JP2017197853A - 抗菌繊維及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】洗濯耐久性があり、かつ人や環境に優しい抗菌繊維及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の抗菌繊維は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂の中から選ばれる1種以上の樹脂とフマル酸が繊維に付着してなる抗菌繊維であって、該樹脂とフマル酸の付着量が繊維100質量部に対して、フマル酸が、0.015〜0.15質量部、樹脂が1.1〜25.2質量部であり、かつ、社団法人繊維評価技術協議会が定めている抗菌防臭加工の認定基準に準じた標準洗濯法にて、10回の洗濯処理後の静菌活性値が2.2以上を有することを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の抗菌繊維は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂の中から選ばれる1種以上の樹脂とフマル酸が繊維に付着してなる抗菌繊維であって、該樹脂とフマル酸の付着量が繊維100質量部に対して、フマル酸が、0.015〜0.15質量部、樹脂が1.1〜25.2質量部であり、かつ、社団法人繊維評価技術協議会が定めている抗菌防臭加工の認定基準に準じた標準洗濯法にて、10回の洗濯処理後の静菌活性値が2.2以上を有することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、抗菌繊維及びその製造方法に関する。
従来より、繊維に抗菌剤を付与した抗菌繊維が数多く知られている。繊維の抗菌剤としては、例えば、銀・亜鉛等の金属塩や、ビグアナイト・第4級アンモニウム塩・ピリジン等の有機系、キチン・キトサン等の天然有機系が使用されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
近年、毒性が低く、環境への影響が少ない天然系の成分を用いた抗菌方法が望まれているが、現在使用されているキチン・キトサンでは、効果や洗濯耐性が小さいために、主流の抗菌剤とはなっていないのが現状である。
近年、毒性が低く、環境への影響が少ない天然系の成分を用いた抗菌方法が望まれているが、現在使用されているキチン・キトサンでは、効果や洗濯耐性が小さいために、主流の抗菌剤とはなっていないのが現状である。
一方、繊維に抗菌剤を付与する方法としては、繊維の調製時に該繊維を構成する繊維材料、例えば、ポリマー中に抗菌剤を練り込む方法、および抗菌剤を繊維に吸収、付着させる方法に大別されている。
前者の方法により抗菌剤を繊維材料に練り込むときには、耐熱性を考慮して、多くの場合、銀、銅、亜鉛などの金属を含有するセラミックスなどが抗菌剤として繊維材料であるポリマーに練り込まれている。しかしながら、この抗菌性は概して遅効性であり、さらに強酸、強アルカリ、紫外線などにより抗菌剤が溶出したり、酸化により変色するなどの課題がある。
後者の方法では、例えば、第4級アンモニウム塩系、キチン・キトサンなどの抗菌剤を繊維に付着せしめている。過度の付着は皮膚常在菌のバランスをくずし、コスト高となる。この抗菌性は速効性ではあるが、風合や洗濯などによる耐久性に課題があるのが現状である。
前者の方法により抗菌剤を繊維材料に練り込むときには、耐熱性を考慮して、多くの場合、銀、銅、亜鉛などの金属を含有するセラミックスなどが抗菌剤として繊維材料であるポリマーに練り込まれている。しかしながら、この抗菌性は概して遅効性であり、さらに強酸、強アルカリ、紫外線などにより抗菌剤が溶出したり、酸化により変色するなどの課題がある。
後者の方法では、例えば、第4級アンモニウム塩系、キチン・キトサンなどの抗菌剤を繊維に付着せしめている。過度の付着は皮膚常在菌のバランスをくずし、コスト高となる。この抗菌性は速効性ではあるが、風合や洗濯などによる耐久性に課題があるのが現状である。
本発明は、上記従来技術の課題及び現状に鑑み、これを解消しようとするものであり、環境への影響が極めて少なく、風合や洗濯などによる耐久性を有する抗菌成分を用いた抗菌繊維及びその製造方法を提供すことにあり、殊に、一般社団法人繊維評価技術協議会が定めている抗菌防臭加工の認定基準に準じた標準洗濯法にて、10回の洗濯処理後でも抗菌性を維持できる抗菌繊維及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来の課題等について、鋭意検討した結果、食品の酸味料として使用されている有機酸の中で、抗菌性に優れるフマル酸を利用できないかを検討したところ、特定の樹脂から選ばれる1種以上の樹脂とフマル酸を繊維に付着せしめることにより、上記目的の抗菌繊維及びその製造方法が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明の抗菌繊維は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂の中から選ばれる1種以上の樹脂とフマル酸が繊維に付着してなる抗菌繊維であって、該樹脂とフマル酸の付着量が繊維100質量部に対して、フマル酸が、0.015〜0.15質量部、樹脂が1.1〜25.2質量部であり、かつ、一般社団法人繊維評価技術協議会が定めている抗菌防臭加工の認定基準に準じた標準洗濯法にて、10回の洗濯処理後の静菌活性値が2.2以上を有することを特徴とする。
