JP7349884B2 - 共鳴器の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、受音側における騒音を低減する種々の騒音低減構造に用いられる共鳴器の製造方法を提供する。
これまで発明者は、長尺状スリット共鳴器を用いて建物に設けた換気用開口からの騒音伝搬を低減する方法について、例えば、特許文献1(特開2017-101530号公報)において、建物の換気用開口部からの騒音を低減する騒音低減構造として、前記換気用開口部が設けられている内装壁に、スリット状開口部を有する共鳴器を対向するように対で配することを提案した。
特開2017-101530号公報
提案している共鳴器を用いた騒音低減法においては、スリット状開口部を有する共鳴器(スリット共鳴器、とも言う。)の断面形状によって定まる共鳴周波数に近い周波数において大きな騒音低減効果が得られる。従って、スリット共鳴器の共鳴周波数、即ち断面形状は、実際に低減したい騒音の周波数特性に合わせて調整されることが望ましい。断面形状が一定な長尺状のスリット共鳴器を安価に大量に製造するには、押出成形する方法がある。
しかしながら、押出成形によってスリット共鳴器を製造する方法では、以下のような課題があった。すなわち、
(1)断面形状の大きな長尺状スリット共鳴器を一体製作するためには、サイズの大きい型材が必要になる。サイズの大きい型材は、型材自体の製作コストが増大するとともに、そのサイズで押出加工を行う生産設備が大型化し加工に伴うコストも増大する、という課題。
(2)型材の強度不足により、スリット開口の幅が小さい(1~2mm 或いはそれ以下)長尺状スリット共鳴器を押出加工により製作することができない、という課題。スリット共鳴器におけるスリット部分は、型材では凸部となるため、スリット開口に相当する幅の小さい凸部の強度が不足してしまう。
この発明は、上記のような問題を解決するものであって、本発明に係る共鳴器の製造方法は、長尺状の筐体と、前記筐体の一面に設けられるスリット状開口部と、前記スリット状開口部の両側に配される一対の隔壁部と、を有する共鳴器の製造方法であって、材料を、前記一対の隔壁部のうちの一方の隔壁部と前記筐体の一部とを含む長尺状半割部材に加工する加工工程と、前記加工工程で加工された2つの長尺状半割部材を接合する接合工程と、を含み、前記長尺状半割部材には、接合用の接合片が形成されており、前記接合工程では前記接合片同士を接合することを特徴とする。
また、本発明に係る共鳴器の製造方法は、前記接合工程の前段の工程として、前記長尺状半割部材における隔壁部の切断を行う切断工程を、さらに含むことを特徴とする。
また、本発明に係る共鳴器の製造方法は、前記接合工程では、前記接合片の間に接合部スペーサを介在させ、前記接合片同士を接合することを特徴とする。
また、本発明に係る共鳴器の製造方法は、前記加工工程では、寸法の異なる2種類の長尺状半割部材を加工し、前記接合工程では、前記加工工程で加工された寸法の異なる長尺状半割部材同士を接合することを特徴とする。
また、本発明に係る共鳴器の製造方法は、長尺状の筐体と、前記筐体の一面に設けられるスリット状開口部と、前記スリット状開口部に配される隔壁部と、を有し、前記隔壁部と対向する前記筐体内壁部との間をスリット部として共鳴現象が生じる共鳴器の製造方法であって、材料を、前記隔壁部と前記筐体の一部とを含む長尺状第1部材と、前記隔壁部は含まず前記筐体の一部を含む長尺状第2部材と、に加工する加工工程と、前記加工工程で加工された前記長尺状第1部材と前記長尺状第2部材とを接合する接合工程と、を含み、前記長尺状第1部材と前記長尺状第2部材とには、接合用の接合片が形成されており、前記接合工程ではそれぞれの接合片同士を接合することを特徴とする。
また、本発明に係る共鳴器の製造方法は、前記接合工程の前段の工程として、前記長尺状第1部材における隔壁部の切断を行う切断工程を、さらに含むことを特徴とする。
また、本発明に係る共鳴器の製造方法は、前記接合工程では、前記接合片の間に接合部スペーサを介在させ、前記接合片同士を接合することを特徴とする。
また、本発明に係る共鳴器の製造方法は、前記長尺状第1部材が、2つ以上用いられることを特徴とする。
本発明に係る共鳴器の製造方法は、一対の隔壁部のうちの一方の隔壁部と筐体の一部とを含む長尺状半割部材に加工する加工工程と、この加工工程で加工された2つの長尺状半割部材を接合する接合工程と、を有しており、このような本発明に係る共鳴器の製造方法によれば、(1)断面形状の大きな長尺状の共鳴器を製造する場合でも、サイズの大きい型材を要することなく、型材自体の製作コスト、当該型材を使った押出加工を行う生産設備のコストを低減することができ、さらに、(2)幅が狭いスリット状開口部を有する共鳴器の製造においても、型材の薄肉化に伴う強度不足などを考慮する必要がない、という効果を奏する。
騒音低減構造で用いる共鳴器10を説明する図である。 換気用開口構造100に2つの共鳴器10を適用した例を説明する図である。 本発明に係る共鳴器の製造方法で用いるダイス90の一例を示す図である。 本発明に係る共鳴器の製造方法における加工工程を示す図である。 本発明に係る共鳴器の製造方法における接合工程を示す図である。 本発明に係る共鳴器の製造方法によって製造した共鳴器10の断面図である。 本発明に係る共鳴器の製造方法によって製造した共鳴器10の斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係る共鳴器の製造方法を説明する図である。 本発明の第2の実施形態に係る共鳴器の製造方法によって製造した共鳴器10の断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る共鳴器の製造方法によって製造した共鳴器10の断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る共鳴器の製造方法によって製造した共鳴器10の断面図である。 