JP2017197812A - スパッタリングターゲット - Google Patents

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Abstract

【課題】安定してMgO薄膜を高速成膜できる酸化マグネシウムを含んだターゲットの提供。【解決手段】酸化マグネシウムを含んで構成されるスパッタリングターゲットであって、スパッタリング装置のカソード電極側を向いて配置されるように構成されたカソード電極側配置表面を有し多孔質の酸化マグネシウム焼結体を含んだ断熱部と、断熱部のカソード電極側配置表面の反対方向を向いた開放表面を有し開放表面から酸化マグネシウムを昇華させて放出するように構成されかつ断熱部と直接または間接に接続されたスパッタ部とを有し、断熱部の嵩密度が3.00 g/cm3以下であり、断熱部の熱膨張係数が300 Kにおいて12.0×10-6K-1から13.5×10-6K-1の範囲であり、スパッタ部の熱膨張係数が300 Kにおいて、12.0×10-6K-1から14.5×10-6K-1の範囲であるスパッタリングターゲット。【選択図】図1

Description

本発明は、ホットカソード法に適した構造を有する、酸化マグネシウムを含んだスパッタターゲットに関する。
スパッタリングは成膜分野一般で用いられている手法であり、さまざまな金属や金属酸化物の薄膜の製造に適用されている。スパッタリングに用いられるスパッタリングターゲット(以下、簡単の為「ターゲット」とも称する)にも、その用途に応じて多様な材料が使われている。
酸化マグネシウム(マグネシア)は種々の用途がある材料であり、ターゲットの素材としても使用されている。マグネシアターゲットから得られるMgO薄膜(MgO film)は種々の分野において有用な材料であり、その安定供給は強く望まれてきている。
従来技術に係るスパッタリングにおいては、金属酸化物からなるターゲットを用いてMgO薄膜などの金属酸化物薄膜を成膜する場合、その成膜速度が遅いことが知られている。その速度の遅さは金属薄膜のそれに比べておよそ十分の一にも及ばない程であり、製品製造工程上の問題となっていた。
例えば、基板上にスパッタリングにより同じ厚さの金属薄膜と金属酸化物薄膜を連続的に重ねて成膜しようとする場合を考える。このとき、金属酸化物薄膜をその厚さまで成長させるためにかかる時間が金属薄膜に比べて非常に長くかかってしまうために、金属酸化物薄膜を成膜させるためのチャンバー内に基板を長く滞在させなくてはならない。また、複数のスパッタリングチャンバーを用いるマルチチャンバー型スパッタリング工程を行う場合には、金属酸化物膜の成膜のためだけに多数のチャンバーを用意する必要が生じてしまう。するとコスト面でも問題があるばかりか、既に成膜されている別の薄膜にも無用に多い熱ストレス等を掛けてしまうことにもなるため、品質管理の面からも問題があった。
このような問題に対し、金属酸化物ターゲットに高い電力を掛けることで、金属酸化物の成膜速度を高めようとする手法が検討されてきている。(ホットカソード法とも呼ばれる。)
しかしその一方でホットカソード法は、ターゲットに多大な熱衝撃を与えることにもなるため、ターゲットが破損してしまう(例えばスパッタリング工程中にターゲットに割れやヒビなどが生じてしまい実用に堪えなくなる)という問題がある。
さらに酸化マグネシウムには、熱衝撃に弱いという特性があることが知られている。酸化マグネシウムは熱膨張係数が大きく且つ熱伝導率が小さいため、熱的スポーリング(熱衝撃性の割れ)に対してきわめて弱い。このため、通常の酸化マグネシウム製品では高々200 ℃/hour程度の昇温にしか耐えられないという問題がある。すなわち、酸化マグネシウムはそもそもホットカソード法には向かない材料であることが知られていた。
そうした酸化マグネシウムの特性を克服しようとする従来の試みとしては、例えば非特許文献1の記載がある。非特許文献1には、MgO微粒子を断熱層およびスパッタリング部材として用いたRFマグネトロンスパッタリングターゲットが開示されている。この従来技術に係るターゲットを用いることで、高速度で(111)配向のMgO薄膜を製造できたと非特許文献1に記載されているが、それ以外の配向のMgO薄膜は得られていない。またこのターゲットは不定形であって取り扱いが難しく、MgO微粒子が均一になるように配置しなければ安定した結果が得られないと考えられる。さらに、こうしたターゲットは平置きする以外の使用が事実上困難であるとも考えられる。
また特許文献1は、MgF2をスパッタリング材料とし、断熱手段として金属酸化物のプレートを含んだスパッタリングターゲット装置を開示している。しかしながら特許文献1では、高速成膜のためにスパッタリング材料を高温にしたときに、スパッタリング材料の保護をするための手段を欠いているかまたは不十分であり、酸化マグネシウムなどの熱衝撃に弱い材料を用いると実際には安定した運用が難しいと考えられる。また、特定の配向を持つMgO薄膜を安定して得られる構成であるとも言えない。
