JP2017222959A - インキ乾燥性の評価方法および印刷用塗工紙 - Google Patents

インキ乾燥性の評価方法および印刷用塗工紙 Download PDF

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篤 小菅
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Abstract

【課題】正確にインキ乾燥性を評価する方法およびインキ乾燥性を備える特にマット調の印刷用塗工紙を提供する。【解決手段】原紙およびその上に設けられた顔料塗工層を備える印刷用塗工紙であって、当該顔料塗工層の窒素吸着法による細孔容積Vが0.04cm3/g以上、当該印刷用塗工紙のJIS−P8142による白紙光沢度が35%未満、かつ当該印刷用塗工紙のJAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.46 により測定した印刷インキ受理性が20〜35である、印刷用塗工紙。【選択図】なし

Description

本発明はインキ乾燥性の評価方法およびインキ乾燥性を備える印刷用塗工紙に関する。
近年、枚葉印刷の分野では小ロット化および短納期化の傾向が強まっている。印刷機においてもH−UV印刷(ハイブリッドUV印刷)が採用され、インキにおいてはパウダーレスインキが市場に投入されるなど速乾を指向する動きが高まっており、塗工紙の枚葉印刷においてもインキ乾燥性は重要な指標の一つとして捉えられる。
インキ中の溶剤成分の塗工層への吸収は、塗工層の材料、塗工層構造、印刷条件、インキ条件などによって決定される。そのため、これまでに、インキの乾燥性を良化させるために上塗り塗工層にサチンホワイトを配合し、塗工層に一定の空隙容積を保持することで吸収着肉性やインキ乾燥性などを改善する方法(特許文献1)、乾燥性および汚れ耐性に優れたインキを使用する方法(特許文献2)など、様々な検討がなされてきた。また、塗工層構造に着目した研究も多くなされてきた。
顔料塗工層と溶剤吸収性との関係については、顔料塗工層中に存在する多数の微細な孔を毛細管の集合体として捉えた(1)式に示すLucas−Washburnの式が広く用いられている。ここで、Lは溶剤の浸透深さ、rは毛細管の平均半径、tは時間、γは溶剤の表面張力、θは毛細管壁と溶剤の接触角、ηは溶剤の粘度である。そして、顔料塗工層の細孔構造を平均半径rの円筒菅がn個並んだものと仮定すると、顔料塗工層へのインキ溶剤浸透量νは式(2)で表されるから、式(1)は式(3)のように変形できる。dは顔料塗工層の厚さ、Vは顔料塗工層の細孔容積、kはインキの粘度である。つまり、顔料塗工層中の細孔直径、細孔容積が大きいほど、また顔料塗工層厚さが小さいほど一定時間あたりの溶剤浸透量は多くなり、インキ乾燥性は向上すると考えられる。
紙の細孔構造を定量的に評価する方法としては、一般に水銀圧入法が広く用いられているが(特許文献3)、水銀は有毒物質であり、取り扱いには細心の注意が必要であるため、人の健康や環境への配慮から、近年使用を制限する企業や団体が増えてきている。
ところで塗工紙には光沢度を抑えた艶消し塗工紙が存在する。艶消し塗工紙の中でもマット調塗工紙は、白紙光沢と印刷光沢の差異が大きく印刷後の文字部が読みやすいことから、近年需要が増えている。マット調塗工紙を製造する方法としては、粒子径の大きな顔料を塗工用顔料として使用することや、顔料塗工後にカレンダー処理を行わないことで、紙表面の凹凸を大きくするなどの方法が挙げられる。
さらに、マット調塗工紙は光沢塗工紙に比べて表面の凹凸が大きいので、紙の表面に乗ったインキが沈み込みやすい。そのため、印刷濃度を上げるためにはインキを多めに転移させる必要がある。従って、マット調塗工紙はインキの転移量が多くなるので乾燥性が低下する傾向にある。インキの乾燥性が劣ると、印刷後の印字物を重ねた際にインキが他方に転移する「裏移り」の問題が発生しやすい。そのため、一般に、印刷物と紙との密着を防止するために澱粉等のパウダーを使用したり、重ねた後に擦れが生じないように静置したりする等の対策が取られている。特に両面印刷を行う場合は、上記「裏移り」が発生すると印刷画像が汚損され、印刷物の価値が著しく損なわれるため、片面印刷後の静置時間を長くとり、擦れても「裏移り」が発生しなくなるまでインキを乾燥させる必要がある。インキの乾燥性が劣るとこの静置時間が長くなるため、作業効率が低下する。さらに、両面印刷においては反対面に印刷を施す際に、ロール等により既に印刷された面の印刷画像が擦られるため、インキの乾燥性が劣ると印刷画像が汚損されるおそれがある。よって、印刷速度の向上や両面印刷に対応するため、特にマット調塗工紙においてはインキが速やかに乾燥する性能が求められている。
特開平11−247097号公報 特開2015−063667号公報 特開2014−237898号公報
前述のとおり紙の細孔直径や細孔容積からインキ乾燥性を評価することが可能である。紙の細孔構造を定量的に評価する方法としては、一般に水銀圧入法が広く用いられているが、顔料塗工層の空隙領域とされるメソポア(2〜50nm)領域では高圧条件下での測定となるため細孔が変形してしまう可能性がある。また、粒子径の大きな顔料を塗工用顔料として使用した場合、顔料の粒子径が大きくなるほど顔料塗工層の細孔容積は小さくなりインキ乾燥性は低下するため、マット調の風合いとインキ乾燥性を両立することは困難であった。よって、本発明は正確にインキ乾燥性を評価する方法およびインキ乾燥性を備える特にマット調の印刷用塗工紙を提供することを課題とする。
