JP2017202631A - 転写フィルム、積層基材、カバーガラス、積層基材の製造方法 - Google Patents

転写フィルム、積層基材、カバーガラス、積層基材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】直線性に優れた高解像度の積層パターンを基材上に得る上で、一括現像性及び一括転写性に優れた転写フィルムを提供すること。
【解決手段】本発明は、支持体の表面に、層(A)と、層(B)と、が順に形成されている転写フィルムであって、前記層(A)と前記層(B)とが、それぞれ着色材を含有し、前記着色材を除く全固形分に対して、前記層(A)がアルカリ可溶性樹脂(A)を、前記層(B)がアルカリ可溶性樹脂(B)を、それぞれ20重量%以上の割合で含有し、前記アルカリ可溶性樹脂(A)の酸価a(mgKOH/g)と、前記アルカリ可溶性樹脂(B)の酸価b(mgKOH/g)とが、400 ≧ a − b ≧ 100の関係を満たすことを特徴とする、転写フィルムを提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、転写フィルム、積層基材、カバーガラス、積層基材の製造方法に関する。
スマートフォンやタブレットPC等、静電容量式タッチパネルを用いたモバイル機器が近年、急速に普及している。静電容量式タッチパネルは、画像表示部領域にITO(Indium Tin Oxide)膜のパターンが形成され、その周辺部にさらにモリブデン等の金属配線が形成されていることが一般的である。このような金属配線がユーザーから視認されないようにするため、静電容量式タッチパネルの前面保護基板、すなわちカバーガラスの内表面の周辺部には、額縁状の加飾パターンが形成されている。
静電容量式タッチパネルの方式としては、カバーガラスと液晶パネルとの間にタッチパネル層を形成するOut−cellタイプ、液晶パネル上にタッチパネル層を形成するOn−cellタイプ、又は、液晶パネルの内部にタッチパネル層を形成するIn−cellタイプ等、多様化が進んでいるが、加飾パターンについては黒色又は白色のパターンが主流となっている。また、モバイル機器の意匠性をさらに向上させるため、微細な文字やロゴマーク等を有する、高解像度の加飾パターンが求められているところ、特に加飾パターンが白色の場合には、十分な明度を得るためにパターンの厚膜化が必要となり、さらに遮光性を十分なものとするため、黒色等の光学濃度が高い遮光パターンを白色加飾パターンの表面に同額縁状に形成し積層する構成が多く採用されている。このような、ガラス基材の表面に、額縁状の白色加飾パターンと黒色遮光パターンとが順に積層されたカバーガラスを高い歩留まりで製造する方法としては、例えば、フォトリソグラフィとフィルム転写法を組み合わせた工法(特許文献1、特許文献2)が知られている。
特開2015−024498号公報 特開2014−24316号公報 フォトリソグラフィとフィルム転写法を組み合わせた工法は、二種類に大別される。第一の工法として、フィルム上に白色塗布膜が形成された転写フィルムを用いて、白色塗布膜をガラス基板の表面に転写した後にパターン露光し、現像し、白色加飾パターンを形成し、次いで黒色塗布膜が形成された転写フィルムを用いて、同様の手順で黒色遮光パターンを白色加飾パターンの表面に積層する工法があり、一方で、第二の工法として、フィルム上に黒色塗布膜と白色塗布膜とが順に積層形成された転写フィルムを用いて、白色塗布膜側から両層を一括してパターン露光し、現像を行なった後にガラス基材の表面に両層を一括して転写する工法がある。
第一の工法では、高価なガラス基板上で複数回行なわれるパターン露光、現像によるパターニング工程の歩留まり悪化が、製造上の重篤な問題に直結するのに対して、第二の工法では、パターニングが安価なフィルム上で一回のみで済むこと、パターニング不良となったピースを除去し、良品ピースのみをガラス基材に転写すればよいことから、パターニング工程の歩留まりの影響を極めて軽微なものとすることができる。また、第一の工法ではガラス基板裁断の難しさから、1ピースごとのパターニング及び搬送が前提となるのに対し、第二の工法では裁断が容易な大判フィルム上で多数のピースをまとめてパターニングでき、極めて生産性の高いRoll to Roll方式での連続搬送が可能となる等の利点がある。一方で、電子機器のデザインの多様性から、いわゆる3Dガラスと呼ばれる、表裏の両面に曲面部を有したガラス基材への加飾が近年求められるようになってきており、第一の工法では凹曲面に対して面内均一に照射可能なレーザー露光機等の特殊露光機や曲面露光マスク等が必要となる上に、その生産上の処理速度が極めて低い問題があったため、従来から広く用いられてきた平面用露光機を活用できる点からも、第二の工法の実現がより注目されている。
しかしながら、上記第二の工法では、フィルム上に黒色塗布膜と白色塗布膜とを順に塗布して転写フィルムを得る際、両層の間で着色材の物質交換が起きることに起因して意図しない灰色中間層が積層界面に形成され、白色加飾パターンの明度を損ない、カバーガラスの意匠性を悪化させてしまう、塗布工程での混色の問題があった。
また、パターン露光時に白色塗布膜により露光光が遮られ、フィルム側に位置する黒色塗布膜にまで十分に露光光が届かないこと、黒色塗布膜自身の高い遮光性に起因して深部硬化が不十分となること、転写工程において白色加飾パターンをガラス基材の表面に接着させ、密着性を得るに必要十分な加熱と加圧とを同時に行なうと、黒色遮光パターンと、白色加飾パターンとの間でさらに混色が促進され、両層の間で樹脂成分の物質交換が起こることに起因して、黒色遮光パターンのみが潰れてしまい、最終的に得られたカバーガラスにおいて白色加飾パターンの端部に不規則にはみ出した黒色遮光パターンが視認されるという、直線性不良の問題があった。また、転写工程前にフィルムを介して黒色遮光パターン側から全面露光を施しても、フィルムとの界面が光硬化されるのみで潰れを回避することが難しく、問題は解決に至らなかった。
上述のフィルムを支持体、黒色塗布膜を層(A)、白色塗布膜を層(B)として、それらからなる転写フィルムを層(B)側から一括してパターン露光し、現像して支持体上に得たパターン状の積層現像膜のうち、層(A)から得られたパターンを現像膜(A)、層(B)から得られたパターンを現像膜(B)とし、層(A)、層(B)が含有するアルカリ可溶性樹脂をそれぞれアルカリ可溶性樹脂(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)として、以下に従来の課題をより詳細に述べる。
非晶質の樹脂は、「ガラス転移温度(Tg)」と呼ばれる温度で転位が起こり、この温度あるいはそれ以上の高温領域では樹脂の剛性と粘度が低下し、その流動性が増すことから、圧力に対して変形しやすくなることが一般的に知られている。
例えば、樹脂のガラス転移温度(Tg)は、次のFOX式により理論計算値を求めることができ、これに準じて、ホモポリマーのガラス転移温度や特性の異なる複数種のモノマーを組み合わせ、所望のガラス転移温度(Tg)を有するアルカリ可溶性樹脂(A)及びアルカリ可溶性樹脂(B)を、それぞれ共重合や付加反応により合成することができる。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wn/Tgn
(式中、Tgは、樹脂のガラス転移温度(K)であり、W1、W2、・・・、Wnは、各モノマーの重量分率であり、Tg1、Tg2、・・・、Tgnは、各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度である。)
上記計算に用いるホモポリマーのガラス転移温度は、種々の文献に記載されている値を引用して用いることができ、例えば、Polymer handbook.3rd edition(J.BRANDRUP and E.H.IMMERGUT著)が挙げられる。
仮にこれに準じれば、基材への接着機能を有する必要があるアルカリ可溶性樹脂(B)のガラス転移温度を、転写工程における熱プレス温度と比べて低くなるよう設計しておくことで、現像膜(B)を基材へ接着させることが可能であり、一方、アルカリ可溶性樹脂(A)のガラス転移温度を、転写工程における熱プレス温度と比べて高くなるよう設計しておくことで、パターン露光時に層(B)の存在により露光光が遮られ、支持体側に位置する層(A)が光硬化不足であったとしても、理論上は、アルカリ可溶性樹脂(A)が柱材として機能することで現像膜(A)の変形を防ぐ一定の効果があり、パターン潰れが回避できるはずであると思われた。ところが、実際にはアルカリ可溶性樹脂(A)のガラス転移温度を過度に高めても現像膜(A)のパターン潰れの改善が観られず、その回避は容易ではなかった。
一方、別の回避方法としては、アルカリ可溶性樹脂(B)のガラス転移温度を下げるなどの調整により、現像膜(A)のパターン潰れが発生する温度よりも低い温度領域で現像膜(B)を基材の表面に接着できるようにし、転写工程における熱プレス条件を低温化または低温化及び低圧化する方法が挙げられる。ところが、この手法では大気圧下/常温下における層(B)のタックが過度に上昇することにつながり、転写フィルムが製造工程で非常に扱いづらいものとなってしまう。具体的には、転写フィルムの巻き取り後、支持体の裏面あるいは層(B)の表面に重ねた保護カバーフィルムに層(B)の表層が接着してしまい、巻き出す際にそのタックに起因して支持体と層(A)との間で剥がれが発生したり、現像工程後に積層現像膜を巻き取ると、その巻き圧により、特に巻き芯部に近いほどパターンが顕著に変形する等の不具合を生じる等の弊害が多く、解決には至らなかった。以上の背景から、積層界面における両層の混色を抑制し、両層の一括現像性を維持しつつ、一括転写性に優れ、明度及び直線性の高い積層パターンが得られる転写フィルムが切望されているのが実状であった。
上記課題を鑑みて原理検証を行なった結果、上述の塗布工程において層(A)と層(B)との間で物質交換が起こることに加え、転写工程において現像膜(A)と現像膜(B)との間でさらなる物質交換が進むことに起因して、すなわち接着機能を有しガラス転移温度の低いアルカリ可溶性樹脂(A)と、接着機能を有さずガラス転移温度の高いアルカリ可溶性樹脂(B)とが、互いに混ざり合ってしまうことで、現像膜(A)のパターン潰れが発生することを明らかとした。そこで、本発明者らは鋭意検討を行なった結果、アルカリ可溶性樹脂(A)とアルカリ可溶性樹脂(B)とのガラス転移温度に差を設けるための方法として、酸価の差を利用することが両層の物質交換の抑制に極めて有効であること、さらにパターン潰れの回避と一括現像性の維持が両立可能となる特定の範囲を見出すことができ、本発明を完成させるに至った。
本発明者らは鋭意検討の結果、支持体上に二層を順に積層形成した転写フィルムにおいて、両層が特定範囲の割合で含有するそれぞれの樹脂の酸価に特定範囲の差をもたせ、支持体側に位置する層に含有する樹脂の酸価を高くすることが、上記課題の解決に極めて有効であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、支持体の表面に、層(A)と、層(B)と、をこの順に有する転写フィルムであって、
前記層(A)と前記層(B)とが、それぞれ着色材を含有し、前記着色材を除く全固形分に対して、前記層(A)がアルカリ可溶性樹脂(A)を、前記層(B)がアルカリ可溶性樹脂(B)を、それぞれ20重量%以上の割合で含有し、前記アルカリ可溶性樹脂(A)の酸価a(mgKOH/g)と、前記アルカリ可溶性樹脂(B)の酸価b(mgKOH/g)とが、
400 ≧ a − b ≧ 100
の関係を満たすことを特徴とする、転写フィルムを提供する。
本発明の転写フィルムによれば、積層パターンの積層界面における混色が極めて軽微で、パターン潰れが無く、直線性の高い積層パターンを両層一括して得ることが可能となる。
