上述したように、パチンコ機やスロットマシン等の遊技機を設置した遊技ホールにおいては、遊技者が遊技ホールから遊技球やメダル等の遊技媒体の貸出しを受け、当該遊技媒体を用いて遊技を行う。そして、遊技者が遊技を行った結果、遊技媒体を獲得した場合には、当該獲得した遊技媒体を計数し、所望の景品と交換する等して利益を得る。
従来より、所定の遊技機(例えばパチンコ機)で獲得した遊技媒体に相当する利益を、景品交換等することなく、他の遊技機(例えばスロットマシン)で使用したいとの遊技者の要望があった。
しかしながら、例えばパチンコ機で獲得した遊技球一つの価値と、スロットマシンで獲得したメダル一枚の価値とが異なるなど、異種の遊技機間において獲得した利益に互換性を持たせることは困難であった。
さらに、近年では、営業形態の多様化により、遊技媒体を貸出す際の貸出レートや、獲得した遊技媒体を景品に交換する際の交換レート等が同一店舗内において複数設定されるなど、同種の遊技機間においても獲得した利益に互換性を持たせることが困難となってきている。
その結果、遊技者の台移動が制限されたり、遊技機選択の幅を狭めるなど、遊技者にとっての利便性を低下させるおそれがあった。
これに対し、磁気カード等の記憶媒体を介して、遊技者が獲得した遊技媒体(利益)を一旦貯蓄し、再度、使用可能とする遊技ホールシステムも存在する(例えば、特許文献1参照)。
かかるシステムを利用することにより、上記不具合を解消することも可能となる。例えば、遊技者が所定の遊技機にて獲得した遊技媒体を一旦、ホール共通の利益情報に換算して磁気カード等の記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を持って他の遊技機に移動し、そこで再度、前記利益情報を基に当該遊技機に係る貸出レートに応じて遊技媒体の貸出しを受け、遊技を行う方法などが考えられる。
しかしながら、上記遊技ホールシステムにおいては、各種不正行為が行われるおそれがある。
例えば、上記遊技ホールシステムにおいては、必ず磁気カード等の記憶媒体を介して遊技媒体の貸出しや景品交換等を行うこととなるため、データの改ざんや偽造されたカード等を使用した不正行為が行われるおそれがある。
また、通常は、所定の貸出レート(例えば1球4円)で貸し出された遊技媒体を使用して遊技を行った結果、獲得した遊技媒体を精算するにあたっては、遊技ホールと遊技者との利益バランスを考慮して、前記貸出レートに対応した所定の交換レート(例えば1球2円)が設定されている。
そのため、貸出レート等を複数設定した遊技ホールにおいては、比較的低い貸出レート(例えば1球1円)で貸出された遊技媒体を用いて獲得した遊技媒体を比較的高い交換レート(例えば1球4円)で景品に交換するなどの不正行為が行われるおそれがあった。
本発明は、上記例示した問題点などを解決するためになされたものであり、その目的は、不正行為の抑制等を図ることのできる遊技ホールシステムを提供することにある。
以下、遊技ホールシステムの一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、遊技ホールシステム1の概略構成を示す説明図であり、図2は、遊技ホールシステム1の主な電気的構成を示すブロック図である。
遊技ホールには、パチンコ機10、スロットマシン20等の遊技機が複数設置されている。
各パチンコ機10の側部には、当該パチンコ機10と1対1に対応してカードサンド30が設置され、各スロットマシン20の側部には、当該スロットマシン20と1対1に対応してカードサンド40が設置されている。カードサンド30,40は本実施形態における貸出管理装置に相当する。
また、遊技ホールには、遊技者が各遊技機10,20で獲得した遊技球やメダル等の遊技媒体を計数するための球計数機50やメダル計数機60等が、例えば複数の遊技機10,20が並設されてなる島設備ごとに設置されている。
さらに、遊技ホールには、当該遊技ホールを統括的に管理するホール管理装置70が設置されている。ホール管理装置70は、上述した遊技機10,20、カードサンド30,40、計数機50,60、その他防犯カメラ等の遊技ホール内の全機器と店内LAN等により接続されており、これら各種機器からの検出信号によってそれぞれの稼動状況等を把握するとともに、各種機器へ制御信号を送信して当該機器を一定条件下でそれぞれ制御する。
続いて、上述した各種機器について詳しく説明する。
パチンコ機10は、周知のように、遊技媒体として遊技球を使用して遊技を行う遊技機である。例えば、球受皿11に貯留された遊技球を操作ハンドル12の操作によって所定の遊技領域13に発射し、遊技領域13に設置された各種入賞口へ遊技球が入賞することに基づき所定数の賞球(遊技球)が球受皿11へ払い出される。
また、図示は省略するが、パチンコ機10は、主制御基板、電源基板、払出制御基板、表示制御基板、音声制御基板等を備えている。主制御基板は、パチンコ機10の遊技内容等を統括的に制御し、他の払出制御基板等は主制御基板からの指示に基づき各種機器を制御する。例えば、払出制御基板は主制御基板からの入賞検出等を受けて図示しない払出装置を駆動させることで、上記賞球の払出しを行う。
スロットマシン20は、周知のように、遊技媒体としてメダルを使用して遊技を行う遊技機である。例えば、所定数のメダルを投入した上でスタートレバー21を操作することで複数のリール22が回転し、各リール22に対応したストップスイッチ23を操作することでリール22が停止する。その際、予め定められた図柄が有効ライン上に停止した場合には、所定数のメダルの払出しや、停止時の図柄に応じた所定ゲームが実行される。
カードサンド30,40は、主として各遊技機10,20に係る遊技媒体の貸出しに関する各種制御を行うための装置である。
カードサンド30,40は、後述する特定会員カードやゲスト会員カードからなる会員カード(以下、特別な記載がない限り、特定会員カード及びゲスト会員カードを総称して「会員カードC」と言う)等の各種磁気カードからのデータの読出し及びカードへのデータの書込みを行う貸出時受付手段としてのカードリーダライタ31,41、紙幣を投入するための紙幣投入部32,42、遊技者が当該カードサンド30,40を操作等するための操作部33,43、これらを統括的に制御する制御部34,44、外部とのデータ通信を行う通信部35,45などを備えている。
