JP2017210393A - 固体電解質の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の目的は、製造工程を簡略化し、高いイオン伝導度を有する特定の固体電解質を効率よく製造する方法を提供することである。
1.2種以上の原料を、加熱及び粉砕しながら反応させることにより、
リチウム元素、リン元素及び硫黄元素と、
Ge、Si、Sn、Pb、Sb、B、Al、Ga、In、Ti、Zr、V、及びNbからなる群より選択される少なくとも1つの元素Mと、を含み、
CuKα線を用いた粉末X線回折測定において、少なくとも2θ=20.1±0.5°及び23.9±0.5°にピークを有する固体電解質を製造する、
固体電解質の製造方法。
2.混練機を用いて前記原料を加熱及び粉砕する、1に記載の固体電解質の製造方法。
3.前記混錬機が多軸混練機である、2に記載の固体電解質の製造方法。
4.前記混錬機が二軸混練機である、2に記載の固体電解質の製造方法。
5.ミルを用いて前記原料を加熱及び粉砕する、1に記載の固体電解質の製造方法。
6.少なくとも前記原料として、硫化リチウム、前記元素Mの硫黄化合物及び硫化リンを用いる、1〜5のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
7.前記原料として、さらに、ハロゲン又はハロゲン元素を含む化合物を用いる、6に記載の固体電解質の製造方法。
8.前記原料として、硫化リチウム、前記元素Mの硫黄化合物、硫化リン及びハロゲン化リチウムを用いる、1〜7のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
9.前記加熱の温度が100℃以上500℃以下である、1〜8のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
10.前記原料全体の元素組成が下記式(2)を満たすように原料を配合する、1〜9のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
LiaMbPcSdXe…(2)
(式中、Mは、Ge、Si、Sn、Pb、Sb、B、Al、Ga、In、Ti、Zr、V、及びNbからなる群より選択される少なくとも1つの元素である。
XはI、Cl、Br及びFからなる群より選択される少なくとも1つの元素である。a〜eは、それぞれ各元素の組成比を示し、8≦a≦12、b>0、c>0、2≦b+c≦4、10≦d≦14及び0≦e≦0.5を満たす。)
11.前記式(2)のMがGe又はSiである、10に記載の固体電解質の製造方法。
12.前記式(2)のMがSiである、10に記載の固体電解質の製造方法。
13.前記式(2)のMがSiであり、9≦a≦11、b>0、c>0、2.5≦b+c≦3.5、11≦d≦13及び0<e<0.5を満たす、10に記載の固体電解質の製造方法。
14.前記式(2)のXがClである、13に記載の固体電解質の製造方法。
15.前記原料として、硫化リチウム、硫化ケイ素、硫化リン及び塩化リチウムを用いる、1〜14のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
固体電解質A:
リチウム元素(Li)、リン元素(P)及び硫黄元素(S)と、
Ge、Si、Sn、Pb、Sb、B、Al、Ga、In、Ti、Zr、V、及びNbからなる群より選択される少なくとも1つの元素Mと、を含み、
CuKα線を用いた粉末X線回折測定において、少なくとも2θ=20.1±0.5°及び23.9±0.5°にピークを有する。
リチウム元素を含む原料としては、硫化リチウム(Li2S)、酸化リチウム(Li2O)、炭酸リチウム(Li2CO3)等のリチウム化合物、及びリチウム金属単体の少なくとも1つであることが好ましい。リチウム化合物としては硫化リチウム(Li2S)が特に好ましい。
ハロゲン化物としては、後述する式(1)で表されるハロゲン含有化合物が挙げられる。
Xは、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素から選択されるハロゲン元素である。
また、lは1又は2の整数であり、mは1〜10の整数である。
・硫化リチウム、元素Mの硫黄化合物及び硫化リン
・硫化リチウム、元素Mの硫黄化合物、硫化リン及びハロゲン又はハロゲン元素を含む化合物(ハロゲン化リチウムが好ましい。)
LiaMbPcSdXe…(2)
(式中、Mは、Ge、Si、Sn、Pb、Sb、B、Al、Ga、In、Ti、Zr、V、及びNbからなる群より選択される少なくとも1つの元素である。
XはI、Cl、Br及びFからなる群より選択される少なくとも1つの元素である。a〜eは、それぞれ各元素の組成比を示す。)
b及びcは、b>0かつc>0であり、2≦b+c≦4であることが好ましく、特に、2.5≦b+c≦3.5が好ましい。
dは10≦d≦14であることが好ましく、特に、11≦d≦13が好ましい。
eは0≦e≦0.5あることが好ましく、特に、0.2≦e≦0.4が好ましい。
MがGeである場合、式(2)において、aは8≦a≦12であることが好ましく、特に、9≦a≦11が好ましい。
