以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、遊技場用システムの全体構成を概略的に示している。遊技場内には、複数の遊技機島(図示略)が設けられており、各遊技機島には、多数の遊技機1や、これに対応する多数の遊技装置2及び情報表示装置3が設置されている。図1に示すように、1台の遊技機1に対して、その左側方に1台の遊技装置2が配置され、当該遊技機1の上方に1台の情報表示装置3が配置されている。これら遊技機1、遊技装置2及び情報表示装置3は、中継装置4と接続されている。中継装置4は、LAN(Local Area Network)5を介して管理装置6と接続されている。
また、遊技場にはPOS7及び精算装置8が設置されており、これらPOS7及び精算装置8は、LAN5を介して管理装置6と接続されている。更に、詳しくは後述するが、本実施形態の遊技場内には、巡回用のロボット10が配置されるとともに、LAN5には、巡回ロボット10との通信用のAP(Access Point)9が接続されている。
管理装置6は、遊技場内の例えば事務室等に設置されており、遊技場の管理者が操作するキーボード6k、モニタ6m、プリンタ(図示略)等が接続されている。管理装置6は、遊技機側(遊技機1、遊技装置2等)から送信される遊技信号や、その他POS7等の各種装置から各種信号を受信することにより、遊技機1、遊技装置2、POS7を含む遊技場内の全ての装置の稼動状況を管理すると共に、遊技者毎の遊技情報を記憶管理する。尚、図1では図示を省略したが、実際には例えば数百台の遊技機1が管理装置6の管理対象となっている。
POS7は、遊技場内の景品交換カウンタに設けられており、遊技場の従業員により操作される。POS7は、付属するカードリーダ(図示略)により読み取った一般カード又は会員カードにより特定される持玉又は貯玉に基づいて景品交換処理を実行する。尚、図1では、一般カードとして遊技者が所持(或いは所有)する持玉券11を示しており、会員登録した遊技者が所持する会員カードの図示を省略する。
ここで、持玉券11及び会員カードは、何れも各種情報の記録が可能なICチップを内蔵する記録媒体であり、入金残額たる残高が有価価値として記録される。また、持玉券11には、各々の券を識別可能な持玉券ID(Identification)が記録され、会員カードには、会員登録を行った遊技者を識別可能な会員IDが記録されている。詳しくは後述するように、持玉券11には持玉(有価価値)を記録する一方、会員カードには持玉を記録せず貯玉(有価価値)として管理装置6で管理する等の違いがあるが、会員カードは、遊技者の識別情報である会員IDに基づき管理されている貯玉を特定しうる点で、価値特定手段であるといえる。このように、持玉券11や会員カードは何れも価値特定手段として、持玉や貯玉、残高等の特定が可能である。それ故、POS7は、価値特定手段を受付け可能であり、当該受付けた価値特定手段に対応する有価価値としての持玉又は貯玉に関して景品交換処理により精算するための精算処理を行う精算手段として機能する。
精算装置8は、例えば前記遊技機島の端部に設けられている。精算装置8は、持玉券11又は会員カードをそのカード挿入口8aへの挿入により受け付けると、当該受け付けた価値特定手段に記録されている残高をカードリーダ(図示略)により読み取り、その読み取った残額に対応する紙幣や硬貨を返却口8bから返却する精算処理を実行する。このように、精算装置8は、価値特定手段を受付け可能であり、当該受付けた価値特定手段に対応する有価価値としての残高を精算するための精算処理を行う精算手段として機能する。
精算装置8には、人感センサ8c(図2(a)参照)が搭載されている。精算装置8の前に遊技者が来ると、精算装置8は、人感センサ8cがオンとなることにより遊技者を検出し、係る検出信号は、LAN5を介して管理装置6にも入力されるようになっている。また、精算装置8やPOS7において持玉券11や会員カードに記録されている有価価値等を取扱うときは、後述する問合せ情報を管理装置6へ送信し、管理装置6において係る問合せ情報についての照合を行うようになっている。
遊技機1は、CRパチンコ機であり、盤面1aに遊技媒体であるパチンコ玉を発射する発射装置を構成する操作ハンドル12、上部受皿13、下部受皿14を有すると共に、盤面1aに、液晶表示部15、普図入賞口16、第1始動口17、第2始動口18、大入賞口19等を有する。又、遊技機1は、上部受皿13の上面に、貸出釦20、返却釦21を有する。
遊技機1は、以下に示すように動作する。
(1)第1始動口17は入賞率が変動しない入賞口(所謂ヘソ入賞口)であり、第2始動口18は入賞率が変動する入賞口(所謂電チュー)である。
(2)各始動口17、18への入賞(始動入賞)に応じて大当り抽選を行い、抽選結果を液晶表示部15にて行う図柄変動にて報知し、その変動結果に応じて大当りとなる。
(3)図柄変動中に始動入賞した場合には所定の保留上限値(例えば各4つ)まで図柄変動を累積的に保留し、図柄変動終了後に保留している図柄変動を開始する。尚、保留している図柄変動数(保留数)が上限値である状態で始動入賞した場合、図柄変動は保留されない。
(4)大当り抽選の当選確率(大当り確率)は1/360であり、大当りがその後確変状態(確変)となる大当り(確変大当り)となる割合である確変率は(通常状態、確変状態共に)66.6%である。大当りが発生すると15ラウンド(R)分だけ大入賞口19を開放する。1Rの上限入賞数は10玉、上限開放時間は30秒であり、上限入賞数又は上限開放時間の何れかが満たされた場合に1Rを終了する。
(5)確変中は大当り確率が1/31に向上すると共に、第2始動口18への入賞率が高くなる時短状態(時短)になる。尚、確変は次回大当りまで継続するので、大当り後に大当りでも確変でもない状態である通常遊技状態(通常状態)となる大当り(通常大当り)が発生するまで継続し、その後は所定数(例えば100回)の図柄変動を行うまで時短状態となる。
