JP2017198177A - 車両の駆動力制御システム - Google Patents

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尾関 久志
Hisashi Ozeki
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Abstract

【課題】無段階変速装置のベルトスリップを確実に抑制できると共に、エンジンの駆動力を増大させて走行性能を向上できること。【解決手段】駆動力を出力するエンジンと、駆動プーリと従動プーリに無端ベルトが巻き掛けられ、駆動プーリがエンジンからの駆動力を、回転数を無段階に変速させながら従動プーリへ伝達する無段階変速装置と、エンジン吸気系のスロットルバルブの開度を制御することでエンジンの駆動力を制御するエンジン制御装置と、を有する車両の駆動力制御システムにおいて、エンジン制御装置は、任意の時点における無段階変速装置の変速比に基づいて上限スロットルバルブ開度TVOmaxを決定し、乗員の操作による要求スロットルバルブ開度TVObtが上限スロットルバルブ開度TVOmaxを上回る場合には、この上限スロットルバルブ開度を目標スロットルバルブ開度TVOtとして設定してスロットルバルブの開度を制御するものである。【選択図】 図5

Description

本発明は、駆動プーリと従動プーリに無端ベルトが巻き掛けられて構成される無段階変速装置を経て、エンジンから出力される駆動力を車輪へ伝達する車両の駆動力制御システムに関する。
駆動プーリと従動プーリに無端ベルトが巻き掛けられて構成される無段階変速装置では、特許文献1に示すように、従動プーリ側において無端ベルトの側面を押圧する推力は、従動側スプリング及びトルクカムによって発生する。
特開2003−314671号公報
上述のような無段階変速装置が装備された車両においては、無段階変速装置の変速比が大きな領域で無端ベルトが従動プーリに対してスリップしないようにスリップ安全率を確保するため、無段階変速装置の変速比が小さな領域から大きな領域に亘って、エンジンから出力される駆動力を低下させるように調節することがある。この場合、変速比の小さな領域も含めた全領域においてエンジンの駆動力が低下することになり、車両の走行性能を十分に引き出せないという課題がある。
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、無段階変速装置の変速比が大きな領域でのベルトスリップを確実に抑制できると共に、変速比の小さな領域でエンジンから出力される駆動力を増大させて走行性能を向上できる車両の駆動力制御システムを提供することにある。
本発明に係る車両の駆動力制御システムは、車両に搭載されて駆動力を出力するエンジンと、駆動プーリと従動プーリに無端ベルトが巻き掛けられて構成され、前記駆動プーリが前記エンジンからの駆動力を、回転数を無段階に変速させながら前記従動プーリへ伝達する無段階変速装置と、エンジン吸気系のスロットルバルブの開度を制御することで、前記エンジンから出力される駆動力を制御するエンジン制御装置と、を有する車両の駆動力制御システムにおいて、前記エンジン制御装置は、任意の時点における少なくとも前記無段階変速装置の変速比に基づいて、前記スロットルバルブの開度の上限を規定する上限スロットルバルブ開度を決定し、乗員の操作による要求スロットルバルブ開度が前記上限スロットルバルブ開度を上回る場合には、この上限スロットルバルブ開度を目標スロットルバルブ開度として設定して、前記スロットルバルブの開度を前記目標スロットルバルブ開度に制御するよう構成されたことを特徴とするものである。
本発明によれば、乗員の操作による要求スロットルバルブ開度が、少なくとも無段階変速装置の変速比に基づいて決定された上限スロットルバルブ開度を上回る場合には、この上限スロットルバルブ開度を目標スロットルバルブ開度として、エンジン吸気系のスロットルバルブの開度が制御される。従って、例えば、無段階変速装置の変速比が大きな領域でスロットルバルブの開度が上限スロットルバルブ開度により制限される場合には、エンジンから出力される駆動力が低下して、無段階変速装置でのベルトスリップを確実に抑制できる。また、例えば、無段階変速装置の変速比が小さな領域でスロットルバルブの開度が上限スロットルバルブ開度により制限されず、要求スロットルバルブ開度に従う場合には、エンジンから出力される駆動力を増大させることが可能になるので、車両の走行性能を向上させることができる。
