JP2017206093A - 空気入りタイヤ及び剛性中子 - Google Patents

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Akira Yaguchi
昌 矢口
圭 小原
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Abstract

【課題】タイヤ赤道Cの一方側と他方側とでカーカスコード長さが異なることによるユニフォミティ性能の悪化を抑制できる空気入りタイヤを提供する。【解決手段】空気入りタイヤ1が、適合リムにリム組みされ、規定内圧の5%の内圧が充填された無負荷の状態で、カーカスコード60は、タイヤ赤道Cから第1ビードコア5Aまでの長さである第1カーカスコード長さが、タイヤ赤道Cから第2ビードコア5Bまでの長さである第2カーカスコード長さよりも小さい。タイヤ回転軸を含むタイヤ断面において、トレッド部2のプロファイルは、少なくとも、タイヤ赤道Cを含むクラウン領域25において、第1ビード部4A側から第2ビード部B側に向かって、少なくとも外径又は内径のいずれかが小さくなる円錐状である。【選択図】 図1

Description

本発明は、空気入りタイヤ及びその製造に好適な剛性中子に関する。
タイヤ赤道の一方側と他方側とで、子午線断面形状が異なる空気入りタイヤが提案されている。
例えば、特許文献1では、一方側の第1ビードコアの内径が、他方側の第2ビードコアの内径よりも大きい空気入りタイヤが開示されている。このような空気入りタイヤでは、タイヤ赤道から第1ビードコアまでの長さである第1カーカスコード長さが、タイヤ赤道から第2ビードコアまでの長さである第2カーカスコード長さよりも小さくなる。
特許文献1で開示されている乗用車用空気入りタイヤにあっては、カーカスコードには、例えば、レーヨン等の有機繊維が使用されている。このようなカーカスコードは、空気入りタイヤへの内圧の充填に伴い伸張し、空気入りタイヤが膨張する。
しかしながら、上述した第1カーカスコード長さが第2カーカスコード長さよりも小さい空気入りタイヤにあっては、規定内圧の充填時に、第1カーカスコードの伸張長さが第2カーカスコードの伸張長さよりも小さくなる。その結果、タイヤ赤道の一方側と他方側とにおいて空気入りタイヤが不均一に膨張する。より具体的には、トレッド部のプロファイルが、タイヤ赤道を含むクラウン領域において、第1ビードコア側から第2ビードコア側に向かって外径が大きくなる円錐状に変化する。このようなトレッド部のプロファイルは、コニシティ等のユニフォミティ性能や耐偏摩耗性能に悪影響を及ぼす。
特開2008−155855号公報
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、タイヤ赤道の一方側と他方側とでカーカスコード長さが異なる場合において、ユニフォミティ性能の悪化を抑制できる空気入りタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明の第1発明は、トレッド部と、タイヤ赤道の一方側に第1ビードコアが埋設された第1ビード部と、タイヤ赤道の他方側に第2ビードコアが埋設された第2ビード部とを有する空気入りタイヤであって、前記第1ビードコアと前記第2ビードコアとの間に跨って配された複数のカーカスコードからなるカーカスを具え、適合リムにリム組みされかつ規定内圧の5%の内圧が充填された無負荷の状態である仮組状態において、前記カーカスコードは、タイヤ赤道から前記第1ビードコアまでの長さである第1カーカスコード長さが、タイヤ赤道から前記第2ビードコアまでの長さである第2カーカスコード長さよりも小さい一方、タイヤ回転軸を含むタイヤ断面において、前記トレッド部のプロファイルは、少なくとも、タイヤ赤道を含むクラウン領域において、前記第1ビード部側から前記第2ビード部側に向かって、少なくとも外径又は内径のいずれかが小さくなる円錐状であることを特徴とする。
