JP2017202991A - 毛髪洗浄剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】洗髪後の濡れた毛髪を短時間で乾燥させることができることに加え、すすぎ時に毛髪が絡まりにくく、滑らかな手触りであり、また乾燥中にべたつかず、乾燥後には毛髪がまとまることができる毛髪洗浄剤組成物を提供する。【解決手段】成分(A):特定の構成を有するカチオン化ヒドロキシプロピルセルロース、成分(B):成分(A)以外のカチオン性ポリマー、成分(C):硫酸塩型界面活性剤、成分(D):特定の構成を有する分岐脂肪酸またはその塩、および、水を含有する、毛髪洗浄剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、毛髪洗浄剤組成物に関する。
ヘアカラーやパーマ等の化学処理、ドライヤーやアイロン等の熱処理により毛髪はダメージを受ける。ダメージを受けた毛髪においては、毛髪間の摩擦が高くなるため、絡まりが生じやすくなり、絡まることで毛髪表面が物理的損傷を受け、さらなる髪ダメージを引き起こす。
こうしたヘアケア行動時の物理的損傷を低減させ、ダメージによる悩みを解消するために、毛髪洗浄剤中に、カチオン性ポリマーや、シリコーン等の油剤が配合されることがある。しかしながら、これらの配合効果を高めるために配合量を増やしすぎると、乾燥後の毛髪がべたついたり、使用感が低下したりする懸念があった。
そこで、特定のカチオン化ヒドロキシプロピルセルロースを配合することで、乾燥後のべたつきのなさと使用感の両立を満たす提案がなされている。
たとえば、特許文献1(特開2012−232945号公報)には、カチオン化ヒドロキシプロピルセルロースと、カチオン化グアガムとカチオン化ヒドロキシエチルセルロースから選ばれる一種以上の化合物とを組み合わせて用いる技術について記載されており、すすぎ時の髪の指通り性や柔らかさ、乾燥後の髪の指通り性、まとまり感、柔らかさ、ハリコシ感に優れる毛髪化粧料が開示されている。
また、特許文献2(特開2012−246288号公報)には、アニオン界面活性剤、特定のカチオン化ヒドロキシプロピルセルロース、特定の有機溶剤および特定の有機カルボン酸を含み、pHが特定の範囲にある水性毛髪洗浄剤に関する技術が記載されている。そして、同文献に記載の水性毛髪洗浄剤によれば、傷んだ毛髪であっても、乾燥後の髪の絡まりおよび毛髪の広がりを効果的に抑え、毛髪にハリ・コシを与えることができるとされている。
また、特許文献3(国際公開第2011/059063号)には、使用後のべたつき感がなく、優れた指通り性、コート感、まとまり感を髪に付与することができる毛髪化粧料に関する技術として、界面活性剤および特定のカチオン化ヒドロキシプロピルセルロースを含有する毛髪化粧料について記載されている。
特開2012−232945号公報 特開2012−246288号公報 国際公開第2011/059063号
ところで、ダメージを受けて親水化した毛髪は、洗髪後、乾きにくくなり、ドライヤー等による乾燥に長時間要することとなり、消費者の体力的負担になっている。また、ダメージケアを目的として配合されている油剤やポリマー等は、ドライヤー乾燥時のベタツキの原因となり、このべたつきにより、濡れたダメージ毛は絡まりやすく、ドライヤー乾燥中に生じるひっかかりはさらなるダメージの蓄積と消費者の心理的負担になっている。
しかしながら、上述した特許文献1〜3には、洗髪後の濡れた毛髪の乾燥の速さに関してはまったく示唆されていない。また、濡れた毛髪を乾燥している時の毛髪のべたつきのなさに関しても示唆されてはいない。さらに、これらの文献に記載の技術により、乾燥後の毛髪の絡まり、まとまりは改善されるが、すすぎ時の毛髪の絡まりのなさや乾燥後の毛髪のまとまりについても未だ改善の余地があった。
従って本発明は、洗髪後の濡れた毛髪を短時間で乾燥させることができることに加え、すすぎ時に毛髪が絡まりにくく、滑らかな手触りであり、また乾燥中にべたつかず、乾燥後には毛髪がまとまることができる毛髪洗浄剤組成物に関するものである。
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)、(D)および水を含有する、毛髪洗浄剤組成物を提供するものである。
(A)下記一般式(1)で表されるアンヒドログルコース由来の主鎖を有し、かつカチオン化エチレンオキシ基による置換度が0.01以上2.9以下であり、プロピレンオキシ基による置換度が0.1以上4.0以下である、カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース
(B)成分(A)以外のカチオン性ポリマー
(C)硫酸塩型界面活性剤
(D)下記一般式(5)で表される分岐脂肪酸またはその塩
Figure 2017202991
(上記一般式(1)中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に下記一般式(2)または(3)で表される置換基を示し、nは前記アンヒドログルコースの平均重合度を示し、50以上5000以下の数である。)
Figure 2017202991
(上記一般式(2)および(3)中、Y1およびY2は、一方が水素原子を示し、他方が下記一般式(4)で表されるカチオン性基を示し、POはプロピレンオキシ基を示す。pはカチオン化エチレンオキシ基(−CH(Y1)−CH(Y2)−O−)の数を示し、qはプロピレンオキシ基(−PO−)の数を示し、それぞれ0または正の整数である。ただし、R1、R2およびR3におけるすべてのpおよびqが同時に0となることはない。また、pおよびqのいずれもが0でない場合、前記カチオン化エチレンオキシ基と前記プロピレンオキシ基の付加順序は問わず、さらにpおよびqのいずれもが0でなくpおよびqのいずれか一方または両方が2以上である場合、ブロック結合およびランダム結合のいずれであってもよい。)
Figure 2017202991
