JP2017226213A - 積層シート - Google Patents
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Abstract
【課題】薄膜であっても高い放熱性と絶縁性を有する積層シートを提供する。
【解決手段】 熱可塑性樹脂からなる層(A層)と、フィラーを含有する樹脂層(B層)を有する積層シートであって、前記積層シートの厚みが100μm以下、熱拡散率が3×10−7m2/s以上、かつ、絶縁破壊電圧が20kV/mm以上である積層シート。
【選択図】なし
【解決手段】 熱可塑性樹脂からなる層(A層)と、フィラーを含有する樹脂層(B層)を有する積層シートであって、前記積層シートの厚みが100μm以下、熱拡散率が3×10−7m2/s以上、かつ、絶縁破壊電圧が20kV/mm以上である積層シート。
【選択図】なし
Description
本発明は、放熱絶縁材などとして好適に用いられる積層シートに関する。
近年、種々の産業機器において高出力化や小型化が進行し、それにより熱の問題が深刻化してきている。例えば電子回路基板においては、電子機器の高性能化および軽量小型化に伴って回路基板上に多くの電子部品が高密度に実装されるようになってきた。実装される電子部品は発熱体として作用するものが多く、これら電子部品から発生する熱が、電子機器の安全性や稼働効率、信頼性、寿命などに悪影響を及ぼしており、熱問題への対策が不可欠となっている。
そこで、冷却システムが取り入れられている。一般的には、アルミや銅などの金属からなるヒートシンクやヒートスプレッダなどの冷却体を発熱体の近くに導入し、熱を周囲に拡散させるという方法が用いられる。効率のよい熱拡散を行うためには、冷却体と発熱体との界面密着性を高め、伝熱性の低い空気層を界面から排除することが重要であり、放熱性の高い樹脂シート(以下、放熱シート)を介在させ密着させるのが一般的である。放熱シートは、熱拡散の役割に加えて、回路基板やコイルといった導電性発熱体の絶縁を担保するための絶縁層としての役割も担っている。
放熱性と絶縁性を有するシート(以下、放熱絶縁シート)の厚みは、放熱性を高めるためには薄いほど好ましく、薄膜の放熱絶縁シートは機器の小型化にも有効であるため、近年、放熱絶縁シートの薄膜化の要求が高まっている。500μm以下の厚みまで薄膜化が可能な放熱絶縁シートとしては、例えば、熱伝導性フィラーの分散性を制御した接着剤組成物(特許文献1)や、支持体と感圧接着剤組成物からなる熱伝導性感圧接着シート(特許文献2)、基材の少なくとも片面に難燃性熱伝導性粘着剤層を有する難燃性熱伝導性粘着シート(特許文献3)などが提案されている。
前述したように、放熱絶縁シートの厚みは、放熱性の高さや省スペースといった観点から薄いほど好ましく、特に最近では厚みが100μm以下の超薄膜の放熱絶縁シートの需要も高まっている。しかし、放熱絶縁シートの絶縁性は薄膜化によって低下するため、放熱性と絶縁性は二律背反の関係にある。従来型の放熱絶縁シートでは、厚みを100μm以下の厚みまで薄くした場合に、絶縁性が急激に悪化してしまう場合があり、問題となっている。絶縁性が悪化する原因の一つは、放熱性を高めるために放熱絶縁シート中に添加されるフィラーである。放熱絶縁シートの厚みが薄くなると、放熱絶縁シートの厚み方向に対してフィラーが貫通する割合が増加し、その結果、フィラーの界面を伝って絶縁破壊が起きやすくなってしまう。また、機械特性の観点でも、フィラーにより放熱絶縁シートの強度が低下し、取り扱い性が悪化するという問題がある。フィラーの径を小さくすることで絶縁性や機械特性は改善するが、その場合には放熱性が低下し、放熱性と絶縁性が両立できなくなる。
絶縁性を高めるために支持体や基材を積層した特許文献2および特許文献3のようなシートも提案されているが、特許文献2のシートは支持体中に粉粒状固体を含有し、該固体が支持体表面に露出しているために100μm以下の厚みでは絶縁性が極端に低下してしまう。また、特許文献3のシートは難燃性を高めるために水和金属化合物を含有しており、水和水の影響で絶縁性は低くなってしまう。
以上から、100μm以下の厚みまで薄膜化した放熱絶縁シートでの放熱性と絶縁性の両立が求められている。そこで、本発明の課題は、放熱性と絶縁性を両立した薄膜の積層シートを提供することである。
絶縁性を高めるために支持体や基材を積層した特許文献2および特許文献3のようなシートも提案されているが、特許文献2のシートは支持体中に粉粒状固体を含有し、該固体が支持体表面に露出しているために100μm以下の厚みでは絶縁性が極端に低下してしまう。また、特許文献3のシートは難燃性を高めるために水和金属化合物を含有しており、水和水の影響で絶縁性は低くなってしまう。
以上から、100μm以下の厚みまで薄膜化した放熱絶縁シートでの放熱性と絶縁性の両立が求められている。そこで、本発明の課題は、放熱性と絶縁性を両立した薄膜の積層シートを提供することである。
上記課題を解決するために本発明は以下の構成をとる。
(1)熱可塑性樹脂からなる層(A層)と、フィラーを含有する樹脂層(B層)を有する積層シートであって、前記積層シートの厚みが100μm以下、熱拡散率が3×10−7m2/s以上、かつ、絶縁破壊電圧が20kV/mm以上である積層シート。
(2)前記樹脂層(B層)の厚みをTb(μm)、前記樹脂層(B層)に含まれるフィラーの平均円相当径をDf(μm)、前記樹脂層(B層)に含まれるフィラーの含有量をVf(体積%)とした場合に、(100×Tb)/(Vf×Df)が5以上、15以下である(1)に記載の積層シート。
(3)前記樹脂層(B層)がポリイミド樹脂およびエポキシ樹脂を含有する(1)または(2)に記載の積層シート。
(4)前記熱可塑性樹脂からなる層(A層)の厚みが1.5〜20μmである(1)〜(3)のいずれかに記載の積層シート。
(5)前記熱可塑性樹脂からなる層(A層)の熱可塑性樹脂が芳香族ポリアミドを主成分とする(1)〜(4)のいずれかに記載の積層シート。
(1)熱可塑性樹脂からなる層(A層)と、フィラーを含有する樹脂層(B層)を有する積層シートであって、前記積層シートの厚みが100μm以下、熱拡散率が3×10−7m2/s以上、かつ、絶縁破壊電圧が20kV/mm以上である積層シート。
(2)前記樹脂層(B層)の厚みをTb(μm)、前記樹脂層(B層)に含まれるフィラーの平均円相当径をDf(μm)、前記樹脂層(B層)に含まれるフィラーの含有量をVf(体積%)とした場合に、(100×Tb)/(Vf×Df)が5以上、15以下である(1)に記載の積層シート。
(3)前記樹脂層(B層)がポリイミド樹脂およびエポキシ樹脂を含有する(1)または(2)に記載の積層シート。
(4)前記熱可塑性樹脂からなる層(A層)の厚みが1.5〜20μmである(1)〜(3)のいずれかに記載の積層シート。
(5)前記熱可塑性樹脂からなる層(A層)の熱可塑性樹脂が芳香族ポリアミドを主成分とする(1)〜(4)のいずれかに記載の積層シート。
本発明によれば、薄膜であっても放熱性と絶縁性を両立した積層シートを得ることができる。
本発明の積層シートは、熱可塑性樹脂からなる層(A層)を有することが必要である。
本発明において、熱可塑性樹脂とは、ガラス転移温度または融点まで加熱することによって軟らかくなり、目的の形に成形できる樹脂のことである。熱可塑性樹脂は、溶融押出法、溶液流延法、カレンダー法などによってシート状に成形でき、また、次いで延伸することによって薄葉のフィルムにも成形し得る。このような樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレンなどを使用することができる。中でも、製膜性と耐熱性に優れるポリフェニレンスルフィドやポリエステル、ポリアミドがより好ましい。また、後述するフィラー含有層との界面密着強度を高め、加工時の割れや破断などを防ぐために、基本骨格中にエステル結合やアミド結合といった水素結合可能な官能基を有する樹脂が特に好ましい。さらに、積層シートの放熱性を高めるために、基本骨格が剛直な樹脂が好ましく、例えばポリエステルの中でも液晶性ポリエステルや、ポリアミドの中でも芳香族ポリアミドなどが特に好ましく用いられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種単独でも、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の積層シートは、フィラーを含有する樹脂層(B層)を有することが必要である。本発明において、樹脂とは、繰り返し単位が共有結合を介して線状あるいは網目状に連なった分子量の大きい化合物のことである。本発明において、樹脂は上述した線状の熱可塑性樹脂の他に、網目構造を有するエポキシやフェノールなどの熱硬化性樹脂も用いることができる。本発明において、樹脂は後述するフィラーを含有する必要があるが、樹脂中でのフィラーの分散性を高めるために、樹脂が窒素含有樹脂を含有することが好ましい。窒素含有樹脂としては、ポリイミド、ポリウレタン、ポリアミドなどが挙げられる。これらの樹脂は、1種単独でも、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明において、フィラーとは、金、銀、銅、白金、パラジウム、レニウム、バナジウム、オスミウム、コバルト、鉄、亜鉛、ルテニウム、プラセオジウム、クロム、ニッケル、アルミニウム、スズ、亜鉛、チタン、タンタル、ジルコニウム、アンチモン、インジウム、イットリウム、ランタニウム、ケイ素などの金属、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セシウム、酸化アンチモン、酸化スズ、インジウム・スズ酸化物、酸化イットリウム、酸化ランタニウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素などの金属酸化物、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム、フッ化アルミニウム、氷晶石などの金属フッ化物、リン酸カルシウムなどの金属リン酸塩、炭酸カルシウムなどの炭酸塩、硫酸バリウム、硫酸マグネシウムなどの硫酸塩、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化炭素などの窒化物、ワラストナイト、セピオライト、ゾノトライト、アルミノシリケートなどのケイ酸塩、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウムなどのチタン酸塩、カーボン、フラーレン、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、炭化ケイ素などの炭素系化合物等が挙げられる。これらのフィラーは、1種単独でも、2種以上を混合して使用してもよい。また、これらフィラーは、樹脂との親和性を高め、分散性を高める目的で、シランカップリング剤処理、金属蒸着、ポリマーのグラフト化、プラズマ処理、などといった表面処理によって表面改質したものを用いてもよい。
本発明の積層シートにおいては、電気絶縁性が必要とされる用途で使用されることが多いことに鑑みれば、フィラーの材質としては、導電性を有さない酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セシウム、酸化アンチモン、酸化スズ、インジウム・スズ酸化物、酸化イットリウム、酸化ランタニウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等の金属酸化物、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム、フッ化アルミニウム、氷晶石等の金属フッ化物、リン酸カルシウム等の金属リン酸塩、炭酸カルシウム等の炭酸塩、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム等の硫酸塩、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化炭素などの窒化物、ワラストナイト、セピオライト、ゾノトライト、アルミノシリケートなどのケイ酸塩、チタン酸カリウムなどのチタン酸塩などが好ましい。
本発明の積層シートは、厚みが100μm以下であることが必要である。厚みが100μmを超えると、放熱絶縁シートとして使用する際に省スペース化が実現できなくなり、機器の小型化に貢献するという本来の目的が達成できなくなる。積層シートの厚みは、より好ましくは80μm以下である。厚みの下限は特に限定されないが、厚みが薄くなり過ぎると、発熱体や冷却体の表面の凹凸に対する追従性が悪くなり、発熱体と冷却体の間の密着性が不十分となることで、放熱性が低下する場合があり、実質的に10μm程度が下限である。
