JP2017223164A - 内燃機関用ピストン - Google Patents
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Description
スカート部12に,二硫化モリブデンなどの固体潤滑剤を含有する樹脂から成る固体潤滑剤樹脂層15を所定のパターンで形成することにより,前記固体潤滑剤樹脂層15の非形成部に潤滑油の案内溝20を形成した内燃機関用ピストン10において,
前記固体潤滑剤樹脂層15と前記案内溝20を,少なくともスラスト側スカート部12aに形成すると共に,
前記案内溝20が,
側圧が加わった状態における前記スカート部12(12a又は12b)の移動方向(スラスト側スカート部12aでは下降方向,反スラスト側スカート部12bでは上昇方向)に対し少なくとも後方側にある長辺21a(スラスト側では上側の長辺,反スラスト側では下側の長辺)を,前記スカート部の中央側から幅方向の端部側に向かって前記移動方向前方側に向けて傾斜させた第1案内溝21と,
側圧が加わった状態における前記スカート部12(12a又は12b)の移動方向に対し少なくとも後方側にある長辺22aを,水平,又は前記スカート部の中央側から幅方向の端部側に向かって前記移動方向後方側に向けて傾斜させた第2案内溝22を備えることを特徴とする(請求項1)。
本発明で対象とする内燃機関用ピストン10は,内燃機関用のものであれば特に限定されず,ガソリンエンジン用,ディーゼルエンジン用のいずれのものであっても対象とすることができる。
前述した内燃機関用ピストン10のスカート部12には,固体潤滑剤樹脂層15を所定のパターンで形成し,固体潤滑剤樹脂層15の非形成部に,後述する潤滑油の案内溝20を形成する。
前述した,固体潤滑剤樹脂層15を所定のパターンで形成することにより,スカート部12には,固体潤滑剤樹脂層15の非形成部に,後掲の[実施例]欄において詳述するリングオンディスク試験の結果に基づいて開発した最適なパターンで案内溝20を形成する。
(1)試験の目的
摩擦係数を低下させる効果の高い案内溝のパターンを開発する。
所定のパターンで固体潤滑剤樹脂層を形成して固体潤滑剤樹脂層の非形成部を案内溝としたリング状ディスクから成るテストピースを複数種類準備すると共に,同様にリング状ディスクである接触の相手材と,潤滑油を介して回転接触させた際の摩擦係数を測定した。
パターンが異なる案内溝が形成された以下の4種類のテストピースを用意した。
テストピース1は,摺接面の全面に固体潤滑剤樹脂層が形成されており,案内溝は設けられていない。
テストピース2は,案内溝を,中心側から外周側に向かうに従い回転方向後方側を向くように形成したもので,テストピースの回転に伴って発生する遠心力によって,ディスクの中央側から外周側に向かって潤滑油の流れが生じるように案内溝を形成したものである。
テストピース3は,前掲のテストピース2とは逆に,案内溝を,中心側から外周側に向かうに従い回転方向前方側を向くように形成したもので,この構成では,ディスクを回転させても,案内溝内の潤滑油は外向きの流れを生じない。
テストピース4は,1枚のリング状ディスクに,テストピース2(遠心型)に設けた案内溝と,テストピース3(逆遠心型)に設けた案内溝の双方に対応する案内溝を設けたもので,ディスクの半分に,中心側から外周側に向かうに従い回転方向後方側を向く案内溝を形成すると共に,残りの半分に,中心側から外周側に向かうに従い回転方向前方側を向く案内溝を形成している。
(4-1) 想定
摺動部の摩擦抵抗は,境界潤滑,混合潤滑,及び流体潤滑と,摺動面に存在する潤滑油量(油膜厚さ)が増加して,固体同士の接触量が少なくなる程減少し,さらに摺動面が潤滑油によって完全に分離されて固体同士の接触がなくなると,潤滑油のせん断抵抗のみが摩擦抵抗となる。
実際の試験結果は,図7のグラフに示した通りであった。
この図7に示した試験結果から明らかなように,案内溝を設けたテストピース2〜4が,案内溝を設けていないテストピース1に比較して,いずれも低い摩擦係数を示した点では上記で想定した通りの結果となった。
上記リングオンディスク試験の結果から,案内溝を形成すること,及びこの案内溝に対して潤滑油を導入する流れを生じさせることが摩擦係数(摩擦抵抗)を低減する上で有効であることが確認されたものの,潤滑油の供給効果が最も高いと考えられるパターンで溝を形成したテストピース2(遠心型)では,試験速度が比較的低い範囲では低い摩擦係数を示すものの,試験速度が高くなると,テストピース4(折中型)のみならず,テストピース3(逆遠心型)よりも摩擦係数が高くなることが確認された。
以上で説明したリングオンディスク試験の結果を,ピストンのスカート部に応用した場合,ピストンの下降又は上昇時に,シリンダ内壁に摺接されるスカート部の中央側に対し潤滑油を導入する作用を有する,前述の遠心型案内溝に対応する案内溝(第1案内溝)と,スカート部の中央側に対する潤滑油の導入作用を持たない,逆遠心型の案内溝に対応する案内溝(第2案内溝)をスカート部に同時に設けることとなる。
(1)試験の目的
リングオンディスク試験で最も摩擦抵抗の低下が確認された案内溝のパターン〔テストピース4(折中型)〕に基づいて,スカート部に前述した第1案内溝21と第2案内溝22を共に形成したピストンによって,摺動性の向上が得られることを確認する。
(2-1) モータリングフリクション測定試験
