JP2017219245A - 空調システム - Google Patents

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Takeshi Yamada
武史 山田
あかね 入谷
Akane Iritani
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Abstract

【課題】本明細書は、換気装置と暖房装置を組み合わせた空調システムに関し、換気装置が作動しているときでも換気装置が停止している場合と同様に部屋を速やかに暖めることができる技術を提供する。
【解決手段】空調システム2は、部屋41を換気する換気装置5と、部屋41を暖める暖房装置3と、換気装置5と暖房装置3を制御する制御装置4を備える。制御装置4は、暖房装置3を起動したときに換気装置5が作動中の場合、次の(1)の処理または(2)の処理を実行する。(1)前記換気装置の換気能力を所定時間の間下げる。(2)前記暖房装置の暖房能力を所定時間の間、前記換気装置が停止していた場合に実現予定の暖房能力よりも高める。
【選択図】図1

Description

本明細書が開示する技術は、空調システムに関する。
暖房装置と他の装置を組み合わせて快適な住居空間を実現するシステムが提案されている。例えば、特許文献1には、床暖房パネルと湿度調節器を組み合わせた床暖房システムが開示されている。その床暖房システムは、床暖房パネルの設定温度と室温に基づいて湿度を調整することにより快適な室内環境を実現する。
また、特許文献2には、風呂設備と浴室の電動窓と換気扇を組み合わせた自動風呂システムが開示されている。そのシステムは、設定された入浴終了時刻になると、電動窓を開くとともに換気扇を作動させる。
また、特許文献3には、複数の部屋のいくつかを暖房する床下暖房システムであって、床下の暖房装置と複数の開閉装置を組み合わせたシステムが開示されている。複数の開閉装置の夫々は、床下空間を仕切る複数の壁の夫々に設けられた通気口を開閉する。そのシステムは、暖房する部屋の位置に応じて、各開閉装置の開閉状態を決定し、暖房装置から床下の特定の通気口を通り、床吹き出し口から部屋へ至る空気のルートを変更する。
特開2007−032888号公報 特開昭63−054551号公報 特開2012−140755号公報
ところで、近年は住居の各部屋にも換気装置が取り付けられることが増え、24時間動作する換気装置や、タイマーで決まった時間に自動的に動作する換気装置がみられるようになってきた。換気装置が動作していると、暖房を作動させても部屋が暖まるのが遅くなってしまう。本明細書は、換気装置と暖房装置を組み合わせた空調システムに関し、換気装置の作動中に暖房装置を起動しても部屋を速やかに暖めることができる技術を提供する。
本明細書が開示する空調システムは、部屋を換気する換気装置と、部屋の空気を暖める暖房装置と、制御装置を備える。制御装置は、換気装置と暖房装置を制御する。その制御装置は、暖房装置を起動したときに換気装置が作動中の場合、(1)換気装置の換気能力を所定時間の間下げる、又は、(2)暖房装置の暖房能力を所定時間の間、換気装置が停止していた場合に実現予定の暖房能力よりも高める。制御装置が上記した(1)又は(2)の処理を実行することにより、換気装置の作動中に暖房装置を起動しても部屋を速やかに暖めることができる。なお、制御装置は上記(1)と(2)の処理のいずれか一方を実行するものであってよいし、(1)と(2)の双方を同時に実行するものであってもよい。本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
実施例の空調システム2のブロック図である。 制御装置が実行する処理のフローチャートである。 制御装置が実行する処理の変形例のフローチャートである。 制御装置が実行する処理の別の変形例のフローチャートである。
最初に、実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