特許第3790903号公報
Terauchi, M. et al., Journal of the Society for Information Display, 2008, vol. 16, no. 12, pp. 1195-1201, DOI: 10.1889/JSID16.12.1195
上述した問題に鑑み、酸化マグネシウムを含んだターゲットを用いて、安定してMgO薄膜を高速成膜できる手法が希求されている。
本発明者らは、酸化マグネシウムが酸化物としては高融点であって蒸気圧が高いという特性に着目し、安定してMgO薄膜を高速成膜できる本発明を完成するに至った。酸化マグネシウムは1600℃以上で蒸発し始め、真空中で2000℃程度になると炭素に匹敵するほどの電気伝導性を持ちながら急激に蒸発すると考えられている。すなわち本発明は、上記の知見に基づき、スパッタリングチャンバー内で真空中高温に曝されることで開放表面からの酸化マグネシウムの昇華を行うスパッタ部の熱膨張係数を適切に設定しつつ、且つカソードから電力を受ける断熱部での熱膨張係数および嵩密度を適切に設定して、当該スパッタ部と当該断熱部とを直接または間接に接続するような構成を取るという構成として想到されたものである。
すなわち本発明の実施形態が提供するのは、酸化マグネシウムを含んで構成されるスパッタリングターゲットであって、
スパッタリング装置のカソード電極側を向いて配置されるように構成されたカソード電極側配置表面を有し、多孔質の酸化マグネシウム焼結体を含んだ断熱部と、
前記断熱部の前記カソード電極側配置表面の反対方向を向いた開放表面を有し、前記開放表面から酸化マグネシウムを昇華させて放出するように構成され、かつ前記断熱部と直接または間接に接続されたスパッタ部と
を有し、
前記断熱部の嵩密度が、3.00 g/cm3以下であり、
前記断熱部の熱膨張係数が300 Kにおいて、12.0×10-6 K-1から13.5×10-6 K-1の範囲であり、
前記スパッタ部の熱膨張係数が300 Kにおいて、12.0×10-6 K-1から14.5×10-6 K-1の範囲である
ことを特徴とする。
本発明の実施形態の或る態様においては、上記スパッタリングターゲットの前記断熱部と前記スパッタ部とが接合層を介して接着された構造を有してもよい。また或る態様においては、上記スパッタリングターゲットの前記接合層が、Ag、Au、Pd、およびNiからなる群から選択される一種以上の金属を含んでもよい。また或る態様においては、上記スパッタリングターゲットの前記スパッタ部が緻密質の酸化マグネシウム焼結体を99質量パーセント以上の純度で含んでもよい。
本発明の実施形態の別の態様においては、上記スパッタリングターゲットの前記断熱部と前記スパッタ部とが、一体化された多孔質構造を構成していてもよい。また或る態様では、前記断熱部と前記スパッタ部とが同一の多孔質の酸化マグネシウム焼結体により構成されていてもよい。
本発明の実施形態のさらに別の態様においては、上記スパッタリングターゲットの前記断熱部の有する平均孔径が、200 μm以下の範囲であってもよく、また前記断熱部の有する平均孔径が、2 μm以上160 μm以下の範囲であってもよい。また或る態様においては、前記断熱部の嵩密度が、1.50 g/cm3以上2.90 g/cm3以下の範囲であってもよい。また或る態様では、上記スパッタリングターゲットが、(002)配向のMgO層を作成するために用いられてもよい。
本発明に係る酸化マグネシウムを含んだターゲットを用いることにより、安定してMgO薄膜を高速成膜することが可能となる。
本発明の実施形態に係るターゲットの第一の態様を説明するための概要図である。 本発明の実施形態に係るターゲットの第二の態様を説明するための概要図である。 実施例1のターゲットの孔構造を示す顕微鏡写真である。 実施例1のターゲットによるMgO成膜速度を示すグラフである。 実施例2のターゲットによるMgO成膜速度を示すグラフである。 実施例3のターゲットの孔構造を示す顕微鏡写真である。 実施例3のターゲットによるMgO成膜速度を示すグラフである。 得られたMgO薄膜のout-of-plane法で得られたX線回折プロファイルをreferenceと共に示したものである。 実施例4のターゲットの孔構造を示す顕微鏡写真である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明するが、これは本発明を何ら限定するものではない。
なお以下において、「約」「およそ」といった表現は、その語が付いた数値に±10%の幅が許容されることを意味する。
[ターゲットの構成の概要]
本発明の実施形態に係るターゲットは、断熱部とスパッタ部とを有するように構成される。当該ターゲットは、スパッタリング装置(スパッタリングチャンバー)内のカソード電極上に設置されるように構成される。
