JP2017219156A - 一方向クラッチ - Google Patents
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Abstract
【課題】ローラの挙動をより安定させることができ、製造コストを抑えられる一方向クラッチ用ばねを備えた一方向クラッチを提供する。
【解決手段】内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪との間に形成されるくさび状空間内に位置し、前記内輪と前記外輪とが一体に回転するロック位置と、前記内輪と前記外輪との相対回転を許す非ロック位置とをとりうるローラと、該ローラをロック位置方向に付勢するばね部材と、を備えた一方向クラッチであって、前記ばね部材は板状の部材からなり、基部と、該基部から互いに近づく方向に屈曲された一対の第1折り返し部と、該第1折り返し部からさらに互いに遠ざかる方向に屈曲された一対の第2折り返し部とを有し、前記一対の第2折り返し部の前記ローラとの接触部間の距離が、前記ばね部材の基部を支持する支持部間の距離と等しいかより大きい。
【選択図】図3
【解決手段】内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪との間に形成されるくさび状空間内に位置し、前記内輪と前記外輪とが一体に回転するロック位置と、前記内輪と前記外輪との相対回転を許す非ロック位置とをとりうるローラと、該ローラをロック位置方向に付勢するばね部材と、を備えた一方向クラッチであって、前記ばね部材は板状の部材からなり、基部と、該基部から互いに近づく方向に屈曲された一対の第1折り返し部と、該第1折り返し部からさらに互いに遠ざかる方向に屈曲された一対の第2折り返し部とを有し、前記一対の第2折り返し部の前記ローラとの接触部間の距離が、前記ばね部材の基部を支持する支持部間の距離と等しいかより大きい。
【選択図】図3
Description
本発明は、例えば自動車用のオルタネータ等の補機を回転駆動する為のプーリ装置、或いはエンジンのアイドルストップ時の補機駆動装置等に組み込んで使用する一方向クラッチに関する。
オルタネータやスタータモータ等の自動車用補機を駆動する為のプーリ装置に組み込む一方向クラッチとして、ローラクラッチが従来から知られている。例えば特許文献1にはローラクラッチが、特許文献2にはローラクラッチを組み込んだローラクラッチ内蔵型プーリ装置が記載されている。
図7は、特許文献1に記載された、従来構造の第1例のローラクラッチを示している。図示の構造の場合、不図示の外側のエレメント(例えばプーリ)の内周面と、不図示の例えばオルタネータの回転軸と一体回転する内側のエレメント(クラッチ内輪115)との間に、ローラ117が配置されている。プーリ内周面は円筒面とされ、クラッチ内輪115の外周面にはカム面115aが形成されている。又クラッチ内輪115には、保持器118の内径側に突出した凸部118dと係合する凹部115bが形成されており、これにより保持器118はクラッチ内輪115と一体回転するようになっている。ローラ117は、保持器118に形成されたポケット118c内に収容されており、プーリ内周面とカム面115aとで形成されるくさび状の空間を移動可能である。ローラ117は保持器柱部118bとの間に設けられたばね130で、カム面115aが浅くなる側(図中右方)に付勢されている。
プーリがクラッチ内輪115に対し相対的に時計方向であるCW方向に回転すると、プーリと摩擦接触しているローラ117は図中右方への力を受け、カム面115aが浅くなる方にくさび状の空間を移動する。所定位置(ロック位置)まで移動すると、くさび効果により、プーリからクラッチ内輪115へ回転力の伝達が可能なロック状態となり、プーリとクラッチ内輪115と一体のオルタネータの回転軸が同期して回転する。
これに対し、プーリがクラッチ内輪115に対し相対的に反時計方向であるCCW方向に回転すると、プーリと摩擦接触しているローラ117は図中左方への力を受け、ばね130の付勢力に抗してカム面115aが深くなる(くさび状空間のくさびの幅が広くなる)非ロック位置方向に移動する。この際に各ローラ117は、ばね130を撓ませる。そして、上述の様にくさびの幅の広い部分である非ロック位置に変位した各ローラ117は、当該位置で転動並びに若干の変位自在となる。この結果、プーリとクラッチ内輪115との間で回転力の伝達が不能なオーバラン状態となり、プーリとオルタネータの回転軸が相対回転する。