本発明に係る車両の駆動力制御システムにおける一実施形態が適用されたスクータ型自動二輪車を示す左側面図。 図1のパワーユニット及び伝達ユニットを示す左側面図。 図2のIII−III線に沿う断面図 図3のパワーユニットを拡大して示す拡大断面図。 図1のエンジン制御装置が実行するスロットルバルブの開度制御の一例を示すフローチャート。 図5の制御に用いられる第1のマップを示すグラフ。 図1のエンジン制御装置が実行するスロットルバルブの開度制御の他の例を示すフローチャート。 図7の制御に用いられる第2のマップを示すグラフ。
以下、本発明を実施するための実施形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係る車両の駆動力制御システムにおける一実施形態が適用されたスクータ型自動二輪車を示す左側面図である。また、図2は、図1のパワーユニット及び伝達ユニットを示す左側面図である。この実施形態において、前後、左右、上下の表現は、車両乗車時の乗員を基準にしたものである。
図1に示すように、このスクータ型自動二輪車1は車体フレーム2を有し、この車体フレーム2の前端にはヘッドパイプ3が設けられる。ヘッドパイプ3には、前輪4を回動自在に支持するフロントフォーク5やハンドルバー6等が設けられ、このハンドルバー6により前輪4が左右に回動自在に操舵される。
車体フレーム2の中央下部にはパワーユニット7が搭載される。また、パワーユニット7後部には伝達ユニット8が配置され、この伝達ユニット8の前部がパワーユニット7後部に枢着される。この伝達ユニット8はスイングアーム方式の後輪懸架装置を兼ねており、ショックアブソーバ9により車体に弾性的に且つ揺動可能に支持される。そして、伝達ユニット8の後端に駆動輪である後輪10が保持される。
後輪10の上方には図示しないヘルメットや荷物、工具等を収納可能な物品収納室11が設けられる。また、物品収納室11の上方には、この物品収納室11の蓋を兼ねた乗員着座用の運転シート12が開閉自在に設置される。さらに、運転シート12の前下部とパワーユニット7後上部との間には燃料タンク13が配置される。そして、車体フレーム2はその周囲を例えば合成樹脂成形品である車体カバー14により覆われる。
ヘッドパイプ3と運転シート12前部との間の車体フレーム2および車体カバー14は、下方に大きく略U字状に湾曲して車体の幅方向に延びる足通し空間を形成する。この足通し空間を形成する車体カバー14の底部の左右に、運転者が足を載せる低床のライダ用フットレストフロア15が形成される。また、この左右のライダ用フットレストフロア15の後方には、同乗者が足を載せるピリオンライダ用フットレストフロア16が形成される。
図2及び図3に示すように、パワーユニット7は、駆動力を出力するエンジン18と、クラッチ機構19及び減速ギア機構20を内装したエンジンケース21と、無段階変速装置22を内装した変速装置ケース23と、を有する。また、エンジン18は、クランクケース17と、このクランクケース17に略水平に配置されたシリンダアセンブリ24とを備えて構成される。エンジンケース21は、クランクケース17を含んでこのクランクケース17と一体に構成され、複数のエンジン取付部25により車体フレーム2に取り付けられる。これにより、エンジン18を含むパワーユニット7が自動二輪車1に搭載される。
図1〜図3に示すように、エンジン18は水冷式であって、前輪24とエンジン18との間の車体カバー14の内側に、エンジン冷却用の冷却水を冷却するラジエータ26が配置されている。また、このエンジン18は、クランクケース17内を車幅方向に延びる1本のクランク軸30を2個のピストン(不図示)が共有し、これらのピストンをそれぞれ収容するシリンダ(不図示)が左右に並設された並列2気筒エンジンである。
このエンジン18のシリンダアセンブリ24におけるシリンダヘッド27には、上部に吸気管39が接続される。この吸気管39に、スロットルバルブ40を内蔵したスロットルボディー41と図示しないエアクリーナが順次接続される。また、吸気管39には燃料インジェクタ42が設置される。これらの吸気管39、スロットルボディー41及び燃料インジェクタ42によりエンジン吸気系43が構成される。スロットルバルブ40の開度の調整により、エンジン18へ供給される吸気量(空気量)が決定される。この吸気に最適な量の燃料が燃料インジェクタ42から噴射されることで、エンジン18に燃料と空気の混合気が供給される。
