JP2017224560A - 電線およびケーブル - Google Patents

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孔亮 中村
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修一 田所
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有 木部
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Abstract

【課題】フッ素樹脂を用いることなく、電線・ケーブルにおいて、外径を細径化するとともに、高い機械的特性および耐水性を得る。
【解決手段】導体と、導体の外周に配置され、少なくとも内層および外層を含む積層構造を有する絶縁層と、を備え、内層は、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂組成物を架橋させてなる架橋体から形成され、外層は、ポリエステルエラストマを含むエラストマ組成物を架橋させてなる架橋体から形成され、ポリエステルエラストマは、ポリカーボネートジオール単位を含むソフトセグメントとジカルボン酸およびジオールから構成されるポリエステル単位を含むハードセグメントとを有し、表面硬度がショアD硬度で65以上である、電線が提供される。
【選択図】図1

Description

本発明は、電線およびケーブルに関する。
原子力発電所や鉄道車両といった信頼性が要求される電線・ケーブルには、絶縁特性はもちろんのこと機械的特性や寿命、火災事故に対する安全性が要求される。原子力発電所においてはIEEE(米国電気学会)383や日本においては電気学会推奨案第139号で使用される電線・ケーブルの環境試験方法や難燃性試験方法が規定されており、鉄道車両においても世界各国、地域で若干仕様が異なるものの、使用される電線の材料や試験方法等が規定されている。
特に、鉄道車両に使用される電線・ケーブルは、使用される環境上、一般に使用される電線・ケーブルと比較して、高い難燃性はもちろんのこと、電流が流れた高温状態における機械的特性や長期で浸水することを想定した耐水性、潤滑油などに対する耐油性が求められる。
一方、鉄道車両においては車体の軽量化・小型化が重要な課題であり、そこで使用される電線・ケーブルに関しても例外ではなく、軽量化や車両の小型化に伴う配線スペースの省スペース化に対応して細径化が求められている。
電線・ケーブルを細径化する方法としては、例えば、電線の許容電流を上げ、これに伴う温度上昇に対応できるように被覆層の耐熱性を高めることで、導体の断面積を小さくする方法、もしくは、被覆層の機械的特性や絶縁抵抗を高めることで被覆層(絶縁層など)を薄肉化する方法などがある。
例えば、特許文献1では、被覆層にフッ素樹脂を用いる方法が開示されている。フッ素樹脂は、耐熱性だけでなく機械的特性にも優れるので、導体を細径化できるとともに、被覆層を薄肉化することもできる。
しかし、フッ素樹脂は燃焼時に猛毒のフッ化水素を発生させてしまう。このため、近年では、火災時の安全性や環境負荷の低減の観点から、フッ素樹脂などに代わり、ハロゲンを含まない樹脂組成物を被覆材料として用いた電線・ケーブルが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。具体的には、ポリエステル系樹脂をベースポリマとした難燃性樹脂組成物で外層を形成し、ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂組成物で内層を形成し、積層構造を有する被覆層を形成している。ポリエステル系樹脂は機械的特性に優れるものの、単層構造で被覆させると、被覆層が剛直になり、適度な可とう性が得られなくなるが、特許文献2では、比較的柔軟なポリオレフィン系樹脂を内層に用いて積層構造とすることで、被覆層全体で柔軟性を維持しつつ、所望の機械的特性を得ることができる。
特開2008−293862号公報 特開2013−214487号公報
しかしながら、特許文献2では、ポリエステル系樹脂を被覆層の外層に使用していることから、電線・ケーブルが長期間にわたって水中で浸漬されて使用されると、被覆層が加水分解し、浸水してしまうおそれがある。被覆層が浸水すると、被覆層が導電してしまうため、電気絶縁性が損なわれてしまう。
そこで、本発明は、フッ素樹脂を用いることなく、電線・ケーブルにおいて、外径を細径化するとともに、高い機械的特性および耐水性を実現する技術を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、
導体と、
前記導体の外周に配置され、少なくとも内層および外層を含む積層構造を有する絶縁層と、を備え、
