JP2017218373A - グラフェン/有機溶媒分散液、グラフェン−活物質複合体粒子の製造方法および電極ペーストの製造方法 - Google Patents

グラフェン/有機溶媒分散液、グラフェン−活物質複合体粒子の製造方法および電極ペーストの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高分散性であり、電極材料の製造原料に用いた場合に高い導電性とイオン伝導性を維持することが可能な形態のグラフェンを提供する。【解決手段】グラフェンが有機溶媒に分散したグラフェン/有機溶媒分散液であって、固形分率を0.005以上0.012以下に調整したグラフェン/有機溶媒分散液を塗布製膜したグラフェン膜を、波長408nmのレーザー顕微鏡により、50倍対物レンズを用いて、測定ピッチ0.100μmで測定したときの表面粗さが1.0μm以下であるグラフェン/有機溶媒分散液。【選択図】なし

Description

本発明は、グラフェン/有機溶媒分散液ならびにそれを用いたグラフェン−活物質複合体粒子の製造方法および電極ペーストの製造方法に関する。
グラフェンは炭素原子からなる二次元結晶であり、2004年に発見されて以来非常に注目されている素材である。グラフェンは優れた電気、熱、光学、および機械特性を有し、電池材料、エネルギー貯蔵材料、電子デバイス,複合材料などの領域で幅広い応用が期待されている。
このようなグラフェンの応用を実現するためには、低コスト化のための作製法の効率化、および分散性改善が必須の課題となる。
グラフェンの製造法としては、機械剥離法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、CEG(Crystal Epitaxial Growth)法などが挙げられるが、これらの手法は生産性が低く大量生産には適さない。これに対し、酸化還元法(天然黒鉛の酸化処理で酸化黒鉛または酸化グラフェンを得た後、還元反応によりグラフェンを作製する方法)はグラフェンの大量合成が可能であり、グラフェンを実用化するのに非常に重要な手法である。
グラフェンは高い導電性能を持つ上に、薄片状の構造を持つため導電パスを多くすることができるため、特に電池用の導電助剤として高いポテンシャルを持つ。しかし、グラフェンはナノカーボンであるため凝集しやすく、単に酸化還元法でグラフェンを作製してもマトリックス内に適度に分散することができずポテンシャルを発揮することができていなかった。
特許文献1では、酸化グラフェンを化学還元し、凍結乾燥することによりグラフェン粉末を作製している。
特許文献2では、グラファイト粒子を含む混合液に超音波を印加して得られたグラフェン分散液から分散媒を乾燥してグラフェン粉末を作製している。
特許文献3では、9,9−ビス(置換アリール)フルオレン骨格を有する水溶性化合物の存在下で酸化グラフェンを化学還元し、得られたグラフェン水分散体に有機溶媒を混合した後、遠心沈降で回収したグラフェンに、さらに有機溶媒を添加してグラフェン分散液を調製している。
特表2009−511415号公報 特開2011−219318号公報 特開2015−59079号公報
グラフェンを導電助剤として有効に機能させるためには、薄く、かつ高い分散性を有する必要がある。しかし、特許文献1のような、加熱膨張還元法により作製したグラフェンは、比表面積が大きくなりすぎて凝集を誘発し、分散性が悪くなる。
特許文献2の手法では、微粒化したグラファイト粉末を含む混合液から分散媒を乾燥してグラフェン粉末を得るため、乾燥によりグラフェン粉末が過剰に凝集することを防ぐことができなかった。
また、特許文献3の手法では、9,9−ビス(置換アリール)フルオレン骨格を有する水溶性化合物が分散液調製工程で除去されるため、グラフェンの凝集抑止効果が不足し、分散液中のグラフェンの凝集を防ぐことができなかった。
このように、グラフェンは非常に凝集しやすく、酸化還元法で製造した場合には十分な分散性が得られないために、そのポテンシャルを発揮することができていなかった。本発明は、高分散性であり、電極材料の製造原料に用いた場合に高い導電性とイオン伝導性を維持することが可能な形態のグラフェンを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため本発明は、グラフェンが有機溶媒に分散したグラフェン/有機溶媒分散液であって、固形分率を0.005以上0.012以下に調整したグラフェン/有機溶媒分散液を塗布製膜したグラフェン膜を、波長408nmのレーザー顕微鏡により、50倍対物レンズを用いて、測定ピッチ0.100μmで測定したときの表面粗さが1.0μm以下であるグラフェン/有機溶媒分散液である。
本発明におけるグラフェン/有機溶媒分散液は、導電助剤として機能するために十分に薄いグラフェンが有機溶媒に分散して存在し、凝集が抑えられている。このようなグラフェン/有機溶媒分散液を用いることで、樹脂や電極ペースト中でのグラフェンの分散性が良好になる。また、活物質表面へグラフェンの吸着も容易となり、グラフェン同士の接触抵抗が十分低下するため、電極を形成した際に高い電子伝導性およびイオン導電性を長期間維持することが可能となる。
そのため、本発明のグラフェン/有機溶媒分散液をバインダーと電極活物質とともに用いて、電極マトリックス内で導電ネットワークを形成させることで、優れた放電特性を有するリチウムイオン電池用電極を提供することが可能となる。