本発明の第5の実施形態に係る共鳴器の製造方法に用いる長尺状半割部材70を説明する図である。 本発明に係る共鳴器の製造方法で製造される共鳴器10の数値解析を説明する図である。 他の構造を有する共鳴器10の断面図である。 実験のパターンを示す図である。 実証実験の結果を示す図である。 本発明の第6の実施形態に係る共鳴器の製造方法における加工工程及び接合工程を説明する図である。 本発明の第6の実施形態に係る共鳴器の製造方法によって製造した共鳴器10の断面図である。 本発明の第7の実施形態に係る共鳴器の製造方法によって製造した共鳴器10の断面図である。 本発明の第8の実施形態に係る共鳴器の製造方法によって製造した共鳴器10の断面図である。 本発明の第9の実施形態に係る共鳴器の製造方法の概念を説明する図である。 本発明の第10の実施形態に係る共鳴器の製造方法によって製造した共鳴器10の断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。騒音低減構造では、図1に示すような背後に密閉された空洞を持つ、スリット構造によって共鳴現象が生じる共鳴器10を利用する。図1(A)はそのような共鳴器10の斜視図である。また、図1(B)は、図1(A)の共鳴器10のスリット状開口部50の長手方向を垂直で切って見た断面図である。
図1に示すように、本発明に係る騒音低減構造に用いる共鳴器10は、基本的に、内側の空間が中空である四角柱状の筐体40から構成されている。このような筐体40は、断面が略矩形をなした長尺状の部材である。図1において、筐体40の長手方向と垂直な断面が、前記矩形をなすものである。共鳴器10を構成する筐体40の一面には、長手状のスリット状開口部50と、このスリット状開口部50の両側に配され、共鳴器10の内側の空間に延在する隔壁部60と、を有することを特徴としている。対向する2つの隔壁部60は基本的には同様の寸法を有している。ここで、共鳴現象が生じる共鳴器10の各寸法は図1に示す記号で表す。なお、スリット状開口部50が構成されている筐体40の一面と、隔壁部60の主面とは互いに直交している。
共鳴器10の各寸法が波長に対して十分に小さい場合、スリット状開口部50における音響インピーダンス比Zは次式(1)で求めることができる。
Figure 0007349884000001

ただし、fは騒音の周波数、cは音速、ρは媒質(空気)密度を表す。また、Vnは、スリット状開口部50と隔壁部60とで囲まれた、図1(B)の斜線部以外の空間の体積(対向する隔壁部60の間の空間の体積。当該空間を「スリット部」と称する。)で、開口端補正を考慮して次式(2)で計算される。なお、式(2)における[ ]内の第2項が、開口端補正に関連する項である。また、図1(B)で斜線部の空間は、共鳴現象が生じる共鳴器10の空気層に相当する。
Figure 0007349884000002

また、Vは共鳴器10の空洞部の体積(空気層の体積)で、次式(3)で計算される。
Figure 0007349884000003
また、Sは、スリット状開口部50(スリット開口)の面積で、次式(4)で計算される。
Figure 0007349884000004
式(1)の右辺第1項のrは、共鳴現象が生じる共鳴器10の隔壁部60表面と空気の間に生じる摩擦などの音響抵抗である。隔壁部60を金属など表面が平滑な材料で構成する場合、音響抵抗rは極めて小さな値となり、次式を満足する共鳴周波数fにおいてスリット状開口部50の開口における音響インピーダンス比Zがほぼ0となる。
Figure 0007349884000005
このような共鳴現象を生じさせるものとして機能する、2つの共鳴器10を、例えば、図2に示すように、換気用開口構造100の上下の内壁105に沿って対向配置すると、上記の周波数fにおいては対向するスリット部が音響的に“ソフト”な状態となり、音源側から伝搬してきた周波数fの騒音は音源側へ反射され受音側に伝搬しない。
図2は換気用開口構造100に2つの共鳴器10を適用した例を説明する図である。図2は換気用開口構造100を、換気用開口構造100の長手方向(或いは、スリット状開口部50の長手方向)を垂直に切って見た断面図である。換気用開口構造100は内壁105を有しており、内壁105が囲む空間が通気路(通気経路)として機能する。
本実施形態に係る換気用開口構造100においては、音源側(建物外の屋外側)に騒音源が存在し、騒音源からの騒音が受音側(建物内の室内側)に伝搬されることを例として説明を行う。また、換気用開口構造100自体の長手方向(紙面に対して垂直な方向)は水平方向に設置されることを前提として説明するが、換気用開口構造100の設置方法はこのような例に限られない。
この換気用開口構造100においては、換気用開口構造100を形成する4つの内壁105のうち、上下で対向する2つの内壁105を、音響的に“ソフト”な状態とする。すなわち、図2に示すように、換気用開口構造100内側で、上下の内壁105に対向するように2つの共鳴器10が設けられることで、対向する壁面が音響的に“ソフト”な状態、すなわち、壁面の表面における音響インピーダンス比Zが0となり、音源側から伝搬してきた騒音は音源側へ反射され受音側へ伝搬しないようにする。
なお、本実施形態では、表面における音響インピーダンス比Zが0である対向する2つの壁面が、鉛直方向で対向する例に基づいて説明を行っているが、表面における音響インピーダンス比Zが0である対向する2つの壁面が、水平方向で対向するものであってもよい。
図2に示すような換気用開口構造100によれば、共鳴器10の共鳴周波数において、対向した共鳴器10のスリット状開口部50における音響インピーダンス比がほぼ0となり、屋外側(上流側)から入射した騒音は屋外側へ反射され室内側(下流側)に伝搬することがない。
ここで、図2では、本発明により製造される共鳴器10を換気用開口構造100に適用した例に基づいて説明を行ったが、共鳴器10はその他の構造に対しても適用可能である。要は、音源側と受音側との間に通気路(通気経路)または隙間が存在し、かつ、音源側から受音側へ伝搬する騒音を低減したい、というニーズがあるような例において、本発明による共鳴器10は適用可能である。例えば、共鳴器10は、窓辺などに用いられるルーバー、ファサードを構成するダブルスキン、空間同士を遮る扉などにおける騒音低減構造としても適用可能である。