前記内層は、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂組成物から形成され、
前記外層は、ポリエステルエラストマを含むエラストマ組成物から形成され、
前記ポリエステルエラストマは、ポリカーボネートジオール単位を含むソフトセグメントとジカルボン酸およびジオールから構成されるポリエステル単位を含むハードセグメントとを有し、表面硬度がショアD硬度で65以上である、電線が提供される。
本発明の他の態様によれば、
導体の外周に絶縁層が配置された電線と、
前記電線の外周に配置され、難燃性樹脂組成物から形成されるシースと、を備え、
前記絶縁層は、少なくとも内層および外層を含む積層構造を有し、
前記内層は、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂組成物から形成され、
前記外層は、ポリエステルエラストマを含むエラストマ組成物から形成され、
前記ポリエステルエラストマは、ポリカーボネートジオール単位を含むソフトセグメントとジカルボン酸およびジオールから構成されるポリエステル単位を含むハードセグメントとを有し、表面硬度がショアD硬度で65以上である、ケーブルが提供される。
本発明によれば、フッ素樹脂を用いることなく、電線・ケーブルにおいて、外径を細径化するとともに、高い機械的特性および耐水性を得ることができる。
本発明の一実施形態に係る電線の長さ方向に垂直な断面図である。 本発明の他の実施形態に係る電線の長さ方向に垂直な断面図である。 本発明の一実施形態に係るケーブルの長さ方向に垂直な断面図である。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を行った。被覆層の耐油性や機械的特性などを考慮すると、ポリエステル系樹脂を用いることが考えられる。しかし、ポリエステル系樹脂は、上述したように、その化学構造から加水分解しやすいため、高い耐水性を得られない。
そこで、本発明者らは、ポリエステル系樹脂に代わる成分を検討し、ポリエステルエラストマに着目した。一般的なポリエステルエラストマは、ポリエステルを含む剛直なハードセグメントと、ポリエーテルを含む柔軟なソフトセグメントとを有しており、ポリエステルおよびポリエーテルは共に加水分解しやすいことから耐水性に劣る共重合体である。この耐水性を改善するために、ソフトセグメントに特定の構造を導入した種々のポリエステルエラストマが提案されている。本発明者らは、種々のポリエステルエラストマについて、その加水分解性および耐水性について検討した。その結果、例えば、ソフトセグメントにナフタレン環を導入したポリエステルエラストマなどでは、一般的な成分に比べて加水分解は生じにくいものの、長期的に浸水させたときの耐水性の点で不十分であることが分かった。しかし、その中でも、ソフトセグメントにポリカーボネートジオールを導入したポリエステルエラストマは、他のポリエステルエラストマと比べて加水分解しにくく、耐水性に優れていることが分かった。
また、被覆層の機械的特性、特に、耐摩耗性や耐貫通性(電線や他物品との圧縮による絶縁不良など)を考慮すると、ポリエステルエラストマとしては、ASTM_D2240で規定される表面硬度がD65以上の成分を用いるとよい。
ただし、表面硬度が高く、ポリカーボネートジオールを導入したポリエステルエラストマは、耐水性には優れるものの、一般的なポリエステルエラストマと比べると剛直であり、電線やケーブルの艤装性に劣る。つまり、このエラストマを用いて単層構造の絶縁層を形成すると、電線やケーブルの柔軟性が損なわれ、艤装する際に絶縁層が破けるおそれがあり、被覆層が長期的に耐水性を確保することが困難である。
この点について検討したところ、特定のポリエステルエラストマを含む成分を絶縁層の外層に使用し、その内層に、比較的柔軟な樹脂組成物を使用して、積層構造を有する絶縁層として構成することで、剛直な外層の厚さを薄肉化して絶縁層全体の柔軟性を維持しつつ、高い機械的特性および耐水性を実現することが可能となることを見出した。
本発明は、上記知見に基づいて成されたものである。
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態に係る電線について図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電線の長さ方向に垂直な断面図である。
図1に示すように、電線1は、導体11と、内層13および外層14からなる積層構造を有する絶縁層12とを備えて構成されている。
(導体)
導体11としては、通常用いられる金属線、例えば銅線、銅合金線の他、アルミニウム線、金線、銀線などを用いることができる。また、金属線の外周に錫やニッケルなどの金属めっきを施したものを用いてもよい。さらに、金属線を撚り合わせた集合撚り導体を用いることもできる。
