JP2017214060A - インナーライナー、空気入りタイヤ、及びそれらの製造方法 - Google Patents

インナーライナー、空気入りタイヤ、及びそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】最外層としてゴム層が設けられており、十分なガスバリア性、層間接着性及び耐屈曲性を有するインナーライナー、このようなインナーライナーを備える空気入りタイヤ、並びにこれらの製造方法を提供する。【解決手段】本発明のインナーライナーは、ガスバリア樹脂を含むポリマーから形成される複数層のガスバリア層(A)と、少なくとも1層の接着層(B1)を含むエラストマー層(B)と、上記接着層(B1)のうちの1層に隣接し、少なくとも一方の最外層として積層されているジエン系ゴム層(C)とを有し、上記ガスバリア層(A)の層数と上記エラストマー層(B)の層数との合計が、5層以上300層以下であり、上記接着層(B1)が、スチレン系エラストマーを含み、かつヨウ素価が200以上300以下であるポリマーから形成されるインナーライナーである。【選択図】図1

Description

本発明は、インナーライナー、空気入りタイヤ、及びそれらの製造方法に関する。
空気入りタイヤの内圧を保持するために、タイヤ内面に空気バリア層としてのインナーライナーが配設されている。従来、インナーライナーには、ブチルゴムやハロゲン化ブチルゴム等を主原料とするゴム組成物が使用されている。しかし、これらのゴム製のインナーライナーは空気バリア性が低いため、インナーライナーを厚くする必要があり、タイヤの質量を低減して燃費を向上させる上での障壁となっている。
そこで、ガスバリア性樹脂層とエラストマー層とを有する多層構造体としてのインナーライナーが提案されている(特許文献1及び特許文献2参照)。このような多層構造体のインナーライナーにおいては、耐屈曲性やその他の耐久性等を向上させるため、層間の接着性が高いことが重要となる。また、インナーライナーは、上述のようにタイヤ内面に配設するものであるため、最外層がゴム層であることが好ましい。そのため、最外層にゴム層が設けられており、各層間の接着性にも優れる多層構造のインナーライナーの開発が望まれている。
国際公開第2012/042679号 国際公開第2012/165441号
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、最外層としてゴム層が設けられており、十分なガスバリア性、層間接着性及び耐屈曲性を有するインナーライナー、このようなインナーライナーを備える空気入りタイヤ、並びにこれらの製造方法を提供することである。
上記課題を解決するためになされた発明は、ガスバリア樹脂を含むポリマーから形成される複数層のガスバリア層(A)と、少なくとも1層の接着層(B1)を含むエラストマー層(B)と、上記接着層(B1)のうちの1層に隣接し、少なくとも一方の最外層として積層されているジエン系ゴム層(C)とを有し、上記ガスバリア層(A)の層数と上記エラストマー層(B)の層数との合計が、5層以上300層以下であり、上記接着層(B1)が、スチレン系エラストマーを含み、かつヨウ素価が200以上300以下であるポリマーから形成されるインナーライナーである。
当該インナーライナーにおいては、最外層を構成するジエン系ゴム層(C)に隣接する接着層(B1)が、ポリマーから形成され、上記ポリマーがスチレン系エラストマーを含み、上記ポリマーのヨウ素価が200以上とされる。すなわち、ジエン系ゴム層(C)に隣接する接着層(B1)を形成するスチレン系エラストマー等のポリマーが十分な二重結合を有するため、この接着層(B1)は加硫等の架橋反応によりジエン系ゴム層(C)と良好に接着することができる。また、上記接着層(B1)を形成するポリマーのヨウ素価は300以下とされ、これによりスチレン系エラストマー中に十分な量の官能基を導入することなどができる。この官能基の存在により、接着層(B1)は、ジエン系ゴム層(C)以外の層とも良好に接着することができるため、当該インナーライナーは、各層間の接着性を高めることもできる。さらに、当該インナーライナーは、ガスバリア層(A)の層数と、エラストマー層(B)の層数との合計が、上記範囲であるため、良好な耐屈曲性等を発揮することができる。
上記スチレン系エラストマーが主鎖中にエポキシ基を有することが好ましい。上記接着剤層(B1)を形成するポリマー全体におけるエポキシ基の含有量としては、0.1mmol/g以上2mmol/g以下が好ましい。このような量のエポキシ基が含有されていることで、接着層(B1)は、層間接着性等をより高めることができる。
上記ガスバリア層(A)の1層の平均厚みとしては0.1μm以上15μm以下であることが好ましく、かつ上記エラストマー層(B)の1層の平均厚みとしては0.1μm以上30μm以下であることが好ましい。このように、ガスバリア層(A)及びエラストマー層(B)を薄く積層することにより、層間接着性、耐屈曲性等をより高めることなどができる。
上記ジエン系ゴム層(C)に隣接する接着層(B1)の平均厚みとしては、0.1μm以上10μm以下が好ましい。ジエン系ゴム層(C)に隣接する接着層(B1)の平均厚みを上記範囲とすることにより、ジエン系ゴム層(C)との接着性をより高めることができる。
上記ガスバリア層(A)の全層及び上記エラストマー層(B)の全層の合計厚みとしては15μm以上500μm以下が好ましい。ガスバリア層(A)及びエラストマー層(B)の全体の厚みを上記範囲とすることにより、薄膜化を図りつつ、層間接着性、ガスバリア性、耐屈曲性等をより高めることができる。
上記エラストマー層(B)が、上記接着層(B1)以外の他のエラストマー層(B2)を含むことが好ましい。これにより、当該インナーライナーの耐屈曲性等をより高めることなどができる。
上記ガスバリア層(A)と上記他のエラストマー層(B2)とが交互に積層されていることが好ましい。ガスバリア層(A)と他のエラストマー層(B2)とを交互に積層することにより、層間接着性や耐屈曲性等をより高めることができる。
上記他のエラストマー層(B2)が、ポリウレタン系エラストマーを含むポリマーから形成されることが好ましい。ポリウレタン系エラストマーを用いることで、耐屈曲性等をさらに高めることなどができる。
上記エラストマー層(B)が、全て接着層(B1)であり、上記ガスバリア層(A)と上記接着層(B1)とが交互に積層されていることが好ましい。このように、ガスバリア層(A)と接着層(B1)とを交互に積層した構造とすることで、層間接着性や耐屈曲性等をより高めることなどができる。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、当該インナーライナーの製造方法であって、上記ガスバリア層(A)を形成するポリマーと、上記エラストマー層(B)を形成するポリマーとを共押出する工程を備えるインナーライナーの製造方法である。当該製造方法によれば、ジエン系ゴム層(C)との高い接着性を有し、ガスバリア性並びに十分な層間接着性及び耐屈曲性を有するインナーライナーを効率的に製造することができる。
上記共押出工程で得られた構造体にジエン系ゴム層(C)を加熱接着する工程をさらに備えることが好ましい。このように、加熱によりジエン系ゴム層(C)を接着することにより、接着剤の塗布等を不要とし、生産性をより高めることができる。
上記加熱接着工程の前に、上記共押出工程で得られた構造体へ電子線を照射する工程をさらに備えることが好ましい。これにより、得られるインナーライナーの層間接着性をより高めることなどができる。
上記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、当該インナーライナーを備える空気入りタイヤである。当該空気入りタイヤは、当該インナーライナーを備えるため、インナーライナーにおけるクラックの発生などが低減され、内圧保持性に優れる。
上記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、当該インナーライナーの製造方法を含む空気入りタイヤの製造方法である。当該空気入りタイヤの製造方法によれば、インナーライナーにおけるクラックの発生などが低減され、内圧保持性に優れる空気入りタイヤを得ることができる。
本発明によれば、最外層としてゴム層が設けられており、十分なガスバリア性、層間接着性及び耐屈曲性を有するインナーライナー、このようなインナーライナーを備える空気入りタイヤ、並びにこれらの製造方法を提供することができる。
図1(a)は、本発明の一実施形態のインナーライナーを示す模式的断面図である。図1(b)は、図1(a)とは異なる実施形態のインナーライナーを示す模式的断面図である。 図2は、本発明の一実施形態のインナーライナーを備える空気入りタイヤを示す部分的断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係るインナーライナー、空気入りタイヤ、及びそれらの製造方法について、適宜図面を参照に詳説する。
<インナーライナー>
本発明の一実施形態に係るインナーライナーは、ガスバリア樹脂を含むポリマーから形成される複数層のガスバリア層(A)(以下、「A層」ともいう。)と、少なくとも1層の接着層(B1)(以下、「B1層」ともいう。)を含む1又は複数層のエラストマー層(B)(以下、「B層」ともいう。)と、上記B1層のうちの1層に隣接し、少なくとも一方の最外層として積層されているジエン系ゴム層(C)(以下、「C層」ともいう。)とを有する。当該インナーライナーが複数のB層を有する場合、B層が全てB1層であってもよいし、B1層以外の他のエラストマー層(B2)(以下、「B2層」ともいう。)を含んでいてもよい。当該インナーライナーは、A層、B層及びC層のみから形成されていてもよいが、A層、B層及びC層以外のその他の樹脂層等を有していてもよい。