(6)第2始動口18は普図入賞口16への入賞に応じて変動する普通図柄(普図)が当りとなった場合に入賞率の高い開放状態となる。この場合、普図1回の変動時間は通常状態では30秒であり時短状態では3秒となる。又、開放時間は通常状態では0.3秒であり時短状態では5秒となる。即ち、時短状態では通常状態と比較して普図変動時間が短くなる一方、開放時間は長くなることで第2始動口18の入賞率が高くなる。
前記遊技機側たる遊技機1及び当該遊技機1に付設の周辺機器は、遊技者による玉の打込みや各始動口17、18への始動入賞等の遊技の進行に伴って、以下に示す遊技信号を送信する。
アウト信号=消費玉を回収するアウトBOXから送信される消費価値(アウト)を特定可能な信号である。消費(使用、打込、回収)玉10玉に対して1パルスが送信されるので、「アウト信号数×10」をアウトとして特定する。尚、遊技機1から送信される信号でもよい。
セーフ信号=遊技機1から送信される入賞付与価値(セーフ)を特定可能な信号である。払出(付与)玉10玉に対して1パルスが送信されるので、「セーフ信号数×10」をセーフとして特定する。尚、補給装置から送信される補給信号をセーフ信号としてもよい。
始動信号=遊技機1から送信される始動入賞により変動(作動)する液晶表示部15(役物)におけるスタート処理(図柄変動、役物作動、単位遊技)を特定可能な信号である。図柄変動確定時に送信されるので、始動信号の受信に応じてスタート処理を特定し、「始動信号×1」をスタート回数として特定する。尚、始動入賞を示す信号としてもよい。
大当り信号=遊技機1から送信される大当り期間を特定可能な信号である。大当り中にレベル送信される状態信号であるので、大当り信号の受信中を大当り中として特定する。
特別状態信号=遊技機1から送信される特別状態(甘中)を特定可能な信号である。第2始動口18の入賞率が向上する特別状態中(時短中)にレベル送信される状態信号であるので、特別状態信号の受信中を特別状態中として特定する。尚、大当り確率が向上する確変中にレベル送信される状態信号(確変信号)であってもよい。又、大当り信号と特別状態信号の何れも受信していない期間を通常状態として特定する。
遊技装置2は、所謂各台計数機能付の貸出機であり、遊技機1の遊技状態を示す状態表示部22、貨幣が投入される貨幣投入口23、遊技者からの操作入力を受け付けると共に遊技の進行に伴ってスタート回数や大当り確率等の遊技情報を表示するタッチパネル式の液晶表示部24、持玉及び貯玉を払出すための払出釦25、払出された玉が通過する払出ノズル26、持玉券11或いは会員カードが挿入されるカード挿入口27、遊技機1の下部受皿14の下方に位置する着脱可能な計数受皿28、遊技者を撮像可能なカメラ29等を有する。
カメラ29は、例えば周知のCMOSセンサやCCDセンサ等の撮像素子を含んで構成され、遊技装置2に対応する遊技機1の前方側(正面側)を撮像視野として所定周期毎に(例えば4秒毎に)撮像する。即ち、カメラ29は、遊技機1と一対一で対応するように遊技装置2に設けられ、当該対応する遊技機1の遊技者を撮像する第1撮像手段として、その遊技機1前方に着席した遊技者の顔を含む領域を所定周期毎に撮像する。尚、遊技装置2のカメラ29は、図1に示すように一方の遊技機1と他方の遊技機1の台間に設けられるのであるが、当該カメラ29の遊技者に対する撮像方向は、後述する第2撮像手段の精算者に対する撮像方向(図4の矢印参照)と同じ方向を指向する。
遊技装置2は、CPU、ROM、RAM、I/Oを有するマイクロコンピュータにより構成される制御部2A(図2(a)参照)、中継装置4との間で各種信号や各種情報を送受信する送受信部を有する。遊技装置2の制御部2Aは、記憶しているコンピュータプログラムにしたがって作動し、以下に示す動作を行う。
(1)貨幣が貨幣投入口23に投入されたことで、貨幣を受け付けると(貨幣受付処理)、遊技機1と遊技装置2との双方において入金額を残高に加算して表示する。残高がある状態で遊技機1の貸出釦20を押下する操作(貸出操作、付与操作)が行われると、1回の貸出単位分(例えば500円)の貸出玉(例えば貸単価4円であれば125玉の対価付与価値)を遊技機1内部の払出機構から払出す対価付与処理を実行し、そのレート(例えば1玉4円レート)に応じた対価分を残高から減算する(引き落とす)と共に、売上信号を送信する。尚、貨幣は複数回の対価付与処理の対応分を受け付け可能である(例えば1万円まで)。
(2)遊技機1の下部受皿14が開放されることにより、下部受皿14から落下した玉を計数受皿28で受けると、その受けた玉を持玉、つまり遊技者が遊技により獲得した獲得価値としての計数玉を、計数により特定して液晶表示部24に表示する。持玉がある状態で遊技装置2の払出釦25の押下に応じて、持玉を遊技機1内部の払出機構から払戻す払戻処理(持玉の再プレイ処理)を可能とし、その払戻処理を実行した場合には対価分(例えば払戻した玉数と同数)の持玉を減算する。残高や持玉が残存する状態で遊技機1の返却釦21を押下する操作(つまり発行釦21での発行操作)を受け付けると、予め自装置2にストックされていた持玉券11を、残高や持玉が特定可能な記録媒体として発行する。残高や持玉の一部を発行対象とする分割発行を可能とし、又、持玉券11を受け付けた場合(持玉券11がカード挿入口27に挿入されている場合)、その残高や持玉を引継ぐ。