本発明の転写フィルムの断面を示す概略図である。 支持体上に形成した積層現像膜の断面を示す概略図である。 実施例1で得た積層基材1の断面を示す概略図である。 実施例1で得た積層基材1を断面から観た場合と、基材側から観た場合との関係を示す概略図である。 実施例1で得た積層基材1を硬化膜(A)側から観た場合を示す概略図である。 比較例1で得た積層基材23の断面を示す概略図である。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の転写フィルムを用いた積層基材の製造方法における特定の工程での膜を表す際に末尾に記載する(A)、(B)とは、一貫してそれぞれ層(A)、層(B)を由来とする膜であることを意味する。また、「硬化膜(A)と硬化膜(B)とから成る積層硬化膜」とは、転写工程以降の工程における積層パターンのことを示す総称として用いており、具体的には、「転写膜(A)と転写膜(B)とから成る積層転写膜」及び「熱硬化膜(A)と熱硬化膜(B)とから成る積層熱硬化膜」のことを示す。
本発明の転写フィルムは、支持体の表面に、層(A)と、層(B)と、をこの順に有する転写フィルムであって、層(A)と層(B)とが、それぞれ着色材を含有し、着色材を除く全固形分に対して、層(A)がアルカリ可溶性樹脂(A)を、層(B)がアルカリ可溶性樹脂(B)を、それぞれ20重量%以上の割合で含有し、アルカリ可溶性樹脂(A)の酸価a(mgKOH/g)と、アルカリ可溶性樹脂(B)の酸価b(mgKOH/g)とが、
400 ≧ a − b ≧ 100
の関係を満たすことを特徴とする。
ここでいう酸価(mgKOH/g)とは、アルカリ可溶性樹脂1gを中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数を表し、JIS K0070に準拠して測定し、該酸価の値を四捨五入により正の整数の概数とすることで決定される。具体的には、アルカリ可溶性樹脂をエタノール/ジエチルエーテル=1/1(重量比)の混合溶媒に溶解し、さらに指示薬としてフェノールフタレインエタノール溶液を添加し、攪拌する。これを、0.1mol/Lの水酸化カリウム-エタノール溶液で滴定し、指示薬の薄い紅色が30秒間続いた時点を中和の終点とし、下記の計算式からアルカリ可溶性樹脂の酸価を求めることができる。上記混合溶媒での溶解が困難なアルカリ可溶性樹脂である場合は、溶媒の混合比率あるいは溶媒種を任意に変更して測定することもできる。
酸価(mgKOH/g)=[B×f×5.611]/S
B:0.1mol/Lの水酸化カリウム-エタノール溶液の使用量(ml)
f:0.1mol/L水酸化カリウム-エタノール溶液のファクター
S:アルカリ可溶性樹脂の重量(g)
本発明の転写フィルムを構成する支持体の表面には層(A)が、さらに層(A)の表面には、層(B)が形成されている。両層は、それぞれ支持体の表面全体をベタ状に覆うように形成されたものであっても印刷等で部分的に形成されたものであってもよく、特に柄模様は問わない。
支持体とは、その表面に層(A)及び層(B)を順に形成して積層する、板状又はシート状の部材をいう。転写フィルムを構成する支持体としては、例えば、離型フィルムが挙げられる。離型フィルムとは、ベースフィルムの表面に、密着性と離型性とを適度に制御するための離型層が形成されたフィルムをいう。
ベースフィルムとしては、寸法安定性の点から、大気圧下90〜130℃で30分間の加熱での延伸あるいは収縮による寸法変化率が、縦方向及び横方向ともに0.5%未満の耐熱性を有する二軸延伸フィルムが好ましく、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン等のフィルムが挙げられ、中でも工業的に入手が容易かつ安価なポリエチレンテレフタレート製のフィルムが好ましい。また離型層としては、例えば、架橋度が高く耐溶剤性に優れるメラミン系、メラミン−アクリル系、アクリル系、エポキシ系、シリコーン系等の樹脂からなる離型層が挙げられるが、塗布性と現像性の点で、メラミン系、メラミン−アクリル系、アクリル系が好ましい。また、層(A)及び層(B)への傷付き防止のため、低密度ポリエチレンフィルム等の保護カバー用フィルムを転写フィルムと重ねて共に巻き取り、ロール状の形態で搬送しても構わない。
本発明の転写フィルムを構成する層(A)及び層(B)を得る方法としては、層(A)の原料となる組成物(A)を支持体の表面に塗布し、乾燥により溶媒を除去して層(A)を得、次いで層(B)の原料となる組成物(B)を層(A)の表面に塗布し、乾燥により溶媒を除去し、層(B)を得る方法が挙げられる。塗布方法は、例えば、スクリーン印刷法、インクジェット法、スリットコート法、スピンコート法、グラビアコート法又はスプレーコート法等が挙げられるが、厚膜での部分塗布が容易で厚さの均一精度が高く、また高粘度での塗布により両層の混色をより効果的に回避できる点から、スクリーン印刷法が好ましい。塗布後、熱風オーブン又はIRオーブン等の加熱装置を用いる乾燥工程としては、80〜120℃で5〜30分間程度が一般的である。
組成物(A)を原料として形成される層(A)、組成物(B)を原料として形成される層(B)は、紫外線照射装置と、パターン状に遮光層が形成された露光マスクを用いて行なうパターン露光と、アルカリ現像液を用いた現像によるパターニング、すなわちフォトリソグラフィを可能とする上で、ネガ型あるいはポジ型の感光性であることが好ましく、パターン露光により露光部のアルカリ現像液に対する溶解性を低下させ、未露光部のみを溶解除去することでパターニングすることができる、ネガ型感光性であることが厚膜の形成に有利である点から、より好ましい。
本発明の転写フィルムは、アルカリ可溶性樹脂(A)の酸価a(mgKOH/g)と、アルカリ可溶性樹脂(B)の酸価b(mgKOH/g)とが、400 ≧ a − b ≧ 100の関係を満たす。ここで、アルカリ可溶性樹脂とは、酸価が30(mgKOH/g)以上、かつ重量平均分子量(Mw)が3000以上の樹脂のことを指す。
a − bが、この範囲にあることで、両層に十分な極性の差を与え、組成物(B)を層(A)の表面に塗布し、乾燥して溶媒を除去し、層(B)を得る際に、組成物(B)に含まれる溶媒分あるいはその他液状成分との接触により、層(A)の表面が再溶解しても、両層の混じり合いを緩和でき、組成物(A)由来の着色材が層(B)中に、組成物(B)由来の着色材が層(A)中に混入する、物質交換の現象を極めて軽微に抑えることができる。例えば、層(A)が含む着色材が黒色のみ、層(B)が含む着色材が白色のみであるなど両層の明度、すなわち可視光反射率の差が大きい場合、あるいは有彩色において青色と橙色の場合など両層の色相が互いにかけ離れている場合ほど、混色による意匠性への悪影響は大きく、本発明の効果がより大きなものとなる。
また、a − bが、この範囲にあることで、両層の一括現像性を好適に維持しつつ、層(B)由来の現像膜(B)の基材への密着性と、転写工程における層(A)由来の現像膜(A)のパターン潰れの回避とを両立することが可能となり、直線性の高い積層パターンを得ることができる。a − b のより好ましい範囲としては350 ≧ a − b ≧ 150であり、さらに好ましい範囲としては300 ≧ a − b ≧ 170である。
転写フィルムを用い、支持体上の層(A)と層(B)とを一括してパターン露光し、現像しパターニングすることで、支持体の表面に現像膜(A)と現像膜(B)とが順に積層した積層現像膜が得られ、次いで、支持体側又は支持体側と基材側の両面から、加熱と加圧とを同時に一定時間行なう、すなわち熱プレスすることで、現像膜(B)を基材の表面に結合させ、次いで支持体を剥離し、基材の表面に転写膜(B)と転写膜(A)とが順に積層した積層転写膜を形成できる。
本発明において、a − b ≧ 100の関係を満たすことで転写工程におけるパターン潰れを回避でき、一方で400 ≧ a − b の関係を満たすことで現像工程における一括現像性を維持できる。現像膜(A)のパターン潰れは、層(A)が含有する着色材の露光波長における光吸収性が高く、その含有濃度が高い場合ほど、あるいは層(A)及び/又は層(B)の厚さが厚い場合ほど、より顕著に発生する傾向があり、このような事象において、本発明の効果はより一層有用なものとなる。
層(A)及び層(B)は、それぞれ着色材を含み、着色材を除く全固形分に対して、層(A)がアルカリ可溶性樹脂(A)を、層(B)がアルカリ可溶性樹脂(B)を、それぞれ20重量%以上の割合で含有する。パターン潰れと一括現像性の観点から、好ましくは40重量%以上である。含有率が20重量%未満であると、本発明の効果が微弱なものとなってしまい、パターン潰れが発生する。一方で90重量%を超えると、後述するその他成分の含有率が相対的に少なくなり、一括現像性が悪化することがある。ここで、アルカリ可溶性樹脂(A)またはアルカリ可溶性樹脂(B)は、それぞれ単独のアルカリ可溶性樹脂であっても、二種以上のアルカリ可溶性樹脂を組み合わせて混合したものであってもよい。二種以上のアルカリ可溶性樹脂を組み合わせた場合には、その加重平均により酸価aまたは酸価bを決定することができる。
アルカリ可溶性樹脂(A)の酸価aは、200〜450(mgKOH/g)であることが好ましく、200〜300(mgKOH/g)であることがより好ましい。200(mgKOH/g)未満であると、転写工程において熱及び圧に対する膜強度の不足から、パターン潰れが起こる場合がある。450(mgKOH/g)を超えると、現像工程においてアルカリ現像液に対する溶解性が過大となり、パターン剥がれが起こる場合がある。
ここでいうパターン、すなわち積層現像膜は、その後の転写工程で支持体から剥離させるものではあるが、現像工程における剥がれの程度が、転写後のパターン直線性に影響するため、パターン剥がれは極力回避することが望ましい。
アルカリ可溶性樹脂(A)及びアルカリ可溶性樹脂(B)の樹脂種としては、アルカリ可溶性アクリル樹脂、アルカリ可溶性カルド樹脂、アルカリ可溶性ポリエステル、アルカリ可溶性シロキサン、アルカリ可溶性ポリアミド、アルカリ可溶性ポリイミド、アルカリ可溶性セルロース、アルカリ可溶性ポリウレタン、アルカリ可溶性マレイミド等が挙げられるが、パターン加工性、転写性、耐屈曲性の観点から、アルカリ可溶性アクリル樹脂であることが好ましい。
アルカリ可溶性アクリル樹脂とは、アルカリ可溶性基としてカルボキシル基及び/又は酸無水物基を有するアクリル樹脂のことをいい、メタクリル酸若しくはその誘導体及び/又はアクリル酸若しくはその誘導体を共重合して得られたポリマーが挙げられる。
アルカリ可溶性基を導入するための重合性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸無水物、イタコン酸、イタコン酸無水物、こはく酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)又はテトラヒドロフタル酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)が挙げられ、現像性の観点から、(メタ)アクリル酸を共重合成分として選択することが好ましい。本明細書中の(メタ)アクリルとは、メタクリル又はアクリルを表し、例えば、(メタ)アクリル酸とは、メタクリル酸又はアクリル酸のことをさす。
