JP2017210716A - 遮音扉構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】遮音性能を向上させることが可能な遮音扉構造を提供する。【解決手段】本発明に係る遮音扉構造1は、スリット状開口部50を有する共鳴器10が、扉100に埋設されることを特徴とする。【選択図】 図4

Description

本発明は、扉で隔てられた空間における遮音性を高めるための遮音扉構造に関する。
扉の遮音性能を向上させるためには、扉本体の遮音性能を向上させると共に、扉と枠体部または床面との間の隙間を透過する音を遮断することが必要である。
例えば、特許文献1(特開2006−225909号公報)には、開口部の上側及び両側の三方に配置された枠体と、該枠体内に嵌着された周縁気密部材と、上縁側及び両縁側が前記周縁気密部材に当接して前記開口部を閉塞すると共に、前記開口部の下側に当接して下側を遮蔽する下部気密装置を有する一対の扉とによって構成され、前記一対の扉の一方が、他方の扉の当接部分に召合せ部を有し、その召合せ部に召合せ気密部材が配された遮音扉が開示されている。
特開2006−225909号公報
従来、扉と枠体部との間の隙間の透過音を低減させるために、扉と枠体部との間にガスケット等のエアタイト装置を設置したり、扉の開閉に連動する上下するエアタイト装置を扉下部に設置したり、扉或いは枠体部の隙間に面する面に吸音材を設置しりする、といった対策が必要に応じて施されている。
上記のような対策が施されたとしても扉周囲の隙間が遮音上の弱点となり、主として1kHz〜4kHz帯域において、扉の遮音性能は、扉本体が持つ遮音性能(隙間が完全に塞がれていることを前提とした遮音性能)と比較して低下する、という問題があった。
また、エアタイト装置は、設置後時間が経過すると共に劣化や機構的なズレが生じて、扉と枠体部との間の隙間を適切に塞ぐことができなくなり、そのため、所定の遮音性能を維持するためには定期的なメンテナンスが必要になる、という問題もあった。
また、住戸内の扉などにおいては、換気の必要性から扉下部と床面との間に10mm程度のアンダーカットを設ける必要があり、上記のエアタイト装置は設置できない、という問題もあった。
この発明は、上記課題を解決するものであって、本発明に係る遮音扉構造は、スリット状開口部を有する共鳴器が、扉に埋設されることを特徴とする。
また、本発明に係る遮音扉構造は、スリット状開口部を有する共鳴器が、前記スリット状開口部が対向するように、扉と、前記扉を囲む枠体部とに埋設されることを特徴とする。
また、本発明に係る遮音扉構造は、スリット状開口部を有する共鳴器が、前記スリット状開口部が対向するように、扉の召し合わせ部に埋設されることを特徴とする。
また、本発明に係る遮音扉構造は、前記扉によって隔てられる2つの空間の中間部に、エアタイト装置が設けられることを特徴とする。
また、本発明に係る遮音扉構造は、前記スリット状開口部の両側に隔壁部が配されることを特徴とする。
本発明に係る遮音扉構造によれば、メンテナンスを要するエアタイト装置などを配することなく、特に1kHz〜4kHz帯域において遮音性能を向上させることが可能となり、エアタイト装置が設置できないようなケースでも、遮音性を確保することができる。
また、本発明に係る遮音扉構造で用いる共鳴器は、設置後長期間経過しても劣化やズレが生じることは無いので、メンテナンスは不要である、というメリットがある。
また、本発明に係る遮音扉構造で用いる共鳴器は、同一断面の長尺体であるので、製作及び取付けが容易である、というメリットを有する。
本発明の実施形態に係る遮音扉構造1の原理を説明する図である。 本発明の実施形態に係る遮音扉構造1に用いる共鳴器10を説明する図である。 本発明の実施形態に係る遮音扉構造1の正面図である。 図3のX−X’の断面図である。 本発明の実施形態に係る遮音扉構造1に用いる共鳴器10の製造工程例を説明する図である。 本発明の他の実施形態に係る遮音扉構造1の断面図である。 本発明の他の実施形態に係る遮音扉構造1の断面図である。 本発明の他の実施形態に係る遮音扉構造1の正面図である。 図8のY−Y’の断面図である。 本発明の他の実施形態に係る遮音扉構造1の断面図である。 本発明の他の実施形態に係る遮音扉構造1に用いる共鳴器10を説明する図である。 本発明の他の実施形態に係る遮音扉構造1の断面図である。 本発明の他の実施形態に係る遮音扉構造1の断面図である。 共鳴器10を両側配置した場合と、片側配置した場合の解析例を示す図である。 本発明の他の実施形態に係る遮音扉構造1に用いる共鳴器10を説明する図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。まず、本発明に係る遮音扉構造1が採用する騒音低減方法の原理について説明する。図1は本発明の実施形態に係る遮音扉構造1の原理を説明する図である。また、図2は本発明の実施形態に係る遮音扉構造1に用いる共鳴器10を説明する図である。
