JP2017212223A - 導電性微粒子及びそれを用いた異方性導電材料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の導電性微粒子は、樹脂粒子からなる基材と、該基材の表面に形成された少なくとも一層の導電性金属層とを有する導電性微粒子であって、前記樹脂粒子の個数平均粒子径は2.4μm以上であり、前記樹脂粒子がその直径に対して10%変位したときの圧縮弾性率(10%K値)、20%変位したときの圧縮弾性率(20%K値)、30%変位したときの圧縮弾性率(30%K値)の関係が下記式
10%K値>20%K値>30%K値
を満足するとともに、前記樹脂粒子の10%K値が、7,000N/mm2以上であることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
接続面積比を高くする方法として、接続状態で導電性金属層と被接続体(電極)との密着が充分に保たれるよう圧痕形成能(具体的には、接続する際、僅かに変形させた時点で圧痕を形成できる特性)を高める方法(例えば特許文献1)が提案されている。
10%K値>20%K値>30%K値
を満足するとともに、前記樹脂粒子の10%K値が、7,000N/mm2以上であることを特徴とする。
本発明の導電性微粒子は、樹脂からなる基材と、該基材の表面に形成された少なくとも一層の導電性金属層とから構成される。
本発明における樹脂粒子は、粒子の直径に対して10%変位したときの圧縮弾性率(10%K値)が7000N/mm2以上である。樹脂粒子の10%K値が前記範囲であると、電気的接続に供した際に、圧縮率の低い段階において被接続媒体である電極等の表面に圧痕を形成し易い。そのため、電極との密着性に優れた接続状態が得られ、安定した接続抵抗が得られ易い。樹脂粒子の10%K値が7000N/mm2未満であると、圧痕形成能が不十分なため、安定した接続が得られない虞がある。前記樹脂粒子の10%K値は、好ましくは7500N/mm2以上、より好ましくは8000N/mm2以上、さらに好ましくは8250N/mm2以上である。一方、上限は特に限定されないが、10%K値が高すぎると、電極や基板を損傷してしまう虞がある観点から、好ましくは20000N/mm2以下、より好ましくは18000N/mm2以下、さらに好ましくは17000N/mm2以下である。特に樹脂粒子の10%K値を8500N/mm2以上、15000N/mm2以下の範囲とすれば、電極や基板を傷つけることなく、良好な圧痕が得られるといった効果が得られる。
10%K値>20%K値>30%K値
を満足するものである。
上記関係式を満足する樹脂粒子を基材とすることにより、高い圧縮率の状態、すなわち、大きな接続面積を確保し易く低抵抗の接続が得られ易く、しかも圧縮率を高い状態で接続しても、電気接点となる導電性微粒子と被接続媒体との間で過度な圧力を及ぼし合わないため、接続間距離が安定に保たれ、接続抵抗値が一定に保たれることとなり易い。また被接続媒体が薄膜状のガラスや高分子フィルムを基板とする場合でも基板の変形やクラックの生成が抑制され易い。
さらに、本発明における樹脂粒子は、圧縮率が10〜50%となる範囲で圧縮弾性率を測定した時、圧縮弾性率が最小となる圧縮率が30%以上となるものが好ましい。このような樹脂粒子を基材とする導電性微粒子を用いることにより、より高い圧縮率の状態、すなわちより接触面積の大きい状態での安定した接続が可能となるため、低抵抗で接続信頼性の高い導電接続が得られ易い。圧縮弾性率が最小となる圧縮率の上限は特に限定されないが、効果的に接触面積を拡大できる観点から、50%以下が好ましい。
また、下限は電気伝導率の低い金属でも良好な導通性が得られるような電極との接触面積を確保する観点から、2.5μm以上が好ましく、より好ましくは2.55μm以上、さらに好ましくは2.6μm以上である。
これらの中でも、上述した圧縮変形特性を有する樹脂粒子が得られ易い点から、ビニル重合体、オルガノポリシロキサンが好ましく、特にビニル重合体が好ましい。すなわち樹脂粒子としては、ビニル重合体を含む粒子(ビニル重合体粒子ともいう)およびオルガノポリシロキサンを含む粒子(オルガノポリシロキサン粒子ともいう)が好ましく、ビニル重合体を含む粒子が特に好ましい。
コアシェル型ビニル重合体粒子における、コアは、コアの直径に対して10%変位したときの圧縮弾性率(10%K値)が14,000N/mm2以上であることが好ましい。
このようなコアとして材質は限定されるものではないが、ビニル重合体を含む形態またはオルガノポリシロキサンにより構成されることが好ましく、シェルを必要な厚みに形成し易い観点から、ビニル重合体を含む形態であることがより好ましい。
なお、詳細は後述するが、コアがビニル重合体を含む形態である場合、ビニル系単量体(必要に応じてシラン系単量体)を含む単量体成分を従来公知の重合方法(シラン系単量体を用いる場合は(加水分解および)縮合反応)により得ることができる。一方、シェルは、特定のビニル系単量体を含む単量体成分を重合してなるビニル重合体を含むことが好ましいが詳細は後述する。