(絶縁層)
導体11の外周には、電気絶縁性の絶縁層12が設けられている。本実施形態では、上述したように、絶縁層12において、高い機械的特性および耐水性を実現するために、絶縁層12を、内層13および外層14を有する積層構造で構成するとともに、外層14を、特定のポリエステルエラストマを含むエラストマ組成物で形成し、内層13を、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂組成物で形成している。以下、外層14、内層13の順に説明する。
(外層)
外層14は内層13の外周に配置されている。外層14は、後述するエラストマ組成物を内層13の外周上に押出成形することにより形成されており、所望の高い機械的特性および耐水性を有するように構成される。
外層14を形成するエラストマ組成物は、ソフトセグメントにポリカーボネートジオールを導入したポリエステルエラストマを含む。具体的には、ポリエステルエラストマは、ポリカーボネートジオール単位を含むソフトセグメントとジカルボン酸およびジオールから構成されるポリエステル単位を含むハードセグメントとを有する。
ポリエステルエラストマにおいて、ソフトセグメントを構成するポリカーボネートジオール単位は、他のポリオール単位と比べて剛直であるものの、耐水性に優れた化学構造を有している。そのため、外層14において、ポリカーボネートジオール単位を含むソフトセグメントを有するポリエステルエラストマを用いることにより、所望の耐水性を得ることができる。
ポリエステルエラストマにおいて、ハードセグメントを構成するポリエステル単位は、ジカルボン酸およびジオールからなる。ジカルボン酸およびジオールとしては、公知の成分を用いることができる。例えば、ジカルボン酸としては、テレフタル酸やナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸などを用いることができる。ジオールとしては、1,4−ブタンジオールやエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオールなどを用いることができる。
ポリエステル単位としては、例えば、テレフタル酸およびエチレングリコールからなるポリエチレンテレフタレート(PET)単位、もしくはテレフタル酸および1,4−ブタンジオールからなるポリブチレンテレフタレート(PBT)単位などが挙げられるが、ポリエステル単位はPBT単位であることが好ましい。PBT単位は、PET単位と比べて構造中のエステルの割合が少なく、加水分解しにくい。つまり、PBT単位を有するポリエステルエラストマによれば、外層14の耐水性をさらに向上させることができる。
外層14を構成するポリエステルエラストマは、ASTM_D2240で規定される表面硬度がD65以上である。表面硬度がD65未満であるポリエステルエラストマは、柔らかい成分となるため、外層14を形成したときに、所望の高い機械的特性が得られなくなる。
外層14は、機械的特性や耐熱性、耐油性の観点から架橋されており、エラストマ組成物を架橋させてなる架橋体から形成されている。エラストマ組成物は、非架橋でも十分な機械的特性や耐熱性を有するが、架橋により諸特性を向上させることができる。外層14の架橋方法としては、例えば、硫黄もしくは硫黄化合物を使用した加硫、有機過酸化物を使用した過酸化物架橋、電子線などの電離放射線を使用した架橋があげられるが、電離放射線で架橋させることが好ましい。電離放射線では、3級炭素を含む放射線崩壊型のポリマは使用できないものの、それ以外のポリマであれば化学構造が限定されない。また、有機化酸化物のようにエラストマ組成物を高温度に加熱させる必要がない。
ポリエステルエラストマは、ポリマ自体が所定の難燃性を有するが、外層14を形成するエラストマ組成物には、外層14に要求される難燃性に応じて難燃剤を配合してもよい。難燃剤としては、例えば、デカブロモジフェニルエタンなどに代表される臭素系難燃剤、塩素系難燃剤、三酸化アンチモン、メラミン・シアヌレート化合物などの窒素系難燃剤、赤リンやイントメッセント系難燃剤などのリン系難燃剤、金属水酸化物、ホウ酸化合物、スズ酸化合物、シリコーン系難燃剤などを用いることができ、特に、臭素系難燃剤、三酸化アンチモン、窒素系難燃剤が好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、外層14を形成するエラストマ組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、滑剤、界面活性剤、軟化剤、可塑剤、無機充填剤、相溶化剤、安定剤、金属キレート剤(銅害防止剤)、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤などの他の添加剤を配合してもよい。
