JP2017223514A - 磁歪式トルクセンサおよび駆動装置 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1は、車両のハンドルに連結された入力軸と車両の車輪に連結された出力軸との間に設置され、前記ハンドルの回転操作によって発生したねじれを検出する操舵装置用非接触式トルクセンサにおいて、前記入力軸に結合し、中心から同一の半径を持つように外周面に沿って複数のN極磁石とS極磁石とが互いにずれるように配置される磁力発生部と、前記出力軸に連結され、複数の前記N極磁石と前記S極磁石の領域内にそれぞれ位置するように複数のホールが設けられた円筒状の磁気遮蔽部と、前記磁気遮蔽部の外周面から離隔して設けられ、複数の前記ホールを通過する磁力を検出する磁気検出部と、前記磁気検出部の外周面に位置し、前記磁力発生部と前記磁気遮蔽部の相対的なねじれ変化を感知する磁気検出センサ部とを含む、操舵装置用非接触式トルクセンサを開示している。
一方、特許文献2では、たとえば、トルク伝達軸の軸方向に対して+45°および−45°に傾斜する凹条および凸条を形成し、+45°の凹条および凸条の領域における透磁率変化と、−45°の凹条および凸条の領域における透磁率変化とを差動的に検出することによってトルクが算出される。この種の手法では、特許文献1の位相遅れ等の問題は生じないが、凹条や凸条を形成するために軸にローレット加工等の処理を施さなければならないため、その精度も要求される。
この構成によれば、ホールセンサや磁気抵抗センサに比べて高感度である磁気インピーダンスセンサを検出素子として使用することで、トルクの検出精度をさらに向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る磁歪式トルクセンサでは、前記支持部材は、前記磁石の一方の極および他方の極の両側から前記磁石を挟むヨークを含んでいてもよい。
本発明の一実施形態に係る磁歪式トルクセンサでは、前記磁石は、永久磁石を含んでいてもよい。
本発明の一実施形態に係る磁歪式トルクセンサでは、前記回転軸は、前記検出素子の前記検出軸の一端から他端まで全体にわたって対向する平滑な周面を前記外周部に有していてもよい。
図1は、本発明の一実施形態に係る駆動装置1の概略構成図である。
駆動装置1は、たとえば自動車等のトランスミッションとして使用される。当該トランスミッションとしては、エンジンの減速比を段階的に切り替えることができる機構(ステップオートマッチクトランスミッション(ステップAT))、エンジンの減速比を無段階に切り替えることができる機構(無段変速機)のいずれであってもよい。
インプットシャフト2にはギア6が接続されており、エンジンからの動力は、ギア6に伝達される。
カウンターシャフト3には、インプットシャフト2のギア6と同期する同期ギア8およびドライブギア9が固定されている。図1では、1つのドライブギア9のみが描かれているが、ドライブギア9は、駆動装置1(トランスミッション)の段数に合わせて複数設けられていてもよい。たとえば、駆動装置1が4速オートマチックトランスミッション(4速AT)の場合には、ドライブギア9は4つ設けられていてもよい。
エンジンから駆動装置1に動力が入力されると、その動力は、ギア6に伝達される。そして、その動力は、ギア6に同期する同期ギア8を介してドライブギア9に伝達され、アウトプットシャフト4によって駆動輪に伝えられる。これにより、駆動輪が駆動する。
図2は、本発明の一実施形態に係る磁歪式トルクセンサ18の概略構成図である。図3Aおよび図3Bは、図2のカウンターシャフト3の軸方向と直交する方向における模式的な断面図である。図4は、図2のカウンターシャフト3の軸方向における模式的な断面図(一部)である。
磁歪式トルクセンサ18は、カウンターシャフト3と、本発明の検出素子の一例としてのMI(Magneto Impedance)センサ19と、バイアス磁界発生部20とを含む。
図5に示すように、カウンターシャフト3は磁歪特性を有するため、磁石等によって強制的に発生させた磁場中に置かれると、極性が配向し、磁化方向に沿って伸びる磁歪効果を発現する。一方、外部から力がカウンターシャフト3に加えられ、カウンターシャフト3に歪が生じると(図5では圧縮)、カウンターシャフト3から発生する磁場が変化する逆磁歪効果を発現する。したがって、たとえば図2に示すように、カウンターシャフト3を駆動装置1に組み込んだ状態でカウンターシャフト3にトルクTが加わって応力σおよび応力−σが発生すると、その応力によって逆磁歪効果が発現し、カウンターシャフト3から発生する磁場が変化する。この実施形態では、この磁場の変化をMIセンサ19で検出してトルクを算出する。
MIセンサ19は、ワイヤ22の回りにコイル23を巻きつけた構造を有している。
ワイヤ22は、アモルファス合金ワイヤからなり、たとえば、FeCoSiB合金磁性ワイヤ、CoSiB合金磁性ワイヤからなる。ワイヤ22は、一端および他端を有する線状に形成されている。ワイヤ22の長さおよび径は、磁歪式トルクセンサ18の大きさにもよるが、たとえば、長さが1.0mm〜2.0mm程度、径が10μm〜20μm程度であってもよい。
