JP2017197627A - 熱溶融積層方式造形用ポリプロピレン系樹脂組成物およびストランド - Google Patents

熱溶融積層方式造形用ポリプロピレン系樹脂組成物およびストランド Download PDF

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Abstract

【解決課題】熱溶融積層方式造形において造形物が収縮したり、反り、ねじれ等の成形不良の発生が少ないポリプロピレン系樹脂組成物およびそれよりなるストランドを提供すること。【解決手段】特性(X−1)〜(X−3)を示すポリプロピレン系樹脂(X)を含む熱溶融積層方式造形用ポリプロピレン系樹脂組成物(Y)。【選択図】なし

Description

本発明は、熱溶融積層方式造形用のポリプロピレン系樹脂組成物に関するものであり、特に造形中に収縮や反り、ねじれ等の造形不良の発生が少ないポリプロピレン系樹脂組成物およびそのストランドを提供するものである。
従来から、造形対象物を平行な複数の面で切断した断面毎に樹脂を順次積層することによって立体造形を行い、造形対象物の3次元モデルとなる造形物を生成する技術が知られている。このような技術は、3次元造形と呼ばれ、部品試作及び製品製造などに利用することができる。
3次元造形の方法としては、光硬化性樹脂を用いる光造形法、金属や樹脂の粉末を用いる粉末積層法、樹脂を溶融させて積層させる熱溶融積層法(FDM法)、液状または粉末状の樹脂や金属を噴射するインクジェット法などが知られている。
熱溶融積層法の例として、例えば特許文献1(特表2005−531439号公報)に約0.5〜10重量%のシリコーンを含む熱可塑性樹脂組成物の層を堆積する方法が開示されている。この技術においては熱可塑性樹脂組成物として、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリフェニルスルホン、ポリフェニレン、ポリカーボネート、高衝撃性ポリスチレン、ポリスルホン、ポリスチレン、アクリル系樹脂、アモルファス・ポリアミド、ポリエステル、ナイロン、PEEK、PEAKおよびABSが例示されている。
また、これら以外に、ポリ乳酸も広く用いられている。
しかしながら、これらの熱可塑性樹脂組成物の多くは非晶性であり、耐有機溶剤性、耐薬品性に劣るため、造形物の生成に用いることはできるものの、極めて制限された用途にのみしか実使用に供することが出来なかった。
また、造形時に不快な臭気を発するものや、吸湿により材質が劣化したり、造形中に発泡するものもあり、作業性の観点からも改良の余地があるものであった。
耐有機溶剤性、耐薬品性ならびに耐吸湿性に優れる熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂等の結晶性、半結晶性のポリオレフィンが知られており、特にポリプロピレン系樹脂は耐熱性に優れ、高い透明性や高い光沢度を示しやすいため、食品容器、日用品、包装フィルム、シート、ブローボトル、自動車部材、医療容器等の各種成形品に広く用いられている。
しかしながら、ポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂等のポリオレフィン樹脂は、一般に結晶性を有するため、熱溶融積層法にて3次元造形物を製造する際、冷却固化時の結晶化により、特に造形中に収縮や反り、ねじれ等の成形不良が発生する問題があり、これまで熱溶融積層法用途に適用可能なポリプロピレン系樹脂組成物は知られていなかった。
特表2005−531439号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、熱溶融積層方式造形において造形中に収縮や反り、ねじれ等の造形不良の発生が少ないポリプロピレン系樹脂組成物およびそのストランドを提供するものである。
本発明は、
[1]以下の特性(X−1)〜(X−3)を示すポリプロピレン系樹脂(X)を含む熱溶融積層方式造形用ポリプロピレン系樹脂組成物(Y)。
特性(X−1):メルトフローレート(MFR:JIS K7210:1999のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重))が1.0〜100g/10分。
特性(X−2):示差熱走査熱量計(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で−10℃まで温度を降下させて測定した結晶化ピーク温度(Tc)が105℃以下。
特性(X−3):示差熱走査熱量計(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で−10℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて200℃まで温度を上昇させた際に測定される、10〜200℃の範囲での融解熱量(ΔHm)が、70J/g以下。