制御装置は、暖房装置を起動した後の所定時間後に、暖房装置の設定温度と部屋の温度との差が所定の第1温度差閾値より大きい場合、部屋の換気状態の確認をユーザに促すメッセージを出力する。制御装置は、換気装置が作動中であれば換気装置の換気能力、あるいは暖房装置の暖房能力を調整するが、部屋の窓あるいはドアが開いていたり、故障等の原因で換気能力の調整ができなかったりすると、予定通りに部屋が暖まらない。そのような場合、制御装置は、部屋の換気状態(換気装置の状態を含む)の確認をユーザに促すメッセージを出力するとよい。ユーザに換気状態の確認を促し、ユーザがそのメッセージに従って換気状態を確認すれば、部屋が予定通りに暖まらない原因を早期に特定できる。
暖房装置の設定温度と暖房装置起動時の部屋の温度との差が所定の第2温度差閾値よりも小さい場合、あるいは、部屋の温度が所定の閾値温度よりも高い場合、制御装置は、前述した(1)と(2)のいずれの処理も実行せず、換気装置が停止していた場合と同じ処理を行うとよい。設定温度と部屋の温度との温度差が小さい場合には、換気能力あるいは暖房能力の調整をせずとも、部屋が速やかに温まることが期待できるからである。また、部屋の温度が所定の閾値温度よりも高い場合も、前述した(1)と(2)のいずれの処理をせずとも、換気が原因でユーザが寒さを感じる可能性は小さいからである。
暖房装置の一例は、温水を熱源とする床暖房装置である。本明細書が開示する技術は、特に、床暖房装置に好適である。床暖房装置は、床暖房端末が埋め込まれた床面などから部屋全体を間接的に暖める装置である。床暖房端末から室内空間への放熱量は、暖房開始時には、ファンヒータやエアコンなど直接に温かい空気を強制的に室内で対流させる装置と比較して、およそ1/10程度である。床暖房端末の放熱量の一部は、床面、壁面、あるいは、床下面の温度を高めるのに費やされる。床暖房装置は、暖房開始後しばらくして床面や壁面や床下面が暖まるのにつれて、直接に温かい空気を対流させる暖房装置と同等の放熱量に近づいていく。床暖房装置では、暖房開始直後のしばらくの間、暖房能力を高める「ホットダッシュ」と呼ばれる機能を有するものがある。しかし、暖房開始時に換気装置が作動していると、床暖房端末から室内空間への放熱量が少なくなってしまい、部屋の空気が暖まるのが遅くなってしまう。その場合、部屋の温度がなかなか暖房装置の設定温度まで上昇せず、暖房装置の起動後に長い時間、ユーザが寒さを感じることになってしまう虞がある。本明細書が開示する技術は、暖房装置を起動したとき、上記した(1)、(2)のいずれかの処理を行うので、部屋全体を間接的に暖める床暖房装置に好適であり、換気装置の作動中に暖房装置(床暖房装置)を起動した場合に部屋の空気が暖まるのが遅れないようにすることが可能となる。なお、床暖房装置でも、部屋の温度が十分に高くなれば、床暖房端末から室内空間への放熱量は増加しているので、換気能力、あるいは、暖房能力を元に戻してよい。
(実施例)図面を参照して実施例の空調システム2を説明する。図1に、空調システム2のブロック図を示す。空調システム2は、建屋40に備えられている。空調システム2は、暖房装置3と、換気装置5と、制御装置4を備えている。換気装置5は、建屋40の部屋41を換気する。暖房装置3は、部屋41を暖める。制御装置4は、換気装置5と暖房装置3を制御する。図1における太線は、熱媒体を流す管を表している。また、図1における破線は電気通信線を表している。
まず、暖房装置3について説明する。暖房装置3は、ヒートポンプ10と温水循環暖房器20で構成されている。ヒートポンプ10は、冷媒を循環させるための冷媒循環路17と、一次熱交換器(蒸発器)12と、圧縮器14と、二次熱交換器(凝縮器)15と、膨張弁16を備えている。冷媒は、例えば、R32や二酸化炭素(CO)等である。一次熱交換器12にはファン13が備えられている。冷媒循環路17は、二次熱交換器15の中を通過している。また、一次熱交換器12と、圧縮器14と、膨張弁16とは、冷媒循環路17に組み込まれている。このような構成を備えるヒートポンプ10を作動させることにより、二次熱交換器15を通過する冷媒循環路17内に高温高圧の冷媒を送り込むことができる。高温高圧の冷媒は、二次熱交換器15にて、後述する暖房用水循環路30の中の水を加熱する。
