JP2017219795A - スクリーン印刷用版の作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】大量の溶剤の廃液が発生せず、大がかりな装置や熟練した技術を必要とせず、短時間で簡単に現像を行えるスクリーン印刷用版の作製方法を提供する
【解決手段】
紗(1)に活性エネルギー線硬化型の感光液(3)を充填した後、ネガ画像に対応する部分に活性エネルギー線を照射して、ネガ画像に対応する部分の感光液を硬化させた未現像スクリーン版を作製する第一の工程と、前記未現像スクリーン版の上に液体(7)を載せ、該液体(7)を紗(1)に向けて押圧することにより、前記感光液の未硬化部分を紗から押し出す第二の工程とからなる、スクリーン印刷用版の作製方法。第二の工程は、未現像スクリーン版を、感光液を吸収できる平面(6)の上方に一定の間隔(D)をあけて配置した状態で行うことが好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】
紗(1)に活性エネルギー線硬化型の感光液(3)を充填した後、ネガ画像に対応する部分に活性エネルギー線を照射して、ネガ画像に対応する部分の感光液を硬化させた未現像スクリーン版を作製する第一の工程と、前記未現像スクリーン版の上に液体(7)を載せ、該液体(7)を紗(1)に向けて押圧することにより、前記感光液の未硬化部分を紗から押し出す第二の工程とからなる、スクリーン印刷用版の作製方法。第二の工程は、未現像スクリーン版を、感光液を吸収できる平面(6)の上方に一定の間隔(D)をあけて配置した状態で行うことが好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は、スクリーン印刷用版の作製方法、特に、スクリーン版の現像工程の改良に関する。
スクリーン印刷は、平版印刷、凸版印刷、凹版印刷に比べ、インク転移量が多くできる印刷方式であり、その特徴を生かして、Tシャツプリント等の捺染印刷分野で広く使われている。しかし、スクリーン印刷用版を作製するには、原稿に対応するネガ画像が形成された版下フィルムを作製し、版下フィルムと感光性乳剤の塗膜とを密着し露光機で露光してネガ画像に対応する部分を硬化させた後、塗膜の未硬化部分を除去する現像工程を行う必要があった。上記露光後、感光性乳剤の硬化部分と未硬化部分は何れも乾燥した被膜状態であり、未硬化部分を除くためには、上記塗膜を溶剤に浸漬して未硬化部分を溶剤に溶解させなければならず、どうしても大量の溶剤が必要である。その結果、感光性乳剤が溶けた廃液が大量に発生するため、廃液処理が大きな問題となっており、また、現像に要する時間も長くかかるという問題があった。
本発明者は、感光性乳剤の代わりに液状感光性樹脂を用いるスクリーン印刷用版の作製方法を既に提案している(特願2015−243032)。この方法では、露光後の硬化部分及び未硬化部分はそれぞれ固体及び液体に分かれるが、現像工程で感光性樹脂を溶解する溶剤を使用するため、廃液が発生する問題は未解決であった。
一方、液状感光性樹脂は、樹脂凸版の作製に従来から使用されており、版の現像に、この液状感光性樹脂を溶解する溶剤が使用されている。そして、溶剤の廃液の問題を解消するために、露光後の版を多孔性軟質材料と重ね合わせて減圧密着させることで未硬化の液状感光性樹脂を多孔性軟質材料へ移動させる方法が開示されている(特許文献1参照)。しかし、減圧密着を行うために減圧装置等の大掛かりな装置が必要になるという欠点があった。
本発明は、大量の溶剤の廃液が発生せず、大がかりな装置や熟練した技術を必要とせず、短時間で簡単に現像を行えるスクリーン印刷用版の作製方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的の下に鋭意研究した結果、硬化性乳剤の代わりに活性エネルギー線硬化型の感光液を使用したスクリーン印刷用版の作製方法において、露光後の未現像スクリーン版の上に液体を載せて押圧することにより、感光液の未硬化部分が上記液体により簡単に押し出されるため、簡単に現像工程を行うことができることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、紗に活性エネルギー線硬化型の感光液を充填した後、ネガ画像に対応する部分に活性エネルギー線を照射して、ネガ画像に対応する部分の感光液を硬化させた未現像スクリーン版を作製する第一の工程と、前記未現像スクリーン版の上に液体を載せ、該液体を紗に向けて押圧することにより、前記感光液の未硬化部分を紗から押し出す第二の工程とからなる、スクリーン印刷用版の作製方法が提供される。
また、本発明の好ましい実施形態によれば、前記第二の工程は、前記未現像スクリーン版を、前記感光液を吸収できる平面の上方に一定の間隔をあけて配置した状態で行われる。
また、本発明の好ましい実施形態によれば、前記第二の工程で前記未現像スクリーン版の上に載せられる液体は、チキソトロピー性の液体であり、より好ましくは、TI値1.4以上の粘度1Pas以上の液体であり、さらにより好ましくは、スクリーン印刷用インクである。
本発明によれば、紗に活性エネルギー線硬化型の感光液を充填した後、ネガ画像に対応する部分に活性エネルギー線を照射して露光を行い、ネガ画像に対応する部分の感光液を硬化させた未現像スクリーン版を作製することとしたので、未現像スクリーン版の露光部分は硬化して固体になるのに対し、未露光部分は未硬化の液体の状態に維持されており、したがって、未現像スクリーン版の上に液体を載せて該液体を紗に向けて押圧することにより、未露光部分を紗から押し出すことにより、大がかりな装置や熟練した技術を要することなく、スクリーン版の現像を短時間で簡単に行うことができる。