ターゲットが有する断熱部は、スパッタリング装置のカソード電極側を向いて配置されるように構成されたカソード電極側配置表面を有する部位である。また断熱部は、多孔質の酸化マグネシウム焼結体を含み、カソード電極からの熱衝撃を緩和する機能を有する。
断熱部の持つカソード電極側配置表面は、スパッタリング装置のカソード電極に設置できるものであれば任意の形状とすることができる。例えば或る実施形態ではカソード電極側配置表面を平面とすることができる。別の実施形態では、カソード電極側配置表面が曲面であってもよく、あるいは凹凸や突起などの幾何学的形状を有していてもよい。
ターゲットのカソード電極側配置表面と、スパッタリング装置のカソード電極との接続にあたっては、一般にスパッタリング分野にて行われている手法を採ることができる。例えば或る実施形態では、カソード電極側配置表面とカソード電極は単に触れているように(すなわち、ターゲットをカソード電極に置くように)することができる。またこの際にバッキングプレート(二酸化珪素のバッキングプレートなど)をカソード電極側配置表面とカソード電極との間に介在させることも可能であり、以下同様である。
別の実施形態では、ターゲットとカソード電極を、スパッタリング工程を阻害しないような任意の接着手段(金属ペーストなどによる接着など)を以って接続してもよい。なおも別の実施形態では、カソード電極側配置表面とカソード電極は直接の接着はされていないものの、ターゲット自体が係止手段(ソケットやバネなど)で固定されるために、カソード電極側配置表面とカソード電極とが固定されて接触するという構成も可能である。そうした係止手段は耐熱性のものが好ましい。カソード電極側配置表面がカソード電極に固定されることで、ターゲットを簡単に縦置きできるようになり、例えばマルチチャンバー型のスパッタリング装置で好ましく用いることができる。
断熱部が含む多孔質の酸化マグネシウム焼結体は、多孔質のため嵩密度(寸法と重量から計算される嵩密度)は低いものの、孔部分以外は十分に緊密になっており、スパッタリング工程における高温に曝されてもさらなる焼結による縮みを抑えられるという効果を奏する。特定の理論に束縛されることを意図するわけではないが、本発明の実施形態に係る多孔質の酸化マグネシウム焼結体においては、孔部分以外のいわば「骨格」が十分に堅牢であるためにスパッタリング工程の高温に曝されても焼け縮むことが無いのであると考えられる。
そうした多孔質の酸化マグネシウム焼結体は、例えば原料粉体(酸化マグネシウムの粒子など)を適切な温度等条件下(例えば温度約1500℃以上、好ましくは約1500℃以上約1600℃以下の空気雰囲気下)で焼結することによって得ることができる。また例えば或る実施形態では、焼結助剤(コバルト、アルミナ、イットリアなど)を添加した酸化マグネシウム粒子を適切な温度等条件下(例えば温度約1500℃以上、好ましくは約1500℃以上約1600℃以下の空気雰囲気下)で焼結することで、多孔質の酸化マグネシウム焼結体を得ることが可能である。好ましい別の実施形態では、当該原料粉体に造孔剤(焼結によって蒸散する素材の粒子など)を加えて適切な温度等条件下(例えば温度約1500℃以上、好ましくは約1500℃以上約1600℃以下の空気雰囲気下)で焼結することで、造孔剤の大きさに応じた比較的均一な孔構造を有する酸化マグネシウム焼結体を得ることも可能である。なおも別の実施形態では、ゲル化凍結法によって多孔質の酸化マグネシウム焼結体を得てもよい。
多孔質の焼結体を得るために使用できる造孔剤としては特に制限はされないが、焼結による酸化マグネシウムの縮み分を考慮して、求める孔の大きさよりもある程度大きい径を持つ粒子を用いることが好ましい。粒子の材質にも依るが、例えば求める孔の径の3〜5倍の大きさの径の粒子を用いることが好ましいと考えられる。造孔剤の材料は特に制限はされず、例えば樹脂粒子(フラン樹脂やフェノール樹脂など)、黒鉛粉末、金属粒子などであってよいが、焼結により蒸散することでターゲットを汚染しないような材料が好ましい。
多孔質の酸化マグネシウム焼結体が有する孔径は特に制限されないが、例えば平均孔径で200 μm以下、160μm以下、100 μm以下、30 μm以下、20 μm以下、もしくは10 μm以下とすることができる。また平均孔径の下限値も特に制限されないが、例えば0.5 μm以上、1 μm以上、もしくは2 μm以上とすることができ、任意の上限値と組み合わせてもよい。なお本明細書においては、平均孔径はJIS G0551:2013の附属書Bにある結晶粒の計測方法を利用して孔の部分を計測して求められたものである。
多孔質の酸化マグネシウム焼結体の気孔率は好ましくは、例えば約5%〜40%の範囲、約5%〜30%の範囲、もしくは約10%〜30%の範囲とすることが可能である。なお本明細書においては、気孔率(開気孔率)はJIS R1634:1998に則って求められるものである。
