JP2017215823A - 検査用画像生成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】外観検査用に、不規則な歪みがなく、高い分割能で、レール上を走行する鉄道車両の撮影画像を得ることのできる検査用画像生成装置を提供する。【解決手段】この検査用画像生成装置は、線路上を移動する鉄道車両を上下方向に走査して撮影画像を得るラインスキャン型の撮影手段(12)と、上下方向の基準位置が示された表示面を有し且つ撮影手段の撮影箇所と重なる位置で線路に固定された基準器(17)と、鉄道車両の上下動に起因する前記撮影画像の形状の歪みを補正する歪み補正手段とを備え、歪み補正手段は、撮影画像に連続的に写り込んだ基準位置を示す線が直線状になるように撮影画像を部分毎に上下方向にずらすレール歪み補正手段と、撮影画像のうち、鉄道車両の台車およびレールが写される領域の画像を除いて、鉄道車両の車体および車体に固定的に接続された付属物が写される領域の画像を部分毎に上下方向にずらす車体歪み補正手段とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、鉄道車両の外観検査用に撮影画像を生成する検査用画像生成装置に関する。
以前より、鉄道機関では鉄道車両の外観に異常がないか定期的に検査が行われている。外観検査では、検査員が車両の下に潜ったり、屋根上に登ったりして、主に目視により異常がないか確認が行われる。異常が認められた場合には、速やかに関係部署に連絡がなされ、修復の手配がなされる。このような検査作業は、多くの手間を要し、検査員の危険を伴うものであった。
そこで、従来、撮影装置を用いて鉄道車両を撮影し、撮影画像から鉄道車両の外観の検査を行うことが提案されている(例えば特許文献1、2を参照)。特許文献1の技術は、鉄道車両の特定部位を所定のアングルから専用のカメラで撮影し、その撮影画像を基準画像と比較して異常の有無を判別するものである。特許文献2の技術は、線路上を走る列車を撮影して列車全体の画像を合成し、その中に所定の検査領域を設定して正常な列車画像と比較することで、異常の有無を判別するものである。列車全体の画像は、列車の側方から高速連写して得た複数の画像を切り貼りして作成される。
他方、工業製品等の外観検査の分野において、ラインスキャンカメラを用いた検査システムが一般に知られている。ラインスキャンカメラは、移動する被写体の映像を1ラインの光学像ごと取り込み、取り込まれた1ラインの撮影画像を連続的につなぎ合わせて二次元画像を得る。ラインスキャンカメラによれば、一方向に長い被写体の撮影を連続的に行える。加えて、光学像を電気信号に変える撮像処理を一次元の光学像ごとに行うため、二次元の撮像を行うエリアカメラと比べて非常に高い分割能が得られるという特徴がある。
特開平5−143714号公報 特開2013−53875号公報
撮影装置を用いて鉄道車両の外観検査を行う上記従来の提案には、幾つかの課題があった。例えば特許文献1の検査装置では、鉄道車両の画像を特定の部位ごとに専用のカメラで所定のアングルから撮影するため、必要な撮影機材が多く、コストが高騰するという課題がある。加えて、検査部位を個別に撮影するため撮影処理が非常に煩雑になるという課題がある。鉄道車両の検査箇所が増えると、それに伴ってコストと煩雑さが倍増する。
また、特許文献2の検査装置では、撮影処理は比較的に容易になるが、分割能が高く歪みの少ない列車の画像を得ることが難しく、目視による検査と比較して、検査精度が低くなるという課題がある。特許文献2に示されるように、列車の走行中に高速連写を行うと、列車の移動速度と撮影タイミングのばらつき等により、1つの撮影画像の中心に写る箇所と、中心から外れた横方に写る箇所とが、撮影のたびに異なることになる。一般的な撮影画像では、画像中心部分はその箇所を真っ直ぐ見た形状を表示するが、横方の部分はその箇所を左右斜めから見た形状を表示することになり、形状の相違が生じる。このため、このような画像を合成して得た列車の撮影画像には、部分的に形状の歪みが表れ、さらに、形状の歪みの表れる箇所が撮影のたびごとに異なり一定しない。遠目から列車を撮影することでこのような形状の歪みを小さくできるが、その場合、撮影画像の分割能が非常に低くなる。
一方、ラインスキャンカメラを用いることで、左右斜めから見た形状が画像に含まれることを回避することができる。しかしながら、ラインスキャンカメラは、例えばライン生産工程などで一様に照らされ且つ正確な速度で搬送されてくる工業製品など、撮影環境が整った状況の被写体を撮影対象とするのが一般的であった。そして、このように環境の整った状況での撮影により、歪みのない高分割能の撮影画像が得られていた。
撮影画像により外観検査を行う場合、例えば鉄道車両が車両基地へ入区する際などに撮影を行えると、検査のためだけに車両を動かす手間と時間とが省けて都合がよい。しかしながら、このような条件では鉄道車両を正確に一定の速度で移動することは難しい。また、レールが敷設される地盤には強固な箇所と比較的に軟弱な箇所とが存在する。このため、レール上を鉄道車両が走行する際、鉄道車両は自重によって僅かに上下に変位する。さらに、台車と車体との間には空気バネなどのサスペンションが設けられているので、サスペンションの作用に起因する車体の上下動も生じる。従って、何ら工夫がないと、このように走行する鉄道車両をラインスキャンカメラにより撮影しても、高い分解能で且つ歪みの少ない撮影画像を得ることは困難であった。