自動車用のエンジン(直列4気筒 2.5リッター ガソリンエンジン)を使用し,スカート部に本発明のパターンで案内溝を形成したピストン(実施例)を装着した上記エンジンと,スカート部に案内溝を設けていない固体潤滑剤樹脂層のみを形成したピストン(比較例)を装着した上記エンジンを,それぞれ外部モータで稼働させた際の外部モータの出力トルクを測定し,測定されたトルクの差を摩擦抵抗の差として評価する,モータリングフリクション測定を行った。
浮動ライナ式フリクション測定用エンジンに,本発明のパターンで案内溝を形成したピストン(実施例)を装着した場合と,スカート部に案内溝を設けていない固体潤滑剤樹脂層のみを形成したピストン(比較例)を装着した場合のそれぞれについてファイアリング時の摩擦平均有効圧(Friction Mean Effective Pressure:FMEP)を測定することにより摩擦損失を評価した。
(3-1) 実施例
図8に,上記の試験に使用した本発明のピストン(実施例)の案内溝のパターンを示す。これは,リングオンディスク試験におけるテストピース4(折中型)〔図6(D)参照〕に対応する案内溝のパターンである。
比較例は,スラスト側,反スラスト側のいずれのスカート部共に,案内溝を設けていないピストン(図示は省略)であり,スカート部の全面に固体潤滑剤樹脂層を形成したもので,前述したリングオンディスク試験におけるテストピース1(案内溝なし)〔図6(A)参照〕に対応する。
以上で説明した実施例及び比較例の各ピストンを使用して行ったモータリングフリクション測定試験によって測定された,エンジンの回転速度の変化に対する外部モータの出力トルクの変化の様子を図10(A)に,ファイアリングフリクション測定試験によって測定された,エンジンの回転速度の変化に対する摩擦平均有効圧の変化を図10(B)にそれぞれ示す。
以上のモータリングフリクション測定試験及びファイアリングフリクション測定試験の結果,リングオンディスク試験の結果と同様,二種類の案内溝を混在させた実施例のパターンで案内溝を形成したピストンにおいて摩擦抵抗が大幅に低下することが確認されており,本発明のパターンで案内溝を形成したピストンがエンジンの燃費向上や,出力の向上を図ることのできるピストンであることが確認できた。
11 クラウン部
12 スカート部
12a スラスト側スカート部
12b 反スラスト側スカート部
13 ピストンピン
13c 軸線(ピストンピンの)
15 固体潤滑剤樹脂層
15a 案内溝非形成域
20 案内溝
20e 開放端(案内溝の)
21 第1案内溝
21a 移動方向後方側の長辺
21b 移動方法前方側の長辺
22 第2案内溝
22a 移動方向後方側の長辺
22b 移動方向前方側の長辺
23 導入溝
50 シリンダ
51 コネクティングロッド
110 (内燃機関用)ピストン
112 スカート部
115 固体潤滑剤樹脂層
120 案内溝
Claims (8)
- スカート部に,固体潤滑剤を含有する樹脂から成る固体潤滑剤樹脂層を所定のパターンで形成することにより,前記固体潤滑剤樹脂層の非形成部に潤滑油の案内溝を形成した内燃機関用ピストンにおいて,
前記固体潤滑剤樹脂層と前記案内溝を,少なくともスラスト側スカート部に形成すると共に,
前記案内溝が,
側圧が加わった状態における前記スカート部の移動方向に対し少なくとも後方側にある長辺を,前記スカート部の中央側から幅方向の端部側に向かって前記移動方向前方側に向けて傾斜させた第1案内溝と,
側圧が加わった状態における前記スカート部の移動方向に対し少なくとも後方側にある長辺を,水平,又は前記スカート部の中央側から幅方向の端部側に向かって前記移動方向後方側に向けて傾斜させた第2案内溝を備えることを特徴とする内燃機関用ピストン。 - 側圧が加わった状態における前記スカート部の移動方向前方側に前記第1案内溝を,前記移動方向後方側に,前記第2案内溝を設けることを特徴とする請求項1記載の内燃機関用ピストン。
- 前記スカート部の中央部から幅方向における所定範囲を,前記案内溝が形成されていない案内溝非形成域としたことを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関用ピストン。
- 前記スカート部の幅方向端部側における前記案内溝の端部を,いずれも開放端として形成したことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の内燃機関用ピストン。
- 前記スカート部の幅方向両端における所定幅に固体潤滑剤樹脂層の非形成部を設け,該部分を潤滑油の導入溝と成すと共に,前記案内溝の前記開放端を,前記導入溝に連通させたことを特徴とする請求項4記載の内燃機関用ピストン。
- ピストンピンの軸線と直交する,前記ピストンの直径方向に延びる基準線を想定し,該基準線を0°として,前記ピストンピンの軸線と前記基準線との交点を中心に,該基準線に対し±5°〜±45°の範囲に案内溝非形成域を設けたことを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載の内燃機関用ピストン。
- 側圧が加わった状態における前記スカート部の移動方向前方側に前記第2案内溝を,前記移動方向後方側に,前記第1案内溝を設けることを特徴とする請求項1記載の内燃機関用ピストン。
- ピストンピンの軸線を線対称又は略線対称として,前記移動方向前方側と前記移動方向後方側を画成したことを特徴とする請求項2又は7記載の内燃機関用ピストン。
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