図1は、扉と枠体部との間の隙間を模式的に示した斜視図である。上記のような隙間などの内部(管路)を騒音が伝搬するとき、隙間の断面寸法(騒音伝搬方向に対して垂直な面)が騒音の波長に比べて半分以下の場合、騒音は管路内を平面波として一次元的に伝搬する。
以下、本明細書中の実施形態に係る上記のような隙間においては、上流側(音源室)に騒音源が存在し、騒音源からの騒音が下流側(受音室)に伝搬されることを例として説明を行う。また、隙間の長手方向は水平方向に配される例を説明するが、隙間が鉛直方向に配されることもある。
本発明では、扉と枠体部との間で形成される隙間において、隙間を形成する4つの内壁のうち、斜視図の上下で対向する2つの内壁を、音響的に“ソフト”な状態とすることを想定している。
図1に示すように、隙間の内側で対向する壁面が音響的に“ソフト”な状態、すなわち、壁面の表面における音響インピーダンス比Zが0であるとき、上流側から伝搬してきた騒音は上流側へ反射され下流側へ伝搬しないことが知られている。
なお、本実施形態では、表面における音響インピーダンス比Zが0である対向する2つの壁面が、鉛直方向で対向する例に基づいて説明を行っているが、表面における音響インピーダンス比Zが0である対向する2つの壁面が、水平方向で対向するものであってもよい。
特許第3831263号公報や特許第5454369号公報に記載の既存技術では、音響管の管長が1/4波長と等しくなる周波数及びその奇数倍の周波数で、当該音響管の管口での音響インピーダンス比Zが0となることを利用している。本発明においては、壁面の表面における音響インピーダンス比Zを0とし、壁面を音響的に“ソフト”な状態とするために、共鳴器10を用いる。
本発明に係る遮音扉構造1では、図2に示す背後に密閉された空洞を持つスリット構造による共鳴現象が生じる共鳴器10を利用する。図2(A)は共鳴器10の斜視図である。また、図2(B)は、図2(A)の共鳴器10のスリット状開口部50の長手方向を垂直で切って見た断面図である。
図2に示すように、本発明に係る遮音扉構造1に用いる共鳴器10は、基本的に、内側の空間が中空である四角柱状の筐体40から構成されている。共鳴器10を構成する筐体40の一面には、長手状のスリット状開口部50と、このスリット状開口部50の両側に配され、共鳴器10の内側の空間に延在する隔壁部60と、を有することを特徴としており、このような構造により共鳴器として機能する。共鳴器10の各寸法は図1に示す記号で表す。なお、スリット状開口部50が構成されている筐体40の一面と、隔壁部60とは互いに直交している。
共鳴器10の各寸法が波長に対して十分に小さい場合、スリット状開口部50における音響インピーダンス比Zは次式(1)で求めることができる。
Figure 2017210716
ただし、fは騒音の周波数、cは音速、ρは媒質(空気)密度を表す。また、Vnは、スリット状開口部50と隔壁部60とで囲まれた、図2(B)の斜線部以外の空間の体積で、開口端補正を考慮して次式(2)で計算される。なお、式(2)における[ ]内の第2項が、開口端補正に関連する項である。また、図2(B)で斜線部の空間は、共鳴器10としての空気層に相当する。
Figure 2017210716
また、Vは共鳴器10の空洞部の体積(空気層の体積)で、次式(3)で計算される。
Figure 2017210716
また、Sは、スリット状開口部50(スリット開口)の面積で、次式(4)で計算される。
Figure 2017210716
式(1)の右辺第1項のrは、共鳴器として機能している共鳴器10の隔壁部60表面と空気の間に生じる摩擦などの音響抵抗である。隔壁部60を金属など表面が平滑な材料で構成する場合、音響抵抗rは極めて小さな値となり、次式を満足する共鳴周波数fにおいてスリット状開口部50の開口における音響インピーダンス比Zがほぼ0となる。
Figure 2017210716