本発明は、外観検査用に、不規則な歪みがなく、高い分割能で、レール上を走行する鉄道車両の撮影画像を得ることのできる検査用画像生成装置を提供することを目的とする。
本発明の検査用画像生成装置は、上記目的を達成するため、
線路上を移動する鉄道車両を上下方向に走査して撮影画像を得るラインスキャン型の撮影手段と、
上下方向の基準位置が示された表示面を有し且つ前記撮影手段の撮影箇所と重なる位置で線路に固定された基準器と、
鉄道車両の上下動に起因する前記撮影画像の形状の歪みを補正する歪み補正手段とを備え、
前記歪み補正手段は、
前記撮影画像に連続的に写り込んだ前記基準位置を示す線が直線状になるように前記撮影画像を部分毎に上下方向にずらすレール歪み補正手段と、
前記撮影画像のうち、鉄道車両の台車およびレールが写される領域の画像を除いて、鉄道車両の車体および前記車体に固定的に接続された付属物が写される領域の画像を部分毎に上下方向にずらす車体歪み補正手段と、
を有することを特徴としている。
このような構成によれば、ラインスキャン型の撮影手段によって、分解能が高く、何れの箇所でも一定方向から見たときの形状が示された鉄道車両の撮影画像が得られる。さらに、歪み補正手段により、撮影画像から、レールの沈み込みに起因する撮影画像の形状の歪みと、サスペンションの作用による車体の上下振動に起因する撮影画像の形状の歪みとが修正される。よって、不規則な歪みのない、外観検査に適した鉄道車両の撮影画像を提供できる。
ここで、前記車体歪み補正手段は、
前記撮影画像のうち、鉄道車両の台車およびレールが写される領域を隠し、鉄道車両の車体および前記車体に固定的に接続された付属物が写される領域の画像を抽出するマスク手段と、
前記マスク手段により抽出された画像を上下方向に長い矩形状の画像要素に分割する歪み画像分割手段と、
前記矩形状の画像要素を鉄道車両の基準画像と比較して上下方向のズレを修正する画像修正手段と、
前記画像修正手段により修正された画像に前記マスク手段により隠された領域の画像を復元するマスク解除手段と、
を含んでいるとよい。
このような構成により、空気バネなどのサスペンションの作用による車体の上下振動に起因する撮影画像の歪みを綺麗に修正することができる。
また、本発明に係る検査用画像生成装置は、
鉄道車両の移動速度に起因する前記撮影画像の各部の縦横比のばらつきを補正する速度伸縮補正手段をさらに備え、
前記速度伸縮補正手段は、
前記撮影画像のエッジ抽出を行って鉄道車両の特徴部分を抽出する特徴部分抽出手段と、
前記撮影画像を上下方向に長い矩形状の画像要素に分割する伸縮画像分割手段と、
鉄道車両の特徴部分の基準的な形状が示された基準プロファイルと、前記特徴部分抽出手段により抽出された特徴部分とを比較して撮影画像の各部の縦横比のズレを計算する縦横比計算手段と、
前記縦横比計算手段が計算した縦横比のズレがなくなるように前記伸縮画像分割手段により分割された画像要素を横方向に伸縮する画像伸縮手段と、
を含んでいるとよい。
このような構成により、鉄道車両の移動速度に起因した画像の歪みを綺麗に修正することができる。
さらに、本発明に係る検査用画像生成装置は、前記レール歪み補正手段、前記速度伸縮補正手段、前記車体歪み補正手段の順で、前記撮影画像の補正処理を行うように構成するとよい。
この構成によれば、先ず、レール歪み補正手段により、画像の全域に対する縦方向の補正が行われるので、速度伸縮補正手段の補正処理の際、撮影画像内の各部の縦横比の計算を容易に且つ精度高く行うことができる。よって、移動速度に起因する撮影画像の歪みを綺麗に修正できる。さらに、レール歪み補正手段および速度伸縮補正手段により、画像の全域に対する縦方向の補正と横方向の補正とが行われた後に、車体歪み補正手段の補正処理が行われるので、撮影画像中の車体と台車との切り分けを容易に且つ精度高く行うことができる。これにより、空気バネなどのサスペンションによる車体の上下振動に起因する画像の歪みをより綺麗に修正することができる。
さらに、本発明に係る検査用画像生成装置は、
前記基準器の前記表示面に、さらに複数階調の明度が示される明度表示部が含まれ、
前記撮影画像に含まれる前記明度表示部の複数階調の明度に基づいて前記撮影画像の輝度を補正する輝度補正手段をさらに備えるとよい。
この構成によれば、基準器の明度表示部を用いた輝度補正によって撮影画像ごとの明度のばらつきを抑えることができる。また、1つの基準器で、レール歪み補正の指標と、輝度補正の指標との両方を与えることができる。
本発明によれば、外観検査用に、不規則な歪みがなく、高い分割能で、レール上を走行する鉄道車両の撮影画像を得ることのできる検査用画像生成装置を提供できる。