繊維表面のpHは、4.5〜6.5であることが好ましい。
フマル酸は、体積平均粒子径10μm以下のフマル酸を用いることが好ましい。
また、本発明の抗菌繊維の製造方法は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂の中から選ばれる1種以上の樹脂とフマル酸を含む水性溶液中に繊維を浸漬処理して、繊維100質量部に対して、フマル酸を、0.015〜0.15質量部、樹脂を1.1〜25.2質量部付着せしめて、一般社団法人繊維評価技術協議会が定めている抗菌防臭加工の認定基準に準じた標準洗濯法にて、10回の洗濯処理後の静菌活性値が2.2以上を有する抗菌繊維を製造することを特徴とする。
繊維表面のpHは、4.5〜6.5であることが好ましい。
フマル酸は、体積平均粒子径10μm以下のフマル酸を用いることが好ましい。
また、本発明の抗菌繊維の製造方法は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂の中から選ばれる1種以上の樹脂とフマル酸を含む水性溶液中に繊維を浸漬処理して、繊維100質量部に対して、フマル酸を、0.015〜0.15質量部、樹脂を1.1〜25.2質量部付着せしめて、一般社団法人繊維評価技術協議会が定めている抗菌防臭加工の認定基準に準じた標準洗濯法にて、10回の洗濯処理後の静菌活性値が2.2以上を有する抗菌繊維を製造することを特徴とする。
本発明によれば、洗濯耐久性があり、かつ人や環境に優しい抗菌繊維及びその製造方法が提供される。
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の抗菌繊維は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂の中から選ばれる1種以上の樹脂とフマル酸が繊維に付着してなる抗菌繊維であって、該樹脂とフマル酸の付着量が繊維100質量部に対して、フマル酸が、0.015〜0.15質量部、樹脂が1.1〜25.2質量部であり、かつ、一般社団法人繊維評価技術協議会が定めている抗菌防臭加工の認定基準に準じた標準洗濯法にて、10回の洗濯処理後の静菌活性値が2.2以上を有することを特徴とするものである。
また、本発明の抗菌繊維の製造方法は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂の中から選ばれる1種以上の樹脂とフマル酸を含む水性溶液中に繊維を浸漬処理して、繊維100質量部に対して、フマル酸を、0.015〜0.15質量部、樹脂を1.1〜25.2質量部付着せしめて、一般社団法人繊維評価技術協議会が定めている抗菌防臭加工の認定基準に準じた標準洗濯法にて、10回の洗濯処理後の静菌活性値が2.2以上を有する抗菌繊維を製造することを特徴とするものである。
以下において、「本発明」というときは、上記抗菌繊維(物の発明)とその製造方法の両方を含むものである。
本発明の抗菌繊維は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂の中から選ばれる1種以上の樹脂とフマル酸が繊維に付着してなる抗菌繊維であって、該樹脂とフマル酸の付着量が繊維100質量部に対して、フマル酸が、0.015〜0.15質量部、樹脂が1.1〜25.2質量部であり、かつ、一般社団法人繊維評価技術協議会が定めている抗菌防臭加工の認定基準に準じた標準洗濯法にて、10回の洗濯処理後の静菌活性値が2.2以上を有することを特徴とするものである。
また、本発明の抗菌繊維の製造方法は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂の中から選ばれる1種以上の樹脂とフマル酸を含む水性溶液中に繊維を浸漬処理して、繊維100質量部に対して、フマル酸を、0.015〜0.15質量部、樹脂を1.1〜25.2質量部付着せしめて、一般社団法人繊維評価技術協議会が定めている抗菌防臭加工の認定基準に準じた標準洗濯法にて、10回の洗濯処理後の静菌活性値が2.2以上を有する抗菌繊維を製造することを特徴とするものである。
以下において、「本発明」というときは、上記抗菌繊維(物の発明)とその製造方法の両方を含むものである。
本発明に用いる樹脂は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂の中から選ばれる1種以上であり、これらはバインダー樹脂として機能するものである。これらの所定量となる樹脂は、抗菌成分となるフマル酸を繊維に強固に固着することができることから、加工後の繊維は、洗濯耐久性が高く、形態安定性、及び抗菌性を長期間維持することができる。水溶液タイプであってもよく、エマルションタイプであってもよい。