また、シリンダヘッド27の下部には排気管28が接続される。この排気管28は、パワーユニット7の下部に導かれて後方へ延び、その下流端にマフラ29が接続される。これらの排気管28及びマフラ29によってエンジン排気系44が構成される。尚、マフラ29は、本実施形態においては車体の右側に配置されている。
エンジンケース21は、クランクケース17と共にダイキャスト製法等によって成形され、図3及び図4に示すように、前後に延びる車両の進行方向軸線31と平行な合せ面32によって、車両の幅方向に分割可能な左側エンジンケース21Lと右側エンジンケース21Rとにより構成される。
エンジンケース21と一体に成形されたクランクケース17にはクランク室33が形成され、このクランク室33内に上述したクランク軸30が、その両端が軸支されて配置される。また、左側エンジンケース21Lの外壁を挟んでクランク室33と反対側には、環状の壁部34が車幅方向外方に突設される。この壁部34がオルタネータカバー35に覆われることで、その内部にマグネット室36が形成される。クランク軸30の左端部はマグネット室36内に突出し、その突出端にオルタネータ(発電装置)46が、マグネット室36内に収容された状態で取り付けられる。
クランク室33内におけるクランク軸30の例えば左側にはプライマリドライブギア37が設けられる。このプライマリドライブギア37の後方に、クランク軸30と平行に配置されたカウンタ軸45が、エンジンケース21に軸支されている。このカウンタ軸45には、クランク軸30のプライマリドライブギア37に噛み合うプライマリドリブンギア47が設けられている。これらのプライマリドライブギア37とプライマリドリブンギア47とにより一次減速系が構成され、クランク軸30の回転がカウンタ軸45に一定の減速比で伝達される。
右側エンジンケース21Rには変速装置ケース23が設置され、その内部に無段階変速装置22が配置される。この無段階変速装置22は、駆動軸49に設けられた駆動プーリ48と、従動軸51に設けられた従動プーリ50と、駆動プーリ48及び従動プーリ50に巻き掛けられた無端ベルトとしてのVベルト52と、を有して構成される。
駆動軸49は、クランク軸30の後方で、カウンタ軸45と車幅方向に対向した位置に配置される。この駆動軸49は、カウンタ軸45と例えばスプライン結合されて、このカウンタ軸45と回転一体に設けられる。また、従動軸51は、駆動軸49の後方にこの駆動軸49と平行に配置される。
駆動プーリ48は、駆動軸49と一体に形成された駆動側固定フェイス48Aと、駆動軸49の軸方向に移動可能な駆動側可動フェイス48Bとにより構成される。駆動側可動フェイス48Bには、同軸上に、ベアリング66を介して変速ドリブンギア67が回転自在に配置されている。この変速ドリブンギア67は、共に図示しない電動モータにギアを介して噛み合い、この電動モータの回転により駆動軸49の軸方向に変位するよう構成される。
この変速ドリブンギア67の上述の変位に伴って駆動側可動フェイス48Bが同一方向に変位することで、駆動側固定フェイス48Aと駆動側可動フェイス48Bとの間隔が変動し、これらの駆動側固定フェイス48Aと駆動側可動フェイス48B、つまり駆動プーリ48に巻き掛けられるVベルト52の巻き掛け径が変化する。
従動プーリ50は、従動軸51と一体に形成された従動側固定フェイス50Aと、従動軸51の軸方向に移動可能な従動側可動フェイス50Bとにより構成される。また、この従動側可動フェイス50Bには、従動側固定フェイス50Aと反対側に、従動側可動フェイス50Bを従動側固定フェイス50A側へそれぞれ付勢し、押圧する従動側スプリング68とトルクカム69が配置されている。これらの従動側スプリング68及びトルクカム69により、従動側可動フェイス50Bを介してVベルト52の側面に推力が付与される。
駆動プーリ48からVベルト52を介して伝達される駆動力に応じて従動側可動フェイス50Bが従動側スプリング68及びトルクカム69に抗して変位することで、従動側固定フェイス50Aと従動側可動フェイス50Bとの間隔が変動して、これらの従動側固定フェイス50Aと従動側可動フェイス50B、つまり従動プーリ50に巻き掛けられるVベルト52の巻き掛け径が変化する。