発明者らは、低圧条件下で測定できる窒素吸着法を用いて顔料塗工層の細孔構造を得ることにより、より正確にインキ乾燥性を評価できることを見出した。さらに本願では、顔料塗工層の窒素吸着法による細孔容積Vを0.04cm/g以上とすることにより、インキ乾燥性に優れたマット調印刷用塗工紙を提供することができることを見出した。よって、前記課題は以下の本発明により解決される。
(1)原紙およびその上に設けられた顔料塗工層を備える塗工紙における当該顔料塗工層の細孔容積Vまたは平均細孔直径mを、窒素吸着法により測定する工程、ならびに
Vまたはmが大きいほどインキ乾燥性も高くなるという関係に基づいて、インキ乾燥性を評価する工程、
を含む、インキ乾燥性の評価方法。
(2)前記顔料塗工層の塗工量cを測定する工程をさらに含み、
V/cまたはm/cが大きいほどインキ乾燥性も高くなるという関係に基づいて、インキ乾燥性を評価する工程、
を含む、(1)に記載の評価方法。
(3)原紙およびその上に設けられた顔料塗工層を備える印刷用塗工紙であって、
当該顔料塗工層の窒素吸着法による細孔容積Vが0.04cm/g以上、
当該印刷用塗工紙のJIS−P8142による白紙光沢度が35%未満、かつ
当該印刷用塗工紙のJAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.46 により測定した印刷インキ受理性が20〜35である、印刷用塗工紙。
(4)前記顔料塗工層の窒素吸着法による平均細孔直径mが30nm以上である、(3)に記載の印刷用塗工紙。
(5)前記細孔容積Vが0.09cm/g以下である、(3)または(4)に記載の印刷用塗工紙。
(6)前記平均細孔直径mが60nm以下である、(3)〜(5)のいずれかに記載の印刷用塗工紙。
(7)前記印刷用塗工紙の最外層が顔料塗工層であり、ISO15359に準じて測定した該最外顔料塗工層側の静的摩擦係数および動的摩擦係数において、動摩擦係数が静的摩擦係数より大きい、(3)〜(6)のいずれかに記載の印刷用塗工紙。
(8)前記最外顔料塗工層が、全顔料中に25〜75重量%の炭酸カルシウムを含む、(7)に記載の印刷用塗工紙。
(9)前記炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムである(8)に記載の印刷用塗工紙。
(10)前記炭酸カルシウムが、軽質炭酸カルシウムである(8)に記載の印刷用塗工紙。
(11)前記最外顔料塗工層が、全顔料中に20〜50重量%のカオリンまたはクレーを含む、(8)〜(10)のいずれかに記載の印刷用塗工紙。
(12)前記最外顔料塗工層が接着剤を含み、当該接着剤中20〜80重量%のラテックスを含む、(7)〜(11)のいずれかに記載の印刷用塗工紙。
(13)前記顔料塗工層の細孔容積V(cm/g)×塗工量c(g/m)で定義される全細孔容積(cm/m)が、0.55〜4.50cm/mである、(3)〜(12)のいずれかに記載の印刷用塗工紙。
本発明により、正確にインキ乾燥性を評価する方法およびインキ乾燥性を備える印刷用塗工紙を提供できる。
インキ速乾性と細孔容積の相間図 インキ速乾性と平均細孔直径の相間図
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において「X〜Y」はその端値であるXおよびYを含む。「XまたはY」はX、Yのうちいずれか一方あるいは双方を意味する。
1.インキ乾燥性の評価方法
(1)細孔構造の測定工程
当該方法は、原紙およびその上に設けられた顔料塗工層を備える塗工紙における当該顔料塗工層の細孔容積Vまたは平均細孔直径mを、窒素吸着法により測定する工程を含む。窒素吸着法とは顔料塗工層に窒素分子を吸着させ、圧力と吸着量の挙動から細孔容積または平均細孔直径を求める方法である。窒素吸着法により細孔構造を測定できる装置としては、株式会社島津製作所製トライスター3000等の装置が挙げられる。
(2)評価工程
前述の式(3)で表されるとおり、顔料塗工層の細孔容積Vまたは平均細孔直径mが大きいほどインキの浸透速度すなわちインキ乾燥性は高くなる。よってこの関係を基に、一定の厚みの顔料塗工層を有する紙において、同じインキを用いて評価した場合に、インキ乾燥性を評価できる。
式(3)で表されるとおり、インキの浸透速度は顔料塗工層の塗工量によっても影響を受ける。そこで、顔料塗工層の塗工量をcとしたとき、V/cまたはm/cが大きいほどインキ乾燥性は高くなるという関係を基に、塗工量cを考慮した評価も可能となる。
本発明の評価方法によって、インキ乾燥性を発現するための最適な顔料塗工層の細孔容積Vまたは平均細孔直径mを求めることができる。
2.印刷用塗工紙
本発明の印刷用塗工紙は、原紙およびその上に設けられた顔料塗工層を備え、当該顔料塗工層の窒素吸着法による細孔容積Vが0.04cm/g以上、当該印刷用塗工紙のJIS−P8142による白紙光沢度が35%未満、かつ当該印刷用塗工紙のJAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.46 により測定した印刷インキ受理性が20〜35である。本発明の印刷用塗工紙は、用紙表面にオフセット印刷、グラビア印刷、オンデマンド印刷(レーザー方式、インクジェット方式)などの商業印刷を施して用いられる用紙をいう。
(1)細孔容積V
細孔容積Vは窒素吸着法で決定される。本発明の印刷用塗工紙は0.04cm/g以上の細孔容積Vを有するためインキ乾燥性に優れる。細孔容積Vはより好ましくは0.045cm/g以上である。細孔容積Vは0.09cm/g以下であることが好ましく、0.08cm/g以下であることがより好ましい。具体的に本発明において細孔容積は、窒素吸着法によって得られた脱着等温線より求められる。測定および解析には、株式会社島津製作所製トライスター3000を使用できる。本願では、トライスター3000によって得られた細孔容積を、顔料塗工層の細孔容積とみなす。