本発明の実施形態に係る鉄道車両の外観検査装置の全体構成を示すブロック図である。 実施形態の外観検査装置の幾つかの構成要素の配置例を示す図である。 基準器を示す正面図である。 検査処理装置により実行される検査処理の手順を示すフローチャートである。 図4のステップS2で実行されるレール歪み補正処理の一例を説明する図で、(a)は補正前の撮影画像図、(b)は補正後の撮影画像図である。 図4のステップS3で実行される輝度補正処理の一例を示す説明図である。 図4のステップS4で実行される速度伸縮補正処理の詳細な手順を示すフローチャートである。 速度伸縮補正処理の一例を説明する図で、(a)は鉄道車両の特徴部分の基準的な形状が示される基準プロファイルの画像図、(b)は補正前の撮影画像図、(c)は補正後の撮影画像図である。 図4のステップS5で実行される車体歪み補正処理の詳細な手順を示すフローチャートである。 車体歪み補正処理の一例を説明する図で、(a)は補正前の撮影画像図、(b)はマスク画像図、(c)は矩形状に分割された画像要素のズレ量の検出処理の説明図、(d)は画像要素をずらす処理の説明図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る鉄道車両の外観検査装置の全体構成を示すブロック図である。図2は、実施形態の外観検査装置の幾つかの構成要素の配置例を示す図である。図3は、基準器を示す正面図である。
本発明の実施形態の外観検査装置1は、外観検査用に適した鉄道車両の撮影画像を生成し、この撮影画像に基づいて鉄道車両の外観の検査を行う装置である。外観検査装置1に含まれる撮影画像の生成手段が、本発明に係る検査用画像生成装置の一例に相当する。
外観検査装置1は、図1および図2に示すように、車両近接検知装置11、撮影装置12、背景板14、画像処理装置15、基準器17、および検査処理装置20を備えている。これらのうち、車両近接検知装置11、撮影装置12、背景板14、画像処理装置15、および基準器17は、図2に示すように、例えば車両基地の入区用又は出区用の線路の傍らに配置される。検査処理装置20は、屋内に配置され、車両近接検知装置11および画像処理装置15と有線または無線により接続されている。外観検査装置1は、鉄道車両の左側および右側を撮影できるように、線路を挟んだ一方と他方とにそれぞれ配置された2組の撮影装置12を備えている。
車両近接検知装置11は、例えば光学的なセンサ或いは軌道回路を利用した電気的なセンサにより、鉄道車両が撮影区間に進入することを検知し、検知信号を撮影装置12へ出力する。さらに、車両近接検知装置11は、RFID(radio frequency identifier)の受信機を有し、鉄道車両に搭載されたRFIDと通信を行って鉄道車両の車号情報を読み出し、この情報を検査処理装置20へ送信する。検査処理装置20は車号情報から車種を特定できる。
撮影装置12は、撮影手段としてラインスキャンカメラ13を有し、線路上を走行する鉄道車両をラインスキャン方式で側方から撮影する。ラインスキャンカメラ13とは、一方向の走査すなわちライン状の撮像を一定の周波数で繰り返し行っていくラインスキャン型の撮影装置である。ラインスキャンカメラ13は、所定方向に移動する撮影対象に対して、移動方向と交差する方向のライン状の撮像を繰り返し、ライン状の撮像データを逐次出力する。逐次出力された複数のライン状の撮像データを二次元方向に並べることで面状に広がった撮影画像が得られる。ライン状の撮像とは、例えば縦方向2000画素×横方向1画素の撮像など、縦方向に画素数が大きく横方向の画素数が単一の撮像を意味する。以下、ライン状の撮像のことを「ラインスキャン」と呼び、ラインスキャンにより撮像される画素列の方向を「ラインスキャン方向」と呼ぶ。
ラインスキャンカメラ13は、ラインスキャン方向が、例えば上下方向など線路と交差する方向に向くように設定される。撮影装置12は、車両近接検知装置11からの近接信号に基づいて自動的に撮影を開始する。撮影装置12は、ライン状の撮像データを連続的に取り込んで画像処理装置15へ送信する。ラインスキャン方式の撮影では、撮影対象がラインスキャン方向と直交する方向へ一定の速度で移動するとき、歪みのない高分割能の撮影画像が得られる。一方、撮影対象に速度のばらつき又はラインスキャン方向の変位があれば、これらが形状の歪みとなって撮影画像に表れる。
背景板14は、単色で単一明度の背景表示面を有する構造物である。背景板14は、ラインスキャンカメラ13がラインスキャンする箇所に背景表示面が重なるように、線路を挟んで撮影装置12と対向する位置に配置される。背景板14は、線路に鉄道車両が進入したときに、車体下部又は台車の周辺など車両の向う側が写り込む領域で、背景としてラインスキャンカメラ13の撮影画像に写り込む。
画像処理装置15は、ラインスキャンカメラ13により連続的に取り込まれたライン状の撮像データをフレームメモリ16に展開して線路方向に長い鉄道車両全体の撮影画像データを生成し、これを検査処理装置20へ送信する。鉄道車両の撮影画像には、周囲の明るさに起因する輝度ばらつきが含まれる。また、この撮影画像には、鉄道車両の移動速度のばらつき、レールの沈み込みによる鉄道車両の上下振動、鉄道車両の空気バネ(サスペンション)の作用による車体の上下振動にそれぞれ起因する複数系統の形状歪みが含まれる。
基準器17は、図3にも示すように、複数階調の明度が段階的に示された表示面17aを有し、鉄道車両と干渉しないようにレール90に固定的に接続される。基準器17は、ラインスキャンカメラ13の撮影箇所に表示面17aが重なるように配置される。表示面17aは、明度の表示とともに、例えば複数階調の明度の境界線によって上下方向の基準位置を示すことができる。