他方、会員カードを受け付けた場合、前述のように当該カードに持玉を記録しないことから、残高を会員カードに記録して持玉数(当日貯玉)を管理装置6に送信してから会員カードを発行する。持玉券11や会員カードを発行すると、自装置2を特定可能な情報(貸出装置ID)、発行した持玉券11や会員カードを特定可能な情報(持玉券IDや会員ID)、持玉券11や会員カードに記録した残高等を含む発行情報を管理装置6に送信する。こうして、遊技装置2は、対応する遊技機1にて生じ得る残高としての有価価値を特定可能な持玉券11や会員カードを発行(発券)する、或いは当該有価価値と遊技者の識別が可能な情報(持玉券11固有の持玉券ID、会員カード固有の会員ID)とを対応付ける発行処理を行う発行手段を構成する。尚、会員カードの場合、持玉は管理装置6にて会員IDと対応付けて管理され、会員IDが対応付けられると貯玉として特定される。貯玉(当日貯玉・前日貯玉)は払い戻しや景品交換等を当日も含めて翌日以降でも可能とするが、持玉は払い戻しや景品交換等を当日限りのみで可能とする等、貯玉と持玉とでは有効期限が設けられる等の性質の違いがある。
(3)中継装置4とのシリアル通信により管理装置6にて貨幣受付処理や対価付与処理、残高や持玉、貸出玉数、払戻玉数、入金額、計数玉数や貸出玉数や貸出玉の対価となる売上額、及び持玉券11の受け付けや発行処理等の各種情報を特定可能とするが、これらをパルス信号(例えば入金1000円毎に1パルス、売上100円毎に1パルス等)にて特定可能としてもよい。尚、貸出処理上の通信については中継装置4を介さずに遊技機1と遊技装置2との間で直接行ってもよい。
(4)カメラ29が前記所定周期で撮像する毎に、自装置2を特定可能な情報(貸出装置ID)、その撮像した画像を含む撮像信号を管理装置6に送信する。従って、持玉券11や会員カードが発行された場合には、前記発行情報と撮像した遊技者の画像とを対応付けた情報として管理装置6に送信する。尚、カメラ29は、所定周期での撮像に限らず、イベント発生時(例えば前記発行処理時)に撮像しても良く、撮像する条件となる撮像条件はどのような条件としてもよい。
情報表示装置3は、上記遊技装置2と同じく、遊技機1と一対一で対応するように付設され、前記スタート回数、大当りの発生回数等の各種の遊技情報を表示する情報表示部30、遊技場の従業員を呼出すときに遊技者が押下する呼出ボタンや情報表示部30が表示する遊技情報を切替えるときに遊技者が押下する切替ボタン等を含む操作部31等を有する。
図2(a)の機能ブロック図で示すように、管理装置6は、CPU、ROMやRAM等の記憶部、I/Oを有するマイクロコンピュータにより構成される制御部6Aを備える。制御部6Aは、遊技場内における遊技機1、遊技装置2、情報表示装置3、巡回ロボット10等といった各種装置との間で各種信号(各種情報)の通信を行うための送受信部を備えると共に、本発明に関連して管理部6a(管理手段に相当)、異常検知部6b(異常検知手段に相当)、位置情報特定部6c(位置情報特定手段に相当)を有する。
制御部6Aは、自身の記憶部に記憶しているコンピュータプログラムにしたがって作動し、以下に示す動作を行う。
(A)遊技機側から出力される遊技信号(アウト信号、セーフ信号、始動信号、大当り信号等)や遊技装置2から売上信号を受信すると、遊技機1の遊技情報(アウト、セーフ、スタート回数、大当りの発生回数等)を集計したり売上情報を算出したりし、それらの遊技情報や売上情報を記憶して管理する。
(B)遊技装置2から撮像信号(遊技者の画像)を受信すると、その受信した撮像信号に基づき、顔の特徴を抽出する等の画像処理を行うことで、遊技者の画像の顔データと、自身の記憶部に記憶されている遊技者の画像の顔データとを照合し、それらの顔データが同一人物のものであるか否かを一致率に基づいて判定する。また、その一致率に基づき、同一人物と識別した場合には、その遊技者の個人データとして対応付けた遊技情報等を蓄積する一方、同一人物ではないと識別した場合には、その遊技者の画像の顔データを含む新たな遊技者の個人データとして遊技情報等を蓄積していく。尚、顔データの照合については、現在では一般的な技術(顔認証)であるから、その詳細な説明を省略する。
上記個人データについては、管理部6aによって、遊技情報や売上情報を遊技者の画像と夫々対応付けて管理すると共に、遊技装置2から送信される前記発行情報についても、遊技者の画像と対応付けて管理する。こうして、管理部6aは、発行処理の対象となった持玉券11や会員カードの如き記録媒体、或いは遊技者の識別情報である価値特定手段についての持玉券IDや会員IDと、カメラ29により撮像された遊技者の画像とを対応付けて管理する管理手段を構成している。尚、持玉券11と会員カードは、前述したように、何れも価値特定手段或いは記録媒体として共通の機能を有するのであるから、以下では、主に持玉券11について述べることとする。
(C)上記(A)に例示した遊技信号により特定される遊技情報と予め設定される基準値とを比較することにより遊技情報が異常である旨を検知する。例えば、アウト信号等により特定される所謂理論持玉と、遊技装置2にて計数した所謂実持玉との整合性から異常を検知する場合、理論持玉(売上玉+セーフ−アウト)と実持玉(計数玉−払戻玉)との差は本来であれば「0」となる遊技情報であるので、その差と予め定めた基準値とを異常検知部6bにより比較判定することにより行う。異常検知部6bは、出率(セーフ÷アウト)や差数(セーフ−アウト)といった遊技情報についても、対応する基準値(理論値乃至登録値)との比較により異常を検知する。また、遊技場の管理者が遊技に関する何らかの異常を独自に判断してキーボード6k等(入力部)でその入力操作を行い、これを受け付けた異常検知部6bにより、異常である旨を検知する。また、異常検知部6bは、POS7や精算装置8から送信される問合せ情報(持玉券ID等を含む遊技情報)について、これとの比較の基準となるデータと照合することにより異常を検知する。こうして、異常検知部6bは、各種の遊技情報について、対応する基準値に照らし不正を示すものと判定した場合、或いは遊技場の管理者による異常がある旨の入力操作が行われた場合に異常である旨を特定する異常検知処理を行う。