<グラフェン分散液>
本発明のグラフェン/有機溶媒分散液(以下、単に「グラフェン分散液」という場合がある)は、グラフェンが有機溶媒に分散してなる。グラフェンとは、一般には1原子の厚さのsp結合炭素原子のシート(単層グラフェン)を指すが、本明細書においては、単層グラフェンが積層した薄片状の形態を持つ物質も含めてグラフェンと呼ぶ。また後述する酸化グラフェンも、同様に、積層した薄片状の形態を持つ物質も含めた呼称とする。
本発明のグラフェン分散液は、有機溶媒を用いて固形分率を0.005以上0.012以下に調整したグラフェン/有機溶媒分散液を塗布製膜したグラフェン膜の表面粗さを、波長408nmのレーザー顕微鏡により、50倍対物レンズ、測定ピッチ0.100μm、250×200μmの範囲で測定したときの表面粗さが1.0μm以下である。
本発明において、固形分率は、スライドガラスに1gのグラフェン分散液を載せ、120℃のホットプレートで1時間加熱乾燥し、乾燥後の重量を乾燥前の重量で除した値とする。
グラフェンの固形分率は、次のように調整する。まず、グラフェン/有機溶媒分散液の固形分率上記の方法で測定する。固形分率が0.012より高い場合、固形分率0.005以上0.012以下となる分量の有機溶媒を加えてミキサーを用いて2000rpmで1分間混合し、固形分率0.005以上0.012以下のグラフェン分散液を調製する。固形分率が0.005より低い場合、吸引ろ過で固形分率0.015以上0.060以下に濃縮し、固形分率0.005以上0.012以下になる分量の有機溶媒を加えた後、ミキサーを用いて同様に混合し、再分散する。
次に、固形分率を調整したグラフェン分散液を厚み20μmのアルミニウム箔に1g載せて、製膜アプリケーターの塗布厚みを50μmに調整し、コーターの塗工速度16.7mm/sで塗工し、さらに80℃で1時間乾燥させてグラフェン膜を得る。製膜アプリケーターとしては、分散液に接触する部分が平坦な形状であるものを使用する。製膜したグラフェン膜の表面粗さが1.0μmより大きい分散液は、含有するグラフェンの剥離度や有機溶媒への分散性が低く、樹脂や電極ペースト中での良好な導電パスの形成、維持ができない。表面粗さは、好ましくは0.8μm以下であり、より好ましくは、0.6μm以下である。製膜したグラフェン膜の表面粗さが非常に小さい分散液は、グラフェン同士の相互作用が強い傾向があり、他の材料への付着が困難となり得る。製膜したグラフェン膜の表面粗さは0.05μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましく、0.3μm以上であることがさらに好ましい。
本発明のグラフェン/有機溶媒分散液に含まれるグラフェンは、X線光電子分光法により測定される炭素に対する酸素の元素の比(O/C比)が、0.08以上0.30以下であることが好ましい。グラフェン表面の酸素原子は、グラフェン自体に結合した酸性基や、グラフェン表面に付着した表面処理剤中が有する酸性基に含まれる酸素原子である。このような酸素原子はグラフェンの分散状態を向上させる効果を持ち、グラフェン表面の酸素原子が少なすぎると分散性が悪くなる。グラフェンのO/C比は、より好ましくは0.10以上である。一方、グラフェン表面の酸素原子が多すぎると導電性が低下する。グラフェンのO/C比は、より好ましくは0.20以下であり、さらに好ましくは0.15以下である。
X線光電子分光法では、グラフェン分散液を真空乾燥機や凍結乾燥機などにより予備乾燥した後、乾燥試料を高真空チャンバー付の測定室に導入し、超高真空中に置いた試料表面に軟X線を照射し、表面から放出される光電子をアナライザーで検出する。この光電子をワイドスキャンおよびナロースキャンで測定し、物質中の束縛電子の結合エネルギー値を求めることで、物質表面の元素情報が得られる。具体的には後述する測定例4に記載する方法で測定することができる。
X線光電子分光法によりグラフェンを測定すると、284eV付近に炭素に由来するC1sピークが検出されるが、炭素が酸素に結合している場合は高エネルギー側にシフトすることが知られている。具体的には炭素が酸素に結合していないC−C結合、C=C二重結合、C−H結合に基づくピークはシフトせずに284eV付近に検出され、C−O一重結合の場合286.5eV付近に、C=O二重結合の場合287.5eV付近に、COO結合の場合288.5eV付近にシフトする。そのため、炭素に由来する信号は、284eV付近、286.5eV付近、287.5eV付近、288.5eV付近のそれぞれのピークを重ね合わせた形で検出される。また同時に、402eV付近に窒素に由来するN1sピークが検出され、533eV付近には酸素に由来するO1sピークが検出される。さらに、C1sピークとO1sピークのピーク面積からO/C比を求めることができる。
グラフェンのO/C比は、原料となる酸化グラフェンの酸化度を変えたり、表面処理剤の量を変えたりすることによりコントロールすることが可能である。例えば、酸化グラフェンの酸化度が高いほど還元後に残る酸素の量も多くなり、酸化度が低いと還元後の酸素原子量が少なくなる。また、酸性基のある表面処理剤の付着量を増やすことで酸素原子量を多くすることができる。