温水循環暖房器20は、シスターン21と、暖房用水循環路30と、ガス熱源機22と、床暖房端末23を備えている。床暖房端末23が、部屋41の床下41aに配置されており、その熱により部屋41を暖める。暖房用水循環路30は、暖房往路31と、暖房復路34と、調整弁35と、熱回収路36と、バイパス路37と、循環流路38を備えている。暖房用水循環路30は、シスターン21内の水を循環させるための水路である。暖房用水循環路30内の水は、ガス熱源機22および/またはヒートポンプ10によって加熱される。
シスターン21は、上部が開放されている容器であり、内部に熱媒体である水を貯留している。シスターン21には、循環流路38の下流端と、暖房往路31の上流端とが接続されている。シスターン21の中の水は、暖房往路31へと流れ出て、暖房用水循環路30を巡って熱回収路36又はバイパス路37を経由して循環流路38からシスターン21へと戻る。
暖房往路31は、上流端がシスターン21に接続され、下流端が床暖房端末23の入口に接続されている。暖房往路31には、循環ポンプ32が介装されている。循環ポンプ32は、暖房往路31内の水を下流側に送り出すポンプである。床暖房端末23より上流側の暖房往路31には、ガス熱源機22が介装されている。ガス熱源機22は、ガスを燃焼した熱によって暖房往路31内の水を加熱する。ガス熱源機22で加熱された水は、床暖房端末23に供給される。また、暖房往路31のガス熱源機22の下流側には、サーミスタ33が取り付けられている。サーミスタ33は、ガス熱源機22を通過した後の暖房往路31内の水の温度を検知する。
床暖房端末23は、暖房往路31から供給される水の熱を利用して、部屋41を暖める。暖房往路31から供給される水は、暖房に利用されると、熱を奪われ、比較的低温の水となる。暖房に利用された後の比較的低温の水は、暖房復路34に導入される。
暖房復路34の下流端は、調整弁35を介してバイパス路37の上流端及び熱回収路36の上流端に接続されている。熱回収路36の下流端は、バイパス路37の下流端と合流し、そこで循環流路38の上流端に接続されている。熱回収路36は、ヒートポンプ10の二次熱交換器15を通過している。ヒートポンプ10を作動させると、熱回収路36内の水が二次熱交換器15で加熱される。
バイパス路37は、上流端が調整弁35を介して暖房復路34の下流端及び熱回収路36の上流端に接続され、下流端が熱回収路36の下流端と合流し、そこで循環流路38の上流端に接続されている。即ち、バイパス路37は、二次熱交換器15をバイパスする。
調整弁35は、その開度を変化させることによって、熱回収路36を通過する水の流量(二次熱交換器15を通過する水の流量)と、バイパス路37を通過する水の流量との割合を変化させることができる。調整弁35には、例えば三方弁が用いられる。
部屋41には、サーミスタ26が設置されている。サーミスタ26は、部屋41の中の温度を検知する。制御装置4は、部屋41の室温が暖房装置3の設定温度に一致するように、サーミスタ26、33(及び不図示の他のサーミスタ)の温度をモニタしつつ、暖房装置3(温水循環暖房器20とヒートポンプ10)を制御する。設定温度は、暖房装置3の不図示の入力装置を通じてユーザにより設定される。
換気装置5について説明する。換気装置5は、予め定められた時間帯、および/または、ユーザによる随時の起動により動作し、部屋41を換気する。換気装置5の換気能力は、強、中、弱の3段階に設定可能である。予め定められた時間帯における換気能力は、時間帯を設定する際に同時に設定される。ユーザによる随時の起動時の換気能力は、換気装置5を起動する際にユーザが設定する。