このような2つの共鳴器10を、特に、図3や図4に示すように、扉100と枠体部110との間に沿って対向配置すると、上記の周波数fにおいては対向するスリットスリット部が音響的に“ソフト”な状態となり、上流側から伝搬してきた周波数fの騒音は上流側へ反射され下流側に伝搬しない。図3は本発明の実施形態に係る遮音扉構造1の正面図である。また、図4は図3のX−X’の断面図である。
図3及び図4において、2枚の扉100は、枠体部110と床120とに四方を囲まれ、不図示のヒンジ構造により開閉可能に構成されている。本発明の実施形態に係る遮音扉構造1では、扉100の上部において、扉100と枠体部110に、互いのスリット状開口部50が対向するように、共鳴器10同士を配置してそれぞれに埋設している。また、扉100の下部において、スリット状開口部50が床120に対向するようにして、共鳴器10を扉100に埋設している。
図3及び図4の上部側に示すような、1対の共鳴器10からなる遮音扉構造1によれば、共鳴器10の共鳴周波数において、対向した共鳴器10のスリット状開口部50における音響インピーダンス比がほぼ0となり、音源室S(上流側)から入射した騒音は音源室S側へ反射され、受音室R側(下流側)に伝搬することがない。
図3及び図4の下部側の遮音扉構造1においては、床120に共鳴器10を設置することができないので、片側配置となる。図3及び図4の下部側に示すような、単体の共鳴器10のみからなる遮音扉構造1においては、共鳴器10を対向させていないので、前述した原理図の構成とは異なる。しかしながら、扉100と床120との間の隙間が音波の波長に対して狭く、共鳴器10のスリット状開口部50が、対向する面である床120の面の音圧反射率が高い場合は、共鳴器10の片側設置でも原理的に同様の透過音低減効果が得られる。
なお、図3及び図4に示す実施形態では、扉100の下部において、共鳴器10を片側配置とした例を示したが、同様に、扉100の側面や上部においても共鳴器10を片側配置としてもよい。ただし、後述するように、共鳴器10を隙間に面する面の両側に配置する方が透過音低減効果は大きい。
また、図3及び図4に示す実施形態では、2枚の扉100が、枠体部110と床120とで四方を囲まれる場合について説明したが、扉100が、四方枠で囲まれるような構成の場合でも本発明を適用することができる。この場合、四方枠の枠体の一部(下部)が、床120に相当するものとなる。
次に、遮音扉構造1を構成する共鳴器10の製造工程を説明する。図5は本発明の実施形態に係る遮音扉構造1に用いる共鳴器10の製造工程例を説明する図である。
外殻部材20は、6面のうち1つの面が開口面25となっている直方体形状の箱状部材である。L型部材30は、断面がL字状で、互いに直交する2つの面を有する部材である。
図5に示すように、上記のようなL型部材30を2つ、外殻部材20の開口面25に取り付けることで、共鳴器10を製造することが可能である。
外殻部材20の開口面25に取り付けられた2つのL型部材30の間の間隔が、スリット状開口部50となる。また、L型部材30の2つの面のうち一つの面が、共鳴器10の隔壁部60として機能する。
以上のような共鳴器10の製造方法において、予め種々の寸法の、外殻部材20、L型部材30を用意しておくことで、低減したい周波数を容易に変更可能な遮音扉構造1を構成することが可能となる。
以上、本発明に係る遮音扉構造1は、音響インピーダンス比が0となるスリット状開口部50を有する共鳴器10が、扉100に埋設される構造をとっているので、このような本発明に係る遮音扉構造1によれば、メンテナンスを要するエアタイト装置などを配することなく、特に1kHz〜4kHz帯域において遮音性能を向上させることが可能となり、エアタイト装置が設置できないようなケースでも、遮音性を確保することができる。
また、本発明に係る遮音扉構造1で用いる共鳴器は、設置後長期間経過しても劣化やズレが生じることは無いので、メンテナンスは不要である、というメリットがある。
また、本発明に係る遮音扉構造1で用いる共鳴器10は、同一断面の長尺体であるので、製作及び取付けが容易である、というメリットを有する。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。本発明に係る遮音扉構造1は、エアタイト装置が不要であることを大きな特徴点としているものの、エアタイト装置と併用することを妨げるものではない。