本発明において、コアは、コアの直径に対して10%変位したときの圧縮弾性率(10%K値)が14,000N/mm2以上であることが好ましい。
前記コアは上述したとおり、ビニル重合体を含む形態またはオルガノポリシロキサンにより構成されることが好ましいが、まず、ビニル重合体を含む形態について説明する。
前記コアがビニル重合体を含む形態において、コアを構成する単量体成分として用いることができる単量体全般について説明する。なお、コアを構成する単量体成分とは、コアを形成するための原料となる単量体成分の意味であり、同様の表現については同様の意味を有するものとする。たとえば、シェルの説明において、シェルを構成する単量体成分とは、シェルを形成するための原料となる単量体成分の意味である。
(メタ)アクリル系単量体(1)としては、アリル(メタ)アクリレート等のアリル(メタ)アクリレート類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルカンジオールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタコンタヘクタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート類;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレート類;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のヘキサ(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
その他の単量体(1)としては、N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルサルファイド、ジビニルスルホン酸等のヘテロ原子含有架橋剤等が挙げられる。
これら単量体(1)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル系単量体(2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、カルボキシメチル(メタ)アクリレート、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、カルボキシブチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート等のカルボキシ基を有する単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート類等のヒドロキシ基を有する単量体;アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノブチル(メタ)アクリレート、アミノペンチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート類、メチルアミノメチル(メタ)アクリレート、エチルアミノメチル(メタ)アクリレート、メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、エチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類等のアミノ基を有する単量体;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
これら単量体(2)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ビニル系非架橋性単量体としては、1分子中に1個のビニル基を有する単量体(単量体(3))か、若しくは前記単量体(2)が有するビニル基以外の官能基と反応する基を有する他の単量体が単量体成分に存在しない場合の単量体(2)が挙げられる。
(メタ)アクリル系単量体(3)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロウンデシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
架橋度(%)=(架橋性単量体の含有質量/単量体Aの含有質量)×100
架橋度すなわち、質量基準においてコアを構成する単量体成分総量(単量体Aの合計量)に対する架橋性単量体(以下、架橋性単量体Aともいう)の含有量を70%以上とすることが、上記した10%K値を確保し易い点で好ましい。
本発明のコアにおいて、架橋度は80%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。また上限は特に限定されず、100%であってもよい。