断熱部の嵩密度(バルク密度)は3.00 g/cm3以下であり、好ましくは1.00 g/cm3以上3.00 g/cm3以下の範囲、より好ましくは1.25 g/cm3以上3.00 g/cm3以下の範囲、さらに好ましくは1.50 g/cm3以上2.90 g/cm3の範囲とすることができる。断熱部の嵩密度が小さすぎる(例えば1.00 g/cm3未満である)と、材料強度が弱くなるばかりか、スパッタリング工程中にさらなる焼結が進んでしまって縮むことでターゲットが破損する欠点がある。一方、断熱部の嵩密度が高すぎる(例えば2.90 g/cm3を超える)と、断熱が不十分になり、ホットカソード法に適さなくなるおそれがある。なお本明細書においては嵩密度は多孔質材料の重量と寸法から測定するものである。
断熱部の熱膨張係数は、300 Kにおいて12.0×10-6 K-1から13.5×10-6 K-1の範囲であり、好ましくは12.2×10-6 K-1から13.5×10-6 K-1の範囲、より好ましくは12.5×10-6 K-1から13.5×10-6 K-1の範囲であってよい。断熱部とスパッタ部の熱膨張係数が近いことが好ましく、熱膨張係数の差が大きすぎると断熱部とスパッタ部の間の歪みが大きくなりターゲットが割れるなどの不具合が生じるおそれがある。なお本明細書においては、熱膨張係数はJIS R1618:2002に則って求められるものである。
断熱部が含む多孔質の酸化マグネシウム焼結体の純度は特に制限されない。例えば断熱効果の観点からは、不純物(フェノール樹脂やSiO2といったバインダーなど)を含んでいたほうが好ましい場合があり、例えば酸化マグネシウムの純度は約50質量%以上、約60質量%以上、約70質量%以上、約80質量%以上、もしくは約90質量%以上とすることもできる。
ターゲットが有するスパッタ部は、上記断熱部のカソード電極側配置表面の反対方向を向いた開放表面を有する部位である。当該開放表面は、スパッタリング工程において酸化マグネシウムを昇華させて放出するように構成される。これは、ホットカソード法を用いることで、ターゲットのエロージョン領域を拡大し、開放表面のうちの広い領域(好ましくは全体)を使って、酸化マグネシウムを昇華させ放出させるという特徴を意味する。この特徴により、安定した高速成膜が可能となる。
スパッタ部と断熱部は接続されているため、スパッタ部へのカソード電極からの熱衝撃が緩和されてスパッタ部が保護され、しかもスパッタ部は十分に高温になるため高速成膜が可能になる。
スパッタ部の持つ開放表面は、酸化マグネシウムの放出ができるものであれば任意の形状とすることができる。例えば或る実施形態では開放表面を平面とすることができる。別の実施形態では、開放表面が曲面であってもよく、あるいは凹凸や突起などの幾何学的形状を有していてもよい。
スパッタ部の熱膨張係数は、300 Kにおいて12.0×10-6 K-1から14.5×10-6 K-1の範囲であり、好ましくは12.2×10-6 K-1から14.5×10-6 K-1の範囲、より好ましくは12.5×10-6 K-1から14.5×10-6 K-1の範囲であってよい。上述したように、断熱部とスパッタ部の熱膨張係数は近いことが好ましい。
スパッタ部の気孔率は特に制限されないが、例えば約0%〜40%の範囲、好ましくは約0%〜30%の範囲とすることが可能である。
或る実施形態においては、スパッタ部が多孔質の酸化マグネシウム焼結体を含んでいてもよい。この多孔質の酸化マグネシウム焼結体は、上述した手法で製造することができ、例えば断熱部と同じもしくは類似した組成や物性を持つものであってもよい。この実施形態の或る態様では、断熱部とスパッタ部が同一の多孔質酸化マグネシウム焼結体からなることができる。この実施形態の別の態様においては、断熱部とスパッタ部が異なる多孔質酸化マグネシウム焼結体からなってもよい。別の実施形態においては、スパッタ部は緻密質であってよく、例えば緻密質の酸化マグネシウム焼結体を含むものであってよい。この実施形態の或る態様では、緻密質の酸化マグネシウムが単結晶酸化マグネシウム(密度3.585 g/cm3程度)であってもよい。
或る実施形態においては、スパッタ部と断熱部は接着されており、例えば金属ペーストや接着剤で接着されている。金属ペーストの種類は任意ではあるが、金属の融点などの観点からは例えばAg、Au、Pd、およびNiから選択することが可能である。金属ペーストを使う場合、スパッタ部と断熱部の間に接合層としての金属層が存するようにできる。接合層の厚さは特に制限されないが、例えば0.1 mm〜1 mmの範囲の厚さとすることが可能である。
別の実施形態においては、スパッタ部と断熱部とを一体化して成形してもよい。この実施形態の或る態様では、スパッタ部と断熱部の組成と物性が同一であってもよい。別の態様では、組成と物性が同一でない(例えば嵩密度や孔分布などがターゲットの高さ方向に傾斜されている)ようにすることも可能である。