検査処理装置20は、制御プログラムを実行するCPU(中央演算処理装置)21と、CPU21に作業用のメモリ空間を提供するRAM(random access memory)22と、外部の機器と信号をやり取りするインタフェース23と、制御プログラムおよび制御データを記憶した記憶装置24と有するコンピュータである。記憶装置24には、制御プログラムとして撮影画像に基づき鉄道車両の外観検査を行う外観検査プログラム24Aが記憶されている。また、記憶装置24には、外観検査の際に比較基準となる正常な鉄道車両の外観画像が蓄積される正常画像データベース(正常画像記憶手段)24Bと、鉄道車両の外観異常を示す撮影画像が蓄積される異常画像データベース(異常画像記憶手段)24Cとが設けられている。
続いて、検査処理装置20により実行される検査処理について説明する。
図4は、検査処理装置により実行される検査処理の手順を示すフローチャートである。
検査処理は、画像処理装置15から検査処理装置20へ鉄道車両の撮影画像が受信されることで開始される。検査処理が開始されると、先ず、検査処理装置20は、画像処理装置15から鉄道車両の撮影画像を入力する(ステップS1)。
撮影画像を入力すると、検査処理装置20は、この撮像画像の歪みを修正する複数の補正処理(ステップS2〜S5)を行う。これらの補正処理の詳細については後述する。これらの各補正処理によって、鉄道車両および撮影環境の変動要素に起因する撮影画像のばらつきが補正されて歪みの修正された鉄道車両の撮影画像が得られる。
これらの補正処理は、CPU21、RAM22、記憶装置24などのハードウェアと、外観検査プログラム24Aに含まれるソフトウェアとの協働により実現される。ステップS2、S3、S4、S5の補正処理を実現する構成が、それぞれ本発明に係るレール歪み補正手段、輝度補正手段、速度伸縮補正手段、車体歪み補正手段の一例に相当する。また、ステップS2、S5の補正処理を実現する構成が、本発明に係る歪み補正手段の一例に相当する。
補正処理が終了したら、検査処理装置20は、撮影画像に基づき異常の有無を検査するループ処理(図3のステップS6〜S11)を実行する。ループ処理に移行すると、検査処理装置20は、先ず、予め設定されている複数の検査対象領域の中から各検査対象領域を順に選択する(ステップS6)。
検査対象領域は、例えば鉄道車両の台車、台車内の各部品、車体下部に設けられたエア通路のコック、ブレーキ装置、ブレーキ装置のレバーなど、外観検査を行うべき箇所を囲うように予め設定されている。検査対象領域を示す座標情報は、例えば記憶装置24に設けられた座標情報データベース24Dに記憶されており、検査処理装置20は、ここから情報を読み出して1つずつ検査対象領域を選択する。
1つの検査対象領域を選択したら、検査処理装置20は、撮影画像からこの検査対象領域の画像を抽出し(ステップS7)、正常画像データベース24Bに格納されている正常な鉄道車両の画像(以下、「正常画像」と呼ぶ)と比較する(ステップS8)。正常画像データベース24Bには、車種毎に1つ又は複数の正常な鉄道車両の画像が蓄積されており、検査処理装置20は、ステップS8において、検査対象の鉄道車両と同一車種の1つの正常画像を正常画像データベース24Bから読み出して比較する。比較処理では、例えば、撮影画像と正常画像との各画素の色合いおよび明度の差異が数値化され、比較対象領域の全画素における差異の総和が距離値として計算される。なお、各画素の差異を数値化する際、明度又は色合いの差を二乗して差異値としたり、明度又は色合いに応じて重み付けを行って差異値を計算してもよいなど、具体的な計算手法は適宜変更可能である。また、比較の前、両者の間の小さな位置ズレを解消する処理を行ってから比較処理を行ってもよいし、比較する位置を少しずつずらして複数回の比較を行い最少の距離値を比較結果として採用するようにしてもよい。
続いて、検査処理装置20は、正常画像データベース24Bに蓄積されている同一車種の全ての正常画像との比較を完了したか判別し(ステップS9)、未だであればステップS8に戻って、次の正常画像を読み出して比較処理を繰り返すループ処理を続ける。一方、完了していれば、検査処理装置20はループ処理を抜けて次のステップに処理を移行する。ステップS8、S9のループ処理により、1つの検査対象領域の撮影画像が、正常画像データベース24Bに蓄積されている同一車種の全ての正常画像と比較される。
全ての正常画像との比較が完了したら、検査処理装置20は、複数回の画像比較で得られた距離値と閾値との比較を行って、検査対象領域の異常の有無を判定する(ステップS10)。異常の有無を判定するための閾値は、正常な画像同士の比較で計算される平均的な距離値よりも大きく、且つ、正常が画像同士の比較では余り生じない距離値になるように設定される。このような閾値は、検査対象領域ごとに適宜設定され、記憶装置24に設けられた判定閾値データベース24Eに記憶されている。
なお、ステップS10の判定処理では、複数回の画像比較でそれぞれ得られた複数の距離値のうち、最も小さい距離値が使用されて閾値との比較が行われるとよい。このような判定処理により、正常画像データベースに蓄積されている複数の正常画像のうち、検査対象領域の画像が最も近い正常画像と撮影画像との比較が行われて、この比較に基づいて異常の有無が判定されることになる。