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記トレッド部には、前記カーカスの外側にベルトが配されており、前記クラウン領域が、少なくとも、前記ベルトの幅の60%であることが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記クラウン領域が、少なくとも、前記仮組状態でのタイヤ最大幅の50%であることが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記トレッド部には、前記カーカスの外側に、補強コードが螺旋状に巻き付けられたバンドが配されており、前記バンドは、タイヤ赤道よりも前記第1ビード部側に配された第1バンド部と、タイヤ赤道よりも前記第2ビード部側に配された第2バンド部とを含み、前記第2バンド部の前記カーカスに対する拘束力が、前記第1バンド部の前記カーカスに対する拘束力よりも大きいことが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記第2バンド部のバンドコード密度が、前記第1バンド部のバンドコード密度よりも大きいことが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記第2バンド部のバンドコード張力が、前記第1バンド部のバンドコード張力よりも大きいことが望ましい。
本発明に係る前記空気入りタイヤにおいて、前記適合リムにリム組みされかつ前記規定内圧が充填された無負荷の状態である正規状態において、前記クラウン領域の前記プロファイルが、タイヤ赤道に関して対称形状であることが望ましい。
本発明の第2発明は、前記空気入りタイヤの内腔面を成形するための剛性中子であって、生タイヤを形成するためのタイヤ成形面を具え、タイヤ回転軸を含むタイヤ断面において、前記タイヤ成形面のプロファイルは、少なくとも、タイヤ赤道を含むクラウン領域において、前記第1ビード部側から前記第2ビード部側に向かって、外径が小さくなる円錐状であることを特徴とする。
本発明の第1発明の空気入りタイヤは、上記仮組状態において、第1カーカスコード長さが、第2カーカスコード長さよりも小さい。このため、規定内圧が充填される使用状態において、第1ビード部側よりも第2ビード部側で、トレッド部が大きく膨張する。
一方、上記仮組状態で、タイヤ回転軸を含むタイヤ断面において、トレッド部のプロファイルは、少なくとも、タイヤ赤道を含むクラウン領域において、第1ビード部側から第2ビード部側に向かって、少なくとも外径又は内径のいずれかが小さくなる円錐状である。このようなトレッド部は、規定内圧の充填に伴い上述のごとく膨張することにより円錐状のプロファイルが相殺され、タイヤ赤道に対して対称形状に矯正される。従って、タイヤ重量の増大を招くことなくコニシティが改善され、ユニフォミティ性能の悪化が抑制されうる。
本発明の第2発明の剛性中子は、タイヤ回転軸を含むタイヤ断面において、タイヤ成形面のプロファイルが、第1ビード部側から第2ビード部側に向かって、外径が小さくなる円錐状であるので、上記第1発明の空気入りタイヤを容易に製造することが可能となる。
本発明の第1発明の空気入りタイヤの一実施形態を示す断面図である。 図1の空気入りタイヤのトレッド部の仮組状態でのプロファイルを示す図である。 図2の空気入りタイヤのトレッド部の正規状態でのプロファイルを示す図である。 図1の空気入りタイヤの製造に用いられる剛性中子の一実施形態を示す断面図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本発明の空気入りタイヤ1(第1発明)の一実施形態を示している。同図では、仮組状態における空気入りタイヤ1のタイヤ回転軸を含むタイヤ子午線断面が示されている。ここで、「仮組状態」とは、タイヤを適合リムRMに組み付け、かつ、規定内圧の5%の内圧を充填した無負荷の状態である。以下、特に言及されない場合、タイヤの各部の寸法等はこの仮組状態で測定された値である。
「適合リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" である。規格に当該タイヤのサイズが存在しない場合は、当該タイヤに適合するように製造されたリムである。
「規定内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITSAT VARIOUSCOLD INFLATION PRESSURES"に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。タイヤが乗用車用である場合、規定内圧は、180kPaである。規格に当該タイヤのサイズが存在しない場合は、当該タイヤの設定荷重(ロードインデックス)から推定される内圧である。