本発明おいて、上記未現像スクリーン版の上に載せられた液体の押圧を、上記感光液を吸収できる平面の上方に一定の間隔をあけて配置した状態で行う場合は、あたかも試し刷りを行うような操作にて、スクリーン版の現像を行うことができる。また、上記液体としてチキソトロピー性の液体、又は、TI値1.4以上の粘度1Pas以上の液体を使用する場合は、上記押圧操作で未露光部分を押し出した後に、上記液体は版の未露光部分に止まり、その周囲に広がることがないので、現像後に版の反対面を汚す心配が無い。したがって、得られたスクリーン版をそのまま印刷媒体の上方に一定の間隔をあけて配置し、該スクリーン版の上にスクリーンインクを載せて、試し刷りを行うことができ、その際、上記液体はスクリーンインクと一緒に印刷媒体上に押し出されるので、感光液を溶解させるための溶剤を使用する必要がなく、溶剤の廃液の問題も発生せず、その後、直ちに本印刷に移ることができる。また、上記液体としてスクリーン印刷用インクを使用した場合は、現像工程と試し刷りを同時に出来るため、早く本印刷に移ることができる。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
1.第一の工程(感光性樹脂フィルムの作製)
本発明のスクリーン印刷用版の作製方法では、紗に活性エネルギー線硬化型の感光液を充填した、感光性樹脂フィルムを用意する。感光性樹脂フィルムの作製方法は特に限定されないが、例えば、活性エネルギー線透過性であるフィルムの上に紗を載置させた状態で、紗の開口を埋めるように感光液を充填してなる積層体が使用される。この積層体は、例えば、図1示すように、下記(1)〜(3)の工程で作製することができる。
本発明のスクリーン印刷用版の作製方法では、紗に活性エネルギー線硬化型の感光液を充填した、感光性樹脂フィルムを用意する。感光性樹脂フィルムの作製方法は特に限定されないが、例えば、活性エネルギー線透過性であるフィルムの上に紗を載置させた状態で、紗の開口を埋めるように感光液を充填してなる積層体が使用される。この積層体は、例えば、図1示すように、下記(1)〜(3)の工程で作製することができる。
工程(1):紗1(図示のものは枠張りされている)を用意する。
工程(2):上記紗1をフィルム2の上に載置する。その際、フィルム2の外側に版下4を予め積層しておいてもよい。また、版下4を下記工程(5)で用いる照射装置のステージガラス(図示せず)上に載置し、その上にフィルム2及び紗1を順に載置してもよい。
工程(3):上記紗1の上から感光液3をゴムへら、ローラー等の塗布装置5で押しつけながらスキージするなどの方法により、紗1の開口を埋めるように感光液3を紗1に充填して積層体10を得る。感光液は、紗の厚みとほぼ同じ厚みになるように充填されることが好ましく、その表面が平滑になるように、ゴムへら、ローラー等で塗工成形することが好ましい。
工程(2):上記紗1をフィルム2の上に載置する。その際、フィルム2の外側に版下4を予め積層しておいてもよい。また、版下4を下記工程(5)で用いる照射装置のステージガラス(図示せず)上に載置し、その上にフィルム2及び紗1を順に載置してもよい。
工程(3):上記紗1の上から感光液3をゴムへら、ローラー等の塗布装置5で押しつけながらスキージするなどの方法により、紗1の開口を埋めるように感光液3を紗1に充填して積層体10を得る。感光液は、紗の厚みとほぼ同じ厚みになるように充填されることが好ましく、その表面が平滑になるように、ゴムへら、ローラー等で塗工成形することが好ましい。
上記積層体で使用できる紗としては、スクリーン印刷用版に一般的に使用されているものが使用でき、例えば、ポリエステル、ナイロン、絹、ステンレス製のものが挙げられ、代表的にはポリエステル紗が挙げられる。硬化した感光液が絡みつきやすいように、紗を脱脂したり、紗の表面を物理的及び/又は化学的に粗くしたり、紗に表面加工及び/又は表面処理を施しても良い。また、ハレーション防止のために、紗を染料で着色しても良い。紗のメッシュ数は、特に限定されないが、30〜1200メッシュが好ましい。紗は枠に張ったものであってもよい。紗を張る枠としては、公知の枠を使用することができ、例えば、木製、金属製又は厚紙製の枠が使用できる。紗は、弛まないように適当な張力を掛けた状態で、その周縁を枠に固定することで、枠張りすることができる。
上記積層体において用いるフィルムは、活性エネルギー線透過性(例えば、波長400nm以下の紫外線透過性が良好なもの)でなければならない。フィルムは、通気性がなく、感光液によって侵されたり、感光液を浸透させたりしなければ、どのような材質でできていてもよく、扱いやすく、平滑で、平面性が確保されるものであることが好ましく、可撓性があっても良い。フィルムの代表例としては、プラスチックフィルムが挙げられ、その厚みは1ミクロン以上であれば良い。上記プラスチックフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、セルローストリアセテート(TAC)等のフィルムが挙げられるが、下記工程(6)での剥離性を考慮すると、極性の小さいポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系フィルムが適している。下記工程(5)で、積層体にフィルムの側から活性エネルギー線を照射するが、下記工程(5)での光の回り込みを防止するために、フィルム(図1ではフィルム2)の厚みは、薄いほど好ましいが、薄すぎると取扱性が劣るので、1〜100ミクロンが好ましく、2〜20ミクロンがより好ましい。