[2]ポリプロピレン系樹脂(X)の一部または全部がメタロセン系重合体である[1]に記載の熱溶融積層方式造形用ポリプロピレン系樹脂組成物(Y)。
[3]ポリプロピレン系樹脂(X)が、プロピレンとエチレンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフィンとのブロック共重合体である[1]または[2]に記載の熱溶融積層方式造形用ポリプロピレン系樹脂組成物(Y)。
[4]ストランド径が1.0〜5.0mmである、[1]乃至[3]に記載の熱溶融積層方式造形用ポリプロピレン系樹脂組成物(Y)からなるストランド。
を、提供するものである。
本発明の熱溶融積層方式造形用ポリプロピレン系樹脂組成物を用いることにより、造形中に収縮や反り、ねじれ等の造形不良の発生が少ないポリプロピレン系造形品が提供することができる。また、本発明の熱溶融積層方式造形用ポリプロピレン系樹脂は、耐有機溶剤性、耐薬品性、耐吸湿性、耐熱性にも優れるため、その造形品は広範な用途の実使用に供することが出来る。
[ポリプロピレン系樹脂(X)]
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂(X)は、以下の特性(X−1)〜(X−3)を示す。
特性(X−1):メルトフローレート(MFR:JIS K7210:1999のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重))が1.0〜100g/10分である。
特性(X−2):示差熱走査熱量計(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で−10℃まで温度を降下させて測定した結晶化ピーク温度(Tc)が105℃以下である。
特性(X−3):示差熱走査熱量計(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で−10℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて200℃まで温度を上昇させた際に測定される、10〜200℃の範囲での融解熱量(ΔHm)が70J/g以下である。
ポリプロピレン系樹脂(X)は、一種類からのみなるものでもよいし、二種類以上の混合物でもよい。二種類以上の混合物の場合、混合物として前記特性(X−1)〜(X−3)を示せばよい。
ポリプロピレン系樹脂(X)のメルトフローレートは、1.0〜100g/10分、好ましくは5.0〜50g/10分、更に好ましくは10〜50g/10分、特に好ましくは15〜50g/10分である。メルトフローレートが上記範囲内であれば、適正な押出負荷、押出速度で造形しやすい。
ポリプロピレン系樹脂(X)の結晶化ピーク温度(Tc)は、105℃以下、好ましくは100℃以下、更に好ましくは95℃以下、特に好ましくは90℃以下である。結晶化ピーク温度(Tc)が105℃以下であれば、造形時に反りやねじれが発生しにくい。
ポリプロピレン系樹脂(X)の融解熱量(ΔHm)は、70J/g以下、好ましくは68J/g以下、更に好ましくは65J/g以下である。融解熱量(ΔHm)が70J/g以下であれば、造形時に反りやねじれが発生しにくいだけでなく、経時での収縮や、経時での反りやねじれが発生しにくくなる。
ポリプロピレン系樹脂(X)の製造方法は特に限定されず、公知の方法で得られたものを用いることが出来るが、メタロセン系重合体すなわちメタロセン触媒により重合されたものであることが好ましい。メタロセン触媒により重合されたものは、融解熱量(ΔHm)が70J/g以下、好ましくは68J/g以下、更に好ましくは65J/g以下という結晶化度の低いものでもベタツキにくく、本発明の熱溶融積層方式造形用ポリプロピレン系樹脂組成物(Y)のベタツキを抑制する効果がある。
ポリプロピレン系樹脂(X)は、メルトフローレート(MFR)が1.0〜100g/10分であり、結晶化ピーク温度(Tc)が105℃以下であり、融解熱量(ΔHm)が70J/g以下であればよく、それ以外は特に限定されないが、融解ピーク温度(Tm:前記DSC法により測定)が好ましくは100〜166℃、より好ましくは110〜150℃、更に好ましくは120〜140、特に好ましくは125〜135であると、沸騰水以上の温度でも融解しないため、実用に供する用途に広がりが期待できる。
また、ポリプロピレン系樹脂(X)としては、プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフィンとのランダム共重合体、プロピレンとエチレンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフィンとのブロック共重合体、およびそれらの組み合わせを挙げることができる。