本発明の積層シートは、厚み方向の熱拡散率が3×10−7m2/s以上であることが必要である。熱拡散率が3×10−7m2/s未満であると、放熱絶縁シートとして使用した場合の放熱性能が不十分となり、機器の稼働効率が低下したり、材料の寿命が低下したりする場合がある。熱拡散率は、より好ましくは、5×10−7m2/s以上であり、更に好ましくは、1×10−6m2/s以上である。厚み方向の熱拡散率を上記の範囲内とするための方法としては、熱可塑性樹脂からなる層(A層)の厚みを薄くしたり、フィラーを含有する樹脂層(B層)の層厚みとフィラーの添加量とフィラーの径を調整し、B層中のフィラーによってB層中にフィラーからなる三次元的なネットワークを形成させたりすることなどが挙げられる。
本発明の積層シートは、絶縁破壊電圧が20kV/mm以上であることが必要である。絶縁破壊電圧が20kV/mm未満であると、放熱絶縁シートとして使用した場合の絶縁性が悪化し、機器の信頼性を損ねる場合がある。絶縁破壊電圧は、より好ましくは30kV/mm以上、更に好ましくは40kV/mm以上である。絶縁破壊電圧を上記の範囲内とするための方法としては、熱可塑性樹脂からなる層(A層)に含まれるフィラー量を制御したり、フィラーを含有する樹脂層(B層)の組成を、絶縁性に優れたものとしたりすることなどが挙げられる。
本発明の積層シートは、熱可塑性樹脂からなる層(A層)のフィラー含有量がA層全体に対して25体積%以下であることが好ましい。フィラー含有量が25体積%を超えると、放熱絶縁シートとして使用した場合の絶縁性が悪化し、機器の信頼性を損ねる場合がある。熱可塑性樹脂からなる層(A層)のフィラー含有量は、より好ましくは20体積%以下である。
本発明の積層シートは、熱可塑性樹脂からなる層(A層)の厚みが1.5〜20μmであることが好ましい。厚みが20μmを超えると、放熱絶縁シートとして使用した場合の放熱性能が不十分となり、機器の稼働効率が低下したり、材料の寿命が低下したりする場合がある。厚みが1.5μm未満であると、放熱絶縁シートとして使用した場合の絶縁性が悪化し、機器の信頼性を損ねる場合がある。A層の厚みは、より好ましくは2〜10μm、更に好ましくは2〜5μmである。
本発明の積層シートは、熱可塑性樹脂からなる層(A層)の熱可塑性樹脂が芳香族ポリアミドを主成分とすることが放熱絶縁シートしての放熱性を高めるために好ましい。ここで、主成分とするとは、該成分がA層の全成分のうち50重量%以上を占めることを意味する。
芳香族ポリアミドとは、次の式(1)及び/又は式(2)で表される繰り返し単位を有するものである。ここで、Ar1、Ar2、Ar3は例えば、次の式(3)で表されるもの等が挙げられ、X、Yは−O−、−CH2−、−CO−、−CO2−、−S−、−SO2−、−C(CH3)2−等から選ばれる。更に、これらの芳香環上の水素原子の一部が、フッ素、臭素、塩素等のハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、メチル、エチル、プロピル等のアルキル基(特にメチル基)、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等のアルコキシ基等の置換基で置換されているものが、積層シートの機械特性を高めるために好ましい。
芳香族ポリアミドとは、次の式(1)及び/又は式(2)で表される繰り返し単位を有するものである。ここで、Ar1、Ar2、Ar3は例えば、次の式(3)で表されるもの等が挙げられ、X、Yは−O−、−CH2−、−CO−、−CO2−、−S−、−SO2−、−C(CH3)2−等から選ばれる。更に、これらの芳香環上の水素原子の一部が、フッ素、臭素、塩素等のハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、メチル、エチル、プロピル等のアルキル基(特にメチル基)、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等のアルコキシ基等の置換基で置換されているものが、積層シートの機械特性を高めるために好ましい。
本発明の積層シートは、熱可塑性樹脂からなる層(A層)の熱可塑性樹脂がポリエステルを主成分とする場合、A層が下記(i)および(ii)を満たすことが放熱絶縁シートとしての放熱性を高めるために好ましい。
(i)フィラーを含有しており、その含有量がA層全体に対して5〜25体積%であること。
(ii)ポリエステルが芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分を主たる構成成分とするポリエステルであり、該ジオール成分が、主鎖炭素数が偶数のジオール(D1)と、主鎖炭素数が奇数のジオール(D2)を含み、前記ジオール(D1)とジオール(D2)のモル比(D1)/(D2)が30/70〜97/3であること。
(i)フィラーを含有しており、その含有量がA層全体に対して5〜25体積%であること。
(ii)ポリエステルが芳香族ジカルボン酸成分とジオール成分を主たる構成成分とするポリエステルであり、該ジオール成分が、主鎖炭素数が偶数のジオール(D1)と、主鎖炭素数が奇数のジオール(D2)を含み、前記ジオール(D1)とジオール(D2)のモル比(D1)/(D2)が30/70〜97/3であること。
本発明において、ポリエステルとはエステル結合を主たる結合とする樹脂を表す。また、本発明において、構成成分とはポリエステルを加水分解することで得ることが可能な最小単位のことを示す。また、本発明において、「主たる構成成分」や、「主成分」と表現した場合、該成分が全成分中で占める割合が50重量%以上であることを示す。
かかるポリエステルを構成するジカルボン酸構成成分としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸などの脂肪族ジカルボン酸類、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、イソソルビド、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン酸などの芳香族ジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体が挙げられるがこれらに限定されない。また、上述のカルボン酸構成成分のカルボキシル基末端に、l-ラクチド、d−ラクチド、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類、およびその誘導体や、オキシ酸類が複数個連なったもの等を付加させたものも好適に用いられる。また、これらは単独で用いても、必要に応じて、複数種類用いても構わない。
かかるポリエステルを構成するジカルボン酸構成成分としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸などの脂肪族ジカルボン酸類、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、イソソルビド、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン酸などの芳香族ジカルボン酸、もしくはそのエステル誘導体が挙げられるがこれらに限定されない。また、上述のカルボン酸構成成分のカルボキシル基末端に、l-ラクチド、d−ラクチド、ヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類、およびその誘導体や、オキシ酸類が複数個連なったもの等を付加させたものも好適に用いられる。また、これらは単独で用いても、必要に応じて、複数種類用いても構わない。
また、かかるポリエステルを構成するジオール構成成分としては、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオールなどの脂肪族ジオール類が好ましい。これらは単独で用いても、必要に応じて、複数種類用いても構わない。
本発明の積層シートは、熱可塑性樹脂からなる層(A層)の熱可塑性樹脂がポリエステルを主成分とする場合、A層がフィラーを5〜25体積%の範囲で含有していることが好ましい。好ましくは7〜20体積%、更に好ましくは9〜15体積%である。フィラーの含有量が5体積%未満であると、フィラーが伝熱パスを形成できなくなり、放熱性を向上する効果が十分に得られない場合がある。フィラーの含有量が25体積%を超えると、製膜性が悪化したり、ハンドリング性や絶縁性が低下したりする場合がある。
本発明の積層シートは、熱可塑性樹脂からなる層(A層)の熱可塑性樹脂がポリエステルを主成分とする場合、ポリエステルを構成するジオール成分が、主鎖炭素数が偶数のジオール(D1)と、主鎖炭素数が奇数のジオール(D2)の両方を含むことが好ましい。
主鎖炭素数が偶数のジオール(D1)とは、2つのヒドロキシ基が結合している2つの炭素間にある、一続きの炭素鎖について、ヒドロキシ基が結合している炭素を含めて炭素数を数えた場合に、炭素数が偶数となるものである。主鎖炭素数が偶数のジオール(D1)としては、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1、4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられるが、製膜性の観点から1,2−エタンジオールや、1,4−ブタンジオールといった側鎖や環状骨格をもたない直鎖状のジオールが製膜性の観点から好ましく、1,2−エタンジオールがより好ましい。
主鎖炭素数が奇数のジオール(D2)とは、2つのヒドロキシ基が結合している2つの炭素間にある、一続きの炭素鎖について、ヒドロキシ基が結合している炭素を含めて炭素数を数えた場合に、炭素数が奇数となるものである。主鎖炭素数が奇数のジオール(D2)としては、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオールなどが挙げられるが、製膜性の観点から1,3−プロパンジオールや、1,5−ペンタンジオールといった側鎖や環状骨格をもたない直鎖状のジオールが製膜性の観点から好ましく、1,3−プロパンジオールがより好ましい。
本発明の積層シートは、熱可塑性樹脂からなる層(A層)の熱可塑性樹脂がポリエステルを主成分とする場合、A層中に上記ジオール(D1)とジオール(D2)の両方を含むことにより、A層を配向させる過程においてフィラーと樹脂の界面で生じる界面剥離を抑制することができ、放熱性に優れた積層シートとなる。主鎖炭素数が偶数のジオール(D1)と、主鎖炭素数が奇数のジオール(D2)のモル比(D1)/(D2)は、30/70以上、97/3以下であることが好ましい。モル比(D1)/(D2)は、より好ましくは40/60以上、90/10以下、さらに好ましくは50/50以上、80/20以下である。
本発明の積層シートにおいて、A層がフィラーを含有する場合、フィラーの平均円相当径は0.1μm以上10μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.3μm以上5μm以下、さらに好ましくは0.5μm以上3μm以下である。平均円相当径が0.1μmに満たないと、界面積が多くなりすぎてフィラー間の接触が阻害され、放熱性を向上する効果が十分に得られない場合がある。一方、10μmを超えるとA層の製膜性が低下したり、製膜後のハンドリング性や絶縁性が悪化したりする場合がある。
本発明の積層シートにおいて、A層がフィラーを含有する場合、A層に含まれるフィラーがアスペクト比2以上のフィラーからなることが放熱性を高めるために好ましい。ここでいうアスペクト比2以上のフィラーとは、一次粒子を図1に示すような外接直方体で囲み、その外接直方体の最も長い一辺を長さ(l)、最も短い一辺を厚さ(t)、残りの一辺を幅(b)と定義した場合に、長さ(l)と厚さ(t)の比l/t(以下、アスペクト比)が2以上であるフィラーである。アスペクト比は、より好ましくは3以上、更に好ましくは5以上である。
本発明の積層シートは、熱可塑性樹脂からなる層(A層)が、二軸延伸されたフィルムであることが好ましい。二軸延伸されることで、放熱絶縁シートとして使用する際の絶縁性や強度、取り扱い性などが向上する。
本発明の積層シートは、樹脂層(B層)のフィラー含有量がB層全体に対して40〜85体積%であることが好ましい。フィラー含有量が40体積%未満であると、放熱絶縁シートとして使用した場合の放熱性能が不十分となり、機器の稼働効率が低下したり、材料の寿命が低下したりする場合がある。フィラー含有量が85体積%を超えると、加工時や使用時に樹脂層(B層)と熱可塑性樹脂からなる層(A層)の積層界面が剥離したり、シートが破断したりして、取り扱い性が悪化する場合がある。樹脂層(B層)のフィラー含有量は、より好ましくは45〜80体積%であり、さらに好ましくは50〜80体積%である。
