JP2017212890A - 凍結乾燥即席麺類及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】常温の水で素早く復元するとともに、復元後の麺に歯応えのある凍結乾燥即席麺類及びその製造方法を提供する。【解決手段】麺をボイルした後、麺にほぐれ剤を付着させる。次いで、このほぐれ剤を付着させた麺を予備凍結させずに凍結乾燥機に入れ、減圧して自己凍結させるとともに凍結乾燥させる。このようにして得られた凍結乾燥即席麺類は、麺の表面にその内部構造とは異なる被膜が形成される。この被膜が麺に歯応えのある弾力性を付与することになると考えられる。【選択図】図1
Description
本発明は、凍結乾燥即席麺類及びその製造方法に関する。
従来、凍結乾燥技術(フリーズドライ技術)を利用した麺類として、お湯をかけることにより復元し喫食することができる即席麺類が知られている。例えば、特許文献1に記載の発明は、茹麺を凍結真空乾燥するにあたり、品温が4℃から0℃に至る間を30分以内で通過させ、0℃から3〜4時間で−30〜−40℃とすることを特徴とする即席麺類の製造方法である。
特許文献1に記載の発明によれば、従来では復元速度が5〜10分であったところ、5分以内で完全に茹麺に復元するとされており(第5欄、第15〜18行)、特に実施例では熱湯により約4分で復元したことが記載されている(第6欄、第12〜14行)。
しかしながら、従来の凍結乾燥即席麺類は、復元後の麺に歯応えがなく、食感が劣るという問題があった。
また、上記の従来技術は、あくまでお湯によって復元させることを前提としており、常温の水で復元させることは想定していない。このため、お湯であれば短時間で復元する場合でも、水であれば復元に10分ほど要するようなことがあった。その結果、例えばそうめんやひやむぎのように常温ないし冷たい状態で喫食する麺類に適用する場合には、お湯で復元させた後、一旦冷ますなどといった迂遠な方法を採らざるを得ず、その分手間がかかるという問題があった。
お湯で復元することを主眼としている点では、本出願人が出願した特許文献2・3についても同様である。特許文献2・3は、湯戻しによる復元時間を短縮するとともに麺線同士のほぐれ具合を改善して食感を良好なものにすることを主目的としたものであるが、あくまでお湯をかけて復元させることを前提としている点では特許文献1に記載の凍結乾燥即席麺類と変わりはなかった。
また、特許文献2・3では、ボイル後の麺類を容器に充填するとともに該容器に加水して麺類を水に浸した後、この状態で麺類を凍結(予備凍結)させ、その後凍結乾燥させるものであるため、製造工程が複雑で、コストもかかるという問題があり、依然改良の余地があった。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、常温の水で素早く復元するとともに、食感も良好な凍結乾燥即席麺類及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、ボイルした麺を調味液と合わさず、また、予備凍結もさせずに凍結乾燥機に入れて凍結乾燥させると、麺の表面にその内部構造とは異なる被膜が形成されることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいてなされたものであり、以下のように構成したことを特徴とする。
すなわち、本発明は、下記の工程(a)〜(b)を含むことを特徴とする凍結乾燥即席麺類の製造方法である。
(a)麺をボイルする工程、
(b)前記ボイル後の麺にほぐれ剤を付着させる工程、
(c)前記ほぐれ剤を付着させた麺を予備凍結せずに凍結乾燥する工程。
(a)麺をボイルする工程、
(b)前記ボイル後の麺にほぐれ剤を付着させる工程、
(c)前記ほぐれ剤を付着させた麺を予備凍結せずに凍結乾燥する工程。