操作部33,43は、貸出ボタン33a,43a、返却ボタン33b,43b、度数表示部33c,43cなどを備えている。
貸出ボタン33a,43aは、遊技者が遊技媒体の貸出しを受けるために操作するものである。カードリーダライタ31,41に会員カードCを挿入した状態で、この貸出ボタン33a,43aが押下操作されると、後述するように紙幣投入部32,42に投入された金額、又は、会員カードCに記憶された貯蓄データの範囲内において、遊技媒体の貸出しが実行される。本実施形態では、貸出ボタン33a,43aが操作されると、遊技機10,20に対し貸出要求信号が出力され、当該遊技機10,20を介して、遊技者に遊技媒体が貸し出される。
一方、カードリーダライタ31,41に会員カードCが挿入されていない状態では、後述するように紙幣投入部32,42へ紙幣の受付けや、貸出ボタン33a,43aの操作が許可されず、遊技媒体の貸出しが禁止された状態となっている。つまり、会員カードCが挿入されていない状態では、当該会員カードCに記憶された貯蓄データを基に遊技媒体の貸出しを受けられないのは勿論のこと、現金を基に遊技媒体の貸出しを受けることもできない。従って、本遊技ホールシステム1では、遊技媒体を使用して遊技機10,20にて遊技を行うためには、当該遊技機10,20に対応するカードサンド30,40への会員カードCの挿入が必須となる。
返却ボタン33b,43bは、カードリーダライタ31,41に挿入された会員カードCの返却を遊技者が求める際に操作するものである。返却ボタン33b,43bが押下操作されると、カードリーダライタ31,41に挿入中の会員カードCがカード挿入口から排出される。また、貸出ボタン33a,43aや返却ボタン33b,43bが操作されると、会員カードCに後述する履歴情報が書き込まれると共に、これらの履歴情報がホール管理装置70へ送信される。つまり、貸出ボタン33a,43aや返却ボタン33b,43bの操作は、会員カードCへの情報の書込み契機にもなる。
度数表示部33c,43cは、紙幣投入部32,42に投入された金額や会員カードCに記憶された貯蓄データ等を表示するためのものであり、例えば複数の7セグメントLEDよりなる。
制御部34,44は、演算装置であるCPU、該CPUにより実行される各種制御プログラム等を記憶したROM、各種データ等を一時的に記憶するRAMなどからなる。
当該ROMには、例えばカードサンド30,40を識別するための固有の識別番号が記憶されている。
当該RAMには、例えば貸出レートを記憶するための貸出レート記憶エリアが設けられている。貸出レート記憶エリアがレート記憶手段を構成する。
通信部35,45は、対応する各遊技機10,20や、ホール管理装置70と接続されている。
また、カードサンド30,40には、その状態を外部に報知するための各種ランプや表示部が設けられている。例えば、カードリーダライタ31,41へ会員カードCを挿入可能な場合に点灯するカード利用可能ランプ36,46、遊技媒体の貸出しが可能であることを遊技者に報知するための貸出し可能ランプ37,47、貸出レートを報知するレート表示ランプ38,48、所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ39,49などが設けられている。
計数機50,60は、会員カードCからのデータの読出し及びカードへのデータの書込みを行う計数時受付手段としてのカードリーダライタ51,61、遊技媒体を投入し計数するための計数手段としての計数部52,62、当該計数機50,60を操作等するため操作部53,63、これらを統括的に制御する制御部54,64、外部とのデータ通信を行う通信部55,65などを備えている。
操作部53,63は、計数ボタン53a,63a、確定ボタン53b,63bなどを備えている。
計数ボタン53a,63aは、計数部52,62において遊技媒体の計数を開始するために操作するものである。後述するように、カードリーダライタ51,61に会員カードCを挿入し、計数が許可された状態で、この計数ボタン53a,63aが押下操作されると、計数部52,62が作動し、遊技媒体の計数が開始される。
一方、計数機50,60は、カードリーダライタ51,61に会員カードCが挿入されていない状態では、後述するように、計数部52,62における遊技媒体の受付けや、計数ボタン53a,63aの操作が許可されず、待機状態となっている。つまり、会員カードCが挿入されていない状態では、当該会員カードCへの貯蓄データの書込みは勿論のこと、遊技媒体の計数すら行うことができない状態となっている。従って、本遊技ホールシステム1では、計数機50,60にて遊技媒体の計数を行うためには、当該計数機50,60への会員カードCの挿入が必須となる。尚、計数機50,60は、待機状態中、図示しない表示部において、「カードを挿入してください!」等の注意喚起を行う構成としてもよい。
確定ボタン53b,63bは、上記遊技媒体の計数結果を確定させるために操作するものである。遊技媒体の計数が終了した状態で、この確定ボタン53b,63bが押下操作されると、後述すように前記遊技媒体の計数値を所定の交換レートに基づき現金相当のポイントに換算した利益情報が貯蓄データとして会員カードCに書き込まれた上で、当該会員カードCがカードリーダライタ51,61から排出される。また、確定ボタン53b,63bが操作されると、会員カードCに後述する履歴情報が書き込まれると共に、これらの履歴情報がホール管理装置70へ送信される。つまり、確定ボタン53b,63bの操作は、会員カードCへの情報の書込み契機にもなる。
制御部54,64は、演算装置であるCPU、該CPUにより実行される各種制御プログラム等を記憶したROM、各種データ等を一時的に記憶するRAMなどからなる。