鉄道車両は、同一車種であっても、例えばケーブルなど僅かに部品の配置が異なったり、経年による正常な色褪せが生じたりして、完全に同一にはならない。よって、検査対象領域の比較を行う場合でも、上述のように複数の同一車種の正常画像を用いて比較を行い、異常か否かの判断を行うことで、正常な範囲での小さな差分を除外して検査対象の異常の有無を高精度に判断することができる。なお、異常の有無を判断する部分が微細でその画像の差異が比較的に小さくなる場合には、小さく絞った比較対象領域を設定しておくことで、正常な範囲での差分があっても異常の有無を見逃すことなく高精度に判断することができる。
ステップS10の判定処理の結果、距離値が閾値より小さくて正常と判定されたら、検査処理装置20はステップS12へ処理を進める。一方、距離値が閾値以上となって異常と判定されたら、検査処理装置20は、異常と判定された鉄道車両の撮影画像を異常画像データベース24Cに登録する(ステップS11)。登録する際、異常と判定された検査対象領域が分かるように、該当する検査対象領域を示すデータが付加されてもよい。また、同一の撮影画像の複数の検査対象領域で異常と判定された場合には、同じ撮影画像が二重に登録されないように、1つの撮影画像と異常と判定された複数の検査対象領域を示す情報とが蓄積されるようにするとよい。
異常と判定された撮影画像を蓄積することで、その後、これらの撮影画像の解析により、劣化の経年変化を分析したり、車種ごとの異常の傾向を分析したり、様々な異常の分析を行うことができる。そして、これらの分析結果に合わせて効率的なメンテナンス体系を実現できる。
なお、ステップS11の異常登録処理では、検査処理装置20が、係員へ異常を知らせる通知処理を行ってもよい。通知処理では、鉄道車両の撮影画像上に異常と判断された検査対象領域を識別可能な態様で表示して通知するようにするとよい。
正常又は異常の判定がなされたら、検査処理装置20は、全ての検査対象領域についての処理が完了したか判別し(ステップS12)、未だであればステップS6に戻ってループ処理を続ける。一方、完了していればループ処理を抜けて、次のステップに処理を移行する。上述したステップS6〜ステップS12のループ処理により、鉄道車両の異常の有無の判定が、撮影画像中の複数の検査対象領域について行われる。
ループ処理を抜けると、検査処理装置20は、全ての検査対象領域の画像比較の結果が正常であるか判別し(ステップS13)、否であれば、この検査処理を終了する。一方、全て正常であれば、検査処理装置20は、撮影画像が正常画像データベース24Bへの登録条件を満たしているか判別し(ステップS14)、満たしていれば、撮影画像を車種情報とともに正常画像データベース24Bに登録する(ステップS15)。登録する撮影画像は、補正処理後の画像のみとしてもよいし、補正処理の前後両方の画像としてもよい。正常と判定された撮影画像が蓄積されることで、検査回数を重ねることで正常画像データベース24Bの正常画像が増す。これにより、異常の有無を判定する様々な手法を取り入れることが可能となり、さらに高い精度の検査を行うことが可能となる。
撮影画像の登録条件としては、例えばステップS8の画像比較で計算された距離値の最大値或いは平均値が正常な範囲にあるという条件、或いは、正常画像データベース24Bに蓄積された同一車種の撮影画像数が上限に達していないという条件など、様々な条件を適用してよい。
正常画像を登録したら、検査処理装置20は、図4の検査処理を終了する。また、ステップS14で、登録条件を満たしていないと判別したら、そのまま図4の検査処理を終了する。
続いて、図4のステップS2〜S5で実行される複数の補正処理について詳細に説明する。
<レール歪み補正処理>
図5は、図4のステップS2で実行されるレール歪み補正処理の一例を説明する図である。図5(a)は補正前の撮影画像を示し、図5(b)は補正後の撮影画像を示す。なお、図5(a)、(b)において、鉄道車両の速度ばらつきに起因する縦横比の歪みは省略されている。
レール歪み補正処理は、鉄道車両通過時のレール90の沈み込みに起因する撮影画像の形状歪みを修正する処理である。レール90が敷設される地盤には強固な箇所と比較的に軟弱な箇所とが存在する。このため、レール90上を鉄道車両が走行する際、鉄道車両の重量によってレール90の沈み込みが生じ、鉄道車両は僅かに上下に変位する。撮影時に、鉄道車両が上下動することで、鉄道車両の撮影画像に形状歪みが生じる。レール90の沈み込みに起因する形状歪みは、主に、レール90に直接支えられる台車81の部分に生じる。
ラインスキャンカメラ13は基準器17の表示面17aを含むようにラインスキャンを行っている。よって、図5(a)に示すように、鉄道車両の撮像画像には、始端から終端にかけて引き伸ばされたように写り込んだ表示面17aの画像が含まれる。また、基準器17はレール90に固定されているので、レール90の沈み込みが生じたときには基準器17も同様に沈み込む。よって、レール90の沈み込みによる形状歪みは基準器17の線の歪みとなって表れる。従って、この形状歪みの修正は、撮影画像の始端から終端にかけて、表示面17aの基準点を示す線が直線になるように、上下に長い幅1画素の画素列をラインスキャン方向にずらすことで達成される。続いて、具体的な処理手順を説明する。