顔料塗工層は原紙上に形成されているため、原紙層と顔料塗工層を剥離して顔料塗工層の細孔容積Vを測定することできる。あるいは原紙層と顔料塗工層を含む積層体について顔料塗工層側から細孔容積を測定し、得られた値を単位塗工量当たりの値に換算することで顔料塗工層の細孔容積Vを求めることができる。本発明においては後者の方法が好ましい。顔料塗工層の塗工量測定方法としては例えば特許第5827187号に記載の方法が挙げられる。
(2)全細孔容積
全細孔容積(cm/m)は、細孔容積V(cm/g)×塗工量c(g/m)により定義され、その値は0.55cm/m以上が好ましく、0.60cm/m以上がより好ましく、0.65cm/m以上がさらに好ましい。全細孔容積の上限は、4.50cm/m以下が好ましく、3.60cm/m以下がより好ましく、2.70cm/m以下がさらに好ましい。
(3)平均細孔直径m
平均細孔直径mは前述の方法で決定される。インキ乾燥性の観点から平均細孔直径mは30nm以上が好ましい。平均細孔直径mの上限は60nm以下であることが好ましい。具体的に本発明において平均細孔直径は、窒素吸着法によって得られた脱着等温線より求められる。本願では、トライスター3000によって得られた平均細孔直径を、顔料塗工層の平均細孔直径とみなす。
(4)白紙光沢度
白紙光沢度は白紙での光沢度合いを示す指標であり、本発明においてはJIS−P8142に従い測定される。本発明の印刷用塗工紙は、前述の通り白紙光沢と印刷光沢の差異が大きなマット調の印刷用塗工紙であるため、白紙光沢度は35%未満である。白紙光沢度の下限は限定されないが、15%以上が好ましい。
(5)印刷インキ受理性
印刷インキ受理性はインキの乾燥しやすさを示す指標であり、本発明においてはJAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.46に準じて測定される。具体的に印刷インキ受理性は、一定量のインキを紙に塗布し一定時間経過後に当該インキをふき取り、インキを塗布する前と後とでの白色度の違いにより評価される。値が高いほど、インキの乾燥性に優れることを意味する。本発明において印刷インキ受理性は20以上であり、好ましくは21以上であり、より好ましくは22以上である。また、印刷インキ受理性は35以下であり、好ましくは33以下であり、より好ましくは31以下である。印刷インキ受理性が20未満であるとインキの乾燥性が十分ではない。一方、印刷インキ受理性が35を超えるとインキの乾燥性が過剰となり、印刷光沢度が低下する。
(6)摩擦係数
本発明の印刷用塗工紙は静的摩擦係数よりも大きい動的摩擦係数を有することが好ましい。印刷用塗工紙には、用紙が滑りやすくなって紙が揃わなくなり印刷機へのセットが困難になる、あるいは断裁が困難になる等の不具合が生じることがあるが、静的摩擦係数よりも大きい動的摩擦係数を有することでこの不具合を解消できるからである。従来、当該不具合を回避するために、紙の摩擦係数を調整することが検討されてきた。一般に、紙においては、動的摩擦係数は静的摩擦係数よりも小さくなることが知られている。このため、静的摩擦係数をある程度高くすれば適度に高い動的摩擦係数が得られるので、従来の技術は静的摩擦係数を調整することを主体に焦点が当てられていた。動的摩擦係数と静的摩擦係数との関係に着目した技術もあるが(例えば特開平08−060597号公報)、当該技術も動的摩擦係数が静的摩擦係数よりも小さいことを前提としている。しかし、本発明では従来の考え方とは異なる発想で前記不具合を解消できる。
摩擦係数はISO 15359に準じて測定される。ISO 15359では、同一サンプルを用いて静的摩擦係数および動的摩擦係数を3回ずつ測定し、静的摩擦係数については1回目と3回目の値を採用し、動的摩擦係数については3回目の値を採用する。本発明においては、静的摩擦係数については1回目の値を採用する。限定されないが、[(動的摩擦係数)−(静的摩擦係数)]/(静的摩擦係数)で算出される増加率が、2〜25%であることが好ましく、3〜20%であることがより好ましい。また、具体的な摩擦係数は限定されないが、静的摩擦係数は0.3〜0.7であることが好ましく、0.4〜0.6であることがより好ましい。摩擦係数がこの範囲にあると、前記の印刷前における不具合および印刷機内での不具合が解消される。
(7)原紙
1)パルプ
本発明の原紙には公知のパルプを使用できるが、化学パルプを使用することが好ましい。化学パルプには、クラフトパルプ法により製造したものと、亜硫酸パルプ法により製造されたものがあり、本発明においてはその両方を使用することができるが、クラフト法により製造した化学パルプが生産コストの面から好適である。原料パルプに占める化学パルプの含有量は、白色度等の観点から、全パルプ中60重量%以上であり、80重量%以上がより好ましく、90重量%以上がさらに好ましく、95重量%以上が特に好ましい。
2)填料
本発明においては原紙に公知の填料を用いてよい。公知の填料としては、重質炭酸カルシム、軽質炭酸カルシウム、クレー、シリカ、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、ホワイトカーボン、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、ケイ酸ナトリウムの鉱産による中和で製造される非晶質シリカ等の無機填料や、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン系樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂などの有機填料が挙げられる。この中でも、中性抄紙やアルカリ抄紙における代表的な填料である重質炭酸カルシウムや、軽質炭酸カルシウムを使用すると、高い不透明度向上効果が得られる。軽質炭酸カルシウムとしては、特許5274077号公報等に記載された、パルプ製造工程の苛性化工程で製造された軽質炭酸カルシウム(苛性化軽質炭酸カルシウム)を使用してもよい。紙中填料率は特に制限されないが、1〜40重量%が好ましく、10〜35重量%がさらに好ましい。