次に、以上のような共鳴器10を製造する方法、すなわち、本発明に係る共鳴器の製造方法について説明する。図3は本発明に係る共鳴器の製造方法で用いる、型材であるダイス90の一例を示す図であり、ダイス90の正面図である。このようなダイス90には、押出し用穴95が形成されており、不図示の加圧装置により、この押出し用穴95から材料が押し出しされ続けることで、押出し用穴95の断面形状を有する長尺部材を得ることができる。当該材料としては、例えばアルミニウムなどの金属を用い得る。
図4は、前記のようなダイス90を用いた本発明に係る共鳴器の製造方法における加工工程を示す図である。図4に示す加工工程ではダイス90の押出し用穴95から材料を押し出すことによって、共鳴器10を構成する部材の一部を加工している様子を示している。本発明においては、このような部材を、長尺状半割部材70と称する。この長尺状半割部材70は、完成状態の共鳴器10を構成する一対の隔壁部60のうちの一方の隔壁部60と、筐体40の一部とを少なくとも含んでいる。本実施形態においては、長尺状半割部材70は、筐体40を構成する略矩形状の断面の半分を有している。
図4に示す長尺状半割部材70においては、一方の隔壁部60が図示されている。長尺状半割部材70において、筐体40を構成する一端部側に隔壁部60が設けられているとすると、他端部側には接合片73が設けられている。完成形を想定した場合、隔壁部60は筐体40の内部側に延出するように設けられているのに対して、接合片73は筐体40の外部側に延出するように設けられる。
図5は本発明に係る共鳴器の製造方法における接合工程を示す図であり、2つの長尺状半割部材70を接合し、完成形である共鳴器10となす工程を示すものである。なお、共鳴器10の長手方向の両端端部において共鳴器10を封止する方法については、適宜周知の方法を用いればよいので、本明細書においては詳細を省略する。
図5においては、接合する2つの長尺状半割部材70の断面をしている。図5に示すように、接合工程においては、長尺状半割部材70における接合片73の主面同士を、適切な方法で固着させる。このような接合工程で用いえる方法としては、ボルト留め、溶接、嵌合、或いは接着等の方法を挙げることができる。方法の如何を問わず、接合片73の接合により構成される接合部80が気密であればよい。必要であれば、接合片73の主面同士を固着する際には、パッキン等を挟むようにすることもできる。
以上のような接合工程を経て製造された共鳴器10の断面図を図6に示す。また、図7は、本発明に係る共鳴器の製造方法によって製造した共鳴器10の斜視図である。
長尺状半割部材70における、長尺状半割部材70の内壁面から接合片73の主面までの寸法C1により、共鳴器10における筐体40の対向する内壁間の寸法は、C(=C1+C1)となる。また、共鳴器10の長手方向の長さをAとすると、共鳴器10は式(5)で求められる周波数fにおける騒音低減効果を期待することができる。
なお、長尺状半割部材70同士の接合により得られる共鳴器10において、例えば接合部80の強度が不足し、スリット状開口部50において所定のスリット幅aが保持できない場合は、図7に示すように、スリット状開口部50の隔壁部60同士の間のスリット幅に等しい厚さaを有する開口部スペーサ55を挟むとよい。このとき、スリット状開口部50における空気の振動を阻害しないため、開口部スペーサ55は対向する隔壁部60同士が所定の間隔を保てる限り最小限とすることが望ましい。
以上のように、本発明に係る共鳴器10の製造方法は、一対の隔壁部60のうちの一方の隔壁部60と筐体40の一部とを含む長尺状半割部材に加工する加工工程と、この加工工程で加工された2つの長尺状半割部材70を接合する接合工程と、を有しており、このような本発明に係る共鳴器10の製造方法によれば、(1)断面形状の大きな長尺状の共鳴器10を製造する場合でも、サイズの大きい型材を要することなく、型材自体の製作コスト、当該型材を使った押出加工を行う生産設備のコストを低減することができ、さらに、(2)幅が狭いスリット状開口部を有する共鳴器10の製造においても、型材の薄肉化に伴う強度不足などを考慮する必要がない、という効果を奏する。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図8は本発明の第2の実施形態に係る共鳴器の製造方法を示す図であり、図9はこのような第2の実施形態に係る製造方法によって製造された共鳴器10の断面図である。本実施形態が先に記した第1の実施形態と相違する点は、接合工程の前段の工程として、長尺状半割部材70における隔壁部60の切断を行う切断工程を実行する点である。このような隔壁部60の切断については、接合工程で接合する2つの長尺状半割部材70のうち、一方の長尺状半割部材70のものであっても構わないし、両方の長尺状半割部材70のものであっても構わない。
図8及び図9では、切断工程では接合する2つの長尺状半割部材70のうち、一方の長尺状半割部材70の隔壁部60を切断する例を示している。
長尺状半割部材70においては、隔壁部60の長さl1は、隔壁部60の長さを変更する範囲のうち、最大値のlmaxと等しくおくようにする。切断工程を経ない長尺状半割部材70については、隔壁部60の長さl1(=lmax)を有するものとなる。
本実施形態においては、もう一方の長尺状半割部材70の寸法を切断工程により変更することでスリット共鳴器10の各寸法を変更するようにしている。このように本実施形態では、もう一方の長尺状半割部材70については、未処理の長尺状半割部材70を必要な寸法に応じて不要部分を切除する切断工程を実行しているが、所望の寸法を得るために都度型材を製作しても良い。ただし、このようにすると、新たな型材の製作コストを要してしまう、というデメリットはある。