当該ROMには、例えば計数機50,60を識別するための固有の識別番号が記憶されている。
当該RAMには、例えば交換レートを記憶するための交換レート記憶エリアが設けられている。
通信部55,65は、ホール管理装置70と接続されている。
また、計数機50,60には、その状態を外部に報知するための各種ランプや表示部が設けられている。例えば、上記遊技媒体の計数結果及びポイント換算した値を表示する計数値表示部56,66、遊技媒体の計数が可能であることを報知するための計数可能ランプ57,67、貸出レート及び交換レートを表示するレート表示部58,68、所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ59,69などが設けられている。
ホール管理装置70は、各遊技機10,20に対する貸出レート及び交換レートを記憶するレート記憶部71、遊技機10,20やカードサンド30,40等の各種機器の稼動状況等を管理する機器管理部72、遊技者の遊技履歴を記録する履歴記憶手段としての履歴記録部73、これらを統括的に制御する制御部74、外部とのデータ通信を行う通信部75などを備えている。
レート記憶部71は、各遊技機10,20の台番号及びこれらに対応して設けられたカードサンド30,40の識別番号と関連付けた状態で、貸出レート及び交換レートを記憶している。貸出レート及び交換レートは適宜、設定変更することができる。レート記憶部71が本実施形態におけるレート設定手段を構成する。
本実施形態においては、貸出レート及び交換レートに関しそれぞれ複数通り設定されている。例えばパチンコ機10に関して、(1)貸出レート[1球4円]、交換レート[1球2円]の場合、(2)貸出レート[1球2円]、交換レート[1球1円]の場合の2通り、スロットマシン20に関して、(3)貸出レート[1メダル20円]、交換レート[1メダル20円]の場合、(4)貸出レート[1メダル20円]、交換レート[1メダル15円]の場合の2通りがそれぞれ設定されている。勿論、各レートは、これに限定されるものではなく、異なるレート設定が行われる構成としてもよい。
機器管理部72は、例えば各遊技機10,20の遊技状況、各遊技機10,20における遊技媒体の払出し状況など、遊技に関するデータを各遊技機10,20ごとに集計し管理している。
履歴記録部73は、後述するように会員カードCごとに、遊技媒体の貸出履歴や、遊技機10,20からの遊技媒体の払出履歴など、過去数回分の遊技に係る履歴情報が記憶されている。より詳しくは、履歴情報としては、カードサンド30,40や計数機50,60等へ会員カードCを挿入した日時、カードサンド30,40や計数機50,60等から会員カードCを取出した日時、遊技媒体の貸出しを受けたカードサンド30,40の識別番号、遊技媒体の貸出数、獲得した遊技媒体を計数した計数機50,60の識別番号、遊技媒体の計数結果、当該計数結果をポイント換算した利益情報、会員カードCに累積記憶された利益情報(貯蓄された貯蓄データ)、遊技媒体の貸出しを受けた際の貸出レート、遊技媒体の計数結果をポイント換算した際の交換レート、遊技機10,20からの遊技媒体の払出数等が記憶されている。
上述したとおり、本遊技ホールシステム1では、遊技者がいずれかの遊技機10,20にて遊技を行うにあたり遊技媒体の貸出しを受ける際には必ず当該遊技機10,20に対応するカードサンド30,40へ会員カードCを挿入する必要があるため、当該会員カードCの挿入時や返却時等、所定のタイミングで何らかの履歴情報がホール管理装置70へ送信されることとなる。つまり、遊技者がいずれかの遊技機10,20にて遊技を行った際には、必ず何らかの履歴情報が履歴記録部73に記憶されることとなる。
制御部74は、演算装置であるCPU、該CPUにより実行される各種制御プログラム等を記憶したROM、各種データ等を一時的に記憶するRAMなどからなる。
通信部75は、遊技機10,20、カードサンド30,40、計数機50,60などと接続されている。通信部75は、本実施形態におけるレート送信手段を構成する。
また、ホール管理装置70は、会員登録した遊技者の個人情報等を、会員カードCの識別番号と関連付けた状態で記憶する会員データベース77を備えている。
以下、遊技ホールシステム1の動作について、パチンコ機10において遊技を行う場合を例にして詳しく説明する。
まず、遊技者は所望のパチンコ機10に対応付けられたカードサンド30のカードリーダライタ31のカード挿入口に対し、自身が所持する会員カードCを挿入する。会員カードCが本実施形態における記憶媒体に相当する。
本実施形態における会員カードCは、各種情報を記憶可能な磁気カードにより構成されている。会員カードCには、当該カードを識別可能なカード識別番号をはじめ、各種情報が記憶されている。
例えば、会員カードCには、ホール管理装置70と同様に、過去数回分の遊技に係る履歴情報が記憶されている。会員カードCに記憶される履歴情報としては、例えばカードサンド30や球計数機50等へ会員カードCを挿入した日時、カードサンド30や球計数機50等から会員カードCを取出した日時、遊技球の貸出しを受けたカードサンド30の識別番号、遊技球の貸出数、獲得した遊技球を計数した球計数機50の識別番号、遊技球の計数結果、当該計数結果をポイント換算した利益情報、累積記憶された利益情報(貯蓄された貯蓄データ)、遊技球の貸出しを受けた際の貸出レート、遊技球の計数結果をポイント換算した際の交換レート等がある。
但し、会員カードCが未使用(初期化された状態を含む)の場合には、当初、履歴情報は何ら記憶されておらず、使用される度に履歴情報が記憶されていくこととなる。
なお、会員カードCのうち、特定会員カードは、事前に会員登録を受けることで遊技者に対し発行されるものであり、遊技者個人が所有するものである。特定会員カードを所有する遊技者(特定会員)は、例えば当該特定会員カードを所定のデータ管理装置に挿入することにより、各パチンコ機10の出球状況等を知ることができるなど、各種特典が得られる。