外層14の厚さは、特に限定されないが、機械的特性の観点から少なくも0.1mm以上であることが好ましい。一方、絶縁層12全体での柔軟性の観点からは、外層14の厚さは薄いことが好ましく、絶縁層12の厚さに対する外層14の厚さの比率が50%以下となることが好ましい。
(内層)
内層13は、導体11の外周に配置され、外層14により被覆されている。内層13は、後述する樹脂組成物を導体11の外周上に押出成形することにより形成され、柔軟性を有するように構成される。
内層13を形成する樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂を含む。ポリオレフィン樹脂は、上述した外層14を構成するポリエステルエラストマよりも柔軟な材料であるため、内層13は、絶縁層12の柔軟性を向上させる。また、内層13は、耐水性に優れる外層14で被覆されて、水が浸透しにくいように構成されている。そのため、内層13は、長期間にわたって電気絶縁性を示すことができる。
内層13を構成するポリオレフィン樹脂としては、特に限定されないが、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、およびエチレン−プロピレン−ジエン共重合体の少なくとも1つを用いることが好ましい。これらは、極性を持たない、もしくは側鎖に極性を有したとしても、側鎖が遊離しにくいので、これら成分で内層13を構成することで、外層14を通過して内層13まで浸透した水を吸水しにくく、電気絶縁性の低下を抑制することができる。
内層13を形成する樹脂組成物には、難燃剤や成形加工性のために添加する無機充填剤を配合しないことが好ましい。難燃剤や無機充填剤は、ポリオレフィン樹脂との密着性が低く、その界面に水を引き込みやすくさせてしまう。つまり、難燃剤などを含む内層13では、外層14を浸透した水を取り込みやすく、電気絶縁性が低下しやすくなる。そのため、内層13への吸水を抑制し、絶縁層12の電気絶縁性を長期間にわたって維持するには、内層13を難燃剤や無機充填剤を含有しないように構成することが好ましい。なお、内層13は、無機充填剤を配合しないで形成されることで、押出外観が悪くなるおそれがあるが、本実施形態では、内層13は外層14で被覆されているため、内層13の押出外観は問題とはならない。
内層13を形成する樹脂組成物には、必要に応じて、内層13における吸水性を上げず、電気絶縁性を低下させないような成分、例えば、酸化防止剤、滑剤、金属キレート剤、紫外線吸収剤、光安定剤などの有機系添加剤を配合してもよい。特に、内層13は導体11の直上に設けられることから、樹脂組成物には、銅害を抑制するために酸化防止剤、金属キレート剤を配合するとよい。
また、内層13は、外層14と同様に架橋されており、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂組成物を架橋させてなる架橋体から形成されている。その架橋方法は、外層14と同様に電離放射線を用いた架橋が好ましい。
以上のように、本実施形態の電線1によれば、絶縁層12が、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂組成物から形成される内層13と、所定のポリエステルエラストマを含むエラストマ組成物から形成される外層14とを積層させて構成されている。外層14は、上述のエラストマ組成物から形成されることで機械的特性および耐水性に優れている。エラストマ組成物は剛直な材料であるため、外層14は絶縁層12の柔軟性を損なうおそれがある。しかし、本実施形態では、外層14を絶縁層12の一部として設けることで、その厚さを小さくすることができるので、絶縁層12の柔軟性を損なうことなく、機械的特性および耐水性を得ることができる。また、内層13は耐水性に優れる外層14で被覆されているので、吸水による電気絶縁性の低下が抑制されている。そのため、本実施形態の電線1では、艤装の際に絶縁層12が破けたり、絶縁層12から浸水したりすることを抑制できるので、水中に長期間にわたって浸漬させた場合であっても電気絶縁性を維持することが可能である。