その他のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロプロピル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキセニル、(メタ)アクリル酸4−メトキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−シクロプロピルオキシカルボニルエチル、(メタ)アクリル酸2−シクロペンチルオキシカルボニルエチル、(メタ)アクリル酸2−シクロヘキシルオキシカルボニルエチル、(メタ)アクリル酸2−シクロヘキセニルオキシカルボニルエチル、(メタ)アクリル酸2−(4−メトキシシクロヘキシル)オキシカルボニルエチル、(メタ)アクリル酸ノルボルニル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸テトラシクロデカニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸アダマンチルメチル、(メタ)アクリル酸1−メチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、ブチルビニルエーテル、ブチルアリルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、シクロヘキサンビニルエーテル、シクロヘキサンアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−p−ビニルベンジルグリシジルエーテルが挙げられ、現像性と転写性の観点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル等の(メタ)アクリルモノマーを共重合成分として選択することが好ましく、また、層(A)及び層(B)を、スクリーン印刷法で形成する場合、印刷適性が向上できる点でスチレンを共重合成分として選択することが好ましい。また、ガラス転移温度を高く設定でき、転写工程におけるパターン潰れをより効果的に回避する上で、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル等の環状構造を有する(メタ)アクリルモノマーを共重合成分として選択することが好ましい。
共重合に用いる重合触媒としては、例えば、ラジカル重合開始剤があげられる。重合の条件は、例えば、溶媒中に(メタ)アクリルモノマー、その他の重合性モノマー及びラジカル重合触媒を添加し、バブリング又は減圧脱気等によって反応容器内を十分に窒素置換してから、60〜110℃で30〜300分反応させることで、アルカリ可溶性アクリル樹脂が得られる。ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物又は過酸化ベンゾイル等の有機過酸化物を用いることができる。
さらに、得られたアルカリ可溶性アクリル樹脂の側鎖に、ラジカル重合性基を有する有機基を導入することもできる。例えば、(メタ)アクリル酸とその他モノマーを共重合して得られたアルカリ可溶性アクリル樹脂のカルボキシル基に、グリシジル基とラジカル重合性基とを分子内に有する化合物を付加反応させる、あるいは(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルとその他モノマーを共重合して得られたアルカリ可溶性アクリル樹脂の水酸基に、ラジカル重合性基とイソシアネート基とを分子内に有する化合物を付加反応させる等の方法が挙げられるが、反応性とパターン潰れ回避の観点から、グリシジル基とラジカル重合性基とを分子内に有する化合物を付加反応させる方法がより好ましい。
グリシジル基とラジカル重合性基とを分子内に有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸α−エチルグリシジル、(メタ)アクリル酸α−n−プロピルグリシジル、(メタ)アクリル酸α−n−ブチルグリシジル、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等が挙げられる。カルボキシル基との反応性、一括現像性の観点から(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸α−エチルグリシジル、(メタ)アクリル酸α−n−プロピルグリシジル、(メタ)アクリル酸α−n−ブチルグリシジルが好ましい。
付加反応の条件は、例えば、溶媒中、アルカリ可溶性アクリル樹脂、グリシジル基とラジカル重合性基とを分子内に有する化合物、付加触媒を添加し、80〜130℃で30〜300分反応させることが好ましい。
付加反応に用いる付加触媒としては、例えば、ジメチルアニリン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジメチルベンジルアミン等のアミノ系触媒、2−エチルヘキサン酸スズ(II)、ラウリン酸ジブチルスズ等のスズ系触媒、2−エチルヘキサン酸チタン(IV)等のチタン系触媒、トリフェニルホスフィン等のリン系触媒、ナフテン酸リチウム等のリチウム系触媒、ナフテン酸ジルコニウム等のジルコニウム系触媒、ナフテン酸クロム、アセチルアセトネートクロム、塩化クロム等のクロム系触媒等が挙げられ、一括現像性の観点から、リン系触媒、ジルコニウム系触媒又はクロム系触媒の使用が好ましい。
アルカリ可溶性アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、塗布性と一括現像性を両立する上で、アルカリ可溶性樹脂(A)、アルカリ可溶性樹脂(B)ともに3000〜100000であることが好ましく、15000〜50000であることがより好ましい。ここで、重量平均分子量(Mw)とは、テトラヒドロフランをキャリヤーとするゲルパーミエーションクロマトグラフィーで分析し、標準ポリスチレンによる検量線を用いて換算した値である。
さらに、アルカリ可溶性樹脂(A)またはアルカリ可溶性樹脂(B)として用いられるアルカリ可溶性アクリル樹脂の構成成分とその比率に関して、それぞれ好ましい様態を以下に説明する。
層(A)が含有するアルカリ可溶性樹脂(A)としては、下記一般式(1)で表される、(メタ)アクリル酸由来の構造単位を40〜70mol%の割合で含み、かつ下記一般式(2)で表される構造単位の含有率が5mol%以下である、アルカリ可溶性アクリル樹脂を好ましく用いることができ、この範囲にあることで現像条件と転写条件のマージンを広く確保することができる。ここで、含有率が5mol%以下とは、具体的には0〜5mol%のことを示し、下記一般式(2)の構造単位は含まなくともよい。
(メタ)アクリル酸由来の構造単位が40mol%未満であると、パターン潰れが起こる場合があり、70mol%を超えると現像工程でパターン剥がれが発生する場合がある。
また、下記一般式(2)で表される構造単位の含有率が5mol%を超えると、アルカリ可溶性樹脂(A)の形状保持性能が損なわれ、転写工程においてパターン潰れが起こりやすくなる。現像剥がれを起こりづらくし、現像条件のマージンを広く確保する上では必要に応じて、上述の付加反応により下記一般式(2)中のXを、ラジカル重合性基を有し、環状構造を有さない炭素数8以下の有機基とし、5mol%以下の含有率で導入することができる。ラジカル重合性基としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニル基が好ましく、反応性と現像性の観点から、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。例えば、アルカリ可溶性アクリル樹脂の(メタ)アクリル酸由来の構造単位が有するカルボキシル基の一部にメタクリル酸グリシジルを付加反応させることでメタクリル基を導入することができ(その場合、Xの炭素数は8となる)、露光光による光硬化が可能な感光性基として用いることができ、特に現像工程において、現像液またはリンス工程でのシャワー圧が強い場合における現像マージンの確保に効果的である。一方で、炭素数が8を超える場合、柔軟性が過度に高まり、現像膜(A)のパターン潰れが起こりやすくなる。アルカリ可溶性樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、転写工程における熱プレス温度よりも高くなるように設定することが好ましい。
Figure 2017202631
(Rは、水素原子又はメチル基を表す。)
Figure 2017202631
(Rは、水素原子又はメチル基、Xは、ラジカル重合性基を有し、環状構造を有さない炭素数8以下の有機基を表す。)
また、一括現像性に優れ、パターン潰れをより好適に回避できる点で、アルカリ可溶性樹脂(A)が、下記式(3)で表される、メタクリル酸由来の構造単位を40〜70mol%の割合で含む、アルカリ可溶性アクリル樹脂であることが最も好ましい。
Figure 2017202631
アルカリ可溶性樹脂(B)としては、側鎖にラジカル重合性基を有するアルカリ可溶性アクリル樹脂を用いることが好ましく、例えば、上記一般式(2)で表される構造単位の含有率が10〜50mol%であるアルカリ可溶性アクリル樹脂を好ましく用いることができる。現像工程においてアルカリ現像液は層(B)側から当たることとなるため、10mol%以下であると、架橋密度の不足からパターンが過大に溶解したり、現像膜(B)の表面平滑性が現像液の染み込み過多により低下し、基材への転写性が悪化する場合がある。一方で50mol%を超えると、屈曲性が低下し積層現像膜を支持体ごと巻き取った際、膜にクラックが発生する場合がある。
また、アルカリ可溶性樹脂(B)の酸価は、アルカリ可溶性樹脂(A)の酸価a(mgKOH/g)と、アルカリ可溶性樹脂(B)の酸価b(mgKOH/g)とが、400 ≧ a − b ≧ 100の関係を満たすよう、適宜決定すればよい。アルカリ可溶性樹脂(B)のガラス転移温度(Tg)は、転写工程における熱プレス温度よりも低くなるように設定することが好ましい。
本発明の転写フィルムにおける層(A)及び層(B)は、さらに多官能モノマー、光重合開始剤、熱架橋剤を含有することが好ましい。
多官能モノマーとしては、反応性、溶解性又は二重結合当量等を適宜選択することが可能な、多官能の(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
多官能の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、
1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロドデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン−EO変性トリアクリレート(平均EO数=3)、トリメチロールプロパン−PO変性トリアクリレート(平均PO数=3)、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ及びペンタ(メタ)アクリレート混合物、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸−EO変性トリ及びジ(メタ)アクリレート(平均EO数=3)混合物、イソシアヌル酸−EO変性トリ(メタ)アクリレート(平均EO数=3)、イソシアヌル酸−EO変性ジ(メタ)アクリレート(平均EO数=3)、イソシアヌル酸−PO変性トリ及びジ(メタ)アクリレート(平均PO数=3)混合物、イソシアヌル酸−PO変性トリ(メタ)アクリレート(平均PO数=3)、イソシアヌル酸−PO変性ジ(メタ)アクリレート(平均PO数=3)が挙げられる。ここでEOはエチレンオキサイドを示し、POはプロピレンオキサイドを示す。
パターン露光において層(B)による光吸収及び/又は反射により露光光が一部遮蔽され到達露光量が少なくなってしまうことが前提となる層(A)には、僅かな露光光で光硬化させ現像工程でパターン剥がれを回避する必要があるため、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ及びペンタ(メタ)アクリレート混合物、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の、官能基数が4〜6である多官能モノマーを含有させることが好ましい。