本発明の実施形態における好ましい層構造を有するインナーライナーとしては、図1(a)に示すインナーライナー10、及び図1(b)に示すインナーライナー20を挙げることができる。図1(a)に示すインナーライナー10は、複数のA層1、一対のB1層2、複数のB2層3、及び1つのC層4から構成されている。インナーライナー10は、B2層3を両最外層とするA層1とB2層3との交互積層体の両最外層にそれぞれB1層2が積層され、一方のB1層2の外面にC層4が積層された構造を有する。図1(b)に示すインナーライナー20は、複数のA層1、複数のB1層2及び1つのC層4から構成されている。インナーライナー20は、B1層2を両最外層とするA層1とB1層2との交互積層体の一方の外面にC層4が積層された構造を有する。インナーライナー10及びインナーライナー20のように、ガスバリア層(A層1)とエラストマー層(B1層2又はB2層3)とが交互に積層されていることにより、ガスバリア性、柔軟性、耐屈曲性、層間接着性等をより効果的に発揮させることができる。
インナーライナー10及びインナーライナー20におけるC層が積層されていない状態の構造体においては、両側の各最外層にB1層2が配置されている。両最外層にB1層2を配置することで、いずれの面側においてもC層又は他のゴム材料等との良好な接着が可能となる。但し、最外層としてのB1層は、両最外層に積層されていなくてもよく、片方の最外層としてのみ設けられていてもよい。また、上記構造体(C層が積層されていない状態の構造体)は、対称な層構造となっている。対称構造とすることで、共押出によって各層を効率的に成形することなどができる。
A層の層数とB層の層数との合計の下限は、5層であり、8層が好ましく、12層がより好ましく、16層がさらに好ましい。一方、A層の層数とB層の層数との合計の上限は、300層であり、200層が好ましく、100層がより好ましく、50層がさらに好ましい。当該インナーライナーの総層数も上記範囲であることが好ましい。当該インナーライナーをこのように多層構造とすることで、屈曲等に対してピンホールや割れなどの欠陥が、ある1層のA層で発生しても他のA層でガスバリア性を維持できる結果、インナーライナー全体としてガスバリア性、耐久性等の特性を高めることができる。なお、A層の層数としては、2層以上が好ましく、5層以上がより好ましい。B層の層数としては、3層以上が好ましく、6層以上がより好ましい。
A層の1層の平均厚みの下限としては、0.1μmが好ましく、0.2μmがより好ましく、0.3μmがさらに好ましい。一方、この上限としては、15μmが好ましく、5μmがより好ましく、3μmがさらに好ましく、2μmがさらに好ましく、1μmが特に好ましい。A層1層の平均厚みが上記下限より小さいと、均一な厚さで成形することが困難になり、ガスバリア性やその耐久性等が低下するおそれがある。逆に、A層1層の平均厚みが上記上限を超えると、柔軟性等が低下し、その結果、耐久性等も低下するおそれがある。
B層(B1層及びB2層)の1層の平均厚みの下限としては、0.1μmが好ましく、0.5μmがより好ましく、1μmがさらに好ましく、3μmが特に好ましい。一方、この上限としては、30μmが好ましく、15μmがより好ましく、10μmがさらに好ましく、8μmが特に好ましい。B層1層の平均厚みが上記下限より小さいと、均一な厚さで成形することが困難になり、耐久性が低下するおそれがある。また、十分な柔軟性が発現されないおそれもある。逆に、B層1層の平均厚みが上記上限を超えると、層間接着性や、ガスバリア性が低下するおそれがある。
特に、C層と隣接するB1層の平均厚みの下限としては、0.1μmが好ましく、0.5μmがより好ましく、1μmがさらに好ましく、3μmが特に好ましい。一方、この上限としては、15μmが好ましく、10μmがより好ましく、8μmがさらに好ましく、6μmが特に好ましい。このように、C層と隣接する接着層(B1)の平均厚みを上記範囲と比較的薄くすることにより、C層との接着性を高めることができる。
A層の全層及びB層の全層の合計厚みの下限としては、例えば10μmとすることができるが、15μmが好ましく、30μmがより好ましい。一方、この上限としては、500μmが好ましく、300μmがより好ましく、100μmがさらに好ましい。A層の全層及びB層の全層の合計厚みが上記下限未満の場合、強度、耐屈曲性、耐久性、ガスバリア性等が低下するおそれがある。逆に、この合計厚みが上記上限を超える場合、柔軟性、成形性等が低下し、耐屈曲性の低下や、製造コストの上昇を招来するおそれがある。ここで、全層の合計厚みとは、各層の平均厚みの合計をいう。A層とB層とのみの積層体においては、A層とB層とのみの積層体全体の厚みを合計厚みとすることができる。各層の平均厚みは、任意に選ばれた10点での断面の厚みの平均値とする。
C層の1層の平均厚みとしては、特に限定されないが、下限としては10μmが好ましく、100μmがより好ましい。一方、この上限としては、3mmが好ましく、1mmがより好ましく、0.5mmがさらに好ましい。
当該インナーライナーの平均厚みの下限としては、50μmが好ましく、100μmがより好ましい。一方、この上限としては、3mmが好ましく、1000μmがより好ましく、750μmがさらに好ましく、500μmが特に好ましい。当該インナーライナーの平均厚みが上記下限未満の場合、強度、耐屈曲性、耐久性、ガスバリア性等が低下するおそれがある。逆に、この平均厚みが上記上限を超える場合、柔軟性、成形性、軽量性等が低下し、耐屈曲性の低下や、製造コストの上昇を招来するおそれがある。
〈A層〉
A層は、ガスバリア樹脂を含むポリマーから形成される層である。A層を構成するポリマーがガスバリア樹脂を含むことで、ガスバリア性に優れるインナーライナーを得ることができる。
上記ガスバリア樹脂は、A層の主成分となるポリマーである。A層(A層形成材料)におけるガスバリア樹脂の含有量の下限としては、例えば60質量%であり、90質量%が好ましく、95質量%がより好ましく、97質量%がさらに好ましく、99質量%がさらに好ましいこともあり、99.9質量%がさらに好ましいこともある。ガスバリア樹脂とは、気体の透過を防止する機能を有する樹脂であり、具体的には20℃−65%RH条件下で、JIS K 7126−2(等圧法;2006年)に記載の方法に準じて測定した酸素透過速度が、100mL・20μm/(m・day・atm)以下の樹脂をいう。なお、本発明に用いられるガスバリア樹脂の酸素透過速度は、50mL・20μm/(m・day・atm)以下が好ましく、10mL・20μm/(m・day・atm)以下がさらに好ましい。
このようなガスバリア樹脂としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、「EVOH」ともいう。)、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、アクリロニトリル共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。
これらのガスバリア樹脂の中でも、ガスバリア性の点から、ポリアミド、ポリエステル及びEVOHが好ましく、ガスバリア性に加え、溶融成形性、B層との接着性などの点からEVOHが特に好ましい。
(ポリアミド)
ポリアミドは、アミド結合を有するポリマーであり、ラクタムの開環重合、又はアミノカルボン酸若しくはジアミンとジカルボン酸との重縮合などによって得ることができる。具体的なポリアミドとしては、例えばポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリラウロラクタム(ナイロン12)、ポリヘキサメチレンジアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ナイロン69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ナイロン46、ナイロン6/66、ナイロン6/12、11−アミノウンデカン酸の縮合生成物(ナイロン11)等の脂肪族系ポリアミドや、ポリヘキサメチレンイソフタラミド(ナイロン6I)、メタキシレンジアミン/アジピン酸共重合体(ナイロンMXD6)、メタキシリレンジアミン/アジピン酸/イソフタル酸共重合体等の芳香族系ポリアミド等を挙げることができる。これらは、1種又は2種以上を混合して用いることができる。これらのポリアミドの中でも、優れたガスバリア性を有するため、芳香族系ポリアミドが好ましく、ナイロンMXD6がより好ましい。
(ポリエステル)
ポリエステルは、エステル結合を有するポリマーであり、多価カルボン酸とポリオールとの重縮合等によって得ることができる。当該インナーライナーのガスバリア樹脂として用いられるポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリグリコール酸(PGA)、全芳香族系液晶ポリエステル等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。これらのポリエステルの中でも、ガスバリア性の高さの点から、PGA及び全芳香族系液晶ポリエステルが好ましく、PGAがより好ましい。
(EVOH)
EVOHは、主構造単位として、エチレン単位及びビニルアルコール単位を有する重合体である。なお、このEVOHとしては、エチレン単位及びビニルアルコール単位以外に、他の構造単位を1種類又は複数種含んでいてもよい。
このEVOHは、通常、エチレンとビニルエステルとを重合し、得られるエチレン−ビニルエステル共重合体をケン化して得られる。
