1.遊技機の構造
本発明の実施形態であるパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において遊技機の一例としてのパチンコ遊技機の各部の左右方向は、そのパチンコ遊技機に対面する遊技者にとっての左右方向に一致させて説明する。また、パチンコ遊技機の各部の前方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者に近づく方向とし、パチンコ遊技機の各部の後方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者から離れる方向として、説明する。
図1に示すように、第1形態のパチンコ遊技機1は、遊技機枠50と、遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2とを備えている。遊技機枠50のうちの前面枠51には、回転角度に応じた発射強度で遊技球を発射させるためのハンドル(発射操作部)60、遊技球を貯留する打球供給皿(上皿)61、及び打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿(下皿)62が設けられている。また前面枠51には、装飾用の枠ランプ66、及び、音を出力するスピーカ67が設けられている。また前面枠51には、遊技の進行に伴って実行される演出時などに遊技者が操作し得る演出ボタン63が設けられている。
遊技盤2には、ハンドル60の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材4で囲まれて形成されている。遊技領域3には、遊技球を誘導する複数の遊技くぎ(図示せず)が突設されている。
また遊技領域3の中央付近には、液晶表示装置である画像表示装置(演出表示手段)7が設けられている。なお画像表示装置は、有機EL表示装置などの他の画像表示装置であってもよい。画像表示装置7の表示画面(表示部)7aには、後述の第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示(変動表示)に同期した演出図柄(装飾図柄)8L,8C,8Rの可変表示(変動表示)を行う演出図柄表示領域がある。なお、演出図柄8L,8C,8Rを表示する演出を演出図柄変動演出という。演出図柄変動演出を「装飾図柄変動演出」や単に「変動演出」とも称する。
演出図柄表示領域は、例えば「左」「中」「右」の3つの図柄表示エリアからなる。左の図柄表示エリアには左演出図柄8Lが表示され、中の図柄表示エリアには中演出図柄8Cが表示され、右の図柄表示エリアには右演出図柄8Rが表示される。演出図柄はそれぞれ、例えば「1」〜「9」までの数字をあらわした複数の図柄からなる。画像表示装置7は、左、中、右の演出図柄の組み合わせによって、後述の第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41b(図3参照)にて表示される第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示の結果(つまりは大当たり抽選の結果)を、わかりやすく表示する。
例えば大当たりに当選した場合には「777」などのゾロ目で演出図柄を停止表示する。また、はずれであった場合には「637」などのバラケ目で演出図柄を停止表示する。これにより、遊技者による遊技の進行状況の把握が容易となる。つまり遊技者は、一般的には大当たり抽選の結果を第1特別図柄表示器41aや第2特別図柄表示器41bにより把握するのではなく、画像表示装置7にて把握する。なお、図柄表示エリアの位置は固定的でなくてもよい。また、演出図柄の変動表示の態様としては、例えば上下方向にスクロールする態様がある。
画像表示装置7は、上記のような演出図柄を用いた演出図柄変動演出のほか、大当たり遊技に並行して行われる大当たり演出や、客待ち用のデモ演出(客待ち演出)などを表示画面7aに表示する。なお演出図柄変動演出では、数字等の演出図柄のほか、背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄以外の演出画像も表示される。
また画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特図保留の記憶数に応じて演出保留画像9Aを表示する第1演出保留画像表示エリアと、後述の第2特図保留の記憶数に応じて演出保留画像9Bを表示する第2演出保留表示エリアとがある。演出保留画像9A,9Bの表示により、後述の第1特図保留表示器43a(図3参照)にて表示される第1特図保留の記憶数、及び後述の第2特図保留表示器43bにて表示される第2特図保留の記憶数を、遊技者にわかりやすく示すことができる。
遊技領域3の中央付近であって画像表示装置7の前方には、センター装飾体10が配されている。センター装飾体10の下部には、上面を転動する遊技球を、後述の第1始動口20へと誘導可能なステージ部11が形成されている。またセンター装飾体10の左部には、入口から遊技球を流入させ、出口からステージ部11へ遊技球を流出させるワープ部12が設けられている。
さらにセンター装飾体10の上部には、盤ランプ5が設けられている。盤ランプ5は、左側盤ランプ5Lと、右側盤ランプ5Rとを備えている。左側盤ランプ5L及び右側盤ランプ5Rはそれぞれ、複数のLED素子5aと、透光性を有する合成樹脂からなるレンズ部材5bとを有しており、LED素子5aを発光させると、その光がレンズ部材5bを通って前方に出射される構成となっている。なおレンズ部材5bの形状は、パチンコ遊技機1のモチーフに関する形状にデザインされている。
またセンター装飾体10の下部には、装飾可動体440が設けられている。装飾可動体440は、図2(A)に示すように、本パチンコ遊技機1の機種名の一部を示す装飾文字がデザインされたものである。また装飾可動体440は、図2(A)に示す待機位置と図2(B)に示す演出位置との間を上下方向に沿って移動可能なものである。この装飾可動体440は、表示画面7aよりも前方に配置されており、待機位置ではセンター装飾体10の下部に隠れているが(図1参照)、演出位置では表示画面7aの下部前方に位置して遊技者からその全体が視認可能となる。
装飾可動体440の駆動源は、ステッピングモーター456(図5参照)である。ステッピングモーター456による動力は、図示しない動力伝達機構によって装飾可動体440に伝達される。動力伝達機構としては公知のものを適宜利用できるが、本形態では偏心カムを採用しているものとする。つまり本形態のパチンコ遊技機1は、ステッピングモーター456の回転軸側に取り付けられた偏心カム(原動節)と、装飾可動体440側に取り付けられていて偏心カムと接している従動節とを含むカム機構を有し、このカム機構によりステッピングモーター456の回転を装飾可動体440の直動に変換しているものとする。そのため本形態では、ステッピングモーター456の回転軸を所定の正方向に回転させるだけで、装飾可動体440の待機位置から演出位置への移動(出現動作)も、装飾可動体440の演出位置から待機位置への移動(復帰動作)も行うことが可能である。なお、装飾可動体440の駆動源であるステッピングモーター456は、2相励磁又は1−2相励磁で駆動されるユニポーラ型である。但しバイポーラ型としてもよい。
図1に戻り、遊技領域3における画像表示装置7の下方には、遊技球の入球し易さが常に変わらない第1始動口(第1入球口や、第1始動入賞口、固定入球口ともいう)20を備える第1始動入賞装置(第1入球手段や固定入球手段ともいう)19が設けられている。第1始動口20への遊技球の入賞は、第1特別図柄の抽選(大当たり抽選、すなわち大当たり乱数等の取得と判定)の契機となっている。
また遊技領域3における第1始動口20の下方には、第2始動口(第2入球口や、第2始動入賞口、可変入球口ともいう)21を備える普通可変入賞装置(普通電動役物いわゆる電チュー)22が設けられている。電チュー22を、可変入球手段や、第2入球手段、第2始動入賞装置ともいう。第2始動口21への遊技球の入賞は、第2特別図柄の抽選(大当たり抽選)の契機となっている。電チュー22は、開状態と閉状態とをとる開閉部材(入球口開閉部材)23を備え、開閉部材23の作動によって第2始動口21を開閉するものである。開閉部材23は、電チューソレノイド24(図4参照)により駆動される。開閉部材23が開状態にあるときには、第2始動口21への遊技球の入球が可能となり、閉状態にあるときには、第2始動口21への遊技球の入球が不可能となる。つまり、第2始動口21は、遊技球の入球し易さが変化可能な始動口である。なお、電チューは、開閉部材が開状態にあるときの方が閉状態にあるときよりも第2始動口への入球を容易にするものであれば、閉状態にあるときに第2始動口への入球を不可能とするものでなくてもよい。
また、遊技領域3における第1始動口20の右方には、大入賞口(特別入賞口)30を備えた大入賞装置(特別入賞手段や特別可変入賞装置ともいう)31が設けられている。大入賞装置31は、開状態と閉状態とをとる開閉部材(特別入賞口開閉部材)32を備え、開閉部材32の作動により大入賞口30を開閉するものである。開閉部材32は、大入賞口ソレノイド33(図4参照)により駆動される。大入賞口30は、開閉部材32が開状態であるときだけ遊技球が入球可能となる。
また、センター装飾体10の右方には、遊技球が通過可能なゲート(通過口ともいう)28が設けられている。ゲート28への遊技球の通過は、電チュー22を開放するか否かを決める普通図柄抽選(すなわち普通図柄乱数(当たり乱数)の取得と判定)の実行契機となっている。さらに遊技領域3の下部には、複数の普通入賞口27が設けられている。また遊技領域3の最下部には、遊技領域3へ打ち込まれたもののいずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域3外へ排出するアウト口6が設けられている。
このように各種の入賞口等が配されている遊技領域3には、左右方向の中央より左側の左遊技領域(第1遊技領域)3Aと、右側の右遊技領域(第2遊技領域)3Bとがある。左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、左打ちという。一方、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、右打ちという。本形態のパチンコ遊技機1では、左打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を、第1流路R1といい、右打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を、第2流路R2という。
第1流路R1上には、第1始動口20と、電チュー22と、アウト口6とが設けられている。遊技者は第1流路R1を流下するように遊技球を打ち込むことで、第1始動口20への入賞を狙うことができる。なお、第1流路R1上にゲートは配されていないため、左打ちをしている場合に電チュー22が開放されることはない。
一方、第2流路R2上には、ゲート28と、大入賞装置31と、電チュー22と、アウト口6とが設けられている。遊技者は第2流路R2を流下するように遊技球を打ち込むことで、ゲート28への通過や、第2始動口21及び大入賞口30への入賞を狙うことができる。
また図1に示すように、遊技盤2の右下部には表示器類40が配置されている。表示器類40には、図3に示すように、第1特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄を可変表示する第2特別図柄表示器41b、及び、普通図柄を可変表示する普通図柄表示器42が含まれている。また表示器類40には、第1特別図柄表示器41aの作動保留(第1特図保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器43a、第2特別図柄表示器41bの作動保留(第2特図保留)の記憶数を表示する第2特図保留表示器43b、および普通図柄表示器42の作動保留(普図保留)の記憶数を表示する普図保留表示器44が含まれている。