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上述の実施形態では、絶縁層12が、内層13および外層14を含む積層構造を有する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明では、例えば、図2に示すように、内層13と外層14との間に介在するように電気絶縁性の中間層15を設けてもよい。中間層15の形成材料としては、内層13を形成する樹脂組成物と同様のものを用いてもよいが、ベースポリマとして、高密度ポリエチレン、直鎖上低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレンαオレフィン共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンアクリル酸エステル共重合体、およびエチレンプロピレンジエン共重合体の少なくとも1つ含む樹脂組成物を用いることができる。この樹脂組成物には、必要に応じて、難燃剤、酸化防止剤、滑剤、界面活性剤、軟化剤、可塑剤、無機充填剤、相溶化剤、安定剤、金属キレート剤(銅害防止剤)、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤などのその他の添加剤を配合してもよい。
上述の実施形態では、電線1の場合について説明したが、本発明では、図3に示すように、ケーブル2として構成することも可能である。具体的には、ケーブル2は、内層13および外層14を有する絶縁層12が導体11の外周に配置された電線1を複数本撚り合わせた撚り線21と、撚り線21の外周に押さえテープ22を介してシース23を備えて構成される。
シース23を形成するシース材料としては、難燃性樹脂組成物を用いることができる。難燃性樹脂組成物としては、ベースポリマとしてポリオレフィン樹脂を含む材料や、ハロゲン化したポリオレフィン樹脂を含む材料を用いることができる。シース材料に使用する難燃性樹脂組成物も必要に応じて難燃剤、酸化防止剤、滑剤、界面活性剤、軟化剤、可塑剤、無機充填剤、相溶化剤、安定剤、金属キレート剤(銅害防止剤)、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤などの添加剤を配合してもよい。
次に、本発明について実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
(1)材料
本実施例では、以下の材料を用いた。
・ポリエステルエラストマ(A):ポリブチレンテレフタレート−ポリカーボネートジオール(東洋紡株式会社製「ベルブレンC−2000FR」、表面硬度D68)
・ポリエステルエラストマ(B):ポリブチレンテレフタレート−ポリカーボネートジオール(東洋紡株式会社製「ベルブレンC−2003」、表面硬度D60)
・ポリエステルエラストマ(C):ポリブチレンテレフタレート−脂肪族ポリエステル(東洋紡株式会社製「ベルブレンS−6002FR2」、表面硬度D68)
・エチレン酢酸ビニル共重合体:三井・デュポンポリケミカル株式会社製「エバフレックス460」
・エチレン酢酸ビニル共重合体:三井・デュポンポリケミカル株式会社製「エバフレックス260」
・高密度ポリエチレン:株式会社プライムポリマー製「ハイゼックス550P」
・エチレンエチルアクリレート:日本ポリエチレン株式会社製「レクスパールA1150」
・焼成クレー:BASFジャパン株式会社製「Santintone SP−33」
・臭素系難燃剤:アルベマール日本株式会社製「サイテックス8010」
・フェノール系酸化防止剤:BASFジャパン株式会社製「イルガノックス1010」
・イオウ系酸化防止剤:株式会社ADEKA製「アデカスタブAO−412S」
・金属キレート剤:株式会社ADEKA製「CDA−1」
・カーボンブラック:旭カーボン株式会社製「アサヒサーマルブラック」
・金属石鹸:ステアリン酸亜鉛(日東化成株式会社製)
・架橋助剤:TMPT(新中村化学工業株式会社製)
・塩素化ポリエチレン:昭和電工株式会社製「エラスレン 401A」
・オレイン酸ビスアマイド:日本化成株式会社製「スリパックスO」
(2)電線・ケーブルの作製
<実施例1>
まず、55Lワンダーニーダーにて、上記材料を下記表1に示す比率で混練し、材料を押出機に投入してストランドで押出、水冷して、ペレット状の内層材料を得た。
Figure 2017224560
続いて、55Lワンダーニーダーにて、上記材料を下記表2に示す比率で混練し、材料を押出機に投入してストランドで押出、水冷して、ペレット状の中間層材料を得た。
Figure 2017224560
続いて、複数本のスズめっき軟銅線を撚り合わせた16AWG(導体断面積1.23mm、導体外径1.37mm)の銅導体上に、上述の内層材料を0.1mm、その外側に中間層材料を0.18mm、さらにその外側に外層材料としてポリエステルエラストマ(A)を0.1mmの厚さで3層同時押出被覆し、電離放射線を200kGyで照射して架橋させることにより、外径2.13mmであって、図2に示すような構造の電線を作製した。
<実施例2>
実施例2では、銅導体上に、上述の内層材料を0.28mm、その外側に外層材料としてポリエステルエラストマ(A)を0.1mmの厚さで2層同時押出被覆し、電離放射線を200kGyで照射して架橋させることにより、外径2.13mmであって、図1に示すような構造の電線を作製した。