制御装置4は、暖房装置3と換気装置5を制御する。制御装置4は、ユーザの指示により、あるいは予め設定されたタイマーにより暖房装置3を起動したときに換気装置5が既に動作していた場合、部屋41が迅速に温まるように、暖房装置3と換気装置5の少なくとも一方の能力を調整する。図1に破線で示したように、換気装置5と制御装置4は、電気通信線(例えばLAN:Local Area Network)で接続されている。なお、換気装置5と暖房装置3と制御装置4は、HEMS(Home Energy Management System)と呼ばれるシステムの一部であってもよい。制御装置4は、電気通信線を介して換気装置5の状態を取得することができるとともに、換気装置5に指令を送信し、換気装置5を制御することができる。次に、制御装置4が実行する暖房装置3と換気装置5の制御について説明する。
ユーザは、暖房装置3の不図示の入力装置を操作し、部屋41の設定温度Tsを入力するとともに、暖房装置3の起動ボタンを押す。ユーザが暖房装置3の起動ボタンを押すと、制御装置4は、図2に示すフローチャートの処理を実行する。以下、図2のフローチャートに沿って制御装置4の処理を説明する。
制御装置4は、サーミスタ26により、部屋41の温度(室温Tr)を取得する(S2)。次に、制御装置4は、設定温度Tsと室温Trとの温度差dT(=Ts−Tr)を求め、温度差dTに応じて給湯目標温度Twを決定し、暖房装置3(ヒートポンプ10と温水循環暖房器20)を起動する(S3)。制御装置4は、暖房用水循環路30のガス熱源機22の下流に設置したサーミスタ33の計測温度が給湯目標温度Twに一致するように、ヒートポンプ10と温水循環暖房器20(ガス熱源機22と循環ポンプ32)を制御する。
制御装置4は、暖房装置3を起動した後、温度差フィードバック制御を実行する。温度差フィードバック制御の一例は次の通りである。制御装置4は、サーミスタ26によって定期的に室温Tr(最新の室温Tr)を取得する。制御装置4は、最新の温度差dT(=設定温度Ts−最新の室温Tr)に基づいて給湯目標温度Twを調整する。そして、制御装置4は、暖房用水循環路30のガス熱源機22の下流に設置したサーミスタ33の計測温度が調整された給湯目標温度Twに一致するように、ヒートポンプ10とガス熱源機22を制御する。最新の温度差dTが所定の温度差範囲内となったら制御装置4は暖房装置3を停止する。
ステップS3で暖房装置3を起動した後、制御装置4は、換気装置5が動作中か否かを判定する(S4)。換気装置5が動作中の場合(S4:YES)、制御装置4は、温度差dTが初期温度差閾値dTh1よりも小さいか否かをチェックする(S5)。温度差dTが初期温度差閾値dTh1以上の場合(S5:NO)、制御装置4は、暖房装置3の起動後30分の間、換気装置5の換気能力を最低のレベルに下げる(S6)。先に述べたように、換気装置5の換気能力は、強、中、弱の3段階に設定可能である。「弱」が最低レベルの換気能力である。即ち、ステップS6では、制御装置4は、暖房装置3の起動後30分の間、換気装置5の換気能力を「弱」に再設定する。なお、暖房装置3を起動したとき、換気装置4の換気能力が既に「弱」だった場合、制御装置4は、そのまま「弱」の設定を維持させる。
換気装置5の換気能力を最低レベルに下げた後(ステップS6の後)、30分経過したら、制御装置4は、換気装置5の換気能力を元の強さ(暖房装置3を起動時の換気装置5の強さ)に戻す(S7)。そして制御装置4は、温度差dTが許容温度差dTh3となるまで暖房装置3を制御する(S8)。
なお、ステップS4の処理において換気装置5が動作中でない場合(S4:NO)、制御装置4は、ステップS6、S7をスキップし、ステップS8の処理に移行する。また、ステップS5の処理において温度差dTが初期温度差閾値dTh1よりも小さい場合、制御装置4は、ステップS6、S7の処理をスキップし、ステップS8の処理に移行する。即ち、制御装置4は、暖房装置3の設定温度Tsと暖房装置起動時の室温Trとの差が初期温度差閾値dTh1より小さい場合、ステップS6とS7の処理を実行せず、換気装置5が停止していた場合と同じ処理(即ち、ステップS4の判断がNOでステップS8へ移る処理)を行う。