第1特別図柄の可変表示は、第1始動口20への遊技球の入賞を契機として行われる。第2特別図柄の可変表示は、第2始動口21への遊技球の入賞を契機として行われる。なお以下の説明では、第1特別図柄および第2特別図柄を総称して特別図柄ということがある。また、第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41bを総称して特別図柄表示器41ということがある。また、第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bを総称して特図保留表示器43ということがある。
特別図柄表示器41では、特別図柄を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づく抽選(特別図柄抽選、大当たり抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄(停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される特別図柄)は、特別図柄抽選によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた特定特別図柄(特定の停止態様の特別図柄すなわち大当たり図柄)である場合には、停止表示された特定特別図柄の種類(つまり当選した大当たりの種類)に応じた開放パターンにて大入賞口30を開放させる大当たり遊技(特別遊技の一例)が行われる。なお、特別遊技における大入賞口の開放パターンについては後述する。
具体的には特別図柄表示器41は、例えば横並びに配された8個のLEDから構成されており、その点灯態様によって大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示するものである。例えば大当たり(後述の複数種類の大当たりのうちの一つ)に当選した場合には、「○○●●○○●●」(○:点灯、●:消灯)というように左から1,2,5,6番目にあるLEDが点灯した大当たり図柄を表示する。また、ハズレである場合には、「●●●●●●●○」というように一番右にあるLEDのみが点灯したハズレ図柄を表示する。ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。なおハズレ図柄は、特定特別図柄ではない。また、特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示がなされるが、その変動表示の態様は、例えば左から右へ光が繰り返し流れるように各LEDが点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞(入球)があると、その入賞に対して取得した大当たり乱数等の各種乱数の値(数値情報、判定用情報)は、特図保留記憶部85(図4参照)に一旦記憶される。詳細には、第1始動口20への入賞であれば第1特図保留として第1特図保留記憶部85a(図4参照)に記憶され、第2始動口21への入賞であれば第2特図保留として第2特図保留記憶部85b(図4参照)に記憶される。各々の特図保留記憶部85に記憶可能な特図保留の数には上限があり、本形態における上限値はそれぞれ4個となっている。
特図保留記憶部85に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の可変表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する大当たり乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に基づく特別図柄の可変表示がその入賞後にすぐに行えない場合、すなわち特別図柄の可変表示の実行中や特別遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定個数を上限として、その入賞に対する大当たり抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような特図保留の数は、特図保留表示器43に表示される。具体的には特図保留表示器43はそれぞれ、例えば4個のLEDで構成されており、特図保留の数だけLEDを点灯させることにより特図保留の数を表示する。
普通図柄の可変表示は、ゲート28への遊技球の通過を契機として行われる。普通図柄表示器42では、普通図柄を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄抽選の結果を報知する。停止表示される普通図柄(普図停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される普通図柄)は、普通図柄抽選によって複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(所定の停止態様の普通図柄すなわち普通当たり図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口21を開放させる補助遊技が行われる。なお、第2始動口21の開放パターンについては後述する。
具体的には普通図柄表示器42は、例えば2個のLEDから構成されており(図3参照)、その点灯態様によって普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄を表示するものである。例えば抽選結果が当たりである場合には、「○○」(○:点灯、●:消灯)というように両LEDが点灯した普通当たり図柄を表示する。また抽選結果がハズレである場合には、「●○」というように右のLEDのみが点灯した普通ハズレ図柄を表示する。普通ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。なお普通ハズレ図柄は、特定普通図柄ではない。普通図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示がなされるが、その変動表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過があると、その通過に対して取得した普通図柄乱数(当たり乱数)の値は、普図保留記憶部86(図4参照)に普図保留として一旦記憶される。普図保留記憶部86に記憶可能な普図保留の数には上限があり、本形態における上限値は4個となっている。
普図保留記憶部86に記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の可変表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄乱数(当たり乱数)を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄の可変表示がその通過後にすぐに行えない場合、すなわち普通図柄の可変表示の実行中や補助遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定個数を上限として、その通過に対する普通図柄抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような普図保留の数は、普図保留表示器44に表示される。具体的には普図保留表示器44は、例えば4個のLEDで構成されており、普図保留の数だけLEDを点灯させることにより普図保留の数を表示する。
2.遊技機の電気的構成
次に図4〜図7に基づいて、本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明する。図4及び図5に示すようにパチンコ遊技機1は、大当たり抽選や遊技状態の移行などの遊技利益に関する制御を行う主制御基板(遊技制御基板)80、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行うサブ制御基板(演出制御基板)90、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板110等を備えている。なお、主制御基板80は、メイン制御部を構成し、サブ制御基板90は、後述する画像制御基板100、サブ駆動基板107、および音声制御基板106とともにサブ制御部990を構成する。なお、サブ制御部990は、少なくともサブ制御基板90を備え、演出手段(画像表示装置7やスピーカ67、枠ランプ66、盤ランプ5、装飾可動体440(ステッピングモーター456)等)を用いた遊技演出を制御可能であればよい。
またパチンコ遊技機1は、電源基板190を備えている。電源基板190は、主制御基板80、サブ制御基板90、及び払出制御基板110に対して電力を供給するとともに、これらの基板を介してその他の機器に対して必要な電力を供給する。電源基板190には、バックアップ電源回路191が設けられている。バックアップ電源回路191は、本パチンコ遊技機1に対して電力が供給されていない場合に、後述する主制御基板80のRAM84やサブ制御基板90のRAM94に対して電力を供給する。従って、主制御基板80のRAM84やサブ制御基板90のRAM94に記憶されている情報は、パチンコ遊技機1の電断時であっても保持される。また、電源基板190には、電源スイッチ195が接続されている。電源スイッチ195のON/OFF操作により、電源の投入/遮断が切替えられる。なお、主制御基板80のRAM84に対するバックアップ電源回路を主制御基板80に設けたり、サブ制御基板90のRAM94に対するバックアップ電源回路をサブ制御基板90に設けたりしてもよい。
図4に示すように、主制御基板80には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)81が実装されている。遊技制御用マイコン81には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM83、ワークメモリとして使用されるRAM84、ROM83に記憶されたプログラムを実行するCPU82、データや信号の入出力を行うためのI/Oポート部(入出力回路)87が含まれている。RAM84には、上述した特図保留記憶部85(第1特図保留記憶部85aおよび第2特図保留記憶部85b)と普図保留記憶部86とが設けられている。なお、ROM83は外付けであってもよい。
主制御基板80には、中継基板88を介して各種センサやソレノイドが接続されている。そのため、主制御基板80には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的にはセンサ類としては、第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、ゲートセンサ28a、大入賞口センサ30a、および普通入賞口センサ27aが接続されている。
第1始動口センサ20aは、第1始動口20内に設けられて第1始動口20に入賞した遊技球を検出するものである。第2始動口センサ21aは、第2始動口21内に設けられて第2始動口21に入賞した遊技球を検出するものである。ゲートセンサ28aは、ゲート28内に設けられてゲート28を通過した遊技球を検出するものである。大入賞口センサ30aは、大入賞口30内に設けられて大入賞口30に入賞した遊技球を検出するものである。普通入賞口センサ27aは、普通入賞口27内に設けられて普通入賞口27に入賞した遊技球を検出するものである。
またソレノイド類としては、電チューソレノイド24、および大入賞口ソレノイド33が接続されている。電チューソレノイド24は、電チュー22の開閉部材23を駆動するものである。大入賞口ソレノイド33は、大入賞装置31の開閉部材32を駆動するものである。
さらに主制御基板80には、特別図柄表示器41、普通図柄表示器42、特図保留表示器43、および普図保留表示器44が接続されている。すなわち、これらの表示器類40の表示制御は、遊技制御用マイコン81によりなされる。