一方、層(B)には、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が転写工程における熱プレス温度よりも高く、かつイソシアヌレート構造を有する多官能モノマーを用いることが好ましい。中でも、ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)が200℃以上である多官能モノマーが好ましく、イソシアヌル酸−EO変性トリ及びジ(メタ)アクリレート混合物、イソシアヌル酸−EO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸−EO変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸−PO変性トリ及びジ(メタ)アクリレート混合物、イソシアヌル酸−PO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸−PO変性ジ(メタ)アクリレートが挙げられる。これら多官能モノマーのうち少なくとも1種をハード成分として、転写工程における熱プレス温度よりも低いガラス転移温度(Tg)を有する樹脂(B)をソフト成分として、両成分を混合し層(B)に含有させれば、パターン露光工程において屈曲性を損なわない程度に層(B)側から適度な露光量で露光し両成分を必要十分に光架橋させることで、転写工程において基材への接着性と、現像膜(B)側のパターン潰れの回避を両立することができる。一方で、400 ≧ a − b ≧ 100の関係を満たさない場合、仮にこのような多官能モノマーを層(A)に含有させることは、必要十分に光架橋させることが困難なため、現像膜(A)側のパターン潰れの回避における有効な手段とはならない。
層(B)には、特に基材がガラス基板である場合、密着性を向上させるため、密着性改良剤を含有させても構わない。密着性改良剤としては、シランカップリング剤が好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基等の官能基を有するシランカップリング剤が挙げられるが、より具体的には、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、p−スリチルトリメトキシシランが挙げられる。
層(A)及び/又は層(B)は、連鎖移動剤を含有しても構わない。連鎖移動剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)イソシアヌレート、1、4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン等のチオール化合物が挙げられる。
光重合開始剤とは、光(紫外線及び電子線を含む)により分解又は反応し、ラジカルを発生させる化合物をいう。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、アシルホスフィンオキサイド系化合物、アセトフェノン系化合物、オキサントン系化合物、イミダゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物、オキシムエステル化合物、カルバゾール系化合物、トリアジン系化合物、リン系化合物又はチタネート等の無機系光重合開始剤が挙げられる。より具体的には、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン、イルガキュア(登録商標)369である2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン(BASF製)、イルガキュア(登録商標)379である2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(BASF製)、CGI−113である2−[4−メチルベンジル]−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン(BASF製)、t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、イルガキュア(登録商標)TPOである2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(BASF製)、イルガキュア(登録商標)819であるビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(BASF製)、イルガキュア(登録商標)OXE01である1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)](BASF製)、イルガキュア(登録商標)OXE02であるエタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、CGI−242であるエタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、4−(p−メトキシフェニル)−2,6−ジ−(トリクロロメチル)−s−トリアジン(BASF製)、カルバゾール系化合物であるアデカオプトマー(登録商標)N−1818、N−1919、アデカクルーズ(登録商標)NCI−831(以上、いずれもADEKA製)が挙げられる。
層(A)には、現像工程でのパターン剥がれを回避する必要があるため、高感度の光重合開始剤を好適に用いることができ、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等の、オキシムエステル系光重合開始剤を含有させることが好ましい。
層(B)には、明度あるいは色相への影響を軽微なものとする上で、黄味等の着色が少ない光重合開始剤を好適に用いることができ、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)−ホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤を含有させることが好ましい。
本発明の転写フィルムを用いてカバーガラス等を製造した場合、光学透明接着材等を由来とする層で全面が覆われることがなく、積層パターンの一部が、最終的に表示装置内部で露出したまま使用されることがあり、高温/高湿環境下における耐久性が必要となるため、層(A)及び層(B)にはそれぞれ熱架橋剤を含有させることが好ましい。
熱架橋剤としては、アルコキシメチル基及び/又はメチロール基を少なくとも2つ有する化合物を含有させることが好ましく、より具体的には、例えば、ニカラック(登録商標)MW−100LM、MX−270、MX−280、MX−290(三和ケミカル(株)製)、DML−PC(本州化学工業(株)製)が挙げられる。これら化合物と、アルカリ可溶性樹脂(A)及び/又はアルカリ可溶性樹脂(B)が有するアルカリ可溶性基とを熱で反応させ、膜中への水分浸透を抑え、高温/高湿環境下においても基材への密着性を維持でき、長期に渡る耐久性を向上させることができる。
Figure 2017202631
層(A)が含有する着色材としては顔料及び/又は染料を用いることができ、最終的に得られる積層硬化膜のうち、層(A)由来の硬化膜(A)側に要求される特性によって適宜決定すればよいが、例えば、硬化膜(A)が光学濃度の高い黒色遮光パターンである場合には、着色材の単位体積あたりの遮光性に優れることから顔料であることが好ましく、中でもカーボンブラック、窒化チタン、ペリレンブラックから選択される、少なくとも1種の黒色顔料を含有することが好ましい。中でも、工業的利用が容易かつ安価な点と、色味がニュートラルな点からカーボンブラックが好ましく、さらに分散性の観点から、顔料表面が酸性のカーボンブラックがより好ましい。ここで顔料表面の酸性度は、例えばカーボンブラック5重量部と純水95重量部との混合懸濁液のpHをpH測定機により測定することで評価できる。一方で、積層硬化膜の反射色度は、硬化膜(B)を介して硬化膜(A)の反射色度の影響を受けるため、層(A)に窒化チタンを用いれば赤味、ペリレンブラックを用いれば紫味の黒色遮光パターンを形成でき、後述の調色材とカーボンブラックとを混合して用いる場合とは異なる意匠表現が可能となる。
ここで光学濃度とは、可視光全域の光に対する遮光性を示すOD値(Optical Density)をいい、その値が大きいほど、遮光性が高いと解釈される。
黒色顔料の平均一次粒子径は、遮光性と分散性とのバランスから、10〜50nmが好ましい。ここで平均一次粒子径とは、画像解析式粒度分布測定装置を用いた粒度測定法により算出した、一次粒子径の数平均をいう。画像の撮影には、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いることができ、黒色顔料の一次粒子が100個以上撮影された画像から、平均一次粒子径を算出することができる。
黒色顔料の割合は、10〜50質量%が好ましく、20〜40質量%がより好ましい。黒色顔料の割合が10質量%未満であると、所望の光学濃度を得る際に層(A)を不要に厚膜化させる必要が生じ、パターン潰れが起こりやすくなる場合がある。一方で50質量%を超えると、層(A)を形成する際の原料である、組成物(A)の保存安定性が悪化し、顔料凝集物による塗布欠陥が発生する場合がある。
層(B)が含有する着色材としては、層(B)から得られる硬化膜(B)に要求される特性によって適宜決定すればよいが、例えば、硬化膜(B)が明度の高い白色加飾パターンである場合には、層(A)は、白色顔料を含有することが好ましい。ここで明度とは、標準光源D65、視野角2°(CIE1976)、大気圧下、20℃の測定条件下における、基材側からの入射光に対する全反射色(L*,a*,b*)のうち、明るさを示す座標であるL*のことをいう。L*の下限値は0、上限値は100であり、その値が大きいほど高明度であることを示す。例えば、層(A)が黒色顔料、層(B)が白色顔料を含有し、塗布工程及び/又は転写工程において両層の混色が顕著に起こるほど、明度は低下する傾向にある。
白色顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛又は鉛白が挙げられるが、可視光反射性に優れ、化学的安定性が高く、工業的利用が容易な、二酸化チタンが好ましい。二酸化チタンの結晶構造にはアナタース型、ルチル型及びブルッカイト型があるが、屈折率が高く、触媒活性の低い、ルチル型二酸化チタンが好ましい。中でも、製造工程由来の着色不純物が少なく白色度が高い、塩素法で製造された二酸化チタンがより好ましく、得られた層Bの白亜化や黄変を長期的に防ぐことができる、表面処理された二酸化チタンがさらに好ましい。二酸化チタンを表面処理するための表面処理材としては、金属酸化物又は金属酸化物の水和物が好ましく、アルミナにシリカ又はジルコニアを加えたものがより好ましく、耐光性に優れる、アルミナにシリカを加えたものがさらに好ましい。表面処理された二酸化チタンに占める表面処理材の割合は、可視光反射性を保持するため、10質量%以下が好ましい。
白色顔料として用いる二酸化チタンの平均一次粒子径は、0.2〜0.3μmが好ましい。二酸化チタンの平均一次粒子径は、黒色顔料の平均一次粒子径と同様に算出することができる。
層(B)の全固形分中に占める二酸化チタンの割合は、20〜80重量%であることが好ましく、40〜70重量%であることがより好ましい。二酸化チタンの割合が20重量%未満であると、得られた硬化膜(B)の明度が不十分となる場合がある。一方で、80質量%を超えると、一括現像性が悪化する場合がある。
また、層(A)及び層(B)には、最終的に得られる積層パターンの反射色度の調整のため、可視光領域の特定の波長領域に吸収を有する化合物である、赤、青、紫、緑等の調色材を含有しても構わない。