<実施例3>
実施例3では、実施例2で作製した電線を3本撚り合わせ、その上に厚さ0.025mmのポリエチレンテレフタレートテープを巻き、スズめっき軟銅線(導体断面積0.12mm)を編組した上にシース材料を厚さ0.5mmで押出被覆し、電離放射線を200kGyで照射して架橋させることにより、外径6.25mmであって、図3に示すような構造のケーブルを作製した。なお、シース材料としては、55Lワンダーニーダーにて、上記材料を下記表3に示す比率で混練し、ペレット化したものを用いた。
Figure 2017224560
<比較例1>
比較例1では、銅導体上に、実施例1で中間層材料として用いた表2に示す組成物のみを単層で0.76mmの厚さで押出被覆し、電線の外径を2.9mmとした以外は、実施例1と同様に電線を作製した。
<比較例2>
比較例2では、銅導体上に、ポリエステルエラストマ(A)のみを単層で0.38mmの厚さで押出被覆し、電線の外径を2.13mmとした以外は、実施例1と同様に電線を作製した。
<比較例3>
比較例3では、銅導体上に、実施例1で中間層材料として用いた表2に示す組成物のみを単層で0.38mmの厚さで押出被覆し、電線の外径を2.13mmとした以外は、実施例1と同様に電線を作製した。
<比較例4>
比較例4では、実施例2において、ポリエステルエラストマ(A)の代わりに、ポリエステルエラストマ(B)を用いた以外は、実施例2と同様に電線を作製した。
<比較例5>
比較例5では、実施例2において、ポリエステルエラストマ(A)の代わりに、ポリエステルエラストマ(C)を用いた以外は、実施例2と同様に電線を作製した。
<比較例6>
比較例6では、実施例1において、電離放射線を照射せずに、被覆層を架橋させない以外は、実施例1と同様に電線を作製した。
(3)評価方法
上記で作製した電線・ケーブルを以下に示す方法により評価した。
(機械的特性)
作製した電線・ケーブルについて、アメリカの鉄道車両用電線規格であるAAR RP−585 第5.9.8.1項の「Abrasion Resistant I(耐摩耗試験I)」および第5.9.4項の「Penetration Test(貫通性試験)」を雰囲気温度170℃で実施し、両方を満足すれば合格とした。なお、試験条件は600V定格16AWGの条件を採用した。
(耐水性)
作製した電線・ケーブルについて、アメリカの鉄道車両用電線規格であるAAR RP−585第5.6.4項の「lnsulation Resistance,Long Term(長期浸水課電試験)」を満足し、且つ試験後の外観がクラックなく良好なものを合格とした。
(総合判定)
本実施例では、機械的特性および耐水性の評価を満たすものを合格とした。評価結果を下記表4に示す。
Figure 2017224560
(4)評価結果
実施例1〜3によれば、絶縁層の薄肉化しながらも、高い機械的特性や耐水性を得ることが確認された。特に、実施例1では、実施例2の長期浸水試験後の体積抵抗値が1013Ω・cmであったのに対し、1014Ω・cmを維持することができ、絶縁層への浸水を抑制して電気絶縁性の低下を抑制できることが確認された。
一方、比較例1では、機械的特性および耐水性は十分であるものの、電線の外径が太く、軽量化できないことが確認された。
比較例3では、比較例1と同様の構造で絶縁層を薄肉化させたが、耐水性には合格したものの、機械的特性を満たすことができなかった。このことから、比較例1および比較例3の構成で、機械的特性を満たすには、絶縁層の厚さを大きくさせる必要があり、細径化および軽量化が困難であることが分かった。
比較例2では、ポリエステルエラストマ(A)を単層で使用したが、絶縁層においてクラックの発生は確認されなかったものの、長期浸水課電試験中での吸水が多く、電気絶縁性が不合格となった。
比較例4では、外層に、表面硬度がD65よりも低いD60のポリエステルエラストマ(B)を用いた。そのため、耐水性は合格したが、機械的特性の耐摩耗試験や170℃貫通試験で不合格となった。
比較例5では、表面硬度がD68であるポリエステルエラストマを使用したが、ポリカーボネートジオール単位を含まないポリエステル−ポリエステルの共重合体であったため、耐水性が不十分であることが確認された。
比較例6では、絶縁層を架橋させていなかったため、貫通性試験時に内層の変形が著しく不合格となり、長期浸水課電試験も内層が変形して不合格となった。長期浸水試験後外観にクラックは見られなかったため合格としたが、内層の変形により電線は変形(絶縁層が偏肉)していることが確認された。