無段階変速装置22では、上述のように駆動プーリ48と従動プーリ50との間でVベルト52の巻き掛け径が無段階に変化することで、クランク軸30からプライマリドライブギア37、プライマリドリブンギア47、カウンタ軸45及び駆動軸49を経て駆動プーリ48に伝達されたエンジン18の駆動力を従動プーリ50に伝達する際に、駆動プーリ48の回転数に対して従動プーリ50の回転数が無段階に変速される。
図3及び図4に示すように、エンジンケース21の後部に減速ギア室53が形成される。また、左側エンジンケース21Lの後部外側には環状の壁部54が車幅方向外方へ突設され、この壁部54がクラッチカバー55にて覆われることで、それらの内部にクラッチ室56が形成される。前記従動軸51の左端部は、クラッチ室56に向かって減速ギア室53内を延び、その突出端に内側クラッチ軸57Aが配置される。この内側クラッチ軸57Aの外側に外側クラッチ軸57Bが回転自在に遊嵌され、これらの内側クラッチ軸57Aと外側クラッチ軸57Bとの間にクラッチ機構19が、クラッチ室56内に収容された状態で配置される。
また、減速ギア室53内には出力軸58が、従動軸51と平行に配置される。これらの従動軸51と出力軸58は、外側クラッチ軸57Bに設けられた出力ギア59と、複数(例えば2個)の減速ギア60A及び60Bを備えた減速ギアトレーン60と、出力軸58に設けられた入力ギア61とを介して連結される。上述の出力ギア59、減速ギアトレーン60及び入力ギア61は減速ギア機構20を構成し、減速ギア室53内に収容される。
従って、無段階変速装置22により変速され且つクラッチ機構19により断続されたエンジン18の駆動力が、減速ギア機構20により減速されて出力軸58に伝達される。この出力軸58に伝達されたエンジン18の駆動力は、伝達ユニット8内に収容された定速ギアトレーン63を構成する複数個の伝達ギア64を介して後輪10のアクセル軸65に伝達される。
ところで、図1に示すように、ハンドルバー6の右端部にはスロットルグリップ71が配置され、このスロットルグリップ71が乗員である運転者により操作されることで、エンジン制御装置70は、スロットルグリップ71の操作量から運転者が要求するスロットルバルブ40の開度、即ち要求スロットルバルブ開度を算出する。尚、エンジン制御装置70は、例えば自動二輪車1におけるヘッドパイプ3近傍のフロントボックス内に設置されている。
図3及び図4に示すように、エンジン18のクランク軸30の回転数、即ちエンジン回転数は、本実施形態では左側エンジンケース21L(クランクケース17部分)に設置されたクランクポジションセンサ72により測定され、この測定値がエンジン制御装置70に送信される。クランク軸30にプライマリドライブギア37及びプライマリドリブンギア47を介して一定の減速比で連結されたカウンタ軸45の回転数、即ち駆動軸49及び駆動プーリ48の回転数は、クランクポジションセンサ72からの測定値に基づいてエンジン制御装置70により算出される。また、従動軸51及び従動プーリ50の回転数は、本実施形態では右側エンジンケース21Rに設置された従動プーリ回転センサ73により測定され、この測定値がエンジン制御装置70に送信される。
エンジン制御装置70は、上述のようにして取得した駆動プーリ48の回転数と従動プーリ50の回転数とから無段階変速装置22の変速比を算出する。更に、エンジン制御装置70は、無段階変速装置22の変速比に基づいて、または無段階変速装置22の変速比及びエンジン回転数に基づいて、エンジン吸気系43のスロットルバルブ40の開度を制御することで、エンジン18から出力される駆動力を制御する。
つまり、エンジン制御装置70は、任意の時点における無段階変速装置22の変速比に基づいて、または任意の時点における無段階変速装置22の変速比及び同時点におけるエンジン回転数に基づいて、スロットルバルブ40の開度の上限を規定する上限スロットルバルブ開度を決定する。そして、エンジン制御装置70は、運転者の操作による要求スロットルバルブ開度が上限スロットルバルブ開度を上回る場合には、この上限スロットルバルブ開度を目標スロットルバルブ開度として設定して、エンジン吸気系43のスロットルバルブ40の開度を目標スロットルバルブ開度に制御して、エンジン18の駆動力を制御する。以下、無段階変速装置22の変速比に基づくスロットルバルブ40の開度制御と、無段階変速装置22の変速比及びエンジン回転数に基づくスロットルバルブ40の開度制御とを、それぞれ詳説する。
[A]無段階変速装置22の変速比に基づくスロットルバルブ40の開度制御