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂(X)は、例えば日本ポリプロ(株)製商品名:WELNEXや、エクソンモービル社製商品名:Vistamaxxや、ダウケミカル社製商品名:Versifyや、三井化学社製商品名:タフマーPN、タフマーXM、ノティオSN等が挙げられる。また、例えば日本ポリプロ(株)製商品名:WINTECやノバテックPP等のポリプロピレン系樹脂と前記日本ポリプロ(株)製商品名:WELNEXや、エクソンモービル社製商品名:Vistamaxxや、ダウケミカル社製商品名:Versifyや、三井化学社製商品名:タフマーPN、タフマーXM、ノティオSN等の混合物も本発明で用いるポリプロピレン系樹脂(X)として例示することが出来る。
また、所望のMFRのポリプロピレン系樹脂(X)を得る手法は、重合時に分子量を調整する方法や、重合により得られたポリプロピレン系樹脂を熱により減成する方法、溶融混練や溶液中にて過酸化物処理により減成する方法など、公知の手法を採用すればよい。
[熱溶融積層方式造形用ポリプロピレン系樹脂組成物(Y)]
本発明の熱溶融積層方式造形用ポリプロピレン系樹脂組成物(Y)は、ポリプロピレン系樹脂(X)に、所望により通常ポリプロピレン系樹脂に配合される添加剤が配合されたものである。添加剤としては、例えば造核剤、酸化防止剤、中和剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、金属不活性化剤、難燃剤、難燃助剤、耐熱安定剤、スリップ剤、抗ブロッキング剤、防曇剤、シリコーン、シリコーンオイル等が挙げられるが、必ずしも配合されていなくてもよい。
これらの添加剤のうち、酸化防止剤は、ポリプロピレン系樹脂の安定化のために配合されることが多く、また、得られた造形品の経時による劣化を防ぐ効果が期待されるため配合することが好ましい。酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤に代表される一次酸化防止剤やリン系酸化防止剤に代表される二次酸化防止剤が知られているが、所望の性能により適宜選択すればよい。また、配合量は通常、ポリプロピレン系樹脂(X)100重量部に対して、0.005〜0.5重量部程度であるが、所望の性能により適宜調整すればよい。
また、中和剤として広く用いられる金属石鹸も、熱溶融積層造形装置のノズル詰まりの防止、目ヤニの防止等の観点から配合することが好ましい。金属石鹸としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、12ヒドロキシステアリン酸マグネシウム等が知られているが、所望の性能により適宜選択すればよい。また、配合量は通常、ポリプロピレン系樹脂(X)100重量部に対して、0.005〜0.5重量部程度であるが、所望の性能により適宜調整すればよい。
本発明の熱溶融積層方式造形用ポリプロピレン系樹脂組成物(Y)は、ポリプロピレン系樹脂(X)と、必要に応じて、他の添加剤をヘンシェルミキサー(商品名)、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合し、得ることができる。更に必要に応じて、前記混合工程の後、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリミキサー等の混練機により溶融混練する方法により得ることもできる。
また、各成分は同時に混合および/又は溶融混練してもよいし、一部をマスターバッチとした上で、混合および/又は溶融混練してもよい。
[熱溶融積層方式造形]
本発明における熱溶融積層方式造形用ポリプロピレン系樹脂組成物(Y)は、熱溶融積層方式による造形に用いられる。熱溶融積層方式とは、熱可塑性樹脂を加熱溶融し、ノズルの先端から押出し、積層させて3次元造形物を造形する方法全般を指し、熱溶解積層方式、熱融解堆積方式と呼ばれることもある。また、造形装置の熱可塑性樹脂の供給構造により、粒子状(ペレット状)の原料を用いる場合と、一旦ストランド(またはフィラメントと呼ばれる場合もある)状に加工された後に造形に用いられる場合がある。
一旦ストランド状に加工される場合、本発明の熱溶融積層方式造形用ポリプロピレン系樹脂組成物(Y)は、まず公知の方法により、ストランド状に加工される。加工方法としては、シリンダー温度170℃〜260℃で溶融混練し、水槽中にストランドとして押し出し、速度可変ニップローラーによりストランドとして巻き取るなどの方法や、特表2013−506581号公報や、特表2013−506580号公報に挙げられる方法なども用いることが出来る。
具体的には、押出機にプロピレン系樹脂組成物(Y)を供給し、温度170〜260℃で溶融させた後、孔径1〜5mmの紡糸孔を有する紡糸口金より吐出させ、20〜60℃の水中で冷却・固化し、必要に応じ加熱ローラーで50〜100℃に加熱後、延伸倍率1.0〜15倍で延伸し、熱セット、乾燥後1〜200m/分の速度で巻き取ることにより得ることが出来る。また、Noztek社製商品名「The Pro ABS And PLA Filament Extruder For 3D Printers」のような、専用機を用いて得ることもできる。
