JP2017224410A - 非水電解液二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
前記正極活物質としてはリチウム含有遷移金属酸化物が、前記負極活物質としては黒鉛に代表される炭素材料が、前記非水電解液としては、エチレンカーボネート等の環状カーボネートとジエチルカーボネート等の鎖状カーボネートを主構成成分とする非水溶媒に六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)等の電解質を溶解したものが広く知られている。
そして、「正極活物質として、コバルト酸リチウムLiCoO2にAlとMgとがそれぞれ1.0mol%固溶されると共にその固溶体の粒子表面にZrが0.05mol%付与されたもの」(段落[0031])を用い、非水電解液の非水系溶媒として、「被膜形成化合物の4−フルオロエチレンカーボネート(4−FEC)」と、「フッ素化鎖状カルボン酸エステルであるCF3CH2COOCH3」とが体積比で2:8、1:9、3:7の混合溶媒(段落[0035]、[0038]、[0041]、[0042]、表1の実施例1〜4)、4−FEC:CF3CH2COOCH3:DMCが2:4:4の混合溶媒(段落[0043]、同表の実施例5)、及び4−FEC:CF3CH2COOCH3:CH3CH2COOCH3が2:4:4の混合溶媒(段落[0044]、同表の実施例6)を用いた非水電解液二次電池が記載されており、この電池を4.2Vになるまで充電すること(段落[0052])が示されている。
また、「第2正極活物質は、少なくともNiを有し、Liを除く金属元素のモル総量に対するNiの割合が50モル%以上であり、層状構造を有するリチウム含有遷移金属酸化物である。」(段落[0019])、「第1正極活物質と第2正極活物質とが共存する場合にのみ、特異的に金属溶出が抑制され、サイクル特性が改善される。」(段落[0022])と記載されている。
特許文献4には、正極活物質として、「リチウム過剰型」である第1正極活物質と、第2正極活物質を含み、FECとEMPを含む非水電解液を用いた非水電解液二次電池について記載されており、第2正極活物質のNiの含有割合を50モル%以上と特定することによりサイクル特性を改善することが記載されている。
本発明は、入出力性能が優れ、電池膨れが抑制された非水電解液二次電池を提供することを課題とする。
<正極活物質>
(「リチウム過剰型」活物質)
本発明の一態様に係る非水電解液二次電池を構成する正極に用いる正極活物質は、α−NaFeO2構造を有し、モル比で、Li/Me>1、Mn/Me≧0.5(但し、Meは、少なくともMn及びNiを含む遷移金属)であるリチウム遷移金属複合酸化物を含む。上記リチウム遷移金属複合酸化物は、Li1+αMe1−αO2(α>0)で表される「リチウム過剰型」活物質であり、Meが、少なくともMn及びNiを含み、Coを任意に含む場合、一般式Li1+α(CoaNibMnc)1−αO2、但し、(1+α)/(1−α)>1、a+b+c=1、a≧0、b>0、c≧0.5で表わされる。
「リチウム過剰型」活物質は、「LiMeO2型」活物質に比べて高容量であり、例えば4.4V(vs.Li/Li+)以上の比較的貴な正極電位で使用することができる。
「リチウム過剰型」活物質の(1+α)/(1−α)、すなわちモル比Li/Meは、α−NaFeO2構造の安定性を保ち、高容量と高率放電性能を得るために1.1以上1.6以下であることが好ましく、1.15以上1.45以下であることがより好ましい。
「リチウム過剰型」活物質としては、例えば、Li1.13Co0.11Ni0.17Mn0.59O2(Li/Me=1.3、Mn/Me=0.68)、Li1.11Co0.11Ni0.18Mn0.60O2(Li/Me=1.25、Mn/Me=0.67)、Li1.15Co0.11Ni0.17Mn0.57O2(Li/Me=1.35、Mn/Me=0.67)、Li1.17Co0.10Ni0.17Mn0.56O2(Li/Me=1.4、Mn/Me=0.67)、Li1.05Co0.12Ni0.19Mn0.64O2(Li/Me=1.1、Mn/Me=0.67)、Li1.07Co0.12Ni0.18Mn0.63O2(Li/Me=1.15、Mn/Me=0.68)、Li1.09Co0.11Ni0.18Mn0.62O2(Li/Me=1.2、Mn/Me=0.68)、Li1.09Ni0.41Mn0.50O2(Li/Me=1.2、Mn/Me=0.55)等のリチウム遷移金属複合酸化物が挙げられる。
本発明の一態様に係る正極活物質を製造する方法について説明する。
本発明の一態様に係る非水電解液二次電池に用いる活物質は、活物質を構成する金属元素(Li、Mn、Ni等)を目的とする活物質(酸化物)の組成通りに含有する原料又は前駆体を調製し、これを焼成することによって得ることができる。但し、Li原料の量については、焼成中にLi原料の一部が消失することを見込んで、1〜5%程度過剰に仕込むことが好ましい。