一方、遊技者が特定会員でない場合には、会員カードCとして、上記特定会員カードに代えて、遊技ホールから事前に借り受けたゲスト会員カードを用いて遊技を行うこととなる。当該ゲスト会員カードは、原則として一日限りの使用を目的とするものであり、当該カードに関連付けて遊技者の個人情報は管理されない。また、遊技ホールの営業終了後には、ゲスト会員カードを回収して当該カードに記憶された履歴情報を消去する初期化作業が行われると共に、当該カードに関連付けて履歴記録部73に記憶されていた履歴情報を消去する作業が行われる。
さて、会員カードCがカードサンド30のカードリーダライタ31に挿入されると、制御部34は、会員カードCから読み取られた上記各種情報をRAMに一時記憶する。
同時に、制御部34は、カード識別番号や履歴情報など、会員カードCから読み取った情報をすべて通信部35を介してホール管理装置70へ送信する。ここで、各種情報は、不正防止のため、暗号化された状態で送信される。
そして、ホール管理装置70(制御部74)では、これら受信した各種情報と、履歴記録部73や会員データベース77等に記憶された情報とを照合し、カード認証を行う。当該照合を行う制御部74の処理機能により本実施形態における照合手段が構成される。
ここで、ホール管理装置70は、上記照合の結果、各種情報が一致し、カードの正当性が確認された場合には、遊技許可信号をカードサンド30へ送信する。
かかる遊技許可信号を受信したカードサンド30は、紙幣投入部32における紙幣の受付けを許可すると共に、操作部33における操作を許可する。加えて、貸出し可能ランプ37を点灯させ、遊技球の貸出しが可能である旨を遊技者に知らせる。
一方、上記照合の結果、各種情報が一致しなかった場合には、ホール管理装置70は、エラー信号をカードサンド30へ送信する。当該エラー信号を送信する制御部74の処理機能により本実施形態における不許可手段が構成される。
つまり、本遊技ホールシステム1においては、(1)カードサンド30へ会員カードCを挿入すること、(2)その会員カードCに履歴情報が全く記憶されていないこと、又は、その会員カードCに記憶された履歴情報が正当なものであることを許可条件として、遊技者は遊技球の貸出しを受け、パチンコ機10にて遊技を行うことが可能となる。
かかる機能により、データの改ざんや偽造されたカード等を使用した不正行為の抑止を図ることができる。例えば貯畜データを改ざんした会員カードCがカードサンド30に挿入された場合には、当該会員カードCに記憶された履歴情報(貯畜データ等)と、ホール管理装置70の履歴記録部73に記憶された当該会員カードCに係る履歴情報(貯畜データ等)とが一致せず、ホール管理装置70からカードサンド30へエラー信号が送信される。
前記エラー信号を受信したカードサンド30は、会員カードCをカードリーダライタ31から排出し、遊技球の貸出要求を拒否する。同時に、エラー表示ランプ39を点灯させ、遊技者及びホール係員等にその旨を報知する。この際、会員カードCに記憶された履歴情報を基に、遊技ホールの監視カメラの記録等を確認して、遊技者が消失した利益を補填するようにしてもよい。これにより、偽造等された不正な会員カードCではないにも拘わらず、例えばデータ送信時のノイズ等の影響により、正当性が確認されなかった会員カードCを所有する遊技者の救済を図ることができる。
遊技球の貸出しが許可され、遊技者が紙幣を紙幣投入部32へ投入した場合、又は、会員カードCに貯蓄データが記憶されている場合には、これに相当する数値(投入金額、又は、貯蓄データのポイント値)がRAMに一時記憶されると共に、度数表示部33cに表示される。なお、本実施形態における貯蓄データは、1ポイントが1円に相当する。
この状態で、貸出ボタン33aが1回操作されると、上記度数表示部33cに表示された値の限度内で、所定金額に相当する分(例えば500円分)の遊技球の貸出しが行われる。
ここで貸し出される球数は、貸出レート記憶エリアに記憶された貸出レートを基に算出される。例えば、貸出レートが1球4円の場合には、100円につき25球の遊技球(貸球)が貸し出されることとなる。当該貸球数を算出する制御部34の処理機能により本実施形態における貸出時換算手段が構成される。
なお、貸出レートは、事前にホール管理装置70からカードサンド30に対し送信され、貸出レート記憶エリアに記憶される。例えば、カードサンド30に電源が入れられると、ホール管理装置70は当該カードサンド30に対し、当該カードサンド30に対応する貸出レートに係るレート信号を送信する。そして、当該レート信号を受信したカードサンド30は、当該レート信号により特定される貸出レートを貸出レート記憶エリアに記憶する。この間(カードサンド30の起動時から貸出レートが貸出レート記憶エリアに記憶されるまでの間)、カードサンド30はカード利用可能ランプ36及び貸出し可能ランプ37を点灯させず、会員カードCの受付を許可しない待機状態となっている。つまり、レート信号が貸出許可信号の役割を果たしている。そして、カードサンド30は、貸出レート記憶エリアへの貸出レートの設定が完了すると、カード利用可能ランプ36及び貸出し可能ランプ37を点灯して、会員カードCが受付可能となった旨を遊技者に報知する。勿論、このような構成に限定されず、これとは異なる構成を採用してもよい。
遊技球の貸出しが行われる際には、カードサンド30からパチンコ機10の払出制御基板に対し、貸球の払出個数を示す貸出要求信号が出力される。一方、該信号を入力したパチンコ機10では、賞球の払出しと同様、払出装置を駆動させることで、上記貸球の払出しを行う。当該遊技球の貸出しを実行する制御部34の処理機能により主として本実施形態における貸出手段が構成される。
遊技球の貸出しに併せて、カードサンド30は、自身のRAMに一時記憶した上記投入金額や貯蓄データから上記貸出しに使用された分の値を減算すると共に、減算後の数値を度数表示部33cに表示する。
続けて、カードサンド30は、自身の識別番号と共に、新たな履歴情報を会員カードCに書き込む。具体的には、カードサンド30へ会員カードCを挿入した日時、カードサンド30の識別番号、遊技球の貸出数、更新後の貯畜データ、貸出レート等が書き込まれる。