或る実施形態においては、スパッタ部は好ましくは、得られる薄膜の汚染を避けるために高純度のものである。例えばスパッタ部が(緻密質もしくは多孔質の)酸化マグネシウムを含むにあたり、その純度は99質量パーセント以上、好ましくは99.9質量パーセント以上、より好ましくは99.99質量パーセント以上とすることが可能である。別の実施形態では、スパッタ部またはターゲット全体に、金属元素(Ag、Au、Cu、Fe、Pt、Ir、Pdなど)や非金属元素(B、Si、Ruなど)を添加物または不純物として含めることも可能である。そうした金属元素は焼結体中で固溶しているものであってよい。
本発明の実施形態に係るターゲットは、誘電体である酸化マグネシウムを含むため、好ましくはセラミックのスパッタに適するRFスパッタリング(高周波スパッタリング)において用いることができる。RFスパッタリングの方式は、二極法であってもよいしマグネトロン法であってもよい。また、RFスパッタリングを行う装置には、不活性ガス(ArやNeといった希ガスなど)を導入してよく、あるいは当該不活性ガスに加えて反応性ガス(N2やO2など)を導入すること(すなわち反応性スパッタリングを行うこと)も可能である。
また本発明の別の実施形態では、酸化マグネシウムは2000℃程度の高温では炭素に匹敵する電気伝導性を持つことから、一般にはセラミックに適さないとされるDCスパッタリング(直流スパッタリング)にターゲットを掛けることも排除されない。本発明のなおも別の実施形態においては、ターゲットをRFスパッタリング以外のスパッタリングに掛けることも可能であり、例えばイオンビームスパッタリングや電子サイクロトロン(ECR)スパッタリングに掛けることも可能である。
ターゲットの大きさは任意に設定することができ、用途やスパッタリング装置の大きさなどに応じて決めることが可能である。ターゲットの厚さについても制限は無いが、スパッタリング工程を進めやすい厚さとして例えば約1 mm〜10 mm、好ましくは約2 mm〜5 mmの範囲を選択することができる。
或る実施形態においては、スパッタ部と断熱部の厚さの比率(積層方向に沿った長さの比率、界面が端面に平行でない場合には当該長さの平均値の比率)を、1:10〜10:1の範囲、好ましくは1:5〜5:1の範囲、より好ましくは1:2〜2:1の範囲とすることができる。このように設定することで、断熱部の熱衝撃緩和機能とスパッタ部の酸化マグネシウム放出機能の均衡を取りやすくなる効果が奏される。
本発明の実施形態に係るターゲットでは、スパッタ部の結晶相を調節することで、求める配向を有するMgO薄膜を製造可能であり、例えば(002)配向のMgO薄膜を製造可能である。
本発明の実施形態に係るターゲットを用いることで得られるMgO薄膜は、例えばプラズマディスプレイ装置、磁気トンネル接合(MTJ)素子、垂直磁気記録媒体、熱アシスト型垂直磁気記録媒体、圧電(PZT)膜の製造といった用途に適用可能である。
[本発明に係るターゲットの第一の態様]
図1は、本発明の実施形態に係るターゲットの第一の態様を説明するための概要図であって、ターゲット 100 を積層方向に対して垂直な向きから見たものである。この第一の態様においては、ターゲット 100 はスパッタ部 110 および断熱部 120 を有する。なお図1ではスパッタ部 110 と断熱部 120 とが同じ大きさであるかのように描いてあるが、これはあくまで例示であって、スパッタ部 110 と断熱部 120 の寸法はそれぞれ異なっていてもよい。また図1および後述の図2では、ターゲット 100, 200 がソケットやバネなどの係止手段(不図示)により縦置きされる態様を一例として描いている。このように縦置きすることで、例えばマルチチャンバー型スパッタリング工程に好ましく用いることが可能となる。別の態様では、ターゲット 100, 200 が平置きなどの別の向きで配置されてもよい。
ターゲット 100 の有するスパッタ部 110 は、酸化マグネシウムを放出するための開放表面 112 を有する。図1では開放表面 112 が平面であるかのように描いてあるが、これは例示であって実際には曲面であってもよいしまたは凹凸や突起を有していてもよい。スパッタ部 110 は酸化マグネシウムを放出できるものであれば任意の材料を含むことができ、例えば緻密質の酸化マグネシウム焼結体、多孔質の酸化マグネシウム焼結体、または酸化マグネシウム単結晶を含んでいてもよい。
ターゲット 100 の有する断熱部 120 はカソード電極側配置表面 122 を有する。カソード電極側配置表面 122 は、カソード電極 91 に向けて配置される(カソード電極 91 はターゲット 100 に含まれるものではないので一点鎖線で描いてある)。なお図1では示してはいないが、断熱部 120 とカソード電極 91 との間にバッキングプレートが介在していてもよい。カソード電極 91 を有するスパッタリング装置(不図示)は、例えばマグネトロン部位(磁石)を有することができる。断熱部 120 は多孔質の酸化マグネシウム焼結体を含む。