図9に示すように、隔壁部60の長さをl2に変更することで共鳴周波数を調整することができる。
一方の長尺状半割部材70の隔壁部60の長さl2が、他方の長尺状半割部材70の隔壁部60の長さl1より短い場合、即ちl2<l1の場合、l2が共鳴器10のスリット隔壁長(隔壁部60の長さ)lとなる。このため、他方の長尺状半割部材70のスリット隔壁長l1を固定したままであっても、一方の長尺状半割部材70のスリット隔壁長l2を変更することで共鳴周波数を調整することができる(数値解析例を後述)。
このような他の実施形態によれば、先の実施形態による効果に加え、種々の寸法の共鳴器10を、切断工程を追加するだけで製造することが可能となり、異なる共鳴周波数の共鳴器10を簡単に得ることができる。
また、従来、騒音の周波数特性に合わせたスリット共鳴器を製作する為には、都度異なる型材が必要になり、スリット共鳴器の製造にかかる時間・コストが増大する、という課題を有していたが、このような本実施形態によれば、騒音の周波数特性に合わせた共鳴器を製造するために、都度異なる型材の用意が必ずしも必要でなくなり、共鳴器の製造にかかる時間・コストを低減することが可能となる、という効果を奏することができる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図10は本発明の第3の実施形態に係る共鳴器の製造方法によって製造した共鳴器10の断面図である。本実施形態が、これまでの実施形態と異なる点は、接合工程においては、接合片73の間に接合部スペーサ85を介在させ、接合片73同士を接合するようにしていることである。このような接合工程において接合部スペーサ85を介在させることは、第1の実施形態でも実施し得るし、第2の実施形態でも実施し得る。
また、本明細書においては、接合片73同士を接合した状態で、直接的に2つの長尺状半割部材70同士を固定した状態、及び、接合片73の間に接合部スペーサ85を介在させた状態で、間接的に2つの長尺状半割部材70同士を固定した状態のいずれも、2つの長尺状半割部材70同士を接合片73により接合することとして定義する。
図10に示すように、2つの長尺状半割部材70の接合部80にスペーサとなる接合部スペーサ85を挟むことで共鳴周波数を調整することが可能となる。
接合部スペーサ85の厚さをtとすると、共鳴器10の断面寸法(隔壁部60の長手方向が垂直方向とされた図でみて水平方向の内壁間の長さとして定義する)をC’=C1+t+C1、スリット幅をa’=a+tに、変更することができる。(図9に示す共鳴器10を基準として。)
すなわち、新たに型材を製作することなく、共鳴器10の断面寸法C 及びスリット幅a(スリット状開口部50の隔壁部60同士の間のスリット幅)を変更し、共鳴周波数を変更することが可能となる。
接合部スペーサ85は、ボルト留め、溶接、嵌合、或いは接着等の方法により共鳴器10の空洞部を密閉するように取り付けることが好ましい。
このような他の実施形態によれば、先の実施形態による効果に加え、種々の寸法の共鳴器10を、接合部スペーサ85を配するだけで製造することが可能となり、異なる共鳴周波数の共鳴器10を簡単に得ることができる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図11は本発明の第4の実施形態に係る共鳴器の製造方法によって製造した共鳴器10の断面図である。本実施形態が、これまでの実施形態と異なる点は、寸法の異なる2種類の長尺状半割部材70を加工工程で準備して、種類の異なる長尺状半割部材70同士を接合工程で接合する点である。
ここで、本明細書においては「寸法の異なる長尺状半割部材」同士では、長尺状半割部材70の内壁面から接合片73の主面までの寸法C1(又は、C2)、スリット隔壁長l1(又は、l2)のいずれか一つ以上が異なっているものとする。
図11に示す共鳴器10は、新たな型材に基づく長尺状半割部材70(図11の左側のもの)を製作することで共鳴周波数を調整する例である。
図11左側の長尺状半割部材70のために型材を新たに製作することで、共鳴器10の断面寸法をC''=C1+C2、スリット幅をa''及びスリット隔壁長をl2'に変更し、共鳴周波数を変更することが可能となる。
図10に示す実施形態では、共鳴器10の断面寸法C’、及びスリット幅a’の変更は接合部スペーサ85の厚さtに依存するが、第4の実施形態に係る共鳴器の製造方法ではより自由にこれらの寸法を変更することができるようになる。
図11に示す本実施形態では、左側の長尺状半割部材70の型材を新たに製作する必要がある。しかしながら、共鳴器全体の型材を製作する場合と比較して、寸法の変更がある部材のみ型材を新たに製作するだけであり、寸法に変更が無い右側の長尺状半割部材70の型材は新たに製作する必要がないため、共鳴周波数を調整する際の費用を抑えることができる。
なお、この実施形態では、スリット幅が小さい例を示した。スリット状開口部50を構成する2つの隔壁部60がそれぞれ別部材に属することで、スリット状開口部50の幅が小さい(1~2mm或いはそれ以下)長尺状スリット共鳴器を、型材の強度に制限されることなく押出加工により製作することができる。
このような他の実施形態によれば、先の実施形態による効果に加え、所望とする共鳴周波数を有する共鳴器10を、より適切な寸法によって実現することが可能となる。
なお、図11に示す本実施形態では、2つの異なる型材によって、左側の長尺状半割部材70と、右側の長尺状半割部材70とを加工工程により加工し、これらを接合する接合工程を実施することを想定しているが、さらに先に説明した切断工程を加えるようにしてもよい。すなわち、2つの異なる型材によって、左側の長尺状半割部材70と、右側の長尺状半割部材70とを加工工程により加工し、左側、又は右側の長尺状半割部材70のいずれか一方(又は、両方とも)のスリット隔壁長(隔壁部60の長さ)lを切断することによって調整した上で、両者を接合する接合工程を実施するようにしてもよい。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図12は本発明の第5の実施形態に係る共鳴器の製造方法に用いる長尺状半割部材70を説明する図である。