本発明の積層シートは、樹脂層(B層)がポリイミド樹脂およびエポキシ樹脂を含有することが好ましい。ポリイミド樹脂とは、繰り返し単位にイミド結合を含む樹脂の総称である。ポリイミド樹脂は主としてテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応により得られ、テトラカルボン酸二無水物の残基とジアミンの残基を有する。エポキシ樹脂とは、高分子内に残存させたエポキシ基で架橋ネットワークを形成することで硬化させることが可能な熱硬化性樹脂の総称である。ポリイミド樹脂とエポキシ樹脂が存在することで、放熱絶縁シートとして使用する際の密着性と絶縁性を両立できるために好ましい。
本発明の積層シートが、樹脂層(B層)にポリイミド樹脂を含有する場合、ポリイミド樹脂は下記一般式(4)で示される構造を有するジアミン残基を全ジアミン残基中30モル%以上含有することが好ましい。一般式(4)で示される構造は柔軟性が高いため、そのような構造を有するポリイミド樹脂を用いることで樹脂層(B層)の弾性率が低くなり、放熱絶縁シートとして使用する際の密着性が向上する。
本発明の積層シートが、樹脂層(B層)にポリイミド樹脂を含有する場合、ポリイミド樹脂はさらに下記一般式(5)で示されるジアミンの残基を全ジアミン残基中10モル%以上含有することが好ましい。かかるジアミン残基を有することによって、ポリイミド骨格に柔軟性が付与されるため、そのような構造を有するポリイミド樹脂を用いることで樹脂層の弾性率が低くなり、放熱絶縁シートとして使用する際の密着性が向上する。
本発明の積層シートが、樹脂層(B層)にポリイミド樹脂を含有する場合、ポリイミド樹脂はさらに下記一般式(6)で示されるジアミンの残基を全ジアミン残基中5モル%以上含有することが好ましい。かかるジアミン残基を有することによって、カルボキシル基が後述するエポキシ樹脂と反応することで架橋構造を形成し、高温での耐熱性や熱膨張係数を低くすることができる。
本発明の積層シートが、樹脂層(B層)にエポキシ樹脂を含有する場合、エポキシ樹脂は流動特性や硬化後の機械強度を高くして、熱膨張係数を低くする観点から結晶性のエポキシ樹脂であることが好ましい。結晶性のエポキシ樹脂とは、ビフェニル基、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、フェニルベンゾエート基、ベンズアニリド基などのメソゲン骨格を有するエポキシ樹脂である。
本発明の積層シートは、フィラーを含有する樹脂層(B層)の厚みをTb(μm)、B層に含まれるフィラーの平均円相当径をDf(μm)、B層に含まれるフィラーの含有量をVf(体積%)とした場合に、(100×Tb)/(Vf×Df)が5以上、15以下であることが好ましい。(100×Tb)/(Vf×Df)の値が15を超えると、フィラーがB層の中で十分な伝熱パスを形成できないために、放熱絶縁シートとして使用した場合の放熱性能が不十分となり、機器の稼働効率が低下したり、材料の寿命が低下したりする場合がある。(100×Tb)/(Vf×Df)の値が5未満であると、放熱絶縁シートとして使用した場合に冷却体および発熱体との界面密着力が小さくなり、界面に空気が介在することで、放熱性能が不十分となる場合がある。(100×Tb)/(Vf×Df)の値は、より好ましくは6以上、13以下、更に好ましくは7以上、10以下である。なお、積層シート中にフィラーを含有する樹脂層が2層以上存在する場合には、それぞれの樹脂層について(100×Tb)/(Vf×Df)の値が上記の範囲となることが好ましい。
本発明の積層シートは、熱可塑性樹脂からなる層(A層)と、フィラーを含有する樹脂層(B層)をそれぞれ少なくとも1層有するが、A層とB層がともに熱可塑性樹脂からなる場合、A層のフィラーの含有量は30体積%未満、B層のフィラーの含有量は30体積%以上であることが好ましい。
本発明の積層シートは、熱可塑性樹脂からなる層(A層)と、フィラーを含有する樹脂層(B層)をそれぞれ少なくとも1層有するが、それぞれの層を2層以上有していても構わない。特に、熱可塑性樹脂からなる層(A層)の両面に、フィラーを含有する樹脂層(B層)を有する3層(B層/A層/B層)の構成が、冷却体と発熱体との間に介在し、界面密着性を高めるという放熱絶縁シートの性能を発揮するために好ましい。
次に、本発明の積層シートの製造方法について、その一例を説明するが、本発明は、かかる例に限定して解釈されるものではない。
(工程1−1:熱可塑性樹脂からなる層(フィルム)の製造1)
熱可塑性樹脂からなる層(フィルム)は、原料を押出機内で加熱溶融し、口金から冷却したキャストドラム上に押し出してシート状に加工する方法(溶融キャスト法)や、原料を溶媒に溶解させ、その溶液を口金からキャストドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して膜状とし、次いでかかる膜層から溶媒を乾燥除去させてシート状に加工する方法(溶液キャスト法)等を使用することができるが、熱可塑性樹脂からなる層(A層)が、芳香族ポリアミドからなるフィルムである場合を例にとって説明する。
芳香族ジ酸クロリドと芳香族ジアミンから芳香族ポリアミドフィルムを得る場合には、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性有機極性溶媒中で溶液重合により合成される。この時、低分子量物の生成を抑制するため、反応を阻害するような水、その他の物質の混入は避けるべきであり、効率的な攪拌手段をとることが好ましい。また、溶解助剤として塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウム等を添加してもよい。単量体として芳香族ジ酸クロリドと芳香族ジアミンを用いると塩化水素が副生するが、これを中和する場合には周期律表I族かII族のカチオンと水酸化物イオン、炭酸イオン等のアニオンからなる塩に代表される無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノ−ルアミン、ジエタノ−ルアミン等の有機の中和剤が使用される。また、フィルムの湿度特性を改善する目的で、塩化ベンゾイル、無水フタル酸、酢酸クロリド、アニリン等を重合の完了した系に添加し、ポリマーの末端を封鎖してもよい。ポリマーの固有粘度(ポリマー0.5gを硫酸中で100mlの溶液として30℃で測定した値)は、0.5〜5.0であることが好ましい。製膜原液としては、中和後のポリマー溶液をそのまま用いても、一旦、ポリマーを単離後、有機溶媒に再溶解したものを用いてもよい。異種重合体の添加は、重合前にモノマーとともに溶媒に溶解させても、重合後のポリマー溶液に混合させても、単離した芳香族ポリアミドとともに再溶解しても、製膜直前にスタティックミキサー等を利用して混合させてもよい。また、粉末状やペレットとして添加しても、一旦、重合溶媒等の有機溶媒に溶解後、ポリマー溶液と混合しても構わない。また、フィラーを添加する場合は、フィルム中で均一な分散とするため、添加前に好ましくは10ポイズ、より好ましくは1ポイズ以下の溶媒に分散させておくことが好ましい。用いる溶媒としては製膜原液と同じものが好ましいが、製膜性に特に悪影響を与えなければ他の溶媒を使用してもかまわない。分散方法としては、上記溶媒にフィラーを入れ、撹拌式分散器、ボールミル、サンドミル、超音波分散器等で分散する。この様に分散されたフィラーはポリマー溶液中へ添加混合されるが、重合前の溶媒中へ添加あるいはポリマー溶液の調製工程で添加してもよい。また、キャスト直前に添加してもよい。製膜原液中のポリマー濃度は2〜40重量%程度が好ましい。
上記のように調製された製膜原液は、乾式法、乾湿式法、湿式法、半乾半湿式法等によりフィルム化が行なわれるが、表面形態を制御しやすい点で、乾湿式法が好ましく、以下、乾湿式法を例にとって説明する。
上記の原液を口金からドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して薄膜とし、次いでかかる薄膜層から溶媒を飛散させ、薄膜を乾燥する。乾燥温度は、100〜210℃
が好ましい。また、乾燥時間は、4〜12分が好ましい。次いで、乾式工程を終えたフィルムは支持体から剥離されて、湿式工程に導入され、脱塩、脱溶媒などが行なわれる。フィルムを支持体から剥離するときのポリマー濃度は30〜60重量%であることが好ましく、40〜50重量%であることがより好ましい。ポリマー濃度が30重量%未満の場合は、フィルムの自己支持性が不十分で破れやすくなることがあり、60重量%以上の場合は、延伸が十分に行えない場合がある。こうして得られたフィルムは、支持体から剥離されて湿式工程に導入される間に、ゲルフィルムの状態でフィルムの長手方向に好ましく延伸される。延伸倍率は延伸限界(フィルムが破れるまで延伸したときの延伸倍率)の60〜90%であることが好ましく、70〜85%であるとより好ましい。長手方向の延伸倍率が60%未満では長手方向の強度が不十分なことがあり、90%を越えると伸度の低い脆いフィルムとなることがある。湿式工程を経たフィルムは水分を乾燥後、フィルムの幅方向に延伸が行われる。延伸温度は200〜300℃であることが好ましい。幅方向の延伸倍率は長手方向の延伸倍率の70〜300%であることが好ましい。
フィルムの延伸中あるいは延伸後に熱処理が行なわれるが、熱処理温度は200〜300℃の範囲にあることが好ましい。また、延伸あるいは熱処理後のフィルムを徐冷する事が有効であり、50℃/秒以下の速度で冷却する事が有効である。
熱可塑性樹脂からなる層(フィルム)は、原料を押出機内で加熱溶融し、口金から冷却したキャストドラム上に押し出してシート状に加工する方法(溶融キャスト法)や、原料を溶媒に溶解させ、その溶液を口金からキャストドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して膜状とし、次いでかかる膜層から溶媒を乾燥除去させてシート状に加工する方法(溶液キャスト法)等を使用することができるが、熱可塑性樹脂からなる層(A層)が、芳香族ポリアミドからなるフィルムである場合を例にとって説明する。
芳香族ジ酸クロリドと芳香族ジアミンから芳香族ポリアミドフィルムを得る場合には、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性有機極性溶媒中で溶液重合により合成される。この時、低分子量物の生成を抑制するため、反応を阻害するような水、その他の物質の混入は避けるべきであり、効率的な攪拌手段をとることが好ましい。また、溶解助剤として塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウム等を添加してもよい。単量体として芳香族ジ酸クロリドと芳香族ジアミンを用いると塩化水素が副生するが、これを中和する場合には周期律表I族かII族のカチオンと水酸化物イオン、炭酸イオン等のアニオンからなる塩に代表される無機の中和剤、またエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノ−ルアミン、ジエタノ−ルアミン等の有機の中和剤が使用される。また、フィルムの湿度特性を改善する目的で、塩化ベンゾイル、無水フタル酸、酢酸クロリド、アニリン等を重合の完了した系に添加し、ポリマーの末端を封鎖してもよい。ポリマーの固有粘度(ポリマー0.5gを硫酸中で100mlの溶液として30℃で測定した値)は、0.5〜5.0であることが好ましい。製膜原液としては、中和後のポリマー溶液をそのまま用いても、一旦、ポリマーを単離後、有機溶媒に再溶解したものを用いてもよい。異種重合体の添加は、重合前にモノマーとともに溶媒に溶解させても、重合後のポリマー溶液に混合させても、単離した芳香族ポリアミドとともに再溶解しても、製膜直前にスタティックミキサー等を利用して混合させてもよい。また、粉末状やペレットとして添加しても、一旦、重合溶媒等の有機溶媒に溶解後、ポリマー溶液と混合しても構わない。また、フィラーを添加する場合は、フィルム中で均一な分散とするため、添加前に好ましくは10ポイズ、より好ましくは1ポイズ以下の溶媒に分散させておくことが好ましい。用いる溶媒としては製膜原液と同じものが好ましいが、製膜性に特に悪影響を与えなければ他の溶媒を使用してもかまわない。分散方法としては、上記溶媒にフィラーを入れ、撹拌式分散器、ボールミル、サンドミル、超音波分散器等で分散する。この様に分散されたフィラーはポリマー溶液中へ添加混合されるが、重合前の溶媒中へ添加あるいはポリマー溶液の調製工程で添加してもよい。また、キャスト直前に添加してもよい。製膜原液中のポリマー濃度は2〜40重量%程度が好ましい。