空気入りタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至るカーカス6、カーカス6の半径方向外側かつトレッド部2の内部に配されたベルト層7、ベルト層7の半径方向外側かつトレッド部2の内部に配されたバンド層9、サイドウォール部3においてカーカス6のタイヤ軸方向内側に配されたサイド補強ゴム層10、ビード部4に配されたビードエーペックスゴム8等を具える。また、本実施形態ではサイド補強ゴム層10を具えた乗用車用のランフラットタイヤが示されている。
ビード部4は、タイヤ赤道Cの一方側の第1ビード部4A及び他方側の第2ビード部4Bを含む。
第1ビード部4Aには、第1内径D1を有する第1ビードコア5Aが埋設されている。本実施形態の第1ビードコア5Aは、カーカス6よりもタイヤ軸方向の内側に配された第1内ビードコア5Ai及びカーカス6よりもタイヤ軸方向の外側に配された第1外ビードコア5Aoを含む。
第2ビード部4Bには、第2内径D2を有する第2ビードコア5Bが埋設されている。第2ビードコア5Bの第2内径D2は、第1ビードコア5Aの第1内径D1よりも小さい。本実施形態の第2ビードコア5Bは、カーカス6よりもタイヤ軸方向の内側に配された第2内ビードコア5Bi及びカーカス6よりもタイヤ軸方向の外側に配された第2外ビードコア5Boを含む。
カーカス6は、複数のカーカスコード60をラジアル配列させた1層以上、本実施形態では1層のカーカスプライ61から形成される。カーカスコード60には、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、レーヨン、ナイロン、アラミド等の有機繊維からなるコードが適用される。
各カーカスコード60は、第1ビードコア5Aと第2ビードコア5Bとの間に跨って配される。各カーカスコード60は、タイヤ赤道Cから第1ビードコア5Aまでの第1カーカスコード60Aと、タイヤ赤道Cから第2ビードコア5Bまでの第2カーカスコード60Bとを含む。これにより、カーカスプライ61は、両側の第1ビード部4Aと第2ビード部4B間を跨るトロイド状をなす。また、カーカスプライ61の一端部(第1カーカスコード60Aの端縁部)は、第1内ビードコア5Ai及び第1外ビードコア5Aoに挟まれて終端し、他端部(第2カーカスコード60Bの端縁部)は、第2内ビードコア5Bi及び第2外ビードコア5Boに挟まれて終端している。
ベルト層7は、スチールコード等の高弾性のベルトコードをタイヤ周方向に対して例えば10〜35゜程度で配列した2枚以上、本例では2枚のベルトプライ7A、7Bから形成される。ベルト層7は、各ベルトコードがプライ間相互で交差することにより、ベルト剛性を高め、トレッド部2の略全巾をタガ効果を有して強固に補強している。
ビードエーペックスゴム8は、硬質のゴムからなり、ビード部4の下部からタイヤ半径方向外方に向かってテーパ状でのびる。これにより、ビード部4及びサイドウォール部3が補強される。
バンド層9は、ベルト層7の半径方向外側に巻回されたバンドコードによって構成されている。バンドコードには、例えばナイロンコード等が適用される。バンド層9は、例えば、複数本のバンドコードを並列したバンドコード配列体をトッピングゴムで被覆した小幅のバンドストリップが、周方向に対して5度以下の角度でベルト層7の外側に螺旋状に巻き付けられることにより、形成される。バンド層9は、構想走行時のトレッド部2を拘束し、空気入りタイヤ1の高速耐久性を高める。なお、バンド層9は、省略されていてもよい。
サイド補強ゴム層10は、断面略三日月状をなす硬質のゴムからなる。即ち、サイド補強ゴム層10は、サイドウォール部3に沿って湾曲し、かつ、厚さが、中央部分からタイヤ半径方向内端及び外端に向かってそれぞれ徐々に減じられている。このようなサイド補強ゴム層10は、サイドウォール部3の剛性を効果的に高め、ランフラット走行時のタイヤの縦撓みを効果的に低減する。なお、サイド補強ゴム層10は、省略されていてもよい。
図1に示されるように、空気入りタイヤ1は、第1ビードコア5Aの第1内径D1よりも第2ビードコア5Bの第2内径D2が小さい、異径ビード構造が採用されている。第1ビード部4Aによって空気入りタイヤ1の操縦安定性能が高められ、第2ビード部4Bによって空気入りタイヤ1の乗り心地性能が高められる。
本空気入りタイヤ1のトレッド部2のプロファイルは、タイヤ赤道Cに対して非対称である。上記トレッド部2の「プロファイル」は、図1に示されるタイヤ子午線断面上で、トレッド部2の踏面21又は内腔面22を滑らかに連ねた輪郭線で表される。例えば、トレッド部2の外表面に溝が形成されている場合、溝の領域では、その両側の陸部の踏面21を滑らかに連ねることにより、トレッド部2の外側のプロファイル23が取得される。一方、内腔面22のように、トレッド部2の内側に特異な凹凸が存在しない場合、内腔面22の輪郭線がトレッド部2の内側のプロファイル24となる。