レール歪み補正処理に移行すると、先ず、検査処理装置20は、撮影画像から基準器17の表示面17aのエッジを抽出するエッジ抽出処理を行う。表示面17aには明度が段階的に変化する箇所があるため、この部分のエッジを高感度に高い精度で抽出することができる。
次いで、検査処理装置20は、撮影画像に高さ一定の基準直線L0(図5(a))を設定し、上下方向に長い幅1画素の画素列を、表示面17aのエッジ部分が基準直線L0に重なるようにずらす。検査処理装置20は、このような画素列のずらしを撮影画像の始端から終端にかけて行う。これにより、レール歪み補正処理が完了する。
図5(b)に示すように、補正後の撮影画像では、レールおよび基準器17の表示面17aの線が直線状に修正され、これに伴い、主に鉄道車両の台車81の部分の形状歪みが修正される。なお、図5(b)において、車体80の部分に形状歪みが残っているが、これは台車81と車体80との間に空気バネなどのサスペンションが介在し、車体80が台車81に対して相対的に上下振動することに起因する。この形状歪みは後述する補正処理で修正される。
<輝度補正>
図6は、図4のステップS3で実行される輝度補正処理の一例を示す説明図である。
輝度補正処理は、撮影時の環境の明るさに起因する撮影画像の輝度のばらつきを補正する処理である。鉄道車両の外観検査の際、検査処理装置20は撮影画像と正常画像とを画素ごとに比較し相関値を計算して異常の有無を判断する。よって、撮影画像の輝度ばらつきは小さいと好ましい。なお、エッジ抽出とエッジ比較によって撮影画像と正常画像との比較を行って外観検査を行う構成としても、エッジ抽出の感度および精度のばらつきを抑えるためにも、撮影画像の輝度補正は有効である。
検査処理装置20は、撮影画像に写り込んでいる基準器17の表示面17aの画像を利用して輝度補正を行う。検査処理装置20には、図6(a)に示すように、撮影環境が標準の明るさのときに得られる表示面17aの輝度値が制御データとして保持されている。表示面17aには複数階調の明度が表示されているので、検査処理装置20には、これらにそれぞれ対応する階調1〜階調5の輝度値が保持されている。
輝度補正処理に移行すると、図6(b)に示すように、検査処理装置20は、先ず、撮影画像における表示面17aの階調1〜階調5の輝度値を求める。撮影画像はグレースケールで表わされ、最大輝度となる白から最小輝度となる黒までを256段階に分割している。最大輝度値が“255”となり最小輝度値が“0”となる。次に、図6(c)に示すように、撮影画像中の階調1〜階調5の輝度値(実線のグラフ線)と、標準の明るさであれば得られる階調1〜階調5の輝度値(破線のグラフ線)とを比較し、図6(d)に示すように、補正用のガンマ曲線を得る。次いで、検査処理装置20は、ガンマ曲線をルックアップテーブルに展開し、ルックアップテーブルに従って撮影画像の全画素の輝度を補正する。これにより、輝度補正処理が完了する。
<速度伸縮補正処理>
図7は、図4のステップS4で実行される速度伸縮補正処理の詳細な手順を示すフローチャートである。図8は、速度伸縮補正処理の一例を説明する図で、(a)は鉄道車両の特徴部分の基準的な形状が示される基準プロファイルの画像図、(b)は補正前の撮影画像図、(c)は補正後の撮影画像図である。
速度伸縮補正処理は、鉄道車両の移動速度のばらつきに起因する鉄道車両の形状歪みを補正する処理である。鉄道車両の移動速度が早ければ、撮影画像中の鉄道車両の縦横比は横の比が相対的に小さくなり、鉄道車両の移動速度が遅ければ、横の比が相対的に大きくなる。撮影途中に鉄道車両の移動速度が変われば、鉄道車両の縦横比は1つの撮影画像内で変化する。
図7のフローチャートに示すように、速度伸縮補正処理へ移行すると、先ず、検査処理装置20は、撮影画像のエッジ抽出を行って鉄道車両の形状的な特徴部分を抽出し(ステップS21:特徴部分抽出手段に相当)、一例として、抽出した特徴部分から鉄道車両のプロファイル線P1を作成する(ステップS22)。プロファイル線P1とは、図8(b)に示すように、鉄道車両の形状の特徴を先頭から終端まで連続的に表わすもので、特に制限されないが、一例として、エッジ抽出された特徴部分の所定の点を連続的に結んだ線などを適用できる。
続いて、検査処理装置20は、撮影画像を始端から終端にかけてラインスキャン方向に長い矩形状の領域fごとに複数の画像要素に分割する(ステップS23:伸縮画像分割手段に相当)。以下では、この画像要素のことを「短冊画像要素」と呼ぶ。矩形状の領域fは、例えば横5〜10画素×縦全画素などの領域とすれば良い。
分割したら、検査処理装置20は、1つの短冊画像要素ごとにプロファイル線P1を基準プロファイル線RPと比較し、プロファイル線P1の傾斜度合の差から短冊画像要素の縦横比のズレを計算する(ステップS24:縦横比計算手段に相当)。基準プロファイル線RPとは、比較基準となる歪みのない鉄道車両の画像データから求められるプロファイル線のことである。検査処理装置20は、予め制御データとして、図8(a)に示すように比較基準となる歪みのない鉄道車両の画像データと、この鉄道車両の形状の特徴を表わす基準プロファイル線RPのデータとを保持している。比較基準の画像データと基準プロファイル線RPとは鉄道車両の車種毎に保持されている。