図12(A)は加工工程によってダイス90の押出し用穴95から押し出された長尺状半割部材70の断面を示している。本実施形態においては加工工程直後の長尺状半割部材70には、接合片73は形成されておらず、代わりに、接合片73が形成され得る被加工面75が設けられている。長尺状半割部材70の内壁面から被加工面75の端部までの距離は、例えばCoとされている。
本実施形態では、接合工程が実行される前段において、このような長尺状半割部材70の被加工面75に接合片73を形成する折り曲げ加工工程が実施される。
図12(B)は、折り曲げ加工部Faにおいて、被加工面75を折り曲げて、接合片73を形成した例を示している。この場合、長尺状半割部材70の内壁面から接合片73の主面までの寸法をCaとすることができる。
図12(C)は、折り曲げ加工部Fbにおいて、被加工面75を折り曲げて、接合片73を形成した例を示している。この場合、長尺状半割部材70の内壁面から接合片73の主面までの寸法をCaより長いCbとすることができる。
折り曲げ加工の後には、図12(B)に示す長尺状半割部材70同士を接合片73により2つ接合したり、図12(C)に示す長尺状半割部材70同士を接合片73により2つ接合したりすることで、寸法が異なる共鳴器10、すなわち、共鳴周波数が異なる共鳴器10を製造することが可能となる。
このような他の実施形態によれば、先の実施形態による効果を享受することができるし、折り曲げ加工の工程が増えるが、一つの型材から、共鳴周波数が異なる共鳴器10を製造することが可能となる。
以下、本発明に係る共鳴器の製造方法によって製造され得る共鳴器10について数値解析を行ったので説明する。以下の、数値解析では、図6で示した第1の実施形態で製造される共鳴器10(図13(A)に対応)と、図9で示した第2の実施形態で製造される共鳴器10(図13(B)に対応)とを例とした。
(数値解析例)
一方の長尺状半割部材70のスリット隔壁長(隔壁部60の長さ)の長さl1を変えず固定とし、他の方の長尺状半割部材70のスリット隔壁長の長さl2のみ変更することで共鳴周波数が調整可能であることを、数値解析により確認した。
以下の解析には2次元境界要素法を用いた。計算モデルを図13(A)及び図13(B)に示す。図示すように、解析対象は、厚さ300mmの無限大壁面に設けられた幅100mmの換気用開口部(図2参照)を想定した。2次元解析のため、図中奥行き方向には図に示す断面が無限に続く構造を想定する。
通気経路を音源側から受音側へ伝搬する騒音を低減するために、スリット状開口部50が対向するように2つのスリット共鳴器を配置した。
図13(A)には2つのスリット隔壁長の長さが同じ場合(共鳴器1;図6の第1実施形態)の計算モデルを示す。スリット共鳴器の各部寸法は、共鳴周波数が500Hz付近となるように設定されている。
図13(B)には実施例1に相当する片側のスリット隔壁長を短くした場合(共鳴器2;図9の第2実施形態)の計算モデルを示す。短くしたスリット隔壁長の長さは、共鳴周波数が400Hz付近となるように設定されている。
音源側から平面音波を入射し、図13(A)及び図13(B)中に破線で示した仮想面を受音側方向に通過する音響エネルギを解析により求めた。
解析は1/27オクターブ毎の純音について行い、得られた仮想面を受音側方向に通過する音響エネルギを1/3オクターブバンド中心周波数を中心とした9つずつエネルギ平均することで、1/3オクターブバンドにおける解析結果とした。
図13(C)には、仮想面を受音側に通過する音響エネルギの計算結果を示す。比較対象として、スリット共鳴器を設置しない場合の計算結果を併せて示す。
2つのスリット隔壁長の長さが同じ共鳴器1では、共鳴周波数である500Hzを中心に受音側へ伝搬する音響エネルギが低減されていることが確認できる。
一方、片側のスリット隔壁長を短くした共鳴器2では、共鳴器による低減効果の周波数特性は全体的に低周波数側にシフトし、400Hzを中心に低減効果が得られていることが確認できる。
以上より、2つのスリット隔壁長の長さが異なる場合、短い方のスリット隔壁長が共鳴器の周波数特性を決定することが確認できる。
すなわち、実施形態で示したように、片側のスリット隔壁長の長さのみを変更することで共鳴周波数の調整が可能であることが確認できた。
以上、本発明に係る共鳴器の製造方法は、一対の隔壁部のうちの一方の隔壁部と筐体の一部とを含む長尺状半割部材に加工する加工工程と、この加工工程で加工された2つの長尺状半割部材を接合する接合工程と、を有しており、このような本発明に係る共鳴器の製造方法によれば、(1)騒音の周波数特性に合わせた共鳴器を製造するために、都度異なる型材の用意が必ずしも必要でなくなり、共鳴器の製造にかかる時間・コストを低減することが可能となり、(2)断面形状の大きな長尺状の共鳴器を製造する場合でも、サイズの大きい型材を要することなく、型材自体の製作コスト、当該型材を使った押出加工を行う生産設備のコストを低減することができ、さらに、(3)幅が狭いスリット状開口部を有する共鳴器の製造においても、型材の薄肉化に伴う強度不足などを考慮する必要がない、という効果を奏する。
また、本発明に係る共鳴器の製造方法によれば、新たに型材を製作することなく、または新たに製作する型材を最小限に抑えて、押出加工により製作するスリット共鳴器の共鳴周波数を変更することができる。その結果、低減したい騒音の周波数特性に合わせたスリット共鳴器を製作する為の時間・コストを抑えることができる。
また、本発明に係る共鳴器の製造方法によれば、スリット共鳴器を一体製作する場合に比べ、型材のサイズが小さいため、型材の製作コスト及び押出加工に伴うコストを抑えることができる。また、押出加工において大型の生産設備が不要になる。
また、本発明に係る共鳴器の製造方法によれば、スリット開口の幅が小さい(1~2mm或いはそれ以下)長尺状スリット共鳴器を、型材の強度に制限されることなく押出加工により製作することができる。