また主制御基板80は、払出制御基板110に各種コマンドや信号を送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板110から信号を受信する。払出制御基板110には、賞球払出装置120、貸球払出装置130およびカードユニット135(パチンコ遊技機1に隣接して設置され、挿入されているプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にするもの)が接続されているとともに、発射制御回路111を介して発射装置112が接続されている。発射装置112には、ハンドル60(図1参照)が含まれる。
払出制御基板110は、遊技制御用マイコン81からの信号や、パチンコ遊技機1に接続されたカードユニット135からの信号に基づいて、賞球払出装置120の賞球モータ121を駆動して賞球の払い出しを行ったり、貸球払出装置130の球貸モータ131を駆動して貸球の払い出しを行ったりする。払い出される賞球は、その計数のため賞球センサ122により検知されて、賞球センサ122による検知信号が払出制御基板110に出力される。また払い出される貸球は、その計数のため球貸センサ132により検知されて、球貸センサ132による検知信号が払出制御基板110に出力される。
なお遊技者による発射装置112のハンドル60(図1参照)の操作があった場合には、タッチスイッチ114がハンドル60への接触を検知し、発射ボリューム115がハンドル60の回転量を検知する。そして、発射ボリューム115の検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射モータ113が駆動されることとなる。本パチンコ遊技機1においては、0.6秒程度で一発の遊技球が発射されるようになっている。
また主制御基板80は、サブ制御基板90に対し各種コマンドを送信する。主制御基板80とサブ制御基板90との接続は、主制御基板80からサブ制御基板90への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、主制御基板80とサブ制御基板90との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
図5に示すように、サブ制御基板90には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン(以下「演出制御用マイコン」)91が実装されている。演出制御用マイコン91(制御手段に相当)には、遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM93、ワークメモリとして使用されるRAM94、ROM93に記憶されたプログラムを実行するCPU92、データや信号の入出力を行うためのI/Oポート部(入出力回路)97が含まれている。なお、ROM93は外付けであってもよい。
I/Oポート部97は、シリアル通信により入出力を行うシリアルポート98と、パラレル通信により入出力を行うパラレルポート99とを備えている。演出制御用マイコン91のCPU92は、パラレルポート99から、ステッピングモーター456の回転駆動を制御するためのMOT_EN信号(MOTOR_ENABLE信号)を出力させることが可能である。このMOT_EN信号に基づいて、ステッピングモーター456を駆動させるモータドライバ(IC3、図6参照)が駆動される。なお、この点については後に詳述する。
サブ制御基板90には、画像制御基板100、音声制御基板106、サブ駆動基板107(駆動回路部に相当)が接続されている。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板100のCPU102に画像表示装置7の制御を行わせる。
画像制御基板100は、画像表示等の制御のためのプログラム等を記憶したROM103、ワークメモリとして使用されるRAM104、及び、ROM103に記憶されたプログラムを実行するCPU102を備えている。なお、ROM103には、画像表示装置7に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(演出図柄を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声、楽曲、効果音等を出力する。スピーカ67から出力する音声等の音響データは、サブ制御基板90のROM93に格納されている。なお、音声制御基板106にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板106にROMを実装してもよく、そのROMに音響データを格納してもよい。また、スピーカ67を画像制御基板100に接続し、画像制御基板100のCPU102に音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、画像制御基板100のROM103に音響データを格納してもよい。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、サブ駆動基板107を介して、枠ランプ66や盤ランプ5(左側盤ランプ5LのLED素子5a、右側盤ランプ5RのLED素子5a)等のランプの点灯制御を行う。詳細には演出制御用マイコン91は、各ランプ(LED)の発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプ駆動データともいう)を作成し、発光パターンデータに従って各ランプ(LED)の発光を制御する。なお、発光パターンデータの作成にはサブ制御基板90のROM93に格納されているデータを用いる。
さらに演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、サブ駆動基板107を介して装飾可動体440の駆動制御を行う。詳細には演出制御用マイコン91は、装飾可動体440を移動させる可動体駆動演出の実行タイミングに合わせて、MOT_EN信号を出力することにより、ステッピングモーター456の駆動制御を行う。
またサブ制御基板90には、演出ボタン検出スイッチ(SW)63aが接続されている。演出ボタン検出スイッチ63aは、演出ボタン63(図1参照)が押下操作されたことを検出するものである。演出ボタン63が押下操作されると演出ボタン検出スイッチ63aからサブ制御基板90に対して検知信号が出力される。
なお図4及び図5は、あくまで本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明するための機能ブロック図であり、図4及び図5に示す基板だけが設けられているわけではない。主制御基板80を除いて、図4又は図5に示す何れか複数の基板を1つの基板として構成しても良く、図4又は図5に示す1つの基板を複数の基板として構成しても良い。
ここで図6に基づいて、ステッピングモーター456を駆動するための回路構成について詳しく説明する。図6は、サブ駆動基板107におけるステッピングモーター456の駆動に関する回路構成を主に示す図である。図6に示すように、サブ駆動基板107には、ステッピングモーター456を駆動させるためのモータードライバ(IC3)が実装されている。なお本形態ではモータドライバ(IC3)として、東芝製「TB6608FNG」が用いられている。利用可能なモータドライバはこれに限られるものではなく、適宜変更可能である。
モータドライバ(IC3)は、A相出力端子1(AO1)、A相出力端子2(AO2)、B相出力端子1(BO1)、およびB相出力端子2(BO2)を備えている。A相出力端子1(AO1)およびA相出力端子2(AO2)には、ステッピングモーター456のA相の励磁コイルLaが接続され、B相出力端子1(BO1)およびB相出力端子2(BO2)には、ステッピングモーター456のB相の励磁コイルLbが接続されている。
またモータドライバ(IC3)は、クロック信号端子(CK)を備えている。モータドライバ(IC3)は、クロック信号端子(CK)に入力されるクロック信号の周波数に応じた回転速度でステッピングモーター456を回転駆動させる。クロック信号端子(CK)に対する入力信号(入力クロック信号CLK_IN)は、周波数変更回路200から出力される。周波数変更回路200については後述する。
またモータドライバ(IC3)は、励磁モード設定端子1(M1)および励磁モード設定端子2(M2)を備えている。モータドライバ(IC3)は、励磁モード設定端子1(M1)および励磁モード設定端子2(M2)に対する入力信号のパターン(態様)に応じた励磁モードで、ステッピングモーター456を回転駆動させる。
具体的には、励磁モード設定端子1(M1)および励磁モード設定端子2(M2)に対する入力信号のレベルが共に「L」(下側閾値電圧よりも低い電圧)であれば、2相励磁(フルステップ駆動)でステッピングモーター456を回転駆動させる。また、励磁モード設定端子1(M1)に対する入力信号のレベルが「H」(上側閾値電圧よりも高い電圧)で且つ励磁モード設定端子2(M2)に対する入力信号のレベルが「L」であれば、1−2相励磁(ハーフステップ駆動)でステッピングモーター456を回転駆動させる。
本形態では、励磁モード設定端子1(M1)および励磁モード設定端子2(M2)は共にグランドに接続されている。すなわち、励磁モード設定端子1(M1)および励磁モード設定端子2(M2)に対する入力信号のレベルは「L」に固定されている。よってステッピングモーター456は2相励磁で駆動される。なお、励磁モード設定端子1(M1)に対する入力信号のレベルを「H」に固定して、ステッピングモーター456が1−2相励磁で駆動されるようにしてもよい。また、励磁モード設定端子1(M1)および励磁モード設定端子2(M2)に対する入力信号のレベルを固定せず、演出制御用マイコン91からの制御信号のレベルに応じて2相励磁と1−2相励磁とが切り替わるように構成してもよい。
またモータドライバ(IC3)は、正転/逆転信号端子(CW/CCW)を備えている。モータドライバ(IC3)は、正転/逆転信号端子(CW/CCW)に対する入力信号のレベルに応じた回転方向で、ステッピングモーター456を回転駆動させる。具体的には、正転/逆転信号端子(CW/CCW)に対する入力信号のレベルが「L」であれば、ステッピングモーター456を正方向に回転駆動させる。一方、正転/逆転信号端子(CW/CCW)に対する入力信号のレベルが「H」であれば、ステッピングモーター456を正方向とは逆の逆方向に回転駆動させる。なお本形態では、正転/逆転信号端子(CW/CCW)はグランドに接続されている。すなわち、正転/逆転信号端子(CW/CCW)に対する入力信号のレベルは「L」に固定されている。よってステッピングモーター456は正方向に回転駆動される。
またモータドライバ(IC3)は、リセット信号端子(RESET)、イネーブル信号端子(ENABLE)、およびスタンバイ信号端子(STBY)を備えている。モータドライバ(IC3)は、これら3つの端子に対する入力信号のレベルが全て「H」である場合に、入力クロック信号の立ち上がりに応じて、正転/逆転信号端子(CW/CCW)への入力信号のレベルに基づく回転方向、および、励磁モード設定端子(M1,M2)への入力信号のレベルに基づく励磁モードにてステッピングモーター456を回転駆動させる。つまり、A相側の出力端子(AO1,AO2)、B相側の出力端子(BO1,BO2)から、ステッピングモーター456の励磁コイルLa,Lbを励磁するための励磁信号を出力する。またモータドライバ(IC3)は、イネーブル信号端子(ENABLE)またはスタンバイ信号端子(STBY)のいずれかに対する入力信号のレベルが「L」であれば、出力をOFFとする。つまり、ステッピングモーター456は駆動されていない状態(非駆動状態)となる。
なお本形態では、リセット信号端子(RESET)、イネーブル信号端子(ENABLE)、およびスタンバイ信号端子(STBY)には共に、演出制御用マイコン91から出力されるMOT_EN信号が、第1のインバータ(IC7A)および第2のインバータ(IC7B)を通って入力される。つまり、MOT_EN信号のレベルを2回反転させたレベルの信号(すなわちMOT_EN信号と同じレベルの信号)が入力される。よって、MOT_EN信号が「H」レベルのときにステッピングモーター456は駆動され、「L」レベルのときには駆動されないこととなる。