図6は本発明の他の実施形態に係る遮音扉構造1の断面図である。図6に示す実施形態では、扉100と枠体部110に共鳴器10を埋設した構造とした上で、さらに、扉100と枠体部110との間に、エアタイト装置としてガスケット141を設けるようにしている。
このように、本発明に係る遮音扉構造1は、エアタイト装置や吸音材等の既存の遮音対策手段と組み合わせて実施するようにしても良い。扉100で隔てられた空間のうち、音が発生する側(音源室S)と静寂性を求められる側(受音室R)が明らかな場合は、共鳴器10はエアタイト装置より音源室S側に設置する。これにより、扉100と枠体部110との間の隙間を透過する音を効率よく音源室S側へ反射できる。
このような遮音扉構造1によれば、エアタイト装置のメンテナンスは必要となってくるものの、透過音低減効果は大きく、遮音性を確保することが可能となる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態に係る遮音扉構造1も、エアタイト装置を併用するものである。
図7は本発明の他の実施形態に係る遮音扉構造1の断面図である。図7に示す実施形態では、扉100に共鳴器10を埋設した構造とした上で、さらに、扉100と床120との間に、エアタイト装置として扉開閉連動型エアタイト装置142を設けるようにしている。扉開閉連動型エアタイト装置142においては、シール部材143が不図示の駆動源により上下動されることによって、遮音が必要なときに、扉100と床120との間の空間をシール部材143が遮蔽するようになっている。
本実施形態に係る遮音扉構造1によれば、エアタイト装置のメンテナンスは必要となってくるものの、透過音低減効果は大きく、遮音性を確保することが可能となる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図8は本発明の他の実施形態に係る遮音扉構造1の正面図である。また、図9は図8のY−Y’の断面図である。
図8及び図9に示す本実施形態に係る遮音扉構造1では、扉100の召し合わせ部105において、扉100の側面に、互いのスリット状開口部50が対向するように、共鳴器10同士を配置し扉100内に埋設している。図8及び図9に示す本実施形態では、さらに、扉100の側面同士の間に、エアタイト装置として、ゴムひれ147を設けるようにしている。
図8及び図9に示す遮音扉構造1は、例えばホール・劇場の客席出入口等に設置される両開き扉の召し合わせ部分に共鳴器10を設置した例である。このような遮音扉構造1によれば、ゴムひれ147のメンテナンスは必要となってくるものの、ホール内・劇場内の音源室Sからの透過音低減効果は大きく、大きな遮音性を期待することができる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図10は本発明の他の実施形態に係る遮音扉構造1の断面図である。
本実施形態においては、図10に示すように、扉100と枠体部110と間の隙間の隣りに、2つの共鳴器10のスリット状開口部50が対向する空間がレイアウトされるように、2つの共鳴器10が配される。
このような実施形態によれば、メンテナンスを要するエアタイト装置などを配することなく、特に1kHz〜4kHz帯域において遮音性能を向上させることが可能となる。さらに、騒音低減対策がなされていない既存の扉構造に後付けで、本発明に係る遮音扉構造1を付加することが可能となる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。これまで説明した実施形態に係る遮音扉構造1は、式(5)により決定される共鳴周波数fにおいて騒音低減効果を発揮する。共鳴周波数fは図2に示した各寸法A,B,C,a,lを調整することで騒音の周波数特性に合わせることができる。
しかし、遮音扉構造1で低減しようとする、対象となる騒音が、周波数特性に複数のピーク周波数を持っていたり、広帯域に周波数成分を持っていたり場合、異なる共鳴周波数を持つ共鳴器10を組み合わせる必要がある。
そこで、他の実施形態に係る遮音扉構造1に用いる共鳴器10では、複数の共鳴周波数を持つ装置を単純かつ少ない部材で構成する。より具体的には、本実施形態に係る遮音扉構造1では、共鳴器10は1面が開放されている直方体形状の外殻部材20(すでに説明したものと同様)と、一枚板状の仕切り板部材35及び寸法の異なるL型部材30(すでに説明したものと同様)で構成される。