EVOHのエチレン単位含有量(すなわち、EVOH中の単量体単位の総数に対するエチレン単位の数の割合)の下限としては、3モル%が好ましく、10モル%がより好ましく、20モル%がさらに好ましく、25モル%が特に好ましい。一方、EVOHのエチレン単位含有量の上限としては、70モル%が好ましく、60モル%がより好ましく、55モル%がさらに好ましく、50モル%が特に好ましい。EVOHのエチレン単位含有量が上記下限より小さいと、当該インナーライナーの高湿度下でのガスバリア性等が低下するおそれや、溶融成形性が悪化するおそれがある。逆に、EVOHのエチレン単位含有量が上記上限を超えると、当該インナーライナーのガスバリア性が低下するおそれがある。
EVOHのケン化度(すなわち、EVOH中のビニルアルコール単位及びビニルエステル単位の総数に対するビニルアルコール単位の数の割合)の下限としては、80モル%が好ましく、95モル%がより好ましく、99モル%が特に好ましい。一方、EVOHのケン化度の上限としては99.99モル%が好ましい。EVOHのケン化度が上記下限より小さいと、溶融成形性が低下するおそれがあり、加えて当該インナーライナーのガスバリア性が低下するおそれや、耐着色性や耐湿性が不満足なものとなるおそれがある。逆に、EVOHのケン化度が上記上限を超えると、EVOHの製造コストの増加に対するガスバリア性等の上昇もそれほど期待できない。かかるEVOHは単独で用いることも可能であるが、ケン化度が99モル%を超えるEVOHとブレンドして用いる実施形態も好適である。
EVOHは、下記式(I)で表される構造単位(I)、及び下記式(II)で表される構造単位(II)の少なくともいずれか一種を有することが好ましい。EVOHがこのような構造単位を有することで、得られるインナーライナーの耐屈曲性等をより高めることができる。
Figure 2017214060
上記式(I)中、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基又は水酸基を表す。また、R、R及びRのうちの一対は、結合していてもよい。また、上記炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基及び炭素数6〜10の芳香族炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は、水酸基、カルボキシル基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
上記式(II)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基又は水酸基を表す。また、RとRとは、又はRとRとは、結合していてもよい。また、上記炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基及び炭素数6〜10の芳香族炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
上記構造単位(I)又は(II)の全構造単位に対する含有量の下限としては、0.5モル%が好ましく、1モル%がより好ましく、1.5モル%がさらに好ましい。一方上記構造単位(I)又は(II)の含有量の上限としては、30モル%が好ましく、15モル%がより好ましく、10モル%がさらに好ましい。EVOHが上記(I)又は(II)に示す構造単位を上記範囲の割合で有することによって、A層を形成するポリマーの柔軟性及び加工特性が向上する結果、当該インナーライナーの延伸性及び熱成形性等を向上することができる。
上記構造単位(I)又は(II)において、上記炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基としてはアルキル基、アルケニル基等が挙げられ、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基としてはシクロアルキル基、シクロアルケニル基等が挙げられ、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基としてはフェニル基等が挙げられる。
上記構造単位(I)において、上記R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基、水酸基、ヒドロキシメチル基及びヒドロキシエチル基であることが好ましく、これらの中でも、それぞれ独立に水素原子、メチル基、水酸基及びヒドロキシメチル基であることがさらに好ましい。そのようなR、R及びRであることによって、当該インナーライナーの延伸性及び熱成形性をさらに向上させることができる。
EVOH中に上記構造単位(I)を含有させる方法については、特に限定されないが、例えば、上記エチレンとビニルエステルとの重合において、構造単位(I)に誘導されるモノマーを共重合させる方法などが挙げられる。この構造単位(I)に誘導されるモノマーとしては、プロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘキセンなどのアルケン;3−ヒドロキシ−1−プロペン、3−アシロキシ−1−プロペン、3−アシロキシ−1−ブテン、4−アシロキシ−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、3−アシロキシ−4−ヒドロキシ−1−ブテン、4−アシロキシ−3−ヒドロキシ−1−ブテン、3−アシロキシ−4−メチル−1−ブテン、4−アシロキシ−2−メチル−1−ブテン、4−アシロキシ−3−メチル−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−2−メチル−1−ブテン、4−ヒドロキシ−1−ペンテン、5−ヒドロキシ−1−ペンテン、4,5−ジヒドロキシ−1−ペンテン、4−アシロキシ−1−ペンテン、5−アシロキシ−1−ペンテン、4,5−ジアシロキシ−1−ペンテン、4−ヒドロキシ−3−メチル−1−ペンテン、5−ヒドロキシ−3−メチル−1−ペンテン、4,5−ジヒドロキシ−3−メチル−1−ペンテン、5,6−ジヒドロキシ−1−ヘキセン、4−ヒドロキシ−1−ヘキセン、5−ヒドロキシ−1−ヘキセン、6−ヒドロキシ−1−ヘキセン、4−アシロキシ−1−ヘキセン、5−アシロキシ−1−ヘキセン、6−アシロキシ−1−ヘキセン、5,6−ジアシロキシ−1−ヘキセンなどの水酸基やエステル基を有するアルケンが挙げられる。その中で、共重合反応性、及び得られるインナーライナーのガスバリア性の観点からは、プロピレン、3−アセトキシ−1−プロペン、3−アセトキシ−1−ブテン、4−アセトキシ−1−ブテン及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが好ましい。エステルを有するアルケンの場合は、ケン化反応の際に、上記構造単位(I)に誘導される。
上記構造単位(II)において、R及びRは共に水素原子であることが好ましい。特に、R及びRが共に水素原子であり、上記R及びRのうちの一方が炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、他方が水素原子であることがより好ましい。この脂肪族炭化水素基は、アルキル基及びアルケニル基が好ましい。当該インナーライナーのガスバリア性を特に重視する観点からは、R及びRのうちの一方がメチル基又はエチル基、他方が水素原子であることが特に好ましい。また上記R及びRのうちの一方が(CHOHで表される置換基(但し、hは1〜8の整数)、他方が水素原子であることも特に好ましい。この(CHOHで表される置換基において、hは、1〜4の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
EVOH中に上記構造単位(II)を含有させる方法については、特に限定されないが、ケン化反応によって得られたEVOHに一価エポキシ化合物を反応させることにより含有させる方法などが用いられる。一価エポキシ化合物としては、下記式(IV)〜(X)で示される化合物が好適に用いられる。
Figure 2017214060
上記式(IV)〜(X)中、R14、R15、R16、R17及びR18は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基(アルキル基、アルケニル基など)、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基(シクロアルキル基、シクロアルケニル基など)又は炭素数6〜10の脂肪族炭化水素基(フェニル基など)を表す。また、i、j、k、p及びqは、それぞれ独立して、1〜8の整数を表す。
上記式(IV)で表される一価エポキシ化合物としては、例えばエポキシエタン(エチレンオキサイド)、エポキシプロパン、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン、3−メチル−1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシペンタン、3−メチル−1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシヘキサン、2,3−エポキシヘキサン、3,4−エポキシヘキサン、3−メチル−1,2−エポキシヘキサン、3−メチル−1,2−エポキシヘプタン、4−メチル−1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシオクタン、2,3−エポキシオクタン、1,2−エポキシノナン、2,3−エポキシノナン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシドデカン、エポキシエチルベンゼン、1−フェニル−1,2−プロパン、3−フェニル−1,2−エポキシプロパン等が挙げられる。
上記式(V)で表される一価エポキシ化合物としては、各種アルキルグリシジルエーテルが挙げられる。
