1.遊技機の構造
本発明の実施形態であるパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において遊技機の一例としてのパチンコ遊技機の各部の左右方向は、そのパチンコ遊技機に対面する遊技者にとっての左右方向に一致させて説明する。また、パチンコ遊技機の各部の前方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者に近づく方向とし、パチンコ遊技機の各部の後方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者から離れる方向として、説明する。
図1に示すように、第1形態のパチンコ遊技機1は、遊技機枠50と、遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2とを備えている。遊技機枠50のうちの前面枠51には、回転角度に応じた発射強度で遊技球を発射させるためのハンドル(発射操作部)60、遊技球を貯留する打球供給皿(上皿)61、及び打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿(下皿)62が設けられている。また前面枠51には、装飾用の枠ランプ66、及び、音を出力するスピーカ67が設けられている。また前面枠51には、遊技の進行に伴って実行される演出時などに遊技者が操作し得る演出ボタン63が設けられている。
遊技盤2には、ハンドル60の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材4で囲まれて形成されている。遊技領域3には、遊技球を誘導する複数の遊技くぎ(図示せず)が突設されている。
また遊技領域3の中央付近には、液晶表示装置である画像表示装置(演出表示手段)7が設けられている。なお画像表示装置は、有機EL表示装置などの他の画像表示装置であってもよい。画像表示装置7の表示画面(表示部)7aには、後述の第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示(変動表示)に同期した演出図柄(装飾図柄)8L,8C,8Rの可変表示(変動表示)を行う演出図柄表示領域がある。なお、演出図柄8L,8C,8Rを表示する演出を演出図柄変動演出という。演出図柄変動演出を「装飾図柄変動演出」や単に「変動演出」と称することもある。
演出図柄表示領域は、例えば「左」「中」「右」の3つの図柄表示エリアからなる。左の図柄表示エリアには左演出図柄8Lが表示され、中の図柄表示エリアには中演出図柄8Cが表示され、右の図柄表示エリアには右演出図柄8Rが表示される。演出図柄はそれぞれ、例えば「1」〜「9」までの数字をあらわした複数の図柄からなる。画像表示装置7は、左、中、右の演出図柄の組み合わせによって、後述の第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41b(図2参照)にて表示される第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示の結果(つまりは大当たり抽選の結果)を、わかりやすく表示する。
例えば大当たりに当選した場合には「777」などのゾロ目で演出図柄を停止表示する。また、はずれであった場合には「637」などのバラケ目で演出図柄を停止表示する。これにより、遊技者による遊技の進行状況の把握が容易となる。つまり遊技者は、一般的には大当たり抽選の結果を第1特別図柄表示器41aや第2特別図柄表示器41bにより把握するのではなく、画像表示装置7にて把握する。なお、図柄表示エリアの位置は固定的でなくてもよい。また、演出図柄の変動表示の態様としては、例えば上下方向にスクロールする態様がある。
画像表示装置7は、上記のような演出図柄を用いた演出図柄変動演出のほか、大当たり遊技に並行して行われる大当たり演出や、客待ち用のデモ演出(客待ち演出)などを表示画面7aに表示する。なお演出図柄変動演出では、数字等の演出図柄のほか、背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄以外の演出画像も表示される。
また画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特図保留の記憶数に応じて演出保留画像9Aを表示する第1演出保留画像表示エリアと、後述の第2特図保留の記憶数に応じて演出保留画像9Bを表示する第2演出保留表示エリアとがある。演出保留画像9A,9Bの表示により、後述の第1特図保留表示器43a(図2参照)にて表示される第1特図保留の記憶数、及び後述の第2特図保留表示器43bにて表示される第2特図保留の記憶数を、遊技者にわかりやすく示すことができる。
遊技領域3の中央付近であって画像表示装置7の前方には、センター装飾体10が配されている。センター装飾体10の下部には、上面を転動する遊技球を、後述の第1始動口20へと誘導可能なステージ部11が形成されている。またセンター装飾体10の左部には、入口から遊技球を流入させ、出口からステージ部11へ遊技球を流出させるワープ部12が設けられている。
さらにセンター装飾体10の上部には、盤ランプ5が設けられている。盤ランプ5は、左側盤ランプ5Lと、右側盤ランプ5Rとを備えている。左側盤ランプ5L及び右側盤ランプ5Rはそれぞれ、複数のLED素子5aと、透光性を有する合成樹脂からなるレンズ部材5bとを有しており、LED素子5aを発光させると、その光がレンズ部材5bを通って前方に出射される構成となっている。なおレンズ部材5bの形状は、パチンコ遊技機1のモチーフに関する形状にデザインされている。
遊技領域3における画像表示装置7の下方には、遊技球の入球し易さが常に変わらない第1始動口(第1入球口や、第1始動入賞口、固定入球口ともいう)20を備える第1始動入賞装置(第1入球手段や固定入球手段ともいう)19が設けられている。第1始動口20への遊技球の入賞は、第1特別図柄の抽選(大当たり抽選、すなわち大当たり乱数等の取得と判定)の契機となっている。
また遊技領域3における第1始動口20の下方には、第2始動口(第2入球口や、第2始動入賞口、可変入球口ともいう)21を備える普通可変入賞装置(普通電動役物いわゆる電チュー)22が設けられている。電チュー22を、可変入球手段や、第2入球手段、第2始動入賞装置ともいう。第2始動口21への遊技球の入賞は、第2特別図柄の抽選(大当たり抽選)の契機となっている。電チュー22は、開状態と閉状態とをとる開閉部材(入球口開閉部材)23を備え、開閉部材23の作動によって第2始動口21を開閉するものである。開閉部材23は、電チューソレノイド24(図3参照)により駆動される。開閉部材23が開状態にあるときには、第2始動口21への遊技球の入球が可能となり、閉状態にあるときには、第2始動口21への遊技球の入球が不可能となる。つまり、第2始動口21は、遊技球の入球し易さが変化可能な始動口である。なお、電チューは、開閉部材が開状態にあるときの方が閉状態にあるときよりも第2始動口への入球を容易にするものであれば、閉状態にあるときに第2始動口への入球を不可能とするものでなくてもよい。
また、遊技領域3における第1始動口20の右方には、大入賞口(特別入賞口)30を備えた大入賞装置(特別入賞手段や特別可変入賞装置ともいう)31が設けられている。大入賞装置31は、開状態と閉状態とをとる開閉部材(特別入賞口開閉部材)32を備え、開閉部材32の作動により大入賞口30を開閉するものである。開閉部材32は、大入賞口ソレノイド33(図3参照)により駆動される。大入賞口30は、開閉部材32が開状態であるときだけ遊技球が入球可能となる。
また、センター装飾体10の右方には、遊技球が通過可能なゲート(通過口ともいう)28が設けられている。ゲート28への遊技球の通過は、電チュー22を開放するか否かを決める普通図柄抽選(すなわち普通図柄乱数(当たり乱数)の取得と判定)の実行契機となっている。さらに遊技領域3の下部には、複数の普通入賞口27が設けられている。また遊技領域3の最下部には、遊技領域3へ打ち込まれたもののいずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域3外へ排出するアウト口6が設けられている。
このように各種の入賞口等が配されている遊技領域3には、左右方向の中央より左側の左遊技領域(第1遊技領域)3Aと、右側の右遊技領域(第2遊技領域)3Bとがある。左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、左打ちという。一方、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、右打ちという。本形態のパチンコ遊技機1では、左打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を、第1流路R1といい、右打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を、第2流路R2という。
第1流路R1上には、第1始動口20と、電チュー22と、アウト口6とが設けられている。遊技者は第1流路R1を流下するように遊技球を打ち込むことで、第1始動口20への入賞を狙うことができる。なお、第1流路R1上にゲートは配されていないため、左打ちをしている場合に電チュー22が開放されることはない。
一方、第2流路R2上には、ゲート28と、大入賞装置31と、電チュー22と、アウト口6とが設けられている。遊技者は第2流路R2を流下するように遊技球を打ち込むことで、ゲート28への通過や、第2始動口21及び大入賞口30への入賞を狙うことができる。
また図1に示すように、遊技盤2の右下部には表示器類40が配置されている。表示器類40には、図2に示すように、第1特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄を可変表示する第2特別図柄表示器41b、及び、普通図柄を可変表示する普通図柄表示器42が含まれている。また表示器類40には、第1特別図柄表示器41aの作動保留(第1特図保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器43a、第2特別図柄表示器41bの作動保留(第2特図保留)の記憶数を表示する第2特図保留表示器43b、および普通図柄表示器42の作動保留(普図保留)の記憶数を表示する普図保留表示器44が含まれている。
第1特別図柄の可変表示は、第1始動口20への遊技球の入賞を契機として行われる。第2特別図柄の可変表示は、第2始動口21への遊技球の入賞を契機として行われる。なお以下の説明では、第1特別図柄および第2特別図柄を総称して特別図柄ということがある。また、第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41bを総称して特別図柄表示器41ということがある。また、第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bを総称して特図保留表示器43ということがある。