工程(3)では、図1のようにフィルム2に紗1を密着させながら、感光液3の上からゴムへら、ローラー等の押圧装置で一方向に押しつけてスキージしていくと、紗1の開口から空気や余分の感光液が排出される。この時、感光液3の厚みは、ほぼ紗1の厚みになる。特に感光液3の膜厚を調整する必要がない場合、これでほぼ均一の厚さの積層体10を作製することができる。感光液3の厚みが不均一であると、感光液層を硬化させるための活性エネルギー線の照射時間が場所により異なることになり、薄い部分は膜が薄くなり強度が弱くなったり、厚い部分は一定時間内に感光液層が硬化できず、現像時、紗から脱落したりすることがある。従って、少なくとも版下原稿の面積内は、ほぼ均一な厚みの感光液層が形成されるように留意することが好ましい。そのためには、版下、フィルム等は平滑であることが好ましく、また、ごみの付着は均一な感光液層形成の阻害要因になるので、上記工程内ではゴミが付着しないように注意する必要がある。
本発明において、感光液を紗に塗工する方法は、図1(3)の方法に限定されず、例えば、(i)紗を感光液中に浸漬し、引き上げる際に紗の両側からロールやスキージで余分な液体感光性樹脂を落として、実質紗の厚みに塗工する方法や、(ii) 紗を2枚のカバーフィルムで挟んだ積層体を形成し、該積層体をその外側から二本のロールで挟持し、二本のロールの処で2枚のフィルムを開くことで出来る空間に感光液を添加して液溜まりを形成させた状態で、挟持した二本のロールを回転させながら2枚のカバーフィルムの両側を閉じるとともに、感光液をロールの進行方向に押し拡げることで、両カバーフィルムの間に感光液を実質的に紗の厚みに塗工する方法などが挙げられる。
上記積層体10は、予め工場等で作製し、スクリーン印刷用版の作製用のスクリーン印刷用マスターとして市販してもよい。その際、感光液3が容易に硬化しないように、上記積層体10を遮光性フィルム等で包装した状態で提供することが好ましい。上記積層体10では、フィルム2の表面に活性エネルギー線不透過性の画像を印刷すれば、該フィルム2が版下を兼ねることができる。この場合、上記積層体10のフィルム2の表面に印刷適性を付与するために、該表面にインク受理層を形成してもよい。
2.第一の工程(照射)
本発明によれば、上記感光性樹脂フィルムに付与したネガ画像に対応する部分に活性エネルギー線を照射して、ネガ画像に対応する部分の感光液を硬化させることにより、未現像スクリーン版を作製する。未現像スクリーン版の具体的な作製方法は、特に限定されるものではないが、例えば、上記積層体を下記工程(4)〜(5)のとおり使用することで作製することができる。
本発明によれば、上記感光性樹脂フィルムに付与したネガ画像に対応する部分に活性エネルギー線を照射して、ネガ画像に対応する部分の感光液を硬化させることにより、未現像スクリーン版を作製する。未現像スクリーン版の具体的な作製方法は、特に限定されるものではないが、例えば、上記積層体を下記工程(4)〜(5)のとおり使用することで作製することができる。
工程(4):不活性ガス層生成装置20を使用して、積層体10の上方、すなわち、積層体10の上記フィルム2側と反対側の感光液3が露出した面に空間30を形成し、当該空間30の雰囲気を窒素等の不活性ガスで置換し、空間30を不活性ガス雰囲気に置換した状態に維持する。
工程(5):積層体10のフィルム2の側から版下4を介して活性エネルギー線を照射する。
工程(5):積層体10のフィルム2の側から版下4を介して活性エネルギー線を照射する。
版下は、通常、図示のように、フィルム2の外側に積層され、画像部が活性エネルギー線を透過させない材料で作製されたものであればよく、例えば、写真技術で作製したリスフィルムや、感熱発色方式、熱転写フィルム方式、インクジェット方式、電子写真方式等の各種方式で透明フィルム上にインクやトナー等で画像形成したものが使用できる。版下は、重ね合わせるフィルムと別体のものであってもよく、または、フィルムに接着剤等で接着されて一体化されてもよい。また、版下は、活性エネルギー線透過性のフィルムの表面に熱転写印刷、インクジェット印刷等の方法で、活性エネルギー線不透過性の画像を直接印刷することによりフィルムと一体化されたものであってもよく、この場合、フィルムの印刷面にはインク受理層が形成されていると好都合である。そして印刷後に印刷面を撥水処理することが好ましい。従来、版下と乳剤版の密着が悪いと、製版状態が悪くなるため、露光時に、高圧で版下と乳剤版を密着させたり、減圧装置を使い、版下と乳剤版間の空気層を除く等の特殊な操作を必要としていたが、上記のように版下がフィルムに一体化されている場合、フィルムが版下も兼ねるので、このような特殊な操作は必要なく、また、工程(5)で光の回り込みが少なくなる点でも好都合である。なお、活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、X線、γ線が挙げられるが、このうち、取扱性の点から紫外線が好ましい。
上記工程(4)で使用する不活性ガス層生成装置20としては、例えば、図1(4)に示すように、通気口24付きのパンを使用できる。このパンで積層体10を覆い、積層体10の上方に略密閉された空間30を形成し、通気口24から窒素ガス等の不活性ガスを吹き込むことにより、空間30に含まれていた空気をパンと積層体10の間の僅かな隙間(通常、0.1〜2mm)から追い出して、空間30を不活性ガス雰囲気に置換することができる。
パンはどのような形状でも良いが、空間30に不活性ガスを閉じ込めておく必要があることから、パンの縁は大部分が積層体10と接していることが必要である。また、始めに空間30に存在している空気を排出することが必要なので、積層体10とパンの縁の接触部は必ずしも密着している必要はなく、上記空気の排出に必要な僅かな隙間(通常、0.1〜2mm)があることが好ましい。別法として、通気口24とは別に、空気を逃がす孔をパンに設けてもよいが、この場合、その孔から、または、積層体10とパンとの接触部から、外部の空気がパンの内部に入り込まないように、空間30内の不活性ガスによる内圧を外部気圧より高い状態で維持することが好ましい。