(上記一般式(4)中、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に炭素数1以上3以下の直鎖または分岐鎖のアルキル基を示し、X-はアニオン性基を示す。)
Figure 2017202991
(上記一般式(5)中、a、b、cの総和はa+b+c=11〜27の整数を示し、aは0または1以上の整数、bは1の整数を示し、X1+は水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、有機アミンまたは塩基性アミノ酸由来のカチオンを示す。)
また、本発明は、上記本発明における毛髪洗浄剤組成物を毛髪に適用し、水で洗い流すことを含む、毛髪の洗浄方法を提供するものである。
本発明によれば、洗髪後の濡れた毛髪を短時間で乾燥させることができることに加え、すすぎ時に毛髪が絡まりにくく、滑らかな手触りであり、また乾燥中にべたつかず、乾燥後には毛髪がまとまることができる毛髪洗浄剤組成物を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、各成分の具体例を挙げて説明する。なお、各成分はいずれも単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態における毛髪洗浄剤組成物は、以下の成分(A)〜(D)および水を含む。
(成分(A))
成分(A)は、一般式(1)で表されるアンヒドログルコース由来の主鎖を有し、かつカチオン化エチレンオキシ基による置換度が0.01以上2.9以下であり、プロピレンオキシ基による置換度が0.1以上4.0以下である、カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース(以下、「C−HPC」ともいう。)である。
Figure 2017202991
(上記一般式(1)中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に下記一般式(2)または(3)で表される置換基を示し、nは前記アンヒドログルコースの平均重合度を示し、50以上5000以下の数である。)
Figure 2017202991
(上記一般式(2)および(3)中、Y1およびY2は、一方が水素原子を示し、他方が下記一般式(4)で表されるカチオン性基を示し、POはプロピレンオキシ基を示す。pはカチオン化エチレンオキシ基(−CH(Y1)−CH(Y2)−O−)の数を示し、qはプロピレンオキシ基(−PO−)の数を示し、それぞれ0または正の整数である。ただし、R1、R2およびR3におけるすべてのpおよびqが同時に0となることはない。また、pおよびqのいずれもが0でない場合、前記カチオン化エチレンオキシ基と前記プロピレンオキシ基の付加順序は問わず、さらにpおよびqのいずれもが0でなくpおよびqのいずれか一方または両方が2以上である場合、ブロック結合およびランダム結合のいずれであってもよい。)
Figure 2017202991
(上記一般式(4)中、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に炭素数1以上3以下の直鎖または分岐鎖のアルキル基を示し、X-はアニオン性基を示す。)
(一般式(1)で表されるアンヒドログルコース由来の主鎖)
成分(A)は、上記一般式(1)で表されるとおり、アンヒドログルコース由来の主鎖を有する。
一般式(1)において、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に一般式(2)または(3)で表される置換基であり、R1、R2およびR3は、同一であっても、異なっていてもよい。また、n個のR1、n個のR2およびn個のR3は、それぞれ同一であっても、異なってもよい。
また、毛髪の速乾効果を高める観点、すすぎ時の毛髪の絡みを抑制して滑らかな手触りとする観点、乾燥中のべたつきを抑制する観点、および、乾燥後の毛髪のまとまり性を向上させる観点から、一般式(1)における平均重合度nは、50以上であり、好ましくは100以上、より好ましくは400以上、さらに好ましくは700以上であり、また、5000以下であり、好ましくは2000以下、より好ましくは1300以下である。
ここで、平均重合度とは、銅−アンモニア法により測定される粘度平均重合度をいい、具体的には特開2012−232942号公報に記載の方法により算出される。
(一般式(2)または(3)で表される置換基)
成分(A)は、一般式(1)のR1、R2またはR3中に、カチオン化エチレンオキシ基およびプロピレンオキシ基を有する。R1、R2またはR3は、それぞれ独立に一般式(2)または(3)で表される置換基である。
一般式(2)および(3)において、Y1およびY2は、一方が水素原子であり、他方が一般式(4)で表されるカチオン性基を示し、POはプロピレンオキシ基を示す。
pは、一般式(2)または(3)中に含まれるカチオン化エチレンオキシ基(−CH(Y1)−CH(Y2)−O−)の数を示し、0または正の数である。成分(A)の製造容易性を向上させる観点から、pは、好ましくは0または1である。
qは、一般式(2)または(3)中に含まれるプロピレンオキシ基(−PO−)の数を示し、0または正の数である。成分(A)の製造容易性を向上させる観点から、qは、好ましくは0以上4以下の数であり、より好ましくは0以上2以下の数、さらに好ましくは0または1である。
C−HPC分子内に複数の一般式(2)または(3)で表される置換基が存在する場合、該置換基間において、pおよびqの値はそれぞれ異なっていてもよい。
pとqの合計は、成分(A)の製造容易性を向上させる観点から、好ましくは1以上5以下の数であり、より好ましくは1以上4以下の数、さらに好ましくは1以上3以下の数、さらにより好ましくは1または2である。
一般式(2)または(3)において、pおよびqのいずれもが0でない場合、カチオン化エチレンオキシ基とプロピレンオキシ基の付加順序は問わないが、成分(A)の製造効率を高める観点から、好ましくは一般式(3)に記載した順序である。