ところで、上述したロック状態、又はオーバーラン状態への遷移の際には、ローラ117は、ローラ117の軸線方向がクラッチ内輪115の軸線方向と平行な状態を保ったまま移動することが望ましい。ローラ117の軸線がクラッチ内輪115の軸線方向と平行でなくなるいわゆるスキューが生じると、ローラ117の長手方向において、カム面115aのより浅い側に位置する側で集中荷重が作用してしまう虞がある。
図7の例では、図8に示す様に、ばね130のローラ117との接触部をローラ117の長手方向両端付近にできるので、ばね力の作用点間の間隔(スパン)を広く取れ、そのスパン間においてローラ117に作用する摩擦力等の影響を受けにくく、比較的ローラ117の挙動を安定させることが可能になっている。しかしながら、図から明らかな通り、ばね130が一点Aで保持器柱部118bに自由支持されているだけだと、ローラ117に作用する摩擦力のバランスが崩れてしまうと、ばね130が図8の位置から左右に揺動してしまい、ローラ117の支持が不安定となってしまう。従って、かかる構造のばねを実際に使用する場合には、ばねを保持器118に自由支持するのでなく固定支持する構造にする必要があり、このため、ばね形状が複雑化し製造コストが上昇することが懸念される。
図9、10は特許文献2に記載された従来構造の第2例を示したものであり、ばねの支持構造が上述した従来構造の第1例とは異なっている。ローラクラッチ213は、ローラクラッチ内蔵型プーリ装置210に組み込まれたものである。ローラクラッチ内蔵型プーリ装置210は、オルタネータの回転軸に外嵌固定可能なスリーブ211を有する。又、このスリーブ211の周囲に従動プーリ212を、このスリーブ211と同心に配置している。そして、これらスリーブ211の外周面と従動プーリ212の内周面との間に、ローラクラッチ213を設けている。
ローラクラッチ213は、クラッチ内輪215と、クラッチ外輪216と、ローラ217と、保持器218と、ばね230とから成る。クラッチ内輪215はスリーブ211の外周面に、クラッチ外輪216はプーリ212の内周面に、それぞれ締り嵌めにより嵌合固定されている。クラッチ外輪216の内周面は円筒面216aとしている。また、クラッチ内輪215の外周面にはカム面215aが形成されている。即ち、このクラッチ内輪215の外周面に、それぞれがランプ部と呼ばれる複数の凹部215d、215dを、円周方向に関し等間隔に形成して、カム面215aとしている。
そして、このカム面215aと円筒面216aとの間の空間に、保持器218と、ローラ217及びばね230とを設けている。保持器218は、円環状である1対のリム部218a、218aと、これら両リム部218a、218a同士を連結する柱部218bとを備える。この保持器218は、両リム部218a、218aの内周面に形成した各突片218d、218dを、クラッチ内輪215の凹部215dに係合させる事により、クラッチ内輪215に対する相対回転を不能にしている。
ばね230が、保持器218と各ローラ217との間に設けられており、各ローラ217を各凹部215dの浅い側に向けて付勢している。各ばね230は、図10に示す様に、全体形状が略ム字形であり、平板状の基部231と、この基部231の長さ方向両端部分の屈曲部232で折り返された1対の弾性押圧部233、233を備えている。このうちの基部231は、保持器218に対し各ばね230を係止する為の部分である。
この様に構成する各ばね230は、各基部231の片側面(図9、10の左側面)を、前方支持板部218eの片側面(図9、10の右側面)に、この基部231の他側面(図9、10の右側面)の両端部を各後方支持板部218f、218fの片側面(図9、10の左側面)に、それぞれ弾性的に当接させる事により、保持器218の円周方向複数個所に係止している。又、この状態で、各ばね230を構成する基部231と弾性押圧部233、233との間に存在する、1対の屈曲部232、232の内側に、それぞれ各突出部218g、218gを配置している。
上述の様に、各ばね230、230を保持器218に係止した状態では、各弾性押圧部233、233の先端部が、それぞれ各ローラ217の転動面(外周面)に弾性的に当接する。そして、これら各ローラ217を、円筒面216aとカム面215aとの間のくさび状空間のくさびの幅の狭い部分に向け、弾性的に押圧可能となる。
図9において、プーリ212(クラッチ外輪216)がクラッチ内輪215に対し相対的に反時計方向であるCCW方向に回転すると、プーリ212と摩擦接触しているローラ217は図中左方への力を受け、カム面が浅くなるほうに移動する。所定位置まで移動すると、くさび効果により、プーリ212からクラッチ内輪215(スリーブ211)へ回転力の伝達が可能なロック状態となり、これら両部材212、211が同期して回転する。