特別図柄表示器41では、特別図柄を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づく抽選(特別図柄抽選、大当たり抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄(停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される特別図柄)は、特別図柄抽選によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた特定特別図柄(特定の停止態様の特別図柄すなわち大当たり図柄)である場合には、停止表示された特定特別図柄の種類(つまり当選した大当たりの種類)に応じた開放パターンにて大入賞口30を開放させる大当たり遊技(特別遊技の一例)が行われる。なお、特別遊技における大入賞口の開放パターンについては後述する。
具体的には特別図柄表示器41は、例えば横並びに配された8個のLEDから構成されており、その点灯態様によって大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示するものである。例えば大当たり(後述の複数種類の大当たりのうちの一つ)に当選した場合には、「○○●●○○●●」(○:点灯、●:消灯)というように左から1,2,5,6番目にあるLEDが点灯した大当たり図柄を表示する。また、ハズレである場合には、「●●●●●●●○」というように一番右にあるLEDのみが点灯したハズレ図柄を表示する。ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。なおハズレ図柄は、特定特別図柄ではない。また、特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示がなされるが、その変動表示の態様は、例えば左から右へ光が繰り返し流れるように各LEDが点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞(入球)があると、その入賞に対して取得した大当たり乱数等の各種乱数の値(数値情報、判定用情報)は、特図保留記憶部85(図3参照)に一旦記憶される。詳細には、第1始動口20への入賞であれば第1特図保留として第1特図保留記憶部85a(図3参照)に記憶され、第2始動口21への入賞であれば第2特図保留として第2特図保留記憶部85b(図3参照)に記憶される。各々の特図保留記憶部85に記憶可能な特図保留の数には上限があり、本形態における上限値はそれぞれ4個となっている。
特図保留記憶部85に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の可変表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する大当たり乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に基づく特別図柄の可変表示がその入賞後にすぐに行えない場合、すなわち特別図柄の可変表示の実行中や特別遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定個数を上限として、その入賞に対する大当たり抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような特図保留の数は、特図保留表示器43に表示される。具体的には特図保留表示器43はそれぞれ、例えば4個のLEDで構成されており、特図保留の数だけLEDを点灯させることにより特図保留の数を表示する。
普通図柄の可変表示は、ゲート28への遊技球の通過を契機として行われる。普通図柄表示器42では、普通図柄を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄抽選の結果を報知する。停止表示される普通図柄(普図停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される普通図柄)は、普通図柄抽選によって複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(所定の停止態様の普通図柄すなわち普通当たり図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口21を開放させる補助遊技が行われる。なお、第2始動口21の開放パターンについては後述する。
具体的には普通図柄表示器42は、例えば2個のLEDから構成されており(図2参照)、その点灯態様によって普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄を表示するものである。例えば抽選結果が当たりである場合には、「○○」(○:点灯、●:消灯)というように両LEDが点灯した普通当たり図柄を表示する。また抽選結果がハズレである場合には、「●○」というように右のLEDのみが点灯した普通ハズレ図柄を表示する。普通ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。なお普通ハズレ図柄は、特定普通図柄ではない。普通図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示がなされるが、その変動表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過があると、その通過に対して取得した普通図柄乱数(当たり乱数)の値は、普図保留記憶部86(図3参照)に普図保留として一旦記憶される。普図保留記憶部86に記憶可能な普図保留の数には上限があり、本形態における上限値は4個となっている。
普図保留記憶部86に記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の可変表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄乱数(当たり乱数)を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄の可変表示がその通過後にすぐに行えない場合、すなわち普通図柄の可変表示の実行中や補助遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定個数を上限として、その通過に対する普通図柄抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような普図保留の数は、普図保留表示器44に表示される。具体的には普図保留表示器44は、例えば4個のLEDで構成されており、普図保留の数だけLEDを点灯させることにより普図保留の数を表示する。
2.遊技機の電気的構成
次に図3〜図7に基づいて、本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明する。図3及び図4に示すようにパチンコ遊技機1は、大当たり抽選や遊技状態の移行などの遊技利益に関する制御を行う主制御基板(遊技制御基板)80、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行うサブ制御基板(演出制御基板)90、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板110等を備えている。なお、主制御基板80は、メイン制御部を構成し、サブ制御基板90は、後述する画像制御基板100、サブ駆動基板107、および音声制御基板106とともにサブ制御部990を構成する。なお、サブ制御部990は、少なくともサブ制御基板90を備え、演出手段(画像表示装置7やスピーカ67、枠ランプ66、盤ランプ5、装飾可動体15(電動モータ15a)等)を用いた遊技演出を制御可能であればよい。
またパチンコ遊技機1は、電源基板190を備えている。電源基板190は、主制御基板80、サブ制御基板90、及び払出制御基板110に対して電力を供給するとともに、これらの基板を介してその他の機器に対して必要な電力を供給する。電源基板190には、バックアップ電源回路191が設けられている。バックアップ電源回路191は、本パチンコ遊技機1に対して電力が供給されていない場合に、後述する主制御基板80のRAM84やサブ制御基板90のRAM94に対して電力を供給する。従って、主制御基板80のRAM84やサブ制御基板90のRAM94に記憶されている情報は、パチンコ遊技機1の電断時であっても保持される。また、電源基板190には、電源スイッチ195が接続されている。電源スイッチ195のON/OFF操作により、電源の投入/遮断が切替えられる。なお、主制御基板80のRAM84に対するバックアップ電源回路を主制御基板80に設けたり、サブ制御基板90のRAM94に対するバックアップ電源回路をサブ制御基板90に設けたりしてもよい。
図3に示すように、主制御基板80には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)81が実装されている。遊技制御用マイコン81には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM83、ワークメモリとして使用されるRAM84、ROM83に記憶されたプログラムを実行するCPU82、データや信号の入出力を行うためのI/Oポート部(入出力回路)87が含まれている。RAM84には、上述した特図保留記憶部85(第1特図保留記憶部85aおよび第2特図保留記憶部85b)と普図保留記憶部86とが設けられている。なお、ROM83は外付けであってもよい。
主制御基板80には、中継基板88を介して各種センサやソレノイドが接続されている。そのため、主制御基板80には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的にはセンサ類としては、第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、ゲートセンサ28a、大入賞口センサ30a、および普通入賞口センサ27aが接続されている。
第1始動口センサ20aは、第1始動口20内に設けられて第1始動口20に入賞した遊技球を検出するものである。第2始動口センサ21aは、第2始動口21内に設けられて第2始動口21に入賞した遊技球を検出するものである。ゲートセンサ28aは、ゲート28内に設けられてゲート28を通過した遊技球を検出するものである。大入賞口センサ30aは、大入賞口30内に設けられて大入賞口30に入賞した遊技球を検出するものである。普通入賞口センサ27aは、普通入賞口27内に設けられて普通入賞口27に入賞した遊技球を検出するものである。
またソレノイド類としては、電チューソレノイド24、および大入賞口ソレノイド33が接続されている。電チューソレノイド24は、電チュー22の開閉部材23を駆動するものである。大入賞口ソレノイド33は、大入賞装置31の開閉部材32を駆動するものである。
さらに主制御基板80には、特別図柄表示器41、普通図柄表示器42、特図保留表示器43、および普図保留表示器44が接続されている。すなわち、これらの表示器類40の表示制御は、遊技制御用マイコン81によりなされる。