断熱部 120 は、カソード電極 91 から緩和された電力と熱衝撃をスパッタ部 110 へと伝えるという役割を持つ。ターゲット 100 ではスパッタ部 110 と断熱部 120 の熱膨張係数が近く、また断熱部 120 が所定の嵩密度と熱膨張係数の組み合わせを有する多孔質焼結体であるため、スパッタリング工程において高温になってもターゲット 100 が破損しないという効果が奏される。
図1ではスパッタ部 110 と断熱部 120 との間の界面 130 を便宜上示しているが、必ずしもスパッタ部 110 と断熱部 120 とが直線的に分劃されている必要は無い。例えばターゲット 100 は、気孔率や嵩密度が積層方向に沿って傾斜しているものであってよく、界面 130 はそれらの傾斜したパラメータの閾値を示すものであってもよい。あるいは界面 130 が曲面であってもよい。別の形態では、スパッタ部 110 と断熱部 120 とが一体成形され、界面 130 が明確には存在しなくともよい。なおも別の形態では、スパッタ部 110 と断熱部 120 とが同一の材料からなり、界面 130 が事実上存在しなくともよい。
[本発明に係るターゲットの第二の態様]
図2は、本発明の実施形態に係るターゲットの第二の態様を説明するための概要図である。第二の態様は第一の態様と大概類似しているが、断熱部 220 とスパッタ部 210 との間に接合層 230 が設けられる点が異なる。この接合層 230 はカソード電極 91 から断熱部 220 を介して伝わる(緩和された)電力と熱衝撃をスパッタ部 210 へと伝えるという役割を持つ。ターゲット 200 においても、ターゲット 100 と同様に、スパッタ部 210 と断熱部 220 の熱膨張係数が近く、また断熱部 220 が所定の嵩密度を有する多孔質焼結体であるため、スパッタリング工程において高温になってもターゲット 200 が破損しないという効果が奏される。
接合層 230 は、高温となるスパッタリング工程において融解・蒸発しない材料であることが好ましい。接合層 230 としては一般に低融点の金属や樹脂は好ましくないと考えられるが、この第二の態様はそれらを排除まではするものではない。好ましくは接合層 230 は、金属の融点などの観点からはAg、Au、Pd、およびNiから選択される一種以上を含むことができる。接合層 230 を形成するにあたっては、上記金属などを含んだペーストとして断熱部 220 とスパッタ部 210 の間に塗布して焼結することで形成可能である。別の態様では、スパッタ部 210 と断熱部 220 の間に金属板を接着するようにしてもよい。また、第二の態様の効果を奏する限りにおいて、接合層 230 を熱や電流を伝導可能な非金属層として設けてもよい。
本発明の実施形態においては、ターゲットを製造する方法が提供される。当該方法は、酸化マグネシウム粉末100質量部に対し、造孔剤を5〜25質量部、好ましくは10〜20質量部の量で加えて混合物を得るステップと、当該混合物を1500℃以上の温度、好ましくは1500℃〜1600℃の範囲の温度で焼結し、多孔質の酸化マグネシウム焼結体を得て、これをターゲットの一部または全部として用いるステップとを含む。
[スパッタリング方法の概要]
上述したターゲットを用いるスパッタリング方法としては例えば、上述したRFマグネトロンスパッタリングを用いることができる。RF出力(投入電力)は例えば約500 W以上、約750 W以上、約1000 W以上、約1250 W以上、もしくは約1500 W以上とすることができる。本発明の実施形態においては、ターゲットが耐えるかぎりにおいて高いRF出力にすることで(例えば約750 W以上にすることで)、顕著な速度でMgO薄膜を成膜することができ、例えば約0.5 nm/sec以上、約1.0 nm/sec以上、もしくは一般の金属薄膜の成膜速度と同程度である約2 nm/sec以上の成膜速度を達成することも可能となる。
本発明の実施形態に係るターゲットをスパッタリングに掛けるにあたっては、好ましくは前スパッタリング処理(プレスパッタリング)工程を行い、ターゲット表面に付着している不純物の除去を行うことが好ましい。好ましくはプレスパッタリング工程は、約5分以上、約10分以上、約15分以上、もしくは約30分間の期間にわたって、例えば約250 W、約500 W、約750 W、もしくは約1000 WのRF出力を掛けることによって行うことが可能である。プレスパッタリング工程中には成膜対象となる基板は遮蔽しておくのが得られる膜の品質の観点から好ましい。