エンジン制御装置70は、図5に示すように、スロットルグリップ71の操作量から、運転者が要求した任意の時点におけるスロットルバルブ開度TVObtを算出する。(S1)。次に、エンジン制御装置70は、無段階変速装置22の変速比と上限スロットルバルブ開度との関係が予め設定された第1のマップM(図6)を参照して、スロットルグリップ71が操作された任意の時点における無段階変速装置22の変速比に基づいて、上限スロットルバルブ開度TVOmaxを決定する(S2)。
ここで、無段階変速装置22の従動プーリ50とVベルト52との間では、エンジン18の駆動力によりVベルト52に作用する接線方向の力が大きくなると、このVベルト52が従動プーリ50に対してスリップし易くなる。図6に示す第1のマップMは、Vベルト52に作用する接線方向の力がスリップを発生しない程度となる最大の駆動力を無段階変速装置22の各変速比において算出し、エンジン18がその駆動力を出力するためのスロットルバルブ40の開度を、上限スロットルバルブ開度として算出して得られたものである。
この第1のマップMでは、無段階変速装置22における変速比の所定値α0は、上限スロットルバルブ開度の値が、操作可能な最大のスロットルバルブ開度(概ね100%)となる場合の無段階変速装置22の変速比である。無段階変速装置22の変速比が所定値α0よりも小さな領域では、上限スロットルバルブ開度は、操作可能な最大のスロットルバルブ開度(概ね100%)と略同等に設定される。また、無段階変速装置22の変速比が所定値α0よりも大きな領域では、上限スロットルバルブ開度は、操作可能な最大のスロットルバルブ開度(概ね100%)に対して小さくなるように設定される。
図5に示すように、次に、エンジン制御装置70は、ステップS1で算出した要求スロットルバルブ開度TVObtと、ステップS2で決定した上限スロットルバルブ開度TVOmaxとを比較する(S3)。そして、エンジン制御装置70は、要求スロットルバルブ開度TVObtが上限スロットルバルブ開度TVOmaxよりも小さいときには(TVObt<TVOmax)、要求スロットルバルブ開度TVObtを目標スロットルバルブ開度TVOtとして設定する(S4)。
また、エンジン制御装置70は、要求スロットルバルブ開度TVObtが上限スロットルバルブ開度TVOmaxよりも小さくない、つまり要求スロットルバルブ開度TVObtが上限スロットルバルブ開度TVOmaxよりも大きいか等しいときには(TVObt≧TVOmax)、上限スロットルバルブ開度TVOmaxを目標スロットルバルブ開度TVOtとして設定する(S5)。
従って、この無段階変速装置22の変速比に基づくスロットルバルブ40の開度制御によれば、次の効果(1)及び(2)を奏する。
(1)無段階変速装置22の変速比が所定値α0のよりも大きな領域では、無段階変速装置22の従動プーリ50に巻き掛けられるVベルト52のベルト巻き掛け径が大きくなって、エンジン18の駆動力によりVベルト52に作用する接線方向の力が大きくなる。しかしながら、この変速比が大きな領域では、上限スロットルバルブ開度が、操作可能な最大のスロットルバルブ開度よりも小さく設定されているので、エンジン吸気系40のスロットルバルブ40の開度が上記上限スロットルバルブ開度により制限されることになる。この結果、エンジン18から出力される駆動力自体が低下することで、無段階変速装置22のVベルト52に作用する接線方向の力も低下して、このVベルト52のスリップを確実に抑制できる。
(2)無段階変速装置22の変速比が所定値α0よりも小さな領域では、上限スロットルバルブ開度が、操作可能な最大のスロットルバルブ開度(概ね100%)に設定されているので、エンジン吸気系43のスロットルバルブ40の開度が上限スロットルバルブ開度によって制限されず、要求スロットルバルブ開度に従うことになる。従って、この変速比の小さな領域においてエンジン18から出力される駆動力を増大させることが可能になるので、自動二輪車1の走行性能を向上させることができる。
[B]無段階変速装置22の変速比及びエンジン回転数によるスロットルバルブ40の開度制御
エンジン制御装置70は、図7に示すように、スロットルグリップ71の操作量から、運転者が要求した任意の時点における要求スロットルバルブ開度TVObtを算出する(S11)。次に、エンジン制御装置70は、エンジン回転数のそれぞれについて無段階変速装置22の変速比と上限スロットルバルブ開度との関係が予め設定された第2のマップN(図8)を参照して、スロットルグリップ71が操作された任意の時点における無段階変速装置22の変速比と同時点におけるエンジン回転数とに基づいて、上限スロットルバルブ開度TVOmaxを決定する(S12)。