用いることができるアクリル樹脂としては、水溶性、エマルション等の水分散性のものが好適であり、アクリル酸、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類、メタクリルアミド及びメタクリロニトリルのいずれかのモノマーの単独重合体、これらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体、前記モノマー1種以上と、前記モノマー以外のあるいはアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルと他の単量体、例えば、スチレン、酢酸ビニルなどとの共重合体の水分散型アクリルエマルション、コモノマーとの重合により得られる共重合体等を挙げることができる。これらの中では、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類のいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体が好ましい。
このようなアクリル樹脂として、具体的には、市販のモビニール963(日本合成化学工業社製)、NIKAZOL RX-7013ED(日本カーバイト工業社製)、ライトエポックBX71(北広ケミカル社製)、ライトエポックTF−3599(北広ケミカル社製)などを用いることができる。
このようなアクリル樹脂として、具体的には、市販のモビニール963(日本合成化学工業社製)、NIKAZOL RX-7013ED(日本カーバイト工業社製)、ライトエポックBX71(北広ケミカル社製)、ライトエポックTF−3599(北広ケミカル社製)などを用いることができる。
用いることができるポリエステル樹脂としては、特に制限されないが、水溶性ポリエステル樹脂あるいは水分散性ポリエステル樹脂であることが好ましい。即ち、水もしくは、多少の有機溶剤を含有する水に可溶であるか、または分散させることが可能なポリエステル樹脂であることが好ましい。
このようなポリエステル樹脂は、例えば、以下に示す多価カルボン酸とポリオールとからなるポリエステルとから形成されるが、特にこれらに限定されない。
ポリエステル樹脂を形成し得る多価カルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などを挙げることができる。これらの中でも、これら酸成分を2種類以上含有する共重合ポリエステルが好ましい。
ポリエステル樹脂を形成し得るポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1、4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1、6−ヘキサンジオール、1、4−シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、ジメチロールプロパンなどが挙げられる。ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールなども利用可能である。
このようなポリエステル樹脂として具体的には、市販のニチゴポリエスターWR901(日本合成化学社製)、ペスレジン2000(高松油脂社製)などを用いることができる。
このようなポリエステル樹脂は、例えば、以下に示す多価カルボン酸とポリオールとからなるポリエステルとから形成されるが、特にこれらに限定されない。
ポリエステル樹脂を形成し得る多価カルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などを挙げることができる。これらの中でも、これら酸成分を2種類以上含有する共重合ポリエステルが好ましい。
ポリエステル樹脂を形成し得るポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1、4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1、6−ヘキサンジオール、1、4−シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、ジメチロールプロパンなどが挙げられる。ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールなども利用可能である。
このようなポリエステル樹脂として具体的には、市販のニチゴポリエスターWR901(日本合成化学社製)、ペスレジン2000(高松油脂社製)などを用いることができる。
用いることができるポリウレタン樹脂としては、特に制限はないが、水溶性ポリウレタン樹脂あるいは水分散性ポリウレタン樹脂であることが好ましい。
このようなポリウレタン樹脂は、例えば、多官能イソシアネートとヒドロキシル基含有化合物との反応により得られるポリウレタン樹脂を使用することができる。多官能イソシアネートとしては、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアナートなどの芳香族ポリイソシアナート、およびヘキサメチレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナートなどの脂肪族ポリイソシアナートが挙げられる。ヒドロキシル基含有化合物としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオールなどが挙げられる。