上記のように調製された製膜原液は、乾式法、乾湿式法、湿式法、半乾半湿式法等によりフィルム化が行なわれるが、表面形態を制御しやすい点で、乾湿式法が好ましく、以下、乾湿式法を例にとって説明する。
上記の原液を口金からドラム、エンドレスベルト等の支持体上に押し出して薄膜とし、次いでかかる薄膜層から溶媒を飛散させ、薄膜を乾燥する。乾燥温度は、100〜210℃
が好ましい。また、乾燥時間は、4〜12分が好ましい。次いで、乾式工程を終えたフィルムは支持体から剥離されて、湿式工程に導入され、脱塩、脱溶媒などが行なわれる。フィルムを支持体から剥離するときのポリマー濃度は30〜60重量%であることが好ましく、40〜50重量%であることがより好ましい。ポリマー濃度が30重量%未満の場合は、フィルムの自己支持性が不十分で破れやすくなることがあり、60重量%以上の場合は、延伸が十分に行えない場合がある。こうして得られたフィルムは、支持体から剥離されて湿式工程に導入される間に、ゲルフィルムの状態でフィルムの長手方向に好ましく延伸される。延伸倍率は延伸限界(フィルムが破れるまで延伸したときの延伸倍率)の60〜90%であることが好ましく、70〜85%であるとより好ましい。長手方向の延伸倍率が60%未満では長手方向の強度が不十分なことがあり、90%を越えると伸度の低い脆いフィルムとなることがある。湿式工程を経たフィルムは水分を乾燥後、フィルムの幅方向に延伸が行われる。延伸温度は200〜300℃であることが好ましい。幅方向の延伸倍率は長手方向の延伸倍率の70〜300%であることが好ましい。
フィルムの延伸中あるいは延伸後に熱処理が行なわれるが、熱処理温度は200〜300℃の範囲にあることが好ましい。また、延伸あるいは熱処理後のフィルムを徐冷する事が有効であり、50℃/秒以下の速度で冷却する事が有効である。
(工程1−2:熱可塑性樹脂からなる層(フィルム)の製造2)
熱可塑性樹脂からなる層(フィルム)がポリエステルを主成分とする場合、例えば、以下のような製造方法にてフィルムを得ることができる。なお、以下では熱可塑性樹脂からなるフィルムがフィラーを含有する場合を例にとって説明するが、本発明はかかる例に限定して解釈されるものではない。
原料となるポリエステルは、上述のジカルボン酸構成成分、ジオール構成成分とからエステル化反応またはエステル交換反応を経て重縮合反応を行うことによって得られる。
熱可塑性樹脂からなる層(フィルム)がポリエステルを主成分とする場合、例えば、以下のような製造方法にてフィルムを得ることができる。なお、以下では熱可塑性樹脂からなるフィルムがフィラーを含有する場合を例にとって説明するが、本発明はかかる例に限定して解釈されるものではない。
原料となるポリエステルは、上述のジカルボン酸構成成分、ジオール構成成分とからエステル化反応またはエステル交換反応を経て重縮合反応を行うことによって得られる。
また、エステル交換反応を行う際には、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸カルシウムなど公知のエステル交換反応触媒を用いることができるほか、重合触媒である三酸化アンチモンなどを添加してもよい。エステル化反応時には水酸化カリウムなどのアルカリ金属を数ppm添加しておくと耐熱性や耐加水分解性も改善される。また重縮合反応触媒としては、二酸化ゲルマニウムのエチレングリコール溶液、三酸化アンチモン、チタンアルコキシド、チタンキレート化合物などを用いることができる。
次いで、上記により得られたポリエステルにフィラーを添加する方法は、予めポリエステルとフィラーをベント式二軸混練押出機やタンデム型押出機を用いて溶融混練する方法が好ましい。ここで、フィラーを含有させる際に熱履歴を受けるため、少なからずポリエステルが劣化する。そのため、A層中のフィラーの含有量に比べてフィラー含有量の多い高濃度マスターペレットを作製し、それをポリエステルと混合して希釈し、A層のフィラーの含有量を所定量とするのが、延伸性、機械特性、耐熱性などの観点から好ましい。
このとき、高濃度マスターペレット中のフィラーの濃度は20重量%以上80重量%以下が好ましく、より好ましくは25重量%以上70重量%以下、更に好ましくは30重量%以上60重量%以下、である。20重量%に満たない場合、P層に添加するマスターペレットの量が多くなり、その結果A層に劣化したポリエステルの量が多くなって延伸性、機械特性、耐熱性などが低下する場合がある。また80重量%を越える場合は、マスターペレット化が困難となったり、マスターペレットをポリエステルに混合した場合に均一に混合するのが難しくなったりする場合がある。
このとき、高濃度マスターペレット中のフィラーの濃度は20重量%以上80重量%以下が好ましく、より好ましくは25重量%以上70重量%以下、更に好ましくは30重量%以上60重量%以下、である。20重量%に満たない場合、P層に添加するマスターペレットの量が多くなり、その結果A層に劣化したポリエステルの量が多くなって延伸性、機械特性、耐熱性などが低下する場合がある。また80重量%を越える場合は、マスターペレット化が困難となったり、マスターペレットをポリエステルに混合した場合に均一に混合するのが難しくなったりする場合がある。
次に、上記工程で得られた、ポリエステルとフィラーを含む樹脂組成物をシート状に成形する工程を説明する。シート成形には、樹脂組成物を押出機内で加熱溶融し、口金から冷却したキャストドラム上に押し出してシート状に加工する方法(溶融キャスト法)を使用することができる。具体的には乾燥したポリエステルとフィラーを含む樹脂組成物を、押出機を用いて口金からシート状に溶融押出し、表面温度10℃以上60℃以下に冷却されたドラム上で静電気により密着冷却固化し、未延伸のシート状フィルムを作製する。
押出機で溶融押出する際は、窒素雰囲気下で溶融させ、押出機へのチップ供給から、口金までに押出される時間は短い程良く、目安としては30分以下、より好ましくは15分以下、更に好ましくは5分以下とすることが、劣化抑制の点で好ましい。
次に得られたシート状フィルムのガラス転移温度Tg以上の温度にて二軸延伸する。二軸延伸する方法としては、長手方向と幅方向の延伸とを分離して行う逐次二軸延伸方法の他に、長手方向と幅方向の延伸を同時に行う同時二軸延伸方法のどちらであっても構わない。延伸条件の一例は、1)同時二軸延伸の場合はポリエステルのガラス転移温度Tg以上Tg+15℃以下の範囲の温度、2)逐次二軸延伸の場合は、第1軸目の延伸をポリエステルのガラス転移温度Tg以上Tg+15℃以下(より好ましくはTg+10℃以下)の温度とし、第二軸目の延伸をTg+5℃以上Tg+25℃以下の範囲の温度で延伸することが挙げられる。
次に得られたシート状フィルムのガラス転移温度Tg以上の温度にて二軸延伸する。二軸延伸する方法としては、長手方向と幅方向の延伸とを分離して行う逐次二軸延伸方法の他に、長手方向と幅方向の延伸を同時に行う同時二軸延伸方法のどちらであっても構わない。延伸条件の一例は、1)同時二軸延伸の場合はポリエステルのガラス転移温度Tg以上Tg+15℃以下の範囲の温度、2)逐次二軸延伸の場合は、第1軸目の延伸をポリエステルのガラス転移温度Tg以上Tg+15℃以下(より好ましくはTg+10℃以下)の温度とし、第二軸目の延伸をTg+5℃以上Tg+25℃以下の範囲の温度で延伸することが挙げられる。
延伸倍率は、同時二軸延伸、逐次二軸延伸共に、長手方向と幅方向それぞれ1.5倍以上4倍以下とする。より好ましくは2.0倍以上、3.5倍以下、更に好ましくは2.0倍以上3.0倍以下である。また縦の延伸倍率と横の延伸倍率を合わせた面積延伸倍率は2倍以上16倍以下、より好ましくは4倍以上12倍以下、更に好ましくは4倍以上8倍以下である。面積倍率が2倍未満であると、得られるフィルムのポリエステル分子鎖の配向性が低く、得られるフィルムの機械強度や耐熱性が低下することがある。また面積延伸倍率が14倍を越えると延伸時に破れを生じ易くなったり、フィラーの周囲にボイドが多く形成され、放熱性が低下したりする傾向がある。
延伸速度は、逐次二軸延伸の場合は長手方向が100〜25000%/min、幅方向が50〜5000%/minであることが好ましく、同時二軸延伸の場合は長手方向、幅方向ともに50〜5000%/minであることが好ましい。延伸速度を好ましい範囲とすることによって、延伸時に破れを生じ易くなったり、フィラーの周囲にボイドが多く形成され、放熱性が低下したりするのを抑制できる場合がある。
次に得られた二軸延伸フィルムに対して平面性と寸法安定性を付与するために、ポリエステルのTg以上融点未満の温度Thで1秒間以上30秒間以下の熱処理を行ない、均一に徐冷後、室温まで冷却する。本発明の配向ポリエステルフィルムの製造方法において熱処理温度Thは、ポリエステルの融点Tmとの差Tm−Thが、20℃以上90℃以下、より好ましくは25℃以上70℃以下、更に好ましくは30℃以上60℃以下である。また、上記熱処理工程中では、必要に応じて幅方向あるいは長手方向に3〜12%の弛緩処理を施してもよい。続いて必要に応じて、他素材との密着性をさらに高めるためにコロナ放電処理などを行っても良い。
(工程2:フィラーを含有する樹脂層の積層)
次に工程1で製造した熱可塑性樹脂からなる層(A層)に、フィラーを含有する樹脂層(B層)を積層する方法について説明する。積層の方法としては、B層が熱可塑性樹脂を主たる構成材料とする場合は、A層とB層の原料をそれぞれ二台の押出機に投入し、溶融して口金から冷却したキャストドラム上に共押出してシート状に加工する方法(共押出法)、単膜で作製したA層あるいはB層のシートにもう一方の層の原料を押出機に投入して溶融押出して口金から押出しながらラミネートする方法(溶融ラミネート法)、A層とB層をそれぞれ別々に作製し、加熱されたロール群などにより熱圧着する方法(熱ラミネート法)、接着剤を介して貼り合わせる方法(接着法)、その他、B層用の原料を溶媒に溶解させ、その溶液をあらかじめ作製していたA層上に塗布する方法(コーティング法)、およびこれらを組み合わせた方法等が使用することができる。
次に工程1で製造した熱可塑性樹脂からなる層(A層)に、フィラーを含有する樹脂層(B層)を積層する方法について説明する。積層の方法としては、B層が熱可塑性樹脂を主たる構成材料とする場合は、A層とB層の原料をそれぞれ二台の押出機に投入し、溶融して口金から冷却したキャストドラム上に共押出してシート状に加工する方法(共押出法)、単膜で作製したA層あるいはB層のシートにもう一方の層の原料を押出機に投入して溶融押出して口金から押出しながらラミネートする方法(溶融ラミネート法)、A層とB層をそれぞれ別々に作製し、加熱されたロール群などにより熱圧着する方法(熱ラミネート法)、接着剤を介して貼り合わせる方法(接着法)、その他、B層用の原料を溶媒に溶解させ、その溶液をあらかじめ作製していたA層上に塗布する方法(コーティング法)、およびこれらを組み合わせた方法等が使用することができる。
また、B層が、熱可塑性樹脂でない材料を主たる構成成分とする場合は、A層と積層するB層をそれぞれ別々に作製し、接着剤などを介して貼り合わせる方法(接着法)や、B層用の原料を溶媒に溶解させ、その溶液をあらかじめ作製していたA層上に塗布する方法(コーティング法)等が使用することができる。
中でも、汎用性が高く、厚みの薄いA層にB層を積層する際の加工性が良好なコーティング法が好ましく用いられる。以下、フィラーを含有する樹脂層(B層)がポリイミド樹脂およびエポキシ樹脂を含有する場合を例にとって、熱可塑性樹脂からなる層(A層)に、フィラーを含有する樹脂層(B層)をコーティング法により積層する方法について説明する。
B層の原料樹脂は、溶媒中で混合してワニス状とした後に、A層に塗布、乾燥してシート状に加工することができる。ここで用いる溶媒としては原料樹脂を溶解するものを適宜選択すればよく、たとえばケトン系溶剤のアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、エーテル系溶剤の1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジグライム、グリコールエーテル系溶剤のメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、その他ベンジルアルコール、プロパノール、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。特に大気圧下沸点が120℃以下であるものを含むと、低温、短時間で脱溶媒化できるためシート化が容易となる。