制御装置4は、ステップS8の制御を実行中、暖房装置3を起動してから1時間後に設定温度Tsとそのときの室温Trとの温度差dTを、所定の温度差閾値(1時間後温度差閾値dTh2)を比較する。温度差dTが1時間後温度差閾値dTh2よりも大きい場合、制御装置4は、部屋41の換気状態の確認をユーザに促すメッセージを出力する。1時間後温度差閾値dTh2は、暖房装置3の暖房能力と部屋41の大きさに基づいて予め定められており、例えば5[℃]に設定されている。また、メッセージは、例えば、音声によりユーザに提示される。あるいは、メッセージは、ユーザが操作するリモコン(不図示)の画面に表示される。
上記した処理の利点を説明する。制御装置4は、暖房装置3を起動したとき、換気装置5が作動中であれば、暖房装置起動後の30分間、換気装置5の換気能力を最低レベルに変更する(ステップS4−S6)。この処理により、換気装置5が動作中であっても部屋41が暖まる速度が遅くなることが防止される。なお、制御装置4は、暖房装置3の設定温度Tsと暖房装置起動時の部屋の温度(室温Tr)との差(温度差dT)が初期温度差閾値dTh1より小さい場合、ステップS6、S7の処理をスキップし、換気装置5が停止していた場合と同じ処理を行う。温度差dTが初期温度差閾値dTh1より小さい場合、換気装置5の換気能力を低下させずとも、十分に早く室温Trが設定温度Tsに近づくことが予想されるからである。なお、上記した「30分」や「1時間」は、例示であり、これらと異なる長さの時間幅が設定されていてもよい。例えば、暖房装置起動後に換気装置5の換気能力を下げる時間幅は、室温Trと設定温度Tsとの差が所定の許容範囲内に到達すると予想される時間幅に設定されてもよい。その場合、制御装置4は、室温Trと設定温度Tsの値の組に対して、それらの温度差が許容範囲内となるまでの推定時間幅が定められたマップ(あるいは関係式)を記憶している。制御装置4は室温Trと設定温度Tsに基づき、上記したマップ(あるいは関係式)を参照して時間幅を設定してもよい。
また、制御装置4は、暖房装置3を起動してから1時間後(所定時間後)に、暖房装置3の設定温度Tsと部屋41の温度(室温Tr)との差が所定の温度差閾値(1時間後温度差閾値dTh2)より大きい場合、部屋41の換気状態の確認をユーザに促すメッセージを出力する。室温が予定した通りに上昇しない場合、窓またはドアが開いているか、あるいは、換気装置5で異常が発生しており制御装置4から制御不能な状態になっている可能性がある。そのような場合、ユーザがメッセージに従って換気状態を確認すれば、部屋が予定通りに暖まらない原因を早期に発見することができる。なお、「換気状態の確認」には、換気装置5の異常の有無の確認が含まれてよい。
実施例の変形例を説明する。図3に変形例のフローチャートを示す。図3のフローチャートは、図2のフローチャートのステップS6とS7の処理を、ステップS16とS17に置き換えたものである。ステップS2−S5、S8の処理については図2の場合と同じであるので説明は省略する。なお、先に述べたように、制御装置4は、暖房装置3を起動後に次のフィードバック制御を行う。制御装置4は、サーミスタ26によって定期的に室温Tr(最新の室温Tr)を取得する。制御装置4は、最新の温度差dT(=設定温度Ts−最新の室温Tr)に基づいて給湯目標温度Twを調整する。そして、制御装置4は、暖房用水循環路30のガス熱源機22の下流に設置したサーミスタ33の計測温度が調整された給湯目標温度Twに一致するように、ヒートポンプ10とガス熱源機22を制御する。