このようなポリウレタン樹脂としては、具体的には、市販のユニカレジンUR485(ユニオン化学工業社製)、パーマリンUA−300(三洋化成社製)などを用いることができる。
なお、上記3種のアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂に限定したのは、フマル酸との相性、繊維への付着(固着)性などの点から特に良好となるバインダーとなるものであり、シリコン系樹脂などでは本発明の効果を発揮できないものとなる。
このようなポリウレタン樹脂は、例えば、多官能イソシアネートとヒドロキシル基含有化合物との反応により得られるポリウレタン樹脂を使用することができる。多官能イソシアネートとしては、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアナートなどの芳香族ポリイソシアナート、およびヘキサメチレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナートなどの脂肪族ポリイソシアナートが挙げられる。ヒドロキシル基含有化合物としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオールなどが挙げられる。
このようなポリウレタン樹脂としては、具体的には、市販のユニカレジンUR485(ユニオン化学工業社製)、パーマリンUA−300(三洋化成社製)などを用いることができる。
なお、上記3種のアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂に限定したのは、フマル酸との相性、繊維への付着(固着)性などの点から特に良好となるバインダーとなるものであり、シリコン系樹脂などでは本発明の効果を発揮できないものとなる。
本発明に用いるフマル酸は、抗菌剤(成分)として使用するものであり、構造式〔HOOC−CH=CH−COOH(トランス体)〕で表され、水に対する溶解度(25℃)が0.63g/100gであり、水難溶性である。
用いるフマル酸は、特に限定されないが、好ましくは、体積平均粒子径30μm以下、より好ましくは15μm以下、特に好ましくは10μm以下であり、原料として市販されているフマル酸を乾式又は湿式の方法で粉砕して上記好ましい粒径のものを使用する。また、原料製造時に好ましい粒径になるよう結晶化させて取り出したものを使用しても良い。
また、フマル酸は、予め所定の体積平均粒子径となるフマル酸がキサンタンガムなどの分散剤で分散された水分散液などを用いることが好ましく、特に好ましくは、体積平均粒子径が10μm以下のフマル酸と、分散剤として酢酸基の割合が0.1〜5%となるキサンタンガム0.01〜5質量%を含有するフマル酸水分散液、例えば、フマル酸30%分散液のDF30(第一製網社製、食品添加物製剤、フマル酸粒子の体積平均粒子径10μm以下、酢酸基3%キサンタンガム0.01〜5質量%)などを用いることが望ましい。
なお、フマル酸と同様の有機酸であるクエン酸などでは本発明の効果を発揮できないものである。
用いるフマル酸は、特に限定されないが、好ましくは、体積平均粒子径30μm以下、より好ましくは15μm以下、特に好ましくは10μm以下であり、原料として市販されているフマル酸を乾式又は湿式の方法で粉砕して上記好ましい粒径のものを使用する。また、原料製造時に好ましい粒径になるよう結晶化させて取り出したものを使用しても良い。
また、フマル酸は、予め所定の体積平均粒子径となるフマル酸がキサンタンガムなどの分散剤で分散された水分散液などを用いることが好ましく、特に好ましくは、体積平均粒子径が10μm以下のフマル酸と、分散剤として酢酸基の割合が0.1〜5%となるキサンタンガム0.01〜5質量%を含有するフマル酸水分散液、例えば、フマル酸30%分散液のDF30(第一製網社製、食品添加物製剤、フマル酸粒子の体積平均粒子径10μm以下、酢酸基3%キサンタンガム0.01〜5質量%)などを用いることが望ましい。
なお、フマル酸と同様の有機酸であるクエン酸などでは本発明の効果を発揮できないものである。
本発明において「繊維」とは、繊維によって構成される構造物であれば、その形状が糸、織物又は編み物である布帛、不織布又は縫製された製品の何れであっても構わない。また、繊維素材としては、特に制限されることなく使用できる。
具体的には、綿、麻等のセルロース繊維、絹、ウール、カシミヤ等のタンパク繊維、レーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維、酢酸セルロース(アセテート等)、プロミックス等の半合成繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリウレタン繊維、ポリオキシメチレン(ポリアセタール)繊維、ポリ乳酸繊維等の合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維、およびそれらの混用素材、並びに上記各繊維を加工等した吸水性繊維などが挙げられる。