同時に、カードサンド30は、これらの履歴情報をホール管理装置70に対し送信する。これを受信したホール管理装置70は、これらの履歴情報を新たに履歴記録部73に記憶する。
そして、遊技者が、貸し出された遊技球を使用して遊技を行い、大当り等の発生により多量の遊技球を獲得した場合には、所定の球収容箱(以下、ドル箱という)80に収容する。
また、遊技者が遊技を終了する際には、カードサンド30(操作部33)の返却ボタン33bを操作して、カードリーダライタ31から会員カードCを排出させる。
返却ボタン33bが操作されると、会員カードCには、その時点の日時など新たな履歴情報が書き込まれる。具体的には、カードサンド30から会員カードCを取出した日時、カードサンド30の識別番号、更新後の貯畜データ等が書き込まれる。
同時に、これらの履歴情報がホール管理装置70に対し送信される。これを受信したホール管理装置70は、これらの履歴情報を新たに履歴記録部73に記憶する。
そして、遊技を終えた遊技者は、自身の会員カードCとドル箱80を球計数機50に持参する。
球計数にあたり、遊技者は、まず会員カードCを球計数機50のカードリーダライタ51のカード挿入口に挿入する。
会員カードCがカードリーダライタ51に挿入されると、制御部54は、会員カードCから読み取られた上記各種情報をRAMに一時記憶する。
同時に、制御部54は、カード識別番号や履歴情報など、会員カードCから読み取った情報をすべて通信部55を介してホール管理装置70へ送信する。ここで、各種情報は、不正防止のため、暗号化された状態で送信される。
そして、ホール管理装置70では、これら受信した各種情報と、履歴記録部73や会員データベース77等に記憶された情報とを照合し、カード認証を行う。当該照合を行う制御部74の処理機能により本実施形態における照合手段が構成される。
ここで、ホール管理装置70は、上記照合の結果、各種情報が一致し、カードの正当性が確認された場合には、計数許可信号及び交換レートを球計数機50へ送信する。ここで、ホール管理装置70は、レート記憶部71において、各種貸出レート(又はパチンコ機10やカードサンド30)に対応して登録されている複数の交換レートの中から、会員カードCに記憶された最新の貸出レートに対応する交換レートを選択し、球計数機50へ送信する。例えば、遊技者が今回遊技を行った最新の貸出レート(会員カードCに記憶された最新の貸出レート)が1球4円である場合には、これに対応して設定された1球2円の交換レートが球計数機50へ送信される。
かかる計数許可信号を受信した球計数機50は、計数部52における遊技球の受付けを許可すると共に、操作部53における操作を許可する。加えて、計数可能ランプ57を点灯させ、遊技球の計数が可能である旨を遊技者等に知らせる。
同時に、球計数機50は、受信した交換レートを上記交換レート記憶エリアに記憶する。併せて、レート表示部58において、遊技者が遊技を行った貸出レート及びこれに対応する交換レートを表示する。
一方、上記照合の結果、各種情報が一致しなかった場合には、ホール管理装置70は、エラー信号を球計数機50へ送信する。当該エラー信号を送信する制御部74の処理機能により本実施形態における不許可手段が構成される。
つまり、本遊技ホールシステム1においては、(1)球計数機50へ会員カードCを挿入すること、(2)その会員カードCに記憶された履歴情報が正当なものであることを許可条件として、球計数機50における遊技球の計数が可能となる。
かかる機能により、例えば他人が獲得した遊技球を盗み、球計数機50にて計数し、自身の会員カードCへ貯畜データとして書き込んでしまうような不正行為を抑止することができる。例えば当該不正行為者の会員カードCが球計数機50に挿入された場合には、当該会員カードCに記憶された履歴情報(貯畜データ等)と、ホール管理装置70の履歴記録部73に記憶された当該会員カードCに係る履歴情報(貯畜データ等)とが一致せず、ホール管理装置70から球計数機50へエラー信号が送信される。
前記エラー信号を受信した球計数機50は、会員カードCをカードリーダライタ51から排出し、遊技球の計数要求を拒否する。同時に、エラー表示ランプ59を点灯させ、遊技者及びホール係員等にその旨を報知する。
遊技者又はホール係員は、受付が許可されたことを確認した後、ドル箱80に貯留されている遊技球を球計数機50の計数部52へ投入して、計数ボタン53aを押し、計数を開始する。
そして、計数部52において計数された計数結果、及び、これを上記交換レートに基づき現金相当のポイントに換算した値が利益情報(貯蓄データ)としてRAMに一時記憶されると共に、計数値表示部56に表示される。例えば、交換レートが1球2円の場合において、1000個の遊技球を獲得した場合には、遊技者は2000ポイント(2000円相当)の利益が得られる。ここで、計数部52における計数結果を上記利益情報に換算する制御部54の処理機能により本実施形態における計数時換算手段が構成される。
遊技者等は、全ての遊技球を計数部52へ投入し、計数が完了した後、確定ボタン53bを押し、上記計数結果を確定させる。
これにより、球計数機50は、自身の識別番号と共に、新たな履歴情報を会員カードCに書き込む。具体的には、球計数機50へ会員カードCを挿入した日時、球計数機50から会員カードCを取出した日時、球計数機50の識別番号、遊技球の計数結果、当該計数結果をポイント換算した利益情報、累積記憶された利益情報(貯蓄された貯蓄データ)、遊技球の計数結果をポイント換算した際の交換レート等が書き込まれる。
同時に、球計数機50は、これらの履歴情報をホール管理装置70に対し送信する。これを受信したホール管理装置70は、これらの履歴情報を新たに履歴記録部73に記憶する。そして、球計数機50は、会員カードCへの履歴情報の書き込みが終了すると、当該会員カードCを排出し、返却する。