ワニス状にする方法は特に限定されるものではないが、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂およびフィラー並びに必要に応じ含まれる他の成分を上記溶媒中でプロペラ攪拌機、ホモジナイザー、混練機などを用いて混合させた後、フィラーの分散性を向上させる観点から、ビーズミル、ボールミル、3本ロールミル等で混合することが好ましい。
熱可塑性樹脂からなる層(A層)へワニスを塗布する方法としては、スピンナを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティング、スクリーン印刷、あるいは、ブレードコーター、ダイコーター、カレンダーコーター、メニスカスコーター、バーコーター、ロールコーター、コンマロールコーター、グラビアコーター、スクリーンコーター、スリットダイコーターなどを用いた塗布方法が挙げられる。
塗工機としては、ロールコーター、コンマロールコーター、グラビアコーター、スクリーンコーター、スリットダイコーターなどを用いることができるが、スリットダイコーターがコーティング時の溶媒の揮発が少なく塗布性が安定するため好ましく使用される。
乾燥には、オーブン、ホットプレート、赤外線などを使用することができる。乾燥温度および乾燥時間は、有機溶媒を揮発させることが可能な範囲で適宜設定すればよい。具体的には、40℃から120℃の範囲で1分間から数十分間保持することが好ましい。また、これらの温度を組み合わせて段階的に昇温してもよい。
本発明の積層シートが、熱可塑性樹脂からなる層(A層)の両面に、フィラーを含有する樹脂層(B層)を有する3層の構成からなる場合、A層の両面について同様のコーティングを施せば良い。
本発明の積層シートが、熱可塑性樹脂からなる層(A層)の両面に、フィラーを含有する樹脂層(B層)を有する3層の構成からなる場合、A層の両面について同様のコーティングを施せば良い。
次に、本発明の積層シートを放熱絶縁シートとして冷却体と発熱体との間に密着させて使用する際の使用方法について、例を挙げて説明する。本発明の積層シートは、被着体の間に介在させて熱圧着により密着させることができる。熱圧着は、熱プレス処理、熱ラミネート処理、熱真空ラミネート処理等によって行うことができる。熱圧着温度は、フィラーを含有する樹脂層(B層)が熱硬化性樹脂を含む場合、120℃から300℃の温度を加えて硬化物とする。加熱処理は温度を選び、段階的に昇温するか、ある温度範囲を選び連続的に昇温しながら5分間から5時間実施する。一例としては、130℃、200℃で各30分間ずつ熱処理する。あるいは室温より250℃まで2時間かけて直線的に昇温するなどの方法が挙げられる。また圧着時の圧力は0.01〜10MPaの範囲が好ましい。フィラーを含有する樹脂層(B層)が熱可塑性樹脂からなる場合、B層の樹脂が溶融開始する温度にて、同様の圧力で熱圧着すれば良い。
また、本発明の積層シートは、加熱を行わずに圧着のみによって被着体と密着させてもよいが、フィラーを含有する樹脂層(B層)が熱硬化性樹脂を含む場合、積層シートにあらかじめ120℃から300℃の温度を加えて熱硬化させることが、密着後の耐久性を向上させるために好ましい。
本発明の積層シートは、薄膜であっても高い放熱性と絶縁性を有するものである。本発明の積層シートは、その特長を生かして、回路基板、モーター、太陽電池用バックシート、粘着テープ、フレキシブルプリント基板、メンブレンスイッチ、面状発熱体、もしくはフラットケーブルなどの電気絶縁材料、半導体製造時の静電チャック、コンデンサ用材料、自動車用材料、建築材料をはじめとした電気絶縁性と放熱性が重視されるような用途に、放熱シートとして好適に使用することができる。これらの中で、特にコンバーターのリアクトルにおいて、発熱するコイルと冷却板(アルミ)の間の熱移動と絶縁確保を担う放熱絶縁シートとして好適に用いることができる。本発明の積層シートは、放熱絶縁シートの薄膜化を実現し、電子機器の軽量小型化に寄与するだけでなく、機器の熱を効率よく周囲に放散することで、電子機器の安全性や稼働効率、信頼性、寿命などを高めることができる。
[特性の評価方法]
A.積層シートの厚み(総厚み)
先端が平坦なダイヤルゲージ厚み計((株)ミツトヨ製)を用いて積層シートの厚みを測定した。なお、測定は場所を変えて10回実施し、その平均値で以て積層シートの厚みとした。
A.積層シートの厚み(総厚み)
先端が平坦なダイヤルゲージ厚み計((株)ミツトヨ製)を用いて積層シートの厚みを測定した。なお、測定は場所を変えて10回実施し、その平均値で以て積層シートの厚みとした。
B.フィラーを含有する樹脂層(B層)の厚みTb
B層の厚みは以下の(A1)〜(A3)の手順で求めた。なお、測定は積層シートの切断箇所を無作為に変更して計10回行い、その相加平均値でもって当該B層の厚みTb(μm)とした。
(A1)ミクロトームを用いて、積層シート断面を厚み方向に潰すことなく、積層シート面方向に対して垂直に切断する。
(A2)次いで切断した断面を、走査型電子顕微鏡を用いて観察し、3000倍に拡大観察した画像を得る。なお、観察場所はB層内において無作為に定めるものとするが、画像の上下方向が積層シートの厚み方向と、画像の左右方向が積層シートの面方向と、それぞれ平行になるようにするものとする。
(A3)前記(A2)で得られる画像中におけるB層の厚みを計測する。なお、画像でB層と他の層の界面が判別しにくい場合には、別途同じサンプルの断面について微分干渉顕微鏡を用いて偏光観察してB層の界面位置を割り出した後に厚みを計測する。
B層の厚みは以下の(A1)〜(A3)の手順で求めた。なお、測定は積層シートの切断箇所を無作為に変更して計10回行い、その相加平均値でもって当該B層の厚みTb(μm)とした。
(A1)ミクロトームを用いて、積層シート断面を厚み方向に潰すことなく、積層シート面方向に対して垂直に切断する。
(A2)次いで切断した断面を、走査型電子顕微鏡を用いて観察し、3000倍に拡大観察した画像を得る。なお、観察場所はB層内において無作為に定めるものとするが、画像の上下方向が積層シートの厚み方向と、画像の左右方向が積層シートの面方向と、それぞれ平行になるようにするものとする。
(A3)前記(A2)で得られる画像中におけるB層の厚みを計測する。なお、画像でB層と他の層の界面が判別しにくい場合には、別途同じサンプルの断面について微分干渉顕微鏡を用いて偏光観察してB層の界面位置を割り出した後に厚みを計測する。
C.熱可塑性樹脂からなる層(A層)の厚み
A層の厚み(μm)は上述の(A1)〜(A3)の手順と同様にして、切断面のA層に対して求めた。
A層の厚み(μm)は上述の(A1)〜(A3)の手順と同様にして、切断面のA層に対して求めた。
D.B層のフィラーの平均円相当径Df、フィラーの含有量Vf
B層中のフィラーの平均円相当径Df(μm)、およびフィラーの含有量Vf(体積%)は下の(B1)〜(B6)の手順で求めた。なお、測定は積層シートの切断箇所を無作為に変更して計10回行い、その相加平均値でもって、それぞれ当該B層におけるフィラーの平均円相当径Df(μm)、フィラーの含有量Vf(体積%)とした。
(B1)ミクロトームを用いて、積層シート断面を厚み方向に潰すことなく、積層シート面方向に対して垂直に切断する。
(B2)次いで切断した断面を、走査型電子顕微鏡を用いて観察し、3000倍に拡大観察した画像を得る。なお、観察場所はB層内において無作為に定めるものとするが、画像の上下方向が積層シートの厚み方向と、画像の左右方向が積層シートの面方向と、それぞれ平行になるようにするものとする。
(B3)前記(B2)で得られる画像中において、B層の面積(B層内に存在するフィラーや空隙等も含む全面積)を計測し、これをAとする。なお、画像でB層と他の層の界面が判別しにくい場合には、別途同じサンプルの断面について微分干渉顕微鏡を用いて偏光観察してB層の界面位置を割り出し、B層の面積を見積もる。
(B4)画像中のB層内に存在する全てのフィラーの面積を計測し、総面積をCとする。ここで、計測対象とするのは、フィラーの全体が画像内に収まっているものに限られず、画像内に一部のみが現われているフィラーも含むものとする。なお、画像でフィラーの場所が判別しにくい場合には、別途同じサンプルの断面についてエネルギー分散型X線分析を行い、無機物からなる部分を判別した後、面積を算出する。
(B5)CをAで除し(C/A)、それに100を乗じることにより、B層内におけるフィラーの面積割合を求め、この値でもってフィラーの含有量Vf(体積%)とした。
(B6)(B4)において、観察されたフィラーのそれぞれの面積を求め、その面積と同面積の真円を描いた場合の真円の直径でもってフィラーの円相当径(μm)とした。観察された全てのフィラーについて円相当径を求めた後、それらの相加平均値でもって平均円相当径(μm)とした。
B層中のフィラーの平均円相当径Df(μm)、およびフィラーの含有量Vf(体積%)は下の(B1)〜(B6)の手順で求めた。なお、測定は積層シートの切断箇所を無作為に変更して計10回行い、その相加平均値でもって、それぞれ当該B層におけるフィラーの平均円相当径Df(μm)、フィラーの含有量Vf(体積%)とした。
(B1)ミクロトームを用いて、積層シート断面を厚み方向に潰すことなく、積層シート面方向に対して垂直に切断する。
(B2)次いで切断した断面を、走査型電子顕微鏡を用いて観察し、3000倍に拡大観察した画像を得る。なお、観察場所はB層内において無作為に定めるものとするが、画像の上下方向が積層シートの厚み方向と、画像の左右方向が積層シートの面方向と、それぞれ平行になるようにするものとする。
(B3)前記(B2)で得られる画像中において、B層の面積(B層内に存在するフィラーや空隙等も含む全面積)を計測し、これをAとする。なお、画像でB層と他の層の界面が判別しにくい場合には、別途同じサンプルの断面について微分干渉顕微鏡を用いて偏光観察してB層の界面位置を割り出し、B層の面積を見積もる。
(B4)画像中のB層内に存在する全てのフィラーの面積を計測し、総面積をCとする。ここで、計測対象とするのは、フィラーの全体が画像内に収まっているものに限られず、画像内に一部のみが現われているフィラーも含むものとする。なお、画像でフィラーの場所が判別しにくい場合には、別途同じサンプルの断面についてエネルギー分散型X線分析を行い、無機物からなる部分を判別した後、面積を算出する。
(B5)CをAで除し(C/A)、それに100を乗じることにより、B層内におけるフィラーの面積割合を求め、この値でもってフィラーの含有量Vf(体積%)とした。
(B6)(B4)において、観察されたフィラーのそれぞれの面積を求め、その面積と同面積の真円を描いた場合の真円の直径でもってフィラーの円相当径(μm)とした。観察された全てのフィラーについて円相当径を求めた後、それらの相加平均値でもって平均円相当径(μm)とした。
E.熱拡散率
ベルジャー型蒸着機を用いて積層シートの両面にアルミを蒸着した。蒸着厚みは、フィルムの片面からレーザーポインターのレーザー光を照射し、反対面から目視で観察してレーザー光が透過しなくなる厚みとした。次に、レーザー光吸収用スプレー(ファインケミカルジャパン(株)製ブラックガードスプレーFC−153)を両面に薄く塗布して乾燥させた後、10mm角の正方形サンプルを切り出し、XeフラッシュアナライザーであるNETZSCH製LFA467Nanoflashを用い、測定温度25℃でフィルム厚み方向の熱拡散率α(m2/s)を測定した。なお、測定はサンプルを変えて10回実施し、その平均値で以て熱拡散率とした。
ベルジャー型蒸着機を用いて積層シートの両面にアルミを蒸着した。蒸着厚みは、フィルムの片面からレーザーポインターのレーザー光を照射し、反対面から目視で観察してレーザー光が透過しなくなる厚みとした。次に、レーザー光吸収用スプレー(ファインケミカルジャパン(株)製ブラックガードスプレーFC−153)を両面に薄く塗布して乾燥させた後、10mm角の正方形サンプルを切り出し、XeフラッシュアナライザーであるNETZSCH製LFA467Nanoflashを用い、測定温度25℃でフィルム厚み方向の熱拡散率α(m2/s)を測定した。なお、測定はサンプルを変えて10回実施し、その平均値で以て熱拡散率とした。
F.絶縁破壊電圧
積層シートをサイズ25cm×25cmの正方形に切り出し、23℃、65%Rhの室内で24時間調湿した後、JIS C2151(2006)に基づいて、交流絶縁破壊試験器(春日電機(株)製、AC30kV)を用いて、周波数60Hz、昇圧速度1000V/secで単位厚みあたりの絶縁破壊電圧(kV/mm)を測定した。
積層シートをサイズ25cm×25cmの正方形に切り出し、23℃、65%Rhの室内で24時間調湿した後、JIS C2151(2006)に基づいて、交流絶縁破壊試験器(春日電機(株)製、AC30kV)を用いて、周波数60Hz、昇圧速度1000V/secで単位厚みあたりの絶縁破壊電圧(kV/mm)を測定した。