本明細書で示した実施形態では、スリット共鳴器が矩形を基とした断面を持つとして説明を行ったが、共鳴器の断面形状はこれに限るものではない。例えば、三角形、円形を基とした断面を持つことも考えうる。上記の共鳴器の各寸法を変更することは、本質的には空洞部の体積V、スリット部の体積Vn及び開口面積Sを変更して共鳴周波数を調整することである。
これまで説明した実施形態においては、製造する共鳴器10は、スリット状開口部50における、対向する一対の隔壁部60の間をスリット部、即ち体積Vnであらわされる図1(b)の斜線部以外の空間、として共鳴現象を生じさせることが前提であった。
一方、共鳴器10としては、スリット状開口部50の両側に隔壁部60が延伸している、これまでに説明した構造の他に、図14に示すように、スリット状開口部50の一方端側にのみ隔壁部60が存在し、他方端側の隔壁部60が筐体40の内壁と一体化しているような構造をとり得る。このような構造においては、スリット状開口部50の一方端側には隔壁部60が配され、スリット状開口部50の他方端側には筐体40における内壁部が配される構造となり、隔壁部60と内壁部の対向する部分との間をスリット部として共鳴現象が生じることとなる。
図14において、共鳴器10は、開口部を共鳴器10の片側に寄せて、スリット状開口部50の両側に構成される隔壁部60の片側を、空洞部を構成する筐体40の一部と一体化したような構造とされている。
上記の構造の場合、共鳴器10は筐体と一体化していないもう片側の隔壁部60の長さをスリット長lとして共鳴し、その共鳴周波数付近において騒音低減効果が得られる。
なお、単一の通気経路に共鳴器10を配置した例であり、また、図14などに示された共鳴器10と全く同じ構造に相当するものではないが、(A)スリット状開口部50の両側に隔壁部60を有する共鳴器10と、(B)スリット状開口部50の片側のみに隔壁部60を有する共鳴器10とを用いた実験について説明する。
図15は実験のパターンを示す図である。図15(A)は両側に隔壁部60を有する共鳴器10を対向配置したバターンであり、図15(B)は片側のみに隔壁部60を有する共鳴器10を対向配置したバターンである。図15(A)の共鳴器10は共鳴周波数500Hzであり、図15(B)の共鳴器10は500Hzと630Hzの2つの共鳴周波数を持つ共鳴器であった。
図16は実証実験の結果を示す図である。図16において(A)と(B)の結果は、図15(A)と図15(B)の共鳴器のものと対応している。また、(O)は、全く共鳴器が設置されていないときの結果を示している。
(A)は、共鳴器の共鳴周波数である500Hz帯域付近で(O)と比較して音響透過損失が大きく向上していることがわかる。これが共鳴器10による騒音低減効果である。(B)は、(A)と比較して効果の最大値は低下するものの、より幅広い周波数帯域で騒音低減効果が得られていることが確認できる。このような実験からも、片側にのみに隔壁部60が配された共鳴器10により騒音低減効果が得られることが確認できる。
以下、図14に示す構造の共鳴器10を製造する本発明に係る方法についての実施形態を説明していく。図17は本発明の第6の実施形態に係る共鳴器の製造方法における加工工程及び接合工程を説明する図である。図14に示す構造の共鳴器10を製造する際の加工工程においても、ダイス90などの型材を用いた材料の押出成形技術を同様に活用することができる。これまでの実施形態では、このような加工工程で得られた部材を長尺状半割部材70と称していた。本実施形態においては、加工工程によって、長尺状第1部材71及び長尺状第2部材72の少なくとも2種類の異なる部材を得る。
ここで、長尺状第1部材71は、完成状態の共鳴器10の隔壁部60と、筐体40の一部とを少なくとも含んでいる部材と定義することができる。一方、長尺状第2部材72は、隔壁部60を含まず、完成状態の共鳴器10の筐体40のみを含む部材であると定義することができる。長尺状第1部材71においては、完成形を想定した場合、隔壁部60は筐体40の内部側に延出するように設けられている。また、長尺状第1部材71及び長尺状第2部材72のいずれにおいても、完成形を想定した場合、接合片73は筐体40の外部側に延出するように設けられる。
なお、本実施形態においては、共鳴器10を長尺状第1部材71及び長尺状第2部材72の2種類の異なる部材から構成する例に基づいて説明するが、3つ以上の部材から共鳴器10を構成するようにしても構わない。
図17は上記のような長尺状第1部材71及び長尺状第2部材72を接合し、完成形である共鳴器10となす工程を示している。なお、共鳴器10の長手方向の両端端部において共鳴器10を封止する方法については、適宜周知の方法を用いればよいので、本明細書においては詳細を省略する。
図17の接合工程では、長尺状第1部材71及び長尺状第2部材72における接合片73の主面同士を、適切な方法で固着させる。このような接合工程で用いえる方法としては、ボルト留め、溶接、嵌合、或いは接着等の方法を挙げることができる。方法の如何を問わず、接合片73の接合により構成される接合部80が気密であればよい。必要であれば、接合片73の主面同士を固着する際には、パッキン等を挟むようにすることもできる。
図18は上記のような、本発明の第6の実施形態に係る共鳴器の製造方法によって製造した共鳴器10の断面図である。
図18に示す完成状態の共鳴器10においては、長尺状第1部材71に含まれる隔壁部60と、この隔壁部60と対向する長尺状第2部材72における内壁の一部が対向して、これらの間をスリット部として共鳴現象が生じる。
長尺状第1部材71の内壁面から接合片73の主面までの寸法C1と、長尺状第2部材72の内壁面から接合片73の主面までの寸法C2と、から共鳴器10における筐体40の対向する内壁間の寸法は、C(=C1+C2)となる。また、共鳴器10の長手方向の長さをAとすると、共鳴器10は式(5)で求められる周波数fにおける騒音低減効果を期待することができる。