また、グラフェン粉末の、X線光電子分光法により測定される炭素に対する窒素の元素比(N/C比)は、0.005以上0.020以下であることが好ましく、0.008以上0.015以下であることが好ましい。グラフェン粉末表面の窒素原子は、本発明の表面処理剤に含まれる窒素に由来するものである。グラフェンのN/C比が0.020を超えると、窒素原子がグラフェン共役構造を置換するため低導電性になりやすい。なお、N/C比は、O/C比と同様に、C1sピークとN1sピークのピーク面積から求めることができる。
本発明のグラフェン分散液は、酸性基を有する表面処理剤(以下、単に「表面処理剤」ということがある。)を含んでいることが好ましい。酸性基を有する表面処理剤は、少なくともその一部がグラフェンの表面に付着して存在していることで、グラフェンの分散性を高める効果を発揮するものである。ここで、酸性基とは、ヒドロキシ基、フェノール性ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシル基またはカルボニル基である。表面処理剤は、酸性基を有する化合物であれば特に制限はなく、高分子化合物であっても低分子化合物であってもよい。
酸性基を有する高分子化合物としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリメチルビニルエーテル、等を例示できる。低分子化合物としては、グラフェン表面との親和性という観点から芳香環を持つ化合物が好ましい。グラフェンの導電性を高める観点からは、高分子化合物よりも低分子化合物の方が好ましい。
中でも、カテコール基を有する化合物は、グラフェンへの接着性、溶媒への分散性が高いことから、表面処理剤として好ましい。カテコール基を有する化合物としては、カテコール、ドーパミン塩酸塩、4−(1−ヒドロキシ−2−アミノエチル)カテコール、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシフェニル酢酸、カフェイン酸、4−メチルカテコール及びおよび4−tert―ブチルピロカテコールが挙げられる。
表面処理剤の酸性基としては、フェノール性ヒドロキシ基が好ましい。フェノール性ヒドロキシ基を持つ化合物としては、フェノール、ニトロフェノール、クレゾール、カテコール、およびこれらの一部を置換した構造をもつ化合物が挙げられる。
また、酸性基を有する界面活性剤も、表面処理剤として好適に用いられる。界面活性剤としては、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等のいずれも使用できるが、アニオン、カチオンはそれ自体が電気化学反応に関与することがあるため、電池材料として使用する場合にはイオン化されていないノニオン系界面活性剤が好適である。
また、表面処理剤は酸性基に加えて塩基性基を有していても良く、特にアミノ基を有することにより分散性が向上する。そのため、カテコール基およびアミノ基の両方を持つ化合物は、表面処理剤として特に好ましい。このような化合物としてはドーパミン塩酸塩が例示される。
本発明のグラフェン/有機溶媒分散液に含まれたグラフェンのBET測定法によって測定される比表面積(以下、単に「比表面積」ということがある。)は、80m/g以上250m/g以下であることが好ましい。グラフェンの比表面積はグラフェンの厚さとグラフェンの剥離度を反映しており、大きいほどグラフェンが薄く、剥離度が高いことを示している。グラフェンの比表面積が80m/g未満であると、リチウムイオン電池に適用した際の導電性ワークを形成することが難しくなる傾向があり、250m/gより大きいと分散性が低下する傾向がある。グラフェンの比表面積は、100m/g以上であることがより好ましく、130m/g以上であることがより好ましい。また、同様に200m/g以下であることが好ましく、180m/g以下であることがより好ましい。なお、BET測定法はグラフェン分散液を真空乾燥機や凍結乾燥機などにより予備乾燥した後の乾燥試料に対してJIS Z8830:2013内に記載の方法で行い、吸着ガス量の測定方法はキャリアガス法で、吸着データの解析は一点法で行うものとする。
また、本発明のグラフェン/有機溶媒分散液の固形分率は、0.003以上0.400以下であることが好ましい。固形分率が0.400を超えると、分散液中でグラフェンのスタックが起こりやすくなる。一方、固形分率が0.003未満であると、電極ペーストの製造に用いた際、分散液中に溶媒により電極用ペーストの固形分率が下がり粘度が低下するため、塗工性が悪化する傾向がある。固形分率は0.200以下がより好ましく、0.100以下がさらに好ましく、0.070以下が一層好ましく、0.050以下が特に好ましい。固形分率が0.050以下であると、流動性が出易く取り扱い性に優れる。また、固形分率は0.007以上であることがより好ましく、0.010以上であることがさらに好ましい。
<有機溶媒>
本発明のグラフェン分散液に使用する有機溶媒に制限はないが、極性の高い有機溶媒が好ましい。極性が高い有機溶媒として、双極子モーメントが3.0Debye以上の有機溶媒が好ましい。このような有機溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)、γ―ブチロラクトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、およびこれらの混合物が例示できる。有機溶媒としては、NMPが特に好ましく用いられる。
<グラフェン分散液の製造方法>
