JP2017216037A - 磁気センサー装置、ハードディスクヘッド、および磁気記録再生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型化が可能でかつ外部の影響を受けにくい磁気センサー装置、ハードディスクヘッド、および磁気記録再生装置を提供する。
【解決手段】本実施形態による磁気センサー装置は、非磁性層と、磁化の方向が可変な第1磁性層を含み、前記非磁性層の第1部分に配置された第1端子と、第2磁性層を含み、前記非磁性層の第2部分に配置された第2端子と、磁化の方向が前記第2磁性層と反平行の第3磁性層を含み、前記非磁性層の第3部分に配置された第3端子と、前記第2端子と前記第3端子との間に電流を供給可能な電流回路と、前記電流が供給されている状態で、前記第1端子と前記第2端子間または、前記第1端子と前記第3端子間の電圧を検出可能な電圧検出部と、を備える。
【選択図】図15
【解決手段】本実施形態による磁気センサー装置は、非磁性層と、磁化の方向が可変な第1磁性層を含み、前記非磁性層の第1部分に配置された第1端子と、第2磁性層を含み、前記非磁性層の第2部分に配置された第2端子と、磁化の方向が前記第2磁性層と反平行の第3磁性層を含み、前記非磁性層の第3部分に配置された第3端子と、前記第2端子と前記第3端子との間に電流を供給可能な電流回路と、前記電流が供給されている状態で、前記第1端子と前記第2端子間または、前記第1端子と前記第3端子間の電圧を検出可能な電圧検出部と、を備える。
【選択図】図15
Description
本発明の実施形態は、磁気センサー装置、ハードディスクヘッド、および磁気記録再生装置に関する。
現在、ハードディスクドライブにおける記録信号の読み取りは、磁気ディスクに書き込まれた記録ビットからの漏れ磁界を、磁気センサーによって検出することによって行われている。
しかしながら、記録密度の向上に伴い、記録ビットのサイズは10nm程度と非常に小さくなってきており、このため磁気センサー自体の小型化と、高感度化の両立が必須となっている。特にリーダーの磁気シールドのギャップ間隔の極小化にともない、磁気センサー自体の厚さも10nm以下にする事が望まれている。
しかし、現在一般に用いられている、スピンバルブ素子は、磁化フリー層/非磁性中間層/シンセティック・磁化固着層/反強磁性層という4層積層構成をとっており、特に十分な磁化固着層の磁化固着特性を出すためには磁化固着層の磁化を固定する反強磁性層の厚さが10nm程度必要であることから、4層積層膜全体の厚さを20nm以下にする事は容易ではない。
そこで、磁気シールドの10nmのギャップの中にも挟むことが可能な、薄型磁気センサーとして非局所スピンバルブ素子が注目を集めている。
しかし、後述するように、この非局所スピンバルブ素子は、ビット・サイズの微小なハードディスク装置(磁気記録再生装置)から、データの読出しを行うハードディスクヘッドに用いる事が困難で、かつ小型化が難しく、外部の影響を受け易いという課題がある。
本実施形態は、小型化が可能でかつ外部の影響を受けにくい磁気センサー装置、ハードディスクヘッド、および磁気記録再生装置を提供する。
本実施形態による磁気センサー装置は、非磁性層と、磁化の方向が可変な第1磁性層を含み、前記非磁性層の第1部分に配置された第1端子と、第2磁性層を含み、前記非磁性層の第2部分に配置された第2端子と、磁化の方向が前記第2磁性層と反平行の第3磁性層を含み、前記非磁性層の第3部分に配置された第3端子と、前記第2端子と前記第3端子との間に電流を供給可能な電流回路と、前記電流が供給されている状態で、前記第1端子と前記第2端子間または、前記第1端子と前記第3端子間の電圧を検出可能な電圧検出部と、を備える。
まず、実施形態を説明する前に、実施形態に至った経緯について説明する。
図1に一般的な非局所スピンバルブ素子の模式図を示す。この非局所スピンバルブ素子は非磁性ベース電極200にスピン注入磁性体210とスピン検出磁性体220が電気的に接続された構造を有している。スピン注入磁性体210と非磁性ベース電極200の1端との間に電流源が接続され、センス電流が流される。そして、スピン検出磁性体220と非磁性ベース電極200の他端には電圧計が接続されており、この間の電圧の測定が行われる。なお、非局所スピンバルブ素子においては、非磁性ベース電極200の他端にリード230が設けられ、このリード230を介して非磁性ベース電極200の他端は上記電圧計に接続される。
非磁性ベース電極200はスピン注入磁性体210との間でセンス電流が流されるが、磁性体中の電気抵抗は多数スピン電子と小数スピン電子で異なる。このため、非磁性ベース電極200にもスピン偏極電流が流れることになり、非磁性ベース電極200中の伝導電子の電気化学ポテンシャルは、アップスピン電子とダウンスピン電子とで異なる値をとるようになる。
図2に非磁性ベース電極200の中心線に沿って、アップスピン電子とダウンスピン電子の電気化学ポテンシャルμ↑、μ↓をプロットした例を示す。図2の横軸は、非磁性ベース電極200のある位置を原点にとり、この原点から非磁性ベース電極200の中心線に沿った距離を示し、縦軸は、電気化学ポテンシャルを示す。
この例では非磁性ベース電極200が0Vに、スピン注入電極210に正電圧を印加しているため、アップスピン電流I↑もダウンスピン電流I↓もスピン注入電極210から非磁性ベース電極200に流れている。これによって生じた電気化学ポテンシャルの差(μ↑−μ↓)はスピン注入電極との接合面の位置で最大値をとり、そこから離れるにしたがって零に緩和する。この電気化学ポテンシャルの差(μ↑−μ↓)を以下スピン蓄積ともいう。すなわち、アップスピン電子の電気化学ポテンシャルμ↑と、ダウンスピン電子の電気化学ポテンシャルμ↓が同じ値となるように距離に対して指数関数的に緩和していく。このスピン蓄積が1/e(eは自然対数の底)に緩和する距離の事をスピン緩和長λnと呼ぶが、この値は材料物性値であり、非磁性ベース電極200を構成する材料により異なってくる。
なお電気化学ポテンシャルの微分値は各スピン方向の電子による電流に比例しており、図2からスピン注入電極210より大きい位置ではμ↑とμ↓の傾きが逆、すなわち、アップスピン電流I↑とダウンスピン電流I↓は逆方向に流れている事が分かる。このため両方を足し合わせた電流(=I↑+I↓)は零となっており、スピン注入電極210の位置より正方向の位置では電流は流れていない。しかしながら、I↑―I↓で定義されるスピン流は流れており、このような状態を純スピン流と呼ぶ。
次に、スピン検出磁性体220は、非磁性ベース電極200に電気的に接触しているが、磁性体中のスピン緩和長λfは数nm〜10nm程度と一般に非常に短いため、アップスピン電子とダウンスピン電子は磁性体中で短絡された状態になり急速に緩和する。すなわち、非磁性ベース電極200中の電気化学ポテンシャルが図2に示すような分布をしている場合には、ダウンスピン電子がスピン検出磁性体220中に流れ込み、アップスピン電子は逆に流れ出る事になる。
このとき、スピン検出磁性体220の多数キャリア比抵抗ρ+と少数キャリア比抵抗ρ―も値が異なるため、スピン検出磁性体220中で電気化学ポテンシャルが緩和した電圧(μ↑=μ↓である電圧)は、スピン注入磁性体210とスピン検出磁性体220の磁化が互いに平行な場合と反平行な場合では異なる電圧となる。
図3(a)、3(b)に2つの磁性体210、220の磁化が互いに反平行な場合および互いに平行な場合の、スピン検出磁性体220から非磁性ベース電極200の経路に沿った、電気化学ポテンシャルの分布例をそれぞれ示す。スピン検出磁性体220と非磁性ベース電極200との間の電位差は図3(a)、3(b)における左右両端の電気化学ポテンシャルの差となるが、磁化が平行の場合と反平行の場合では、その符号が逆になっていることがわかる。したがって、その電圧を測定することにより、2つの磁化が平行になっているか反平行になっているかを測定することが可能になる。
また、2つの磁性体210、220の磁化が角度θをなしている場合には、平行な場合の電位差をVp、反平行な場合の電位差Vap、その差をVap−Vp=Vsとすると、その電位差はV=(Vp+Vap)/2−Vs/2・cosθ となる。このため、その電位差を測定することにより、2つの磁性体の磁化の相対角度を測定する事が出来る。したがって、例えば、どちらか一方の磁性体は、その磁化が反強磁性体によって固着されたピンド層(磁化固着層)とし、他方の磁性体は、その磁化が外部磁場によって動くフリー層(磁化自由層)とする。これにより、いわゆるスピンバルブ構造とすることができ、ハードディスクヘッド等の磁場センサーとして用いることが可能となる。