また、pおよびqのいずれもが0でなく、かつ、pおよびqのいずれか一方または両方が2以上である場合、カチオン化エチレンオキシ基およびプロピレンオキシ基の結合は、ブロック結合およびランダム結合のいずれであってもよいが、成分(A)の製造容易性を向上させる観点から、好ましくはブロック結合である。
また、R1、R2およびR3におけるすべてのpおよびqが同時に0となることはない。すなわち、n個のR1、n個のR2、n個のR3において、少なくとも1つは、一般式(2)または(3)のpが0ではなく、また、少なくとも1つは、一般式(2)または(3)のqが0ではない。
(一般式(4)で表されるカチオン性基)
一般式(2)または(3)におけるY1、Y2のカチオン性基は、上記一般式(4)で表される構造を有する。
一般式(4)において、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に炭素数1以上3以下の直鎖または分岐のアルキル基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基およびイソプロピル基が挙げられる。これらの中では、C−HPCの水溶性を向上させる観点から、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(4)において、X-は、アンモニウム基の対イオンであるアニオン性基を示す。X-はアニオン性基であれば限定されない。X-の具体例としては、アルキル硫酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、アルキル炭酸イオン、ハロゲン化物イオンが挙げられる。これらの中では、C−HPCの製造を容易にする観点から、ハロゲン化物イオンが好ましい。ハロゲン化物イオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオンおよびヨウ化物イオンが挙げられるが、C−HPCの水溶性および化学的安定性を向上させる観点から、塩化物イオンまたは臭化物イオンが好ましく、塩化物イオンがより好ましい。
一般式(1)で表されるC−HPCにおいて、洗浄時の泡立ちを高める観点、毛髪の速乾効果を高める観点、すすぎ時の毛髪の絡みを抑制して滑らかな手触りとする観点、乾燥中のべたつきを抑制する観点、および、乾燥後の毛髪のまとまり性を向上させる観点から、カチオン化エチレンオキシ基の置換度は、0.01以上であり、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.18以上であり、また、2.9以下であり、好ましくは2.4以下である。
ここで、カチオン化エチレンオキシ基の置換度とは、セルロース主鎖を構成するアンヒドログルコース単位1モルあたりのC−HPCの分子中に存在するカチオン化エチレンオキシ基の平均モル数をいう。カチオン化エチレンオキシ基の置換度は、特開2012−232942号公報に記載の方法により測定される。
また、一般式(1)で表されるC−HPCにおいて、洗浄時の起泡性の高さ、および、すすぎ時の泡切れ、消泡性を付与する観点、毛髪の速乾効果を高める観点、すすぎ時の毛髪の絡みを抑制して滑らかな手触りとする観点、乾燥中のべたつきを抑制する観点、ならびに、乾燥後の毛髪のまとまり性を向上させる観点から、プロピレンオキシ基の置換度は、0.1以上であり、好ましくは0.2以上、より好ましくは1.1以上、さらに好ましくは1.5以上、さらにより好ましくは2.0以上であり、また、4.0以下であり、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.9以下、さらにより好ましくは2.6以下、殊更好ましくは2.4以下である。
ここで、プロピレンオキシ基の置換度とは、セルロース主鎖を構成するアンヒドログルコース単位1モルあたりのC−HPCの分子中に存在するプロピレンオキシ基の平均モル数をいう。プロピレンオキシ基の置換度は、特開2012−232942号公報に記載の方法により測定される。
成分(A)のC−HPCは、たとえば、以下の(i)〜(iii)の製造方法により得ることができる。
(i)セルロースと大量の水および大過剰のアルカリ金属水酸化物をスラリー状態で混合し、カチオン化剤および酸化プロピレンと反応させる方法。
(ii)塩化リチウムを含むジメシルアセトアミドを溶媒として用い、さらにアミン類やアルコラート触媒を添加してセルロースを溶解させ、カチオン化剤および酸化プロピレンと反応させる方法。
(iii)上記(i)や(ii)のように、過剰の水や溶媒を用いず、粉末、ペレット状またはチップ状のセルロースと、カチオン化剤および酸化プロピレンを塩基共存下に反応させる方法。
上記(i)〜(iii)の製造方法において、カチオン化剤との反応および酸化プロピレンとの反応はどちらを先におこなってもよく、同時におこなってもよい。
これらの製造方法の中では、成分(A)の製造容易性を向上させる観点から、上記(iii)の製造方法が好ましい。
さらに具体的には、前述した特許文献2に記載の方法によりC−HPCを製造することができる。
毛髪洗浄剤組成物中の成分(A)の含有量は、毛髪の速乾効果を高める観点、乾燥中のべたつきを抑制する観点および乾燥後の毛髪のまとまり性を向上させる観点から、毛髪洗浄剤組成物全体に対して好ましくは0.001質量%以上であり、より好ましくは0.003質量%以上、さらに好ましくは0.007質量%以上、さらにより好ましくは0.01質量%以上、殊更好ましくは0.03質量%以上である。また、毛髪の速乾効果を高める観点およびすすぎ時の毛髪の絡みを抑制して滑らかな手触りとする観点から、毛髪洗浄剤組成物中の成分(A)の含有量は、毛髪洗浄剤組成物全体に対して好ましくは3質量%以下であり、より好ましくは2.0質量%以下、さらに好ましくは1.2質量%以下、さらにより好ましくは0.8質量%以下、殊更好ましくは0.5質量%以下、殊更好ましくは0.3質量%以下である。
(成分(B))