調色材としては、例えば、染料、有機顔料又は無機顔料が挙げられるが、耐光性に優れる、有機顔料又は無機顔料が好ましい。また調色材の平均一次粒子径は、1μm以下が好ましく、0.01〜0.3μmがより好ましい。調色材の平均一次粒子径は、黒色顔料の平均一次粒子径と同様に算出することができる。
層(A)及び層(B)は、含有する着色材が顔料である場合、その顔料種に適した分散剤を、必要に応じて含有しても構わない。分散剤は、組成物(A)及び組成物(B)の貯蔵安定性、塗布性を向上させ、層(A)及び層(B)の表面平滑性を高めることができる。分散剤としては、アミン系高分子分散剤が好ましく、例えば、DISPERBYK164,167,LP N6919、LP N21116、DISPER BYK142、145、2001、2010、2020、2025、9076(以上、いずれもビックケミー社製)、SOLSPERSE−11200、13650、20000、24000SC、24000GR、32000、32500、32550、326000、33000、34750、35100、35200、37500、39000、56000(以上、いずれもルーブリゾール社製)が挙げられ、その含有量は顔料の重量に対して1〜50重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。
本発明の転写フィルムをカバーガラス等の製造に用いる場合、層(A)と層(B)の光学濃度の和が3.0以上であることが好ましい。より好ましくは4.0以上である。光学濃度が3.0未満であると、画像表示部周辺の金属配線が使用者から視認されてしまう場合がある。
光学濃度は、X−Rite製X−Rite 361T(V)等の透過濃度計を用いて0.00〜6.00の値として測定することができ、転写フィルムの層(A)及び層(B)形成部の光学濃度から、支持体のみの光学濃度を差し引き、該光学濃度の値を四捨五入により小数点第一位までの概数にすることで、「層(A)と層(B)の光学濃度の和」が決定される。転写フィルムに支持体のみの部位が無ければ、適宜溶剤で層(A)及び層(B)を溶解除去して支持体を露出させて測定することもできる。
本発明の転写フィルムにおいて、層(A)の厚さは、層(A)から得られる硬化膜(A)をカバーガラス等における黒色遮光パターンとして用いる場合に、所望の光学濃度を得るに必要十分となるよう、層(A)が含有する着色材の遮光性及び顔料濃度に合わせて適宜決定すればよい。
一方、本発明の転写フィルムを用いて形成した積層基材において、層(B)に由来する白色加飾パターンとしては、入射光に対する反射色度(L*,a*,b*)が、それぞれ70.00≦L*≦99.00、−5.00≦b*≦5.00、−5.00≦a*≦5.00の範囲にあることが好ましく、特に明度においては80.0以上であればその意匠価値が高いものとなるため、より好ましい。このような反射色度を得るためには、層(B)の厚さは、10〜40μmであることが好ましく、15〜25μmであることがより好ましい。層(B)の厚さが10μm未満であると、十分な明度が得られない場合がある。一方で、40μmを超えると、一括現像性、一括転写性を損なう場合がある。反射色度は、白色校正板(CM−A145;コニカミノルタ(株)製)で校正した分光測色計(CM−2600d;コニカミノルタ(株)製)を用い、標準光源D65(色温度6504K)、視野角2°、大気圧下、20℃の測定条件下で、積層基材の積層パターン非形成面側から入射させた光に対する全反射色度(SCI)として測定することができる。
本発明の転写フィルムにおける、層(A)及び層(B)を形成するための原料である組成物(A)及び組成物(B)が含有する溶剤としては、アセテート類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、アルコール類等を用いることができ、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、テルピネオール、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、3−メトキシブタノール、メチルエチルケトン、アセト酢酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソプロピルアルコールが挙げられ、これら溶剤を単独あるいは二種類以上を組み合わせて用いることができる。層(A)及び層(B)を、スクリーン印刷法で形成する場合には、良好な印刷適性を得、かつ版乾きを抑制する上で、大気圧下の沸点が170〜260℃の遅乾性溶剤を選択して含有させ、粘度が5000〜50000cPの範囲となるように組成物(A)及び組成物(B)の設計固形分をそれぞれ適宜調整することが好ましい。また、本発明の転写フィルムにおいては、樹脂(A)と樹脂(B)の酸価の隔たりから、組成物(A)、組成物(B)それぞれに含有させる溶剤系を異なるものとしてもよく、貯蔵安定性に適した溶剤種を選択し、その混合比率を適宜調整することが好ましい。
本発明の転写フィルムにおける層(A)及び/又は層(B)の平滑性を高めるため、選択する支持体表面の極性/濡れ性に合わせて適当なレベリング剤を組成物(A)及び/又は組成物(B)に含有させても構わない。レベリング剤としては市販のものを用いることができ、例えば、BYK−302、BYK−333、BYK−350、BYK−392が挙げられる。
その他添加剤として、層(A)及び/又は層(B)には、積層基材の反射色度を長期に渡り維持させるため、必要に応じて市販の酸化防止剤や紫外線吸収剤を含有させ、耐光性を向上させても構わない。
次に、本発明の転写フィルムを用いた積層基材の製造方法に関して各工程ごとの詳細を説明する。
本発明の転写フィルムを用いれば、層(A)及び層(B)を一括して層(B)側からパターン露光して、露光膜(A)と露光膜(B)との積層露光膜を得る第一の露光工程と、積層露光膜を現像し現像膜(A)と現像膜(B)との積層現像膜を得る現像工程と、積層現像膜の現像膜(B)側の面と基材の表面とを結合させ、支持体を剥離し転写膜(A)と転写膜(B)との積層転写膜を得る転写工程と、を備える製造方法により、基材の表面に、硬化膜(A)と硬化膜(B)とを順に備える積層基材を簡便に得ることができる。
第一の露光工程は、層(A)及び層(B)を一括して層(B)側からパターン露光して、露光膜(A)と露光膜(B)との積層露光膜を、支持体の表面に得る工程である。
露光膜(A)とは、層(A)が露光された膜をいい、露光膜(B)とは、層(B)が露光された膜をいう。また、層(A)及び層(B)を一括してパターン露光とは、層(A)及び層(B)の両方に対して同時に露光光を照射することをいう。層(A)及び層(B)を一括してパターン露光し、さらに後述する、現像工程を行なうことにより、露光膜(A)に対して露光膜(B)のパターン位置がずれてしまうことがないため、複数回のパターン露光及び現像を行ない、一層ごと順にパターニングする場合と比べて、両層の位置精度が極めて高い積層パターンを、高い生産性で得ることができる。
パターン露光する方法としては、例えば、ステッパー、ミラープロジェクションマスクアライナー(MPA)、パラレルライトマスクアライナー(以下、「PLA」)による、マスクを介した露光光の照射が挙げられる。露光光の光源としては、例えば、i線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)等を含む紫外線が挙げられるが、i,h,g混合線の照射が可能な、高圧水銀紫外線ランプが好ましい。i線露光量換算での積算露光量(以下、単に「露光量」)は、10〜1000mJ/cmが好ましく、現像工程における露光部のパターン剥がれ防止のため、100〜800mJ/cmがより好ましい。
マスクとしては、例えば、ガラス、石英またはフィルム等の露光波長における透光性を有する基材の片側の表面に、クロム等の金属や黒色有機樹脂からなる遮光性薄膜がパターン状に成膜されたものを用いることができる。
現像工程は、積層露光膜を現像し、現像膜(A)と現像膜(B)との積層現像膜を、支持体の表面に得る工程である。
現像膜(A)とは、露光膜(A)を現像して得られたパターンをいい、現像膜(B)とは、露光膜(B)を現像して得られたパターンをいう。
現像する方法としては、例えば、現像液である有機アルカリ又は無機アルカリの水溶液に、シャワー、ディッピング、パドル等の方法で、10秒〜10分間浸漬する方法が挙げられる。層(A)及び層(B)がネガ型の感光性であった場合には、露光膜(A)及び露光膜(B)における露光部/未露光部の現像液に対する溶解性の差を利用して、未露光部のみを溶解させることでパターンを形成することができる。ここでいう露光部とは、第一の露光工程においてマスク開口部を介して露光光が照射された部位をいう。現像液としては、例えば、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(以下、「TMAH」)水溶液、4質量%コリン水溶液等の高濃度現像液、又は、0.4質量%TMAH水溶液、0.2質量%TMAH水溶液、0.045質量%水酸化カリウム水溶液(以下、「KOH」)、1質量%炭酸水素ナトリウム水溶液、0.2質量%炭酸水素ナトリウム水溶液、0.1質量%水酸化ナトリウム水溶液等の低濃度現像液が挙げられる。現像性は、現像液のシャワー吐出量、圧力、液温等の調整によって制御できるが、下地となる支持体の種類によっては現像残渣が顕著に起こる場合があり、界面活性剤が予め添加された現像液を用いて構わない。また、現像工程においては、現像後、純水への浸漬による洗浄処理及び/又はエアー噴射による水切り処理を加えても構わない。
第一の露光工程と、現像工程における搬送方法は、生産性が大幅に向上する、Roll to Roll方式であることが好ましい。Roll to Roll方式とは、枚葉式のように個別に切り離された支持体を用いるのではなく、ロール状に巻いた長尺の転写フィルムを巻き出しながら、一連の工程を連続的に行い、工程を経て支持体の表面に得られた積層露光膜又は積層現像膜を、再びロールに巻き取る搬送方法をいう。第一の露光工程後に一旦巻き取りを行なってもよく、第一の露光工程及び現像工程を経た後で巻き取りを行なってよい。
転写工程とは、積層現像膜の現像膜(B)側の面と基材の表面とを結合させ、支持体を剥離し転写膜(A)と転写膜(B)との積層転写膜を、基材の表面に得る工程である。
転写する方法としては、例えば、加圧と加熱とを同時に行なう、熱プレスが挙げられる。より具体的には、現像膜(B)の表面を、別途用意した基材の表面に接触させ、加圧及び加熱をすることで基材に現像膜(B)を結合させ、それと同時に現像膜(A)の支持体に対する密着性を低下させ、冷却後支持体を剥離する方法が挙げられる。熱プレスに用いる装置は、連続式又は枚葉式のいずれでも構わないが、気泡混入による歩留まり低下を回避するため、枚葉式の真空熱プレス機を用いることが好ましい。真空熱プレス機の方式は、上部熱板あるいは下部熱板のいずれかが上下に可動し支持体と、積層現像膜と、基材とを挟み込む、アップダウン方式が好ましい。また、面内に曲面部を有する基材の表面に積層転写膜を得たい場合、空気圧により基板にかかる圧力を面内均一にできる点で、ダイアフラム方式の真空熱プレス機を用いることが好ましい。
熱プレスを行なう際の構成としては、例えば、順に上部熱板、凹凸追従性を有するシート、支持体/現像膜(A)/現像膜(B)、基材、下部熱板の構成が挙げられる。基材が曲面部を有する基材である場合には、上部熱板と凹凸追従性を有するシートの間に大気を、基材と下部熱板の間に曲面形状の治具を設けても構わない。治具は熱伝導性の観点から、アルミや鉄等の金属製のものを好適に用いることができる。