図2は、上記仮組状態でのタイヤ子午線断面図におけるトレッド部2を含む空気入りタイヤ1のトレッド部2のプロファイル23及び24、第1ビードコア5A、第2ビードコア5B、第1カーカスコード60A及び第2カーカスコード60Bを概念的に示す略図である。なお、この図2においては、タイヤ赤道Cに対して対称な従来のトレッド部2の外側のプロファイル23X、内側のプロファイル24X、カーカスコード6Xが破線で描かれている。
トレッド部2の外側のプロファイル23は、少なくとも、タイヤ赤道Cを含むクラウン領域25において、第1ビード部4A側から第2ビード部4B側に向かって外径が小さくなる円錐状である。「円錐状」とは、任意のクラウン領域25内で、タイヤ赤道Cから両側に等距離にある位置での、プロファイル23のタイヤ周方向の周長が異なっており、かつ、第1ビード部4A側の上記周長が第2ビード部4B側の上記周長よりも小さいことを意味し、数学的な円錐形状よりも広い概念である。換言すると、任意のクラウン領域25内で、タイヤ赤道Cから両側に等距離にある上記位置を結んだ直線は、第2ビード部4B側で、タイヤ軸と交差する。
上記外側のプロファイル23は、例えば、空気入りタイヤ1を加硫成形するための加硫金型のトレッド成形面を、予め円錐状に設定することにより、容易に実現可能である。
同様に、トレッド部2の内側のプロファイル24は、少なくとも、タイヤ赤道Cを含むクラウン領域25において、第1ビード部4A側から第2ビード部4B側に向かって内径が小さくなる円錐状である。内側のプロファイル24は、例えば、空気入りタイヤ1の内腔面22を成形するための剛性中子(図4参照)のトレッド成形面を、予め円錐状に設定することにより、容易に実現可能である。
図3は、上記仮組状態及び規定内圧が充填された正規状態でのタイヤ子午線断面図におけるトレッド部2の外側のプロファイル23、第1カーカスコード60A及び第2カーカスコード60Bを概念的に示す略図である。同図では、仮組状態でのプロファイル23及び第1カーカスコード60A及び第2カーカスコード60Bが2点鎖線で描かれ、正規状態でのプロファイル23及び第1カーカスコード60A及び第2カーカスコード60Bが実線で描かれている。
空気入りタイヤ1では、第1ビードコア5Aの第1内径D1と第2ビードコア5Bの第2内径D2とが異なっているため、タイヤ赤道Cの一方側と他方側とで、カーカスコード60の長さが異なっている。すなわち、タイヤ赤道Cから第1ビードコア5Aまでの長さである第1カーカスコード長さC1が、タイヤ赤道Cから第2ビードコア5Bまでの長さである第2カーカスコード長さC2よりも小さい。
有機繊維からなるカーカスコード60は、空気入りタイヤ1への内圧の充填に伴い、若干ながら伸張し、その伸張長さはコード長さに比例する。本実施形態では、第1カーカスコード長さC1が第2カーカスコード長さC2よりも小さいので、内圧充填時に、第1カーカスコード60Aの伸張長さが第2カーカスコード60Bの伸張長さよりも小さくなる。その結果、タイヤ赤道Cの一方側と他方側とにおいて、空気入りタイヤ1が不均一に膨張する。より具体的には、規定内圧が充填される空気入りタイヤ1の使用状態において、第1ビード部4A側よりも第2ビード部4B側で、トレッド部2が大きく膨張する。
その結果、トレッド部2は、規定内圧の充填に伴い上述のごとく膨張することにより、上記円錐状のプロフアイルが相殺され、タイヤ赤道Cに対して対称形状に矯正される。従って、タイヤ重量の増大を招くことなくコニシティが改善され、ユニフォミティ性能の悪化が抑制されうる。
トレッド部2の外側のプロファイル23及び内側のプロファイル24が円錐状をなすクラウン領域25は、例えば、ベルト層7の幅すなわちベルト層7のタイヤ軸方向長さの60%以上が望ましい。上記クラウン領域25がベルト層7の幅の60%以上であることにより、規定内圧の充填時にトレッド部2が広範な領域で対称形状に矯正され、コニシティの顕著な改善が期待されうる。より望ましいクラウン領域25は、例えば、ベルト層7の幅の70%以上である。
トレッド部2の外側のプロファイル23及び内側のプロファイル24が円錐状をなすクラウン領域25は、例えば、上記仮組状態での空気入りタイヤ1のタイヤ最大幅50%以上が望ましい。上記クラウン領域25が上記タイヤ最大幅の50%以上であることにより、トレッド部2が広範な領域で対称形状に矯正され、コニシティの顕著な改善が期待されうる。より望ましいクラウン領域25は、例えば、上記タイヤ最大幅の60%以上である。