ストランドは、真円状のもの、扁平状のもの、中空状のもの等が挙げられ、その形状は用いる熱溶融積層方式造形装置に適合したものを作成する。真円状のストランドの例として、その直径を1.75mm、2.85mm、3.0mmに調整することが例示できる。
上記で得られたストランドは、続いて熱溶融積層方式造形装置にて3次元造形物に造形される。熱溶融積層方式造形装置としては、市販のものが数多く市場に流通しており、任意のものを用いることが出来る。市販品の例としては、Makerbot社製商品名「Replicator」シリーズ、3DSystems社製商品名「Cube」シリーズ、Stratasys社製商品名「Idea」シリーズ、「Design」シリーズ、「Production」シリーズ、ホットプロシード社製商品名「Blade」シリーズ、XYZプリンティング社製商品名「ダヴィンチ」シリーズが挙げられ、また、粒子状(ペレット状)の原料を用いる市販品の例としては、ARBURG社製商品名「freeformer」シリーズが挙げられるが、これらに限られるものではない。
また、造形に当たっては、三次元モデルデータ(以下CADデータ)を熱溶融積層方式造形用のデータに変換する必要がある(Gコード変換)。具体的には、専用のソフトウェアを用いてCADデータを一層ずつスライスし、造形温度、造形速度、積層ピッチ、必要に応じてその他の設定を行う。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分):
JIS K7210:1999のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した。
(2)結晶化ピーク温度(Tc、単位:℃):
ティー・エイ・インスツルメント社製商品名Q2000型示差熱走査熱量計(DSC)を用い、試料5.0mgを採り、一旦200℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で−10℃まで温度を降下させて測定した際の、発熱ピークトップの温度を結晶化ピーク温度(Tc)とした。尚、複数のピークが観察される場合は、最も高温のピーク温度をTcとした。
(3)融解熱量(ΔHm、単位:J/g):
ティー・エイ・インスツルメント社製商品名Q2000型示差熱走査熱量計(DSC)を用い、試料5.0mgを採り、一旦200℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で−10℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて200℃まで温度を上昇させた際に測定される、10〜200℃の範囲での融解熱量(ΔHm)を測定した。
(4)融解ピーク温度(Tm、単位:℃):
ティー・エイ・インスツルメント社製商品名Q2000型示差熱走査熱量計(DSC)を用い、試料5.0mgを採り、一旦200℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で−10℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて200℃まで温度を上昇させた際の、吸熱ピークトップ温度を融解ピーク温度(Tm)とした。尚、複数のピークが観察される場合は、最も高温のピーク温度をTmとした。
(5)ポリプロピレン系樹脂組成物(Y)
PP1:日本ポリプロ(株)製メタロセン系重合体商品名「WELNEX RMG02」(MFR 20g/10分、Tc 92℃、ΔHm 65J/g、Tm 130℃)を用いた。
PP2:日本ポリプロ(株)製メタロセン系重合体商品名「WELNEX RFG4VM」(MFR 6g/10分、Tc 89℃、ΔHm 65J/g、Tm 130℃)を用いた。
PP3:本発明以外のポリプロピレン系樹脂組成物として日本ポリプロ(株)製メタロセン系重合体商品名「WINTEC WMG03」(MFR 30g/10分、Tc 110℃、ΔHm 90J/g、Tm 142℃)を用いた。
PP4:本発明以外のポリプロピレン系樹脂組成物として日本ポリプロ(株)製メタロセン系ではない重合体商品名「ノバテックPP FY4」(MFR 5g/10分、Tc 113℃、ΔHm 100J/g、Tm 160℃)を用いた。
PP5:本発明以外のポリプロピレン系樹脂組成物として日本ポリプロ(株)製メタロセン系重合体商品名「WINTEC WFX6」(MFR 2g/10分、Tc 90℃、ΔHm 75J/g、Tm 125℃)を用いた。
(6)ストランドの形成
PP1〜PP5をスクリュー径15mmの二軸混練押出機に導入し、ストランド状に加工した。
二軸混練押出機は、設定温度200℃、吐出量1.0kg/hrとした上で、真円状の直径3mmのダイから樹脂組成物を押出し、40℃の水槽を経て引取り装置で5m/minで引取った。延伸、熱セットは行わなかった。