不活性ガスの使用量を減らすため、不活性ガス層生成装置20が作り出す空間30は小さい方が良い。不活性ガスによって空間30から空気を追い出した後は、外部からの空気の侵入を抑えるのに必要な量の不活性ガスを空間30に送るか、上記のように、空間30の内圧を外部圧力より高く保つように制御することが好ましい。不活性ガスは、入手しやすさの点から、窒素、アルゴン、ヘリウムが好ましい。
なお、本発明の方法では、図2に示すように、版下4及び上記照射装置を使用せず、積層体10にフィルム2側から、レーザー光等の活性エネルギー線を、ネガ画像を再現するように、感光液3に照射して、ネガ画像に対応する部分を硬化させる方法を採用することもできる。図2の態様は、積層体10が版下4を備えておらず、照射装置の代わりに、ネガ画像を再現するように走査可能な活性エネルギー線走査装置を備えている以外、図1の態様と同じである。
3.第二の工程(現像)
本発明のスクリーン印刷用版の作製方法では、第一の工程で得られた未現像スクリーン版の上に液体を載せ、ヘラ等の板状の押圧治具などで該液体を紗に向けて押圧することにより、前記感光液の未硬化部分を紗から押し出して現像を行い、スクリーン印刷用版を得る。この工程は、例えば、図1(6)〜(7)に記載するように、下記工程(6)及び(7)の様にして行うことができる。
本発明のスクリーン印刷用版の作製方法では、第一の工程で得られた未現像スクリーン版の上に液体を載せ、ヘラ等の板状の押圧治具などで該液体を紗に向けて押圧することにより、前記感光液の未硬化部分を紗から押し出して現像を行い、スクリーン印刷用版を得る。この工程は、例えば、図1(6)〜(7)に記載するように、下記工程(6)及び(7)の様にして行うことができる。
工程(6):積層体10から不活性ガス層生成装置20を外すとともに、フィルム2を剥離した後、感光液を吸収できる平面6の上方に一定の間隔Dをあけて版1を置いた状態で、版1の上に現像液7を載せる。
工程(7):版1の上に載せられた現像液7を、押圧治具8を用いて押圧するとともに該現像液7を版1に向けてスキージすることにより、感光液3の未硬化部分及び現像液7は平面6の上に転写され、スクリーン印刷用版の現像が完了する。
工程(7):版1の上に載せられた現像液7を、押圧治具8を用いて押圧するとともに該現像液7を版1に向けてスキージすることにより、感光液3の未硬化部分及び現像液7は平面6の上に転写され、スクリーン印刷用版の現像が完了する。
上記現像液は、スキージ等の押圧治具などで感光液3の未硬化部分を押し出すことができる液体であれば特に限定されないが、チクソトロピー性を持った液体が好ましく、具体的には、TI値が1.2以上の液体が好ましく、TI値が1.4以上の液体がより好ましく、TI値が2以上の液体がさらにより好ましい。TI値の上限は通常20であり、好ましくは10である。液体のTI値が1.2以上の場合、スキージにより押し出された液体が版の裏面で横方向に広がり難くなり、開孔部周辺を汚し難くなる。
ここで、TI値は、23℃において、下記の式で示される値を意味する
TI値=(シェアレート17/s時の粘度)/(シェアレート170/s時の粘度)…(1)
TI値=(シェアレート17/s時の粘度)/(シェアレート170/s時の粘度)…(1)
更に、上記液体の23℃におけるシェアレート170/s時の粘度は1Pas〜200Pasが好ましく、1Pas〜100Pasがより好ましい。上記液体がこの範囲の粘度を備える場合、現像に適した流動性及び塗工性が得られる。
上記チキソトロピー性を持った液体は、液体の分散媒中に分散体が分散した構造を有するものが挙げられるが、具体例としては、着色剤を含まないワセリン又はグリース、マヨネーズ等のエマルションの他、印刷に使用するスクリーンインクなども使用することもできる。上記液体としてスクリーンインクを使用した場合は、現像が終わった時点で、そのまま印刷工程に入れるので、現像に用いた上記液体を除く必要がないので無駄がない。
上記押圧操作は、未現像スクリーン版を、感光液を吸収できる平面の上方に一定の間隔Dをあけて載置した状態で行うことが好ましい。このような平面としては、現像に使用する液体を吸収(吸着も含む)するものであれば特に限定されないが、紙、布、スポンジ等の多孔質平面が好ましい。上記間隔Dは、未現像スクリーン版の面積や弾力性等によって異なるが、押圧治具等により押圧されて撓んだ版1の部分が平面6に接触し、版1の撓みが解消したときに、その部分にある感光液3の未硬化部分及び現像液7が平面6に転写されるような寸法であることが好ましい。
上記押圧操作は、未硬化部分を紗から押し出すことができる方法であれば、どのような方法で行ってもよいが、例えば、ヘラ、ブレード等の板状の押圧治具の他、ローラ等の塗布装置を使用して上記液体を紗に向けて押圧しつつ水平方向に移動させることによって行ってもよく、また、未現像スクリーン版の全面を押圧装置で押圧することによって行ってもよい。
4.感光液
本発明で使用する感光液としては、従来スクリーン印刷用版の作製に使用されている水溶性及び非水性(非水溶性)の何れの感光液も使用できるが、作業環境を考慮すると、水溶性の感光液を使用することが好ましい。なお、本明細書において、感光液に関連して使用される「水溶性」の語には「水分散性」の意味も包含されるものとする。すなわち、本明細書でいう「水溶性感光液」には、活性エネルギー線硬化性成分が感光液中では均一溶解しているが、水中に溶出した際、水に溶解せず、ミセル状態になる物も含むものとする。