これに対し、プーリ212(クラッチ外輪216)がクラッチ内輪215に対し相対的に時計方向であるCW方向に回転すると、プーリ212と摩擦接触しているローラ217は図中右方への力を受け、ばね230の付勢力に抗してカム面が深くなる(くさび幅が広くなる)方に移動する。そして、くさびの幅の広い部分に向け変位した各ローラ217は、当該部分で転動並びに若干の変位自在となる。この結果、従動プーリ212とスリーブ211との間で回転力の伝達が不能なオーバラン状態となり、これら両部材212、211が相対回転する。
かかる従来構造の第2例においては、略ム字状のばね230は、保持器218に底辺の中央部と両端部とを支持されていることで、支持部の不安定性が改善されている。また、ばね形状は長尺状の部材を折り曲げるだけであるため、製造コストを抑えることができる。
但し、ばね230を構成する1対の弾性押圧部233、233を、先端部に向かう程互いに近づく方向に延出する状態で設けている為、これら両弾性押圧部233、233とローラ217との接触部同士の間隔(スパン)が、従来構造の第1例と比べると小さくなっている。従って、ローラ217がばね付勢力に抗して移動しようとするとき、スパンの外側にてローラ217に作用する摩擦力等のバランスが崩れてしまった場合に、ローラ217の挙動が不安定になってしまう虞がないのかが懸念される。
本発明は、上述の様な事情に鑑み、よりローラの挙動を安定させることができ、製造コストを抑えられる一方向クラッチ用ばねの構造を実現すると共に、この様なばねを備えた一方向クラッチを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るころ軸受は以下のように構成される。
(1)内輪と、
外輪と、
前記内輪と前記外輪との間に形成されるくさび状空間内に位置し、前記内輪と前記外輪とが一体に回転するロック位置と、前記内輪と前記外輪との相対回転を許す非ロック位置とをとりうるローラと、
前記内輪と前記ローラとの間に設けられ、該ローラをロック位置方向に付勢するばね部材と、
を備えた一方向クラッチであって、
前記ばね部材は板状の部材からなり、基部と、該基部から互いに近づく方向に屈曲された一対の第1折り返し部と、該第1折り返し部からさらに互いに遠ざかる方向に屈曲された一対の第2折り返し部とを有し、
前記内輪の軸線方向において、前記一対の第2折り返し部の前記ローラとの接触部間の距離が、前記ばね部材の基部を支持する支持部間の距離と等しいかより大きい一方向クラッチ。
(2)前記内輪に取り付けられた保持器をさらに有し、前記ばね部材は該保持器に支持されている(1)に記載の一方向クラッチ。
(3)前記ばね部材の第2折り返し部の長さが第1折り返し部の長さよりも長い(1)又は(2)に記載の一方向クラッチ。
(4)前記ばね部材の基部から第1折り返し部へ折り返している第1屈曲部の曲率が、第1折り返し部から第2折り返し部へ折り返している第2屈曲部の曲率よりも大きい(1)〜(3)のいずれかに記載の一方向クラッチ。
(1)内輪と、
外輪と、
前記内輪と前記外輪との間に形成されるくさび状空間内に位置し、前記内輪と前記外輪とが一体に回転するロック位置と、前記内輪と前記外輪との相対回転を許す非ロック位置とをとりうるローラと、
前記内輪と前記ローラとの間に設けられ、該ローラをロック位置方向に付勢するばね部材と、
を備えた一方向クラッチであって、
前記ばね部材は板状の部材からなり、基部と、該基部から互いに近づく方向に屈曲された一対の第1折り返し部と、該第1折り返し部からさらに互いに遠ざかる方向に屈曲された一対の第2折り返し部とを有し、
前記内輪の軸線方向において、前記一対の第2折り返し部の前記ローラとの接触部間の距離が、前記ばね部材の基部を支持する支持部間の距離と等しいかより大きい一方向クラッチ。
(2)前記内輪に取り付けられた保持器をさらに有し、前記ばね部材は該保持器に支持されている(1)に記載の一方向クラッチ。
(3)前記ばね部材の第2折り返し部の長さが第1折り返し部の長さよりも長い(1)又は(2)に記載の一方向クラッチ。
(4)前記ばね部材の基部から第1折り返し部へ折り返している第1屈曲部の曲率が、第1折り返し部から第2折り返し部へ折り返している第2屈曲部の曲率よりも大きい(1)〜(3)のいずれかに記載の一方向クラッチ。