また主制御基板80は、払出制御基板110に各種コマンドや信号を送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板110から信号を受信する。払出制御基板110には、賞球払出装置120、貸球払出装置130およびカードユニット135(パチンコ遊技機1に隣接して設置され、挿入されているプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にするもの)が接続されているとともに、発射制御回路111を介して発射装置112が接続されている。発射装置112には、ハンドル60(図1参照)が含まれる。
払出制御基板110は、遊技制御用マイコン81からの信号や、パチンコ遊技機1に接続されたカードユニット135からの信号に基づいて、賞球払出装置120の賞球モータ121を駆動して賞球の払い出しを行ったり、貸球払出装置130の球貸モータ131を駆動して貸球の払い出しを行ったりする。払い出される賞球は、その計数のため賞球センサ122により検知されて、賞球センサ122による検知信号が払出制御基板110に出力される。また払い出される貸球は、その計数のため球貸センサ132により検知されて、球貸センサ132による検知信号が払出制御基板110に出力される。
なお遊技者による発射装置112のハンドル60(図1参照)の操作があった場合には、タッチスイッチ114がハンドル60への接触を検知し、発射ボリューム115がハンドル60の回転量を検知する。そして、発射ボリューム115の検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射モータ113が駆動されることとなる。本パチンコ遊技機1においては、0.6秒程度で一発の遊技球が発射されるようになっている。
また主制御基板80は、サブ制御基板90に対し各種コマンドを送信する。主制御基板80とサブ制御基板90との接続は、主制御基板80からサブ制御基板90への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、主制御基板80とサブ制御基板90との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
図4に示すように、サブ制御基板90には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン(以下「演出制御用マイコン」)91が実装されている。演出制御用マイコン91(制御手段に相当)には、遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM93、ワークメモリとして使用されるRAM94、ROM93に記憶されたプログラムを実行するCPU92、データや信号の入出力を行うためのI/Oポート部(入出力回路)97が含まれている。I/Oポート部97は、シリアル通信により入出力を行うシリアルポート98と、パラレル通信により入出力を行うパラレルポート99とを備えている。なお、ROM93は外付けであってもよい。
ここで図5に示すように、演出制御用マイコン91のCPU92は、シリアルポート98からクロック信号(SCL)を出力するとともに、このクロック信号に同期してシリアルデータ(SDA)を出力することができる。本形態では、シリアルデータとして後述のランプ駆動データを出力可能である。このランプ駆動データに基づいて、左側盤ランプ5Lを駆動させるドライバA(IC1、図6参照)や、右側盤ランプ5Rを駆動させる後述のドライバB(IC2、図6参照)が駆動される。ドライバAは第1のドライバICに相当し、ドライバBは第2のドライバICに相当する。また図5に示すように、演出制御用マイコン91のCPU92は、パラレルポート99からSEL信号(セレクト信号)を出力することができる。このSEL信号に基づいて、後述するスイッチ回路部200(図6参照)の接続状態が切り替わる。そして、この切り替わりに応じて、ドライバA(IC1)とドライバB(IC2)とのうちいずれのドライバICと演出制御用マイコン91が通信可能となるかが切り替わる(図7参照)。なお、この点については後に詳述する。
図4に戻り、サブ制御基板90には、画像制御基板100、音声制御基板106、サブ駆動基板107が接続されている。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板100のCPU102に画像表示装置7の制御を行わせる。
画像制御基板100は、画像表示等の制御のためのプログラム等を記憶したROM103、ワークメモリとして使用されるRAM104、及び、ROM103に記憶されたプログラムを実行するCPU102を備えている。なお、ROM103には、画像表示装置7に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(演出図柄を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声、楽曲、効果音等を出力する。スピーカ67から出力する音声等の音響データは、サブ制御基板90のROM93に格納されている。なお、音声制御基板106にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板106にROMを実装してもよく、そのROMに音響データを格納してもよい。また、スピーカ67を画像制御基板100に接続し、画像制御基板100のCPU102に音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、画像制御基板100のROM103に音響データを格納してもよい。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、サブ駆動基板107を介して、枠ランプ66や盤ランプ5(左側盤ランプ5LのLED素子5a、右側盤ランプ5RのLED素子5a)等のランプの点灯制御を行う。詳細には演出制御用マイコン91は、各ランプ(LED)の発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプ駆動データともいう)を作成し、発光パターンデータに従って各ランプ(LED)の発光を制御する。なお、発光パターンデータの作成にはサブ制御基板90のROM93に格納されているデータを用いる。
さらに演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、サブ駆動基板107を介して装飾可動体15の駆動制御を行う。詳細には演出制御用マイコン91は、装飾可動体15の動作態様を決める動作パターンデータ(可動体駆動データともいう)を作成し、動作パターンデータに従って、ステッピングモータである電動モータ15aの駆動制御を行う。動作パターンデータの作成にはサブ制御基板90のROM93に格納されているデータを用いる。
またサブ制御基板90には、演出ボタン検出スイッチ(SW)63aが接続されている。演出ボタン検出スイッチ63aは、演出ボタン63(図1参照)が押下操作されたことを検出するものである。演出ボタン63が押下操作されると演出ボタン検出スイッチ63aからサブ制御基板90に対して検知信号が出力される。
なお図3及び図4は、あくまで本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明するための機能ブロック図であり、図3及び図4に示す基板だけが設けられているわけではない。主制御基板80を除いて、図3又は図4に示す何れか複数の基板を1つの基板として構成しても良く、図3又は図4に示す1つの基板を複数の基板として構成しても良い。
ここで図6及び図7に基づいて、左側盤ランプ5L及び右側盤ランプ5Rと、演出制御用マイコン91との接続状態について詳しく説明する。図6に示すように、演出制御用マイコン91は、サブ駆動基板107を介して左側盤ランプ5L及び右側盤ランプ5Rと接続されている。サブ駆動基板107には、左側盤ランプ5Lの各LED素子5aを点灯駆動させるためのドライバA(IC1)と、右側盤ランプ5Rの各LED素子5aを駆動させるためのドライバB(IC2)とが実装されている。
IC1及びIC2は、同じ種類のICであり、16ビット分の出力端子(OUT0〜OUT15)と、4ビット分のアドレス設定端子(A0〜A3)と、シリアルデータ入出力端子(SDA入出力端子)と、シリアルクロック入力端子(SCL入力端子)と、その他の端子(RESET端子、VCC端子、GND端子、NC端子)とを備えている。なおIC1及びIC2には、例えばテキサスインスツルメンツ製「TLC8116FIPWR」などの汎用ドライバを好適に使用できる。
IC1の各出力端子(OUT0〜OUT15)には、左側盤ランプ5Lを構成する各LED素子5aが電流制限抵抗(不図示)を介して接続されている。またIC2の各出力端子には、右側盤ランプ5Rを構成する各LED素子5aが電流制限抵抗(不図示)を介して接続されている。なお本形態では、1つの出力端子に1つのLED素子5aを接続しているが、1つの出力端子に複数のLED素子を接続してもよい。
IC1のアドレス設定端子(A0〜A3)は、全てグランドに接続されている。すなわち、IC1のアドレスは「0000」に固定されている。また、IC2のアドレス設定端子(A0〜A3)も、全てグランドに接続されている。すなわち、IC1のアドレスも「0000」に固定されている。このように本形態では、IC1とIC2には同じアドレスが割り付けられている。
IC1及びIC2と、演出制御用マイコン91とは、I2C通信方式によって通信可能に接続されている。すなわち本形態では、シリアルデータ(SDA)の伝送路(データ信号ラインL1)とシリアルクロック(SCL)の伝送路(クロック信号ラインL2)とからなる1つの通信チャネルとしてのI2C通信ライン(シリアル通信ラインSL)上に、演出制御用マイコン91と、IC1と、IC2とが接続されている。
詳細には、演出制御用マイコン91のシリアルポート98(図5参照)が接続されているデータ信号ラインL1に、IC1のSDA入出力端子と、IC2のSDA入出力端子とが接続されている。また、演出制御用マイコン91のシリアルポート98(図5参照)が接続されているクロック信号ラインL2に、IC1のSCL入力端子と、IC2のSCL入力端子とが接続されている。なお演出制御用マイコン91がI2C通信におけるマスタであり、IC1及びIC2がI2C通信におけるスレーブである。
I2C通信では、演出制御用マイコン91は、まず通信したいドライバICのアドレス情報をシリアルデータとして送信する。そして、そのアドレス情報と一致するアドレスが割り付けられたドライバICからの返答信号を受信すると、そのドライバICに対してランプ駆動データをシリアルデータとして送信する。IC1及びIC2は、演出制御用マイコン91から入力されるランプ駆動データに基づいて内蔵レジスタへの書き込みを行い、内蔵レジスタの設定に応じてLED素子5aを駆動させるための信号(LED駆動信号)の出力態様を変化させる。なおIC1及びIC2は、LED素子5aの輝度をPWM方式による諧調制御によって好適に変化させることができるものである。
ところで本形態では、1つのI2C通信チャネルを構成するデータ信号ラインL1及びクロック信号ラインL2に、同一アドレスのドライバICが2つ接続されている。そのため、スイッチ回路部200を設けて、演出制御用マイコン91と通信するドライバICをIC1又はIC2のいずれかに設定できるようにしている。スイッチ回路部200は、演出制御用マイコン91から出力されるSEL信号(セレクト信号)のレベル(「H」or「L」)に応じて、演出制御用マイコン91とIC1とを接続し且つ演出制御用マイコン91とIC2とを切断する第1状態と、演出制御用マイコン91とIC2とを接続し且つ演出制御用マイコン91とIC1とを切断する第2状態とのいずれかをとるものである。