目的とする組成の酸化物を製造するにあたり、Li,Mn,Ni,Coのそれぞれの塩を混合・焼成するいわゆる「固相法」や、あらかじめMn,Ni,Coを一粒子中に存在させた共沈前駆体を作製しておき、これにLi塩を混合・焼成する「共沈法」が知られている。「固相法」による合成過程では、特にMnはNi,Coに対して均一に固溶しにくいため、各元素が一粒子中に均一に分布した試料を得ることは困難である。これまで文献などにおいては固相法によってNiやCoの一部にMnを固溶(LiNi1−xMnxO2など)しようという試みが多数なされているが、「共沈法」を選択する方が原子レベルで均一相を得ることが容易である。
したがって、本発明の一態様に係る正極活物質を作製する焼成温度は、800℃以上900℃以下であることが好ましい。
本発明の一態様に係る正極は、本発明の効果を損なわない範囲で、正極活物質として、「リチウム過剰型」活物質以外のリチウム遷移金属化合物が混合されていてもよい。「リチウム過剰型」活物質以外のリチウム遷移金属化合物としては、限定されない。例えば、α−NaFeO2構造を有し、LiMeO2(Meは、遷移金属であり、Meに対するMnのモル比Mn/Meが0以上0.5以下である)で表されるリチウム遷移金属酸化物(いわゆる「LiMeO2」型活物質)、スピネル型結晶構造を有するLixMn2O4,LixNiαMn(2−α)O4等、LiwMex(XOy)z(Meは少なくとも一種の遷移金属を表し、Xは例えばP、Si、B、V等を表す)で表されるポリアニオン化合物(LiFePO4,LiMnPO4,LiNiPO4,LiCoPO4,Li3V2(PO4)3,Li2MnSiO4,Li2CoPO4F等)が挙げられる。これらの化合物中の元素又はポリアニオンは、他の元素又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。
上記「LiMeO2」型活物質は、熱的安定性の観点から、Meに対するNiのモル比Ni/Meが0.5未満であるものが好ましい。例えば、Li(Ni1/3Co1/3Mn1/3)O2等の「LiMeO2」型活物質は、α−NaFeO2構造を安定化し、高率放電性能に優れるとともに、例えば4.4V以上の比較的貴な正極電位で使用できるので、「リチウム過剰型」活物質と併用することが好ましい。
「LiMeO2」型活物質は、公知の製法により製造することができる。「LiMeO2」型活物質又はこれを製造するための前駆体は、「固相法」で作製してもよく、Mn含有量が多い場合は、前述と同様の「共沈法」を採用することが好ましい。
本発明の一態様に係る非水電解液は、非水溶媒と前記非水溶媒に溶解した電解質塩とを含むものであって、前記非水溶媒がフッ素化環状カーボネート及びフッ素化鎖状カルボン酸エステルを主溶媒として含む。
フッ素化環状カーボネートの例としては、4−フルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、4,4,5−トリフルオロエチレンカーボネート、4,4,5,5−テトラフルオロエチレンカーボネート等を挙げることができる。中でも、4−フルオロエチレンカーボネート(FEC)を用いることが好ましい。
フッ素化鎖状カルボン酸エステルの例としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸イソブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸ブチル、酪酸イソブチル等の水素の少なくとも一部がフッ素で置換されたものを挙げることができる。中でも、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチル(FMP)を用いることが好ましい。
非水溶媒に占めるフッ素化環状カーボネート及びフッ素化鎖状カルボン酸エステルの含有量の和は、特に、非水電解液二次電池の正極電位が4.4V(vs.Li/Li+)以上となる貴な電圧で使用される態様において、充放電サイクル性能を優れたものとするためには、大きい方が好ましい。主溶媒であるフッ素化環状カーボネート及びフッ素化鎖状カルボン酸エステルの含有量の和は、80体積%以上であることが好ましく、90体積%以上であることがより好ましく、95体積%以上であることがさらに好ましい。
非水溶媒中のこれらの化合物の含有割合は特に限定はないが、非水溶媒全体に対し、それぞれ、0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上であり、上限は、5質量%以下が好ましく、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。これらの化合物を添加することにより、安全性をより向上させたり、高温保存後の容量維持性能やサイクル性能を向上させたりすることができる。