本発明によれば、内輪の軸線方向において、一対の第2折り返し部のローラとの接触部間の距離が、ばね部材の基部を支持する支持部間の距離と等しいかより大きくされていることで、ばね部材からの付勢力(弾性力)はローラの両端近傍に作用することとなり、ローラの挙動をより安定させることができる。またばね部材が板状の部材からなるため、製造コストを抑えることができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
(第1実施形態)
図1〜図5は第1実施形態を示したものである。尚、本実施形態の特徴は、ばね部材にあり、その他の構成及び作用については、前述した従来構造の第2例の場合とほぼ同様である。従って、同等部分には同一又は類似する符号を付して説明を簡略化し、本実施形態の特徴部分を中心に説明する。
本実施形態の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置10は、図1に示すように、オルタネータ等のエンジン補機の回転軸に取り付けられるスリーブ11と、スリーブ11の径方向外側にスリーブ11と同心に配置されるプーリ12と、を備える。プーリ12の外周面には、不図示の駆動ベルトを巻き掛けるベルト溝12aが形成されている。
スリーブ11の軸方向中間部における外周面とプーリ12の軸方向中間部における内周面との間には、一方向クラッチ13が配置されている。また、スリーブ11の軸方向両端部における外周面とプーリ12の軸方向両端部における内周面との間には、一対の転がり軸受(サポート軸受)14が配置されている。
一方向クラッチ13は、スリーブ11の軸方向中間部の外周面に外嵌される内輪15と、プーリ12の内周面に内嵌される外輪16と、内輪15の外周面に形成されるカム面15aと外輪16の内周面に形成される円筒面16aとのくさび状空間(図4参照)に回動自在に設けられる複数のローラ(ころ)17と、各ローラ17を個別に収容する複数のポケット18cを有する保持器18と、保持器18に支持され、各ローラ17をロック位置方向に弾性的に押圧する板ばね30(図2参照)と、を備える。
保持器18は、図2及び図3に示すように、一対の円環部18a、18aと、この一対の円環部18a、18aを軸方向に連結する複数の柱部18bと、を備える。一対の円環部18a、18aの内周面には、内輪15のカム面15aを形成している凹部15dと係合する凸部18d(図4参照)が形成されており、これにより保持器18は、内輪15及びスリーブ11と共に一体に回転する。
また、一対の円環部18a、18aの軸方向内側面で円周方向において各柱部18bと整合する部分には、一対の端部側ばね保持部18f、18fが各柱部18bの外周面側から径方向外方に突出する状態で形成されている。また、各柱部18bの軸方向中央部には、中央側ばね保持部18eが各柱部18bの外周面側から径方向外方に突出する状態で形成されている。そして、板ばね30は、端部側ばね保持部18fの円周方向一側面と、中央側ばね保持部18eの円周方向他側面との間に挟持されている。一対の端部側ばね保持部18fは、後述する板ばね30の第1屈曲部32の外側を覆って保持器軸線方向(図3の左右方向)への移動を防止し、また中央側ばね保持部18eは、板ばね30の径方向外側を覆って、径方向(図3の紙面手前側)への抜けを防止している。
ばね部材としての板ばね30は、図3及び図5に示すように、1枚の板状部材を屈曲することにより形成されたものである。板ばね30は、ローラ17の軸線(内輪15の軸線)に対して略平行に配置される基部31と、この基部31の長手方向両端の第1屈曲部32で内側に向かって折り返される一対の第1折り返し部33、33と、この第1折り返し部33、33内端の第2屈曲部34、34でさらに外側に向かって折り返される一対の第2折り返し部35、35と、を備える。なお板ばね30は、基部31の長手方向において対称形状に形成されている。
一対の第2折り返し部35、35の先端部には、ローラ17と接触する接触部35a、35aが形成されている。そして図3に示すように、ローラ17の軸線(内輪15の軸線)方向において、これら接触部35a、35a間の距離W1は、板ばね30の基部31を支持する支持部(一対の端部側ばね保持部18f、18f)間の距離W2よりも大きくされている。W1>W2とすることにより、板ばね30はローラ17の両端近傍でローラ17と接触することとなり、ローラ移動時のローラ17の挙動をより安定させることが可能となる。
また、板ばね30は、第1屈曲部32と第2屈曲部34とを間に介した全長が長い板状の部材と考えることができる。このため、ローラ17から接触部35aに押圧力が作用して、板ばね30が撓み変形するときにも、各部の撓みは小さくできるため、板ばね30の各部に作用する曲げ応力を小さく抑えらることができ、板ばね30の耐久性を向上させることができる。