G.放熱性
積層シートを直径8cmの円形に複数枚切り出し、総厚みが1〜1.5mmの範囲となるように重ね合わせ、25℃の室温下に置かれた直径3cmの面熱源(3W)の上に積層シートの片面を密着させて設置した。なお、設置する際は積層シートの中心と面熱源の中心が一致するように設置し、また、積層シートと面熱源の界面や、積層シート同士の界面には、信越化学工業(株)製の放熱シリコーングリース(G−775)を薄く塗布し、界面に空気が入らないよう密着させた。設置してから5分経過後に、サーモグラフィ(日本アビオニクス社(株)製)を用いて積層シートの表面温度(熱源とは反対側の面)を測定した。測定位置は積層シートの円形の中心にあたる箇所と、積層シートの円形の端部に当たる箇所の2箇所とし、それぞれ円形の中心の温度をTc(℃)、円形の端部の温度をTe(℃)とした。TcとTeの温度差が小さいほど、熱が周囲に拡散してホットスポットが緩和されていることを意味しており、放熱性は、下記判定基準にて評価した。A〜Cが放熱性の高い材料として好適に用いられる。
A:Tc−Teが10℃未満
B:Tc−Teが10℃以上、15℃未満
C:Tc−Teが15℃以上、20℃未満
D:Tc−Teが20℃以上。
積層シートを直径8cmの円形に複数枚切り出し、総厚みが1〜1.5mmの範囲となるように重ね合わせ、25℃の室温下に置かれた直径3cmの面熱源(3W)の上に積層シートの片面を密着させて設置した。なお、設置する際は積層シートの中心と面熱源の中心が一致するように設置し、また、積層シートと面熱源の界面や、積層シート同士の界面には、信越化学工業(株)製の放熱シリコーングリース(G−775)を薄く塗布し、界面に空気が入らないよう密着させた。設置してから5分経過後に、サーモグラフィ(日本アビオニクス社(株)製)を用いて積層シートの表面温度(熱源とは反対側の面)を測定した。測定位置は積層シートの円形の中心にあたる箇所と、積層シートの円形の端部に当たる箇所の2箇所とし、それぞれ円形の中心の温度をTc(℃)、円形の端部の温度をTe(℃)とした。TcとTeの温度差が小さいほど、熱が周囲に拡散してホットスポットが緩和されていることを意味しており、放熱性は、下記判定基準にて評価した。A〜Cが放熱性の高い材料として好適に用いられる。
A:Tc−Teが10℃未満
B:Tc−Teが10℃以上、15℃未満
C:Tc−Teが15℃以上、20℃未満
D:Tc−Teが20℃以上。
H.絶縁性
直径2cm、厚さ2mmの円盤状のアルミ板(表面粗さRa=100nm)を2枚用意し、直径2cmの円盤状に切り出した積層シートを2枚のアルミ板の間に挟み、そのまま全体を180℃に加熱したプレス機で4MPaの圧力をかけて1時間加熱圧着した。その後、プレス機から取り出して室温になるまで冷却し23℃、65%Rhの室内で24時間調湿した後、表裏のアルミ板の円盤の中心部に電極を取り付け、交流絶縁破壊試験器(春日電機(株)製、AC30kV)を用いて、絶縁破壊電圧(kV)を測定した。絶縁性は、下記判定基準にて評価した。AおよびBが実用範囲である。
A:絶縁破壊電圧が5kV以上
B:絶縁破壊電圧が3kV以上、5kV未満
D:絶縁破壊電圧が3kV未満。
直径2cm、厚さ2mmの円盤状のアルミ板(表面粗さRa=100nm)を2枚用意し、直径2cmの円盤状に切り出した積層シートを2枚のアルミ板の間に挟み、そのまま全体を180℃に加熱したプレス機で4MPaの圧力をかけて1時間加熱圧着した。その後、プレス機から取り出して室温になるまで冷却し23℃、65%Rhの室内で24時間調湿した後、表裏のアルミ板の円盤の中心部に電極を取り付け、交流絶縁破壊試験器(春日電機(株)製、AC30kV)を用いて、絶縁破壊電圧(kV)を測定した。絶縁性は、下記判定基準にて評価した。AおよびBが実用範囲である。
A:絶縁破壊電圧が5kV以上
B:絶縁破壊電圧が3kV以上、5kV未満
D:絶縁破壊電圧が3kV未満。
I.加工性
加工性の指標とした屈曲性は以下の方法により求めた。積層シートを、25℃の室温下、JIS K5600に準拠した方法でマンドレル(屈曲性)試験を行った。割れや破断が生じた径をもとに、以下の判定基準にて加工性を評価した。AおよびBが実用範囲である。
加工性の指標とした屈曲性は以下の方法により求めた。積層シートを、25℃の室温下、JIS K5600に準拠した方法でマンドレル(屈曲性)試験を行った。割れや破断が生じた径をもとに、以下の判定基準にて加工性を評価した。AおよびBが実用範囲である。
A:割れや破断が生じる屈曲半径が2mm未満
B:割れや破断が生じる屈曲半径が2mm以上、3mm未満
D:割れや破断が生じる屈曲半径が3mm以上。
B:割れや破断が生じる屈曲半径が2mm以上、3mm未満
D:割れや破断が生じる屈曲半径が3mm以上。
J.密着性
積層シートを65mm角に裁断したものを試験サンプルとした。次に、厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを縦65mm×横(幅)10mmの長方形に裁断し、また、65mm角のガラス板(表面粗さRa=20nm)を2枚用意した。次に、ガラス板の上に、前記長方形のポリエチレンテレフタレートフィルム2枚を、ガラス板の外辺に対して15mmの間隔が空き、またフィルム同士も15mmの間隔が空くように平行に載置した。これにより、ガラス板の表面とポリエチレンテレフタレートフィルムの表面とから構成される段差部を形成した。次に、段差部を含む前記ガラス板の全面を覆うように、試験サンプルを貼付(フィラーを含有する樹脂層(B層)が貼り合わせ面となるように載置)し、その上に、もう一枚のガラス板を載置した。次に、ガラス板の上から5kg荷重した状態で、180℃環境下に2時間静置した。静置後、段差凹部における試験サンプルとガラス板(下面側)の密着性を目視で確認し、試験サンプルがガラス板に密着した面積の割合を算出し、下記評価基準に従って評価した。AおよびBが実用範囲である。
A:密着した面積の割合が90%以上
B:密着した面積の割合が50%以上、90%未満
D:密着した面積の割合が50%未満。
積層シートを65mm角に裁断したものを試験サンプルとした。次に、厚さ6μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを縦65mm×横(幅)10mmの長方形に裁断し、また、65mm角のガラス板(表面粗さRa=20nm)を2枚用意した。次に、ガラス板の上に、前記長方形のポリエチレンテレフタレートフィルム2枚を、ガラス板の外辺に対して15mmの間隔が空き、またフィルム同士も15mmの間隔が空くように平行に載置した。これにより、ガラス板の表面とポリエチレンテレフタレートフィルムの表面とから構成される段差部を形成した。次に、段差部を含む前記ガラス板の全面を覆うように、試験サンプルを貼付(フィラーを含有する樹脂層(B層)が貼り合わせ面となるように載置)し、その上に、もう一枚のガラス板を載置した。次に、ガラス板の上から5kg荷重した状態で、180℃環境下に2時間静置した。静置後、段差凹部における試験サンプルとガラス板(下面側)の密着性を目視で確認し、試験サンプルがガラス板に密着した面積の割合を算出し、下記評価基準に従って評価した。AおよびBが実用範囲である。
A:密着した面積の割合が90%以上
B:密着した面積の割合が50%以上、90%未満
D:密着した面積の割合が50%未満。
K.薄葉性
5cm角の正方形に切り出した積層シートを、表面にフッ素スプレーを塗布した厚み75μmの2枚のポリイミドフィルムの間に挟み、全体を180℃に加熱したプレス機で4MPaの圧力をかけて1時間加熱プレスした。その後、ポリイミドフィルムを剥離して積層シートのみを取りだし、先端が平坦なダイヤルゲージ厚み計((株)ミツトヨ製)を用いて積層シートの厚みを測定した。なお、測定は場所を変えて10回実施し、その平均値で以て加熱プレス後の積層シートの厚みとした。薄葉性は下記評価基準に従って評価した。Aが実用範囲である。
A:加熱プレス後の積層シートの厚みが100μm以下
D:加熱プレス後の積層シートの厚みが100μmを超える。
5cm角の正方形に切り出した積層シートを、表面にフッ素スプレーを塗布した厚み75μmの2枚のポリイミドフィルムの間に挟み、全体を180℃に加熱したプレス機で4MPaの圧力をかけて1時間加熱プレスした。その後、ポリイミドフィルムを剥離して積層シートのみを取りだし、先端が平坦なダイヤルゲージ厚み計((株)ミツトヨ製)を用いて積層シートの厚みを測定した。なお、測定は場所を変えて10回実施し、その平均値で以て加熱プレス後の積層シートの厚みとした。薄葉性は下記評価基準に従って評価した。Aが実用範囲である。
A:加熱プレス後の積層シートの厚みが100μm以下
D:加熱プレス後の積層シートの厚みが100μmを超える。
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではない。各実施例において略号で示した原料の詳細を以下に示す。
<ポリイミド樹脂の原料>
ODPA:4,4’−オキシジフタル酸二無水物(マナック(株)製)
NJM−06:1,3‘−ビス(4−アミノ−2−カルボキシフェノキシ)ベンゼン(日本純良薬品(株)製)
KF8010:ジアミノポリシロキサン(信越化学(株)製)
エラスマー1000:ポリテトラメチレンオキシド−ジ−パラ−アミノベンゾエート(イハラケミカル工業(株)製)
BAPP:2,2‘−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン(和歌山精化工業(株)製)
<ポリエステル樹脂の原料>
ポリエステル−1:DFG1(ベルポリエステルプロダクツ社製)を使用した。固有粘度が1.1のポリエチレンテレフタレートである。
ODPA:4,4’−オキシジフタル酸二無水物(マナック(株)製)
NJM−06:1,3‘−ビス(4−アミノ−2−カルボキシフェノキシ)ベンゼン(日本純良薬品(株)製)
KF8010:ジアミノポリシロキサン(信越化学(株)製)
エラスマー1000:ポリテトラメチレンオキシド−ジ−パラ−アミノベンゾエート(イハラケミカル工業(株)製)
BAPP:2,2‘−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン(和歌山精化工業(株)製)
<ポリエステル樹脂の原料>
ポリエステル−1:DFG1(ベルポリエステルプロダクツ社製)を使用した。固有粘度が1.1のポリエチレンテレフタレートである。
ポリエステル−2:Sorona Bright(デュポン社製)を使用した。固有粘度が1.1のポリトリメチレンテレフタレートである。
<エポキシ樹脂>
JER828:ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱化学(株)製)
HP4032:ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂(DIC(株)製)
<フィラー>
AO509:アルミナ粒子(平均粒子径:9μm)(アドマテックス(株)製:“アドマテックス”(登録商標))
AO502:アルミナ粒子(平均粒子径:0.7μm)(アドマテックス(株)製:“アドマテックス”(登録商標))
T1360−400EST:アルミノシリケート粒子(長さ5μm、アスペクト比5)(Quarzwerke製:“SILATHERM”(登録商標))
フィラー−1:長さ3μm、アスペクト比8の棒状酸化チタン(石原産業製、PFR404、“タイペーク”(登録商標))を、ヘンシェルミキサーに入れ攪拌し、その状態でワラストナイト100重量%に対してシランカップリング剤(信越化学社製、KBM−403)が1重量%となるようにシランカップリング剤をスプレー噴霧して添加し、70℃で2時間加熱攪拌後、取り出すことで、フィラー−1を得た。
JER828:ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(三菱化学(株)製)
HP4032:ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂(DIC(株)製)
<フィラー>
AO509:アルミナ粒子(平均粒子径:9μm)(アドマテックス(株)製:“アドマテックス”(登録商標))
AO502:アルミナ粒子(平均粒子径:0.7μm)(アドマテックス(株)製:“アドマテックス”(登録商標))
T1360−400EST:アルミノシリケート粒子(長さ5μm、アスペクト比5)(Quarzwerke製:“SILATHERM”(登録商標))