上述のとおり、ボイルした麺を調味液と合わさず、また、予備凍結もさせずに凍結乾燥させると、麺の表面に内部構造とは異なる被膜が形成される。被膜の形成機構として、未凍結の麺を減圧下に置くことにより、麺の内部からでん粉を含んだ水分が滲出するとともに、麺の表面が急激に収縮していると推測される。この被膜が麺に歯応えのある弾力性を付与することになると考えられる。
ここで、「予備凍結せずに凍結乾燥させる」とは、工程(a)及び(b)を経て得られた麺を凍結乾燥するに当たって、予め冷凍庫等で凍結させるのではなく、そのまま凍結乾燥機の乾燥室に入れて減圧し、蒸発潜熱を利用して自己凍結させるという趣旨である。
かかる事実からも明らかのとおり、本発明においては、凍結乾燥法によって麺を乾燥させることが重要である。本発明者が調べたところでは、熱風乾燥や過熱水蒸気による処理では、麺塊を均一に処理することが困難で、麺塊の周辺部と中心部とで乾燥ムラが生じていた。これに対し、凍結乾燥法による場合はこのような不具合が生じなかった。
本発明では、麺同士の結着を防止するために、ボイル後の麺にほぐれ剤を付着させている。これは、本発明では、ボイルした麺を調味液と合わさず、予備凍結もさせずに凍結乾燥させるため、麺同士が結着しやすいからである。ボイル後の麺にほぐれ剤を付着させることにより、麺同士の結着を防止することができ、復元時間を大幅に短縮することができる。
本発明の適用対象となる麺としては、そうめん又はひやむぎが好適である。そうめんやひやむぎは常温ないし冷たい状態で喫食することが多いため、常温の水でも素早く復元する本発明の適用例として特に好ましいからである。また、そうめんやひやむぎは、スープとともに喫食するのではなく、別途用意したつゆにつけて喫食することが多いことから、調味液を使用せずに凍結乾燥させる本発明の適用対象として好適である。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「そうめん」「ひやむぎ」等の定義は、「乾めん類品質表示基準」(制定:平成12年12月19日農林水産省告示第1639号 最終改正:平成23年9月30日消費者庁告示第10号)に基づいている。
さらに、本発明は、前記の製造方法により製造した凍結乾燥即席麺類である。
ここで、本願請求項3においては製造方法により物の発明を特定しているが、下記のとおり、本発明には「不可能・非実際的事情」が存在しているため、このような発明の特定方法も許されるものと解する。
[不可能・非実際的事情の存在]
前述のとおり、本発明の製造方法により製造された凍結乾燥即席麺類では、麺の表面に内部構造とは異なる被膜が形成され(この点については図1(A)〜(D)も参照)、この被膜が麺に歯応えのある食感を付与することになると考えられる。しかしながら、「歯応えのある食感」というのは、人間の感覚に依存する指標であるため、それを一律に定量的に数値範囲等で表記することは、およそ実際的ではない。
また、食感は最終的には上記被膜と内部構造との相互によって相関的に決まると考えられるが、それぞれの組成や構造、特性等は、使用した麺の種類や、ボイル後の麺に含まれる水分量、凍結乾燥処理の条件(例えば減圧の度合いや加熱棚の温度、乾燥時間)等にも依存すると考えられるため、そのすべてを網羅的に解析し調べ上げることは不可能であるか、又は、およそ実際的ではない。
さらに、仮に調べ上げることができたとしても、それと「歯応えのある食感」との関係を明らかにした上で包括的に特許請求の範囲に記載することは不可能である。
前述のとおり、本発明の製造方法により製造された凍結乾燥即席麺類では、麺の表面に内部構造とは異なる被膜が形成され(この点については図1(A)〜(D)も参照)、この被膜が麺に歯応えのある食感を付与することになると考えられる。しかしながら、「歯応えのある食感」というのは、人間の感覚に依存する指標であるため、それを一律に定量的に数値範囲等で表記することは、およそ実際的ではない。