本発明の実施形態に係るターゲットをスパッタリングに掛けるにあたっては、好ましくは真空に引いたスパッタリングチャンバー内に希ガスなどの不活性ガスを導入して行う。好ましくは、スパッタリングチャンバーの真空排気装置の排気能に合わせた流量で不活性ガスを流すことで、高い不活性ガス圧を得て行うことができる。不活性ガスとして好ましくは希ガスを用いることができ、より好ましくはアルゴン(Ar)ガスを用いることができる。
[実施例1]
前述した第一の態様に基づいて、以下の要領でターゲットを製造した。
酸化マグネシウム粒子85.0 gに造孔剤としてMX-1000(綜研化学株式会社製の架橋アクリル単分散粒子、φ10 μm)を15.0 g混合し、1600℃で大気雰囲気中で焼結して多孔質の酸化マグネシウムターゲット(φ104 mm、厚さ3 mm)を得た。ターゲットの嵩密度は2.72 g/cm3、熱膨張係数は14×10-6 K-1であった。
図3にターゲットの顕微鏡写真(2000倍拡大)を示す。平均孔径は約6μmであった。
得られたターゲットを用いて、下記の積層構成を有する層系の製造を行った。
基板側から
Ni_60Ta40 (2nm) / Cr40Ti60 (20nm) / Cr80Mn20(30 nm) / MgO
(組成はatom%で示す)
基板としてナノ結晶ガラス(オハラ社製)を用いた。ターゲットとカソード電極の間に、SiO2製のバッキングプレート(φ104 mm、厚さ2 mm)を設置し、ターゲットと共にSiO2製のリング(内径φ105.5 mm、厚さ5 mm)を使ってカソード電極上に固定した。
前処理として、MgO以外の金属層を下記の条件の従来技術に係るDCマグネトロンスパッタリングで作成した。成膜速度は、いずれの層も3 nm/sec程度であった。
放電条件: 投入電力 500 W
Arガス圧: 0.6 Pa
基板温度: RT(室温)
金属層を成膜した基板に対し、本発明の実施形態に係る上述のターゲットを用い、下記の条件でRFマグネトロンスパッタリングを行ってMgO成膜を行った。プレスパッタリング時間を0分(行わず)、15分、または30分行ってから、それぞれスパッタリングを行ってデータを得た。
放電条件: 投入電力 100〜1000 W
Arガス圧: 7 Pa
基板温度: RT, 500℃
成膜時間: 100 sec.
スパッタリング中のターゲット温度は、ファイバ式放射温度計IR-FA(チノー社製)を用い、λ = 1.55 μmとして防護ガラス越しに計測した。
得られた層系の構造解析は、薄膜構造解析用X線回折装置(リガク社製 ATX-G)を用いて行った。管球として回転対陰極式X線源 Cu-Kα(50 kV, 300 mA)を用いた。MgO層の配向をX線回折のout-of-planeプロファイルから確認したところ、(002)配向であることがわかった。
MgO薄膜の成膜速度を示すグラフを図4に示す。プレスパッタリング時間を15分間にした場合において、投入電力1000 Wで成膜速度約2.1 nm/secを達成できていることがわかる。
[実施例2]
酸化マグネシウム粒子85.0 gに造孔剤としてMX-1000(綜研化学株式会社製の架橋アクリル単分散粒子、φ10 μm)を15.0 g混合し、1600℃の大気雰囲気中で焼結して多孔質の酸化マグネシウムターゲット(φ104 mm、厚さ3 mm)を得た。ターゲットの嵩密度は2.56 g/cm3、熱膨張係数は13×10-6 K-1であった。
得られたターゲットを実施例1と同様の条件で用い(ただしプレスパッタリング時間として10分間の例を追加した)、MgO成膜を行った。図5にMgO薄膜の成膜速度を示すグラフを示す。プレスパッタリング時間を10分間または15分間にした場合において、投入電力1000 Wで成膜速度約2.1 nm/secを達成できていることがわかる。
[実施例3]
酸化マグネシウム粒子85.0 gに造孔剤としてMX-3000(綜研化学株式会社製の架橋アクリル単分散粒子、φ30 μm)を15.0 g混合し、1500℃の大気雰囲気中で焼結して多孔質の酸化マグネシウムターゲット(φ104 mm、厚さ3 mm)を得た。ターゲットの嵩密度は1.67 g/cm3、熱膨張係数は13×10-6 K-1であった。
図6にターゲットの顕微鏡写真(200倍拡大)を示す。平均孔径は約20 μmであった。
得られたターゲットを実施例1と同様の条件で用い、MgO成膜を行った。図7にMgO薄膜の成膜速度を示すグラフを示す。プレスパッタリング時間を15分間にした場合において、投入電力1000 Wで成膜速度約2.1 nm/secを達成できていることがわかる。
以上のようにして得られたMgO薄膜のout-of-plane法で得られたX線回折プロファイルを、参照(reference)と共に図8に示した。(002)配向のMgO薄膜が得られていることが理解される。
[実施例4]
孔径が大きい例として、以下の手順でターゲットを作成した。