なお、図5から明らかなように、第2折り返し部35の第2屈曲部34から接触部35aまでの直線方向長さL2は、第1折り返し部33の長さL1よりも長く設定されている。これにより、上述したW1>W2の関係を確実にしている。また、第1屈曲部32の曲率が、第2屈曲部34の曲率よりも大きく設定されている。このように第1と第2の屈曲部32、34の曲率を互いにを異ならせることにより、板ばね30のたわみ変形の生じ方に差を持たせて、ローラ17に作用する付勢力の大きさをコントロールし易くしている。なお、第2折り返し部35は曲面である必要はなく、直線状に伸びていてもよい(後述する第2実施形態の図6参照)。
次に上述した一方向クラッチ13の作動について説明する。
エンジンのクランクシャフト等の端部に固定された駆動側プーリ(不図示)と、オルタネータ等の回転軸の端部に外嵌固定された従道側プーリ12との間に掛け渡された無端ベルト(不図示)の走行速度が一定若しくは上昇傾向にある場合には、図4において、プーリ12(外輪16)が内輪15に対し相対的に時計方向であるCW方向に回転する。
このとき、プーリ12と摩擦接触しているローラ17は図中右方への力を受け、カム面15aが浅くなる方にくさび状空間を移動する。所定位置(ロック位置)まで移動すると、くさび効果により、外輪16から内輪15へ回転力の伝達が可能なロック状態となり、プーリ12とスリーブ11とは同期して回転する。このときローラ17は、ばね部材30の一対の第2折り返し部35、35の接触部35a、35aと接触し、この接触部で押圧されている。
これに対し、無端ベルトの走行速度が低下傾向にある場合には、一方向クラッチ13の接続が断たれオーバラン状態となる。すなわち、プーリ12の回転速度が慣性回転を続けるオルタネータ等の回転軸の回転速度よりも遅くなって、プーリ12(外輪16)が内輪15に対し相対的に反時計方向であるCCW方向に回転する。
このとき、プーリ12と摩擦接触しているローラ17は図中左方への力を受け、ばね部材30からの付勢力に抗してカム面15aが深くなる方にくさび状空間を移動する。この際に各ローラ17は、各ばね30を構成する一対の第1折り返し部33、33および第2折り返し部35、35を撓ませる。そして、上述の様に幅の広い部分に向け変位した各ローラ17は、当該非ロック位置で転動並びに若干の変位自在となる。この結果、プーリ12とスリーブ11との間で回転力の伝達が不能なオーバラン状態となり、プーリ12とスリーブ11とは相対回転する。
この結果、クランクシャフトの回転角速度が変動した場合でも、無端ベルトと従動側プーリ12とが擦れ合う事を防止して、鳴きと呼ばれる異音の発生や摩耗による無端ベルトの寿命低下を防止すると共に、オルタネータの発電効率が低下する事を防止できる。このオーバラン状態においては、ローラ17は一対の第2折り返し部35、35の接触部35a、35aと接触し、この接触部で軸線方向両端近傍を押圧されている。従って、ローラ17の挙動をより安定化させることができる。
以上説明したように、本実施形態の一方向クラッチ内蔵型プーリ装置10によれば、オーバーラン状態において、ローラ17の挙動をより安定化させることができる。また、ばね部材30が板状の部材からなるため、製造コストを抑えることができる。
(第2実施形態)
次に、図6を参照してばね部材の形状を変更した第2実施形態について説明する。本実施形態の板ばね40も、1枚の板状部材を屈曲することにより形成されている。板ばね40は、ローラ17の軸線(内輪15の軸線)に対して略平行に配置される基部41と、この基部41の長手方向両端の第1屈曲部42で内側に向かって折り返される一対の第1折り返し部43、43と、この第1折り返し部43、43内端の第2屈曲部44、44でさらに外側に向かって折り返される一対の第2折り返し部45、45と、を備える。但し、第1実施形態とは逆に、第2折り返し部35の長さL2は、第1折り返し部33の長さL1よりも短く設定されている。また第1屈曲部42の曲率が大きく、ほぼ折曲されたに近い形状とされている。
次に、図6を参照してばね部材の形状を変更した第2実施形態について説明する。本実施形態の板ばね40も、1枚の板状部材を屈曲することにより形成されている。板ばね40は、ローラ17の軸線(内輪15の軸線)に対して略平行に配置される基部41と、この基部41の長手方向両端の第1屈曲部42で内側に向かって折り返される一対の第1折り返し部43、43と、この第1折り返し部43、43内端の第2屈曲部44、44でさらに外側に向かって折り返される一対の第2折り返し部45、45と、を備える。但し、第1実施形態とは逆に、第2折り返し部35の長さL2は、第1折り返し部33の長さL1よりも短く設定されている。また第1屈曲部42の曲率が大きく、ほぼ折曲されたに近い形状とされている。