本発明で使用する感光液としては、従来スクリーン印刷用版の作製に使用されている水溶性及び非水性(非水溶性)の何れの感光液も使用できるが、作業環境を考慮すると、水溶性の感光液を使用することが好ましい。なお、本明細書において、感光液に関連して使用される「水溶性」の語には「水分散性」の意味も包含されるものとする。すなわち、本明細書でいう「水溶性感光液」には、活性エネルギー線硬化性成分が感光液中では均一溶解しているが、水中に溶出した際、水に溶解せず、ミセル状態になる物も含むものとする。
感光液は、その大部分が液状感光性樹脂、即ち、液体の活性エネルギー線硬化性成分から構成され、更に、色材又は少量の添加剤(光重合開始剤、重合禁止剤等)を含有してもよい。感光液は、液状成分が活性エネルギー線硬化性成分及び上記その他の成分のみで構成される無溶剤型であるのが好ましいが、硬化性に影響しないのならば、上記液状成分と相溶性のある溶剤を含有してもよい。
液体の活性エネルギー線硬化性成分としては、ラジカル重合可能な液状の(メタ)アクリル系モノマー又はオリゴマーが好ましい。また、上述のとおり、作業環境を考慮すると、活性エネルギー線硬化性成分は水溶性のものが好ましく、具体的には、水溶性の(メタ)アクリル系モノマー又はオリゴマーを一部または主成分とすることが、未硬化の樹脂成分を除くときに水で洗い流せるので好都合である。但し、活性エネルギー線硬化性成分の水溶性が強すぎると硬化後の被膜も親水性をもつため、現像後、硬化膜が弱くなり欠落が生じやすいので注意を要する。
感光液(3)は、活性エネルギー線硬化性成分として、(メタ)アクリレート系オリゴマーと(メタ)アクリレート系モノマーの両者を含有することが好ましい。また、活性エネルギー線硬化性成分は露光後短時間で硬化する方がよいので、(メタ)アクリレート系オリゴマーとして2官能以上の多官能オリゴマーを含むことが好ましく、さらに、(メタ)アクリレート系モノマーとして2官能以上のモノマーを含むことで硬化被膜の強度もあげることができるので好ましい。また、硬化被膜は柔軟性がある方が、印刷性はよくなるので、上記モノマー及びオリゴマーとして長鎖のものを含むことが好ましい。
(メタ)アクリル系オリゴマーとしては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレートが挙げられる。水溶性の(メタ)アクリル系オリゴマーとしては、例えば、水溶性ウレタンアクリレート、水溶性エポキシアクリレート等が挙げられる。このうち、水溶性エポキシアクリレートは、硬化後の被膜が硬くなるため使用しにくい。また、水溶性ウレタンアクリレートとしてはポリエーテル系とポリエステル系があるが、硬化被膜に柔軟性があるポリエーテル系が好ましい。同様の理由で、水溶性の(メタ)アクリル系モノマーとしては、ポリエーテル系水溶性アクリレートモノマーが好ましい。
水溶性の(メタ)アクリル系モノマーのうち、一官能性モノマーとしては、例えば、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、イソステアリルアクリレート、フェノールEO変性アクリレート、o−フェニルフェノールEO変性アクリレート、パラクミルフェノールEO変性アクリレート、ノニルフェノールEO変性アクリレート、ノニルフェノールPO変性アクリレート、2−エチルヘキシルEO変性アクリレート、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、オキサゾリドンアクリレート、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、イソプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロリルアクリルアミド等が挙げられる。
水溶性の(メタ)アクリル系モノマーのうち、二官能性モノマーとしては、例えば、ビスフェノールF EO変性ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート等が挙げられる。
水溶性の(メタ)アクリル系モノマーのうち、三官能性モノマーとしては、例えば、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ及びトリアクリレート等が挙げられる。
水溶性の(メタ)アクリル系モノマーのうち、四官能性モノマーとしては、例えば、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート、エトキシ化ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート、ジグリセリンEO変性アクリレート、N−〔トリス(3−アクリルアミドプロポキシメチル)メチル〕アクリルアミド等が挙げられる。
(メタ)アクリル系モノマー又はオリゴマーの硬化被膜は、工程(5)の活性エネルギー線照射後、工程(7)において現像する際に溶解しない程度に耐水性又は耐溶剤性を備えることが必要であり、更に硬化被膜はスクリーン印刷用版として用いるに十分な柔軟性及び強度(特に、引張強度)を備えることが必要である。そのため、本発明では、活性エネルギー線硬化性成分は、重量平均分子量7000以上の多官能ウレタンアクリレート100〜50質量%、エチレンオキサイド鎖を有する多官能モノマー5〜20質量%、及び残余の硬化性成分からなることが好ましい。重量平均分子量7000以上の多官能ウレタンアクリレートを50質量%以上含むと、耐久性及び耐溶剤性が向上し、エチレンオキサイド鎖を有する多官能モノマーを5〜20質量%含むと、硬化後の樹脂膜が柔軟になり、適度な弾性が付与されるので好ましい。また、感光液は紗に薄く塗工する必要があり、粘度が高過ぎると塗工性が悪くなり、粘度が高過ぎると紗に必要以上に薄く広がる可能性がある。従って、感光液の粘度は、25Pa・s以下であることが好ましく、0.1〜20Pa・sであることがより好ましい。