本発明のグラフェン分散液は、一例として、酸化グラフェンと、酸性基を有する表面処理剤とを溶媒中で混合した後に、酸化グラフェンを微細化する微細化工程を行い、その後に還元処理を施し、さらに高せん断ミキサーにより撹拌処理した後に溶媒をNMPなどの有機溶媒で置換する製造方法で作製することができる。
〔酸化グラフェン〕
酸化グラフェンの作製法に特に限定は無く、ハマーズ法等の公知の方法を使用できる。また市販の酸化グラフェンを購入してもよい。酸化グラフェンの作製方法として、ハマーズ法を用いる場合を以下に例示する。
黒鉛(石墨粉)と硝酸ナトリウムを濃硫酸中に入れて攪拌しながら、過マンガン酸カリウムを温度が上がらないように徐々に添加し、25〜50℃下、0.2〜5時間攪拌反応する。その後イオン交換水を加えて希釈して懸濁液とし、80〜100℃で5〜50分間反応する。最後に過酸化水素と脱イオン水を加え1〜30分間反応して、酸化グラフェン分散液を得る。得られた酸化グラフェン分散液を濾過、洗浄し、酸化グラフェンゲルを得る。この酸化グラフェンゲルを希釈して、表面処理剤との混合処理や還元処理をしても良い。
酸化グラフェンの原料となる黒鉛は、人造黒鉛・天然黒鉛のどちらでも良いが、天然黒鉛が好ましく用いられる。原料とする黒鉛のメッシュ数は20000以下が好ましく、5000以下がさらに好ましい。
各反応物の割合は、一例として、黒鉛10gに対し、濃硫酸を150〜300ml、硝酸ナトリウムを2〜8g、過マンガン酸カリウムを10〜40g、過酸化水素を40〜80gである。硝酸ナトリウムと過マンガン酸カリウムを加える時は、氷浴を利用して温度を制御する。過酸化水素と脱イオン水を加える時、脱イオン水の質量は過酸化水素質量の10〜20倍である。濃硫酸は、質量含有量が70%以上のものを利用することが好ましく、97%以上のものを利用することがさらに好ましい。
酸化グラフェンは高い分散性を有するが、それ自体は絶縁性で導電助剤等に用いることはできない。酸化グラフェンの酸化度が高すぎると、還元して得られるグラフェン粉末の導電性が悪くなる場合があるため、酸化グラフェンの、X線光電子分光法によって測定される酸素原子に対する炭素原子の割合は、0.5以上であることが好ましい。酸化グラフェンをX線光電子分光法で測定する際には、十分に溶媒を乾燥させた状態で行う。
また、内部までグラファイトが酸化されていないと、還元した時に薄片状のグラフェン粉末が得られにくい。そのため、酸化グラフェンは、乾燥させてX線回折測定をした時に、グラファイト特有のピークが検出されないことが望ましい。
酸化グラフェンの酸化度は、黒鉛の酸化反応に用いる酸化剤の量を変化させることで調整することができる。具体的には、酸化反応の際に用いる、黒鉛に対する硝酸ナトリウムおよび過マンガン酸カリウムの量が多いほど高い酸化度になり、少ないほど低い酸化度になる。黒鉛に対する硝酸ナトリウムの重量比は特に限定されるものではないが、0.200以上0.800以下であることが好ましく、0.250以上0.500以下であることがより好ましく、0.275以上0.425以下であることがさらに好ましい。黒鉛に対する過マンガン酸カリウムの比は特に限定されるものではないが、1.00以上であることが好ましく、1.40以上であることがより好ましく、1.65以上であることがさらに好ましい。また、4.00以下であることが好ましく、3.00以下であることがより好ましく、2.55以下であることがさらに好ましい。
〔表面処理剤混合工程〕
次に、酸化グラフェンは、必要に応じて、酸性基を有する表面処理剤と混合する。表面処理剤としては、前述のものを用いることができる。
酸化グラフェンと表面処理剤を良好に混合するには、酸化グラフェンと表面処理剤のいずれもが水溶液中に分散している状態で混合することが好ましい。この際、酸化グラフェンと表面処理剤はいずれも完全に溶解している事が好ましいが、一部が溶解せずに固体のまま分散していても良い。水溶液中に水以外の溶媒が一部含まれていても良く、水以外の溶媒としては、特に限定されるものではないが、極性溶媒が好ましく、エタノール、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、NMP、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
〔微細化工程〕
次に、溶媒中で酸化グラフェンを微細化する微細化工程を行う。微細化工程における溶媒としては、表面処理剤混合工程で述べたものと同様のものを用いることができる。また、微細化する手法としては特に限定はないが、ビーズミル、遊星ボールミル、超音波処理、ジェットミルなどの手法を挙げることができる。
〔還元工程〕
次に、溶媒中で酸化グラフェンを還元する還元工程を行う。還元工程における溶媒としては、表面処理剤混合工程で述べたものと同様のものを用いることができる。また、前述の表面処理剤混合工程を溶媒中で行う場合には、当該工程の終了後の状態で微細化工程を行ってからそのまま還元工程に移るか、あるいは表面処理剤混合工程で用いた溶媒と同じ溶媒で希釈して還元することが好ましい。
酸化グラフェンを還元する還元剤は特に限定されず、各種の有機還元剤、無機還元剤を用いることができる。このうち、還元後の洗浄の容易さから無機還元剤がより好ましい。