本発明では、クラウン領域25で、トレッド部2の外側のプロファイル23及び内側のプロファイル24の両方が円錐状をなしているのが望ましいが、少なくとも外側のプロファイル23又は内側のプロファイル24のいずれか一方が円錐状をなしていてもよい。
バンド層9は、タイヤ赤道Cよりも第1ビード部4A側に配された第1バンド部9Aと、タイヤ赤道Cよりも第2ビード部4B側に配された第2バンド部9Bとを含む。第1バンド部9A及び第2バンド部9Bでは、1本のバンドストリップが途切れることなく連続的に巻回されている。
本実施形態では、第2バンド部9Bのカーカス6及びベルト層7に対する拘束力は、第1バンド部9Aのカーカス6及びベルト層7に対する拘束力よりも大きいことが望ましい。
このようなバンド層9は、例えば、第2バンド部9Bのバンドコード密度が、第1バンド部9Aのバンドコード密度よりも大きくなるように、バンドストリップの螺旋ピッチを調整することにより実現される。より具体的には、第2バンド部9Bでのバンドストリップの螺旋ピッチを第1バンド部9Aでのバンドストリップの螺旋ピッチよりも小さくすることにより実現される。第2バンド部9Bでのバンドストリップの螺旋ピッチがバンドストリップの幅よりも小さく設定されることにより、タイヤ半径方向にバンドストリップを巻き重ねることが可能である。
また、第2バンド部9Bでの拘束力が第1バンド部9Aでの拘束力より大きい上記バンド層9は、第2バンド部9Bでのバンドコード張力が、第1バンド部9Aでのバンドコード張力よりも大きくなるように、バンドストリップの巻き付け張力を調整することによっても実現される。バンドストリップの螺旋ピッチ及び巻き付け張力の両方を調整することにより、第2バンド部9Bでの拘束力と第1バンド部9Aでの拘束力との差を大きく設定することも可能である。
第2バンド部9Bのカーカス6等に対する拘束力が第1バンド部9Aのカーカス6等に対する拘束力よりも大きい空気入りタイヤ1では、規定内圧の充填時に、第1ビード部4A側よりも第2ビード部4B側でカーカス6の膨張が抑制される。トレッド部2が対称形状が維持されやすくなり、より一層コニシティが改善されうる。
図4は、本発明の第2発明の剛性中子の一実施形態を示している。剛性中子100は、タイヤ回転軸を含むタイヤ断面において、タイヤ成形面120のプロファイルが、少なくとも、タイヤ赤道Cを含むクラウン領域125において、第1ビード部4A(図1参照)側から第2ビード部4B(図1参照)側に向かって、外径が小さくなる円錐状に形成されている。
剛性中子100によって、クラウン領域25において、トレッド部2の内側のプロファイル24が円錐状をなす空気入りタイヤ1を、高精度かつ容易に製造することが可能となる。
以上、本発明の空気入りタイヤが詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。
例えば、本発明は、タイヤ赤道Cの一方側での第1カーカスコード長さとタイヤ赤道Cの他方側での第2カーカスコード長さとが異なる空気入りタイヤに広く適用できる。従って、上記空気入りタイヤ1のように、第2ビードコア5Bの第2内径D2が第1ビードコア5Aの第1内径D1よりも小さい形態に限られることなく、2つのビードコアの内径が等しい空気入りタイヤにも適用できる。この場合、例えば、タイヤ赤道Cの一方側と他方側とで、カーカスのプロファイルが非対称である空気入りタイヤに適用されうる。
図1の基本構造をなす空気入りタイヤが、表1の仕様に基づき試作され、ユニフォミティ性能及び高速耐久性能がテストされた。各空気入りタイヤのサイズは、第1ビード部4A側が245/35R20相当であり、第2ビード部4B側が245/45R18相当である。第1カーカスコード長さは、第2カーカスコード長さよりも35mm小さい。実施例の外側のプロファイルが円錐状のトレッド部では、タイヤ赤道Cから両側に、ベルト層7の半幅の50%の位置での外周長の差が6.30mmであり、内側のプロファイルが円錐状のトレッド部では、タイヤ赤道Cから両側に、ベルト層7の半幅の50%の位置での内周長の差が6.30mmである。テスト方法は、以下の通りである。
<ユニフォミティ性能>
各仕様毎に10本の試供タイヤが、適合リムに装着され、コニシティ(N)が測定された。結果は、平均値で表され、数値が小さいほどコニシティが小さく良好である。