縦横比のズレを計算すると、検査処理装置20は、ズレがなくなるように短冊画像要素を横方向に伸縮する(ステップS25:画像伸縮手段に相当)。伸縮する処理は、ラインスキャン方向に長い1画素幅の画素列を間引いたり、画素列を追加したりすることで行われるが、その際、隣接する一対の画素列間で画像が連続するように補間処理を加えてもよい。
全領域fの短冊画像要素の伸縮処理を行ったら、検査処理装置20は、伸縮処理後の短冊画像要素を順に貼り合せる合成処理を行う(ステップS26)。これにより、速度伸縮補正処理が完了する。これにより、図8(c)に示すように、縦横比にばらつきのない鉄道車両の撮影画像が得られる。
<車体歪み補正処理>
図9は、図4のステップS5で実行される車体歪み補正処理の詳細な手順を示すフローチャートである。図10は、車体歪み補正処理の一例を説明する図で、(a)は補正前の撮影画像図、(b)はマスク画像図、(c)は矩形状に分割された画像要素のズレ量の検出処理の説明図、(d)は画像要素をずらす処理の説明図である。
車体歪み補正処理は、空気バネなどのサスペンションの作用により鉄道車両の車体80(図10(a)を参照)に生じる振動に起因する撮影画像の形状歪みを補正する処理である。サスペンションは、鉄道車両の台車81と車体80との間に設けられるので、サスペンションの作用に起因した撮影画像の形状歪みは、台車81やレールの部分に表れず、車体80および車体80の下部に固定的に接続されている付属物82の部分に表れる。
車体歪み補正処理に移行すると、先ず、検査処理装置20は、図10(b)のマスク画像m1を用いて撮影画像にマスク処理を行う(ステップS31:マスク手段に相当)。マスク画像m1は、台車81およびレール90以下の部分を隠すように予め設けられ、制御データとして検査処理装置20に保持されている。
次いで、検査処理装置20は、マスク処理された撮影画像をラインスキャン方向に長い矩形状の領域ごとに分割して、複数の画像要素を生成する(ステップS32:歪み画像分割手段に相当)。分割される領域は、図8(b)に示した領域fと同様であり、以下、分割により生成された画像要素のことを「短冊画像要素」と呼ぶ。
撮影画像を短冊画像要素に分割したら、検査処理装置20は、分割された複数の短冊画像要素について1つずつ順に処理を繰り返すループ処理(ステップS33〜S37)を実行する。ループ処理に移行すると、検査処理装置20は、1つの短冊画像要素を選択し(ステップS33)、図10(c)に示すように、縦h画素×横w画素の矩形画像g2を切り出し(ステップS34)、切り出した矩形画像g2を比較基準の鉄道車両画像の同一箇所の矩形画像Rgと比較する(ステップS35)。矩形領域g2は、マスク画像m1のマスク部分と非マスク部分の境界線L2を含むように選択してもよい。この矩形画像g2には、例えば車体80の下縁を示すエッジなどが含まれているので、このエッジを矩形画像g2、Rgで比較することで、比較基準からの矩形画像g2のズレ量が計算される。
次に、図10(d)に示すように、検査処理装置20は、マスク画像m1のマスク部分の境界線L2に基づき、1つの短冊画像要素のうちマスク部分は固定とし、非マスク部分g1だけズレ量の移動を行わせる(ステップS36:画像修正手段に相当)。この移動の際、移動する領域の上端又は下端に画素が不足するが、検査処理装置20は、例えば影部分と同じ明度の画素を埋めるなどの補間処理を行って画素の不足を補う。
1つの短冊画像要素についてズレ量を補正する処理を行ったら、検査処理装置20は、全ての短冊画像要素について処理を完了したか判別し(ステップS37)、否であれば、処理をステップS33に戻してループ処理を続ける。ループ処理が繰り返されることで、撮影画像内の全ての短冊画像要素の補正処理が達成される。そして、完了となったら、ループ処理を抜けて次のステップに処理を進める。
次のステップに移行すると、検査処理装置20は、処理後の全ての短冊画像要素を順に貼り合わすように合成処理を行い(ステップS38)、さらにマスク画像m1によるマスクの解除を行う(ステップS39:マスク解除手段に相当)。そして、車体歪み補正処理を終了する。このような処理により、車体80とその下部の付属物82との形状歪みが修正された鉄道車両の撮影画像が得られる。
以上のように、本実施の形態の検査処理装置20の鉄道車両の撮影画像の生成機能によれば、先ず、ラインスキャンカメラ13によって、分解能が高く、何れの箇所でも一定方向から見たときの形状が示された鉄道車両の撮影画像が得られる。さらに、撮影画像の補正機能(図4のステップS2〜ステップS5)によって、撮影画像から、レールの沈み込みに起因する撮影画像の形状の歪みと、サスペンションの作用による車体の上下振動に起因する撮影画像の形状の歪みと、鉄道車両の移動速度に起因した撮影画像の形状の歪みとが補正され、さら、撮影環境の明るさに起因した撮影画像の輝度のばらつきを抑えることができる。よって、不規則な歪みのない、外観検査に適した鉄道車両の撮影画像を提供できる。