有機還元剤としてはアルデヒド系還元剤、ヒドラジン誘導体還元剤、アルコール系還元剤が挙げられ、中でもアルコール系還元剤は比較的穏やかに還元することができるため、特に好適である。アルコール系還元剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ベンジルアルコール、フェノール、エタノールアミン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、などが挙げられる。
無機還元剤としては亜ジチオン酸ナトリウム、亜ジチオン酸カリウム、亜リン酸、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジンなどが挙げられ、中でも亜ジチオン酸ナトリウム、亜ジチオン酸カリウムは、酸性基を比較的保持しながら還元できるので溶媒への分散性の高いグラフェンが製造でき、好適に用いられる。
〔溶媒置換工程〕
本発明のグラフェン分散液に用いられる有機溶媒として、還元工程で用いた溶媒と異なる溶媒に置換する場合には、溶媒置換工程を行う。以下、電極用ペーストとして汎用的に使用されているNMPに置換する場合を例に挙げて説明する。
溶媒置換工程は、還元工程を終えたグラフェンの溶媒分散液とNMPを混合した後、溶媒の一部を吸引ろ過または蒸留により除去する工程である。加圧ろ過や遠心分離のような、分散液に含まれるグラフェンに対し強い力がかかる溶媒除去手段では、グラフェンがスタックする傾向があり、好ましくない。吸引ろ過としては、減圧吸引ろ過を行うことが好ましい。また、還元工程で用いた溶媒の残存率を下げるために、この操作を複数回繰り返しても良い。蒸留は、還元工程で用いた溶媒の沸点がNMPより低い場合に適用可能である。蒸留を行う圧力に制限はないが、効率よく溶媒を除去できる点で3.0kPa以下の低圧で蒸留することが好ましい。また、還元工程後かつ溶媒置換工程の前の段階で還元剤の除去を目的としてグラフェン分散液を水で希釈しろ過する洗浄工程を行っても良い。
還元工程を終えたグラフェンの溶媒分散液とNMPとを混合する際の混合比は特に限定されないが、還元工程の溶媒として水またはNMPを用いた場合、取り扱いの容易な低粘度の分散液を得つつ、分散液の処理量を抑える観点から、還元工程後のグラフェン水分散液またはグラフェンNMP分散液100質量部に対して、好ましくはNMPを10〜3000質量部、より好ましくは20〜2000質量部、さらに好ましくは50〜1500質量部混合するとよい。
グラフェン分散液とNMPを混合する方法は特に限定されないが、プラネタリーミキサー、ホモディスパー(プライミクス社)、フィルミックス(登録商標)(プライミクス社)などを用いることができる。
〔強撹拌工程〕
本発明のグラフェン分散液を製造するためには、還元工程後、グラフェン溶媒分散液を高せん断ミキサーにより撹拌処理する工程(強撹拌工程)を実施することが好ましい。強撹拌工程において高せん断ミキサーによりグラフェンを剥離することで、グラフェン同士のスタックを解消することができる。強攪拌工程は、溶媒置換工程を行う場合には、当該工程中において最終の溶媒除去を行うより前のいずれかの段階において、還元工程後のグラフェン溶媒分散液と最終的にグラフェン分散液に用いる有機溶媒とが混合した状態で行うことが好ましい。また、溶媒置換工程を行わない場合には、還元工程後のグラフェン溶媒分散液に対して直接強攪拌工程を行ってもよい。
強撹拌工程におけるせん断速度は、毎秒5000〜毎秒30000とすることが好ましい。せん断速度が小さすぎると、グラフェンの剥離が起こりにくく、グラフェンの剥離度が低くなる。一方、せん断速度が大きすぎると、グラフェンの剥離度が高くなりすぎて、分散性が低下する。せん断速度は毎秒10000以上であることが好ましく、毎秒15000以上であることがより好ましい。また、同様に毎秒28000以下であることが好ましく、毎秒25000以下であることがより好ましい。また、強撹拌工程の処理時間は15秒から300秒が好ましく、20秒から120秒がより好ましく、30秒から80秒がさらに好ましい。
強撹拌工程に用いる高せん断ミキサーとしては、薄膜旋回方式、ローター/ステーター式、メディアミル式を採用したものが好ましい。このようなミキサーとしては、例えば、フィルミックス(登録商標)40−40型(プライミクス社)、クレアミックス(登録商標)CLM−0.8S(エム・テクニック社)、ラボスター(登録商標)ミニLMZ015(アシザワ・ファインテック社)、スーパーシェアミキサーSDRT0.35−0.75(佐竹化学機械工業社)などが挙げられる。
<グラフェン−電極活物質複合体粒子の製造方法>
本発明のグラフェン分散液の用途は限定されるものではないが、一例として、リチウムイオン電池電極活物質粒子等の電極活物質粒子とグラフェンとを複合化する際に有益に用いられる。ここにおいて複合化とは、電極活物質粒子の表面にグラフェンが接した状態を維持せしめることを意味する。グラフェンと電極活物質粒子との複合化は、本発明のグラフェン分散液と、電極活物質粒子とを混合した後に乾燥することを含む製造方法により行われる。複合化の態様としては、グラフェンと電極活物質粒子を一体として造粒したものや、電極活物質粒子の表面にグラフェンを付着せしめたものが挙げられる。