ここで、図8に示す第2のマップNは、従動プーリ50に巻き掛けられたVベルト52に作用する接線方向の力がスリップを発生しない程度となる最大の駆動力を無段階変速装置22の各変速比において算出し、エンジン18がこの駆動力を出力するためのスロットルバルブ40の開度を、エンジン回転数のそれぞれについて算出して上限スロットルバルブ開度とすることで得られたものである。この第2のマップNにおける曲線Aは、エンジン回転数が最も高い場合の上限スロットルバルブ開度を示し、曲線B、Cは、エンジン回転数が曲線Aの場合よりも順次低くなった場合の上限スロットルバルブ開度を示し、曲線Dは、エンジン回転数が最も低い場合の上限スロットルバルブ開度を示す。
また、この第2のマップNでは、無段階変速装置22の変速比の閾値α1、α2、α3、α4は、エンジン回転数のそれぞれ(曲線A、B、C、Bに対応)について、上限スロットルバルブ開度の値が、操作可能な最大のスロットルバルブ開度(概ね100%)となる場合の変速比である。この第2のマップNにおいても、無段階変速装置22の変速比が閾値α1、α2、α3、α4よりも小さな領域では、曲線A、B、C、Dでそれぞれ示す上限スロットルバルブ開度は、操作可能な最大のスロットルバルブ開度(概ね100%)と略同等に設定される。また、無段階変速装置22の変速比が閾値α1、α2、α3、α4よりも大きな領域では、曲線A、B、C、Dのそれぞれで示す上限スロットルバルブ開度は、操作可能な最大のスロットルバルブ開度(概ね100%)に対して小さくなるように設定される。
更に第2のマップNでは、無段階変速装置22の変速比の増大に伴って上限スロットルバルブ開度が操作可能な最大のスロットルバルブ開度(概ね100%)から低下し始めるときの変速比の閾値α1、α2、α3、α4が、エンジン回転数の上昇に従って順次小さくなる値(α1<α2<α3<α4)に設定される。つまり、エンジン回転数が上昇する程、より広い変速比の領域で、上限スロットルバルブ開度が最大のスロットルバルブ開度(概ね100%)に対して小さくなるように設定される。
また、この第2のマップNでは、無段階変速装置22の変速比が閾値α1、α2、α3、α4よりも大きな領域において、上限スロットルバルブ開度の値がエンジン回転数の上昇に従って低く設定される。例えば、エンジン回転数が高回転になるほど、上限スロットルバルブ開度の値は漸次低下するよう設定される。
図7に示すように、次に、エンジン制御装置70は、ステップS11で算出した要求スロットルバルブ開度TVObtと、ステップS12で決定した上限スロットルバルブ開度TVOmaxとを比較する(S13)。そして、エンジン制御装置70は、要求スロットルバルブ開度TVObtが上限スロットルバルブ開度TVOmaxよりも小さいときには(TVObt<TVOmax)、要求スロットルバルブ開度TVObtを目標スロットルバルブ開度TVOtとして設定する(S14)。
また、エンジン制御装置70は、要求スロットルバルブ開度TVObtが上限スロットルバルブ開度TVOmaxよりも小さくない、つまり要求スロットルバルブ開度TVObtが上限スロットルバルブ開度TVOmaxよりも大きいか等しいときには(TVObt≧TVOmax)、上限スロットルバルブ開度TVOmaxを目標スロットルバルブ開度TVOtとして設定する(S15)。
従って、上述の無段階変速装置22の変速比及びエンジン回転数に基づくスロットルバルブ40の開度制御によれば、前述の効果(1)及び(2)と同様な効果を奏するほか、次の効果(3)及び(4)を奏する。
(3)上限スロットルバルブ開度を設定する第2のマップNでは、エンジン回転数が上昇するほど、無段階変速装置22のより広い変速比の領域で、上限スロットルバルブ開度が最大のスロットルバルブ開度(概ね100%)に対して小さくなるよう設定されている。このため、エンジン18の高回転域においては、無段階変速装置22のVベルト52のスリップをより確実に抑制することができる。
また、エンジン18の低回転域では、高回転域の場合に比べて、上限スロットルバルブ開度が最大のスロットルバルブ開度(概ね100%)よりも小さくなる上限スロットルバルブ開度の制限幅(制限領域)が狭くなる。このため、エンジン18の低回転域では、Vベルト52のスリップが発生しない範囲でエンジン18の回転数を上昇させて、このエンジン18から出力される駆動力を増大させることができ、自動二輪車1の走行性能を向上させることができる。