成分(B)は、上述した成分(A)以外のカチオン性ポリマーである。成分(B)の具体例として、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース等の成分(A)以外のカチオン化セルロース誘導体;カチオン化デンプン;カチオン化フェヌグリークガム、カチオン化グアーガム、カチオン化タラガム、カチオン化ローカストビーンガム等のカチオン化ガラクトマンナンおよびその誘導体;ジアリル四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物、ビニルイミダゾリウムトリクロライド/ビニルピロリドン共重合体、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム共重合体、アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルエチレントリアミン共重合体(米国サンドス社製、カルタレチン)等の共重合体、特開昭53−139734号公報に記載されているカチオン性ポリマー、特開昭60−36407号公報に記載されているカチオン性ポリマー等が挙げられる。
このうち、カチオン化ガラクトマンナンは、マンノースを構成単位とする主鎖としガラクトース単位を側鎖としたガラクトマンナンに、第4級窒素含有基を導入した水溶性カチオン化ポリマーである。ガラクトマンナンは、たとえばマメ科植物の種子の胚乳から得られる。ガラクトースとマンノースの比が1:1のものがフェヌグリークガム、1:2のものがグアーガム、1:3のものがタラガム、1:4のものがローカストビーンガムである。
カチオン化ガラクトマンナンの市販品として、カチオン化フェヌグリークガムとしてはカチナールCF−100(東邦化学工業社製)が挙げられる。カチオン化グアーガムの市販品としては、ジャガーC−13S、ジャガーC−14S、ジャガーC−14SK、ジャガーC−17等のジャガーシリーズ(Solvay社製、グアーヒドロキシプロピルトリアンモニウムクロリド)等が挙げられる。また、カチオン化タラガムの市販品としては、カチナールCTR−100、カチナールCTR−200(以上、東邦化学工業社製、カエサルピニアスピノサヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)等が挙げられる。また、カチオン化ローカストビーンガムの市販品としては、カチナールCLB−100(東邦化学工業社製、ローカストビーンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)等が挙げられる。
また、成分(B)の市販品の具体例として、上述したものの他、マーコート100(Lubrizol社製、ジアリルジメチルアンモニウム塩の共重合体;INCI名ポリクオタニウム−6)、マーコート550(Lubrizol社製、アクリルアミドとジアリルジメチルアンモニウム塩の共重合体;INCI名ポリクオタニウム−7)、マーコート280および295(Lubrizol社製、アクリル酸とジアリルジメチルアンモニウム塩の共重合体;INCI名ポリクオタニウム−22)、ルビクァットFC370(BASF社製、1−ビニル−2−ピロリドンと1−ビニル−3−メチルイミダゾリウム塩の共重合体;INCI名ポリクオタニウム−16)、ガフクァット755N(ISP社製、1−ビニル−2−ピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートの共重合体;INCI名ポリクオタニウム−11)、UcareポリマーJRおよび同LRシリーズ(アマーコール社製、トリメチルアンモニウム置換エポキシドとヒドロキシエチルセルロースとの反応物の塩;INCI名ポリクオタニウム−10)、ポイズC−60H、ポイズC−80M、ポイズC−150L(以上、花王社製、トリメチルアンモニウム置換エポキシドとヒドロキシエチルセルロースとの反応物の塩;INCI名ポリクオタニウム−10)、ソフケアKG−101E(花王社製;INCI名ポリクオタニウム−52)等が挙げられる。
成分(B)は、毛髪の速乾効果を高める観点、すすぎ時の毛髪の絡みを抑制して滑らかな手触りとする観点、乾燥中のべたつきを抑制する観点、ならびに、乾燥後の毛髪のまとまり性を向上させる観点から、好ましくはカチオン化ガラクトマンナン、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース(ポリクオタニウム−10)、カチオン化デンプン、ポリクオタニウム−6、ポリクオタニウム−7、ポリクオタニウム−22およびポリクオタニウム−52からなる群より選ばれる1種以上であり、より好ましくはカチオン化ガラクトマンナン、カチオン化ヒドロキシエチルセルロースおよびカチオン化デンプンからなる群より選ばれる1種以上、さらに好ましくはカチオン化ガラクトマンナンおよびカチオン化ヒドロキシエチルセルロースからなる群より選ばれる1種以上である。
毛髪洗浄剤組成物中の成分(B)の含有量は、すすぎ時の毛髪の絡みを抑制して滑らかな手触りとする観点、乾燥中のべたつきを抑制する観点および乾燥後の毛髪のまとまり性を向上させる観点から、毛髪洗浄剤組成物全体に対して好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.02質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上である。また、毛髪の速乾効果を高める観点、乾燥中のべたつきを抑制する観点から、毛髪洗浄剤組成物中の成分(B)の含有量は、毛髪洗浄剤組成物全体に対して好ましくは3質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、さらにより好ましくは0.8質量%以下、殊更好ましくは0.5質量%以下である。
また、毛髪洗浄剤組成物中の成分(B)の含有量に対する成分(A)の含有量の質量比((A)/(B))は、毛髪の速乾効果を高める観点、乾燥中のべたつきを抑制する観点および乾燥後の毛髪のまとまり性を向上させる観点から、好ましくは0.001以上であり、より好ましくは0.005以上、さらに好ましくは0.01以上、さらにより好ましくは0.03以上、殊更好ましくは0.06以上である。また、毛髪の速乾効果を高める観点およびすすぎ時の毛髪の絡みを抑制して滑らかな手触りとする観点から、上記質量比((A)/(B))は、好ましくは300以下であり、より好ましくは200以下、さらに好ましくは120以下、さらにより好ましくは80以下、殊更好ましくは50以下、殊更好ましくは20以下、殊更好ましくは8以下、殊更好ましくは2以下である。