感光液の粘度は、粘度の低いモノマーを添加することによって下げることができるが、その場合、感光液の硬化速度を上げる必要がある。また、活性エネルギー線硬化性成分として、単官能モノマーを添加することもできるが、多く入れすぎると硬化被膜の耐水性・強度が落ちるので、活性エネルギー線硬化性成分全量の40質量%以下にすることが好ましい。感光液の粘度を調節するために、活性エネルギー線硬化性成分として、(メタ)アクリレート系モノマーを使用して、上記多官能性ウレタンアクリレートを希釈しても良い。但し、上記モノマーを多く入れすぎると硬化被膜の耐溶剤性及び強度が低下するので、上記モノマーの配合量は、活性エネルギー線硬化性成分の40質量%以下にすることが好ましい。また、上記多官能性ウレタンアクリレートの粘度が高い場合、水や有機溶剤等の非反応性溶剤で希釈して粘度調整しても良い。但し、非反応性溶剤を入れすぎると硬化性が低下するので、活性エネルギー線硬化性成分の20質量%以下にすることが好ましい。
感光液は添加剤として光重合開始剤を含有することができる。光重合開始剤としては、ベンゾイン誘導体、ベンジルケタール、α―ヒドロキシアセトフェノン、α―アミノアセトフェノン、アシルフォスフィンオキサイド、チタノセン類、o−アシルオキシム型等が挙げられる。これらの光重合開始剤は1種単独で又は2種以上の混合物として使用できる。本発明のスクリーン用印刷版の硬化被膜の厚さは通常30μm以上となり、通常のインキ膜やコーティング膜に比べ厚いので、厚膜硬化性が良好なベンジルケタール又はベンジルケタールを含む混合物が光重合開始剤として好ましい。
感光液は、粘度が高いと、撹拌時、気泡を抱き込みやすく、また、紗に充填する際も気泡が感光液層中に抱き込まれやすく、気泡が入った状態で露光すると、気泡中に存在する酸素がラジカル重合を阻害し、ピンホールの原因になり得る。この気泡を抑えるために、感光液に消泡剤を添加することができる。感光液の粘度が高く気泡を抱き込んでも、消泡剤があると感光液を薄く塗工すると速やかに消泡し、均一な硬化塗膜を形成される。消泡剤としては、特に制限なく使用できる。
感光液は、活性エネルギー線硬化性成分の保存安定性を確保するため、添加剤として重合禁止剤を含有してもよい。重合禁止剤としては、重合禁止作用があれば特に限定されず、例えば、ハイドロキノン系、ニトロソアミン系のものが挙げられる。
感光液は、工程(6)及び(7)で現像する際に、未露光部分の洗浄除去が良好に行われているかどうかを目視で確認できるように、色材を含有してもよい。色材の色は視認性が良ければいかなる色であっても良い。但し、色材の吸収スペクトルによって露光時間を調節する必要が生じる場合がある。
色材としては染料及び顔料の何れも使用できるが、染料は、印刷時、インクと樹脂被膜との接触時に硬化被膜から溶出しやすいので、顔料を使用することが好ましい。顔料は顔料分散剤とともに直接感光液に添加し、ミルで分散してもよい。また、顔料を顔料分散剤とともに分散し、顔料分散体を感光液に添加してもよい。また、感光液が水溶性の場合、顔料分散体として顔料水分散体を使用してもよく、例えば自己分散顔料の水分散体を使用してもよい。顔料濃度は現像状態を確認できれば良いので、感光液全量の0.1〜1質量%であればよい。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1〜3
図1に示される手順で実験を行った。
まず、プリンター((株)ミノグループ製露光機)のガラスステージ上に版下を置き、その上に厚さ5μmmのPPフィルムを重ね、その上に枠張りした305メッシュ紗を重ね、下記の組成の水溶性感光液で紗のオープニングを埋めるように塗工し、へらで紗の表面をスキージすることで樹脂を紗の厚みにして積層体を形成した。この積層体の上にパンを図1に示されるように載せ、積層体上方の空間の雰囲気を窒素ガスに置換した。
次に、版下の側から紫外線を30秒間を露光した後、版下及びPPフィルムを剥がし、未現像スクリーン版を得た。
そして、得られた未現像スクリーン版を紙(多孔性平面物)の上方に一定の間隔をあけ配置した状態で、表1に示す現像液を版の上に載せ、金属ブレードを用いて現像液を紗の方向に押圧しつつ水平方向に摺動させることによってスキージ操作を行った。
そして、現像されたスクリーン印刷用版の裏側を目視で観察し、下記の評価基準に従い評価した。結果を表1に示す。
図1に示される手順で実験を行った。
まず、プリンター((株)ミノグループ製露光機)のガラスステージ上に版下を置き、その上に厚さ5μmmのPPフィルムを重ね、その上に枠張りした305メッシュ紗を重ね、下記の組成の水溶性感光液で紗のオープニングを埋めるように塗工し、へらで紗の表面をスキージすることで樹脂を紗の厚みにして積層体を形成した。この積層体の上にパンを図1に示されるように載せ、積層体上方の空間の雰囲気を窒素ガスに置換した。
次に、版下の側から紫外線を30秒間を露光した後、版下及びPPフィルムを剥がし、未現像スクリーン版を得た。
そして、得られた未現像スクリーン版を紙(多孔性平面物)の上方に一定の間隔をあけ配置した状態で、表1に示す現像液を版の上に載せ、金属ブレードを用いて現像液を紗の方向に押圧しつつ水平方向に摺動させることによってスキージ操作を行った。
そして、現像されたスクリーン印刷用版の裏側を目視で観察し、下記の評価基準に従い評価した。結果を表1に示す。
<感光液組成>
SW4000 (Miwon Specialty Chemical Co.,Ltd.製) 80g
UA-W2A(新中村化学工業株式会社製) 10g
A-GLY-9E(新中村化学工業株式会社製) 10g
イルガ-キュア651(BASF ジャパン株式会社製) 10g
Q-1300(和光純薬工業株式会社製) 0.1g
BYK-012(ビックケミージャパン株式会社製) 0.4g