図4に、非局所スピンバルブ素子を用いて、ハードディスクヘッドを構成した一例を示す。この非局所スピンバルブ素子は、非磁性ベース電極200上に、磁性体からなるスピン注入層210、反強磁性体240、およびリード250がこの順序で積層された第1積層構造と、磁性体からなるスピン検出層220、導電層270a、および上磁気シールド260がこの順序で積層された第2積層構造と、導電層270bおよび下磁気シールド280がこの順序で積層された第3積層構造と、を備えている。第1積層構造と第2積層構造とは、非磁性ベース電極200に対して同じ側に離間して設けられ、第3積層構造は非磁性ベース電極200を挟んで第2積層構造と反対側に対向して設けられる。非磁性ベース電極200とリード250との間にセンス電流が流され、上磁気シールド260と、下磁気シールド280との間の電圧が測定される。上磁気シールド260と下磁気シールド280との間の距離がギャップとなる。また、上磁気シールド260、導電層270a、スピン検出層220、非磁性ベース電極200、導電層270b、および下磁気シールド280の端面は同一平面上に位置し、この端面がABS(Air Bearing Surface)となる。
図4に示す非局所スピンバルブ素子は、磁性体/非磁性体/磁性体/反強磁性体の積層構造で構成される一般的なスピンバルブ素子と比べた場合、スピン注入層210とスピン検出層220とを横に並べて配置する事が出来るため、その分トータルの厚さを薄くすることが可能になる。すなわちハードディスクヘッドにおいて磁場センサーとして用いる場合、ABS面に出ているのはフリー層と非磁性ベース電極だけで良いため、反強磁性体と磁化固着層の厚さ分、薄くすることが可能となり、シールド・ギャップ間隔を狭くして、より高い線分解能を持つヘッドを提供する事が可能になる。
以上説明したように、非局所スピンバルブ素子は、非磁性ベース電極中のスピン蓄積によりμ↑とμ↓が差を持つことを利用した素子となっている。このため、スピン検出磁性体との接合面において非磁性ベース電極のスピン蓄積が大きい方が、より大きな検出出力を得ることが可能になる。そのため非磁性ベース電極のスピン緩和長は出来るだけ長く、またスピン注入磁性体とスピン検出磁性体との間の距離は出来るだけ近くすることが望ましい。
また、スピン注入磁性体と非磁性ベース電極との接合を詳細に検討した結果、非磁性ベース電極中の電気化学ポテンシャルは、スピン注入磁性体と非磁性ベース電極の接合位置からスピン緩和長λn程度離れたところまではスピン蓄積が緩和しないため、非磁性ベース電極のグランド位置(外部リード端子を取り付ける位置)は上記接合位置からスピン緩和長λn程度離したほうが、より大きなスピン蓄積を得ることが出来る事が分かった。スピン緩和長λnよりも短い距離に、外部リード端子との接合のような不均質構造や、スピン緩和長が短い材料があると、それによりスピン緩和が促進されてしまうため、スピン蓄積が小さくなってしまう可能性が出来てしまう。
図5に、スピン注入磁性体と非磁性ベース電極のグランド位置(外部リード端子を取り付ける位置)との間の距離を変えた場合の電気化学ポテンシャルの分布例を示した。図5からわかるように、上記距離がスピン緩和長λn程度まで話したほうが、スピン蓄積が大きくなっているのが分かる。
また、スピン検出磁性体と非磁性ベース電極との接合を詳細に検討した結果、非磁性ベース電極中の電気化学ポテンシャルは、スピン注入磁性体と非磁性ベース電極の接合位置からスピン緩和長λnの数倍離れたところまでは、スピン蓄積が緩和せずμ↑=μ↓とならないため、非磁性ベース電極のグランド位置(外部リード端子を取り付ける位置)は上記接合位置からスピン緩和長λnの数倍離すことが望ましいことが分かった。それよりも短い距離に外部リード端子との接合のような不均質構造や、スピン緩和長が短い材料があると、それによりスピン緩和が促進され、スピン蓄積の減少や、ノイズの原因となる事が考えられる。
以上のように、非局所スピンバルブ素子においては、スピン注入磁性体、スピン検出磁性体は高密度なハードディスクのヘッドに用いる事ができるように、十分小さなサイズ、例えば幅10nm、長さ10nm、厚さ5nmの直方体にする事も可能である。しかし、その場合でも、非磁性ベース電極200はスピン緩和長λnよりも十分に長くする必要があり、図6に示したように、非局所スピンバルブ素子全体の大きさとしては数μmの長さが必要となる事が分かった。
このため設計の自由度が制限され、この数μmの非磁性ベース電極のどこかに非均一性や欠陥が出来てしまうか、この数μm以内の場所で外部リード端子との接触を作ってしまうと、それがスピン蓄積に影響を与えてしまい、出力特性が劣化してしまうなど、外乱を受けやすく作るのが困難な素子である事がわかった。
このことをより詳細に示すために図7のように、外部リード端子290a、290bをスピン注入磁性体210、スピン検出磁性体220の近くまで持ってきた構造について検討を行った。
図8は、スピン注入磁性体210側の近くまで外部リード端子290aを持ってきた場合と外部リード端子290aを持ってこなかった場合の電気化学ポテンシャルの分布例を示す。図8からわかるように、外部リード端子290aをスピン注入磁性体210の近くまで持ってくると、スピン蓄積が減少してしまっているのが分かる。
図9は、スピン検出磁性体220側の近くまで外部リード端子290bを持ってきた場合と外部リード端子290bを持ってこなかった場合の電気化学ポテンシャルの分布例を示す。図9からわかるように、外部リード端子290bをスピン検出磁性体220の近くまで持ってくると、スピン蓄積が減少してしまっているのが分かる。
このように一般的な非局所スピンバルブ素子では外部リード端子をつなぐ位置によっても出力特性が大きく劣化してしまうなど、外乱を受けやすい素子であることが分かった。
また、以上で説明した一般的な非局所スピンバルブ素子は4端子構造である事から、外部リード端子が4つ必要であり、従来の2端子構造スピンバルブに比べると、端子数が倍になる。このため、ヘッドのABS面に配置された非局所スピンバルブ素子から端子を取り出す事が困難であるという問題もある。2端子の場合には上下磁気シールドをそのまま外部端子として用いる事が可能であり、作成も比較的容易となるが、4端子の場合にはそれに加えて2つの外部リード端子が必要になるため、プロセスが複雑になってしまい、歩留まりの悪化、コストの上昇を招いてしまう。
そこで特許文献1には、3端子化した非局所スピンバルブ素子が提案されている。特許文献1で提案されている構造では、非磁性ベース電極側の電流印加部の端子と、非磁性ベース電極側の電圧検出部の端子を共通端子とし、これによって3端子化を達成している。
しかしながら、この方法では非磁性ベース電極中に十分なスピン蓄積を起こすためには、共通端子の位置をスピン注入磁性体、スピン検出磁性体からスピン緩和長λnの数倍離れた場所に設置しなければならない。このため、非磁性ベース電極は数μm程度と大きくする必要がある。したがって、設計の自由度が制限された、外部からの外乱を受けやすいという欠点は無くならない。また、非磁性ベース電極を長くする必要がある事から、素子抵抗が大きくなりSN比が劣化するという問題も発生する。また非磁性ベース電極が長く、かつそこに大電流密度のセンス電流を流す必要がある事から、発熱、エレクトロマイグレーション等の問題も発生する可能性が高くなる。
そこで、本発明者達が鋭意研究し、ビット・サイズの微小なハードディスク装置から、データの読出しを行うハードディスクヘッドに用いることができ、小型化が可能でかつ外部の影響を受けにくい3端子非局所スピンバルブ素子を得ることができた。この3端子非局所スピンバルブ素子を、図面を参照して以下の実施形態で説明する。
(第1実施形態)
図10に第1実施形態による3端子非局所スピンバルブ素子を示す。本実施形態の3端子非局所スピンバルブ素子1は、非磁性ベース層(非磁性ベース電極)10と、この非磁性ベース層10の延在する方向にそって、非磁性ベース層10上にそれぞれが離間して設けられ、それぞれが磁性層を含む、スピン注入端子12、グランド端子14、およびスピン検出端子16と、を備えている。本実施形態においては、グランド端子14は、スピン注入端子12とスピン検出端子16との間に位置する。また、スピン注入端子12、グランド端子14、およびスピン検出端子16は、非磁性ベース層10に対して同じ側の面上に設けられる。なお、スピン注入端子12およびグランド端子14は、非磁性ベース電極10のスピン緩和長λnに比べて十分短い距離に配置される。