3)その他
本発明においては、公知の製紙用添加剤も使用できる。例えば、硫酸バンドや各種のアニオン性、カチオン性、ノニオン性あるいは、両性の歩留まり向上剤、濾水性向上剤、各種紙力増強剤や内添サイズ剤等の抄紙用内添助剤を必要に応じて使用することができる。乾燥紙力向上剤としてはポリアクリルアミド、カチオン化澱粉などが挙げられ、湿潤紙力向上剤としてはポリアミドアミンエピクロロヒドリンなどが挙げられる。これらの薬品は地合や操業性などの影響の無い範囲で添加される。内添サイズ剤としてはアルキルケテンダイマーやアルケニル無水コハク酸、ロジンサイズ剤などが挙げられる。更に、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等も必要に応じて添加することができる。
4)原紙の坪量
本発明の原紙の坪量は40〜160g/mが好ましく、45〜150g/mがより好ましく、50〜130g/mがさらに好ましい。
(8)顔料塗工層
1)顔料
本発明においては公知の顔料を用いることができる。その例としては、カオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコア−シェル型などの有機顔料が挙げられる。これらの顔料は複数種を組合せて使用してもよい。また、軽質炭酸カルシウムとしては、苛性化軽質炭酸カルシウムを使用してもよい。
前記の白紙光沢度、印刷インキ受理性、摩擦係数等を達成するために、本発明においては、顔料として炭酸カルシウムおよび、カオリンまたはクレーを用いることが好ましい。特に、前記摩擦係数を達成するために印刷用塗工紙の最外層を顔料塗工層とし、かつ該最外顔料塗工層が全顔料中に25〜75重量%の炭酸カルシウムを含むことが好ましい。他の顔料としては限定されないが、カオリンまたはクレーを最外顔料塗工層の全顔料中に20〜50重量%含むことが好ましい。炭酸カルシウムは重質炭酸カルシウムまたは軽質炭酸カルシウムであることが好ましい。軽質炭酸カルシウムは苛性化軽質炭酸カルシウムであることがより好ましい。
本発明においては、顔料の平均粒子径を調整することで前記細孔容積Vおよび平均細孔直径mを容易に達成できる。具体的には、例えば炭酸カルシウムの体積50%平均粒子径(D50)は、0.5〜6.0μmであることが好ましく、0.5〜2.0μmであることがより好ましい。カオリンまたはクレーの体積50%平均粒子径(D50)は、1.0〜6.0μmであることが好ましく、2.0μm〜5.5μmであることがより好ましい。これらの顔料の粒子径は、Malvern社製MastersizerSなどのレーザー回折式粒度分布測定機等により測定可能である。
2)接着剤
顔料塗工層はマトリックスとして接着剤(バインダー)を含む。本発明で使用する接着剤は限定されず、公知の接着剤を使用できる。接着剤としては、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等のラテックス;完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類;カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類;酸化澱粉、陽性澱粉、尿素燐酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などのエーテル化澱粉、デキストリン等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。これらの複数種を組合せて使用できる。好ましくは、スチレン・ブタジエン系共重合体、酸化澱粉、デキストリンなどが挙げられる。
本発明においては、前記最外塗工層の接着剤としてスチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等のラテックスを使用することが好ましく、スチレン-ブタジエン系共重合体を用いることがより好ましい。ラテックスの動的光散乱法で測定した平均粒子径およびガラス転移温度を調整することで、マット調印刷用塗工紙において高いインキ乾燥性を得ることが容易となる。ラテックスの好ましい平均粒子径は70〜150nmであり、より好ましくは70nm〜120nmである。平均粒子径が小さい場合、乾燥中にラテックスがマイグレーションをおこし、均一な顔料塗工層の形成が妨げられ、着肉ムラが発生することがある。また、平均粒子径が大きいと、インキ乾燥性は向上するものの、インキが顔料塗工層中に沈み込んでしまうため、印刷光沢が悪化することがある。ラテックスの好ましいガラス転移温度は−30℃〜30℃程度であり、−25℃〜20℃が好ましく、さらに好ましくは−20℃〜15℃である。ガラス転移温度が低すぎる場合、塗工操業性が悪化する恐れがある。また、ガラス転移温度が高すぎる場合、塗工紙の表面強度の不足、白紙光沢度が過剰になり、本発明で求めるマット調の白紙光沢度が得にくくなる。
接着剤の量は、印刷適性、塗工適性の点から、顔料100重量部に対して5〜20重量部であることが好ましく、8〜16重量部であることがより好ましい。接着剤の総量が20重量部を越える場合、顔料塗工液の粘度が高くなり塗工時に操業トラブルが生じ易い。さらに、インキの乾燥性が低下する傾向が見られる。一方、接着剤の総量が5重量部未満であると十分な表面強度を得にくくなる。