以上から、本発明のように、表面硬度がD65以上であって、ポリカーボネートジオール単位を含むソフトセグメントを有するポリエステルエラストマを架橋させて、絶縁層の外層として形成することにより、絶縁層の厚さを薄くした場合であっても、所望の高い機械的特性および耐水性を実現することができる。
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
[付記1]
本発明の一態様によれば、
導体と、
前記導体の外周に配置され、少なくとも内層および外層を含む積層構造を有する絶縁層と、を備え、
前記内層は、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂組成物から形成され、
前記外層は、ポリエステルエラストマを含むエラストマ組成物から形成され、
前記ポリエステルエラストマは、ポリカーボネートジオール単位を含むソフトセグメントとジカルボン酸およびジオールから構成されるポリエステル単位を含むハードセグメントとを有し、表面硬度がショアD硬度で65以上である、電線が提供される。
[付記2]
付記1の電線において、好ましくは、
前記ポリエステル単位がポリブチレンテレフタレート単位である。
[付記3]
付記1又は2の電線において、好ましくは、
前記内層を形成する前記樹脂組成物は難燃剤および無機充填剤を含まない。
[付記4]
付記1〜3のいずれかの電線において、好ましくは、
前記内層を形成する前記樹脂組成物は、前記ポリオレフィン樹脂として、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、およびエチレン−プロピレン−ジエン共重合体の少なくとも1つを含有する。
[付記5]
本発明の他の態様によれば、
導体の外周に絶縁層が配置された電線と、
前記電線の外周に配置され、難燃性樹脂組成物から形成されるシースと、を備え、
前記絶縁層は、少なくとも内層および外層を含む積層構造を有し、
前記内層は、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂組成物から形成され、
前記外層は、ポリエステルエラストマを含むエラストマ組成物から形成され、
前記ポリエステルエラストマは、ポリカーボネートジオール単位を含むソフトセグメントとジカルボン酸およびジオールから構成されるポリエステル単位を含むハードセグメントとを有し、表面硬度がショアD硬度で65以上である、ケーブルが提供される。
1 電線
2 ケーブル
11 導体
12 絶縁層
13 内層
14 外層
21 撚り線
22 押さえテープ
23 シース

Claims (5)

  1. 導体と、
    前記導体の外周に配置され、少なくとも内層および外層を含む積層構造を有する絶縁層と、を備え、
    前記内層は、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂組成物を架橋させてなる架橋体から形成され、
    前記外層は、ポリエステルエラストマを含むエラストマ組成物を架橋させてなる架橋体から形成され、
    前記ポリエステルエラストマは、ポリカーボネートジオール単位を含むソフトセグメントとジカルボン酸およびジオールから構成されるポリエステル単位を含むハードセグメントとを有し、表面硬度がショアD硬度で65以上である、電線。
  2. 前記ポリエステル単位がポリブチレンテレフタレート単位である、請求項1に記載の電線。
  3. 前記内層を形成する前記樹脂組成物は難燃剤および無機充填剤を含まない、請求項1又は2に記載の電線。
  4. 前記内層を形成する前記樹脂組成物は、前記ポリオレフィン樹脂として、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、およびエチレン−プロピレン−ジエン共重合体の少なくとも1つを含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の電線。
  5. 導体の外周に絶縁層が配置された電線と、
    前記電線の外周に配置され、難燃性樹脂組成物から形成されるシースと、を備え、
    前記絶縁層は、少なくとも内層および外層を含む積層構造を有し、
    前記内層は、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂組成物を架橋させてなる架橋体から形成され、
    前記外層は、ポリエステルエラストマを含むエラストマ組成物を架橋させてなる架橋体から形成され、
    前記ポリエステルエラストマは、ポリカーボネートジオール単位を含むソフトセグメントとジカルボン酸およびジオールから構成されるポリエステル単位を含むハードセグメントとを有し、表面硬度がショアD硬度で65以上である、ケーブル。
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