その他、モータドライバ(IC3)は、ロジック側電源電圧印加端子(VCC)、出力側電源電圧印加端子(Vm)、内部発振用コンデンサ外付け端子(OSC)、A相出力電流検出接続端子(RFA)、B相出力電流検出接続端子(RFB)、接地端子(GND)、モニタ信号端子(MO)、Vref設定端子(TQ)、及び、ディケイ設定端子(DCY)を備えている。これらの各端子に関する接続状態は図6に示す通りであり、詳しい説明を省略する。なお本形態では、ロジック側電源電圧(モータードライバ(IC3)を駆動させるための電圧)も、出力側電源電圧(ステッピングモーター456を駆動させるための電圧)も共に5V程度である。但し、ロジック側電源電圧と出力側電源電圧とが異なる構成(例えばロジック側電源電圧が5V、出力側電源電圧が12Vなど)であってもよい。
次に、クロック信号端子(CK)に対する入力信号(入力クロック信号CLK_IN)について説明する。サブ駆動基板107は、周波数変更回路200を備えている。周波数変更回路200は、演出制御用マイコン91から入力されるMOT_EN信号に基づいて、入力クロック信号CLK_INを出力する回路である。周波数変更回路200は、入力クロック信号CLK_INの周波数を、ステッピングモーター456の駆動開始から1s(1秒)が経過するまでの第1期間は1KHzとし、第1期間の終了から1秒が経過するまでの第2期間は2KHzとし、第2期間の終了からMOT_EN信号の「H」から「L」への切り替わりまでの第3期間は4KHzとするものである。
周波数変更回路200は、第1信号生成部210と、第2信号生成部220と、供給クロック生成部230と、を備えている。第1信号生成部210は、周波数1KHzの第1分周信号X1と、周波数2KHzの第2分周信号X2と、周波数4KHzの第3分周信号X3とを生成するものである。第2信号生成部220は、入力クロック信号CLK_INの周波数を1KHzとする第1期間を規定するための第1許可信号F1_ENと、入力クロック信号CLK_INの周波数を2KHzとする第2期間を規定するための第2許可信号F2_ENと、入力クロック信号CLK_INの周波数を4KHzとする第3期間を規定するための第3許可信号F3_ENとを生成するものである。
供給クロック生成部230は、第1信号生成部210により生成された3つの信号(第1分周信号X1、第2分周信号X2、第3分周信号X3)と、第2信号生成部220により生成された3つの信号(第1許可信号F1_EN、第2許可信号F2_EN、第3許可信号F3_EN)とを入力信号として、モータドライバ(IC3)のクロック信号端子(CK)に対する入力クロック信号CLK_INを出力するものである。入力クロック信号CLK_INの周波数は、時間の経過に応じて1KHz→2KHz→4KHzと変更されていくこととなる。
第1信号生成部210は、クロック発生器(OSC1)と、第1分周器(IC1)とを備えている。クロック発生器(OSC1)は、水晶発振器であり、電源電圧VCCの供給を受けて、所定の周波数(本形態では8.192MHz)の基本クロック信号を発生させるものである。クロック発生器(OSC1)のOUT端子は、第1分周器(IC1)のCLK端子に接続されている。よって、第1分周器(IC1)には、8.192MHzの基本クロック信号が入力されることになる。なお、クロック発生器(OSC1)を第1のクロック発生器ともいう。
第1分周器(IC1)は、CLK端子に入力される基本クロック信号を分周して出力するものである。分周比は、出力端子(QA,QD〜QN)毎に異なっている。出力端子QMからは、基本クロック信号の周波数の1/213の周波数の信号、つまり1KHzの信号が出力される。この1KHz(第1の周波数に相当)の信号が第1分周信号X1である。
また、出力端子QLからは、基本クロック信号の周波数の1/212の周波数の信号、つまり2KHzの信号が出力される。この2KHz(第2の周波数に相当)の信号が第2分周信号X2である。また、出力端子QKからは、基本クロック信号の周波数の1/211の周波数の信号、つまり4KHzの信号が出力される。この4KHz(第3の周波数に相当)の信号が第3分周信号X3である。
なお、第1分周器(IC1)の出力端子QMは、供給クロック生成部230が備える第1の2入力NANDゲート(IC8A)の入力側に接続されている。また、第1分周器(IC1)の出力端子QLは、供給クロック生成部230が備える第2の2入力NANDゲート(IC8B)の入力側に接続されている。また、第1分周器(IC1)の出力端子QKは、供給クロック生成部230が備える第3の2入力NANDゲート(IC8C)の入力側に接続されている。
第1分周器(IC1)による第1分周信号X1、第2分周信号X2、および第3分周信号X3の出力は、第1分周器(IC1)のCLR端子への入力信号のレベルが「L」のときにのみなされる。CLR端子への入力信号のレベルが「H」のときには、全ての出力端子(QA,QD〜QN)から「L」レベルの信号が出力される。第1分周器(IC1)のCLR端子には、演出制御用マイコン91からのMOT_EN信号が第1のインバータ(IC7A)を通って入力される。よって、MOT_EN信号のレベルが「H」であるとき(モータドライバ(IC3)を動作させるとき)には、第1分周器(IC1)のCLR端子への入力信号のレベルは「L」となり、第1分周器(IC1)による分周が行われる。これに対して、MOT_EN信号のレベルが「L」であるとき(モータドライバ(IC3)を動作させないとき)には、第1分周器(IC1)のCLR端子への入力信号のレベルは「H」となり、第1分周器(IC1)による分周が行われない。なお第1分周器(IC1)は、本形態ではテキサスインスツルメンツ製の「SN74HC4020」である。但し、利用可能な分周器はこれに限られるものではない。
第2信号生成部220は、発振器222(第2のクロック発生器ともいう)と、第2分周器(IC2)と、第1のD型フリップフロップ(IC4A)と、第2のD型フリップフロップ(IC4B)と、第1許可信号出力部(F1_EN出力部)224と、2入力NORゲート(IC6A)とを備えている。2入力NORゲート(IC6A)は、クリア信号出力部に相当する。
発振器222は、1024Hzのクロック信号を発生させるものである。発振器222が発生させた1024Hzのクロック信号は、第2分周器(IC2)のCLK端子に入力される。第2分周器(IC2)は、第1分周器(IC1)と同じもの(本形態ではテキサスインスツルメンツ製の「SN74HC4020」)である。第2分周器(IC2)のCLR端子にも、第1分周器(IC1)と同様、演出制御用マイコン91からのMOT_EN信号が第1のインバータ(IC7A)を通って入力される。よって、第1分周器(IC1)による分周が可能となっている期間と、第2分周器(IC2)による分周が可能となっている期間とは一致する。なお、第1分周器(IC1)および第2分周器(IC2)の各Vcc端子は、図6に示すように電源電圧VCCに接続されており、第1分周器(IC1)および第2分周器(IC2)のGND端子は図6に示すようにグランドに接続されている。
第2分周器(IC2)の出力端子QKからは、1024Hzのクロック信号を分周比1/211で分周した信号T1、つまり0.5Hzの信号T1が出力される。1/211の分周比は第1の分周比に相当する。また、第2分周器(IC2)の出力端子QLからは、1024Hzのクロック信号を分周比1/212で分周した信号T2、つまり0.25Hzの信号T2が出力される。1/212の分周比は第2の分周比に相当する。
第2分周器(IC2)の出力端子QKからの0.5Hzの信号T1は、第1のD型フリップフロップ(IC4A)の1CK(クロック)端子に入力される。第1のD型フリップフロップ(IC4A)は、1CK端子に入力されるクロック信号の立ち上がりで、1D入力端子に与えられた信号を1Q出力端子に伝えるものである。第1のD型フリップフロップ(IC4A)の1CLR(クリア)入力端子および1PR(プリセット)入力端子は、1CK端子への入力クロックに非同期の出力状態を決定するものである。これらの端子に対する入力は「L」レベルで有効となる。本形態では1PR入力端子は、電源電圧VCCに接続されている。つまり1PR入力端子に対する入力信号のレベルは「H」に固定されている。よってプリセット入力が有効となることはない。
また本形態では、1D入力端子は電源電圧VCCに接続されている。つまり1D入力端子に対する入力信号のレベルは「H」に固定されている。よって、1CLR入力端子に対する入力信号のレベルが「H」であるとき(つまりクリア入力が有効でないとき)には、1CK端子に入力されるクロック信号の立ち上がりのタイミングで、1Q出力端子から「H」レベルの信号が出力されることとなる。
これに対して、1CLR入力端子に対する入力信号のレベルが「L」であるとき(つまりクリア入力が有効であるとき)には、1CK端子に入力されるクロック信号にかかわらず、1Q出力端子から「L」レベルの信号が出力されることとなる。1Q出力端子からの出力信号が第2許可信号F2_ENである。なお、1CLR入力端子には、2入力NORゲート(IC6A)の出力信号(クリア信号Y)が入力される。2入力NORゲート(IC6A)に対する入力信号は、MOT_EN信号のレベルを第1のインバータ(IC7A)により反転させた信号と、第3許可信号F3_ENである。
第2分周器(IC2)の出力端子QLからの0.25Hzの信号T2は、第2のD型フリップフロップ(IC4B)の2CK端子に入力される。第2のD型フリップフロップ(IC4B)は、第1のD型フリップフロップ(IC4A)と同様に動作するものである。本形態では、第1のD型フリップフロップ(IC4A)および第2のD型フリップフロップ(IC4B)として、東芝製の「TC74HC74AP」を利用している。但し、利用可能なD型フリップフロップはこれに限られるものではない。
第2のD型フリップフロップ(IC4B)における2D入力端子および2PR入力端子は、電源電圧VCCに接続されている。つまり、これらの端子に対する入力信号のレベルは「H」に固定されている。よって第2のD型フリップフロップ(IC4B)は、2CLR入力端子に対する入力信号のレベルが「H」であるとき(つまりクリア入力が有効でないとき)には、2CK端子に入力されるクロック信号の立ち上がりのタイミングで、2Q出力端子から「H」レベルの信号を出力する。一方、2CLR入力端子に対する入力信号のレベルが「L」であるとき(つまりクリア入力が有効であるとき)には、2CK端子に入力されるクロック信号にかかわらず、2Q出力端子から「L」レベルの信号を出力する。2Q出力端子からの出力信号が第3許可信号F3_ENである。なお、2CLR入力端子には、MOT_EN信号が第1のインバータ(IC7A)および第2のインバータ(IC7B)を通って入力される。つまり、MOT_EN信号のレベルを2回反転させたレベルの信号(MOT_EN信号と同じレベルの信号)が入力される。
第1許可信号出力部224は、3入力ORゲート(IC5A)と、第3のインバータ(IC7C)とを備えている。3入力ORゲート(IC5A)の入力信号は、第2許可信号F2_ENと、第3許可信号F3_ENと、MOT_EN信号のレベルを第1のインバータ(IC7A)により反転させた信号である。3入力ORゲート(IC5A)からの出力信号は、第3のインバータ(IC7C)によって反転されて、第1許可信号出力部224の出力信号として出力される。第1許可信号出力部224の出力信号が第1許可信号F1_ENである。なお本形態では第1許可信号(F1_EN)、第2許可信号(F2_EN)、および第3許可信号(F3_EN)の各信号の「H」レベルが「第1レベル」に相当し、「L」レベルが「第2レベル」に相当する。