得られたストランドの断面は、ほぼ真円状であり、その直径は1.70mmから1.80mmの範囲であり、平均値は1.75mmであった。
(7)熱溶融積層方式造形
0.4mmのノズルを取り付けたホットプロシード社製商品名「Blade−1」に、先に加工したストランドを供給し、ノズル温度210℃、成形テーブル温度90℃、積層ピッチ0.2mm、造形速度30〜60mm/分に設定し、また、反りの対策として、造形テーブルには両面粘着テープを敷き、全長70mm、全幅80mm、全高30mmのカエルの立体模型を造形した。尚、カエルのCADデータからのGコード変換には、Slic3rを用い、また、サポート材は用いなかった。
造形時に綺麗に造形できたものを○、造形はできたが、反りの影響でテーブルと底面の一部が浮いたものを△、造形中、造形物が反り、テーブルからはがれたものを×とした。
(実施例1)プロピレン系樹脂組成物としてPP1を用い、上述の方法でストランドを得、熱溶融積層造形を行った。結果を表1に示した。反り、ねじれ、収縮などの顕著な成形不良は見られなかった。また、得られた造形品を室温にて1ヶ月放置した後に目視にて形状確認を行ったが、反り、ねじれなどは確認されなかった。また、造形温度を200℃に下げても問題なく造形できた。
(実施例2)プロピレン系樹脂組成物としてPP2を用いた以外は実施例1と同様な操作を行った。結果を表1に示した。反り、ねじれ、収縮などの顕著な成形不良は見られなかった。また、得られた造形品を室温にて1ヶ月放置した後に目視にて形状確認を行ったが、反り、ねじれなどは確認されなかった。また、造形温度を200℃に下げても問題なく造形できた。
(比較例1)プロピレン系樹脂組成物としてPP3を用いた以外は実施例1と同様な操作を行った。結果を表1に示した。造形中、造形物が反り、テーブルからはがれ、所望の造形品を得ることが出来なかった。また、造形温度を200℃に下げても吐出は安定していたが、造形中、造形物が反り、テーブルからはがれ、所望の造形品を得ることが出来なかった。
(比較例2)プロピレン系樹脂組成物としてPP4を用いた以外は実施例1と同様な操作を行った。結果を表1に示した。造形中、造形物が反り、テーブルからはがれ、所望の造形品を得ることが出来なかった。また、造形温度を200℃に下げたところ、ノズルからの吐出が不安定になった。
(比較例3)プロピレン系樹脂組成物としてPP5を用いた以外は実施例1と同様な操作を行った。結果を表1に示した。造形は可能であったが、反りの影響でテーブルと底面の一部が浮いてしまった。また、造形温度を200℃に下げても吐出は安定していたが、反りの影響でテーブルと底面の一部が浮いてしまった。
Figure 2017197627
(効果)
上述の通り、本発明の熱溶融積層方式造形用ポリプロピレン系樹脂組成物を用いることにより、造形中に収縮や反り、ねじれ等の成形不良の発生が少ないポリプロピレン系造形品が提供することができる。また、ポリプロピレン系樹脂の特徴である耐有機溶剤性、耐薬品性、耐吸湿性、耐熱性にも優れるため、その造形品は広範な用途の実使用に供することが出来る。

Claims (4)

  1. 以下の特性(X−1)〜(X−3)を示すポリプロピレン系樹脂(X)を含む熱溶融積層方式造形用ポリプロピレン系樹脂組成物(Y)。
    特性(X−1):メルトフローレート(MFR:JIS K7210:1999のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重))が1.0〜100g/10分。
    特性(X−2):示差熱走査熱量計(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で−10℃まで温度を降下させて測定した結晶化ピーク温度(Tc)が105℃以下。
    特性(X−3):示差熱走査熱量計(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で−10℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて200℃まで温度を上昇させた際に測定される、10〜200℃の範囲での融解熱量(ΔHm)が、70J/g以下。
  2. ポリプロピレン系樹脂(X)の一部または全部がメタロセン系重合体である請求項1に記載の熱溶融積層方式造形用ポリプロピレン系樹脂組成物(Y)。
  3. ポリプロピレン系樹脂(X)が、プロピレンとエチレンおよび/または炭素数4〜12のα−オレフィンとのブロック共重合体である請求項1または2に記載の熱溶融積層方式造形用ポリプロピレン系樹脂組成物(Y)。
  4. ストランド径が1.0〜5.0mmである、請求項1乃至3に記載の熱溶融積層方式造形用ポリプロピレン系樹脂組成物(Y)からなるストランド。
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