なお、長尺状第1部材71及び長尺状第2部材72同士の接合により得られる共鳴器10において、例えば接合部80の強度が不足し、スリット状開口部50において所定のスリット幅aが保持できない場合は、図7に示すように、開口部スペーサ55を挟むようにしてもよい。
以上のように、長尺状第1部材71及び長尺状第2部材72同士を接合する本発明に係る共鳴器10の製造方法によれば、(1)断面形状の大きな長尺状の共鳴器10を製造する場合でも、サイズの大きい型材を要することなく、型材自体の製作コスト、当該型材を使った押出加工を行う生産設備のコストを低減することができ、さらに、(2)幅が狭いスリット状開口部を有する共鳴器10の製造においても、型材の薄肉化に伴う強度不足などを考慮する必要がない、という効果を奏する。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図19は本発明の第7の実施形態に係る共鳴器の製造方法によって製造した共鳴器10の断面図である。本実施形態が、図17及び図18に示す実施形態と相違する点は、本実施形態においては接合工程の前段の工程として、長尺状第1部材71における隔壁部60の切断を行う切断工程を実行する点である。
長尺状第1部材71においては、もとの隔壁部60の長さlは、隔壁部60の長さを変更する範囲のうち、最大値のlmaxと等しくおくようにする。切断工程を経ない長尺状第1部材71については、隔壁部60の長さl(=lmax)を有するものとなる。
本実施形態においては、このような長尺状第1部材71の寸法を切断工程により変更することでスリット共鳴器10の各寸法を変更するようにしている。このように本実施形態では、長尺状第1部材71は、未処理の長尺状半割部材70を必要な寸法に応じて不要部分を切除する切断工程を実行しているが、所望の寸法を得るために都度型材を製作しても良い。ただし、このようにすると、新たな型材の製作コストを要してしまう、というデメリットはある。
本実施形態では、図19に示すように、隔壁部60の長さをl’に変更することで共鳴周波数を調整することができる。
このような他の実施形態によれば、先の実施形態による効果に加え、種々の寸法の共鳴器10を、切断工程を追加するだけで製造することが可能となり、異なる共鳴周波数の共鳴器10を簡単に得ることができる。
また、従来、騒音の周波数特性に合わせたスリット共鳴器を製作する為には、都度異なる型材が必要になり、スリット共鳴器の製造にかかる時間・コストが増大する、という課題を有していたが、このような本実施形態によれば、騒音の周波数特性に合わせた共鳴器を製造するために、都度異なる型材の用意が必ずしも必要でなくなり、共鳴器の製造にかかる時間・コストを低減することが可能となる、という効果を奏することができる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図20は本発明の第8の実施形態に係る共鳴器の製造方法によって製造した共鳴器10の断面図である。本実施形態の接合工程においては、接合片73の間に接合部スペーサ85を介在させ、接合片73同士を接合するようにしていることである。
図20に示すように、長尺状第1部材71及び長尺状第2部材72の接合部80に間隙調整部材となる接合部スペーサ85を挟むことで共鳴周波数を調整することが可能となる。
接合部スペーサ85の厚さをtとすると、共鳴器10の断面寸法をC’=C1+C2+t、スリット幅をa’=a+tに変更することができる。(図19に示す共鳴器10を基準として。)すなわち、新たに型材を製作することなく、共鳴器10の断面寸法C及びスリット幅a(スリット状開口部50の隔壁部60同士の間のスリット幅)を変更し、共鳴周波数を変更することが可能となる。
接合部スペーサ85は、ボルト留め、溶接、嵌合、或いは接着等の方法により共鳴器10の空洞部を密閉するように取り付けることが好ましい。
このような他の実施形態によれば、先の実施形態による効果に加え、種々の寸法の共鳴器10を、接合部スペーサ85を配するだけで製造することが可能となり、異なる共鳴周波数の共鳴器10を簡単に得ることができる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図21は本発明の第9の実施形態に係る共鳴器の製造方法の概念を説明する図である。
図19に示す第7の実施形態においては、隔壁部60の切断を行うことにより、共鳴周波数の調整を行うようにしていた。また、図20に示す第8の実施形態においては、接合部スペーサ85を接合片73間に挿入して用いることで、共鳴周波数の調整を行うにしている。一方、本実施形態では、例えば、長尺状第1部材71の型材を新たに製作することで共鳴周波数を調整することを特徴としている。
図20は、図18に示した長尺状第1部材71の型材を新たに製作した際のイメージを示している。新たな寸法の長尺状第1部材71にはプライム(’)を付し、元の長尺状第1部材71と区別している。図20の新たな長尺状第1部材71’においては、例えば、共鳴器10の断面寸法についてはΔC増分したり、スリット幅についてはΔa増分したり、隔壁部60の長さについてはΔl増分したりすることを示している。なお、新たな長尺状第1部材71’において、どのパラメータを変更するように型材を新たに製作するかは当然任意であるし、また、各パラメータは増加させるに留まらず、減少させるようにしてもよい。
このような本実施例では、長尺状第1部材71’の型材を新たに製作する必要がある。しかしながら、共鳴器10全体を一体製作する場合と比較して、寸法の変更がある部材のみ型材を新たに製作するだけであり、寸法に変更が無い長尺状第2部材72の型材は新たに製作する必要がないため、共鳴周波数を調整する際の費用を抑えることができる。
なお、変更できるパラメータは長尺状第1部材71の場合に比べて少ないが、長尺状第2部材72の型材は新たに製作するようにしてもよい。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図22は本発明の第10の実施形態に係る共鳴器の製造方法によって製造した共鳴器10の断面図である。