また、食感は最終的には上記被膜と内部構造との相互によって相関的に決まると考えられるが、それぞれの組成や構造、特性等は、使用した麺の種類や、ボイル後の麺に含まれる水分量、凍結乾燥処理の条件(例えば減圧の度合いや加熱棚の温度、乾燥時間)等にも依存すると考えられるため、そのすべてを網羅的に解析し調べ上げることは不可能であるか、又は、およそ実際的ではない。
さらに、仮に調べ上げることができたとしても、それと「歯応えのある食感」との関係を明らかにした上で包括的に特許請求の範囲に記載することは不可能である。
以上のことから、本発明においては、製造方法により物の発明を特定することは許されるものと思料する。
本発明によれば、常温の水で素早く復元するとともに、食感も良好な即席麺類を得ることができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明に係る凍結乾燥即席麺類の製造方法は、(a)麺をボイルする工程と、(b)ボイル後の麺にほぐれ剤を付着させる工程と、(c)ほぐれ剤を付着させた麺を予備凍結せずに凍結乾燥する工程とを設けてなるものである。
以下、工程ごとに説明する。
以下、工程ごとに説明する。
《1》原料麺
本発明で使用する麺類の種類は特に限定されず、そうめん、ひやむぎ、うどん、パスタ、中華麺、そば、米麺などを含む。中でも細い麺類、特にそうめん、ひやむぎ、細いうどん等が好ましい。好ましい麺の太さとしては、ボイル前の状態で麺の長径が2.2mm以下、好ましくは1.7mm以下、より好ましくは1.2mm以下、更に好ましくは0.9mm以下である。さらに、乾麺だけでなく、生麺又は半乾燥麺であってもよい。
本発明で使用する麺類の種類は特に限定されず、そうめん、ひやむぎ、うどん、パスタ、中華麺、そば、米麺などを含む。中でも細い麺類、特にそうめん、ひやむぎ、細いうどん等が好ましい。好ましい麺の太さとしては、ボイル前の状態で麺の長径が2.2mm以下、好ましくは1.7mm以下、より好ましくは1.2mm以下、更に好ましくは0.9mm以下である。さらに、乾麺だけでなく、生麺又は半乾燥麺であってもよい。
《2》ボイル工程
原料麺は、ボイル工程においてボイルされる。ボイルする条件は特に限定されず、使用する麺の種類に応じて適宜のものを採用することができるが、十分な量の水(例えば原料麺の重量の約10倍の量の水)でボイルすることが好ましい。また、その際、水に食塩を加えて濃度が1%程度の食塩水となるように調製し、それが沸騰したところに麺を投入することが好ましい。さらに、食塩に代えてトレハロースを溶解させた水溶液を使用してもよい。ボイル工程によって原料麺はα化し、喫食に適した状態となる。
原料麺は、ボイル工程においてボイルされる。ボイルする条件は特に限定されず、使用する麺の種類に応じて適宜のものを採用することができるが、十分な量の水(例えば原料麺の重量の約10倍の量の水)でボイルすることが好ましい。また、その際、水に食塩を加えて濃度が1%程度の食塩水となるように調製し、それが沸騰したところに麺を投入することが好ましい。さらに、食塩に代えてトレハロースを溶解させた水溶液を使用してもよい。ボイル工程によって原料麺はα化し、喫食に適した状態となる。
ボイル工程後、必要に応じて麺を冷却してもよい。麺を冷却する場合は、20℃以上の流水で麺を冷却することが好ましく、麺を極端に冷やし過ぎないことが好ましい。なお、麺を冷却するかどうかはあくまで任意であり、必要に応じて行えばよい。
ここで、ボイル後の麺の吸水量ないし吸水率について説明する。本発明者が調べたところでは、一般に、ボイル後(凍結乾燥直前)の麺の吸水量が多いほど凍結乾燥後の麺の復元性が良好となることが分かった。このため、好ましい麺の吸水率(ボイル前の麺の重量に対する吸水後の麺の重量の比率)は350%以上であり、より好ましくは380%以上である。
《3》ほぐれ剤付着工程