本発明において、コアの個数平均粒子径は、導電性微粒子および基材である樹脂粒子の粒子径に応じて適宜選択すればよいが、通常、0.5μm以上、49μm以下が好ましい。より好ましくは1.0μm以上であり、さらに好ましくは1.5μm以上である。また、より好ましくは24μm以下であり、さらに好ましくは10μm以下である。
なお、コアの個数平均粒子径や粒子径の変動係数は、樹脂粒子の場合と同様に、コールターカウンターにより測定した個数基準の値であり、測定方法については実施例において後述する。
本発明における樹脂粒子の好ましい形態であるコアシェル型ビニル重合体粒子において、シェルはシェルを構成する単量体成分として特定のビニル系単量体、すなわち、式(1)
前記ビニル系単量体(S)としては、前記(1)においてR2が炭素数4以上のアルキル基である化合物、R2が炭素数4以上のシクロアルキル基である化合物およびR2が芳香環を含有する炭化水素基である化合物からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
架橋度(%)=(架橋性単量体の含有質量/単量体Bの含有質量)×100
架橋度すなわち、質量基準においてシェルを構成する単量体成分総量(単量体Bの合計量)に対する架橋性単量体(以下、架橋性単量体Bともいう)の含有量を上記範囲とすることが、特に、上記した各圧縮率における圧縮弾性率の関係(10%K値>20%K値>30%K値)を確保し易い点で好ましい。本発明のシェルにおいて前記架橋度は、10%以上、60%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは15%以上、50%以下である。
前記シェルが、ポリシロキサン成分を含有する場合、ビニル系単量体の使用量は、シラン系単量体100質量部に対して100質量部以上が好ましく、より好ましくは250質量部以上、さらに好ましくは500質量部以上であり、2000質量部以下が好ましく、より好ましくは1500質量部以下、さらに好ましくは1200質量部以下である。
ポリシロキサン骨格の好ましい形態(たとえばラジカル重合可能な炭素−炭素二重結合を有する重合性ポリシロキサン由来の骨格であること等)は、コアの場合に説明したものと同様である。
本発明において、シェルの厚みは、例えば、100nm以上が好ましく、より好ましくは150nm以上であり、さらに好ましくは200nm以上である。また、5000nm以下が好ましく、より好ましくは2500nm以下であり、さらに好ましくは1000nm以下である。
本発明の導電性微粒子は、前記基材(樹脂粒子)表面に少なくとも一層の導電性金属層が形成されている。
導電性金属層を構成する金属としては特に限定されないが、例えば、金、銀、銅、白金、鉄、鉛、アルミニウム、クロム、パラジウム、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、スズ、コバルト、インジウム及びニッケル−リン、ニッケル−ホウ素等の金属や金属化合物、及び、これらの合金等が挙げられる。これらの中でも、金、ニッケル、パラジウム、銀、銅、錫が導電性に優れた導電性微粒子となることから好ましい。また、安価な点で、ニッケル、ニッケル合金(Ni−Au、Ni−Pd、Ni−Pd−Au、Ni−Ag、Ni−P、Ni−B、Ni−Zn、Ni−Sn、Ni−W、Ni−Co、Ni−W、Ni−Ti);銅、銅合金(CuとFe、Co、Ni、Zn、Sn、In、Ga、Tl、Zr、W、Mo、Rh、Ru、Ir、Ag、Au、Bi、Al、Mn、Mg、P、Bからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素との合金、好ましくはAg、Ni、Sn、Znとの合金);銀、銀合金(AgとFe、Co、Ni、Zn、Sn、In、Ga、Tl、Zr、W、Mo、Rh、Ru、Ir、Au、Bi、Al、Mn、Mg、P、Bからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素との合金、好ましくはAg−Ni、Ag−Sn、Ag−Zn);錫、錫合金(たとえばSn−Ag、Sn−Cu、Sn−Cu−Ag、Sn−Zn、Sn−Sb、Sn−Bi−Ag、Sn−Bi−In、Sn−Au、Sn−Pb等)等が好ましい。
本発明の導電性微粒子の個数平均粒子径は、51μm以下が好ましく、より好ましくは26μm以下、さらに好ましくは13μm以下、より一層好ましくは10μm以下である。
さらに、導電性微粒子が微細(具体的には、個数平均粒子径が6μm以下)になると、本発明の効果が一層顕著となる。よって、個数平均粒子径は、好ましくは6.0μm以下、さらに好ましくは5.0μm以下が好ましいが、より一層好ましくは、4.0μm以下、さらに一層好ましくは3.5μm以下である。
個数平均粒子径がこの範囲内であれば、微細化、狭小化された電極や配線の電気接続に対して、好適に使用できる。なお、導電性微粒子の個数平均粒子径としては、フロー式粒子像解析装置(シスメックス社製「FPIA(登録商標)−3000」)を用いて求めた、3000個の粒子の個数基準の平均粒子径を採用することが好ましい。