b、cはb>0かつc>0であり、2≦b+c≦4であることが好ましく、特に、2.5≦b+c≦3.5が好ましい。
dは10≦d≦14であることが好ましく、特に、11≦d≦13が好ましい。
eは0が好ましい。
b、cはb>0かつc>0であり、2≦b+c≦4であることが好ましく、特に、2.5≦b+c≦3.5が好ましい。
dは10≦d≦14であることが好ましく、特に、11≦d≦13が好ましい。
eは、0<e<0.5が好ましい。
Xは、F、Cl、Br又はIが好ましく、特にClが好ましい。
原料としては、例えば、Li2S、P2S5、SiS2及びハロゲン化リチウム(LiCl等)を使用することが好ましい。
図1に示される多軸混練機は、一端に供給口2、他端に排出口3を備えるケーシング1、該ケーシング1の長手方向に貫通するように2つの回転軸4a、及び4bを備える2軸混練機である。該回転軸4a及び4bには、各々パドル5a及び5bが設けられている。ケーシング1の周囲にはジャケットヒーター(図示せず)が設置されており、ケーシング内部を加熱する。原料は、供給口2からケーシング1内に入り、パドル5a及び5bにおいてせん断応力が加えられて加熱及び粉砕されながら反応する。反応物、すなわち固体電解質は排出口3から排出される。
回転軸4は互いに平行である平行軸であってもよいし、斜交型であってもよく、また回転軸の回転方向は同方向であってもよいし、異方向であってもよい。回転方向は、より混練の効果を得ようとする場合は異方向を選択すればよく、またケーシング内の原料、及び反応物を掃き取り、これらのケーシング内における滞留を抑える自己清掃効果を重視する場合は同方向を選択すればよい。
加熱の温度は、例えば、100℃以上500℃以下が好ましく、さらに好ましくは120℃以上350℃以下であり、特に好ましくは150℃以上300℃以下である。
熱処理時間は、所望の結晶性が得られる時間であれば特に限定されるものではないが、例えば、1分間以上24時間以下の範囲内が好ましく、1分間以上10時間以下の範囲内がより好ましい。
また、熱処理は、不活性ガス雰囲気(例えば、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気)、または減圧雰囲気(特に真空中)で行なうことが好ましい。結晶性の固体電解質の劣化(例えば、酸化)を防止できるからである。熱処理の方法は、特に限定されるものではないが、例えば、真空加熱装置、アルゴンガス雰囲気炉、焼成炉を用いる方法等を挙げることができる。
なお、評価方法は以下のとおりである。
(1)X線回折(XRD)測定
各例で製造した固体電解質の粉末から、直径10mm、高さ0.1〜0.3cmの円形ペレットを成形して試料とした。この試料を、XRD用気密ホルダーを用いて空気に触れさせずに測定した。回折ピークの2θ位置は、XRD解析プログラムJADEを用いて重心法にて決定した。
株式会社リガクの粉末X線回折測定装置SmartLabを用いて以下の条件にて実施した。
管電圧:45kV
管電流:200mA
X線波長:Cu−Kα線(1.5418Å)
光学系:平行ビーム法
スリット構成:ソーラースリット5°、入射スリット1mm、受光スリット1mm
検出器:シンチレーションカウンター
測定範囲:2θ=10−60°
ステップ幅、スキャンスピード:0.02°、1°/分
測定結果より2θ=15.2±0.5deg及び17.6±0.5degに存在するアルジロダイト構造の2本のピーク面積を解析し、強度比を計算した。ピーク面積の解析では、XRD解析プログラムJADEを用い、3次式近似によりベースラインを引いて、ガウス関数対称ピークとしてピークフィッティングを行い各ピークの面積を算出した。
(2)イオン伝導度測定
固体電解質を、錠剤成形機に充填し、22MPaの圧力を加え成形体とした。電極としてカーボンを成形体の両面に乗せ、再度錠剤成形機にて圧力を加えることで、測定用の成形体(直径約10mm、厚み0.1〜0.2cm)を作製した。この成形体について交流インピーダンス測定によりイオン伝導度を測定した。伝導度の値は25℃における数値を採用した。
[Li2Sの合成]
撹拌機付きの500mLセパラブルフラスコに、不活性ガス下で乾燥したLiOH無水物(本荘ケミカル社製)を200g仕込んだ。窒素気流下にて昇温し、内部温度を200℃に保持した。窒素ガスを硫化水素ガス(住友精化)に切り替え、500mL/minの流量にし、LiOH無水物と硫化水素を反応させた。
反応により発生する水分はコンデンサーにより凝縮して回収した。反応を6時間行った時点で水が144mL回収された。さらに3時間反応を継続したが、水の発生は見られなかった。
生成物粉末を回収して、純度及びXRDを測定した。その結果、純度は98.5%であり、XRDではLi2Sのピークパターンが確認できた。
窒素を充填したグローブボックスにて、原料であるLi2S(0.3891g、8.47×10−3mol)P2S5(0.2934g、1.32×10−3mol)SiS2(0.2942g、3.19×10−3mol)、及びLiCl(0.0233g、0.55×10−3mol)と、粉砕メディアである直径10mmのZr2Oボール15ケをステンレス製45mLポットに仕込み、密閉した。原料全体の元素組成はLi10Si1.8P1.5S12.3Cl0.3である。