図10に第1実施形態による3端子非局所スピンバルブ素子を示す。本実施形態の3端子非局所スピンバルブ素子1は、非磁性ベース層(非磁性ベース電極)10と、この非磁性ベース層10の延在する方向にそって、非磁性ベース層10上にそれぞれが離間して設けられ、それぞれが磁性層を含む、スピン注入端子12、グランド端子14、およびスピン検出端子16と、を備えている。本実施形態においては、グランド端子14は、スピン注入端子12とスピン検出端子16との間に位置する。また、スピン注入端子12、グランド端子14、およびスピン検出端子16は、非磁性ベース層10に対して同じ側の面上に設けられる。なお、スピン注入端子12およびグランド端子14は、非磁性ベース電極10のスピン緩和長λnに比べて十分短い距離に配置される。
スピン注入端子12は、磁化の方向が固着された磁性層を備えている。グランド端子14は、磁化の方向が固着された磁性層を備え、この磁性層の磁化の方向は、スピン注入端子12の磁性層の磁化の方向と反平行となっている。スピン検出端子16は、磁化の方向が可変の磁性層を備えている。ここで、磁化の方向が可変とは、外部磁界に応じて磁化の方向が変化することを意味する。
スピン注入端子12とグランド端子14のそれぞれの磁性層には外部リード端子(図示せず)が接続され、これらの外部リード端子は電流源30に接続され、センス電流が注入される。またスピン検出端子16の磁性層にも外部リード端子(図示せず)が接続され、このスピン検出端子の外部リード端子と、グランド端子14の外部リード端子が電圧計32に接続され、これらの外部リード端子間の電圧の測定が行われる。すなわち、本実施形態の非局所スピンバルブ素子は、グランド端子14が電流源30と電圧計32で共用される3端子構造を有している。
非磁性ベース電極10には、スピン注入端子12とグランド端子14を通してセンス電流が流される。これら2つの端子のうちの一方の端子の磁性層を通して電流が流入し、もう片方の端子の磁性層を通して電流が流出する。このとき、磁性層中の電気抵抗は、多数スピン電子と少数スピン電子で異なるため、非磁性ベース電極10にもスピン偏極された電流が流れることとなる。非磁性ベース電極10中の伝導電子の電気化学ポテンシャルは、アップスピン電子とダウンスピン電子とで異なる値を取るようになる。
図11に、注入したセンス電流の経路に沿って、アップスピン電子とダウンスピン電子の電気化学ポテンシャルμ↑、μ↓をプロットした例を示す。この例では、グランド端子14の磁性層を0Vに、スピン注入端子12の磁性層を正電圧としている。図11に示す、センス電流の経路は、スピン注入端子12の上面(外部リード端子との接続面)から、スピン注入端子12,スピン注入端子と非磁性ベース電極10と接合する第1接合面、非磁性ベース電極10、非磁性ベース電極10とグランド端子14と接合する第2接合面、グランド端子14、およびグランド端子14の上面(外部リード端子との接続面)までとなる。このため、アップスピン電流I↑もダウンスピン電流I↓もスピン注入端子12から非磁性ベース電極10に流れ、その後、非磁性ベース電極10からグランド端子14へと流れる。
本実施形態においては、スピン注入端子12の磁性層の磁化方向と、グランド端子14の磁性層の磁化方向が反平行になっているため、スピン注入端子12と非磁性ベース電極10との第1接合面でも、グランド端子14と非磁性ベース電極10との第2接合面でも、両方ともアップスピン電流μ↑が大きくなるようなスピン蓄積が発生する。また、スピン注入端子12とグランド端子14は非磁性ベース電極10のスピン緩和長λnに比べて十分短い距離に配置してあるため、第1接合面と第2接合面との間の非磁性ベース電極10内のスピン蓄積は、非磁性ベース電極10中の場所によらず殆ど均一に大きく起こっているのがわかる。
本実施形態においては、磁性体の短いスピン拡散長を利用することによって、磁性体内において短距離でアップスピン電子の電気化学ポテンシャルμ↑と、ダウンスピン電子の電気化学ポテンシャルμ↓との分離を引き起こすことが可能となっている。このため、従来のように非磁性ベース電極に外部リード端子を直接つなぐときに必要となるスピン緩和長λn程度の長さが必要なくなり、非磁性ベース電極10を短くすることができる。
図12に、非磁性ベース電極10の中心に沿った電気化学ポテンシャルの分布を示す。
本実施形態においては、非磁性ベース電極10の長さをスピン緩和長λnに比べて十分小さくすることが出来るため、スピン蓄積は非磁性ベース電極10全体に渡って大きな分布を持たず、ほぼ均一に大きなスピン蓄積が起こっていることがわかる。
本実施形態においては、非磁性ベース電極10の長さをスピン緩和長λnに比べて十分小さくすることが出来るため、スピン蓄積は非磁性ベース電極10全体に渡って大きな分布を持たず、ほぼ均一に大きなスピン蓄積が起こっていることがわかる。
次に、スピン検出端子16は、非磁性ベース層10に電気的に接触しているが、磁性体中のスピン緩和長λfは数nm〜10nm程度と一般に非常に短い。このため、アップスピン電子とダウンスピン電子は磁性体中で短絡された状態になる。すなわち、非磁性ベース電極10中の電気化学ポテンシャルが図12に示す分布をしている場合には、ダウンスピン電子がスピン検出端子16中に流れ込み、アップスピン電子は逆にスピン検出端子16から流れ出る事になる。このとき、スピン検出端子16の多数キャリア比抵抗ρ+と、少数キャリア比抵抗ρ―との値が異なるため、電気化学ポテンシャルがスピン検出端子16中で緩和する電圧はスピン注入端子12およびスピン検出端子16のそれぞれの磁性層の磁化が平行な場合と反平行な場合では異なる電圧となる。
図13(a)、13(b)に、2つの磁化が反平行な場合と平行な場合の、グランド端子14から非磁性ベース電極10、スピン検出端子16の経路に沿った、電気化学ポテンシャルの分布例を示す。磁化が平行の場合においては、電気化学ポテンシャルは高い電圧に緩和し、反平行の場合においては、より低い電圧に緩和していることがわかる。したがって、その電圧を測定することにより、2つの磁化が平行になっているか反平行になっているかを測定することができる。
また、スピン注入端子12およびスピン検出端子16のそれぞれの磁性層の磁化が角度θをなしている場合には、磁化が平行な場合の電位差をVp、反平行な場合の電位差Vap、その差をVap−Vp=Vsとすると、その電位差は V=(Vp+Vap)/2−Vs/2・cosθ となる。このため、その電位差を測定することにより、スピン注入端子12およびスピン検出端子16のそれぞれの磁性層の磁化の相対角度を測定する事が出来る。したがって、本実施形態の3端子非局所スピンバルブ素子1は、ハードディスクヘッド等の磁場センサーとして用いる事ができる。
なお、非磁性ベース電極10としては、出来るだけスピン緩和長λnが長いほうがより大きなスピン蓄積が起こり、より大きな出力を得る事ができるため、Cu,Ag、Auのようなスピン緩和長の長い材料を用いる事が望ましい。
また、スピン注入端子12、グランド端子14、およびスピン検出端子のそれぞれの磁性層の材料としては、CoFe、CoFeBのような、多数キャリア比抵抗ρ+と小数キャリア比抵抗ρ−の差が大きい材料を用いる事が望ましい。より望ましくは、多数キャリアは存在するが、少数キャリアがほとんど存在しない、ハーフメタルを用いる事が望ましい。ハーフメタルとしてはホイスラー合金系のCo2Fe(Ge0.5Ga0.5)、Co2Mn(Ge0.5Ga0.5)などを用いる事ができるが、それ以外の材料であっても、ハーフメタルで有れば用いる事が出来る。また上記端子12、14、16と非磁性ベース電極10は直接接続してもかまわないが、CoFe/MgO(1nm)/Cuのように,間にトンネルバリアを挟んだ、トンネル接続としてもかまわない。ここで、MgO(1nm)は厚さが1nmのMgOを意味する。
スピン注入端子12およびグランド端子14の磁性層の磁化固着は、上記磁性層に接して反強磁性層を積層する事により、一方向異方性を付与することにより行うことが出来る。反強磁性層の材料としてはPtMn、IrMnなどを用いる事が出来る。また磁化が固着される磁性層は、CoFe/Ru/CoFeのように、間に上下の磁性体が反強磁性結合するような材料を挟んだ、いわゆるシンセティック構造とする事が出来る。シンセティック構造にする事により、磁化固着をより強固に行うことが出来る。
図14に、本実施形態の非局所スピンバルブ素子1を用いて、ハードディスクヘッドを構成する場合の磁化配列を示す。ハードディスクヘッドに使う場合にはスピン注入端子12とグランド端子14のそれぞれの磁性層の磁化は互いに反平行になるように反強磁性層を用いて磁化固着し、スピン検出端子の磁性層はそれに直交するように、ハードバイス層を用いてバイアス磁場をかけることが望ましい。
なお、図10に示す非局所スピンバルブ素子1は、非磁性ベース電極10の延在する方向に沿って、スピン注入端子12、グランド端子14、スピン検出端子16が非磁性ベース電極10に対して同じ側の面上に離間して設けられている。しかし、図15に示すように、非磁性ベース電極10に対して、スピン注入端子12とグランド端子14が同一面ではなくて、スピン注入端子12が設けられた面に対向する面に配置してもよい。
