JP2017210662A - 磁石合金粉の製造方法 - Google Patents

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【課題】ボンド磁石の製造工程あるいはボンド磁石としての使用時に高温に加熱されたとしても、加熱後の室温での保磁力の低下を抑制した磁石合金粉の製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係る磁石合金粉の製造方法は、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉を、リン酸を含む有機溶媒中で粉砕して磁石合金粉を製造する方法であって、鉄系磁石合金粉を粉砕するに際して、リン酸を含む有機溶媒のpHを1.5以上8.0以下とし、有機溶媒中のリン酸濃度を0.1体積%以上20体積%以下とし、かつ、酸化剤を有機溶媒中の濃度として0.0001mol/L以上1.0mol/L以下で添加する。【選択図】なし

Description

本発明は、磁石合金粉の製造方法に関するものであり、より詳しくは、高温に加熱された際の保磁力の低下が少ない磁石合金粉の製造方法に関する。
希土類磁石は、フェライト磁石、アルニコ磁石等と同様に、モーターをはじめとする様々な用途に用いられている磁石材料である。一般に、これらの磁石は焼結により製造されるため、複雑形状への成形が困難である。それに加え、焼結時の収縮が15%〜20%ほどあるため、寸法精度の高い製品が得られない。
これらの欠点を解決するため、近年では、ボンド磁石の開発が進められている。ボンド磁石では、ポリアミド樹脂やポリフェニレンサルファイド樹脂をバインダーとして用いることで、磁石粉を固めて成形を行う。しかしながら、希土類元素を含む鉄系磁石粉を用いたボンド磁石では、成形時における加熱による磁気特性の低下が問題となっている。また、ボンド磁石は、その用途に応じて100℃以上の高温に晒されることがあり、そのような使用時に高温環境に曝されることによる磁気特性の低下も問題となっている。
そこで、その磁気特性の低下を改善するために、成形体表面に熱硬化性樹脂等によるコーティングを施すことや、例えば特許文献1に開示されているように、リン酸塩含有塗料によるコーティングを施す方法が提案されているが、保磁力等の観点からすると、十分な特性は得られていない。
現在のところ、特許文献2に開示されているように、希土類元素を含む鉄系磁石粉を有機溶媒中で粉砕して磁石粉を製造する際に、有機溶剤にリン酸を添加するという方法が、高温に加熱した際の磁気特性の低下を防止するのに有効であるとされている。この方法によれば、磁石粉表面にリン酸鉄を含む皮膜が形成され、加熱条件下での保磁力の低下が抑制された磁石粉を製造することができる。
しかしながら、さらなる用途拡大にあたっては、高温環境下において、保磁力の低下をさらに抑制することが求められている。
特開2000−208321号公報 特開2002−124406号公報
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、ボンド磁石の製造工程あるいはボンド磁石としての使用時に高温に加熱されたとしても、加熱後の室温での保磁力の低下を抑制した磁石合金粉の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、鉄系磁石合金粉を粉砕するに際して、リン酸を含む有機溶媒のpH、リン酸濃度を特定の範囲に調整するとともに、酸化剤をその有機溶媒中に特定の割合で添加した状態で粉砕することにより、加熱後の室温での保磁力の低下を抑えることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1の発明は、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉を、リン酸を含む有機溶媒中で粉砕して磁石合金粉を製造する方法であって、前記鉄系磁石合金粉を粉砕するに際して、前記リン酸を含む有機溶媒のpHを1.5以上8.0以下とし、該有機溶媒中のリン酸濃度を0.1体積%以上20体積%以下とし、かつ、酸化剤を該有機溶媒中の濃度として0.0001mol/L以上1.0mol/L以下で添加する、磁石合金粉の製造方法である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記リン酸を含む有機溶媒のpHを4.0以上5.0以下とする、磁石合金粉の製造方法である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記酸化剤として、硝酸を添加する、磁石合金粉の製造方法である。
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記有機溶媒として、分子量100以下の有機化合物を用いる、磁石合金粉の製造方法である。