(D)管理装置6の前記記憶部に、各遊技機1の台番と対応付けた当該遊技機1の夫々の設置位置、POS7の設置位置、精算装置8の設置位置等を含む、遊技場フロアの位置情報(地図情報)を予め登録しており、位置情報特定部6cは、係る地図情報を2次元の座標により管理している。そして、位置情報特定部6cは、遊技場において、上記(C)の異常検知処理により異常である旨が特定された場合に、その異常に対応した位置(台番に対応する遊技機1の設置位置近傍等)を特定可能な位置情報を、異常を示す遊技信号(入力される貸出装置ID或いは管理者の入力操作)から特定される台番や地図情報等に基づき特定する。尚、上記した管理部6a、異常検知部6b、位置情報特定部6cは、何れも前記コンピュータプログラムによりソフトウェア的に実現されており、以下では適宜、制御部6A或いは管理装置6と略す。
<巡回ロボットの構成>
続いて、巡回ロボット10に係る構成について、図2〜図5も参照しながら詳述する。
先ず、図2(a)に示す前記AP9は無線通信を行うための基地局(アクセスポイント)であって、上記した管理装置6と巡回ロボット10との間で各種情報の送受信を中継する。AP9と巡回ロボット10との間は無線接続であり、AP9は送信手段として、管理装置6により前記位置情報が特定された場合には当該位置情報を送信する等、各種情報を送信する機能を備える。AP9は例えば遊技場内の殆どのエリアを通信圏内(接続範囲内)とするように、遊技場内の壁や遊技機島上に単数、或いは複数配置されている。
図3は、巡回ロボット10を説明するための模式的な正面図である。同図に示すように、巡回ロボット10は、その頭部100、左右の腕部101、102、上半身103等の各部位を動かすための駆動モータ等のアクチュエータからなる各部駆動機構50(図2(b)にのみ図示)を備える。また、巡回ロボット10は、遊技場内を移動可能にするための車輪51a及びその駆動モータを含む移動機構51を下部に備えた移動手段であり、頭部100には、カメラ52、スピーカ53、マイク54(図2(b)、図3、図5参照)が設けられ、その下方の胸部にはモニタ55が設けられている。
図2(b)の機能ブロック図で示す、巡回ロボット10の制御部10Aは、マイクロコンピュータを主体に構成されていて、図示しない記憶部を含む。制御部10Aには、上記した各部駆動機構50、移動機構51、カメラ52、スピーカ53、マイク54、モニタ55が接続されると共に、当該ロボット10が備える各種センサ57や、外部装置(AP9)と各種情報の無線通信を行うための通信部58が接続されている。各種センサ57は、前記駆動モータ用のエンコーダや方位センサ、加速度センサ等を含み、巡回ロボット10の向きや姿勢等を検出する。カメラ52は、精算処理を受けようとする遊技者である精算者を撮像する第2撮像手段であり、例えば第1撮像手段と同じ撮像素子を含む構成とされている。
制御部10Aの記憶部には、管理装置6に記憶されている地図情報と同じ地図情報が記憶されていると共に、当該ロボット10の動作を制御するための制御プログラムが記憶されている。制御部10Aは、係る制御プログラムの実行、並びに地図情報や自身10の現在地、各種センサ57からのセンサ情報、カメラ52からの画像情報、通信部58を介して入力される管理装置6からの各種指示情報(前記位置情報を含む)等に基づき、各部駆動機構50や移動機構51等を制御し、位置情報により特定される位置への移動等、管理装置6からの指示に応じた動作が可能に構成されている。
図示は省略するが、係る巡回ロボット10の移動制御に関し、当該ロボット10自身の現在地を取得するための現在地取得手段を備える。現在地取得手段は例えば、GPS測位システム、或いは、より測位精度が高いUWB(Ultra Wide Band)測位システムといった測位手段で構成している(他の現在地取得手段でもよい)。前者の測位システムの場合、GPS衛星から受信したGPS信号のパラメータを演算して位置を測定する(測位する)GPS測位部等を巡回ロボット10に搭載し、GPS測位部による位置の測定を所定周期、又は移動距離が所定距離を超える毎に行うことで、当該ロボット10の現在地の座標を特定することができる。
後者のUWB測位システムの方式としては、IR(Impulse Radio)方式とMB(Multi Band)−OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)方式とがあり、IR方式は、時間軸上のナノ秒オーダーの非常に短いパルスを用いることで実現され、高精度な時間情報を提供するので高精度の測位が可能である。この場合、遊技場内に、UWB測位システムのインフラ設備を構成する複数の基地局を設け、それら基地局を、LAN5を介して管理装置6に接続する。そして、巡回ロボット10にUWB通信モジュールを搭載することにより、基地局は、当該ロボット10についてUWB通信により測距(距離を計測)し、その測距結果を管理装置6に出力する。管理装置6は、2つ以上の基地局から測距結果を入力すると、その測距結果の出力先の基地局の設置位置と測距結果とを解析することで、巡回ロボット10の現在地の座標を特定する。また、カメラ52にて撮像した画像に基づき現在位置(現在地の座標)を特定する等、現在地の特定方法はどのような方法を採用してもよい。
上記巡回ロボット10の制御部10Aは、図2(b)に示すように人工知能部10a、及び異常検知部10b(異常検知手段に相当)を有しており、前記制御プログラムに従って、以下に示す制御を実行する。