酸化マグネシウム粒子85.0 gに造孔剤としてBEAPS-C180(旭有機材工業株式会社製の真球状粒子、φ180 μm)を15.0 g混合し、1600℃の大気雰囲気中で焼結して多孔質の酸化マグネシウムターゲット(φ104 mm、厚さ3 mm)を得た。ターゲットの嵩密度は2.69 g/cm3、熱膨張係数率は13×10-6 K-1であった。
図9にターゲットの顕微鏡写真(200倍拡大)を示す。平均孔径は約160 μmであった。
得られたターゲットを実施例1と同様の条件で用い、MgO成膜を行った。成膜の様子から、プレスパッタリング時間を15分間にした場合において、投入電力1000 Wで成膜速度約2.0 nm/secを達成できたものと推測される。
[実施例5]
前述した第二の態様に基づいて、以下の要領でターゲットを製造した。
緻密質マグネシアセラミックス(豊島製作所が市販する高密度マグネシア、熱膨張係数: 14×10-6 K-1、気孔率:0%)をφ104 mm、厚さ3mmの円盤形状に加工した。多孔質マグネシアセラミックス(ティーイーピー株式会社製 TEP-MgO-P、熱膨張係数: 13×10-6 K-1、嵩密度: 2.8 g/cm3、気孔率:20%)をφ104mm、厚さ2mmの円盤形状に加工した。
緻密質マグネシアセラミックスに銀粉ペーストSMP-2800(信越化学工業株式会社製)を約3g塗布し、多孔質マグネシアセラミックスを当該塗布面に圧着して、1200℃の大気雰囲気中で焼結し、銀粉ペースト中の樹脂を除去し、ターゲットを得た。
得られたターゲットを実施例1と同様の条件下に置いたところ、破損しないことが確認され、ターゲットとして機能すると判断することができた。
91 カソード電極
100 第一の態様に係るターゲット
110 スパッタ部
112 開放表面
120 断熱部
122 カソード電極側配置表面
130 界面
200 第二の態様に係るターゲット
210 スパッタ部
212 開放表面
220 断熱部
222 カソード電極側配置表面
230 接合層

Claims (10)

  1. 酸化マグネシウムを含んで構成されるスパッタリングターゲットであって、
    スパッタリング装置のカソード電極側を向いて配置されるように構成されたカソード電極側配置表面を有し、多孔質の酸化マグネシウム焼結体を含んだ断熱部と、
    前記断熱部の前記カソード電極側配置表面の反対方向を向いた開放表面を有し、前記開放表面から酸化マグネシウムを昇華させて放出するように構成され、かつ前記断熱部と直接または間接に接続されたスパッタ部と
    を有し、
    前記断熱部の嵩密度が、3.00 g/cm3以下であり、
    前記断熱部の熱膨張係数が300 Kにおいて、12.0×10-6 K-1から13.5×10-6 K-1の範囲であり、
    前記スパッタ部の熱膨張係数が300 Kにおいて、12.0×10-6 K-1から14.5×10-6 K-1の範囲である
    ことを特徴とする、スパッタリングターゲット。
  2. 前記断熱部と前記スパッタ部とが接合層を介して接着された構造を有する、請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
  3. 前記接合層が、Ag、Au、Pd、およびNiからなる群から選択される一種以上の金属を含む、請求項2に記載のスパッタリングターゲット。
  4. 前記スパッタ部が緻密質の酸化マグネシウム焼結体を99質量パーセント以上の純度で含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
  5. 前記断熱部と前記スパッタ部とが、一体化された多孔質構造を構成している、請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
  6. 前記断熱部と前記スパッタ部とが同一の多孔質の酸化マグネシウム焼結体により構成されている、請求項5に記載のスパッタリングターゲット。
  7. 前記断熱部の有する平均孔径が、200 μm以下の範囲である、請求項1から6のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
  8. 前記断熱部の有する平均孔径が、2 μm以上160 μm以下の範囲である、請求項7に記載のスパッタリングターゲット。
  9. 前記断熱部の嵩密度が、1.50 g/cm3以上2.90 g/cm3以下の範囲である、請求項1から8のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
  10. (002)配向のMgO層を作成するために用いられる、請求項1から9のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
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