また、後述するように、図10に示す非局所スピンバルブ素子1において、スピン検出端子16を、スピン注入端子12およびグランド端子14が設けられている面に対向する非磁性ベース電極10の面に設けてもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、ビット・サイズの微小なハードディスク装置から、データの読出しを行うハードディスクヘッドに用いることができ、小型化が可能でかつ外部の影響を受けにくい3端子非局所スピンバルブ素子を得ることができる。
(第2実施形態)
第2実施形態によるハードディスクヘッドを図16に示す。この第2実施形態のハードディスクヘッドは、第1実施形態の非局所スピンバルブ素子1を磁気センサーとして用いている。第2実施形態のハードディスクヘッドは、第1実施形態の非局所スピンバルブ素子1と、下磁気シールド22と、上磁気シールド24とを備えている。この非局所スピンバルブ素子1は、非磁性ベース電極10と、この非磁性ベース電極10上に離間して設けられた、スピン注入端子12、グランド端子14、およびスピン検出端子16とを備えている。この第2実施形態においては、スピン注入端子12およびグランド端子14は、非磁性ベース電極10に対して同じ側に設けられ、スピン検出端子16は、非磁性ベース電極10の一方の端子近傍に設けられるとともに非磁性ベース電極10に対してスピン注入端子12およびグランド端子14と反対側に設けられる。
第2実施形態によるハードディスクヘッドを図16に示す。この第2実施形態のハードディスクヘッドは、第1実施形態の非局所スピンバルブ素子1を磁気センサーとして用いている。第2実施形態のハードディスクヘッドは、第1実施形態の非局所スピンバルブ素子1と、下磁気シールド22と、上磁気シールド24とを備えている。この非局所スピンバルブ素子1は、非磁性ベース電極10と、この非磁性ベース電極10上に離間して設けられた、スピン注入端子12、グランド端子14、およびスピン検出端子16とを備えている。この第2実施形態においては、スピン注入端子12およびグランド端子14は、非磁性ベース電極10に対して同じ側に設けられ、スピン検出端子16は、非磁性ベース電極10の一方の端子近傍に設けられるとともに非磁性ベース電極10に対してスピン注入端子12およびグランド端子14と反対側に設けられる。
スピン注入端子12は、磁化固着層12aと、この磁化固着層12a上に設けられ磁化固着層12aの磁化方向を固定する反強磁性層12bとを備えている。この反強磁性層12b上にリード端子17aが設けられている。
また、グランド端子14は、磁化固着層14aと、この磁化固着層14a上に設けられ磁化固着層14aの磁化方向を固定する反強磁性層14bとを備えている。この反強磁性層14b上にリード端子17bが設けられている。
スピン検出端子16下にリード端子17cが設けられ、このリード端子17cは下磁気シールド22に接続する。また、スピン検出端子16の直上の非磁性ベース電極10の領域上にはギャップを形成する絶縁層19を積層して、非磁性ベース電極10と磁気シールド24がこの領域では電気的に絶縁されるようにする。リード端子17bは上磁気シールド24に接続される。下磁気シールド22は、リード端子17cに接続する第1部分と、この第1部分に接続し非磁性ベース電極10の延在する方向に沿って延在する第2部分とを備えている。上磁気シールド24は、グランド端子14上のリード端子17bに接続する第1部分と、この第1部部に接続し、ABS面に延在する第2部分と、上記第1部分に接続し、外部リード端子18の上方に位置する第3部分と、を備えている。
非磁性ベース電極10のスピン検出端子16が設けられた側の端面、スピン検出端子16のグランド端子14と反対側の側面、下磁気シールド22および上磁気シールド24のグランド端子14と反対側の側面は、同一面上に位置し、この面がABSとなる。
上磁気シールド24と外部リード端子18とは電流源30に接続され、下磁気シールド22と上磁気シールド24とは電圧計32が接続される。これにより、スピン注入端子12とグランド端子14との間にセンス電流が流れ、非磁性ベース電極10を介してグランド端子14とスピン検出端子16との間の電圧が計測される。
なお、非局所スピンバルブ素子1と下磁気シールド22との間、および非局所スピンバルブ素子1と上磁気シールド24との間には、不必要な電気的な接触を防ぐために、電気的に絶縁する絶縁層25が設けられる。この絶縁層25としては、例えばアルミナが用いられる。
(変形例)
第2実施形態の変形例によるハードディスクヘッドを図17に示す。この変形例によるハードディスクヘッドは、図16に示すハードディスクヘッドにおいて、スピン注入端子12とスピン検出端子16の位置を入れ替えるとともに、スピン検出端子16およびグランド端子14のそれぞれの磁性層16a、14aを磁化固着層として、スピン注入端子12の磁性層をフリー層として用いた構成となっている。この場合、スピン検出端子16およびグランド端子14のそれぞれの磁性層16a、14aの磁化方向は互いに平行に固着する。そして、電流源30は、下磁気シールド22および上磁気シールド24に接続され、電圧計32は外部リード端子18と上磁気シールド24に接続される。
第2実施形態の変形例によるハードディスクヘッドを図17に示す。この変形例によるハードディスクヘッドは、図16に示すハードディスクヘッドにおいて、スピン注入端子12とスピン検出端子16の位置を入れ替えるとともに、スピン検出端子16およびグランド端子14のそれぞれの磁性層16a、14aを磁化固着層として、スピン注入端子12の磁性層をフリー層として用いた構成となっている。この場合、スピン検出端子16およびグランド端子14のそれぞれの磁性層16a、14aの磁化方向は互いに平行に固着する。そして、電流源30は、下磁気シールド22および上磁気シールド24に接続され、電圧計32は外部リード端子18と上磁気シールド24に接続される。
この変形例においては、スピン検出端子16、グランド端子14の磁化固着層16a、14aとフリー層であるスピン注入端子12の磁性層の磁化のなす角が外部磁場によって変動する。この角度が反平行により近づくほど、非磁性ベース電極10へのスピン蓄積が大きくなり、平行に近づくほど、スピン蓄積が小さくなる。このため、スピン検出端子16の電圧が変化する。これによって外部磁場を検出することが出来る。この配置の場合には、スピン検出端子16およびグランド端子14のそれぞれの磁化固着層16a、14aの磁化を反平行にしなくてもいいため、ヘッド作成をより簡単にすることが可能になる。
(実施例1)
実施例1によるハードディスクヘッドを図18に示す。この実施例1のハードディスクヘッドは、第2実施形態のハードディスクヘッドであって、以下のように作製される。
実施例1によるハードディスクヘッドを図18に示す。この実施例1のハードディスクヘッドは、第2実施形態のハードディスクヘッドであって、以下のように作製される。
まず、スピン検出端子16としてハーフメタルであるCo2Fe(Ge0.5Ga0.5)ホイスラー合金(以下CFGGと表記)を下磁気シールド22上に厚さ2nmのCuからなるリード端子17cを挟んでスパッタ法で成膜する。スピン検出端子16のサイズは厚さが5nm、幅(ABS面に並行方向)が12nm、長さ(ABS面に垂直方向)が10nmとする。そして、スピン検出端子16の周りは、アルミナからなるギャップ膜25を成膜する。このギャップ膜25の上に作成する非磁性ベース電極10と下磁気シールド22とが不必要な部分で電気的接触しないように絶縁されるようにする。そしてスピン検出端子16にオーバーラップするように非磁性ベース電極10としてCuを、長さが100nm、幅が12nm、厚さがスピン注入端子12との接合面から、グランド端子14との接合面までは10nm、グランド端子14との接合面からスピン検出端子16までは5nmとなるように2度に分けてスパッタ法で成膜する。
続いて、非磁性ベース電極10上に、スピン注入端子12およびグランド端子14を、スパッタ法を用いて成膜する。このとき、スピン注入端子12の磁化固着層12aは、Ruからなるスペーサを用いたシンセティック構造とする。すなわち、スピン注入端子12は、厚さが5nmのCFGG層12a1、厚さが1nmのCoFe層12a2、厚さが1nmのRu層12a3、厚さが4nmのCoFe層12a4、および厚さが10nmのIrMnの反強磁性層12bがこの順序で積層された積層構造を有している。したがって、スピン注入端子12においては、IrMn側の磁性層12a4の磁化のほうが大きい構造とする。