また、布帛、不織布又は縫製された製品としては、一般衣料以外にも、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、マスクなどの衛生用品、脇パッド、ストッキング、手袋、キャップ、ふきん、ワイパー、クッキングシート、ドリップシート、ウェットティッシュ、寝具(ベッドシーツ、枕カバー等)、トートバッグ、スリッパ、ティッシュペーパー、介護用品、タオル、口腔ケアシート、食品保持シート、集塵フィルター、モップ、足ふきマット、病院・介護施設の衣料品などに好適に適用できる。
具体的には、綿、麻等のセルロース繊維、絹、ウール、カシミヤ等のタンパク繊維、レーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維、酢酸セルロース(アセテート等)、プロミックス等の半合成繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリウレタン繊維、ポリオキシメチレン(ポリアセタール)繊維、ポリ乳酸繊維等の合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維、およびそれらの混用素材、並びに上記各繊維を加工等した吸水性繊維などが挙げられる。
また、布帛、不織布又は縫製された製品としては、一般衣料以外にも、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、マスクなどの衛生用品、脇パッド、ストッキング、手袋、キャップ、ふきん、ワイパー、クッキングシート、ドリップシート、ウェットティッシュ、寝具(ベッドシーツ、枕カバー等)、トートバッグ、スリッパ、ティッシュペーパー、介護用品、タオル、口腔ケアシート、食品保持シート、集塵フィルター、モップ、足ふきマット、病院・介護施設の衣料品などに好適に適用できる。
本発明の抗菌繊維は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂の中から選ばれる1種以上の樹脂とフマル酸が繊維に付着してなる抗菌繊維であって、該樹脂とフマル酸の付着量が繊維100質量部に対して、フマル酸が、0.015〜0.15質量部、樹脂が1.1〜25.2質量部であり、かつ、社団法人繊維評価技術協議会が定めている抗菌防臭加工の認定基準に準じた標準洗濯法にて、10回の洗濯処理後の静菌活性値が2.2以上を有するものであり、例えば、上述のアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂の中から選ばれる1種以上の樹脂とフマル酸を含む水性溶液中に繊維を浸漬処理して、繊維100質量部に対して、フマル酸を、0.015〜0.15質量部、樹脂を1.1〜25.2質量部付着せしめることにより得ることができる。
本発明方法において、用いる水性溶液(処理液)は、上述のアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂の中から選ばれる1種以上の樹脂とフマル酸を含むものであり、溶媒となる水としては、例えば、精製水、イオン交換水、純水、超純水、蒸留水、水道水などを用いることができる。また、上記水性溶液(処理液)には、必要に応じて、柔軟剤、抗酸化剤、光安定剤、制電剤、導電剤、難燃剤、顔料等の添加剤を含有させてもよい。
この水性溶液(処理液)の特性は、繊維を浸漬処理した後の樹脂とフマル酸の付着量が繊維100質量部に対して、フマル酸が、0.015〜0.15質量部、上述の樹脂が1.1〜25.2質量部となるものであれば、水性溶液(処理液)中の樹脂、フマル酸の各濃度、処理温度、浸漬時間、浸漬処理の形態などは特に限定されない。
好ましい製造方法としては、溶媒の水に、フマル酸、上記アクリル樹脂などの樹脂が所定濃度となる水性溶液であるフマル酸含有加工液を調製し、このフマル酸含有加工液に、繊維、例えば、布帛、生地織物等を浸漬し、所定時間(例えば、1〜60秒間)、処理液温度(例えば、5〜35℃)にて浸漬後、絞り、自然乾燥または温度60〜150℃にて乾燥を行うことにより、浸漬処理後の樹脂とフマル酸の付着量が繊維100質量部に対して、フマル酸が、0.015〜0.15質量部、樹脂が1.1〜25.2質量部とすることにより、社団法人繊維評価技術協議会が定めている抗菌防臭加工の認定基準(SEKマークの基準、以下、「SEK基準」という)に準じた標準洗濯法にて、10回の洗濯処理後の静菌活性値が2.2以上を有する抗菌繊維が製造されるものとなる。
更に好ましくは、肌に優しいpHを維持する点、外部からの菌や刺激を抑制する点から、繊維表面のpHは、4.5〜6.5であることが望ましい。
この水性溶液(処理液)の特性は、繊維を浸漬処理した後の樹脂とフマル酸の付着量が繊維100質量部に対して、フマル酸が、0.015〜0.15質量部、上述の樹脂が1.1〜25.2質量部となるものであれば、水性溶液(処理液)中の樹脂、フマル酸の各濃度、処理温度、浸漬時間、浸漬処理の形態などは特に限定されない。