このような構成においては、上部及び下部熱板を温度90〜150℃に保持し、圧力0.1〜1.0MPaで、5〜300秒間熱プレスをすることが好ましい。なお、凹凸追従性を有するシートとしては、例えば、シリコーン系耐熱樹脂シート又は内部空隙を有するスポンジ状耐熱ゴムシートが挙げられる。なお、転写工程を実施する場合においては、支持体が適度な凹凸追従性を有することが、局所的パターン欠損無く高解像度の積層転写膜を得る上で好ましく、その厚さは、30〜150μmが好ましい。面内に曲面部を有さない平面状基材の表面に積層転写膜を形成する場合には、熱ロール式ラミネーターを用いることもできる。
本発明の転写フィルムを用いて製造した積層基材を、カバーガラスとして用いる場合は、基材の材質としては、波長380〜800nmの可視光領域の光を透過する材質が好ましく、厚さ0.1mm当たりの全光線透過率(JIS K7361−1準拠)が80%以上である材質がより好ましく、屈折率が1.30〜2.10である材質がさらに好ましい。
そのような材質としては、例えば、ガラス、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド又はシクロオレフィン樹脂が挙げられるが、可視光領域の光の透過性の高いガラス、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート又はシクロオレフィンポリマーが好ましく、耐久性の高いガラスがより好ましい。ガラスとしては、例えば、アルカリガラス、無アルカリガラス、熱強化ガラス、化学強化ガラス、サファイアが挙げられるが、カバーガラス用の基材として広く用いられている、化学強化ガラスが好ましい。ここで化学強化ガラスとは、化学的な処理によってガラス表面のナトリウムイオンをカリウムイオンに置き換える等して、硬度等の機械的物性を向上させたガラスをいう。基板の厚さは、積層パターンの明度と、十分な強度とを両できる点で、0.4〜10.0mmが好ましく、0.5〜0.7mmがより好ましい。
本発明の転写フィルムを用いた積層基材の製造方法においては、さらに現像膜(A)側から露光する露光工程及び/又は転写膜(A)側から露光する露光工程を備えることが好ましい。
第一の露光工程とは逆側から再び露光光を照射することで、現像膜(A)及び/又は転写膜(A)の表層を必要十分に硬化させて、最終的に得られる硬化膜の耐溶剤性を向上させることができる。現像膜(B)及び/又は転写膜(B)側からの露光光の照射を避けることで、過度な光硬化を防ぎ、クラック発生を抑制することができる。本露光工程は、膜表層のみを光硬化させるものであり、十分な内部硬化が不可能であるため、現像膜(A)のパターン潰れの回避においては有効な解決手段とはならない。また、現像膜(A)側への過度な露光を行なえば、支持体の剥離性が悪化する原因となる。露光光の光源としては、第一の露光工程と同様のものが挙げられるが、第一の露光工程とは異なる光源を用いても構わない。現像工程の後に、支持体を介して現像膜(A)側から露光をしても、転写工程の後に、転写膜(A)側から露光をしても構わず、両工程で行なっても構わない。現像工程の後に、支持体を介して現像膜(A)側から露光をする場合には、Roll to Roll方式での搬送中に支持体の全面に露光光を照射することで、より生産性を高めても構わない。なお、その際は支持体が光散乱性粒子又は紫外線吸収剤等を含有せず、露光波長における光透過率が高いことが好ましい。露光量は、100〜1000mJ/cmが好ましく、100〜500mJ/cmがより好ましい。
本発明の転写フィルムを用いた積層基材の製造方法においては、さらに積層転写膜を加熱する、加熱工程を備えることが好ましい。加熱工程により積層転写膜を熱硬化させ、積層熱硬化膜とすれば、基材との密着性を向上でき、高温/高湿環境下での密着性の維持が可能となる。
加熱の方法としては、例えば、熱風オーブン又はIRオーブン等の加熱装置を用いて、130〜200℃で15〜90分間加熱する方法が挙げられる。
以下に本発明を、その実施例及び比較例を挙げて詳細に説明するが、本発明の態様はこれらに限定されるものではない。
(アルカリ可溶性樹脂1)
スチレン20.0mol%、メタクリル酸メチル33.0mol%、メタクリル酸47.0mol%をモノマー成分とする共重合体
(重量平均分子量27400、酸価280mgKOH/g、ガラス転移温度148℃)
(アルカリ可溶性樹脂2)
スチレン13.7mol%、メタクリル酸メチル13.7mol%、メタクリル酸72.6mol%をモノマー成分とする共重合体
(重量平均分子量26500、酸価450mgKOH/g、ガラス転移温度181℃)
(アルカリ可溶性樹脂3)
スチレン33.1mol%、メタクリル酸メチル32.4mol%、メタクリル酸34.5mol%をモノマー成分とする共重合体
(重量平均分子量26500、酸価450mgKOH/g、ガラス転移温度181℃)
(アルカリ可溶性樹脂4)
スチレン10.0mol%、メタクリル酸メチル10.0mol%、メタクリル酸イソボルニル10.0mol%、アクリル酸70mol%をモノマー成分とする共重合体
(重量平均分子量27600、酸価428mgKOH/g、ガラス転移温度121℃)
(アルカリ可溶性樹脂5)
スチレン7.0mol%、メタクリル酸メチル18.0mol%、メタクリル酸75.0mol%をモノマー成分とする共重合体のメタクリル酸由来のカルボキシル基に、メタクリル酸グリシジル5.0mol%を付加反応させた樹脂
(重量平均分子量27100、酸価405mgKOH/g、ガラス転移温度158℃)
(アルカリ可溶性樹脂6)
スチレン20.0mol%、メタクリル酸メチル35.0mol%、メタクリル酸45.0mol%をモノマー成分とする共重合体のメタクリル酸由来のカルボキシル基に、メタクリル酸グリシジル5.0mol%を付加反応させた樹脂
(重量平均分子量28700、酸価221mgKOH/g、ガラス転移温度126℃)
(アルカリ可溶性樹脂7)
スチレン11.0mol%、メタクリル酸メチル12.2mol%、メタクリル酸76.8mol%をモノマー成分とする共重合体
(重量平均分子量26100、酸価480mgKOH/g、ガラス転移温度187℃)
(アルカリ可溶性樹脂8)
スチレン25.8mol%、メタクリル酸メチル40.0mol%、メタクリル酸34.2mol%をモノマー成分とする共重合体
(重量平均分子量27400、酸価199mgKOH/g、ガラス転移温度134℃)
(アルカリ可溶性樹脂9)
スチレン19.0mol%、メタクリル酸メチル35.0mol%、メタクリル酸46.0mol%をモノマー成分とする共重合体のメタクリル酸由来のカルボキシル基に、メタクリル酸グリシジル6.0mol%を付加反応させた樹脂
(重量平均分子量27200、酸価218mgKOH/g、ガラス転移温度124℃)
(アルカリ可溶性樹脂10)
スチレン20.0mol%、メタクリル酸メチル20.0mol%、メタクリル酸イソボルニル40.0mol%、メタクリル酸20.0mol%をモノマー成分とする共重合体
(重量平均分子量29700、酸価193mgKOH/g、ガラス転移温度162℃)
(アルカリ可溶性樹脂11)
スチレン24.5mol%、メタクリル酸メチル24.5mol%、メタクリル酸51.0mol%をモノマー成分とする共重合体のメタクリル酸由来のカルボキシル基に、メタクリル酸グリシジル26.0mol%を付加反応させた樹脂
(重量平均分子量29600、酸価107mgKOH/g、ガラス転移温度81℃)
(アルカリ可溶性樹脂12)
スチレン20.7mol%、メタクリル酸メチル34.6mol%、メタクリル酸44.7mol%をモノマー成分とする共重合体のメタクリル酸由来のカルボキシル基に、メタクリル酸グリシジル26.0mol%を付加反応させた樹脂
(重量平均分子量29300、酸価80mgKOH/g、ガラス転移温度77℃)
(アルカリ可溶性樹脂13)
スチレン24.5mol%、メタクリル酸メチル24.5mol%、メタクリル酸51.0mol%をモノマー成分とする共重合体
(重量平均分子量27000、酸価305mgKOH/g、ガラス転移温度152℃)
(アルカリ可溶性樹脂14)
スチレン23.9mol%、メタクリル酸メチル24.0mol%、メタクリル酸23.9mol%をモノマー成分とする共重合体
(重量平均分子量29600、酸価100mgKOH/g、ガラス転移温度132℃)
(アルカリ可溶性樹脂15)
スチレン11.0mol%、メタクリル酸メチル11.0mol%、メタクリル酸78.0mol%をモノマー成分とする共重合体
(重量平均分子量26700、酸価488mgKOH/g、ガラス転移温度189℃)
(アルカリ可溶性樹脂16)
スチレン29.6mol%、メタクリル酸メチル31.1mol%、メタクリル酸39.3mol%をモノマー成分とする共重合体のメタクリル酸由来のカルボキシル基に、メタクリル酸グリシジル20.0mol%を付加反応させた樹脂
(重量平均分子量29800、酸価87mgKOH/g、ガラス転移温度84℃)
(アルカリ可溶性樹脂17)
スチレン31.0mol%、メタクリル酸メチル33.6mol%、メタクリル酸35.4mol%をモノマー成分とする共重合体
(重量平均分子量27300、酸価206mgKOH/g、ガラス転移温度135℃)
(調製例1;黒色組成物(A−1)の調製)
59.25gのアルカリ可溶性樹脂1、37.50gの黒色顔料(酸性カーボンブラック;MA−100;平均一次粒子径24nm;三菱化学(株)製)、3.75gのアミン系高分子分散剤(SOLSPERSE−20000;ルーブリゾール社製;以下「S−20000」)、30.00gの多官能モノマー(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート;表2中「DPHA」)、7.50gの光重合開始剤(N−1919;ADEKA製)、4.50gの連鎖移動剤(ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)MT−PE1;昭和電工製)、7.50gの熱架橋剤(MW−100LM;三和ケミカル(株)製))、150.00gの溶剤(ブチルカルビトールアセテート/γ−ブチロラクトン=重量比7/3の混合溶剤)を混合し、自転公転ミキサーで30分間予備撹拌/溶解処理した後、ロールミルを用いて顔料分散/混練処理を10パス行なって、固形分50重量%の黒色組成物(A−1)を得た。
調製に用いた原料のうち、溶剤を除く各原料の重量部を表2に示す。
(調製例2〜17;黒色組成物(A−2)〜(A−17)の調製)
表2に示す比率で、調製例1と同様にして固形分50重量%の黒色組成物を調製した。黒色組成物(A−12)では、黒色顔料(窒化チタン;平均一次粒子径22nm;TiN UFP;日清エンジニアリング(株)製)を、黒色組成物(A−13)では、黒色顔料(ペリレンブラック;平均一次粒子径50nm;Lumogen Black FK4281;BASF製;表中「FK4281」)を用いた。
(調製例18;白色組成物(B−1)の調製)
52.50gのアルカリ可溶性樹脂11、105.00gの白色顔料(塩素法ルチル型酸化チタン;平均一次粒子径0.3μm;アルミナ/シリカ被覆;R960;デュポン製)、31.50gの多官能モノマー(イソシアヌル酸−EO変性トリ及びジアクリレート混合物;M−315;東亞合成(株)製)、10.50gの光重合開始剤(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド;IRGACURE TPO;BASF製;表中「TPO」)、10.50gの熱架橋剤(MW−100LM;三和ケミカル(株)製))、90.00gの溶剤(ブチルカルビトールアセテート/γ−ブチロラクトン=重量比7/3の混合溶剤)を混合し、自転公転ミキサーで30分間予備撹拌/溶解処理した後、ロールミルを用いて顔料分散/混練処理を5パス行なって、固形分70重量%の白色組成物(B−1)を得た。
調製に用いた原料のうち、溶剤を除く各原料の重量部を表2に示す。