本発明においては、前記物性を達成するために、最外顔料塗工層の全接着剤中20〜80重量%のラテックスを含むことが好ましく、25〜75重量%のラテックスを含むことがさらに好ましく、25〜50重量%のラテックスを含むことがよりさらに好ましい。他の接着剤としては澱粉類、特に酸化澱粉やデキストリンを用いることが好ましい。澱粉類が好ましい理由として、ラテックスと比較すると澱粉類は顔料塗工液の保水性が高くなるため、原紙への塗工液の沈み込みが生じにくく、顔料塗工層で原紙を効果的に被覆することができると考えられる。言い換えれば、澱粉類を使用すると、顔料塗工層による原紙の被覆性が良好となる。その結果、印刷品質、特に印刷光沢度の向上と、インキ乾燥性の向上が期待できる。
3)その他
顔料塗工層は、必要に応じて、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、通常の塗工紙用顔料に配合される各種助剤を含んでいてもよい。
3.製造方法
本発明の印刷用塗工紙は公知の方法で製造できるが、原紙上に、顔料と接着剤を含む顔料塗工液を1層あるいは2層塗工することが好ましく、塗工方式はロールコーター、ブレードコーターにより製造することが好ましい。
(1)原紙の調製
原紙についてはすでに述べたとおりである。原紙は公知の抄紙方法で製造される。例えば、トップワイヤー等を含む長網抄紙機、オントップフォーマー、ギャップフォーマ、丸網抄紙機、長網抄紙機と丸網抄紙機を併用した板紙抄紙機、ヤンキードライヤーマシン等を用いて行うことができる。抄紙時のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでもよいが、中性またはアルカリ性が好ましい。抄紙速度も特に限定されない。
(2)原紙の平滑化処理
得られた原紙に顔料塗工液を塗工する前に、各種カレンダー装置により原紙に平滑化処理を施すことが好ましい。かかるカレンダー装置としては、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等の一般に使用されているカレンダー装置が適宜使用できる。カレンダー仕上げ条件としては、剛性ロールの温度、カレンダー圧力、ニップ数、ロール速度、カレンダー前の紙水分等が、要求される品質に応じて適宜選択される。
(3)顔料塗工液の調製
本発明の顔料塗工液は顔料、接着剤、および必要に応じて添加剤を水に分散または溶解することで調製できる。前述顔料塗工層を形成できるように各成分の配合は調整される。ブレード塗工を行う場合は、顔料塗工液の固形分濃度は40〜70重量%が好ましく、より好ましくは60〜70重量%である。顔料塗工液の粘度は室温にて60rpmで測定したB型粘度が500〜3000mPa・sの範囲であることが好ましい。
(4)塗工方法
塗工方法は限定されず、ロールコーター、ブレードコーター等の公知の塗工機を用いることができる。塗工速度も特に限定されないが、ブレードコーターの場合は400〜1800m/分、ロールコーターの場合は400〜2000m/分が好ましい。本発明においては最外塗工層の塗工にブレードコーターを用いることが好ましい。
顔料塗工層は1層または複数層設けることができる。また、原紙の上にクリア塗工層を設け、その上に顔料塗工層を設けてもよい。最外層は、顔料塗工層であることが好ましい。
本発明における顔料塗工層の塗工量c(g/m)は、片面あたり固形分で2g/m以上が好ましく、5g/m以上がより好ましく、10g/m以上がさらに好ましい。塗工量が5g/m未満では、紙基材表面の凹凸を十分に覆うことができないため、印刷インキの受理性が著しく低下することがある。一方、顔料塗工層の塗工量は、50g/m以下が好ましく、40g/m以下がより好ましく、30g/m以下がさらに好ましい。
本発明の印刷用塗工紙の坪量は、特に限定されないが、50g/m以上、260g/m以下程度である。
(5)その他の工程
湿潤状態の顔料塗工層を乾燥させる方法は限定されず、例えば蒸気加熱シリンダ、加熱熱風エアドライヤ、ガスヒータードライヤ、電気ヒータードライヤ、赤外線ヒータードライヤ等を用いることができる。
本発明の印刷用塗工紙は、湿潤状態の顔料塗工層を乾燥させた後にマット調の風合いを損なわない程度に、各種カレンダー装置により平滑化処理を施してもよい。かかるカレンダー装置としては、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等の一般に使用されているカレンダー装置が適宜使用できる。カレンダー仕上げ条件としては、剛性ロールの温度、カレンダー圧力、ニップ数、ロール速度、カレンダー前の紙水分等が、要求される品質に応じて適宜選択される。
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するがこれらによって本発明は限定されない。重量部および重量%は固形分換算の値である。
<評価方法>
(1)細孔容積と平均細孔直径の測定
窒素吸着法により、塗工紙の細孔容積、平均細孔直径を求めた。測定には、島津製作所製トライスター3000を用いた。
(サンプルの調製)
縦40cm×横15cmの紙サンプルを厚さ方向に均等になるよう2層に分割し、顔料塗工層と原紙層を含む積層体を得た。両面塗工紙の場合は当該積層体が2つ、片面塗工紙の場合は当該積層体が1つと主として原紙層からなる層が1つ得られる。顔料塗工層と原紙層を含む積層体をサンプルシートとして測定に使用した。両面塗工紙の場合はいずれか一方をサンプルシートとして測定に使用した。サンプルシートの坪量t(g/m)を測定した。1枚のサンプルシート中の任意の4点を選択し、短冊状に断裁した後、測定サンプルが絶乾重量1〜2g程度となるように測定セルに入れた。この時の絶乾重量をw(g)とした。真空状態、処理温度120℃で一晩前処理を行った。