(成分(C))
成分(C)は、硫酸塩型界面活性剤である。
成分(C)の具体例として、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸アルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩が挙げられる。
成分(C)は、好ましくは下記一般式(6)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩である。
8O(CH2CH2O)aSO3 (6)
(上記一般式(6)中、R8は炭素数8以上18以下のアルキル基またはアルケニル基を示し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミンまたは塩基性アミノ酸由来のカチオンを示し、aはエチレンオキシドの平均付加モル数であり、0.5以上5以下の数を示す。)
一般式(6)中のR8の炭素数は、すばやい泡立ちと良好な泡の感触を両立する観点から、好ましくは8以上であり、より好ましくは10以上であり、また、好ましくは18以下であり、より好ましくは14以下である。
同様の観点から、一般式(6)におけるエチレンオキシドの平均付加モル数aは、好ましくは0.5以上であり、より好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.8以上であり、また、好ましくは5以下であり、より好ましくは4以下、さらに好ましくは3.5以下である。
また、同様の観点から、対イオンであるMは、好ましくはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属由来のカチオン;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属由来のカチオン;アンモニウム由来のカチオン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン由来のカチオン;または、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸由来のカチオンであり、より好ましくはアンモニウムまたはナトリウム由来のカチオンである。
成分(C)は、同様の観点から、好ましくはMがアンモニウムまたはナトリウム由来のカチオンであるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩であり、より好ましくはラウレス硫酸アンモニウムおよびラウレス硫酸ナトリウムから選ばれる1種以上である。
毛髪洗浄剤組成物中の成分(C)の含有量は、泡立ちをさらにより向上させる観点から、毛髪洗浄剤組成物全体に対して、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上である。また、泡切れを向上させる観点、および、すすぎ時に毛髪が絡まりにくく、滑らかな手触りを付与する観点から、毛髪洗浄剤組成物中の成分(C)の含有量は、毛髪洗浄剤組成物全体に対して、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは18質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。
(成分(D))
成分(D)は、一般式(5)で表される分岐脂肪酸またはその塩である。
Figure 2017202991
(上記一般式(5)中、a、b、cの総和はa+b+c=11〜27の整数を示し、aは0または1以上の整数、bは1の整数を示し、X1+は水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、有機アミンまたは塩基性アミノ酸由来のカチオンを示す。)
成分(D)のa、b、cの総和(a+b+c)は、すすぎ時に毛髪が絡まりにくく、滑らかな手触りを付与する観点および乾燥後の毛髪のまとまり性を向上させる観点から、好ましくは13以上、より好ましくは15以上であり、また、好ましくは19以下、より好ましくは17以下である。
成分(D)の具体例として、20−メチルヘンエイコサン酸、19−メチルヘンエイコサン酸、19−メチルエイコサン酸、18−メチルエイコサン酸、18−メチルノナデカン酸、17−メチルノナデカン酸、17−メチルオクタデカン酸、16−メチルオクタデカン酸、16−メチルヘプタデカン酸、15−メチルヘプタデカン酸、15−メチルヘキサデカン酸、14−メチルヘキサデカン酸、14−メチルペンタデカン酸、13−メチルペンタデカン酸、13−メチルテトラデカン酸、12−メチルテトラデカン酸、12−メチルトリデカン酸、11−メチルトリデカン酸が挙げられる。また、X1+としては、ナトリウム、リチウム、カリウム等のアルカリ金属由来のカチオン;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属由来のカチオン;アンモニウム由来のカチオン;トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等の有機アミン由来のカチオン;リジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸由来のカチオンが挙げられる。
また、ラノリンからの抽出物、すなわちラノリン脂肪酸およびその塩も用いることができる。ラノリン脂肪酸は、具体的には、イソ脂肪酸、アンテイソ脂肪酸と呼ばれるメチル分岐長鎖脂肪酸を50質量%程度含有する。