好ましい製造方法としては、溶媒の水に、フマル酸、上記アクリル樹脂などの樹脂が所定濃度となる水性溶液であるフマル酸含有加工液を調製し、このフマル酸含有加工液に、繊維、例えば、布帛、生地織物等を浸漬し、所定時間(例えば、1〜60秒間)、処理液温度(例えば、5〜35℃)にて浸漬後、絞り、自然乾燥または温度60〜150℃にて乾燥を行うことにより、浸漬処理後の樹脂とフマル酸の付着量が繊維100質量部に対して、フマル酸が、0.015〜0.15質量部、樹脂が1.1〜25.2質量部とすることにより、社団法人繊維評価技術協議会が定めている抗菌防臭加工の認定基準(SEKマークの基準、以下、「SEK基準」という)に準じた標準洗濯法にて、10回の洗濯処理後の静菌活性値が2.2以上を有する抗菌繊維が製造されるものとなる。
更に好ましくは、肌に優しいpHを維持する点、外部からの菌や刺激を抑制する点から、繊維表面のpHは、4.5〜6.5であることが望ましい。
得られる抗菌繊維は、繊維100質量部に対してフマル酸付着量が0.015質量部以上であれば、上述の標準洗濯法にて、10回の洗濯処理後の静菌活性値が2.2以上となり、フマル酸の付着量が0.15質量部以下とすることにより、上記SEK基準の抗菌性の維持と経済性と肌に優しいpHを維持することができる。
また、繊維100質量部に対して、樹脂の付着量が25.2質量部超過となると、繊維表面のpHが4以下となり、弱酸性である肌のpH4.5〜6.5より、低くなってしまい、一方、樹脂付着量が、1.1質量部未満では、洗濯後の抗菌性が、上記SEK基準をクリアできないこととなる。
また、繊維100質量部に対して、樹脂の付着量が25.2質量部超過となると、繊維表面のpHが4以下となり、弱酸性である肌のpH4.5〜6.5より、低くなってしまい、一方、樹脂付着量が、1.1質量部未満では、洗濯後の抗菌性が、上記SEK基準をクリアできないこととなる。
このように構成される本発明では、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂の中から選ばれる1種以上の樹脂とフマル酸が繊維に付着してなる抗菌繊維であって、該樹脂とフマル酸の付着量が繊維100質量部に対して、フマル酸が、0.015〜0.15質量部、樹脂が1.1〜25.2質量部であり、かつ、社団法人繊維評価技術協議会が定めている抗菌防臭加工の認定基準に準じた標準洗濯法にて、10回の洗濯処理後の静菌活性値が2.2以上を有することにより、洗濯耐久性があり、かつ人や環境に優しい抗菌繊維及びその製造方法が得られるものとなる。
次に、試験例により本発明を更に詳細に説明する。
〔試験例1:実施例1〜3及び比較例1〕
フマル酸、クエン酸の各濃度0.03質量%(以下、「質量%」を「%」という)に、アクリル樹脂A(モビニール963、日本合成化学工業社製、以下同様)を3%となるように、残部を精製水として、フマル酸含有加工液、クエン酸加工液を調製した。
この各酸含有加工液に、ポリエステル生地〔MYT3028A(Es100%)蛍光サラシ生地(30天竺)〈一紡績株式会社製〉、以下同様〕を5秒間浸漬後、絞り、80℃にて乾燥を行った。その生地を用いて、下記測定方法などにより有機酸付着量(g/100g生地)、加工後と洗濯10回後の抗菌性(静菌活性値)、繊維表面のpHを測定した。
フマル酸は、フマル酸30%分散液のDF30(第一製網社製、食品添加物製剤、体積平均粒子径10μm以下、酢酸基3%キサンタンガム0.01〜5質量%、以下同様)、及び100μm粉末、50μm粉末を用いた。クエン酸は、試薬を使用した。
〔試験例1:実施例1〜3及び比較例1〕
フマル酸、クエン酸の各濃度0.03質量%(以下、「質量%」を「%」という)に、アクリル樹脂A(モビニール963、日本合成化学工業社製、以下同様)を3%となるように、残部を精製水として、フマル酸含有加工液、クエン酸加工液を調製した。
この各酸含有加工液に、ポリエステル生地〔MYT3028A(Es100%)蛍光サラシ生地(30天竺)〈一紡績株式会社製〉、以下同様〕を5秒間浸漬後、絞り、80℃にて乾燥を行った。その生地を用いて、下記測定方法などにより有機酸付着量(g/100g生地)、加工後と洗濯10回後の抗菌性(静菌活性値)、繊維表面のpHを測定した。
フマル酸は、フマル酸30%分散液のDF30(第一製網社製、食品添加物製剤、体積平均粒子径10μm以下、酢酸基3%キサンタンガム0.01〜5質量%、以下同様)、及び100μm粉末、50μm粉末を用いた。クエン酸は、試薬を使用した。
有機酸付着量(g/100g生地)、バインダー樹脂付着量(g/100g生地)は、それぞれ、生地に付着した加工液重量より、算出した。
静菌活性値(原品)、静菌活性値(10回洗濯後)は、JIS L 1902;2008、菌液吸収法、使用菌種:黄色ブドウ球菌・Staphlococcus aureus NBRC12732で評価した。
繊維表面のpHは、表面pHメーター(HORIBA LAQUA act)で測定した。