ここで、MOT_EN信号のレベルが「L」である間は、第2分周器(IC2)による分周動作がなされず、第2分周器(IC2)の出力端子QKからの出力信号T1および出力端子QLからの出力信号T2のレベルは「L」のままである。また、第2のD型フリップフロップ(IC4B)の2CLR入力端子に対する入力信号のレベルは「L」であるため、第2のD型フリップフロップ(IC4B)の2Q出力端子からの出力信号(第3許可信号F3_EN)のレベルは「L」である。また、2入力NORゲート(IC6A)には、「L」レベルのMOT_EN信号を第1のインバータ(IC7A)により反転させた「H」レベルの信号と、「L」レベルの第3許可信号F3_ENとが入力される。よって、2入力NORゲート(IC6A)からは、「L」レベルのクリア信号Yが出力される。そのため、第1のD型フリップフロップ(IC4A)の1CLR入力端子に対する入力信号のレベルは「L」となる。よって、第1のD型フリップフロップ(IC4A)の1Q出力端子からの出力信号(第2許可信号F2_EN)のレベルは「L」となる。
したがって、MOT_EN信号のレベルが「L」である間の3入力ORゲート(IC5A)に対する入力信号のレベルは、「L」(第2許可信号F2_EN)、「L」(第3許可信号F3_EN)、「H」(MOT_EN信号の反転信号)となる。よって、3入力ORゲート(IC5A)からの出力信号のレベルは「H」となる。この「H」レベルの信号は、第3のインバータ(IC7C)により「L」レベルの信号に反転されて、第1許可信号出力部224から出力される。よって、第1許可信号出力部224からの出力信号(つまり第1許可信号F1_EN)のレベルは「L」となる。
図7に、MOT_EN,T1,T2,F1_EN,F2_EN,F3_ENの6つの信号のタイミングチャートを示す。図7に示す通り、MOT_EN信号のレベルが「L」である間(図中のタイミングt0よりも前の期間およびタイミングt3よりも後の期間)は、各信号のレベルは「L」となる。
MOT_EN信号のレベルが「L」から「H」に切り替えられると、第2分周器(IC2)のCLR端子の入力レベルが「L」となり、第2分周器(IC2)による分周動作が開始される。つまり、第2分周器(IC2)の出力端子QKからは0.5Hzの信号T1が出力されるようになり、出力端子QLからは0.25Hzの信号T2が出力されるようになる。信号T1の周波数は0.5Hzであるため、MOT_EN信号の「L」から「H」へのレベル変化から、信号T1が最初に立ち上がるまでの時間は、1秒(1s)となる(図7(a)および(b)参照)。また、信号T2の周波数は0.25Hzであるため、MOT_EN信号の「L」から「H」へのレベル変化から、信号T2が最初に立ち上がるまでの時間は、2秒となる(図7(a)および(c)参照)。
また、MOT_EN信号のレベルが「L」から「H」に切り替えられると、2入力NORゲート(IC6A)に対する入力信号(MOT_EN信号の反転信号と第3許可信号F3_EN)のレベルが共に「L」となる。よって、第1のD型フリップフロップ(IC4A)の1CLR入力端子に対する入力信号(クリア信号Y)のレベルは「H」となり、第1のD型フリップフロップ(IC4A)による入力クロックに同期した出力動作が可能となる。また、第2のD型フリップフロップ(IC4B)の2CLR入力端子に対する入力信号(MOT_EN信号を2回反転させた信号)のレベルも「H」となる。よって、第2のD型フリップフロップ(IC4B)による入力クロックに同期した出力動作も可能となる。
また、MOT_EN信号のレベルが「L」から「H」に切り替えられると、3入力ORゲート(IC5A)に対する入力信号のレベルは、「L」(第2許可信号F2_EN)、「L」(第3許可信号F3_EN)、「L」(MOT_EN信号の反転信号)となる。よって、3入力ORゲート(IC5A)からの出力信号のレベルは「L」となり、この信号を反転させた第1許可信号F1_ENのレベルは「H」となる(図7(d)参照)。第1許可信号F1_ENのレベルが「H」となっているのは、信号T1が「H」レベルとなるまでである(図7(b)及び(d)参照)。
なぜなら、信号T1が「H」レベルとなると、第1のD型フリップフロップ(IC4A)の1Q出力端子からの信号(第2許可信号F2_EN)のレベルが「H」に変わる(図7(e)参照)。そのため、3入力ORゲート(IC5A)の出力信号のレベルが「H」となり、これを反転させた第1許可信号F1_ENのレベルが「L」となるからである(図7のタイミングt1)。このように、第1許可信号F1_ENが「H」レベルとなるのは、MOT_EN信号の「L」から「H」へのレベル変化から1秒間だけである。この期間(図7のタイミングt0からt1まで)が第1期間である。
また、第2許可信号F2_ENのレベルが「H」となっているのは、信号T2が「H」レベルとなるまでである(図7(c)及び(e)参照)。なぜなら、信号T2が「H」レベルとなると、第2のD型フリップフロップ(IC4B)の2Q出力端子からの信号(第3許可信号F3_EN)のレベルが「H」に変わる(図7(f)参照)。そのため、2入力NORゲート(IC6A)に対する入力信号のレベルは、「L」(MOT_EN信号の反転信号)と、「H」(第3許可信号F3_EN)となる。よって、2入力NORゲート(IC6A)の出力信号(クリア信号Y)のレベルが「L」、つまり第1のD型フリップフロップ(IC4A)のクリア入力のレベルが「L」となり、1Q出力端子から出力される第2許可信号F2_ENのレベルが「L」となるからである(図7のタイミングt2)。このように、第2許可信号F2_ENが「H」レベルとなるのは、第1期間の経過時点から1秒間だけである。この期間(図7のタイミングt1からt2まで)が第2期間である。
なお、第3許可信号F3_ENが「H」レベルになると、第1許可信号出力部224の3入力ORゲート(IC5A)に対する入力信号のレベルは、「L」(第2許可信号F2_EN)、「H」(第3許可信号F3_EN)、「L」(MOT_EN信号の反転信号)となるが、3入力ORゲート(IC5A)の出力信号のレベルは「H」のまま変わらない。よって、第1許可信号F1_ENのレベルは「L」のままである。
第3許可信号F3_ENのレベルが「H」となっているのは、MOT_EN信号が「L」レベルとなるまでである(図7(a)及び(f)参照)。つまり、第3許可信号F3_ENは、一度「H」レベルになると、MOT_EN信号が「L」レベルとなるまで(つまりモータドライバ(IC3)によるステッピングモーター456の駆動が停止されるまで)、「H」レベルを維持する。なぜなら第2のD型フリップフロップ(IC4B)は、MOT_EN信号が「H」レベルである間は、信号T2の立ち上がりの度に2Q出力端子から「H」レベルの第3許可信号F3_ENを出力し続けるからである。よって、第3許可信号F3_ENのレベルが「H」から「L」に変わるのは、MOT_EN信号のレベルが「H」から「L」に変わったときとなる。すなわち、MOT_EN信号のレベルが「H」から「L」に変わると、第2のD型フリップフロップ(IC4B)の2CLR入力端子の入力レベルが「L」に下がり、2Q出力端子からの出力信号(第3許可信号F3_EN)のレベルが「L」になる(図7のタイミングt3)。このように、第3許可信号F3_ENが「H」レベルとなるのは、第2期間の経過時点から、MOT_EN信号の「H」から「L」への切り替わりまでである。この期間(図7のタイミングt2からt3まで)が第3期間である。
次に供給クロック生成部230について説明する。図6に示すように供給クロック生成部230は、第1の2入力NANDゲート(IC8A)と、第2の2入力NANDゲート(IC8B)と、第3の2入力NANDゲート(IC8C)と、3入力NANDゲート(IC9A)とを備えている。第1の2入力NANDゲート(IC8A)には、1KHzの第1分周信号X1と、第1許可信号F1_ENとが入力される。第1の2入力NANDゲート(IC8A)からの出力信号は、第1許可信号F1_ENが「H」レベルのとき(つまり図7に示す第1期間)だけ、第1分周信号X1と同じ周波数の信号(1KHzの信号)となる。なお、第1許可信号F1_ENが「L」レベルのとき(つまり第1期間でないとき)には、常に「H」となる。
第2の2入力NANDゲート(IC8B)には、2KHzの第2分周信号X2と、第2許可信号F2_ENとが入力される。第2の2入力NANDゲート(IC8B)からの出力信号は、第2許可信号F2_ENが「H」レベルのとき(つまり図7に示す第2期間)だけ、第2分周信号X2と同じ周波数の信号(2KHzの信号)となる。なお、第2許可信号F2_ENが「L」レベルのとき(つまり第2期間でないとき)には、常に「H」となる。
第3の2入力NANDゲート(IC8C)には、4KHzの第3分周信号X3と、第3許可信号F3_ENとが入力される。第3の2入力NANDゲート(IC8C)からの出力信号は、第3許可信号F3_ENが「H」レベルのとき(つまり図7に示す第3期間)だけ、第3分周信号X3と同じ周波数の信号(4KHzの信号)となる。なお、第3許可信号F3_ENが「L」レベルのとき(つまり第3期間でないとき)には、常に「H」となる。
3入力NANDゲート(IC9A)は、3つの2入力NANDゲート(IC8A,IC8B,IC8C)からの各出力信号を入力信号として、モータドライバ(IC3)のクロック信号端子(CK)に対する入力信号(入力クロック信号CLK_IN)を出力する。したがって、3入力NANDゲート(IC9A)の出力端子からは、図7に示す第1期間には1KHzの信号が出力され、第2期間には2KHzの信号が出力され、第3期間には4KHzの信号が出力されることとなる。かくして、入力クロック信号CLK_INの周波数は、第1期間においては1KHzとなり、第2期間においては2KHzとなり、第3期間においては4KHzとなる。
このように本形態では、モータドライバ(IC3)を動作させるためにMOT_EN信号のレベルを「L」から「H」に切り替えるだけで、モータードライバ(IC3)への入力クロック信号CLK_INの周波数を1KHz→2KHz→4KHzと徐々に高くすることが可能となっている。したがって、モータドライバ(IC3)は、第1期間においては1000pps(Pulse Per Second)の速度でステッピングモーター456を回転駆動させ、第2期間においては2000ppsの速度でステッピングモーター456を回転駆動させ、第3期間においては4000ppsの速度でステッピングモーター456を回転駆動させることとなる。つまり本形態では、演出制御用マイコン91がステッピングモーター456の速度を変更するための制御信号をあえて出力しなくても、「H」レベルのMOT_EN信号の入力からの時間経過に伴って、ステッピングモーター456の回転速度を段階的に速めていくことが可能となっている。
3.大当たり等の説明
本形態のパチンコ遊技機1では、大当たり抽選(特別図柄抽選)の結果として、「大当たり」と「はずれ」がある。「大当たり」のときには、特別図柄表示器41に「大当たり図柄」が停止表示される。「はずれ」のときには、特別図柄表示器41に「ハズレ図柄」が停止表示される。大当たりに当選すると、停止表示された特別図柄の種類(大当たりの種類)に応じた開放パターンにて、大入賞口30を開放させる「大当たり遊技」が実行される。大当たり遊技を特別遊技ともいう。
大当たり遊技は、本形態では、複数回のラウンド遊技(単位開放遊技)と、初回のラウンド遊技が開始される前のオープニング(OPとも表記する)と、最終回のラウンド遊技が終了した後のエンディング(EDとも表記する)とを含んでいる。各ラウンド遊技は、OPの終了又は前のラウンド遊技の終了によって開始し、次のラウンド遊技の開始又はEDの開始によって終了する。ラウンド遊技間の大入賞口の閉鎖の時間(インターバル時間)は、その閉鎖前の開放のラウンド遊技に含まれる。
大当たりには複数の種別がある。大当たりの種別は図8に示す通りである。図8に示すように、本形態では大きく分けて2つの種別がある。確変大当たりと通常大当たりである。確変大当たりは、大当たり遊技後の遊技状態を後述する高確率状態に制御する大当たりである。通常大当たりは、大当たり遊技後の遊技状態を後述する通常確率状態(低確率状態)に制御する大当たりである。