上記式(VI)で表される一価エポキシ化合物としては、各種アルキレングリコールモノグリシジルエーテルが挙げられる。
上記式(VII)で表される一価エポキシ化合物としては、各種アルケニルグリシジルエーテルが挙げられる。
上記式(VIII)で表される一価エポキシ化合物としては、グリシドール等の各種エポキシアルカノールが挙げられる。
上記式(IX)で表される一価エポキシ化合物としては、各種エポキシシクロアルカンが挙げられる。
上記式(X)で表される一価エポキシ化合物としては、各種エポキシシクロアルケンが挙げられる。
上記一価エポキシ化合物の中では炭素数が2〜8のエポキシ化合物が好ましい。特に、化合物の取り扱いの容易さ、及び反応性の観点から、一価エポキシ化合物の炭素数としては、2〜6がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。また一価エポキシ化合物は上記式のうち式(IV)で表される化合物及び(V)で表される化合物であることが特に好ましい。具体的には、EVOHとの反応性及び得られるインナーライナーのガスバリア性等の観点からは、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン、エポキシプロパン、エポキシエタン及びグリシドールが好ましく、その中でもエポキシプロパン及びグリシドールが特に好ましい。
A層を形成するポリマー(A層形成材料)には、実施態様に応じ、リン酸化合物、カルボン酸、ホウ素化合物、金属塩等の1種又は複数種の化合物を含有させることができる。これらの化合物をA層のポリマー中に含有することによって、当該インナーライナーの各種性能を向上させることができる。
A層を形成するポリマーは、ガスバリア樹脂のみから構成されていてもよいし、ガスバリア樹脂以外の他の樹脂等を含んでいてもよい。A層(A層形成材料)は、本発明の目的を損なわない範囲で、上記添加物以外に、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラーなど種々の成分を含んでいてもよい。A層が、ガスバリア性樹脂以外の成分を含む場合、その含有量の上限はA層の総量に対して30質量%が好ましく、10質量%がより好ましく、3質量%がさらに好ましく、1質量%が特に好ましい。
〈B層〉
B層は、ポリマーから形成される層であり、このポリマーはエラストマーを含む。すなわち、B層は、エラストマーを含むポリマーから形成される層である。当該インナーライナーは、エラストマーを含むポリマーから形成されるB層を有することで、良好な延伸性、耐屈曲性、熱成形性等を発揮することができる。
上記エラストマーは、B層の主成分となるポリマーである。B層(B層形成材料)におけるエラストマーの含有量の下限としては、例えば60質量%であり、90質量%が好ましく、95質量%がより好ましく、97質量%がさらに好ましく、99質量%がさらに好ましいこともあり、99.9質量%がさらに好ましいこともある。エラストマーとは、常温付近で弾性を有する樹脂をいい、本明細書においては、具体的には、室温(20℃)の条件下で、2倍に伸ばし、その状態で1分間保持した後、1分以内に元の長さの1.5倍未満に収縮する性質を有する樹脂をいう。エラストマーは、構造的には、通常、重合体鎖中にハードセグメントとソフトセグメントとを有する重合体である。また、エラストマーは、通常、熱可塑性である。
エラストマーとしては、例えばスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ジエン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、塩素化ポリエチレン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、フッ素樹脂系エラストマー等を挙げることができる。
〈B1層〉
B1層は、B層(エラストマー層)のうちの一種である。B1層は、ポリマーから形成されており、このポリマーは、エラストマーとしてスチレン系エラストマーを含む。すなわち、B1層は、スチレン系エラストマーを含むポリマーから形成されている。B1層(B1層形成材料)におけるスチレン系エラストマーの含有量の下限としては、例えば60質量%であり、90質量%が好ましく、95質量%がより好ましく、97質量%がさらに好ましく、99質量%がさらに好ましいこともあり、99.9質量%がさらに好ましいこともある。
B1層を形成するポリマー(スチレン系エラストマー及び任意のその他のポリマー全体)のヨウ素価の下限は、200であり、220が好ましく、230がより好ましい。一方、このヨウ素価の上限は、300であり、280が好ましく、260がより好ましい。
ヨウ素価とは、対象となるポリマー100gに付加するヨウ素の質量(g)を示すものであり、ポリマー中の二重結合の量を示す指標である。当該インナーライナーは、最外層のC層に隣接するB1層中のポリマーが十分な二重結合を有するため、C層との加熱接着の際、十分な架橋反応が生じ、C層と良好に接着することができる。また、B1層のポリマーのヨウ素価が、上記上限以下であることによりスチレン系エラストマー中に十分な量の官能基を導入することができる。この官能基等の存在によりB1層は、C層以外の層(例えば、A層やB2層)とも良好に接着することができ、当該インナーライナーは、各層間の接着性に優れる。
なお、以下のヨウ素還元滴定により測定した値を意味する。まず、フラスコ中に対象となるポリマーの適量(約0.1g〜1g)を正確に秤量して、クロロホルム100mLを加えて完全に溶解させ、次いでウィス液(0.1Nの一塩化ヨウ素−酢酸溶液)20mLを加え静かに振り混ぜ、光を遮り室温で30分静置させる。この溶液に0.1g/mLのヨウ化カリウム水溶液を20mL及び水100mLを加えた後、遊離したヨウ素の量を0.1Nチオ硫酸ナトリウム水溶液で逆滴定し、下記式によってヨウ素価(I:g/100g)を求める。この際、1Nチオ硫酸ナトリウム水溶液による逆滴定の終点は、水相及びクロロホルム相を目視観察し、共に無色であると判断する点とする。なお、ポリマーを加えずに同様の操作を行い、そのときの0.1Nチオ硫酸ナトリウム水溶液の滴定量(mL)をブランク値とする。
I=(B−C)×f×1.269/S
I:ヨウ素価(g/100g)
S:秤量した水添ブロック共重合体(a)の質量(g)
B:0.1Nチオ硫酸ナトリウム水溶液のブランク滴定量(mL)
C:0.1Nチオ硫酸ナトリウム水溶液の滴定量(mL)
f:0.1Nチオ硫酸ナトリウム水溶液のファクター
上記ヨウ素価を所望する範囲に制御する方法としては、当業者が通常行う方法を採用することができる。例えば、スチレン系エラストマーを重合する際の反応温度、反応時間などの反応条件を適宜調節すること、スチレン系エラストマーへの水素添加反応をすること、スチレン系エラストマーに対し、後述するエポキシ変性等の変性をすること、ヨウ素価の異なる複数のスチレン系エラストマーを混合すること、所定のヨウ素価を有するスチレン系エラストマーと、他のエラストマー又はその他のポリマーとを混合することなどにより行うことができる。
スチレン系エラストマーは、芳香族ビニル系重合体ブロック(ハードセグメント)と、ゴムブロック(ソフトセグメント)とを有し、芳香族ビニル系重合体部分が物理架橋を形成して橋かけ点となり、一方、ゴムブロックがゴム弾性を付与する。
スチレン系エラストマーとしては、例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)等を挙げることができる。
これらのスチレン系エラストマーの中でも、SBS、SIS及びSEBSの中の1種以上を用いることが好ましく、SBS及びSISの1種以上を用いることがより好ましい。また、スチレン系エラストマーとしては、水添されていないものが好ましい。水添されていないスチレン系エラストマーは、十分な量の二重結合を有し、ゴム材料との接着性をより良好にすることができる。一方、用途等によっては、接着性を落とすような樹脂組成にすることもできる。例えば、SBSやSISに対して、SEBS等を加えて、ヨウ素価を下げるような組成に調製することもできる。
スチレン系エラストマーは、官能基を有することが好ましい。特に、他の層(A層やB2層)に含まれる基と結合反応する基を有することが好ましい。他の層に含まれる基としては、例えばEVOHの有する水酸基や、TPU等の他のエラストマーが有する基(例えばカーバメート基やイソシアネート基等)等を挙げることができる。このような好ましい官能基としては、カルボキシ基、エポキシ基、アミノ基等を挙げることができ、カルボキシ基及びエポキシ基がより好ましく、エポキシ基がさらに好ましい。さらには、スチレン系エラストマーが主鎖中にエポキシ基を有することが好ましい。主鎖中にエポキシ基を有するとは、主鎖中に環状エーテル構造を有することを言い、主鎖中に三員環の環状エーテル構造を有することが好ましい。このような、官能基を有するスチレン系エラストマーは、これらの官能基の存在により、他のA層やB2層との接着性を高めることができ、当該インナーライナーの層間接着性をより高めることができる。
カルボキシ基を有するスチレン系エラストマー(カルボン酸変性スチレン系エラストマー)は、(1)スチレン系エラストマーに不飽和カルボン酸又はその無水物を、付加反応やグラフト反応により化学的に結合させる方法、(2)ビニル芳香族化合物と、共役ジエン化合物/又はその水素添加物と、不飽和カルボン酸又はその無水物等とを共重合させる方法などによって得ることができる。上記不飽和カルボン酸及びその無水物としては、マレイン酸及び無水マレイン酸等を挙げることができる。