静菌活性値(原品)、静菌活性値(10回洗濯後)は、JIS L 1902;2008、菌液吸収法、使用菌種:黄色ブドウ球菌・Staphlococcus aureus NBRC12732で評価した。
繊維表面のpHは、表面pHメーター(HORIBA LAQUA act)で測定した。
上記試験例1では、本願発明のフマル酸(フマル酸の体積平均粒子径がそれぞれ相違する3種)と、一般的に抗菌目的で使用される有機酸のクエン酸を用いた場合の抗菌繊維の比較試験を行ったものである。比較例1では、10回洗濯後ではSEK基準(静菌活性値2.2以上)をクリアできないが、本願発明となる実施例1では、クリアできることがわかった。また、フマル酸の体積平均粒子径が10μm以下となるものを用いた実施例1は、実施例2及び3よりも抗菌性能に優れる(静菌活性値が高い)ことがわかった。
〔試験例2:実施例4〜8及び比較例2、3〕
下記表2に示す各濃度のフマル酸に、アクリル樹脂B(NIKAZOL RX-7013ED、日本カーバイト工業社製)を3%〔架橋剤(NIKARAC MW-12LF)0.3%を使用を含む〕となるように、加工液を調製した。上記試験例1と同様に、加工液に、ポリエステル生地を浸漬後、液を絞り、80℃にて乾燥を行った。その生地を用いて、試験例1と同様に、有機酸付着量(g/100g生地)、加工後と洗濯10回後の抗菌性(静菌活性値)、繊維表面のpHを測定した。
フマル酸は、フマル酸30%分散液のDF30(第一製網社製、食品添加物製剤)を用いた。
下記表2に示す各濃度のフマル酸に、アクリル樹脂B(NIKAZOL RX-7013ED、日本カーバイト工業社製)を3%〔架橋剤(NIKARAC MW-12LF)0.3%を使用を含む〕となるように、加工液を調製した。上記試験例1と同様に、加工液に、ポリエステル生地を浸漬後、液を絞り、80℃にて乾燥を行った。その生地を用いて、試験例1と同様に、有機酸付着量(g/100g生地)、加工後と洗濯10回後の抗菌性(静菌活性値)、繊維表面のpHを測定した。
フマル酸は、フマル酸30%分散液のDF30(第一製網社製、食品添加物製剤)を用いた。
上記試験例2では、繊維100質量部に対して、フマル酸が0.009質量部以上付着すると、10回洗濯後でもSEK基準(静菌活性値2.2以上)をクリアできることがわかる。フマル酸付着量が0.3gでは、繊維表面のpHが3.7となり、肌の最適pHである4.5〜6.5(弱酸性)を大きくはずれてしまう。
また、試験例2では、加工後と10回洗濯後の静菌活性値を記載しているが、繊維100質量部(g)に対してフマル酸付着量が0.009質量部(g)以上であれば、加工後・10回洗濯後共に、SEK基準の2.2以上となっている。
上記試験例2の結果を綜合すると、繊維へのフマル酸付着量が、繊維100質量部に対して0.009〜0.15質量部であれば、繊維表面のpHは、5.7〜6.5となり、肌に優しいpHを維持することができる。かつ、10回洗濯を行っても、上記認定基準の抗菌性を維持することができることがわかった。
また、試験例2では、加工後と10回洗濯後の静菌活性値を記載しているが、繊維100質量部(g)に対してフマル酸付着量が0.009質量部(g)以上であれば、加工後・10回洗濯後共に、SEK基準の2.2以上となっている。
上記試験例2の結果を綜合すると、繊維へのフマル酸付着量が、繊維100質量部に対して0.009〜0.15質量部であれば、繊維表面のpHは、5.7〜6.5となり、肌に優しいpHを維持することができる。かつ、10回洗濯を行っても、上記認定基準の抗菌性を維持することができることがわかった。
〔試験例3::実施例9〜12及び比較例4、5〕
フマル酸の濃度を0.03%とし、下記表3に示す各種バインダー樹脂を3%添加した加工液を調製した。加工液に、試験例1と同様のポリエステル生地(PET)、並びに、綿生地〔40番手フライス蛍光サラシ、白〈第一紡績株式会社製〉〕を試験例1と同様に浸漬後、液を絞り、80℃にて乾燥を行った。
これらの生地を用いて、試験例1と同様に、有機酸付着量(g/100g生地)、加工後と洗濯10回後の抗菌性(静菌活性値)、繊維表面のpHを測定した。フマル酸は、試験例1と同様にフマル酸30%分散液のDF30(第一製網社製、食品添加物製剤)を用いた。
用いたシリコン樹脂は、TF3500(北広ケミカル社製)、ポリエステル樹脂はニチゴーポリエスターWR901(日本合成化学工業社性)、ポリウレタン樹脂は、ユニカレジンUR485(ユニオン化学工業社製)を用いた。
フマル酸の濃度を0.03%とし、下記表3に示す各種バインダー樹脂を3%添加した加工液を調製した。加工液に、試験例1と同様のポリエステル生地(PET)、並びに、綿生地〔40番手フライス蛍光サラシ、白〈第一紡績株式会社製〉〕を試験例1と同様に浸漬後、液を絞り、80℃にて乾燥を行った。
これらの生地を用いて、試験例1と同様に、有機酸付着量(g/100g生地)、加工後と洗濯10回後の抗菌性(静菌活性値)、繊維表面のpHを測定した。フマル酸は、試験例1と同様にフマル酸30%分散液のDF30(第一製網社製、食品添加物製剤)を用いた。