本発明の樹脂粒子の製造方法例として、好ましい形態であるコアシェル型ビニル重合体粒子の製造方法について説明する。なお、本発明の樹脂粒子はコアシェル型ビニル重合体粒子に限定されるものではない。たとえばコアシェル型ではないビニル重合体粒子は、以下に説明するコアの形成方法に準じて製造することができる。
コアシェル型ビニル重合体粒子の製造方法としては、コアを形成し、次いで該コアを被覆する様にシェルを形成する。
コアの製造方法としては、上述のコア単量体成分を重合するものであれば、特に制限はなく、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法、第1のシード重合法、ゾルゲルシード重合法等の従来公知の方法を採用できる。コアの粒子径の制御が容易であり粒度分布の小さいコアが得られやすいという点では、例えば、第1のシード重合法によりコアを合成する方法等が好ましく採用される。
吸収倍率=(吸収させるコア単量体成分の総質量)/(シード粒子の質量)
コアに該コアを被覆するようにシェルを形成することにより、コアシェル粒子である樹脂粒子が得られる。シェルの形成方法としては、上述の単量体成分を重合するものであれば特に制限なく、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法、第2のシード重合法、ゾルゲルシード重合法等の従来公知の方法を採用できる。シェル膜厚の制御が容易であり膜厚が均一で粒度分布の小さい樹脂粒子が得られやすいという点では、例えば、第2のシード重合法によりシェルを形成する方法等が好ましく採用される。
被覆工程において、シェル単量体成分がコア表面に分散されコアがシェル単量体成分により被覆されたかどうかの判断については、反応液が乳濁液であり、沈澱等が発生しないことで容易に判断できる。なお、本発明におけるコアシェル型ビニル重合体粒子を得るためには、下記式で示される被覆倍率は、特に限定されるものではないが、0.01倍以上、20倍以下であることが好ましく、より好ましくは0.03倍以上、15倍以下であり、さらに好ましくは0.05倍以上、10倍以下である。
被覆倍率=(被覆させるシェル単量体成分の総質量)/(コアの総質量)
被覆工程後の重合工程における重合方法は特に限定されない。例えば、ラジカル重合開始剤(例えば、過酸化物系開始剤、アゾ系開始剤等)を用いる方法など公知の方法を用いることができ、ラジカル重合を行う際の反応温度および反応時間はコアの製造方法における反応温度および反応時間について説明した範囲と同様の範囲で適宜選択することができる。
樹脂粒子(基材)に導電性金属層を形成し、必要に応じてさらに絶縁性樹脂層を形成することにより、導電性微粒子が得られる。導電性金属層の形成方法および絶縁性樹脂層の形成方法は特に限定されないが、例えば導電性金属層は、基材表面に無電解メッキ法、電解メッキ法等によってメッキを施す方法;基材表面に真空蒸着、イオンプレーティング、イオンスパッタリング等の物理的蒸着方法により導電性金属層を形成する方法;等により形成できる。これらの中でも特に無電解メッキ法が、大掛かりな装置を必要とせず容易に導電性金属層を形成できる点で好ましい。
本発明の異方性導電材料は、上記本発明の導電性微粒子がバインダー樹脂に分散してなる。異方性導電材料の形態は特に限定されず、例えば、異方性導電フィルム、異方性導電ペースト、異方性導電接着剤、異方性導電インクなど様々な形態が挙げられる。これらの異方性導電材料を相対向する基板同士や電極端子間に設けることにより、良好な電気的接続が可能になる。なお、本発明の導電性微粒子を用いた異方性導電材料には、液晶表示素子用導通材料(導通スペーサーおよびその組成物)も含まれる。異方性導電材料の好適な用途としてはICチップと配線付きガラス基板との接続実装用(COG)や配線付きフレキシブルプリント基板と配線付きガラス基板との接続実装用(FOG)に好適に用いられる。
各種物性の測定は以下の方法で行った。
樹脂粒子及びコアの場合には、樹脂粒子又はコア0.005部に、乳化剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬株式会社製「ハイテノール(登録商標)N−08」)の1%水溶液20部を加え、超音波で10分間分散させた分散液を測定試料とし、シード粒子の場合には、加水分解、縮合反応で得られた分散液をポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬株式会社製「ハイテノール(登録商標)N−08」)の1%水溶液により希釈したものを測定試料として、粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製「コールターマルチサイザーIII型」)により30000個の粒子の粒子径(μm)を測定し、個数平均粒子径を求めた。樹脂粒子及びコアにおける個数基準での粒子径の標準偏差は、下記式に従って粒子径の変動係数(CV値)を算出した。
粒子の変動係数(%)=100×(粒子径の標準偏差/個数平均粒子径)