より具体的には、特図1の抽選(第1特別図柄の抽選)にて当選可能な確変大当たり及び通常大当たりは、1Rから8Rまでは大入賞口30を1R当たり最大29.5秒にわたって開放し、9Rから16Rまでは大入賞口30を1R当たり最大0.1秒にわたって開放する大当たりである。つまり、これらの大当たりの総ラウンド数は16Rであるものの、実質的なラウンド数は8Rである。実質的なラウンド数とは、1ラウンド当たりの入賞上限個数(本形態では8個)まで遊技球が入賞可能なラウンド数のことである。これらの大当たりでは9Rから16Rまでは、大入賞口30の開放時間が極めて短く、賞球の見込めないラウンドとなっている。なお、特図1の抽選によって「確変大当たり」に当選した場合には、第1特別図柄表示器41aに「特図1_確変図柄」が停止表示され、「通常大当たり」に当選した場合には、第1特別図柄表示器41aに「特図1_通常図柄」が停止表示される。
また、特図2の抽選(第2特別図柄の抽選)にて当選可能な確変大当たり及び通常大当たりは、1Rから16Rまで大入賞口30を1R当たり最大29.5秒にわたって開放する大当たりである。つまり、これらの大当たりは実質的なラウンド数も16Rである。特図2の抽選によって「確変大当たり」に当選した場合には、第2特別図柄表示器41bに「特図2_確変図柄」が停止表示され、「通常大当たり」に当選した場合には、第2特別図柄表示器41bに「特図2_通常図柄」が停止表示される。
いずれの大当たりに当選した場合であっても、大当たり遊技後には後述する電サポ制御状態(高ベース状態)に制御される。電サポ制御状態は、高確率状態にともなって制御される場合には次回の大当たり当選まで継続する。一方、通常確率状態(低確率状態)にともなって制御される場合には、電サポ回数(時短回数)が100回に設定される。電サポ回数とは、電サポ制御状態における特別図柄の変動表示の上限実行回数のことである。
なお図8に示すように、特図1の抽選および特図2の抽選における大当たりの振分率は、共に確変大当たりが65%、通常大当たりが35%となっている。但し、特図1の抽選に基づいて大当たりに当選した場合には実質的なラウンド数が8ラウンドの大当たり遊技が実行される一方、特図2の抽選に基づいて大当たりに当選した場合には実質的なラウンド数が16ラウンドの大当たり遊技が実行される点で、特図1の抽選よりも特図2の抽選の方が、遊技者にとって有利となるように設定されている。
ここで本パチンコ遊技機1では、大当たりか否かの抽選は「大当たり乱数」に基づいて行われ、当選した大当たりの種別の抽選は「当たり種別乱数(図柄判定乱数)」に基づいて行われる。図9(A)に示すように、大当たり乱数は0〜65535までの範囲で値をとる。当たり種別乱数は、0〜99までの範囲で値をとる。なお、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて取得される乱数には、大当たり乱数および当たり種別乱数の他に、「リーチ乱数」および「変動パターン乱数」がある。
リーチ乱数は、大当たり判定の結果がはずれである場合に、その結果を示す装飾図柄変動演出においてリーチを発生させるか否かを決める乱数である。リーチとは、複数の装飾図柄のうち変動表示されている装飾図柄が残り一つとなっている状態であって、変動表示されている装飾図柄がどの図柄で停止表示されるか次第で大当たり当選を示す装飾図柄の組み合わせとなる状態(例えば「7↓7」の状態)のことである。なお、リーチ状態において停止表示されている装飾図柄は、表示画面7a内で多少揺れているように表示されていたり、拡大と縮小を繰り返すように表示されていたりしてもよい。このリーチ乱数は、0〜255までの範囲で値をとる。
また、変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数である。変動パターン乱数は、0〜99までの範囲で値をとる。また、ゲート28への通過に基づいて取得される乱数には、図9(B)に示す普通図柄乱数(当たり乱数)がある。普通図柄乱数は、電チュー22を開放させる補助遊技を行うか否かの抽選(普通図柄抽選)のための乱数である。普通図柄乱数は、0〜65535までの範囲で値をとる。
4.遊技状態の説明
次に、本形態のパチンコ遊技機1の遊技状態に関して説明する。パチンコ遊技機1の特別図柄表示器41および普通図柄表示器42には、それぞれ、確率変動機能と変動時間短縮機能がある。特別図柄表示器41の確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい、作動していない状態を「通常確率状態(非高確率状態)」という。高確率状態では、大当たり確率が通常確率状態よりも高くなっている。すなわち、大当たりと判定される大当たり乱数の値が通常確率状態で用いる大当たり判定テーブルよりも多い大当たり判定テーブルを用いて、大当たり判定を行う(図10(A)参照)。つまり、特別図柄表示器41の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄表示器41による特別図柄の可変表示の表示結果(すなわち停止図柄)が大当たり図柄となる確率が高くなる。
また、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示開始時から表示結果の導出表示時までの時間)が、非時短状態よりも短くなっている。すなわち、変動時間の短い変動パターンが選択されることが非時短状態よりも多くなるように定められた変動パターンテーブルを用いて、変動パターンの判定を行う(図11参照)。つまり、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄の可変表示の変動時間として短い変動時間が選択されやすくなる。その結果、時短状態では、特図保留の消化のペースが速くなり、始動口への有効な入賞(特図保留として記憶され得る入賞)が発生しやすくなる。そのため、スムーズな遊技の進行のもとで大当たりを狙うことができる。
特別図柄表示器41の確率変動機能と変動時間短縮機能とは同時に作動することもあるし、片方のみが作動することもある。そして、普通図柄表示器42の確率変動機能および変動時間短縮機能は、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち、普通図柄表示器42の確率変動機能および変動時間短縮機能は、時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。よって、時短状態では、普通図柄抽選における当選確率が非時短状態よりも高くなっている。すなわち、当たりと判定される普通図柄乱数(当たり乱数)の値が非時短状態で用いる普通図柄当たり判定テーブルよりも多い普通図柄当たり判定テーブルを用いて、当たり判定(普通図柄の判定)を行う(図10(C)参照)。つまり、普通図柄表示器42の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、普通図柄表示器42による普通図柄の可変表示の表示結果が、普通当たり図柄となる確率が高くなる。
また時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。本形態では、普通図柄の変動時間は非時短状態では7秒であるが、時短状態では1秒である(図10(D)参照)。さらに時短状態では、補助遊技における電チュー22の開放時間が、非時短状態よりも長くなっている(図12参照)。すなわち、電チュー22の開放時間延長機能が作動している。加えて時短状態では、補助遊技における電チュー22の開放回数が非時短状態よりも多くなっている(図12参照)。すなわち、電チュー22の開放回数増加機能が作動している。
普通図柄表示器42の確率変動機能と変動時間短縮機能、および電チュー22の開放時間延長機能と開放回数増加機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、電チュー22が頻繁に開放され、第2始動口21へ遊技球が頻繁に入賞することとなる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい、作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお、高ベース状態とは、いわゆる電サポ制御(電チュー22により第2始動口21への入賞をサポートする制御)が実行されている状態である。よって、高ベース状態を電サポ制御状態や入球容易状態ともいう。これに対して、低ベース状態を非電サポ制御状態や非入球容易状態ともいう。
高ベース状態は、上記の全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち、普通図柄表示器42の確率変動機能、普通図柄表示器42の変動時間短縮機能、電チュー22の開放時間延長機能、および電チュー22の開放回数増加機能のうち一つ以上の機能の作動によって、その機能が作動していないときよりも電チュー22が開放され易くなっていればよい。また、高ベース状態は、時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。
本形態のパチンコ遊技機1では、確変大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、高確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「高確高ベース状態」という。高確高ベース状態は、所定回数(本形態では10000回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。つまり本形態では、高確高ベース状態は実質的に次回の大当たり当選まで継続する。なお、高確高ベース状態の終了条件を、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることだけとしてもよい。
また、通常大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は、通常確率状態(非高確率状態すなわち低確率の状態)かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確高ベース状態」という。低確高ベース状態は、所定回数(本形態では100回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
なお、パチンコ遊技機1を初めて遊技する場合において電源投入後の遊技状態は、通常確率状態かつ非時短状態かつ低ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確低ベース状態」という。低確低ベース状態を「通常遊技状態」と称することとする。また、特別遊技(大当たり遊技)の実行中の状態を「特別遊技状態(大当たり遊技状態)」と称することとする。さらに、高確率状態および高ベース状態のうち少なくとも一方の状態に制御されている状態を、「特典遊技状態」と称することとする。
高確高ベース状態や低確高ベース状態といった高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域3B(図1参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御により低ベース状態と比べて電チュー22が開放されやすくなっており、第1始動口20への入賞よりも第2始動口21への入賞の方が容易となっているからである。そのため、普通図柄抽選の契機となるゲート28へ遊技球を通過させつつ、第2始動口21へ遊技球を入賞させるべく右打ちを行う。これにより左打ちをするよりも、多数の始動入賞(始動口への入賞)を得ることができる。なお本パチンコ遊技機1では、大当たり遊技中も右打ちにて遊技を行う。
これに対して、低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域3A(図1参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御が実行されていないため、高ベース状態と比べて電チュー22が開放されにくくなっており、第2始動口21への入賞よりも第1始動口20への入賞の方が容易となっているからである。そのため、第1始動口20へ遊技球を入賞させるべく左打ちを行う。これにより右打ちするよりも、多数の始動入賞を得ることができる。