(1)人工知能部10aは、各種センサ57やカメラ52からの情報に基づき、識別した遊技者乃至精算者の行動や外部環境等に応じて、巡回ロボット10の行動様式を適宜変更するように構成されている。例えば、各部駆動機構50や、移動機構51、スピーカ53等の制御により、巡回ロボット10における自律的な身振り手振りや音声出力が可能である。この他、巡回ロボット10単独で、例えば遊技機島端部の精算装置8付近を自律的に巡回し、人の行動に応じた応答も可能とされ、所謂ファジー制御機能乃至人工知能により、各種の処理に関して後述する「曖昧さ」や「柔和」といった好適な応答をする。また、人工知能部10aは、モニタ55に、人との応対や管理装置6からの指示に応じた画像や、スピーカ53を通じて出力する音声のテキスト等の表示を、その状況に応じて変更する。
このように、巡回ロボット10は、通常の処理(異常を特定していない場合の処理)として、遊技者に対して遊技場の案内、遊技機の案内、遊技情報の提示、及び遊技者への声掛けのうち、少なくとも何れかの処理を行う。例えば、巡回ロボット10は、精算装置8を利用する遊技者(遊技を終了した遊技者)を識別した場合にはスピーカ53を通じて「お疲れ様でした」等のねぎらいの言葉を掛けたり、カメラ52等で遊技場に来場した遊技者を識別した場合には、モニタ55等を介して遊技場の案内、遊技機1の設置状況、各種の遊技情報を提供するというように、遊技者に適宜対応する通常応答処理をする。
(2)精算装置8において人感センサ8cにより遊技者を検出すると、その検出に係る情報が管理装置6に通知され、管理装置6は、その検出に係る情報をAP9を介して巡回ロボット10に通知する。この場合、制御部10Aは、移動機構51を制御して、当該精算装置8で精算しようとする遊技者(精算者)を撮像する位置へと巡回ロボット10を移動させ、その精算者をカメラ52で撮像する。このように、カメラ52で精算者が撮像される場合には、精算装置8と精算者との間を避けた、精算者を撮像可能な位置へと巡回ロボット10を移動させる。より具体的は、図4の平面図で示すように、巡回ロボット10は、精算装置8の前面側において精算者Hが清算を行うときの妨げとならないよう、同図の破線で囲うスペースSに入り込まない手前の位置で、カメラ52により頭部100の向く方向(同図の矢印参照)から精算者を撮像する。また、この場合、巡回ロボット10は、そのカメラ52と精算者との位置関係と、遊技装置2のカメラ29とこれに撮像される遊技者との位置関係と、が近似する同図のような位置へと移動することで、カメラ29から得られる遊技者の画像と同様の画像が得られる構成としている。同図の巡回ロボット10の位置は精算者の近辺であり、本実施形態では精算者により当該ロボット10の存在を認識することが可能な場所としている。
(3)巡回ロボット10が図4に示す位置で、カメラ29により撮像された精算者の画像と、当該精算者の価値特定手段に対応付けられた遊技者の画像とを比較することにより異常である旨を特定する異常検知処理を異常検知部10bにより行い、その結果、異常である旨が特定された場合に、当該精算者に対して不正と断定することなく不正を示唆する問掛け処理を行う。
係る処理の具体的内容を含め、以下、「1.巡回ロボットでの通常時の処理と異常検知時の処理」、「2.管理装置での異常検知に基づく巡回ロボットの処理」の順に、作用説明として詳述する。尚、巡回ロボット10の人工知能部10aと異常検知部10bは、何れも前記制御プログラムによりソフトウェア的に実現されており、以下では適宜、制御部10A或いは巡回ロボット10と略す。
<1.巡回ロボットでの通常時の処理と異常検知時の処理>
先ず、巡回ロボット10は、通常時において制御部6Aにより、精算装置8の周りを巡回するように移動機構51を制御すると共に、通常応答処理として、遊技場に来場した遊技者に対し、モニタ55等を介して遊技場の案内や、各種の遊技情報を提供する一方、遊技を終了した遊技者に対し、スピーカ53を通じて「お疲れ様でした」等のねぎらいの言葉を掛ける等の対応を行う。
ここで、精算装置8にて持玉券11の残高を精算しようとする遊技者がいる場合、その精算者たる遊技者を巡回ロボット10のカメラ52で撮像する。具体的には、精算装置8の人感センサ8cで遊技者を検出すると、その検出に係る情報が管理装置6に通知され、管理装置6は、その検出に係る情報をAP9を介して巡回ロボット10に通知する。この場合、制御部10Aは、当該精算装置8で精算しようとする遊技者(精算者)を撮像する前述した図4の位置つまり精算者の近辺へ移動するように、移動機構51を制御する。このため、カメラ52で精算者の顔を撮像する際に、巡回ロボット10が精算の邪魔になることがない。
他方、精算装置8は、精算者の持玉券11をそのカード挿入口8aへの挿入により受け付けた場合、当該受け付けた持玉券11に記録されている持玉券IDを読み取って、その持玉券IDを含む問合せ情報を管理装置6へ送信する。このとき、管理装置6は、問合せ情報により特定される持玉券11を特定し、精算装置8に対して当該持玉券11の残高等を含む応答情報を送信すると共に、巡回ロボット10に対してもAP9を介して応答情報を送信する。巡回ロボット10への応答情報には、少なくとも該当する遊技者の画像(持玉券IDに対応付けられた個人データとしての顔データ)が含まれる。
こうして、精算装置8は、管理装置6からの応答情報に基づき、受け付けた持玉券11の真偽を判定し、正当な持玉券11と判定した場合には残高を返金する精算処理を実行する一方、巡回ロボット10は、カメラ52で撮像した精算者の画像の顔データと、管理装置6からの応答情報に含まれる遊技者の画像の顔データとを照合し、それらの顔データが同一人物のものであるか否かを、前述した顔認証等の画像認証により判定する。即ち、この場合の顔認証は、カメラ29での撮像により得られた精算者の画像と、当該精算者の持玉券11について管理装置6で対応付けられていた遊技者の画像とを比較することにより異常である旨を特定する異常検知処理である。