(測定)
前記装置を用いて前記測定サンプルの顔料塗工層側から細孔容積および平均細孔直径を測定した。具体的には、脱着等温線よりBJH法を用いて前記測定サンプルの細孔容積および平均細孔直径を求め、4サンプルの平均値を取り、測定サンプルの細孔容積V’および平均細孔直径m’とした。細孔容積V’については単位塗工量当たりの値に換算して本発明の顔料塗工層の細孔容積Vとした。得られた平均細孔直径m’については、そのまま本発明の顔料塗工層の平均細孔直径mとした。測定サンプルの顔料塗工層重量は、顔料塗工層重量(g)=測定サンプルの絶乾重量w(g)×塗工量c(g/m)÷サンプルシートの坪量t(g/m)から算出した。塗工量c(g/m)は後述する測定方法により求めた。
水銀圧入法によっても、窒素吸着法と同様にして塗工紙の細孔容積、平均細孔直径を求めた。測定には、島津製作所製Auto Pore9500を用いた。サンプルは窒素吸着法と同様に調製した。ただし、測定サンプルの量を0.13g程度(絶乾重量)とした。
(塗工量)
特許第5827187号に記載の方法に準じて、塗工量を測定した。具体的には以下の手順により測定した。
1)測定サンプル(紙)を5cm×5cmの大きさに切断し、温度23℃、相対湿度50%で調湿後重量xを測定した。
2)スチレンポリマー板上に顔料塗工層が接するように当該サンプルを置き、時計皿で挟みクリップで固定した。
3)120〜150℃の乾燥機に入れ、スチレンポリマーを溶融させ顔料塗工層と密着させ、放冷した後、温度23℃、相対湿度50%で約半日調湿して重量yを測定した。
4)前工程で得た測定サンプルを銅エチレンジアミン溶液に約3〜4時間浸漬した後、刷毛を用いて原紙層と顔料塗工層を慎重に剥離した。顔料塗工層に付着したパルプ繊維がなくなるまで、この工程を繰り返した。
5)顔料塗工層を水洗いし乾燥させ、温度23℃、相対湿度50%で約半日調湿後、重量zを測定した。
6)以下の式によって、塗工量を算出した。
塗工量c(g/m)=(x−A)×400
A=y−z
(2)白紙光沢度
JIS−P8142に基づいて測定した。
(3)印刷インキ受理性
JAPPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.46:紙及び板紙−印刷インキ受理性試験方法−K&Nインキ法に基づいて測定した。白色度の測定はUV光を含む条件(UV−In)で測定を行った。
(4)静的摩擦係数および動的摩擦係数
ISO 15359に準じて測定した。ただし、3回の繰返し測定において、静的摩擦係数は1回目の測定値を採用し、動的摩擦係数は3回目の測定値を採用した。
(5)インキ乾燥性
ローランド社製オフセット枚葉印刷機(4色)にてオフセット枚葉用インキ(東洋インキ製NEX−M)を用い、印刷速度8000枚/hrでベタ部のインキ着肉濃度が墨2.00となる様に印刷したあと、墨ベタ印刷部を印刷直後から10分ごとに指先で触り、インキ乾燥の速さの程度を官能評価した。評価が4、3であれば実用上問題はない。
4:きわめて良好
3:良好
2:若干劣る
1:劣る
(6)網点ムラ
ローランド社製オフセット枚葉印刷機(4色)にてオフセット枚葉用インキ(東洋インキ(株)製NEX−M)を用い、印刷速度8000枚/hrでベタ部のインキ着肉濃度が藍1.60、紅1.50となる様に藍紅(CM)の順に印刷した。得られた印刷物の藍紅(CM)ハーフトーン(50%)印刷部の着肉ムラを目視で評価した。評価が4、3であれば実用上問題はない。
4:きわめて良好
3:良好
2:若干劣る
1:劣る
(7)印刷光沢度(光沢度差)
ローランド社製オフセット枚葉印刷機(4色)にてオフセット枚葉用インキ(東洋インキ(株)製NEX−M)を用い、印刷速度8000枚/hrでベタ部のインキ着肉濃度が藍1.60、紅1.50となる様に藍紅(CM)の順に印刷した。得られた印刷物の藍紅(CM)ベタ印刷部の光沢度を、JIS P−8142に基づいて測定した。
印刷光沢度から白紙光沢度を差し引いた値を光沢度差とし、光沢度差が20以上であれば印刷部と白紙部の光沢の差異が十分に得られており、実用上問題はない。
光沢度差(%)=印刷光沢度(%)−白紙光沢度(%)
(原紙)
原紙として、化学パルプ100重量%、填料として軽質炭酸カルシウムを13重量%含有した、密度0.73g/cm、坪量98g/mの上質紙を準備した。
[実施例1]
顔料として重質炭酸カルシウムスラリー1(ファイマテック社製、商品名:FMT97、沈降法による粒子径が2μm以下の粒子の割合:97%、D50=0.64μm)55重量部(固形分)および2級クレー(IMERYS社製、商品名:KCS、D50=4.9μm)45重量部(固形分)を用い、これに接着剤としてスチレン・ブタジエン系共重合ラテックス2(A&L社製、商品名:PB9501、平均粒子径80nm、ガラス転移温度−12℃)を4重量部、酸化澱粉(日本コーンスターチ社製、商品名:SK200)を6重量部配合して、さらに水を加えて固形分濃度66重量%の顔料塗工液1を得た。
前記原紙上に、顔料塗工液1をブレードコーターで片面あたりの乾燥塗工量が15.0g/mとなるように両面塗工し、その後乾燥して印刷用塗工紙を得た。
[実施例2]