(4)無段階変速装置22の変速比が閾値α1、α2、α3、α4よりも大きな領域において、上限スロットルバルブ開度がエンジン回転数の上昇に従って漸次低く設定されたので、特にエンジン18の高回転域でエンジン18の駆動力を低く抑えることで、無段階変速装置22のVベルト52のスリップを効果的に抑制できる。また、エンジン18の低回転域では、高回転域に比べて上限スロットルバルブ開度が高く設定されるので、例えば高回転域と同等の駆動力(駆動力)を得るようにすることで、無段階変速装置22のVベルト52のスリップを回避しつつエンジン18の駆動力を増大でき、自動二輪車1の走行性能を向上させることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、本実施形態では、駆動力が制御されるエンジン18がスクータ型自動二輪車1に搭載されたエンジンの場合を述べたが、他の型式の自動二輪車や四輪自動車などの各種装置に搭載されたエンジンに対して、本発明を適用してもよい。
1 自動二輪車
18 エンジン
22 無段階変速装置
40 スロットルバルブ
48 駆動プーリ
50 従動プーリ
52 Vベルト(無端ベルト)
70 エンジン制御装置
71 スロットルグリップ
M 第1のマップ
N 第2のマップ
TVObt 要求スロットルバルブ開度
TVOmax 上限スロットルバルブ開度
TVOt 目標スロットルバルブ開度
α0 所定値
α1、α2、α3、α4 閾値

Claims (5)

  1. 車両に搭載されて駆動力を出力するエンジンと、
    駆動プーリと従動プーリに無端ベルトが巻き掛けられて構成され、前記駆動プーリが前記エンジンからの駆動力を、回転数を無段階に変速させながら前記従動プーリへ伝達する無段階変速装置と、
    エンジン吸気系のスロットルバルブの開度を制御することで、前記エンジンから出力される駆動力を制御するエンジン制御装置と、を有する車両の駆動力制御システムにおいて、
    前記エンジン制御装置は、任意の時点における少なくとも前記無段階変速装置の変速比に基づいて、前記スロットルバルブの開度の上限を規定する上限スロットルバルブ開度を決定し、乗員の操作による要求スロットルバルブ開度が前記上限スロットルバルブ開度を上回る場合には、この上限スロットルバルブ開度を目標スロットルバルブ開度として設定して、前記スロットルバルブの開度を前記目標スロットルバルブ開度に制御するよう構成されたことを特徴とする車両の駆動力制御システム。
  2. 前記エンジン制御装置は、任意の時点における無段階変速装置の変速比と、同時点におけるエンジン回転数とに基づいて、上限スロットルバルブ開度を決定するよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両の駆動力制御システム。
  3. 前記エンジン制御装置は、任意の時点における無段階変速装置の変速比に基づいて上限スロットルバルブ開度を決定する際に、前記変速比と前記上限スロットルバルブ開度との関係が予め設定された第1のマップを参照し、
    この第1のマップでは、前記変速比が所定値よりも大きな領域において、前記上限スロットルバルブ開度が、操作可能な最大のスロットルバルブ開度に対して小さくなるように設定されて構成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両の駆動力制御システム。
  4. 前記エンジン制御装置は、任意の時点における無段階変速装置の変速比と同時点におけるエンジン回転数とに基づいて上限スロットルバルブ開度を決定する際に、前記エンジン回転数のそれぞれについて前記変速比と前記上限スロットルバルブ開度との関係が予め設定された第2のマップを参照し、
    この第2のマップでは、前記変速比の増大に伴って前記上限スロットルバルブ開度が操作可能な最大のスロットルバルブ開度から低下し始めるときの変速比の閾値が、前記エンジン回転数の上昇に従って順次小さな値に設定されるよう構成されたことを特徴とする請求項2に記載の車両の駆動力制御システム。
  5. 前記第2のマップでは、変速比が前記閾値よりも大きな領域において、上限スロットルバルブ開度が、エンジン回転数の上昇に従って順次低く設定されるよう構成されたことを特徴とする請求項4に記載の車両の駆動力制御システム。
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