(調製例19〜26;白色組成物(B−2)〜(B−9)の調製)
表2に示す比率で、調製例18と同様にして固形分70重量%の白色組成物を調製した。
(実施例1)
支持体(メラミン系離型層付き二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム;“セラピール(登録商標)”;フィルム幅50cm、フィルム長さ100m、厚さ75μm;東レフィルム加工(株)製)の離型層が形成された面に、Roll to Roll式スクリーン印刷機とステンレス製のスクリーンメッシュを張った版とを用いて黒色組成物(A−1)を部分塗布し、熱風オーブンを用いて100℃で15分間加熱乾燥し、層(A)を形成した。これを15cm×15cmの個片状にサンプリングし、触針型段差計で層(A)の厚さを測定したところ、2μmであった。
層(A)の表面に、白色組成物(B−1)を塗布し、100℃で15分間加熱乾燥する作業を二回繰り返して、層(B)を形成し、転写フィルム1を得、これを巻き芯(直径3インチの円柱状ポリプロピレン製ロール)に20m巻き取った(図1に例示するような、支持体、層(A)、層(B)が順に積層された積層物が得られる)。
転写フィルム1の一部を、15cm×15cmの個片状にサンプリングし、層(A)と層(B)との厚さの和を触針型段差計で測定したところ、22μmであったため、層(A)の厚さを差し引き、層(B)の厚さは20μmであると評価された。一方で、転写フィルム1の断面を光学顕微鏡で観測し、両層が極僅かに混色し形成されたと考えられた中間層の中央部を層(A)と層(B)の界面と見なして両層の厚さを測定したところ、層(A)が2μm、層(B)が20μmであることが判り、両測定方法による測定結果が一致した。
また、透過濃度計(X−Rite361T(V);サカタインクスエンジニアリング(株)製)を用い、支持体及び転写フィルムの光学濃度をそれぞれ測定したところ、0.0、4.0であったため、転写フィルムの光学濃度から支持体の光学濃度を差し引くことで、層(A)と層(B)の光学濃度の和は、4.0であると評価された。なお、光学濃度の測定は、支持体の離型層形成面を、又は層(B)の表面を、透過濃度計の光照射部に押し当てて行なった。評価結果を表4に示す。
次いで、高圧水銀紫外線ランプを光源とするRoll to Roll式露光機を用い、マスクギャップ150μm、露光量500mJ/cm(i線換算)で、転写フィルム1において、層(A)及び層(B)を一括して、層(B)側からマスクを介してパターン露光して、露光膜(A−1)と露光膜(B−1)との積層露光膜を得た(第一の露光工程)。
露光膜(A−1)と露光膜(B−1)との積層露光膜を、Roll to Roll式自動現像装置を用いて0.045重量%水酸化カリウム水溶液で120秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間シャワーリンスし、さらにエアーブローをして、パターン状の現像膜(A−1)と同パターン状の現像膜(B−1)との積層現像膜1を得た。得られた積層現像膜はオーブンを用いて、60℃で10分間加熱乾燥し、これを巻き芯に巻き取った(現像工程;図2に例示するような、支持体、現像膜(A)、現像膜(B)が順に積層された積層物が得られる)。
下記(1)の方法に従い、積層現像膜1の評価を行なった。評価結果を表4に示す。
(1)積層現像膜のパターン剥がれ
光学顕微鏡を用いて、現像膜(B−1)側から積層現像膜1のパターン端部を倍率20倍で観察し、文字列状の抜きパターン部(A、B、C;幅2mm)を含むその面内100cm当たりの剥がれ発生箇所数を数え、以下の判定基準に基づいてパターン剥がれを評価した(A、B及びCが合格、D及びEが不合格)。
A : パターン剥がれが観られない
B : 1箇所でパターン剥がれが観られる
C : 2箇所でパターン剥がれが観られる
D : 3箇所以上でパターン剥がれが観られる
E : パターンが無く評価不能(現像工程で全て剥離または溶解)
支持体を個片状に裁断し、積層現像膜の現像膜(B−1)側の面を、1軸短辺方向に湾曲した曲面部を両端部にのみ有するカバーガラス用化学強化ガラス基板(短辺長さ80mm、長辺長さ150mm、曲面部凹側の曲率半径R=100mm、高さ5mm、厚さ0.8mm;DRAGON TRAIL;旭硝子(株)製)の凹側の表面に重なるようセッティングし、熱プレス装置(真空熱プレス機;常陽工学(株)製)を用いて、上部熱板(100℃)、凹凸追従性を有するシートである耐熱ゴムシート、支持体/積層現像膜(現像膜(A−1)/現像膜(B−1))、カバーガラス用化学強化ガラス基板、凹状アルミニウム製曲面治具、下部熱板(100℃)を上から順に載置する構成において、エアー加圧(0.2MPa)で、減圧下(150Pa)で30秒間熱プレスをして、化学強化ガラス基板の表面に積層現像膜の現像膜(B−1)側の面を結合させて、大気圧下に戻して熱プレス装置から取り出し、自然冷却により基板表面温度が20℃以下になったことを非接触表面温度計で確認した後、支持体を剥離し、転写膜(A−1)と転写膜(B−1)との積層転写膜1を得た(転写工程)。
高圧水銀紫外線ランプを光源とするPLAを用い、露光量500mJ/cm(i線換算)で、転写膜(A−1)側から全面照射を行なった。(再露光工程)
カバーガラス用化学強化ガラス基板の表面に形成した積層転写膜1は熱風オーブンを用いて、空気中180℃で20分間加熱して、パターン状の熱硬化膜(A−1)と同パターン状の熱硬化膜(B−1)とから成る積層熱硬化膜1を得、これを基材の表面に備える、積層基材1を得た(加熱工程;図3、図4及び図5に例示するような、基材、硬化膜(A)、硬化膜(B)が順に積層された積層物が得られる)。
下記(2)及び(3)の方法に従い、積層熱硬化膜1のパターン潰れ、耐溶剤性を評価した。評価結果を表4に示す。
(2)積層熱硬化膜1のパターン潰れ
光学顕微鏡を用いて、カバーガラス用化学強化ガラス基板側からパターン端部を倍率50倍で観察し、文字列状の抜きパターン部(A、B、C;幅2mm)を含むその面内100cm当たりのパターン潰れを、以下の判定基準に基づいて評価した(A、B及びCが合格、D及びEが不合格)。
基材側に位置する白色パターンである熱硬化膜(B−1)の端部から黒色パターンである熱硬化膜(A−1)がはみ出した状態にあり、それが同時に視認される部位を「パターン潰れ」と判定し、パターン剥がれ発生箇所を除く面内全てのパターン潰れ発生箇所において熱硬化膜(B−1)の端部から熱硬化膜(A−1)の端部までの幅(W)を1箇所ごと測定し、その最大幅が小さい場合ほど優位であると評価した。なお、上述の「(1)積層現像膜のパターン剥がれ」の評価において用いた積層現像膜1に関して別途の評価を行ない、転写工程前であるにも関わらず現像膜(B−1)側から光学顕微鏡で観察して現像膜(B−1)の端部で現像膜(A−1)が同時に視認された場合には、本パターン潰れの評価対象から除外することとした。
A : パターン潰れが観られない
B : 幅1μm以上、3μm未満のパターン潰れが観られる
C : 幅3μm以上、10μm未満のパターン潰れが観られる
D : 幅10μm以上、20μm未満のパターン潰れが観られる
E : 幅20μm以上のパターン潰れが観られる
(3)積層熱硬化膜の耐溶剤性
試験用溶剤(イソプロピルアルコール)を十分に染み込ませた綿製の白布(カナキン3号)を摩擦子として、積層熱硬化膜の熱硬化膜(A−1)側の表面に接触するよう重ねて、学振型ラビングテスターを用いて、一定荷重条件下(300g/cm)でラビング試験(10回往復)を行なった後、白布への黒色付着の有無を観察し、以下の判定基準に基づいて耐溶剤性を評価した。
○ : 黒色付着が観られない
× : 黒色付着が観られる
下記(4)の方法に従い、積層基材1の明度を評価した。評価結果を表4に示す。
(4)積層基材1の明度(L*)
白色校正板(CM−A145;コニカミノルタ(株)製)で校正した分光測色計(CM−2600d;コニカミノルタ(株)製)を用いて、標準光源D65(色温度6504K)、視野角2°、大気圧下、20℃の測定条件下で基板側からの入射光に対する全反射色度(SCI、L*a*b*)を測定し、積層基材の明度(L*)を評価した。
なお測定は、分光測色計を逆さにして上向きに光を照射する状態にして、基材の、積層熱硬化膜が形成された面とは反対側の面を、分光測色計の光照射部に押し当てて行なった。層(A)及び層(B)の形成に用いた黒色組成物(A)及び白色組成物(B)に含有する着色材の含有率(重量%)がそれぞれ等しく、かつ層(A)及び層(B)の厚さがそれぞれ等しい場合には、混色による明度低下の課題に対する改善の度合いを比べることが可能となるため、実施例1〜13及び実施例18〜22の明度については比較例1の明度を基準として明度差を算出した。また、実施例16については比較例6と、実施例17については比較例7と比べて同様に明度差を算出した。
(実施例2)
層(A)の形成に黒色組成物(A−9)を、層(B)の形成に白色組成物(B−2)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム2、積層現像膜2、積層熱硬化膜2、積層基材2を得て、それらを評価した。評価結果を表4に示す。
(実施例3)
層(A)の形成に黒色組成物(A−3)を、層(B)の形成に白色組成物(B−4)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム3、積層現像膜3、積層熱硬化膜3、積層基材3を得て、それらを評価した。評価結果を表4に示す。
(実施例4)
層(A)の形成に黒色組成物(A−2)を、層(B)の形成に白色組成物(B−1)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム4、積層現像膜4、積層熱硬化膜4、積層基材4を得て、それらを評価した。評価結果を表4に示す。
(実施例5)
層(A)の形成に黒色組成物(A−6)を、層(B)の形成に白色組成物(B−1)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム5、積層現像膜5、積層熱硬化膜5、積層基材5を得て、それらを評価した。評価結果を表4に示す。
(実施例6)
層(A)の形成に黒色組成物(A−7)を、層(B)の形成に白色組成物(B−1)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム6、積層現像膜6、積層熱硬化膜6、積層基材6を得て、それらを評価した。評価結果を表4に示す。
(実施例7)
層(A)の形成に黒色組成物(A−8)を、層(B)の形成に白色組成物(B−1)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム7、積層現像膜7、積層熱硬化膜7、積層基材7を得て、それらを評価した。評価結果を表4に示す。
(実施例8)
層(A)の形成に黒色組成物(A−11)を、層(B)の形成に白色組成物(B−1)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム8、積層現像膜8、積層熱硬化膜8、積層基材8を得て、それらを評価した。評価結果を表4に示す。
(実施例9)
層(A)の形成に黒色組成物(A−4)を、層(B)の形成に白色組成物(B−1)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム9、積層現像膜9、積層熱硬化膜9、積層基材9を得て、それらを評価した。評価結果を表4に示す。
(実施例10)
層(A)の形成に黒色組成物(A−5)を、層(B)の形成に白色組成物(B−1)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム10、積層現像膜10、積層熱硬化膜10、積層基材10を得て、それらを評価した。評価結果を表4に示す。