主鎖中にエポキシ基を有するスチレン系エラストマー(エポキシ変性スチレン系エラストマー)は、スチレン系エラストマー又は部分水添スチレン系エラストマーに、不活性溶媒中でエポキシ化剤を反応させること等により得ることができる。エポキシ化剤との反応により、ゴムブロック(ソフトセグメント)が有する炭素二重結合がエポキシ化される。
上記エポキシ化剤としては、例えば過酸類、ハイドロパーオキサイド類等を挙げることができる。過酸類としては、例えば過蟻酸、過酢酸、過安息香酸、トリフルオロ過酢酸等を挙げることができる。ハイドロパーオキサイド類としては、例えば過酸化水素、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等を挙げることができる。
B1層を形成するポリマーにおいて、スチレン系エラストマー以外の他のエラストマーやその他のポリマーがエポキシ基等の官能基を有していてもよい。B1層を形成するポリマー中の官能基(好ましくは、エポキシ基)の含有量の下限としては、0.001mmol/gが好ましく、0.1mmol/gがより好ましく、0.2mmol/gがさらに好ましく、0.3mmol/gがよりさらに好ましく、0.5mmol/gが特に好ましい。一方、この上限としては、2mmol/gが好ましく、1.5mmol/gがより好ましい。エポキシ基等の含有量が上記下限未満の場合、十分な層間接着性が発現されない場合がある。一方、エポキシ基等の含有量が上記上限を超える場合、これらの基の導入により、スチレン系エラストマー等が有する二重結合が減少し、C層などとの接着性が低下する場合がある。
エポキシ基や、カルボキシ基等の官能基の含有量は、種々の滴定法により測定することができる。具体的には、エポキシ基の場合、JIS K 7236に準拠して求められるエポキシ当量の逆数から算出することができる。カルボキシ基の場合、キシレン溶媒に試料を溶解し、0.1N水酸化カリウムのアルコール(水酸化カリウム7gにイオン交換水5gを添加し、1級エチルアルコールを加えて1Lとし、0.1N塩酸及び1%フェノールフタレイン溶液にて力価(F)を標定したもの)で滴定し、その中和量から次式に従って酸価を求め、酸価を水酸化カリウムの分子量で除することで算出できる。
酸価(mgKOH/g)=(KOH滴定量(ml)×F×56.1)/試料(mg)
B1層を形成するポリマーは、スチレン系エラストマーのみから構成されていてもよいし、スチレン系エラストマー以外のエラストマー等、他のポリマーを含んでいてもよい。また、B1層(B1層形成材料)は、上記ポリマー以外に、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラー、加硫促進剤、加硫促進助剤等の他の成分をさらに含んでいてもよい。B1層が、スチレン系エラストマー以外の他の成分を含む場合、その含有量の上限はB1層の総量に対して30質量%が好ましく、10質量%がより好ましく、3質量%がさらに好ましく、1質量%が特に好ましい。
また、B1層を形成するポリマーは、製造安定性及び取り扱い性の観点から、粘着付与剤をスチレン系エラストマー100質量部に対して20質量部よりも多く含まないことが好ましい。粘着付与剤としては、タッキファイヤー等のテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族テルペン樹脂、ロジンエステル系樹脂等が挙げられる。B1層を形成するポリマーが粘着付与剤を含む場合、その含有量の上限は、スチレン系エラストマー100質量部に対して、20質量部であることが好ましく、15質量部であることがより好ましく、10質量部であることがさらに好ましく、5質量部であることが特に好ましい。なお、B1層を形成するポリマーは粘着付与剤を含まないことが最も好ましい。B1層を形成するポリマーに含まれる粘着付与剤の含有量が20質量部以下であると、インナーライナーの製造安定性及び取り扱い性が向上するため好ましい。
〈B2層〉
B2層は、B層(エラストマー層)のうちの一種であり、上述したB1層以外の層である。B2層は、B1層を形成するエラストマー以外のエラストマーを含むポリマーから形成されている。B2層を形成するポリマーに含まれるエラストマーは、通常、熱可塑性エラストマーであり、具体的には、オレフィン系エラストマー、ジエン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、塩素化ポリエチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、フッ素樹脂系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等を挙げることができる。これらの中でも、ポリウレタン系エラストマーが好ましい。ポリウレタン系エラストマーを用いることで、耐屈曲性等をより高めることなどができる。これらのエラストマーは、一種を単独で、又は二種以上を混合して用いることができる。B2層(B2層形成材料)におけるエラストマーの含有量の下限としては、例えば60質量%であり、90質量%が好ましく、95質量%がより好ましく、97質量%がさらに好ましく、99質量%がさらに好ましいこともあり、99.9質量%がさらに好ましいこともある。
(オレフィン系エラストマー)
オレフィン系エラストマーとしては、ハードセグメントとして、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン部を、ソフトセグメントとして、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム部などを有する熱可塑性エラストマーを挙げることができる。また、無水マレイン酸変性エチレン−ブテン−1共重合体、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレン共重合体、ハロゲン化ブチル系ゴム、変性ポリプロピレン、変性ポリエチレンなども挙げることができる。
(ジエン系エラストマー)
ジエン系エラストマーとしては、1,2−ポリブタジエン系エラストマー、トランス−1,4−ポリイソプレン系エラストマー、水添共役ジエン系エラストマー、エポキシ化天然ゴム、これらの無水マレイン酸変性物等を挙げることができる。
(塩化ビニル系エラストマー)
塩化ビニル系エラストマーとしては、一般に、下記の3種のタイプのものが挙げられる。なお、この塩化ビニル系エラストマーは、無水マレイン酸変性エラストマー等の変性物を用いることもできる。
(1)高分子量ポリビニル(PVC)/可塑化PVCブレンド型
(2)部分架橋PVC/可塑化PVCブレンド型
(3)PVC/エラストマーアロイ型
(塩素化ポリエチレン系エラストマー)
塩素化ポリエチレン系エラストマーは、ポリエチレンを水性懸濁液として、あるいは四塩化炭素等の溶媒中で、塩素ガスと反応させて得られる軟質樹脂である。塩素化ポリエチレン系エラストマーは、ハードセグメントとして結晶性ポリエチレン部を有し、ソフトセグメントとして塩素化ポリエチレン部を有する。
(ポリエステル系エラストマー)
ポリエステル系エラストマーは、分子中のハードセグメントとしてポリエステル部を有し、ソフトセグメントとしてガラス転移温度(Tg)の低いポリエーテル部又はポリエステル部を有するマルチブロックコポリマーである。
(ポリアミド系エラストマー)
ポリアミド系エラストマーは、ハードセグメントとしてポリアミド部を有し、ソフトセグメントとしてTgの低いポリエーテル部やポリエステル部を有するマルチブロックコポリマーである。ポリアミド成分は、ナイロン6、66、610、11、12などから選択され、ナイロン6又はナイロン12が一般的である。
ソフトセグメントの構成成分には、ポリエーテルジオール又はポリエステルジオールの長鎖ポリオールが用いられる。ポリエーテルとしては、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(PTMG)、ポリ(オキシプロピレン)グリコール等を挙げることができる。ポリエステルジオールとしては、ポリ(エチレンアジペート)グリコール、ポリ(ブチレン−1,4−アジペート)グリコール等を挙げることができる。
(フッ素樹脂系エラストマー)
フッ素樹脂系エラストマーは、ハードセグメントとしてのフッ素樹脂部と、ソフトセグメントとしてのフッ素ゴム部とからなるABA型ブロックコポリマーである。ハードセグメントのフッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合ポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が用いられる。ソフトセグメントのフッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン三元共重合ポリマー等が用いられる。
(ポリウレタン系エラストマー)
ポリウレタン系エラストマー(熱可塑性ポリウレタン系エラストマー:TPU)は、(1)ハードセグメントとして短鎖グリコール(低分子ポリオール)とイソシアネートの反応で得られるポリウレタン部と、(2)ソフトセグメントとして長鎖グリコール(高分子ポリオール)とイソシアネートの反応で得られるポリウレタン部との、直鎖状のマルチブロックコポリマー等である。ここでポリウレタンとは、イソシアネート(−NCO)とアルコール(−OH)の重付加反応(ウレタン化反応)で得られる、ウレタン結合(−NHCOO−)を有する化合物の総称である。
B2層を形成するポリマーにポリウレタン系エラストマーを用いると、延伸性及び熱成形性等を向上することができるため好ましい。また、当該インナーライナーにおいては、このB2層と上記A層との高い層間接着性などから、良好な耐屈曲性等を発現することができる。