成分(D)の市販品の具体例として、18MEA(クローダジャパン社製)、18MEA−SO−(RB)(Croda Europe Ltd.製)、スクライロ(クローダジャパン社製)、FA−NH(日本精化社製)、イソステアリン酸EX(高級アルコール工業社製)が挙げられる。
毛髪洗浄剤組成物中の成分(D)の含有量は、毛髪の速乾効果を高める観点、すすぎ時の毛髪の絡みを抑制して滑らかな手触りとする観点および乾燥後の毛髪のまとまり性を向上させる観点から、毛髪洗浄剤組成物全体に対して、好ましくは0.001質量%以上であり、より好ましくは0.005質量%以上、さらに好ましくは0.02質量%以上、さらにより好ましくは0.05質量%以上である。また、毛髪の速乾効果を高める観点および乾燥中のべたつきを抑制する観点から、毛髪洗浄剤組成物中の成分(D)の含有量は、毛髪洗浄剤組成物全体に対して好ましくは3質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、さらにより好ましくは0.8質量%以下、殊更好ましくは0.5質量%以下、殊更好ましくは0.3質量%以下である。
また、毛髪洗浄剤組成物中の成分(D)の含有量に対する成分(A)の含有量の質量比((A)/(D))は、毛髪の速乾効果を高める観点、乾燥中のべたつきを抑制する観点および乾燥後の毛髪のまとまり性を向上させる観点から、好ましくは0.001以上であり、より好ましくは0.01以上、さらに好ましくは0.08以上、さらにより好ましくは0.1以上、殊更好ましくは0.2以上である。また、毛髪の速乾効果を高める観点、すすぎ時の毛髪の絡みを抑制して滑らかな手触りとする観点、および、乾燥後の毛髪のまとまり性を向上させる観点から、上記質量比((A)/(D))は、好ましくは3000以下であり、より好ましくは1000以下、さらに好ましくは100以下、さらにより好ましくは50以下、殊更好ましくは20以下、殊更好ましくは8以下、殊更好ましくは3以下である。
(水)
本実施形態の毛髪洗浄剤組成物は、媒体として水を含有する。水としては、イオン交換水や蒸留水等を用いることができる。水の含有量は、たとえば毛髪洗浄剤組成物中の成分(A)〜(D)およびその他成分の残量となる。
また、本実施形態において、毛髪洗浄剤組成物は、前述した成分以外の成分を含んでもよい。
たとえば、毛髪洗浄剤組成物は、成分(E)としてシリコーン類をさらに含有してもよい。
(成分(E))
成分(E)のシリコーン類の具体例としては、ジメチルポリシロキサン(以下、ジメチコンともいう。)、環状シリコーン、アミノ変性シリコーン、ジメチコノール、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリシドール変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられ、毛髪洗浄剤組成物の塗布時およびすすぎ時の毛髪の滑らかさと適切な毛髪の速乾性能の観点から、好ましくは、ジメチルポリシロキサンおよびアミノ変性シリコーンからなる群から選択される1種または2種以上である。
毛髪洗浄剤組成物中の成分(E)の含有量は、乾燥中の毛髪間の接着を抑制し、ばらけを促進して乾燥時間を速める観点、および、すすぎ時に毛髪が絡まりにくく、滑らかな手触りを付与する観点から、毛髪洗浄剤組成物全体に対して好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、さらにより好ましくは0.3質量%以上である。また、乾燥中のべたつきを抑制する観点から、毛髪洗浄剤組成物中の成分(E)の含有量は、毛髪洗浄剤組成物全体に対して好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、さらにより好ましくは3質量%以下である。
(その他の任意成分)
本実施形態の毛髪洗浄剤組成物は、上述した成分のほか、通常の毛髪洗浄剤組成物に用いられる成分を所望の効果に応じて適宜含むことができる。このような任意成分としては、たとえば、抗フケ剤;ビタミン剤;殺菌剤;グリチルリチン酸ジカリウム等のグリチルリチン酸およびその塩、グリチルレチン酸およびその塩等の抗炎症剤;安息香酸およびその塩等の防腐剤;EDTA−2Na等のキレート剤;ソルビトール、パンテノール等の保湿剤;成分(C)以外の界面活性剤;染料、顔料等の着色剤;ユーカリの極性溶媒抽出物等のユーカリエキス、コンキオリンまたはその加水分解物、蜂蜜、ローヤルゼリー、シルクから得られる蛋白質またはその加水分解物、マメ科植物の種子から得られる蛋白含有抽出物、オタネニンジン抽出物、米胚芽抽出物、ヒバマタ抽出物、アロエ抽出物、ハス抽出物、ザクロ抽出物、ノバラ抽出物、カモミラ抽出物、カンゾウ抽出物、月桃葉抽出物、クロレラ抽出物等のエキス類;酸化チタン等のパール化剤;香料;紫外線吸収剤;酸化防止剤;シアバター;ローズ水;ヒマワリ油;オレンジ油;ユーカリ油等が挙げられる。
(pH)
本実施形態の毛髪洗浄剤組成物のpHは、すすぎ時に毛髪が絡まりにくく、滑らかな手触りを付与する観点から、好ましくは4.0以上であり、より好ましくは4.5以上、さらに好ましくは5.0以上であり、また、好ましくは8.0以下であり、より好ましくは7.5以下、さらに好ましくは7.0以下である。なお、本明細書において、毛髪洗浄剤組成物のpHは、水で20質量倍希釈したときの25℃における測定値(ガラス電極測定法)をいう。
次に、本実施形態における毛髪洗浄剤組成物の製造方法を説明する。
本実施形態の毛髪洗浄剤組成物は、たとえば、成分(A)〜(D)および適宜他の成分を所定の順序で混合して水に溶解または分散することで製造される。
具体的には、水に成分(C)および(D)を加え、攪拌しながら80℃程度に加熱する。これに、予め成分(A)および(B)を水に溶解または均一に分散させた水溶液を加えて攪拌し、均一に溶解する。これを冷却しながら適宜その他の成分を加え撹拌し均一に溶解して、室温(25℃、以下同じ。)まで冷却することにより、毛髪洗浄剤組成物を得ることができる。
また、本実施形態における毛髪洗浄剤組成物を用いた毛髪の洗浄方法は、たとえば、毛髪洗浄剤組成物を毛髪に適用、好ましくは塗布し、よく泡立てた後、洗い流すことを含む。