用いたシリコン樹脂は、TF3500(北広ケミカル社製)、ポリエステル樹脂はニチゴーポリエスターWR901(日本合成化学工業社性)、ポリウレタン樹脂は、ユニカレジンUR485(ユニオン化学工業社製)を用いた。
上記試験例3では、バインダー樹脂の種類を変えて試験を実施したものである。比較例4のシリコン系樹脂では、10回洗濯後の抗菌性の効果が低下し、SEK基準をクリアすることはできなかった。実施例7〜10のアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂を用いると、10回洗濯後でもSEK基準をクリアできることがわかった。
〔試験例4:実施例13〜17及び比較例6〜8〕
フマル酸の濃度を0.03%とし、アクリル樹脂A(モビニール963、日本合成化学工業社製)の濃度を、下記表4に示すような濃度にしたフマル酸加工液を調製した。試験例1と同様に加工液に、ポリエステル生地を浸漬後、液を絞り、80℃にて乾燥を行った。フマル酸は、試験例1と同様のフマル酸30%分散液のDF30(第一製網社製、食品添加物製剤)を用いた。
その生地を用いて、試験例1と同様に、有機酸付着量(g/100g生地)、加工後と洗濯10回後の抗菌性(静菌活性値)、繊維表面のpHを測定した。
フマル酸の濃度を0.03%とし、アクリル樹脂A(モビニール963、日本合成化学工業社製)の濃度を、下記表4に示すような濃度にしたフマル酸加工液を調製した。試験例1と同様に加工液に、ポリエステル生地を浸漬後、液を絞り、80℃にて乾燥を行った。フマル酸は、試験例1と同様のフマル酸30%分散液のDF30(第一製網社製、食品添加物製剤)を用いた。
その生地を用いて、試験例1と同様に、有機酸付着量(g/100g生地)、加工後と洗濯10回後の抗菌性(静菌活性値)、繊維表面のpHを測定した。
バインダーの濃度を変化させた上記試験例4により、繊維100質量部に対して、バインダー樹脂付着量が40.2質量部、55.1質量部では、繊維表面のpHが4.1、4.0となり、弱酸性である肌のpH4.5〜6.5より、低くなってしまう。バインダー樹脂付着量が、25.2質量部以下であれば、表面pHが5.0〜6.5となり、肌のpH範囲となっている。
バインダー樹脂付着量が0.11質量部では、洗濯後の抗菌性が、基準をクリアできない。
以上より、繊維100質量部に対して、バインダーの付着量は、1.1〜25.2質量部であることが好ましい。
また、上記試験例3の結果とを合わせて勘案すると、各濃度のフマル酸を、アクリル樹脂・ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂の中の1種以上を用いて加工付着させることで、洗濯耐久性のある繊維加工方法及び抗菌生地を提供することができることがわかった。
バインダー樹脂付着量が0.11質量部では、洗濯後の抗菌性が、基準をクリアできない。
以上より、繊維100質量部に対して、バインダーの付着量は、1.1〜25.2質量部であることが好ましい。
また、上記試験例3の結果とを合わせて勘案すると、各濃度のフマル酸を、アクリル樹脂・ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂の中の1種以上を用いて加工付着させることで、洗濯耐久性のある繊維加工方法及び抗菌生地を提供することができることがわかった。
本発明により、洗濯耐久性があり、かつ人や環境に優しい抗菌繊維及びその製造方法を提供することができることが可能となる。
Claims (4)
- アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂の中から選ばれる1種以上の樹脂とフマル酸が繊維に付着してなる抗菌繊維であって、該樹脂とフマル酸の付着量が繊維100質量部に対して、フマル酸が、0.015〜0.15質量部、樹脂が1.1〜25.2質量部であり、かつ、一般社団法人繊維評価技術協議会が定めている抗菌防臭加工の認定基準に準じた標準洗濯法にて、10回の洗濯処理後の静菌活性値が2.2以上を有することを特徴とする抗菌繊維。
- 繊維表面のpHが、4.5〜6.5であることを特徴とする請求項1記載の抗菌繊維。
- 体積平均粒子径10μm以下のフマル酸を用いたことを特徴とする請求項1又は2記載の抗菌繊維。
- アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂の中から選ばれる1種以上の樹脂とフマル酸を含む水性溶液中に繊維を浸漬処理して、繊維100質量部に対して、フマル酸を、0.015〜0.15質量部、樹脂を1.1〜25.2質量部付着せしめて、社団法人繊維評価技術協議会が定めている抗菌防臭加工の認定基準に準じた標準洗濯法にて、10回の洗濯処理後の静菌活性値が2.2以上を有する抗菌繊維を製造することを特徴とする抗菌繊維の製造方法。
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JP2016087165A JP2017197853A (ja) | 2016-04-25 | 2016-04-25 | 抗菌繊維及びその製造方法 |
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