非水電解液における電解質塩の濃度としては、優れた高率放電性能を有する非水電解液二次電池を確実に得るために、0.1mol/l〜5.0mol/lが好ましく、1.0mol/l〜2.0mol/lがより好ましい。
本発明の一態様に係る負極に使用する負極活物質は、電気化学的にリチウムイオンを挿入・脱離可能なものであればよく、正極電位が4.4V(vs.Li/Li+)以上で使用可能な「リチウム過剰型」活物質を含む正極と組み合わせて、高電圧で使用できるものが好ましい。一般に非水電解液二次電池の負極活物質に使用される炭素質材料、酸化錫や酸化ケイ素等の金属酸化物、金属複合酸化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、SnやSi等のリチウムと合金形成可能な金属及び当該金属の化合物等が使用できる。炭素質材料としては、天然グラファイト、人造グラファイト、コークス類、難黒鉛化性炭素、低温焼成易黒鉛化性炭素、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンブラック、活性炭等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。中でも炭素質材料が安全性の点から好ましく、黒鉛、又は黒鉛と難黒鉛化性炭素(ハードカーボン)等の非晶質炭素とSi系物質(SiOx等のSiを構成元素に含む物質)との混合物等が好ましい。
負極活物質に含まれるSi系物質は、初期充放電時において「リチウム過剰型」活物質に起因する不可逆容量に相当するリチウムを吸蔵させる効果があるので、負極の体積エネルギー密度を大きくできるとともに、非晶質炭素は、Si系物質の充放電に伴う体積変化を抑制し、負極の電位低下を抑制できるので、深充電時の負極へのリチウム電析を抑制することができる。従って、体積あたりのエネルギー密度が高く、充放電サイクル性能に優れた非水電解質二次電池を提供できる。
本発明の一態様に係る非水電解液二次電池の正極及び負極は、上記の正極活物質及び正極活物質を主要構成成分とし、その他に、導電剤、結着剤、増粘剤、フィラー等が、他の構成成分として含有してもよい。
正極集電体としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料、カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素質材料が挙げられる。中でも金属材料、特にアルミニウムが好ましい。
負極集電体としては、例えば、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられる。中でも銅が加工し易さとコストの点から好ましい。
セパレータとしては、微多孔性膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。セパレータを構成する材料としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を挙げることができる。中でもポリエチレン、ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン系樹脂を主成分とする微多孔性膜であることが好ましい。
本発明の一態様に係る非水電解液二次電池は、正極と負極の間にセパレータを介した電極群を電池ケースに収納し、電池ケース内に非水電解液を注入することにより組み立てられる。
その形状については特に限定されるものではなく、円筒型電池、角型電池(矩形状の電池)、扁平型電池等が一例として挙げられる。
本発明の一態様は、上記の非水電解液二次電池を複数備える蓄電装置として実現してもよい。蓄電装置の一実施形態を図2に示す。図2において、蓄電装置30は、複数の蓄電ユニット20を備えている。それぞれの蓄電ユニット20は、複数の非水電解液二次電池1を備えている。前記蓄電装置30は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源として搭載することができる。
本願明細書において、初期AC抵抗の測定は次の条件で行う。測定は、注液、及び初期充放電を経た、工場出荷状態の非水電解液電池を対象とする。測定に先立ち、通常使用時の条件にて充電末状態とする。次に、0.1CmAの電流で端子間の閉回路電圧が通常使用時に到達することが予定されている電圧まで定電流放電を行った後、開回路とし、2h以上放置する。以上の操作によって、非水電解液電池を放電末状態とする。1kHzの交流(AC)を印加する方式のインピーダンスメータを用いて正負極端子間の抵抗値を測定し、これを「初期AC抵抗(Ω)」とする。過充電された非水電解液電池や過放電された非水電解液電池を測定対象としてはならない。