具体的には、スイッチ回路部200は、第1データスイッチ部211、第1クロックスイッチ部212、第2データスイッチ部213、及び第2クロックスイッチ部214を備えている。第1データスイッチ部211は、演出制御用マイコン91とIC1のSDA入出力端子との接続状態(接続されているか切断されているか)を切り替えるものである。第1クロックスイッチ部212は、演出制御用マイコン91とIC1のSCL入力端子との接続状態を切り替えるものである。また、第2データスイッチ部213は、演出制御用マイコン91とIC2のSDA入出力端子との接続状態を切り替えるものである。第2クロックスイッチ部214は、演出制御用マイコン91とIC2のSCL入力端子との接続状態を切り替えるものである。各スイッチ部211,212,213,214は、同一構成であり、P型のMOSFET(TR1,TR3,TR5,TR7)と、N型のMOSFET(TR2,TR4,TR6,TR8)とを図6に示すように接続した回路である。
詳細には各スイッチ部211,212,213,214は、P型のMOSFET(TR1,TR3,TR5,TR7)のドレイン端子とN型のMOSFET(TR2,TR4,TR6,TR8)のソース端子とを接続し、こちらの側にプルアップ抵抗(R1,R2,R3,R4)を接続するとともに、ドライバIC(IC1,IC2)のSDA入出力端子又はSCL入力端子を接続している。また、P型のMOSFET(TR1,TR3,TR5,TR7)のソース端子とN型のMOSFET(TR2,TR4,TR6,TR8)のドレイン端子とを接続し、こちらの側に演出制御用マイコン91を接続している。
第1データスイッチ部211および第1クロックスイッチ部212におけるP型のMOSFET(TR1,TR3)のゲート端子と、第2データスイッチ部213および第2クロックスイッチ部214におけるN型のMOSFET(TR6,TR8)のゲート端子には、SEL信号のレベルを第1のインバータ(IC3A)と第2のインバータ(IC3B)とにより2回反転させたレベルの信号(第1スイッチング信号)が入力される。この第1スイッチング信号の伝送路を第1スイッチング信号ラインL3という。つまり、TR1,TR3,TR6,及びTR8の各ゲート端子には、第1スイッチング信号ラインL3が接続されている。
また、第1データスイッチ部211および第1クロックスイッチ部212におけるN型のMOSFET(TR2,TR4)のゲート端子と、第2データスイッチ部213および第2クロックスイッチ部214におけるP型のMOSFET(TR5,TR7)のゲート端子には、SEL信号のレベルを第1のインバータ(IC3A)により反転させたレベルの信号(第2スイッチング信号)が入力される。この第2スイッチング信号の伝送路を第2スイッチング信号ラインL4という。つまり、TR2,TR4,TR5,及びTR7の各ゲート端子には、第2スイッチング信号ラインL4が接続されている。なお、TR1及びTR3は第1MOSFETに相当し、TR2及びTR4は第2MOSFETに相当する。また、TR6及びTR8は第3MOSFETに相当し、TR5及びTR7は第4MOSFETに相当する。
各スイッチ部211,212,213,214は、P型のMOSFET(TR1,TR3,TR5,TR7)のゲート端子に「L」レベルの信号が入力されるとともに(すなわちゲート電圧(ゲート・ソース間電圧)が「L」レベル(下側閾値電圧よりも低い電圧)になるとともに)、N型のMOSFET(TR2,TR4,TR6,TR8)のゲート端子に「H」レベルの信号が入力されると(すなわちゲート電圧(ゲート・ソース間電圧)が「H」レベル(上側閾値電圧よりも高い電圧)になると)、各MOSFETのドレイン・ソース間に十分な電流が流れるようになり、演出制御用マイコン91とドライバIC(IC1又はIC2)とを通信可能に接続する導通状態となる。なお本形態では、「L」レベルが第1レベルに相当し、「H」レベルが第2レベルに相当する。
また逆に、各スイッチ部211,212,213,214は、P型のMOSFET(TR1,TR3,TR5,TR7)のゲート端子に「H」レベルの信号が入力されるとともに(すなわちゲート電圧が「H」レベルになるとともに)、N型のMOSFET(TR2,TR4,TR6,TR8)のゲート端子に「L」レベルの信号が入力されると(すなわちゲート電圧が「L」レベルになると)、各MOSFETのドレイン・ソース間に十分な電流が流れないようになり、演出制御用マイコン91とドライバIC(IC1又はIC2)とを通信不可能に切断する非導通状態となる。
本形態では図7に示すように、スイッチ回路部200に入力されるSEL信号のレベルが「L」である場合には、第1データスイッチ部211及び第1クロックスイッチ部212のP型MOSFET(TR1,TR3)のゲート電圧、並びに、第2データスイッチ部213及び第2クロックスイッチ部214のN型MOSFET(TR6,TR8)のゲート電圧が「L」レベルになる。またこれとともに、第1データスイッチ部211及び第1クロックスイッチ部212のN型MOSFET(TR2,TR4)のゲート電圧、並びに、第2データスイッチ部213及び第2クロックスイッチ部214のP型MOSFET(TR5,TR7)のゲート電圧が「H」レベルになる。従って、第1データスイッチ部211及び第1クロックスイッチ部212は導通状態となり、第2データスイッチ部213及び第2クロックスイッチ部214は非導通状態となる。よってこのときには、演出制御用マイコン91は、IC1に対してクロック信号SCL_Aに同期してシリアルデータSDA_Aを入力させることができる一方、IC2に対してクロック信号SCL_B及びシリアルデータSDA_Bを入力させることができない。すなわち演出制御用マイコン91は、IC1の動作を制御することができるが、IC2の動作を制御することはできない。
また逆に、スイッチ回路部200に入力されるSEL信号のレベルが「H」である場合には、第1データスイッチ部211及び第1クロックスイッチ部212のP型MOSFET(TR1,TR3)のゲート電圧、並びに、第2データスイッチ部213及び第2クロックスイッチ部214のN型MOSFET(TR6,TR8)のゲート電圧が「H」レベルになる。またこれとともに、第1データスイッチ部211及び第1クロックスイッチ部212のN型MOSFET(TR2,TR4)のゲート電圧、並びに、第2データスイッチ部213及び第2クロックスイッチ部214のP型MOSFET(TR5,TR7)のゲート電圧が「L」レベルになる。従って、第1データスイッチ部211及び第1クロックスイッチ部212は非導通状態となり、第2データスイッチ部213及び第2クロックスイッチ部214は導通状態となる。よってこのときには、演出制御用マイコン91は、IC2に対してクロック信号SCL_Bに同期してシリアルデータSDA_Bを入力させることができる一方、IC1に対してクロック信号SCL_A及びシリアルデータSDA_Aを入力させることができない。すなわち演出制御用マイコン91はIC2の動作を制御することができるが、IC1の動作を制御することはできない。
このように本形態では、1つの系統のI2C通信チャネルに同一アドレスが割り付けられた2つのドライバIC(IC1及びIC2)が接続されている。そしてSEL信号のレベルに応じて、スイッチ回路部200の状態を、IC1側のスイッチ部(第1データスイッチ部211及び第1クロックスイッチ部212)が導通し、IC2側のスイッチ部(第2データスイッチ部213及び第2クロックスイッチ部214)が非導通となる第1状態と、IC2側のスイッチ部が導通し、IC1側のスイッチ部が非導通となる第2状態とに切り替えることが可能である。スイッチ回路部200が第1状態にあるときには、IC1側のスイッチ部が導通して演出制御用マイコン91とIC1とが通信可能となる一方、IC2側のスイッチ部が非導通とされて演出制御用マイコン91とIC2とが通信不可能となる。これに対して、スイッチ回路部200が第2状態にあるときには、IC2側のスイッチ部が導通して演出制御用マイコン91とIC2とが通信可能となる一方、IC1側のスイッチ部が非導通とされて演出制御用マイコン91とIC1とが通信不可能となる。すなわち本形態では、SEL信号のレベルを切り替えることで、1つの系統のI2C通信チャネル上にある同一アドレスのドライバICのうちのいずれと演出制御用マイコン91が通信するのかを切り替えることが可能となっている。そのため、I2C通信チャネルの数を増やすことなく、演出制御用マイコン91によって制御することが可能なドライバICの数を増やすことが可能となっている。
3.大当たり等の説明
本形態のパチンコ遊技機1では、大当たり抽選(特別図柄抽選)の結果として、「大当たり」と「はずれ」がある。「大当たり」のときには、特別図柄表示器41に「大当たり図柄」が停止表示される。「はずれ」のときには、特別図柄表示器41に「ハズレ図柄」が停止表示される。大当たりに当選すると、停止表示された特別図柄の種類(大当たりの種類)に応じた開放パターンにて、大入賞口30を開放させる「大当たり遊技」が実行される。大当たり遊技を特別遊技ともいう。
大当たり遊技は、本形態では、複数回のラウンド遊技(単位開放遊技)と、初回のラウンド遊技が開始される前のオープニング(OPとも表記する)と、最終回のラウンド遊技が終了した後のエンディング(EDとも表記する)とを含んでいる。各ラウンド遊技は、OPの終了又は前のラウンド遊技の終了によって開始し、次のラウンド遊技の開始又はEDの開始によって終了する。ラウンド遊技間の大入賞口の閉鎖の時間(インターバル時間)は、その閉鎖前の開放のラウンド遊技に含まれる。
大当たりには複数の種別がある。大当たりの種別は図8に示す通りである。図8に示すように、本形態では大きく分けて2つの種別がある。確変大当たりと通常大当たりである。確変大当たりは、大当たり遊技後の遊技状態を後述する高確率状態に制御する大当たりである。通常大当たりは、大当たり遊技後の遊技状態を後述する通常確率状態(低確率状態)に制御する大当たりである。
より具体的には、特図1の抽選(第1特別図柄の抽選)にて当選可能な確変大当たり及び通常大当たりは、1Rから8Rまでは大入賞口30を1R当たり最大29.5秒にわたって開放し、9Rから16Rまでは大入賞口30を1R当たり最大0.1秒にわたって開放する大当たりである。つまり、これらの大当たりの総ラウンド数は16Rであるものの、実質的なラウンド数は8Rである。実質的なラウンド数とは、1ラウンド当たりの入賞上限個数(本形態では8個)まで遊技球が入賞可能なラウンド数のことである。これらの大当たりでは9Rから16Rまでは、大入賞口30の開放時間が極めて短く、賞球の見込めないラウンドとなっている。なお、特図1の抽選によって「確変大当たり」に当選した場合には、第1特別図柄表示器41aに「特図1_確変図柄」が停止表示され、「通常大当たり」に当選した場合には、第1特別図柄表示器41aに「特図1_通常図柄」が停止表示される。
また、特図2の抽選(第2特別図柄の抽選)にて当選可能な確変大当たり及び通常大当たりは、1Rから16Rまで大入賞口30を1R当たり最大29.5秒にわたって開放する大当たりである。つまり、これらの大当たりは実質的なラウンド数も16Rである。特図2の抽選によって「確変大当たり」に当選した場合には、第2特別図柄表示器41bに「特図2_確変図柄」が停止表示され、「通常大当たり」に当選した場合には、第2特別図柄表示器41bに「特図2_通常図柄」が停止表示される。