図3の変形例では、ステップS4の判断結果が「YES」であり、ステップS5の判断結果が「NO」の場合、暖房装置3の設定温度Tsを5[℃]上げて給湯目標温度Twを補正し、上記したフィードバック制御を継続する(S16)。設定温度Tsを5[℃]上げると、暖房能力が高くなる。そして、30分が経過したら、設定温度Tsを元に戻して給湯目標温度Twを再設定し、上記したフィードバック制御を継続する(S17)。すなわち制御装置4は、暖房装置3を起動したときに換気装置5が作動中の場合、暖房能力を30分の間、換気装置5が停止していた場合に実現予定の暖房能力よりも高める。
図3のフローチャートの処理を実行する空調システム2は、換気装置5が動作中であっても換気装置5が停止中の場合と同様に速やかに部屋41を暖めることができる。ステップS16の「30分」も一例であり、暖房装置3の暖房能力を一時的に高める時間幅は、30分に限られない。
図2のステップS6の処理と同時にステップS16の処理を実行し、図2のステップS7の処理と同時にステップS17の処理を実行するようにしてもよい。実施例とその変形例の処理をまとめると、次の通りである。空調システム2の制御装置4は、暖房装置3を起動したときに換気装置5が作動中の場合、次の(1)の処理、又は(2)の処理を実行する。(1)換気装置5の換気能力を所定時間の間下げる。(2)暖房装置3の暖房能力を所定時間の間、換気装置5が停止していた場合に実現予定の暖房能力よりも高める。制御装置4は、上記(1)と(2)の双方を実行してもよい。
図4に、別の変形例のフローチャートを示す。図4のフローチャートは、図2のフローチャートのステップS5の処理を、ステップS25に置き換えたものである。図4の変形例では、制御装置4は暖房装置3を起動後、ステップS25において、室温Trが室温閾値を越えていたらステップS6、S7をスキップし、ステップS8の処理に移行する。室温閾値は、例えば、ユーザがあまり寒さを感じないであろうと推定される温度に設定される。より具体的には、例えば、室温閾値には15℃が設定される。室温Trがそのような室温閾値を越えていた場合、換気装置5の換気能力を落とさずとも、速やかに室温Trが、ユーザが寒さを感じない程度に上昇することが期待できるからである。
実施例の空調システム2に関する留意点を述べる。実施例の暖房装置3は、温水を熱源として部屋41の床下41aを暖めて部屋41の全体を暖める温水循環暖房器20とヒートポンプ10を組み合わせた床暖房装置であった。本明細書が開示する技術は、床暖房装置以外の暖房装置、例えば電気ヒータを用いた暖房装置であってもよい。ただし、本明細書が開示する技術は、特に床暖房装置に適用するのが好適である。先に述べたように、床暖房装置は、直接に温かい空気を強制的に室内で対流させる装置ではなく、間接的に部屋を暖める暖房装置である。間接的に部屋を暖める床暖房装置の場合、特に暖房装置起動直後は換気の影響を受け易い。即ち、床暖房装置の場合、暖房装置起動時に換気装置が作動していると、暖房初期の室温の上昇率が抑えられてしまう。実施例で説明した技術は、床暖房装置を起動したときに換気装置が作動していることによる室温の上昇率低下を効果的に抑えることができる。
図2のフローチャートで説明した処理では、暖房装置3の起動後、ステップS6において、換気装置5の換気能力が既に最低レベルの「弱」だった場合、制御装置4は換気能力をそのまま維持する。本明細書が開示する技術では、暖房装置3を起動したときに換気装置5が作動中の場合、制御装置4は、(1)換気装置5の換気能力を所定時間の間下げる、あるいは、(2)暖房装置3の暖房能力を所定時間の間、換気装置5が停止していた場合に実現予定の暖房能力よりも高める。図2のフローチャートの場合、暖房装置3を起動したときに換気装置5が最低レベルで作動中の場合、制御装置4は上記(1)を実行しない。最低レベルの換気能力で動作中の場合には、換気が暖房に与える影響が小さいからである。ただし、暖房装置3を起動したときに換気装置5が最低レベル以外で作動中の場合、制御装置4は、上記(1)を実行する。このように、暖房装置3を起動したときに換気装置5が作動中の場合であっても制御装置4は、例外的に(1)を実行しないことがあってもよい。本明細書が開示する技術的思想には、換気装置5が最低レベルの換気能力で動作中には(1)を実行せず、最低レベル以外の換気能力で動作中に上記した(1)を実行する空調システムも含まれる。なお、図2のフローチャートの変形例として、ステップS6の処理において、制御装置4は、暖房装置3の起動後30分間、換気装置5を停止させてもよい。