また、グランド端子14の磁化固着層14aも、同様にRuからなるスペーサを用いたシンセティック構造とする。すなわち、グランド端子14は、厚さが5nmのCFGG層14a1、厚さが1nmのCoFe層14a2、厚さが1nmのRu層14a3、厚さが3nmのCoFe層14a4、および厚さが10nmのIrMnの反強磁性層14bがこの順序で積層された積層構造を有している。したがって、グランド端子14においては、CFGG側の磁性層14a1の磁化のほうが大きい構造とする。
このようにシンセティック構造の厚みを変える事により、磁化固着層をスピンバルブ素子の長手方向(非磁性ベース電極10の延在する方向)に磁場をかけた磁場中アニールによって固着すると、スピン注入端子12においては、磁化の大きいIrMn側の磁性層124の磁化が磁場方向を向くため、非磁性ベース電極10側の磁性層12a2の磁化が磁場に対して反平行となる。これに対して、グランド端子14においては、磁化の大きいCFGG側の磁性層142の磁化が磁場方向を向くため平行になって固着され、スピン注入端子12およびグランド端子14の磁性層12a2、14a2の磁化方向を反平行に固着することができる。なお、スピン注入端子12もグランド端子14も幅が12nm、長さが10nmとした。そして、スピン注入端子12、グランド端子14の上面にスルーホールを残して周りをアルミナギャップ膜で覆い、上磁気シールド24と絶縁されるようにした。そしてスピン注入端子12の上面は、Cuからなるリード端子17aを介して、電流源30につなげる、Cuからなる外部リード端子18に接続し、グランド端子14は、Cuからなるリード端子17bを介して上磁気シールド24につなげる。
この実施例1においては、外部リード端子18と上磁気シールド24とが電流源30に接続され、上磁気シールド24と下磁気シールド22とが電圧計32に接続される。
この構成により、下磁気シールド22と上磁気シールド24との間のギャップ15nmを実現することができ、50μAのセンス電流で、2mVのヘッド出力を得る事ができる。これにより5Tbit/in2相当の磁気媒体と組み合わせて、25dBのヘッドSNを得る事が出来る。
(実施例2)
実施例2によるハードディスクヘッドを図19に示す。この実施例2のハードディスクヘッドは、第2実施形態のハードディスクヘッドであって、スピン注入端子12、グランド端子14、およびスピン検出端子16を構成する材料が異なる以外は、実施例1のハードディスクヘッドと同じ構成となっており、各要素のサイズも実施例の各要素と同じサイズとする。この実施例2において、スピン検出端子16は、厚さが5nmのCoFeB層161と、このCoFeB層161上に形成された厚さが1nmのMgO層162との積層構造を有する。
実施例2によるハードディスクヘッドを図19に示す。この実施例2のハードディスクヘッドは、第2実施形態のハードディスクヘッドであって、スピン注入端子12、グランド端子14、およびスピン検出端子16を構成する材料が異なる以外は、実施例1のハードディスクヘッドと同じ構成となっており、各要素のサイズも実施例の各要素と同じサイズとする。この実施例2において、スピン検出端子16は、厚さが5nmのCoFeB層161と、このCoFeB層161上に形成された厚さが1nmのMgO層162との積層構造を有する。
スピン注入端子12は、非磁性ベース電極10上に設けられた厚さが1nmのMgOからなるトンネルバリア層13a上に形成され、磁性層12aと、この磁性層12a上に設けられ磁性層12aの磁化方向を固着する厚さが10nmのPtMnからなる反強磁性層12bとを備えている。磁性層12aは、Ruからなるスペーサを用いたシンセティック構造を有している。すなわち、磁性層12aは、厚さが4nmのCoFeB層12a2と、厚さが1nmのRu層12a3と、厚さが5nmのCoFeB層12a4とがこの順序で積層された積層構造を有している。
グランド端子14は、非磁性ベース電極10上に設けられた厚さが1nmのMgOからなるトンネルバリア層13b上に形成され、磁性層14aと、この磁性層14a上に設けられ磁性層14aの磁化方向を固着する厚さが10nmのPtMnからなる反強磁性層14bとを備えている。磁性層14aは、Ruからなるスペーサを用いたシンセティック構造を有している。すなわち、磁性層14aは、厚さが5nmのCoFeB層14a2と、厚さが1nmのRu層14a3と、厚さが4nmのCoFeB層14a4とがこの順序で積層された積層構造を有している。
この実施例2においては、外部リード端子18と上磁気シールド24とが電流源30に接続され、上磁気シールド24と下磁気シールド22とが電圧計32に接続される。
このように、スピン注入、スピン検出を、CoFeBとMgOからなるトンネル接合によって行うことにより、スピン検出側の端子間の抵抗値が3kΩと高くなってしまう。しかし、30μAのセンス電流で出力として5mVの大きな値を得ることができる。このため5Tbit/in2相当の磁気記録媒体と組み合わせて25dBのヘッド出力を得ることができる。
(実施例3)
実施例3によるハードディスクヘッドを図20に示す。この実施例3のハードディスクヘッドは、図17に示す第2実施形態の変形例によるハードディスクヘッドであって、各要素のサイズは、実施例1の要素のサイズと同じになっている。すなわち、グランド端子14およびスピン検出端子16のそれぞれの磁性層は磁化固着層である。
実施例3によるハードディスクヘッドを図20に示す。この実施例3のハードディスクヘッドは、図17に示す第2実施形態の変形例によるハードディスクヘッドであって、各要素のサイズは、実施例1の要素のサイズと同じになっている。すなわち、グランド端子14およびスピン検出端子16のそれぞれの磁性層は磁化固着層である。
グランド端子14は、厚さが5nmのCFGG層14a1と、厚さが1nmのCoFeB層14a2と、厚さが1nmのRu層14a3と、厚さが4nmのCoFeB層14a4と、厚さが10nmのPtMn層14bがこの順序で積層された積層構造を有している。すなわち、CFGG層14a1、CoFeB層14a2、Ru層14a3、およびCoFeB層14a4からなる磁性層14aは、シンセティック構造を有している。
同様に、スピン検出端子16も、厚さが5nmのCFGG層16a1と、厚さが1nmのCoFeB層16a2と、厚さが1nmのRu層16a3と、厚さが4nmのCoFeB層16a4と、厚さが10nmのPtMn層16bがこの順序で積層された積層構造を有している。すなわち、CFGG層16a1、CoFeB層16a2、Ru層16a3、およびCoFeB層16a4からなる磁性層16aは、シンセティック構造を有している。
また、スピン注入端子12は、厚さが5nmのCFGG層を備えている。
この実施例3においては、下磁気シールド22と上磁気シールド24とが電流源30に接続され、外部リード端子18と上磁気シールド24とが電圧計32に接続される。
また、この実施例3においては、2つのグランド端子14およびスピン検出端子16は、同一構成を有しているため、スピンバルブ素子の長手方向に磁場をかけながら磁場中でのアニールを行うと、磁化は同一方向に固着される。それに対してフリー層となる磁性層を有するスピン注入端子12は、スピン注入端子12の側面に配置したハード膜によって磁場バイアスをされているため、磁化がABS面に対して平行になっている。この状態で記録媒体からの記録磁場がかかると、フリー層であるスピン注入端子12の磁性層の磁化が回転するため、それに伴ってCuからなる非磁性ベース電極10中のスピン蓄積量が変動する。すなわち、スピン注入端子12とグランド端子14のそれぞれの磁性層の磁化がより反平行に近づくほどスピン蓄積量がふえ、平行に近づくほどスピン蓄積量が減少する。このため、磁化固着層を有するスピン検出端子16に発生する電圧が変化する。それを検出することにより出力を得ることができる。50μAのセンス電流で出力として1.5mVの値を得ることができる。
(実施例4)
実施例4によるハードディスクヘッドを図21に示す。この実施例4のハードディスクヘッドにおいては、スピン注入端子12は下磁気シールド22と、Cuからなる非磁性ベース電極10との間に設けられるとともにCuからなるリード端子17aを介して下磁気シールド22に接続する。このスピン注入端子12は、リード端子17a上に、厚さが10nmのPtMnからなる反強磁性層12bと、厚さが4nmのCoFeB層12a4と、厚さが1nmのRu層12a3と、厚さが1nmのCoFeB層12a2と、厚さが5nmのCFGG層12a1とがこの順序で積層された積層構造を有している。CoFeB層12a4、Ru層12a3、CoFeB層12a2、およびCFGG層12a1はシンセティック構造の磁性層12aを形成する。CFGG層12a1が非磁性ベース電極10の下側の面に接続する。なお、スピン注入端子12のサイズは幅が12nm、長さが10nmである。また、Cuからなる非磁性ベース電極10のサイズは、長さが50nm、幅が12nm、厚さが10nmである。なお、長さは、非磁性ベース電極10の延在する方向における寸法を意味する。また、厚さは、上面と下面との間の寸法を意味し、幅は、長さ方向と厚さ方向に直交する方向の寸法を意味する。