そして、巡回ロボット10は、精算者の近辺での顔認証の結果、当該精算者と遊技装置2で持玉券11を発行した遊技者とを同一人物と判定し、異常である旨が特定されていない場合には、その正当な精算者に対し、スピーカ53を通じて「お疲れ様でした」等の声掛けといった対応により報知して、通常応答処理を行う。
一方、巡回ロボット10は、精算者の近辺での顔認証の結果、前記同一人物でないと判定して異常である旨を特定した場合に、スピーカ53を通じて「この持玉券の人と違うような気がするけど、あなたの持玉券なの?」と音声出力し、或いは応答情報として送信された遊技者の画像をモニタ55に表示出力する等して問掛け処理を行う(図5参照)。この問掛け処理は、不正と断定した内容を報知するのではなく、飽くまでも異常と判定した旨を示唆する、或いはその旨を精算者に把握させるような程度の内容とする。
この場合、巡回ロボット10によって、顔認証による異常検知処理で特定した内容を、管理装置6を経由して精算装置8に通知することにより、精算装置8において係る通知がなされるのを待って精算処理を実行させる構成も採用しうるが、本実施形態の精算装置8は、異常検知処理での特定内容いかんにかかわらず(つまり精算処理を遅延させることなく)、精算処理を行うものとする。即ち、顔認証は、上記した両カメラ29,52の遊技者乃至精算者に対する位置関係或いは撮像方向を合せることで、異常検知に係る信頼性の向上が図られているが、顔認証の精度は、異常検知ミスが生じえない程度にまでが確かなものではない。このため、精算装置8において、異常検知処理の通知を待って精算処理を行うと、仮に誤って異常検知がなされた場合等により多くのストレスを遊技者に与えることになり余り有意義ではなく、たとえ精算者が不正な者であっても取敢えず異常と判定した旨を示唆により把握させ、不正に対するプレッシャを与えることができることから、問掛け処理前であるか否かに関わらず、精算処理を行うことを可能とする上記構成を採用している。
また、上記構成を採用すれば、巡回ロボット10の問掛け処理を実行する前に、精算者が精算装置8での精算処理を終え、その場を離れて移動する場合も想定されるが、この場合に制御部10Aは、巡回ロボット10が精算者に追随して移動するように移動機構51を制御し、当該精算者に対する問掛け処理を行うように構成している。このときの問掛け処理も、上記の通り異常と判定した旨の示唆等にとどまることから、巡回ロボット10が余り深追いする必要はなく、追いかけ可能な範囲(例えばAP9との接続範囲内)に限って追いかけたり、所定時間(例えば10秒間)だけ追いかけ、精算者に追いつけない場合には追いかけを終了して、所定の経路を巡回する元の場所へと戻るようになっている。尚、巡回ロボット10は、問掛け処理を行うまで精算者を追随してもよい。
更に、巡回ロボット10は、上記した通常応答処理中に前記精算処理があった場合であっても、前記問掛け処理を行うことなく当該通常応答処理を優先して行う。換言すれば、巡回ロボット10の記憶部には、自身が実行する各処理についての優先順位が予め設定されており、制御部6Aは、通常応答処理と問掛け処理とのうち、優先順位が高い前者の通常応答処理を優先して実行する。巡回ロボット10において、異常と判定した旨を精算者に示唆するために、通常応答処理の実行を中断してしまうと、通常応答処理を受けていた他の遊技者が不服に思うからである。
<2.管理装置の異常検知に基づく巡回ロボットの処理>
管理装置6は、前述した異常検知処理について、遊技機側からの遊技信号から理論持玉と実持玉とを演算により求めて、それらの差が基準値よりも大きいと判定し、或いは管理者のキーボード6k等の入力操作を受け付けること等により行う。例えば、管理装置6は、管理者の入力操作を受け付けることで異常を検知した場合、その受け付けた入力情報から特定される台番と地図情報に基づき、該当する台番に対応する遊技機1の位置情報を特定し、送信手段としてのAP9を介して、位置情報を含む指示情報を巡回ロボット10に送信する。
巡回ロボット10は、管理装置6の異常検知処理により異常である旨が特定されていない場合には通常応答処理を行う一方、AP9を介して通信部58で指示情報を受信した場合には、当該指示情報に含まれる位置情報により特定される位置へと移動して指示情報に係る処理を行う。この指示情報に係る処理は、移動先の場所で先ず以て行う一次的な処理であって、巡回ロボット10は、当該処理において直接的に不正である旨を報知しない構成としており、当該指示情報以外の異常に関する情報を受け付けるまで(制御部10Aにより少なくとも異常がある旨の新たな特定、或いは管理者若しくは従業員により管理装置6等を通じて異常がある旨の新たな入力操作が行われるまで)直接的に不正である旨を報知しない。
即ち、巡回ロボット10は、現在地取得手段により取得した自身10の現在地や地図情報、位置情報等に基づいて、該当する台番の遊技機1で遊技する遊技者に対応する位置へと移動することで、異常である旨の対象となる遊技者(遊技場への来場者)に近づく。この移動先の場所において、巡回ロボット10は、前記通常応答処理と、当該遊技者に対する報知を行わずにその場に留まる滞留処理と、前記カメラ52により当該遊技者を対象とした撮像処理と、当該遊技者に対して不正と断定することなく不正を示唆する問掛け処理とのうち、予め管理者等の選択により設定入力された優先順序に従い処理を行う。この何れかの処理(前記一次的な処理)を行うとき、巡回ロボット10は、滞留解除条件が成立するまでその場に留まることを前提としており、指示情報から特定される内容に応じて上記と同様の問掛け処理(図5参照)を行う場合でも、直接的に不正である旨を報知しない。また、係る遊技者が不正者であれば、滞留処理でも巡回ロボット10が近づいているだけで、プレッシャとなる。