本願明細書において、電池膨れの程度を評価するための、電池厚みの測定は次の条件で行う。測定は、注液、及び初期充放電を経た、工場出荷状態の非水電解液電池を対象とする。あらかじめ、以下の操作を行う前に、ノギスを用いて電池容器の厚みを測定しておく。次に、通常使用時の条件にて充電末状態とし、開回路状態とし、45℃の恒温槽中に150日間保存する。次に、25℃にて、1.0CmAの電流で端子間の閉回路電圧が通常使用時に到達することが予定されている電圧まで定電流放電を行った後、開回路とし、2h以上放置する。次に、通常使用時の条件にて充電末状態とし、2h以上放置する。次に、再度、終止電圧2.75Vの定電流放電を行い、再び、25℃にて、1.0CmAの電流で端子間の閉回路電圧が通常使用時に到達することが予定されている電圧まで定電流放電を行った後、開回路とする。ノギスを用いて電池容器の厚みを測定する。
<正極活物質>
α−NaFeO2型結晶構造を有し、Li1.17Co0.10Ni0.17Mn0.56O2(Li/Me=1.4、Mn/Me=0.67)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物(以下、「LR」ともいう。)を正極活物質として用いた。
<非水電解液>
FEC及びFMPをFEC:FMP=10:90の体積比で混合した非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6を1.2mol/Lの濃度で含有させ、実施例1に係る非水電解液を調製した。
<負極活物質>
黒鉛を負極活物質として用いた。
<正極、負極>
質量比で、正極活物質:ポリフッ化ビニリデン(PVdF):アセチレンブラック(AB)=94:1.5:4.5の割合(固形物換算)で含み、N−メチルピロリドン(NMP)を溶剤とする正極ペーストを作製し、該正極ペーストを厚さ15μmの帯状のアルミニウム箔集電体の両面に塗布した。塗布量は、単位電極面積あたりの片面の正極活物質が17mg/cm2となるように調整した。これをローラープレス機により加圧して正極活物質層を成型した後、100℃で14時間減圧乾燥して、極板中の水分を除去し、正極板を作製した。
質量比で、黒鉛:スチレン−ブタジエン・ゴム(SBR):カルボキシメチルセルロース(CMC)=97:2:1の割合(固形分換算)で含み、水を溶剤とする負極ペーストを作製し、厚さ10μmの帯状の銅箔集電体の両面に塗布した。これをローラープレス機により加圧して負極活物質層を成型した後、100℃で12時間減圧乾燥して、極板中の水分を除去した。このようにして負極板を作製した。
ポリエチレン製微多孔膜からなるセパレータを介して前記正極板と前記負極板を積層し、扁平形状に巻回して、図1に示すような電極群2を作製し、アルミニウム製の電池容器3に収納し、正負極端子4,5を取り付けた。厚み5.17mmの電池容器3内部に、前記非水電解液を注入したのちに封口した。このようにして実施例1に係る非水電解液二次電池を組み立てた。
α−NaFeO2型結晶構造を有し、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2で表されるリチウム遷移金属複合酸化物(以下、「NCM」ともいう。)を比較例1−1に係る正極活物質として用いた。
FEC及びEMCをFEC:EMC=10:90の体積比で混合した非水溶媒に、電解質塩としてLiPF6を1.2mol/Lの濃度で含有させ、比較例1−1に係る非水電解液を調製した。
それ以外は実施例1と同様にして比較例1−1に係る非水電解液二次電池を組み立てた。
比較例1−1に係る非水電解液に代えて、実施例1に係る非水電解液を用いた以外は比較例1−1と同様にして、比較例1−2に係る非水電解液二次電池を組み立てた。
実施例1に係る非水電解液に代えて、比較例1−1に係る非水電解液を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1−3に係る非水電解液二次電池を組み立てた。
上記のようにして組み立てた非水電解液二次電池について、温度25℃にて、2サイクルの初期充放電工程に供した。電圧制御は、全て、正負極端子間電圧に対して行った。ここで、負極に黒鉛を用いた場合、正極電位(vs.Li/Li+)の値は端子間電圧の値に対して約0.05〜0.1V大きいものとなることがわかっている。
1サイクル目の充電は、電流0.2CmA、電圧4.35V、8時間の定電流定電圧充電とし、放電は、電流0.2CmA、終止電圧2.75Vの定電流放電とした。2サイクル目の充電は、電流1.0CmA、電圧4.35V、3時間の定電流定電圧充電とし、放電は、電流1.0CmA、終止電圧2.75Vの定電流放電とした。全てのサイクルにおいて、充電後及び放電後に、10分の休止時間を設定した。このようにして、非水電解液二次電池を作製した。