(5)本発明の第5の発明は、第4の発明において、前記有機溶媒として、比誘電率が10以上50以下である有機溶媒を用いる、磁石合金粉の製造方法である。
(6)本発明の第6の発明は、第5の発明において、前記有機溶媒として、2−プロパノール又は1−メチル−2−ピロリドン、もしくはそれらの混合物を用いる、磁石合金粉の製造方法である。
(7)本発明の第7の発明は、第6の発明において、前記リン酸を含む有機溶媒として、1−メチル−2−ピロリドンに、リン酸を10体積%以上14体積%以下の割合で含有するものを用いる、磁石合金粉の製造方法である。
本発明によれば、高温環境に曝されることによる、室温での保磁力の低下を効果的に抑制した磁石合金粉を製造することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。また、本明細書において、「X〜Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
≪1.磁石合金粉の製造方法≫
本実施の形態に係る磁石合金粉の製造方法は、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉を、リン酸を含む有機溶媒中で粉砕して磁石合金粉を製造する方法である。
ここで、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉としては、例えば、ThZn17型、ThNi17型、又はTbCu型結晶構造を有する。これらは、菱面体晶系、六方晶系の結晶構造を持つ金属間化合物であり、ThZn17型の合金粉末としては、例えば、SmFe17合金、NdFe17等が挙げられる。また、ThNi17型の合金粉末としては、例えば、GdFe17等が挙げられる。
また、希土類元素としては、Sm、Nd、Pr、Y、La、Ce、Gd等が挙げられ、これらは単独でも、混合物でもよいが、Smが特に好ましい。また、この鉄系磁石合金粉は、遷移金属元素としては、鉄(Fe)を必須成分として含むものであり、この一部がCoで置換されたものであってもよい。具体的に、Feの20質量%以下の割合をCoで置換することにより、微粉末のキュリー温度や耐食性を向上させることができる。
また、この鉄系磁石合金粉は、C、Al、Si、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au等が含まれていてもよい。鉄系磁石合金粉において、これら成分が、例えば3質量%以下、好ましくは0.05質量%〜0.5質量%の割合で含まれていることにより、この鉄系磁石合金粉の粉砕物である磁石合金粉を用いて作製したボンド磁石の耐候性や耐熱性を高めることができる。
なお、鉄系磁石合金粉は、例えば、還元拡散法や液体急冷法、HDDR(Hydrogenation Decomposition Desorption Recombination)法によって得られた合金粉末を、窒化熱処理することによって製造することができる。
本実施の形態に係る磁石合金粉の製造方法では、鉄系磁石合金粉を有機溶媒中で粉砕するに際して、リン酸を含む有機溶媒のpHを1.5以上8.0以下とし、有機溶媒中のリン酸濃度を0.1体積%以上20体積%以下とし、さらに、酸化剤を有機溶媒中の濃度として0.0001mol/L以上1mol/L以下で添加した状態で行う。
このような製造方法によれば、ボンド磁石の製造工程あるいはボンド磁石としての使用時に高温に加熱されたとしても、加熱後の室温での保磁力の低下を抑制した磁石合金粉を得ることができる。
[リン酸を含む有機溶媒中での粉砕]
はじめに、有機溶媒へのリン酸添加による皮膜形成について説明する。本実施の形態に係る磁石合金粉の製造方法では、上述したように、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉を、リン酸を含む有機溶媒中で粉砕することによって、磁石合金粉を製造する。
このように、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉を有機溶媒中で粉砕することにより、その鉄系磁石粉の表面に皮膜を形成させる。有機溶媒中での鉄系磁石合金粉の粉砕によれば、その粉砕によって、鉄系磁石合金粉の表面に常に新生面が現れるという状況となるため、その新生面上に随時皮膜が形成される。
そして、このような皮膜形成において、ボンド磁石の作製や焼結による磁石作製のため高温環境においても保磁力が低下しないようにするには、リン酸塩(リン酸鉄及び/又はリン酸サマリウム等の希土類リン酸塩)の皮膜を形成させることが重要となり、有機溶媒中にリン酸の添加し、リン酸を含む有機溶媒中で粉砕することが必須となる。
有機溶媒に添加するリン酸としては、特に限定されず、無水物である必要もない。例えば、通常市販されている、水(HO)を約15質量%含む試薬一級や試薬特級等の試薬リン酸を用いることができる。