ポットをグローブボックスから取り出し、加熱式遊星ボールミル(伊藤製作所製:回転半径0.075m、自公転の回転方向逆で比は1)に装着した。回転数を350rpmにてミリングを行いながら250℃昇温し、昇温後30時間処理した。
得られた粉末のXRDチャートから2θ=20.1±0.5°、及び23.9±0.5°にピークを有していることを確認した。また、イオン伝導度σは1.3×10−3S/cmであった。
グローブボックスに、アイシンナノテクノロジーズ社製のフィーダー及び二軸混練押出機(栗本鉄工所社製KRCジュニア、バドル径φ8mm)を設置した。Li2S(3.891g、8.47×10−2mol)、P2S5(2.934g、1.32×10−2mol)、SiS2(2.942g、3.19×10−2mol)及びLiCl(0.233g、0.55×10−2mol)の混合物をフィーダーにより供給部より一定速度で供給し、回転数150rpm、250℃にて混練した。約30分で粉末がニーダー出口より排出された。排出された粉末を再び供給部に戻し混練する操作を20回繰り返した。
最終的に得られた固体電解質のXRDを測定した結果、2θ=20.1±0.5°及び23.9±0.5°にピークを有していた。イオン伝導度は1.7×10−3S/cmであった。
実施例2において、温度250℃を300℃に変更した他は、実施例2と同様にして固体電解質を得た。得られた固体電解質のXRDを測定した結果、2θ=20.1±0.5°及び23.9±0.5°にピークを有していた。イオン伝導度は3.9×10−3S/cmであった。
加熱なしで実施した他は、実施例1と同様にした。
得られた粉末のXRDチャートには、原料由来のピークが残っていた。また、2θ=20.1±0.5°及び23.9±0.5°にピークを有していないことを確認した。
2 供給口
3 排出口
4、4a、4b 回転軸
5、5a、5b パドル
6、6a、6b スクリュー
7、7a、7b リバーススクリュー
Claims (15)
- 2種以上の原料を、加熱及び粉砕しながら反応させることにより、
リチウム元素、リン元素及び硫黄元素と、
Ge、Si、Sn、Pb、Sb、B、Al、Ga、In、Ti、Zr、V、及びNbからなる群より選択される少なくとも1つの元素Mと、を含み、
CuKα線を用いた粉末X線回折測定において、少なくとも2θ=20.1±0.5°及び23.9±0.5°にピークを有する固体電解質を製造する、
固体電解質の製造方法。 - 混練機を用いて前記原料を加熱及び粉砕する、請求項1に記載の固体電解質の製造方法。
- 前記混錬機が多軸混練機である、請求項2に記載の固体電解質の製造方法。
- 前記混錬機が二軸混練機である、請求項2に記載の固体電解質の製造方法。
- ミルを用いて前記原料を加熱及び粉砕する、請求項1に記載の固体電解質の製造方法。
- 少なくとも前記原料として、硫化リチウム、前記元素Mの硫黄化合物及び硫化リンを用いる、請求項1〜5のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
- 前記原料として、さらに、ハロゲン又はハロゲン元素を含む化合物を用いる、請求項6に記載の固体電解質の製造方法。
- 前記原料として、硫化リチウム、前記元素Mの硫黄化合物、硫化リン及びハロゲン化リチウムを用いる、請求項1〜7のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
- 前記加熱の温度が100℃以上500℃以下である、請求項1〜8のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
- 前記原料全体の元素組成が下記式(2)を満たすように原料を配合する、請求項1〜9のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
LiaMbPcSdXe…(2)
(式中、Mは、Ge、Si、Sn、Pb、Sb、B、Al、Ga、In、Ti、Zr、V、及びNbからなる群より選択される少なくとも1つの元素である。
XはI、Cl、Br及びFからなる群より選択される少なくとも1つの元素である。a〜eは、それぞれ各元素の組成比を示し、8≦a≦12、b>0、c>0、2≦b+c≦4、10≦d≦14及び0≦e≦0.5を満たす。) - 前記式(2)のMがGe又はSiである、請求項10に記載の固体電解質の製造方法。
- 前記式(2)のMがSiである、請求項10に記載の固体電解質の製造方法。
- 前記式(2)のMがSiであり、9≦a≦11、b>0、c>0、2.5≦b+c≦3.5、11≦d≦13及び0<e<0.5を満たす、請求項10に記載の固体電解質の製造方法。
- 前記式(2)のXがClである、請求項13に記載の固体電解質の製造方法。
- 前記原料として、硫化リチウム、硫化ケイ素、硫化リン及び塩化リチウムを用いる、請求項1〜14のいずれかに記載の固体電解質の製造方法。
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