その後、遊技者は、貸出レート等の異なる他のパチンコ機10や、使用する遊技媒体の異なるスロットマシン20で遊技を行う場合(後日、遊技を行う場合を含む)には、会員カードCに記憶された貯蓄データを基に、上記同様の手順で遊技媒体の貸出しを受け、遊技を行うことができる。
また、貯蓄データを景品に交換したい場合には、遊技者は、景品交換カウンタへ会員カードCを持参すればよい。図示は省略するが、景品交換カウンタには、カードリーダライタを具備した景品交換処理装置が設けられている。景品交換処理装置に会員カードCを挿入して、ここに記憶された貯蓄データから所定数のポイントを引き落とすことで、所望の景品と交換することができる。当該景品交換の際にも、カードサンド30や球計数機50等へ会員カードCを挿入した場合と同様、ホール管理装置70において履歴情報の照合が行われる。
以上詳述したように、本実施形態では、遊技者が所定の貸出レートで貸し出された遊技媒体を使用して所定の遊技機10,20にて遊技を行った結果、遊技媒体を獲得した場合には、当該獲得した遊技媒体を一旦、前記貸出レートに対応する所定の交換レートに基づき所定の利益情報に換算して会員カードCに記憶させることにより、当該遊技者は当該会員カードCを持って他の遊技機10,20に移動し、そこで再度、前記利益情報を基に当該遊技機10,20に係る貸出レートに応じて遊技媒体の貸出しを受け、遊技を行うことができる。
これにより、本実施形態のように、価値の異なる遊技媒体が複数存在する遊技ホールや、貸出レートや交換レート等が複数設定された遊技ホールにおいても、遊技者は、所定の遊技機10,20で獲得した遊技媒体に相当する利益を、景品交換等することなく、他の遊技機で使用することができるようになる。結果として、遊技者にとっての利便性の向上を図ることができる。
さらに、本実施形態によれば、遊技媒体の貸出時及び計数時には、必ずカードサンド30,40及び計数機50,60への会員カードCの受付けを要する。そして、当該会員カードCに記憶された履歴情報と、ホール管理装置70に記憶された履歴情報とを照合し、その結果が一致することを条件に遊技媒体の貸出しや計数が実行される。
例えば、本実施形態においては、カードサンド30,40のカードリーダライタ31,41に会員カードCが挿入されていない状態では、紙幣投入部32,42へ紙幣の受付けや、貸出ボタン33a,43aの操作が許可されず、遊技者は、遊技媒体の貸出しを受けることができない。
つまり、本遊技ホールシステム1においては、(1)カードサンド30,40へ会員カードCを挿入すること、(2)その会員カードCに履歴情報が全く記憶されていないこと、又は、その会員カードCに記憶された履歴情報が正当なものであることを許可条件として、遊技者は遊技媒体の貸出しを受け、遊技機10,20にて遊技を行うことが可能となる。
換言すれば、本遊技ホールシステム1では、遊技媒体を使用して遊技機10,20にて遊技を行うために、当該遊技機10,20に対応するカードサンド30,40への会員カードCの挿入が必須となる。
ここで、例えば貯畜データを改ざんした会員カードCがカードサンド30,40に挿入された場合には、当該会員カードCに記憶された履歴情報と、ホール管理装置70の履歴記録部73に記憶された当該会員カードCに係る履歴情報とが一致せず、遊技媒体の貸出しが許可されず、不正行為者は遊技を行うことができない。
結果として、データの改ざんや偽造されたカード等を使用した不正行為による被害を未然に防止することができる。
また、本実施形態においては、計数機50,60のカードリーダライタ51,61に会員カードCが挿入されていない状態では、計数部52,62における遊技媒体の受付けや、計数ボタン53a,63aの操作が許可されず、遊技媒体の計数を行うことができない。
つまり、本遊技ホールシステム1においては、(1)計数機50,60へ会員カードCを挿入すること、(2)その会員カードCに記憶された履歴情報が正当なものであることを許可条件として、計数機50,60における遊技媒体の計数が可能となる。
換言すれば、本遊技ホールシステム1では、計数機50,60にて遊技媒体の計数を行うために、当該計数機50,60への会員カードCの挿入が必須となる。
ここで、例えば不正行為者の会員カードCが計数機50,60に挿入された場合には、当該会員カードCに記憶された履歴情報と、ホール管理装置70の履歴記録部73に記憶された当該会員カードCに係る履歴情報とが一致せず、不正行為者は遊技媒体の計数を行うことができない。
結果として、例えば他人が獲得した遊技媒体を盗み、計数機50,60にて計数し、自身の会員カードCへ貯畜データとして書き込んでしまうような不正行為による被害を未然に防止することができる。
また、本実施形態においては、遊技媒体を計数して利益情報に換算する際には、実際に貸出しを受けた貸出レートに対応する適正な交換レートで利益情報に換算することができるため、比較的低い貸出レート(例えば1球2円)で貸出された遊技媒体を用いて獲得した遊技媒体を比較的高い交換レート(例えば1球2円)で利益情報に換算するなどの不正行為を防止することができる。
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(a)遊技ホールに設置される遊技機は上記パチンコ機10やスロットマシン20に限定されるものではない。
例えば、遊技球を遊技機内で循環させる、いわゆる封入式の遊技機等を採用してもよい。封入式の遊技機は、賞球の払出しに代えて賞球数や点数が付与される構成となるため、かかる構成下では、付与点数等が獲得した遊技媒体に相当し、これを計数する機能が計数手段に相当する。
(b)上記実施形態では、記憶媒体として磁気カード(会員カードC)を採用しているが、記憶媒体はこれに限定されるものではなく、例えばICカード等、少なくとも上記利益情報や履歴情報等が記憶可能な記憶媒体であれば、他のものを採用してもよい。
(c)上記実施形態では、島設備単位で計数機50,60を備えた構成となっているが、これに限らず、各遊技機10,20に対応して個別計数機を備えた構成としてもよい。かかる構成においては、当該計数機の機能の少なくとも一部と、カードサンド30等の機能の少なくとも一部とを一体化した構成としてもよい。例えば1つのカ−ドリ−ダライタが、貸出時受付手段の機能と計数時受付手段の機能とを併せ持つ構成としてもよい。