BYK-348(ビックケミージャパン株式会社製) 0.4g
水 1.2g
CAB-O-JET250C(キャボットジャパン株式会社製)0.8g
SW4000 (Miwon Specialty Chemical Co.,Ltd.製) 80g
UA-W2A(新中村化学工業株式会社製) 10g
A-GLY-9E(新中村化学工業株式会社製) 10g
イルガ-キュア651(BASF ジャパン株式会社製) 10g
Q-1300(和光純薬工業株式会社製) 0.1g
BYK-012(ビックケミージャパン株式会社製) 0.4g
BYK-348(ビックケミージャパン株式会社製) 0.4g
水 1.2g
CAB-O-JET250C(キャボットジャパン株式会社製)0.8g
<評価基準>
○:得られた版の裏側に現像液の付着は見られなかった。
×:得られた版の裏側に現像液の付着による汚れが見られた。
○:得られた版の裏側に現像液の付着は見られなかった。
×:得られた版の裏側に現像液の付着による汚れが見られた。
実施例4〜10
図2に示される手順で実験を行った。
まず、ガラスステージ上に厚さ5μmmのPPフィルムを重ね、その上に枠張りした305メッシュ紗を重ね、実施例1で使用した水溶性感光液で紗のオープニングを埋めるように塗工し、へらで紗の表面をスキージすることで樹脂を紗の厚みにして積層体を形成した。この積層体の上にパンを図2に示されるように載せ、積層体上方の空間の雰囲気を窒素ガスに置換した。
次に、ガラスステージの側からネガ画像を描くようにレーザー光(405nm)を照射した後、PPフィルムを剥がし、未現像スクリーン版を得た。
そして、得られた未現像スクリーン版を紙(多孔性平面物)の上に載せた状態で、表1に示す現像液を版の上に載せ、金属ブレードを用いて現像液を紗の方向に押圧しつつ水平方向に摺動させることによってスキージ操作を行った。
そして、現像されたスクリーン印刷用版の裏側を目視で観察し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
図2に示される手順で実験を行った。
まず、ガラスステージ上に厚さ5μmmのPPフィルムを重ね、その上に枠張りした305メッシュ紗を重ね、実施例1で使用した水溶性感光液で紗のオープニングを埋めるように塗工し、へらで紗の表面をスキージすることで樹脂を紗の厚みにして積層体を形成した。この積層体の上にパンを図2に示されるように載せ、積層体上方の空間の雰囲気を窒素ガスに置換した。
次に、ガラスステージの側からネガ画像を描くようにレーザー光(405nm)を照射した後、PPフィルムを剥がし、未現像スクリーン版を得た。
そして、得られた未現像スクリーン版を紙(多孔性平面物)の上に載せた状態で、表1に示す現像液を版の上に載せ、金属ブレードを用いて現像液を紗の方向に押圧しつつ水平方向に摺動させることによってスキージ操作を行った。
そして、現像されたスクリーン印刷用版の裏側を目視で観察し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例11
現像液として蒸留水を使用した以外、実施例1と同様に実験及び評価を行った。
その結果、未現像スクリーン版から未硬化の液体感光性樹脂を除くのに、多くの蒸留水が必要であり、版の紙と接した側の表面は液体感光性樹脂で汚れてしまったが、当該表面を蒸留水で入念に清掃することにより、スクリーン印刷用版を作製することができた。
現像液として蒸留水を使用した以外、実施例1と同様に実験及び評価を行った。
その結果、未現像スクリーン版から未硬化の液体感光性樹脂を除くのに、多くの蒸留水が必要であり、版の紙と接した側の表面は液体感光性樹脂で汚れてしまったが、当該表面を蒸留水で入念に清掃することにより、スクリーン印刷用版を作製することができた。
実施例12及び13
現像液として米白絞油又はグリセリンを使用した以外、実施例1と同様に実験及び評価を行った。
その結果、版の紙と接した側の表面が液体感光性樹脂及び米白絞油で汚れてしまい、当該表面を溶剤で入念に清掃することにより、スクリーン印刷用版を作製することができた。
現像液として米白絞油又はグリセリンを使用した以外、実施例1と同様に実験及び評価を行った。
その結果、版の紙と接した側の表面が液体感光性樹脂及び米白絞油で汚れてしまい、当該表面を溶剤で入念に清掃することにより、スクリーン印刷用版を作製することができた。
尚、実施例1で感光液に用いた原材料及び表1に記載の原材料の詳細は下記のとおりである。
・SW4000:Miwon Specialty Chemical Co., Ltd.製水溶性ウレタンアクリレートオリゴマー
・UA−W2A:新中村化学工業株式会社製水溶性ウレタンアクリレートオリゴマー
・A−Gly−9E:新中村化学工業株式会社製水溶性アクリレートモノマー
・イルガーキュア651:BASFジャパン株式会社製光重合開始剤
・Q−1300:和光純薬工業株式会社製重合禁止剤
・BYK−012:ビックケミージャパン株式会社製消泡剤
・BYK−348:ビックケミージャパン株式会社製界面活性剤
・CAB−O−JET 250C:キャボットジャパン株式会社製自己分散顔料水分散体(顔料分10質量%)
・モリLGグリースNo. 2:住鉱潤滑剤(株)製グリース
・高真空用グリース:東レ・ダウコーニング(株)製グリース
・マヨネーズ:キューピー株式会社製マヨネーズ
・SG240-120W:(株)セイコーアドバンス製スクリーン印刷用インク
・レイキュア-SL W:十条ケミカル(株)製紫外線硬化型インク
・ULA-710 黒:(株)セイコーアドバンス製スクリーン印刷用インク
・HUG-710 黒:(株)セイコーアドバンス製スクリーン印刷用インク
・OPMX-19888:(株)セイコーアドバンス製スクリーン印刷用インク