(実施例11)
層(A)の形成に黒色組成物(A−10)を、層(B)の形成に白色組成物(B−2)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム11、積層現像膜11、積層熱硬化膜11、積層基材11を得て、それらを評価した。評価結果を表4に示す。
(実施例12)
層(A)の形成に黒色組成物(A−12)を、層(B)の形成に白色組成物(B−1)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム12、積層現像膜12、積層熱硬化膜12、積層基材12を得て、それらを評価した。評価結果を表4に示す。
(実施例13)
層(A)の形成に黒色組成物(A−13)を、層(B)の形成に白色組成物(B−1)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム13、積層現像膜13、積層熱硬化膜13、積層基材13を得て、それらを評価した。評価結果を表4に示す。
(実施例14)
層(A)の形成に黒色組成物(A−1)を、層(B)の形成に白色組成物(B−5)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム14、積層現像膜14、積層熱硬化膜14、積層基材14を得て、それらを評価した。評価結果を表4に示す。
(実施例15)
層(A)の形成に黒色組成物(A−1)を、層(B)の形成に白色組成物(B−6)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム15、積層現像膜15、積層熱硬化膜15、積層基材15を得て、それらを評価した。評価結果を表4に示す。
(実施例16)
白色組成物(B−1)を塗布し、100℃で15分間加熱乾燥する作業の回数を4回とし、層(B)の厚さを40μmとし、パターン露光における露光量を1000mJ/cm(第一の露光工程)とした以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム16、積層現像膜16、積層熱硬化膜16、積層基材16を得て、それらを評価した。評価結果を表4に示す。
(実施例17)
層(B)の厚さを10μmとした以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム17、積層現像膜17、積層熱硬化膜17、積層基材17を得て、それらを評価した。評価結果を表4に示す。
(実施例18)
層(A)の形成に黒色組成物(A−1)を、層(B)の形成に白色組成物(B−8)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム18、積層現像膜18、積層熱硬化膜18、積層基材18を得て、それらを評価した。評価結果を表4に示す。
(実施例19)
層(A)の形成に黒色組成物(A−1)を、層(B)の形成に白色組成物(B−9)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム19、積層現像膜19、積層熱硬化膜19、積層基材19を得て、それらを評価した。評価結果を表4に示す。
(実施例20)
現像工程後に現像膜(A−1)側から露光量500mJ/cmで露光を行い、転写工程後に転写膜(A−1)側からの露光を行なわなかった以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム20、積層現像膜20、積層熱硬化膜20、積層基材20を得て、それらを評価した。評価結果を表4に示す。
(実施例21)
転写工程後に転写膜(A−1)側からの露光を行なわなかった以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム21、積層現像膜21、積層熱硬化膜21、積層基材21を得て、それらを評価した。評価結果を表4に示す。
(実施例22)
現像工程後に現像膜(A−1)側から露光量250mJ/cmで露光を行い、転写工程後の転写膜(A−1)側からの露光を露光量250mJ/cmとした以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム22、積層現像膜22、積層熱硬化膜22、積層基材22を得て、それらを評価した。評価結果を表4に示す。
(比較例1)
層(A)の形成に黒色組成物(A−15)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム23、積層現像膜23、積層熱硬化膜23、積層基材23を得て、それらを評価した。評価結果を表4に示す。
(比較例2)
層(A)の形成に黒色組成物(A−15)を用い、層(A)の厚さを1μmとした以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム24、積層現像膜24、積層熱硬化膜24、積層基材24を得て、それらを評価した。評価結果を表4に示す。
(比較例3)
層(A)の形成に黒色組成物(A−14)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム25、積層現像膜25、積層熱硬化膜25、積層基材25を得て、それらを評価した。評価結果を表4に示す。
(比較例4)
層(A)の形成に黒色組成物(A−16)を、層(B)の形成に白色組成物(B−7)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム26を得て、それを評価した。評価結果を表4に示す。パターニング不能のため、転写工程以降の工程を行なうことはできなかった。
(比較例5)
層(A)の形成に黒色組成物(A−17)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム27、積層現像膜26、積層熱硬化膜26、積層基材26を得て、それらを評価した。評価結果を表4に示す。
(比較例6)
層(A)の形成に黒色組成物(A−15)を用いたことと、白色組成物(B−1)を塗布し、100℃で15分間加熱乾燥する作業の回数を4回とし、層(B)の厚さを40μmとし、パターン露光における露光量を1000mJ/cm(第一の露光工程)とした以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム28、積層現像膜27、積層熱硬化膜27、積層基材27を得て、それらを評価した。評価結果を表4に示す。
(比較例7)
層(A)の形成に黒色組成物(A−15)を用い、層(B)の厚さを10μmとした以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム29、積層現像膜28、積層熱硬化膜28、積層基材28を得て、それらを評価した。評価結果を表4に示す。
(比較例8)
層(A)の形成に黒色組成物(A−10)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム30、積層現像膜29、積層熱硬化膜29、積層基材29を得て、それらを評価した。評価結果を表4に示す。
(比較例9)
層(B)の形成に白色組成物(B−3)を用いた以外は、実施例1と同じ方法で転写フィルム31を得、それを評価した。評価結果を表4に示す。パターニング不能のため、転写工程以降の工程を行なうことはできなかった。
Figure 2017202631
Figure 2017202631
Figure 2017202631
Figure 2017202631
Figure 2017202631
Figure 2017202631
1・・・支持体
2・・・層(A)
3・・・層(B)
4・・・現像膜(A)
5・・・現像膜(B)
6・・・基材
7・・・硬化膜(B)
8・・・硬化膜(A)
本発明の転写フィルムは、加飾パターンが必要とされるカバーガラス、タッチパネル、表示装置等に好適に用いられる。

Claims (12)

  1. 支持体の表面に、層(A)と、層(B)と、をこの順に有する転写フィルムであって、
    前記層(A)と前記層(B)とが、それぞれ着色材を含有し、前記着色材を除く全固形分に対して、前記層(A)がアルカリ可溶性樹脂(A)を、前記層(B)がアルカリ可溶性樹脂(B)を、それぞれ20重量%以上の割合で含有し、
    前記アルカリ可溶性樹脂(A)の酸価a(mgKOH/g)と、前記アルカリ可溶性樹脂(B)の酸価b(mgKOH/g)とが、
    400 ≧ a − b ≧ 100
    の関係を満たすことを特徴とする、転写フィルム。
  2. 前記アルカリ可溶性樹脂(A)の酸価aが、200〜450(mgKOH/g)である、請求項1に記載の転写フィルム。
  3. 前記アルカリ可溶性樹脂(A)が、下記一般式(1)で表される、(メタ)アクリル酸由来の構造単位を40〜70mol%の割合で含み、かつ下記一般式(2)で表される構造単位の含有率が5mol%以下である、アルカリ可溶性アクリル樹脂である、請求項1または2に記載の転写フィルム。
    Figure 2017202631
    (Rは、水素原子又はメチル基を表す。)
    Figure 2017202631
    (Rは、水素原子又はメチル基、Xは、ラジカル重合性基を有し、環状構造を有さない炭素数8以下の有機基を表す。)
  4. 前記アルカリ可溶性樹脂(A)が、下記式(3)で表される、メタクリル酸由来の構造単位を40〜70mol%の割合で含む、アルカリ可溶性アクリル樹脂である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の転写フィルム。
    Figure 2017202631
  5. 前記層(A)における着色材が、カーボンブラック、窒化チタン、ペリレンブラックから選択される、少なくとも1種の黒色顔料を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の転写フィルム。
  6. 層(A)と層(B)の光学濃度の和が3.0以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の転写フィルム。
  7. 前記層(B)が二酸化チタンを全固形分に対して20〜80重量%の割合で含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の転写フィルム。
  8. 前記層(B)の厚さが10〜40μmである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の転写フィルム。
  9. 請求項1〜8いずれか一項に記載の転写フィルムの、前記層(A)及び前記層(B)が硬化した積層硬化膜を具備する、積層基材。
  10. 請求項1〜8いずれか一項に記載の転写フィルムの、前記層(A)及び前記層(B)が硬化した積層硬化膜を具備する、カバーガラス。
  11. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の転写フィルムを用い、前記層(A)及び前記層(B)を一括して前記層(B)側からパターン露光して、露光膜(A)と露光膜(B)との積層露光膜を得る第一の露光工程と、前記積層露光膜を現像し現像膜(A)と現像膜(B)との積層現像膜を得る現像工程と、前記積層現像膜の現像膜(B)側の面と基材の表面とを結合させ、前記支持体を剥離し転写膜(A)と転写膜(B)との積層転写膜を得る転写工程と、を備えることを特徴とする、積層基材の製造方法。
  12. さらに、前記現像膜(A)側から露光する露光工程及び/又は前記転写膜(A)側から露光する露光工程を備える、請求項11に記載の積層基材の製造方法。
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