実施例4によるハードディスクヘッドを図21に示す。この実施例4のハードディスクヘッドにおいては、スピン注入端子12は下磁気シールド22と、Cuからなる非磁性ベース電極10との間に設けられるとともにCuからなるリード端子17aを介して下磁気シールド22に接続する。このスピン注入端子12は、リード端子17a上に、厚さが10nmのPtMnからなる反強磁性層12bと、厚さが4nmのCoFeB層12a4と、厚さが1nmのRu層12a3と、厚さが1nmのCoFeB層12a2と、厚さが5nmのCFGG層12a1とがこの順序で積層された積層構造を有している。CoFeB層12a4、Ru層12a3、CoFeB層12a2、およびCFGG層12a1はシンセティック構造の磁性層12aを形成する。CFGG層12a1が非磁性ベース電極10の下側の面に接続する。なお、スピン注入端子12のサイズは幅が12nm、長さが10nmである。また、Cuからなる非磁性ベース電極10のサイズは、長さが50nm、幅が12nm、厚さが10nmである。なお、長さは、非磁性ベース電極10の延在する方向における寸法を意味する。また、厚さは、上面と下面との間の寸法を意味し、幅は、長さ方向と厚さ方向に直交する方向の寸法を意味する。
グランド端子14は、非磁性ベース電極10のスピン注入端子12が設けられた側と反対側の面におけるスピン注入端子12にほぼ対向する位置に設けられている。このグランド端子14は、厚さが3nmのCFGG層14a1、厚さが1nmのCoFeB層14a2、厚さが1nmのRu層14a3、厚さが5nmのCoFeB層14a4と、厚さが10nmのPtMnからなる反強磁性層14bとが、この順序で積層された積層構造を有している。CFGG層14a1、CoFeB層14a2、Ru層14a3、およびCoFeB層14a4は、シンセティック構造の磁性層14aを形成する。グランド端子14は、反強磁性層14b上に設けられたリード端子17bを介して外部リード端子18に接続される。
スピン検出端子16は、グランド端子14が設けられた側の非磁性ベース電極10の面に設けられ、厚さが5nmのCFGG層からなっている。このCFGG層16上に厚さが2nmのCuからなるリード端子17cが設けられる。このリード端子17cを介してスピン検出端子16は上磁気シールド24に接続する。スピン検出端子16およびリード端子17cは、非磁性ベース電極10の端面からABSに向かって張り出すように形成される。スピン検出端子16のサイズは、幅が12nm、長さが10nm、厚さが5nmである。
なお、非磁性ベース電極10、下磁気シールド22、上磁気シールド24がそれぞれ直接に接触しないように、それらの間には絶縁層25が設けられている。この絶縁層25としては、例えばアルミナが用いられる。
また、スピン検出端子16の両脇にはハード磁性膜(図示せず)を配置して、ハード膜バイアス磁界をかけ、その磁化がABS面に対して平行方向を向くように配置した。スピン注入端子12、グランド端子14は磁場中アニールによって、それぞれのCFGG層12a1、14a1の磁化が反平行になるように磁化固着する。
この実施例4においては、下磁気シールド22と外部リード端子18とが電流源30に接続され、外部リード端子18と上磁気シールド24とが電圧計32に接続される。
このような構成とすることにより、磁気シールド間のギャップを15nmすることができ、実施例1と同様に、50μAのセンス電流で、2mVのヘッド出力を得る事ができる。これにより5Tbit/in2相当の磁気記録媒体と組み合わせて、25dBのヘッドSNを得る事が出来る。
(実施例5)
実施例1の変形例として、図18に示す実施例1ハードディスクヘッドにおいて、スピン注入端子12をシンセティック構造とせず、単純な磁化固着構造とした。すなわち図18において、スピン注入端子を、厚さが5nmのCFGG層、厚さが1nmのCoFeB層、および厚さが10nmのIrMnの反強磁性層がこの順序で積層された積層構造に置き換えた。それ以外は実施例1と同じ構成となっている。
実施例1の変形例として、図18に示す実施例1ハードディスクヘッドにおいて、スピン注入端子12をシンセティック構造とせず、単純な磁化固着構造とした。すなわち図18において、スピン注入端子を、厚さが5nmのCFGG層、厚さが1nmのCoFeB層、および厚さが10nmのIrMnの反強磁性層がこの順序で積層された積層構造に置き換えた。それ以外は実施例1と同じ構成となっている。
この実施例においては、スピン注入端子はシンセティック構造でなく、一方、グランド端子はシンセティック構造となっているため、シンセティック構造の磁化が同じ方向を向く程度の高磁場下で磁化固着アニールを行えば、磁化固着後に低磁場ではスピン注入端子と、グランド端子におけるCFGG層の磁化が互いに反並行に固着される。
この構成により、下磁気シールドと上磁気シールドとの間のギャップ15nmを実現することができ、50μAのセンス電流で、2mVのヘッド出力を得ることができる。これにより5Tbit/in2との磁気媒体と組み合わせて、25dBのヘッドSNを得ることができる。
(比較例1)
実施例1に対する比較例1によるハードディスクヘッドを図22に示す。この比較例1のハードディスクヘッドは、図18に示す実施例1ハードディスクヘッドにおいて、スピン注入端子12をCu層13に置き換えた構成を有している。Cu層13以外は、実施例1と同じ構成となっている。
実施例1に対する比較例1によるハードディスクヘッドを図22に示す。この比較例1のハードディスクヘッドは、図18に示す実施例1ハードディスクヘッドにおいて、スピン注入端子12をCu層13に置き換えた構成を有している。Cu層13以外は、実施例1と同じ構成となっている。
この比較例1においては、外部リード端子18によって非磁性ベース電極10のスピン蓄積が大きく減少してしまい、50μAのセンス電流を流しても、0.2mVの出力しか得る事が出来ない。このため、5Tbit/in2相当の磁気記録媒体と組み合わせても、出力を読み取ることは出来ない。
(比較例2)
比較例2によるハードディスクヘッドを図23に示す。この比較例2のハードディスクヘッドは、比較例1のハードディスクヘッドにおいて、Cuからなる非磁性ベース電極10の長さを長くし、かつCu層13とグランド端子14までの距離が100nmとなるように構成したものである。
比較例2によるハードディスクヘッドを図23に示す。この比較例2のハードディスクヘッドは、比較例1のハードディスクヘッドにおいて、Cuからなる非磁性ベース電極10の長さを長くし、かつCu層13とグランド端子14までの距離が100nmとなるように構成したものである。
この比較例2においても、Cu中のスピン緩和長が400nm程度であるため、非磁性ベース電極10の長さが十分ではなく、十分なスピン蓄積を得ることができない。そればかりではなく、非磁性ベース電極10が長くなったために、外部リード端子18と、スピン検出端子16間の抵抗が大きくなってしまい、熱ノイズが増加する。また、センス電流による発熱が大きくなり、熱安定性が劣化する。また、プロセス上の欠陥が発生する確率が増し、歩留まりも悪くなる。以上の影響により、50μAのセンス電流を流しても、0.5mVの出力しか得る事が出来ず、SN比は15dBしか得られない。このため、5Tbit/in2相当の磁気記録媒体と組み合わせても、出力を読み取ることは出来ない。
(比較例3)
比較例3による3端子非局所スピンバルブ素子を図24に示す。この比較例3の3端子非局所スピンバルブ素子は、以下のように作製される。下磁気シールド22上にCu層23を形成し、このCu層23の周囲は例えばアルミナからなる絶縁層(図示せず)で取り囲む。その後、Cu層23に接続するように、上記絶縁層上にCuからなる非磁性ベース電極10を、スパッタ法を用いて形成する。この非磁性ベース電極10のサイズは、厚さが5nm、幅が12nm、長さが100nmである。そして、非磁性ベース電極10に接するようにスピン注入端子12、スピン検出端子16をスパッタ法で成膜する。このとき、スピン注入端子12は、Ruからなるスペーサを用いたシンセティック構造の磁性層12aと、この磁性層12a上に形成された反強磁性層12bとを備えている。磁性層12aは、厚さが4nmのCFGG層、厚さが1nmのCoFe層、厚さが1nmのRu層、および厚が5nmのCoFe層がこの順序で積層された積層構造を有している。反強磁性層12bとしては、厚さが10nmのPtMnが用いられる。