ここで、有機溶媒としては、特に限定されず、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉が過度に溶解や損耗しない有機化合物を主成分とする溶媒であればよい。
その中でも、高温に曝されることによる室温での保磁力低下を抑制する観点や、粉砕処理後の有機溶媒の揮発除去等を容易にして製造コストを低減する観点からすると、分子量100以下の有機化合物を用いることが好ましい。さらに、比誘電率が10以上50以下の有機溶媒を用いることによって、粉砕処理における磁石合金粉の溶解を抑えることができ、良好な皮膜を形成して磁気特性に優れる磁石合金粉を得ることができる。
具体的に、そのような有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、i−ブチロニトリル、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドを挙げることができる。
これらの中でも、2−プロパノール、もしくは水よりも電位領域が広い有機溶媒を用いることがより好ましい。水よりも電位領域が広い有機溶媒としては、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。そして、特に、2−プロパノール又は1−メチル−2−ピロリドン、もしくはそれらの混合物を用いることによって、高温での保磁力低下をより効果的に軽減することができる。
具体的に、リン酸を含む有機溶媒として、1−メチル−2−ピロリドンに、リン酸を10体積%以上14体積%以下の割合で含有するものを用いることが好ましく、これにより、高温環境に曝された場合でも、高い磁気特性を安定的に維持することができる。
[リン酸濃度]
有機溶媒中のリン酸の濃度としては、容積百分率で0.1体積%以上20体積%以下の割合とする。このような濃度でリン酸を含む有機溶媒を調整し、その有機溶媒中で粉砕してリン酸塩の皮膜を形成することで、ボンド磁石作製等の高温環境においても保磁力が低下することを抑えることができる。有機溶媒中のリン酸濃度が0.1体積%未満であると、良好な特性を有する皮膜の形成させることができず、高温環境に曝されることによる室温での保磁力低下を有効に抑制するのにことができない。一方で、リン酸濃度が20体積%を超えると、リン酸塩の皮膜自体を効率的に形成することができない。
また、有機溶媒中のリン酸の濃度としては、2体積%以上20体積%以下の割合であることが好ましく、これにより、より高い磁気特性を有するものが得られる。さらに、有機溶媒中のリン酸濃度として、10体積%以上14体積%以下の割合であることが特に好ましく、これにより、高温環境に曝された場合であっても、高い磁気特性を有するものが得られる。
[pH]
有機溶媒中で鉄系磁石合金粉を粉砕するに際しての、リン酸を含む有機溶媒のpHとしては、1.5以上8.0以下の範囲とする。pHが1.5未満である場合やpHが8.0を超える場合には、得られる磁石合金粉において所定の保磁力が得られない。
また、そのpH条件としては、4.0以上5.0以下の範囲とすることが好ましく、4.4以上4.6以下の範囲とすることが特に好ましい。これにより、より一層に高い保磁力を得ることができる。なお、このような最適なpH範囲が存在する学術的な理由は明らかではないが、鉄系磁石合金粉の表面での皮膜形成の反応機構が、pHにより変化するためであると推察される。
有機溶媒のpHの調製方法としては、特に限定されないが、例えば、リン酸、硫酸、硝酸等のいずれか1種、もしくは2種類以上を用いて調整することが好ましい。例えば、まず、リン酸を添加することにより有機溶媒のpHを4.5程度にまで下げ、次に、リン酸、硫酸、硝酸のいずれか1種又は2種類以上を使用して所定のpHになるまで添加する。なお、例えば、リン酸と硝酸の2種類を用いて所定のpHになるまで添加した場合、約85質量%のリン酸と、60質量%以上80質量%以下の硝酸を用いたとすると、その有機溶媒は、10体積%以下の水を含むことになる。
[酸化剤]
本実施の形態においては、有機溶剤に酸化剤を所定の割合で添加し、その有機溶剤中で鉄系磁石合金粉を粉砕する。
酸化剤としては、当該物質を0.01mol/L〜1.0mol/Lのモル濃度で含む水溶液を作製し、これに白金電極(表面は湿式SiC紙で1500番研磨相当の粗さ)を自然浸漬したときの電位が、銀/塩化銀参照電極基準で0.6V以上のものであることが好ましい。なお、この測定にあたっては、酸化剤を含む水溶液と照合電極との間を、飽和塩化カリウム水溶液と寒天で作製した塩橋で繋いで計測するものとする。