TPUは、高分子ポリオール、有機ポリイソシアネート、鎖伸長剤等から構成される。この高分子ポリオールは、複数の水酸基を有する物質であり、重縮合、付加重合(例えば開環重合)、重付加などによって得られる。高分子ポリオールとしては、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール又はこれらの共縮合物(例えば、ポリエステル−エーテル−ポリオール)などが挙げられる。これらの高分子ポリオールは1種類を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中で、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオールが好ましく、ポリエステルポリオールが特に好ましい。
上記ポリエステルポリオールは、例えば、常法に従い、ジカルボン酸、そのエステル、その無水物等のエステル形成性誘導体と低分子ポリオールとを直接エステル化反応若しくはエステル交換反応によって縮合させるか、又はラクトンを開環重合することにより製造することができる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(メチルテトラメチレン)グリコールなどが挙げられる。これらのポリエーテルポリオールは、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。この中でもポリテトラメチレングリコールが好ましい。
上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオールなどの炭素数2〜12の脂肪族ジオール又はこれらの混合物に炭酸ジフェニル若しくはホスゲンなどを作用させて縮重合して得られるものが好適に用いられる。
上記高分子ポリオールの数平均分子量の下限としては、500が好ましく、600がより好ましく、700がさらに好ましい。一方、高分子ポリオールの数平均分子量の上限としては、8,000が好ましく、5,000がより好ましく、3,000がさらに好ましい。高分子ポリオールの数平均分子量が上記下限より小さいと、有機ポリイソシアネートとの相溶性が良すぎて得られるTPUの弾性が乏しくなるため、得られるインナーライナーの延伸性などの力学的特性や熱成形性が低下するおそれがある。逆に、高分子ポリオールの数平均分子量が上記上限を超えると、有機ポリイソシアネートとの相溶性が低下して、重合過程での混合が困難になり、その結果、ゲル状物の塊の発生等により安定したTPUが得られなくなるおそれがある。なお、高分子ポリオールの数平均分子量は、JIS K 1577に準拠して測定し、水酸基価に基づいて算出した数平均分子量である。
有機ポリイソシアネートとしては、特に限定されるものではなく、TPUの製造に一般的に使用される公知の有機ジイソシアネートが用いられる。この有機ジイソシアネートとしては、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート(脂環族ジイソシアネートを含む)などを挙げることができる。この中でも、得られるインナーライナーの強度、耐屈曲性が向上できる点で、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。これらの有機ジイソシアネートは、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
鎖伸長剤としては、TPUの製造に一般的に使用される鎖伸長剤が使用され、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有する分子量300以下の低分子化合物が好適に使用される。鎖伸長剤としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオールなどが挙げられる。この中でも、得られるインナーライナーの延伸性及び熱成形性がさらに良好になる点で、炭素数2〜10の脂肪族ジオールが好ましく、1,4−ブタンジオールが特に好ましい。これらの鎖伸長剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
TPUの製造方法としては、上記高分子ポリオール、有機ポリイソシアネート及び鎖伸長剤を使用し、公知のウレタン化反応技術を利用して製造され、プレポリマー法及びワンショット法のいずれを用いても製造することができる。その中でも、実質的に溶剤の不存在下に溶融重合することが好ましく、特に多軸スクリュー型押出機を用いる連続溶融重合することが好ましい。
B2層を形成するポリマーは、エラストマーのみから構成されていてもよいし、エラストマー以外の他のポリマーを含んでいてもよい。また、B2層(B2層形成材料)は、上記ポリマー以外に、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラー等の他の成分をさらに含んでいてもよい。B2層が、エラストマー以外の他の成分を含む場合、その含有量の上限はB2層の総量に対して30質量%が好ましく、10質量%がより好ましく、3質量%がさらに好ましく、1質量%が特に好ましい。
〈C層〉
C層は、ジエン系ゴムを含むゴム材料から形成されている。ジエン系ゴムとは、主鎖中に炭素二重結合を有するゴムをいう。ジエン系ゴムとしては、例えば天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、シス−1,4−ポリブタジエン(BR)、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン(1,2BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)等が挙げられる。これらのジエン系ゴムは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、C層は、ジエン系ゴムのみから形成されていてもよいが、本発明の効果を阻害しない範囲で、ジエン系ゴム以外の成分が含有されていてもよい。他の成分としては、例えば軟化剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸、充填剤等を挙げることができる。
C層と、C層に隣接するB1層とは、架橋反応(加硫反応)により、界面で強く結合している。特に、B1層は、十分な二重結合を主鎖中に有するスチレン系エラストマー等を含有するポリマーから形成されるため、ジエン系ゴムとの十分な架橋反応を可能とする。一方、B1層を形成するスチレン系エラストマーがエポキシ基等の官能基を有する場合、内面側の層(A層又はB1層)を形成するポリマーとの架橋反応も可能となる。従って、当該インナーライナーは、優れた層間接着性を発揮することができる。
〈用途等〉
当該インナーライナーは、ガスバリア層(A)とエラストマー層(B)とを有するため、ガスバリア性、延伸性等に優れる。また、当該インナーライナーは、最外層を構成するジエン系ゴム層(C)が接着層(B1)と架橋反応により強く接着し、各層間の接着性及び耐屈曲性等にも優れる。従って、当該インナーライナーを備える空気入りタイヤは、内圧保持性に優れ、また、インナーライナーにおけるクラックの発生が低減される。
<空気入りタイヤ>
当該インナーライナーを備える空気入りタイヤについて、図2を参照に以下に説明する。図2の空気入りタイヤ30は、一対のビード部32と、一対のサイドウォール部33と、両サイドウォール部33に連なるトレッド部34とを有する。また、空気入りタイヤ30は、上記一対のビード部32間にトロイド状に延在して、これらのビード部32、サイドウォール部33及びトレッド部34を補強するカーカス35と、このカーカス35のクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置された2枚のベルト層からなるベルト36とを備え、更に、このカーカス35の内面には当該インナーライナー37が配置されている。
空気入りタイヤ30において、カーカス35は、上記ビード部32内にそれぞれ埋設した一対のビードコア38間にトロイド状に延在する本体部と、各ビードコア38の周りでタイヤ幅方向の内側から外側に向けて半径方向外方に巻上げた折り返し部とを備える。
空気入りタイヤ30において、ベルト36は、2枚のベルト層からなるが、ベルト36を構成するベルト層の枚数はこれに限られるものではない。ここで、ベルト層は、通常タイヤ赤道面に対して傾斜して延びるコードのゴム引き層からなり、2枚のベルト層は、このベルト層を構成するコードが互いに赤道面を挟んで交差するように積層されてベルト36を構成する。さらに、空気入りタイヤ30は、上記ベルト36のタイヤ半径方向外側でベルト36の全体を覆うように配置されたベルト補強層39を備える。但し、ベルト補強層39を有していなくてもよいし、他の構造のベルト補強層を備えることもできる。ここで、ベルト補強層39は、通常、タイヤ周方向に対し実質的に平行に配列したコードのゴム引き層からなる。
空気入りタイヤ30において、タイヤ内に充填する気体としては、通常の、あるいは酸素分圧を変えた空気、又は窒素等の不活性ガス等を用いることができる。空気入りタイヤ30は、乗用車用タイヤ、大型タイヤ、オフザロード用タイヤ、二輪車用タイヤ、航空機タイヤ、農業用タイヤ等に好適に適用できる。
<インナーライナーの製造方法>
当該インナーライナーの製造方法は、A層、B層及びC層が良好に積層及び接着される方法であれば特に限定されるものではなく、例えば共押出し、はり合わせ、コーティング、ボンディング、付着などの公知の方法を採用することができる。
当該インナーライナーは、好ましくは
A層を形成するポリマー(A層形成材料)と、B層を形成するポリマー(B層形成材料)とを共押出する工程
を備える製造方法により製造することができる。このような製造方法によれば、C層との接着性が良好な接着層(B1)を他のA層等と同時に成形することができ、生産性等に優れる。