グラフェン−電極活物質複合体粒子の製造に適用する場合、活物質としては、正極活物質、負極活物質のいずれであってもよい。すなわち、本発明のグラフェン分散液は、正極の製造にも負極の製造にも用いることができる。リチウムイオン電池電極活物質粒子に適用する場合、正極活物質は特に限定はされないが、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、スピネル型マンガン酸リチウム(LiMn)、あるいは、コバルトをニッケル・マンガンで一部置換した三元系(LiMnNiCo1−x−y)、スピネル型マンガン酸リチウム(LiMn)などのリチウムと遷移金属の複合酸化物、リン酸鉄リチウム(LiFePO)などのオリビン系(リン酸系)活物質、V等の金属酸化物やTiS、MoS、NbSeなどの金属化合物等が挙げられる。負極活物質としては、特に限定されないが、天然黒鉛、人造黒鉛、ハードカーボンなどの炭素系材料、SiOやSiC、SiOC等を基本構成元素とするケイ素化合物、チタン酸リチウム(LiTi12)、リチウムイオンとコンバージョン反応しうる酸化マンガン(MnO)や酸化コバルト(CoO)などの金属酸化物などが挙げられる。
グラフェン−電極活物質複合体粒子は、本発明のグラフェン分散液と活物質粒子とを混合した後に、スプレードライ、凍結乾燥などの手法で乾燥することにより作製することができる。グラフェン分散液と活物質粒子とを混合する方法としては、三本ロール、湿式ビーズミル、湿式遊星ボールミル、ホモジェナイザー、プラネタリーミキサー、二軸混練機などを利用した方法が挙げられる。
<電極用ペーストの製造方法>
本発明のグラフェン分散液は、リチウムイオン電池用電極等の製造に用いられる電極用ペーストの製造に用いることもできる。すなわち、電極活物質、バインダーに対して、導電助剤としての本発明のグラフェン分散液を、必要に応じて適量の溶媒を加えた上で混合することにより、電極用ペーストを調製することができる。
リチウムイオン電池の電極用ペーストの製造に適用する場合の電極活物質としては、前述と同様の活物質を用いることができる。
バインダーとしては、特に限定されないが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系重合体、あるいはスチレンブタジエンゴム(SBR)、天然ゴムなどのゴム、カルボキシメチルセルロース等の多糖類、ポリイミド前駆体および/またはポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。これらは2種以上の混合物として用いてもよい。
導電助剤は、本発明のグラフェン分散液に含まれるグラフェンのみであってもよいし、更に別に追加の導電助剤を添加しても良い。追加の導電助剤としては、特に限定されないが、例えば、ファーネスブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、アセチレンブラック等のカーボンブラック類、天然黒鉛(鱗片状黒鉛等)、人造黒鉛等のグラファイト類、炭素繊維及びおよび金属繊維等の導電性繊維類、銅、ニッケル、アルミニウム及びおよび銀等の金属粉末類などが挙げられる。追加的に使用される溶媒としては、NMP、γ−ブチロラクトン、水、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
〔測定例1:固形分率〕
グラフェン分散液1gを重量既知のスライドガラス上に付着させて重量を測定し、120℃に温度調整したホットプレート上で1時間加熱して溶媒を揮発させた。加熱前のグラフェン分散液の付着量と、加熱前後の重量差から算出した溶媒揮発量から、グラフェン分散液の固形分率を3回繰り返して測定し、その平均を求めた。
〔測定例2:表面粗さ〕
Whatman50(GEヘルスケア・ジャパン社)のろ紙、ダイヤグラフポンプ(ULVAC DTC−41)を用い、グラフェン分散液を吸引ろ過で濃縮し、固形分率0.020以上の高濃度溶液を得た。得られた高濃度のグラフェン分散液を固形分率0.010となるようにN−メチルピロリドン(三菱化学株式会社製、電子材料用グレード)を添加し、さらにミキサー(kakuhunter、SK300s、写真化学社)を用いて2000rpmで1分均一に混合した。得られたグラフェン/有機溶媒ペーストをアルミニウム箔(厚さ20μm)にドクターブレードタイプアプリケーター(SA−204、テスター産業株式会社製、厚み50μm設定)を用いて塗工速度16.7mm/sで塗布し、さらに80℃オーブンで1時間乾燥させ、塗膜を得た。得られた塗膜をレーザー顕微鏡(VK−X250、Keyence)の50倍対物レンズ、レーザー波長408nm、測定ピッチ0.100μmの条件で250×200μm視野での算術平均粗さを求めた。これをランダムに3箇所測定し、その平均値を表面粗さ(Ra)とした。
〔測定例3:電池性能評価〕
各実施例・比較例で調製したグラフェン分散液をグラフェン固形分として1.5重量部、電極活物質としてLiNi0.5Co0.2Mn0.3を100重量部、追加の導電助剤としてアセチレンブラックを1.5重量部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン5重量部、溶媒としてNMPを100重量部配合したものをプラネタリーミキサーで混合して電極用ペーストを得た。この電極用ペーストをアルミニウム箔(厚さ18μm)にドクターブレード(300μm)を用いて塗布し、80℃15分間乾燥後、真空乾燥して電極板を得た。