顔料として重質炭酸カルシウムスラリー1(ファイマテック社製、商品名:FMT97、沈降法による粒子径が2μm以下の粒子の割合:97%、D50=0.64μm)55重量部(固形分)および2級クレー(IMERYS社製、商品名:KCS、D50=4.9μm)45重量部(固形分)を用い、これに接着剤としてスチレン・ブタジエン系共重合ラテックス2(A&L社製、商品名:PB9501、平均粒子径80nm、ガラス転移温度−12℃)を7重量部、酸化澱粉(日本コーンスターチ社製、商品名:SK200)を3重量部配合して、さらに水を加えて固形分濃度66重量%の顔料塗工液2を得た。
顔料塗工液1に代えて顔料塗工液2を使用した以外は、実施例1と同様の方法にて印刷用塗工紙を得た。
[実施例3]
顔料として苛性化軽質炭酸カルシウムスラリー1(D50=1.02μm)55重量部(固形分)および2級クレー(IMERYS社製、商品名:KCS、D50=4.9μm)45重量部(固形分)を用い、これに接着剤としてスチレン・ブタジエン共重合ラテックス1(A&L社製、商品名:PB1537、平均粒子径110nm、ガラス転移温度10℃)を4重量部、酸化澱粉(日本コーンスターチ社製、商品名:SK200)を6重量部配合して、さらに水を加えて固形分濃度66重量%の顔料塗工液3を得た。
顔料塗工液1に代えて顔料塗工液3を使用した以外は、実施例1と同様の方法にて印刷用塗工紙を得た。
[比較例1]
顔料として重質炭酸カルシウムスラリー1(ファイマテック社製、商品名:FMT97、沈降法による粒子径が2μm以下の粒子の割合:97%、D50=0.64μm)100重量部(固形分)を用い、これに接着剤としてスチレン・ブタジエン共重合ラテックス2(A&L社製、商品名:PB9501、平均粒子径80nm、ガラス転移温度−12℃)を8重量部、酸化澱粉(日本コーンスターチ社製、商品名:SK200)を6重量部配合して、さらに水を加えて固形分濃度66重量%の顔料塗工液4を得た。
顔料塗工液1に代えて顔料塗工液4を使用した以外は、実施例1と同様の方法にて印刷用塗工紙を得た。
[比較例2]
顔料として苛性化軽質炭酸カルシウムスラリー1(D50=1.02μm)95重量部(固形分)、微粒クレー(IMERYS社製、商品名:アストラグレーズ、D50=0.23μm)5重量部(固形分)を用い、これに接着剤としてスチレン・ブタジエン系共重合ラテックス1(商品名:PB1537、平均粒子径110nm、ガラス転移温度10℃)を5.8重量部、酸化澱粉(日本コーンスターチ社製、商品名:SK200)を5.3重量部配合して、さらに水を加えて固形分濃度66重量%の顔料塗工液5を得た。
次いで、顔料として苛性化軽質炭酸カルシウムスラリー1(D50=1.02μm)20重量部(固形分)、苛性化軽質炭酸カルシウムスラリー2(、D50=1.38μm)80重量部(固形分)を用い、これに接着剤としてスチレン・ブタジエン系共重合ラテックス1(商品名:PB1537、平均粒子径110nm、ガラス転移温度10℃)を2.5重量部、酸化澱粉(日本コーンスターチ社製、商品名:SK200)を21重量部配合して、さらに水を加えて固形分濃度66重量%の顔料塗工液6を得た。
前記原紙上に、顔料塗工液6をブレードコーターで片面あたりの乾燥塗工量が4.5g/mとなるように両面塗工し、その後乾燥して下層塗工紙を得た。当該下層塗工紙上に、顔料塗工液5をブレードコーターで片面あたりの乾燥塗工量が10.5g/mとなるように両面塗工し、その後乾燥して印刷用塗工紙を得た。
[参考例1]
顔料として重質炭酸カルシウムスラリー1(ファイマテック社製、商品名:FMT97、D50=0.64μm)70重量部、一級クレー(IMERYS社製、商品名:プレミア、D50=3.22μm)30重量部(固形分)を用い、これに接着剤としてスチレン・ブタジエン系共重合ラテックス2(A&L社製、商品名:PB9501、平均粒子径80nm、ガラス転移温度−12℃)を7重量部、酸化澱粉(日本コーンスターチ社製、商品名:SK200)を3重量部配合して、さらに水を加えて固形分濃度66重量%の顔料塗工液7を得た。
顔料として重質炭酸カルシウムスラリー1(ファイマテック社製、商品名:FMT97、D50=0.64μm)100重量部(固形分)を用い、これに接着剤としてスチレン・ブタジエン系共重合ラテックス1(商品名:PB1537、平均粒子径110nm、ガラス転移温度10℃)を7重量部、酸化澱粉(日本コーンスターチ社製、商品名:SK200)を3重量部配合して、さらに水を加えて固形分濃度66重量%の顔料塗工液8を得た。
前記原紙上に、顔料塗工液8をブレードコーターで片面あたりの乾燥塗工量が8.5g/mとなるように両面塗工し、その後乾燥して下層塗工紙を得た。当該下層塗工紙上に、顔料塗工液7をブレードコーターで片面あたりの乾燥塗工量が20.0g/mとなるように両面塗工し、その後乾燥して印刷用塗工紙を得た。
[参考例2]
顔料として重質炭酸カルシウムスラリー2(ファイマテック社製、商品名:FMT90、沈降法による粒子径が2μm以下の粒子の割合:90%、D50=0.94μm)70重量部、一級クレー(IMERYS社製、商品名:プレミア、D50=3.22μm)30重量部(固形分)を用い、これに接着剤としてスチレン・ブタジエン系共重合ラテックス2(A&L社製、商品名:PB9501、平均粒子径80nm、ガラス転移温度−12℃)を7重量部、酸化澱粉(日本コーンスターチ社製、商品名:SK200)を3重量部配合して、さらに水を加えて固形分濃度66重量%の顔料塗工液9を得た。
塗工液として顔料塗工液7に代えて顔料塗工液9を使用した以外は、参考例1と同様の方法にて印刷塗工紙を得た。
[実施例4]
顔料として重質炭酸カルシウムスラリー3(ファイマテック社製、商品名:FMT75、沈降法による粒子径が2μm以下の粒子の割合:75%、D50平均粒子径1.65μm)70重量部、一級クレー(IMERYS社製、商品名:プレミア、D50=3.22μm)30重量部(固形分)を用い、これに接着剤としてスチレン・ブタジエン系共重合ラテックス2(A&L社製、商品名:PB9501、平均粒子径80nm、ガラス転移温度−12℃)を7重量部、酸化澱粉(日本コーンスターチ社製、商品名:SK200)を3重量部配合して、さらに水を加えて固形分濃度66重量%の顔料塗工液10を得た。