多層共押出法においては、A層を形成するポリマーとB層を形成するポリマーとは加熱溶融され、異なる押出機やポンプからそれぞれの流路を通って押出ダイに供給され、押出ダイから多層に押し出された後に積層接着することで、A層とB層とを含む構造体が形成される。この押出ダイとしては、例えばマルチマニホールドダイ、フィールドブロック、スタティックミキサーなどを用いることができる。
なお、A層及びB層を形成する各ポリマーの粘度の関係に関し、以下の溶融粘度比であることが好ましい。すなわち、温度210℃、剪断速度1,000/秒でのA層を形成するポリマーの溶融粘度(η)とB層のポリマーの溶融粘度(η)との比(η/η)の下限としては、0.3が好ましく、0.5がより好ましい。一方、この溶融粘度比(η/η)の上限としては、2が好ましく、1.5がより好ましい。溶融粘度比(η/η)を上記範囲とすることによって、多層共押出法による成形において、外観が良好となり、また、A層とB層間の接着が良好となって当該インナーライナーの耐久性等を向上させることなどができる。
当該インナーライナーの製造方法は、上記共押出工程で得られた構造体にC層を加熱接着する工程をさらに備えることが好ましい。上記加熱接着は、共押出工程を経て得られた構造体の最外層のB1層と、C層(ジエン系ゴム膜)とを積層し、加熱することによって行うことができる。この加熱により、B1層とC層との間で加硫が生じ、強固な接着が生じる。この際の加熱温度の下限としては、120℃が好ましく、125℃がより好ましく、130℃がさらに好ましい。一方、この加熱温度の上限としては、200℃が好ましく、190℃がより好ましく、180℃がさらに好ましい。
当該インナーライナーの製造方法は、上記加熱接着工程の前に、共押出により得られた構造体へ電子線を照射する工程を備えることが好ましい。電子線照射により、A層とB層(B1層又はB2層)との間や、B1層とB2層との間で架橋反応が生じ、得られるインナーライナーの層間接着力をより高めることができる。電子線源としては、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を使用できる。
<空気入りタイヤの製造方法>
当該空気入りタイヤの製造方法は特に限定されないが、好ましくは、上述した当該インナーライナーの製造方法を含む方法によって好適に製造することができる。具体的には、上記共押出工程、及び必要に応じて上記電子線照射工程及び加熱接着工程等を経てインナーライナーを得て、このインナーライナーをカーカスの内面側に貼り付けることなどによって当該空気入りタイヤを得ることができる。インナーライナーの貼り付け(積層)工程は、公知の方法によって行うことができる。
<他の実施の形態>
本発明のインナーライナー、空気入りタイヤ、及びそれらの製造方法は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、インナーライナーにおいては、両最外面にC層が配設されていてもよいし、一方の最外面がA層やB2層となるような層構造であってもよい。また、一方の外面等に、さらに支持膜等が積層されてもよい。この支持膜としては特に限定されず、樹脂層でなくてもよく、例えば一般的な合成樹脂層、合成樹脂フィルム等も用いられる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[製造例1]EVOH(1)(エポキシブタン変性EVOH)の製造
冷却装置及び攪拌機を有する重合槽に酢酸ビニル20,000質量部、メタノール2000質量部、重合開始剤として2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)10質量部を仕込み、攪拌しながら窒素置換後、エチレンを導入、内温60℃、エチレン圧力45kg/cmに調節し、4時間、その温度及び圧力を保持、攪拌し重合させた。次いで、ソルビン酸(SA)10質量部(仕込み酢酸ビニルに対して0.05質量%)をメタノールに溶解し、1.5質量%溶液にして添加した。重合率は、仕込み酢酸ビニルに対して45%であった。この共重合反応液を分離塔に供給し、塔下部からのメタノール蒸気の導入により未反応酢酸ビニルを塔頂より除去した後、この共重合体の40%のメタノール溶液を得た。この共重合体はエチレン単位含有量32モル%、酢酸ビニル単位含有量68モル%であった。
この共重合体のメタノール溶液をケン化反応器に導入し、次いで水酸化ナトリウム/メタノール溶液(85g/L)を共重合体中の酢酸ビニル成分に対して0.5当量となるように添加し、更にメタノールを添加して共重合体濃度が15質量%になるように調整した。反応器内温度を60℃に昇温し、反応器内に窒素ガスを吹き込みながら5時間反応させた。その後、酢酸で中和し反応を停止させ内容物を反応器より取り出し、常温に放置し粒子状に析出した。析出後の粒子を遠心分離機で脱液しさらに大量の水を加え脱液する操作を繰り返した。その後、乾燥させることにより、ケン化度99.9モル%以上の未変性EVOHを得た。
得られた未変性EVOHを、酢酸、及びリン酸水素ナトリウムを含む水溶液(水溶液1L中、酢酸0.05g、リン酸水素ナトリウム0.02g)を用い、浴比20で処理し、乾燥してEVOH組成物粒子を得た。このEVOH組成物粒子の酢酸含有量は40ppm、リン酸化合物含有量はリン酸根換算で20ppmであった。
得られたEVOH組成物粒子に対して、東芝機械社の二軸押出機「TEM−35BS」(37mmφ、L/D=52.5)を使用し、触媒添加下でエポキシブタンを反応させた。未反応のエポキシブタンはベントより除去した。次いで触媒失活剤としてエチレンジアミン四酢酸三ナトリウム水和物8.2質量%水溶液を添加し、ペレット化を行った。その後、乾燥を行い、エチレン単位含有量32モル%のEVOH(1)のペレットを得た。また、エポキシブタン変性量はH−NMR(内部標準物質:テトラメチルシラン、溶媒:d−DMSO)の測定より、5.8モル%であった
[製造例2]EVOH(2)(未変性EVOH)の製造
エポキシブタン変性を行わなかったこと以外は製造例1と同様の方法にて、エチレン単位含有量32モル%、ケン化度99.9モル%以上の未変性のEVOH(2)のペレットを得た。
[製造例3]EVOH(3)
エポキシブタンの代わりにエポキシプロパンを使用した以外は製造例1と同様な条件で押出を行い、エチレン単位含有量32モル%、ケン化度99.9モル%以上、エポキシプロパン変性量8.0モル%の変性EVOH(3)を得た。
[製造例4]EVOH(4)
エポキシブタンの代わりにグリシドールを使用した以外は製造例1と同様な条件で押出を行い、エチレン単位含有量32モル%、ケン化度99.9モル%以上、グリシドール変性量5.0モル%の変性EVOH(4)を得た。
[製造例5]TPUの製造
数平均分子量が1000であるポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、1,4−ブタンジオール(1,4−BD)及び4,4 ’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を、PTMEG:1,4−BD:MDI=1.0:1.2:2.2のモル比で、且つこれらの合計供給量が200g/分となるようにして同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36;加熱ゾーンを前部、中央部、後部の3つの帯域に分けた)の加熱ゾーンの前部に連続的に供給して、260℃で連続溶融重合させた。得られた溶融物をストランド状に水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断した後に60℃で12時間除湿乾燥させて、TPUのペレットを得た。得られたTPUの溶融粘度は1080Pa・s、流出開始温度は171℃であった。
その他、実施例及び比較例で用いた樹脂等は以下の通りである。
・ナイロン6
ナイロン6として、東レ社の「アミランCM1021FS」を用いた。
・ナイロンMXD6
ナイロンMXD6として、三菱ガス化学社の「S6007」を用いた。
・ポリグリコール酸(PGA)
PGAとして、クレハ製「クレダックス」を用いた。
・エポキシ変性SBS(1)(E−SBS(1))
ダイセル社の「エポフレンドAT501」(ヨウ素価239、官能基量1mmol/g)を用いた。
・エポキシ変性SBS(2)(E−SBS(2))
ダイセル社の「エポフレンドCT310」(ヨウ素価249、官能基量0.5mmol/g)を用いた。
・無水マレイン酸変性SBS(MA−SBS)
旭化成社の「タフプレン912」(ヨウ素価266、官能基量0.06mmol/g)を用いた。
・無水マレイン酸変性SEBS(MA−SEBS)
旭化成社の「タフテックM1943」(ヨウ素価10、官能基量0.02mmol/g)を用いた。
・SBS
旭化成社の「タフプレンA」(ヨウ素価は未測定)を用いた。
・SIS
JSR社の「SIS5229」(ヨウ素価335)を用いた。
上記各エラストマーのヨウ素価及び官能基量を、上記発明を実施するための形態に記載の方法にて測定した。なお、エラストマーを混合して使用したものについては、混合物に対して測定を行った。測定値を表1〜表3に示す。
その他、実施例及び比較例においては、以下のものを使用した。
・天然ゴム:中部大阪ゴムの「TSR−20」(平均厚み400μm)
[実施例1]
EVOH(1)、E−SBS(1)及びTPUを材料として使用し、これらを20層フィードブロックにより、共押出機に190℃の溶融状態として供給し、50℃にコントロールされた冷却ロールにキャストし、巻き取ることによって、20層構造の積層体を得た。なお、9層のEVOH(1)層と、10層のTPU層とが交互に積層されるように、かつ一方の最外層としてE−SBS(1)層が積層されるように共押出を行った。8時間の連続運転において、一度も不具合が起こることなく安定的に積層体が得られた。