上記のようにしてボイルした麺(茹で麺)に対してほぐれ剤を付着させる。これにより、麺線同士の結着を防止して、復元時に麺がほぐれやすいようにする。麺線同士が結着していると、麺が団子状になり、食感が悪いとともに、復元に要する時間も長くなる。特に、本発明では、ボイルした麺を調味液と合わさず、予備凍結もさせずに凍結乾燥させるため、ボイル後の麺にほぐれ剤を付着させることが重要である。
上記のようにしてボイルした麺(茹で麺)に対してほぐれ剤を付着させる。これにより、麺線同士の結着を防止して、復元時に麺がほぐれやすいようにする。麺線同士が結着していると、麺が団子状になり、食感が悪いとともに、復元に要する時間も長くなる。特に、本発明では、ボイルした麺を調味液と合わさず、予備凍結もさせずに凍結乾燥させるため、ボイル後の麺にほぐれ剤を付着させることが重要である。
ほぐれ剤としては、市販のものを適宜使用することができる。例えば、大豆多糖類ないし大豆ヘミセルロースからなるほぐれ剤であり、その一例として、不二製油株式会社製の商品名「ソヤファイブSシリーズ」を挙げることができる。
ボイル後の麺にほぐれ剤を付着させる方法は特に限定されず、ほぐれ剤を水に溶解し、その中にボイル後の麺を浸漬させてもよいし、それを麺に噴霧させてもよい。いずれにしても、麺の表面全体をそれによって均一にコーティングすることが好ましい。
《4》凍結乾燥工程
以上の工程を経て得られた麺を容器に取り分け、そのまま凍結乾燥機に入れて減圧し、凍結乾燥させる。本発明において重要なことは、凍結乾燥するに当たって、麺を予備凍結させないことである。つまり、ほぐれ剤を付着させたボイル後の麺をそのまま凍結乾燥機によって凍結乾燥させることが重要である。通常、食品を凍結乾燥法により凍結乾燥させる場合は、予め冷凍庫で食品を凍結させた後、凍結乾燥機に入れて減圧し、水分を昇華させることにより乾燥させるが、本発明では、このような予備凍結工程を経ずに、未凍結の麺をそのまま凍結乾燥機に入れて減圧する。これによって麺は自己凍結するとともに、凍結乾燥される。
以上の工程を経て得られた麺を容器に取り分け、そのまま凍結乾燥機に入れて減圧し、凍結乾燥させる。本発明において重要なことは、凍結乾燥するに当たって、麺を予備凍結させないことである。つまり、ほぐれ剤を付着させたボイル後の麺をそのまま凍結乾燥機によって凍結乾燥させることが重要である。通常、食品を凍結乾燥法により凍結乾燥させる場合は、予め冷凍庫で食品を凍結させた後、凍結乾燥機に入れて減圧し、水分を昇華させることにより乾燥させるが、本発明では、このような予備凍結工程を経ずに、未凍結の麺をそのまま凍結乾燥機に入れて減圧する。これによって麺は自己凍結するとともに、凍結乾燥される。
凍結乾燥工程における真空圧としては400Pa以下が好ましく、さらに300Pa以下が好ましい。また、凍結乾燥初期の被膜形成時には加熱板の温度(棚温度)は高くし過ぎないことが好ましく、具体的には、60℃以下が好ましく、さらに好ましくは30℃以下である。
なお、本発明は、原則としてボイル後の麺を調味液と合わさずそのまま凍結乾燥させるものではあるが、これは調味液その他の添加物を一切添加してはならないことを意味するものではない。自己凍結に支障のない範囲内で他の添加物や配合物等を麺に加えて凍結乾燥させてもよいことはもちろんである。
以上のようにして得られた凍結乾燥即席麺類は、水によっても素早く復元させることができ、また、食感においても麺らしい弾力のある歯応えを得ることができる。もちろん、お湯によって復元させても何ら支障がない。喫食する際は、別途用意したつゆやスープとともに喫食することができる。なお、凍結乾燥処理の際に麺を収容する容器として個食用の容器を使用すれば、一食分ごとに小分けされた凍結乾燥即席麺類が得られるため、好適である。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
市販の手延べそうめん100.0g(麺の長径0.80mm)を用意し、それを十分な量の沸騰した食塩水(食塩濃度1.0%)に投入してボイルした。ボイル時間は180秒である。