フィラー−1:長さ3μm、アスペクト比8の棒状酸化チタン(石原産業製、PFR404、“タイペーク”(登録商標))を、ヘンシェルミキサーに入れ攪拌し、その状態でワラストナイト100重量%に対してシランカップリング剤(信越化学社製、KBM−403)が1重量%となるようにシランカップリング剤をスプレー噴霧して添加し、70℃で2時間加熱攪拌後、取り出すことで、フィラー−1を得た。
<硬化剤>
2P4MZ:2−フェニル−4−メチルイミダゾール
<溶剤>
トリグライム:トリエチレングリコールジメチルエーテル。
2P4MZ:2−フェニル−4−メチルイミダゾール
<溶剤>
トリグライム:トリエチレングリコールジメチルエーテル。
<マスターペレット>
MB−1:同方向回転タイプのベント式二軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュー直径30mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=45.5)を275℃に加熱し、ポリエステル−1を60重量部、フィラー−1を40重量部、供給し、溶融混練後、ストランド状に吐出し、温度25℃の水で冷却した後、直ちにカッティングしてフィラー−1を40重量%含有するマスターペレット(MB−1)を作製した。
MB−2:同方向回転タイプのベント式二軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュー直径30mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=45.5)を275℃に加熱し、ポリエステル−1を60重量部、アルミノシリケート粒子T1360−400ESTを40重量部、供給し、溶融混練後、ストランド状に吐出し、温度25℃の水で冷却した後、直ちにカッティングしてフィラー−1を40重量%含有するマスターペレット(MB−2)を作製した。
MB−1:同方向回転タイプのベント式二軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュー直径30mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=45.5)を275℃に加熱し、ポリエステル−1を60重量部、フィラー−1を40重量部、供給し、溶融混練後、ストランド状に吐出し、温度25℃の水で冷却した後、直ちにカッティングしてフィラー−1を40重量%含有するマスターペレット(MB−1)を作製した。
MB−2:同方向回転タイプのベント式二軸混練押出機(日本製鋼所製、スクリュー直径30mm、スクリュー長さ/スクリュー直径=45.5)を275℃に加熱し、ポリエステル−1を60重量部、アルミノシリケート粒子T1360−400ESTを40重量部、供給し、溶融混練後、ストランド状に吐出し、温度25℃の水で冷却した後、直ちにカッティングしてフィラー−1を40重量%含有するマスターペレット(MB−2)を作製した。
(参考例1)
300mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、窒素導入管および滴下ロートを設置して、窒素雰囲気下、トリグライム 113.33g、ODPA 11.79gを仕込み、60℃で撹拌溶解させた。その後、60℃で撹拌しながらエラスマー1000 22.28g、KF8010 12.04g、BAPP 1.64g、NJM−06 1.52gを添加して1時間撹拌した。その後180℃まで昇温させて3時間撹拌した後、室温まで冷却してポリイミド溶液A(固形分濃度30.0重量%)を得た。
300mlの4つ口フラスコに撹拌機、温度計、窒素導入管および滴下ロートを設置して、窒素雰囲気下、トリグライム 113.33g、ODPA 11.79gを仕込み、60℃で撹拌溶解させた。その後、60℃で撹拌しながらエラスマー1000 22.28g、KF8010 12.04g、BAPP 1.64g、NJM−06 1.52gを添加して1時間撹拌した。その後180℃まで昇温させて3時間撹拌した後、室温まで冷却してポリイミド溶液A(固形分濃度30.0重量%)を得た。
上記の方法により得られたポリイミド溶液A48.63gに、HP4032を4.16g、JER828を6.25g、2P4MZを0.8gを添加して混合撹拌し、これにAO509を129g、AO502を129g添加して3本ロールミルで5回繰り返し混練して、フィラーを含有する樹脂組成物を得た。
(参考例2)
脱水したN−メチルピロリドンに90モル%に相当する2−クロルパラフェニレンジアミンと10モル%に相当する4、4’−ジアミノジフェニルエーテルとを溶解させ、これに98.5モル%に相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添加し、2時間撹拌により重合後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度が11重量%の芳香族ポリアミドの溶液を得た。この芳香族ポリアミド溶液をアプリケータを用いてガラス板上に均一に流延し、120℃のオーブン中で7分間乾燥し、ガラス板より剥離した。この時のポリマー濃度は43重量%であった。このゲルフィルムの延伸限界を測定したところ1.44倍であ
った。同様に製膜したゲルフィルムを延伸限界の80%にあたる1.15倍延伸し、金属製のフレームに枠張りした後、流水中で10分間洗浄を行った。この後、枠張りしたまま300℃のオーブンで1分間熱処理を行い、厚み4.4μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
脱水したN−メチルピロリドンに90モル%に相当する2−クロルパラフェニレンジアミンと10モル%に相当する4、4’−ジアミノジフェニルエーテルとを溶解させ、これに98.5モル%に相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添加し、2時間撹拌により重合後、炭酸リチウムで中和を行い、ポリマー濃度が11重量%の芳香族ポリアミドの溶液を得た。この芳香族ポリアミド溶液をアプリケータを用いてガラス板上に均一に流延し、120℃のオーブン中で7分間乾燥し、ガラス板より剥離した。この時のポリマー濃度は43重量%であった。このゲルフィルムの延伸限界を測定したところ1.44倍であ
った。同様に製膜したゲルフィルムを延伸限界の80%にあたる1.15倍延伸し、金属製のフレームに枠張りした後、流水中で10分間洗浄を行った。この後、枠張りしたまま300℃のオーブンで1分間熱処理を行い、厚み4.4μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
(参考例3)
酸成分としてテレフタル酸ジメチルを、ジオール成分としてエチレングリコールを用い、重縮合反応を行うことで、ポリエチレンテレフタレート(PET)の樹脂ペレットを得た。次にペレットを180℃の温度で3時間真空乾燥し、溶融押出機に供給し、窒素雰囲気下、280℃の温度で溶融させ、口金から溶融押出してシート状の未延伸シートを得た。続いて、該未延伸単層シートを90℃に加熱したロールを用いて長手方向(縦方向)に2.5倍延伸し、次いで、得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながら90℃に加熱されたテンターにて長手方向に直角な方向(幅方向)に2.5倍延伸した。最後にテンター内の熱処理ゾーンで220℃の温度で20秒間の熱処理を施し、均一に徐冷後、巻き取り、厚さ4.4μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
酸成分としてテレフタル酸ジメチルを、ジオール成分としてエチレングリコールを用い、重縮合反応を行うことで、ポリエチレンテレフタレート(PET)の樹脂ペレットを得た。次にペレットを180℃の温度で3時間真空乾燥し、溶融押出機に供給し、窒素雰囲気下、280℃の温度で溶融させ、口金から溶融押出してシート状の未延伸シートを得た。続いて、該未延伸単層シートを90℃に加熱したロールを用いて長手方向(縦方向)に2.5倍延伸し、次いで、得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながら90℃に加熱されたテンターにて長手方向に直角な方向(幅方向)に2.5倍延伸した。最後にテンター内の熱処理ゾーンで220℃の温度で20秒間の熱処理を施し、均一に徐冷後、巻き取り、厚さ4.4μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。
(参考例4)
MB−1を50.0重量部、ポリエステル−2を30.0重量部、ポリエステル−1を20.0重量部の割合で3種類の原料を混合し、180℃の温度で3時間真空乾燥した後に押出機に供給し、窒素雰囲気下、280℃の温度で溶融させ、Tダイ口金に導入した。次いで、Tダイ口金内より、シート状に押出して溶融シートとし、該溶融シートを、表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて未延伸のシート状フィルムを得た。
MB−1を50.0重量部、ポリエステル−2を30.0重量部、ポリエステル−1を20.0重量部の割合で3種類の原料を混合し、180℃の温度で3時間真空乾燥した後に押出機に供給し、窒素雰囲気下、280℃の温度で溶融させ、Tダイ口金に導入した。次いで、Tダイ口金内より、シート状に押出して溶融シートとし、該溶融シートを、表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて未延伸のシート状フィルムを得た。
続いて、該未延伸フィルムを90℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、100℃の温度の加熱ロールを用いて7000%/minの速度で長手方向(縦方向)に2.5倍延伸を行い、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の90℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に100℃の温度の加熱ゾーンで200%/minの速度で長手方向に直角な方向(幅方向)に2.5倍延伸した。引き続いて、テンター内の熱処理ゾーン1で220℃の温度で20秒間の熱処理を施し、均一に徐冷後、巻き取り、厚さ4.4μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムは、主鎖炭素数が偶数のジオール成分(D1)と、主鎖炭素数が奇数のジオール成分(D2)のモル比(D1)/(D2)が63/38であった。
(参考例5)
MB−2を50.0重量部、ポリエステル−2を30.0重量部、ポリエステル−1を20.0重量部の割合で3種類の原料を混合し、180℃の温度で3時間真空乾燥した後に押出機に供給し、窒素雰囲気下、280℃の温度で溶融させ、Tダイ口金に導入した。次いで、Tダイ口金内より、シート状に押出して溶融シートとし、該溶融シートを、表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて未延伸のシート状フィルムを得た。
MB−2を50.0重量部、ポリエステル−2を30.0重量部、ポリエステル−1を20.0重量部の割合で3種類の原料を混合し、180℃の温度で3時間真空乾燥した後に押出機に供給し、窒素雰囲気下、280℃の温度で溶融させ、Tダイ口金に導入した。次いで、Tダイ口金内より、シート状に押出して溶融シートとし、該溶融シートを、表面温度25℃に保たれたドラム上に静電印加法で密着冷却固化させて未延伸のシート状フィルムを得た。
続いて、該未延伸フィルムを90℃の温度に加熱したロール群で予熱した後、100℃の温度の加熱ロールを用いて7000%/minの速度で長手方向(縦方向)に2.5倍延伸を行い、25℃の温度のロール群で冷却して一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの両端をクリップで把持しながらテンター内の90℃の温度の予熱ゾーンに導き、引き続き連続的に100℃の温度の加熱ゾーンで200%/minの速度で長手方向に直角な方向(幅方向)に2.5倍延伸した。引き続いて、テンター内の熱処理ゾーン1で220℃の温度で20秒間の熱処理を施し、均一に徐冷後、巻き取り、厚さ20μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムは、主鎖炭素数が偶数のジオール成分(D1)と、主鎖炭素数が奇数のジオール成分(D2)のモル比(D1)/(D2)が63/38であった。
(実施例1)