作製した電極板を直径15.9mmに切り出して正極とし、対極として黒鉛98重量部、カルボキシメチルセルロースナトリウム1重量部、SBR水分散液1重量部からなる負極を直径16.1mmに切り出して用いた。直径17mmに切り出したセルガード#2400(セルガード社製)をセパレータとし、LiPFを1M含有するエチレンカーボネート:ジエチルカーボネート=7:3の溶媒を電解液として、2042型コイン電池を作製した。上限電圧4.2V、下限電圧3.0Vでレート0.1C、1C、5Cの順に充放電測定を各3回ずつ行った後、1Cでさらに491回、計500回の充放電測定を行った。レート1Cの3回目、レート5Cの3回目、その後のレート1Cの491回目(500サイクル)のそれぞれの放電容量を測定した。
〔測定例4:X線光電子測定〕
各サンプルのX線光電子測定はQuantera SXM (PHI社製))を使用して測定した。励起X線は、monochromatic Al Kα1,2 線(1486.6eV)であり、X線径は200μm、光電子脱出角度は45°である。炭素原子に基づくC1sメインピークを284.3eVとし、酸素原子に基づくO1sピークを533eV付近のピーク、窒素原子に基づくN1sピークを402eV付近のピークに帰属し、各ピークの面積比からO/C比、およびN/C比を求めた。測定は、下記実施例で作製した還元後のグラフェン水分散液を吸引濾過器で濾過後、水で0.5質量%まで希釈して吸引濾過する洗浄工程を5回繰り返して洗浄、さらに凍結乾燥して得たグラフェン粉末に対して行った。
〔測定例5:比表面積の評価〕
グラフェンの比表面積測定はHM Model−1210(Macsorb社製)を使用して測定した。測定はJIS Z8830:2013に準拠し吸着ガス量の測定方法はキャリアガス法で、吸着データの解析は一点法で測定した。脱気条件は、100℃×180分とした。測定は、下記実施例で調製した還元後のグラフェン水分散液を吸引濾過器で濾過後、水で0.5質量%まで希釈して吸引濾過する洗浄工程を5回繰り返して洗浄、さらに凍結乾燥して得たグラフェン粉末に対して行った。
〔合成例1:酸化グラフェンゲルの調整方法〕
1500メッシュの天然黒鉛粉末(上海一帆石墨有限会社)を原料として、氷浴中の10gの天然黒鉛粉末に、220mlの98%濃硫酸、5gの硝酸ナトリウム、30gの過マンガン酸カリウムを入れ、1時間機械攪拌し、混合液の温度を20℃以下で保持した。この混合液を氷浴から取り出し、35℃水浴中で4時間攪拌反応し、その後イオン交換水500mlを入れて得られた懸濁液を90℃で更に15分反応を行った。最後に600mlのイオン交換水と50mlの過酸化水素を入れ、5分間の反応を行い、酸化グラフェン分散液を得た。熱いうちにこれを濾過し、希塩酸溶液で金属イオンを洗浄し、イオン交換水で酸を洗浄し、pHが7になるまで洗浄を繰り返して酸化グラフェンゲルを調製した。調製した酸化グラフェンゲルの、X線光電子分光法により測定される酸素原子の炭素原子に対する元素比は0.53であった。
[実施例1]
合成例1で調製した酸化グラフェンゲルを、イオン交換水で濃度30mg/mlに希釈し、超音波洗浄機で30分処理し、均一な酸化グラフェン分散液を得た。
当該酸化グラフェン分散液20mlと、表面処理剤として0.3gのドーパミン塩酸塩を混合し、ホモディスパー2.5型(プライミクス社)を使用して回転数3000rpm(せん断速度:毎秒80)で60分処理した。処理後の酸化グラフェン分散液を、超音波装置UP400S(hielscher社)を使用して、出力300Wで超音波を30分間印加(微細化工程)した。当該処理後に酸化グラフェン分散液をイオン交換水で5mg/mlに希釈し、希釈した分散液20mlに0.3gの亜ジチオン酸ナトリウムを入れて、40℃に保温して1時間還元反応を行った。その後、減圧吸引ろ過器でろ過し、さらにイオン交換水で0.5質量%まで希釈して吸引ろ過する洗浄工程を5回繰り返して洗浄した。洗浄後に双極子モーメントが4.1DebyeのNMPで0.5質量%まで希釈してフィルミックス(登録商標)40−40型(プライミクス社)で回転速度40m/s(せん断速度:毎秒20000)で60秒処理(強撹拌工程)して減圧吸引ろ過した。ろ過後にNMPで0.5質量%濃度まで希釈して、ホモディスパー2.5型(プライミクス社)を使用して回転数3000rpmで30分処理して減圧吸引ろ過する工程を2回繰り返し(溶媒置換工程)、グラフェン分散液を得た。
[実施例2]
強撹拌工程でフィルミックスの回転速度を20m/s(せん断速度:毎秒10000)に変えた以外は実施例1と同様にして、グラフェン分散液を調整した。
[実施例3]
ドーパミン塩酸塩を0.1gに変えた以外は実施例1と同様にして、グラフェン分散液を調製した。
[実施例4]
表面処理剤を0.3gのアンチピリンに変えた以外は実施例1と同様にして、グラフェン分散液を調製した。
[実施例5]
表面処理剤であるドーバミン塩酸塩を加えなかったこと以外は実施例1と同様にして、グラフェン分散液を調製した。
[実施例6]
還元剤である亜ジチオン酸ナトリウムの代わりに0.3gの水素化ホウ素ナトリウムに変えた以外は実施例1と同様にして、グラフェン分散液を調製した。
[実施例7]
溶媒置換工程における減圧吸引と希釈の繰り返し数を5回に変えた以外は実施例1と同様にして、グラフェン分散液を調製した。
[実施例8]