比較例3による3端子非局所スピンバルブ素子を図24に示す。この比較例3の3端子非局所スピンバルブ素子は、以下のように作製される。下磁気シールド22上にCu層23を形成し、このCu層23の周囲は例えばアルミナからなる絶縁層(図示せず)で取り囲む。その後、Cu層23に接続するように、上記絶縁層上にCuからなる非磁性ベース電極10を、スパッタ法を用いて形成する。この非磁性ベース電極10のサイズは、厚さが5nm、幅が12nm、長さが100nmである。そして、非磁性ベース電極10に接するようにスピン注入端子12、スピン検出端子16をスパッタ法で成膜する。このとき、スピン注入端子12は、Ruからなるスペーサを用いたシンセティック構造の磁性層12aと、この磁性層12a上に形成された反強磁性層12bとを備えている。磁性層12aは、厚さが4nmのCFGG層、厚さが1nmのCoFe層、厚さが1nmのRu層、および厚が5nmのCoFe層がこの順序で積層された積層構造を有している。反強磁性層12bとしては、厚さが10nmのPtMnが用いられる。
スピン検出端子16として、ハーフメタルであるCFGGホイスラー合金をスパッタ法で成膜する。このスピン検出端子16のサイズは厚さ5nm、幅12nm、長さ10nmである。
そして、スピン注入端子12の上部がCuスルーホール(図示せず)を通じて上磁気シールド24aと接続されるように、厚さが2nmのCu層と、このCu層の周囲にアルミナギャップ膜を成膜する。また、スピン検出端子16の上部がCuスルーホール(図示せず)を通じて上磁気シールド24bと接続されるように、厚さが2nmのCu層と、このCu層の周囲にアルミナギャップ膜を成膜する。その後、上磁気シールド24a、24bを形成する。
スピン注入端子12の磁性層の磁化固着は、スピンバルブ素子の長手方向(非磁性ベース電極の延在する方向)に磁場をかけた磁場中アニールによって固着を行う。スピン検出端子16は側面に設けたハード膜バイアスによって、ABS面に対して並行に磁化バイアスを行う。
この構成により、下磁気シールド22と上磁気シールド24bとの間のギャップが15nmとなるようにすることができる。
この比較例3においては、下磁気シールド22と上磁気シールド24aに電流源30が接続され、下磁気シールド22と上磁気シールドに電圧計32が接続される。
しかしながら、非磁性ベース電極10と下磁気シールド22が非磁性体であるCuスルーホール23を通じてごく短距離で下磁気シールド22に接続されているため、非磁性ベース電極10のスピン蓄積が下磁気シールド22でショートされてしまい、ほとんどスピン蓄積が起こらなかった。また磁気シールドとして用いられる材料は十分なスピン分極を持っておらず、接合面で不要なスピン散乱が発生し、また下磁気シールド22の磁化が外部磁場によって変動することによりノイズが発生して、良好なSN比を得ることができない。磁気シールドは磁気シールドとしての役割を果たすように設計されているが、スピンバルブMRを起こすには出来ておらず、このため、ハードディスクヘッドとして、磁気媒体からの信号を再生することは出来ない。
(比較例4)
比較例4によるハードディスクヘッドを図25に示す。この比較例4のハードディスクヘッドは、比較例3のハードディスクヘッドにおいて、Cuからなる非磁性ベース電極10の長さを長くし、かつCu層13とグランド端子14までの距離が100nmとなるように構成したものである。
比較例4によるハードディスクヘッドを図25に示す。この比較例4のハードディスクヘッドは、比較例3のハードディスクヘッドにおいて、Cuからなる非磁性ベース電極10の長さを長くし、かつCu層13とグランド端子14までの距離が100nmとなるように構成したものである。
Cu中のスピン緩和長が400nm程度あるため、この比較例4の場合でも、非磁性ベース電極10の長さが十分ではなく、十分なスピン蓄積を得ることができなかった。そればかりではなく、非磁性ベース電極10が長くなったために、下磁気シールド22と、スピン検出端子間の抵抗が大きくなってしまい、熱ノイズが増加する。またセンス電流による発熱が大きくなり、熱安定性が劣化した。またプロセス上の欠陥が発生する確率がまし、歩留まりも悪くなる。以上の影響により、ハードディスクヘッドとして、磁気媒体からの信号を再生することは出来ない。
(第3実施形態)
第3実施形態による磁気記録再生装置について説明する。
第3実施形態による磁気記録再生装置について説明する。
上述した第2実施形態に記載のハードディスクヘッドは、例えば、記録再生一体型の磁気ヘッドアセンブリに組み込まれ、磁気記録再生装置(HDD)に搭載することができる。なお、本実施形態による磁気記録再生装置は、再生機能を有することもできるし、記録機能と再生機能の両方を有することもできる。
図26は第3実施形態による磁気記録再生装置の構成を示す斜視図である。図26に示すように、磁気記録再生装置は、筐体110を備えている。筐体110は、上面の開口した矩形箱状のベース112と、複数のねじ111によりベース112にねじ止めされてベース112の上端開口を閉塞したトップカバー114と、を有している。ベース112は、矩形状の底壁112aと、底壁112aの周縁に沿って立設された側壁112bとを有している。
筐体110内には、記録媒体としての1枚の磁気ディスク116、およびこの磁気ディスク116を支持および回転させる駆動部としてのスピンドルモータ118が設けられている。スピンドルモータ118は、底壁112a上に配設されている。なお、筐体110は、複数枚、例えば、2枚の磁気ディスクを収容可能な大きさに形成され、スピンドルモータ118は、2枚の磁気ディスクを支持および駆動可能に形成されている。
筐体110内には、磁気ディスク116に対して情報の記録、再生を行なう複数のハードディスクヘッド117と、これらのハードディスクヘッド117を磁気ディスク116に対して移動自在に支持したヘッドスタックアッセンブリ(以下HSAともいう)122と、HSA122を回動および位置決めするボイスコイルモータ(以下VCMともいう)124と、ハードディスクヘッド117が磁気ディスク116の最外周に移動した際、ハードディスクヘッド117を磁気ディスク116から離間した退避位置に保持するランプロード機構125と、HDDに衝撃などが作用した際、HSA122を退避位置に保持するラッチ機構126と、プリアンプなどを有する基板ユニット121と、が収納されている。ベース112の底壁112a外面には、図示しないプリント回路基板がねじ止めされている。プリント回路基板は、基板ユニット121を介してスピンドルモータ118、VCM124、およびハードディスクヘッド117の動作を制御する。ベース112の側壁には、可動部の稼動によって筐体内に発生した塵埃を捕獲する循環フィルタ123が設けられ、磁気ディスク116の外側に位置している。
磁気ディスク116は、例えば、直径65mm(2.5インチ)に形成され、上面および下面に磁気記録層を有している。磁気ディスク116は、スピンドルモータ118の図示しないハブに互いに同軸的に嵌合されているとともにクランプばね127によりクランプされ、ハブに固定されている。これにより、磁気ディスク116は、ベース112の底壁112aと平行に位置した状態に支持されている。そして、磁気ディスク116は、スピンドルモータ118により所定の速度、例えば、5400rpmあるいは7200rpmの速度で回転される。
図27は、本実施形態の磁気記録再生装置のヘッドスタックアッセンブリ(HSA)122を示す斜視図、図28はHSA122を示す分解斜視図である。図27、図28に示すように、HSA122は、回転自在な軸受部128と、軸受部から延出した2本のヘッドジンバルアッセンブリ(以下、HGAと称する)130と、HGA130間に積層配置されたスペーサリング144と、ダミースペーサ150とを備えている。
軸受部128は、ベース112の長手方向に沿って磁気ディスク116の回転中心から離間して位置しているとともに、磁気ディスク116の外周縁近傍に配置されている。軸受部128は、ベース112の底壁112aに立設される枢軸132と、枢軸に軸受134を介して回転自在にかつ枢軸と同軸的に支持された円筒形状のスリーブ136とを有している。スリーブ136の上端には環状のフランジ137が形成され、下端部外周には、ねじ部138が形成されている。軸受部128のスリーブ136は、最大本数として、例えば4本のHGAと、隣り合う2つのHGA140間に位置するスペーサとを積層状態で取付け可能な大きさ、ここでは取付け可能な軸方向長さを有して形成されている。