そして、MIセンサ19では、図7Aに示すように、その周囲に外部磁場が無い状態であり、かつパルス電源24からコイル23にパルス電流が流れていない状態では、ワイヤ22の電子スピンの向きは、コイル23の円周方向に沿って交互に規則的に配向している。この状態で、MIセンサ19に外部磁場Hextが印加されると、図7Bに示すように、その磁場の影響によって電子スピンの向きが、ワイヤ22の軸線方向Xs(本発明の検出軸の一例)に対して傾斜する。そこへパルス電源24からパルス電流が通電されると、図7Cに示すように、パルス電流によって形成された円周磁場によって電子スピンが回転し、一定の方向に配向する。この回転の際、コイル23に、ワイヤ22の軸線方向Xsの磁気ベクトル変化の速度に比例した誘起電圧が発生するので、この誘起電圧の大きさに基づいて外部磁場Hextの値を検出することができる。
磁石27は、図3Aに示す永久磁石27Aであってもよいし、図3Bに示す電磁石27Bであってもよい。電磁石27Bである場合、磁石27は、柱状の磁性体30の回りにコイル31を巻きつけた構造を有している。
そして、磁石27とヨーク28との一体構造物は、MIセンサ19を覆うように設けられている。これにより、MIセンサ19は、一対のヨーク28に区画され、その軸線方向Xsの両側が開放された空間35に配置されることになる。
磁歪式トルクセンサ18では、図2、図3Aおよび図3Bに示すように、バイアス磁界発生部20の磁石27の作用によって、カウンターシャフト3の中心軸Xと直交する方向に磁場Hbが強制的に印加される。この磁場Hbはヨーク28で囲まれた空間35の全体に分布する。この空間35に配置されたMIセンサ19に対しては、その軸線方向Xsと直交するY1方向に磁場Hbが印加されるので、図7Cに示すように、ワイヤ22の電子スピンが一定の方向に配向する。さらに、MIセンサ19は、空間35中に配置されているので、地磁気等の外部磁場から保護される。つまり、バイアス磁界発生部20によって、ワイヤ22の電子スピンが一定方向に揃う初期状態を作り出すことができ、この初期状態も、MIセンサ19がバイアス磁界発生部20に覆われていることで、外部磁場の影響を受けにくくなっている。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、図9に示すように、カウンターシャフト3の軸方向に直交するY1方向に対する磁場の変化を検出するMIセンサ19に加えて、Y1方向とは反対方向のY2方向の磁場の変化を検出する素子として、MIセンサ19´を空間35に配置してもよい。この場合、MIセンサ19,19´で検出された信号を差動アンプ(AMP)38で増幅させてトルクセンサの出力として出力することで、たとえば、カウンターシャフト3の偏心回転、カウンターシャフト3の温度特性による変化、その他の外乱磁場による影響等を考慮して精度よくトルクを検出することができる
一方、Y1,Y2方向に直交するX方向の磁場の変化を検出する素子として、空間35にMIセンサ36を配置し、このMIセンサ36で検出された信号をバイアス磁界駆動回路34にフィードバックしてコイル31に流す電流を制御すれば、空間35内に安定して強制磁場Hbを発生させることができる。
また、本発明の磁歪式トルクセンサは、前述のトランスミッション(駆動装置1)に限らず、トルクのモニタリングが必要な各種駆動装置に組み込むことができる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
3 カウンターシャフト
18 磁歪式トルクセンサ
19 MIセンサ
19´ MIセンサ
20 バイアス磁界発生部
21 外周部
26 外周面
27 磁石
27A 永久磁石
27B 電磁石
28 ヨーク
29 回路基板
Claims (9)
- 磁歪特性を有し、中心軸線回りに回転する回転軸と、
前記回転軸の外周部に対して所定の間隔を空けて配置され、かつ前記回転軸の前記中心軸に平行な検出軸を有しており、前記回転軸に加わるトルクを検出する検出素子と、
前記検出素子を覆うように設けられ、前記回転軸の前記中心軸と直交する方向に磁場を印加するバイアス磁界発生部とを含む、磁歪式トルクセンサ。 - 前記検出素子は、磁気インピーダンス(MI:Magneto Impedance)センサを含む、請求項1に記載の磁歪式トルクセンサ。
- 前記バイアス磁界発生部は、前記検出素子の上方に間隔を空けて配置された磁石と、前記磁石を定位置に固定するための支持部材とを含む、請求項1または2に記載の磁歪式トルクセンサ。
- 前記支持部材は、前記磁石の一方の極および他方の極の両側から前記磁石を挟むヨークを含む、請求項3に記載の磁歪式トルクセンサ。
- 前記バイアス磁界発生部は、前記磁石と前記検出素子との間に配置され、前記検出素子の前記検出軸に直交する方向の磁場の変化を検出する回路基板を含む、請求項3または4に記載の磁歪式トルクセンサ。
- 前記磁石は、永久磁石を含む、請求項3〜5のいずれか一項に記載の磁歪式トルクセンサ。
- 前記磁石は、電磁石を含む、請求項3〜6のいずれか一項に記載の磁歪式トルクセンサ。
- 前記回転軸は、前記検出素子の前記検出軸の一端から他端まで全体にわたって対向する平滑な周面を前記外周部に有している、請求項1〜7のいずれか一項に記載の磁歪式トルクセンサ。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の磁歪式トルクセンサを備えた、駆動装置。
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