5.パチンコ遊技機1の動作
次に、図13に基づいて遊技制御用マイコン81の動作について説明し、図14〜図16に基づいて演出制御用マイコン91の動作について説明する。まず、遊技制御用マイコン81の動作について説明する。
[メイン側タイマ割り込み処理]遊技制御用マイコン81は、図13に示すメイン側タイマ割り込み処理を例えば4msecといった短時間毎に繰り返す。まず、遊技制御用マイコン81は、大当たり抽選に用いる大当たり乱数、大当たりの種別を決めるための当たり種別乱数、装飾図柄変動演出においてリーチ状態とするか否か決めるためのリーチ乱数、変動パターンを決めるための変動パターン乱数、普通図柄抽選に用いる普通図柄乱数(当たり乱数)等を更新する乱数更新処理を行う(S101)。なお各乱数の少なくとも一部は、カウンタIC等からなる公知の乱数生成回路を利用して生成される所謂ハードウェア乱数であってもよい。全ての乱数をハードウェア乱数とする場合、ソフトウェアによる乱数の更新処理は必要ない。また乱数発生回路は、遊技制御用マイコン81に内蔵されていてもよい。
次に、遊技制御用マイコン81は、入力処理を行う(S102)。入力処理(S102)では、主にパチンコ遊技機1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、大入賞口センサ30a、普通入賞口センサ27a等(図4参照))が検知した検出信号を読み込み、入賞口の種類に応じた賞球を払い出すための払い出しデータをRAM84の所定の記憶領域にセットする。
続いて、遊技制御用マイコン81は、始動口センサ検出処理(S103)、特別動作処理(S104)、および普通動作処理(S105)を実行する。始動口センサ検出処理(S103)では、第1始動口センサ20a又は第2始動口センサ21aによる入賞検知があれば、入賞検知のあった始動口に対応する保留記憶が4個未満であることを条件に大当たり乱数等の乱数(大当たり乱数、当たり種別乱数、リーチ乱数、及び変動パターン乱数(図9(A)参照))を取得する。また、ゲートセンサ28aによる通過検知があれば、すでに記憶されている当たり乱数が4個未満であることを条件に普通図柄乱数(図9(B)参照)を取得する。
特別動作処理(S104)では、始動口センサ検出処理にて取得した大当たり乱数等の乱数を所定の判定テーブル(図8,図10(A)(B),図11参照)を用いて判定する。そして、大当たり抽選の結果を示すための特別図柄の表示(変動表示と停止表示)を行う。この特別図柄の表示に際しては、特別図柄の変動表示の変動パターンの情報を含む変動開始コマンドをRAM84の所定の記憶領域にセットする。そして、大当たり乱数の判定の結果、大当たりに当選していた場合には、大当たりの種別に応じた所定の開放パターン(開放時間や開放回数、図8参照)に従って大入賞口30を開放させる大当たり遊技(特別遊技)を行う。この大当たり遊技の実行に際しては、当選した大当たり図柄の種別の情報を含むオープニングコマンドをRAM84の所定の記憶領域にセットする。なお特別動作処理(S104)において、大当たり乱数等の乱数の記憶がない場合には、演出制御用マイコン91に客待ち演出を実行させるための客待ち待機コマンドをセットする。
普通動作処理(S105)では、始動口センサ検出処理にて取得した普通図柄乱数を所定の判定テーブル(図10(C)参照)を用いて判定する。そして、その判定結果を報知するための普通図柄の表示(変動表示と停止表示)を行う。普通図柄乱数の判定の結果、普通当たり図柄に当選していた場合には、遊技状態に応じた所定の開放パターン(開放時間や開放回数、図12参照)に従って電チュー22を開放させる補助遊技を行う。
次に、遊技制御用マイコン81は、上述の各処理においてセットしたコマンド等をサブ制御基板90等に出力する出力処理(S106)を行う。
以上の遊技制御用マイコン81における処理と並行して、演出制御用マイコン91は図14〜図16に示す処理を行う。以下、演出制御用マイコン91の動作について説明する。
[サブ側タイマ割り込み処理]演出制御用マイコン91は、図14に示すようなサブ側タイマ割り込み処理を所定の短時間毎に繰り返す。サブ側タイマ割り込み処理ではまず、受信コマンド解析処理(S1001)を行う。
[受信コマンド解析処理]図15に示すように、受信コマンド解析処理(S1001)では演出制御用マイコン91はまず、遊技制御用マイコン81から変動開始コマンドを受信しているか否かを判定する(S1101)。受信していなければ、ステップS1104に進むが、受信していれば、変動演出パターン選択処理(S1102)を行う。
変動演出パターン選択処理(S1102)では、変動演出パターン決定用乱数を取得するとともに、変動開始コマンドの解析結果等に基づいて一つのテーブルを選択し、その選択したテーブルを用いて、取得した変動演出パターン決定用乱数を判定することにより、変動演出パターンを選択する。なお、選択した変動演出パターンを示すデータはRAM94の所定の記憶領域に格納される。この変動演出パターンの選択により、盤ランプ5(左側盤ランプ5Lや右側盤ランプ5R)を発光させる盤ランプ発光演出の実行の有無やそのタイミング、装飾可動体440を動作させる可動体駆動演出の実行の有無やそのタイミングといった詳細までを含めて演出の内容が決定される。
次に演出制御用マイコン91は、ステップS1102で選択した変動演出パターンで変動演出を開始させるための変動演出開始コマンドを、RAM94の所定の記憶領域にセットする(S1103)。そしてステップS1104に進む。
ステップS1104では演出制御用マイコン91は、遊技制御用マイコン81からオープニングコマンドを受信しているか否かを判定する。受信していなければ、ステップS1107に進むが、受信していれば、大当たり演出パターン選択処理(S1105)を行う。
大当たり演出パターン選択処理(S1105)では、オープニングコマンドの解析結果に基づいて、大当たり遊技中に実行する大当たり演出の演出パターン(大当たり演出パターン)を選択する。なお、ここで選択した大当たり演出パターンを示すデータはRAM94の所定の記憶領域に格納される。この大当たり演出パターンの選択により、大当たり遊技中における盤ランプ発光演出の実行の有無やそのタイミング、可動体駆動演出の実行の有無やそのタイミングといった詳細までを含めて演出の内容が決定される。
次に演出制御用マイコン91は、ステップS1105で選択した大当たり演出パターンで大当たり演出を開始させるための大当たり演出開始コマンドを、RAM94の所定の記憶領域にセットする(S1106)。その後、その他の処理として他の受信コマンドに基づく処理を行って(S1107)、受信コマンド解析処理を終える。
図14に戻り、演出制御用マイコン91は、受信コマンド解析処理(S1001)に続いてコマンド送信処理(S1002)を行う。コマンド送信処理(S1002)では、受信コマンド解析処理でセットした各種コマンドを画像制御基板100に送信する。コマンド送信処理が実行されると、コマンドを受信した画像制御基板100は、画像表示装置7を用いて各種の演出(変動演出や大当たり演出、客待ち演出など)を実行する。例えば、ステップS1103でセットされた変動演出開始コマンドを受信した画像制御基板100は、変動演出開始コマンドに指定された内容の変動演出を実行する。
続いて演出制御用マイコン91は、音声処理(S1003)を行う。音声処理(S1003)では、受信コマンド解析処理で選択した演出パターンの演出に合うタイミングでスピーカ67から音声等を出力させるべく、音データ(スピーカ67からの音声等の出力を制御するデータ)を作成したり、音声制御基板106に出力したりする。
続いて演出制御用マイコン91は、ランプ処理(S1004)を行う。ランプ処理(S1004)では、受信コマンド解析処理で選択した演出パターンの演出に合うタイミングで盤ランプ5や枠ランプ66を発光させるべく、ランプ駆動データ(盤ランプ5や枠ランプ66の発光を制御するデータ)を作成したり、サブ駆動基板107に出力したりする。
続いて演出制御用マイコン91は、可動体処理(S1005)を行う。可動体処理(S1005)では、受信コマンド解析処理で選択した演出パターンの演出に合うタイミングで装飾可動体440を駆動させるべく、MOT_EN信号の出力制御を行う。詳細には図16に示す処理を行う。
[可動体処理]図16に示すように可動体処理(S1005)では、演出制御用マイコン91はまず、受信コマンド解析処理で選択した演出パターンを示すデータ(変動演出パターンや大当たり演出パターンを示すデータ)を参照し(S1201)、可動体駆動演出を伴う演出パターンが選択されているか否かを判定する(S1202)。この判定結果がNOであれば直ちに本処理を終えるが、YESであれば続いて、装飾可動体440の駆動開始タイミング(装飾可動体駆動演出の実行タイミング)であるか否かを判定する(S1203)。
そして装飾可動体440の駆動開始タイミングでなければ直ちにステップS1205に進むが、装飾可動体440の駆動開始タイミングであれば、パラレルポート99に含まれているMOT_EN信号の出力ポートを「H」レベルに設定して(S1204)、ステップS1205に進む。ステップS1204が実行されることで、周波数変更回路200(図6参照)に対して「H」レベルのMOT_EN信号が出力される。よって、この処理から1秒間(図7に示す第1期間)は1000ppsの回転速度でステッピングモーター456が正方向に回転駆動され、その後の1秒間(図7に示す第2期間)は2000ppsの回転速度でステッピングモーター456が正方向に回転駆動され、さらにその後の期間(図7に示す第3期間)は4000ppsの回転速度でステッピングモーター456が正方向に回転駆動されることとなる。これにより、装飾可動体440は、待機位置(図2(A))から演出位置(図2(B))にスムーズに移動を開始することとなる。
ステップS1205では、装飾可動体440の駆動停止タイミングであるか否かを判定する(S1205)。装飾可動体440の駆動停止タイミングでないと判定した場合には(ステップS1205でNO)、直ちにステップS1207に進むが、装飾可動体440の駆動停止タイミングであると判定した場合には(ステップS1205でYES)、パラレルポート99に含まれているMOT_EN信号の出力ポートを「L」レベルに設定する(S1206)。ステップS1206が実行されることで、周波数変更回路200に対して「L」レベルのMOT_EN信号が出力される。よって、ステッピングモーター456の回転駆動が停止されることとなる。なお、駆動停止タイミングは、駆動開始タイミングを基準として、装飾可動体440が待機位置から演出位置に移動するのに必要なステップ数に対応する時間(2秒より長い所定の移動時間)が経過したタイミングとする。したがって、ステップS1206の処理が実行されると、装飾可動体440は演出位置に留まることとなる。
ステップS1207では、演出位置にある装飾可動体440を待機位置に復帰させるなどのその他の処理を行う。なお、装飾可動体440の復帰開始タイミングは、装飾可動体440が演出位置に到達した後所定時間が経過したタイミングとする。上述したように本形態ではステッピングモーター456を正方向に回転駆動させることにより、演出位置から待機位置への復帰もなされる。よって装飾可動体440を復帰させる場合にも、周波数変更回路200に対して「H」レベルのMOT_EN信号を出力し、所定の移動時間の経過後の復帰停止タイミングになったらMOT_EN信号のレベルを「L」に戻せばよい。このような可動体処理(S1005)の実行により、本パチンコ遊技機1では可動体駆動演出が実行される。
6.本形態の効果等