また、本実施の形態の検査処理装置20の鉄道車両の撮影画像の生成機能によれば、先ず、レール歪み補正処理(図4のステップS2)により、画像の全域に対する縦方向の補正が行われるので、速度伸縮補正処理(図4のステップS4)の際、撮影画像内の各部の縦横比の計算を容易に且つ精度高く行うことができる。よって、鉄道車両の移動速度に起因する撮影画像の形状の歪みを綺麗に修正できる。さらに、レール歪み補正処理と速度伸縮補正処理により、撮影画像の全域に対する縦方向の補正と横方向の補正とが行われた後に、車体歪み補正処理(図4のステップS5)が行われるので、撮影画像中の車体と台車との切り分けを容易に且つ精度高く行うことができる。これにより、空気バネなどのサスペンションによる車体の上下振動に起因する画像の歪みをより綺麗に修正することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限られるものではない。例えば、上記の実施形態では、鉄道車両の左右の側面を撮影して外観検査用の撮影画像を生成する方法を説明したが、例えば鉄道車両の上部を斜め下方に撮影、または鉄道車両の下部を斜め上方に撮影して、車体上部又は車体下部の外観検査を行う撮影画像を生成してもよい。また、上記実施の形態では、各補正処理の具体的な手順の一例を説明したが、補正処理の細部は発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
また、上記実施形態では、検査処理装置20内の記憶装置24に、正常画像データベース24Bと異常画像データベース24Cとを設けた例を示した。しかしながら、正常画像データベース24Bと異常画像データベース24Cとは別の記憶装置内に設け、例えばLANにより検査処理装置20(コンピュータ)と接続される構成としてもよい。
また、上記実施形態では、画像の補正処理および異常検出を行う検査処理装置が撮影手段から離れて配置される例を示した。しかしながら、検査処理装置は撮影手段と同様に線路の傍らに配置されてもよいし、その場合、検査処理装置(20)に画像処理装置(15)の機能を組み込んで、両者を一体的に構成してもよい。
1 外観検査装置
11 車両近接検知装置
13 ラインスキャンカメラ(撮影手段)
14 背景板
15 画像処理装置
17 基準器
17a 表示面
20 検査処理装置(歪み補正手段、レール歪み補正手段、車体歪み補正手段、速度伸縮補正手段、輝度補正手段)
21 CPU
22 RAM
23 インタフェース
24 記憶装置
24A 外観検査プログラム
f 矩形状の領域
RP 基準プロファイル線
P1 プロファイル線
m1 マスク画像

Claims (5)

  1. 線路上を移動する鉄道車両を上下方向に走査して撮影画像を得るラインスキャン型の撮影手段と、
    上下方向の基準位置が示された表示面を有し且つ前記撮影手段の撮影箇所と重なる位置で線路に固定された基準器と、
    鉄道車両の上下動に起因する前記撮影画像の形状の歪みを補正する歪み補正手段とを備え、
    前記歪み補正手段は、
    前記撮影画像に連続的に写り込んだ前記基準位置を示す線が直線状になるように前記撮影画像を部分毎に上下方向にずらすレール歪み補正手段と、
    前記撮影画像のうち、鉄道車両の台車およびレールが写される領域の画像を除いて、鉄道車両の車体および前記車体に固定的に接続された付属物が写される領域の画像を部分毎に上下方向にずらす車体歪み補正手段と、
    を有することを特徴とする検査用画像生成装置。
  2. 前記車体歪み補正手段は、
    前記撮影画像のうち、鉄道車両の台車およびレールが写される領域を隠し、鉄道車両の車体および前記車体に固定的に接続された付属物が写される領域の画像を抽出するマスク手段と、
    前記マスク手段により抽出された画像を上下方向に長い矩形状の画像要素に分割する歪み画像分割手段と、
    前記矩形状の画像要素を鉄道車両の基準画像と比較して上下方向のズレを修正する画像修正手段と、
    前記画像修正手段により修正された画像に前記マスク手段により隠された領域の画像を復元するマスク解除手段と、
    を含んでいることを特徴とする請求項1記載の検査用画像生成装置。
  3. 鉄道車両の移動速度に起因する前記撮影画像の各部の縦横比のばらつきを補正する速度伸縮補正手段をさらに備え、
    前記速度伸縮補正手段は、
    前記撮影画像のエッジ抽出を行って鉄道車両の特徴部分を抽出する特徴部分抽出手段と、
    前記撮影画像を上下方向に長い矩形状の画像要素に分割する伸縮画像分割手段と、
    鉄道車両の特徴部分の基準的な形状が示された基準プロファイルと、前記特徴部分抽出手段により抽出された特徴部分とを比較して撮影画像の各部の縦横比のズレを計算する縦横比計算手段と、
    前記縦横比計算手段が計算した縦横比のズレがなくなるように前記伸縮画像分割手段により分割された画像要素を横方向に伸縮する画像伸縮手段と、
    を含んでいることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の検査用画像生成装置。
  4. 前記レール歪み補正手段、前記速度伸縮補正手段、前記車体歪み補正手段の順で、前記撮影画像の補正処理を行うことを特徴とする請求項3記載の検査用画像生成装置。
  5. 前記基準器の前記表示面には、さらに複数階調の明度が示される明度表示部が含まれ、
    前記撮影画像に含まれる前記明度表示部の複数階調の明度に基づいて前記撮影画像の輝度を補正する輝度補正手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の検査用画像生成装置。
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