参考例1で得たフィラーを含有する樹脂組成物を、参考例2で得た芳香族ポリアミドフィルムの両面にコンマロールコーターを用いて塗布し、100℃で30分間乾燥を行い、積層シートを得た。塗布層の膜厚は、両面ともに乾燥後の厚みが33μmとなるように調整した。得られた積層シートの総厚みは70μmであった。
参考例1で得たフィラーを含有する樹脂組成物を、参考例2で得た芳香族ポリアミドフィルムの両面にコンマロールコーターを用いて塗布し、100℃で30分間乾燥を行い、積層シートを得た。塗布層の膜厚は、両面ともに乾燥後の厚みが33μmとなるように調整した。得られた積層シートの総厚みは70μmであった。
(実施例2)
参考例1で、AO509の添加量を109g、AO502の添加量を109gに変更して、フィラーを含有する樹脂組成物を得た。また、参考例2で、芳香族ポリアミドフィルムの厚みが9μmとなるようにガラス板上への流延量を調整して厚み9μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。こうして得たフィラーを含有する樹脂組成物および芳香族ポリアミドフィルムを使用した以外は、実施例1と同様にして総厚み75μmの積層シートを得た。
参考例1で、AO509の添加量を109g、AO502の添加量を109gに変更して、フィラーを含有する樹脂組成物を得た。また、参考例2で、芳香族ポリアミドフィルムの厚みが9μmとなるようにガラス板上への流延量を調整して厚み9μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。こうして得たフィラーを含有する樹脂組成物および芳香族ポリアミドフィルムを使用した以外は、実施例1と同様にして総厚み75μmの積層シートを得た。
(実施例3)
参考例1で、AO509の添加量を100g、AO502の添加量を100gに変更して、フィラーを含有する樹脂組成物を得た。また、参考例2で、芳香族ポリアミドフィルムの厚みが9μmとなるようにガラス板上への流延量を調整して厚み9μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。こうして得たフィラーを含有する樹脂組成物および芳香族ポリアミドフィルムを使用した以外は、実施例1と同様にして総厚み75μmの積層シートを得た。
参考例1で、AO509の添加量を100g、AO502の添加量を100gに変更して、フィラーを含有する樹脂組成物を得た。また、参考例2で、芳香族ポリアミドフィルムの厚みが9μmとなるようにガラス板上への流延量を調整して厚み9μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。こうして得たフィラーを含有する樹脂組成物および芳香族ポリアミドフィルムを使用した以外は、実施例1と同様にして総厚み75μmの積層シートを得た。
(実施例4)
参考例2で、芳香族ポリアミドフィルムの厚みが1.5μmとなるようにガラス板上への流延量を調整して厚み1.5μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。こうして得た芳香族ポリアミドフィルムを使用した以外は、実施例1と同様にして総厚み68μmの積層シートを得た。
参考例2で、芳香族ポリアミドフィルムの厚みが1.5μmとなるようにガラス板上への流延量を調整して厚み1.5μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。こうして得た芳香族ポリアミドフィルムを使用した以外は、実施例1と同様にして総厚み68μmの積層シートを得た。
(実施例5)
参考例1で、AO509の添加量を223g、AO502の添加量を49gに変更して、フィラーを含有する樹脂組成物を得た。こうして得たフィラーを含有する樹脂組成物を使用した以外は、実施例1と同様にして総厚み70μmの積層シートを得た。
参考例1で、AO509の添加量を223g、AO502の添加量を49gに変更して、フィラーを含有する樹脂組成物を得た。こうして得たフィラーを含有する樹脂組成物を使用した以外は、実施例1と同様にして総厚み70μmの積層シートを得た。
(実施例6)
参考例1で、AO509の添加量を223g、AO502の添加量を49gに変更して、フィラーを含有する樹脂組成物を得た。こうして得たフィラーを含有する樹脂組成物を使用し、乾燥後の厚みが43μmとなるように芳香族ポリアミドフィルムの両面に塗布した以外は、実施例1と同様にして総厚み90μmの積層シートを得た。
参考例1で、AO509の添加量を223g、AO502の添加量を49gに変更して、フィラーを含有する樹脂組成物を得た。こうして得たフィラーを含有する樹脂組成物を使用し、乾燥後の厚みが43μmとなるように芳香族ポリアミドフィルムの両面に塗布した以外は、実施例1と同様にして総厚み90μmの積層シートを得た。
(実施例7)
参考例1で得たフィラーを含有する樹脂組成物を、参考例3で得た二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの両面にコンマロールコーターを用いて塗布し、100℃で30分間乾燥を行い、積層シートを得た。塗布層の膜厚は、両面ともに乾燥後の厚みが33μmとなるように調整した。得られた積層シートの総厚みは70μmであった。
参考例1で得たフィラーを含有する樹脂組成物を、参考例3で得た二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの両面にコンマロールコーターを用いて塗布し、100℃で30分間乾燥を行い、積層シートを得た。塗布層の膜厚は、両面ともに乾燥後の厚みが33μmとなるように調整した。得られた積層シートの総厚みは70μmであった。
(実施例8)
参考例1で得たフィラーを含有する樹脂組成物を、参考例4で得た二軸延伸ポリエステルフィルムの両面にコンマロールコーターを用いて塗布し、100℃で30分間乾燥を行い、積層シートを得た。塗布層の膜厚は、両面ともに乾燥後の厚みが33μmとなるように調整した。得られた積層シートの総厚みは70μmであった。
参考例1で得たフィラーを含有する樹脂組成物を、参考例4で得た二軸延伸ポリエステルフィルムの両面にコンマロールコーターを用いて塗布し、100℃で30分間乾燥を行い、積層シートを得た。塗布層の膜厚は、両面ともに乾燥後の厚みが33μmとなるように調整した。得られた積層シートの総厚みは70μmであった。
(実施例9)
参考例1で得たフィラーを含有する樹脂組成物を、参考例5で得た二軸延伸ポリエステルフィルムの両面にコンマロールコーターを用いて塗布し、100℃で30分間乾燥を行い、積層シートを得た。塗布層の膜厚は、両面ともに乾燥後の厚みが38μmとなるように調整した。得られた積層シートの総厚みは96μmであった。
参考例1で得たフィラーを含有する樹脂組成物を、参考例5で得た二軸延伸ポリエステルフィルムの両面にコンマロールコーターを用いて塗布し、100℃で30分間乾燥を行い、積層シートを得た。塗布層の膜厚は、両面ともに乾燥後の厚みが38μmとなるように調整した。得られた積層シートの総厚みは96μmであった。
(実施例10)
参考例1で得たフィラーを含有する樹脂組成物を、参考例2で得た芳香族ポリアミドフィルムの片面にコンマロールコーターを用いて塗布し、100℃で30分間乾燥を行い、積層シートを得た。塗布層の膜厚は、乾燥後の厚みが33μmとなるように調整した。得られた積層シートの総厚みは37μmであった。
参考例1で得たフィラーを含有する樹脂組成物を、参考例2で得た芳香族ポリアミドフィルムの片面にコンマロールコーターを用いて塗布し、100℃で30分間乾燥を行い、積層シートを得た。塗布層の膜厚は、乾燥後の厚みが33μmとなるように調整した。得られた積層シートの総厚みは37μmであった。
(比較例1)
参考例1で得たフィラーを含有する樹脂組成物を、シリコーン樹脂をコーティングしたポリエチレンテレフタレート剥離フィルム(東レ(株)製「セラピール」)のコーティング面にコンマロールコーターを用いて塗布し、100℃で30分間乾燥を行った後、剥離フィルムを剥離して、シートを得た。塗布層の膜厚は、乾燥後の厚みが90μmとなるように調整した。得られたシートの総厚みは90μmであった。
参考例1で得たフィラーを含有する樹脂組成物を、シリコーン樹脂をコーティングしたポリエチレンテレフタレート剥離フィルム(東レ(株)製「セラピール」)のコーティング面にコンマロールコーターを用いて塗布し、100℃で30分間乾燥を行った後、剥離フィルムを剥離して、シートを得た。塗布層の膜厚は、乾燥後の厚みが90μmとなるように調整した。得られたシートの総厚みは90μmであった。
(比較例2)
塗布層の膜厚を、乾燥後の厚みが150μmとなるように調整した以外は、比較例1と同様にして、総厚み150μmのシートを得た。
塗布層の膜厚を、乾燥後の厚みが150μmとなるように調整した以外は、比較例1と同様にして、総厚み150μmのシートを得た。
(比較例3)
参考例3で、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みが25μmとなるように溶融押出の吐出量を変更して、厚み25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。次に、参考例1で得たフィラーを含有する樹脂組成物を、厚み25μm二軸延伸ポリエチレンテレフタレートの両面にコンマロールコーターを用いて塗布し、100℃で30分間乾燥を行い、積層シートを得た。塗布層の膜厚は、両面ともに乾燥後の厚みが20μmとなるように調整した。得られた積層シートの総厚みは65μmであった。
参考例3で、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みが25μmとなるように溶融押出の吐出量を変更して、厚み25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。次に、参考例1で得たフィラーを含有する樹脂組成物を、厚み25μm二軸延伸ポリエチレンテレフタレートの両面にコンマロールコーターを用いて塗布し、100℃で30分間乾燥を行い、積層シートを得た。塗布層の膜厚は、両面ともに乾燥後の厚みが20μmとなるように調整した。得られた積層シートの総厚みは65μmであった。
(比較例4)
塗布層の膜厚を、両面ともに乾燥後の厚みが50μmとなるように調整した以外は、実施例1と同様にして総厚み104μmの積層シートを得た。
塗布層の膜厚を、両面ともに乾燥後の厚みが50μmとなるように調整した以外は、実施例1と同様にして総厚み104μmの積層シートを得た。
本発明の積層シートは、薄膜であっても放熱性と絶縁性を両立した特性を有する。そのため、回路基板、モーター、太陽電池用バックシート、粘着テープ、フレキシブルプリント基板、メンブレンスイッチ、面状発熱体、もしくはフラットケーブルなどの電気絶縁材料、半導体製造時の静電チャック、コンデンサ用材料、自動車用材料、建築材料をはじめとした電気絶縁性と放熱性が重視されるような用途に好適に使用することができる。
Claims (6)
- 熱可塑性樹脂からなる層(A層)と、フィラーを含有する樹脂層(B層)を有する積層シートであって、前記積層シートの厚みが100μm以下、熱拡散率が3×10−7m2/s以上、かつ、絶縁破壊電圧が20kV/mm以上である積層シート。
- 前記樹脂層(B層)の厚みをTb(μm)、前記樹脂層(B層)に含まれるフィラーの平均円相当径をDf(μm)、前記樹脂層(B層)に含まれるフィラーの含有量をVf(体積%)とした場合に、(100×Tb)/(Vf×Df)が5以上、15以下である請求項1に記載の積層シート。
- 前記樹脂層(B層)がポリイミド樹脂およびエポキシ樹脂を含有する請求項1または2に記載の積層シート。
- 前記熱可塑性樹脂からなる層(A層)の厚みが1.5〜20μmである請求項1〜3のいずれかに記載の積層シート。
- 前記熱可塑性樹脂からなる層(A層)の熱可塑性樹脂が芳香族ポリアミドを主成分とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層シート。
- 前記熱可塑性樹脂からなる層(A層)に含まれるフィラーの含有量が25体積%以下であり、前記フィラーを含有する樹脂層(B層)に含まれるフィラーの含有量Vfが40体積%以上である請求項1〜5のいずれかに記載の積層シート。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016119522 | 2016-06-16 | ||
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2017
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