以上詳細に説明したように本形態のパチンコ遊技機1では、演出制御用マイコン91が駆動指示信号(「H」レベルのMOT_EN信号)をサブ駆動基板107に出力するだけで、第1期間(図7に示すタイミングt0〜t1の期間)の経過時に、周波数変更回路200によってモータドライバ(IC3)のクロック信号端子(CK)に入力される信号(入力クロック信号CLK_IN)の周波数が、1KHzから2KHzに変わる。従って、「H」レベルのMOT_EN信号の入力開始から第1期間の経過時に、ステッピングモーター456の回転速度が1000ppsから2000ppsに変更される。よって、演出制御用マイコン91があえて回転速度に関する制御信号を生成し出力することなく、つまり、装飾可動体440の動作を制御するための可動体駆動データを作成したり、それをサブ駆動基板107に適宜出力したりすることなく、MOT_EN信号の「H」/「L」(ON/OFF)を切り替えるだけで、ステッピングモーター456の回転速度を変更することが可能となっている。すなわち、演出制御用マイコン91の処理負担を増やすことなく、ステッピングモーター456の回転速度を切り替えることが可能となっている。
さらに本形態のパチンコ遊技機1によれば、第2期間(図7に示すタイミングt1〜t2の期間)の経過時に、周波数変更回路200によってモータドライバ(IC3)に対する入力クロック信号CLK_INの周波数が2KHzから4KHzに変更される。よって、演出制御用マイコン91が「H」レベルのMOT_EN信号をサブ駆動基板107に出力するだけで、ステッピングモーター456の回転速度を、第1期間中は1000ppsとし、第2期間中は2000ppsとし、第3期間(図7に示すタイミングt2〜t3の期間)中は4000ppsとすることが可能となっている。よって、ステッピングモーター456の回転速度をいきなり4000ppsとしたり、1000ppsの次に4000ppsとしたりする場合に比べて、ステッピングモーター456の脱調等の動作不良が生じ難く、また、装飾可動体440を滑らかに動作させることが可能となっている。
また本形態のパチンコ遊技機1では、周波数変更回路200は、1KHz、2KHz、4KHzの各分周信号(X1,X2,X3)を出力する第1信号生成部210と、図7(d)〜(f)に示す各許可信号(F1_EN,F2_EN,F3_EN)を出力する第2信号生成部220と、これらの信号を入力信号としてモータドライバ(IC3)への入力クロック信号CLK_INを出力する供給クロック生成部230とを備えている(図6参照)。よって、第1期間、第2期間、及び第3期間の各期間ごとに異なる周波数の入力クロック信号CLK_INをモータドライバ(IC3)に対して好適に入力することが可能となっている。
また本形態のパチンコ遊技機1では、第2信号生成部220は、発振器222によるクロック信号を分周器(IC2)で適宜分周し、その分周した信号T1,T2をD型フリップフロップ(IC4A,IC4B)の入力信号としている。そして、D型フリップフロップ(IC4A,IC4B)からの出力信号を適宜利用することで、第1期間、第2期間、第3期間を規定する各許可信号(F1_EN,F2_EN,F3_EN)を生成している。よって、第1許可信号、第2許可信号、第3許可信号を好適に生成することが可能となっている。
7.変更例
次に、変更例について説明する。なお、変更例の説明において、上記形態のパチンコ遊技機1と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。勿論、変更例に係る構成同士を適宜組み合わせて構成してもよい。
上記形態では、MOT_EN信号のレベルを「L」から「H」にすると、そのときから1秒間(第1期間)は1000ppsで、その後の1秒間(第2期間)は2000ppsで、さらにその後(第3期間)は4000ppsでステッピングモーター456が回転駆動される構成とした。しかしながら、第1期間、第2期間、および第3期間の長さや、ステッピングモーター456の回転速度は、適宜変更可能である。第1期間、第2期間、第3期間の長さを変更する場合には、第2分周器(IC2)における出力端子(QA,QD〜QN)のうちQK以外の出力端子からの信号を第1のD型フリップフロップ(IC4A)に対する入力信号としたり、QL以外の出力端子からの信号を第2のD型フリップフロップ(IC4B)に対する入力信号としたりすればよい。また、第2分周器(IC2)に対する入力クロックの周波数を1024Hz以外の周波数にしてもよい。また、第2分周器(IC2)による分周信号をさらに別の分周器によって分周して、D型フリップフロップ(IC4A,IC4B)に入力してもよい。
また、ステッピングモーター456の回転速度を変更する場合には、第1分周器(IC1)における出力端子(QA,QD〜QN)のうちQM以外の出力端子からの信号を第1の2入力NAND(IC8A)に対する入力信号としたり、QL以外の出力端子からの信号を第2の2入力NAND(IC8B)に対する入力信号としたり、QK以外の出力端子からの信号を第3の2入力NAND(IC8C)に対する入力信号としたりすればよい。また、第1分周器(IC1)に対する入力クロックの周波数を8.192MHz以外の周波数にしてもよい。また、第1分周器(IC1)による分周信号をさらに別の分周器によって分周して、2入力NAND(IC8A,IC8B,IC8C)に入力してもよい。これらの変更を行うことによって、例えば、第1期間は250ppsで、第2期間は500ppsで、第3期間は1000ppsでステッピングモーター456が回転駆動される構成とすることが可能である。
さらに上記形態では、ステッピングモーター456を加速させる構成としたが、減速させる構成としてもよい。具体的には例えば、4KHzの第3分周信号X3を第1の2入力NAND(IC8A)に対する入力信号とし、2KHzの第2分周信号X2を第2の2入力NAND(IC8B)に対する入力信号とし、1KHzの第1分周信号X1を第3の2入力NAND(IC8C)に対する入力信号とすればよい。
また上記形態では、1000pps、2000pps、4000ppsと3段階でステッピングモーター456の回転速度が変更されるように構成したが、例えば2段階など、3段階以外の速度変化が可能な構成としてもよい。この場合には、第3分周信号X3や第3許可信号F3_ENを生成する必要はなく、第2許可信号F2_ENのレベルが一旦「L」から「H」になると、MOT_EN信号のレベルが「H」から「L」に下がるまで、第2許可信号F2_ENのレベルが「H」に維持されるように周波数変更回路を構成すればよい。
また上記形態では、図6に示した各素子を用いて周波数変更回路200を構成したが、周波数変更回路は「H」レベルのMOT_EN信号の入力に応じてモータドライバ(IC3)に対する入力クロック信号CLK_INの周波数を変更可能なものであればよく、周波数変更回路に用いられる素子は図6に示したものに限られない。例えば供給クロック生成部230における3つの2入力NANDゲート(IC8A,IC8B,IC8C)のそれぞれを、ORゲートに変更するとともに、各ORゲートには許可信号(F1_EN,F2_EN,又はF3_EN)を上記形態とは反対のレベルで入力させるように構成してもよい。
また、ステッピングモーター456を駆動するドライバICは、励磁コイルLa,Lbに励磁電流を流すか否かを切り替えるスイッチング素子(トランジスタ)を内蔵するものであっても、内蔵しないものであってもよい。どちらのタイプのドライバICであっても、そのドライバICの出力信号は励磁信号に相当するものとする。
また上記形態では、ステッピングモーター456の動力伝達機構としてカム機構を用いることより、ステッピングモーター456を正方向に回転駆動させるだけで装飾可動体440が演出位置にも待機位置にも移動できるように構成した。しかしながらステッピングモーター456の動力伝達機構として、ベルトとプーリーを含む機構や送りねじを含む機構など、他の動力伝達機構を用いてもよい。例えばベルトとプーリーを含む機構を用いる場合には、ステッピングモーター456を正方向に回転駆動すると装飾可動体440が待機位置から演出位置に移動し、ステッピングモーター456を正方向とは反対の逆方向に回転駆動すると装飾可動体440が演出位置から待機位置に移動する構成とすればよい。この場合、図6に示すモータードライバ(IC3)の正転/逆転信号端子(CW/CCW)には、演出制御用マイコン91のパラレルポート99における一端子を接続し、演出制御用マイコン91がステッピングモーター456の回転方向を切り替えられるようにする。なお、装飾可動体440の大きさやデザイン(形状等)は適宜変更可能であり、ステッピングモーター456の動力伝達機構は、装飾可動体の大きさ等に応じて適宜選択することが望ましい。
また、演出制御用マイコン91がMOT_EN信号のレベルを「H」から「L」に切り替えるタイミングは、時間のカウントに基づくものでなくてもよい。例えば、装飾可動体440が演出位置にあることを検知可能な演出位置検知手段(例えばフォトセンサ)や、装飾可動体440が待機位置にあることを検知可能な待機位置検知手段(例えばフォトセンサ)を設けて、これらの位置検知手段による検知信号に基づいて、演出制御用マイコン91がMOT_EN信号を「H」から「L」に切り替える構成としてもよい。
また上記形態では、装飾可動体440が演出位置に移動したタイミングでMOT_EN信号を「H」から「L」に戻す構成とした。これに対して、演出制御用マイコン91が1度、MOT_EN信号を「L」から「H」に切り替えると、装飾可動体440が待機位置から演出位置に移動し、さらに演出位置から待機位置に復帰する構成としてもよい。この場合、装飾可動体440が待機位置に戻ってきたタイミングでMOT_EN信号を「H」から「L」に戻せばよい。なおこの場合には、動力伝達機構としての偏心カムの外周形状を、装飾可動体440が演出位置に所定時間、待機できるような形状にするとよい。
また上記形態では、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて取得する乱数(判定用情報)として、大当たり乱数等の4つの乱数を取得することとしたが、一つの乱数を取得してその乱数に基づいて、大当たりか否か、当たりの種別、リーチの有無、及び変動パターンの種類を決めるようにしてもよい。すなわち、始動入賞に基づいて取得する乱数の個数および各乱数において何を決定するようにするかは任意に設定可能である。
また上記形態では、当選した大当たり図柄の種類に基づいて高確率状態への移行が決定される遊技機として構成したが、いわゆるV確機(大入賞口内の特定領域(V領域)の通過に基づいて高確率状態に制御する遊技機)として構成してもよい。また上記形態では、一旦高確率状態に制御されると次の大当たり遊技の開始まで高確率状態への制御が続く遊技機(いわゆる確変ループタイプの遊技機)として構成したが、いわゆるST機(確変の回数切りの遊技機)として構成してもよい。また、いわゆる1種2種混合機や、ハネモノタイプの遊技機として構成してもよい。すなわち、本発明は、遊技機のゲーム性を問わず、種々のゲーム性の遊技機に対して好適に採用することが可能である。
また上記形態では、大当たりに当選してそのことを示す特別図柄が停止表示されたことを制御条件として、大当たり遊技状態(特別遊技状態)に制御されるパチンコ遊技機として構成した。これに対して、スロットマシン(回胴式遊技機、パチスロ遊技機)として構成してもよい。この場合、ビッグボーナスやレギュラーボーナスへの入賞によって獲得メダルを増やす所謂ノーマル機であれば、ビッグボーナスやレギュラーボーナス等のボーナスを実行している状態が特別遊技状態に相当する。また、小役に頻繁に入賞可能なART(アシストリプレイタイム)やAT(アシストタイム)等の特別な遊技期間にて獲得メダルを増やす所謂ART機やAT機であれば、ARTやAT中の状態が特別遊技状態に相当する。また、ノーマル機では特別遊技状態への制御条件は、ビッグボーナスやレギュラーボーナスに当選した上で、有効化された入賞ライン上に、ビッグボーナスやレギュラーボーナスへの移行契機となる図柄の組み合せが各リールの表示結果として導出表示されることである。また、ART機やAT機では特別遊技状態への制御条件は、例えば、ARTやATの実行抽選に当選した上で、規定ゲーム数を消化するなどしてARTやATの発動タイミングを迎えることである。