具体的に、その酸化剤としては、硝酸、過マンガン酸カリウム、二クロム酸カリウム等が挙げられるが、これに限定されない。その中でも、酸化剤として硝酸を用いた場合には、高温環境に曝されることによる室温での磁石合金粉の保磁力の低下をより効果的に抑制することができる。このため、特に高い温度の環境下に曝されるような場合には、酸化剤として硝酸を用いることが好ましい。
酸化剤は、有機溶媒の酸化還元電位(ORP)を変化させる。このように有機溶媒に酸化剤を添加し、その酸化剤を所定の割合で含む有機溶媒中で鉄系磁石合金粉を粉砕することにより、変化した酸化還元電位が皮膜形成に関与して、得られる磁石合金粉の磁気特性を向上させることができる。
このとき、酸化剤の添加量としては、0.0001mol/L以上1.0mol/L以下の割合とすることが必要となる。添加量が0.0001mol/L未満であると、有機溶媒の酸化還元電位がほとんど変化しないため、有効に磁気特性を向上させることができない。一方で、添加量が1.0mol/Lを超える、逆に磁気特性が低下する。このため、酸化剤の添加量は0.0001mol/L以上1.0mol/L以下とし、好ましくは0.001mol/L以上0.8mol/L以下とし、より好ましくは0.01mol/L以上0.5mol/Lとする。なお、上述した酸化剤の添加量は、リン酸を含まない状態の有機溶媒への含有割合(モル濃度)を示す。
≪2.磁石合金粉末を用いたボンド磁石の製造≫
上述したように、本実施の形態に係る磁石合金粉の製造方法によれば、ボンド磁石の製造工程あるいはボンド磁石としての使用時に高温に加熱された場合であっても、加熱後の室温での保磁力の低下を抑制した磁石合金粉を得ることができる。
具体的に、上述した製造方法により得られた磁石合金粉を用いてボンド磁石を製造する方法としては、特に限定されず、例えば、磁石合金粉を、公知の熱可塑性樹脂や添加剤と混合し、得られたボンド磁石用組成物を、射出成形、圧縮成形、押出成形、圧延成形、トランスファー成形等で成形することによって製造することができる。
熱可塑性樹脂は、磁石合金粉のバインダーとして働くものであり、その種類は特に限定されずに従来公知のものを使用することができる。例えば、6ナイロン、6,6ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、6,12ナイロン、芳香族系ナイロン、これらの分子を一部変性した変性ナイロン等のポリアミド樹脂、直鎖型ポリフェニレンサルファイド樹脂、架橋型ポリフェニレンサルファイド樹脂、セミ架橋型ポリフェニレンサルファイド樹脂、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂、アイオノマー樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、メタクリル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリ三フッ化塩化エチレン樹脂、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合樹脂、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアリルエーテルアリルスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアリレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、酢酸セルロース樹脂、前出各樹脂系エラストマー等が挙げられ、これらの単重合体や他種モノマーとのランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、他の物質での末端基変性品等が挙げられる。
また、製造した磁石合金粉の性質を損なわない範囲で、パラフィンワックス、流動パラフィンといった脂肪酸類等の滑剤、ヒンダード・アミン系安定剤や、フェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系等の抗酸化剤等の安定剤などの。従来公知の添加剤を配合することができる。
磁石合金粉と上述した各成分との混合方法としては、特に限定されず、例えば、リボンブレンダー、タンブラー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の混合機、あるいは、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、ニーダールーダー、単軸押出機、二軸押出機等の混練機を用いて行うことができる。
このようにして、各成分を混合することにより、ボンド磁石用組成物を得ることができる。なお、得られるボンド磁石用組成物の形状としては、パウダー状、ビーズ状、ペレット状、あるいはこれらの混合物の形であるが、取扱易さの点で、ペレット状が望ましい。