塗工液として顔料塗工液7に代えて顔料塗工液10を使用した以外は、参考例1と同様の方法にて印刷塗工紙を得た。
実施例1〜4、比較例1〜2、参考例1〜2の処方および評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、原紙およびその上に顔料塗工層を備える印刷用塗工紙において、窒素吸着法によって測定された顔料塗工層の細孔容積Vまたは平均細孔直径mが大きいほどインキ乾燥性も高くなる。また、印刷用塗工紙の顔料塗工層の塗工量をcとしたときの、V/cまたはm/cが大きいほどインキ乾燥性も高くなる。
さらに、本発明の印刷用塗工紙は、白紙光沢度と印刷光沢の差異が大きいマット調印刷用塗工紙であり、実施例1〜4においては、本願範囲の細孔容積、平均細孔直径をもつことで、良好なインキ乾燥性、印刷インキ受理性をもつマット調印刷用塗工紙が得られることが明らかである。また、実施例1、3のマット調印刷用塗工紙は、静的摩擦係数より高い動的摩擦係数を付与することで、用紙の滑りが抑制され、紙揃いに優れる。
一方、比較例1、2は細孔容積、平均細孔直径が低く、それに伴い印刷インキ受理性、インキ乾燥性が劣っている。また、参考例1、2に示したように、白紙光沢度が35%より高い領域であれば、塗工顔料の粒子径を小さくすることで、細孔容積、平均細孔直径を本願の範囲に調整し、優れた印刷インキ受理性、インキ乾燥性を得ることは容易であるが、本発明においては、光沢を抑えたマット調の印刷用塗工紙でありながら、優れたインキ受理性と、インキ乾燥性を達成した。
[窒素吸着法と水銀圧入法の比較]
参考例1、2および実施例4で得た印刷用塗工紙について、以下の方法によりインキ速乾性を定量的に評価した。
<インキ速乾性の定量的評価>
RI印刷試験機(石川島産業機械株式会社製、RI−3型)を用い、平版用標準タックインキ0.8ccをゴムロールに展開し、印刷速度130rpmでインキ量が均一となるよう3回重ねて前記印刷用塗工紙に印刷した。印刷後2分から20分経過するまで2分ごとに、塗工紙に印刷されたインキを紙に転移させ、紙に転移したインキのY値(明度)をポータブル分光濃度計(エックスライト社製、X−Rite520)により測定した。Y値は、乾燥せずに紙に転移したインキの度合いを示す。インキ速乾性の目安をY=80とし、これを達成する時間を乾燥性の定量的指標とした。
表2、図1および図2に結果を示す。窒素吸着法で測定された細孔容積と平均細孔直径が大きくなるほどインキ速乾性が向上する。この傾向は、前述の式(3)の関係に則っている。一方、水銀圧入法ではこの相関が見られなかった。以上から、窒素吸着法を用いることで、インキ速乾性をより正確に測定できることが明らかである。

Claims (13)

  1. 原紙およびその上に設けられた顔料塗工層を備える塗工紙における当該顔料塗工層の細孔容積Vまたは平均細孔直径mを、窒素吸着法により測定する工程、ならびに
    Vまたはmが大きいほどインキ乾燥性も高くなるという関係に基づいて、インキ乾燥性を評価する工程、
    を含む、インキ乾燥性の評価方法。
  2. 前記顔料塗工層の塗工量cを測定する工程をさらに含み、
    V/cまたはm/cが大きいほどインキ乾燥性も高くなるという関係に基づいて、インキ乾燥性を評価する工程、
    を含む、請求項1に記載の評価方法。
  3. 原紙およびその上に設けられた顔料塗工層を備える印刷用塗工紙であって、
    当該顔料塗工層の窒素吸着法による細孔容積Vが0.04cm/g以上、
    当該印刷用塗工紙のJIS−P8142による白紙光沢度が35%未満、かつ
    当該印刷用塗工紙のJAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法 No.46 により測定した印刷インキ受理性が20〜35である、印刷用塗工紙。
  4. 前記顔料塗工層の窒素吸着法による平均細孔直径mが30nm以上である、請求項3に記載の印刷用塗工紙。
  5. 前記細孔容積Vが0.09cm/g以下である、請求項3または4に記載の印刷用塗工紙。
  6. 前記平均細孔直径mが60nm以下である、請求項3〜5のいずれかに記載の印刷用塗工紙。
  7. 前記印刷用塗工紙の最外層が顔料塗工層であり、ISO15359に準じて測定した該最外顔料塗工層側の静的摩擦係数および動的摩擦係数において、動摩擦係数が静的摩擦係数より大きい、請求項3〜6のいずれかに記載の印刷用塗工紙。
  8. 前記最外顔料塗工層が、全顔料中に25〜75重量%の炭酸カルシウムを含む、請求項7に記載の印刷用塗工紙。
  9. 前記炭酸カルシウムが、重質炭酸カルシウムである請求項8に記載の印刷用塗工紙。
  10. 前記炭酸カルシウムが、軽質炭酸カルシウムである請求項8に記載の印刷用塗工紙。
  11. 前記最外顔料塗工層が、全顔料中に20〜50重量%のカオリンまたはクレーを含む、請求項8〜10のいずれかに記載の印刷用塗工紙。
  12. 前記最外顔料塗工層が接着剤を含み、当該接着剤中20〜80重量%のラテックスを含む、請求項7〜11のいずれかに記載の印刷用塗工紙。
  13. 前記顔料塗工層の細孔容積V(cm/g)×塗工量c(g/m)で定義される全細孔容積(cm/m)が、0.55〜4.50cm/mである、請求項3〜12のいずれかに記載の印刷用塗工紙。
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