更に、カメラ52により当該遊技者を対象とした撮像処理を行う場合、遊技装置2のカメラ29の撮像方向に合わせるように頭部100の向きを変更する等して、撮像条件を極力近似させる。このため、巡回ロボット10の制御部10Aは、前記指示情報に遊技者の画像が含まれるとき、その遊技者の画像の顔データと撮像処理から得られた遊技者の画像の顔データとを照合する顔認証に基づき、異常がある旨の新たな特定を行う。このように、巡回ロボット10において、更なる不正検知或いは他の確信的な不正の証拠を得た管理者により管理装置6を通じて異常がある旨の再度の入力操作が行われるような(予め設定される報知条件が成立した)場合には、不正である旨の直接的、断定的な報知処理を行ってもよい。
こうして、巡回ロボット10は、前記位置情報により特定される位置へと移動した場合に、異常である旨の対象となる遊技者に異常検知された旨が把握されたと推定される場合に成立し得る滞留解除条件が成立するまで当該場所に滞留する。ここで、滞留解除条件については、制御部10Aによって、撮像処理を行う場合にはその撮像処理及びその後の顔認証の結果に応じた報知処理を終えたと判定したことをもって当該条件とし、又は単に撮像処理のみ行うとき当該撮像処理を終えたと判定したことをもって当該条件とする。また、滞留解除条件は、制御部10Aによって、巡回ロボット10において撮像処理以外の処理を行う場合、例えば通常応答処理を終えたと判定したことや、所定時間が経過したと判定したことを当該条件とする等、処理の内容等に応じて適宜設定することができる。また、図示は省略するが、例えば巡回ロボット10がリモコン信号を受け付ける通信部を有し、従業員の携帯するリモコンの操作(滞留解除釦の操作)により、滞留解除を指示する指示情報をリモコン信号として受け付けたと判定したことをもって滞留解除条件とすることができる。このように、滞留解除条件は、不正を疑われる遊技者が係る検知がなされたことを把握したと推定される場合に成立しうる条件が設定される。
上記のように、遊技者に対して不正を直接的に報知せずに巡回ロボット10が近づくことから、管理装置6側で遊技情報と基準値との比較により異常検知する場合に、少しでも異常があれば検知するように基準値をシビアな値に設定することが可能になる。これにより、管理装置6側でシビアな検知を行うことに起因して誤検知等となっても、正当な遊技者であれば巡回ロボット10の接近を、不正である旨を指摘されているものとして捉え難く、把握し難いものとなる。一方、不正者にとっては巡回ロボット10が接近するだけでプレッシャとなり、不正が深刻化する前に不正者を牽制するような運用が可能となる。
また、管理者が少しでも怪しいと感じた場合に、管理装置6を通じて指示情報を送信することで、巡回ロボット10を遊技者に近づけさせた場合であっても同様の効果を得られる。更に、巡回ロボット10のカメラ52にて撮像することで、固定カメラでは撮像が難しいアングルからの撮像も可能となるので、従来の固定カメラにて死角が発生する箇所で不正をする者をも、巡回ロボット10において前記位置情報等に基づき撮像することも可能となる。
上記した管理装置6の異常検知処理は、POS7において持玉券11の持玉と景品との交換に関する景品交換処理を行う際の不正を検知する処理も含む。つまり、管理装置6は、POS7からの問合せ情報に含まれる持玉券11の持玉と、その持玉券IDに対応付けて管理している持玉との整合性が取れないと判定した場合、問合せ情報に含まれるPOS7の号機番号と地図情報に基づき、該当するPOS7に対応する位置情報を特定し、その位置情報を含む指示情報を巡回ロボット10に送信する。この場合、巡回ロボット10は、該当するPOS7へと移動して、対応する位置にてスピーカ53を通じて「お疲れ様でした」との遊技終了に応じた通常応答処理を行うものとし、直接的に不正である旨を報知しないようになっている。尚、係る通常応答処理に代えて、不正に関する問掛け処理や撮像処理を行ってもよい。
また、巡回ロボット10は、通常応答処理中に上記した管理装置6からの各種の指示情報があった場合でも、通常応答処理を優先して行うようになっており、これについては、不正を疑われる者よりも、他の遊技者に対する通常応答処理の優先順位が高く設定されている点で、前述した問掛け処理より通常応答処理を優先するのと同様の構成を採用している。
以上説明した本実施形態によれば、次の効果を得ることができる。
管理装置6にて異常検知した場合に、巡回ロボット10が容疑者としての遊技者へと近づくだけに留まり、不正である旨を報知しないので、異常検知の基準値や不正者の指摘をシビアにすることが可能になると共に、誤判定の場合に遊技者が不信感を持つ虞や、不正者から従業員が反撃に遭う虞を軽減できる。
巡回ロボット10が滞留することで不正者に、よりプレッシャを掛けることができる。
通常応答処理を行うことで巡回ロボット10に対して親しみが湧き、その親しみのある巡回ロボット10が容疑者に近づくことで、仮に誤判定しても遊技者を苛立たせる虞を軽減できる。
問掛け処理により不正と断定することなく不正を示唆するので、仮に判定処理結果が誤判定であっても精算者を苛立たせる虞を軽減しつつも、巡回ロボット10が遊技場の従業員の代わりに直接的に容疑者に不正である旨を示唆することで、仮に容疑者が不正者であっても、従業員が不正者から反撃を受ける虞を軽減できると共に、巡回ロボット10が移動可能であることから、巡回ロボット10が精算装置8等の近辺にいないときには問掛け処理を行わない等、必ずしも精算処理時に問掛け処理を行うことがなく、問掛け処理を曖昧に行うことで、柔和な不正示唆が可能となる。
巡回ロボット10において、通常応答処理中は問掛け処理に優先して通常応答処理を行うので、通常応答処理の相手先となる遊技者の通常応答処理中に巡回ロボット10が問掛け処理へと向かうことにより不服に思う虞を軽減できる。