市販の手延べそうめん100.0g(麺の長径0.80mm)を用意し、それを十分な量の沸騰した食塩水(食塩濃度1.0%)に投入してボイルした。ボイル時間は180秒である。
次いで、麺を引き上げ、25℃の流水で冷却した。冷却時間は180秒である。なお、流水冷却後の麺(吸水した麺)の重量は353.2gであり、吸水率は約353%であった。
他方、ほぐれ剤(水溶性大豆多糖類;商品名「ソヤファイブS−ZR100」;不二製油株式会社製)を水に溶解させ、その濃度が1.0%となるように予め調製したものを用意し、上記のようにして得られた麺をそこに浸漬させて、その表面にほぐれ剤を付着させた。次いで、麺を個食用容器に取り分け(一食分60g)、容器ごと凍結乾燥機に入れて凍結乾燥させた。凍結乾燥処理の条件は、最初の1時間が棚温度30℃、圧力300Pa、次の1時間が棚温度0℃、圧力50Pa、次の4時間が棚温度80℃、圧力50Pa、次の10時間が棚温度60℃、圧力50Paであった。
以上のようにして得られた凍結乾燥即席そうめんを実施例1とした。
以上のようにして得られた凍結乾燥即席そうめんを実施例1とした。
[比較例1]
比較例1と実施例1との相違は、主として予備凍結の有無である。具体的には以下のとおりである。
まず、実施例1で使用したものと同じ手延べそうめん103.0g(麺の長径0.80mm)を用意し、それを十分な量の沸騰した食塩水(食塩濃度1.0%)に投入してボイルした。ボイル時間は180秒である。
比較例1と実施例1との相違は、主として予備凍結の有無である。具体的には以下のとおりである。
まず、実施例1で使用したものと同じ手延べそうめん103.0g(麺の長径0.80mm)を用意し、それを十分な量の沸騰した食塩水(食塩濃度1.0%)に投入してボイルした。ボイル時間は180秒である。
次いで、麺を引き上げ、25℃の流水で冷却した。冷却時間は180秒である。なお、流水冷却後の麺(吸水した麺)の重量は359.7gであり、吸水率は約349%であった。
他方、ほぐれ剤(水溶性大豆多糖類;商品名「ソヤファイブS−ZR100」;不二製油株式会社製)を水に溶解させ、その濃度が1.0%となるように予め調製したものを用意し、上記のようにして得られた麺をそこに浸漬させて、その表面にほぐれ剤を付着させた。次いで、麺を個食用容器に取り分け(一食分60g)、容器ごと冷凍庫に入れて予備凍結させた。冷凍庫の庫内温度は−25℃、冷凍時間は20時間である。このようにして予備凍結させた麺を凍結乾燥機に入れて凍結乾燥させた。凍結乾燥処理の条件は、最初の4時間が棚温度80℃、圧力50Pa、次の12時間が棚温度50℃、圧力50Paであった。
以上のようにして得られた凍結乾燥即席そうめんを比較例1とした。
以上のようにして得られた凍結乾燥即席そうめんを比較例1とした。
[評価]
《1》常温の水による復元性
実施例1及び比較例1について常温の水で復元させた場合の復元時間について調べた。具体的には、実施例1及び比較例1をそれぞれ容器に入れ、そこに20℃の水を注いで麺の吸水率(乾燥状態の麺の重量に対する復元後の麺の重量の比率)が310%となるまでの時間を測定した。
その結果、実施例1及び比較例1ともに3〜5分で吸水率310%に復元した。
《1》常温の水による復元性
実施例1及び比較例1について常温の水で復元させた場合の復元時間について調べた。具体的には、実施例1及び比較例1をそれぞれ容器に入れ、そこに20℃の水を注いで麺の吸水率(乾燥状態の麺の重量に対する復元後の麺の重量の比率)が310%となるまでの時間を測定した。
その結果、実施例1及び比較例1ともに3〜5分で吸水率310%に復元した。
《2》麺の食感(硬さ)
次に、水を注いでから10分経過した時点での麺の食感(硬さ)をレオメーターで測定した。具体的には、上記のようにして復元させた麺を水切りし、麺線を5本ずつ平行に並べて山型のプランジャにより麺線と垂直な方向に切断したときの荷重のピーク値をレオメーターで調べた。