次に、上述のようにして得られたボンド磁石用組成物を、熱可塑性樹脂の溶融温度で加熱溶融した後、所望の形状を有する磁石に成形する。成形法としては、例えば、射出成形法、押出成形法、射出圧縮成形法、射出プレス成形法、トランスファー成形法等の各種成形法が挙げられるが、これらの中では、特に射出成形法、押出成形法、射出圧縮成形法、及び射出プレス成形法が好ましい。
具体的に、ボンド磁石用組成物を用いたボンド磁石の成形に際しては、射出成形により、例えば、成形温度200℃〜300℃、金型温度100〜150℃の条件で成形する。
このように、磁石合金粉は、ボンド磁石の製造過程において高温に曝される。しかしながら、上述した本実施の形態に係る磁石合金粉の製造方法によれば、高温に加熱されたとしても、加熱後の室温での保磁力の低下を抑制することができ、安定的に磁気特性を維持することができる。
以下に、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
(1)成分
鉄系磁石合金粉 :Sm−Fe−N系磁石合金粉
(平均粒径20μm、住友金属鉱山株式会社製)
リン酸 :85%濃度水溶液
(商品名:りん酸、関東化学株式会社製)
硝酸 :69〜70%濃度水溶液
(商品名:硝酸、関東化学株式会社製)
硫酸 :95%硫酸
(商品名:硫酸、関東化学株式会社製)
(2)保磁力評価方法
磁石合金粉の保磁力Hcについては、日本ボンド磁石工業協会ボンド磁石試験方法ガイドブックBMG−2002に従って、振動試料型磁力計により常温で測定した。
[実施例1〜18、比較例1〜6]
有機溶媒である2−プロパノール(分子量:60.1、比誘電率:18)200gに、所定量のリン酸と、pH調整用に濃度95%の硫酸を希釈して作製した1質量%硫酸水溶液とをそれぞれ所定の割合で添加し、さらに、酸化剤として濃度69〜70%の硝酸を希釈して作製した硝酸水溶液を0.0001〜2mol/Lの割合で添加した有機溶媒を、粉砕溶媒として用意した。この粉砕媒体に、希土類元素を含む鉄系磁石合金粉であるSm−Fe−N系磁石合金粉100gを投入し、媒体攪拌ミルを用いて、平均粒径が2μmになるように微粉砕した。
粉砕後のスラリーをヌッチェで濾過し、さらにその上から400gの2−プロパノールをかけながら置換して、残留するリン酸を洗い流した。続いて、得られたケーキ状粉砕物をミキサに投入し、真空中150℃で2時間乾燥して取り出した。
下記表1に、鉄系磁石合金粉を粉砕するのに用いた有機溶媒の種類、pH、リン酸の容量パーセント濃度、硝酸のモル濃度をまとめて示した。なお、硝酸のモル濃度は、リン酸を含まない状態の有機溶媒への含有割合を示す。
また、得られた磁石合金粉の室温での保磁力Hc1を測定し、次に、その磁石合金粉を電気炉にて真空中250℃加熱し、冷却後に回収した磁石合金粉の室温での保磁力Hc2を測定した。下記表1には、このときの保磁力減少率(1−Hc2/Hc1)を示す。
[実施例19〜36、比較例7〜12]
有機溶媒として1−メチル−2−ピロリドン(分子量:99.14、比誘電率:32)を用いたこと以外は、それぞれ、実施例1〜13、比較例1〜6と同様にして磁石合金粉末を作製し、保磁力減少率を評価した。
Figure 2017210662
表1に示すように、実施例で得られた磁石合金粉は、比較例の磁石合金粉に比べて、高温環境に曝されることによる室温での保磁力の低下を効果的に抑制できることが分かる。

Claims (7)

  1. 希土類元素を含む鉄系磁石合金粉を、リン酸を含む有機溶媒中で粉砕して磁石合金粉を製造する方法であって、
    前記鉄系磁石合金粉を粉砕するに際して、
    前記リン酸を含む有機溶媒のpHを1.5以上8.0以下とし、該有機溶媒中のリン酸濃度を0.1体積%以上20体積%以下とし、かつ、酸化剤を該有機溶媒中の濃度として0.0001mol/L以上1.0mol/L以下で添加する
    磁石合金粉の製造方法。
  2. 前記リン酸を含む有機溶媒のpHを4.0以上5.0以下とする
    請求項1に記載の磁石合金粉の製造方法。
  3. 前記酸化剤として、硝酸を添加する
    請求項1又は2に記載の磁石合金粉の製造方法。
  4. 前記有機溶媒として、分子量100以下の有機化合物を用いる
    請求項1乃至3のいずれか1項に記載の磁石合金粉の製造方法。
  5. 前記有機溶媒として、比誘電率が10以上50以下である有機溶媒を用いる
    請求項4に記載の磁石合金粉の製造方法。
  6. 前記有機溶媒として、2−プロパノール又は1−メチル−2−ピロリドン、もしくはそれらの混合物を用いる
    請求項5に記載の磁石合金粉の製造方法。
  7. 前記リン酸を含む有機溶媒として、1−メチル−2−ピロリドンに、リン酸を10体積%以上14体積%以下の割合で含有するものを用いる
    請求項6に記載の磁石合金粉の製造方法。
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