・理想インク DタイプHG:理想科学工業(株)製孔版印刷用w/o型エマルションインク
・理想スクリーンインク(白):理想科学工業(株)製スクリーン印刷用o/w型エマルションインク
・蒸留水:和光純薬工業(株)製蒸留水
・米白絞油:築野食品工業(株)製米白絞油
・感光液の粘度:TAインスツルメント・ジャパン(株)製AR−G2で測定した23℃での粘度。
・SW4000:Miwon Specialty Chemical Co., Ltd.製水溶性ウレタンアクリレートオリゴマー
・UA−W2A:新中村化学工業株式会社製水溶性ウレタンアクリレートオリゴマー
・A−Gly−9E:新中村化学工業株式会社製水溶性アクリレートモノマー
・イルガーキュア651:BASFジャパン株式会社製光重合開始剤
・Q−1300:和光純薬工業株式会社製重合禁止剤
・BYK−012:ビックケミージャパン株式会社製消泡剤
・BYK−348:ビックケミージャパン株式会社製界面活性剤
・CAB−O−JET 250C:キャボットジャパン株式会社製自己分散顔料水分散体(顔料分10質量%)
・モリLGグリースNo. 2:住鉱潤滑剤(株)製グリース
・高真空用グリース:東レ・ダウコーニング(株)製グリース
・マヨネーズ:キューピー株式会社製マヨネーズ
・SG240-120W:(株)セイコーアドバンス製スクリーン印刷用インク
・レイキュア-SL W:十条ケミカル(株)製紫外線硬化型インク
・ULA-710 黒:(株)セイコーアドバンス製スクリーン印刷用インク
・HUG-710 黒:(株)セイコーアドバンス製スクリーン印刷用インク
・OPMX-19888:(株)セイコーアドバンス製スクリーン印刷用インク
・理想インク DタイプHG:理想科学工業(株)製孔版印刷用w/o型エマルションインク
・理想スクリーンインク(白):理想科学工業(株)製スクリーン印刷用o/w型エマルションインク
・蒸留水:和光純薬工業(株)製蒸留水
・米白絞油:築野食品工業(株)製米白絞油
・感光液の粘度:TAインスツルメント・ジャパン(株)製AR−G2で測定した23℃での粘度。
表1の結果から下記のことが判る。
実施例1〜13の何れの場合も、本発明の方法により未現像スクリーン版を現像してスクリーン印刷用版を作製することができた。そのうち、現像液として、粘性のある液体を使用した実施例1〜10では、裏面が未硬化の感光液や現像液による汚れのないスクリーン印刷用版が得られた。特に、現像液としてTI値が2以上のチキソトロピー性を有する液体を用いた実施例1〜3及び7〜10では、この効果が顕著であった。
実施例1〜13の何れの場合も、本発明の方法により未現像スクリーン版を現像してスクリーン印刷用版を作製することができた。そのうち、現像液として、粘性のある液体を使用した実施例1〜10では、裏面が未硬化の感光液や現像液による汚れのないスクリーン印刷用版が得られた。特に、現像液としてTI値が2以上のチキソトロピー性を有する液体を用いた実施例1〜3及び7〜10では、この効果が顕著であった。
本発明は、スクリーン印刷の分野で広く利用することができ、特に、オフィスや家庭で簡単にスクリーン印刷を行うのに有用である。
1 紗
2 フィルム
3 感光液
4 版下
5 塗布装置
6 平面
7 現像液
8 金属ブレード
10 積層体
20 不活性ガス層生成装置
24 通気口
30 空間
D 間隔
2 フィルム
3 感光液
4 版下
5 塗布装置
6 平面
7 現像液
8 金属ブレード
10 積層体
20 不活性ガス層生成装置
24 通気口
30 空間
D 間隔
Claims (5)
- 紗に活性エネルギー線硬化型の感光液を充填した後、ネガ画像に対応する部分に活性エネルギー線を照射して、ネガ画像に対応する部分の感光液を硬化させた未現像スクリーン版を作製する第一の工程と、前記未現像スクリーン版の上に液体を載せ、該液体を紗に向けて押圧することにより、前記感光液の未硬化部分を紗から押し出す第二の工程とからなる、スクリーン印刷用版の作製方法。
- 前記第二の工程は、前記未現像スクリーン版を、前記感光液を吸収できる平面の上方に一定の間隔をあけて配置した状態で行われる、請求項1に記載のスクリーン印刷用版の作製方法。
- 前記第二の工程で前記未現像スクリーン版の上に載せられる液体は、チキソトロピー性の液体である、請求項1又は2に記載のスクリーン印刷用版の作製方法。
- 前記第二の工程で前記未現像スクリーン版の上に載せられる液体は、TI値1.4以上の粘度1Pas以上の液体である、請求項3に記載のスクリーン印刷用版の作製方法。
- 前記第二の工程で前記未現像スクリーン版の上に載せられる液体は、スクリーン印刷用インクである、請求項4に記載のスクリーン印刷用版の作製方法。
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---|---|---|---|
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CN110341296A (zh) * | 2019-08-28 | 2019-10-18 | 江苏盛矽电子科技有限公司 | 一种网版制作方法 |
CN110816020A (zh) * | 2018-08-10 | 2020-02-21 | 仓和精密制造(苏州)有限公司 | 复合材质网版及其制作方法 |
-
2016
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CN110816020B (zh) * | 2018-08-10 | 2021-05-04 | 仓和精密制造(苏州)有限公司 | 复合材质网版及其制作方法 |
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