本実施形態における毛髪洗浄剤組成物は、成分(A)〜(D)および水を含むため、洗髪後の濡れた毛髪を短時間で乾燥させることができる。また、本実施形態における毛髪洗浄剤組成物を用いることにより、すすぎ時には毛髪が絡まりにくく、滑らかな手触りを付与することができ、乾燥中のべたつきを抑制し、また、乾燥後には毛髪にまとまり性を付与することができる。
また、本実施形態によれば、たとえば、毛髪洗浄剤組成物が毛髪の表面に薄く一様に付着することも可能となるため、たとえば、すすぎ時から乾燥後にわたる毛髪の絡みを抑制し、乾燥後の毛髪のまとまり性を向上させることも可能となる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
<実施例1〜12および比較例1〜4>
表1および表2に示す組成のシャンプー組成物を調製し、以下の方法および基準に従って、その評価をおこなった。
[シャンプー組成物の調製方法]
水に成分(C)および(D)を加え、攪拌しながら80℃程度に加熱し、予め成分(A)および(B)を水に溶解または均一に分散させた水溶液を加えて撹拌し、均一に溶解した。その後、得られた混合物を冷却しながら成分(E)を加えて撹拌し、均一に溶解して、25℃まで冷却し、pHが6.0になるように塩酸を加え、シャンプー組成物を得た。なお、pHは以下に示す方法で測定した。
<pHの測定方法>
pHは試料を精製水で20質量倍に希釈し、撹拌溶解した後、pH計(東亜ディーケーケー社製、HM−30R型)を用い、25℃にてガラス電極測定法により測定した。
<評価方法>
[すすぎ時の毛束の絡まりのなさ・すすぎ時の毛束の滑らかさ・乾燥中の毛束のべたつきのなさ・毛束の乾燥時間の速さ]
(評価用毛束)
ヘアカラーを年4回の頻度で使用していた日本人の直毛を用いて、重さ20g、長さ30cm、幅5.5cmの毛束を作製した。この毛束を、40℃の流水中で30秒濡らした後、以下に処方を示すモデルシャンプー1gを塗布して泡立てた。その後、40℃の温水で30秒、毛束に指を通しながらすすぎ流した。その後の毛束を評価に用いた。
(モデルシャンプーの組成)
(成分) (質量%)
ポリオキシエチレン(2.0)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 15.5
ラウリン酸ジエタノールアミド 2.2
エデト酸二ナトリウム 0.15
安息香酸ナトリウム 0.18
オキシベンゾン 0.03
リン酸 0.07
塩化ナトリウム 0.8
香料 0.4
精製水 残量
(合計) 100
(処理方法)
評価用毛束の含水量が20gになるまで、手で毛束をしごいて余分な水分を除去した。次に、表1および表2に示すシャンプー組成物1gを上記毛束に塗布し、20秒間泡立てをおこなった。続いて、40℃、流速60mL/sの水道水で20秒間すすぎながら、絡まり、滑らかさの観点から官能評価をおこなった。
(すすぎ時の毛束の絡まりのなさ)
すすぎ時の毛束の絡まりのなさについては、「髪の絡まりを感じない」/「どちらともいえない」/「髪の絡まりを感じる」から1つを選択させた。
評価は7名のパネラーによっておこなった。表1および表2中に、「髪の絡まりを感じない」/「どちらともいえない」/「髪の絡まりを感じる」と答えたパネラーの人数を順に示す。
(すすぎ時の毛束の滑らかさ)
すすぎ時の毛束の滑らかさについては、「滑らか」/「どちらともいえない」/「滑らかではない」から1つを選択させた。
評価は7名のパネラーによっておこなった。表1および表2中に、「滑らか」/「どちらともいえない」/「滑らかではない」と答えたパネラーの人数を順に示す。
(毛束の乾燥時間の速さ)
上述したすすぎ時の絡まりのなさ・滑らかさの評価の後、毛束の含水量が10gとなるようタオルで水分を拭き取った。この毛束を、ドライヤー(キャン社製、Solis TYPE315、設定はhigh/very hot)の吹き出し口から、毛束の長さ方向の中心までの距離が約20cmとなるように配置し、温風が真横から当たるように、ドライヤーを固定した。毛束に指を通しながらドライヤー乾燥をおこなった。ドライヤー乾燥開始から、毛束が完全に乾いたと研究員が判断できるまでの時間を計測し、毛束の乾燥時間の速さとした。
(乾燥中の毛束のべたつきのなさ)
上記「毛束の乾燥時間の速さ」と同様の処理を行った際の乾燥中の毛束のべたつきについて官能評価をおこなった。評価においては、「乾燥中にべたつかない」/「どちらとも言えない」/「乾燥中にべたつきを感じる」から1つを選択させた。
評価は7名のパネラーによっておこなった。表1および表2中に、「乾燥中にべたつかない」/「どちらとも言えない」/「乾燥中にべたつきを感じる」と答えたパネラーの人数を順に示す。
[乾燥後の毛束のまとまり]
(評価用毛束)
6cm×6cm角の範囲に約200本/cm2の密度、生え角60°で、長さ30cmの中国人非化学処理毛を植毛した毛束を作成した。この毛束を、40℃の流水中で30秒濡らした後、上述のモデルシャンプー1gを塗布して泡立てた。その後、40℃の温水で30秒、毛束に指を通しながらすすぎ流した。その後の毛束を評価に用いた。
(処理方法)
毛束を40℃の水道水で十分に濡らした後、表1および表2に示すシャンプー組成物1gを塗布し、20秒泡立てた後に、40℃の水道水で20秒すすぎを行った。その後、毛束の含水量が3gとなるようタオルで水分を拭き取った。
次に、毛束を、ドライヤーの吹き出し口から毛束の長さ方向の中心までの距離が約20cmとなるように配置し、温風が真横から当たるようドライヤーを固定した。左右に10cm、1秒間に2往復の速さで毛束を振りながらドライヤー乾燥をおこない、30秒に1回根元から毛先まで櫛(DELRIN社製、NEW DELRIN COMB)を通し、完全に乾燥したあとの毛束のまとまりを評価した。
評価は7名のパネラーによっておこない、「浮き毛・ハネ毛がなく、毛先までまとまる」/「どちらとも言えない」/「浮き毛・ハネ毛が多く、まとまりが悪い」から1つを選択させた。