強撹拌工程までは実施例1と同様にして、その後、得られたグラフェン分散液にロータリーエバポレーター(東京理化機械株式会社、EYELA N1110型)で蒸留を行った。蒸留の条件としては、真空圧力を2.5kPa、温度を85℃、処理時間を3.0hに設定した。さたに、蒸留の後減圧吸引ろ過してグラフェン分散液を得た(溶媒置換工程)。
[実施例9]
溶媒置換工程における減圧吸引ろ過と希釈の繰り返し数を15回に変えた以外は実施例1と同様にして、グラフェン分散液を調製した。
[比較例1]
実施例1において、フィルミックス処理の変わりに、フィルミックスよりもせん断力の弱いホモディスパー2.5型(プライミクス社)を使用して回転数3000rpm(せん断速度:毎秒80)で30分処理した。それ以外はすべて実施例1と同様の操作を行い、グラフェン/有機溶媒分散液を得た。
[比較例2]
還元・洗浄工程まで実施例1と同様に行いグラフェン水分散液を得た。水で0.5質量%まで希釈して凍結乾燥することで、グラフェン粉末を得た。
このグラフェン粉末を0.5質量%となるようNMPを添加しホモディスパー2.5型(プライミクス社)を使用して回転数3000rpm(せん断速度:毎秒80)で30分処理した。その後、減圧吸引ろ過して固形分率0.043であるグラフェン分散液を得た。
[比較例3]
還元・洗浄工程まで実施例1と同様に行いグラフェン水分散液を得た。水で0.5質量%まで希釈して凍結乾燥することで、グラフェン粉末を得た。
このグラフェン粉末を0.5質量%となるようNMPを添加しフィルミックス(登録商標)40−40型(プライミクス社)で回転速度40m/s(せん断速度:毎秒20000)で60秒処理(強撹拌工程)した。その後、減圧吸引ろ過して固形分率0.043であるグラフェン分散液を得た。
[比較例4]
合成例1で調製した酸化グラフェンゲルを真空乾燥で80℃6時間乾燥し酸化グラフェン粉末を得た。得られた酸化グラフェン粉末を、アルゴン雰囲気中で700℃6時間加熱して加熱還元グラフェン粉末を得た。
このグラフェン粉末を0.5質量%となるようNMPを添加しフィルミックス(登録商標)40−40型(プライミクス社)で回転速度40m/s(せん断速度:毎秒40000)で60秒処理(強撹拌工程)した。その後、減圧吸引ろ過して固形分率0.042であるグラフェン分散液を得た。
[比較例5]
SuperC Technology社から購入したグラフェン分散液(SC Pas1001、固形分率5.4質量%)を0.5質量%となるようNMPを添加しフィルミックス(登録商標)40−40型(プライミクス社)で回転速度40m/s(せん断速度:毎秒20000)で60秒処理(強撹拌工程)した。それ以外は実験1と同様の操作を行い、グラフェン分散液を得た。
各実施例、比較例で調製したグラフェン/有機溶媒分散液について、測定例1に従って固形分率を、測定例2に従って表面粗さを、測定例3に従って放電容量を測定した。
また、分析のため、得られたグラフェン/有機溶媒分散液を水で3倍に希釈して吸引ろ過を行った後、さらに希釈、吸引ろ過を2回繰り返し、0.5質量%のグラフェン/水分散液を得た後に、凍結乾燥してグラフェン粉末を得た。得られたグラフェン粉末について、測定例4に従ってO/C比、N/C比を、測定例5に従って比表面積を測定した。これらの物性評価、電池性能評価の結果を表1に示す。
Figure 2017218373

Claims (10)

  1. グラフェンが有機溶媒に分散したグラフェン/有機溶媒分散液であって、固形分率を0.005以上0.012以下に調整したグラフェン/有機溶媒分散液を塗布製膜したグラフェン膜を、波長408nmのレーザー顕微鏡により、50倍対物レンズを用いて、測定ピッチ0.100μmで測定したときの表面粗さが1.0μm以下であるグラフェン/有機溶媒分散液。
  2. 前記グラフェン膜の表面粗さが0.05μm以上である、請求項1に記載のグラフェン/有機溶媒分散液。
  3. 前記グラフェンの、X線光電子分光法により測定される炭素に対する酸素の元素比(O/C比)が0.08以上0.30以下である、請求項1または2に記載のグラフェン/有機溶媒分散液。
  4. 前記グラフェンの、X線光電子分光法により測定される炭素に対する窒素の元素比(N/C比)が0.005以上0.020以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のグラフェン/有機溶媒分散液。
  5. 前記グラフェンの、BET測定法により測定される比表面積が80m/g以上250m/g以下である、請求項1〜4のいずれかに記載のグラフェン/有機溶媒分散液。
  6. 固形分率が0.003以上0.400以下である、請求項1〜5のいずれかに記載のグラフェン/有機溶媒分散液。
  7. 前記有機溶媒の双極子モーメントが3.0Debye以上である、請求項1〜6のいずれかに記載のグラフェン/有機溶媒分散液。
  8. 前記有機溶媒がN−メチルピロリドンである、請求項7に記載のグラフェン/有機溶媒分散液。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のグラフェン/有機溶媒分散液と、電極活物質粒子とを混合した後に乾燥することを含む、グラフェン−電極活物質複合体粒子の製造方法。
  10. 電極活物質、バインダーおよび請求項1〜8のいずれかに記載のグラフェン/有機溶媒分散液を混合することを含む、電極用ペーストの製造方法。
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