(d)カードサンド30,40の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、現金を投入可能な構成に代えて又は加えて、プリペイドカード等により遊技媒体の貸出しを行う構成としてもよい。また、カードリーダライタ31,41に会員カードCを挿入した際に、暗証番号等を入力させる入力手段を備え、本人確認を実施する構成としてもよい。
(e)上記実施形態では、カードサンド30,40からの指示に基づき、遊技機10,20を介して遊技媒体の貸出しが行われる構成となっているが、これに限らず、カードサンド30,40がノズル等を備え、当該カードサンド30,40から直接、遊技媒体の貸出しが行われる構成としてもよい。
(f)上記実施形態では、特に言及しなかったが、カードサンド30,40が、常時、貸出レートに応じた表示態様でレート表示ランプ38,48を点灯させている構成としてもよい。レート表示ランプ38,48が本実施形態におけるレート報知手段を構成する。
上記実施形態のように、ホール管理装置70からカードサンド30,40に対し貸出レート(レート信号)を送信し、これを受信したカードサンド30,40が自身の貸出レートを把握する構成においては、この送受信を行う信号線に不正な基板を取付ける、いわゆる「ぶら下げ」と称される不正行為が行われるおそれがある。かかる不正行為が行われた場合には、例えばホール管理装置70からカードサンド30,40に対し貸出レート[1球4円]に対応するレート信号が送信されているにも拘わらず、当該信号を受信したぶら下げ基板が当該信号を変換して、カードサンド30,40に対し貸出レート[1球1円]に対応するレート信号を送信する。そして、当該不正なレート信号を受信したカードサンド30,40は、本来、貸出レート[1球4円]と設定すべきところ、当該不正なレート信号により特定される貸出レート[1球1円]を貸出レート記憶エリアに設定してしまい、この貸出レートに基づき遊技媒体の貸出し処理を実行してしまうおそれがある。
これに対し、例えば、貸出レートが1球4円の場合には「赤」、1球3円の場合には「青」、1球2円の場合には「緑」、1球1円の場合には「黄」といったように点灯させる。これにより、同じ島設備に1つだけ異なる色で点灯しているカードサンド30,40が存在する場合、すなわち当該カードサンド30,40に記憶された貸出レートが上記「ぶら下げ」等の不正行為により不正に書き換えられている場合には、かかる不正行為をホール係員等が一目で発見することができる。
(g)カード忘れ防止のため、遊技機10,20やカードサンド30,40において、遊技者検出手段としての人感センサ等を設けた構成としてもよい。そして、当該人感センサ等により遊技者が存在しないことを検出した場合に、カードリーダライタ31,41に会員カードCが存在するか否かを検出し(媒体検出手段)、会員カードCが存在する旨を検出した場合には、その旨をスピーカ等の報知手段により報知する構成としてもよい。
(h)計数機50,60の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記カードサンド30,40の別例と同様、カードリーダライタ51,61に会員カードCを挿入した際に、暗証番号等を入力させる構成としてもよいし、人感センサ等を設け、カード忘れ防止を図る構成としてもよい。
(i)上記実施形態では、貸出レートや交換レートの設定がホール管理装置70において行われ、随時、各レート情報がカードサンド30,40や計数機50,60に対し送信される構成となっている。これに限らず、カードサンド30,40や計数機50,60において直接、各レート情報が設定される構成としてもよい。
例えば、計数機50,60が、予め複数の交換レートを記憶すると共に、会員カードCから貸出レートを読取った際に、当該貸出レートに基づき自身に記憶された複数の交換レートの中から、当該貸出レートに対応する交換レートを選択する構成としてもよい。また、カードサンド30,40において貸出レート及びこれに対応する交換レートの両者を記憶し、これらを会員カードCに同時に書き込むことにより、計数機50,60が両レートを把握する構成としてもよい。
(j)上記実施形態では、カードサンド30,40や計数機50,60が、会員カードCを受付ける受付手段の機能と、他の機能とを併せ持つ構成となっているが、これに限らず、これらの機能を独立して設け、電気的に接続した構成としてもよい。
以下、特許請求の範囲の請求項に記載されないものであって、上記実施形態から把握できる技術的思想について、その効果とともに記載する。
手段1.複数の遊技機を設置した遊技ホールにおける遊技ホールシステムであって、
所定の遊技媒体を使用して遊技を行う遊技機と、
少なくとも所定の利益情報を含む各種情報を記憶可能な記憶媒体と、
前記遊技機と1対1に対応して設けられ、前記遊技媒体の貸出しに関する制御を行う貸出管理装置と、
前記遊技機及び前記貸出管理装置と通信可能に接続され、前記遊技ホールを管理するホール管理装置とを備え、
前記ホール管理装置は、
前記貸出管理装置に対応して貸出レートを複数設定可能なレート設定手段と、
前記貸出管理装置に対し、当該貸出管理装置に対応して前記レート設定手段により設定された貸出レートを送信するレート送信手段とを備え、
前記貸出管理装置は、
前記記憶媒体を受付可能に構成され、当該記憶媒体からの情報の読出し及び当該記憶媒体への情報の書込みを行う貸出時受付手段と、
前記ホール管理装置から受信した前記貸出レートを記憶するレート記憶手段と、
前記レート記憶手段に記憶された前記貸出レートに基づき、前記記憶媒体から読出された前記利益情報を、貸し出される前記遊技媒体の数に換算可能な貸出時換算手段と、
前記レート記憶手段に記憶された前記貸出レートに応じて態様を変化させ、当該態様により前記貸出レートの種別を報知可能なレート報知手段とを備えたことを特徴とする遊技ホールシステム。