また、図2のフローチャートのステップS6の処理に代えて、起動後の30分間、換気能力を一段階下げるようにしてもよい。即ち、制御装置4は、暖房装置3を起動したときに換気装置5が作動中の場合、換気装置5の換気能力を一段階下げるようにしてもよい。具体的には、制御装置4は、ステップS5において次の処理を実行してもよい。暖房装置3を起動したときに換気装置5が「強」の換気能力で作動中の場合、制御装置4は、換気装置5の換気能力を「中」に下げる。また、暖房装置3を起動したときに換気装置5が「中」の換気能力で作動中の場合、制御装置4は、換気装置5の換気能力を「低」に下げる。暖房装置3を起動したときに換気装置5が「低」の換気能力で作動中の場合、制御装置4は、以後、30分の間、換気装置5を停止する。
暖房装置の中には、ホットダッシュ運転と呼ばれる処理を行うものがある。ホットダッシュ運転とは、暖房装置の起動後の所定時間の間、暖房装置の暖房能力を一時的に高める機能である(例えば、特開2007−085662号公報)。本明細書が開示する技術は、ホットダッシュ運転の機能を備えた暖房装置も採用することができる。その場合、換気装置5が動作していた場合、制御装置は、例えば、暖房装置の設定温度を所定時間の間、換気装置5が停止していた場合に実現されるホットダッシュ運転の設定温度よりも5[℃]高める。
実施例の図1では、空調システム2の制御装置4を一つの矩形で表した。制御装置4は、物理的には複数の制御装置が通信線(例えばLAN)で通信可能に接続されて実現されるものであってもよい。例えば換気装置の制御装置と暖房装置の制御装置が個別に用意されており、それら2個の制御装置が通信線で接続されて互いに連携して実施例の制御装置4の機能を実現するものであってもよい。換気装置の制御装置と暖房装置の制御装置は、直接に通信を行うものであってもよいし、サーバなどを介して通信するものであってもよい。
実施例の「初期温度差閾値dTh1」が請求項の「第2温度差閾値」の一例に相当する。初期温度差閾値dTh1は、例えば5「℃」に設定される。実施例の「1時間後温度差閾値dTh2」が、請求項の「第1温度差閾値」の一例に相当する。1時間後温度差閾値dTh2は、例えば3「℃」に設定される。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:空調システム
3:暖房装置
4:制御装置
5:換気装置
10:ヒートポンプ
22:ガス熱源機
23:床暖房端末
26、33:サーミスタ
30:暖房用水循環路
40:建屋
41:部屋
41a:床下
42:窓

Claims (3)

  1. 部屋を換気する換気装置と、
    前記部屋を暖める暖房装置と、
    前記換気装置と前記暖房装置を制御する制御装置と、
    を備えており、
    前記制御装置は、前記暖房装置を起動したときに前記換気装置が作動中の場合、
    (1)前記換気装置の換気能力を所定時間の間下げる、
    又は、
    (2)前記暖房装置の暖房能力を所定時間の間、前記換気装置が停止していた場合に実現予定の暖房能力よりも高める、
    ことを特徴とする空調システム。
  2. 前記制御装置は、前記暖房装置を起動した後の所定時間後に、前記暖房装置の設定温度と前記部屋の温度との差が所定の第1温度差閾値より大きい場合、前記部屋の換気状態の確認を促すメッセージを出力する、ことを特徴とする請求項1に記載の空調システム。
  3. 前記暖房装置は、温水を熱源とする床暖房装置であることを特徴とする請求項1又は2に記載の空調システム。
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