図15(B)に示したように、共鳴周波数の異なる共鳴器を2つあるいはそれ以上組み合わせて一つの共鳴器とした場合においては、より幅広い周波数帯域で騒音低減効果が得られていることが期待できる。そこで、本実施形態では、加工工程において、異なる寸法の長尺状第1部材71を2つ以上準備しておき、接合工程において、これら長尺状第1部材71を1つ以上の長尺状第2部材72と共に接合することを特徴としている。
図22に示す実施形態では、異なる寸法の2つの長尺状第1部材71と、対向する2つの接合片73を有する長尺状第2部材72とを加工・接合することによって得られた共鳴器10を示している。このようにして得られた共鳴器10は、断面寸法Cp(=C3+C4)、スリット幅ap、隔壁部60の長さlmaxの寸法を有する共鳴器と、断面寸法Cq(=C5+C6)、スリット幅aq、隔壁部60の長さl’max寸法を有する共鳴器と、を組み合わせたものとなる。共鳴器10を構成するそれぞれの共鳴器は、式(5)で求められるそれぞれの周波数fにおける騒音低減効果を期待することができる。
このような第10の実施形態によれば、先の実施形態による効果に加え、複数の共鳴器による幅広い周波数での騒音低減効果を期待することができる。
以上、説明してきた実施形態を、任意に組み合わせた実施形態も本発明の範疇に入るものとする。例えば、第10の実施形態で用いた長尺状第1部材71の隔壁部60に切断工程を加えるようなこともできる。
これまで説明した第7乃至第10の実施形態によれば、第1乃至第6の実施形態に共通する効果を享受することができる。また、第7乃至第10の実施形態によれば、新たに型材を製作することなく、または新たに製作する型材を最小限に抑えて、押出加工などの加工工程により製作するスリット状開口部を有する共鳴器(スリット共鳴器)の共鳴周波数を変更することができる。
また、その結果、低減したい騒音の周波数特性に合わせたスリット共鳴器を製作する為の時間・コストを抑えることができる。
また、第7乃至第10の実施形態は、共鳴器を一体製作する場合に比べ、型材のサイズが小さいため、型材の製作コスト及び押出加工に伴うコストを抑えることができる。また、押出加工において大型の生産設備が不要になる。
また、第7乃至第10の実施形態は、第1乃至第6の実施形態と同様、スリット共鳴器を構成する部材を分割することで、スリット開口の幅が小さい(例えば、1~2mm或いはそれ以下)長尺状のスリット共鳴器を、型材の強度に制限されることなく押出加工などにより製作することができる。
10・・・共鳴器
35・・・仕切り板部材
40・・・筐体
50・・・スリット状開口部
55・・・開口部スペーサ
60・・・隔壁部
70・・・長尺状半割部材
71・・・長尺状第1部材
72・・・長尺状第2部材
73・・・接合片
75・・・被加工面
80・・・接合部
85・・・接合部スペーサ
90・・・ダイス(型材)
95・・・押出し用穴
100・・・換気用開口構造
105・・・内壁
110・・・内装壁
120・・・外装壁
F・・・折り曲げ加工部

Claims (8)

  1. 長尺状の筐体と、前記筐体の一面に設けられるスリット状開口部と、前記スリット状開口部の両側に配される一対の隔壁部と、を有する共鳴器の製造方法であって、
    材料を、前記一対の隔壁部のうちの一方の隔壁部と前記筐体の一部とを含む長尺状半割部材に加工する加工工程と、
    前記加工工程で加工された2つの長尺状半割部材を接合する接合工程と、を含み、
    前記長尺状半割部材には、接合用の接合片が形成されており、前記接合工程では前記接合片同士を接合することを特徴とする共鳴器の製造方法。
  2. 前記接合工程の前段の工程として、前記長尺状半割部材における隔壁部の切断を行う切断工程を、さらに含むことを特徴とする請求項1に記載の共鳴器の製造方法。
  3. 前記接合工程では、前記接合片の間に接合部スペーサを介在させ、前記接合片同士を接合することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の共鳴器の製造方法。
  4. 前記加工工程では、寸法の異なる2種類の長尺状半割部材を加工し、
    前記接合工程では、前記加工工程で加工された寸法の異なる長尺状半割部材同士を接合することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の共鳴器の製造方法。
  5. 長尺状の筐体と、前記筐体の一面に設けられるスリット状開口部と、前記スリット状開口部に配される隔壁部と、を有し、前記隔壁部と対向する前記筐体内壁部との間をスリット部として共鳴現象が生じる共鳴器の製造方法であって、
    材料を、前記隔壁部と前記筐体の一部とを含む長尺状第1部材と、
    前記隔壁部は含まず前記筐体の一部を含む長尺状第2部材と、に加工する加工工程と、
    前記加工工程で加工された前記長尺状第1部材と前記長尺状第2部材とを接合する接合工程と、を含み、
    前記長尺状第1部材と前記長尺状第2部材とには、接合用の接合片が形成されており、前記接合工程ではそれぞれの接合片同士を接合することを特徴とする共鳴器の製造方法。
  6. 前記接合工程の前段の工程として、前記長尺状第1部材における隔壁部の切断を行う切断工程を、さらに含むことを特徴とする請求項5に記載の共鳴器の製造方法。
  7. 前記接合工程では、前記接合片の間に接合部スペーサを介在させ、前記接合片同士を接合することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の共鳴器の製造方法。
  8. 前記長尺状第1部材が、2つ以上用いられることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の共鳴器の製造方法。
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