上記のようにして得られた積層体は、KEYENCE社の「DIGITAL MICROSCOPE VK−X200」にて断面観察を行った結果、A層(EVOH(1)層)の平均厚みが0.5μm、B1層(E−SBS(1)層)の平均厚みが5μm、B2層(TPU層)の平均厚みが4.5μmであった。なお、各厚みはランダムに選択された10点での測定値の平均値とした。
得られた積層体のB1層(E−SBS(1)層)に対し、日新ハイボルテージ社の電子線照射装置「生産用キュアトロンEBC200−100」を使用して、加速電圧200kV、照射エネルギー150kGyの条件で電子線照射を行った。その後、積層体の表面に、平均厚み400μmの天然ゴム膜(C層)を載せ、温度160℃にて15分間加熱接着することにより、実施例1のインナーライナーを得た。
[実施例2〜25、比較例1〜5]
用いたポリマー、各層の積層数、及び1層の平均厚みを表1〜表3に記載の通りとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜25及び比較例1〜5のインナーライナーをそれぞれ得た。ポリマーにおいて、2種のエラストマーを混合して用いた場合は、その混合比(質量比)を併せて示している。
[評価]
得られたインナーライナーの各特性を、以下に記載の方法に従って評価した。これらの特性の評価結果を表1〜表3に示す。
(1)酸素透過速度
得られたインナーライナーを、20℃、65%RHで5日間調湿し、調湿済みのインナーライナーのサンプルを2枚使用して、MOCON社の「MOCON OX−TRAN2/20型」を用い、20℃、65%RH条件下でJIS K 7126−2(等圧法;2006年)に記載の方法に準じて、酸素透過速度を測定し、その平均値を求めた(単位:mL/(m・day・atm))。なお、酸素透過速度が、300mL/(m・day・atm)以下であれば、1気圧の条件下で、1m当たりに1日に300mL以下の酸素透過量となるため、ガスバリア性を有すると評価できる。
(2)B1層とC層との層間接着力
得られたインナーライナーを23℃、50%RHの雰囲気下で7日間調湿したのち、10mm幅の短冊状の切片をMD方向(成形時フィルムの引取方向)に作成して測定試料とした。この測定試料を用い、23℃、50%RHの雰囲気下、島津製作所社のオートグラフ「AGS−H型」を用いて、引張速度250mm/分にて、B1層(接着層)とC層(ジエン系ゴム層)との間のT型剥離強度を測定した。測定値を以下の基準A〜Dで評価した。A〜Cであれば接着性が高いと評価できる。
A:10N/10mm以上
B:5N/10mm以上10N/10mm未満
C:2.5N/10mm以上5N/10mm未満
D:2.5N/10mm未満
(3)屈曲後ピンホール数
ASTM−F392−74に準じて、テスター産業社製「BE1006恒温槽付ゲルボフレックステスター」を使用し、−30℃の環境下、屈曲を5000回繰り返した。屈曲後のピンホールの数を測定した。なお、このピンホール数が、A4(210mm×297mm)範囲内で20個以下であれば、耐屈曲性が良好であると評価できる。
(4)B1層とA層又はB2層との層間接着力
上記(2)B1層とC層との層間接着力の測定と同様の方法により、B1層とA層又はB2層とのT型剥離強度を測定した。測定値を以下の基準で評価した。なお、この層間接着力は、C層と接するB1層において、C層とは反対側の層との間の接着力を測定した。すなわち、B2層(TPU層)を有していない実施例5、18、比較例4、5については、B1層(接着層)とA層(ガスバリア層)との間の接着力を測定し、その他のものについては、B1層(接着層)とB2層(TPU層)との間の接着力を測定した。測定値を以下の基準A〜Dで評価した。A〜Cであれば、層間の接着性が高いと評価できる。
A:20N/10mm以上
B:15N/10mm以上20N/10mm未満
C:10N/10mm以上15N/10mm未満
D:10N/10mm未満
Figure 2017214060
Figure 2017214060
Figure 2017214060
表1〜表3の結果から、各実施例のインナーライナーは、層間接着力及び耐屈曲性に優れていることがわかる。一方、比較例1のインナーライナーは、B1層のヨウ素価が高過ぎ、官能基が導入されていないため、B1層とB2層との間の接着力が弱い。比較例2、3のインナーライナーは、B1層のヨウ素価が低く、B1層とC層との間の接着力が弱い。また、比較例4、5のインナーライナーは、層数が少なく、屈曲後のピンホール数が多く、耐屈曲性が低いことがわかる。
なお、各実施例間を比較すると、C層と接するB1層が比較的厚い実施例4、17のインナーライナーは、B1層とC層との間の接着力がやや低いことがわかる。B2層を有さず、また、層数も少ない実施例5、18のインナーライナーは、耐屈曲性がやや低いことがわかる。B1層に用いるポリマーの官能基量が少ない実施例7〜10、20〜23のインナーライナーは、B1層とB2層との間の接着力がやや弱いことがわかる。
[参考例1]
E−SBS(1)100質量部に対し10質量部のタッキファイヤー(ヤスハラケミカル株式会社製、テルペン樹脂)をE−SBS(1)にドライブレンドした以外は実施例1と同様の方法で共押出を行った。冷却ロールへ必要以上に付着するものの、目的の積層体が得られた。ただし、冷却ロールへの積層体の過度な付着により8時間の連続運転において、2回運転を停止した。
[参考例2]
タッキファイヤー(ヤスハラケミカル株式会社製、テルペン樹脂)の添加量をE−SBS(1)100質量部に対して30質量部とした以外は参考例1と同様の方法で共押出を行った。冷却ロールへ積層体が必要以上に付着し、安定的に積層体を得るのが困難であった。
本発明のインナーライナーは、空気入りタイヤ用のインナーライナーとして好適に用いることができる。
10、20 インナーライナー
1 A層(ガスバリア層)
2 B1層(接着層)
3 B2層(他のエラストマー層)
4 C層(ジエン系ゴム層)
30 空気入りタイヤ
32 ビード部
33 サイドウォール部
34 トレッド部
35 カーカス
36 ベルト
37 インナーライナー
38 ビードコア
39 ベルト補強層

Claims (14)

  1. ガスバリア樹脂を含むポリマーから形成される複数層のガスバリア層(A)と、
    少なくとも1層の接着層(B1)を含むエラストマー層(B)と、
    上記接着層(B1)のうちの1層に隣接し、少なくとも一方の最外層として積層されているジエン系ゴム層(C)と
    を有し、
    上記ガスバリア層(A)の層数と上記エラストマー層(B)の層数との合計が、5層以上300層以下であり、
    上記接着層(B1)が、スチレン系エラストマーを含み、かつヨウ素価が200以上300以下であるポリマーから形成されるインナーライナー。
  2. 上記スチレン系エラストマーが主鎖中にエポキシ基を有し、
    上記接着剤層(B1)を形成するポリマー全体におけるエポキシ基の含有量が0.1mmol/g以上2mmol/g以下である請求項1に記載のインナーライナー。
  3. 上記ガスバリア層(A)の1層の平均厚みが0.1μm以上15μm以下であり、かつ上記エラストマー層(B)の1層の平均厚みが0.1μm以上30μm以下である請求項1又は請求項2に記載のインナーライナー。
  4. 上記ジエン系ゴム層(C)に隣接する接着層(B1)の平均厚みが0.1μm以上10μm以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載のインナーライナー。
  5. 上記ガスバリア層(A)の全層及び上記エラストマー層(B)の全層の合計厚みが15μm以上500μm以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のインナーライナー。
  6. 上記エラストマー層(B)が、上記接着層(B1)以外の他のエラストマー層(B2)を含む請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のインナーライナー。
  7. 上記ガスバリア層(A)と上記他のエラストマー層(B2)とが交互に積層されている請求項6に記載のインナーライナー。
  8. 上記他のエラストマー層(B2)が、ポリウレタン系エラストマーを含むポリマーから形成される請求項6又は請求項7に記載のインナーライナー。
  9. 上記エラストマー層(B)が、全て接着層(B1)であり、上記ガスバリア層(A)と上記接着層(B1)とが交互に積層されている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のインナーライナー。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のインナーライナーの製造方法であって、
    上記ガスバリア層(A)を形成するポリマーと、上記エラストマー層(B)を形成するポリマーとを共押出する工程
    を備えるインナーライナーの製造方法。
  11. 上記共押出工程で得られた構造体にジエン系ゴム層(C)を加熱接着する工程
    をさらに備える請求項10に記載のインナーライナーの製造方法。
  12. 上記加熱接着工程の前に、
    上記共押出工程で得られた構造体へ電子線を照射する工程
    をさらに備える請求項11に記載のインナーライナーの製造方法。
  13. 請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のインナーライナーを備える空気入りタイヤ。
  14. 請求項10又は請求項11に記載のインナーライナーの製造方法を含む空気入りタイヤの製造方法。
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