本実施形態においても、ローラ17は一対の第2折り返し部45、45の接触部45a、45aと接触し、この接触部で軸線方向両端近傍を押圧されている。従って、ローラ17の挙動をより安定化させることができる。また、第1屈曲部42の曲率が大きく、ほぼ折曲されたに近い形状とされているため、ローラからの押圧力を受けて板ばね40が撓むときの変形態様が安定し、このため逆に言うと、板ばね40からローラ17に作用する付勢力のコントロールが容易となる。
なお、本発明は上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。例えば、ばね部材を支持する保持器は内輪と別部材としているが、内輪が直接ばね部材を支持するようにしてもよい。
10 一方向クラッチ
15 内輪
16 外輪
17 ローラ
18 保持器
30、40 板ばね
31、41 基部
32、42 第1屈曲部
33、43 第1折り返し部
34、44 第2屈曲部
35、45 第2折り返し部
L1 第1折り返し部長さ
L2 第2折り返し部長さ
15 内輪
16 外輪
17 ローラ
18 保持器
30、40 板ばね
31、41 基部
32、42 第1屈曲部
33、43 第1折り返し部
34、44 第2屈曲部
35、45 第2折り返し部
L1 第1折り返し部長さ
L2 第2折り返し部長さ
Claims (4)
- 内輪と、
外輪と、
前記内輪と前記外輪との間に形成されるくさび状空間内に位置し、前記内輪と前記外輪とが一体に回転するロック位置と、前記内輪と前記外輪との相対回転を許す非ロック位置とをとりうるローラと、
前記内輪と前記ローラとの間に設けられ、該ローラをロック位置方向に付勢するばね部材と、
を備えた一方向クラッチであって、
前記ばね部材は板状の部材からなり、基部と、該基部から互いに近づく方向に屈曲された一対の第1折り返し部と、該第1折り返し部からさらに互いに遠ざかる方向に屈曲された一対の第2折り返し部とを有し、
前記内輪の軸線方向において、前記一対の第2折り返し部の前記ローラとの接触部間の距離が、前記ばね部材の基部を支持する支持部間の距離と等しいかより大きいこと
を特徴とする一方向クラッチ。 - 前記内輪に取り付けられた保持器をさらに有し、前記ばね部材は該保持器に支持されている請求項1に記載の一方向クラッチ。
- 前記ばね部材の第2折り返し部の長さが第1折り返し部の長さよりも長い請求項1又は2に記載の一方向クラッチ。
- 前記ばね部材の基部から第1折り返し部へ折り返している第1屈曲部の曲率が、第1折り返し部から第2折り返し部へ折り返している第2屈曲部の曲率よりも大きい請求項1〜3のいずれかに記載の一方向クラッチ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016115780A JP2017219156A (ja) | 2016-06-10 | 2016-06-10 | 一方向クラッチ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016115780A JP2017219156A (ja) | 2016-06-10 | 2016-06-10 | 一方向クラッチ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2017219156A true JP2017219156A (ja) | 2017-12-14 |
Family
ID=60656027
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2016115780A Pending JP2017219156A (ja) | 2016-06-10 | 2016-06-10 | 一方向クラッチ |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2017219156A (ja) |
-
2016
- 2016-06-10 JP JP2016115780A patent/JP2017219156A/ja active Pending
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