いずれの大当たりに当選した場合であっても、大当たり遊技後には後述する電サポ制御状態(高ベース状態)に制御される。電サポ制御状態は、高確率状態にともなって制御される場合には次回の大当たり当選まで継続する。一方、通常確率状態(低確率状態)にともなって制御される場合には、電サポ回数(時短回数)が100回に設定される。電サポ回数とは、電サポ制御状態における特別図柄の変動表示の上限実行回数のことである。
なお図8に示すように、特図1の抽選および特図2の抽選における大当たりの振分率は、共に確変大当たりが65%、通常大当たりが35%となっている。但し、特図1の抽選に基づいて大当たりに当選した場合には実質的なラウンド数が8ラウンドの大当たり遊技が実行される一方、特図2の抽選に基づいて大当たりに当選した場合には実質的なラウンド数が16ラウンドの大当たり遊技が実行される点で、特図1の抽選よりも特図2の抽選の方が、遊技者にとって有利となるように設定されている。
ここで本パチンコ遊技機1では、大当たりか否かの抽選は「大当たり乱数」に基づいて行われ、当選した大当たりの種別の抽選は「当たり種別乱数」に基づいて行われる。図9(A)に示すように、大当たり乱数は0〜65535までの範囲で値をとる。当たり種別乱数は、0〜99までの範囲で値をとる。なお、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて取得される乱数には、大当たり乱数および当たり種別乱数の他に、「リーチ乱数」および「変動パターン乱数」がある。
リーチ乱数は、大当たり判定の結果がはずれである場合に、その結果を示す装飾図柄変動演出においてリーチを発生させるか否かを決める乱数である。リーチとは、複数の装飾図柄のうち変動表示されている装飾図柄が残り一つとなっている状態であって、変動表示されている装飾図柄がどの図柄で停止表示されるか次第で大当たり当選を示す装飾図柄の組み合わせとなる状態(例えば「7↓7」の状態)のことである。なお、リーチ状態において停止表示されている装飾図柄は、表示画面7a内で多少揺れているように表示されていたり、拡大と縮小を繰り返すように表示されていたりしてもよい。このリーチ乱数は、0〜255までの範囲で値をとる。
また、変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数である。変動パターン乱数は、0〜99までの範囲で値をとる。また、ゲート28への通過に基づいて取得される乱数には、図9(B)に示す普通図柄乱数(当たり乱数)がある。普通図柄乱数は、電チュー22を開放させる補助遊技を行うか否かの抽選(普通図柄抽選)のための乱数である。普通図柄乱数は、0〜65535までの範囲で値をとる。
4.遊技状態の説明
次に、本形態のパチンコ遊技機1の遊技状態に関して説明する。パチンコ遊技機1の特別図柄表示器41および普通図柄表示器42には、それぞれ、確率変動機能と変動時間短縮機能がある。特別図柄表示器41の確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい、作動していない状態を「通常確率状態(非高確率状態)」という。高確率状態では、大当たり確率が通常確率状態よりも高くなっている。すなわち、大当たりと判定される大当たり乱数の値が通常確率状態で用いる大当たり判定テーブルよりも多い大当たり判定テーブルを用いて、大当たり判定を行う(図10(A)参照)。つまり、特別図柄表示器41の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄表示器41による特別図柄の可変表示の表示結果(すなわち停止図柄)が大当たり図柄となる確率が高くなる。
また、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示開始時から表示結果の導出表示時までの時間)が、非時短状態よりも短くなっている。すなわち、変動時間の短い変動パターンが選択されることが非時短状態よりも多くなるように定められた変動パターンテーブルを用いて、変動パターンの判定を行う(図11参照)。つまり、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄の可変表示の変動時間として短い変動時間が選択されやすくなる。その結果、時短状態では、特図保留の消化のペースが速くなり、始動口への有効な入賞(特図保留として記憶され得る入賞)が発生しやすくなる。そのため、スムーズな遊技の進行のもとで大当たりを狙うことができる。
特別図柄表示器41の確率変動機能と変動時間短縮機能とは同時に作動することもあるし、片方のみが作動することもある。そして、普通図柄表示器42の確率変動機能および変動時間短縮機能は、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち、普通図柄表示器42の確率変動機能および変動時間短縮機能は、時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。よって、時短状態では、普通図柄抽選における当選確率が非時短状態よりも高くなっている。すなわち、当たりと判定される普通図柄乱数(当たり乱数)の値が非時短状態で用いる普通図柄当たり判定テーブルよりも多い普通図柄当たり判定テーブルを用いて、当たり判定(普通図柄の判定)を行う(図10(C)参照)。つまり、普通図柄表示器42の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、普通図柄表示器42による普通図柄の可変表示の表示結果が、普通当たり図柄となる確率が高くなる。
また時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。本形態では、普通図柄の変動時間は非時短状態では7秒であるが、時短状態では1秒である(図10(D)参照)。さらに時短状態では、補助遊技における電チュー22の開放時間が、非時短状態よりも長くなっている(図12参照)。すなわち、電チュー22の開放時間延長機能が作動している。加えて時短状態では、補助遊技における電チュー22の開放回数が非時短状態よりも多くなっている(図12参照)。すなわち、電チュー22の開放回数増加機能が作動している。
普通図柄表示器42の確率変動機能と変動時間短縮機能、および電チュー22の開放時間延長機能と開放回数増加機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、電チュー22が頻繁に開放され、第2始動口21へ遊技球が頻繁に入賞することとなる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい、作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお、高ベース状態とは、いわゆる電サポ制御(電チュー22により第2始動口21への入賞をサポートする制御)が実行されている状態である。よって、高ベース状態を電サポ制御状態や入球容易状態ともいう。これに対して、低ベース状態を非電サポ制御状態や非入球容易状態ともいう。
高ベース状態は、上記の全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち、普通図柄表示器42の確率変動機能、普通図柄表示器42の変動時間短縮機能、電チュー22の開放時間延長機能、および電チュー22の開放回数増加機能のうち一つ以上の機能の作動によって、その機能が作動していないときよりも電チュー22が開放され易くなっていればよい。また、高ベース状態は、時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。
本形態のパチンコ遊技機1では、確変大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、高確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「高確高ベース状態」という。高確高ベース状態は、所定回数(本形態では10000回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。つまり本形態では、高確高ベース状態は実質的に次回の大当たり当選まで継続する。なお、高確高ベース状態の終了条件を、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることだけとしてもよい。
また、通常大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、通常確率状態(非高確率状態すなわち低確率の状態)かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確高ベース状態」という。低確高ベース状態は、所定回数(本形態では100回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
なお、パチンコ遊技機1を初めて遊技する場合において電源投入後の遊技状態は、通常確率状態かつ非時短状態かつ低ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確低ベース状態」という。低確低ベース状態を「通常遊技状態」と称することとする。また、特別遊技(大当たり遊技)の実行中の状態を「特別遊技状態(大当たり遊技状態)」と称することとする。さらに、高確率状態および高ベース状態のうち少なくとも一方の状態に制御されている状態を、「特典遊技状態」と称することとする。
高確高ベース状態や低確高ベース状態といった高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域3B(図1参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御により低ベース状態と比べて電チュー22が開放されやすくなっており、第1始動口20への入賞よりも第2始動口21への入賞の方が容易となっているからである。そのため、普通図柄抽選の契機となるゲート28へ遊技球を通過させつつ、第2始動口21へ遊技球を入賞させるべく右打ちを行う。これにより左打ちをするよりも、多数の始動入賞(始動口への入賞)を得ることができる。なお本パチンコ遊技機1では、大当たり遊技中も右打ちにて遊技を行う。
これに対して、低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域3A(図1参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御が実行されていないため、高ベース状態と比べて電チュー22が開放されにくくなっており、第2始動口21への入賞よりも第1始動口20への入賞の方が容易となっているからである。そのため、第1始動口20へ遊技球を入賞させるべく左打ちを行う。これにより右打ちするよりも、多数の始動入賞を得ることができる。
5.パチンコ遊技機1の動作
次に、図13に基づいて遊技制御用マイコン81の動作について説明し、図14〜図16に基づいて演出制御用マイコン91の動作について説明する。まず、遊技制御用マイコン81の動作について説明する。