移動可能な巡回ロボット10がカメラ52を備えていることで、精算者により接近して画像を撮像可能となるばかりか、撮像手段を複数の精算装置8に兼用可能となる。また、精算装置8と精算者との間を避けた位置にて撮像することで、精算処理の妨げとなる虞を軽減できると共に、自然に遊技装置2にて撮像した遊技者の顔向き等の角度と巡回ロボット10にて撮像した精算者の顔向き等の角度とが近似する角度となり、画像認証の精度を高めることが可能となる。
画像認証には時間が掛るので、画像認証が終わるまで、精算処理を遅延させてしまうと、正当な遊技者を無暗に待たせる虞もあるが、問掛け処理前であるか否かに関わらず精算処理を行うことを可能とするので、そのような虞を軽減できる。
精算者が仮に不正者である場合、巡回ロボット10のカメラ52で撮像されることに違和感を覚えて逃げ出す虞等もあるが、巡回ロボット10が追随することで、より多くのプレッシャを不正者に与えることが可能となる。また、問掛け処理前に精算処理を追えて精算者が立ち去った場合でも、追随して問掛け処理を行うことが可能となる。
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。又、それぞれの変形例を組み合わせてもよい。
本実施形態では、巡回ロボット10にて精算者を撮像する際に精算装置8からの検知信号に基づき撮像することを例示したが、巡回ロボット10にて精算装置8付近にて遊技者がいることを検知した場合に、移動して撮像する構成としたり、管理装置6等からの応答情報の受信を待って撮像したりしてもよい。
巡回ロボット10との通信として、AP9を介した無線通信を例示したが、AP9を介さず、有線による通信等、他の通信手段を採用してもよい。
遊技装置2との位置関係に対応する位置に巡回ロボット10を移動させて遊技者を撮像する場合、遊技機1の種類がパチンコ機のときとスロットマシンのときとで、遊技装置2の遊技機1に対する配置が逆転する場合(本実施形態と異なり遊技機の右側方に配置する場合)もあるが、例えばパチンコ機に対する配置を基準位置として巡回ロボット10に移動させ、遊技者の画像がスロットマシンに対応する場合には当該画像を反転させる等して整合性を高めるようにしてもよいし、遊技機に対する撮像位置に応じて巡回ロボット10の撮像位置を変更してもよい。
人型の巡回ロボット10を例示したが、動物型の外形をなすロボットや車等の外形をなすロボットを巡回ロボットとして採用してもよい。また,巡回ロボット10にカメラ52を設けることを例示したが、巡回ロボット10にカメラ52を設けるか否かに関わらず精算装置8やPOS7にカメラを設けたり、備え付けのカメラを別途設けてもよい。
精算装置8として貨幣の払い出しにより残高を精算する構成を例示したが、例えば端数残高の貨幣の精算を精算装置8にて再度記録媒体等を発行したり、例えば遊技者の電子マネーにチャージする等の貨幣の払い出し以外の精算処理に対応する精算装置を採用してもよい。尚、前者のように再度記録媒体を発行する場合、その記録媒体を遊技場係員(従業員)に提示する等して遊技場係員にて精算する運用を採用できる。
前記獲得価値や残高等の有価価値を特定可能な一般カード等の記録媒体を発行することで有価価値と価値情報(記録媒体または記録媒体の識別情報)とを対応付ける構成を例示したが、記録媒体としてカード以外のコイン等の他の記録媒体を採用してもよい。また、遊技装置2以外の発行手段として、遊技者の指紋等の生体認証可能な識別情報を受け付け、その受け付けた識別情報と有価価値とを対応付ける発行処理を行う構成としてもよい。こうした各種の記録媒体、或いは遊技者の識別情報の全てが価値特定手段となる。また、こうした対応付けの際に、記録媒体に識別情報を記録してもよいし、別途、管理装置6にて記録媒体の識別情報に対応付けて有価価値を管理することで対応付けるようにしてもよいし、会員カードに持玉や貯玉を記録してもよい。また,貨幣価値は直接受け付けるだけでなく、識別情報を受け付けることで間接的に受け付けてもよい。
遊技装置2として持玉の計数や払い出しを行う所謂各台計数機能を備えた遊技装置2を例示したが、貨幣受付処理や、その貨幣による対価付与処理等の所謂貸出機の機能を備えていれば、必ずしも各台計数機能を備えていなくともよい。
対象となる遊技機1は遊技媒体をデータのみで管理する所謂封入式等の例示したパチンコ機以外のパチンコ機やスロットマシン等も採用でき、スロットマシンの場合、遊技媒体はメダルとなる。尚、封入式パチンコ機では玉が封入され、遊技者が玉にさわることができず、クレジットや得点を消費して玉を発射するものであり、こうした封入式等を考慮して遊技媒体は必要に応じて遊技価値と表現する。また、封入式等の場合、有価価値を遊技に消費出来る状態とすることが遊技に使用可能な遊技価値を付与する価値付与処理となる。
上記遊技場用システムにおいて例示した各種の設定乃至設定値は予め設定されるのであれば、遊技場の管理者が任意に設定しても、管理装置6等の製造メーカにて設定しても、外部(例えばチェーン店本部等)の管理サーバから設定情報をダウンロードして設定してもよい。
例示した全ての遊技情報は入力した信号により直接的に特定しても演算式を利用する等して間接的に特定してもよい。また、数値、桁数、項目等は例示であり、どのような数値を採用してもよい。
例示した処理は巡回ロボット10や管理装置6や遊技装置2にてどのように分担してもよく、更に、中継装置4や情報表示装置3、或いは精算装置8等を含めて、どのような機器により行ってもよい。また、問掛け処理を行うことなく不正検知に応じて巡回ロボット10を移動させたり、異常検知処理として上記した基準値に対する比較に基づく検知処理と異常がある旨の操作に基づく検知(特定)処理との何れか一方の検知処理で異常である旨を検知する構成を採用する等、複数例示したうちの1つや一部のみを採用したりする等、変形例を含む例示した構成をどのように組合せてもよいし、適宜採用しなくともよい。