向きに押出し、冷却リングにより空冷し、ダイス上方のニップロールで折りたたみながら、引き取ってロール状に巻き取った。引き取り速度の調整により、厚さ20μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性及び評価結果を表1に示した。
表1〜3、表5に記載の通りに、樹脂及び充填剤の種類や配合比を変更した以外は実施例1と同様にしてインフレーション法により、厚さ20μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性及び評価結果を表1〜3、表5に示した。
表3、表5に記載の通りに、樹脂及び充填剤の種類や配合比を変更した以外は実施例1と同様にしてインフレーション法により、厚さ20μmのフィルム製膜を試みたがフィルム破れによりバブルを形成することができず、フィルムを得ることができなかった。
表2、表5に記載の通りに、樹脂及び充填剤の種類や配合比を変更した以外は実施例1と同様にしてインフレーション法により、無配向フィルムを得た。続いて、得られた無配向フィルムを15m/minのライン速度でロール式延伸機に導入し長手方向に、フィルム温度40℃で表2または表5に記載の倍率に延伸し空孔を有するフィルムとした。続いて定長下、加熱ロール上で、フィルム温度90℃で1秒間熱処理後、冷却ロール上で冷却し、表2、表5に記載の厚さのフィルムを得た。得られたフィルムの物性及び評価結果を表2、表5に示した。
表2、表3、表5に記載の通りに、樹脂及び充填剤の種類や配合比を変更し、実施例1と同様にして、A層およびB層に用いる樹脂組成物のペレットを得た。そして、表2に記載の積層厚み比となるように、この2種類の樹脂組成物のペレットを、シリンダー温度200℃で、スクリュー径60mmのそれぞれ独立した単軸押出機に供給し、2種3層積層タイプ、直径250mm、リップクリアランス1.0mm、温度を190℃に設定した環状ダイスに導き、実施例1と同様にして、厚さ20μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性及び評価結果を表2、表3、表5に示した。
表3に記載の通りに、樹脂及び充填剤の種類や配合比を変更した以外は比較例13と同様にしてインフレーション法により、厚さ20μmのフィルム製膜を試みたがフィルム破れによりバブルを形成することができず、フィルムを得ることができなかった。
表4に記載の通りに、樹脂及び充填剤の種類や配合比を変更し、実施例1と同様に均質化した後にペレット化して樹脂組成物を得た。この樹脂組成物のペレットを、回転式ドラム型真空乾燥機を用いて、温度90℃で5時間真空乾燥した。真空乾燥した樹脂組成物のペレットを、シリンダー温度200℃で、スクリュー径60mmの単軸押出機に供給し、直径3mmの溶融紡糸口金より、直径100μmの繊維状に吐出した。得られた繊維10mにわたり、0.5mm角以上の目やにの付着を目視にて確認した。表4に記載の通り、目やには観測されず、良好な外観を有していた。
表4に記載の通りに、樹脂及び充填剤の種類や配合比を変更した以外は、実施例30と同様にして、繊維状物を得た。得られた繊維について実施例30と同様に、目やにの付着を目視にて確認したところ、表4に記載の通り27個の目やにが観測され、外観上劣るものであった。
表1〜5における充填剤及びアクリル系成分、その他滑剤の含有量(質量部)は、アクリル系成分を除く樹脂全体を100質量部として算出した。
表1〜3及び表5における長手方向の伸度保持率(%)は、1.5倍の長さに到達する前に破断が起こった場合は、測定不可とした。
Claims (12)
- 熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーのうち少なくとも1種類の樹脂、アクリル系成分、及び充填剤を含み、アクリル系成分を除く樹脂全体を100質量部としたときに、充填剤の含有量が10質量部以上200質量部以下であることを特徴とする、樹脂組成物。
- 熱可塑性ウレタン樹脂を含み、かつポリエステル系エラストマー及び/またはポリアミド系エラストマーを含むことを特徴とする、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 請求項1または2に記載の樹脂組成物からなる層(A層)を、少なくとも一方の最表面に有することを特徴とする、フィルム。
- 前記A層の摩擦係数が0.05以上0.80以下であることを特徴とする、請求項3に記載のフィルム。
- せん断かたさが、0.1〜6.0gf/(cm・deg)以下であることを特徴とする、請求項3または請求項4に記載のフィルム。
- 伸度保持率が、75%以上であることを特徴とする、請求項3〜5のいずれかに記載のフィルム。
- 以下の特徴1及び2を備える層(B層)を有することを特徴とする、請求項3〜6のいずれかに記載のフィルム。
特徴1:熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーのうち少なくとも1種類の樹脂を含む。
特徴2:前記A層のアクリル系成分を除く樹脂全体を100質量部としたときの、A層における充填剤の含有量をXa質量部、B層のアクリル系成分を除く樹脂全体を100質量部としたときの、B層における充填剤の含有量をXb質量部としたときに、Xa>Xbである。 - 前記A層と前記B層が接することを特徴とする、請求項7に記載のフィルム。
- 前記A層/前記B層/前記A層の2種3層構成であることを特徴とする、請求項7または8に記載のフィルム。
- 空孔率が10%以上50%以下であることを特徴とする、請求項3〜9のいずれかに記載のフィルム。
- 透湿度が1,000g/(m2・day)以上であることを特徴とする、請求項3〜10のいずれかに記載のフィルム。
- 請求項1または2に記載の樹脂組成物からなる繊維。
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JP2017117431A Active JP6900796B2 (ja) | 2016-06-17 | 2017-06-15 | 樹脂組成物、フィルム、及び繊維 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020121496A (ja) * | 2019-01-31 | 2020-08-13 | 東洋紡株式会社 | 易接着性ポリアミドフィルム |
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Citations (3)
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---|---|---|---|---|
JP2001026706A (ja) * | 1999-07-15 | 2001-01-30 | Techno Polymer Kk | 熱可塑性樹脂組成物 |
JP2003238796A (ja) * | 2002-02-15 | 2003-08-27 | Okamoto Ind Inc | シート状成形材料 |
JP2016097575A (ja) * | 2014-11-21 | 2016-05-30 | 東レ株式会社 | 凸部または凹部を有するフィルム |
-
2017
- 2017-06-15 JP JP2017117431A patent/JP6900796B2/ja active Active
Patent Citations (3)
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JP2001026706A (ja) * | 1999-07-15 | 2001-01-30 | Techno Polymer Kk | 熱可塑性樹脂組成物 |
JP2003238796A (ja) * | 2002-02-15 | 2003-08-27 | Okamoto Ind Inc | シート状成形材料 |
JP2016097575A (ja) * | 2014-11-21 | 2016-05-30 | 東レ株式会社 | 凸部または凹部を有するフィルム |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2023170792A1 (ja) * | 2022-03-08 | 2023-09-14 | 三菱電機株式会社 | 透湿樹脂シートおよびその製造方法、全熱交換素子並びに全熱交換換気装置 |
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JP6900796B2 (ja) | 2021-07-07 |
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