図11は本発明の他の実施形態に係る遮音扉構造1に用いる共鳴器10を説明する図である。図11(A)は他の実施形態に係る遮音扉構造1に用いる共鳴器10の分解斜視図である。また、図11(B)は他の実施形態に係る遮音扉構造1に用いる共鳴器10の斜視図である。また、図11(C)は、共鳴器10が埋設された扉100と枠体部110とを、共鳴器10の長手方向を垂直に切って見た断面図である。
図11(A)及び図11(B)に示すように、上記のようなL型部材30を2つ、及び、仕切り板部材35を1つ、外殻部材20の開口面25に取り付けることで、共鳴器10を製造することが可能である。なお、仕切り板部材35は、この場合、隔壁部60としても機能する。
図11のように外殻部材20、L型部材30、仕切り板部材35を組み合わせることで、1つの共鳴器の中に、空間A及び空間Bを有する2つのスリット共鳴器を構成することができる。それぞれの共鳴器はそれぞれの共鳴周波数f1、f2においてスリット状開口部50の音響インピーダンス比Zがほぼ0となり、図11(C)に図示するようにこれらを、扉100と枠体部110とに対向配置することで複数の周波数に対して騒音低減効果を発揮する。
以上のような他の実施形態に係る遮音扉構造1は、仕切り板部材35の位置とL型部材30の寸法を変えれば、同じ寸法の外殻部材20と仕切り板部材35を用いて様々な共鳴周波数を持つ共鳴器10が構成可能である。
図12は本発明の他の実施形態に係る遮音扉構造1の断面図である。扉100と枠体部110とに、3つのスリット共鳴器が構成されたものを対向して埋設している。
図12に示すように、仕切り板部材35とL型部材30の数を増やせば、空間A、空間B及び空間Cを有する3つのスリット共鳴器を構成することができ、1つの外殻部材20の中に3つ以上の異なる共鳴周波数を持つ共鳴器10を構成することが可能である。なお、仕切り板部材35は、この場合、隔壁部60としても機能する。
また、図13は本発明の他の実施形態に係る遮音扉構造1の断面図である。扉100と枠体部110とに、3つのスリット共鳴器が構成されたものを対向して埋設している。
図13の他の実施形態に係る遮音扉構造1においては、共鳴器10は空間A及び空間Cからなる2つの共鳴器が、間隔at離れた2枚の仕切り板部材35で隔てられた構成となっている。この場合、2つの共鳴器の間のスリットは、背後に空気層を持たないスリット状開口部50となる。なお、仕切り板部材35は、この場合、隔壁部60としても機能する。
このような共鳴器10を扉100と枠体部110とに埋設して対向配置した場合、扉100と枠体部110との隙間の断面寸法、及び、仕切り板部材35の間隔atが半波長以下となる周波数に対して、背後に空気層を持たないスリット状開口部50は音響管(空間B)として機能する。
このとき、外殻部材20の寸法Dが音響管の管長に相当し、波長の1/4がDと等しくなる周波数ft及びその奇数倍の周波数において、音響管のスリット状開口部50の音響インピーダンス比Zが0となり騒音低減効果を発揮する。
一般に、上記のftはスリット共鳴器(図12の空間A及び空間C)の共鳴周波数f1あるいはf2より高い周波数となるため、図13のようにスリット共鳴器と音響管を組み合わせた構造の共鳴器10による遮音扉構造1は、幅広い周波数に対して騒音低減効果を発揮することができる。
なお、繰り返しになるが、扉100と枠体部110と間の隙間の断面寸法及び仕切り板の間隔atが半波長以下となる周波数に対して、背後に空気層を持たないスリットは音響管として機能する。特許文献1及び特許文献2記載の従来技術は、矩形断面の音響“管”を構成するために多数の仕切り板を必要とした。これに対して、本発明においては、これらの仕切り板は不要である。
次に、対の共鳴器10を両側に対向配置した遮音扉構造1と、共鳴器10を片側のみに配置した遮音扉構造1との相違について説明する。図14は共鳴器10を両側配置した場合と、片側配置した場合の解析例を示す図であり、図14(A)は共鳴器10の両側配置を解析した際の寸法関係を示し、図14(B)は共鳴器10の片側配置を解析した際の寸法関係を示し、図14(C)は、共鳴器10による扉100と枠体部110と間の隙間透過音低減効果を示す。
図14では、幅10mm、長さ40mmの前記隙間について、共鳴器10による透過音低減効果を2次元境界要素法により解析した結果を示している。
図14で図示した寸法では、共鳴器10の共鳴周波数は約1,900Hzである。透過音低減効果は、共鳴器10の共鳴周波数においてピークとなる周波数特性を示す。なお、共鳴器10の寸法は図に示す値に限定されるものではなく、目標とする共鳴周波数により適宜設定され得る。