<高速耐久性能>
各試供タイヤが、適合リムに装着され、ドラム試験機を用いて、ECE30により規定された、ロードインデックスが94相当の荷重、スピードレンジがY相当の速度に準拠して、ステップスピード方式によるテストが実施された。かかるテストにおいて、逐次走行速度が上昇されると共に、タイヤが破壊したときの速度(km/H )が測定された。評価は、数値が大きいほど高速耐久性能が高く良好である。
Figure 2017206093
表1から明らかなように、実施例の空気入りタイヤは、比較例に比べて高速耐久性能を犠牲にすることなく、ユニフォミティ性能が有意に向上していることが確認できた。
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4A 第1ビード部
4B 第2ビード部
5A 第1ビードコア
5B 第2ビードコア
6 カーカス
23 プロファイル
24 プロファイル
60A 第1カーカスコード
60B 第2カーカスコード
C1 第1カーカスコード長さ
C2 第2カーカスコード長さ

Claims (8)

  1. トレッド部と、タイヤ赤道の一方側に第1ビードコアが埋設された第1ビード部と、タイヤ赤道の他方側に第2ビードコアが埋設された第2ビード部とを有する空気入りタイヤであって、
    前記第1ビードコアと前記第2ビードコアとの間に跨って配された複数のカーカスコードからなるカーカスを具え、
    適合リムにリム組みされかつ規定内圧の5%の内圧が充填された無負荷の状態である仮組状態において、
    前記カーカスコードは、タイヤ赤道から前記第1ビードコアまでの長さである第1カーカスコード長さが、タイヤ赤道から前記第2ビードコアまでの長さである第2カーカスコード長さよりも小さい一方、
    タイヤ回転軸を含むタイヤ断面において、前記トレッド部のプロファイルは、少なくとも、タイヤ赤道を含むクラウン領域において、前記第1ビード部側から前記第2ビード部側に向かって、少なくとも外径又は内径のいずれかが小さくなる円錐状であることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記トレッド部には、前記カーカスの外側にベルトが配されており、前記クラウン領域が、少なくとも、前記ベルトの幅の60%である請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記クラウン領域が、少なくとも、前記仮組状態でのタイヤ最大幅の50%である請求項1記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記トレッド部には、前記カーカスの外側に、補強コードが螺旋状に巻き付けられたバンドが配されており、
    前記バンドは、タイヤ赤道よりも前記第1ビード部側に配された第1バンド部と、タイヤ赤道よりも前記第2ビード部側に配された第2バンド部とを含み、
    前記第2バンド部の前記カーカスに対する拘束力が、前記第1バンド部の前記カーカスに対する拘束力よりも大きい請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記第2バンド部のバンドコード密度が、前記第1バンド部のバンドコード密度よりも大きい請求項4記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記第2バンド部のバンドコード張力が、前記第1バンド部のバンドコード張力よりも大きい請求項4又は5記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記適合リムにリム組みされかつ前記規定内圧が充填された無負荷の状態である正規状態において、前記クラウン領域の前記プロファイルが、タイヤ赤道に関して対称形状である請求項1乃至6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  8. 請求項1記載の空気入りタイヤの内腔面を成形するための剛性中子であって、
    生タイヤを形成するためのタイヤ成形面を具え、
    タイヤ回転軸を含むタイヤ断面において、前記タイヤ成形面のプロファイルは、少なくとも、タイヤ赤道を含むクラウン領域において、前記第1ビード部側から前記第2ビード部側に向かって、外径が小さくなる円錐状であることを特徴とする剛性中子。
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