[メイン側タイマ割り込み処理]遊技制御用マイコン81は、図13に示すメイン側タイマ割り込み処理を例えば4msecといった短時間毎に繰り返す。まず、遊技制御用マイコン81は、大当たり抽選に用いる大当たり乱数、大当たりの種別を決めるための当たり種別乱数、装飾図柄変動演出においてリーチ状態とするか否か決めるためのリーチ乱数、変動パターンを決めるための変動パターン乱数、普通図柄抽選に用いる普通図柄乱数(当たり乱数)等を更新する乱数更新処理を行う(S101)。なお各乱数の少なくとも一部は、カウンタIC等からなる公知の乱数生成回路を利用して生成される所謂ハードウェア乱数であってもよい。全ての乱数をハードウェア乱数とする場合、ソフトウェアによる乱数の更新処理は必要ない。また乱数発生回路は、遊技制御用マイコン81に内蔵されていてもよい。
次に、遊技制御用マイコン81は、入力処理を行う(S102)。入力処理(S102)では、主にパチンコ遊技機1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、大入賞口センサ30a、普通入賞口センサ27a等(図3参照))が検知した検出信号を読み込み、入賞口の種類に応じた賞球を払い出すための払い出しデータをRAM84の所定の記憶領域にセットする。
続いて、遊技制御用マイコン81は、始動口センサ検出処理(S103)、特別動作処理(S104)、および普通動作処理(S105)を実行する。始動口センサ検出処理(S103)では、第1始動口センサ20a又は第2始動口センサ21aによる入賞検知があれば、入賞検知のあった始動口に対応する保留記憶が4個未満であることを条件に大当たり乱数等の乱数(大当たり乱数、当たり種別乱数、リーチ乱数、及び変動パターン乱数(図9(A)参照))を取得する。また、ゲートセンサ28aによる通過検知があれば、すでに記憶されている当たり乱数が4個未満であることを条件に普通図柄乱数(図9(B)参照)を取得する。
特別動作処理(S104)では、始動口センサ検出処理にて取得した大当たり乱数等の乱数を所定の判定テーブル(図8,図10(A)(B),図11参照)を用いて判定する。そして、大当たり抽選の結果を示すための特別図柄の表示(変動表示と停止表示)を行う。この特別図柄の表示に際しては、特別図柄の変動表示の変動パターンの情報を含む変動開始コマンドをRAM84の所定の記憶領域にセットする。そして、大当たり乱数の判定の結果、大当たりに当選していた場合には、大当たりの種別に応じた所定の開放パターン(開放時間や開放回数、図8参照)に従って大入賞口30を開放させる大当たり遊技(特別遊技)を行う。この大当たり遊技の実行に際しては、当選した大当たり図柄の種別の情報を含むオープニングコマンドをRAM84の所定の記憶領域にセットする。なお特別動作処理(S104)において、大当たり乱数等の乱数の記憶がない場合には、演出制御用マイコン91に客待ち演出を実行させるための客待ち待機コマンドをセットする。
普通動作処理(S105)では、始動口センサ検出処理にて取得した普通図柄乱数を所定の判定テーブル(図10(C)参照)を用いて判定する。そして、その判定結果を報知するための普通図柄の表示(変動表示と停止表示)を行う。普通図柄乱数の判定の結果、普通当たり図柄に当選していた場合には、遊技状態に応じた所定の開放パターン(開放時間や開放回数、図12参照)に従って電チュー22を開放させる補助遊技を行う。
次に、遊技制御用マイコン81は、上述の各処理においてセットしたコマンド等をサブ制御基板90等に出力する出力処理(S106)を行う。
以上の遊技制御用マイコン81における処理と並行して、演出制御用マイコン91は図14〜図16に示す処理を行う。以下、演出制御用マイコン91の動作について説明する。
[サブ側タイマ割り込み処理]演出制御用マイコン91は、図14に示すようなサブ側タイマ割り込み処理を所定の短時間毎に繰り返す。サブ側タイマ割り込み処理ではまず、受信コマンド解析処理(S1001)を行う。
[受信コマンド解析処理]図15に示すように、受信コマンド解析処理(S1001)では演出制御用マイコン91はまず、遊技制御用マイコン81から変動開始コマンドを受信しているか否かを判定する(S1101)。受信していなければ、ステップS1104に進むが、受信していれば、変動演出パターン選択処理(S1102)を行う。
変動演出パターン選択処理(S1102)では、変動演出パターン決定用乱数を取得するとともに、変動開始コマンドの解析結果等に基づいて一つのテーブルを選択し、その選択したテーブルを用いて、取得した変動演出パターン決定用乱数を判定することにより、変動演出パターンを選択する。なお、選択した変動演出パターンを示すデータはRAM94の所定の記憶領域に格納される。この変動演出パターンの選択により、盤ランプ5(左側盤ランプ5Lや右側盤ランプ5R)を発光させる盤ランプ発光演出の実行の有無やそのタイミング、装飾可動体15を動作させる可動体駆動演出の実行の有無やそのタイミングといった詳細までを含めて演出の内容が決定される。
次に演出制御用マイコン91は、ステップS1102で選択した変動演出パターンで変動演出を開始させるための変動演出開始コマンドを、RAM94の所定の記憶領域にセットする(S1103)。そしてステップS1104に進む。
ステップS1104では演出制御用マイコン91は、遊技制御用マイコン81からオープニングコマンドを受信しているか否かを判定する。受信していなければ、ステップS1107に進むが、受信していれば、大当たり演出パターン選択処理(S1105)を行う。
大当たり演出パターン選択処理(S1105)では、オープニングコマンドの解析結果に基づいて、大当たり遊技中に実行する大当たり演出の演出パターン(大当たり演出パターン)を選択する。なお、ここで選択した大当たり演出パターンを示すデータはRAM94の所定の記憶領域に格納される。この大当たり演出パターンの選択により、大当たり遊技中における盤ランプ発光演出の実行の有無やそのタイミング、可動体駆動演出の実行の有無やそのタイミングといった詳細までを含めて演出の内容が決定される。
次に演出制御用マイコン91は、ステップS1105で選択した大当たり演出パターンで大当たり演出を開始させるための大当たり演出開始コマンドを、RAM94の所定の記憶領域にセットする(S1106)。その後、その他の処理として他の受信コマンドに基づく処理を行って(S1107)、受信コマンド解析処理を終える。
図14に戻り、演出制御用マイコン91は、受信コマンド解析処理(S1001)に続いてコマンド送信処理(S1002)を行う。コマンド送信処理(S1002)では、受信コマンド解析処理でセットした各種コマンドを画像制御基板100に送信する。コマンド送信処理が実行されると、コマンドを受信した画像制御基板100は、画像表示装置7を用いて各種の演出(変動演出や大当たり演出、客待ち演出など)を実行する。例えば、ステップS1103でセットされた変動演出開始コマンドを受信した画像制御基板100は、変動演出開始コマンドに指定された内容の変動演出を実行する。
続いて演出制御用マイコン91は、音声処理(S1003)を行う。音声処理(S1003)では、受信コマンド解析処理で選択した演出パターンの演出に合うタイミングでスピーカ67から音声等を出力させるべく、音データ(スピーカ67からの音声等の出力を制御するデータ)を作成したり、音声制御基板106に出力したりする。次に演出制御用マイコン91は、SEL信号出力処理(S1004)を行う。
[SEL信号出力処理]図16に示すように、SEL信号出力処理(S1004)では演出制御用マイコン91はまず、受信コマンド解析処理で選択した演出パターンを示すデータ(変動演出パターンや大当たり演出パターンを示すデータ)を参照し(S1201)、盤ランプ発光演出を伴う演出パターンが選択されているか否かを判定する(S1202)。この判定結果がNOであれば直ちに本処理を終えるが、YESであれば続いて、盤ランプ5の発光タイミング(盤ランプ発光演出の実行タイミング)であるか否かを判定する(S1203)。
そして盤ランプ5の発光タイミングでなければ直ちに本処理を終えるが、盤ランプ5の発光タイミングであれば続いて、実行する盤ランプ発光演出が左側盤ランプ5Lを発光させる左側盤ランプ発光演出(図17(A)参照)であるか否かを判定する(S1204)。左側盤ランプ発光演出であれば(S1204でYES)、パラレルポート99に含まれているSEL信号の出力ポートを「L」レベルに設定する(S1205)。これにより、スイッチ回路部200に対して「L」レベルのSEL信号が出力される。よって、第1データスイッチ部211及び第1クロックスイッチ部212は導通状態となり、第2データスイッチ部213及び第2クロックスイッチ部214は非導通状態となって、演出制御用マイコン91はドライバA(IC1)と通信可能となる(図7参照)。
これに対して、ステップS1204において左側盤ランプ発光演出でないと判定した場合には(ステップS1204でNO)、右側盤ランプ5Rを発光させる右側盤ランプ発光演出(図17(B)参照)の実行タイミングであるため、パラレルポート99に含まれているSEL信号の出力ポートを「H」レベルに設定する(S1206)。これにより、スイッチ回路部200に対して「H」レベルのSEL信号が出力される。よって、第1データスイッチ部211及び第1クロックスイッチ部212は非導通状態となり、第2データスイッチ部213及び第2クロックスイッチ部214は導通状態となって、演出制御用マイコン91はドライバB(IC2)と通信可能となる(図7参照)。
図14に戻り、演出制御用マイコン91は、SEL信号出力処理(S1004)に続いてランプ処理(S1005)を行う。ランプ処理(S1005)では、受信コマンド解析処理で選択した演出パターンの演出に合うタイミングで盤ランプ5や枠ランプ66を発光させるべく、ランプ駆動データ(盤ランプ5や枠ランプ66の発光を制御するデータ)を作成したり、サブ駆動基板107に出力したりする。
ここで、左側盤ランプ発光演出の実行タイミングであれば、左側盤ランプ5Lの各LED素子5aを所定の発光態様で発光させるためのランプ駆動データをシリアルポート98(図5参照)からドライバA(IC1)に出力する。これにより、図17(A)に示すように、左側盤ランプ発光演出が実行される。なお左側盤ランプ発光演出では、左側盤ランプ5Lは発光するが右側盤ランプ5Rは発光しない。
また、右側盤ランプ発光演出の実行タイミングであれば、右側盤ランプ5Rの各LED素子5aを所定の発光態様で発光させるためのランプ駆動データをシリアルポート98(図5参照)からドライバB(IC2)に出力する。これにより、図17(B)に示すように、右側盤ランプ発光演出が実行される。なお右側盤ランプ発光演出では、右側盤ランプ5Rは発光するが左側盤ランプ5Lは発光しない。
続いて演出制御用マイコン91は、可動体処理(S1006)を行う。可動体処理(S1006)では、受信コマンド解析処理で選択した演出パターンの演出に合うタイミングで装飾可動体15を駆動させるべく、可動体駆動データ(装飾可動体15の動作を制御するデータ)を作成したり、サブ駆動基板107に出力したりする。具体的には、装飾可動体15の出現タイミングであれば、装飾可動体15を待機位置から動作位置に移動させるための可動体出現駆動データをサブ駆動基板107に出力し、装飾可動体の復帰タイミングであれば、装飾可動体15を動作位置から待機位置に移動させるための可動体復帰駆動データをサブ駆動基板107に出力する。これにより、所定の可動体駆動演出が実行される。