また、シェルの膜厚は下記式に従って算出した。
シェル膜厚(μm)=(樹脂粒子の個数平均粒子径(μm)−シェル被覆を行う前のコア粒子の個数平均粒子径(μm))/2
微小圧縮試験機(島津製作所社製「MCT−W500」)を用いて、室温(25℃)において、試料台(材質:SKS材平板)上に散布した粒子1個について、直径50μmの円形平板圧子(材質:ダイヤモンド)を用いて、「標準表面検出」モードで、粒子の中心方向へ一定の負荷速度(2.2295mN/秒)で荷重をかけ、圧縮変位が粒子径の10%になったときの荷重値(mN)とそのときの変位量(μm)、圧縮変位が粒子径の10%〜50%の範囲において各変位における荷重値(mN)とそのときの変位量(μm)を測定した。得られた荷重値(mN)を圧縮荷重(N)に換算し、得られた変位量(μm)を圧縮変位(mm)に換算し、樹脂粒子の個数平均粒子径(μm)から粒子の半径(mm)を算出し、これらを用いて下記式に基づき各変位における圧縮弾性率(10%K値、20%K値、30%K値、40%K値等)を算出した。なお、測定は各試料について、異なる10個の粒子に対して行い、平均した値を各樹脂粒子の各変位における圧縮弾性率(10%K値、20%K値、30%K値、40%K値)とした。また得られた各変位における圧縮弾性率(各K値)の相対比、例えば20%K値/10%K値(K20/K10)等を算出した。また圧縮変位曲線からK値が極小となる変位(以下、極小圧縮率という)とその変位における圧縮弾性率(以下、K値極小値という)を求めた。
コア粒子の圧縮変形特性は、樹脂粒子の10%K値等の測定方法と同様にして行い、10%K値についても樹脂粒子の10%K値と同様にして求めた。
フロー式粒子像解析装置(シスメックス社製「FPIA(登録商標)−3000」)を用いて、基材粒子(樹脂粒子)3000個の個数平均粒子径X(μm)および導電性微粒子3000個の個数平均粒子径Y(μm)を測定した。なお、測定は、粒子0.25部に、乳化剤であるポリオキシエチレンオレイルエーテル(花王株式会社製「エマルゲン(登録商標)430」)の1.4%水溶液17.5部を加え、超音波で10分間分散させた後に行なった。そして、下記式に従って導電性金属層の膜厚を算出した。
導電性金属層膜厚(μm)=(Y−X)/2
導電性微粒子0.05gに王水4mlを加え、加熱下で攪拌することにより金属層を溶解しろ別した。得られたろ液を試料として、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP、島津製作所社製:「ICPE−9000」)を用いて、ニッケル及びリンの含有質量を分析した。ニッケル及びリンの合計質量に対するリンの質量の比を導電性金属層(ニッケル層)におけるリン含有率(%)として求めた。
2−1.基材(樹脂粒子)の作製
製造例1
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水2000部と、25%アンモニア水16部、メタノール1200部を入れ、攪拌下、滴下口から3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、「KBM503」)28.5部、及びビニルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、「KBM1003」)41.5部の混合液を添加して、シラン化合物の加水分解、縮合反応を行って、ポリシロキサン粒子(重合性ポリシロキサン粒子)の乳濁液を調製した。反応開始から2時間後、得られたポリシロキサン粒子の乳濁液をサンプリングし、粒子径を測定したところ、個数平均粒子径は1.80μmであった。
ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩の20%水溶液6.3部をイオン交換水250部で溶解した溶液に、t−ブチルメタクリレート175.0部、トリエチレングリコールジメタクリレート75.0部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2.8部を溶解した溶液を加え、乳化分散させた単量体成分の乳化液をコア粒子分散液に加え1時間攪拌した後、窒素雰囲気下で反応液を65℃まで昇温させて2時間保持し、単量体成分のラジカル重合を行った。ラジカル重合後の乳濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、メタノールで洗浄した後、40℃で12時間真空乾燥させて樹脂粒子(1)を得た。樹脂粒子(1)の個数平均粒子径は3.21μm、粒子径の変動係数は2.7%であった。
製造例1において、コア粒子径、シェル膜厚等を表1に示される条件とした以外は製造例1と同様にしてコア粒子を合成し、さらにシェルを形成させることによって樹脂粒子(2)〜(7)、(12)、(13)を得た。
製造例3において、表1に示される組成、粒子径等の条件でコア粒子を合成し、シェル形成を行わなかったこと以外は、製造例3と同様にして、樹脂粒子(8)〜(11)をそれぞれ得た。