本実施形態において、磁気ディスク116は1枚に設定されていることから、取付け可能な最大本数である4本よりも少ない2本のHGA130が軸受部128に設けられている。各HGA130は、軸受部128から延出したアーム140、アームから延出したサスペンション142、およびサスペンションの延出端にジンバル部を介して支持されたハードディスクヘッド117を有している。
アーム140は、例えば、ステンレス、アルミニウム、ステンレスを積層して薄い平板状に形成され、その一端、つまり、基端には円形の透孔141が形成されている。サスペンション142は、細長い板ばねにより構成され、その基端がスポット溶接あるいは接着によりアーム140の先端に固定され、アームから延出している。なお、サスペンション142およびアーム140は、同一材料で一体に形成してもよい。
ハードディスクヘッド117は、第2実施形態のいずれか1つの磁気ヘッドであって、図示しないほぼ矩形状のスライダとこのスライダに形成された記録ヘッドを備えている。
このハードディスクヘッド117は、サスペンション142の先端部に形成されたジンバル部に固定されている。また、ハードディスクヘッド117は、図示しない4つの電極を有している。アーム140およびサスペンション142上には図示しない中継フレキシブルプリント回路基板(以下、中継FPCと称する)が設置され、ハードディスクヘッド117は、この中継FPCを介してメインFPC121bに電気的に接続される。
このハードディスクヘッド117は、サスペンション142の先端部に形成されたジンバル部に固定されている。また、ハードディスクヘッド117は、図示しない4つの電極を有している。アーム140およびサスペンション142上には図示しない中継フレキシブルプリント回路基板(以下、中継FPCと称する)が設置され、ハードディスクヘッド117は、この中継FPCを介してメインFPC121bに電気的に接続される。
スペーサリング144は、アルミニウムなどにより所定の厚さおよび所定の外径に形成されている。このスペーサリング144には、合成樹脂からなる支持フレーム146が一体的に成形され、スペーサリングから外方に延出している。支持フレーム146には、VCM124のボイスコイル147が固定されている。
ダミースペーサ150は、環状のスペーサ本体152と、スペーサ本体から延出したバランス調整部154とを有し、例えば、ステンレスなどの金属に一体的に形成されている。スペーサ本体152の外径は、スペーサリング144の外径と等しく形成されている。
すなわち、スペーサ本体152のアームと接触する部分の外径は、スペーサリング144がアームに接触する部分の外径と同一に形成されている。また、スペーサ本体152の厚さは、HGAの最大本数よりも少ない本数分、ここでは、2本のHGAにおけるアームの厚さ、つまり、2本のアーム分の厚さと、これらアーム間に配設されるスペーサリングの厚さとを合計した厚さに形成されている。
すなわち、スペーサ本体152のアームと接触する部分の外径は、スペーサリング144がアームに接触する部分の外径と同一に形成されている。また、スペーサ本体152の厚さは、HGAの最大本数よりも少ない本数分、ここでは、2本のHGAにおけるアームの厚さ、つまり、2本のアーム分の厚さと、これらアーム間に配設されるスペーサリングの厚さとを合計した厚さに形成されている。
ダミースペーサ150、2本のHGA130、スペーサリング144は、スペーサ本体152の内孔、アーム140の透孔141、スペーサリングの内孔に軸受部128のスリーブ136が挿通された状態でスリーブの外周に嵌合され、スリーブの軸方向に沿ってフランジ137上に積層配置されている。ダミースペーサ150のスペーサ本体152は、フランジ137と一方のアーム140との間、およびスペーサリング144は、2本のアーム140間にそれぞれ挟まれた状態でスリーブ136の外周に嵌合されている。更に、スリーブ136の下端部外周には、環状のワッシャ156が嵌合されている。
スリーブ136の外周に嵌合されたダミースペーサ150、2本のアーム140、スペーサリング144、ワッシャ156は、スリーブ136のねじ部138に螺合されたナット158とフランジ137との間に挟持され、スリーブの外周上に固定保持されている。
2本のアーム140は、スリーブ136の円周方向に対して互いに所定位置に位置決めされ、スリーブから同一の方向へ延出している。これにより、2本のHGAは、スリーブ136と一体的に回動可能となっているとともに、磁気ディスク116の表面と平行に、かつ、互いに所定の間隔を置いて向かい合っている。また、スペーサリング144と一体の支持フレーム146は、軸受部128からアーム140と反対の方向へ延出している。
支持フレーム146からはピン状の2本の端子160が突出し、これらの端子は、支持フレーム146内に埋め込まれた図示しない配線を介してボイスコイル147に電気的に接続されている。
支持フレーム146からはピン状の2本の端子160が突出し、これらの端子は、支持フレーム146内に埋め込まれた図示しない配線を介してボイスコイル147に電気的に接続されている。
サスペンション142は信号の書き込み及び読み取り用のリード線(図示しない)を有し、このリード線とスライダに組み込まれた磁気ヘッドの各電極とが電気的に接続されている。また、図示しない電極パッドが、磁気ヘッドアセンブリ130に設けられる。
そして、磁気ヘッドを用いて磁気記録媒体への信号の書き込みと読み出しを行う、図示しない信号処理部が設けられる。この信号処理部は、例えば、図26に示した磁気記録再生装置の図面中の背面側に設けられる。上記信号処理部の入出力線は、電極パッドに接続され、磁気ヘッドと電気的に結合される。
このように、本実施形態に係る磁気記録再生装置は、磁気記録媒体と、第2実施形態のいずれかによるハードディスクヘッドと、磁気記録媒体とハードディスクヘッドとを離間させ、または、接触させた状態で対峙させながら相対的に移動可能とした可動部(移動制御部)と、ハードディスクヘッドを磁気記録媒体の所定記録位置に位置合せする位置制御部と、ハードディスクヘッドを用いて磁気記録媒体への信号の書き込みと読み出しを行う信号処理部と、を備える。すなわち、上記の磁気記録媒体として、記録用媒体ディスク116が用いられる。上記の可動部は、スライダを含むことができる。また、上記の位置制御部は、HSA122を含むことができる。
磁気ディスク116を回転させ、ボイスコイルモータ124にアクチュエータアーム140を回転させてスライダを磁気ディスク116上にロードすると、ハードディスクヘッドに搭載したスライダの媒体対向面(ABS)が磁気ディスク116の表面から所定の浮上量をもって保持される。この状態で、上述したような原理に基づいて、磁気ディスク116に記録された情報を読み出すことができる。
この第3実施形態の磁気記録再生装置は、第2実施形態のいずれかのハードディスクヘッドを用いているので、出力電圧を増大することができるとともにシールド間のギャップを狭めることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1・・・3端子非局所スピンバルブ素子(磁気センサー装置)、10・・・非磁性ベース層(非磁性ベース電極)、12・・・スピン注入端子、12a・・・磁性層、12b・・・反強磁性層、14・・・グランド端子、14a・・・磁性層、14b・・・反強磁性層、16・・・スピン検出端子、16a・・・磁性層、16b・・・反強磁性層、17a・・・リード端子、17b・・・リード端子、17c・・・リード端子、30・・・電流源、32・・・電圧計
Claims (3)
- 非磁性層と、
磁化の方向が可変な第1磁性層を含み、前記非磁性層の第1部分に配置された第1端子と、
第2磁性層を含み、前記非磁性層の第2部分に配置された第2端子と、
磁化の方向が前記第2磁性層と反平行の第3磁性層を含み、前記非磁性層の第3部分に配置された第3端子と、
前記第2端子と前記第3端子との間に電流を供給可能な電流回路と、
前記電流が供給されている状態で、前記第1端子と前記第2端子間または、前記第1端子と前記第3端子間の電圧を検出可能な電圧検出部と、
を備えた磁気センサー装置。 - 第1磁気シールドと、
第2磁気シールドと、
前記第1磁気シールドと前記第2磁気シールドとの間に設けられた請求項1記載の磁気センサー装置と、
を備えたハードディスクヘッド。 - 磁気記録媒体と、
請求項2記載のハードディスクヘッドと、
を備えた磁気記録再生装置。
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2017
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