6.本形態の効果等
以上詳細に説明したように本形態のパチンコ遊技機1では、SEL信号のレベルが「Lレベルである場合には、スイッチ回路部200によって演出制御用マイコン91とドライバA(IC1)とが導通状態となり、ドライバB(IC2)とは非導通状態となる。逆にSEL信号のレベルが「H」レベルである場合には、スイッチ回路部200によって演出制御用マイコン91とドライバB(IC2)とが導通状態となり、ドライバA(IC1)とは非導通状態となる。よって、ドライバAとドライバBとに同じアドレスが割り付けられている場合であっても、各ドライバICを別々に動作させることが可能となっている。そのため、各ドライバICによって発光駆動されるLED素子5aを、異なるタイミングで駆動させることが可能となっている。なお、ドライバAによる左側盤ランプ5Lの発光駆動の態様(駆動態様)と、ドライバBによる右側盤ランプ5Rの発光駆動の態様(駆動態様)とが異なっていてもよい。例えば、左側盤ランプ5Lの駆動態様は、各LED素子5aを所定時間にわたって一斉に点灯又は点滅させる駆動態様とする一方で、右側盤ランプ5Rの駆動態様は、各LED素子5aを順次点灯又は点滅させる駆動態様としてもよい。
このように本形態では、別チャネル(別系統)のシリアル通信ライン(I2C通信ライン)を新たに設けることなく、演出制御用マイコン91と通信可能なドライバICの数を増やすことが可能となっている。具体的には、例えば4ビットのアドレスであれば、異なる値のアドレスの数は「16」である。よって、4ビットのアドレスを割り付けることができるドライバICであれば、スイッチ回路部200がなければ同じ通信チャネルを構成するI2C通信ライン上には最大で16個のドライバICを接続することしかできないが、スイッチ回路部200を設けることにより、2倍の32個のドライバICを接続することが可能となっている。
また本形態のパチンコ遊技機1では、各スイッチ部211,212,213,214がそれぞれ、型の異なる2つのMOSFETの組み合わせで構成されている。よって、演出制御用マイコン91と各ドライバIC(IC1及びIC2)との通信の信頼性の高いスイッチ回路部200となっている。つまり各スイッチ部211,212,213,214は、P型とN型との両方の型のMOSFETを組み合わせて構成されているため、0V〜Vccまでの範囲でスイッチング動作が可能となっており、その結果、IC1及びIC2のSDA入出力端子及びSCL入力端子に対する入力電圧を、正常に動作するレベルにすることが可能となっている。
7.変更例
次に、変更例(第2形態とその他の変更例)について説明する。なお、変更例の説明において、上記形態のパチンコ遊技機1と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。勿論、変更例に係る構成同士を適宜組み合わせて構成してもよい。
〈第2形態〉
第2形態のパチンコ遊技機について図18及び図19に基づいて説明する。第2形態のパチンコ遊技機は第1形態のパチンコ遊技機1とは次の点が異なる。すなわち、第2形態のパチンコ遊技機では、図18に示すように、ドライバA(IC1)及びドライバB(IC2)が接続されているのと同じシリアル通信ラインSL(データ信号ラインL1及びクロック信号ラインL2)に接続されているドライバC(IC4)を用いて、SEL信号をスイッチ回路部200に入力させている。なおIC4は、IC1及びIC2と同じ種類のICである。
IC4のアドレス設定端子A0はVccに接続されており、IC4のアドレス設定端子A1〜A3はグランドに接続されている。すなわち、IC4のアドレスは、IC1やIC2に割り付けられたアドレスとは異なる値「0001」に固定されている。
IC4の出力端子OUT15は、プルアップ抵抗R5と、スイッチ回路部200における第1のインバータ(IC3A)の入力側に接続されている。すなわち本形態では、IC4の出力端子OUT15を、SEL信号の出力用の端子として利用している。
IC4のSDA入出力端子はIC1及びIC2が接続されているデータ信号ラインL1に接続されており、IC4のSCL入力端子はIC1及びIC2が接続されているクロック信号ラインL2に接続されている。すなわち、IC4は、演出制御用マイコン91をマスタ、IC1及びIC2をスレーブとするI2C通信におけるスレーブデバイスの1つである。
この第2形態のパチンコ遊技機では、演出制御用マイコン91は、第1形態におけるSEL信号出力処理(図16)に代えて、図19に示すSEL信号出力処理を行う。図19に示すSEL信号出力処理は、第1形態におけるSEL信号出力処理(図16)と比べて、ステップS1291及びS1292の処理が異なっている。すなわち、図19に示すSEL信号出力処理では、ステップS1204にて左側盤ランプ発光演出であると判定した場合には(S1204でYES)、ドライバC(IC4)に「L」レベルのSEL信号を出力させるための設定データを、クロック信号に同期してシリアルポート98(図5参照)から出力する(S1291)。具体的には、まずIC4のアドレス情報(「0001」)を出力し、IC4からの返答信号を受信した後、IC4の出力端子OUT15から出力されるSEL信号のレベルを「L」にするための設定データを出力する。これにより、スイッチ回路部200における第1データスイッチ部211及び第1クロックスイッチ部212が導通状態となり、第2データスイッチ部213及び第2クロックスイッチ部214が非導通状態となる。よって、演出制御用マイコン91はIC1を動作させて、左側盤ランプ5Lの各LED素子5aを発光制御することが可能となる。
一方、ステップS1204にて右側盤ランプ発光演出であると判定した場合には(S1204でNO)、ドライバC(IC4)に「H」レベルのSEL信号を出力させるための設定データを、クロック信号に同期してシリアルポート98(図5参照)から出力する(S1292)。具体的には、まずIC4のアドレス情報(「0001」)を出力し、IC4からの返答信号を受信した後、IC4の出力端子OUT15から出力されるSEL信号のレベルを「H」にするための設定データを出力する。これにより、スイッチ回路部200における第1データスイッチ部211及び第1クロックスイッチ部212が非導通状態となり、第2データスイッチ部213及び第2クロックスイッチ部214が導通状態となる。よって、演出制御用マイコン91はIC2を動作させて、右側盤ランプ5Rの各LED素子5aを発光制御することが可能となる。
以上説明したように、第2形態のパチンコ遊技機によれば、第1形態の説明において説明済みの効果の他、次の効果を奏する。すなわち、第2形態のパチンコ遊技機によれば、ドライバA(IC1)やドライバB(IC2)と同じシリアル通信ラインSLに接続されているドライバC(IC4)によって、SEL信号が出力される。よって、SEL信号を別の信号線で出力する構成(例えば第1形態のように演出制御用マイコン91のパラレルポート99(図5参照)の信号線の一本をSEL信号専用の信号線として利用する構成)と異なり、演出制御用マイコン91に関する配線状態(演出制御用マイコン91のI/Oポート部97の配線状態)に影響を与えることがない。従って、演出制御用マイコン91が実装されたサブ制御基板90のリユース性(別機種の遊技盤への転用し易さ)を高めることが可能となっている。
〈その他の変更例〉
上記形態では、トランジスタ(TR1〜TR8)として、MOSFETを用いたが、JFET等の他の種類のトランジスタを用いてもよい。
また上記形態において、N型のMOSFETを用いている箇所にP型のMOSFETを用い、P型のMOSFETを用いている箇所にN型のMOSFETを用いてもよい。この場合、SEL信号のレベルが「H」のときにIC1(ドライバA)と演出制御用マイコン91が通信可能となり、SEL信号のレベルが「L」のときにIC2(ドライバB)と演出制御用マイコン91が通信可能となる。なおこの場合、「H」レベルが第1レベルに相当し、「L」レベルが第2レベルに相当することとなる。
また上記形態において、第1のインバータ(IC3A)を設けずに、N型のMOSFETを用いている箇所にP型のMOSFETを用い、P型のMOSFETを用いている箇所にN型のMOSFETを用いてもよい。この場合には、上記形態と同様、SEL信号のレベルが「L」のときにIC1(ドライバA)と演出制御用マイコン91が通信可能となり、SEL信号のレベルが「H」のときにIC2(ドライバB)と演出制御用マイコン91が通信可能となる。
また上記形態では、LED素子5aを発光駆動(点灯駆動)させるドライバICをスイッチ回路部200に接続したが、モータ(例えば装飾可動体15の駆動源である電動モータ15a)を駆動させるドライバICをスイッチ回路部200に接続してもよい。つまり複数のモータドライバのいずれと演出制御用マイコン91が通信するかをスイッチ回路部200によって切り替える構成としてもよい。言い換えれば、スイッチ回路部200に接続されるドライバICの駆動対象は、LEDであってもよいし、モータであってもよい。勿論、スイッチ回路部200に接続されるドライバICの駆動対象は、遊技機枠50に配された枠ランプのLEDであってもよいし、遊技機枠50に配された枠可動体の駆動源としてのモータであってもいよい。
また上記形態では、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて取得する乱数(判定用情報)として、大当たり乱数等の4つの乱数を取得することとしたが、一つの乱数を取得してその乱数に基づいて、大当たりか否か、当たりの種別、リーチの有無、及び変動パターンの種類を決めるようにしてもよい。すなわち、始動入賞に基づいて取得する乱数の個数および各乱数において何を決定するようにするかは任意に設定可能である。
また上記形態では、当選した大当たり図柄の種類に基づいて高確率状態への移行が決定される遊技機として構成したが、いわゆるV確機(大入賞口内の特定領域(V領域)の通過に基づいて高確率状態に制御する遊技機)として構成してもよい。また上記形態では、一旦高確率状態に制御されると次の大当たり遊技の開始まで高確率状態への制御が続く遊技機(いわゆる確変ループタイプの遊技機)として構成したが、いわゆるST機(確変の回数切りの遊技機)として構成してもよい。また、いわゆる1種2種混合機や、ハネモノタイプの遊技機として構成してもよい。すなわち、本発明は、遊技機のゲーム性を問わず、種々のゲーム性の遊技機に対して好適に採用することが可能である。
また上記形態では、大当たりに当選してそのことを示す特別図柄が停止表示されたことを制御条件として、大当たり遊技状態(特別遊技状態)に制御されるパチンコ遊技機として構成した。これに対して、スロットマシン(回胴式遊技機、パチスロ遊技機)として構成してもよい。この場合、ビッグボーナスやレギュラーボーナスへの入賞によって獲得メダルを増やす所謂ノーマル機であれば、ビッグボーナスやレギュラーボーナス等のボーナスを実行している状態が特別遊技状態に相当する。また、小役に頻繁に入賞可能なART(アシストリプレイタイム)やAT(アシストタイム)等の特別な遊技期間にて獲得メダルを増やす所謂ART機やAT機であれば、ARTやAT中の状態が特別遊技状態に相当する。また、ノーマル機では特別遊技状態への制御条件は、ビッグボーナスやレギュラーボーナスに当選した上で、有効化された入賞ライン上に、ビッグボーナスやレギュラーボーナスへの移行契機となる図柄の組み合せが各リールの表示結果として導出表示されることである。また、ART機やAT機では特別遊技状態への制御条件は、例えば、ARTやATの実行抽選に当選した上で、規定ゲーム数を消化するなどしてARTやATの発動タイミングを迎えることである。