その結果、実施例1では1.0〜1.5Nであったのに対し、比較例1では1.0N以下であった。
これは、実施例1の方が比較例1よりも麺に歯応えがあることを意味する。
また、実施例1では、比較例1に比べて長時間水に浸してもふやけずにしっかりとした食感を保つことが分かる。
次に、水を注いでから10分経過した時点での麺の食感(硬さ)をレオメーターで測定した。具体的には、上記のようにして復元させた麺を水切りし、麺線を5本ずつ平行に並べて山型のプランジャにより麺線と垂直な方向に切断したときの荷重のピーク値をレオメーターで調べた。
その結果、実施例1では1.0〜1.5Nであったのに対し、比較例1では1.0N以下であった。
これは、実施例1の方が比較例1よりも麺に歯応えがあることを意味する。
また、実施例1では、比較例1に比べて長時間水に浸してもふやけずにしっかりとした食感を保つことが分かる。
《3》SEM写真
図1(A)〜(D)は実施例1のSEM写真、図1(a)〜(d)は比較例1のSEM写真である。
図1(A)〜(D)に示すとおり、実施例1では、麺の表面が被膜によって覆われていることが分かる。また、麺の内部は多孔質になっているのに対し、表面の被膜は滑らかであり、明らかに内部構造とは異なることが見て取れる。
これに対し、図1(a)〜(d)に示す比較例1では、表面も多孔質で、実施例1のような滑らかな被膜の存在を確認することができなかった。また、内部の空孔が大きい様子も見て取れる。さらに、組織も所々崩壊していた。
このように、実施例1と比較例1とは物自体においても顕著に相違していた。
図1(A)〜(D)は実施例1のSEM写真、図1(a)〜(d)は比較例1のSEM写真である。
図1(A)〜(D)に示すとおり、実施例1では、麺の表面が被膜によって覆われていることが分かる。また、麺の内部は多孔質になっているのに対し、表面の被膜は滑らかであり、明らかに内部構造とは異なることが見て取れる。
これに対し、図1(a)〜(d)に示す比較例1では、表面も多孔質で、実施例1のような滑らかな被膜の存在を確認することができなかった。また、内部の空孔が大きい様子も見て取れる。さらに、組織も所々崩壊していた。
このように、実施例1と比較例1とは物自体においても顕著に相違していた。
[その他の実施例]
以上のほか、本発明の効果について、さらに原料麺の太さを変えて調べた。
具体的には、乾麺の状態での麺の長径が0.80mm(但し、実施例1及び比較例1で使用したものとは異なる種類の麺)、1.08mm、1.53mm及び2.25mmのものについて、実施例1とほぼ同様の製造工程により凍結乾燥即席麺を製造し、本発明の効果を調べた。
以上のほか、本発明の効果について、さらに原料麺の太さを変えて調べた。
具体的には、乾麺の状態での麺の長径が0.80mm(但し、実施例1及び比較例1で使用したものとは異なる種類の麺)、1.08mm、1.53mm及び2.25mmのものについて、実施例1とほぼ同様の製造工程により凍結乾燥即席麺を製造し、本発明の効果を調べた。
その結果、麺が太くなるほど復元に要する時間が長くなる傾向にあることが分かったが、食感(麺の硬さ)への効果及び麺の表面が内部構造とは異なる滑らかな被膜で覆われるという効果については、麺の太さに関係なく発現するが分かった。
Claims (3)
- 下記の工程(a)〜(b)を含むことを特徴とする凍結乾燥即席麺類の製造方法;
(a)麺をボイルする工程、
(b)前記ボイル後の麺にほぐれ剤を付着させる工程、
(c)前記ほぐれ剤を付着させた麺を予備凍結せずに凍結乾燥する工程。 - 請求項1に記載の凍結乾燥即席麺類の製造方法において、
前記麺がそうめん又はひやむぎであることを特徴とする凍結乾燥即席麺類の製造方法。 - 請求項1又は2に記載の方法により製造した凍結乾燥即席麺類。
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