上記の手順に従って、初期AC抵抗を測定した。
電解液の非水溶媒がFEC:EMC=10:90の混合溶媒である比較例1−1、及び比較例1−3の場合の初期AC抵抗の値をそれぞれ100%とし、FEC:FMP=10:90の混合溶媒である比較例1−2、実施例1の場合の初期AC抵抗比をそれぞれ求めた。
上記の手順に従って、電池膨れの程度を評価するための、電池厚みの測定を行った。但し、充電は、電圧4.35V、3時間の定電流定電圧充電とし、放電終止電圧は2.75Vとした。
結果を表1に示す。
これに対して、比較例1−3と実施例1の電池を比較することにより、「リチウム過剰型」活物質であるLRを正極活物質として用いた場合、非水電解液の溶媒をFEC:EMC=10:90の混合溶媒からFEC:FMP=10:90の混合溶媒に変更すると、初期AC抵抗が低減し、入出力性能が向上することがわかる。
すなわち、FECとFMPを含む電解液は「リチウム過剰型」活物質と組み合わせる場合に、特異的に初期AC抵抗を低減し、入出力性能を向上するという効果を奏することがわかる。
(実施例2−1,2−2,比較例2−1,2−2)
FECとFMPの体積比を、それぞれ、5:95、20:80、25:75、30:70とした非水溶媒を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2−1,2−2及び比較例2−1,2−2に係る非水電解液二次電池を組み立てた。
したがって、入出力性能が高く、電池膨れが抑制された電池を得るために、フッ素化環状カーボネートとフッ素化鎖状カルボン酸エステルの体積の和に対するフッ素化環状カーボネートの百分率を20体積%以下とする。なお、非水電解液の溶媒がFEC:EMC=10:90である比較例1−3の電池では、電池膨れの程度は実施例1の電池と大差ないが、初期AC抵抗が大きく、入出力性能については、実施例1の電池に及ばない。
正極には、「リチウム過剰型」活物質である上記LRと、「LiMeO2型」活物質である上記NCMとを60:40の質量比で混合したものを正極活物質として用いた。
負極には、黒鉛、非晶質炭素であるハードカーボン(クレハ製 カーボトロンP)、及び1粒子中にSiとSiO2が分散し、表面にカーボンをコートしたSiOx粉末(信越化学製)を89.1:9.9:1.0の質量比で混合したものを負極活物質として用いた。負極活物質中のSiの元素比率は、0.6である。
前記正極と負極を用い、FECとEMPを5:95の体積比で混合した非水溶媒、及びFECとEMCを5:95の体積比で混合した非水溶媒に、それぞれ、電解質塩としてLiPF6を1.2mol/Lの濃度で含有させた非水電解液を用いて、実施例3、及び比較例3に係る非水電解液二次電池を組み立てた。
表3に、実施例3,4の初期AC抵抗比について、それぞれ比較例3,4の初期AC抵抗値を100%として示す。なお、HCはハードカーボンを表す。
2 電極群
3 電池容器
4 正極端子
4’ 正極リード
5 負極端子
5’ 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置
Claims (4)
- 正極、負極、及び非水電解液を備え、
前記正極の正極活物質が、α−NaFeO2型結晶構造を有し、Liと遷移金属(Me)のモル比(Li/Me)が1より大きく、前記遷移金属(Me)が、少なくともMn及びNiを含み、Mnと遷移金属(Me)のモル比(Mn/Me)が0.5以上であるリチウム遷移金属複合酸化物を含み、
前記非水電解液が、フッ素化環状カーボネート及びフッ素化鎖状カルボン酸エステルを主溶媒として含み、前記フッ素化環状カーボネートと前記フッ素化鎖状カルボン酸エステルの体積の和に対する前記フッ素化環状カーボネートの百分率が20体積%以下である、
非水電解液二次電池。 - 前記フッ素化環状カーボネートと前記フッ素化鎖状カルボン酸エステルの体積の和に対する前記フッ素化環状カーボネートの百分率が5体積%以上である請求項1に記載の非水電解液二次電池。
- 前記正極活物質が、さらに、α−NaFeO2構造を有し、LiMeO2(Meは、遷移金属であり、Meに対するMnのモル比Mn/Meが0以上0.5以下である)で表されるリチウム遷移金属酸化物を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の非水電解液二次電池。
- 通常使用時の充電終止電圧における正極電位が、4.4V(vs.Li/Li+)以上となる請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解液二次電池。
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