MPTMS: 3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
VTMS; ビニルトリメトキシシラン
nBMA: n−ブチルメタクリレート
tBMA: t−ブチルメタクリレート
1.6HXA: 1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
1.6HX: 1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート
3EGDMA: トリエチレングリコールジメタクリレート
DVB: ジビニルベンゼン
St: スチレン
(導電性金属層の形成)
実施例1
樹脂粒子(1)に水酸化ナトリウムによるエッチング処理を行った後、二塩化スズ溶液によるセンシタイジングを行った。さらに二塩化パラジウム溶液によるアクチベーティングを行い、パラジウム核を形成させた。次いで、パラジウム核を形成させた触媒化樹脂粒子10部をイオン交換水500部に添加し、超音波処理を10分間行い、粒子を十分分散させて微粒子懸濁液を得た。別途、硫酸ニッケル六水和物濃度が50g/L、次亜リン酸ナトリウム一水和物濃度が30g/L、クエン酸ナトリウム濃度が40g/Lであり、水酸化ナトリウム水溶液でpHを7.0に調整した無電解ニッケルメッキ液を調製した。前記微粒子懸濁液を70℃で撹拌しながら、該無電解ニッケルメッキ液50部を徐々に添加して、膜厚が0.1μmになるまで基材粒子の無電解ニッケルめっきを行った。その後、イオン交換水で洗浄後、アルコール置換を行って真空乾燥を行い、導電性微粒子(1)を得た。導電性微粒子(1)の導電性金属層の膜厚は0.1μmであり、導電性金属層(ニッケルメッキ層)におけるリン含有率は5.5%であった。
実施例1において基材として表3に示す樹脂粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様にして導電性微粒子(2)〜(7)、(c1)〜(c6)を作製した。得られた導電性微粒子における導電性金属層の膜厚及びリン含有率は表3に示すとおりであった。
基材として樹脂粒子(2)を用い、メッキ液を硫酸ニッケル六水和物濃度が50g/L、次亜リン酸ナトリウム一水和物濃度が60g/L、クエン酸ナトリウム濃度が40g/Lであり、水酸化ナトリウム水溶液でpHを7.5に調整した無電解ニッケルメッキ液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして導電性微粒子を作製した。得られた導電性微粒子における導電性金属層の膜厚及びリン含有率は表3に示すとおりであった。
実施例および比較例で得られた導電性微粒子を用い、下記の方法に従い、異方性導電材料(異方性導電ペースト)の調製および接続構造体の作製を行い、圧痕形成の有無および初期抵抗値を評価した。評価結果を表3に示す。
すなわち、自転公転式攪拌機を用いて、導電性微粒子2.0部に、バインダー樹脂としてエポキシ樹脂(三井化学社製「ストラクトボンド(登録商標)XN−5A」)100部を添加して10分間攪拌して分散させ、導電性ペーストを得た。
得られた異方性導電ペーストを、30μmピッチにITO電極が配線されたガラス基板と30μmピッチにアルミパターンを形成したガラス基板との間に挟みこみ、3MPa、170℃の圧着条件で熱圧着するとともに、バインダー樹脂を硬化させることによって接続構造体を得た。
また実施例においてニッケル層におけるリン含有率が11.2%と高い場合に比べて、10%以下の場合のほうが初期抵抗値が一層低い接続が得られた。
Claims (5)
- 樹脂粒子からなる基材と、該基材の表面に形成された少なくとも一層の導電性金属層とを有する導電性微粒子であって、前記樹脂粒子の個数平均粒子径は2.4μm以上であり、前記樹脂粒子がその直径に対して10%変位したときの圧縮弾性率(10%K値)、20%変位したときの圧縮弾性率(20%K値)、30%変位したときの圧縮弾性率(30%K値)の関係が下記式
10%K値>20%K値>30%K値
を満足するとともに、
前記樹脂粒子の10%K値が、7,000N/mm2以上であることを特徴とする導電性微粒子。 - 前記樹脂粒子の圧縮率が直径の10〜50%となる範囲で測定した時、圧縮弾性率が最小となる圧縮率が30%以上である、請求項1記載の導電性微粒子。
- 前記樹脂粒子が、ビニル重合体粒子である、請求項1または2に記載の導電性微粒子。
- 前記導電性金属層の最外層がニッケル層である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性微粒子。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の導電性微粒子をバインダー樹脂に分散してなることを特徴とする異方性導電材料。
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