表1および表2中に、「浮き毛・ハネ毛がなく、毛先までまとまる」/「どちらとも言えない」/「浮き毛・ハネ毛が多く、まとまりが悪い」と答えたパネラーの人数を順に示す。
Figure 2017202991
Figure 2017202991
表1および表2中、各成分として以下のものを用いた。
*1 PPG−2 ヒドロキシプロピルトリモニウムセルロース:(平均重合度:800、カチオン化エチレンオキシ基置換度:0.2、プロピレンオキシ基置換度:2.2、一般式(4)におけるX-:塩化物イオン)
*2 グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド:ジャガーC−14SK、Solvay社製
*3 ポリクオタニウム−10:ポイズC−150L、花王社製
*4 ポリクオタニウム−52:ソフケアKG−101E、花王社製
*5 ポリクオタニウム−7:マーコート550、Lubrizol社製
*6 ラウレス(1)硫酸アンモニウム:エマール125A、花王社製
*7 18−メチルエイコサン酸:18MEA−SO−(RB)、Croda Europe Ltd.製
*8 イソステアリン酸:イソステアリン酸EX、高級アルコール工業社製
*9 ジメチコン混合物:平均重合度50〜300:1000〜3000=42:18
表1および表2より、各実施例のシャンプー組成物は、成分(A)〜(D)を含むため、各比較例のものに比べて、速乾性、すすぎ時の絡まりのなさおよび滑らかさ、乾燥中のべたつきのなさ、ならびに、乾燥後のまとまりの効果のバランスにおいて優れていた。

Claims (10)

  1. 次の成分(A)、(B)、(C)、(D)および水を含有する、毛髪洗浄剤組成物。
    (A)下記一般式(1)で表されるアンヒドログルコース由来の主鎖を有し、かつカチオン化エチレンオキシ基による置換度が0.01以上2.9以下であり、プロピレンオキシ基による置換度が0.1以上4.0以下である、カチオン化ヒドロキシプロピルセルロース
    (B)成分(A)以外のカチオン性ポリマー
    (C)硫酸塩型界面活性剤
    (D)下記一般式(5)で表される分岐脂肪酸またはその塩
    Figure 2017202991
    (上記一般式(1)中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に下記一般式(2)または(3)で表される置換基を示し、nは前記アンヒドログルコースの平均重合度を示し、50以上5000以下の数である。)
    Figure 2017202991
    (上記一般式(2)および(3)中、Y1およびY2は、一方が水素原子を示し、他方が下記一般式(4)で表されるカチオン性基を示し、POはプロピレンオキシ基を示す。pはカチオン化エチレンオキシ基(−CH(Y1)−CH(Y2)−O−)の数を示し、qはプロピレンオキシ基(−PO−)の数を示し、それぞれ0または正の整数である。ただし、R1、R2およびR3におけるすべてのpおよびqが同時に0となることはない。また、pおよびqのいずれもが0でない場合、前記カチオン化エチレンオキシ基と前記プロピレンオキシ基の付加順序は問わず、さらにpおよびqのいずれもが0でなくpおよびqのいずれか一方または両方が2以上である場合、ブロック結合およびランダム結合のいずれであってもよい。)
    Figure 2017202991
    (上記一般式(4)中、R4、R5およびR6は、それぞれ独立に炭素数1以上3以下の直鎖または分岐鎖のアルキル基を示し、X-はアニオン性基を示す。)
    Figure 2017202991
    (上記一般式(5)中、a、b、cの総和はa+b+c=11〜27の整数を示し、aは0または1以上の整数、bは1の整数を示し、X1+は水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、有機アミンまたは塩基性アミノ酸由来のカチオンを示す。)
  2. 当該毛髪洗浄剤組成物中の前記成分(A)の含有量が、当該毛髪洗浄剤組成物全体に対して0.001質量%以上3質量%以下である、請求項1に記載の毛髪洗浄剤組成物。
  3. 当該毛髪洗浄剤組成物中の前記成分(B)の含有量が、当該毛髪洗浄剤組成物全体に対して0.01質量%以上3質量%以下である、請求項1または2に記載の毛髪洗浄剤組成物。
  4. 当該毛髪洗浄剤組成物中の前記成分(C)の含有量が、当該毛髪洗浄剤組成物全体に対して3質量%以上20質量%以下である、請求項1〜3いずれか1項に記載の毛髪洗浄剤組成物。
  5. 当該毛髪洗浄剤組成物中の前記成分(D)の含有量が、当該毛髪洗浄剤組成物全体に対して0.001質量%以上3質量%以下である、請求項1〜4いずれか1項に記載の毛髪洗浄剤組成物。
  6. 当該毛髪洗浄剤組成物中の前記成分(D)の含有量に対する前記成分(A)の含有量の質量比((A)/(D))が0.001以上3000以下である、請求項1〜5いずれか1項に記載の毛髪洗浄剤組成物。
  7. 当該毛髪洗浄剤組成物中の前記成分(B)の含有量に対する前記成分(A)の含有量の質量比((A)/(B))が0.001以上300以下である、請求項1〜6いずれか1項に記載の毛髪洗浄剤組成物。
  8. 前記成分(B)が、カチオン化ガラクトマンナン、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース(ポリクオタニウム−10)、カチオン化デンプン、ポリクオタニウム−6、ポリクオタニウム−7、ポリクオタニウム−22およびポリクオタニウム−52からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1〜7いずれか1項に記載の毛髪洗浄剤組成物。
  9. 成分(E)としてシリコーン類をさらに含有する、請求項1〜8いずれか1項に記載の毛髪洗浄剤組成物。
  10. 請求項1〜9いずれか1項に記載の毛髪洗浄剤組成物を毛髪に適用し、水で洗い流すことを含む、毛髪の洗浄方法。
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