図14(C)から分かるように、共鳴器10の片側配置より両側配置の方が透過音低減効果の絶対値、及び効果の得られる周波数範囲が広い。このため、扉100の側面や上部、両開き扉の召し合わせ部については、隙間に面する面の両側に共鳴器10を設置することでより高い扉の遮音性能を実現できる。しかしながら、隙間が床120との間に形成され、共鳴器10を設置しにくいような場所では、共鳴器10の片側配置のみでも透過音低減効果を期待することができる。
一般的に扉の遮音性能は、主として1kHz〜4kHzの特定の帯域で落ち込む場合が多く、その帯域に遮音扉構造1における共鳴器10の共鳴周波数を設定すれば、落ち込んだ遮音性能を大きく改善できる。その結果、扉の遮音性能を全体的に向上できる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図15は本発明の他の実施形態に係る遮音扉構造1に用いる共鳴器10を説明する図である。
図15(A)はこれまで説明してきた実施形態に係る遮音扉構造1に用いた共鳴器10を示しており、図15(B)は本実施形態に係る遮音扉構造1に用いる共鳴器10を示している。本実施形態に係る遮音扉構造1では、図15(B)に示す共鳴器10を、扉100と枠体部110の両側に(又は、扉100又と枠体部110の片側のみに)配することを特徴としている。
図15(A)に示すように、これまで説明してきた実施形態に係る遮音扉構造1の共鳴器10は、スリット状開口部50の両側に配され隔壁部60が設けられ、これらの隔壁部60は奥行き方向にlの長さを有するものであった。
これに対して、本実施形態に係る遮音扉構造1の共鳴器10は、スリット状開口部50の両側の隔壁部60が省かれた構造を有している。隔壁部60が省かれているが、この代わりに、少なくともスリット状開口部50が含まれる共鳴器10の前面の板厚がlの厚さを有するものとなっている。
前記板厚lにより、本実施形態で用いる共鳴器10においても、先の実施形態で説明したVnが生じることとなる。これにより、隔壁部60が省かれた共鳴器10が用いられる本実施形態に係る遮音扉構造1によっても、これまで説明した遮音扉構造1と同様の効果を享受することが可能となる。
以上、本発明に係る遮音扉構造によれば、メンテナンスを要するエアタイト装置などを配することなく、特に1kHz〜4kHz帯域において遮音性能を向上させることが可能となり、エアタイト装置が設置できないようなケースでも、遮音性を確保することができる。
また、本発明に係る遮音扉構造で用いる共鳴器は、設置後長期間経過しても劣化やズレが生じることは無いので、メンテナンスは不要である、というメリットがある。
また、本発明に係る遮音扉構造で用いる共鳴器は、同一断面の長尺体であるので、製作及び取付けが容易である、というメリットを有する。
1・・・遮音扉構造
10・・・共鳴器
20・・・外殻部材
25・・・開口面
30・・・L型部材
35・・・仕切り板部材
40・・・筐体
50・・・スリット状開口部
60・・・隔壁部
70・・・仕切り板部材
100・・・扉
105・・・召し合わせ部
110・・・枠体部
120・・・床
130・・・壁体
141・・・ガスケット(エアタイト装置)
142・・・扉開閉連動型エアタイト装置
143・・・シール部材
147・・・ゴムひれ(エアタイト装置)
S・・・音源室
R・・・受音室

Claims (5)

  1. スリット状開口部を有する共鳴器が、
    扉に埋設されることを特徴とする遮音扉構造。
  2. スリット状開口部を有する共鳴器が、
    前記スリット状開口部が対向するように、扉と、前記扉を囲む枠体部とに埋設されることを特徴とする遮音扉構造。
  3. スリット状開口部を有する共鳴器が、
    前記スリット状開口部が対向するように、扉の召し合わせ部に埋設されることを特徴とする遮音扉構造。
  4. 前記扉によって隔てられる2つの空間の中間部に、エアタイト装置が設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の遮音扉構造。
  5. 前記スリット状開口部の両側に隔壁部が配されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の遮音扉構造。
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