8.上記した実施の形態に示されている発明
上記した実施の形態には、以下の各手段の発明が示されている。以下に記す手段の説明では、上記した実施の形態における対応する構成名や表現、図面に使用した符号を参考のためにかっこ書きで付記している。但し、各発明の構成要素はこの付記に限定されるものではない。
〈A〉
手段1に係る発明は、
データ信号ライン(L1)と、クロック信号ライン(L2)と、を備えたシリアル通信ライン(SL)と、
所定のアドレス(「0000」)が付番された第1のドライバIC(IC1)と、
前記アドレスと同じアドレス(「0000」)が付番された第2のドライバIC(IC2)と、
前記シリアル通信ラインに接続されている制御手段(演出制御用マイコン91)と、を備え、
前記第1のドライバIC及び前記第2のドライバICのシリアルデータ入出力端子(SDA入出力端子)は、前記データ信号ラインに接続されており、
前記第1のドライバIC及び前記第2のドライバICのシリアルクロック入力端子(SCL入力端子)は、前記クロック信号ラインに接続されている遊技機(パチンコ遊技機1)であって、
前記制御手段は、第1レベル(「L」レベル)と第2レベル(「H」レベル)とのうちいずれか一方をとるセレクト信号(SEL信号)を出力可能なものであり、
前記セレクト信号の出力レベルが第1レベルである場合には、前記制御手段と前記第1のドライバICとをつなぐ前記データ信号ライン及び前記クロック信号ラインを導通状態とし、前記制御手段と前記第2のドライバICとをつなぐ前記データ信号ライン及び前記クロック信号ラインを非導通状態とする一方、
前記セレクト信号の出力レベルが第2レベルである場合には、前記制御手段と前記第1のドライバICとをつなぐ前記データ信号ライン及び前記クロック信号ラインを非導通状態とし、前記制御手段と前記第2のドライバICとをつなぐ前記データ信号ライン及び前記クロック信号ラインを導通状態とするスイッチ回路部(200)を備えていることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、セレクト信号の出力レベルが第1レベルである場合には、スイッチ回路部によって制御手段と第1のドライバICとが導通状態となり、第2のドライバICとは非導通状態となる。逆にセレクト信号の出力レベルが第2レベルである場合には、スイッチ回路部によって制御手段と第2のドライバICとが導通状態となり、第1のドライバICとは非導通状態となる。よって、第1のドライバICと、第2のドライバICとに同じアドレスが割り付けられている場合であっても、各ドライバICを別々に動作させることが可能となる。そのため、各ドライバICによって駆動される演出手段(LEDやモータ等)を、異なるタイミングで、別の駆動態様で駆動させることが可能となる。従って、別チャネル(別系統)のシリアル通信ライン(I2C通信ライン)を新たに設けることなく、制御手段と通信可能なドライバICの数を増やすことが可能となる。
手段2に係る発明は、
手段1に記載の遊技機であって、
前記スイッチ回路部は、
前記セレクト信号に基づく第1スイッチング信号が伝送される第1スイッチング信号ライン(L3)と、
前記第1スイッチング信号と逆の信号レベルをとる第2スイッチング信号が伝送される第2スイッチング信号ライン(L4)と、
前記制御手段と前記第1のドライバICのシリアルデータ入出力端子との接続状態を切り替える第1データスイッチ部(211)と、
前記制御手段と前記第1のドライバICのシリアルクロック入力端子との接続状態を切り替える第1クロックスイッチ部(212)と、
前記制御手段と前記第2のドライバICのシリアルデータ入出力端子との接続状態を切り替える第2データスイッチ部(213)と、
前記制御手段と前記第2のドライバICのシリアルクロック入力端子との接続状態を切り替える第2クロックスイッチ部(214)と、を備え、
前記第1データスイッチ部及び前記第1クロックスイッチ部は、それぞれ、
前記第1スイッチング信号ラインがゲート端子に接続されているN型又はP型のうち一方の型の第1MOSFET(TR1,TR3)と、
前記第2スイッチング信号ラインがゲート端子に接続されているとともに、前記第1MOSFETのドレイン端子がソース端子に接続され、前記第1MOSFETのソース端子がドレイン端子に接続されている前記第1MOSFETとは逆の型の第2MOSFET(TR2,TR4)と、を備え、
前記第2データスイッチ部及び前記第2クロックスイッチ部は、それぞれ、
前記第1スイッチング信号ラインがゲート端子に接続されており、前記第1MOSFETとは逆の型の第3MOSFET(TR6,TR8)と、
前記第2スイッチング信号ラインがゲート端子に接続されているとともに、前記第3MOSFETのドレイン端子がソース端子に接続され、前記第3MOSFETのソース端子がドレイン端子に接続されている前記第3MOSFETとは逆の型の第4MOSFET(TR5,TR7)と、を備えていることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、各スイッチ部がそれぞれ、型の異なる2つのMOSFETの組み合わせで構成されている。よって、制御手段と各ドライバICとの通信の信頼性の高いスイッチ回路部を好適に構成可能である。
〈B〉
手段3に係る発明は、
データ信号ライン(L1)と、クロック信号ライン(L2)と、を備えたシリアル通信ライン(SL)と、
所定のアドレス(「0000」)が付番された第1のドライバIC(IC1)と、
前記アドレスと同じアドレス(「0000」)が付番された第2のドライバIC(IC2)と、
前記アドレスと異なるアドレス(「0001」)が付番された第3のドライバIC(IC4)と、
前記シリアル通信ラインに接続されている制御手段(演出制御用マイコン91)と、を備え、
前記第1のドライバIC、前記第2のドライバIC、及び前記第3のドライバICのシリアルデータ入出力端子(SDA入出力端子)は、前記データ信号ラインに接続されており、
前記第1のドライバIC、前記第2のドライバIC、及び前記第3のドライバICのシリアルクロック入力端子(SCL入力端子)は、前記クロック信号ラインに接続されている遊技機(第2形態のパチンコ遊技機)であって、
前記制御手段は、前記第3のドライバICに第1レベル(「L」レベル)又は第2レベル(「H」レベル)のセレクト信号(SEL信号)を出力させるセレクト信号制御処理(図19に示すSEL信号出力処理)を実行可能なものであり、
前記セレクト信号の出力レベルが第1レベルである場合には、前記制御手段と前記第1のドライバICとをつなぐ前記データ信号ライン及び前記クロック信号ラインを導通状態とし、前記制御手段と前記第2のドライバICとをつなぐ前記データ信号ライン及び前記クロック信号ラインを非導通状態とする一方、
前記セレクト信号の出力レベルが第2レベルである場合には、前記制御手段と前記第1のドライバICとをつなぐ前記データ信号ライン及び前記クロック信号ラインを非導通状態とし、前記制御手段と前記第2のドライバICとをつなぐ前記データ信号ライン及び前記クロック信号ラインを導通状態とするスイッチ回路部(200)を備えていることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、第3のドライバICが出力するセレクト信号の出力レベルが第1レベルである場合には、スイッチ回路部によって制御手段と第1のドライバICとが導通状態となり、第2のドライバICとは非導通状態となる。逆に第3のドライバICが出力するセレクト信号の出力レベルが第2レベルである場合には、スイッチ回路部によって制御手段と第2のドライバICとが導通状態となり、第1のドライバICとは非導通状態となる。よって、第1のドライバICと、第2のドライバICとに同じアドレスが割り付けられている場合であっても、各ドライバICを別々に動作させることが可能となる。そのため、各ドライバICによって駆動される演出手段(LEDやモータ等)を、異なるタイミングで、別の駆動態様で駆動させることが可能となる。従って、別チャネル(別系統)のシリアル通信ライン(I2C通信ライン)を新たに設けることなく、制御手段と通信可能なドライバICの数を増やすことが可能となる。
また、第1のドライバICや第2のドライバICと同じシリアル通信ラインに接続されている第3のドライバICによって、セレクト信号が出力される。よって、セレクト信号を別の信号線で出力する構成(例えば制御手段の出力ポートの信号線の一本をセレクト信号専用の信号線として利用する構成)と異なり、制御手段に関する配線状態(制御手段の出力ポートの配線状態)に影響を与えることがない。従って、制御手段が実装された基板のリユース性(別機種の遊技盤への転用し易さ)を高めることが可能となる。
手段4に係る発明は、
手段3に記載の遊技機であって、
前記スイッチ回路部は、
前記セレクト信号に基づく第1スイッチング信号が伝送される第1スイッチング信号ライン(L3)と、
前記第1スイッチング信号と逆の信号レベルをとる第2スイッチング信号が伝送される第2スイッチング信号ライン(L4)と、
前記制御手段と前記第1のドライバICのシリアルデータ入出力端子との接続状態を切り替える第1データスイッチ部(211)と、
前記制御手段と前記第1のドライバICのシリアルクロック入力端子との接続状態を切り替える第1クロックスイッチ部(212)と、
前記制御手段と前記第2のドライバICのシリアルデータ入出力端子との接続状態を切り替える第2データスイッチ部(213)と、
前記制御手段と前記第2のドライバICのシリアルクロック入力端子との接続状態を切り替える第2クロックスイッチ部(214)と、を備え、
前記第1データスイッチ部及び前記第1クロックスイッチ部は、それぞれ、
前記第1スイッチング信号ラインがゲート端子に接続されているN型又はP型のうち一方の型の第1MOSFET(TR1,TR3)と、
前記第2スイッチング信号ラインがゲート端子に接続されているとともに、前記第1MOSFETのドレイン端子がソース端子に接続され、前記第1MOSFETのソース端子がドレイン端子に接続されている前記第1MOSFETとは逆の型の第2MOSFET(TR2,TR4)と、を備え、
前記第2データスイッチ部及び前記第2クロックスイッチ部は、それぞれ、
前記第1スイッチング信号ラインがゲート端子に接続されており、前記第1MOSFETとは逆の型の第3MOSFET(TR6,TR8)と、
前記第2スイッチング信号ラインがゲート端子に接続されているとともに、前記第3MOSFETのドレイン端子がソース端子に接続され、前記第3MOSFETのソース端子がドレイン端子に接続されている前記第3MOSFETとは逆の型の第4MOSFET(TR5,TR7)と、を備えていることを特徴とする遊技機である。
この構成の遊技機によれば、各スイッチ部がそれぞれ、型の異なる2つのMOSFETの組み合わせで構成されている。よって、制御手段と各ドライバICとの通信の信頼性の高いスイッチ回路部を好適に構成可能である。