上記手段1によれば、ホール管理装置から貸出管理装置に対し貸出レート(レート信号)を送信し、これを受信した貸出管理装置は自身の貸出レートを把握することができる。
かかる構成においては、貸出レートの送受信を行う信号線に不正な基板を取付ける、いわゆる「ぶら下げ」と称される不正行為が行われるおそれがある。かかる不正行為が行われた場合には、例えばホール管理装置から貸出管理装置に対し貸出レート[1球4円]に対応するレート信号が送信されているにも拘わらず、当該信号を受信したぶら下げ基板が当該信号を変換して、貸出管理装置に対し貸出レート[1球1円]に対応するレート信号を送信する。そして、当該不正なレート信号を受信した貸出管理装置は、本来、貸出レート[1球4円]と設定すべきところ、当該不正なレート信号により特定される貸出レート[1球1円]をレート記憶手段に設定してしまい、この貸出レートに基づき遊技媒体の貸出し処理を実行してしまうおそれがある。
これに対し、本手段1によれば、貸出レートに応じた態様で当該貸出レートの種別を報知可能なレート報知手段を備えることにより、上記不具合の発生を抑制することができる。
例えば、貸出レートが1球4円の場合には「赤」、1球3円の場合には「青」、1球2円の場合には「緑」、1球1円の場合には「黄」といったように点灯させる。これにより、同じ島設備に1つだけ異なる色で点灯している貸出管理装置が存在する場合、すなわち当該貸出管理装置に記憶された貸出レートが上記「ぶら下げ」等の不正行為により不正に書き換えられている場合には、かかる不正行為をホール係員等が一目で発見することができる。
また、「貸出レートに応じて態様を変化させ」ることには、上述したように貸出レートに応じてランプの色を変化させることに限らず、これに代えて又は加えて、例えば複数の発光手段を設け、点灯している発光手段の数や組合せ、また、その発光態様(点滅等)を変化させることとしてもよい。
手段2.複数の遊技機を設置した遊技ホールにおける遊技ホールシステムであって、
所定の遊技媒体を使用して遊技を行う遊技機と、
少なくとも所定の利益情報を含む各種情報を記憶可能な記憶媒体と、
前記遊技機と1対1に対応して設けられ、前記遊技媒体の貸出しに関する制御を行う貸出管理装置と、
前記遊技機にて遊技者が遊技を行って獲得した遊技媒体を計数可能な計数機と、
前記遊技機、前記貸出管理装置及び前記計数機と通信可能に接続され、前記遊技ホールを管理するホール管理装置とを備え、
前記貸出管理装置は、
前記記憶媒体を受付可能に構成され、当該記憶媒体からの情報の読出し及び当該記憶媒体への情報の書込みを行う貸出時受付手段と、
前記ホール管理装置から受信した前記貸出レートを記憶するレート記憶手段と、
前記レート記憶手段に記憶された前記貸出レートに基づき、前記記憶媒体から読出された前記利益情報を、貸し出される前記遊技媒体の数に換算可能な貸出時換算手段と、
前記レート記憶手段に記憶された前記貸出レートに応じて態様を変化させ、当該態様により前記貸出レートの種別を報知可能なレート報知手段とを備え、
前記計数機は、
前記貸出レートに対応して予め設定された交換レートに基づき、前記遊技媒体の計数値を前記利益情報に換算可能な計数時換算手段と、
前記記憶媒体を受付可能に構成され、当該記憶媒体からの情報の読出し及び当該記憶媒体への情報の書込みを行う計数時受付手段とを備え、
前記ホール管理装置は、
前記貸出管理装置に対応して貸出レートを複数設定可能なレート設定手段と、
前記貸出管理装置に対し、当該貸出管理装置に対応して前記レート設定手段により設定された貸出レートを送信するレート送信手段と、
少なくとも前記貸出管理装置及び前記計数機にて前記記憶媒体に書き込まれる所定の履歴情報と同一の履歴情報を記憶する履歴記憶手段と、
前記貸出管理装置及び前記計数機に前記記憶媒体が受付けられた際、当該記憶媒体に記憶された前記履歴情報と、前記履歴記憶手段に記憶された前記履歴情報とを照合する照合手段と、
前記照合手段による照合結果が一致しない場合には、当該照合の際における前記遊技媒体の貸出し又は前記遊技媒体の計数を許可しない不許可手段とを備えたことを特徴とする遊技ホールシステム。
上記手段2によれば、遊技者が所定の貸出レートで貸し出された遊技媒体を使用して所定の遊技機にて遊技を行った結果、遊技媒体を獲得した場合には、当該獲得した遊技媒体を一旦、前記貸出レートに対応する所定の交換レートに基づき所定の利益情報に換算して記憶媒体に記憶させることにより、当該遊技者は当該記憶媒体を持って他の遊技機に移動し、そこで再度、前記利益情報を基に当該遊技機に係る貸出レートに応じて遊技媒体の貸出しを受け、遊技を行うことができる。
これにより、価値の異なる遊技媒体が複数存在する遊技ホールや、貸出レートや交換レート等が複数設定された遊技ホールにおいても、遊技者は、所定の遊技機で獲得した遊技媒体に相当する利益を、景品交換等することなく、他の遊技機で使用することができるようになる。結果として、遊技者にとっての利便性の向上を図ることができる。
また、本手段2によれば、上記手段1と同様、貸出管理装置が、貸出レートの種別を報知可能なレート報知手段を備えることにより、貸出管理装置に誤った貸出レートを設定させるような上記不正行為を抑止することができる。
仮に上記レート報知が見過ごされてしまった場合においても、上記手段2によれば、遊技媒体の貸出時及び計数時には、必ず上記各受付手段による記憶媒体の受付けを要する。そして、当該記憶媒体に記憶された履歴情報と、履歴記憶手段に記憶された履歴情報とを照合し、その結果が一致することを条件に、遊技媒体の貸出しや計数が実行される。
これにより、データの改ざんや偽造された記憶媒体等を使用した不正行為による被害を未然に防止することができる。
つまり、遊技媒体を計数して利益情報に換算する際には、実際に貸出しを受けた貸出レートに対応する適正な交換レートで利益情報に換算することができるため、上述したように、比較的低い貸出レートで貸出された遊技媒体を用いて獲得した遊技媒体を比較的高い交換レートで利益情報に換算するなどの不正行為を防止することができる。